【SS】凛「ことりちゃん……それはムリだと思うニャ……」

ことり「さあ、今日も頑張ろうね凛ちゃん♪」

凛「いやだ……帰らせてよ……」

ことり「ダメだよ。ことりの赤ちゃん産んでもらうんだから」

凛「だから言ってるでしょ！女の子どうしはムリなの！」

ことり「できるんだよ？凛ちゃん知らないの？」

凛「知らないよ！」

ことり「おへその下辺りをマッサージしてね……刺激を与えると――」

ことり「赤ちゃんができるんだよ？」

凛「ムチャクチャだニャ……」
　

ことり「できるんだよ？」

凛「できないよ。学校の授業でもさ、やったと思うの……」

ことり「できるよ？できるんだよ！？」

凛「……で、できないよ」

ことり「……とにかくマッサージするね」

凛「だから、凛はやめてほしいって言ってるの……」

ことり「はい、ことりのベットの上であおむけになって」

凛「やらないよ！」

ことり「ダメだよ！赤ちゃん！赤ちゃんだよ！？」

凛「この人、頭おかしいニャ…………」
　

ことり「さてと……パジャマ着てもらってるけど、上はめくって……」

凛「…………ね、ねえことりちゃん」

ことり「下もぎりぎりまでおろそう？」ｸﾞｲｯ

凛「おろそう？って、もう自分でおろしてるじゃん……」

ことり「―――よし、これでマッサージできるね」

凛「だから……しなくていいの！」

ことり「なんで？赤ちゃん欲しいでしょ？ね？」

凛「欲しい欲しくない以前に、おかしいよ……」

ことり「おかしくないよ？」
　

ことり「オイルを手であっためて……」

凛「……やめてっていってるニャ！」

ことり「おへその下を……まずは優しーく……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「…………」

ことり「どう？どう？どう凛ちゃん？きてる？」

凛「なにも来ないよ！」

ことり「もっとかな？もっとだね？うん！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「やめて、ことりちゃん……」

