曜「次の日は最悪の気分だったよーそろー…」梨子「…お互い様よ」

SS


1: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:05:09.97 ID:wHZGa2Hk.net
ようりこです

曜「次の日は起きた時は最悪の気分だったよーそろー…」梨子「…お互い様だからね」 [無断転載禁止]©2ch.net
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1476706007/

曜「次の日は起きた時は最悪の気分だったよーそろー…」梨子「…お互い様だからね」 [無断転載禁止]©2ch.net
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1477755501/

曜「次の日は起きた時は最悪の気分だったよー…」梨子「…一応言っとくけどお互い様だから…」 [無断転載禁止]©2ch.net
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1478756458/

曜「次の日は最悪の気分だったよーそろー…」梨子「…お互い様よ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1478792610/

上3つが埋められ続けたのでしたらばで完結させました
ようりこ普及の為とこの板から始めたのでこの板でも一気全編投下します
長いんで暇な時にでも読んで下さい

誤字を少々修正しただけでしたらばと全く同じ内容なのでしたらばで見てくれてた人は見なくても大丈夫です

!extend:checked:vvvvvv:1000:512

2: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:05:49.85 ID:wHZGa2Hk.net
曜ルーム 深夜

曜(24)「ングングング…ぷはー…あ゙ー………いよいよ明日かー…」カラン…

梨子(24)「ングング…そうね………なんかアッという間にだったね」カラン…

曜(24)「そうだねー…」

梨子(24)「うん………」

曜「……………」

梨子「……………」

曜「うっ………」ホロリ…

梨子「あっ…ちょっと…まだ泣くの?」

曜「うぅ……涙はとうに枯れたものかと思ってたのに…はぁ…」ホロリ…ホロリ…

梨子「ちょっと…もう…そんなんで明日大丈夫なの…」

曜「そんなこと言ったてさー…………って…梨子さーん…人の事全然いえないよー…」チラッ…

梨子「あっ……」ポロ…ポロ…

曜「もう…ほら…」ハンカチ グシグシ…

梨子「あっ…ちょっと…もう…もっと優しくやってよ…」

曜「どうせもう寝るだけのスッピンでしょ?」

梨子「うるさい…」サッ…

曜「あっ…」

梨子「お返し」グシグシ…

曜「うぷ……もう…わかったから…はいはい…許してよーそろー…」

3: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:06:29.73 ID:wHZGa2Hk.net
梨子「時間経つごとにヨーソローが雑になってるよね」

曜「そう…?まぁ…深夜テンションかな…んぐっ…」グイッ

梨子「…まだ呑むの?」

曜「平気だよ…どうせ明日夜からでしょ……それに私次の日残らないタイプだから…知ってるでしょ?…ごくっ…ぷは……あー…」グイ…

梨子「羨ましい事で…」グイグイ…

曜「梨子ちゃんだってペース変わらないじゃん…なんだかんだお酒強いよね…」

梨子「…ん………そんな事は…………まぁ…あるけど?」クイッ

曜「はいはい……ん…ゴクッ…ぷはぁ……あ、梨子ちー…そこのピスタチオとって…」

梨子「…ん……これ?はい」ヒョイ

曜「カラ剥いてよーそろー…」

梨子「いや」ポイッ…

曜「ケチ~…」ペリペリ…

梨子「はぁ………何が悲しくてこんな所で曜ちゃんと二人でお酒呑まなきゃいけないのかな…」

曜「うっそ…今丁度私もそれ言おうと思ったとこ…」ヒョイ パクッ…

梨子「ウソつけ…」

曜「ほんとほんとー…ずーっと思ってたー……ング…」クイ…

梨子「あっそ…やっぱり気が合うわね、私達……ン…」グイッ…

曜「そうだねー…」

4: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:06:57.50 ID:wHZGa2Hk.net
梨子「…ホント…何やってるんだろうね…明日……千歌ちゃんの結婚式なのにね」

曜「………………………」

梨子「………………………」

曜「…………はぁ…」ドヨーン…

梨子「………………はぁ……」ズーン…

曜「いやー…………なんだろ…私達って最低だよね」

梨子「大切な親友の幸せ心から祝えないなんてね…アハハ…」

曜「ま…今はこんなだけど千歌ちゃんの前ではごくごく普通に平静を装いながら親友できてるのは我ながら偉いもんだよ…ついでに梨子ちゃんも」

梨子「…たまにこうやってお互いに毒を吐き合って大切な時間を犠牲にするけどね……」

曜「ホント…無駄な時間だよねー………はあ………」

梨子「不毛な時間よ…………ふぅ………」

曜「……………………千歌ちゃん…普通に……ノンケだったもんね…」

梨子「またその話するの…?…今夜だけで何回目よ…」

曜「いいじゃん……明日ちゃんとお祝いできるように今夜中に全部吐き出しちゃおうってこうして顔突き合わしてお酒のんでるんでしょ…」

梨子「…そうね………ん……コクリ……はぁ…」グイッ…

曜「いくら言っても言い足りないよ……ング…ぷはー…」グイッ…

梨子「……千歌ちゃん今何してるのかな…」

曜「さぁ?やっぱり家族とゆっくり過ごしてるんじゃない?」

5: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:07:24.39 ID:wHZGa2Hk.net
梨子「そうなの?」

曜「結婚前夜だもん…そうでしょ?ドラえもんで見た」

梨子「さぁ……どうせ…私には一生縁が無いもん…」

曜「またそーゆー事言う…」

梨子「だって……うっ…」ホロリ…

曜「はいはい…グスッ…」ホロリ…

梨子「……本気…だったのになぁ…」

曜「曜だってそうだよ…」

梨子「まさかのそっちの気ゼロだもんね…」

曜「いやいや梨子ちゃん…まさかじゃないって…普通なんだよ…千歌ちゃんが普通…」

梨子「…………そんな事わかってますー…」ブスー…

曜「……………………私達がどうかしてるんだよ…」

梨子「だからー…わかってるってば…」

曜「あー…いいなー…果南ちゃん達はさ…」

梨子「あの二人は私達の暴走を助長したと言っても過言ではないわね……」

曜「わかる」

梨子「……でも…やっぱり…一番の原因は………なんでもない…」

曜「………言っときなよ…もう聞いたかも知れないけど」

梨子「……そうだね…。………原因…どう考えても千歌ちゃんだよ……あのアプローチだよ?…勘違いするでしょ…いけるかもって……思うでしょ!」バンッ

曜「ちょーっとー…深夜だから静かに静かに」シーッ…

梨子「……自分が勝手に勘違いしたってのは…わかってるけど……うぅ………」ポロ…ポロ…

曜「……………………」ハンカチ グシグシ…

6: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:07:52.43 ID:wHZGa2Hk.net
梨子「…………うっうっ……ング…ぷは…」グイッ
曜「…………まぁ…気持ちはわかるよ……千歌ちゃん…あーゆーとこあるよね……なんと言うか…勘違いさせやすいというか…」

梨子「…………曜ちゃんがそれ言う?」

曜「自分の事だから言えるの…わかるでしょ?…お互い様だろー!って突っ込めるじゃん…イザとなったら…今みたいに」

梨子「……そうね」

曜「…あー………好きだったなぁ………いや…まだ……好きだなー……」ホロリ…

梨子「…………そうね…そうよね……うん、わかるわ…私も…まだ…好き………」グシグシ…

曜「お互いこんな引きずるとはね…」

梨子「そうだね……」

曜「……曜さー…今でも夢に見るんだよね」

梨子「……なにを?」

曜「二人で恨みっこなしだよ!なんて言いながら一緒に千歌ちゃんに告白した時の事……」

梨子「ああぁぁぁやっぱりその話なの…うぅ…そんなの私だってそうよ……うぅ…」

曜「全力で青春してたよね…」

梨子「若かったわ……」

曜「恋をするとバカになっちゃうよね…」

梨子「…バカ曜だ、バカ曜ー」

曜「うっさいバカ梨子ー」

梨子「………コクッ……ぷは…」グイッ…

曜「………でもさ………まだね、ドラマみたいな綺麗な青春ものっぽかったらまだ良いけどさ……」チビチビ…

梨子「うん……うん………」

曜「私達めっちゃケンカと言うか…ドロドロしてたもんねー…ちょっと笑えないレベルの」

梨子「こうやって…想い出話として…そんなことあったねー!…なんて言って笑い合えるにはキツいレベルのね…」

7: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:08:24.42 ID:wHZGa2Hk.net
曜「酔ってるから言うけどさー…ほんと嫌いだったー梨子ちゃんの事…」

梨子「酔ってなくても言うくせに…」

曜「だってさー、ズーッとだよ…子供の頃からズーッと好きだったんだよ…千歌ちゃんの事…それがさぁ……ン……ぷは」グイッ

梨子「………………」クイッ…

曜「転校生の美少女に盗られちゃうって…想像できる?キッツいよー…しかも……同じ女の子にさ…」

梨子「考えたくもないわね……コクッ…」グイッ…

曜「ま……杞憂だったけどね……千歌ちゃん、ふつーにノンケだったからね…」

梨子「…………私だって…子供の頃から女の子の事しか好きになれなくて……そんな自分が嫌いで…怖くて…」

曜「…………ング…」クイッ

梨子「誰にも自分の事…話せなくて…信じられなくて…そんな時…千歌ちゃんと出会って…」

曜「あのアプローチですよ…」

梨子「…こんな私の事…受け入れてくれるかもしれない…千歌ちゃんなら…私…ホントの自分を…さらけだせるかもって思ったら…」

曜「………………」

梨子「……曜ちゃんが…ずっと千歌ちゃんの側にいた」

曜「…………ずっとじゃないけど」

梨子「ずっとよ……それに…私にはどうにも出来ないもん…時間だけは……だって…幼馴染だよ?それに曜ちゃん、なんでも出来るし…見た目も可愛くてカッコイイし…もし曜ちゃんが本気になったら…勝てないって…思った」

曜「珍しく褒めるじゃん…そう言う風には見えなかったけどねー…ゴクッ…」グイッ…

10: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:27:27.09 ID:dYi3GsTf.net
規制になったので仕様を調べて出直します

11: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:29:37.61 ID:dYi3GsTf.net
梨子「そう?私ずっと怖かった…曜ちゃんが本気出して…千歌ちゃんを奪っちゃう事…だから…私も嫌いだった…曜ちゃんの事」

曜「知ってる…」

梨子「だから………色々あった後に…もう二人で千歌ちゃんに告白しようって……千歌ちゃんに決めてもらおうって言ってくれた時…今ならチャンスだって思った…だって曜ちゃん…ヘタレだったし」

曜「うっさい…私梨子ちゃんのその自信なさげな様で実は結構自信過剰なとこ嫌い」

梨子「私は曜ちゃんのなんでも出来て自信満々な様でホントは自信が無くて繊細なとこ好きじゃない」


曜「………まっ…結果は……あー……思い出したくない…」グイッグイッ

梨子「私…多分一生忘れないわ……あの千歌ちゃんの顔…」

曜「………『えっ……?えっ…?……うーん…?あの…友達としてだよね…?だよね?違うの?だって…私達…女の子同士だけど…えと……』」

梨子「やめて」

曜「あれ絶対ちゃんと友達としての好きじゃないって…わかった上で確認してたからね」

梨子「それは考え過ぎよ…いえ……うん……その辺は考えない様にしましょ…」

曜「あー………あの時は全身の血の気が引いたなぁ…サーッ…って音聞こえたもん」

梨子「私も………なんか…ハッと目が覚めると言うか…根本的な事忘れてたと言うか…」

12: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:31:31.43 ID:dYi3GsTf.net
曜「なんかライバル出現でマヒしてたよ…そのへんの感覚が…」

梨子「そうね…考えてみれば当たり前なんだけどね…ズーッと隠してきてた筈なのに…曜ちゃんのせいでどうかしてた…」

曜「曜のせいかよーそろ……ゴクッ…」グイッ

梨子「ちがうのかよーそろー…」

曜「……ま……お互い様だよ」

梨子「そうね…ン……」グイグイ…

曜「あ、梨子ちゃん、そのさけるチーズちょうだい」

梨子「…はい」

曜「さかずに食べてやる…」ムシャムシャ…

梨子「悪質ね」

曜「ん…ぷはぁ……いやー…でも良かったよ…誤魔化しがきいて」グイグイッ

梨子「……ププッ…」プルプル…

曜「……何笑ってんの?」

梨子「だって…もう笑うしかないよね?隣でなにかモゴモゴ言ってたと思ったら…突然『な"ぁ"ぁあ"んちゃってぇ!!エ゙イ"プリ"ルフール"だヨ"ーソロ"ォォオ"ー!!』って絶叫するんだもん」ケラケラ

曜「あーっ!!梨子ちゃんだって!『そ"ぉ"なの"ぉ"ぉ!!千歌ちゃん!!そう"な"のよぉ!!』って全力で乗っかってきたじゃん!梨子ちゃんのあんな野太い声私初めて聞いたよ!」

梨子「私だって必死だったの!」

13: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:32:23.91 ID:dYi3GsTf.net
曜「いやー…ホント…あの日が4月1日で良かった…」

梨子「保険を狙った訳じゃないんだけどね…偶然と言うか、たまたまと言うか…まぁaqoursの活動に変な影響が出ないようにって事で全部の活動が終わってから告白しようって事になったもんね…」

曜「ほんとだよねー…あぁ良かった誤魔化せて……。でも…その時の千歌ちゃんの顔も地味にショックだったなぁ……」グイッ

梨子「わかる……心からホッとした表情してたよね…はぁ……」グイッ


曜「あー……ゴクゴク……ズズズ………なくなっちった…梨子ちゃーん…その袋から何かおかわり取ってよ…なんでもいいから…あ、でも出来れば甘いやつの方がいい…」グイグイ…

梨子「…もうビールしか残ってない」ガサガサ…

曜「えぇっ…ウソでしょ…あんだけ買ったのに……」

梨子「もういい加減これでお開きにしましょ…丁度2本あるし…私もこれでおしまい…」ガサガサ…スッ…

曜「ちぇー…」プシュ…

梨子「…………」プシュ…

曜「…………」チビチビ…

梨子「…………」チュ…

曜「………でも…千歌ちゃんに彼氏が出来たときはもっと呑んで荒れたよねー…まあ今の旦那さんだけど」

梨子「その話…するんだ…」

曜「いい人だよね…」

梨子「うん…」

曜「だからなおさら悔しい…」グイッ

梨子「ホントに」グイッ…

曜「ぷは………当時お酒飲める歳で良かったよ…ぶつける対象と言うか…逃げ込む道があってさ…」

梨子「そうだね……」

曜「…………」チビ…

梨子「…………」チビ…

シーン……

曜「…………はぁ…曜…もうビールはいいや…」コトッ…

梨子「…………私も…」コトッ…

14: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:33:16.54 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………」

梨子「…………」

曜「…………はぁー…」コテン…
梨子「…………ちょっと…寄っかからないでよ…重い」

曜「…………うら若き乙女に重いって失礼なー」
梨子「…もうそんなに若くないよ……」

曜(24)「……………」グイグイ
梨子(24)「…………だから重いって…もう…!」グイッ

曜「はぁ………」
梨子「…………」

時計「」カッチ…カッチ…カッチ……

曜「…………」
梨子「…………する?」

曜「…………うーん…」
梨子「…………………」

曜「…………やめとく…だって朝起きた時最悪な気分になるもん…」
梨子「あんまりな発言ね…言っときますけど…お互い様だからね」

曜「…………初めてした時は千歌ちゃんに例の彼氏…旦那さんか…旦那さん紹介された日の宅飲みだったね…」
梨子「そうね…朝起きて…曜ちゃんが隣で寝てた時…すっっごーく虚しかったな…」

曜「…梨子ちゃんも言うねぇ…でも…あー…ホント…次の日の朝は…うわぁ…やっちゃったぁぁぁ…って感じだったよー…」
梨子「まったく同じ事…思ったわ…」

曜「……ファーストキスも初体験も梨子ちーにぜーんぶ奪われちゃった」
梨子「……奪ったなんて失礼ね…そっくりそのままお返しするわ」

15: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:34:03.59 ID:dYi3GsTf.net
曜「えー…梨子ちゃんから誘ってきたくせに…」
梨子「はぁ?曜ちゃんからでしょ?」

曜「はい?何言ってるの?梨子ちゃんからだって」パッ

梨子「いやいや…曜ちゃんからだよ…もう…酔っ払ってたから記憶無いとか言って誤魔化さないでよ」

曜「それこそ私のセリフなんだけどー」

梨子「もう…曜ちゃんからだって…」

曜「いーやっ、梨子ちゃんからー!」

梨子「だからー曜ちゃん!」ズイッ

曜「梨子ちゃんー!」オデコ コツンッ
梨子「曜ちゃんー!」グイッ

曜「りーこー!」グイッ
梨子「よーうー!」グイッ

曜「………!」ムムム…
梨子「………!」ムムム…

曜「ま…どっちでもいいや…もう…」パッ
梨子「……そうね」

シーン……

曜「………お互い…あんまりな初体験だよね」
梨子「…………二人で泣きながら…してたもんね……」

曜「…………色々しょっぱかった」
梨子「…生々しいからやめて」

曜「………………はぁ…」
梨子「………………」

曜「…………」
梨子「…………」ナデナデ…

曜「……ん…なに…」
梨子「別に………」ナデナデ

曜「…………したいの?」ナデ…
梨子「どっちでも…」

17: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:48:35.57 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………じゃ…する」
梨子「…………なにそれ…相変わらず優柔不断ね」

曜「うるさいー……ん…」
梨子「ん………」

チュッ………ン……フッ……

曜「チュ……ぷは………うーん…梨子ちゃーん…最後にビール呑んでたから苦いよーそろー…」
梨子「…ン……それもお互い様だから……そこにお水あるけど…」

曜「いいよ…もう…なんでも…ン…」グイッ
梨子「そうね…………ンッ……チュッ………ねぇ…メガネ外して…邪魔」

曜「はいはい…」スッ…
梨子「電気消して」

曜「はーい…」ゴソゴソ…
梨子「…………」


ピッ…


ーーーーー
ーーー


次の日…

チュン…チュン…


ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ !!

曜「…うわっ!?」ビクッ

梨子「……っ!…」ムクッ…

スマホ スッ…

曜「なんだ…アラームか…ビックリした…」

梨子「んー……ごめん…」モゾ…

18: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:49:41.86 ID:dYi3GsTf.net
曜「…メガネはと………えっ…ちょっとー…まだ朝の8時じゃん…結婚式は夜からだよー…?」スマホ スッ

梨子「ん………」モゾモゾ…

曜「アラームかけといて寝ようとするなし…」

梨子「アラーム切り忘れちゃったのー…」

曜「…なにそれ…はぁ……まったく…」モゾ…

梨子「帰って準備するからお昼にアラームセットしといて…美容院も予約してるし…」

曜「自分でしてよ…」

梨子「やだ…」

曜「はぁ……はいはい………はい、お昼にアラームセットしたよ」スマホ スッスッ…

梨子「………ありがと…」モゾ…

曜「………」ジッ…

梨子「…………なに」

曜「いや…なんでも…」

梨子「……………」ジッ…

曜「…梨子ちゃんこそ…なに」

梨子「…やっぱり…あんまりいい気分しないね」

曜「あ、それ今思ってたやつ」

梨子「でしょうね……おやすみ…」モゾ…

曜「…はい、おやすみ………私ももう一回寝よ…」モゾ…

梨子「………」スー…

曜「寝るの早いよ梨子ちゃん…」

ーーー
ーー


結婚式場

司会「続いては新婦のご友人代表スピーチです…新婦の幼い頃からのご友人の渡辺曜さん…お願い致します」

パチパチパチパチ…

曜「いやー…緊張するなぁ」ガタッ…

鞠莉「ファイトよ!曜っち」

果南「スピーチ中に泣かないようにね?」クスッ

曜「わかってるよー!」

19: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:50:34.41 ID:dYi3GsTf.net
梨子「曜ちゃん」

曜「ん?」

梨子「頑張ってね?」

曜「うんっ」ニコッ

スタスタスタ…

曜『えーと…只今ご紹介に預かりました!渡辺曜です!』キリッ

『新婦の千歌ちゃんは小さい頃からすっごく元気で…』

梨子(こういう時…やっぱり選ばれるのは曜ちゃんなんだよね)

梨子(あーんなにキリッとして…卒なくこなして…やっぱり曜ちゃんは凄いな……でも…ある意味すっごく不器用な人)

ルビィ「曜ちゃん…素敵なスピーチです…」

ダイヤ「ええ…とても…」

ルビィ「あ、千歌ちゃん…泣いちゃってます」クスクス

ダイヤ「フフ…仕方ありませんわね…千歌さんは」ウフフ…

花丸「でも…私…わかるなー…」

善子「ええ…とても憧れるわね」

ダイヤ「曜さんは…最後まで笑顔で……ご立派ですわ」フフ…

ルビィ「そうですね…さすが曜ちゃんです」

梨子(ホント…曜ちゃんは凄いな…人前でもハキハキして、緊張してる素振りもみせないで………でも…)

ーーー『あ"ぁ"ー…明日行きたくないよーそろぉぉー…』ーーー

ーーー『ねぇ梨子ちゃーん…共謀して千歌ちゃん式場からかっ拐わない?うん、そうだ、そうしよう!その結婚式、待ったぁ!!みたいな!……え…新婦が協力的な事が前提だから無理…?』ーーー

ーーー『じゃあさ!結婚式前に梨子ちゃんお得意の例のアイスティー振る舞ってさ、それなら!…え…なんの事?って…まったまた~……………はぁ…アホらし』ーーー

梨子(……あーんなグダグダで情けない曜ちゃん知ってるの…私くらいかな…千歌ちゃんも知らない一面なんだろうな…)

『ーー以上で挨拶とかえさせて頂きます!千歌ちゃん!お幸せに!これからの長い人生…二人で支え合って…全速前進っ!ヨーソロー!』ビシッ

千歌「…アリガトゥ……うっ…うっ…ヨーソロー…!」ポロポロ……

パチパチパチパチ!

曜「ただいまー…いやー…アハハ…緊張したなー」

果南「曜、よかったよ?」

鞠莉「…頑張ったわね」

20: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:51:10.92 ID:dYi3GsTf.net
善子「曜…とても素敵だったわよ」

ダイヤ「さすが曜さんですわね」

ルビィ「曜ちゃん、お疲れ様です」ニコッ

曜「ありがとうであります!」

梨子「次は私のピアノだ……なんだか…普通の発表会より緊張する……」

ダイヤ「梨子さんも頑張って!」

善子「梨子…いえ、リリー?千歌の涙腺にトドメをさしてやりなさい?」

鞠莉「リラックスね?」

果南「梨子のピアノ久しぶりだなー…楽しみにしてる」ニコッ

梨子「フフ…頑張ります!」

司会『渡辺曜さん、ありがとうございました。ではこのまま続いて…新婦のご友人の方から新郎新婦にお贈りするピアノ曲の演奏です…桜内梨子さん、宜しくお願いします…』

梨子「よし…」ガタッ…

曜「…梨子ちゃん」スッ…

梨子「ええ…」スッ…

パン…(ハイタッチ

ルビィ「梨子ちゃん、頑張ってください…!…頑張ルビィです!」ニコッ

梨子「うんっ」ニコッ

スタスタスタ…

ペコリ…

梨子「ただいま紹介に預かりました…桜内梨子です。千歌ちゃん…結婚、本当におめでとう…二人の為に曲をプレゼントします。…私にできる事はこれくらいだから…聴いてください」ペコッ…

千歌「梨子ちゃん…」ポロ…ポロ…

21: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:51:48.82 ID:dYi3GsTf.net
スタスタスタ…

ペコリ…

梨子「ただいま紹介に預かりました…桜内梨子です。千歌ちゃん…結婚、本当におめでとう…二人の為に曲をプレゼントします。…私にできる事はこれくらいだから…聴いてください」ペコッ…

千歌「梨子ちゃん…」ポロ…ポロ…

パチパチパチパチ…

…ストン…

♪~♪~…

曜(……!………これは)

♪…

一同「…………」ウットリ…

曜(みんな…普通に聴き入ってる…でもこれ…私にはわかる……)

曜(これ………ラブソングだ……)

曜(……梨子ちゃん…大胆だなぁ…こんな席とこんな状況で…よくやるなぁ……)

曜(……って…別に結婚式で二人に贈る曲だって言ってラブソング弾いても別におかしくは無いか…これは…聞き手側の問題だ…。そして…弾き手側の問題…。……どっちにしろ…大した度胸だよ梨子さん……)

~♪…~♪…

曜(……それにしても……相変わらず綺麗な演奏……音楽の事わからない私でもわかるよ…すごく良い音色…こんな良い演奏…やっぱり凄いや…梨子ちゃん……お淑やかで…美人で綺麗で…凄い才能に溢れてる…………でも…)

ーーー『あぁぁ明日やだやだやだ……うぅ…曜ちゃーん…私もう死ぬ…死ぬしかないよぉ…あぁぁ千歌ちゃんの裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者……』ーーー

ーーー『死なばもろとも…』ボソッ…ーーー

ーーー『…千歌ちゃんの子どもは女の子だったらいいな………え?なに?…深い意味は…ないよ……ちょっと…どこ行くの曜ちゃん…距離空けないで、待って』ーーー


曜(怖いよ。梨子ちゃんめっちゃ怖いよ…ちょっと破滅願望強過ぎだよ…)

♪~…♪~…♪…

曜(あんな自分勝手でワガママで…ジメジメした変な梨子ちゃん…知ってるのは私だけなんだろうな…)

♪~………

スクッ…ペコッ

パチパチパチパチ!

曜(……ホント…変な感じ)

ーーーー
ーー

22: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 06:52:23.44 ID:dYi3GsTf.net
帰り道 電車内

ガタン…ゴトン…

曜「……………」

梨子「………………」

ガタン…ゴトン…

曜「いい結婚式だったね…」

梨子「うん……」

ガタン…ゴトン…

曜「……千歌ちゃん綺麗だったなぁ…」

梨子「うん……輝いてた…とっても…」

ガタン…ゴトン…

曜「……………」

梨子「二次会…行かなくてよかったの?」

曜「えっ?…あぁ、いいよ。aqoursでの集まりはまた別の日にちゃんとあるし…二次会はほら、新郎さん側の人の主催だから旦那さんの友人の方が大勢いるから…ダイヤさんとルビィちゃんだって参加してないし。梨子ちゃんこそいいの?」

梨子「行かないよ…ああいうの苦手だし…」

曜「そっか…」

梨子「うん…」

ガタン…ゴトン…

梨子「………………」

曜「………………」

ようりこ「「ねぇ…」」

曜「あっ…」

梨子「あ、その……曜ちゃんから…」

曜「えっ…私はいいよ…梨子ちゃんからどうぞ…」


梨子「私も別に……」

曜「……………」

梨子「……………」

ガタン…ゴトン…

曜「………飲み直さない?明日日曜だし…お休みだよね?」

梨子「……いく」

24: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:03:09.76 ID:dYi3GsTf.net
曜「2日続けては初だね……」

梨子「…死ぬまでのむ」

曜「またそんな物騒な…音楽業界の損失だから駄目だよ」

梨子「………一回家に帰ってからでいい?着替えとか…化粧とか髪とか…全部剥がしたい」

曜「ん…また家で飲む?」

梨子「うん…人前で飲む気分じゃない……絶対荒れる…」

曜「まったくもって…同感だよ」

ガタン…ゴトン…

ーーーー
ーー


ピーンポーン

曜「はいはーい…」ピッ…

梨子『梨子だけど…』

曜「ん…」ピッ…

………………

ガチャ

曜「いらっしゃ…ってうわっ…なにその荷物…」

梨子「お酒だけど」ドッサリ…

曜「ホントに死ぬ気?」

梨子「曜ちゃんも道連れにしようと思って」

曜「せめて一人で逝ってよ…」

26: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:05:08.26 ID:dYi3GsTf.net
梨子「冗談よ…余ったら置いていくから…はい」ドサッ

曜「うわ重っ!…まったく…一人暮らし用の冷蔵庫だから収納スペース限りがあるんだけどー」

梨子「冷やしといて。はー疲れた…シャワー借りるね」

曜「自分家で入ってきなよ…」

梨子「入ったけどここまで来るのに汗かいちゃった。寝間着に着替えたいし」ガチャ

曜「はいはい、どーぞー(バタンッ)…ってもう入ってるし」

ジャー……シャー……

曜「やれやれ……。………冷蔵庫しまっとこ…」

ガチャン…ガサガサ…ゴトン…ゴトン……

曜(……うわ…袋からいくらでも出てくるよ……………ちょっとこれ…冷蔵庫に全部入るの?勘弁してよね…)ゴト…ゴト…


曜「……………………」ゴト…ゴト…

……………………

曜「梨子ちゃんさー……この部屋のバスルームの壁…そんな厚くないんだからさ……」

………………………

曜「…………そんな啜り泣いてたら聞こえちゃうよ…」

…………ヒック……ウエェェ………チカチャ………フグッ…ウェェ……

曜「………もう…私まで巻き添えだよ…うっ…うっ……道連れってこれか………ぐすっ……ヒック…」ポロ…ポロ…

ーーーー

29: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:06:31.72 ID:dYi3GsTf.net
ーーーー
……その日の飲み会は途中から記憶が消えて覚えてないんだよね…最初は私が適当におつまみ作って食べてたけど…途中から何も食べずにひたすら飲んでたかな…

印象に残ってる事と言えばピアノの曲がラブソングだったよね?ってツッコんでみたら「だまれ」って冷たく言われて怖かった事くらい

それ以外は…だいたい結婚前夜とほぼ同じ内容でした……いや、もっと荒れて…もっと泣いたかな…

ーーーー

ーーーー
ーー



梨子ルーム

梨子(25)「…………コク…」ワインチビチビ…

梨子(25)(ふぅ……そろそろ寝ようかな…)コトン…

ピーンポーン…

梨子(25)「えっ…こんな時間に……?」オソルオソル…

ピッ…

梨子(25)「はい?」

曜(25)『あっ…梨子ちゃーん、ごめん!こんな夜遅くに!』

梨子(25)「なんだ…曜ちゃんか…」ホッ…

曜(25)『いやーほんとごめんねー』

梨子(25)「脅かさないでよね」

曜(25)『ごめんてー…それでさー…ほんっと悪いんだけどー今日泊めてくれない?近くで飲んでたんだけどもう終電なくなっちゃってさー』

梨子「えー!…もー…いいけど…連絡くらいしてよ!」

曜『いやー連絡したんだけど梨子ちゃん気付いてくれなくて…』

梨子「えっ……」スマホ サッ

30: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:07:01.01 ID:dYi3GsTf.net
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

YOU☆ソロー<梨子ちゃんごめん!今日そっち泊めてくれない?

不在着信

YOU☆ソロー<同僚達と飲んでてさー…終電逃しちゃったから心配だから送ってくってうるさいんだ

YOU☆ソロー<家泊まれとか言われててさー…しつこいったらないよ…

不在着信

YOU☆ソロー<悪いけどとりあえずそっち行っちゃうね?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

梨子「……」

曜『梨子ちゃん?』

梨子「……いいわ、泊まっていって」

曜『いやー!助かるよーごめんね?』

曜『そんな訳でほら、友達の家泊めてもらうからもう大丈夫だよ』

ソッカー…ジャアマタライシュウナー…

梨子「………」イラッ…

曜『んー、送ってくれてありがとねーじゃ気を付けて帰ってー!』

ウーイ…

梨子「………さ、入って」ピッ…

曜『ありがと、梨子ちゃん』

ウィーン…

ーーーーー
ーーーー
ーーー ?
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)

31: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:07:31.14 ID:dYi3GsTf.net
ガチャ

曜「うー寒っ!いやー…ホントごめん!助かったよー」

梨子「もう、いい歳して終電逃すまで飲まないでよ…私がいなかったらどうするつもりだったの?」

曜「面目なーい…いやー…一人でビジホとかタクシーでもいいのにさー…同期が心配だどうのうるさくてさー…」フラフラ…

梨子「もう…とりあえずシャワーでも浴びたら?服とか準備するから…」

曜「恩に切るよー」フラッ…

梨子「あっ…ちょっと…!」ダキッ

曜「わとと…ごめんねー…安心したら急に酔いが回ってきた…」ギュッ

梨子「もう…どれだけ飲んだのよ…」

曜「んー…梨子ちゃんあったかーい…」

梨子「ちょっ……もう…ほら、こっち…先にお水飲みなさい」

曜「んー…」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

曜「ふぅ…シャワー頂きました…」ゴシゴシ…

梨子「ホントにお風呂沸かさなくても大丈夫なの?」

曜「十分だよ!はぁ…生き返った~」


梨子「ちゃんと髪乾かしなよ…ほら、こっちきて…ドライヤーかけるからタオル貸して」

曜「ん、ごめんねー」

ブオー……

梨子「……………」ゴシゴシ…

曜「はぁ…極楽極楽~」

32: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:08:01.30 ID:dYi3GsTf.net
梨子「もう……どれくらい飲んだの?」

曜「んー…どうだっけ…わかんないや…ビール3、4杯くらいのんで後はなんか皆で日本酒とか焼酎ボトルで頼んでたから…」

梨子「大丈夫なの?」

曜「うん、シャワー浴びたらだいぶスッキリした!…あの野郎…酔わせようとして勝負かけてきてさー」

梨子「さっき一緒にいた人……?」ゴシゴシ…

曜「うん」

梨子「…………どういう人なの?」ゴシ…ゴシ…

曜「言ったでしょ?ただの同僚!自信過剰な自称やり手の嫌な同期だよー…あーいやんになるなー」

梨子「ふーん………」ゴシゴシ…

曜「………おー?梨子ちゃん嫉妬ですかな?」ニヤリ

梨子「………」ゴシゴシ!!

曜「いたたた…ごめんって…冗談!…仮にも乙女なんだから優しくして…」

梨子(25)「乙女って歳じゃないでしょう」ゴシゴシ…

曜(25)「……………」

ゴシゴシ…カチッ…

梨子「はい、終わったよ」

曜「ありがとー…」

梨子「…何か食べる?その方が明日にも残らないし」

曜「ん、大丈夫!実は途中から店員さんにこっそりお願いしてちょっと薄めに作ってもらってたんだーアイツは馬鹿正直に飲ませてやったよ」ニヤリ

梨子「フフ…なにそれ」クスッ

曜「アハハ…。ん?梨子ちゃんも飲んでたの?」

梨子「あ、うん…白ワインだけど」

曜「ごめんねー晩酌の邪魔して」

34: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:08:49.92 ID:dYi3GsTf.net
梨子「いいよ別に…これ飲んだら寝ようとしてたし…」

曜「そっか…お注ぎしますよー梨子さん?」

梨子「ううん…もういい」

曜「まぁまぁそう言わずに!私もお付き合いしますから♪」

梨子「…そっちが目的なんじゃない?」

曜「あ、バレた?いやー口直ししたくてさー!会社の人間と飲むお酒って…はっきり言って美味しくないし…もっと具体的に言うと…不味い」ニヤッ

梨子「わかる」クスッ

曜「だよねー?」

梨子「でも大丈夫なの?薄めたっていってもけっこう飲んでたんじゃ…」

曜「ワインの1杯くらい平気平気!はい、梨子ちゃん」スッ…

梨子「ええ…」スッ…

トクトク…

曜「と…」スッ…

梨子「ありがとう…曜ちゃんも」

曜「うん!」スッ…

トクトク…

曜「……ありがと!」

梨子「じゃあ…乾杯」スッ…

曜「乾杯♪」スッ…

梨子「……」クイッ…

曜「……ん…おいし♡」クイッ

梨子「そうね」

35: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:09:25.89 ID:dYi3GsTf.net
曜「白ワインって飲みやすいから好き」

梨子「赤はクセが強いから…寝前酒にはあわないかもね」

曜「ふーん…」クイッ…

梨子「……………」チビチビ…

曜「最近どう?」

梨子「いつも通りかな…仕事は嫌いじゃないけど…ちょっと自分の時間が取れなくて…ピアノも最近弾いてないかな…」

曜「ふーん…」チビ…

梨子「曜ちゃんも忙しそうね?」

曜「ん…まーねー…今日は一段落したからその打ち上げだけど…また来週の中頃から忙しくなるかなー…はぁ」

梨子「曜ちゃん器用だから何でも任されちゃいそう」クスッ

曜「いやー…ほんと冗談じゃないよそれ…仮にも女子社員の仕事量じゃないよホント…」

梨子「やっぱり?断ればいいのに…そこの所は不器用よね?」クスッ

曜「笑い事じゃないよー…この前もさー………って…愚痴っぽくなるからやめやめ!…ん…ぷは…飲みやすくて美味しいねーこのワイン!」クイッ…

梨子「そうでしょ?お気に入りなの……ん……」クイッ…

曜「お、いい飲みっぷりですねー梨子さん?おかわりお注ぎしまーす♪」

梨子「うん、くるしゅうない」

曜「フフッ…」スッ

トクトク…

梨子「ありがと…もういいわ…曜ちゃんは?」

曜「私は大丈夫!」

梨子「そう…」クイッ…

36: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:09:57.70 ID:dYi3GsTf.net
曜「………」チビチビ…

梨子「………」クイッ…

曜「………ふぅ…」チビ…チビ…

梨子「………テレビつける?」

曜「いい」

梨子「そう……」

シーン…

曜「………なんだかんだこうして梨子ちゃんと宅飲みするの久々だね…」

梨子「………そうね…」

曜「……………」チビ…

梨子「……………」

曜「……千歌ちゃんの赤ちゃん…無事生まれて良かったよね」

梨子「…そうね……小さかったな…」

曜「もう見に行ったんだっけ?」

梨子「うん、先々週…」

曜「そっか…私は確か一ヶ月くらい前かな?あんなちっちゃい赤ちゃんがこれから大きくなるなんて…信じられないね」

梨子「ホントに」

曜「……千歌ちゃん…完全にお母さんになってたね」

梨子「そうね…本当に幸せそうだった……」

曜「…うん」

梨子「……………」チビチビ…

曜「……………」クイッ…

梨子「曜ちゃんは相変わらず千歌ちゃんの話ばっかりね?」

曜「ん、そう?」

梨子「そうよ」

曜「んー、まぁ…そうだね。でもさ、引きずってるわけじゃないんだ」

梨子「…………」

37: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:11:09.14 ID:dYi3GsTf.net
曜「なんて言うのかな…本当に幸せそうでさ…旦那さんと恋人してる千歌ちゃんや奥さんしてる千歌ちゃん見てたらモヤモヤしてたけど…
幸せそうにお母さんしてる千歌ちゃんみてたらさ…なんか…スーッと…未練が消えていっちゃったように思えてさ」

梨子「それ…凄くわかる…。赤ちゃん生まれて…落ち着いてから千歌ちゃんに会いに行った時…ウソみたいにお母さんになってて…なんだから憑き物が落ちたみたいになっちゃった…」

曜「そっか…うん、そうだよね」

梨子「うん…千歌ちゃん…本当に良かった…」

曜「一年越しの心からの祝福かな…」クスッ

梨子「そうね…赤ちゃんのおかげね?感謝しなくちゃ…」クスッ

曜「乾杯する?」スッ…

梨子「そうね」スッ…

曜「えー…それでは!千歌ちゃんの幸せと…赤ちゃんの益々の…

梨子「堅苦しい」スンッ

曜「…………」

梨子「おめでとうでいいじゃない」

曜「…そうだね」

梨子「……千歌ちゃんとご家族に…心からのおめでとうを込めて…」スッ…

曜「うん…千歌ちゃんと…赤ちゃんと旦那さん…ご家族皆に…」スッ…

ようりこ「乾杯」チンッ…

曜「………」クイッ…

梨子「……」クイッ…

曜「ふぅ…なんか…本当にスッキリした」ニコッ

梨子「そうね…もっと早くこの話…曜ちゃんとすれば良かったわね」クスッ

曜「なんか理由もなく誘うのって私達らしくないじゃん?きっかけが無いとさー」

梨子「たしかにそうね…。…でもそうね…今度からは…」

曜「……!…うんっ、飲みたかったら誘うよ!」

梨子「うん…待ってる」

曜「フフッ…梨子ちゃん…ホントに憑き物が落ちたみたい!」

梨子「お互い様でしょ?」クスッ

曜「あはは、そうだね!……ぷは……ごちそうさま…」クイッ

39: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:11:52.86 ID:dYi3GsTf.net
梨子「もう寝ていいわよ、疲れたでしょう?」

曜「いつになく優しいね梨子ちゃん」

梨子「一言余計…」ツネ~

曜「ひたい(痛い)梨子ひゃんひたい……」

梨子「もう!…ベット使っていいから」

曜「うん…あー…ホント、助かったよー」コロン…

梨子「まったくもう…」

曜「……梨子ちゃんは寝ないの?」

梨子「…寝るから詰めて」

曜「ん……」スス…

梨子「…と……電気消すよ?」コロン…

曜「うん…」

ピッ…

シーーン…

梨子「…………ねえ」

曜「…んー?」

梨子「送ってきた人…曜ちゃんの事好きなのかな」

曜「んー……どうかな…」

40: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:13:02.00 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……仲いいの?」

曜「うーん…悪くないけど…正直あんまり好きじゃないんだよねー…自慢ばっかりでさ、すぐ対抗意識燃やしてくるし」

梨子「……そう…」

曜「会社の同僚だから邪険に扱うわけにもいかないしねー…」

梨子「…曜ちゃんって昔からそういう所あるよね…」

曜「ん?」

梨子「自分の本音とか隠して誰とでも分け隔てなく仲良くできちゃう所…モテるわよね」

曜「…いや、そうでもないけど…」

梨子「そうだよ」

曜「……梨子ちゃんは職場でモテそうだよね」

梨子「職場で…?」

曜「うん…単純に美人だし」

梨子「…そうでもないわ…男の人に話しかけられても愛想良くできてないし…」

曜「そっか…」

梨子「そう、いくら顔が美人でも愛想が良くなかったらモテないものよ…とくに大人になればなるほどね…」

曜「プッ…梨子ちゃんのそういう所、相変わらずだね?」クスッ

梨子「まぁね?フフ…」

曜「…………」

梨子「……それに…男の人からモテても嬉しくないし…」

曜「……そっか」

梨子「うん……」

曜「………」

梨子「………」ギュッ

曜「……ん…結構酔ってる?」

梨子「………ううん、寒いから」

曜「……そうだね」ギュッ

シーン…

梨子「…………」

曜「……する?」

梨子「……曜ちゃんこそ酔ってるでしょ」

42: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:15:07.51 ID:dYi3GsTf.net
曜「……ちっ、ちがっ!曜は…!」

梨子「する…」

曜「……!…うん」スッ…

チュ……ン………ちゅぅ…

梨子「お酒臭い…」

曜「…否定できない」

梨子「やっぱり飲みすぎよ…」

曜「そんなこと言われても…じゃあ…やめる?」

梨子「……やめない」

43: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:15:34.39 ID:dYi3GsTf.net
曜「…白ワインで中和出来てない?」

梨子「それでだいぶマシかも…」チュッ

曜「ん…そっか…」チュッ

曜「…一食一晩のお礼に今日は梨子ちゃんの好きにしていいよ?」

梨子「…ホント?」

曜「…お手柔らかに」
曜「…一食一晩のお礼に今日は梨子ちゃんの好きにしていいよ?」

梨子「…ホント?」

曜「…お手柔らかに」

梨子「……じゃあ」ギシッ…

クイッ…

曜「ん……梨子ちゃんってこのクイッてするやつ…されるのも好きだけどするのも結構好きだよね…」

梨子「…私…リバ派だから」

曜「いやよくわかんない」

梨子「……でしょうね………ンっ…」チュッ

曜「んッ……ふ…」チュゥ…

ーーーーー
ーーーー
ーーー

45: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:16:58.79 ID:dYi3GsTf.net
曜(次の日の朝は…今までと比べてかなり目覚めが良かったけど…なんか…不思議とちょっとモヤモヤした…かな)

ーーーーー
ーーーー
ーーー
約一年後…

居酒屋前

曜(26)「……………」

タタタ…

梨子(26)「ごめん!曜ちゃん遅くなって!」

曜(26)「遅いよー…梨子ちゃんの最寄りの駅なのに!しかも誘っといて遅れるとは許すまじ…罰金ね、ビール一杯奢りで許す」

梨子「もー…仕事なんだからしょうがないじゃない…」

曜「私だって忙しい中サッサと仕事終わらせてきたんだよー?すぐに逆ギレする梨子ちゃん嫌い」

梨子「…わかったわよ…」ムスー…

曜「さっ、いこ?予約時間過ぎてるよ」

梨子「わかってますー…」

ーーーー
ーーー

46: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:18:25.98 ID:dYi3GsTf.net
個室居酒屋

曜「ゴクッゴクッ…ぷはー!いやぁお仕事の後のビール最高っ!これだよねー!」グイグイ

梨子「コクコク…はぁ…。ええ…とっても美味しい…」グイグイ

曜「さーておかわりしちゃおっと!」ピーンポーン

梨子「ペース早くない?」

曜「奢りの一杯目のビールは美味しいっ!」

梨子「イヤな人…」グイグイ

店員「お待たせしましたー」

曜「生おかわりで!」

店員「あいよろこんで!」

梨子「あ、すみません…お代り2つで」

店員「あい生2ついただきましたー!」

曜「あれ?梨子ちゃんもペース早くない?」

梨子「別に…いつもと同じよ」

曜「ふーん…」

店員「お待たせしましたー!」ゴトゴトッ!

