【SS】かすみ「流しそうめん同好会が分裂の危機ー!?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

流しそうめん SS


1: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:03:36.50 ID:dwXTt5xB
アニガサキ2期1話後の時間軸でもあり、スクスタ2nd season後の時間軸でもある
パラレル、パラレルです
 
2: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:06:33.88 ID:dwXTt5xB
―スクールアイドル同好会部室―


かすみ「どういうことですか!?愛先輩!」


愛「アタシも今、流しそうめんの子から聞いて知ったんだって。せっつー何か知ってる?」


せつ菜「いえ。生徒会のところには何も……」


かすみ「ついこないだまで仲良く流してたじゃん!なんで……」


せつ菜「やはり価値観の違い、でしょうか」


愛「愛さん……何とかしたい……」


せつ菜「愛さん?」


愛「SIFの時お世話になったし、みんなには笑顔になってほしい!」


かすみ「かすみんもこのまま流しそうめんが食べられなくなるのは嫌です!」


愛「そうと決まれば、話を聞きに行こう!」


かすみ「はい!」


せつ菜「ちょっと待ってください!」
 
3: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:11:28.13 ID:dwXTt5xB
愛「えっ?」


かすみ「なんですか?せつ菜先輩」


せつ菜「あそこは……流しそうめん同好会は、少々デリケートでして……」


愛&かすみ「「?」」


ガラガラ


エマ「せつ菜ちゃん、その話わたしがしてもいいかな?」


かすみ「エマ先輩?」


せつ菜「エマさん……。確かに、あの件はエマさんが詳しいですね」


果林「今の二年生は知らないのね」


愛「カリンもなにか知ってるの?」


果林「知ってるも何も……有名な話だったから……」


かすみ「もう!誰でもいいから話してください!」


せつ菜「わかりました」コクリ


エマ「うん」コクリ


エマ「あのね……何年も前、一つの大きな部活があったの“麺部”っていう」
 
5: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:15:54.74 ID:dwXTt5xB
愛&かすみ「「麺部?」」


愛「麺同好会じゃなっかっけ」


果林「今はね」


エマ「何年も前は“米部”、“パン部”、そして“麺部”の3つの部活が対立してたの」


かすみ「米部とパン部は今でもありますよね?なんで麺部だけ」


せつ菜「麺部は当時、各派閥に分かれていたんです」


せつ菜「最大派閥のラーメン派。次にうどん派そしてパスタ派と続いていき、少数派閥にそば派、そうめん派、フォー派がありました」


愛「愛さん知らなかったよ……」


かすみ「かすみんもです」
 
6: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:19:21.43 ID:dwXTt5xB
エマ「ある時、そのラーメン派が麺部から独立したいとラーメン部を名乗り、麺部に宣戦布告したの」


かすみ「ええーっ!?」


愛「そんなの戦争じゃん!」


果林「そうね、実際戦争だったらしいわ。もちろん暴力行為はなかったみたいだけど」


せつ菜「その結果ラーメン派は独立を果たしたものの、虹ヶ咲に大きな混乱を招いたということで部ではなく、同好会として運営していくことになったそうです……」


愛「そこまでは分かったけど、そうめんは?」


エマ「うん。残った麺部も第1党の席をめぐって、うどん派とパスタ派が対立したの。それで内戦が勃発……」


せつ菜「当時の生徒会の介入によってこれを鎮圧。それぞれうどん同好会、パスタ同好会に分かれました」
 
8: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:23:31.23 ID:dwXTt5xB
エマ「だから今の麺同好会は、残ったそば派が中心になった“そば・そうめん・フォー同好会”なの」


かすみ「じゃあ、流しそうめん同好会っていうのは……」


エマ「うん。元々、麺同好会そうめん派の中のさらに1派閥だったの」


エマ「でも、おいしさよりエンタメ性を追求する流しそうめん派は、他の派閥から異端扱いされて……」


せつ菜「他の同好会……コッペパン同好会や釜めし同好会は、当時の生徒会が掲げた同好会規制緩和政策によって生まれたものです」


せつ菜「ですが、流しそうめん同好会は、麺同好会から追放されて生まれたものなんです」


愛&かすみ「!?」


せつ菜「事実、現在も麺同好会は、流しそうめん同好会を公式に認めていません」


果林「これが、流しそうめん同好会がデリケートだっていう理由よ」
 
11: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:27:44.89 ID:dwXTt5xB
かすみ「そんなの……」


愛「そんなのおかしいよ!」


果林「愛……」


愛「私はみんなを笑顔にしたくてスクールアイドルやってるんだよ!そんな、触れにくいからってスルー出来るわけないじゃん!」


かすみ「かすみんもです!このまま放っておくなんかできないです!!」


エマ「かすみちゃん……」


愛「みんなが動かないなら、アタシとかすみんだけで動くよ」


せつ菜「待ってください!まだ放置するとは……。ただ、こういうのはまず生徒会に……」


愛「せっつー、ごめん。この件だけはどうしても放っておけないんだ」


せつ菜「愛さん……」


愛「かすみん行こ?まずは、話してくれた子に会おう」


かすみ「は、はい!」


ガラガラ……
 
12: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:33:44.17 ID:dwXTt5xB
せつ菜「行ってしまいました……」