ことり「まだかなー？ことりと凛ちゃんの赤ちゃん♪」
　

ことり「どう？ポカポカしてきた？」

凛「…………」

ことり「血行を良くするアロマオイルなんです♪」

凛「どうでもいいニャ……」

ことり「できそう？赤ちゃんできそう？」

凛「それはムリだと思うの……」

ことり「頑張ろう？ねえ、凛ちゃん頑張ろう？」

ことり「ことりも応援しちゃいます！」

凛「そろそろ帰らせてください……」

ことり「ダメです！」
　

ことり「よおし、次はおなかを軽く押すね？」ｷﾞｭ

凛「んっ……」

ことり「どうかな？効いてる？」ｷﾞｭｯ

凛「効くわけないよ……」

ことり「ううん。効いてるんだよ？ね、効いてるでしょ？」

凛「…………わかんない」

ことり「ほら凛ちゃん！おなかに意識を集中して！」

凛「…………」
　

ことり「あっ、おなかって言っても、おへその下だよ？」

凛「知ったこっちゃないニャ……」

ことり「ダメだよ？意識して？ほら女の子でしょ？ね？凛ちゃん！」

凛「…………」

ことり「ほら、凛ちゃん！凛ちゃん！？凛ちゃん！」

凛「わ、わかったから……」

ことり「どうかな？女の子の女の子が喜んでるよね？」

凛「なに言ってるかわからないよ……」
　

ことり「おへその左下をギューっと押して……意識しててね？」ｷﾞｭｰ

凛「う、うん……」

ことり「はい、息はいて！」

凛「……え？」

ことり「息はくの！」

凛「…………ふぅぅぅ……」

ことり「うーん、緊張してるみたい……なんでだろう……」

凛「わざと言ってるんだよね、それ……」
　

ことり「リラックスしてね？大丈夫。心配しないで」

ことり「きっと赤ちゃんできるから」

凛「できないの！」

ことり「妊娠するよ？すぐにするよ？ほぼ毎日やってあげてるんだもん」

凛「もうやめてほしい……」

ことり「ほら、ギューって押すと……」ｷﾞｭｯｰ

凛「…………んっ」

ことり「ね？凛ちゃんの女の子に触れてるよ？妊娠しちゃうよね？」

凛「わ、わけわかんないニャ……」
　

ことり「ポカポカしてきて……気持ちいいよね？」

凛「そんなことないよ……」

ことり「だよね、気持ちいいよね♪きっと、身体が求めてるんですっ！」

凛「凛の話、少しぐらい聞いてほしいの……」

ことり「赤ちゃん欲しいんだったっけ？いいよ、頑張ろうね！」

凛「ことりちゃんは、もうダメニャ…………」

ことり「ダメじゃないよ。産めるよ？凛ちゃんなら大丈夫」ｷﾞｭｯ

凛「やだぁ…………大丈夫じゃないよ……」
　

ことり「おへその下のここ！ああ、ここで赤ちゃんが育ってくんだよぉ……」ｻｽｻｽ

ことり「えへへ…………楽しみだね。ね？」

凛「たすけて…………」

ことり「…………」ﾍﾟﾛｯ

凛「ひぃっ…………」

ことり「凛ちゃんのおなか……なんだか愛おしくなっちゃう♪」

凛「やめて……ことりちゃん、お願いだから……」

ことり「もうすぐかな……凛ちゃんのおなかが大きくなってくるんだね……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「やばいニャ……この人最高にやばいニャ……」
　