曜「早いっ!優秀!…ゴクッゴクッ…そして美味いっ!」グイグイ

梨子「曜ちゃんビールのCM出れそう」ゴクッ…

曜「お、いいかも!そうだなぁ…構成は……飛び込みした後にプールからザバァって上がってグイッっと…!」

梨子「…つまらないCM…ん…」グイッ…

曜「……………。…さ、おつまみ頼もーっと…梨子ちゃんどうするー?」

梨子「何でもいい…あるもの食べるから」

曜「とか言って私が揚げ物ばっかり頼んだら文句言うくせに…」ボソッ…

梨子「……じゃそのオススメの旬のお刺身三点セット盛りで」

曜「…………じゃ私は…ピーマンの肉詰めたーのもっと」ポチッ

ピンポーン…

ーーーー
ーー

47: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:18:57.90 ID:dYi3GsTf.net
一時間後…

曜「ング…ぷは……」グイグイ

梨子「…ゴクゴク………」グイッ…カランッ…

ポチッ…ピンポーン…

曜「ねぇ梨子ちー大丈夫?なんか私より全然飲んでるけど…」

梨子「平気…」

曜「あっそ…」

店員「お待たせしましたー!」

梨子「ハイボールおかわり下さい…」

店員「はいよろこんでー!」

曜「…………梨子ちゃんさ」

梨子「………なに?」

曜「最初にも聞いたけど絶対何かあったでしょ」

梨子「別に……」

店員「お待たせしましたー!」ゴトン

梨子「ありがとう…ン…ゴクゴク…」グイグイ…

曜「どう見ても何も無くはみえないんだよーそろーなぁ…」

48: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:19:27.35 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……何かないと曜ちゃんと飲みにきちゃいけないんですかー」

曜「へ…?いや…別にそゆ訳じゃ…」

梨子「今日は飲みたい気分だったの」クイッ

曜「…………ま、いいけどさ……ンクッ…」グイッ

梨子「……ゴクゴク……ぷは…」グイッ

曜「……………」ヤレヤレ…

梨子「…そう言えば千歌ちゃんの赤ちゃん大きくなったね」

曜「え、あ、うん……もう1歳だっけ…すぐ大きくなるよねービックリした」

梨子「どう?千歌ちゃんの小さい頃と似てる?」

曜「いや…さすがに赤ちゃんの頃の千歌ちゃんの記憶はないよ…」

梨子「そっ…」

曜「でも目元は千歌ちゃんそっくりだね?キョトンってした時なんか瓜二つだよ」

梨子「確かに似てるかもね…」クスッ

49: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:19:54.22 ID:dYi3GsTf.net
曜「……え、その事?今日荒れてるのって…」

梨子「違いますー…もう吹っ切れたって言ったでしょ?」クイッ

曜「あっそ…(なんでもない訳じゃないって事ね…)」

梨子「……ん…?…ちょっと曜ちゃん…唐揚げにレモンかけたでしょ…」モグ…

曜「あ、ごめん」

梨子「自分の分だけにしてよね」

曜「じゃあ梨子ちゃんも焼き鳥串から外さないでよーそろ…」

梨子「丸々一本食べたくないもん」

曜「はいはい…」

ーーーー
ーー


3軒目 シャレ乙なBAR

梨子「…ん……」クイッ…

曜「よく飲むねー…」

梨子「……ほっといてよ」

曜「いいけど………ン…」クイッ

50: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:20:21.10 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……すみません、おかわり下さい…」

マスター「同じもので?」

梨子「ええ」

曜「…梨子さーん、そろそろ私電車なくなるんですけど」

梨子「知らない」

曜「どゆこと…」

モブマスター「お待たせしました…」コト…

曜「…泊めてよ?」

梨子「うん…」クイッ

曜「ふぅ……すみません、私もおかわり」

マスター「同じものですか?」

曜「変えようかな……この人と同じやつ」

マスター「かしこまりました」クス…

梨子「この人って何よ…」ジト…

51: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:20:45.44 ID:dYi3GsTf.net
曜「美味しそうだったから…あ、それからチョコレート下さい」

マスター「かしこまりました」

カチャカチャチャ……

梨子「…………」クイッ

マスター「お先にチョコレートです」コト…

曜「はーい……ん…おいひ…」パクッ

梨子「……ン……ゴクリ…」グイッ

曜「なにか食べながら飲んだ方がいいよ?ほら、チョコレート食べなよ」スッ…

梨子「いい……平気…」

曜「…………」

マスター「お待たせしました」スッ…

曜「ん……ぷは……うひぃ…美味しいけどこれ度数高くない?キツイなぁ…」クイッ

梨子「ん……」グイッ…

曜「…………ふぅ」

53: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:21:32.81 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………ちょっとお花つんできます…。おかわり入れといてください」ガタッ

マスター「かしこまりました」

曜「いってらー…」

フラフラ…

曜「………ねぇ…ちょっと薄めに作ってあげてもらえますか?…あの子結構飲んでてさ…」ヒソッ…

マスター「…誠に勝手ながら…実はもうアルコールは少なめで作らせて貰っています」クスッ

曜「おぉ…やりますねぇ」

ーーーー
ーー

54: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:22:37.52 ID:dYi3GsTf.net
梨子ルーム

ガチャ

曜「よっと……梨子ちゃーん…ついたよー?」

梨子「うぅん……」

曜「梨子さーん?おーい?…やれやれ…」

梨子「うぅ……曜ちゃん……う…気持ち悪い…」

曜「でしょうよ…いくらなんでも飲み過ぎだよ…ほら、トイレいこ?出しときなよ…楽になるから」

梨子「うぅ……曜ちゃん……うぅ…曜…ちゃん…吐きそう……曜ちゃん…」フラフラ…

曜「はいはい」

梨子「…一人にしないで……」ギュ…

曜「大丈夫だって……こんな状態で一人置いて帰れないよ…と言うかもう私帰れないし」

梨子「…一人はイヤ……」スリ…

曜「酔ってるねー…。わかってるって…ほら、ちゃんと立って…」サスサス…

梨子「曜ちゃん…曜ちゃん…」フラフラ…

曜「わかったって…」

ーーーー
ーー

56: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:23:06.23 ID:dYi3GsTf.net
ーーーー
ーー


1時間後……

梨子「…………」スヤー…

曜「あー…疲れた……。梨子ちゃん…久々にすっごい酔ってたな…」

曜「あんだけ酔ってて歯磨きしてシャワー浴びるまで絶対ベットに入りたがらないから不思議だよね…」

梨子「…………」スヤスヤ…

曜「なんだってあんなに飲んだんだろ…」

梨子「………ウーン…」コロン…

曜「…とか言って私も結構…いやだいぶキテるけど…」

梨子「………」スー…スー…

曜「……私も寝よ…」

モゾモゾ…

曜「おやすみ…」
梨子「……」スヤー…

曜「狭いや…」
梨子「…………」スー…

ーーーー
ーー

57: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:24:28.10 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………ん…」モゾ…

曜「…………」スヤー…

梨子「…………」ムクッ…

曜「…………」スー…

梨子「……いっ…!…つ…!…頭…痛い………はぁ…」チラッ…

時計「4:05」

梨子「………変な時間……」

梨子「……どうやって帰ってきたっけ…」チラッ…

曜「…………」スヤー…

梨子「」ビクッ⁉

梨子「って…曜ちゃんか…」ホッ…

梨子「………久々に…酔い潰れちゃった…のかな…いい歳して……はぁ………」

曜「…………」スー…スー…

梨子「………トイレ…」ムクッ…

曜「…………」

スタスタスタ…ガチャ…バタン…

ーーーー
ーー

58: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:24:56.32 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………はぁ…」モゾ…

曜「…………お帰り」

梨子「…………ただいま…起こしちゃった?」

曜「ううん、たまたまだよ…」

梨子「ごめん…」

曜「別に…。あ、着替え勝手に借りてるから」

梨子「うん…」

曜「………あれだよね…酔いつぶれて寝ると変な時間に目が覚めるよね」

梨子「うん……」

曜「………頭…平気?…」

梨子「………酷い二日酔い……」

曜「だろうね…」

梨子「………ごめんね…介抱させて…。どうやって帰ってきたか覚えてない…タクシー?」

曜「うん、歩くのしんどかったから確かそうだったような…私も結構酔ってたからね…帰ってきた時のこととかあんまり覚えてないんだ(ということにしといてあげよう…)」

梨子「ごめんね…」

59: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:25:24.33 ID:dYi3GsTf.net
曜「いいよ…そんな気を使う仲でもないでしょ?今更だよ」

梨子「……………」

曜「二度寝しよ?まだ4時だよ……」

梨子「うん………」モゾ…

曜「……………」ス…

シーーン…

梨子「………カミングアウトしたの」

曜「えっ…?」クルッ…

梨子「そのままで聞いてっ…!」ギュッ…

曜「う、うん…」

梨子「お父さんとお母さんに…………男の人が好きになれないって………女の人しか好きになれないって…話し………しちゃた………」

曜「…!……」

梨子「………前も話ししたけど…お見合いの話とか持ってきて……何度も断ったり…会ってもすぐにご遠慮してて……」

曜「……………」

梨子「あんまり…しつこかったから………」ギュッ…

曜「……………そっか」

61: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:25:52.44 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………………でも…私…わかる……平気そうにしてたけど…お父さんもお母さんも……………本当はとっても……悲しんでた」

曜「………………」

梨子「………………グスッ…」ポロ…ポロ…

曜「………………」

梨子「…………わかった、って…もう…何も言わない…って…」ポロ…ポロ…

曜「………………」

梨子「……………うっ…ヒック………」ポロポロ…

曜「………………」

梨子「…………グスッ………ねえ…曜ちゃんは何か言われたり…しない?」

曜「うちは…わりと放任主義と言うか……その辺は何も言ってこないよ…」

梨子「…いいな……」

曜「…たまにお母さんに…千歌ちゃんの事はいい加減諦めていい人探しなさーい!…なんて言われるけど……」

梨子「え……」

曜「冗談のつもりなんだろうけど…冗談になってないよね…はは…別に今でも千歌ちゃんの事引きずってる訳じゃないけど…さ」

梨子「………………そっか…」

曜「それか…私も半分バレてるのかもね…わかんないけど……」

62: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:26:20.68 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………グスッ…」

曜「………………」

梨子「…………どうして…女の子なんだろ……グスッ…」

曜「……………そんなの…わかんないよ」

梨子「………………」ポロ…ポロ…

曜「……………グスッ…」ホロリ…

梨子「……………曜ちゃん…こっち向いて」

曜「………………やだ」

梨子「向いて」

曜「ふぅ…どっちなのさ……我儘だなー…」モゾ…クルッ…

梨子「……………酷い顔…」ポロ…ポロ…

曜「…今の梨子ちゃんに言われたくないであります」ホロリ…

梨子「……………」スッ…

曜「……………」スッ…

…チュッ………

曜「……ン…………」スッ…

梨子「……………もっと…」

曜「……………うん…」

63: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:26:48.19 ID:dYi3GsTf.net
チュッ……ん………チュゥ……

梨子「チュ…………」ポロ…ポロ…

曜「…人とキスして泣かないでよ」

梨子「ごめん……」

曜「もう……」ポロ…ポロ…

梨子「……曜ちゃん…言ったそばから…お互い様だよ…」

曜「ただのもらい泣きだよ…」ホロリ…

梨子「……ごめんね………ごめんね…曜ちゃん…」ポロ…ポロ…

曜「いいよ、もう………それより…もっとしていい…?」スッ…

梨子「うん…して……ンッ…」スッ…

チュッ…チュッ…………ンッ…ハァ……

曜(梨子ちゃんと暗がりでこうしてると…まるで世界から切り離されて…二人ぼっちになってるみたいで……)

曜(でも…どうしてかな…梨子ちゃんがすぐそこにいるのに…一人ぼっちみたいな気分になって…余計に寂しくなる…)

曜(…だからもっと…欲しくなる…)

曜(梨子ちゃんは…どうなんだろう…)

曜(わかんないや……)
ーーーー
ーー

64: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:27:17.14 ID:dYi3GsTf.net
曜「ん………」パチッ…

曜「ふぁ…」時計チラッ…

時計「11:00」

曜「………いつ寝たっけ……」チラッ…

梨子「………」スー…スー…

曜「………カミングアウト……か…」

曜(……私は……どうなんだろう…)

曜(………子供の頃から千歌ちゃんが好きで…ずーっと好きで……)

曜(フラレちゃっても好きで……ってフラレた訳じゃないか…そもそも土俵にも立ってなかった……)

曜(それから…ずっと…恋なんてしてきてない…)

曜(怖く…なっちゃった……かな…。…でもこれは…千歌ちゃんのせいじゃなくて…)

曜(……私が…臆病だから)

曜「………………」チラッ…

梨子「…………」スヤスヤ…

66: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:27:45.29 ID:dYi3GsTf.net
曜(男の子に恋した事なんて…子供の頃からなかった)

曜(千歌ちゃんの事が…ずっと好きだったから…)

曜(今は…)

梨子「………」スー…

曜(梨子ちゃんの事は……多分…好き…)

曜(……でも一つ言えるのは……)

曜(…梨子ちゃんの好きと…私がずっと好きだった千歌ちゃんの好きとは…明らかに違うんだ……)

梨子「………」スー…

曜(………何がどう違うのか…わからないんだ…)

曜(結局ズルズルと…こんな関係を続けちゃってる…)

曜(……………梨子ちゃんは…どう思ってるんだろう…)

曜(やっぱり…私は……千歌ちゃんの…代わりのままなのかな…)ナデナデ

梨子「…ン…………」スヤー…

67: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:28:13.42 ID:dYi3GsTf.net
曜(それとも…………私が……千歌ちゃん…ううん、女の子が好きな女の子だから………こうして……)

曜(………こんな言い方あれだけど……やっぱりただの……セフレ、なのかな…)

曜(…………怖くて聞けないや…)

梨子「ん………」モゾ…

曜「あ………」スッ…

梨子「…曜ちゃん……」

曜「…起こしちゃった?」

梨子「ううん………おはよ…」

曜「…おはヨーソロー」(低音)

梨子「………うん…」

曜「………え、えーと…まだ頭痛い?」

梨子「うん……」

曜「朝ごはん作ろうか?台所借りるよ」

梨子「食べたくない……」

曜「お味噌汁だけでも飲んどきなよ」

梨子「……うん…引き出しにインスタントのがある……」

68: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:28:41.10 ID:dYi3GsTf.net
曜「作ってくるね?」

梨子「…………うん…ありがとう…」

曜「お湯沸かすだけだよ……よっと」ムクッ…

梨子「…………曜ちゃん」

曜「ん?なに?」

梨子「……何でもない」

曜「…そっか」

カチャカチャ…ゴソゴソ…

曜「あっ…冷蔵庫にお豆腐あるね!お味噌汁に入れていい?」

梨子「うん……」

曜「二日酔いでもお豆腐なら食べられるよね」ゴソゴソ…

梨子「ありがと……」モゾ…

曜「んー…」カチャカチャ…

梨子「…………」

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ーー

70: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:29:09.73 ID:dYi3GsTf.net
曜「………」ズズ…

梨子「………」フー…フー…

曜「あー…しみるねー…お味噌汁」

梨子「うん……」チビチビ…

曜「……………」ズズズ…

梨子「…………」ズズ…

曜「………やっぱりお味噌汁はシジミの

梨子「曜ちゃん」

曜「ん、なに?」

梨子「……ごめんね……色々と…」

曜「…いいよそんな…珍しくしおらしいじゃん!私だって酔い潰れて梨子ちゃんに介抱してもらった事何度かあったでしょ?お互い様だよ」

梨子「…そうだったね?…曜ちゃんて本格的に酔い潰れると変なポエムみたいな事ひたすら呟いててちょっと気持ち悪いのよね」クスクス

曜「くっ…///言ったな!梨子ちゃんだって酔いだしたら前髪イジったりして遊ばせながら周りの女の子の事やらしい目でジロジロ見るくせに!」

梨子「なっ!?///み、みてない!!」

曜「いーやっ、見てたねー!」

梨子「みーてーなーいー!///」

曜「みーてーまーしーたー!」

71: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:29:44.49 ID:dYi3GsTf.net
梨子「くっ……///ふ、ふーん…なに?随分私の事熱心に見てるのね?」

曜「えっ…」

梨子「なに?ひょっとしてー…嫉妬ですかー?」ニヤニヤ

曜「ち、ちがうよ!///」

梨子「ホントにー…?うっ…あイタタ…」ズキッ…

曜「あっ…大丈夫?」ガタッ…

梨子「もう……曜ちゃんが変な事言うから…」ズキズキ…

曜「あはは…ごめんごめん…って最初に言ってきたの梨子ちゃんじゃ…」

梨子「……」ギロリ…

曜「………ごめん」

梨子「ふぅ……」ズズズ…

梨子「……お味噌汁…美味しいわね…」ホッ…

曜「…そうだね……ちょっとは元気出た?」クスッ

梨子「……………お味噌汁のおかげで」プイッ

曜「そりゃ良かった~作ったかいがあったよーそろー?」ニヤッ

梨子「……なにそれ…ふふ…」フー… ズズ…

曜「アハハ。……ねぇ…梨子ちゃん」

梨子「なに?」

72: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:30:15.01 ID:dYi3GsTf.net
曜「私達…その…」モジ…

梨子「…………」ピクッ

曜「………ちゃんと付き合う?」

梨子「………!」

曜「その………今までズルズルとこんな関係してきて…今更だけど…」

梨子「………………」

曜「………その…私…梨子ちゃんの事

梨子「やめて」

曜「……!」ピタッ

梨子「ごめんね……昨日…いえ、今朝ね…あの事は…その……そんなつもりで…言ったわけじゃないから…」

曜「…そっか…ごめん、変な事言って…今のは忘れて」

梨子「ううん、ごめん……ごめんね…」

曜「…………」ズズズ…

梨子「…私のも…忘れて」

曜「ん…?」

梨子「…カミングアウトしたとか…その辺の話」

73: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:30:43.18 ID:dYi3GsTf.net
曜「………どうして?」

梨子「…なんとなく」

曜「そっか」

梨子「…私もごめんね…変な事…言っちゃって…」

曜「いいよ」

梨子「………ごめんね…」

曜「何度謝るのさ…なんか惨めになるからやめてよー?」ニコッ

梨子「そう…ね…」

曜「…………」ズズー…

梨子「…………」ズズ…

曜「ふぅ…ごちそうさまー……さて…お味噌汁ものんだし…じゃあそろそろおいとましようかな」

梨子「…うん…ありがとね…曜ちゃん」

曜「いいって」スクッ…

梨子「…曜ちゃん」

曜「ん?」

梨子「…………」

曜「…………」

梨子「…何でもない」

曜「…そっか」

74: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:31:10.07 ID:dYi3GsTf.net
ゴソゴソ…

梨子「………………」

曜「梨子ちゃん、借りてた部屋着置いとくね?」

梨子「うん、その辺に…置いといて」

ゴソゴソ…

曜「よっと…それじゃ…またね」

梨子「うん…」

曜「着替えありがとね」

梨子「うん…」

曜「…それじゃあ」

梨子「…うん」

ガチャ…バタン…

シーーーン……

梨子「………………」

梨子「……………」ポロ…ポロ…

76: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:31:38.21 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……曜ちゃんは…優し過ぎるよ…グスッ…」ポロポロ…

梨子(優しくて…人の気持ちも理解してくれて…多分誰よりも繊細な曜ちゃん…)

梨子(私………多分…曜ちゃんの事…縛り付けてる…)

梨子(………曜ちゃんは…千歌ちゃんの事が好きだっただけ……)

梨子(私みたいに……女の子の事が好きってわけじゃなくて…きっと…好きになった千歌ちゃんが女の子だった、ってだけ…)

梨子(何だかんだ長い付き合いだもん…私にはわかるよ…曜ちゃんは男の人とだってちゃんと付き合える人…)

梨子(………私とは…違うよ…)

梨子(曜ちゃんは優しいから………)

梨子(…こんな私を…一人に出来ないだけ…)

梨子(………私も…そんな曜ちゃんの優しさ…利用してる…)

ーー…その…ちゃんと付き合う…?ーー

ーー……私も…梨子ちゃんの事…ーー

梨子「気を使わせちゃった……」

梨子「あんな事…言わせたく…なかったのに…」

77: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:32:08.84 ID:dYi3GsTf.net
梨子「ううん…言わせたのは…あんな事言って…そう仕向けちゃったのは……私…」

梨子「…いつまでたって…何も変わってない……うっ…グスッ…」ボロボロ…

ーーーー
ーー


駅のホーム

曜「……………」ボー…

曜「やっちゃったなー……」

曜「ふぅ………電車…まだかな…」

曜「……………」ホロリ…

曜「ん……?」グシ…

曜「……………泣いてた」

曜(……………千歌ちゃんの時はこんな風に失恋してすぐ泣いてる暇なんて…無かったなー…)

曜(…………ん?…失恋?…えっ…。………そっか…これ……失恋だ…)

曜(……一人で失恋したらこんなに虚しくて…哀しいんだね…)

曜(私…梨子ちゃんと二人でざまみろー…なんて罵り合ったり煽り合いながら…)

曜(梨子ちゃんに…助けられてた…)

曜(…依存してたんだね……)

78: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:32:30.59 ID:dYi3GsTf.net
曜(やっぱり私って……ちょっと重いよねー…)

曜(……あの時のままだ…バカ曜…かな…反省…)

プルルルル…

ー『電車がホームに到着します 白線の内側までお下りください』ー

曜(………ごめん…)ポロ…ポロ…

プシュー…ー『ドア…開きます』ー

曜(……変わらなきゃ…いけないのに…)グシグシ…

プシュー…ー『発車します』ー

曜(………また梨子ちゃん誘い辛くなっちゃったなー…)

ガタン…ゴトン…

ーーーーー
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ーーー

79: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:33:05.27 ID:dYi3GsTf.net
職場

曜「お疲れ様でーす!」

同僚「おつかれー」

ピッ…

曜「…ふぅ」

曜(疲れた…でも大きな仕事も一段落したし…ちょっとパーっと飲みにでも行きたいな…)

曜(…あれから梨子ちゃんから…音沙汰無いな…)

曜(最後に会ったのは…えっと……二ヶ月くらい前…だっけ…)

ーー「やめて」ーー

ーー「……そんなつもりで…言ったわけじゃないから…」ーー

曜「……………」ズーン…

曜(……あんな事あったし…こっから連絡するのもなー……元気なのかな…。まぁ半年くらい連絡し合わないこともあったし…そんなべったりな仲じゃないから別に珍しくはないけど……)モンモン…

曜「…………」モヤモヤ…

ピコンッ…

曜「んっ…?あ…ラインか…」スマホスッスッ

曜「えっ…?」

ーーーー
ーー

80: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:33:33.42 ID:dYi3GsTf.net
週末 駅前広場

曜「えーと…」キョロキョロ…

善子「…!…曜!ここよ」

曜「あっ!よーしこー!久しぶりだね!元気してた?」

善子「ええ、おかげさまで。貴女は…少しくたびれてない?」クスッ

曜「キツイなー善子さん…ちょっと前まで凄い仕事が立て込んでてさー…いや参ったよ」

善子「そうなの?誘って大丈夫だった…?」

曜「へーきへーきっ!もう一段落ついたから!ま、立ち話もなんだしさ、とりあえずお店いこ?」

善子「ええ」

ーーー
ーー

81: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:34:01.56 ID:dYi3GsTf.net
個室居酒屋

曜「じゃ、乾杯ー!」スッ…

善子「ええ…お疲れ様」スッ…

カチンッ…

曜「ング…ぷはー!あ"ぁ~…しみるよぉそろぉ…」ウンウン……

善子「いい飲みっぷりね」クイッ

曜「まぁね!…それにしても善子って会う度に美人になっていくよね~」

善子「そう?フフ…」クスッ

曜「うん!まぁ学生の頃から美人だったけどさ!益々磨きがかかってる感じ!スーツ姿がすっごく似合うキャリアウーマン!それにスラッとしてて格好良いいよー!」

善子「あら?この私を口説く気?曜には100年早いわよ」クスクス

曜「あらら~これは失礼しました、ヨハネ様?」ニヤッ

善子「って!もうヨハネってゆーなー!」クワッ

曜「アハハ!ツッコミのキレは変わってないね!」

善子「もう…勘弁してよね?フフ…」

82: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:34:29.74 ID:dYi3GsTf.net
曜「それにしても久しぶりだね~いつ以来だっけ?」

善子「…千歌の赤ちゃん見にズラ丸と3人で見に行ったっきりだから…一年くらい前かしら?」

曜「あっ…そうだった……と言うか…え、嘘…あれからもうそんな経つんだ…うわぁ…怖い…」

善子「あっという間ね……」

曜「わりと近く住んでるのに会わないもんだね…このままじゃアッという間におばあちゃんだよ…」

善子「…そうね時間は待ってくれないわ…さしずめそれは砂の様…しっかり掴んでいようといまいと…掌から滑り落ちてしまう…取りこぼした砂はもう戻ってこない時の砂ね…」

曜「…………?…へ?……あ、うん…」タジ…

善子「…………///」プルプル…

曜「……ゴクゴク…」グイッ

善子「って!!ツッコミなさいよっ!!ゴクゴク…じゃないわよっ!!///」

曜「な、なぁんだビックリしたー…そっちの方向に進化しちゃったのかーと思ったよ」アハハ…

善子「もうっ!ズラ丸とルビィならちゃんとツッコむわよ!?」

83: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:34:57.83 ID:dYi3GsTf.net
曜「ご、ごめん…アハハ……花丸ちゃんとルビィちゃんとはちょくちょく会ってるの?」

善子「そうね、月一くらいかしら」

曜「そうなんだー、けっこう会ってるね!何だかんだ三人はずっと仲いいよね」クスッ

善子「ええ、そうね…まぁ腐れ縁よ。…曜は千歌とは会ってるの?」

曜「えっ…あー…あんまりかなぁ…赤ちゃん生まれてからはお邪魔かなーと思ってちょっと行きづらくて…善子と赤ちゃん見に訪ねた時っきりかな」

善子「…そう……まぁそうよね…子供生まれると…ね…」

曜「…なんか…シンミリしちゃったね…よし、おかわりついでにおつまみ頼もっ!何がいい?」

善子「……じゃ、私はそのオススメの旬のお刺身三点セットで」

曜「………はい」

善子「フフッ冗談よ!この激辛タバスコ&ハバネロ入りたこ焼きっての頼もうかしら」ワクワク

曜「いや善子さんこれ罰ゲーム用…」

ーーー
ーー

84: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:35:25.08 ID:dYi3GsTf.net
30分後…

曜「アハハ!ルビィちゃんが髪伸ばしたり急に大人っぽくなってたのはやっぱりダイヤさんのせいか!」

善子「そうね…20歳を過ぎた辺りだったかしら?公の場で常に敬語でないと家に帰ってからクドクド怒られる様になったんですって。正式な場所ではお姉様、って呼ばせてるしね」クスッ

曜「あっ!結婚式の時のあれ気のせいかと思ったらやっぱりお姉様って呼んでたんだ!いやぁ違和感凄かったなぁ…しかしあのルビィちゃんに甘々なダイヤさんがねぇー…」

善子「フフ…でもね?家では逆にお姉ちゃんって呼ぶように言われてるんですって!間違えてお姉様って呼んだり敬語で話しても怒られはしないけど拗ねるんですって?面倒くさいわよね」クスクス…

曜「ええっ!?プッ!アハハハ!ダイヤさんらしいや!その辺は変わってないね!…ン…」クイッ…カランッ…

善子「人はそう簡単には変わらないわ…いえ…変われない…ってところかしら……あ、おかわりする?」

曜「うんっ!何にしよっかなー♪」

善子「…ご機嫌ね…ボタン押すわよ?」ピンポーン…

曜「ありがと!やっぱり可愛い後輩と飲むお酒はまた格別でありますから!」ニコッ

善子「あらそう?普段どんな不味いお酒飲んでるのかしらね」クスッ

曜「そりゃあもう…行きたくもない仕事場の飲み会!自慢ばっかりの自称やり手の同僚男!愚痴しか言わない捻くれ上司やセクハラ親父!ろくなもんじゃないよねっ!」クワッ

善子「貴女も苦労してるのね…」

85: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:35:54.19 ID:dYi3GsTf.net
店員「お待たせしましたー!」

曜「あ、えと……生……ううん、ハイボールで!善子は?」

善子「私はまだいいわ」

曜「じゃ以上で!あ、後ししゃも下さい」

店員「かしこまりましたー!」

善子「………ン…」クイッ…

曜「ここは何でも美味しいからさ、なんでも頼みなよ!今日は曜さんの奢りだからさ!」

善子「そんな、悪いわよ…私から誘ったのに」

曜「いいからいいから!たまには先輩らしい事もさせてよ?」ニコッ

善子「…ええ、ありがとう」

店員「お待たせしましたー!」ゴトッ…

曜「ありがと!」

善子「…やっぱり私もついでにハイボール貰おうかしら」

店員「かしこまりました!」

曜「頼め頼め♪……ング……」グイッ

善子「…………ん……」グイッ……カランッ…

曜「ぷは………ところでさ、今日どうしたの?」

善子「……どうって?」

87: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:36:50.09 ID:dYi3GsTf.net
曜「なにか用…というか…話があったんじゃないの?」

善子「…………………」

曜「あ、いや…無いならいいんだけd

善子「あるわ」

曜「お、おう……え、えーと……何用でありますか?」

善子「…………当ててご覧なさい」

曜「へっ…?」ビクッ

善子「…………」ジッ…

曜(……え、なに……空気がガラッと変わった…)

曜「え……えと……」

善子「……………………」

曜「その…

店員「お待たせしましたー!」ゴトン

曜「…!」ビクッ

善子「ありがとう」スッ…

曜(ビックリした…)

善子「………ハイボールって綺麗よね」カラン…

曜「え、あ…うん、そうだね」

善子「……綺麗な琥珀色……」ジッ…

ハイボール「」シュワシュワ…

88: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:37:18.71 ID:dYi3GsTf.net
善子「………まるで…あの子の瞳の色みたい」

曜「………!」ピクッ…

善子「……あぁごめんなさい、クイズの途中だったわね」

曜「…………」

善子「………私が貴女になんの話があってきたか………わかる?」

曜「………………さぁ?ちょっとわからない…かな」

善子「……そう?」

曜「………………」

善子「…………じゃあヒントを教えてあげる」

曜「…………」

善子「…私の大切なリトルデーモンの話よ」

曜「……………梨子ちゃん?」

善子「あら?良く出来ました、正解よ」

曜「どうも……」チビ…

善子「私のリトルデーモンは他にも大勢いるのによく梨子だって分かったわね?さすがは曜だわ」

89: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:37:46.85 ID:dYi3GsTf.net
曜「……琥珀色がどうの言ってたでしょ………で、梨子ちゃんがどうしたのさ」

善子「ズラ丸も琥珀色だけど……。…そうね……どうしたのでしょう?」

曜「また?」

善子「楽しくない?私は好きよ…クイズ」

曜「ふぅ………」

善子「…………」

曜「……わかんないな…」

善子「…………あらそう?」

曜「…うん」

善子「…………心当たり…あるんでしょ?」

曜「…っ!……」ビクッ

善子「言ってみたら?」

曜「……………」ジッ…

善子「どこまで知ってるの?って顔ね」

曜「………………」

善子「…どこまでだと、思う?」

90: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:38:15.00 ID:dYi3GsTf.net
曜「…なに?なんなの?…はっきり言いなよ」

善子「…………ン…」クイッ…

曜「…………」

善子「…………ふぅ…」カランッ…

曜「…………」

善子「………さすが曜ね…動揺はしても何もボロを出さない…」

曜「……………」

善子「安心して?何も知らないわ」

曜「……どういう意味?」

善子「そのままの意味よ…貴女が勘ぐっているように…梨子が私に洗いざらい話したりはしてないわ」

曜「……じゃあ」

善子「これは本当…梨子とはたまに飲みにいったりしてるけど私にはその辺の相談はしてこないわ?曜の話題が出たとしても当たり障りのないものばかり…ちょっとカマをかけてみただけ」

曜(梨子ちゃんが善子とたまに飲みにいってたなんて私初耳なんだけどー…なんかショーック……)

91: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:38:41.89 ID:dYi3GsTf.net
曜「……じゃあこの取り調べみたいな空気はなに?」

善子「取り調べ?私は楽しいクイズのお時間のつもりだったけど…そう感じたなら…それはごめんなさい」

曜「……善子ってこんな曲者だっけ…?」

善子「あら?だって私…堕天使よ?」

曜「………」

善子「………ツッコミはないのかしら?」

曜「本当に堕天使に見えるよ」

善子「ホントっ!?ウフフ…また目指してみようかな♪」

曜「…結局の所なんなのさ?…梨子ちゃんの何の話?」

善子「……梨子…今転職考えてるんですって」

曜「へっ…?あっ…そうなんだ…へぇ…知らなかった」

善子「勤務地知ってる?」

曜「え?そんなのわかるわけ…

善子「ウィーンよ」

曜「…………はい?」

93: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:39:12.43 ID:dYi3GsTf.net
善子「オーストリアのウィーン」

曜「……え……ええぇぇ!?うっっそっ!?」ガタッ…

善子「やっぱり知らなかったのね…」

曜「ちょ、え、なに?ウィーン!?ういーん!?」

善子「ウィーン」

曜「なにそれ!?」

善子「知らない?音楽の都よ?オーストリアのウィーン」

曜「うそ…え、なに?なんの仕事…?」

善子「仕事というか…向こうで働きながら本格的にピアニストとして勉強し直すんですって。前から声はかかってたみたいよ?」

曜「…そ、そんな…………」ガクゼン…

善子「ほら、彼女作曲出来るし…音大の頃から声はかかってたみたいよ?スクールアイドルしてた頃は何にも思わなかったけど…どう考えても素人レベルの作曲じゃないしね…実力はおりがみ付きってやつね」

曜「…そう言えば学生の頃そんな事言ってた…でも…」

善子「そう、両親が反対してたわ…一人娘だものね?どう見ても箱入り娘だし」

曜「うん……」

94: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:39:40.75 ID:dYi3GsTf.net
善子「でも…最近許しがでたそうよ」

曜「……!」

善子「よくよく聞けば許しが出たというか…梨子が本気でお願いしたみたい。親が根負けしたってところかしら?」

曜「………」

善子「知ってた?」

曜「私そんなの何も聞いてない…」

善子「………へぇ…」

曜「へぇ、じゃないよ!え、ホントに…?冗談じゃなくて…?」

善子「冗談言ってるようにみえる?」

曜「見えない…え、いつから…」

善子「落ち着きなさいよ…まだ決まってないわよ"検討してる"って言ったでしょ?」

曜「あ、うん……」

善子「……………本当に何も知らされてないのね」

曜「………うん…」

善子「…転職の話題がでたのは…確か…一ヶ月くらい前…だったかしら」

曜「そう…なんだ…」

善子「………………」

95: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:40:08.91 ID:dYi3GsTf.net
曜「えと……他の皆はこの事…知ってるの?」

善子「さぁ?少なくとも…私はまだ皆には黙ってて、って言われたわ」

曜「えと…じゃあ善子だけしか知らないのかな…?」

善子「多分ね?」

曜「………………」

善子「酔いが吹っ飛んだ…って感じね」

曜「おかげさまでね…」

善子「…………ン…」クイッ…

曜「……なんでその話…私にしたの?」

善子「………そうね…」

曜「クイズ形式はもう無しだよ?」

善子「あら…残念」

曜「なんか怖いもん善子…」

善子「そう?受取側の問題じゃない?…それで…どうして貴女に話したか、だったわね」

曜「うん…」

善子「……梨子が皆には黙ってて、って言った後に特に曜ちゃんには…って言ったの」

曜「……!」

96: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:40:37.06 ID:dYi3GsTf.net
善子「…もちろんどうして?って聞いたわ?でも教えてくれなかった」

曜「…………」

善子「……メンバーに教えないのは…決心が揺らぎそうで辛いから、ですって…わかるような、わからないような…」

曜「…………」

善子「と言うか私はいいのか、って話よ」フゥ…

曜「……………」

善子「………ま、すごく寂しいけど…梨子自身の昔からの夢だもの…応援したわ」

曜「…………コクリ…」チビチビ…カラン…

善子「…………ショック?」

曜「…そりゃ…まぁ」

善子「ふーん…」

曜「……てかさ、答えになってなくない?どうして特に私は言うなって言われたのに喋っちゃったのさ」

善子「……………」ジッ…

曜「……………」ビクッ

曜(また…その目か…)

善子「ホントにわからない?」

曜「…………」

97: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:41:07.79 ID:dYi3GsTf.net
善子「わかってるんでしょう?」

曜「………………」

善子「………………」

曜「えと…善子…さん、…なんか怒ってる?」

善子「ええ」シレッ…

曜「ガーン…」

善子「もういいわ、曜が言わないなら私が言う」

曜「え、ちょまっ

善子「貴女と梨子がややこしい関係になってるからよ」

曜「……っ!……」ピクッ…

善子「…………違うとは言わせないわよ」

曜「……………………」

善子「……さっきも言ったけど別に梨子から聞いた訳じゃないわよ」

曜「………じゃあ……どうして……」

善子「単純明快………見てたらわかるわよ、貴女たち」

曜「」ガーン ガーン ガーンッ…

善子「この堕天使ヨハネの全ての真実を見透す堕天眼にかかれば…すべてお見通しよっ!」ギランッ!

曜「……………」

善子「あら?ツッコミはないの?寂しいわ」

曜「もう善子の事堕天使にしか思えないよ…」

善子「本当に?ウフフ…ありがと?」

曜「…………」

98: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:41:36.01 ID:dYi3GsTf.net
善子「千歌のことで…学生の頃から貴女達、確執があったでしょ」

曜「……………」

善子「私達が一年生だった頃は特にビビりまくりよ、貴女達に」

曜「…………」

善子「三年生のゴタゴタが片付いたと思ったら次は二年生かーい、って」

曜「ごめん……」

善子「予選終わる頃にはもう慣れたけど」

曜「…………」

善子「慣れた、と言うか…うーんそうね、何やってんだこの人達…って感じだったわ、私達」

曜「ホント…ごめん…」

善子「今更よ」

曜「…………」

100: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:42:09.03 ID:dYi3GsTf.net
善子「でも良かったわね?ルビィはずっと貴女擁護してたわよ?体育会系だけあって後輩の面倒見はいいものね、貴女…」

曜「……そっか」

善子「ま、そんなとっくの昔に済んだ事は別段どうでもいいの」

曜「うん……」

善子「問題は…貴女達がまだそれを…引きずってる事」

曜「いや…それは…」

善子「いいえ、貴女は引きずってる」

曜「………」

善子「………もちろん…梨子もね」

曜「…………」

善子「…貴女達…中途半端に共依存の関係になってない?中途半端だから梨子はあんな形で離れようとしてるんじゃないの?」

曜「………」

善子「………何か言うことは?」

曜「………別に」

善子「言いたい事ありあり、って顔してるけど?」

曜「………」

善子「………無いなら続けるわね?」

曜「……もういいよ」

善子「………………」

曜「…ほっといて」

善子「…………ふーん…」

曜「………関係…ないでしょ」

善子「………………」

101: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:42:37.43 ID:dYi3GsTf.net
曜「善子が思ってる程…簡単な話じゃないよ」

善子「…そうね」

曜「わかったような事は…言わないでよ」

善子「…………」

曜「……………」

善子「……でもね曜

曜「やめてよっ!」ガタッ!

善子「……………」

曜「………………ごめん」

善子「………………」

店員「お待たせしまし…!…たー…。……ししゃも…です……」コトッ…

善子「ありがとう」スッ…

曜「………………」ストン…

善子「…食べないの?美味しいわよ?子持ちで」ムシャムシャ…

曜「いい…」

善子「そっ…」

102: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:43:05.56 ID:dYi3GsTf.net
善子「…………ン…ししゃもとハイボールはちょっと合わないわね…」クイッ…カラン…

曜「………やっぱり食べる…」

善子「はい」スッ…

曜「…………」ムシャムシャ…

善子「…………」

曜「…………ン…」グイッ…カラン…

善子「どう?」 

曜「合うと思うけど?…私は好き」

善子「そう?」

曜「…………」ホロリ…

善子「…!……」ビクッ…

曜「……………グスッ……ごめん」グイッ

善子「…………いいえ……」

曜「……ねえ、どうして今頃なの?」

善子「…………」

曜「…私にどうしろって言うのさ……。…と言うか…ウィーンって…」

善子「本格的に音楽…ピアノについて学べるチャンスなんだって…年齢的にも。俗に言う音楽留学ね。前々から話はあったらしいの。知らなかった?」

曜「……全然知らなかった」

103: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:43:35.06 ID:dYi3GsTf.net
善子「……貴女達が最近…ここ一年くらい前からかしら?ちょくちょく会ってたのはなんとなく梨子の様子から察してたけど…」

曜「……………」

善子「関係ないのに首を突っ込んでる…っていうのはわかってるわ。難しい問題だって事も……だから待った」

曜「…待ったって……」

善子「……学生の頃からよ」

曜「………………」

善子「ずーっと…信じて待ってた…貴女達を」

曜「…………」

善子「でももう限界」

曜「………」

善子「…このままじゃあの子…貴女になんの話もしないでウィーンに行くわよ?…考えてる…と言うかほぼ決めてるみたいだったし」

曜「………」 

善子「…まぁ、梨子の人生だから、私達が口を出して言い訳がないけど、せめて話はしておきなさい…後悔したくなかったらね」

曜「………」

善子「いいわね?」

曜「…うん」

シーン…

104: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:44:04.30 ID:dYi3GsTf.net
曜「……………」ズーン…

善子「…………そ、その…ごめんね?…曜だけ責めるみたいになっちゃって…」タジ…

曜「ううん…そんな…」

善子「…ほんと言うとね…ここ一ヶ月梨子にもそれとなく曜とちゃんと話をするように言ってたんだけどね…」

曜「え……」

善子「…ほら、あの子って…その…自分が女の子のこと好きって事かなり気にしてるでしょ…?特に高校を卒業した頃から…だからあんまり言えなくって…」

曜(私はいいんかーい…)

曜「と言うか…女の子が好きって話はしてたんだね」

善子「ええ…悪いけど、白状させた」

曜「アハハ…善子さんキツイなー…」

善子「だって仕方ないでしょ?あの子それを理由に後ろめたいからって私から離れようとしてたのよ?…あの子ちょっと臆病で…逃げグセがあるから」

曜「…そうだったね」

善子「それでいて妙に行動力があるから厄介よね…」

曜「…たしかに」

曜(…善子ちゃん…みーんなお見通しだったんだね………そういえば学生の頃からそうだった…善子ちゃんって痛いキャラ作りながらバタバタしてたイメージだけど当時から実は誰よりも物事を客観的に見てる子だったな…)

善子「……な、なによ…ジロジロと」タジ…

曜「ううん…」

106: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:44:41.57 ID:dYi3GsTf.net
曜(自分を客観的にみれるからこそ花丸ちゃんに自分の痛キャラ暴走を止めてってちゃんと言える子だった…)

善子「…………ゴク…」グイグイッ…

曜「……あのさ…善子ちゃん」

善子「……なによ、曜ちゃん」

曜「一つ聞いていい…?」

善子「…なに?」

曜「…………梨子ちゃんはさ……。ううん…善子ちゃんは…その…もしかして…好きなの…?梨子ちゃんの事……」

善子「………………」ジッ…

曜「………………」ゴクリ…

善子「…………ええ」

曜「」ガーーーンッ!!!

善子「………って言ったらどうする?」ニヤッ

曜「もーーーー!!!」ガタッ

善子「曜…声が大きい」クスクス…

曜「おどかさないでよ…」ストンッ…

善子「まぁ…ウジウジ曜さんからウジウジ梨子さんを引き取りたい所だけど…残念ながらそっちの気は無いわ。…まぁ梨子なら、そうね…引き取ってもいいけど?…でもそんなの梨子に失礼よ」

曜「……うん…」

善子「……ゴクッ…」クイッ…

曜「……じゃあ…梨子ちゃんてさ…」

善子「………」カラン…

曜「…善子ちゃんの事…好きなのかな…」

善子「………ふぅ…」ジロ…

107: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:45:19.68 ID:dYi3GsTf.net
曜「………何その顔…」

善子「…別に…。さぁね?直接本人に聞いてみたら?」

曜「…いや、いい」

善子「…そっ。…まぁ一つ言えるのは…もしそうだったとしても…梨子よりやっぱりズラ丸かしらね?美人だしとにかく私の扱いよ~くわかってるし!一緒にいて気が楽だわ」

曜「アハハ…他人事だと思って気楽にいうよね…」クスッ

善子「それくらいいいでしょ?あっ、ルビィもいいわね!結婚したら超玉の輿じゃない?ルビィは私に従順なレアなリトルデーモンだから何でも言う事聞いてくれるし…♡」ニヤリ

曜「あのね…」クスッ

善子「あっ…でも待って…ルビィと結婚したらダイヤさんがお義姉さんになるのね…うーん…面倒くさいわ…あの姉妹コント毎日見るのキツい…」

曜「それに凄くうるさそう」クスッ

善子「それよっ!間違いなく口うるさい小姑になるわ…名家も考えものね…。…ま、冗談はさておき…私から梨子についてはこの通りなんにもないから余計な事考えないで貴女が自分がどうしたいかをよく考えて話をしなさい」

曜「…うん」

善子「…でもそうね……曜があんまり頼りないなら…うーん…ホントに考えてもいいかも」

曜「ちょ…」

善子「冗談よ」

曜「………」ジト…

108: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:45:49.28 ID:dYi3GsTf.net
善子「そんな顔するくらいならさっさと梨子と話をつけなさい」

曜「善子のいじわる…」

善子「言ったでしょ?堕天使だって」

曜「かないませんなー…」

善子「当たり前よ、誰だと思ってるの」

曜「ヨハネ様です…」

善子「堕天使はいいけどヨハネは言うなーっ!」

曜「基準がわかんないよ…」アハハ…

善子「フフッ…。……ごめんなさいね」

曜「…なにが?」

善子「言うのが遅くなって」

曜「そんな…」

善子「…なんだかんだ梨子が曜には自分で話すかも、って……思ったり…」

曜「…………」

善子「それか…曜が気が付くかもって思ってた」

曜「………」

善子「結果…梨子は梨子で曜には話さないし、曜は曜で全然気が付かないし…」ヤレヤレ…

曜「…………私…梨子ちゃんの事何も知らなかったんだね…」

善子「……知り過ぎてたからかもね」

曜「……………………」

善子「これで私の話はおしまい」

曜「うん…」

109: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:46:18.69 ID:dYi3GsTf.net
善子「さ、気を取り直して飲みましょうか」

曜「あはは……………無理」

善子「でしょうね」

曜「はぁ……」ズーン…

善子「……………その………私の事…嫌いになった…?」オズオズ…

曜「はは…まさか…あり得ないよ」

善子「…そう……ウソでも嬉しいわ」クイッ

曜「ホントだよ…善子の事嫌いになるわけ無いよ…二年間一緒に通学した仲でしょ?可愛い後輩だもん。……ヘコんでるのは自分の情けなさ…って言うのかな…ダメさ加減と言うか…よくわかんないや…ダメな先輩でごめんね…」ズーン…

善子「………その…ご、ごめんなさいね?」タジ…

曜「いいって………。って善子?え、なんか凄い汗かいてるけど大丈夫?」

善子「えっ…?あっ…」ダラダラ…

曜「ど、どうしたの?部屋の温度下げてもらおうか?」アセアセ

善子「い、いえ、いいの…!」ハンカチ フキフキ…

曜「いやすっごいよ……おしぼりもらうね?」

善子「だ、大丈夫!平気!平気よ!」キリッ

曜「そ、そう?」

111: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:46:49.44 ID:dYi3GsTf.net
善子「くっ……最後の最後に締まらないわね…!…はぁ…慣れない事はするもんじゃないわね…」

曜「え?……フフ…そっか?…ひょっとして言い過ぎたーとか傷付けたーとか思ってる?」

善子「べ、別に…」

曜「フフ…ヒールぶっても善子やっぱり良い子だよね」クスッ

善子「笑うなー!」ムキー!

