【SS】彼方「ねぇしずくちゃん、覚えてる?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:31:50.17 ID:Ipgil4AT
かなしずss
立ったら書く
 
5: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:35:17.25 ID:Ipgil4AT
彼方「私たちが初めて会った日のこと。」

彼方「彼方ちゃんね、最初はしずくちゃんのこと同級生だと思ってたんだよ。」

彼方「あの時はまだ転校してきてすぐで学年別のリボンの違いとかも知らなかったし、何よりしずくちゃんがしっかりしてたから、まさか一年生だったなんて思わなかったよぉ。」

彼方「エマちゃんなんてしずくちゃんの自己紹介が終わった後も信じられないって言ってたもん。」

彼方「でも同じ時間を過ごしていくうちに少しずつしずくちゃんのことが分かったんだよ。」

彼方「しっかりしている、というよりはどちらかというと甘えるのが苦手なだけだったり」

彼方「ちょっとしたことに対しても意外と負けず嫌いだったり」

彼方「結構嫉妬深かいところだったり」

彼方「そんなところも全部含めて、彼方ちゃんはしずくちゃんのこと大好きなんだけどね?」
 
6: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:36:53.15 ID:Ipgil4AT
彼方「ねぇしずくちゃん、覚えてる?」

彼方「同好会が潰れそうになった時のこと。」

彼方「彼方ちゃん、あの時はまさかあんなことになっていたとは思わなかったよ。」

彼方「それでもあの子がたくさん頑張ってくれて、私達を呼び戻してくれた。」

彼方「そして何より、かすみちゃんがあの場所を1人でずっと守ってくれてた。」

彼方「それからも同好会がなくなっちゃいそうになったこともあったけど、そのたびに新しい仲間が増えて、みんなともっと絆が深まって。」

彼方「今でもあの場所は彼方ちゃんの大切な場所だよ。」

彼方「それにしても、本当にあの2人には頭が上がらないな〜。」

彼方「ねぇ久しぶりに今度、2人に会いに行ってみよっか?」

彼方「2人も久しぶりにしずくちゃんに会いたがってると思うんだよね〜。」

彼方「時々連絡が来るんだよ、『しずくちゃんの調子はどう?』とか『しず子とまたお話ししたいです!!』とか」

彼方「いやぁ、楽しみなことができちゃいましたなぁ。」
 
7: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:37:58.02 ID:Ipgil4AT
彼方「ねぇしずくちゃん、覚えてる?」

彼方「彼方ちゃんたちが卒業した日のこと。」

彼方「それまでは璃奈ちゃんとかかすみちゃんの方がずっと泣いてて、それをしずくちゃんが励ましてたのに、当日のお別れ会の時は2人とも泣いてなかったのに逆にしずくちゃんが大泣きしてたよね。」

彼方「『卒業したら嫌ですうう!!』って泣いて抱きついてくるし、『私も一緒に卒業するうう!!』とか訳のわからないこと言い始めるし。」

彼方「あの時せっかくクリーニングしたての制服がしずくちゃんの涙とか鼻水とかでグチャグチャになったんだよ?」

彼方「そしたらそれに釣られて栞子ちゃんが泣き出しちゃうし、どうすればいいかわからなくなったかすみちゃんが慌てちゃうし、色々大変だったよね。」

彼方「聞いた話によればあの子たちが卒業する時なんてもっと大変だったらしいじゃん。」

彼方「かすみちゃんはあの子に抱きついてもう涙でボロボロだし、璃奈ちゃんは愛ちゃんから一生離れなかったし、栞子ちゃんもずっと歩夢ちゃんとせつ菜ちゃんに慰められてたって」

彼方「そして何よりランジュちゃんがずっと泣いててそれを慰めるのが一番大変だったって」

彼方「それでも、今でもこうやって繋がれる仲間がいるってことはとっても幸せなことなんだよね。」
 
8: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:39:08.16 ID:Ipgil4AT
彼方「ねぇしずくちゃん、覚えてる?」