凛（はじまりは、ウェディングドレス風の衣装）

凛（ことりちゃんたちが修学旅行の間に、凛がこれを着て）

凛（ライブに出たんだけど…………）

凛（ことりちゃん、後でその時の写真を見たみたいで――）

凛（どうにも、いんすぴれーしょん？が湧いたそうだニャ……）
　

ことり「――衣装を作ったんだけど……凛ちゃんに着てほしいな」

凛「え、凛に？」

ことり「そうだよ？絶対凛ちゃんに似合うと思うの♪」

凛「ホ、ホント？」

ことり「うん！とっても女の子な感じで……」

凛「でも、凛、女の子っぽくないし…………ううん、着てみたいニャ！」

ことり「良かった！じゃあ、今日うちに来てね」

凛「わかったよ！」
　

凛「これが、その衣装？すごい！ドレスだ！」

ことり「かわいいでしょ？」

凛「うん！」

ことり「喜んでもらえてよかったぁ！」

凛「……あれ、でもこのドレスちょっと大きいね……」

ことり「え、これでいいんだよ？」
　

凛「おなかのとことか、ゆるゆる……」

ことり「そうだよ？だって、これマタニティドレスだもん」

凛「…………え？」

ことり「ウェディングときたら、次はやっぱりこれだよね？」



凛（その日から毎日。最初はドレスに似合うように妊娠してって

凛（この時点で普通におかしいけど――）

凛（途中からだんだん、赤ちゃん産んでほしいに変わってきたニャ……）
　

―――――――――
――――――


凛「…………」ｷｮﾛｷｮﾛ

花陽「なにしてるの凛ちゃん？」

凛「あ、かよちん。あのね、今から帰ろうと思ってるんだけど……」

花陽「じゃあ、一緒に帰ろう？」

凛「でもね、見つかったら終わりなの……」

花陽「…………？」

凛「とにかく、こっそり帰らないと――」



ことり「あ！凛ちゃん！」
　

ことり「今日はまず、あのテレビでDVDを見てもらいます♪」

凛「DVD……？」

ことり「うん。これだよ」ﾋﾟｯ


『ようこそ　赤ちゃん』


凛「い、いやニャ……」

ことり「しっかり見て、いいお母さんになろうね？」

凛「言ってることはまともに聞こえるけど、やっぱりおかしいよ！？」

ことり「ほら見て！カワイイね、赤ちゃん♡」

凛「見ない。絶対見ない……」

ことり「ちゃんと見ないとダメだよ？」
　

ことり「うん、いい勉強になりました」

凛「…………」

ことり「母体は冷やしちゃいけない。凛ちゃん、気を付けないとね？」

凛「凛、まだ母じゃないよ…………」

ことり「ううん。もうお母さんになってるかもしれないんだよ！？」

凛「…………」

ことり「これから、おなかが膨らんでくるかも……」

凛「そんなこと絶対ないニャ……」

ことり「あるよ。だって凛ちゃん、女の子だもん」

凛「ことりちゃん…………目を覚ましてよ……」
　

ことり「ずっとマッサージしてきてるんだよ？」

ことり「妊娠しないほうがおかしいよ！」

凛「おかしいのは、ことりちゃんの頭だよ……」

ことり「よし、今日も気合を入れてやっちゃいますっ！」

凛「やらなくていいの！」

ことり「じゃあ少し脱がして……オイルを――」

凛「無視しないで…………」

ことり「行くよ凛ちゃん。意識してね？」

凛「…………」
　

ことり「どうですかぁ？気持ちいい？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「…………んっ……」

ことり「この反応……もうすぐだね」

凛「くすぐったいだけだよ……」

ことり「えへへ♪赤ちゃーん……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「…………くすぐったいだけだってば！」