曜「アハハ……ありがとね…善子」

善子「い、いいえ…別に…その……」モジ…

曜「なに?さっきまでのこわーい堕天使ヨハネ様どこに行ったのさ?アハハ…」

善子「だって曜があんまりにもヘコむから…」

曜「あはは…善子も何だかんだ変わってないね?」

善子「…ふぅ……そうなのかもね…」

曜「人は変われない…か…」

善子「変わろうとしないと…変われないわ」

曜「………そうだね」

善子「……………」

112: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:47:17.73 ID:dYi3GsTf.net
曜「ごめんごめん!とりあえず…気を取り直して…飲もっか?」

善子「…いいの?」

曜「せっかくなんだからさ、梨子ちゃんの事はもうわかったから、今は今日の会合を楽しもうよ」ニコッ

善子「…ええ!…ありがとう」

曜「フフッ…よし、おつまみ追加しようか!」

善子「…ハバネロたこ焼き頼んでいい?」

曜「………あはは…よ~し、頼めっ♪」

善子「ありがとっ」ニコッ

ーーーーー
ーーーー
ーーー

数時間後…

曜「ふぅ~飲んだね~」

善子「本当にご馳走になっちゃっていいの?」

曜「いいって!」

善子「あんなに貴女の事いじめたのに…」

曜「アハハハ!いいよ、発破かけてくれてたんでしょ?教えてくれてありがとね?それに私こそ…途中ちょっと怒っちゃってごめんね?」

善子「そんな…私がわざと焚き付けるような事したからよ」シュン…

113: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:47:49.78 ID:dYi3GsTf.net
曜「あー、コラコラ暗い声ださない!それでおあいこにするって言ったでしょ?」ポンポン

善子「そうね、ありがと…ごちそうさま」

曜「じゃあ私電車だから!」

善子「ええ…。……ねえ…曜…」

曜「ん~?」

善子「どうして梨子の件教えてくれたかって聞いてたわよね?」

曜「え、あ…うん」

善子「…曜と梨子がややこしい関係になってるからって言ったけど…それだけじゃないわ」

曜「え…?」

善子「……貴女に…感謝してるから…」

曜「……?」

善子「…私に…友達の作り方、教えてくれた…」

曜「…善子……」

善子「………梨子の事……ううん、リリーの事…お願いよ?私の大切な親友だもの…」

114: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:48:16.49 ID:dYi3GsTf.net
曜「…ホント…善子は私なんかよりよっぽど大人だよ」

善子「……そんなこと無いわ。…貴女に投げるみたいで悪いけど…ちゃんと話…してあげてね?」

曜「…わかった」

善子「それじゃ…よかったらまた飲みに行きましょう?……どんな結果でも…今度は…リリーと三人で」ニコッ

曜「……うん!…ありがとね、善子」

善子「ええ…それじゃ」

曜「またねー!」

コツコツコツ……

曜「………ありがとね…善子ちゃん」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

コツコツ…

善子「…………」

ーーー曜「ホント…善子は私なんかよりよっぽど大人だよ」ーーー

善子「…よく言うわ」

115: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:48:49.89 ID:dYi3GsTf.net
………
…………
……………
ーーー曜『ヨーシコー!今日も練習疲れたねー!』ーーー

ーーー曜『えっ、週末ルビィちゃんと花丸ちゃんで遊びに行くの?良かったねー!』ーーー

ーーー曜『普通の服がわからない…?ん、わかった!明日帰りに一緒に見に行こう!』ーーー

ーーー曜『んー?普通にしてればいいんだよ?善子ちゃんは善子ちゃんなんだから』ーーー

ーーー曜『そのままでいいんじゃない?気にしすぎだよ?友達でしょ?』ーーー

ーーー曜『遊びに誘いたいって?え、普通にさそえば?え…別にコツなんかないよ?』ーーー

ーーー曜『ふーん…じゃあ曜ちゃんが練習台になってあげよう!』

ーーー曜『言いたいことがあるならちゃんと言ってあげなよ?』ーーー

ーーー曜『大丈夫、嫌われないよ?信じてあげて?友達なんでしょ?』ーーー

ーーー曜『そっか!うまくいったかー♪ヨーシコー、偉い偉いっ!頑張ったねー!』ポンポンーーー
………………
…………
……

善子(全部貴女が教えてくれたのよ…)

善子(曜ちゃん…お願いだから…もう、後悔はしないようにね?)

善子(堕天使ヨハネとの約束よ…?)

善子「…なんてね//」ボソッ…
ーーーーー
ーーーー
ーーー

116: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:49:26.88 ID:dYi3GsTf.net
………
…………
……………

実家 梨子ルーム

コンコン…

梨子パパ「……梨子…?まだ起きているかい?」

梨子「…うん…どうぞ」

梨子パパ「入るよ」ガチャ

梨子「うん」

梨子パパ「ピアノ弾いてたのかい?」

梨子「うん…ちょっと…落ち着かなくて…」

パパ「そうか…」

梨子「…………」♪~…

パパ「………母さんから聞いたよ」

梨子「……………」ピタッ…

パパ「気付いてやれなくて…すなまかったね…」

梨子「………ごめんなさい」

パパ「いや…いいんだ…。いいんだ…」

梨子「………………」

117: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:49:55.04 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………………」

パパ「………その…答えにくかったらいいんだが…今お付き合いしてる人でもいるのかい…?」

梨子「……………」フルフル…

パパ「…そうか」

梨子「…………」

パパ「…じゃあ……気になる人はいるのかい?」

梨子「……!」ピクッ

パパ「…………」ジッ…

梨子「……ううん…いないよ…」

パパ「………………。そうか…」

梨子「うん…」

パパ「………なら…どうしてもだめかい?」

梨子「……!」

パパ「……こんな男の人だったら大丈夫とか…あるなら…」

梨子「……………」

パパ「………梨子…?」

梨子「………ごめんなさい」

パパ「……………そうか…」

119: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:50:27.03 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………ごめんなさい…お父さん…親不孝で………ごめんなさい」プルプル…

パパ「…!い、いいんだ!…わかった…もう言わない…何も言わないよ」

梨子「……………」ホロリ…

パパ「…!……悪かったね…夜遅くに…」

梨子「……………」フルフル…

パパ「身体を暖かくして寝なさい…」

梨子「ごめんなさい………」

パパ「もう謝るのは止めなさい…」

梨子「……………」ポロ…ポロ…

パパ「…せっかく帰ってきてくれてるのに悪かったね……」

梨子「……ううん…」ポロポロ…

パパ「……何かあったら…なんでも言いなさい…お父さんに言いづらかったらまた母さんに言えばいい………」ポンポン

梨子「………ううん…」プルプル…

パパ「おやすみ…」スッ

スタスタ…

ガチャ…パタン…

120: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:51:00.37 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………ごめんなさい…ごめ…んなさい…グスッ…」ボロボロ…

ごめんなさい…ごめんなさい……

親不孝者で……ごめんなさい……

悲しませて…ごめんなさい……

ごめんなさい……

………………
…………
………

梨子ルーム

梨子「…ン………ゴメン…ナサイ…」ボソボソ…

梨子「………ん…」パチ…

梨子「……………」ムクッ…

梨子「またあの時の夢…」

梨子「…はぁ…枕濡らしちゃった…」チラッ

梨子「………………」グシグシ…

ーーー パパ「…じゃあ……気になる人はいるのかい?」ーーー

梨子「………………曜ちゃん……」ポソッ…

梨子「……………巻き込めるわけないよ…」

121: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:51:28.60 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……私のせいで……みんなが不幸になる…」

梨子「………」時計チラッ…

時計「5:45」

梨子「……ピアノ弾こ…」

電子ピアノ「」

梨子「………………」ヘッドホン スッ

電子ピアノ「~♪…♪~…♪……」

梨子「………私が胸を張って好きって言えるのは…アナタだけね…」

電子ピアノ「♪~…♪……♪ー」テレルヤン

梨子「………………」

電子ピアノ「♪…♪~…♪……」カナシイキョクヤ…

梨子(……変わらなきゃ…)

ーーーーー
ーーーー
ーーー

数日後……

梨子「お先に失礼します」

同僚「お疲れ様~」

ピッ…

スタスタ…

梨子(……引き継ぎの件もあるからそろそろ話をしないと…来週くらいに…話しようかな)

122: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:51:56.81 ID:dYi3GsTf.net
ヴヴ…ヴヴヴ…

梨子「……?」スマホチラッ…

スマホ「曜ちゃん」ヴヴヴ…

梨子「…えっ!?」ビクッ

スマホ スッ

梨子「…もしもし?」

曜『あ、出た』

梨子「そりゃでるよ…」

曜『そう?梨子ちゃんっていっつも私の連絡って無視してるイメージ』

梨子「…気のせいよ」

曜『えー?そーおー?』

梨子「そうだよ」クスッ

曜『私は仕事忙しい時とかたまに無視するけど』

梨子「前言撤回。私も無視したことありますー」

曜『なにそれ!アハハ』

梨子「時と場合によりけりですー」クスッ

梨子(…良かった…あんな事があった後だけど…ちゃんと喋れてる…。…曜ちゃんが私が喋りやすいようにしてくれてるのかな…)ホッ…

123: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:52:24.98 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…それで…どうしたの?」

曜『ん、いやー…梨子ちゃんさ…』

梨子「……?」

曜『その……』

梨子「……なに?」

曜『えーと…今週の土曜日さ…空いてる?』

梨子「え…?土曜?金曜じゃなくて?」

曜『うん、土曜』

梨子「土曜って……飲みに行くの?そりゃお休みだから夜空いてるけど…」

曜『あー違う違う』

梨子「え?」

曜『お昼だよ、出来れば午前中から!』

梨子「……えと…お昼間から飲みに行くの…?」

曜『いや!違う違う!…ただちょっと暇だからさ…出掛けたいなーと思って』

梨子「…え?お出かけ?」

124: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:52:53.08 ID:dYi3GsTf.net
曜『う、うん……ちょっと服とか見に行きたくて…』

梨子「私と曜ちゃんが…二人でショッピング……?」

曜『…なに?悪い?』

梨子「なにそれ…まるでデートのお誘いみたいじゃない?」クスッ

曜『……!』

梨子「フフ……なんて!そんなわけないy

曜『…そうだよ』

梨子「…えっ……」

曜『で、空いてるんだよねっ?』

梨子「えっ…それは…その…」

曜『どうせひまでしょー?ズーッと一人で本読んだりピアノ弾いてるイメージしかないよ』

梨子「なっ…」ギクッ…

曜『じゃ、梨子ちゃんの最寄りの駅の改札で10時に待ち合わせね!』

梨子「で、でも…」

曜『あっ、一日空けといてよー?それじゃ、待ってるから!」ブツッ…

126: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:53:48.19 ID:dYi3GsTf.net
梨子「えっ…ちょっと…!曜ちゃん!?…もうっ…!」

梨子「………デートって…」

ピコンッ…

梨子「ライン…?」スマホ スッスッ……

ーーーーーーーーーーーーーーー

YOU☆ソロー<ちゃんと来てよー?10時ね!

RIKO<もう!勝手なんだからっ!ヽ(`Д´#)ノ

YOU☆ソロー<梨子ちゃんこなかったら私一日駅で待ちぼうけだからね!

RIKO<わかったわよ…

YOU☆ソロー<ヨロシクー!(*> •*)ゞ

ーーーーーーーーーーーーーーー

梨子「もう…………」

梨子「デートって……」

梨子「………なにそれ…///」

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

127: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:54:34.34 ID:dYi3GsTf.net
ーーーー
ーーー

土曜 10時前

梨子「………」

ソローリ…ソローリ…

曜「梨~子ちゃん!」帽子スポッ!

梨子「キャッ!?」ビクッ

曜「アハハ!オハヨーソロー!」

梨子「っ…もうっ!ビックリしたでしょう!」

曜「アハハ…ごめんごめん!久しぶりだからちょっとからかいたくなっちゃって!」ニコニコ

梨子「もう……というか帽子って」スポッ

曜(26)「ん?なに?26にもなって帽子はないよって?」

梨子「…そんな事言ってません」

曜「顔に出てるよ…梨子ちゃんすぐ歳の事言うしー…。ほっといてよ!これは私の趣味なの!」

梨子「帽子もそうだけど…相変わらずボーイッシュなファッションね…」

曜「……はぁ~…梨子ちゃん…カジュアルって言ってよ…と言うか朝一からファッションチェックしてダメ出ししないでよー…これが私のスタイルなの!」

128: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:55:01.41 ID:dYi3GsTf.net
梨子「別にダメ出しじゃないよ、似合ってるし」

曜「………。…ま、それにこの服装にはちょっとメリットもあってさ」スッスッ…

梨子「メリットて…」

曜「髪をまとめて入れ込んで帽子を被れば…ジャーン、どう?男の人に見えない?」

梨子「……はい?」

曜「ふふーん♪これなら女の子と手を繋いで歩いてても違和感なくなるでしょ?」

梨子「……………」

曜「…………ん?…あれ?」

梨子「…なんか今日の曜ちゃん…変…」

曜「」ギクッ…

梨子「すっごく変なテンション…」

曜「……気のせいだよーそろ…」

梨子「……………」ジトー…

曜「………………」ダラダラ…

梨子「………はぁ…」帽子ヒョイッ…

曜「あっ……」スポッ

梨子「別に男の人とデートしたいわけじゃありませんー髪はしまわなくていいよ」

曜「そ、そっか…」ホッ…

129: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:55:29.25 ID:dYi3GsTf.net
梨子「それに私の方が背が高いし…男の人にも見えないよ」

曜「世の背の低めな男性陣を敵に回したな…。梨子ちゃんがヒール履いてくるから余計に差が開くんでしょー…」ムスー…

梨子「あら?いいでしょこれ?…曜ちゃんも履けばいいのに」

曜「機動性重視だよ」

梨子「勿体無いの。…それで?お洋服見に行くんでしょ?行きましょう」

曜「…はーい、こちらです」

コツコツ…

梨子「……それで、今日はどうしたの?」

曜「…どうって?」

梨子「その…急にデ…お出かけなんて…」

曜「ん?……んー…別に?」

梨子「別にって…」

曜「何かないと梨子ちゃんとお出かけしちゃいけないんですかー?」ニヤッ

梨子「…も、もう…やめてよ」

130: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:55:56.23 ID:dYi3GsTf.net
曜「ならいいでしょ?それともー…何か私と行きたくない理由でもあるんですかー?」ニヤリ

梨子「……………」ピタッ…

曜「………あっ、いや…」タジ…

梨子「……この前の事…気にしてるの…?元気付けようとしてくれてたりとか…」

曜「…ん?この前?」

梨子「その…カミングアウトとか…」

曜「そっちか…」ホッ…

梨子「えっ?」

曜「あっいや……。カミングアウト?なんのこと?」

梨子「えっ…?だから…」

曜「なんのことかさっぱり」フリフリ…

梨子「曜ちゃん…」

曜「……忘れろって言ったのは梨子ちゃんでしょ?」

梨子「…そうだった…ごめん」

曜「…今日誘ったのはホントにただ梨子ちゃんと二人でお出かけしてみたかっただけだよ」

梨子「え…?」

曜「いや…私達ってさ、学生の頃からこうやって二人だけで普通に遊んだりとかしたことなかったでしょ?だから一回してみようかなーって」

梨子「……そうだね」

曜「それだけじゃ駄目?やめる?」

梨子「…ううん、駄目じゃない…やめない」

曜「ならいいでしょ?」

梨子「…うん」

131: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:56:26.46 ID:dYi3GsTf.net
曜「難しい事考えないでさ、せっかくなんだから楽しもうよ!」ニコッ

梨子「……そうだね」

曜「はーい、じゃあ楽しくなるおまじないは~?」

梨子「……はい?」

曜「おまじないだよ!ほら、あれあれ!どうするんだったか覚えてるー?はいっ、オハヨーs

梨子「やらない」

曜「なんでっ!!」

梨子「もういい歳だから恥ずかしいもん」

曜「また歳の事言うっ!たまーにやってる私なんなの!?」

梨子「…ちょっと恥ずかしい人」

曜「」

梨子「フフ…冗談♪」クスッ

曜「絶対冗談じゃないっ!」

梨子「フフッ…曜ちゃん?オハヨーソロー♪今日は楽しませてね?」ゞ

曜「…っ!…//」

梨子(…ちょっと後ろめたいけど……今日だけ…今日くらい…曜ちゃんと恋人みたいに楽しんだって罰は当たらないよね?)

132: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:56:53.41 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…ど、どうかな?//」

曜「…へ?//…あ…え、えと……やっぱりちょっと…ううん、かなり恥ずかしいね、それ」

梨子「…………」グニー…

曜「ひたい…梨子ひゃん…痛い」ムニー…

ーーーーー
ーーーー
ーーー

洋服屋 11時

梨子「へー…曜ちゃんいつもここで服買ってるんだ…」キョロキョロ…

曜「安くて良いの揃ってるんだよねー!」カチャカチャ…

梨子「へー…」キョロキョロ…

曜「うーん…」ジー…

梨子「……何してるの曜ちゃん」

曜「ん?この服梨子ちゃんにサイズが合うか見てるんだけど?」

梨子「…え、なんで?自分の服探してるんでしょ?」

曜「バーって見たけど目ぼしいものはなくてさー、せっかくだから梨子ちゃんに似合う服ないかなーって」

梨子「はいっ!?」

曜「だめ?いやー…元スクールアイドルの衣装担当としてちょっと血が騒いでさー」ニコニコ

梨子「えぇ…自分の探しなよ…」

曜「えー!いいじゃん!ファッションショーさせてよー」

135: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:57:20.80 ID:dYi3GsTf.net
梨子「着せ替え人形の間違いでしょ…」

曜「あら?バレた?フフーン、安心してよ!私の趣味じゃなくてちゃーんと梨子ちゃんにピッタリなの選ぶから♪」

梨子「ホントにー?」

曜「これでも学生の頃はよく服選びに付き合ってーって男女問わず引っ張りだこだったんだから!」ドヤァ…

梨子「……仕方ないなー…」

曜「そうこなくっちゃ!えーと……」ゴソゴソ…

梨子「もう……」

ーーー
ーー


曜「梨子ちゃーん!着れたー?」

梨子「ちょっと待って………うん、着れた」

曜「見せて見せて!」

梨子「う、うん」シャッ…

曜「おぉぉ…↑」

梨子「ど、とう…かな?」

曜「いやぁ……我ながらいい仕事したなーって♪」

梨子「自分で言うか…」

136: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:57:53.92 ID:dYi3GsTf.net
曜「梨子ちゃんに言われたくないなー?それに、自信がないと衣装係は務まらないからね!どう?梨子ちゃんはお気に召した?」

梨子「うん、可愛いしセンスいいと思う…曜ちゃんってこんな服も選べるんだね?」

曜「一言余計であります」

梨子「曜ちゃんもこんな服も着たらいいのに」

曜「いやいや!こういう服は梨子ちゃんみたいに髪が長くて綺麗な人じゃないと似合わないよ!自分にあった服を着ること!これファッションの鉄則だから!」

梨子「そうかな…」

曜「そうなの!服に着られるな、ってやつ!……でも梨子ちゃんみたいに素材が良いと何着ても関係なく似合うからいいね!よし、次!」サッ

梨子「えっ…まだあるの!?」

曜「いいじゃん!梨子ちゃん髪が長いから栄えるんだよね~!お願いっ!」

梨子「もう…曜ちゃんのコスプレマニア!」

曜「制服フェチって言ってよ」

梨子「どうちがうの…ハァ…わかりましたー…」スッ…

曜「さっすが梨子ちゃん♪はい、これ」ウキウキ

ーーー
ーー

137: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:58:22.12 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……どうかな?」シャッ

曜「……うん…うん………回ってみて!…うん、いい!最高!これが今日のベストだね!梨子ちゃんはどう思う?」

梨子「…うん、凄くいいと思う…この服好きかも」

梨子(と言うか何が凄いって着直していく内に私の好みに近付けていってるのが凄いよ…)

曜「良かった、お気に召したかー♪よーし、それ買っちゃおう!」

梨子「えっ」

曜「お人形してくれたお礼にプレゼント!」

梨子「そんな、悪いよ!」

曜「いいでしょー?それに…これだけファッションショーしちゃったんだから何か買わないと悪いし!私これから来にくくなっちゃうよー」

梨子「曜ちゃんの自業自得じゃない…」

曜「ね?お願い!助けると思って!」パンッ

梨子「なんでプレゼントする側がお願いしてるの…」

曜「…ひょっとしてその服気に入らなかった?」

梨子「そんなこと…無いけど…」

曜「その服嫌い?」

梨子「…ううん、好き…」

曜「じゃ、決まりねー!すみませーん!」トトト…

梨子「あっ…もう…!曜ちゃんってズルいんだから…」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

138: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:58:50.07 ID:dYi3GsTf.net
ーーー

シャレ乙めなレストラン 12時半

曜「いやー、いい服が買えてよかったー♪」ニコニコ

梨子「強引なんだから…」

曜「似合ってるよー?」

梨子「…ありがと」モグモグ…

曜「さすが曜ちゃんかな!…ん、これ美味し!」モグモグ

梨子「……ねぇ曜ちゃん、この後どうするかは決めてるの?」

曜「ん?この後?しばらくショッピングかな…最後だけ決まってて後でのお楽しみにしたいところなんだけど…なんで?」

梨子「…ならちょっと付き合ってもいたい所があるから一時間貰っていい?丁度ここから近いから」

曜「それくらいなら全然大丈夫だけど…どこいくの?」

梨子「お楽しみ♪」

曜「…?」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

139: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:59:18.42 ID:dYi3GsTf.net
梨子行きつけの洋服屋 13時半

梨子「さっ、着いたよ?」

曜「……………あの…梨子さん…もしかして…」

梨子「…そっ!曜ちゃんの服を私が選びます!」

曜「やだ…」

梨子「だめ」

曜「早いっ!」

梨子「とりあえず帽子はもう没収ね?」ヒョイッ…

曜「あー…」

梨子「いいでしょ?一軒目は曜ちゃんに付き合ったんだから今度は私に選ばせてよ!……えーと…」ゴソゴソ…

曜「もう探し始めてるし…」

梨子「大丈夫、ピッタリの探すから♪」

曜「不安だよぉそろぉ…」

ーーー
ーー


試着室

曜「…………マジか…梨子ちゃん…」

曜「これ着るの…?うーん…」

外梨子「曜ちゃーん?まだー?」

曜「ちょっと待ってよ…」

外梨子「ちゃんと着てよ?」

141: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 07:59:46.79 ID:dYi3GsTf.net
曜「わかってるよ……よぃしょ…」ゴソゴソ…

外梨子「………………」ワクワク…

曜「……………終わったよー…」

外梨子「開けていい!?」

曜「うん……」

シャッ…

梨子「わぁぁ…素敵!いいよ、曜ちゃん!似合ってる!」

曜「……そうかなー…?//」テレ…

梨子「曜ちゃんだって可愛いんだから可愛い服だって似合うに決まってるよ!ギャップもいい感じ!」キラキラ…

曜「な、なんかノリノリだね…梨子ちゃん…」

梨子「着せ替えって楽しいねっ!」

曜「気持ちはよくわかるけどさ…」モジモジ…

梨子「曜ちゃんってこういうのノリノリで着るタイプじゃなかった?」

曜「言ったでしょー…私は制服フェチなの。制服ならノリノリで着ちゃうよ」

梨子「…違いがよくわかんない」

曜「でしょうね」

梨子「じゃっ!次はこれ着て♪」ヒラヒラ

曜「うひゃぁ…」

ーーー
ーー

142: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:00:14.68 ID:dYi3GsTf.net
服屋前 14時半頃…

梨子「気に入ったのが見付かって良かったね~曜ちゃん?♡」

曜「結局私も買ってもらっちゃった…」

梨子「似合ってる似合ってる♪」

曜「そうかなー…ヒールまで買っちゃってさ…」

梨子「フフ?これで背も近付いたでしょ?…ひょっとして気に入らなかった?」

曜「ん、いやいや!すっごく可愛いと思うよ?それでいて落ち着いた色合いだしかなりセンスいいと思うけど…私に似合うかって言ったら…」

梨子「似合いますー!曜ちゃんだって普通に可愛いんだから!」

曜「そ、そうかなぁ…」

梨子「そうなの!フフッ…自分が選んだ服を着てくれてお出かけするのって…結構嬉しいのね?」

曜「…おっ?わかる?そーなんだよ!醍醐味だよね、うん!…あっ!ねえ、あそこのカフェでちょっと休憩しない?ちょっと疲れちゃた!まだ全然時間あるし…コーヒーでも飲もうよ!」

梨子「うんっ」

ーーー
ーー

143: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:00:41.50 ID:dYi3GsTf.net
喫茶店

曜「いやー…買い物しちゃったねー」

梨子「うん…久々に新しいお洋服買ったかも…」

曜「うんうん!服選びことショッピングは女子の嗜みであり活力だよね!」

梨子「わかる」クスッ

店員「お待たせしました、ホットコーヒーです」コトコトッ…

梨子「ありがとう」

曜「どうもー…♪」カチャカチャ…

梨子「………」ズズ…

曜「………ん、おいし」ズ…

梨子「…コクッ……うん、あったかくておいしい…」コクッ…

曜「…梨子ちゃんコーヒーってブラックなんだっけ?」

梨子「うん」

曜「ふーん…」

梨子「……なに?」

曜「ん、いや…なんか…甘いの好きじゃなかったっけ?なんとかフラペチーノ?とか飲んでるイメージだったから」

梨子「…甘いのも好きだけど…作曲してる時に眠くなっちゃった時とかリラックスしたい時によくコーヒー飲んでたの。その都度甘いの飲んでたら太っちゃうからブラックで…その名残りかな」

曜「ふーん…」ズズ…

梨子「………」ズ…

144: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:01:08.50 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………フフッ」クスッ

梨子「……?どうしたの?」

曜「いや、梨子ちゃんとこうしてアルコールの入ってない飲み物二人で飲んでるのがなんか面白くて…」

梨子「なにそれ…フフッ」クスクス

曜「変な感じだよね」

梨子「そうだね?…曜ちゃんとこうして二人で遊んだりするなんて…」

曜「うん…高校生の頃じゃ絶対考えられなかったよね?」

梨子「そうね」クスッ

曜「……ひょっとして今なら、あの頃の思い出も「そんなこともあったねー!」なんて笑える様になってるんじゃない?」

梨子「…!そうかも!ちょっと思い出に浸ってみる?」

曜「いいね!そうだねー…あえて一番ピークだった時の話とかしてみようか!」

梨子「そうね!…えーと…たしか高校二年生の2月頃だったかな?」

曜「あっ、やっぱりそれ?だよねー…あの時はたしか千歌ちゃんが家のお手伝いで先に帰ってて…部活も無くて…」

梨子「そうそう、皆の都合が悪くて曜ちゃんと二人になっちゃったんだよね」

曜「9人もいるから意外に二人になる事って少なかったというか…ほとんどなかったんだよね…」

梨子「そうならないように避けてたしね?」

曜「お互いにね?」

145: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:01:35.44 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…私達も帰ればいいのになんだか意地になって何も喋らないで黙々と作業してたよね」

曜「そうそう!なんか逃げるみたいで癪でさ!…私は衣装のデザインと…梨子ちゃんはあの時作曲してたの?」

梨子「楽譜の整理と見直し…だったかな…」

曜「ま、それで二人で黙ーって作業してたら…たしか梨子ちゃんから話ふってきたんだよね?」

梨子「…そうだったね」

………
……………
………………

放課後 

浦の星女学院 部室

曜(17)「……………」カキカキ…

梨子(17)「……………」ペラッ…カリカリ…

シーーーン…

曜「…………」カキカキ…サラサラ…

梨子「……………ねぇ」

曜「…………なに」カキカキ…

梨子「…………もう諦めて」

曜「…………」ピタッ…

梨子「……………」ジッ…

146: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:02:03.11 ID:dYi3GsTf.net
曜「……ふぅ…ようやく話しかけてきたと思ったら」

梨子「………もうこんなの良くないよ…お互いの為に…何より千歌ちゃんの為にならない」

曜「……なにが言いたいの」

梨子「………さっき言ったよ。もう千歌ちゃんの事は諦めて」

曜「………はぁ」

梨子「……二人してこんなギスギスしてたら千歌ちゃんだってその内感づいちゃうよ……」

曜「………」

梨子「……このままじゃ千歌ちゃんを哀しませる事に

曜「…うるさいよ」ガタッ…

梨子「………」ピタッ…

曜「……じゃあなに?千歌ちゃんを譲れって?梨子ちゃんに?」ズイッ…

梨子「…………譲れ?…フフ…なにそれ?まるで曜ちゃんに可能性があるみたいな言い方…」クスッ

曜「…は?」ピクッ…

梨子「……譲って欲しいなんて言ってないよ。諦めてって言ったの」

曜「…………」

梨子「…………そんな事しなくても千歌ちゃんは曜ちゃんの事ただの幼馴染としか思っt

曜「………!」ガシッ…
梨子「…………」

曜「………うるさいって…言ったよね…?」ギリ…
梨子「………殴るの?」

曜「…………」ギロッ…
梨子「…………」ジッ…

シーン…

148: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:02:35.45 ID:dYi3GsTf.net
曜「……その手には乗らないよ…ちょっとうるさかったから黙らせたかっただけ」パッ…

梨子「……そっ、残念…殴られちゃったら千歌ちゃんに相談してやろうかと思ったのに」

曜「どうせ殴られる覚悟なんてないくせに…性悪…」

梨子「曜ちゃんだって中々だよ?」

曜「………梨子ちゃんさえ転校してこなかったら…」ボソッ…

梨子「…!……へー?そういう事言っちゃうんだ?……プッ…フフッ……ウフフ…」クスクス…

曜「…何笑ってんの?」

梨子「だって…フフ…私が転校してこなかったらって…!ウフフ…まるで私がいなかったら千歌ちゃんは曜ちゃんのモノだった、みたいな言い方して」クスッ

曜「……!」

梨子「ありえないよね?」

曜「………」ピクッ…

梨子「…だって、曜ちゃんは千歌ちゃんとは小さい頃からズーッと一緒にいたのに何の進展も

曜「黙れっ!」ガタッ

梨子「……千歌ちゃんは渡さないっ…!」

曜「千歌ちゃんは…千歌ちゃんは梨子ちゃんのじゃない!!」

梨子「曜ちゃんのでもないよっ!!」ガタッ

曜「…梨子ちゃんなんかに渡すもんか…!」

梨子「生憎だけど千歌ちゃんは私に夢中だから」

曜「…………」ギリィ…

梨子「……言い返す事できないでしょ?曜ちゃんは千歌ちゃんにとって大切な幼馴染なのは確かだけど恋愛対象には

曜「……やめてよ」

梨子「やめない」

149: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:03:03.65 ID:dYi3GsTf.net
曜「やめろって言ってんの…!」

梨子「やめないよ。千歌ちゃんは曜ちゃんの事、なんとも

曜「レズのくせに…」ボソッ…

梨子「………!」ピクッ…

曜「……他の女の子はいいよ…好きにして…別にどうだっていい。…でも千歌ちゃんだけはやめて…!」

梨子「………どういう意味かな?」

曜「………千歌ちゃんだけはやめて…!私は…千歌ちゃんしか…駄目なの…!!」

梨子「…………」

曜「………どうせ梨子ちゃんは……女の子なら誰でもいいんでs

パシィンッ!

梨子「…最っ低……!」

曜「……顔はやめてよ…跡が残ったらどうすんのさ…千歌ちゃんにバレたら困るのはそっちだよ?…結局先に手を出すのは梨子ちゃんなんだね」ヒリヒリ…

梨子「貴女に…私の何がわかるの…!!」

曜「……知りたくもないよ」

梨子「曜ちゃんなんかただ千歌ちゃんに一方的に依存してるだけじゃないっ!!」

曜「………!」ピクッ…

梨子「言いたい事も言えない関係でなにが友達なの!?なにが幼馴染なの!?結局曜ちゃんは…」

曜「……やめて」

梨子「曜ちゃんは千歌ちゃんの事なにも信頼してないじゃないっ!!」

パチーンッ

150: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:03:31.05 ID:dYi3GsTf.net
曜「梨子ちゃんには…!!…梨子ちゃんには…わかんないよっ!!…私の気持ちなんて……!」

梨子「つ…ぅ…………ふ、フンッ…結局そっちだって手を出すんじゃない…」ヒリヒリ…

曜「…安心しなよ、力加減してるから跡なんか残らないよ?そんな大袈裟に涙目になる程なんかじゃないよ。思いっきりされた私の方が問題だよ」

梨子「…こんな時ですら曜ちゃんって後先の事考えちゃうんだね?そういう所が千歌ちゃんは

曜「いい加減にしなよ…ホントに」ズイッ…
梨子「人って図星つかれたら一番動揺するんだよ」キッ…

曜「あっそ、じゃあ梨子ちゃんもさっきは盛大に図星つかれたわけだ?」
梨子「……結局は曜ちゃんだって同類のくせにっ…!」ボソッ…

曜「梨子ちゃんと一緒にしないでくれる?」グイッ
梨子「そう…?まぁそうね、私だって曜ちゃんと一緒なんてイヤよ?」グッ…

曜「……………」ギリ…
梨子「…………」ジロッ…

シーーン…

ガチャ

千歌「忘れ物ーっと♪」

曜「っ!?」バッ‼
∥サッ
梨子「…っ!?」パッ‼

千歌「あれー?二人共まだ残ってたんだ?」

曜「う、う…うん!そうなんだ!アハハ!梨子ちゃんに相談乗ってもらいながら衣装のデッサンしてて!」

梨子「そ、そうなの!私もちょっと手伝ってて!」

151: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:04:00.05 ID:dYi3GsTf.net
千歌「そうなんだー?ごめんねー?うー…私も手伝いたいけど…美渡姉がうるさいから!」グヌヌ…

曜「アハハ…大変だねー頑張ってね?」

梨子「うんうん!」コクコクッ

千歌「ごめんねー!おっ、あったあった!はあぁぁ…忘れ物して時間も遅れたから絶対ドヤされるよぉー…それじゃ!急ぐからごめんねっ!」ダッ!

バタンっ…!

シーン…

曜「……………」ポカーン…

梨子「…………」ポカーン…

曜「……ふぅ……」ストンッ…

梨子「…はぁ………」脱力…

曜「…………」クタッ…

梨子「……………帰る……」

曜「梨子ちゃんの足で千歌ちゃんのダッシュに追いつけますかねー…」

梨子「違うよ……千歌ちゃん、急いでたし」

曜「はいはい」

梨子「……それにそんな事しなくても家は隣だもん」

曜「あっそーですかー」 

梨子「…………それじゃ」スタスタ…

ガチャ…バタンっ…

………………
…………
………

153: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:04:31.83 ID:dYi3GsTf.net
(26)「…………」

梨子(26)「…………」

曜「うん、無理」

梨子「そうね、一生無理…絶対笑い合えない」

曜「ドロドロし過ぎてフォローのスキもない」

梨子「別人レベルね…」

曜「忘れかけてた〇意が蘇るところだった…」

梨子「私も…」

曜「女の子って…昔の揉め事とか絶対忘れないよね…」

梨子「ズーッと覚えてるね…困った事に…」

曜「お互いの一番触れちゃいけないとこ容赦なくエグリあってたよ」

梨子「女の子同士のケンカって想像以上にドス黒いよね…特に恋愛絡みは…」

曜「ほぼ掴み合いになってたし…スクールアイドルデイズ一歩手前だよ…」

梨子「ホントに」

曜「黒歴史として永遠に封印しよう」

梨子「改めてこうして一緒にいる事の奇跡を実感したね…」

曜「あのやり取りが二ヶ月後くらいに全部水泡だからね」

梨子「やめて」

曜「青春が美しいなんてウソだよね…」

梨子「どっちかが男の人みたいにサッパリした性格なら美しくなるかもしれないけど、私は仕方ないとして曜ちゃんまでしっかり女の子だもんね」

曜「なにそれ…梨子ちゃんズルくない?なーんか私だけトゲがない?」

154: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:05:01.52 ID:dYi3GsTf.net
梨子「ホントの事でしょ?見た目はカッコよくてサバサバしてそうなのに中身はバッチリ女の子特有の面倒臭さを備えちゃったちょっと残念なイケメン曜ちゃん」クスッ

曜「ちょっとー…言い過ぎでしょ?」

梨子「だって実際そうでしょー?」

曜「むー…」ジト…

梨子「なーにー?…」ジト…

ようりこ「…………」ムムム…

曜「プッ…」クスッ

梨子「…フフッ」クスッ

曜「もー!梨子ちゃん最低ー!」

梨子「曜ちゃんだって大して変わらないよ!」

曜「なにをー!?…フフ…アハハハ!」ケラケラ

梨子「フフ……アハハ」キャッキャ

キャッキャ…ウフフ…

ーーーーー
ーーーー
ーーー

155: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:05:46.29 ID:dYi3GsTf.net
ーーー
ーーーー

曜「それでね、大学の同期で果南ちゃんのファンだって子に付き添い頼まれてダイビングショップに連れて行ってあげたんだけど果南ちゃんが相変わらず天然タラシでさー」ケラケラ

梨子「そうなんだ?フフ…果南さん美人だし中身もカッコイイもんね?なんちゃってイケメンの曜ちゃんと違って?」クスッ

曜「もー!梨子ちゃんっていつも一言余計だよね!」

梨子「フフ…ごめんごめん?」クスクス

曜「…と、そろそろ時間かな?出よっか?…結構お喋りしちゃったね」

梨子「あっという間だね?」

曜「アルコールなくても喋れるんだね、私達」ニヤッ

梨子「そうだね?それで、次はどこに行くの?」クスッ

曜「それは着いてのお楽しみ♪ついでに荷物はコインロッカーに預けとこっか?」ガタッ

梨子「そうだね」ガタッ

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

16時 駿河湾

遊覧船内

ボー…ボー…(汽笛)

梨子「わぁ…船に乗るなんて凄く久々…」

曜「でしょ?乗ろうとしないと絶対乗らないもんね」

156: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:06:14.43 ID:dYi3GsTf.net
梨子「学生時代は淡島に行く時くらいだったね、小型船だけど…」

曜「まぁこんなこと言って実は私も凄く久々なんだ!梨子ちゃんのおかげで良い機会が出来たよ」

梨子「そうなんだ?ヨーソローのせいでしょっちゅう船に乗ってるイメージなのに」クスッ

曜「ねぇ、デッキに出ようよ!今日は天気もいいから富士山がはっきり見れるよ!」

梨子「うん♪」

ーーー
ーー


遊覧船 デッキ

梨子「……潮風が気持ちいい」ソヨー…

曜「やっぱり海はいいねー…うーん!」ノビー…!