彼方「これは流石にしずくちゃんも覚えてるよね。」

彼方「しずくちゃんが彼方ちゃんに告白してくれた時のこと。」

彼方「まさかあのタイミングで告白されるなんて思わなかったよ。」

彼方「彼方ちゃんがカフェでバイトしてる時にいきなり言ってくるんだもん。」

彼方「『彼方さん、私とお付き合いして下さい』って。」

彼方「レジにいきなりくるから追加の注文でもあるのかなぁって思ってたら告白されるんだもん」

彼方「その時は突然のことすぎて逆に冷静になっちゃって『後でもいいかな?』って言っちゃったけど、あの後ボロボロだったんだからね?」

彼方「注文ミスしちゃうし、レジの金額打ち間違えちゃうし、パンケーキと間違えて出汁茶漬け作っちゃうし。」
 
10: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:40:43.81 ID:Ipgil4AT
彼方「それでもなんとかバイトが終わって外に出たらしずくちゃんが待ってくれてたんだよね、顔を真っ赤にしてさ。」

彼方「そしたら開口一番『ごめんなさい!!』って」

彼方「さっきの告白のことだろうな〜と思ってなんであのタイミングだったのか聞いたら・・・今思い出しても可愛い理由だよね」

彼方「『彼方さんが他の人と話してるところ見たらいても立ってもいられなくなって』、なんて」

彼方「確かにあの時は他のホールの男の子と話してたけど」

彼方「あの時は彼方ちゃんがその子の恋愛相談にのってただけなんだよね。」

彼方「でも確かに男の子の方も顔が真っ赤になってたから、周りから見たらそんな風に見えたかもしれないけど」

彼方「いきなり告白してくるなんて、どれだけ彼方ちゃんのこと好きなんだよ〜って思ったよねぇ」

彼方「それで彼方ちゃんもちょっと意地悪しちゃおっかな〜と思ってどれだけ好きなんだよ〜って言ったら。」

彼方「それまでずっと私の足元を見てたのにいきなり真っ直ぐ目を見て、『誰よりも愛してます。』なんて言うんだもん。」

彼方「流石の彼方ちゃんもビックリしたよ〜。」

彼方「本当はね、あの時告白は断ろうと思ってたんだよ?」

彼方「確かにしずくちゃんのことは大好きだったし、大学生になってからも会いにきてくれて嬉しかったし、でもそれはあくまで同好会の仲間として。」

彼方「だけどあの時のしずくちゃんの目を見たら、なんだか断れなくって。」

彼方「最初はしずくちゃんのこと、ちゃんと1人の女の子として好きになれるかとっても心配だんたんだ。」

彼方「でもそんなのはただの杞憂で、私はどんどんしずくちゃんのことが好きになっていった。」
 
11: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:42:02.19 ID:Ipgil4AT
彼方「ねぇしずくちゃん、覚えてる?」

彼方「初めてキスした時のこと。」

彼方「しずくちゃんも大学生になってからだったかな、初めてしずくちゃんの一人暮らしのお部屋に行った時だったよね。」

彼方「『荷解きもひと段落したから良かったら来ませんか』って言って。」

彼方「それでお部屋に入ったらビックリ。荷解きが終わった後とは思えないぐらい部屋が綺麗に整ってて」

彼方「でもそれもそのはずだよね。だってあの時荷解きが終わったからってのはただの言い訳で、本当は彼方ちゃんをお部屋に呼ぶための口実が欲しかっただけだもんね。」

彼方「その後も映画見ながらやけに彼方ちゃんの横にくっついて座ってこようとするし、無言で映画に集中してるのかと思えばじっと彼方ちゃんの顔を見つめてるし、逆にこっちがしずくちゃんの方見たらすぐに顔逸らしちゃうし。」

彼方「それで彼方ちゃんも気づいたちゃった訳ですよ、キスしたいのかなって。」

彼方「だから映画が終わったタイミングで『もしかして、彼方ちゃんとキスしたいの?』って聞いたら」

彼方「すごい顔を真っ赤にして、そのまま俯いちゃったんだよね」

彼方「でもしばらくしたら顔を上げて、『ダメ・・・ですか?』って」

彼方「いつの間にか身長も彼方ちゃんより高くなって、デートの時もカッコよくリードしてくれて、すごい成長したんだな〜って思ってたのに」
 
13: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:44:30.46 ID:Ipgil4AT
彼方「甘えるのが苦手なところは変わってないんだな、昔のままなんだなって思ったらなんだかとっても愛おしくなっちゃって。」