ことり「ああ、そうだ凛ちゃん。赤ちゃんの名前どうする？」

凛「ムダなこと考えるの、やめて欲しいニャ……」

ことり「凛ちゃんの『り』と、ことりの『こ』をとって――りこちゃん！」

ことり「どうかな？ことりはいいと思うの♪」
　

ことり「温まってきたでしょ？」

凛「う、うん……」

ことり「これは間違いなくできちゃうね。できちゃうんだね♡」

凛「だから……意味わかんないよ……」

ことり「あっ！」

凛「…………」

ことり「ねえ、凛ちゃん。重要なことに気付いたよ……」

凛「…………え？」

ことり「男の子」

凛「あ、やっと気づいたニャ？ことりちゃん、女の子だから――」

ことり「男の子だったら、名前どうしよう？」

凛「…………」
　

ことり「おへその真下……ここが凛ちゃんの、ようこそ赤ちゃんだね……」

凛「…………なに言ってるの、ことりちゃん」

ことり「しっかり刺激を与えないと…………」ｷﾞｭｰ

凛「いっ！…………い、痛いニャ……」

ことり「えいっ！」ｷﾞｭｰ

凛「ちょっとやめっ…………」

ことり「孕め！孕んでよぉ！」ｷﾞｭｰ

凛「痛っ……やだやだぁ！」
　

ことり「ふぅ…………これでできたかな」

凛「………………」

ことり「凛ちゃん？どう？できたよね？間違いないよね？」

凛「…………知らないニャ」

ことり「知らないって……凛ちゃん！」

凛「は、はい」

ことり「凛ちゃんはもうお母さんになるんだよ！？ダメだよそんなんじゃ！」

凛「ご、ごめんなさい…………」
　

―――――――――
――――――


ことり「凛ちゃん、今日もやるよ？」

凛「やだ…………もうやだよ……」

ことり「毎日やらないと……」ｸﾞｲｯ

凛「痛い！腕、引っ張らないで！」

ことり「ほら、行くよ凛ちゃん」

凛「やだぁ……」
　

にこ「――ことり、ちょっといいかしら」

凛「にこちゃん！」

ことり「なにかな、にこちゃん」

にこ「ちょっと衣装のことで相談があるのよ」

ことり「…………」

にこ「今から、部室で。そう時間はとらせないから」

ことり「……わかったよ」


凛（やった……久々に何事もなく帰れるよ……）

凛（今日はお家でゆっくりしよ！）
　

凛「――ただいまー！」



ことり「あ、お帰り凛ちゃん」

凛「…………なっ」

ことり「今日は凛ちゃんのお部屋でしちゃいますか？」

凛「…………なんでいるの」

ことり「どうしたのかな。元気ないみたい……？」

凛「…………」

ことり「あっ、安心して。必要なものは一通り持ってきたよ？」

凛「そんな心配してないよ……」
　

ことり「結局、ことりの家でやることになったね」

凛「…………」

ことり「いつも通り、パジャマに着替えてベットに寝っころがって？」

凛「き、今日はもう遅いし……」

ことり「泊まってもいいよ？」

凛「……すぐ着替える」
　

ことり「――いいものがあるの。はい、これ！」

凛「なに……そのクスリ……」

ことり「排卵誘発剤だよ？不妊治療に使われるの」

凛「そ、そんなのいらないよ！」

ことり「ううん、飲もうね？飲んでね、凛ちゃん」

凛「……じ、冗談だよね？」

ことり「ううん。だっておかしいもん。もう一か月もやってるのに……」

凛「だから、おかしいのはことりちゃんニャ……」
　

ことり「きっと凛ちゃん、不妊症だよ」

凛「妊娠する方が変なの…………」

ことり「飲もう？」

凛「い、いや……」

ことり「飲んでね、凛ちゃん。ほら口あけよ？」

凛「……んー！」

ことり「口あけないと飲めないよ？」
　

ことり「ちゃんと飲めたね♪えらいよ凛ちゃん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「…………」

ことり「これで、妊娠間違いなしだよ！」

凛「……しないニャ」

ことり「赤ちゃんできるよ？ねえ嬉しいよね？ね？」

凛「……ね、ねえ。ホントにできちゃったら……ど、どうするの……」

ことり「その時はことりが、ずっと凛ちゃんと、赤ちゃん――」

ことり「二人の面倒見るからね」

凛「……え……うん……」

凛「……いやいや、ちょっとドキドキしたけどやっぱりおかしいよ！？」
　

ことり「今日はいつも以上に念を入れて……」

凛「もうやめよ……？ことりちゃん……」

ことり「もうちょっとなの。だから……ね？」

凛「全然もうちょっとじゃないニャ……」

ことり「ほら、凛ちゃん。こころなしか胸も膨らんできてるし……」

凛「……それは成長だよ」

ことり「きっと、準備万端なんだね。もうあと一歩ですっ！」

凛「…………」
　