梨子「そうだね…」

曜「んー……何処かに制服姿の船員さんはいないかなー?」キョロキョロ…

梨子「それが目的?」クスッ

曜「ちょっとね?でも残念ながらこういうクルーズの客船って乗員とお客さんのエリアバッチリ別けられてるからほとんど見れないんだよねー」

梨子「残念だね?」

曜「そーなんだよー本場の制服拝むチャンスなのにさー……あ、ほら!梨子ちゃん!富士山!」

梨子「ホント…今日は空気が澄んでてハッキリ見えるね」

曜「ね?まぁ沼津にいると何処かしらで見ようと思ったら見れるけど…船の上から見る富士山は格別だよねー♪」

157: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:06:56.48 ID:dYi3GsTf.net
梨子「うん……それに…夕陽に照らされてとっても綺麗…」

曜「そうだね…」

梨子「……………」ウットリ…

曜「……………」

ザザーン…

梨子「……私…波の音好き…」

曜「私も…落ち着くよね…」

梨子「うん……」

ザザ…  ザーン…

梨子「……曜ちゃん」

曜「んー?」

梨子「今日はありがとう…」

曜「…う、うん///……でもまだ終わってないんだけど…」

梨子「わかってるけど…海のおかげかな?ちょっと今言いたくなったの…ありがとう…今日とっても楽しかった」

曜「っ!//……そ、そっか…良かった」テレ…

梨子「うん………」

ザーン…ザザー……

曜「…………なんか…梨子ちゃんって夕陽が似合うね?」

梨子「え…?そう?」

曜「うん、なんか色合いもそうだし雰囲気も夕陽っぽい…上手く言えないけど」

梨子「…ふーん……でも…曜ちゃんだって夕陽似合うよ?」

曜「え?私?…そうかなー?」

158: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:07:31.22 ID:dYi3GsTf.net
梨子「うーん…それとも曜ちゃんは夕陽と言うより……夕焼けが似合う、かな?」

曜「一緒じゃない?どう違うの?」クスッ

梨子「ニュアンス?」

曜「絶対適当だー」ケラケラ

梨子「そんなことないよー?」クスクス

曜「ホントかなー?梨子ちゃんって結構その場のノリで喋ったりするとこあるもん」

梨子「そんなことありませんー」

曜「そう?…フフッ」クスクス

梨子「そうだよ!…フフッ」クスクス

ザザーン…

曜「……………」

梨子「……………」

曜「…寒くない?」

梨子「ううん、平気。…曜ちゃんは大丈夫?」

曜「全然平気」

梨子「そっか」

曜「…寒いって言ったらどうしてくれたの?」ニヤリ

梨子「何もしないけど?まだここにいたいから我慢して、って言う」

曜「」

梨子「…フフ…冗談♪」クスッ

曜「………まったく」ツンッ

梨子「フフッ……ごめんね♪」

曜「はいはい」クスッ

160: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:07:55.42 ID:dYi3GsTf.net
ザザーン…

梨子「……ホントに綺麗…」

曜「うん…」

梨子「…………」

曜「…………」ソッ…

ギュッ…

梨子「…っ!?///ちょ、ちょっと曜ちゃん……手っ…!///」

曜「だめ…?//」ギュ…

梨子「…だ、駄目じゃ…ないけど…外だし……周りに他のお客さんもいるし…///」

曜「それなら大丈夫!前方はこの通り海だし、後ろから見ても身体で死角になってるからただ並んで手すり掴んでるようにしか見えないよ」

梨子「……で、でも…//」

曜「…もー恥ずかしがりやだなー……と言うか梨子ちゃん夕陽みたいに顔真っ赤だよ?」ニヤリ

梨子「…なっ!?//…こ、これぐらい平気だから!」

曜「ならいいでしょ?綺麗な夕陽のせいでちょっとセンチな曜ちゃんなんだ?」ニコッ

梨子「なにそれ………もう///」ギュッ…

曜「………フフ…//」ギュッ…

161: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:09:43.62 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…言っときますけど曜ちゃんだって顔赤いんだからね…!」

曜「私は夕陽のせいだよ//」

梨子「なにそれ……なら私だって夕焼けのせいですー!//」

曜「へー?…フフッ…そっか…//」ニコッ

梨子「もう……//」

ザーン…

梨子「…………///」ドキドキ…

曜「…………///」

梨子(…なんだろ……私…凄くドキドキしてる……手をつなぐ事くらいで…どうしちゃったんだろ…)

曜「…………」

梨子(…曜ちゃんとは…もっと凄い事だって…もう何度もしちゃってるのに…)

曜「…………」

梨子(………そっか。そうだよね……好き…なんだね……曜ちゃんの事…)

曜「…………」

梨子(最後に…ちゃんと自分の気持ちに向き合えて良かった…)

梨子(………最後…か…)

162: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:10:13.64 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………」スッ…

コテン…

曜「……っ!//…あの…梨子ちゃん?さすがに肩枕は後からでも誤魔化せないよ?」

梨子「そうだね…ちょっと私…変かも…多分…素敵な夕焼けのせい…かな…」

曜「…そっか…なら仕方ないね?」クスッ

梨子「うん……」スリ…

梨子(………私…ちゃんと曜ちゃんの事……好きだったんだ…身体の関係とか関係無しに…)

曜「…………」ギュッ…

梨子(………曜ちゃんの事…身体の関係があるから好きって錯覚してるんだって思い込もうとしてたけど…私……曜ちゃんが…曜ちゃんだから好き…なんだね……)

曜「………」ゴクリ…

梨子(…………私…ちゃんと…また人を好きになれたんだね……)

曜「………あのさ…梨子ちゃん」

梨子(…ちゃんと気付けて良かった……曜ちゃんのおかげかな…ありがと………曜ちゃん………)

曜「………あれ?…あの……梨子ちゃーん?」

梨子「あっ……えっ?な、なに?」ビクッ

曜「さっきから呼んでたんだけど…」

梨子「ご、ごめんなさい…考え事してた…」

曜「そっか…」

梨子「…えと…なに?」

163: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:10:41.65 ID:dYi3GsTf.net
曜「あ…うん……………」

梨子「………?」

曜「……………なんでもない」

梨子「え…?」

曜「もうちょっとこのままでいい?」

梨子「………うん」ギュッ…

曜「………」ギュッ…

梨子「………………///」ドキドキ…

曜「………………」

ザザーン… ザザザ…


ーーーーー
ーーーー
ーーー

ザザ…

曜「………」

梨子「………」ドキドキ…

曜「………ふぅ…」スゥ…ハァァ…

梨子「…どうしたの?寒い?」

曜「……あ、ううん………ちょっと昔の事思い出してた」

梨子「…ちょっと…もう封印するって言ってたでしょ!」

曜「アハハ…そっちじゃないよ?小さい頃の事」

梨子「小さい頃…?」

曜「私の小さい頃の夢ってね…フェリーの船長さんだったんだ」

梨子「…そうなんだ」

曜「お父さんが定期船の船長さんだからね?その影響で」

梨子「………」

164: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:11:08.70 ID:dYi3GsTf.net
曜「お父さんの制服姿が格好良くて大好きで…絶対船長さんになるんだー、って思ってたな…って」

梨子「…そっか」

曜「……梨子ちゃんは?」

梨子「…私?」

曜「……梨子ちゃんの子供の頃の夢ってなんだったの?」

梨子「……私の夢……」

………
…………
……………

幼梨子「………」カキカキ…

梨子ママ「梨子ちゃんはお絵かきも上手ね」

幼梨子「うんっ!りこ、お絵かき好き!でもりこ、ピアノを弾く方がもっと好き!」

梨子ママ「あらそう?ウフフ…ねぇ梨子ちゃん?梨子ちゃんは大きくなったら何になりたい?」

幼梨子「大きくなったら…?」

ママ「パパやママみたいに大きくになったら何になりたい?」

幼梨子「大きくなったら……うーん…」

ママ「ウフフ…まだ梨子ちゃんには難しかったかな?」

幼梨子「う~ん……あっ!あったよ!なりたいの!」

ママ「あら?なになに?ママに教えて?」

幼梨子「えとね、りこはね!大きくなったらーーー

………………
……………
………

166: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:11:35.53 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………」

曜「…………」

梨子「……ピアニストになるんだって思ってた…かな」

曜「やっぱりそっか」

梨子「うん………」

曜「………………」

サザーン…

曜「………ちょっと暗くなってきたし戻ろうか?もうすぐ帰港だし」

梨子「…………」ギュッ

曜「…梨子ちゃん?」

梨子「………もう少し…ここにいていい?」

曜「…うん…いいよ、アナウンスがあるまでいよっか」

梨子「ありがと…」

曜「うん…」

梨子「夕陽…沈んじゃうね…」

曜「……うん」

ザザーン…

梨子(………曜ちゃん…)

ーーーーー
ーーーー
ーーー

167: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:12:11.47 ID:dYi3GsTf.net
駿河湾港

曜「いやー満喫したねー…」

梨子「うん…一生分富士山見たかも…」

曜「………」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「あ…ううん…。梨子ちゃんさすがにちょっと身体冷えちゃったでしょ?大丈夫?」

梨子「ううん…ちょっと熱いくらいかも…」

曜「……なんか今のちょっと色っぽかった」ニヤッ

梨子「……こらっ///」ペシッ

曜「フフ……それじゃご飯食べに行こうか?近くに海見ながら食べれるレストランがあるみたいだから予約してあるんだ♪まぁ夜の海だから眺めは期待できないけどね」

梨子「そうなんだ?…それにしても曜ちゃんはエスコートが上手ね?」

曜「まぁねー?」ニコッ

梨子「………」

曜「さっ、行こっか」

梨子「………」スッ…

ギュッ…

曜「…!……梨子ちゃん?///」ドキッ…

梨子「…手を繋ぐぐらい平気なんでしょ?」

曜「…それは梨子ちゃんが言ったんじゃ……」

梨子「…………///」ギリギリギリ…

曜「いった!いたたた!意外と握力強い強い!」

168: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:12:39.64 ID:dYi3GsTf.net
梨子「ピアノ弾きは人の何倍も指を動かすのよ?だから当然」フフンッ

曜「そんなものなの…?」

梨子「そうなの!」

曜「変なの?フフッ…//」ギュッ

梨子「…………//」ギュッ…

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

高そうなお店

店員「いらっしゃいませ…」

曜「予約してた渡辺です」

店員「お待ちしておりました…こちらです…」スッ…

コツコツコツ…

店員「こちらの席でお待ち下さい…」

コツコツコツ…

梨子「あの…曜ちゃん?なんだか高そうなお店だけど…」キョロキョロ…

曜「ん?あぁここは私が出すから気にしないで?」

梨子「えっ!?駄目よそんなの!」

曜「まぁまぁ!勝手に決めちゃったしさ、何より一度来てみたかったんだよねーこのお店!さすがに一人じゃこれないでしょ?」

梨子「そういう訳にはいきません!」

曜「そんな意固地にならなくても…まっ、安心してよ?その代わり梨子ちゃんには別の形で働いてもらうから?」

梨子「えっ…?」

169: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:13:07.81 ID:dYi3GsTf.net
曜「あっ、やらしい想像したでしょ?」

梨子「…っ!//……曜ちゃんの日頃の行いのせいですー!」

曜「おやおやそれはお互い様でしょー?」

梨子「もう……それで別の形って…」

曜「ま、それは置いといて今は料理を楽しもうよ?」

梨子「あのね…」

曜「ほら、このコース料理でいいよね?」

梨子「なにそれ…もう…///」

曜「コース料理なんて久々だなぁ」ワクワク

ーーー
ーー



店員「こちら前菜の…」ペラペラ…

曜「おぉ…」

梨子「わぁ…」

ーーー


店員「魚料理です…こちらは今朝とれたての新鮮な…

梨子「美味しいね曜ちゃん♪」

曜(凄く美味しいけどなんか少ない…)

梨子「…曜ちゃん?」

曜「あ、うん!美味しいねぇ!なんか綺麗で!」

梨子「うん♪」

曜(…梨子ちゃんが喜んでくれてるならいいか…)

170: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:13:35.83 ID:dYi3GsTf.net
ーーー
ーー


店員「こちらメインディッシュの和牛ヒレの…」ブツブツ…

曜「ゆっくり食べるからお腹膨れてきた…」

梨子「曜ちゃんパン食べ過ぎ…」

曜「おかしいなぁ」

店員「よろしければ赤ワインはいかがですか?」

曜「いただきます…」

トポポポ…

梨子「…♪」モグモグ…

店員「お連れ様は」

梨子「あ、はい…少し…」

トポポ…

店員「失礼します…」スッ…

曜「ん……んー…さすが肉料理とよく合ってて美味しいけど…赤ワインってやっぱりよくわからないなぁ…」クイッ…

梨子「そうやってがぶ飲みするものじゃないの!こうやって香りを楽しんだりして…」クルクル…

曜「わかってるけど……って梨子ちゃん、ちょっと赤ワイン似合い過ぎ!」クスクス

梨子「そう?」

曜「善子といい勝負だねー」

梨子「えっ…よっちゃん?」

曜「」

171: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:14:29.68 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…よっちゃんと最近飲みにいったりしたの…?」

曜「い、いやいや!イメージ!イメージだよ!だって善子ってほら、赤ワインとかなんか小洒落た持ち方しながら悪魔の生き血がどうのブツブツ言いながら飲んでるイメージない?
あっ!て言うか飲んでたじゃん!千歌ちゃんの結婚式の時に! 」ペラペラ!

梨子「……………。……まぁ…そうだね?」

曜「でしょでしょ?梨子ちゃんそうやってワイングラスクルクルしてる様が絵になり過ぎだよ!そう言えば鞠莉ちゃんも赤ワイン好きだったなー!
まぁ鞠莉ちゃんの飲むワインって桁が2つくらい違うけど! なんか…さすがGuilty Kissって感じ!皆赤ワイン似合うよね! アハハ」ペラペラ!

梨子「…なにそれ?フフッ……まぁ…そんなこと……あるけど?……ん…」クイッ…

曜「……どう?」

梨子「うん………美味しい」

曜「さいですか…」

梨子「……でもホントはハイボールの方が好き」クスッ

曜「だよねー?梨子ちゃんハイボール好きだね?」

梨子「甘くないからだいたいのお料理にも合うしね?ビールばっかりは飽きちゃうから…」

曜「あーそう言えば梨子ちゃんいつも後半はハイボールばっかり飲んでるよね」

梨子「困った時はハイボールだよね」

曜「わかる」クスッ

ーーー
ーー

172: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:14:57.79 ID:dYi3GsTf.net
店員「こちらデザートの…」ブツブツ…

曜(なにこれ可愛い…)

梨子(なにこれ可愛い…)

曜「ん……甘ぁ♡やっぱり甘いものは別腹だよねぇ…」パクッ

梨子「おいしぃ…♡」ウットリ…

ーーー
ーー


曜「ごちそうさまー…あー…食べたねぇ」

梨子「ご馳走様でした…うん、凄く美味しかった」

店員「お下げします…後ほど食後のコーヒーをお持ちしますので」

曜「はーい」

梨子「はぁ…ホント美味しかった…♡」

曜「いやホントに…ほとんど料理の話しかしなかったね」

梨子「そう言えば…私さっきから美味しいしか言ってなかった」

曜「ホントに」クスッ

梨子「こんなとこよく見つけたね?」

曜「割りと有名だよ?リーズナブルだし」

梨子「有名なんだ?」

曜「うん!調べたらすぐ出てきたよ」

175: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:16:07.04 ID:dYi3GsTf.net
店員「失礼します…お待たせしました、コーヒーです…」カチャ…

曜「あ、どうも」

店員「…失礼しますお客様、お部屋の件ですが準備は出来ておりますのでいつでもお申し付けください」

曜「!…わかりました!ホントすみません、ありがとうございます!」

梨子「えっ…」

店員「では失礼します」コツコツコツ…

曜「………」カチャカチャ…

梨子「…………あ、あの…曜ちゃん…」

曜「んー?」フー…フー…

梨子「お部屋って……」

曜「…コーヒー飲まないの?」

梨子「……飲むけど…//」カチャ…

曜「……ん……ふぅ…食後のコーヒーって美味しいね?」ズズ…

梨子「…………うん//」カチャカチャ…

曜「……梨子ちゃんどうしたの?なんか顔が赤いけど」ニヤニヤ

梨子「…~っ!あのねぇ…!」

曜「フフッ…コーヒー冷めちゃうよ?」クスッ

梨子「……もうっ!」プイッ

曜「…………」ズズ…

ーーー
ーー

176: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:16:27.29 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………//」ズズ…

曜「ふぅ……」カチャ…

梨子「………//」カチャ…

曜「…飲み終わった?」

梨子「…う、うん……」

曜「じゃあ………あ、すみません、そろそろお願いします」

店員「かしこまりました」

梨子「」ピクッ…

曜「じゃ、いこっか?」

梨子「行くって…ど、どこに…?///」

曜「ついてからのお楽しみ♡」ガタッ…

梨子「あ、ちょっと……!//」ガタッ…

ーーーー
ーーー
ーー

177: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:16:59.48 ID:dYi3GsTf.net
小さめのホール

ガチャ

店員「こちらです」

曜「すみません、ありがとうございます」

梨子「……?」

店員「では30分程でよろしければ…」

曜「十分です!ありがとうございます」

店員「本日はもうこの部屋は使用しませんのでお時間が足りなければお申し付けください。それではごゆっくり…」スッ…

バタン…

梨子「あの……曜ちゃん…ここって…」

曜「ふふーん♪ほら梨子ちゃん、あれ!」

梨子「……?」チラッ

グランドピアノ「」

梨子「あっ…」

曜「あのさ…久しぶりに梨子ちゃんのピアノ…聴かせてくれない?」

梨子「ピアノ……」

曜「そっ、ピアノ!…どうしても梨子ちゃんのピアノが聴きたくて…実はこのお店選んだのもピアノ聞きながら食事できるホールがあったからなんだ?」

梨子「…なんだ…そゆことね……」

178: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:17:36.64 ID:dYi3GsTf.net
曜「おやおや?梨子さん、何をご想像してたのかなー?」ニヤリ

梨子「…っ!///…あのねぇ!曜ちゃんがあんな言い方するからでしょ!」

曜「えー?私やらしい事するなんて一言もいってないよー?」

梨子「しないとも言ってないでしょ!」

曜「アハハ!まぁまぁ、今日の日の記念に一曲聴かせてよ?私だけのために♡これってけっこう贅沢じゃない?依頼料はさっきの食事代ってことで!」

梨子「もう!…でもこんな部屋借りるの高かったんじゃない…?」

曜「あぁそれがね、私も使用料的な料金とかチップなり払いたいっていったんだけどね?ピアノを弾くだけなら無料で結構です、って言われて…」

梨子「えっ…そうなの?」

曜「この部屋で食事したり貸し切ったりするなら必要みたいだけどピアノ弾くだけで短時間ならって結構ですって…その代わりまたお越しください、ってさ?さすがいいお店はお料理だけじゃなくてサービスもいいよね?」

梨子「そうなんだ…」

曜「ね、弾いてくれる?お願い!」

梨子「もう…そうならそうって最初から言ってよね……」ガタッ…

曜「あー…酔っちゃってる?」

梨子「あれくらいなら全然平気」

ストン…

梨子「………」スッ…

グランドピアノ「…♪……」ピーン…

梨子「良い音…」

曜「うん…」

179: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:18:04.74 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……ふぅ……それではお客様?何かリクエストはございますか?」

曜「なんでもいいよ?梨子ちゃんの好きな曲でもいいし…」

梨子「…うーん…それじゃあ…」スッ…

曜「…………」ジー…

梨子「……って、曜ちゃん…そこで聴くの…?」

曜「えっ…?だめ?」

梨子「だ、だめじゃ…ないけど…その辺に椅子とかあるでしょ?」

曜「できればここでこうやって聴きたいな?一番の特等席だと思うんだけど…」

梨子「で、でも…///」

曜「この聴き方知らない?伝説のスクールアイドルの元μ'sで…えーと…ほら…すっごく可愛いけどちょっと残念な感じの痛キャラの…」

梨子「………矢澤にこさん…?」

曜「そうそう!一年生の矢澤にこさん!」

梨子「…当時三年生ね」

曜「あっ……」

梨子「……ダイヤさんに気絶するまで怒られるよ」

曜「…この場にいたら間違いなく盛大にカミナリが落ちてたね…。ほ、ほら、その矢澤にこさんがやってたピアノの聴き方!ちょっと憧れてたんだよね?」

梨子「…でも……//」

曜「……ダメ?あっちの席で座ってた方がいい?」

梨子「…ダメじゃない…けど…ハァ…もうそこでいいよ…!///」

曜「やった♪」

梨子「もう……//」

180: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:18:32.59 ID:dYi3GsTf.net
曜「それじゃあ…よろしくお願いします、桜内先生?」パチパチパチ…

梨子「…はい、こちらこそ…お客様?」スッ…

グランドピアノ「」ヨロシク

曜「………」ジッ…

梨子「………//」チラッ

曜「…?……」ニコッ

梨子「……っ!///」ドキッ…

曜「……フフッ♪」ニコニコ…

梨子(ニコッ…じゃないよ…!絶対わざとやってる!……と言うかホントなにこの状況…///)

梨子(もう…!……でも…今なら最高の曲が弾ける気がする…)

梨子(……曜ちゃん…今夜はこの曲を…貴女を想い…貴女だけの為に捧げます)スッ…

グランドピアノ「…♪~…♪…♪~」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

181: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:19:00.94 ID:dYi3GsTf.net
グランドピアノ「…♪…♪~♪…」

曜(…!…えっ……この曲…)

曜(千歌ちゃんの…結婚式に弾いてた曲…?)

グランドピアノ「♪…♪~♪~…」

曜(……と、思ったけど……ううん、違う…だいぶアレンジされてる…アレンジと言うか…ほとんど別の曲…かな?…)

グランドピアノ「…♪…♪…♪~…」

曜(…なんだか……凄く切ない…胸が締め付けられてるみたいで……なんか…ピアノが泣いてるみたい…それでいて…ちょっと……情熱的…)

グランドピアノ「…♪~♪♪…♪…」

曜(…凄い……こんな凄いの…初めて聴いた…音楽のことなんてわからないけど…今まで聴いたどの演奏よりも…凄い…)

グランドピアノ「♪…♪~…♪」

曜(…なにこれ…こんなの…想像以上だよ…反則だよ…凄すぎるよ…)

グランドピアノ「♪~♪…♪…」

曜(切なくて…どこか悲しいけど…梨子ちゃんの…大好きって気持ちと…凄く大切って気持ちが…伝わってくる…)

曜(梨子ちゃんにとって…ピアノって…本当に…本当に大好きで…大切な存在だったんだね……)

グランドピアノ「………♪~…♪…」

曜(そっか……そうだったんだ……)

曜(………千歌ちゃん……今ならあの時の千歌ちゃんの気持ち…よくわかるよ…)ホロリ……

グランドピアノ「……♪~♪…♪…」

曜(……梨子ちゃん…)

ーーーーー
ーーーー
ーーー

182: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:19:29.26 ID:dYi3GsTf.net
グランドピアノ「♪~…♪~…ーーー」

梨子「………ふぅ…」スッ…

曜「…………」ホロ…ホロリ…

梨子「……どうかな…って…えっ…!?」ビクッ

曜「……え…?」ッー…

梨子「よ、曜ちゃんっ!?」

曜「…あっ…ご、ごめん!聴き入ってた!」パチパチパチ!

梨子「そ、そうじゃなくて……大丈夫…?」

曜「えっ、なにが?」

梨子「涙…出てるけど…」

曜「え…?……あっ!///」サッ…

梨子「……大丈夫…?」

曜「あ、あはは!平気平気!ジーンとしてたのはわかってたんだけど…あー…恥ずかしっ…!///」グシグシ…

梨子「う、うん……///」

曜「…………///」グシグシ…

梨子「……どうだった?」

曜「どうだったって…それ聞く?…見ての通りだよ…わかるでしょ?///」

梨子「……ううん、わからない。教えて?」

曜「っ!///…はぁ……すっごく感動したよ。…ホントに…聴き入っちゃった…こんな凄いピアノソロ聴きいたことないよ…」

梨子「そっか…よかった…//」

183: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:19:57.37 ID:dYi3GsTf.net
曜「ねぇ、さっきの曲…タイトルはなんていうの?」

梨子「曲名?…特にないけど…」

曜「えっ…勿体無いなぁ…」

梨子「作詞はちょっと苦手だから…」

曜「そっか…」

梨子「……どうして泣いてたか…聞いていい?」

曜「それも聞くの…」

梨子「…聞かせて?」

曜「…うーん……自分でも…ちょっとわからないんだ…なんて言ったらいいか……」

梨子「…………」

曜「……ホントに気が付いたら涙が出てただけで…」

梨子「…そっか」

曜「上手く感想言えなくてごめんね?本当に凄かった…」

梨子「ううん、大丈夫…だって…泣くほど感動してくれてたんでしょ?言葉より…嬉しい…///」

曜「そ、そっか…あはは…でも出来れば忘れて欲しいかなーって…」

梨子「だめ」

曜「あぁ…」シュン…

185: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:20:25.56 ID:dYi3GsTf.net
梨子「フフッ…女は忘れない生き物だからね?…ズーッと覚えとく」

曜「もー!勘弁してよ…//」

梨子「…フフッ♪…最後に曜ちゃんに聴いてもらえて良かった…」

曜「えっ……」ドキッ

梨子「……転職の事…知ってるんでしょ?」

曜「……さすがにバレてた…?」

梨子「もしかして、って思ったのは…船で私の子供の頃の夢の話をしてきたあたりから…」

曜「…そっか」

梨子「…よっちゃんから聞いたの?」

曜「…うん。ごめんね、黙ってて」

梨子「ううん…黙ってたのは…私の方だから」

曜「そんな…」

梨子「それにしてもよっちゃんめ…堕天使の誓いはどうしたのよ…」

曜「…善子を責めないであげて?善子…梨子ちゃんの事…すっごく心配してて…」

梨子「わかってる…」

曜「………善子って…私達より全然大人だよね…」

梨子「うん…ホントに…私…よっちゃんに何度助けられたかわからない……」

曜「……。……そっか…ホント良い子だね…善子は」

梨子「うん……」

曜「……………」

186: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:20:56.25 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…あの…と言う事はよっちゃんは……」

曜「……?」

梨子「…私達の事…感づいてたって事……?」

曜「ん………んー…」

梨子「…………」

曜「うーん…どうかな?梨子ちゃんの失言で何かあるな、って当たりをつけただけみたいだし…全部は知らないと思うよ(学生の頃から…っていうのは黙っておこう…)」

梨子「……失言?」

曜「うん…転職の話…特に私には言っちゃ駄目って言ったんでしょ?」

梨子「……?…そんな事言ってないけど…」キョトン…

曜「えっ…あれ?だってそう…」

梨子「そんなあからさまな事言うわけ無いでしょ…まだわからないから皆に黙っててって言っただけだよ」

曜「へ?……そうなんだ?…あれ…と言う事は…」

梨子「……カマをかけてたのかもね…バレバレだったのかも……」

曜(本当に堕天眼とやらの持ち主なのか善子は…)

187: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:21:30.86 ID:dYi3GsTf.net
曜「………凄いね…善子ちゃん…」

梨子「……ごめんね」

曜「…なんで謝るの?」

梨子「私のせいで…曜ちゃんまでよっちゃんにバレちゃって」

曜「…ちょっとよくわからないけど」

梨子「……私と曜ちゃんの関係…よっちゃんにバレちゃってたんでしょ?」

曜「…どこまでか、とかはわかってないだろうけど……感づいてはいたね…」

梨子「…そっか…。巻き込んじゃってごめんね…?」

曜「…どういう事?」

梨子「だって…私はもう白状してたからいいけど…曜ちゃんまで……」

曜「…………」

梨子「……………」

曜「…ちょっと意味がよくわからないけど…善子がそんなことで人を判断したり引いたりしないって事は…梨子ちゃんが一番わかってるんじゃないの?」

梨子「…………うん…」

曜「大切な親友でしょ?そんなこと言ったら…善子悲しむよ?」

梨子「……うん…そうだね…」

曜「……………」

梨子「…………」

曜「…………海外に勤務なの…?」

梨子「……………うん…」

188: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:22:18.22 ID:dYi3GsTf.net
曜「もう決定…?」

梨子「…ううん、まだ向こうに正式に返事はしてないけど…ほぼ決定…かな…」

曜「…そっか」

梨子「………」

曜「…………場所…変えよっか?…もうそろそろ時間だし」時計チラッ

梨子「………うん」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

駿河湾 海岸沿い

ザザー…

曜「すっかり暗くなっちゃったねー」

梨子「……夜の海って…なんかちょっと怖いね?」

曜「生物の本能かもね?夜の海は危ないから…果南ちゃんレベルくらい泳げないと簡単に溺れちゃうんだ?」

梨子「そうなんだ…」

曜「……寒くない?大丈夫?」

梨子「うん…平気」

曜「………月明かりがあって良かった……ちょっと歩こっか?」

梨子「うん…」

ザザ…

曜「………」

梨子「………」

189: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:22:46.19 ID:dYi3GsTf.net
曜「……」スッ

ギュッ…

梨子「……!……曜ちゃん…」

曜「…暗いから…はぐれたら危ないでしょ?」

梨子「……うん」ギュッ…

曜「…………」

梨子「富士山…もう全然見えないね…」

曜「そう?月明かりもあるし…もう少し目が慣れたらうっすら見えてくると思うよ」

梨子「そうかな?」

曜「人間の慣れって凄いよ?」

梨子「…そうかもね」

曜「…………」

梨子「…………」

ザザー

梨子「…波の音…海岸からちょっと遠いのに結構聞こえるね…」

曜「変な感じだよね?真っ暗で何も見えないのに…」

梨子「そうね…」

ザザーン…

曜「…あそこに見晴台があるから…ちょっとそこで話…しよっか?」

梨子「うん…」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

190: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:23:18.37 ID:dYi3GsTf.net
見晴台

ザーン…

曜「んー…そこそこいい眺めだね!…対岸線にポツポツ見える灯りは…静岡かな?」

梨子「意外と見えるんだね…」

曜「まぁまだそこまで遅い時間じゃないし…灯りがついてたらね…灯りが消えたらもうなんにも見えないよ」

梨子「うん…」ブルッ…

曜「………梨子ちゃん寒いんでしょ」

梨子「えっ…ううん、平気…」

曜「…………」スッ

ギュッ…

梨子「え、ちょっ…平気だってば…!///」

曜「私が寒いの」ギュッ…

梨子「でも……」

曜「周りに誰もいないから大丈夫だよ」

梨子「…もう………」

ザーン…ザザザ…

曜「………海外に行くこと…どうして黙ってたの…?」

梨子「……………」

曜「……そりゃ…梨子ちゃんの人生だし…私が口を出す問題じゃないけど…」

梨子「………」

曜「……国内ならともかく…海外ならさ…なんだかんだ結構な頻度で会ってたし…全く関わりがないってわけじゃなかったんだから…一言くらい…欲しかった…かな…」

梨子「…ごめんね」

曜「…ううん、ごめん…責めてるわけじゃないんだ…ただ…」

梨子「…………」

曜「……ちょっと…寂しいなって」

梨子「ごめん…」

曜「……………」

梨子「……………」

191: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:23:46.64 ID:dYi3GsTf.net
曜「………やっぱり…私って…頼りなかった?」

梨子「えっ…」

曜「…私が善子に比べて頼りないから……」

梨子「…!?えっ、違うよ!そうじゃなくて…!」

曜「……じゃあどうして…?」

梨子「…それは……」

曜「…………」

梨子「………」

曜「教えて…くれないの?」

梨子「その……」

曜「……やっぱり私が梨子ちゃんに甘えてばっかりだったから…?」

梨子「…っ!それは違うよ!」

曜「…!……」

梨子「…むしろ…逆だよ…」

曜「……逆?」

梨子「……私ね…変わらなきゃって…思ったの」

曜「……!…」

梨子「………今からちょっと…酷い事言うね…?」

曜「……うん」

梨子「…千歌ちゃんにフラれちゃって…ホントに悲しくて…寂しくて……また前みたいに一人ぼっちに…なっちゃうんだって…やっぱりこんな私は………女の子が好きな私は…ずっと一人ぼっちなんだってなった時……」

曜「………」

梨子「……隣で同じ様に打ちひしがれてた…曜ちゃんがいて…」

曜「…………」

193: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:24:44.39 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………」

梨子「……あのね…私ね…その時…」

曜「……………」

梨子「……………」

曜「………梨子ちゃん…?」

梨子「…………巻き添えにしてやろうって…思ったの…」

曜「巻き添え?」

梨子「………私ね…子供の頃から女の子が好きで…どうしてもそれは…変えられなくて…でももう…新しく恋をしたりなんて絶対出来ないって思った…」

曜「………………」

梨子「……でもね、曜ちゃんは…違う…曜ちゃんは変われる強さもちゃんと持ってるし…多分…男の人と…ちゃんと恋愛できる人…」

曜「………ふぅ…」

梨子「…だって…曜ちゃんはなんでも出来て…クヨクヨする女々しい所だってあるけど…ちゃんと乗り越えられる強さを持ってる人って…分かってたから…」

曜「…………梨子ちゃんまで…そんなこと言うんだね…」ボソッ…

梨子「えっ…?」

曜「……ううん、続けて?」

梨子「…………。……千歌ちゃんにフラれた時…あの時はまだ曜ちゃんの事…嫌いで…私はこれからずっと一人ぼっちで生きてかなきゃいけないのに…
曜ちゃんは…時間がかかるかもしれないけど…絶対立ち直って…ちゃんと前に進む人だって…男の人とも付き合える人だって…わかってたから…」

曜「………」フー…

梨子「……私ね………私っ……」ブルッ…

曜「……………」ギュッ…

194: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:25:13.70 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……それが………許せ…なかった…」ポロ……

曜「うん………」

梨子「巻き添えにしてやろうって……思ったの……」ポロ…ポロ…

曜「…うん………」

梨子「…ヘコんでる曜ちゃんを…私に縛り付けて……離してやるもんかって……逃してやるもんか…って………グスッ…」ポロ…ポロ…

曜「……………」ナデナデ…

梨子「……グスッ…。…案の定…曜ちゃんは…私の事…ほっておけなかった…」グシグシ…

曜「……………」

梨子「…憎まれ口叩きながら…なんだかんだ…側にいてくれた…」

曜「…………」

梨子「…………内心…ほくそ笑んでた…こんな辛い道に…引きずりこんでやったって……最低でしょ?」

曜「……かもね」

梨子「………でもね…」

曜「…………」

梨子「…千歌ちゃんの事…吹っ切れて……それから、お父さんとお母さんに…自分の事話した時……本当に後悔した…」

曜「…………」

梨子「…私が…最低なばっかりに…私が、女の子が好きなばっかりに…どれだけの人が不幸になっちゃったのかなって……」

曜「……………」

梨子「私……全然周りが見えてなかった…」

曜「…………なるほどね…」

梨子「……もう曜ちゃんから離れなきゃって…解放してあげなくちゃって………もう変わらなきゃって…思ったの」

曜「……それで…海外…?」

195: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:25:45.60 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…環境を変えなきゃって思って…きっと…私は…曜ちゃんを求めちゃうから…」

曜「……なにも黙っていかなくても……」

梨子「…曜ちゃんは優しいから…引き止めちゃうかなって……」

曜「………」

梨子「そしたら……きっと…弱い私は…甘えちゃうから……」

曜「…なるほど…ね…」

梨子「……………」

曜「…ありがとね…ちゃんと話してくれて」

梨子「……ううん…ちゃんと話すべきだったよね…ごめん」

曜「……まぁ…そうだね…。相変わらずの…妙な行動力だよ、梨子ちゃんは…」

梨子「…そうだね…」

曜「…………そっか…そういう事…」

梨子「…うん………」

曜「………梨子ちゃんは偉いね」

梨子「え…?」

曜「梨子ちゃんは凄いよ」

梨子「……なに急に……曜ちゃん私の話聞いてた?」

曜「聞いてたよ?」

梨子「なにも凄くないよ…最低だよ……」

曜「まぁ色々と言いたい事はあるけど………そうだね、たしかに最低かもしれないよ?でもさ…」

梨子「でも…?」

196: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:26:30.60 ID:dYi3GsTf.net
曜「梨子ちゃんはそんな最低の自分を…ちゃんと認めて…ちゃんと変わろうとしてる」

梨子「…!」

曜「中々できる事じゃないよ…自分の嫌な所を認めて…それを変える事って」

梨子「…ううん、それは…私が逃げただけで…」

曜「理由とか手段はどうでもいいんだよ。梨子ちゃんは変わろうとして…実際に行動に移してる」

梨子「………」

曜「…………私とは………大違いだよ…」

梨子「え……」

曜「……ホントに…私とは大違い…………」ホロ…

梨子「……曜ちゃん?」

曜「……ううん、ごめん。………梨子ちゃん…私の話も聞いてくれる?」グシッ

梨子「…う、うん…」

曜「……さっきの梨子ちゃんの話……梨子ちゃんは巻き添え、とか…引きずり込んだ、とか言ってるけど…」

梨子「……うん……」

曜「そんなこと無いよ…」

梨子「………」

曜「……私もね…あの時……千歌ちゃんにフラレちゃって…大げさに聞こえるかもしれないけど…本当にこの世の終わりみたいな気分になってたんだ…」

梨子「…ううん、わかるよ……」

曜「小さい頃からずーっと千歌ちゃんが好きで……千歌ちゃんが喜んでくれるなら…なんだって出来た……
千歌ちゃんにカッコイイって思ってもらいたくて…飛び込みでもお手伝いでも勉強だってなんだって頑張れたんだ……。
…冗談みたいだけど本気で千歌ちゃんにとってのヒーローになりたかったんだ」

梨子「……うん」

曜「あの頃の私にとって千歌ちゃんは世界の中心だった……それで…そんな千歌ちゃんにフラレちゃって……どうすればいいかわからなくなってた…」

梨子「…………」

曜「今まで歩いてた道が急に無くなって道のない…真っ暗な山の中に放り出されたみたいになって…これから私は…どうしたらいいか…
何のために頑張ればいいか…そもそも頑張り方も…なんだかよくわからなくなって……」

梨子「…………」

197: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:26:59.96 ID:dYi3GsTf.net
曜「…そしたら………隣に同じ様に寂しそうな顔した…梨子ちゃんがいて……」

梨子「……曜ちゃん…」

曜「隣でへこたれてる梨子ちゃんを…仕方がないなぁなんて恩着せがましく思いながら一緒にいたりしてたけど……結局私自身が…梨子ちゃんに救われてたんだよ…」

梨子「…そんな事」

曜「あるんだ…ホントに…。梨子ちゃんがいなかったら私…失恋のショックでどうなってたかわからない…」

梨子「そんなこと無いよ…曜ちゃんは……」

曜「ううん、私…つい最近つくづく実感してさ…自分の弱さ……」

梨子「え………」

曜「私はあの頃から…やっぱり何も変わってなかったんだって……」

梨子「曜ちゃん…?」

曜「変わらなきゃって…ずっと思ってたのに…千歌ちゃんの次は梨子ちゃんに依存して……ズルズルここまできちゃったんだ…」

梨子「曜ちゃんも…変わりたかったんだね……」

曜「ううん、思ってただけ…そんなの…変わりたかったなんて言えないよ。梨子ちゃんは…ちゃんと変わろうとしてたんだね…」

梨子「…そんな聞こえの良いものじゃないよ」

曜「…ううん、凄いことなんだよ。…私は…全然できなかった」

梨子「そんな…」

曜「それにさ、巻き添えとか逃がすもんかとか言ってたけど…あの時の梨子ちゃんそんな計算できる状態じゃなかったよ、ハッキリ言って」

梨子「はい…?あ、あのね…他ならぬ私本人の事なんですけど…」

曜「後からの理由付けなんてどうにでもなるよ。人間ってはっきり言ってそんな器用じゃないよ、特にあの状態じゃね。ネガティブになって勝手にそう思いこんでるだけじゃない?」

梨子「それは………」

曜「…とにかく…梨子ちゃんはちゃんと変わろうとしてた…これは確かだよ」

梨子「……………」

199: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:28:11.54 ID:dYi3GsTf.net
曜「……私も…いい加減ホントに…変わらないとね」

梨子「…えっ……」

曜「………ふぅ…」スゥ…ハァ……

梨子「……曜ちゃん…?」

曜「あのね、私ね…善子から梨子ちゃんの事聞いて… どうすればいいのか…自分がどうしたいのか……情けない事に全然わからなかったんだ」

梨子「………」

曜「でも今日…梨子ちゃんとこうして…普通の恋人みたいにデートしてもらって… それで色々と思う事もあって… 私自身の気持ちの整理もできて…」

梨子「…っ!//う、うん…」

曜「それから…最後にピアノ聞かせてもらって…こうやって梨子ちゃんと…ちゃんと本音で話も出来て…さ…」

梨子「……うん」

曜「私……私ね、自分がどうすればいいか…今ようやくわかったよ…!」

梨子「…………!…」

曜「梨子ちゃん…」スッ

梨子(……この感じ……あの時の…)

曜「私……梨子ちゃんの夢…応援する」ギュッ…

梨子(………千歌ちゃんの時と…同じだ……)

曜「今日ピアノ聴いてホントよくわかった……梨子ちゃんにとってピアノって…本当に…本当にとっても大切なものだったんだね」

梨子「………曜ちゃん…」

曜「学生の頃さ…千歌ちゃんの提案でラブライブの予選を梨子ちゃんが欠席して東京のピアノコンクールに行った事あったでしょ?」

梨子「……うん」

曜「あの時ね…私…正直言って千歌ちゃんの決断…ちょっと…ううん、全然理解できなかったんだけど……今なら…はっきりわかるよ」

梨子「……うん…」ホロ…

200: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:28:46.21 ID:dYi3GsTf.net
曜「梨子ちゃんは変われる強さを持ってる人」

梨子「…うん………」ポロ…ポロ…

曜「梨子ちゃんは…夢を追いかけられる人」

梨子「……………グスッ……」ポロポロ…

曜「海外でまたピアノの勉強してさ…!それで、ちゃんと変われて…また…ピアノに前向きになれたら…梨子ちゃんにとっても…ピアノにとっても……凄く良い事だなって…私は思うっ!」

梨子(……!…これって…)

曜「私…引き止めないよ…梨子ちゃんの邪魔はしない……ちゃんと応援できる…から…!」ホロリ…

梨子「……曜…ちゃん……グスッ……」ポロポロ…

曜「グスッ……私も…梨子ちゃんに、負けないように…変われる様に…頑張れるから…大丈夫だから…!」グシグシ…

梨子「…ウッ…グスッ……うんっ……!」ボロボロ…

曜「……だから…梨子ちゃんも…頑張って…!勇気を出して…ちゃんと…変わってあげて?梨子ちゃんの大切な…音楽の為に…!」

梨子(……前からなんとなく思ってたけど…千歌ちゃんと曜ちゃんって…もしかしたらちょっと…ううん、かなり似たもの同士なのかも…ね)

梨子「…グスッ……。うん…!……曜ちゃん」グシグシ…

曜「…なに?」

梨子「……………ありがとう」

曜「……うん」ニコッ

梨子「…ホント…変な人ばっかり…」クスッ…

曜「…へ?」

梨子「…曜ちゃん」スッ…

ダキッ ギュッ…

曜「………!」
梨子「…………大好き…!」ギュッ…

曜「……っ!………うん…!ありがとう……」ギュッ…
梨子「…………うん…!」ギュッ…

曜「………………」ドックン…ドックン…
梨子(曜ちゃん……心臓の音…凄いよ)

梨子(……なんて…私も……なんだけど…)ドックン…ドックン…
曜「……………」ドックン…ドックン…

201: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:29:14.24 ID:dYi3GsTf.net
梨子(どういう意味で…なんて……今の私達には…もうどうでもいい…もう…全部ちゃんとわかってる……そうだよね?……曜ちゃん…)

梨子「…曜ちゃ………っ!」ハッ!

見晴台入口付近
モブ男「おっ見晴台かー…ちょっと寒いなー」
モブ女「ねー」

梨子「………!!」
||バッ
曜「…ん…梨子ちゃん?……?」クルッ…

モブ男「あっ、先客さん居たわ…」
モブ女「ねぇ、あっちにもベンチが…」

曜「…あぁ。……えっと…そろそろ…帰ろうか?流石に冷えてきちゃった」

梨子「……!………うん…そう…だね」

曜「寒いしタクシーで帰ろっか!駅の方に歩いていけばタクシー拾えるよ。乗り場もあったし。梨子ちゃんのマンションまで送るよ」スッ

梨子「…………うん…ありがとう…」

曜「あっ、そう言えばどっちみち一回駅に寄って荷物回収しないとだったね?」

梨子「あっ…そうだったね」

曜「忘れるところだったよーそろー」ニコッ

梨子「…フフ…そうだね…」クスッ…

曜「危ない危ない!アハハ」クスクス

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

202: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:29:47.34 ID:dYi3GsTf.net
梨子マンション前

タクシー 車内

運転手「はい、つきましたよー」

曜「あっ、どうも…じゃあ梨子ちゃんはここで…」

梨子「………降ります」

曜「え、うん…そりゃそうでしょ…」

梨子「二人とも降りますからお会計を…」

曜「……!」

運転手「えっ」

曜「…あのね梨子ちゃん」

梨子「そのメーターの料金でいいんですよね?お代です」サッ

運転手「あっ…どうも…えーと…お釣りは…」

梨子「お釣りは結構です。降りよ?曜ちゃん」グイッ

運転手「えっ」

曜「いや…だから……」

梨子「お願い…」

曜「…っ………」

運転手「えと……ここまでで良かったんですか?」

梨子「大丈夫です」グイグイッ

曜「…………」スッ

運転手「そうですか…?わかりました。あのお釣り…すぐお渡し出来ますけど…」スッ

梨子「大丈夫です!ありがとうございました」

曜「……………」

203: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:30:18.15 ID:dYi3GsTf.net
運転手「…わかりました。ありがとうございます…毎度どうもー」

バタンっ…

ブロロロロ…

曜「………あー…」
梨子「………………」

曜「もー…梨子ちゃん…」

梨子「………泊まっていって」

曜「……………」

梨子「お願い………」

曜「……………」

梨子「……………」ジッ…

曜「梨子ちゃん」

梨子「最後だから…!」

曜「……梨子ちゃん」

梨子「……これで…最後だから…お願い……!」

曜「……………梨子ちゃん」

梨子「………お願い…曜ちゃん…」

曜「……………」スッ

チュッ

梨子「!?」

曜「……泊まれないよ」スッ

梨子「……曜ちゃん…」

曜「………………今ので最後」

梨子「……………」

204: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:30:46.52 ID:dYi3GsTf.net
曜「……梨子ちゃん…?」
梨子「…………」スッ

チュッ…

曜「…!?」
梨子「………」ツー……

ン……フッ………チュッ………

曜「………ンッ………り、梨子ちゃん…!」

梨子「…グスッ………今のが私からの最後…」グイッ

曜「!……うん…」

梨子「これで……勘弁してあげる…」

曜「……うん」

梨子「……曜ちゃん」

曜「…………」

梨子「今まで………ありがとう…」

曜「……うん…私も…ありがとう」

梨子「……………」

曜「…えと……まだ海外に行くのは…先…なんだよね?…」

梨子「……………うん…多分…大体2ヶ月後くらいに」

曜「……………そっか。…皆で送別会しないとね」

梨子「え…うーん…」

曜「やっとこうよ?善子と相談しとくから」

梨子「…そうだね…うん、ありがとう…」

206: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:31:14.56 ID:dYi3GsTf.net
曜「……じゃあ…そろそろ」

梨子「うん……タクシーごめんね?」

曜「いやいいよ、ここまでくればもう電車ですぐだし…というかタクシー代…」

梨子「いいの、ご馳走にもなったし…私が勝手に帰らせたんだから」

曜「そっか…わかった。ありがと」

梨子「うん……」

曜「……それじゃあ…そろそろ…」

梨子「………うん」

曜「……またね…」

梨子「………うん…」

コツコツコツ…

梨子「………曜ちゃん…」

梨子「ありがとう……グスッ……うっ…」ボロボロ…


梨子「……さよなら」ポロ…ポロ…

ーーーーーー
ーーーー
ーーー  

同時刻

善子ルーム

善子「…………」カタカタ…カタカタ…

スマホ「」ヴヴヴ…ヴヴヴ…ヴヴヴ…

善子「……?」チラッ

スマホ「曜ちゃん」ヴヴヴ…ヴヴヴ…

善子「曜ちゃん…!」スマホ スッスッ…

207: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:31:44.10 ID:dYi3GsTf.net
善子「もしもし?曜…?」

曜『あ、善子?遅くにごめんね?今大丈夫?』

善子「平気、どうかしたの?」

曜『…うん…ちゃんと伝えないとって思って…』

善子「……リリーの事?」

曜『…うん………ちゃんと…話してきた…』

善子「……!!ホント…!?」

曜『うん……』

善子「……それで…どうだったの?……教えられる範囲でいいから…教えて?」

曜『うん…』

ーーーー
ーーー
ーー

善子「……………そう…決めたのね………じゃあ…梨子は海外に…


曜『うん…でもいいんだ、ちゃんと話できたし…私も梨子ちゃんも…お互いに納得して選べたと思う』

善子「そうなの…?」

曜『うん…本音が聞けたし…私も…本音で話せた』

善子「………曜がそう言うなら…そう、としか言えないけど…」

曜『アハハ…ホントだよ?ちゃんと話はつけてきたからさ…』

善子「………念の為確認するようで悪いけど…貴女と梨子は…どんな関係になったの?」

曜『大切な友達…だよ。……友達として…梨子ちゃんの夢…応援するって決めたの』

善子「………………」

曜『……心配しなくてもちゃんと考えて…梨子ちゃんと話をして…出した答えだよ?』

208: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:32:17.28 ID:dYi3GsTf.net
善子「…そう…よね……。うん…ごめんなさい…関係ないのに変な空気出しちゃって…」

曜『アハハ…関係無いってことはないんだからさ…』

善子「……そうね…うん……」

曜『心配してくれてありがとう…善子』

善子「………………」

ーーー曜『言いたいことがあるならちゃんと言ってあげなよ?』ーーー

ーーー曜『大丈夫、嫌われないよ?信じてあげて?友達なんでしょ?』ーーー

善子「………」

善子「ねぇ曜…貴女本当にそれで良いの?」

曜『えっ?』

善子「私思うんだけどね、貴女は昔からなんでも出来てどんな時も最善の答えを導き出すことができる人だって思ってる」

曜『な、何急に…アハハ…全然そんなこと無いよ…』

善子『そうなのっ!学生の頃は…そんな貴女の事…尊敬してたし…憧れてた…!」

曜『へっ…!?アハハ…買いかぶりすぎだよ…』

善子「でもね、最近思うの…!そういうタイプの人ってね、自分が我慢すれば丸く収まる…それが最善、って選択肢があったら…安直にそれを選びがちなの」

曜『…!……』

善子「もちろんそれが間違ってるなんて事は思わない…!でもね、その行為は周りと認識の違いを生んで…

曜『善子……善子!』

善子「っ!……」

曜『もういいの…それも踏まえた上で…出した結論だから…』

善子「…………本当なの…?本当に?」

曜『……ありがとう。本当にありがと…善子は本当にいい子だね』

善子「………全然…そんな事…ないわよ…」

曜『ありがと……善子…』

209: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:32:48.16 ID:dYi3GsTf.net
善子「………わかった…ごめんなさい…出しゃばったこと…言ったわ」

曜『いいんだよ?ありがとね、善子…』

善子「……リリーの送別会…企画しないとね」

曜『…フフ…さすが善子!それ私も相談しようとしてたんだ?』

善子「誰かさんの教育の賜物よ?」

曜『アハハ!だとしたらとっくに師匠超えしてるよきっと!』

善子「当然よ…誰だと思ってるのかしら?」

曜「私のとっても大事な可愛い可愛い後輩の善子ちゃんであります!」

善子『っ!…と、当然よっ!』

曜「……ありがとね…また…連絡するよ」

善子「……ええ…こっちもありがと…連絡してくれて…」

曜『そんな…それじゃあ…またね?』

善子「ええ…また……」

プッ……ツーツーツー…

善子「………………」スマホ ポイッ…

善子「……………」

善子「はぁ……………」

善子「………これでいいのよね…いいんだよね…………」

善子「……………」

……
……………
…………………

約一ヶ月前 シャレ乙めなBAR

梨子「……………」グデ…

善子「ちょっとリリー…リリーってば…」ユサユサ…

梨子「う…ん…」

210: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:33:16.30 ID:dYi3GsTf.net
善子「完っ全に飲みすぎよ…海外勤務の話ってそんなに深酒する話題なの…?ホントなにこれ…こんなリリー初めて見た……」

梨子「うぅ…よっちゃん……」

善子「あっ…起きてるの?ねぇ、大丈夫?」ユサ…

梨子「よっちゃん…よっちゃん………」グズグズ…

善子「はいはいここにいるわよ…」

梨子「よ…ちゃん…よ…ちゃん…」

善子「だからここにいるってのに…」

梨子「よーちゃん……」

善子「……!ん?…えっ……曜…?」

梨子「よーちゃん…ごめん…ごめんなさい…よーちゃん…」

善子「……………」

梨子「よーちゃん…ごめんなさい……」

善子「………リリー…」

梨子「うっ……よーちゃん…ごめんね…」グズグズ…

善子「……なにか曜ちゃんが絡んでるの?」

梨子「よーちゃん…ごめんね…ごめん…」

善子「…はぁ………もー…わかったわよ…」

善子「どう考えてもこんな余計なお節介なのに………柄にも無いこと…させないでよね…」

梨子「よーちゃん……」

善子「はいはい…。堕天使ヨハネに任せなさい…。仕方ないわね…大切なリトルデーモンのお悩み解決も…主の勤め…ってとこかしら?…」グイッ…カランッ…

善子「………って…何言ってんだ私は………はぁ…結構酔ってるわね私も…//」

梨子「ごめん…なさい…」

善子「はいはい」ポンポン…
…………………
……………
………

211: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:33:43.00 ID:dYi3GsTf.net
善子「………リリー…」

善子「……………くっ…」

善子「……何が堕天使よ…!!」ギリィ…

善子「どうして私はいつもこうなのっ…!」

善子「…………あーもうっ!!曜ちゃんのアホーっ!!!」ムッキーー!