彼方「あの時に気付いたんだよ、もう私もしずくちゃんのこと『愛してるんだ』って。」

彼方「気づいた時には彼方ちゃんからしずくちゃんにキスしちゃってたよね」

彼方「口を離した時のしずくちゃんの驚いた表情、とっても可愛かったぜ〜。」

彼方「その後すぐに『彼方さんはズルいです!!私からするつもりだったのに!!』って」

彼方「ちょっと負けず嫌いなところも相変わらずで、もっともっとしずくちゃんのこと好きになっちゃって」

彼方「まぁその後は・・・若気の至りと言いますか、いくところまで行ってしまったと言いますか・・・。」

彼方「あの頃は2人とも若かったね〜、まぁ今もそんなに変わらないんだけど。」

彼方「でも翌朝隣で寝てるしずくちゃんを見て思ったんだ」

彼方「これから2人でもっと幸せになれるんだろうなぁって。」

彼方「この子の隣で歩いて行きたいなぁって」

彼方「・・・そのはず・・・だったんだけどなぁ・・・。」
 
14: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:45:50.31 ID:Ipgil4AT
彼方「ねぇしずくちゃん、まだお目々ぱっちりにならない?」

彼方「そうだ!!だったらしずくちゃんの大好きなお芝居をしよっか!!」

彼方「しずくちゃん、初めて会った時からずっとお芝居好きだったもんね!!」

彼方「じゃあ彼方ちゃんが内容考えるから、しずくちゃんはいつもみたいにしっかり演じてね?」

彼方「そうだなぁ・・・じゃあ内容は白雪姫にしよう!!」

彼方「物語はなんと最初からいきなりクライマックス!!魔女の呪いで目を覚さない白雪姫は森の中で静かに眠りについていました。」

彼方「そこに駆けつけたのは白馬に乗った王子様!!王子は森の小人から話を聞きます。どうやらあそこで眠っている美しいお姫様は魔女の呪いにかかっているらしいと。そしてその呪いはキスによって解けるのだと。」

彼方「白馬から降りた王子は白雪姫の元で膝をつくと彼女を抱きかかえて言いました。」

彼方「『おお、なんと美しい女性なのだろうか!!恐ろしい魔女の呪いにかけられているだなんて、今私がその呪いから君を解き放とう!!』」

彼方「そして王子は白雪姫の唇に一度優しいキスを落としました。」



彼方「すると、なんということでしょう!!長い眠りから白雪姫が!!・・・」
 
15: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:46:52.11 ID:Ipgil4AT
彼方「やだなぁしずくちゃん、ここは白雪姫が目覚めるシーンだよ?」
 
16: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:48:23.42 ID:Ipgil4AT
彼方「彼方ちゃん、ちゃんとキスしたよ?」











彼方「ねぇ・・・・・・しずくちゃん・・・・・ちゃんと演じなきゃ・・・・ダメだよ・・・・。」












彼方「そっか・・・大好きな演劇ができないぐらい疲れちゃったんだね、だったらしょうがないよね。」
 
18: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:49:54.13 ID:Ipgil4AT
彼方「疲れちゃったらちゃんとスヤぴしなきゃダメだよね。」

彼方「いつもはしずくちゃんが彼方ちゃんの頭撫ででくれてたのになぁ」

彼方「しょうがないから、今日は彼方ちゃんが頭を撫でてあげよう。」

彼方「それじゃあ、おやすみ、しずくちゃん。」









彼方「ずっと、大好きだよ。」
 
19: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:50:39.80 ID:Ipgil4AT
直後、病室からは嗚咽混じりの泣き声が響いた。

彼女の目から溢れたしずくは、目を覚さない最愛の人の頬を流れては床に落ちていった。
 
20: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:51:15.13 ID:Ipgil4AT
以上です。
お付き合いいただきありがとうございました。
 
27: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 23:05:04.67 ID:Ipgil4AT
かなしずはしっとりしたやつ似合いますよね。
 
28: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 23:12:48.43 ID:Ipgil4AT
21: (やわらか銀行) 2022/03/11(金) 22:51:57.10 ID:IkpM0U8i
救いはないんですか……?
 
25: (もんじゃ) 2022/03/11(金) 22:56:05.16 ID:Ipgil4AT
>>21
救いかどうかは分かりませんが、それっぽいものは僕が過去に書いたこちらをご参照いただければと思います。

A「何これ・・・かすみんBOX?」
【SS】A「なにこれ・・・かすみんBOX?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

 
22: (SIM) 2022/03/11(金) 22:52:26.45 ID:roATlJpM
乙です
しずくちゃん?
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1647005510/

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