ことり「赤ちゃんまだかなー」ﾁｭｯ

凛「……あ、あの」

ことり「楽しみだよね♪ああ待てないよ……」ﾁｭｯ

凛「さっきから、凛のきわどいところになにしてるの……」

ことり「きわどいところ？あっ！赤ちゃんのおうちのことだね♪」

凛「その表現、気持ち悪いニャ…………」

ことり「きっとね、指だけじゃダメなのかなって思ったの」

凛「……一度病院に行こう？」

ことり「そうだね、産婦人科に行こっか」
　

ことり「わき腹の下の骨あたりから、中心に向って――」ｸﾞｰ

ことり「両手でそれぞれ円を描くように……」ｸﾞｲｯ

凛「……んっ…………」

ことり「ちゃんと意識してね？」

凛「…………」

ことり「ね？」

凛「う、うん……」

ことり「息も吐かないと」

凛「……ふ、ふううぅ」

ことり「うんうん♪これで間違いなし！」
　

ことり「――最近どう？何か変化はないかな？」ｷﾞｭ

凛「ん……あるわけないニャ……」

ことり「すっぱい物とか、用意しとくね」

凛「だーかーらー…………」

ことり「そうだ！いろいろ準備しとかないと……」ｸﾞｸﾞｯ

凛「いたっ……じ、準備って……」

ことり「おしゃぶりとか……おむつとかも買っちゃお？」

凛「あのね、ホントに産むとしても、気が早すぎだと思うの……」
　

ことり「マッサージも、熱がいつも以上に入っちゃうね♪」

凛「入らなくていいニャ……」

ことり「あっかちゃん♪あっかちゃん♪」ｷﾞｭ

凛「やっ…………」

ことり「えへへ♪ことりと凛ちゃんの♡」ｷﾞｭｰ

凛「やだよぉ…………」

ことり「いやじゃない！凛ちゃんも望んでるでしょ！？」

凛「そんなこと一度も言ってない……」

ことり「…………」ｸﾞｸﾞｯ

凛「いっ痛いよ！痛い！」

ことり「……凛ちゃん、赤ちゃんを産みたいよね？ね！？」

凛「…………はい」
　

―――――――――
――――――

ことり「今日はうちに行く前に、買って来てほしいのがあるの」

凛「…………」

ことり「妊婦さん用の雑誌を買ってきてくれないかな？」

凛「な、何で凛がそんなもの、買わないといけないの！」

ことり「だって、もうお母さんでしょ？買って勉強しよ？」

凛「まだお母さんじゃないよ！？」

ことり「……もうすぐだよ。一か月以上マッサージ続けて――」

ことり「あれだけクスリも飲んだもん」

凛「…………」

ことり「もうできてるよ、きっと……」
　

凛（ことりちゃんは本気ニャ……）

凛（本気で凛に赤ちゃん産ませる気だよ）

凛（どうしよう……子供ができちゃったら……）

凛（でも、ことりちゃんからは逃げられない……）

凛（逃げ回って夜遅く帰っても、必ず凛の家のそばで待ってるんだもん）
　

ことり「あ、凛ちゃん遅かったね？」

凛「…………………」

ことり「買ってきた？言った通り、たまごクラブって雑誌」

凛「…………う、うん。これ……」

ことり「そうそう♪しっかり読んでね？」

凛「…………す、すっごく買うの、恥ずかしかったよ！」

ことり「恥ずかしい……？恥ずかしいことなんて何もないよ」

凛「あ、あるよ！」

ことり「凛ちゃん。お母さんになることは恥ずかしいことじゃない」

ことり「むしろ、誇っていいと思うの！」

凛「ダメだ。話が通じないニャ……」
　

ことり「ほら、ここ……もうすぐ赤ちゃんが……」

凛「…………」

ことり「この下腹部をとんとんって優しく叩くと……」ﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝ

凛「…………叩きすぎだよ」

ことり「間違いないよ。今ので出来ちゃった♡」

凛「その自信、どこから来てるの……」

ことり「凛ちゃんも！できると思わないとできないんだよ！」

凛「できたら困るの！」
　

ことり「わかったの……なんでこんなにやっても、できないのかなって――」

ことり「その答えがわかっちゃったよ！」

凛「もう何も期待してないニャ……」

ことり「あれです。凛ちゃんの意識の低さですっ！」

凛「…………」

ことり「ということで、意識を強めるために声にだそう？」

凛「…………え？」

ことり「ことりに続いてね！」
　

ことり「凛は赤ちゃん欲しいですっ！はい！」

凛「え……え？り、凛が言うの？」

ことり「そうだよ？誰が産むの？凛ちゃんだよね？」

凛「い、いや……だから凛は……」

ことり「はいっ！」

凛「ま、待ってよ！凛はね、そんなこと――」

ことり「…………なんで、言ってくれないの？」

凛「……それはね、凛は――」

ことり「いらないの？ベビちゃんいらないっていうのかな！？」