善子「…もぉ………誰か……リリーを助けてよ…お願いだから…」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

それから数週間後…梨子ちゃんの海外勤務の決定の連絡がaqoursのライングループに届いた…

212: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:34:14.93 ID:dYi3GsTf.net
ラインの連絡から数週間後…

内浦の個室居酒屋

曜(副幹事)「皆、グラス持ったー?よーし、それでは!梨子ちゃんの送別会件忘年会の挨拶を…我らがリーダー、千歌ちゃん!」

千歌「ぅえっ!?」ビクッ

曜「といいたいところだけど、幹事の善子ちゃん!お願いしたいであります!」

千歌「もー!曜ちゃん!」

曜「アハハ」

梨子「フフッ…」クスッ…

善子(幹事)「フッ…仕方ないわね…!」スクッ…

ルビィ「善子ちゃん、頑張ルビィです!」

花丸「ヨハネ様、頑張ルビィ♪」

善子「ヨハネ言うなっ!!オっホンっ!…えーそれでは!我らが魅惑のピアニスト…リリーこと桜内梨子のこれからの前途と!…私達…いえ、この世界の全ての迷えるタマシイ、そして

花丸「カンパーイ♪」

皆「「「カンパーイ!♪」」」

善子「って!!まだ途中っ!!」

花丸「だって長くなりそうだったから…」

千歌「ヨハネ様キャンセルすっごい久々に見た!」

善子「ヨハネゆーなっ!」

ダイヤ「いいえ、見事ですわ花丸さん。伝説の挨拶キャンセルを完全に再現するとは…善子さんも中々のフリでしたわね」ウンウン…

花丸「………え?」

ルビィ「アハハ…」

214: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:34:54.84 ID:dYi3GsTf.net
果南「…ゴクッゴクッ…ぷはー!いやー久々だね、皆で集まるのって!」ゴトンッ…

曜「ぷは……ジョッキ一気はさすがとしか言いようがないね果南ちゃん……はい」瓶ビール スッ

果南「ありがとっ♪」トクトクトク…

千歌「鞠莉ちゃんだけ来れなくて残念だねー…」

果南「今月は二週間後ぐらいには帰ってくる予定なんだけど平日だしね、皆で集まれる時に先にやっといてってさ」

ダイヤ「9人全員は難しいですわね…」

梨子「みんな年の瀬で忙しい中8人も集まってくれただけでも凄く嬉しいよ…それにマリさん再来週位に会ってくれる事になってるし」ニコッ

千歌「良かったね!」

梨子「海外で暮らす上でのアドバイスと注意点と心得を教えておきたいんだって?」クスッ…

善子「私も参加するけどね」

ルビィ「わぁ♪と言うことは…久々のギル会ですか?」コトン…

ダイヤ「…ギル会?」

花丸「Guilty Kiss会だよね」モグモグ…

千歌「えっ、なにそれ!面白そう!」

果南「鞠莉曰くだけど梨子と善子はそこでワインの飲み方を覚えさせられたんだよね?」ニヤッ

曜(そういうことかー!)

梨子「アハハ…でもホント久しぶり…よっちゃんがお酒飲める様になってからはちょくちょくやってたけど…」

千歌「鞠莉さんの飲むワインかぁ…多分私達が飲むワインと二桁ぐらい違うんだろうなぁ」

曜「…プッ!あはは!同感!」

梨子「…」クスッ…

善子(二桁ねぇ………知らぬが仏ね……)

215: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:35:29.36 ID:dYi3GsTf.net
梨子「マリさんが海外にいっちゃってからはめっきりやらなくなっちゃったもんね…」

善子「まぁ、マリーが今海外を拠点にワールドワイドにバリバリやってるから仕方ないわ…ん…」クイッ…

千歌「寂しいよねぇ…」

ダイヤ「仕方ありませんよ」

果南「まぁもう後一年もすれば日本を拠点にしてやれるようになるってさ」

曜「ほんとっ!?」

ルビィ「わぁ…!また淡島に来てくれるんですか?」

果南「まぁね、もう日本にいながらにしても問題ないくらいには軌道に乗ってきたみたいだから…まぁたまに海外出張はあるだろうけどね」ニコッ

ダイヤ「フフ…なんだかんだきっちりと家の義理を通して帰ってくる所が鞠莉さんらしいですわね」

千歌「帰ってきたらお疲れ様会兼歓迎会開こうよ!」

花丸「そうだね!」

ルビィ「うぅ…せっかく鞠莉さんが帰ってきてくれるのに今度は梨子さんが海外にいってしまうなんて…」

梨子「ごめんね?ルビィちゃん」

ダイヤ「ルビィ、梨子さんは自分の意志で夢を掴む為に世界に挑むのです。野暮なことを言うものではありません」

梨子「あ、あの…そんな大袈裟なものじゃ…」

千歌「梨子ちゃんのピアノならできるよ!頑張ってね!」

果南「そうだね」ニッ

花丸「私もそう思う!」

梨子「皆…ありがとう」

善子「そうよリリー、貴女の魅惑の音色で世界の人々を魅了し…そして後世まで響き渡る永遠の音色となるの…!それはまるで天使のような優しさでその実は心を捉えて離さない悪魔のよ

花丸「ほいっと」ポチッ…

ピーンポーン

善子「って!!だからまだ途中っ!」

216: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:36:10.21 ID:dYi3GsTf.net
ルビィ「はい、善子ちゃんビールお注ぎしまーす♡」

善子「あ、うん」トクトクトクトクトク…

曜「何今の流れるような堕天使キャンセル…」

ダイヤ「…もう慣れっこのようですわね」

善子「学生の頃にこれくらい迅速にやりなさいよ」グイッ

花丸「えー!偉そうずらー!」クスッ

ルビィ「ホントはもっと見てたいんだけどなぁ…」

善子「さすがルビィ!わかってるわね!」

花丸「いいけど二人の時にやってね」

善子「なんでよ!」

梨子「フフッ」クスッ…

曜「仲良いなぁ」ホッコリ

店員「お待たせしましたー!」ガラッ

花丸「ビール瓶を…えーと…3本追加でお願いします♪」

果南「私は焼酎のボトル頼もうかな♪飲み方はロックで!」

店員「あいよろこんで!」

曜「はやっ!もう焼酎なの?」

千歌「さっすが果南ちゃん!」

ルビィ「あ、すみません後チェイサーにお水を…」ヒソヒソ…

ダイヤ「…………」

千歌「私は…生絞りみかんサワー!」

曜「あっそれ美味しそうだね!」

果南「曜は私と焼酎付き合ってよ♪」

曜「うへー…いいけど果南ちゃんザルだからなぁ…すみません、焼酎のやつ水割りセットも持ってきてください」

店員「あいよろこんで!」

梨子「先にハイボール頼んじゃおうかな…」

善子「飲み放題だから好きなの頼んでよね」

「「はーい!」」

217: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:36:38.54 ID:dYi3GsTf.net
梨子(…こんなに賑やかなの久しぶりだな…)

梨子(………)チラッ

果南「水割りとは軟弱なー!」

千歌「そうだそうだー!」

曜「果南ちゃんと一緒のペースで飲んだらあっと言う間につぶされちゃうよ!と言うかなに千歌ちゃんまで便乗してるのさー!」

梨子(…………曜ちゃん…今日まだ話せてないな…)

梨子(………しかたないよね…)

ーーーーー
ーーーー
ーーー

数時間後 内浦居酒屋前

曜「いやー…飲んだねー!」

千歌「こんな大人数で飲み会したの久しぶりだったなぁ♪」

花丸「すっかり出来上がっちゃったずらぁ~」ニッコニコ

善子「ほら、ずら丸足元怪しいわよ」

花丸「む~、オラ平気ずらぁ~!」

善子「はいはい。…千歌?遅くなっちゃったけど大丈夫?」

千歌「平気平気!まだ全然早いし!それに今日は実家に泊まってて赤ちゃんはパパに見てもらってるから大丈夫!いざとなったら志満姉も美渡姉もいるし!」

善子「心強いわね?…それじゃあさっきも挨拶したけど今日はお開きって事で…」

曜「幹事お疲れ様、善子!」

果南「ありがとね!楽しかったよ」

ダイヤ「また機会があればぜひ…」

ルビィ「善子ちゃん、お疲れ様!それから梨子ちゃん!頑張って下さい!…あ、じゃなかった!頑張ルビィ!」

梨子「アハハ…ありがとうルビィちゃん」

218: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:37:06.53 ID:dYi3GsTf.net
ダイヤ「梨子さん、貴女なら出来ます…必ず…」

花丸「梨子ちゃん…また飲みにいこうずら?」

梨子「うんっ♪」

果南「梨子…ずっと行きっぱなしってわけじゃないんでしょ?またいつでも帰っといで?」ポンポン…

梨子「あ、ありがとう…ございます…///」

千歌「梨子ちゃん照れすぎー!」ケラケラ

梨子「こ、これは仕方ないよ!」

千歌「まぁそうだねー果南ちゃんのヨシヨシ…しかし相変わらず天然タラシだなぁ」

花丸「果南ちゃんは女ったらしずらぁ~」

果南「アハハ…いやー参ったなぁ」ナデナデ

ダイヤ「……」ピピッパシャ

果南「ん?えっ…?ダイヤ…?」

ダイヤ「…………」スマホスッスッ…

果南「えっ、ちょっとなにやってるの?」

ダイヤ「…鞠莉さんに今の光景を送っておきました」

果南「ちょっ」

曜「プッ…アハハ!さすがダイヤさん!」

ダイヤ「果南さんが少しでも女性をタラしめていたら随時報告する様に鞠莉さんから依頼されていますの」クスッ

千歌「あー果南ちゃん、これは帰ってきたらハグの前にビンタだねぇ」ニヤニヤ

果南「やめてよ!笑い事じゃないよ!言っとくけど私だって痛くないわけじゃないんだからねっ!?あーもー…」頭抱え

梨子「アハハ…//」

220: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:37:34.32 ID:dYi3GsTf.net
曜「…ほらほら、お店の前でたむろっちゃ駄目だよ」

千歌「あっ、そうだね…大人数で飲むとつい出入り口で話しちゃうよねー」

花丸「あるあるずらぁ~」

ルビィ「フフッ…それじゃあ梨子さん…よかったらまたルビィと一緒に飲みに行って下さいね……?♡」

梨子「う、うん…(なにこの謎の色気……)」

ダイヤ「ルビィ、また自分の事を名前で呼んで…」

ルビィ「あっ…」

ダイヤ「まったく!…貴女は酔うと直ぐに油断して

ルビィ「ごめんなさいお姉ちゃん…」

ダイヤ「……。…とにかく!梨子さん、頑張るのですわよ!」チョローン

梨子「フフッ…はい!…ありがとうございます」クスッ…

果南「アハハ…それじゃ善子、花丸ちゃんの事宜しくね?」

善子「ええ」

花丸「よろしくずらぁ♪」

梨子「よっちゃん、夜道大丈夫?遠くまでごめんね?」

善子「平気よ。誰だと思ってるのよ」

曜「うんうん、大丈夫だよ!二人なら声もかけづらいし、なにより善子って見た目強そうだし!」

ルビィ「それわかります!変な人が来ても黒魔法でふっ飛ばしちゃいそう!」

千歌「うんうん、ちょっと女スパイっぽいもんね!それか暗〇者!」

曜「それそれ!花丸ちゃんが悪漢に声かけられたらサイレンサー付きの銃で無表情のままパシュッとやっちゃいそう」

果南「いや、私的には太もも辺りに忍ばせたナイフを音も無くスパッ…かなん?」

花丸「心強いずらぁ~♪」

善子「私のイメージなんなのよ!!」

221: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:38:47.69 ID:dYi3GsTf.net
ダイヤ「……いえ、善子さんに武器など必要ありませんわ……お・得・意・の!謎プロレス技でKO…!なんと恐ろしい…!」

善子「根に持ち過ぎ!!だいたい恐ろしいってダイヤさんに言われたくないわよ!」

ダイヤ「はい?」

善子「ルビィにしつこく声かけた男が次の日駿河湾に浮いてたそうじゃない」

ダイルビ「」

果南「アッハハハハ!ありうる!」ゲラゲラ

ダイヤ「ありえませんっ!!いい加減黒澤家の変な風潮を流すのはお止めなさい!!」

ルビィ「おねぇちゃ…」

曜「アハハ…はい!お店の前だし遠方の子もいるんだからそらそろはけるよ!」

善子「誰のせいよ…それじゃあまたね?…梨子、また再来週に会いましょう?ほら、ずら丸、行くわよ」

花丸「梨子ちゃん!またね!ファイトずらっ♪」

梨子「フフ…ありがと!気を付けてね!」

コツコツコツ…

果南「……さてと、それじゃあ私達も行こっか!」

ダイヤ「ええ。果南さん、今夜はよろしくお願いします」

曜「お手柔らかに頼むよー果南ちゃん」

ルビィ「えへへ…お願いします♪」

千歌「曜ちゃん達は果南ちゃん家で二次会なんだよね?いーなー!」

果南「家族持ちは我慢我慢♪」

曜「花丸ちゃん送った後に善子と帰るって言ったのにさ、せっかく内浦来るなら泊まってけって果南ちゃんがうるさくてねー…」

果南「曜~♡今夜は寝かさないぞ~♪」

曜「…鞠莉ちゃんに言いつけるよ」

果南「」ピタッ…

223: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:39:24.85 ID:dYi3GsTf.net
ダイヤ「梨子さんは今日はご実家に泊まるんですわよね?」

梨子「はい、今日は両親も居なくて留守番も頼まれてて…」

ルビィ「残念です…」

梨子「また行こうね?それじゃあ千歌ちゃん、帰ろうか」

千歌「うんっ!」

曜「それじゃあね…」

梨子「うん…」

果南「暗いから気を付けるんだよ?」

千歌「梨子ちゃんの事は私にまっかせなさい!」

果南「うーん…心配」クスッ

千歌「え~!!」

ルビィ「果南さん?母は強し、です!」

ダイヤ「ちょっと使いどころが違いますわよ」

曜「アハハ…それじゃあ梨子ちゃん…頑張ってね…千歌ちゃんもまたね!」

梨子「…うん」

千歌「じゃあねー!」

コツコツコツ…

果南「じゃ、行こっか!」

ダイヤ「船着き場までは車を手配してますの…こっちですわ」

曜「おぉ…さすがダイヤさん…手際がいいなぁ」

果南「父さんに迎えの船の連絡お願いしとこ♪」スマホスッスッ…

ルビィ「お手数おかけします」

曜「果南ちゃん家でお酒飲むの久しぶりだなぁ…と言うか宅飲み自体久しぶり!」

果南「ダイヤとルビィは結構来てるんだけどね」

曜「えっ!?そうなの?」

ダイヤ「ええ。定期的にルビィが行きたい行きたいとせがむので…何度もお邪魔させてもらってますわ」

曜「へー…」

ルビィ「……意外ですか?」ニコッ

曜「えっ…!?あ、いやそゆわけじゃ…」

224: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:39:56.74 ID:dYi3GsTf.net
果南「フフッ…まぁその辺もおいおいね…お、あの車だね!」

ダイヤ「もう来てましたわね」

曜(しかし相変わらず近づき難い車だなぁ…)

ダイヤ「途中で買い物をして参りましょう」

果南「さんせーい!」

ルビィ「楽しみです♪」

曜「だね!」

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

二次会会場(果南ルーム)

果南「さーて、お風呂も入って部屋着に着替えたし!改めて乾杯しよっか♪」

ダイヤ「ええ」スッ

ルビィ「はーい♪」スッ

曜「準備オッケーであります!」スッ

果南「それじゃ改めまして!乾杯!」

「「かんぱーい」」

果南「ングング……ぷはー!いやー…あれだよね、結構飲んでてもお風呂入ると何故かまた飲めるようになるよねー♪」

ダイヤ「それは果南さんだけですわ」コトッ…

ルビィ「ちょっとわかります」クスッ

曜「へぇ、ルビィちゃんもわかるんだ?」

ルビィ「はいっ♪」

ダイヤ「………」ムスッ

果南「フフフ…曜?ルビィってね、実は結構飲めるんだよ?」

曜「えっ」

果南「もっと具体的に言うとね…ほぼザルだよ」ニヤリ

曜「ほんとっ!?へえー…イメージなかったなぁ…でもそう言えば結構普通に飲んでたもんね」

ルビィ「いやぁそんな」テレテレ…

225: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:40:24.76 ID:dYi3GsTf.net
果南「私についてこれるレベルで飲めるよ?…ん…」グイグイ…

曜「うそっ!?」

ダイヤ「本当ですわ…まったく我が妹ながら信じられません」

ルビィ「エヘヘ…でもさすがに果南さんにはついていけません」

曜「……あれ?でも今日チェイサーにお水頼んでなかった?」

果南「あぁ、あれはダイヤ用にだよ?ダイヤが恥ずかしがるから代わりに頼んであげてるんだよねー?」

ダイヤ「…………///」

曜「ええっ!?」

果南「ダイヤは下戸なんだよねぇ」ニヤニヤ

ダイヤ「…………ほっときなさい」ムスッ

曜「へぇぇ…意外…でも結婚式とか普通に飲んでなかった?」

果南「体質的に飲めないってわけじゃないんだよね?」

ダイヤ「そうですわ!飲めないというわけではありません!貴女達がウワバミなだけですわ!」

果南「ウワバミって…」アハハ…

ルビィ「そうだよ!お姉ちゃんはちょっと酔いやすいだけだもんね?」

ダイヤ「…………」ジト…

ルビィ「ぅ、うゅ……」タジ…

曜「え?そう?皆で飲む時全然普通だったけど…」

果南「だから皆で飲む時とかお祝い事の時はお水飲んだり飲む量減らしたりして抑えてるんだよ。まぁそのうちわかるよ」ニヤッ

ダイヤ「うるさいですわね…」

226: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:40:52.00 ID:dYi3GsTf.net
果南「ほら、ダイヤいつもの日本酒あるよ、飲む?」ゴト…

ダイヤ「そうですわね…少し早いですが頂きますわ」

曜「ダイヤさん日本酒飲むんだ!」

ルビィ「お姉ちゃんこの銘柄が好きなんだよね♪」

ダイヤ「ええ…とても飲みやすくて…何より次の日に残りにくくて悪酔いもしないんですの」

曜「へぇ~」

果南「チェーン店とかにおいてる様な日本酒は飲めないんだよねぇ、贅沢さんだよ。ダイヤらしいと言うかなんというか…」ポンッ…

ダイヤ「黒澤家として名に恥じないようにちゃんと良いものを飲むように心掛けているるだけですわ」

曜「たしかに高そうな銘柄だね…何気に棚から出してきたけどどうしたのこれ?」

果南「ダイヤがこれだけは喜んで飲むからって鞠莉が面白がって一杯取り寄せるんだよね……曜も飲む?」

曜「あ、私はもうちょっとビール飲んどく!後でもらっていい?」

果南「あいよ。はい、ダイヤ?冷でいいよね」スッ

ダイヤ「ええ…ありがとう」トクトク…

ルビィ「曜さんもおかわりどうぞ?」スッ

曜「あ、ありがと!」トクトクトクトク…

ダイヤ「………ん……はぁ…やはりこれですわね」チビ…

果南「あはは、そりゃ良かった!ま、後は寝るだけだからさ、じっくり飲もうよ」

ルビィ「はーい♪」

曜「ご機嫌だねルビィちゃん」

果南「黒澤家じゃダイヤが一緒に飲んでくれないからね?」ニコッ

曜「えっ」

ダイヤ「誤解を招くような言い方はやめなさい…家ではひかえてるだけですわ」

227: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:41:22.44 ID:dYi3GsTf.net
果南「ダイヤは酔っ払っちゃうと素の部分が出ちゃうから家では飲まないようにしてるんだよね」

ダイヤ「………」ジロ…!

果南「おぅ…」

ダイヤ「……まったく!どうして私ではなくルビィの方が飲めるんですの!」グイグイ…

果南「アハハ…ホントにね」

曜「こればっかりは体質としか…」

ルビィ「ごめんねお姉ちゃん」

ダイヤ「謝るんじゃないの!余計惨めになるでしょう!まったく…」グイッ…

曜「アハハ…」

果南「ほら、ダイヤさんお注ぎしますよ」

ダイヤ「ええ、ありがとう」トクトク…

曜(飲めないって言うわりにペース早くない…?まぁもう寝るだけだからいいのか…)チビチビ…

ーーーーー
ーーーー
ーーー

約一時間半後…

ルビィ「ンクンク………はぁ…おいしいです…♡」

果南「お、早速飲み干した?ほら、おかわり一杯あるよ」スッ

ルビィ「ありがとうございます…♡」

曜(なんだろ…酔ったルビィちゃんって謎の色気凄いよね…)

ダイヤ「相変わらずハイペースね…あまり羽目を外すじゃないわよ?」

ルビィ「エヘヘ…わかってます、お姉様…?♡」

ダイヤ「お姉ちゃんでしょ!」ムスッ

ルビィ「はーい♡」

曜(ホントだった)

229: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:43:05.12 ID:dYi3GsTf.net
ダイヤ「わざとやってないでしょうね…?もう…!公私をしっかり別けれないようじゃ駄目じゃない!
だいたいアナタは昔っからお姉ちゃんの言いつけを守らないで心配ばっかりかけるんだから!お姉ちゃんも婿を取るどころかおちおち見合いも出来ないわ!」

ルビィ「………」ニコニコ…

曜「あ、あの、果南ちゃん…ダイヤさんとルビィちゃん大丈夫…?」

果南「あぁ気にしなくていいよ、いつもの事だから?ルビィも嬉しいみたいだし」ニコッ

曜「そ、そうなんだ…」

ダイヤ「ちょっと、ちゃんと聞いてる?お姉ちゃんはね、貴女が心配なのよ?黒澤家の二女として恥じないような淑女になってもらわないといけないの!そんなことじゃいつまでたっても殿方に

ルビィ「ごめんなさいお姉ちゃん…?」

ダイヤ「…」ピタッ…

ダイヤ「とにかく、黒澤家の名に恥じぬようお酒の飲み方も上品じゃなくちゃいけないわよ!」チョローン…

ルビィ「はーい、お姉ちゃん♡」

曜「何か口調が違うような…」

果南「フフッ…新鮮でしょ?」

曜「う、うん」

果南「みんなで飲む時はこんな酔わないからね」

ダイヤ「まだそこまで酔ってません!」

果南「はいはい」ニコッ

ルビィ「お姉ちゃん、お刺身食べる?はい、アーン?♡」

ダイヤ「アーン…」パクッ

曜「ぅえぇっ!?」ギョッ

ルビィ「エヘヘ…♡お姉ちゃん、美味しい?」

ダイヤ「うん…そうね、美味しいわ…捌きたてだけあるわね…さすが果南さんね♪」

ルビィ「よかった♪」

曜「こ、これは…」

果南「……ね、ずっと見てられるでしょ」ホッコリ…

曜「うん…」ホッコリ…

果南「フフ…曜もそろそろ日本酒飲む?」

曜「あ、うん、そうしようかな…」

ダイヤ「曜さん!この日本酒は本当に絶品ですわよ!」

ルビィ「ルビィもお気に入りなんです♪」

230: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:43:32.39 ID:dYi3GsTf.net
果南「冷でいいよね?冷が一番美味しいんだよ」

曜「じゃあ冷で!」

果南「はーい♪」

トクトクトク…

ダイヤ「きっと気に入りますわ?…ん…」グイッ

果南「ダイヤもおかわり?今日は中々のペースだね?」スッ

ダイヤ「そうね…曜さんがいてつい飲みすぎてしまうわ…」トクトク…

ルビィ「お姉ちゃん大丈夫?」

ダイヤ「フフッ…この黒澤ダイヤがお酒に飲まれる事などありません」

ルビィ「さすがお姉ちゃん♡」

果南「だいぶ怪しいけど…」グイグイ…

ダイヤ「ウフフ…曜さん?せっかくだから乾杯しましょう」

曜「あっ、はい」スッ

ダイヤ「ウフフ…今日の良き酒宴に…乾杯…?♡」スッ

曜「は、はい…乾杯///(謎どころかストレートに色気が凄い…)」スッ

カチッ…

曜「ん……コク……ははぁ…なるほど…これは…」クイッ

ダイヤ「ん……でしょう?」クイッ

果南「気に入ったみたいだね」ニコッ

ルビィ「果物みたいな味がするよね?」

曜「うん…かと言って甘過ぎるのはそれで苦手なんだけど…甘いのにすごくスッキリしてて飲みやすい…へぇ…さすが中々認めないダイヤさんが認めたお酒だね」

ダイヤ「ウフフ……そうでしょ?」クイ…

231: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:44:02.46 ID:dYi3GsTf.net
曜「確かにこれはつい飲み過ぎちゃうのもわかるなぁ」

果南「でしょ?」

ダイヤ「フフッ……やはり黒澤家のたるもの、ちゃんとした良いお酒を嗜まねばなりません」クイッ

曜(それさっき聞きました)

果南「……ダイヤ、そろそろ限界じゃない?」

ダイヤ「ウフフ…まだ大丈夫!ですわ」トクトクトク…

果南「明日知らないよー?」

ダイヤ「問題ありません!この黒澤ダイヤが酒に飲まれるなどありえませんわ」

曜(それもさっき聞きました)

ルビィ「…そう言えば曜さん、千歌さんの赤ちゃんもうだいぶ喋れるようになったんだよ」

曜「あぁそう言ってたね」

ルビィ「舌足らずで可愛いよねぇ」ニコニコ…

ダイヤ「ルビィも似たようなものよ」

ルビィ「酷いよっ!」ガーン

果南「なんかさ、千歌と曜の小さい頃を思い出すよ」

曜「もー親戚のおばさんじゃあるまいし!そんな年離れてないでしょ!」

果南「いやいや!千歌も曜も可愛かったからさぁ、良く覚えてるよ…それが今やこんなにおおきくなっちゃって」ニコニコ…

曜「だからそんなに離れてないでしょ!」

232: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:44:31.91 ID:dYi3GsTf.net
ダイヤ「いえいえ曜さん?たとえ一年でも年下であれば可愛いと思うものですわよ」

曜「そ、そうですか?」

ダイヤ「ええ!そりゃもう!ルビィの小さな頃はそれはそれは愛らしくて…本当に目に入れても痛くありませんでしたわ!そんじょそこらのじゃりとはレベルが…いえ!ランクが違うわ!まさに天使のような愛らしさで…!ウフフ…さすが我が妹…♡」ウットリ…

ルビィ「あ、あはは…///」

曜(本人目の前にいるー!)

果南「アハハ!ダイヤは相変わらず重度のシスコンだねぇ!でもね、曜も可愛かったんだよ?」

曜「やめてってば…」

ダイヤ「いいえ!ルビィの方が可愛いですわ!」

ルビィ「お、お姉ちゃん?」

果南「アハハ…まぁ聞いてよ。小さい頃の曜ってね、すっごく負けず嫌いだったんだよ?」

ルビィ「へぇ…意外です」

曜「え、そう…?」

果南「そうだよ!負けず嫌いというか…曜ってあんまりムキになるタイプじゃないように見えてさ、私に泳ぎとかかけっことかで勝てないもんだからムッとしててさ」クスッ

曜「アハハ…でもたしかにそうだったね…果南ちゃんには昔から何やっても勝てなかったなぁ…」

ルビィ「…子供の一年の差って大きいから」

果南「そうそう、そんなもんだよ。でもさ、それで千歌が果南ちゃんカッコイー!なんて言うもんだから曜が益々ムキになっちゃってさ」

ダイヤ「フフ…少し想像できるわね」クスッ

曜「そ、そうだっけ?」

果南「そうだよ!ムキになって泳ぎとか追いつこうとしてるのがなんか子供心に生意気だけど可愛くてさ~」ホッコリ…

ダイヤ「フフ…たしかにそうかもしれないわね」

233: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:45:00.37 ID:dYi3GsTf.net
果南「そんな曜がさ、ちょっとでも早くスタート切れるようにって飛び込みしてたんだけどさ、それ見た千歌が大喜びしてね?曜も千歌が喜ぶからって何度も何度も飛び込みして…」

ルビィ「フフ…可愛い…」

曜「…そうだっけ」

果南「良く覚えてるよー?あれは私も真似出来なかったなぁ…。千歌ちゃん見て見てー!って身体をひねってみたり宙返りしたり……そんな事やってるうちに気が付けばナショナルチーム級だもんね!ホント曜は昔から器用な子だったよ」

曜「そんな…私なんて全然だよ…」

果南「いやいや、千歌が喜ぶから、がきっかけでナショナルチーム級まで上り詰めるのはほんと大したもんだよ」

曜「アハハ…まぁ…そうかもね……」

ダイヤ「…フフ…曜さんは昔から千歌さんっ子だったんですね?」

ルビィ「お、お姉ちゃん…!ご、ごめんなさい曜さん…」

ダイヤ「あっ…」

曜「アハハ!いいんだよ、その通りだもん…ホント……私ってばいつも千歌ちゃんが喜ぶからーなんて理由ばっかりでさ………何も変わってないなぁ」アハハ…

ダイヤ「……し、失礼しました…!…決して悪い意味で言ったわけでは…」シュン…

曜「わかってます」クスッ

ルビィ「……でも、ルビィは…誰かを喜ばす…その為に努力ができる人って凄く素敵だと思います」

曜「………ありがとう、ルビィちゃん」

ダイヤ「私とした事が妹にフォローされちゃったわね…」シュン…

果南「ほらほら、シュンとしない!」トクトク…

曜「いやいや、気にしてませんから!」

ダイヤ「そう言ってもらえると…」

236: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:47:49.20 ID:dYi3GsTf.net
果南「ま、人の為にせよ自分の為にせよ一生懸命になれるっていい事だよねって話ね」グイッ

曜「無理矢理まとめたねー」クスッ

ルビィ「フフ…」クスッ

果南「いやーしかしこうやって曜とじっくり飲むのホント久しぶりだね」

曜「アハハ…ごめんね?中々機会がなくってさ…」

果南「果南姉さんは寂しいぞ~?」

曜「ごめんってば」アハハ

果南「………寂しいと言えば…曜ってば今日一言も梨子と喋らなかったねー」

曜「……!」ピクッ…

ダイヤ「」

ルビィ「」

曜「そ、そんなことないよ!喋ってたって」アハハ…

果南「えっ、そう?私は見てないけど」

曜「ホントだって…」

果南「例えば…?」

曜「えっ…」

果南「今日梨子と何話した?」

曜「そ、それは……」

ダイヤ「……果南さん、もうその辺でいいでしょう」

ルビィ「そ、そうですよ…」

果南「ダイヤ達は見た?」

ダイヤ「…!……」

果南「曜が梨子と話してるところ」

ダイヤ「そ、それは……」

ルビィ「う…ぅゅ…」

237: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:48:25.08 ID:dYi3GsTf.net
果南「だってさ」

曜「……たまたまだよ」

果南「…そっか」

曜「うん…」

ダイヤ「………」ダラダラ…

ルビィ「………」アセ…

果南「…二人とも何だかんだ仲良かったようにみえてたからさ、今日一言も話さなかったからどうしたのかなーってさ」

曜「ふぅ……まぁ、お互い沼津に住んでる関係でさ…ちょっとこの前に二人で飲んでたんだよ」

ダイルビ「えっ」

果南「へぇ」

曜「だから色々と話はもうしてたってわけ」

果南「ふーん…なるほどね」

曜「勘弁してよね…」

果南「ごめんごめん」

ダイヤ「……まったく…果南さんはいつもそうやって変な事には気が向くんだから……」クイッ

江戸切子「 」空ヤデ

ダイヤ「…………あ、あら?…」

ルビィ「……あ、ごめんなさいお姉ちゃん…ルビィ…お姉ちゃんのやつ間違えて飲んじゃったかも…」

ダイヤ「なっ…!?」

果南「アハハ!」

曜「えっ、いつの間に…」

ダイヤ「あ、貴女って子は…!もう!昔っからお姉ちゃんのものとってばっかりなんだから!いい加減その変な癖は直さなきゃ駄目っていつも言ってるでしょう!?この前だってお姉ちゃんが買ってきてたプリンを」ガミガミ…

ルビィ「………」ニコニコ

曜「え、えと……」

果南「フフ…ダイヤ結構飲んでたからねぇ」

ダイヤ「これくらい平気よ!」

238: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:48:59.59 ID:dYi3GsTf.net
ルビィ「お姉ちゃん、眠くない?」

ダイヤ「大丈夫っていってるでしょう!?」

ルビィ「ルビィのお膝で寝ますか?」

曜「ぶっ!?」

ダイヤ「だから!まだ眠くないって言ってるでしょう!?まったく貴女は人の話を聞かないんだから!お姉ちゃんはルビィの事がホントに心配で心配で仕方がないんだから!」

ルビィ「ごめんね?お姉ちゃん」

ダイヤ「ごめんじゃないの!まったく…貴女って子は…貴女って子は…」ウツラウツラ…

曜「えと…ダイヤさん…?大丈夫…?」

果南「頃合いかな…」

ルビィ「……ほら、ここだよお姉ちゃん」ポンポン…

ダイヤ「だから…!大丈夫よ……大丈夫…」コックリコックリ…

ルビィ「………」スス…

ダイヤ「もう……仕方がない…子なんだから……」膝枕コテン…

曜「……!?」

ダイヤ「ンン……zz」スヤー…

ルビィ「えへへ……♡」ナデナデ…

曜「きゅ、急に寝たね……」

果南「ダイヤって一定の量飲んだら急に寝ちゃうんだよね」

ルビィ「うん…あれ以上飲んだらお姉ちゃん、次の日気持ち悪くなっちゃうから…」ナデナデ…

ダイヤ「……zz」スヤー…

曜「なるほど…」

果南「私も悪い癖でつい飲ませすぎちゃうからさ…一度悪酔いさせちゃった事あって…。それからルビィは何気にダイヤのおかわりした杯数えてるんだよね」

曜「へぇ~…」

ダイヤ「ンン……zzZZ」スヤスヤ…

ルビィ「フフ………♡」ナデナデ

曜「……なんだか…あの時と逆だね」クスッ

果南「…?」

曜「ルビィちゃんは変わったね…なんだか…凄く大人になったよね」

ルビィ「ううん…ルビィは何も変わってません…変わったのはお姉ちゃんの方…」

曜「え…」

239: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:49:30.22 ID:dYi3GsTf.net
ルビィ「お姉ちゃん……お家のことがあるからって…家でも何処でもずーっと頑張ってて…たまに無理もしして…」

果南「そうだね……さっきまでワイワイ騒がしくしてたり、今はこんな可愛い寝顔で寝てるけど…こういう時くらいしかダイヤも力が抜けないんだよ。だからたまにルビィが私の家で飲みたがるようになったんだよね…家じゃ安心して飲めないから」

曜「…そうなんだ」

ルビィ「うん…ルビィが頼りないから…お姉ちゃんが全部背負っちゃって…」

果南「そんなこと無いよ。ダイヤはルビィのこと頼りにしてるよ。だって私と鞠莉と三人で飲んでてもここまで酔ったりしないからさ、なんだかんだルビィの事頼りにしてるんだよ」

ルビィ「……うん…ありがとう果南さん」

曜(…ダイヤさんにとってこことルビィちゃんの前だけが気が安らぐ場所なのかもね…)

果南「…ルビィ、いつもの部屋にもうお布団は敷いてあるからいつでも寝にいっていいよ」

ルビィ「ありがとうございます」

曜「…もう結構時間たってたね…」

ルビィ「…………それじゃあルビィもお先に寝させてもらいますね?」

果南「うん、ダイヤは…」

ルビィ「大丈夫です!……お姉ちゃん…?お布団いこう?」ユサユサ…

ダイヤ「ン………ルビィ…?」ムクッ…

曜「おっ……」

ルビィ「立てる…?」

ダイヤ「うん……」

ルビィ「よいしょ…それじゃあ果南さん、曜さん、お先に失礼します」ペコツ

果南「おやすみ」ニコッ

曜「お、おやすみ…」

ルビィ「いこ?お姉ちゃん」

ダイヤ「うん……」ウツラウツラ…

カラッ…ストン…

曜「……ダイヤさん…なんかふにゃふにゃだったね」クスッ

果南「フフ…まぁ私に言わせればあれが素のダイヤだよ。ちょっと騒がしい所もあって…それでいて気弱でちょっと甘えん坊なとこもあって…まぁようするに昔のルビィとそっくり」

曜「そっか…それにしても……確かにルビィちゃん…お酒強いね」

果南「でしょ?ルビィがお酒を飲めるようになった学生の頃だったかな…ルビィを酔い潰そうとした同期の子がいたらしいんだけど…ルビィが潰れないもんだから逆に潰れちゃった事があったんだって」ニヤリ…

曜「プッ…フフ…確かにあの様子じゃ中々潰れなさそうだね」クスッ

240: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:49:59.76 ID:dYi3GsTf.net
果南「それで男が完全に酔いつぶれて寝ちゃってさ、困ったルビィが仕方ないから元々迎えに来てもらう予定だった車にその人も乗せて送ろうって事になったんだけどさ…」

曜「優しいなぁ…」

果南「車がついたらダイヤが一緒に乗ってきててさ」

曜「こわっ!?」

果南「あの車から硬ーい表情のダイヤがゆったりと降りてきたらさぁ…恐怖だよね?その人の住んでる場所聞くために潰れて寝てる所起こしてさ『初めまして、ルビィの姉の黒澤ダイヤです(ニッコリ)』ってご挨拶」

曜「ひえぇ…」

果南「その後その人がどうなったかは私も怖くて聞けなかった」

曜「いやいやいやちゃんと送ったでしょ!」

果南「多分ね?ルビィはその後ダイヤにしこたま怒られたみたい」クスッ

曜「アハハ…流石ダイヤさん」

果南「さてと…曜、おかわりは?」スッ

曜「あ、うん…ありがとう」スッ…

トクトク…

曜「…ありがと」

果南「うん」

曜「………」チビチビ…

果南「………」クイッ

曜「…ふぅ…おいし…」

果南「うん…」

果南「……ねぇ、ホントは梨子と何かあったんでしょ?」

曜「………やっぱりバレちゃうよね」

果南「言いたくなかったらいいんだけどさ、話すだけでも楽になるかもよ」

曜「…………」

果南「…………無理にとは言わないけどさ…ン……」クイッ

曜「………」

果南「…何かアドバイスできる事もあるかもよ…一応先輩だし…いろんな意味で」

曜「…!………やっぱり…果南ちゃんもお見通しなんだね…」

242: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:51:27.14 ID:dYi3GsTf.net
果南「ん…?うーん…いや、まぁ……あれで隠してるつもりだったんだね」

曜「……キツいなー果南ちゃん…」

果南「ごめんね」

曜「ううん……ン……」クイッ

果南「……………」クイッ

曜「ぷは………。…そうだね……懺悔みたいになってちょっとは楽になるかもね…」

果南「懺悔って」クスッ

曜「フフッ……果南ちゃん…聞いてくれる?」

果南「私で良ければ」

曜「ウジウジするかもだけど……」

果南「私は曜の地味にウジウジしてるとこも割りと好きだよ?」

曜「……フフッ……ありがと…果南ちゃん」

果南「いいよ……果南姉さんに話してごらん?」ニコッ

曜「うん…」

243: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:52:00.14 ID:dYi3GsTf.net
ーーーーー
ーーーー
ーーー

果南「ふーん…曜と梨子がねぇ………そんなことになってたんだ」

曜「うん……引いたよね…」

果南「ん?いや、私は別に…きっかけなんて人それぞれだしね」

曜「相変わらず果南ちゃんってその辺はサバサバしてるね…」

果南「その辺は、ってのが気になるけどそれはどうも」

曜「……それでさ……私ね、ちょっと前に一度何も考えないで梨子ちゃんとデートしてもらったんだ」

果南「へえ」

曜「転職の事聞いて…自分でもどうしていいかわからなくて…何より…私が梨子ちゃんの事どう思ってるか…私自身の気持ちがわからなくてさ…」

果南「………コクッ…」クイッ…

曜「千歌ちゃんの事で高校の頃はホント仲悪かったからね…ひょっとしたらさ……先に身体の関係とかあったから…梨子ちゃんの事好きだって錯覚してるのかな…とか思ったりして…情けないよね……」

果南「……ううん、自分の気持ちってさ、案外自分が一番分かってない事って結構あると思う」

曜「果南ちゃんでも…そうなの?」

果南「……フフッ…そんな事しょっちゅうだよ……誰だってそういう所あるんじゃないかな」

曜「……そっか。………それでさ、自分の気持ち確かめたくて…ちょっと無理矢理デートしてもらってさ……」

果南「うん……」

曜「それでね……それで……」

果南「…………」

曜「………ドキドキしたんだ……お互い順番飛ばして色々してたくせに今更さ…ただちょっと手を繋いでだりしただけで…すごくドキドキした………。……年甲斐もなくさ」

果南「年甲斐もなくって…まだ若いでしょ」クスッ

244: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:52:29.48 ID:dYi3GsTf.net
曜「……私ね……ちゃんと好きだった……梨子ちゃんの事……ちゃんと好きだったんだ……グスッ…」ポロポロ…

果南「そっか………」ナデナデ…

曜「グスッ……でもね……梨子ちゃんは…私との関係の事とか……自分の将来の事とか……それから…家族の事…とかさ…ちゃんと考えて…向き合ってさ……変わろうとしてて…」

果南「うん……」

曜「……私は何も変わってなくて…いつまでも子供みたいに一人でずっとウジウジして…梨子ちゃんに依存してさ……」

果南「うん……」

曜「千歌ちゃんもちゃんとお母さんになってて…善子も凄く大人になってしっかりしてて……果南ちゃんやダイヤさんもルビィちゃんも皆……皆ちゃんと変わってるのに…私だけ…ずっとそのままで…何も変わってなくて…」

果南「………」

曜「私だけ…ずっと子供のままだった……」

果南「……」ナデナデ

曜「………変わらなきゃ…いけないのに……」

果南「そっか」ポンポン…

曜「……だからさ、色々あったけど…梨子ちゃんの夢…応援する事に決めたんだ」

果南「…なるほどね……」

曜「…決めたのに……決めたのにさ……」プルプル…

果南「…………」

曜「…………グスッ…私……やっぱり…寂しい…なんて…思っちゃって……」ホロリ…

果南「うん…」

曜「あの時…ちゃんと二人で変わろうって…話したのに……私…やっぱり変われてなくて…」

果南「なるほどね……」

曜「私…ずっと誰かに…依存してばっかりでさ………グスッ…」

果南「………」ポンポン…

246: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:52:56.85 ID:dYi3GsTf.net
曜「…だから…臆病で卑怯だってわかってるけど…今日話せなかった…弱気になって…弱音吐いちゃいそうでさ……」グシグシ…

果南「そっか…なるほどね…」

曜「ほんとに…子供だよね…いい歳してさ…ごめんね?こんな…」

果南「ううん、いいよ」ナデナデ

曜「ありがと……」

果南「…ふーん…そっか……そんな事になってたんだね…」

曜「うん……というか…あんまり驚かないんだね……」

果南「ん……いやまぁ…学生の頃からなんとなく…ややこしい事になってそうだなぁとは思ってたからさ……」

曜「……え……学生の頃から?」

果南「え、うん………」

曜「バレてたんだ…」

果南「ん…まぁね……」

曜「……アハハ…情けないなー…なんか…ごめんね、気を使わせちゃって…」

果南「ううん、学生の頃については私達が言えた義理じゃないしさ」

曜「いやそんな…」

果南「ふーん…そっか…そうだったんだね…」

曜「うん……」

果南「………あのさ、さっきの普通にデートして曜が感じた梨子への気持ちの話……ちゃんと梨子の事好きだったって話は梨子にはしたの?」

曜「うん…したよ」

果南「そうなの…?」

曜「……あ、うーん……正確に言えば………普通にデートしてもらって…わからなかった自分の気持ちが分かったよ、ってだけ…」

果南「なるほど……ようするに言ってないんだ」

曜「うん……でもね、梨子ちゃんは多分…わかってくれたと思う」

果南「へぇ…」

曜「……だって…私も…梨子ちゃんの気持ち………わかったから…」

247: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:53:27.43 ID:dYi3GsTf.net
果南「…それでも…ちゃんと言葉にして言ってあげたら良かったのに」

曜「…ううん……お互いの気持が同じって…何となくわかっただけでも…十分だよ」

果南「だから梨子が海外に行って…離れても平気って?」

曜「うん……まぁ…まだ全然吹っ切れてなかったけどさ…」

果南「へぇ………フフッ」クスッ

曜「あっ!ちょっとー…笑わないでよ!」

果南「フフ…ごめんごめん!…いやさ…相変わらず自分だけで自己解決しちゃって…なんか曜らしいなって思って」

曜「もー…果南ちゃん!」ムスッ

果南「ごめんごめん?」

曜「もう…」

果南「あとそれだけじゃなくてさ……私も昔おんなじ事思ってたなーって思い出してさ」

曜「えっ…」

果南「………鞠莉が海外に留学する時の事」

曜「……!」

果南「……私もね…鞠莉の将来の事とか…自分の気持ちとかさ、色々と思うこともあって………結論として鞠莉が海外に留学できるように仕向けたでしょ?」

曜「……うん」

果南「私もさ…柄にもなく色々と考えて…ダイヤにも結構話聞いてもらってさ……結局私の我儘でaqoursを解散するって話にして…。…でも別に喧嘩別れするわけじゃないから…鞠莉とは留学まではなるべく一緒にいたんだよ」

曜「……そうなんだ」

果南「それでね、いよいよ出発が次の日に迫った日の夕暮れにさ………鞠莉と二人で淡島への帰りの船に乗ってた時にね……もう鞠莉とこうして一緒に登校したり下校したりする事もないのかなーって思ったら…凄く寂しくなっちゃって……」

曜「そうだよね……」

248: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:53:58.27 ID:dYi3GsTf.net
果南「でも何も言うセリフが思いつかなくてさ……と言うか…なんか喋ったら泣いちゃいそうでね。…なんとか笑顔を貼り付けながら……『私は鞠莉の事…忘れないから…』ってひねり出したんだ……なんにも面白みがないけど……とにかく何か伝えたくて……」

曜「…………」

果南「…鞠莉はそれに『私も…』ってだけ答えて…黙って私の方をジッと見てた…。…私もそれきりなんだか黙ちゃってさ…同じ様になんとなく鞠莉を見め返してた」

曜「う、うん……//」ドキドキ…

果南「…………そうやって夕陽の中二人で見つめ合ってたらさ、ふとわかったんだ…私の好きと鞠莉の好きって…同じ好きなんだなって」

曜「……!」

果南「………それから…鞠莉も同じ様に…私と同じ事気が付いたんだろうなーって思った」

曜「それって……」

果南「何となくってレベルじゃなくて…ほとんど確信でね」

曜「…………」

果南「でもさ、私達は何も言わなかった。言葉にしなくてもいいって…二人が同じ気持ちだったってわかっただけで…それで十分って思えたんだ。ちょっと満たされた様な気持ちになってた。…きっと鞠莉も同じ気持ちか…それに近い気持ちだったんだと思う」

曜「……そう…なんだ」

果南「だから…たとえ離れ離れになっても平気って…鞠莉との事は……綺麗で…淡い想い出にできるって思ってたんだ。…………その時はね」

曜「……!…」

果南「後は知っての通りだよ」

曜「………」

果南「ほんの数週間も持たなかったよ……ちょっと離れただけでさ……駄目だった…。…あの時確信めいて感じてた"私と鞠莉は同じ気持ち"って思いが……どんどん信じられなくなって…」

曜「……………」

果南「一ヶ月もしたら…もうわからなくてなってた。…そしたら次に不安な気持ちがどんどん押し寄せてくるんだ……」

曜「果南ちゃん……」

果南「…あの時私がはっきりと感じた気持は…私だけの独り善がりの自惚れだったのかな、とか…鞠莉の事だからもう私の事なんか忘れて……他の誰かと学生生活をエンジョイしてるんじゃないかとか…ネガティブなことばっかり」

曜「……………」

249: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:55:03.10 ID:dYi3GsTf.net
果南「しっかり言葉にしとけば良かったかな…とか…こんな事ならいっそ…好きにならなきゃよかった…とかさ」

曜「そんな………」

果南「そうしてる内に…鞠莉との思い出まで…あんまりいい思い出じゃないような気になってきちゃって……」

曜「…………」

果南「今まで好きだった他の事も…なんか楽しくなくなってきちゃってね……あ、うーん…楽しくなくなったというか…楽しんじゃダメな様な気になってた…かな?
……それでなんかダイヤともちょっと変な感じになっちゃってさ……」

曜「果南ちゃん……」

果南「そんな状態で千歌達のおかげで高校3年生で再会したけどさ…もう自分の気持ちも鞠莉の気持ちもわからなくなっててあの通り……。……ホント…迷惑かけたよ」

曜「…………」

果南「……まぁ何が言いたいかってさ、どんなに付き合いが長くて、仲も良くて…親しくてもさ、自分じゃない以上他人には変わりないんだから…
言葉なんか無くても相手の事わかってるとか…わかってくれてる、なんてのは錯覚みたいなもので…はっきり言って、あてにならないよって話」

曜「……………」

果南「伝えたい気持があるなら…ちゃんと言葉にしてあげないと伝わらないよ?…例えもし伝わってても…所詮は自分の都合の良い想像となんら大差ないんだからさ、ちょっと時が経つと簡単に色あせちゃうんだ」

曜「………なんか凄く説得力があるね…」

果南「フフッ…なーんて…偉そうな事言って実は今のはダイヤの受け売りなんだけどね?」

曜「えっ」

果南「いつ頃だっけな…大学の終わりの頃だっけ…鞠莉がしばらく海外で働く事について…またちょっとすれ違っちゃって派手にケンカしちゃってさ…それでダイヤについ愚痴をもらしてたらそうやって説教されちゃったんだ」

曜「へぇ…さすがダイヤさん…」

果南「身に覚えもあったしなるほどなーと思ったからはっきり覚えてるよ… ダイヤ曰く元伝説のスクールアイドルの言葉なんだってさ? まぁどうせμ'sの事なんだろうけど」クスッ

曜「フフッ…ダイヤさん…相変わらずだね…」クスッ

250: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:55:31.23 ID:dYi3GsTf.net
果南「ラジオか何かで聞いたらしいけど…ダイヤもそれ以降さ、意識して"言わなくても分かってくれてる"って思わない様にしてルビィにハッキリと気持ちを言葉にして伝えるようにしたんだってさ」

曜「え…?ダイヤさんとルビィちゃん?」

果南「昔より仲良くなったと思わない?」

曜「え?…んー…いや…昔からだいぶ仲良かったと思うけど……」

果南「……あれでルビィも昔はさ…たまに自分があんまりにも不甲斐ないから…ダイヤに嫌われてるんじゃないかな、とか疎ましく思われてたりするんじゃないかな、って思う事結構あったみたいなんだ」

曜「えっ!?うそっ!?そんな風には見えなかったけど……と言うかそんなわけないじゃん!!」

果南「うん、ダイヤがシスコンなの全然隠しきれてないからルビィも頭ではそんな事絶対無いって分かってはいたらしいんだけとね…?特に学生の頃はそうやって悩むこと結構多かったらしいよ?…ダイヤが寝ちゃった後にルビィと二人で飲んでた時ポツポツと話してくれた」

曜「………全然知らなかった……」

果南「ダイヤも真面目で人一倍責任感が強いから言う時は結構キツく言っちゃうからね…頭ではそうじゃないってわかってても弱気になるとそうなっちゃうんだよ…」

曜「………」

果南「…でもダイヤが自分の想いをちゃんと言葉にしてルビィに伝えるようになってからダイヤのお小言も嬉しく思えるようになったんだってさ」

曜「……そうだったんだ……」

果南「ね?あんなに仲の良い血を分けた実の姉妹だって言葉にしなかったらすれ違っちゃう事があるんだよ?まして他人同士なら尚更だよ」

曜「………なるほどね」

果南「ま、とにかくさ、何が言いたいかって…後悔したくなかったら…伝えてない事があるならちゃんと伝えてあげたほうがお互いにとって良い事だと思うよって話かな?」

曜「……わかった。…ありがとう…果南ちゃん」

果南「ううん……フフッ…ちょっと話し過ぎしちゃったね?ごめんごめん」

曜「ううん…ありがとう…話してくれて…」

果南「アドバイス、なんて言うにはあんまりだけどさ、物事って案外単純なもんだよ」

曜「………そうだね………ありがとう」

果南「ううん……ン………ふぅ……」グイッ…

曜「………………」

252: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:56:55.89 ID:dYi3GsTf.net
果南「………俯いてどうかした?」

曜「……ねぇ、聞いていい…?」

果南「いいよ?なんでも聞いて」ニコッ

曜「果南ちゃんは……鞠莉ちゃんとの事………どうして…怖くないの…?」

果南「……………」

曜「…………」

果南「…………怖いよ」

曜「えっ」

果南「先の事考えて…怖くて…不安でたまらなくなる事なんて…しょっちゅうだよ」

曜「果南ちゃんが……?」

果南「アハハ…そりゃそうだよ」

曜「…………」

果南「……でもね……私は…………鞠莉が隣にいない方が……もっと怖い」

曜「……!」

果南「フフッ…学生の頃にもう経験済みだから…怖かった…の間違いかな…?こればっかりは経験しないとわかんないよ」

曜「…………」

果南「不安で…怖くなって…たまに泣きたくなる時もあるけどさ…鞠莉が隣にいてくれるなら…安心できるし…乗り越えていけるような気がするんだ」

曜「果南ちゃん……」

果南「まぁ今は隣にいないけどね?……でもお互いはっきりと言葉にして…気持も確かめ合って…二人でちゃんと色々と誓いあってるから……平気…かな?隣にいてくれるにこしたことはないけど」ニコッ

曜「…………」

果南「鞠莉も今は海外で色々とやってるから…ちょっと離れ離れだけど…もうしばらくしたら日本でやっていけるし…お互いそれまでの辛抱だよ」

曜「……やっぱり果南ちゃんも鞠莉ちゃんも凄いね…」

253: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:57:23.60 ID:dYi3GsTf.net
果南「アハハ…そんなこと無いよ?………いやさ、私よく鞠莉がせがむから、みたいな感じでハグしよ、なんて言ってたけどさ…ホント言うとあれ私が不安になった時とか落ち着きたくなった時にやるんだよね」ニヤリ…

曜「えっ」

果南「鞠莉には内緒だよ?」

曜「……うん」クスッ

果南「アハハ…柄にもなくセンチな話ししたゃったね……ん……」グイッ……コトッ…

曜「はい……」スッ…

果南「ありがと…」

トポポポ…

曜「………ありがとう…果南ちゃん」

果南「いやいや…大したこと言ってないよ…私だから曜に言えるちょっとした経験談」ヒラヒラ

曜「そんな……」

果南「……後さ、曜ってしきりに変わらないと…って言ってるけど…変わらない事ってそんなにいけないことかな?」

曜「えっ…」

果南「確かに変わる事って凄く大事だよ?でもね、変わらないでいるって事も…私は悪い事じゃないと思うな」

曜「そう……かな」

果南「そりゃ悪い所は直して変えていけばいいよ?…でも根っこの部分の性格は無理に変えないでそのままでいいと思う……そもそも長所と短所なんて表裏一体だよ」

曜「でも…私……」

果南「私は曜のその器用で不器用な地味に面倒な性格…可愛げがあって好きだよ?」ニコッ

曜「果南ちゃん………」ウルッ…

254: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:57:50.27 ID:dYi3GsTf.net
果南「それに変わらない事で…安心するって事もあると思うな。何だかんだ今日の飲み会してて思わなかった?
…たしかに皆大人になってしっかりしてたりして変わってる所もあったけど……根っこの部分は皆全然変わってなかったでしょ?」

曜「……そうだったね」

果南「なんか安心しない?みんな相変わらずだなーって」

曜「……うん…する」

果南「自分の悪い所を直して変わる事は凄く良い事…でもね…変わらなきゃいけないって想いで無理矢理自分を押さえ込めるのは…別に悪いことじゃないけど…そんなに良いことでもないと思うな」

曜「………」ホロリ…

果南「…曜はどうしたって曜なんだからさ」ナデナデ

曜「……グスッ……。……そうだね……うん……そうなのかもね…ありがとう…果南ちゃん…」

果南「まぁ…曜はさ、子供の頃から既に器用で要領が良い子だったからさ…ある意味伸びしろがないんだよ。変わりしろがない、の方が正しいかな?その辺はちょっと気の毒かなー?」クスッ

曜「もう…果南ちゃんまでやめてよ…」

果南「フフッ……いやいや、なんたって曜は…可愛い可愛い私の自慢の後輩だから」ニコッ

曜「……!…フフッ…ありがとう…果南ちゃん」

果南「ううん、柄にもなくちょっと偉そうな事言いすぎたね…ちょっと飲み過ぎちゃったかな」

曜「そんなこと無いよ…話聞いてくれて…話ししてくれてありがとう…本当に…だいぶスッキリした」

果南「そっか…なら良かった♪」

曜「………ん……ふぅ………美味しい…」クイッ…コトン…

果南「…おかわりする?」スッ…

曜「ううん…もうごちそうさま…なんか胸がいっぱいで」

果南「フフッ…そっか?…もう寝る?布団なら客間に3つ敷いてるから…部屋は覚えてるよね?」

曜「うん…あ、片付けは…」

果南「大丈夫、明日やっとくから」

曜「うん…ごめんね…ありがとう」

果南「いえいえ」

255: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:58:26.76 ID:dYi3GsTf.net
曜「…果南ちゃんはもう寝るの?」

果南「私…?私はこの部屋で寝るから…もうちょっと飲んでるよ。…それに…実はそろそろ日課の鞠莉と電話する時間なんだ?」ニコッ

曜「…!…フフッ…それじゃあもう退散しようかな?色々とごちそうさまであります!」クスッ

果南「アハハ!お疲れ様、曜?……ん……ふぅ…」クイッ……コトッ…

曜「それじゃあお先に休ませて貰うね」スクッ…

果南「うん、おやすみ…曜」

曜「おやすみ…果南ちゃん」スッ…

カラッ…

果南「………曜…!最後に…」

曜「…ん?」クルッ

果南「…大丈夫だと思うけど勘違いしないで欲しいから一応言っとくよ。…色々偉そうな事は言ったけど最後に決めるのはあくまで曜自身だよ」

曜「………!」

果南「今日話した事はあくまで私の勝手な考え。別に私の考えが正しいなんて言うつもりはないよ。…それをふまえて…改めて自分の気持ちに正直になってよく考えてさ……その結果曜がこの前決めた自分の結論が正しいって思うんなら…私はそれでも全然いいと思う」

曜「……………」

果南「……甘いばっかりじゃなくて…大変な事も多いからさ…。……最後は自分の意志で…曜には決めてほしいな。 自分の人生……誰のせいにも出来ないからね 」

曜「果南ちゃん……」

果南「……最後に私から言えるのは…それだけかな」

曜「……相変わらず…ちゃっかり厳しいね…果南ちゃんは」

果南「あれ?知らなかった?私って結構スパルタだよ?」

曜「……そうだったね?さすが体育会系」ニヤリ…

果南「まぁね?」ニヤッ

曜「…でも…ありがとうね、果南ちゃん…はっきり言ってくれて」

果南「ううん…。脅かしてごめんね?今度こそおやすみ…」

曜「うん…おやすみ…」

ストン…

果南「頑張ってね、曜……」

ーーー
ーー

256: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 08:58:54.92 ID:dYi3GsTf.net
松浦家 廊下

曜「……グスッ………ふぅ…」グシグシ…

曜「……本当にありがとう…果南ちゃん…」ポソッ…

曜(……それにしても…果南ちゃん…私と一つしか違わないってウソでしょ…色々と達観し過ぎだよ…小さい頃から家の手伝いとか言って働いてるからなのかな…ベテラン社会人凄い………)

曜(………しかし…善子曰く一年生は皆わたし達にヒヤヒヤしてたらしいし…鞠莉ちゃんにも梨子ちゃんに嫉妬してたの当時からしっかりバレてたし…ダイヤさんもなんか察してフォローしてくれてたし………結局ほぼ皆にバレてたんだなぁ…)

曜(梨子ちゃんが知ったらショックで倒れちゃいそう…)

曜「はぁ……えーと…客間…と…」キョロキョロ…

曜「あ、ここだっけ……」カラッ…

松浦家 客間

「……zzZZ」スヤー…

「……zzZZ」スゥ…スゥ…

曜(そうだ…ダイヤさんとルビィちゃんが寝てるんだ………起こさないように…と…)ヨーソローリソロリ…

ダイヤ「……zz」スヤスヤ…
ルビィ「……zzZZ」スー…

曜(……よし…と……)チラッ…

曜(………んんっ!?)2度見っ

ダイヤ「……zz」スヤスヤ…
ルビィ「……zzZZ」スー…

曜(えっ…なんで同じ布団で寝てるの…?…布団ちゃんと3つあるのに…)

ダイヤ「……zz」スヤスヤ…
ルビィ「……zzZZ」スー…

曜(………なんだろ……善子じゃないけど………)

曜(えっろ)

ダイヤ「……zzZZ」スヤ…
ルビィ「……zz」スー…

曜(……いや…いやいや…!…我ながらなんと無粋な……)

ダイヤ「……zzZ」スヤ…
ルビィ「……zz」スー…スー…

曜(……そういえばこの二人…学生の頃の合宿もこうやってやたらひっついて寝てたっけなぁ……懐かしいな…)クスッ

259: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:01:19.47 ID:dYi3GsTf.net
ダイヤ「……zz」スゥ…スゥ……
ルビィ「……zzZZ」スヤー…

曜「……………」スマホ スッ…

スマホ「ピピッ、パシャッ」

ダイヤ「……zz」スヤスヤ…
ルビィ「ン……z」スー…

曜(……思わず撮ってしまった)スマホ スッスッ… ホゾン…

ダイヤ「……zz」スヤスヤ…
ルビィ「………」スー…

曜(………フフッ…二人とも……"相変わらず"…だね)クスッ

曜(……………さてと…)モゾ…

ダイヤ「……zz」スヤスヤ…
ルビィ「………」スー…

曜「…………」

曜(……これ……寝れるかな)

曜(まぁ……丁度いいか…)

曜(……ちゃんと…考えないとね……)

ーーー
ーー

260: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:02:04.25 ID:dYi3GsTf.net
果南ルーム

果南「…ふぅ………」スッ…

トポポポ…コトン…

果南「…………」クイッ

果南「…コク…。……ふぅ………なんか…緊張したー…」コトッ…

果南「柄にもなく偉そうな事ばっかり言っちゃったよ…鞠莉…」ポソッ…

スマホ「鞠莉」ヴヴヴ…ヴヴヴ…

果南「おっ…噂をすれば…」スマホ スッスッ…

果南「鞠莉?」

鞠莉『ハァイ果南?今平気?』

果南「うん、丁度曜が寝たところだよ」


鞠莉『…!…じゃあ…話…聞いてあげれたの?』

果南「うん…色々と話はしといた」

鞠莉『…そう……。ありがとう…果南』

果南「ううん、私も気になってはいたんだよ…曜と梨子にはね」

鞠莉『そうね…。それにしても……やっぱり曜は果南には素直に話ししたのね』

果南「ん…いや、まぁ曜も色々と溜まってたんだよ……誰にでも相談できる事じゃないからね…同じ立場の私だから曜も話が出来たんだと思うよ」

鞠莉『…そうね』

果南「まぁ善子はそこら辺はどうしても踏み込んだ事聞いたり言えないのは仕方無いよ。あの子人一倍優しくて良い子だしなおさらね」

鞠莉『善子は気遣いも出来る子だもの…』

261: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:02:32.41 ID:dYi3GsTf.net
果南「でもそれだけじゃなくて賢い子だよ…その辺の事情も含めてさ、ちゃんと人に相談してくれたんだから」

鞠莉『ええ…本当に…』
…………
……………
……………………

数週間前…

梨子の海外勤務の連絡から数日後…

ニューヨークシティ

鞠莉「ん~…!」ノビー…

鞠莉「……ん~…やっぱり優雅なホリデーの朝は美味しいコーヒーに限るわね♪」ズズ…

鞠莉「!…と…そろそろ果南との電話の時間ね♪ウフフ…♡」イソイソ…

スマホ「」♪~…♪~…

鞠莉「あら♪噂をすれば…♪ウフフ…いつもよりちょっと早いじゃない?も~お~!果南ってばせっかちガール♡」スマホ スッ…

スマホ「堕天使ガールヨハネ」♪~…♪~…

鞠莉「………oh?」

スマホ「堕天使ガールヨハネ」♪~…♪~…

鞠莉「oh~!誰かと思ったら善子じゃな~い♪」スマホ スッ…

鞠莉「はぁい善子?」

善子『…あ、マリー?…ごめんね…こんな遅くに…確かアメリカとか言ってたと思うからそっち今10時くらいだと思うんだけど……今大丈夫だった…?』

鞠莉「ドンゥオーリー!今ニューヨークシティで今日ははホリデー!マリーはもうリラックスモードよ~♪」

善子『…そう…良かった』

鞠莉「そっちは今真夜中じゃない?夜更かししちゃ駄目よー?」

善子『子供じゃあるまいし…まだ0時回ってないわよ…」クスッ

262: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:03:03.17 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉「あらそう?フフッ…と言うか久しぶりじゃなーい♪イチネンブゥリくらい?元気してたー?」

善子『ええ…おかげ様で…マリーは?』

鞠莉「私もこのとーり!ファインセンキュー!マリーは元気いっぱいよ~♪」

善子『そのようね…』クスッ

鞠莉「……?善子?なんだか元気がないみたいだけど…」

善子『そうね……私自身はなんとか元気なんだけど…ちょっと……』

鞠莉「………何かあったの?」

善子『………うん…ちょっと…相談に乗ってほしくて…』

鞠莉「………オーケー、ちょっと待ってね、今デスクなの」ゴソゴソ…

善子『急にごめんなさいね……』

鞠莉「ノンノンっ、落ち着いて聞きたいからテラスに移動するだけよ♪…………はい、おまたせ」ガチャ…

善子『うん………ありがとうマリー…』

鞠莉「水臭いこと言わないの!マイリトルヨハネの為だもの♪なんでも聞いちゃうわ?」

善子『って!もうヨハネってゆーなっ!………ありがと…マリー…」

鞠莉「フフッ♪ううん、いいからいいから♪」

善子「うん………あのねマリー………曜ちゃん……曜とリリーの事なんだけど……』

鞠莉「……ワッツ?」

ーーーーーー
ーーーーー
ーーー

鞠莉「oh……梨子の海外勤務の連絡にそんな因果が……あの二人…そんな事になってたのね…」

善子『うん……私も…なにか出来ることがあればって思って曜と話してみたりしたんだけど…』

鞠莉「うん……」

263: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:03:28.36 ID:dYi3GsTf.net
善子『やっぱり二人の事だし……デリケートな問題だからあんまり首突っ込むのも野暮だし…何も出来なくて…』

鞠莉「…………」

善子『曜が……ううん、二人が決めた事だから…もう他人の私がとやかく言うべきじゃないって事はわかってるんだけど……』

鞠莉「うん………」

善子『だけどね……リリーが…泣いてたの……』

鞠莉「…………」

善子『転職の話聞いたとき……リリー…珍しく酔い潰れて………それで…寝ぼけて泣きながら曜に…謝ってて……』

鞠莉「…………そう」

善子『そうこうしてるうちに…この前の連絡が来て…決定しちゃって……。…ねぇマリー…どうしたらいい…?ううん…もう何もするべきじゃないって…わかってるけど………私……私……』ウルッ…

鞠莉「……オーケー善子…だいたいわかったわ」

善子『……グスッ…ごめんね』

鞠莉「いいのよ。……そう…梨子と曜がね……」

善子『………私…結局リリーに何もしてあげられなくて…」

鞠莉『ううん、善子、アナタは頑張ったわ。アナタのおかげで梨子も曜も相手に向き合って考える機会が出来たんですもの…十分よ」

善子『そう……かしら……』

鞠莉「ええ、詳しい事はわからなけどきっとそう♪」

善子『……でも……結局リリーは海外に……グスッ…』

鞠莉「…うーん……ねぇ善子」

善子『………なに?』

鞠莉「梨子が海外に行くって話…そんなに悪い事かしら」

善子『えっ』

264: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:03:56.94 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉「私はね、…視野を広げるために海外に…ううん、新しい世界を見る事って…悪いことじゃないと思うの」

善子『……マリー…』

鞠莉「もし曜と梨子がちゃんと話し合って海外に行くって選択をしたなら…私はそれもいいと思う」

善子『…………』

鞠莉「………ねぇ善子?私が学生の頃…浦ノ星の学生の頃に二年間留学してた事あったじゃない?」

善子『うん………』

鞠莉「あの頃はね…私も留学とか…これからの将来の事とかね…そんな事どうでもいい!全く興味無い!余計なお世話!ってはっきり思ってたの」

善子『………』

鞠莉「でもね……最近…ううん、今になって思うの…あの時果南とダイヤが私の為を想って…必死で考えて…その結果海外に送り出してくれたことを…簡単に"間違ってた"なんて事にしたくないって」

善子『マリー…?』

鞠莉「何の意味も無いって…後悔ばっかりだったって…あの当時は思ってたけど…でもね、あの留学のお陰で…私は色々と世界を知ることが出来て…理事長として帰ってくる事が出来た」

善子『あ…あぁ…そう言えばそうだったわね…』

鞠莉「フフッ…私が小原家の寄付金と援助だけでお飾り理事長になったなんて思ってた?ちゃんと経営の事とか運営の事とか…小娘なりにちゃんと勉強して真似事なりに理事長はやってたつもりよ?」

善子『えっ…そうなの?書類に適当にハンコ押してただけじゃなくて?』

鞠莉「ちゃ、ちゃんとやってたのー!…今の所そんな描写無いけど(ボソッ… と、とにかく!やるべき事は皆が見てない時にちゃんとやれてたのー!もー!痛いとこツッコまないで!激おこプンプン丸だよー!」

善子『…ご、ごめんなさい……』

266: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:04:49.44 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉「…フフッイッツジョーク♪小原家の力とお飾りなのは本当だったしね?…でもね、ちゃんと経営と運営の事とか勉強してたのは確かだし…
お遊びじゃなくて普通のスクールガールには出来ない事だって紛いなりにはやってたつもり」

善子『…………』

鞠莉「単純に"知ってる"って事と"知らない"って事とじゃそれだけでと~っても差があるのよ?だから海外で視野を広げる事自体は私は別に悪いとは思わない」

善子『………そう…よね……うん…余計なお世話よね…』

鞠莉「善子ー?最後まで聞いて?今の話は海外勤務の話自体は悪くないんじゃないのって事!そうね、ちょっと話が逸れちゃったわね
結論を先に言うと…私が今そう思えたのも高校3年生の時にちゃんと気持ちを伝えあって…あの時の果南とダイヤの気持ちを知る事が出来たからなの」

善子『マリー……』

鞠莉「もし果南とダイヤの想いと気持ちを何にも知らないままでずっと海外に留学してたら多分今でも後悔ばかりだった、って事!」

善子『…えと…つまり…?』

鞠莉「さっきの海外勤務も悪くないって話は、あくまで二人がちゃーんと話し合って納得して決めた事ならって事!
私が気になるのは…まだ曜と梨子が本当に自分の気持ちに素直になって話し合えたかわからないって事よ」

善子『え…?……ちょっとマリー…話聞いてた?』

鞠莉「なに?」

善子『曜は…ちゃんと本音で話し合えたって……』

鞠莉「Nnn~…どーかしらねー」

善子『えー…」

鞠莉「善子はその話し合いの内容まで聞いたわけじゃないでしょ?」

善子『そりゃそうよ…だって…関係ないし…そんな突っ込んだことは…』

鞠莉「ならわからないじゃない」

善子『そうかしら…曜ならきっと…』

鞠莉「ん~…相変わらず善子は曜の事とーっても信頼してるのねー?」

善子『えっ…?い、いえ別にそゆわけじゃないわよ…//』

鞠莉「あのね善子…曜ってね?と~っても頑固なのよ!」

善子『へっ…?曜が?』

267: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:06:24.11 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉「イエース!もー頑固で頑固で!私の言う事なんてちーっとも聞いてくれないのよ!?」

善子『え…そう?…曜にそんなイメージ無いけど…』
 
鞠莉「あるのよねぇ…せっかく本音で話せってアドバイスしたのにぜーんぜん聞いてくれないで自己解決しちゃう子よ?あの子」

善子『……?……うーん……まぁでも……ちょっとわかるような…』

鞠莉「でしょ?可愛い後輩の前でカッコつけたがる曜のプライドに免じて具体例は内緒にしてあげるけどとにかく!まずはちゃんと曜の話を聞いてみた方がよさそうね…」

善子『うん………』

鞠莉「もしちゃんと話し合えてなかったら…梨子も海外に進出しても絶対に後悔することになるもの…!あの頃の私達みたいに……。どうせ行くならちゃんと勉強出来るように後悔しない選択をして欲しいし」

善子『うん…でも…話を聞くっていっても…私は…』

鞠莉「そうねぇ…曜は頑固で善子にはカッコつけたがるでしょうし…シビアな事言うと善子には本音で話すのは難しいかもしれないわ」

善子『ええ…きっとそう…』

鞠莉「善子?勘違いしないでね?曜は善子を信頼してないってわけじゃないのよ?」

善子『大丈夫、わかってるわ。……でも…じゃあどうすれば…ねぇ…マリーなら曜も話してくれるんじゃない?マリーから曜に聞いてくれる…?』

鞠莉「ん~……そうねぇ……生憎だけど私もちょっと厳しいかもしれないわ…あの子とにかく強情だもの…それに電話では素直に話してくれるかわからないし…しばらくそっちにはもどれないし……」

善子『…そうよね…ごめんなさい…無理言って…』

鞠莉「ううん、いいのよ。…うーん…そうねぇ………曜が素直に話す相手…か…」

善子『……………』

鞠莉「…………果南………そう!果南よ!」

善子『え…果南?』

鞠莉「ええ!曜は果南にならきっと素直に話してくれるわ!」

善子『ん?え……そうかしら?』

鞠莉「ウフフ……忘れられがちだけどね?曜は果南とも幼馴染なのよ?」

善子『……え?そうだったかしら…』

268: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:06:52.14 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉「そうなのよねぇ~…何故かそんなイメージ無いけどそうなのよ?だって千歌っちと果南が幼馴染なのよ?曜と果南だって幼馴染に決まってるじゃない」

善子『あれ?うん…そう言えばそうよね…?なんでそんなイメージ無かったのかしら…』

鞠莉「スピリチュアルね?まぁそんな訳でちょっと果南に相談してみるわ?曜と梨子の件について考えるのはそれからでも遅くないと思うの」

善子『うん…わかったわ…ありがとう…マリー…』

鞠莉「いいのよ~?善子こそ相談してくれてセンキュー!」

善子『うん……ごめんね……投げっぱなしで……』

鞠莉「も~!浮かない声ださないの!そうねぇ…何かしたいって言うなら取り敢えず善子は梨子の送別会の幹事でもしててちょうだい?なにかのきっかけになるかも知れないし」

善子『あ、うん……わかったわ』

鞠莉「ちょっと果南と話してまた連絡するわ」

善子『うん……ありがとう…マリー…』

鞠莉「いいのよぉ~?私の可愛い友達想いなマイリトルヨハネの為だもの♡」

善子『善子っ!……フフッ』クスッ

鞠莉「フフッ♪それじゃあね♪」

善子『うん…ありがとね…それじゃあ』

鞠莉「ええ♪バーイ?」ピッ

………………
…………
………

269: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:07:20.40 ID:dYi3GsTf.net
果南ルーム

鞠莉『ねぇ…それで曜と話してみて…果南はどう思ったの?』

果南「そうだね……率直に言うとさ…話を聞く限り曜は結構ちゃんと梨子と話はしてたみたいだったよ」

鞠莉『…そうなの?』

果南「曜の話を信じるならね…ちょっと色々と考え過ぎてた事と…大事な事を伝えきれてないみたいなのが気になったけど…」

鞠莉『曜ってばすぐ自己解決しちゃうものね…』

果南「そうなんだよねぇ…まぁそれが悪い事ってわけじゃないんだけどさ……でも自分の中に溜め込んでグチャグチャになってそうだったから色々と吐き出させといたよ」

鞠莉『そう…』

果南「多分曜も梨子もちゃんと相手の事を考えて"相手"と向き合う事が出来てた。…後は"自分"と向き合うのがちょーっと足りないかな…って印象」

鞠莉『…そう…自分と向き合うのって…意外と難しいものね………』

果南「うん。…まぁ曜と梨子がどういう状態だったかってさ、具体例を言うと…鞠莉の留学騒動でさ、留学する直前の頃…鞠莉と私は同じ意味で好きって事はお互い何となく分かってたでしょ?」

鞠莉『へ……?///』

果南「私も鞠莉もそれだけで満足しちゃってあとは何も伝えなかったけど曜と梨子はそこからちゃんと留学の後押しする理由だけは本音で話しあった、って感じだったよ。流石二人は何にも話さなかった当時の私達より全然大人だね……」

鞠莉『…………///』

果南「………ん?鞠莉?」

鞠莉『果南……結構酔ってる?』

果南「ん?あぁそうかも…結構飲んだから…」

鞠莉『そ、そう……//……ううん、何でもないの、続けて?』

果南「…?…まぁ私と鞠莉の状況に似てたからさ、私のちょっとした経験談の話してさ、全部ちゃんと相手に伝えといた方がお互いの為だし後悔がなくていいよ、って話だけして後は曜の判断に任せといた」

鞠莉『なるほどね……』

果南「…やっぱりこういう事は…最後は自分で決めて欲しいしさ」

鞠莉『……そうね』

果南「でも曜はちゃんとそれが出来る子だよ…私は信じてるよ」

鞠莉『…!…ええ!きっとそうね』

270: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:07:53.60 ID:dYi3GsTf.net
果南「梨子の方も気になる所だけどね…」

鞠莉『そうねぇ……まぁ私も再来週梨子と会うし…その時できれば話ししてみるわ。後は梨子も自分に素直な気持ちで考えられればいいけど…でもあの子も結構頑固だから…』

果南「そうなんだよねぇ…」

鞠莉『………梨子の気持ちを素直に出来る人…か……」

果南「…………。……いや……それは私もちょっと考えたけどさ…流石にね…」

鞠莉『そうよね………』

果南「後はまぁ…ホントにあの子達が決める事だよ…私が聞いた限りじゃそう感じた。善子は十分やれてたよ」

鞠莉『そう…そうよね……そればっかりは彼女達の問題だもの…』

果南「うん…でも…曜ならきっと大丈夫…自分で決めた事に責任を持てる子だよ」

鞠莉『…果南は昔から曜には特別信頼してるわね』

果南「そりゃそうだよ、私の自慢の妹みたいなもんだから」ニコッ

鞠莉『ふーん…』

果南「あ、今ちょっと嫉妬した?」

鞠莉『イエース』

果南「アハハ…でも鞠莉だって特別曜には優しいよね」

鞠莉『oh!オフコース?だってなんだかあの子…あんまりにも不器用だからほっとけないのよ♪……それに、なんだかちょっと果南と似てるし』クスッ

果南「えー?そう?」

鞠莉『イエース!身に覚えない?』

果南「………」ズボシ…

鞠莉『それに!果南にとって妹なら私にとっても妹みたいなものよ♪』

果南「…フフッ…そうだね」クスッ

鞠莉『フフッ…』

273: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:08:42.96 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉『フフッ…』

果南「アハハ!……ねえ鞠莉」

鞠莉『……ん?』

果南「愛してるよ」

鞠莉『…っ!///…もう…。…私もよ、果南…I love you…♡』

果南「フフッ…//ありがとっ」

鞠莉『いつも不意打ちなんだから…//』

果南「いや今日散々曜に自分の気持ちは言葉にして伝えろって言いまくったからさ…ちゃんと自分も実行しとかないとさ」ニコッ

鞠莉『あらそうなの?フフッ…なるほどね』クスッ

果南「フフッ」

鞠莉『あ、そうだわ、果南』

果南「ん?何?」

鞠莉『今度帰った時に今日ダイヤから送られてきた画像について…じっくり聞かせてねー?』

果南「」

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

同日 数時間前…

桜内家 梨子ルーム

梨子「……………」

ピアノ「」

梨子「……………」スッ

ピアノ「♪~…♪…」

梨子「…………」

ピアノ「♪~…♪♪…」

梨子「…………」ピタッ…

梨子(………ちょっと酔ってるからかな…あんまり良い音がでてない…)

ピアノ「」セヤナ

274: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:09:23.31 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………今日はもう寝ようかな…」

スマホ「」♪~…♪~…

梨子「……!」ビクッ…

梨子(………こんな時間に誰?……もしかして…)

梨子「………曜ちゃん…?」サッ

スマホ「千歌ちゃん」♪~…♪~…

梨子「えっ……千歌ちゃん…?」スマホ スッ…

梨子「…もしもし?」

千歌『あっ、梨子ちゃん!さっきぶりー!』

梨子「…フフッ…さっきぶり」クスッ

千歌『もうお風呂とか入ったー?』

梨子「うん…もう後は寝るだけ…」

千歌『そっか!』

梨子「…ねぇ、どうしたのこんな時間に」

千歌『ん?んー…ねぇ梨子ちゃん、ベランダ見てみて!』

梨子「え…?」

カーテン シャッ…

千歌「やっほ!」

梨子「あっ…」窓ガラッ…

千歌「久しぶりにこうやって話したいなーって思って!」

梨子「…そういう事ね」クスッ

千歌「ごめんねー?遅くに!」

梨子「ううん、暇だったから全然いいよ」

千歌「良かった!」

梨子「千歌ちゃんこそ赤ちゃんは平気なの?」

千歌「エヘヘ…パパが寝かしつけてくれて一緒に寝てるから大丈夫なのだ!元々今日はゆっくりしといで、って一日お暇もらってたし!」

梨子「そっか!フフッ…千歌ちゃんすっかりパパ呼びが様になったね?」

千歌「ありがと♪ねぇ、もしかしてさっきピアノ引いてた?」

275: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:09:51.44 ID:dYi3GsTf.net
梨子「あ…ごめんなさい…聞こえてた?」

千歌「ううん!梨子ちゃんの部屋の窓が閉まってたからちょっとしか聞こえなかった!こっちの窓も開けてないとほとんど聞こえないもん」

梨子「よかった」

千歌「学生の頃はよくこうやって話ししたよねー」

梨子「そうだったね…」

千歌「あぁ~…梨子ちゃんが沼津の大学行って一人暮らし始めちゃってからぜーんぜんできなくなっちゃったもんね」

梨子「そのまま就職も沼津でしちゃったもんね…」

千歌「それで今度はオーストラリアだもんねぇ~あぁ寂しいよぉ」

梨子「千歌ちゃん千歌ちゃん、オーストラリアじゃなくてオーストリア!」

千歌「あっ、そうだった!似てるからつい」テヘッ

梨子「そんなの間違える人あんまりいないよ?」クスッ

千歌「え~…いると思うけどなぁ…」

梨子「よっぽどの人だけよ」

千歌「え~…それじゃチカがバカみたいじゃん!」

梨子「千歌ちゃんは不可抗力だよ」

千歌「……?」

梨子「フフッ…やっぱり楽しいね、こうやって話すの」

千歌「そうだねー…でも今日はこうやって実家に泊まってるけどチカも近くとは言えマンション借りて家族で暮らしてるからいつでもいるわけじゃないし…今度はいつできるかなぁ…」

梨子「…………そうだね…」

千歌「…あ、ちなみに今のは千歌のチカと近くのチカをかけた

梨子「千歌ちゃん」

千歌「あ、はい」

梨子「今日は何か用があったんじゃないの?」

千歌「………!…」

梨子「……………」

276: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:10:19.55 ID:dYi3GsTf.net
千歌「……やっぱり梨子ちゃんは鋭いね」

梨子「……だって千歌ちゃん、分かりやすいもん」

千歌「えー?そうかなぁ…」

梨子「そうだよ」クスッ

千歌「そっかー…」

梨子「……それで…何の話なの…?」

千歌「…………あのね」

梨子「……うん…」

千歌「………多分…もう最後のチャンスかもしらないから…梨子ちゃんに話したいことがあったの」

梨子(………やっぱり…曜ちゃんとの事…かな…今日一言も喋らなかったもんね…流石にバレちゃうよね…)

梨子「……うん…」

千歌「………ううん…話したい事…というより………謝りたい事………かな」

梨子「…………えっ?」

千歌「…私ね…ずっと……ずーっと梨子ちゃん達に謝らないといけない事があったんだ」

277: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:11:09.53 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………千歌ちゃん…?…梨子ちゃん…達って……」

千歌「……あのね梨子ちゃん……私………私ね………学生の頃の…梨子ちゃんと曜ちゃんの告白………冗談じゃないって…エイプリルフールのウソじゃないって…本当は気付いてた」

梨子「………!!」

千歌「…今まで黙ってて本当にごめんなさい…!!」ペコッ

梨子「え、えっと………」

千歌「高校3年生になった4月1日の事…私…ちゃんとわかってたの」

梨子「………!…ち、千歌ちゃん…?」

千歌「………正確に言うとね…告白された時はホントに分かってなかったけど…その日の夜布団に入ってよく考えたら…
最近の二人の言動とか行動とか…あれがウソじゃないって事なら色々と辻褄があってて……あと二人のあの様子……どう考えても冗談じゃないよねって…考え直してたの」

梨子「………………そう…だったんだ…」

千歌「ごめんね…ずっと黙ってて…ほんとゴメン」

梨子「……ううん…言ってくれてありがとう……私こそごめんね気付けなくて……千歌ちゃんだって…辛かったよね…」

千歌「ううん……今更こんな話してホントごめん」

梨子「謝らないで?もう大丈夫だから」ニコッ

千歌「ありがと…」

梨子「そっか…そうだったんだ……」

千歌「うん……黙っててごめんね…」

梨子「もういいって。むしろ………ありがとう千歌ちゃん……そのまま…友達でいてくれて…」

278: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:11:38.93 ID:dYi3GsTf.net
千歌「そんなの当たり前だよ…………あのね…ホントは…梨子ちゃん達の告白が多分冗談じゃなくて本気だったって気付いてからね……私なりに考えて…やっぱりこのまま黙ってるのは卑怯かな…とか思ったんだけどね…」

梨子「そんな…私達が勝手にしたことだもん…」

千歌「ううん…結局言わなかったから言い訳にしかならないけど…このまま知らないふりして友達続けるなんて…やっぱり良くないって思って…二人とちゃんと話しようかな、って思ってたんだ…。……でもね」

梨子「……でも?」

千歌「……なんか…全然大丈夫そうだったから…まぁいっかー、って」

梨子「」

千歌「……ん?梨子ちゃん……?」

梨子「……え、ウソでしょ………この流れでそんな軽い感じでそんな事言う…?」

千歌「アハハ…冗談みたいに聞こえるかもしれないけど…ホントにそう思えたんだよね………あの日以降の梨子ちゃんと曜ちゃんの二人を見てたら」

梨子「…!………千歌ちゃん……」

千歌「…やっぱりさ…二人の告白が冗談じゃなかった、って仮定してよくよくこの一年思い返してみたら…曜ちゃんと梨子ちゃんの様子がおかしかった事…結構あったな…って思えて…」

梨子「………うん…」

千歌「またわざわざ蒸し返すのもあれだし…ホント…どうしようかなって思って…二人とも本当に大事な友達…ううん、大親友だもん…あの日はホント寝れなかったんだ」

梨子「……ごめんね…」

千歌「ううん、それでね…なんの答えも出ないし…どうすればいいかも思い浮かばないで…ちょっと遅めに学校いってね……それでこっそり教室覗いてみたら……梨子ちゃんと曜ちゃんが二人してなんか気だるそうに喋ってて…」

梨子「う、うん……」

279: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:13:01.68 ID:dYi3GsTf.net
千歌「…なんだか……すっごく自然な感じに見えたの」

梨子「……!」

千歌「内容とかは全然わからないけど……なんだろ……上手く言えないけど…なんか子供の頃からずーっと友達だった腐れ縁の二人組みたいに見えた」

梨子「そ、そう……?そんな空気出してたつもり全く無かったけど…」

千歌「ううん…私…曜ちゃんがあんな感じで話してるの…初めて見た」

梨子「…………」

千歌「そんな二人見てたら…なんか……そのままでも大丈夫そうかなって!」

梨子「あ…あのねぇ……」

千歌「……ちがった?」

梨子「違います!……でもなんか…千歌ちゃんらしいね」クスッ

千歌「アハハ……。その日以降も二人の様子こっそり見てたけど…どんどん仲良くなっていってて…」

梨子「…っ!//…あ、あの…千歌ちゃん…それは…絶対違うかと…///」

千歌「チカにはそう見えたよ!」

梨子「お互い傷の舐めあいというか…キツめの皮肉と軽口叩き合ってただけなんだけど……」

千歌「フフッ…梨子ちゃんも曜ちゃんもそんなキツめの軽口叩きあったりとか…他の誰かにした事ある?」

梨子「………!」

千歌「まぁaqoursの皆遠慮しないで言いたい事は言いあったりはしてたけど…とにかく!あの日以降二人の空気がガラッと変わってたのは確かだよ」

梨子「……………」

千歌「私が見てないって思ってる時とかにすっごいお互いにわがままとか文句言い合ってたり…私が全然知らない事二人だけ知ってる事も多くなったし…なんかしょっちゅう二人で目配せもしてたし…隠れて小突きあってたりもしてたよね?」

梨子「そ、それは……///」

千歌「それがなんかさ……すっっごく可愛くって嬉しくて……なんか私の鈍感さでドジやらかしちゃった悩みとかどうでも良いか…ってくらいに思えちゃったんだ?」

梨子「あ、あのねぇ…」

282: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:14:44.69 ID:dYi3GsTf.net
千歌「そもそも…今更「あの時はごめんなさい」がしたいなんて自責の念を晴らしたい自己満足みたいなものだし!」

梨子「千歌ちゃん…そんな事…」

千歌「アハハ…なーんて言い訳みたいな事思って今まできちゃたけど…もうこれが最後の機会かも…って思ったら…やっぱり謝りたくなっちゃった…ホント自分勝手でごめんね?」

梨子「もう…ホントに!………でもありがとう…ちゃんと言ってくれて…」

千歌「ううん…遅くなってごめん。それじゃあ…改めて返事はさせてもらうね?」

梨子「あ…ちゃんと返事…くれるんだ?」

千歌「うん……もういらない?」

梨子「ううん…教えて?聞きたいな」ニコッ

千歌「よかった……遅くなってごめんね…。…えーと…二人の…梨子ちゃんの気持ちはホント嬉しくて…梨子ちゃんみたいに綺麗で…美人で…音楽の才能が凄くて…何でも出来る人に好きになって貰えて…ほんっとーに嬉しかったです」

梨子「うん……」クスッ

千歌「 二人から言われた時は私みたいな普通人がありえない…って、ホント信じられなかったもん…曜ちゃんの『エイプリルフールだよ゙ぉぉそろ゙ぉぉ!』…なーんて客観的に見ればバレバレな変な言い訳がしっくりきてその場はそれで通っちゃうくらい信じられなかった」

梨子「ア、アハハ………」

千歌「でもね…私にとって二人はかけがえの無い大切な親友で…二人とも凄く…すっっごく大好きだけど…二人と同じ意味では好きになれるかは…考えた事もなかったし…これからも…ないと思います…」

梨子「うん…」

千歌「だから…二人のどちらかを選ぶ事は出来ませんでした……ごめんなさい!」ペコッ!