　

ことり「凛ちゃん。今、赤ちゃんいらないて言うのはね……〇してるも同然だよ」

ことり「ことりはね……凛ちゃんのこと、人〇しにしたくないの……」

凛「マジメに意味わかんないニャ…………」

ことり「だからね……言おう？言わないと！凛ちゃん言って！！」

凛「ひっ…………」

ことり「凛は赤ちゃん欲しいですっ！」

凛「り、凛は……あ、赤ちゃん欲しいです……」

ことり「うん！頑張ろう♡」

凛「…………」
　

ことり「次だよ。凛はことりちゃんの子を産みたいです！」

凛「凛は…………やっぱり、いやニャ！」

ことり「なんでなの…………」

凛「だってほら……できちゃったらμ'sにいられないよ？」

凛「学校だって…………」

ことり「大丈夫だよ。ことりにまかせて」

凛「………………」

ことり「それにこの時期にできても、生まれるのは来年の夏から秋だよ？」

ことり「最悪、生まれてから考えよ？」

凛「あ、ダメな人の考え方ニャ…………」
　

ことり「はい凛ちゃん。言ってみよう」

凛「………………」

ことり「あとは気持ちの問題なの。言おう？言って。言ってよ！」

凛「わ、わかったニャ……」

ことり「気持ちを込めてね」

凛「……凛は……ことりちゃんの子を……」

ことり「ことりの子を？」

凛「…………う、産みたいで……す」

ことり「うん！」

凛（本気でうれしそうだよ……怖いニャ……）
　

ことり「そろそろだよねー？」ｷﾞｭｰ

凛「…………やっ……」

ことり「えへへ……ふふ……」ｷﾞｭｰ

凛「んっ…………やだよぉ……」

ことり「今日こそ……絶対できてるよ……」ｷﾞｭｰ

凛「…………やだぁ……」

ことり「ようこそ、赤ちゃん♪
　

ことり「……ねえ、身体に変わった様子、あるかな？」

凛「……変わった様子…………ある」

ことり「あるの？どんなの？」

凛「あ、あのね……ことりちゃんにされてからずっと……」

凛「アレが来てないの…………」

ことり「アレ？アレだね！？」

凛「…………うん」

ことり「もうそろそろひと月半……これはもしかして――」

ことり「早いうちからできちゃってた！？」

凛「そうかも……だから終わりに――」

ことり「で、でも安心はできないもんね……もうちょっと続けよう？」

凛「…………」
　

―――――――――
――――――


ことり「二か月とちょっとにして、とうとう手に入れたよ！」

凛「…………」

ことり「強力な不妊治療薬ですっ！ホルモンドバドバ！これでバッチリだよ！」

凛「こ、ことりちゃん……ホントに病院行こう？」

ことり「そうだね……これでダメだったら診てもらおっか」

凛「そうじゃないです…………」

ことり「これね、注射なの。ちょっと痛いみたいだけどガマンしてね？」

凛「ま、待って……」

ことり「…………元気な赤ちゃん産もうね♡」

凛「…………いやだぁ……凛、赤ちゃんやだぁ……」
　

ことり「暴れないでね……いくよ？」ﾌﾟｽｯ

凛「やっ…………」

ことり「うまく刺せた……クスリ注入しちゃうね」

凛「……い、痛い痛い！痛いよ！」

ことり「頑張って！お母さんでしょ！」

凛「痛いよぉ……うぅ……」ｸﾞｽｯ

ことり「――よし、できました！」

凛「……っく……う……」

ことり「泣かないで。これでもう赤ちゃんできるよ♪」
　

ことり「双子とかだったらいいよね♪」

凛「…………」

ことり「三つ子……いや五つ子くらいだと、にぎやかだね♪」

凛「…………」

ことり「凛ちゃん？」

凛「…………もうやだ」ｸﾞｽｯ

ことり「あきらめちゃダメだよ！」
　

ことり「…………おなか、ちゃんとあっためてる？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「…………う、うん」

ことり「身体は大事にしないとダメだよ？」ｻｽｻｽ

凛「…………うん」

ことり「カイロとか貼ってね？これからの時期、冷えるもん」

凛「…………」

ことり「よぉし……それじゃあ今日も、マッサージしちゃいます♪」

凛（…………）
　

―――――――――――――
―――――――――
――――――

ことり「今日も注射するね？」

凛「うん」

ことり「いくよ――――」ﾌﾟｽ

凛「い……んむぅぅ！」

ことり「頑張って凛ちゃん……はい終わり」

凛「……はぁ……はぁ……」

ことり「泣かなくなったね。えらいよ凛ちゃん！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「……うん。凛、お母さんになるんだもん」
　