梨子「…はい、わかりました」ニコッ…

283: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:15:15.68 ID:dYi3GsTf.net
千歌「……………ごめんね?」チラッ…

梨子「スー……ハァ………」深呼吸…

千歌「………梨子ちゃん?……」

梨子「……フフッ…千歌ちゃん…?………す~っご~くスッキリした!」ニコッ

千歌「………ホント?」

梨子「うん!今ので消えたと思ってたけど実は胸の奥深ーーくに刺さってたトゲが本当に抜けた感じ!」ニコッ

千歌「……良かったぁ………」

梨子「千歌ちゃん……本当にありがとう…千歌ちゃんの事好きになって…本当に良かったです」ニコッ

千歌「…うん!ありがと…梨子ちゃん」

梨子「あと…さっきのお返事…今度曜ちゃんにも言ってあげてね?」

千歌「うん、そうする」ニコッ

梨子「きっと曜ちゃんもスッキリすると思うよ」

千歌「わかった!」

梨子「はぁぁ……も~!こんな事ならもっと早く言ってよ!」

千歌「アハハ…ごめんごめん!さっきも言ったけど二人見てたら私の事なんてどうでもよく思えちゃったんだもん!」

梨子「はいはーい!もう言い訳なんか聞きたくありませんー!言っときますけど、千歌ちゃんが結婚するまで私も曜ちゃんも全然大丈夫じゃなかったんだからね?」

千歌「うぅ…ごめんってばぁ~…」

梨子「許しませーん」プイッ

千歌「梨子ちゃんの意地悪…」

梨子「フフッ」クスッ

千歌「……アハハ!」

梨子「アハハ!…ありがとう千歌ちゃん」

千歌「うん!やっぱり…言って良かったんだね」

梨子「うん、そうだよ?言ってくれた方がお互いすっごくスッキリするよ」

千歌「そうだね!………それじゃあさ、次は…梨子ちゃんの番…ね?」

梨子「………え?」

284: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:15:44.09 ID:dYi3GsTf.net
千歌「実際に自分で言ってみてよくわかった!…変な気を使ってお互い黙っちゃうより…やっぱりちゃんと言ってあげた方が…お互いのためなんだって」

梨子「…………千歌ちゃん…?」

千歌「ねぇ梨子ちゃん……曜ちゃんとお話してあげて?」

梨子「……!…」

千歌「今日…曜ちゃんと一言も喋ってなかったよね…」

梨子「…!………」

千歌「……二人とも前からあからさまに喋ってたりはなかったけど…曜ちゃんも梨子ちゃんもチラチラ目配せしたりして気にしあってたし…酔ってきた時とかいつの間にかずーっと二人で話し込んでたりしてた…でも今日は………」

梨子「…………」

千歌「……千歌はバカだから…今の二人の関係とか…今回の海外勤務との関連とか…二人に何があったのかとかは全然わからないし……何があったかなんて聞けないけど……」

梨子「………だいたい目星はついてるかんじだね」

千歌「………二人の事はよく見てたから…なんとなく…だけど…」

梨子「………そっか」

千歌「20歳を過ぎた頃から…ちょっと空気が変わったかな…ってくらいだけど…」

梨子(だいたいあってます…)

千歌「あ、あの!悪い意味じゃなくてね!なんと言うか…その…上手く言えないけど…二人とも…なんだかんだ言っていつも楽しそうだったから…」

梨子「…そうみえた?」

千歌「…うん……でもね…今日の二人は…とっても悲しそうで……寂しそうに見えた…」

梨子「…それは………」

千歌「梨子ちゃん…海外に行っちゃうともうそんなに帰ってこれないんだよね?……出来れば……曜ちゃんとお話してあげて欲しい……」

梨子「………ごめんね…変な気を使わせちゃって…でもね…違うの…私も曜ちゃんも…もう…色々と話てて…二人で…納得してる事だから……」

千歌「……………」

梨子「…だから…今日は話す事がなかっただけ…」

千歌「………本当?」

梨子「………と言うか…私も…喋りたかったんだけど…」

千歌「…!」

梨子「曜ちゃんが…あんまり喋りたく無さそうだったから…」

285: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:16:11.41 ID:dYi3GsTf.net
千歌「……………それって…ちゃんと納得して話したっていえるの…?」

梨子「……!……それは……」

千歌「…なら…ちゃんとお話してあげて?」

梨子「でも…………」

千歌「……。……あのね梨子ちゃん、知ってるかも知れないけど…曜ちゃんってね……すっごくカッコつけたがりなんだよね」

梨子「……………え?」

千歌「曜ちゃんは…何か悩みとか…言いたい事があっても…ぜーんぜん話してくれないの!」

梨子「………………」

千歌「いっつも一人で抱え込んで!それで自分で納得する答えを見つけちゃって!それでおしまい!」

梨子「……千歌ちゃん………」

千歌「……私ね…昔はそれで……曜ちゃんはチカがあんまりにも頼りないから……私の事信用できないんだろうなって…思ってた」

梨子「……っ!…そ、それは!」

千歌「わかってる」クスッ

梨子「え………」

千歌「あのね……私……曜ちゃんには子供の頃からずーっと助けられっぱなしだったの…何かあったらすぐ飛んできてくれたんだよ?小さい頃の曜ちゃんは千歌にとってホントにヒーローだったんだ?」ニコッ

梨子「…そうなんだ」クスッ

千歌「うん!」

梨子(…よかったね曜ちゃん……ちゃんと千歌ちゃんのヒーローになれてたみたいだよ?)

千歌「……でも私もバカだからそのまま曜ちゃんに甘えっぱなしで学生時代過ごしちゃって……ううん、多分今でもそうなんだ?曜ちゃんの優しさに甘えてばっかり…。…だから…信用されてなくて当然だよね…なんて思って…私も何も言えなかった」

梨子「…………」

千歌「だけど……大人になって…ううん、最近…ようやくわかった気がする…」

梨子「……わかったって…?」

286: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:16:42.94 ID:dYi3GsTf.net
千歌「……曜ちゃんってね、多分そういう子なんだと思う」

梨子「え………」

千歌「曜ちゃんって何でも出来てすごいなーって思ってたけど……でもそうやって小さい頃から何でも出来過ぎちゃったから…人に頼ったり、相談したり…自分の我儘言ったりするのがとっても苦手な子」

梨子「…!……」

千歌「いつも人の事ばっかりで……自分の事は二の次…それがもう染み付いちゃって…自分が本当にどうしたいのかが分かりにくくなっちゃってる…ちょっと不器用な女の子」

梨子「…………うん…」

千歌「……そこが曜ちゃんの良いところで…ちょっと可愛い所なんだけどね?」ニコッ

梨子「……そうかもね」クスッ

千歌「だからね……曜ちゃんにはちょっとぐらい無理矢理話して…聞き出してあげる位がちょうどいいんだと思う!…幼馴染のクセにちょっと気付くのが遅すぎたけど…」

梨子「…でも…千歌ちゃん…」

千歌「………お願い」

梨子「……っ!…」

千歌「曜ちゃんって…あぁ見えて寂しがりやだから…」

梨子「………千歌ちゃん…」

千歌「……こんな事…よりによって私が言うのは筋違いで無責任で、自分勝手なんだって…わかってる…!でも……!」

梨子「…………」

千歌「お互い遠慮して黙っちゃうより…ちゃんと話した方が曜ちゃんの…ううん、お互いの為にも良いって…わかったから……!」

梨子「…………」

千歌「だから……!」

梨子「………フフッ」クスッ

千歌「え……」

梨子「…………千歌ちゃんって…昔からいつも曜ちゃんの事ばっかりね?」クスッ

288: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:17:59.72 ID:dYi3GsTf.net
千歌「え?……アハハ…そうだった?」タハハ…

梨子「そうだよ」ニコッ

千歌「アハハ…そっか」

梨子「……大切なんだね…曜ちゃんが」

千歌「……うん……とっても大切…」

梨子「フフッ…………わかった」

千歌「えっ……」

梨子「わかったよ。曜ちゃん想いのしつこい千歌ちゃんに免じて…曜ちゃんと話してみる」

千歌「ホント!?」

梨子「だってそうしないと千歌ちゃん…ぜーーーったい折れないんだもん!千歌ちゃんって昔からそう!了承しなかったらずーっと付きまとわれちゃいそうだし?」クスッ

千歌「ア、アハハ…ごめんね?」

梨子「いいよ?昔惚れた弱みもあるし?千歌ちゃんのお願い…聞いてあげる」

千歌「ありがとう!梨子ちゃん!よかったぁ…」

梨子「………………」

千歌「………ん?梨子ちゃん?」

梨子「…………あの…ところで…」

千歌「………?」

梨子「何話せばいいの……?」

千歌「え…………えー………」

梨子「……どうしよう……」

千歌「そ、それは…私からはなんとも……」

289: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:18:30.33 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…だって…いざ話しますってなったら…なんて言えばいいか…うぅ…///」

千歌「……え、いや…うーん…その…伝えてない気持ち…とか…?」

梨子「………そ、それは………十分伝わってたと……思うんだけど…」

千歌「う、うーん……出たとこ勝負でなんとか…」

梨子「無理」

千歌「」

梨子「千歌ちゃんのお願いなんだから一緒に考えてよ…」

千歌「い、いや…む、無理だよ…無理矢理お願いした所悪いけど…」

梨子「……」

千歌「うぅ…こういう時果南ちゃんみたいに格好良くアドバイス出来ればなぁ…」

梨子「……千歌ちゃーん…」

千歌「うぅ…そんなこと言われても……チカにできることなんて…何も……」

梨子「………あ」

千歌「…ん?」

梨子「ねぇ…千歌ちゃん」

千歌「なに…?」

梨子「……ちょっと…お願い…聞いてくれる?」

千歌「……え?う、うん…私に出来ることなら…」

梨子「ううん…きっと……千歌ちゃんにしかできない事だよ」クスッ

千歌「……?」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

290: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:19:05.03 ID:dYi3GsTf.net
次の日…

松浦家 客間

チュン…チュン…

曜「……zzZZ」スヤー…

曜「……zz」

曜「………ん…」

曜「……………」パチ…

曜「……………?」ムクッ…

曜「あ、そうだ…果南ちゃん家か……」バタン…

曜「………って!?私いつ寝た!?」ガバッ

曜「うわぁ……ちゃんと考えようとしてたのに……あぁ…何やってんだ私は……」チラッ…

布団「」カラヤデ

曜「ダイヤさん達はもう起きたのか……」ムクッ…

曜「…ん~…!!……顔洗お…」ノビー…!

カラッ…ピシャン…

ーーー
ーー

松浦家 テラス前

果南「…よいしょっと」ゴトゴト…

曜「あ、果南ちゃん…おはよう」

果南「おっ!おはよう!」

曜「お店の準備?」

果南「まぁね?」

291: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:19:33.10 ID:dYi3GsTf.net
曜「朝早く大変だね…」

果南「慣れっこだよ?……曜」

曜「…なに?」

果南「よくね眠れた?」ニッ…

曜「………う、うん…あの…果南ちゃん…昨日は遅くまで…ありがとね…?」

果南「いいよ」ニコッ

曜「……ありがとう」

果南「ちょっと待ってね?台所で待っててくれる?ここ終わったら朝ごはん作るからさ、ダイヤ達もそこにいるし!食べ終わったら船で内浦に送るね」

曜「何から何までごめんね?」

果南「いいからいいから♪」

曜スマホ「」ピコンッ♪…ピコンッ♪…

曜「…?ライン…?」スマホ チラッ…

曜「あっ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Riko<曜ちゃんおはよう

Riko<もう起きてる?ごめんね朝早く

Riko<あのね、ちょっと話したい事があるから家まで来て欲しいんだけど平気?昨日果南さんの所泊まったならまだ内浦だよね?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

曜(……梨子ちゃん………)

曜(……私だって…会いたいけど…でもまだ……考えもまとまってないし…答えも……見つかってない……)

曜「………………」

果南「んー?どうしたの固まって」

曜「あ…ううん…なんでもない…」

果南「…………」ジー…

293: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:20:46.04 ID:dYi3GsTf.net
曜「だ、台所いってるね?」

果南「……ん、もうちょっとしたら行くから」

曜「うん……」…

ガチャ… バタン…

果南「……まぁ簡単な問題じゃないし……昨日今日で考えがまとまらないか…」

スマホ「」ピコンッ

果南「ん……?」スマホ スッ…

果南「……ふーん」

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

松浦家 台所

曜「ご馳走様でした」

ダイヤ「ご馳走様でした、果南さん」

ルビィ「ご馳走様です」

果南「おそまつさま♪」

ダイヤ「果南さんの手料理は相変わらず美味しいですわね」

ルビィ「はいっ♪」

果南「アハハ!そりゃ良かった」

曜「………」

ルビィ「…………曜さん?」

曜「あっ……」

ルビィ「どうかしたんですか…?」

曜「えっあ、いや…ごめん、別になにもないよ!ごめんね?」

ルビィ「はい……」

ダイヤ「…………」

果南「……さっ、それじゃ内浦に戻ろうか?ちょっと待っててね、船出すから」

ダイヤ「ありがとう」

ルビィ「ありがとうございます」ペコッ

曜「ごめんね?」

294: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:21:15.59 ID:dYi3GsTf.net
果南「いいからいいから!あ、そうだダイヤ」

ダイヤ「はい?」

果南「悪いけど帰りの車に曜も一緒に乗せていってあげてくれない?」

ダイヤ「ええ、もちろんですわよ」

曜「えっ、あの…」

ルビィ「遠慮しないでください」ニコッ…

曜「でも…その…」

果南「よし、決まりね?じゃあ船着き場で待ってて!」ガチャ

曜「あ…………」

ダイヤ「…………?曜さん、遠慮する事ありませんわよ?何なら沼津まででも…」

曜「あ、いえ!そんな!駅までで…十分…です…」

ルビィ「…………?」

ーーーー
ーーー
ーー

内浦 船着き場

果南「はい、到着っと」

ダイヤ「ありがとう」

ルビィ「あ、車はもう着いてますね」

曜「……………………」

果南「それじゃあ皆、また飲もうね?」

ダイヤ「ええ、ぜひ…」

ルビィ「お世話になりました!」

曜「ありがとね、果南ちゃん…色々と」

295: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:21:43.72 ID:dYi3GsTf.net
果南「いやいや!それじゃ……ダイヤ、さっきも言ったけど曜を送っていってあげてね?梨子の家まで」

ダイヤ「ええ、もちろんでs……え?」

ルビィ「……え?」

曜「………ん?……えっ、果南ちゃん?」

果南「曜~?梨子からライン来てるでしょ?」

曜「」ギクッ

果南「梨子が私にも連絡よこしてきたよ。まだそちらにいるんなら私の家に来るように伝えて下さい…ってさ?中々梨子は肝が座ってるね?曜と違って」

曜「……う…」

ダイヤ「……………」

ルビィ「……………」

果南「……曜?梨子の話…聞くだけでも聞いたげればいいんじゃない?一人で考えてても仕方ないんじゃないかな…そもそも二人の問題なんだし」

曜「…………でも…私…」

果南「…昨日あんまり話せなかったから話したいだけじゃない?」

曜「…………」

果南「…………曜…逃げてても何も解決はしないよ?」

曜「…………わかってる…けど…」

ダイヤ「……………」ハラハラ…

ルビィ「……………」

果南「………ふぅ……曜?」

曜「……なに?」

果南「ちょっとおいで」

曜「え………」

296: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:22:11.90 ID:dYi3GsTf.net
曜「え………」

果南「いいから」

曜「…う、うん………。…えと…なに?」スッ…

果南「…ハグっ♪」ダキッ

曜「わっ!?///」

ダイヤ「…まったく…果南さんはいつもこれですわね」クスッ

ルビィ「…はい」クスッ

曜「ちょ、ちょっと果南ちゃん!?」ワタワタ…

果南「もー…曜ってば考え過ぎだよ?話し聞くだけだってのに!まったく仕方ない子なんだから!」ギュー

曜「ちょっ…あの…!//」

果南「………ほら、一回落ち着きな?」ナデナデ…

曜「………もう…///」

果南「フフッ…小さい頃思い出すなぁ…曜ってさ、昔から私にハグされるの恥ずかしがって嫌がってたよね~?千歌は素直に甘えてくれたのにさ」ナデナデ…

曜「あ、あのねぇ……」

果南「フフッ……ちょっとは落ち着いた?」ポンポン

曜「………はぁ…果南ちゃんのハグには敵わないよ…///」

果南「そりゃ良かった♪…あのさ曜…相手が弱気になってたり…不安そうにしてたらさ…こうやってハグしてあげて?」

曜「…!…」

果南「こうすればさ、きっと安心するから。……お互いにね?」コソッ

曜「……果南ちゃんのハグだからだよ」クスッ

果南「いやいや!曜ならできるよ!たった今直々に伝授したから!」ニコッ

曜「……変なの」クスッ

果南「ほら、もう観念していってきなさい」ポンポン

曜「………う…」

297: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:22:47.53 ID:dYi3GsTf.net
果南「ダイヤ」

ダイヤ「はい?」

果南「無理矢理連れてっちゃって」

曜「えっ」

果南「だってそういざとなったらそうして下さいって言われたし」

曜「…う……」

ダイヤ「え、ええ…。…では曜さん、参りましょうか」

曜「……え、えと…」

果南「もう観念しなー?」

曜「わ、わかってるよ……」モジモジ…

ダイヤ「…………曜さん…」

ルビィ「…はぁ………曜さん?」チョイチョイ

曜「………?なに…?」

ルビィ「ちょっと……こちらへ…」ヒソッ…

曜「ん……?」

ダイヤ「……ルビィ?」

果南「……?」

ルビィ「曜ちゃん?早く乗らないと……昨日寝室でルビィとお姉ちゃん写真こっそり撮ってたの…お姉ちゃんに言いつけちゃうよ?」ヒソッ…!

曜「っ!?」ビクッ!

ルビィ「ウフフ…♡」クスッ

ダイヤ「……?」

果南「………んー?」

曜「ル、ル、ルビィちゃん…?起きてたの…?」

ルビィ「あれだけフラッシュたかれて堂々とシャッター音出してたら…そりゃ起きちゃいますよ…?♡」

ダイヤ「シャッター音…?」

曜「ちょ!わー!あの…!あ、あれは…!!」

299: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:23:14.84 ID:dYi3GsTf.net
ルビィ「曜ちゃん…?お姉ちゃんに…スマホごと消されたくなかったら…早く乗っちゃってください?」ヒソヒソッ

曜「」

ダイヤ「………?何の話をしてますの?」

曜「な、なんでもないです!!」

ダイヤ「え……」

曜「の、乗ります!!乗らせて下さいっ!ご迷惑おかけしますけど!乗らせて下さい!」バタン

ダイヤ「え、ええ…」ヒキ…

果南「アハハ!でかしたルビィ!それにしてもどうやったのさ」ケラケラ

曜「な、なんでもないよ!それじゃ果南ちゃん!また今度!」

果南「はいよ!じゃあダイヤ?頼んだよ?」

ダイヤ「ええ…たしかに承りましたわ」バタン…

ルビィ「果南さん、またね?」バタン…

果南「はーい、またおいで?私はここでずっと変わらず待ってるからさ?」

ルビィ「はいっ♪」

曜「!…果南ちゃん…」

果南「曜、いってらっしゃい」

曜「……わかった」

ダイヤ「…では出しますわよ?」

運転手「お嬢様…どちらへ…」

ダイヤ「まず先に旅館の十千万に向かってくださるかしら」

運転手「かしこまりました」

曜「すみません…」

ルビィ「曜さん…リラックスして下さい?♡」ニコッ

曜「は、はいっ…!」ビシッ

ダイヤ「………?」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

300: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:24:07.59 ID:dYi3GsTf.net
桜内家

梨子ルーム

梨子「……………」

ピアノ「」

梨子「……」ナデ…

ピアノ「」テレルヤン

梨子「………曜ちゃん……」

ピーンポーン…

梨子「…!………」タタタ…

梨子「………はい」

曜『あ………梨子ちゃん…?』

梨子「曜ちゃん…」

曜『えと……おはよう』

梨子「おはよ」

曜『………えと…』

梨子「ちょっと待ってて。今開ける」ガチャ…

タタタ…

ガチャン…

梨子「曜ちゃん…?」ギィ…

曜「……梨子ちゃん…」

梨子「…昨日ぶり」

曜「あー…うん…昨日ぶりだね…」

梨子「……でも変なの…なんかすっごく久しぶりに感じる」

曜「…わかる……」

梨子「とりあえず入って」

曜「ご、ごめんね…朝早くに…」

梨子「ううん、私が急に呼んだんだから…それに言ったでしょ?お父さん達なら今日の夕方まで東京の実家に行ってるって……聞いてなかった?」

曜「聞いてました…」

301: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:24:36.08 ID:dYi3GsTf.net
梨子「じゃ気を使わないでどうぞ…」

曜「うん……お邪魔します…」

梨子「…………」ガチャン…

ーーー
ーー

梨子ルーム

梨子「適当に座って」

曜「………うん」

梨子「………」チラッ…

曜「………」ソワソワ…

梨子「………なんだか曜ちゃん…借りてきた猫見たい」クスッ

曜「…!…しょ、しょうがないでしょ!…梨子ちゃんの実家の部屋なんて久々なんだから…」

梨子「…そうだね」

曜「……と言うか…なんで梨子ちゃんはそんな堂々としてるのさ…」

梨子「……うーん………やっぱり…ホームだから…?」

曜「えー…じゃあ私はアウェイ?」

梨子「そうかも」

曜「…なにそれ」クスッ

梨子「フフッ……たしか…大学卒業前の21歳位の時に千歌ちゃんと三人で飲んだよね……それ以来くらい?」

曜「多分そうかも…。………もうそんな昔になるんだね…」

302: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:25:04.41 ID:dYi3GsTf.net
梨子「うん……あー…思い出してきた…たしか千歌ちゃんが急な団体さんが来たとかいって電話で召喚されちゃって…始まって早々に帰っちゃったんだよね…」

曜「あー…思い出した!そーだったね…千歌ちゃんが帰った後の私達の空気ったらなかったよね」クスッ

梨子「曜ちゃんが最初にあ~あ!って嫌味っぽく溜息ついたんだよね」

曜「えー…?いやいや!梨子ちゃんが嫌味っぽくじゃなくてリアルな『ハァ…』とか言って溜息つくからやり返しただけだよ」

梨子「えー…ついてないよ」

曜「ついてたって」

梨子「ついてませんー!」

曜「ついてたー!」

梨子「もー!曜ちゃんってこんな時でも頑固なんだから!」

曜「お互い様でしょー!」
 
梨子「えー!………フフッ」クスッ

曜「………アハハ」クスッ

梨子「……………」

曜「……………」

梨子「…………曜ちゃん」

曜「…ん…なに?」

梨子「さっきも言ったけど…ごめんね…朝早く無理矢理呼び出して…」

曜「…ううん…。いや…それはいいんだけどさ…果南ちゃんまで連絡したでしょ……」

梨子「……だってそうしないと曜ちゃん…来てくれなさそうだし」

曜「信用無いなー…」

梨子「…だって曜ちゃん…ヘタレだし」

曜「ちょっと」

梨子「昨日だって全然喋ってくれなかったしー」

曜「そ、それは…」グサッ

303: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:25:32.87 ID:dYi3GsTf.net
梨子「千歌ちゃんに心配されちゃったよ」

曜「うっ……やっぱり…?」

梨子「そうだよ…ちゃんと話しなよーって言われちゃった」

曜「あー…ごめん…」

梨子「………曜ちゃん」

曜「……なに?」

梨子「………私の気持ち…聞いてくれる?」

曜「……!」

梨子「……このまま変な感じで海外には行けないもん」

曜「…でも…この前…」

梨子「ううん…前言えなかったこと…伝えきれない事…まだ沢山あるの」

曜「…………」

梨子「あんな関係だったから…ややこしくて、ちょっとゴチャゴチャしちゃってて…何から伝えればいいかわからない程…たくさん…」

曜「……そうだね…」

梨子「……でもね……色々考えたけど…やっぱりまとまらなくて……」

曜「………うん……」

梨子「……だから……私に出来る事で伝えようと思うの」

曜「……できる事…?」

梨子「私に出来る事なんて…これくらいだから…」スッ

曜「……?」

梨子「………」ストンッ…ガタッ…

ピアノ「」デバンカ?

曜「………ピアノ…?」

304: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:25:58.38 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………曜ちゃん……この前聴いてもらった名前の無い曲…覚えてる…?」

曜「………あのレストランの?」

梨子「そう」

曜「そりゃ…覚えてるけど…」

梨子「……あのね……あの曲に……作詞つけたの」

曜「えっ」

梨子「歌にしたんだ」

曜「歌に…?」

梨子「うん」

曜「えっ、すごいね梨子ちゃん…作詞できたんだ」

梨子「……ほとんど手伝ってもらったんだけどね」ポソッ…

曜「えっ…?」

梨子「なんでも?」クスッ

曜「……?」

梨子「……まだ練習が足りないかもだけど……聴いてくれる?」

曜「………うん…聞かせて…?」

梨子「…ありがとう」ガタン…

ピアノ「」

梨子「………スー…ハァ…」

曜「………」ゴクリ…

梨子「……曜ちゃん……多分これが…出発前に弾く…日本での最後のコンサートです」

曜「………!」

梨子「…………曜ちゃんを想って…曜ちゃんだけの為に……この曲を送ります」

曜「……梨子…ちゃん…」

306: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:26:43.24 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………曲のタイトルは…」

『空も心も晴れるから』 ピアノソロver

ピアノ「♪~…♪…」

ーーー
ーー


千歌ルーム

窓辺

♪~…♪…

千歌「…あ…?始まった…?」シャガミ

ウマクイカナクテ♪~…

千歌(………作詞なんて凄く久しぶりだったけど…)

ナキソオニナルトキハ♪~…クチビルカミツツ…♪…

千歌(………ほぼ徹夜したかいがあったかな…我ながら上出来!……ほとんど梨子ちゃんの言葉とアイディアばっかりだけど)クスッ

ネガウンダ♪~アシタハ♪…ハレ♪ー…

千歌「………素敵なピアノ…」

ツナガリソウデ…♪…ツナガラナイノ♪~…ココロトココロー♪ー…

千歌「………綺麗な歌声…」ホロリ…

フネガユウヤケヲワタルヨー…♪ナヤミヲモチサルヨウニ♪~…

307: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:27:17.82 ID:dYi3GsTf.net
千歌(……これから…どうなるかは…二人の事だから…チカにはわからないけど…)

ワタシハ♪…マダマダガンバレル♪~…

千歌「…良かったね…曜ちゃん…ホント…良かったね…………」グイッ…

別室
「ママハー?ママー…フェェ…」グズグズ…
「オーヨシヨシ…;」オロオロ…

千歌「ん?…あららー…起きちゃったか」クスッ

別室
「ヴェェー…ママー!」ビェェ
「オーダイジョウブダイジョウブ!ヨーシヨシ;」

千歌「フフッ…ハイハイ♪…まったく…千歌がいないとダメなんだから♪」スクッ

オモシロイ♪ー…コトシタクナッタト♪~…キミニツタエナクチャ…♪~

千歌「……少しは曜ちゃんに恩返し…出来てたらいいな…?」クルッ…

別室
「マ゙マ゙ー!」ビェェェン
「ヨーシヨシヨシ;」オロオロ

千歌「フフッ…はいはーい!今行くよー?」ガララ…ピシャリ

タタタ…バタン…

別室
「ママダヨー?」
「マ゙マ゙ー!フェェ…グスッ…グスッ…」ヒック…ヒック…
「タスカッタ…」ホッ…

ーーー
ーー


https://youtu.be/qfa9_IeeewI


梨子ちゃんが歌った曲の公式視聴動画です
ちなみに梨子ちゃんはフルを歌いました
とても良い曲なんで是非一度フルを聞いて下さい

308: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:27:45.71 ID:dYi3GsTf.net
ーー
ーーー
ーーーー

梨子ルーム

梨子「新しい…♪ことしたくなったと…♪」

梨子「君に伝えなくちゃ♪~…」

梨子「目覚めたらね♪~…」

ピアノ「…♪~…♪」

曜「…………」プルプル…

梨子「……………」スッ

ピアノ「」オワリカ…

梨子「………曜ちゃん…」

曜「………………」プルプル…

梨子「………今まで…本当にありがとう…」

曜「……………」プルプル…

梨子「……………キスしてくれて……抱きしめてくれて…ありがとう」

曜「……ぅゔっ…!」ポロ…ポロ…

梨子「…………私…こんなだから………誰かとキスしたり……触れ合ったりなんて………一生出来ないって…思ってた…」

曜「…………グスッ…ゔぅ……」ボロボロ…

梨子「………だから………初めて受け入れてくれた時………本当は……………ホントはね……凄く…嬉し…かったの……グスッ…」ホロリ…

曜「………っ!…ぅ…グスッ……ぅッ……」ボロボロ…

梨子「………曜ちゃんのおかげで…私は……また人をちゃんと好きになれるって事も…わかりました…。…本当に……ありがとう…」グイッ…

曜「………グスッ………ゔぅ……」ボロボロ…

梨子「………私…海外に行っても…

曜「…………だ…」

梨子「……え?」

309: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:28:14.14 ID:dYi3GsTf.net
曜「…ヒック……グスッ………ぃゃだ…!」ボロボロ…

梨子「………曜…ちゃん?」

曜「……っ!……フグッ……いやだよ…!」メソメソ…

梨子「…!……えっ…曜ちゃん…!?//」

曜「離れたく…ないよ……!!こんな゙に…!好きなのに…!」ボロボロ…

梨子「………っ!?///」キュン…

曜「行か…ないでよぉ…………私を……ヒック…曜を一人に゙……グスッ……しないでよぉ…」ボロボロ…

梨子「…っ!…よ、曜ちゃ…!?///」カァァ…

曜「…一人はいや……ぃゃだよぉ…」ボロボロ…

梨子「……っ!曜ちゃん…!」ダッ

抱きっ

曜「………っ!」ギュッ!

梨子「…~!///」ギュゥゥ!

曜「り゙こちゃ…!ぅぅ゙……り゙こちゃん…!」ボロボロ…

梨子「…………曜ちゃん…!」ギュゥ…!

曜「りこちゃぁぁ…!」ボロボロ…

梨子「大丈夫…!……グスッ…」ポロ…

曜「ゔぇ……グスッ…りこちゃぁぁ…ん…!」ボロボロ…

梨子「………曜ちゃん…ごめんね…ごめんね…曜ちゃん…!ごめ…うっ…ぅぅ…グスッ……」ポロ…ポロ…

曜「うっ…ぅっ…うぇぇ……うぅ…」ボロボロ…

梨子「……曜ちゃん…!…私も……好き……大好き…!大好きだから………!」

曜「…っ!……り…りこぢゃぁん……!」ボロボロ…

梨子「大丈夫…!大丈夫だよ…!曜ちゃんを一人になんて…させないから…!」ギュゥゥ

曜「…うっ…!り…りこちゃぁぁ……!」ブワッ…

311: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:28:48.68 ID:dYi3GsTf.net
梨子「大丈夫…!…曜ちゃん…ごめんね…!…曜ちゃん…!大好き…!…曜ちゃん…よーちゃん…!」ギュゥゥ

曜「うっ…りこちゃぁぁん!」ギュゥゥ

梨子「大好きだよ…!曜ちゃん…」ギュゥゥ

曜「りこちゃん…!私も…!私も…だいすき…!だいすきぃ…」ボロボロ…

梨子「…っ!//……ありがとう…曜ちゃん…ありがと……///」ナデナデ…

曜「りこちゃぁぁん」ボロボロ…

梨子「……フフッ///…よしよし……グスッ…!……もう…曜ちゃんったら……私がいないと…ヒック……ダメなんだから…!//」ナデナデ…

曜「うゎぁぁん!りこちゃぁぁん!」メソメソ…

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

曜「………グスッ…///」ヒック…

梨子「…………」ナデナデ…

曜「…………///」スンッ…

梨子「…………落ち着いた…?」ナデナデ…

曜「……………………う………うん…///」カァァ…

梨子「そっか」ニコッ

曜「……あ……あの……ご……ごめん//………いい歳して…///」

梨子「ううん…いいの」ナデナデ…

312: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:29:28.37 ID:dYi3GsTf.net
曜「………あ……あの……///」

梨子「…なに?」ナデナデ…

曜「さ…さっきの事は……忘れt

梨子「無理」

曜「」

梨子「絶対忘れてあげない♡」ニコッ

曜「うぅ……///」

梨子「フフッ……」ナデナデ…

曜「…………///」

梨子「……泣き虫よーちゃん…♡」ナデナデ…

曜「や、やめて///……お願いだからやめて……///」

梨子「フフッ♡……仕方ない人……♡」ナデナデ…

曜「…か…勘弁してよ……///」

梨子「やだ……♡」ナデナデ…

曜「……………うぅ…///」

梨子「………ねぇ曜ちゃん…?」ナデナデ…

曜「……な、なに…?//」

梨子「……私と………恋人になってくれませんか?」

曜「……っ!!///」

梨子「…………返事は…?」

曜「……で…でも…!」

梨子「お返事は?」ニコッ

曜「…っ!//……でも…」

梨子「………私の事とか…全部置いといて…曜ちゃんの正直な答えが聞きたいな…?」ナデナデ…

曜「うぅ…///…………そりゃ……なり…たいけど…///」

梨子「ホント?」ニコッ

313: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:29:59.06 ID:dYi3GsTf.net
曜「もう!わかってるでしょ!?///勘弁してよぉ…///」

梨子「フフッ…そっか…///………そっか………♡」ナデナデ…

曜「……何その顔…やめてよ…もう…///」

梨子「……フフッ…曜ちゃんが私の彼女…フフッ///」ギュッ

曜「わぷっ……もう…///」ムギュゥ

梨子「……曜ちゃん…♡」ギュゥ

曜「………梨子ちゃん///」ギュッ…

梨子「フフフ…曜ちゃん……♡大好き…♡」ギュッ…

曜「ちょ…///うぅ……なにそれ…うぅ…///」

梨子「フフッ…♡」ナデナデ…

曜「………あ……えと…でも…あの…梨子ちゃん…?」

梨子「…なに?」

曜「………海外勤務の話は…?」

梨子「え?なくならないけど?」

曜「」

梨子「当たり前でしょう?学生じゃあるまいし…と言うか学生でもダメだよドタキャンなんて」

曜「……………」

梨子「………?」

曜「……………えー…」

梨子「………フフッ…なぁに?曜ちゃんは遠距離恋愛もしてくれないの?」クスッ

曜「あっ……う、ううん…!そりゃ…もちろん…!だけど…」シュン…

梨子「んー…?…フフッ…よーちゃんの寂しんぼー♡」ツンツン…

曜「ちょ、やめてほんとに…やめて…///そ、そうじゃなくて…その…うーん……何ていうか…」

梨子「………二年…辛抱しててくれる…?」

曜「……へ…?二年…?」

314: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:30:34.73 ID:dYi3GsTf.net
梨子「二年契約って話なの。二年立ったら日本に帰ってくる予定だから…。…一年たったら契約更新の確認で継続か二年までかの確認があるの…一方的に打ち切られる事もあるかもだけど?」

曜「…………え?………そうだったの…?」

梨子「うん」

曜「二年…?」

梨子「うん。だってそういう契約じゃないとお父さん達が絶対認めてくれなかったもん…契約書と条件見せて二年で絶対に帰るって事で納得してもらってたの」

曜「…………」ポカーン…

梨子「………?」

曜「………………そうならそうって先に言ってよ…」

梨子「………はぁ……あのね曜ちゃん…ホントは私だって二年で帰るつもりなんてなかったよ?」

曜「へ?」

梨子「もう骨を埋める覚悟だったの」

曜「え、だってお父さん達は…」

梨子「行ったらもうこっちのものだし…向こうで勝手に契約更新しちゃうつもりだった」

曜「………マジ…?」

梨子「マジ」

曜「…………いやー…梨子ちゃん…それ凄くロックだよ…さすがギルキスだよ…」

梨子「そう?」

曜「うん……ほぼ家出じゃんそんなの…」

梨子「んー…まぁ…そうなるかな…でももう大人だし…」

曜「はぁ…梨子ちゃんって…よくわかんないよ…」

梨子「えー何その言い草…」

曜「…あっ……で、でも……その…梨子ちゃんの夢は…」

梨子「別に日本でだってピアニストにはなれるでしょう?そんなに海外にこだわるつもりもないよ?それにピアニストじゃなくても音楽関係の仕事につければ私はそれでいいよ」ニコッ

曜「…………」

梨子「一度音楽の都で本格的な文化に触れたかったってのもあるし」

曜「……でも…私のわがままで…梨子ちゃんの夢が…」

315: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:31:14.25 ID:dYi3GsTf.net
梨子「………はぁ……あのね…曜ちゃん…」

曜「………」

梨子「私の夢ってね…ホントはピアニストじゃなかったの」

曜「…えっ?」

梨子「…………笑わない…?//」

曜「ん?」

梨子「笑わないって約束してね…?//」

曜「え…うん…?…わかった」

梨子「………あのね…私の一番の夢ってね…ホントはね……

………
……………
………………

幼梨子「………」カキカキ…

梨子ママ「梨子ちゃんはお絵かきも上手ね」

幼梨子「うんっ!りこ、お絵かき好き!でもりこ、ピアノを弾く方がもっと好き!」

梨子ママ「あらそう?ウフフ…ねぇ梨子ちゃん?梨子ちゃんは大きくなったら何になりたい?」

幼梨子「大きくなったら…?」

ママ「パパやママみたいに大きくになったら何になりたい?」

幼梨子「大きくなったら……うーん…」

ママ「ウフフ…まだ梨子ちゃんには難しかったかな?」

幼梨子「う~ん……あっ!あったよ!なりたいの!」

ママ「あら?なになに?ママに教えて?」

幼梨子「えとね、りこはね!大きくなったらーーー



幼梨子「お嫁さんになりたい!」


ママ「まぁ♡梨子ちゃんったらおませさんね♪」

幼梨子「エヘヘ~♪」

ママ「でもそれはパパには内緒よ?パパショック受けちゃうから!」ニコッ

幼梨子「なんでー?」

ママ「ウフフ…パパは梨子ちゃんがだーい好きだから♪ねぇねぇ梨子ちゃん?誰か好きな男の子いるの?」

幼梨子「好きな男の子ー…?」

317: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:32:35.18 ID:dYi3GsTf.net
ママ「そうそう!ママにだけこっそり教えて教えて?」

幼梨子「ん~…りこ…男の子きらーい!」

ママ「あらあらーそうなの?」

幼梨子「うん!だってからかってきたり…意地悪してくるんだもん!」

ママ「あらあら♪ウフフ…でもそれじゃあお嫁さんになれないわよー?」

幼梨子「んー…じゃあ…りこ、パパのお嫁さんになるー!」

ママ「あら♪パパも喜ぶわね?でもだーめ♡パパはママの♪」

幼梨子「え~!……んー…それじゃありこ…女の子と結婚する!」

ママ「あらあら♡」

幼梨子「りこ、女の子のお嫁さんになる!」

ママ「ウフフでもね梨子ちゃん?女の子とは結婚できないのよー?」

幼梨子「えー!いや!結婚するの!それで二人でお嫁さんになるの!」

ママ「あらあら…ウフフ♪それじゃあ梨子ちゃんと結婚してくれる女の子探さないとね?」クスッ

幼梨子「うん!」ニコッ

………………
……………
………

曜「………お嫁さん…?」

梨子「………うん…///…まぁ…早々に諦める事になっちゃったけど…///」

曜「………………」

梨子「……………なに…///」

318: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:33:28.95 ID:dYi3GsTf.net
曜「……………っ…!//」プルプル…

梨子「ちょっと!笑わないって約束したてしょう!?///」

曜「…いっ、いや!笑ってない!笑ってないけど…なんというか……!…い、意外で…!//」プルプル…

梨子「ちょっと…今完全に笑ってるでしょう!?//」

曜「わ、笑ってない!笑ってないけど………その、あんまりにも可愛くて…!///」

梨子「もーー!!//」ベシッ!