凛「きっと、もうできてると思うの」

ことり「ことりも信じてる」

凛「だってことりちゃん、あれだけマッサージしてくれたもん！」

ことり「神様だって、求める二人にイジワルなことしないよね」

凛「頑張って産むニャ、ことりちゃんの赤ちゃん！」

ことり「うん♪ことりもずっと応援するね」
　

ことり「じゃあ凛ちゃん、さっそくマッサージするよ」

凛「うん、お願いします」

ことり「えへへ♡りんちゃんのおなか♡」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「……んっ……」

ことり「凛ちゃんどう？子供できてそう？」

凛「できてそう。ううん、できてるよ赤ちゃん♡」

ことり「えへへ♡今度は軽く指圧するよ――――」
　

凛（最近体調がおかしい……）

凛（生理が来ないニャ…………）

凛（お腹が張ってる気がするし、身体がだるくて……）

凛（味の好みも、ことりちゃんが言った通りで――）

凛（すっぱいものが好きになってきちゃった……）

凛（強い吐き気がたまにするし………）

凛（これって、きっと――――）

凛（やっとできたよ、ことりちゃん！）

凛（ことりちゃん！ことりちゃんの赤ちゃん、できちゃったニャ♡）
　

凛「ことりちゃん、妊娠したよ！」

ことり「ホント！？おめでとう凛ちゃん！」

ことり「ああ！やっと赤ちゃんが！このおなかに！」ｽﾘｽﾘ

ことり「ふふ♡ことりと凛ちゃんの赤ちゃん♡」ｻｽｻｽ

ことり「聞こえますかー？ママですよー？」

ことり「ふふ……えへへへへへ…………」

ことり「凛ちゃん！二か月ちょっと、よく頑張りましたっ♪」

ことり「えらいよ凛ちゃん！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

凛「えへへ♡」
　

ことり「さて、みんなに知らせないとね」

凛「うん。隠せないもんね……」

ことり「受け入れてもらえるかな……」

凛「……大丈夫ニャ！」

ことり「そうだね、わかってくれるよね」

凛「……そうだよ！だって、凛もことりちゃんも本気だもん！」

ことり「うん！」
　

花陽「――え……凛ちゃん妊娠しちゃったのぉ！？」

凛「うん。そうなの……」

絵里「ハラショー…………」

希「え、待って待って……相手は誰なん？」

にこ「ちょっと希……いきなりそんなこと聞くのは酷よ……」

凛「…………え、ええとね……ことりちゃん！」

穂乃果「え？」

海未「ことり……あなた……」

ことり「そうですっ。ことりの子です♡」
　

穂乃果「ことりちゃん…………」

海未「あなた凛に何したんですか……」

ことり「なにって……おかしなことはしてないよ？」

穂乃果「いやいやいや……」

にこ「だいたい、あんたの子ってありえないでしょ……」

ことり「ホントだよ！」

希「ことりちゃん、一度冷静になろう？」

ことり「ホントなんですっ！ね、凛ちゃん？」

凛「うん！ホントだよ？ことりちゃんの子供ができたの」
　

真姫「待ちなさいよ。確認したの？」

凛「確認したよ？つわりもあるし、おなかだって――」

真姫「そうじゃなくて。妊娠検査薬は？」

凛「…………え、なにそれ？」

真姫「はぁ……それじゃあ、まだわからないわ」

ことり「そ、そんなことないよ？まちがいないの……」

真姫「一度試せばいいのよ。すぐにわかるわ」
　

ことり「――――想像妊娠！？違うの！凛ちゃんは……」

真姫「でも結果が陰性よ。これは間違いないの」

凛「ウ、ウソだよ…………だって、つわりとかが……」

真姫「思い込みで起こるのよ。ストレスとかでね」

花陽「えっと……じゃあ凛ちゃんは……？」

真姫「妊娠してないわ」

凛「したよ！たくさんマッサージしてもらったもん……」

真姫「マッサージ……？」

凛「おへその下あたりを撫でたり、押したりすると――」