曜「あうっ…//」

梨子「そんなわけで!!一番の夢はピアニストってわけじゃないから!でもせっかく海外にいくんだからちゃんと働きながら勉強して帰ってきます!
それで日本でピアニスト含め音楽関係の仕事に就けるように頑張ります!はい、何か問題は!?///」

曜「な…ないです……///」

梨子「じゃあいいの!//」ギュッ…

曜「わぷ…」ムギュッ

梨子「文句は言わせません!そもそも曜ちゃんは私がいないとダメなんだから!//」

曜「うっ…//……もう…///勘弁してってば…//」

梨子「………私も…だけどね…///」

曜「…っ!///……うん…///」ギュッ…

梨子「…………。…曜ちゃん…」

曜「…ん…?」

梨子「……これから…色々…大変かもしれないけど……」

曜「………うん…」

梨子「…………一緒にいてね…?」

曜「………当たり前だよ」

梨子「ホントに…?」

曜「私からお願いしたいくらい…」

梨子「………よかった…」

曜「………梨子ちゃん…ありがとう…」

梨子「ううん……」

曜「……あの歌のおかげだよ…なんかもう…色々溢れて止まらなかった…」

梨子「…そう?…フフ…そっか…?」クスッ

319: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:33:59.66 ID:dYi3GsTf.net
曜「…え?なに…?」

梨子「さすがだなーって」

曜「え…?」

梨子「なんでもなーい!そんな事より!…今は私だけ見て?」クイッ

曜「ちょっ…///もう……わかってるよ…///」

梨子「フフっ…♡………曜ちゃん…♡」スッ

曜「……!…梨子ちゃん……//」スッ

チュゥ………チュッ…

梨子「………………///」ドキドキ…

曜「………………///」ドキドキ…

梨子「……恋人になってから初めてのキスだね…?//」

曜「……うん…//なんか…一番ドキドキした…///」

梨子「私も……//」

曜「……そっか///」

梨子「………曜ちゃん…?♡」クイッ…

曜「…ん……梨子ちゃん…?//」

梨子「…………愛してる///」ボソッ…

曜「………~っ!///…も、もう…やめてよ…///」カァァ…

梨子「ウフフ…♡これ…一度やってみたかったの!//」

曜「よ、よくわかりません…//」

320: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:34:28.94 ID:dYi3GsTf.net
梨子「交代♪」

曜「へ…?///」

梨子「……次は曜ちゃんが私にやって…?//」

曜「……マジですか//」

梨子「言った事なかった?私リバ派なの!……………ダメ?///」

曜「………い、いや……ダメじゃ…ない…けど///」

梨子「よかった♡…じゃあお願い…♡」スッ

曜「ハァ……梨子ちゃんってば…もう…///」

梨子「…………♡」ドキドキ…

曜「………梨子…//」クイッ

梨子「…………~っ!///」キュン

曜「……………///」ググッ…

梨子「…あっ……///」コロン…

トン…

曜「…………愛してるよ…?///」ボソッ…

梨子「~っ!………うんっ…!///私もぉ…///」メロメロォ…

曜「……………って!///……なにこれ…!?なにこれ…!///」プルプル…

梨子「曜ちゃん…いい…!素敵…!良かったよ…!床ドン…♡ウフフ…♡曜ちゃんの床ドン…♡」

曜「………っ!//……う、うぅ…な…なんか…!なんか色々台無しーっ!!///」ガバッ

321: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:35:02.23 ID:dYi3GsTf.net
梨子「えー!?良かったよ!床ドン!ねぇ、もう一回やって!?///今度はこう…床にこうやって肘をついて…///」

曜「も、もーー!///梨子ちゃんの変態!///」

梨子「お願い…曜ちゃん…!もう一回…!///」

曜「やらないっ…!///」

梨子「お願い!壁でもいいから…!//ううん、むしろ壁クイでもう一回…!///」

曜「もー!知らない!///」

梨子「曜ちゃーん…///……今度曜ちゃんの好きなコスプレ着てあげるから…♡」

曜「梨子…愛してるよ?」ドンッ…ボソッ…

梨子「~っ!///曜ちゃぁん…♡」トローン…

ピアノ「」エエコッチャデ………

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

322: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:35:39.44 ID:dYi3GsTf.net
ーーー
ーーーー
ーーーーー

数週間後…

桜内家 梨子ルーム

梨子「……………」  

コンコン…

梨子「……!」ピクッ…

梨子ママ「梨子ちゃん?起きてる?」

梨子「……お母さん…」

梨子ママ「今大丈夫?」

梨子「…うん……」

ママ「……大事な人が出来た事…お父さんには話しといたよ」

梨子「…!……ありがとう…それで…お父さんは…?」

ママ「うーん…書斎に閉じこもっちゃった」ニコッ

梨子「……………」シュン…

ママ「…フフッ…梨子ちゃん…?そんな顔しないの!」

梨子「………ごめんなさい…お母さん…」

ママ「謝らないの!お父さんなら大丈夫だから」ナデナデ…

梨子「……でも…」

ママ「ううん、梨子ちゃん…お父さんはね?お相手が誰だろうと関係ないの。梨子ちゃんに恋人が出来るのが初めてだからショックを受けてるだけだから」ニコッ

梨子「えっ……」

ママ「早い子だと高校生か二十歳までには恋人が出来ちゃったりしてその時に盛大にショック受けるから耐性がついてたりするけど…梨子ちゃん、そんな話今までなかったからショック受けちゃってるだけよ?」ニコッ

梨子「……でも…」

324: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:36:49.67 ID:dYi3GsTf.net
ママ「世のお父さんって自分の娘に恋人が出来たらみーんなこうなるの!おじいちゃんなんかもっとひどかったのよ?」

梨子「…………」

ママ「世のお父さん達ってズルいわよね?自分だってそうやって女の子と付き合ってたくせに自分の娘ってなると例外なくああやってショック受けるんだもんね?」クスッ

ママ「……お父さんだって私みたいな美人で綺麗なお嫁さんもらってるんだもの。梨子ちゃんだって可愛いお嫁さん…欲しいもんね?」ナデナデ…

梨子「……お母さん…」

ママ「……フフッ、お父さんなら大丈夫、ショックは受けてたけど安心してたから…。…お父さんね?梨子ちゃんと話して…それから転職の話聞いてからずーっと心配してたの」

ママ「女性が好きな事いい…ただ梨子が辛そうだ…って…ずっと」

ママ「だから…梨子ちゃんに大切な人が出来たって…梨子ちゃんの事支えてくれる人が出来たって聞いた時ね?ここ最近で一番ホッとした顔してたわ。お母さんにはわかるの」

梨子「おかあさん………」

ママ「フフッ……あのね梨子ちゃん?お父さんもね、梨子ちゃんの彼女さんの曜さん…写真みせたらすぐにわかったのよ?」

梨子「…えっ…?」

ママ「梨子ちゃんがスクールアイドルしてた時の集合写真みせて…この子、って指差したらすぐに『あの子か!』って!
ステージで元気一杯で踊っててとっても可愛いかったもんね?お父さんも印象に残ってたみたい」クスッ

梨子「……お父さん……」

ママ「お母さんもこの子大好きだったの!こんなに可愛い子、ちょっと梨子ちゃんには勿体無いかも♪」

梨子「………もう…//」

325: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:37:33.69 ID:dYi3GsTf.net
ママ「……曜さんさえよかったら…今度ご挨拶させてね…?お母さんもお父さんも…曜さんにはとっても感謝してるから」

梨子「え………」

ママ「………梨子ちゃん…海外に言ったらもう帰ってこないつもりだったでしょ?」

梨子「……っ!?…気付いてたの…?」

ママ「当たり前よ、何年梨子ちゃんのお母さんやってると思ってるの?」クスッ

梨子「…………」

ママ「親として音楽の道に進みたいっていう梨子ちゃんの意志は尊重したかったから最終的にはお父さんもお母さんも折れちゃったけど…どうしたら帰ってきてくれるかなって毎日相談してたんだから」

梨子「……ごめんなさい…」

ママ「フフッ…曜さんのお陰で梨子ちゃんも最初の約束通り帰ってきてくれるだろうし…お父さんもお母さんも本当に一安心!…だからとっても感謝してるの」

梨子「……………」

ママ「………あのね?お父さんもお母さんも…梨子ちゃんさえ幸せだったら…もう他には何もいらないの」

ママ「女の子が好きなのも極端な話別に良いのよ?でもね…その話を梨子ちゃんがしてくれた時……梨子ちゃん本当に悲しくて辛そうで……とにかくそれが心配だったの」

ママ「でもね?今日お母さんに曜さんの事…大切な人が出来たって話してくれた時は…梨子ちゃん…とっても恥ずかしそうだったけど…凄く幸せなの隠しきれてなかったからお母さんとっても安心しちゃった」



ママ「……………ね?…だからもう泣かないで…?」


梨子「………うっ…グスッ……おかあさん…」ポロ…ポロ…

326: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:38:15.64 ID:dYi3GsTf.net
ママ「もう…泣かないでってば……幸せになってね…梨子?」ナデナデ…

梨子「ぅぅ…グスッ……おかあさん…うっ…うぅ………」メソメソ…

ママ「こうやって梨子ちゃん抱っこしてナデナデするのひさしぶりね…」クスッ

梨子「ぅぅ…おか…あさん…!うぅ…」メソメソ…

ママ「はいはい♪………女の子のお嫁さん…見つかってよかったね?梨子…?」ナデナデ

梨子「…っ!…ゔぅ…ゔんっ…ヒグッ……ウッ……ウッ…」ボロボロ…

ママ「フフ…あらあら…幸せなら笑わないとだめよ?」

梨子「ウッ……ウッ…フクッ………おかあさ…ん…!」ボロボロ…

ママ「ハイハイ…?♪」ナデナデ…

扉越し
梨子パパ「………グスッ……」ポロ…ポロ…

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

数日後

曜ルーム

曜「そっか…ちゃんと話せたんだ」

梨子「………うん…」

曜「………凄いよね…両親って…」

梨子「……うん…」

曜「なんかさ…びっくりするよね?…想像以上に愛されてて」

梨子「…………うん…」ポロ…

曜「……泣かないで?」スッ… 

梨子「…………うん…」グシグシ…

曜「………」ナデナデ…

梨子「…………」

327: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:38:55.15 ID:dYi3GsTf.net
曜「あのさ梨子ちゃん」

梨子「ん……なに?」

曜「実は………私も話しちゃった」

梨子「えっ」

曜「梨子ちゃんの事…お父さんとお母さんに話しちゃった」

梨子「えっ!?うそっ!?」

曜「ホント」

梨子「そうなの!?…もう…!言うなら言うって言ってよ…」

曜「いやー…まだ言うつもりなかったんだけどね……正確にはお母さんにバレちゃったんだよね…」

梨子「バレたって……」

曜「安心して?バレたってほど大袈裟なもんじゃないよ。この前実家に帰ったときにお母さんに『何かいいことあったでしょ?良い人でもできた?』って探り入れてきたんだ」

梨子「……そう…なんだ…」

曜「いやー…母親には敵わないよ……嘘つくのもあれだし…お母さんには話しちゃってもいいかなって話しちゃった」

梨子「……………それで…?」

曜「ん…?」

梨子「お母さんはなんて…」

曜「それがさ…ぜーんぜん驚かなかったよ」

梨子「そうなの…?」

曜「と言うか…やっぱりバレてた!…私が女の子が好きって事」

梨子「……………」

曜「千歌ちゃんの結婚からずっと塞ぎ込んでたみたいだから逆に安心したってさ?」

梨子「…そっか」

329: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:39:25.98 ID:dYi3GsTf.net
曜「でさ…先週にお父さんが帰ってきてて…」

梨子「先週!?」

曜「アハハ…うん…実は…」

梨子「と言うか先週実家に帰る用ってそれだったの…?」

曜「うん……」アハハ…

梨子「……もう…言ってよ…」

曜「なんて言われるかわかんないからさ?心配かけたくないし……梨子ちゃんのプレッシャーになるかなって…」

梨子「…もう…相変わらずなんだから…」

曜「面目ない…」

梨子「それで…?」

曜「お母さんからあらかた聞いてたみたいでさ……特に何も言わないで……頭撫でくれたよ」

梨子「……!」

曜「何かあったら何でも言いなさいって…お父さんは何があっても味方だ…って」

梨子「……素敵なお父さんね」

曜「うん……ああやって頭撫でて貰うのすっごく久しぶりでさ……なんか…泣いちゃった……やっぱりお父さんの手っておっきかったな…」テヘヘ…

梨子「…うん……」

曜「……………そんなわけで!私の方ももう色々と心配いらないから!梨子ちゃんは海外でも勉強に集中してください!」

梨子「……うん…!……ありがと…曜ちゃん…」

曜「言うの遅くなってごめんね?」

梨子「ううん……。でも…もう変に私に気を使わないで…?何かあったらなんでも言ってよ?」

曜「アハハ…ごめん…」

梨子「……その……私達…恋人同士なんだから…//」

曜「…っ!///そっ…そうだね!アハハ…!///」

331: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:39:56.73 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…………///」ギュッ…

曜「…!………」ギュッ…

梨子「…………ん…//」スリ…

曜「………する?///」

梨子「」ズルッ

曜「…えっ、なに?」

梨子「あのね……もうその誘い方やめよって話ししたよね?」

曜「あっ……」

梨子「もー…」ジト…

曜「ご、ごめん…」

梨子「変な癖が抜けないんだから…」

曜「梨子ちゃんだってこの前言ったじゃん……」

梨子「私はあれ以降は言ってませんー」

曜「むぅ……」

梨子「しっかりしてください」

曜「……なにさ…そんな言うなら梨子さん、お手本見せてくれる?」

梨子「え゙っ…」

曜「そもそも私ばっかり言わされてるしー」

梨子「それは曜ちゃんが…」

曜「曜ちゃんがなにー?だいたいよく考えたら昔っからそうだよね、だいたい梨子ちゃんが雰囲気だして私が言わされてばっかり!」

梨子「えー!そんなこと言う?」

曜「違うの?」

梨子「違いますー!」

333: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:40:28.74 ID:dYi3GsTf.net
曜「じゃあしたくない?」

梨子「えっ……」

曜「……私はしたいよ?梨子ちゃんと」

梨子「………っ!///…もう!…ヘタレ曜ちゃんのくせに生意気…!///」

曜「えへへ…じゃあヘタレじゃない梨子さん?聞かせてくれる?」ニコッ

梨子「……もー………///」

曜「はやくはやく…?」

梨子「………曜ちゃん……しよ?///」

曜「…………////」プシュー…

梨子「…何か言ってよ!///」

曜「フフ…///よくできました?梨子ちゃん?///」クイッ…

梨子「あ………///…ンッ………///」

チュ…チュッ………ン……

ーーー
ーー

曜(ここ最近は毎日次の日の朝は最高の気分…って言いたい所なんだけど…)

曜(………次の日が来る度に……出発の日が迫ってくるから…やっぱりどこか寂しい気分なんだよね…)


ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー

337: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:41:57.14 ID:dYi3GsTf.net
ーー

数週間後

成田空港 

曜「んー…空港って広いねー!」

梨子「そうだね…」

曜「梨子ちゃんの乗る飛行機ってどれかな?」

梨子「どれだろ…」

曜「あれかな…?」

梨子「さぁ?」

曜「えー…ちゃんと見ときたいじゃん?飛んでいくところさ」

梨子「搭乗口とかみたらわかるでしょ?まだ一時間も前なんだから」クスッ

曜「そっかー…」

梨子「うん……」

キィーーーン…

曜「おっ……あれ飛びそう…!」

梨子「うん…」

キィーーン…

曜「わぁ…飛んだ飛んだ!」

梨子「当たり前だよ」クスッ

曜「不思議だよねぇあんなのが飛ぶんだもんね」

梨子「うん……」

曜「…………」

梨子「…………」

曜「…………あ…あの飛行機…」

梨子「ねぇ曜ちゃん」

曜「ん、なに?」

梨子「…………手繋いでいい…?」スッ

曜「…………うん…」スッ

ギュッ…

338: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:42:24.75 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………///」ドキドキ…

梨子「…………///」ドキドキ…

曜「まだドキドキするね…///」

梨子「………だってちゃんと恋人になってまだ一ヶ月くらいだもん…//この前のギルキス会でよっちゃんとマリさんに『一番楽しい時期じゃない…』って可哀想な目されちゃった…」

曜「私もこの前千歌ちゃんと果南ちゃんにおんなじ事言われて哀れみの目を向けられたよ…もっと早く言っとけば良かったのに~!って……はぁ…というか千歌ちゃんにだけは絶対言われたくないよね?」

梨子「たしかに」クスッ

曜「まぁ色々と動いてくれてたからもう頭上がんないんだけどさ…」

梨子「…フフッ…そうだね?曜ちゃんがもたもたしてるからだよね?」クスッ

曜「えー?私だけのせいじゃなくない…?」

梨子「……うーん…そうかも?曜ちゃんが私がいないと寂しくて生きていけない程ダメダメな可愛い人だったって私が見抜けなかったのが悪かったね」

曜「ちょっと」

梨子「………でも…曜ちゃんも私が曜ちゃんがいないとおかしくなるくらい好きになってたって事見抜けてなかったからそれも…オアイコ…かな…?///」

曜「……っ!///……も、もう……梨子ちゃん…
ってば…///」ギュッ…

梨子「フフ……///」ギュッ

曜「…………あのさ、梨子ちゃん!」

梨子「…?なに…?

曜「私ね、船舶免許取ろうと思うんだ?」

梨子「え…?」

339: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:42:53.24 ID:dYi3GsTf.net
曜「一般で取れる一級小型船舶ね!私も梨子ちゃんが海外言ってる間暇だし…働きながら船舶免許取ろっかなって!」

梨子「へぇ…それじゃあ私が帰ってくる頃には船の船長さん?」クスッ

曜「アハハ…仕事にするのはもう無理だけど…趣味でクルーザー運転するくらいなら取得できるんだよ?」

梨子「そうなんだ?」

曜「うん!…だからさ…梨子ちゃんが帰ってきた時にね?私の最初のお客さんになってくれない?」

梨子「お客さん…?」

曜「そっ!船ならレンタルか…果南ちゃんから借りるかしてさ!二人でクルージングするの。あの梨子ちゃんの部屋にあったピアノも乗せてさ!」

梨子「……………」


曜「それで…船の上でまた二人でピアノの演奏会するの!……どうかな?」

梨子「………とっても素敵…」

曜「でしょ?頑張る梨子ちゃんみてたらさ…なんか私も夢叶えたくなっちゃってさ!…楽しみにしててね?」ニコッ

梨子「…うん!ありがと…曜ちゃん…」

曜「うん!」

キィーーン…

曜「………………」

梨子「……………」

340: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:43:33.07 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………もうすぐ時間だね…」

梨子「………うん…」

曜「………」

梨子「………そろそろ…いこっか?」

曜「………」

梨子「………フフッ…そんな顔しないの?」クスッ

曜「…………うん…搭乗口…行こっか」

梨子「ええ」スッ…

ーーーー
ーーー
ーー

搭乗口前…

梨子「あの○○番ゲートだから…乗る飛行機は上から見ると…○番目じゃないかな?」

曜「…うん…そうだね…?」

梨子「…………」

曜「…………」

梨子「……時差もあるけど…時間みて電話しようね…?」

曜「……毎日していい?」

梨子「フフッ…大歓迎だけど…続くかなー?無理したら続かないって聞くよ?」クスッ

曜「無理じゃないよ…絶対する…!ちょっとでもする…」

梨子「……うん///…ありがと…曜ちゃん…」

曜「…うん…」

『○○ゲートお客様は搭乗口に…』

梨子「…………じゃあ…行くね…?」

曜「………………」ギュッ

梨子「……曜ちゃん…手離さないと私行けないよ…?」

曜「…………」

梨子「……………私だって…寂しいんだよ…?」

曜「………!…梨子ちゃん…」

梨子「……泣きそうだから…ちゃんと笑って出発したいもん…だってしばらく会えないのに最後に悲しい顔は嫌でしょ?」

曜「…………」

342: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:44:00.67 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……ね…?だから…」スッ

曜「………じゃあさ梨子ちゃん…」

梨子「……なに?」

曜「最後に…ハグしよ?」

梨子「…えっ!?こ、ここで…!?///」

曜「うん」

梨子「そ、それは…だって…昨日もうさんざんしたでしょう…?今朝だって…」

曜「いいから…ね?」スッ

梨子「ホ、ホントに…?///」

曜「いいからほら……ハグしよっ?」

梨子「……ぅ…わかりましたっ!//もう…」スッ

曜「エヘヘ…//」ギュッ…

梨子「…っ!///…何がエヘヘよ…もう///」ギュゥ…

曜「………頑張ってね…?梨子ちゃん」ナデナデ…

梨子「………うん…///」

曜「………………///」ナデナデ…

梨子「………///」

曜「……………//」ナデナデ…

梨子「………曜ちゃんもうホントに乗り遅れます///」

曜「アハハ…わかったわかった!…落ち着いた?」

梨子「…落ち着いたのは曜ちゃんでしょ…!///」

曜「あ…バレた?//

343: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:44:29.33 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…もう!///……ありがと…曜ちゃん…」スッ

曜「…うん」

梨子「じゃあ…ホントに行くね?」

曜「…うん…じゃあね?」

梨子「…………またね…?」

コツコツコツ…

曜「……頑張ってね…梨子ちゃん…」

曜「…………ふぅ…」ホロリ…

曜「…………グスッ……はぁ…二年かぁ…長いなぁ……」グシグシ…

曜(…………でも…あんなに嫌い合ってたのに何だかんだ10年近くずーっと離れられなかった私達だもんね…)

曜(あっという間だよ…)

曜(あっという間……だったらいいなぁ……)

ーーーー
ーーー
ーー

344: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:44:58.87 ID:dYi3GsTf.net
エピローグ

二年後……

内浦港 船着場 昼頃

曜(28)「梨子ちゃん!こっちこっち!」

梨子(28)「もう…そんな急がなくても…」

曜「だって楽しみで!渡辺曜はこの時を!ずーっと待っていたであります!♪」

梨子「曜ちゃんったら…」クスッ

曜「えへへ……あっ!ほら見えた!あれあれ!」

梨子「…?…………えと……どれ…?」

曜「あれだよ!一番大きいやつ!」

高級大型高性能クルーザー「」オウ

梨子「」

曜「凄いよねー!」

梨子「あ、あの…曜ちゃん…大き過ぎない?」ピクピク…

曜「大っきいよねー!」

梨子「…こんなの運転できるの?」

曜「大丈夫!ちゃんと免許の範囲内だから!」ニコッ

梨子「そうなの…?」

曜「そうなの!」

梨子「そうなの…」

345: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:45:28.25 ID:dYi3GsTf.net
果南「…おっ!来たねー!」

鞠莉「シャイニー♪曜!梨子!」

梨子「果南さん、マリさん!」

曜「あっ!二人共!おはよーそろー!」

果南「はしゃいでるなぁ」クスッ

鞠莉「仕方ないわよ♪待ちに待った航海だものね?」

曜「えへへ…鞠莉ちゃん!クルーザー貸してくれてありがとう!はいっ、これ!この前東京出張行った時のお土産!」

鞠莉「oh~♡穂むらのお饅頭がこんなにたくさん!センキュー曜♡」ダキッ!ギューッ…

曜「アハハ…喜んでくれて良かった」ムギュッ

果南「鞠莉これ好きだねー…私も好物なんだけどさ」ニコッ

曜「こんな立派なクルーザーお借りするんだもん!お安い御用であります!」

梨子「本当にありがとうマリさん…でもこんな大きくなくても良かったのに…」

曜「いやー…私もそう言ったんだけどさ…」

鞠莉「ソーリー?これが一番小さなクルーザーなの♪もっと大っきくて豪華なクルーザーも用意したげたのに…曜が遠慮しちゃって?」

曜「あはは…見せてもらったけどあれより大きなのはとても…」タハハ…

梨子「えぇ…」

346: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:45:57.71 ID:dYi3GsTf.net
果南「家の貸してあげても良いんだけどさ、鞠莉がどーしても私の貸してあげる!って聞かなくてさ」

鞠莉「だって~私のマイリトルリリーの帰国記念航海よ?私だって何かしてあげたいじゃない♪どうせほとんど乗ってないし!
飾りじゃないんだから乗ってあげた方がこの子も喜ぶわよ?ねぇサードマリー号?」

サードマリー号「」ウム

果南「だってさ?」クスッ

梨子「マリさん…」

曜「ありがと!鞠莉ちゃん♪」

鞠莉「いえーす♪エンジョイしてくるのよ?」

曜「うん!」

梨子「…本当にありがとう…マリさん…」

果南「よし!じゃあ搭乗しといで!」

鞠莉「気をつけていくのよ?何か分からないことや困った事があったらクルーザーの無線で…」

果南「大丈夫だよ鞠莉、装備とか使い方なら曜にはこの私がみーっちり叩き込んでおいたからさ?」

曜「うん!果南ちゃん相変わらずスパルタでさー…おかげ様でもうバッチリだから!」

鞠莉「フフ…そう♪」

果南「てわけで梨子、曜の腕は私が保証するからさ?楽しんでおいで?」ニコッ

梨子「はい!…何から何まで…ありがとう…」

果南「いやいや♪楽しい旅を!」

347: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:46:39.86 ID:dYi3GsTf.net
鞠莉「泊まる時に足りなかった物があったら言ってね?マリーが直々にヘリで届けちゃうわよ♪」

曜「大丈夫!…ありがとう…鞠莉ちゃん」

鞠莉「あらそう?それじゃあ明日の朝までのクルーズ、最高の思い出にしてね♪」

曜「はい!よーし!行こ!梨子ちゃん♪」

梨子「あ…もう…///曜ちゃん子どもみたいだよ?」

曜「お子様上等であります!じゃ、行ってきまーす!」

梨子「いってきます」ペコッ

果南「気を付けてね!」bグッ!

鞠莉「ボンヴォヤージ♪」

曜「はーい!」タタタ…

梨子「走らないの」クスッ

タタタ…

鞠莉「フフッ…楽しんできてね…?二人とも♪」

果南「…なに今の?ボンボや……?」

鞠莉「良い航海を!って意味よ?」

果南「へぇ…」

鞠莉「さっ!曜のお土産の穂む饅食べましょ♪もー…ネット通販とかしてくれたらいいのに!」

果南「下手に販売拡大するより地域限定品として拘りを持って作ってるんじゃない?買いに来てくれる人いっぱいいるみたいだし…それでいいんだよ、きっと♪」

鞠莉「それもそうね♪さっ、お茶用意して~マイハニー?♡」ルンルン…

果南「はいはい」クスッ

ーーーーー
ーーーー
ーーー

348: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:47:08.16 ID:dYi3GsTf.net
クルーザー運転席

曜「ぃよしっ!天候は快晴!風向きも良好!絶好のクルーズ日和だね!」

梨子「ホントに良い天気…」

曜「日頃の行いだね!よーし…ちょっと待ってね…」ゴソゴソ…

梨子「……?」

曜「ジャーン!♪」バサッ

梨子「それは…?」

曜「見ればわかるでしょ?航海士(船長仕様)の制服(上着)と帽子!!」ビシッ

梨子「……やっぱり?」クスッ

曜「とーぜんの嗜みだよ!…よし、準備万端!」スポッ!

梨子「いよいよね…!」ワクワク…

曜「…………」スゥ…ハァ…

梨子「……?曜ちゃん?」

曜「桜内様?」クルッ

梨子「えっ…?」

曜「本日は当クルーズにご乗船頂きまして誠にありがとうございます!船長を務めさせて頂きます、渡辺曜と申します!」ペコッ

梨子「曜ちゃんたら…」クスッ

曜「まだまだ未熟ではございますが、お客様の安全を第一に考え、格別の乗り心地をお約束し、そして素敵な思い出となる航海をお約束します!」ビシッ

梨子「フフ…はい、よろしくお願いします♪」

351: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:48:22.69 ID:dYi3GsTf.net
曜「えへへ…よーし!出発!目指すは駿河湾沖合であります!全速前進~…?」チラッ

梨子「え…?」キョトン…

曜「もー…キョトンじゃないよー桜内一等航海士!全速前進ー?とくればヨーソロー!でしょ?」

梨子「えっ、私…お客さんじゃないの?」

曜「いやいや!一人で何役もこなさないと!二人しかいないんだよ?」

梨子「えー…」

曜「さっ、もう一度仕切り直し!全速前進~?」

梨子「よ…よーそろー!///」

曜「アハハ!よーし!出発!♪」

サードマリー号「ブルルルル…」イクデ!

梨子「わぁ…進んだ進んだ♪」

曜「当たり前でしょ」クスッ

梨子「曜ちゃんの事だから空回りしちゃってエンストとかするかなって」

曜「しませんー!そもそもこのクルーザー…最新式でひくほど装備が整ってるから滅多にそんな事ありえないよ」

梨子「そうなの?」

曜「うん!あとで案内するけど色々と備わっててさ、トラブル起こしたり遭難する方が難しいよ!」

梨子「遭難って…そんな不安になるような事言わないでよ」クスッ

曜「冗談抜きで軽く世界一周出来るレベルのクルーザーだよ!それにもし遭難しても多分三週間は生きていけるくらい備えあったし!…いや、水を節約すれば一ヶ月くらいは…」ムムム…

梨子「縁起でもないからやめて」

曜「ごめんごめん!いやー…いい風!秋の風ってホント気持ちいいよねー!」

梨子「うん、そうだね♪」

352: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:48:49.87 ID:dYi3GsTf.net
曜「先にデッキに行ってていいよ?しばらくは操縦席から離れられないからさ」

梨子「…ううん、ここにいる…ここで曜ちゃん見てたいな…ダメ?///」

曜「…ん、そっか///いいよ、ここにいて?///」

梨子「うん…ありがと//」

曜「………///」テレテレ…

梨子「それに他の船にぶつけないか心配だし」

曜「ちょっと」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

駿河湾 沖合

曜「この辺までくればいいかな…オートクルーズにしてと…」

梨子「大丈夫なの…?運転席から離れて…」

曜「アハハ!大丈夫!進めてるわけじゃないから!…まぁこのクルーザー…オートクルーズ機能でもガンガン進めるみたいだけど…」

梨子「す、凄いね…」

サードマリー号「」セヤロ?

曜「さっ梨子ちゃん、デッキに行こうよ!」

梨子「うん!」

タタタ…

353: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:49:17.65 ID:dYi3GsTf.net
曜「んー…!いい眺め!」

梨子「わぁ……見渡すかぎり海…!」

曜「気持ちいいよねー!ほら梨子ちゃんあれ!富士山!」

梨子「うん…快晴だからはっきり見れるね」

曜「海上からの富士山…くぅ~!やっぱり格別だねー!」

梨子「ええ♪………もう一生分見たって思ってたのに…またこうやって海から見れるなんてウソみたい…」

曜「アハハ…そうだね?」

梨子「………曜ちゃん…手…繋いで…?//」

曜「…!…うん//」

ギュッ…

ようりこ「…………///」

梨子「思い出すね…こうしてると…」

曜「そうだね…」

梨子「………///」

曜「…………///」

ザブーン…

355: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:51:43.80 ID:dYi3GsTf.net
曜「…船酔いは平気?」

梨子「うん、大丈夫!」

曜「よかった!」

梨子「優秀な船長さんのおかげかしら?」

曜「まぁこの船自体が大きくて高性能ってのとさ、果南ちゃんにビシバシ叩き込まれたからね」

梨子「そうなんだ?フフ…果南さんって優しいのね?」

曜「えー?まぁ優しいんだけどさ、誇張じゃなくてホントに私にスパルタなんだよ果南ちゃんってさ?」

梨子「えー?そうかな…」

曜「そうなんだよねぇ…」

梨子「あんまり果南さんがスパルタだったイメージなかったけど…」

曜「それはね梨子さん…果南ちゃんは昔から梨子ちゃんには特別優しいからであります」

梨子「そんなことないよ」クスッ

曜「いや、絶対あるよ!千歌ちゃんも言ってた!」

梨子「アハハ…でもそれを言うならマリさんも曜ちゃんには特別に優しいと思うな?」

曜「ん?鞠莉ちゃん?んー…たしかに学生の頃から色々と気にかけてくれてて優しいけど…鞠莉ちゃんって皆に優しくない?」

梨子「たしかに皆に優しいけど…曜ちゃんには特に気を配ってたよ?」クスッ

曜「そうかなー?」

梨子「そうなの♪」

曜「んー…まぁ、そっか!…でもホント…色々と助けてもらって…ありがたいよね」

梨子「…うん」

ザザザ……

356: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:53:20.82 ID:dYi3GsTf.net
曜「善子にもすっごく心配かけたし…」

梨子「…うん…よっちゃんに果南さんやマリさんだけじゃないよね…皆…とっても優しくて…良い人達ばっかり」

曜「……色々と迷惑掛けたし…お世話になってばっかりだね…」

梨子「そうだね…」

曜「……私…色々あったけど…皆とスクールアイドルやってて…ホント良かった」

梨子「私も…」

曜「…なにかお礼できたらなー…」

梨子「………ねぇ」

曜「ん?」

梨子「今度皆誘って…船の上で演奏会開けないかな…?」

曜「!」

梨子「曜ちゃんが運転して……私がピアノを弾いて…沖合でパーティするの…どうかな?」

曜「…それかなり最高かも♪」

梨子「ホント?」

曜「うん!…でもそれにははまず演奏者の腕前を確かめないといけませんなー?」ニヤリ

梨子「えー?国際ピアノコンクール入賞の実績だけじゃダメ?」クスッ

曜「船の上でも同じように弾けますかな?」

梨子「職務で経験もあるけど?」フフン

曜「いやいや!船長のこの私が直々に聴いてみて判断しないとなんとも言えませんなー!」

357: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:53:50.12 ID:dYi3GsTf.net
梨子「はいはい、じゃあ披露いたしましょう」クスッ

曜「そうこなくっちゃ!あの電子ピアノはもう運んでもらってるから!良い天気だしここで聴かせてくれる?持ってくるね!」タタタ…

梨子「走らなくても…」クスッ

ーーーー
ーーー

ザザザ……

梨子「………はい、準備できたよ?」

曜「待ってました!」

梨子「………」スッ…ペコリ…

曜「……?」

梨子「…本日は『渡辺クルーズピアノソロコンサート』にお越しいただきまして誠にありがとうございます…演奏をさせて頂く桜内梨子と申します♪」

曜「梨子ちゃん…」クスッ

梨子「………本日の演奏会への運びに至るまで…私事ではございますが語り尽くせないほど紆余曲折ございました」

曜「………」

梨子「…色々な事から逃げ続けた臆病な私ではありましたが……こうして無事に船上演奏会が開催できたのも…愛してくれた両親と…暖かく見守ってくれていた大切な友人達と……ずっと…一緒にいてくれた貴女の…曜ちゃんのおかげ…です///」

曜「……梨子ちゃん//」

梨子「…まだまだ駆け出しの身ではございますが…この数年間の成果……いいえ…私のピアノ人生の成果として…演奏を務めさせて頂きます…!」ペコリ…

曜「………ありがと…梨子ちゃん…」

358: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:54:18.56 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……結構恥ずかしいねこれ…///…コホン…///…それではお客様?何かリクエストはございますか?」

曜「んー…じゃあやっぱり…『空も心も晴れるから』…かな?」

梨子「フフ…かしこまりました?…弾語りにされますか?」クスッ

曜「んー…最初は…ピアノソロで聴きたいかな?でも後で歌も聴かせてね?」

梨子「かしこまりました…」

電子ピアノ「」デバンカ!

梨子「…………」スッ…

電子ピアノ「♪…♪~… ♪~……」

曜「………………」

曜(…何度聴いても…綺麗な音色…)

電子ピアノ「♪…♪~……♪」

曜(……元々この歌って…別れの歌のつもりで作ってたんだよね…)

梨子「………♪」

曜(……でも…凄いや…あの時の物悲しさとか…寂しい雰囲気を感じさせなくて……上手く言えないけど……別れの歌じゃなくて…これからの未来を…祝福するような…そんな音色になってる…)

曜(ピアノの音色に…梨子ちゃんが感情を乗せてるんだ……)

電子ピアノ「♪…♪~…♪♪…」

梨子「…………♪」

曜(………ピアノがいきいきしてるみたい…まるで…生きてるみたいな…そんな感じ…)

電子ピアノ「♪~…♪」ワカル?

梨子「………♪」

曜(……この二年間…寂しかったけど…やっぱりちゃんと送り出してあげて………良かった…)ホロリ…

ーーーーー
ーーー

359: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:54:46.82 ID:dYi3GsTf.net
♪~…♪… 

梨子「…………」スッ…ペコッ

曜「…………」パチパチパチ!

梨子「……どうだった?」

曜「…………合格で!!きたる船上演奏会の際には是非演奏者として依頼させていただきます!」ビシッ

梨子「ありがとうございます」クスッ

曜「アハハ!……上手く表現出来ないけどさ、ホントに素敵な音色でした!」ナデナデ…

梨子「……うん//…ありがとう」

曜「演奏会が楽しみ♪」

梨子「皆喜んでくれたらいいけど…」

曜「大丈夫!梨子ちゃんの演奏と私の操縦技術があれば最高の船旅と演奏会になるよ!私が保証するであります!」

梨子「…うーん…不安」クスッ

曜「ちょっと」

梨子「冗談♪それに…私の腕前は私が一番よーく知ってますし?」

曜「プッ…アハハ!さっすが梨子ちゃん!相変わらずと言うか…頼もしいですなー」

梨子「二年ももらったんだもの?当然です♪」クスクス…

曜「そうだね?フフッ♪」

ザザーン… ザザザ……

梨子「…ん…いい風……波の音も近くて気持ちいいね…」ソヨソヨ…

360: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:55:14.43 ID:dYi3GsTf.net
曜「…………あのさ、梨子ちゃん」

梨子「なに?」

曜「ちょっとこっち来てくれる…?」

梨子「…?うん」

ザザザ……

ーーーー
ーーー

船内

梨子「わぁ…乗る時も思ったけど…中もとっても広いね?」

曜「だよねー?外から見ても大きいけど中もすっごーく広いんだよね」

梨子「そうなんだ…」キョロキョロ…

曜「………えーっと…この部屋!」ガチャ

梨子「………?」

曜「…………ねぇ梨子ちゃん…目瞑って?」

梨子「え…?どうして?」

曜「さー…どうしてでしょう?♡目を開けてからのお楽しみ…?」ニコッ

梨子「う、うん……///」スッ…

ゴソゴソ…

梨子「………?」

曜「…………いいよ!目…開けて?」

梨子「…ん……」パチ…

梨子「………!!…これって…!」

ウエディングドレス①「」

ウエディングドレス②「」

曜「えへへ…///…チューすると思った?残念!ウエディングドレスでしたー!」

梨子「う、うぇ…?///」

曜「ウエディングドレス!」

梨子「ど…どうしたのこれ…?///」

曜「フッフーン♪作った!」

梨子「え゙っ」

361: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:55:43.01 ID:dYi3GsTf.net
曜「ルビィちゃんにたまに手伝ってもらったりして…ウエディングドレス作っちゃいました!」

梨子「……っ!///う、ウソでしょ!?///」

曜「ほんとー!…まぁ全部まるっと手作りってわけじゃないけど…デザインとか殆ど自作かなー?淡い桜色のが梨子ちゃんので…水色のが私の!」

梨子「ウソみたい……//」

曜「…どうかな…これ?」

梨子「……素敵…///」ポー…

曜「…よかった…///」

梨子「………でも…これ…?」

曜「わかってるくせに♡」

梨子「えっ……えっ…///」

曜「………桜内梨子さん」

梨子「あっ…は、はい……///」

曜「私の……お嫁さんになってくれませんか?」

梨子「…っ!!///」

曜「あ…それからついでに…私を…その……梨子ちゃんのお嫁さんにしてもらえますか…?///」モジモジ…

梨子「……っ!?///……っ………!」ジワ…

曜「あ、ちょ……泣く前にお返事を…///」

梨子「……うぅ……っ…!…」コクッ!

曜「…えっと…?//…その頷きは……オッケーって事で…いいんだよね?」

梨子「……っ…!////」コクコクッ!

曜「~っ!///…よかったぁ……///」

梨子「…グスッ……あ……当たり前でしょう…!///」プルプル…

365: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:57:17.71 ID:dYi3GsTf.net
曜「いやー…///だってもうちょっと様子を見てから、とかさ…色々と考えちゃっt

ダキッ!

曜「おっとと…///」ギュッ…

梨子「もー…!///なんなの!?曜ちゃんのばか!!///バカ曜!///」ムギュゥゥ!

曜「ぐえっ…り、梨子ちゃん…!苦しいって…///」

梨子「ヘタレなくせにキザなことしてぇ…!///」ギリギリ…

曜「ぐえっ!ホントに苦しいって!」

梨子「もう……///」スッ

曜「ぷは……。えへへ…だってさ…?恋人になる時は先に言われちゃったし?プロポーズは私からかなー、って///」

梨子「もう…バカなんだから…///」

曜「指輪は悪い虫除け用にもうプレゼントしてたしさ、丁度いいかなーって///」

梨子「………ありがとう…曜ちゃん…///」

曜「えへへ……ねぇ、試しに着てみてくれる?サイズは大丈夫なはずだけど…」

梨子「いいの…?///」

曜「そのために作ったんだよ」クスッ

梨子「で、でも…」

曜「本番の時用に最終調整もしたいし!…それとも…着るのイヤ?」

梨子「!………もう…!///…着ます!//」

曜「やった♪」

梨子「はぁ…もう…曜ちゃんてば…///」

曜「ありがと!//」

366: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:57:51.01 ID:dYi3GsTf.net
梨子「もう…///」スッ…

曜「………///」ワクワク…

梨子「………着替えるから後ろ向いてて!//」

曜「あっ、はい///」クルッ

ーーーーー
ーーーー
ーー

梨子「…えと…これでいいのかな…?///…着れたよ?曜ちゃん…///」

曜「うんっ!」クルッ

梨子「……え…えと…どうかな…?///」

曜「わぁ……///」パァ…

梨子「……えと……///」モジモジ…

曜「……………///」ポー…

梨子「あの…曜ちゃん…?///」

曜「あっ……う、うん…凄く……綺麗…だよ…///」ポー…

梨子「……ありがと///」

曜「キツイとことかブカブカなとことかない…?」

梨子「ううん、大丈夫…///」

曜「そっか!…えと…気に入ってくれた?…///」

梨子「………うん…とっても…///」

曜「そっか…///」

367: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:58:39.89 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…ねぇ」

曜「ん、なに?」

梨子「…曜ちゃんも着てくれる…?//」

曜「え…?わ、私?///」

梨子「…うん//」

曜「いや…私はもうサイズとか合ってるし…修正の必要もないし…持ってきたのは驚かせたかったからで…その……///」

梨子「ダメ…?一緒に着よ…?///」

曜「うっ……///」

梨子「曜ちゃんのウエディングドレス姿……見せて…?///」ジー…

曜「………着ます//」

梨子「やった♡」

曜「はぁ…昔から何だかんだいって結局はいつも梨子ちゃんにはかなわないんだよねぇ…///」

梨子「フフ…当然です♪//」

ーーーーー
ーーー

デッキ

曜「うぅ…まさか私までこんな格好でデッキに来ることになるなんて…///」

梨子「似合ってるよ、曜ちゃん♡」

曜「アハハ…///ありがと…梨子ちゃん///」

梨子「私のお嫁さん…可愛いっ♡」

曜「や、やめてよ…///」

梨子「フフッ♡…私の曜ちゃん♡」ギュッ…

曜「はいはい…私の梨子ちゃん///」ナデナデ…

梨子「うん…♡」ギュッ

曜「…………///」ナデナデ…

368: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 09:59:35.91 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……夢みたい…///」スリスリ…

曜「うん……///」

梨子「フフ…私の夢、全部叶っちゃった♡…本当にありがとう…曜ちゃん…//」ギュッ…

曜「ううん…私こそ…梨子ちゃんのおかげで…こうやって大切な人を乗せて船に乗せて船長さんができたんだもん…私も夢がかなったんだよ?ありがとう…梨子ちゃん///」

梨子「曜ちゃん…///」

ザザザ……

曜「…………///」

梨子「…………///」

ザバーン…

曜「………ファッションショーし過ぎたかな?ちょっと日が沈んできたね?」

梨子「そうだね……ドレスって着るのに時間がかかるのね?」

曜「まぁもう秋だしねー…」

梨子「うん…」

曜「もう少しで夕暮れ…かな?」

梨子「…フフ…じゃあもうすぐまた海の上での夕焼けの富士山が見られるんだ?」クスッ

曜「…そうだね?」クスッ

ザバーン…

369: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 10:00:06.65 ID:dYi3GsTf.net
梨子「…またこうして曜ちゃんと二人で船の上から夕焼けの富士山見れるなんて…あの時は想像もできなかったな…」

曜「私も…」

梨子「凄いよね…なんか…変な感じ…」

曜「うん………でもそれを言うならさ、私と梨子ちゃんがこうして…恋人同士になってるって方がもーっと想像もできなかったよね」

梨子「…たしかに」クスッ

曜「高校の頃の私達が知ったらどうなるんだろ」

梨子「…ピークの時の私達?…想像もできないと言うか…うーん…考えたくないかも」

曜「…言えてる」クスッ

梨子「………でも…多分絶対信じないだろうな…」

曜「んー…そうだね」

梨子「………だって今でもたまに…信じられないもん…」

曜「んー……同感…」

梨子「だって…曜ちゃんだよ?」

曜「こっちだって…梨子ちゃんだよ?」

ようりこ「一番ありえないよね?」

梨子「フフ…」クスッ

曜「アハハ」クスッ

梨子「多分そんな事になるくらいなら自ら命を断つか命を奪いにいかねないよね?」

曜「ウエディングドレス姿でなんて物騒なこと言うのさ…まぁ同感かなー?あの頃なら私もそうする可能性全然あるかも」クスッ

371: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 10:01:14.40 ID:dYi3GsTf.net
梨子「でしょ?それで…そうなって結局一緒に死んじゃうの」

曜「へっ…?」ゾッ…

梨子「私は最期まで曜ちゃんの事憎んでるんだけど…でも…私は心の何処かで…最後の最期まで…曜ちゃんが側にいてくれる事で…救われて…」

曜「………」

梨子「側で横たわってる曜ちゃんの所にはっていって…曜ちゃんと最期のファーストキスして…そのまま…一緒に逝っちゃうの…」

曜「……………///」ドキドキ…

梨子「……どう?♡」

曜「…え…縁起でもない上に怖いし盛大にツッコむところなんだろうけどさ…なんだろ…なんとなく私も似たような心境になってそうだし…梨子ちゃんとなら…それもちょっとありかも…///って思っちゃってる自分もいて色々と怖い…//」

梨子「アハハ!冗談♪……どんな形でも…曜ちゃんが最期まで側にいてくれるとなら…私は幸せかなって意味♡」ギュッ

曜「…例えが物騒すぎてもう…」クスッ

梨子「ごめんね?♡」クスッ

曜「アハハ…やっぱり梨子ちゃんは私が側にいてあげないとダメっぽいね?」

梨子「うんっ♡…曜ちゃんもね?//」クスッ

曜「まぁ…そうだね?///アハハ!」ケラケラ

梨子「フフッ♡」ギュッ…

ザザーン…

372: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 10:02:03.13 ID:dYi3GsTf.net
梨子「……………///」

曜「…………///」

梨子「…多分私、曜ちゃんとは全部の感情味わったと思う」

曜「同じく。…高校生なんて多感な時期にとんでもない人と出会っちゃったよね?」クスッ

梨子「お互いに…ね?」クスッ

曜「アハハ……でも…会えて…良かった…///」

梨子「…!///……うん…私も…曜ちゃんと出逢えて……とっても幸せ…///」

曜「………梨子ちゃん」クイッ…

梨子「ん……///」スッ…

チュッ…

曜「ん………えへへ…昨日だってさんざんしたのに…まだ足りないみたい…///」

梨子「…うん……///……ねぇ…もっと…///」

曜「!///…うん…」スッ…

梨子「………ん…///」

チュゥ……ンッ…ハァ…

梨子「…ん……よーちゃん…//」トロン…

曜「ハァ……りこちゃん…///」ドキドキ…

梨子「…ずっと一緒にいてね…?///」ギュッ…

曜「うん…///ずっと一緒にいさせて?///」ギュ

梨子「ありがとう…大好き…よーちゃん…///」

曜「うん…///梨子ちゃん…愛してる…///」ギュッ…

梨子「うん…♡………曜ちゃん…しよ?//」

曜「うん……///」キュン…

ザバーン…

ーーーー
ーーー
ーー

373: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 10:02:31.98 ID:dYi3GsTf.net
それから…

ーーーお互いに夢中になってて…夕暮れの富士山を見るのすっかり忘れちゃって…気が付けば日が暮れてたのもいい思い出…かな?ーーー

ーーーでもそれから海の上で見る星空が信じられないくらいすっごく綺麗だっから帳消しかな?ーーー

ーーー船上の夕陽の富士山が見れなかったのはちょっと残念だけど…焦らなくてもいいよね?だってまた今度見ればいいんだし!ーーー

ーーーだって…これからは…ずっと一緒だもんね?ーーー

ーーーすっごく時間がかかっちゃったけど…今は…ううん、これからは毎日……ーーー


ーーー私も梨子ちゃんも、最高の気分です♡ーーー


おしまい

376: ◆4SrNnYi8jizY (わたあめ)@\(^o^)/ 2017/03/04(土) 10:04:16.23 ID:dYi3GsTf.net
以上です

ようりこ流行って(懇願)

規制回避レスしてくれた方々本当に助かりました

長々とお付き合い頂きまして、ありがとようりこ!

引用元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1488575109/

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