凛「赤ちゃんができるんだよ！？」


穂乃果「凛ちゃん…………」

海未「手遅れですね。これは……」
　

凛「な、なんで……なんで妊娠してないの……」

ことり「おかしいよ……こんなのまちがってるよ……」

凛「……ごめんねことりちゃん。きっと、凛が悪いの」

ことり「ううん。ことりのマッサージが下手だから……」

凛「でも、これからも続けよう？凛、産みたいもん！」

ことり「凛ちゃん……ことりももっと上手にできるよう、練習するね！」

凛「ことりちゃん♡」

ことり「凛ちゃん♡」



絵里「ハラショー…………」

にこ「なに言ってんのか全然わかんないんだけど……」

真姫「と、とりあえず二人を徹底的に教育するしかないわね……」
　

凛（それから凛とことりちゃんは、一週間に及ぶハードな教育を受けて……）

凛（凛は完全に目が覚めたニャ…………）

凛（身体の調子も、少しずつだけど治ってきてるみたいで――）

凛（吐き気が全然来なくなったし、だるさもなくなった）



凛（ことりちゃんとは――なんだかんだで仲良くなった）

凛（…………当然かもしれないニャ）

凛（だって、一度は赤ちゃん作っちゃう仲だったんだもん）
　

ことり「ことりたち、間違ってた……」

ことり「あれじゃあ、赤ちゃんはできないんだ…………」

真姫「ええ」

凛「目が覚めたニャ……」

真姫「まったく……なにをどうしたら、あんなことになるのよ……」

凛「ごめんなさい……」



海未「解決したみたいです……」

穂乃果「よかったよ……本当によかったよ……」

海未「明日は我が身な感じがしましたもんね……」
　

凛「…………でも、ちょっと残念って思ったニャ」

真姫「残念？」

凛「赤ちゃんできたと思うと、少し愛おしくなっちゃってて……」

真姫「…………まあ、わからなくはないけど」

ことり「気持ちはお母さんのそれだね♪」

凛「そうなのかな？」

ことり「ホントに凛ちゃん、頑張ってくれてたもん」

ことり「ことりのために、あんなに頑張ってくれたのに……」

ことり「おかしいよ…………」
　

―――――――――
――――――

ことり「新しく衣装作ってみたの。凛ちゃんに着てほしいな」

凛「え、凛に？」

ことり「そうだよ？絶対凛ちゃんに似合うと思うの♪」

凛「で、でも……また……」

ことり「うん！大丈夫、マタニティドレスじゃないよ？」

凛「ホ、ホント？じゃあ着るニャ！」

ことり「じゃあ一緒に行こうね」
　

凛「――こ、ことりちゃん……？」

ことり「ん？」

凛「どこに行こうとしてるの……？」

ことり「え？どこって？」

凛「なんか、ことりちゃん家から離れてない？」

ことり「え、いいんだよ。だって、向ってるのは――大学病院だよ？」

凛「うん？」

ことり「大学病院」
　

凛「な、なんで！？なんでよ！」

ことり「なんでって……」

凛「衣装は？衣装取りに行くんでしょ？」

ことり「うん」

凛「病院で衣装ってなんなの！？」

ことり「病衣だよ？入院したりするときに着る――」

凛「……え？」

ことり「実はね、男の人無しでも子供が作れるっていう――」

凛「ひっ…………」

ことり「えへへ……赤ちゃん……」

凛「……ご、ごめん。凛、用事があって……」

ことり「待って」ｶﾞｼ
　

ことり「ねえ……ホントの赤ちゃん欲しいよね？」

凛「…………いやだよ！」

ことり「この前、できなくて残念って言ってたよ？」

凛「それは違うの！できてないなら、それに越したことないの！」

ことり「ことりは欲しいな。赤ちゃん♡」

凛「…………や、やだ！」

ことり「想像妊娠じゃないの。本物だよ？」

凛「だーかーらー！イヤだ！！」

ことり「いいから！行こ？ね？ね！？」ｸﾞｲｯ

凛「い、イヤニャぁぁぁぁぁああぁぁあああああ！！」



おわり
　

ﾋｴｯ……
　

ことりん好き