果林「どうするの?これから」


せつ菜「こうなった以上私たちも協力するしか……」


せつ菜「それに、私も流しそうめん同好会がこのままなのは嫌です!」


果林「なら、決まりね」


せつ菜「はい!私たちで流しそうめんの分裂を阻止しましょう!」


エマ「おー!」


せつ菜「では、果林さんとエマさんも流しそうめん同好会に行ってください」


せつ菜「私は念のため、栞子さんに一言伝えてから合流します」


エマ「わかったよー」


果林「先行ってるわね」


ガラガラ……
 
13: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:37:47.57 ID:dwXTt5xB
せつ菜「さて……生徒会室の内線番号は……」


彼方「ちょっとまずいかもね~」


せつ菜「か、彼方さん!?いたんですか?」


彼方「懐かしい話が聞こえたから、目が覚めちゃったよ~」


せつ菜「ああ。彼方さんもこの件は知ってたんですね」


せつ菜「確かに愛さんの気持ちもわかりますが、部外者である私たちが介入すれば内政干渉に……」


彼方「そうじゃなくて、愛ちゃんのことだよ」


せつ菜「愛さん……ですか?」


彼方「ちょっと入れ込みすぎてるように見えたんだよね~」


せつ菜「そう言われると……」


彼方「とりあえず、危なそうだったらフォローするよ」


せつ菜「ありがとうございます」
 
14: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:42:05.32 ID:dwXTt5xB
―校内ラウンジ―


愛「ありがとう!カナちゃんまで来てくれるなんて、心強いよ」


彼方「微力ながら助太刀いたそう」


かすみ「それで、愛先輩に相談してきた人って……」


??「愛先輩!」


愛「おーっす!こっちこっちー!」


愛「紹介するね。流しそうめん同好会のコミッチー」


小道「ライフデザイン学科1年の沢小道です。かすみんと彼方ちゃんも来てくれたんですね」


かすみ「だって、同好会が二分してるなんて言われたら……」


彼方「詳しく聞かせてくれる?」


小道「はい……」


小道「あれは、オープンキャンパスが終わった直後でした……」
 
16: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:45:22.06 ID:dwXTt5xB
小道「次の文化祭に向けてどんな流しを披露しようかと相談してた時、副部長があるものを持ってきたんです」


かすみ「何ですか?あるものって」


小道「これです」コトッ


彼方「おもちゃ?」


愛「これって……」


小道「はい、『そうめんスライダー』です」


かすみ「そうめんスライダー!?」


小道「家庭で簡単に楽しく流しそうめんができる玩具です」


愛&かすみ「「…………」」


かすみ「さっきまで壮大な話から急に……」


小道「副部長とこの玩具のせいで大変なんです!」


彼方「どういうこと?」
 
17: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:49:12.96 ID:dwXTt5xB
小道「副部長は次の文化祭、このそうめんスライダーで派手に展開して盛り上げることを提案しました」


小道「でも部長はあくまで竹を割った流しそうめんをやりたいと……」


愛「それで同好会が真っ二つ……」


小道「はい。竹での流しにこだわる部長派と、玩具を使いたい副部長派に分かれてしまいました」


彼方「今までの話し方を聞くに、小道ちゃんは部長派なんだね~」


小道「お願いです!副部長を止めてください!」


愛「コミッチー……」


かすみ「お断りします!」


小道「!?」
 
20: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:53:10.91 ID:dwXTt5xB
小道「どうして……」


かすみ「だって……これって全然かわいくないです!」


小道「か、かわいく……?」


彼方「かすみちゃんはね、どっちかに肩入れしたくないって言いたいんだよね~」


かすみ「もし、部長と副部長を仲直りしてってことだったら、かすみん喜んで協力してました」


かすみ「でも……でも片っぽに協力して相手をボコボコにするっていうなら、かすみんは、スクールアイドル同好会は協力できません!!」


小道「!!」


彼方「かすみちゃん、よく言った~。さすが部長~」グシグシ


かすみ「やめてください!よしよしやめてくださいー!」


小道「そんな……」


愛「コミッチー」


小道「愛先輩なら助けてくれますよね!?」


愛「愛さんもかすかすの言うとおりだと思う」 <カスミンデスゥ!


小道「そんな……」


愛「でもこのままになんてしたくないっていうのは解るから……」


愛「だから愛さんたちは、若い二人の和解を取り持つ!わかい、だけに!」
 
21: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 16:57:49.52 ID:dwXTt5xB
愛「どうかな?」


小道「……」


彼方「もしかしたら話し合いであっさり解決できるかもしれないよ~」


小道「……わかりました。部長と副部長を仲直りさせてください!」


かすみ「それならかすみんも協力します」


愛「そうと決まれば部長さんに話聞きにいこ!」


かすみ「おー!」
 
22: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:01:19.75 ID:dwXTt5xB
―部室棟―


果林「ねぇエマ、そろそろ愛たちに追い付いてもいいのに、全然会わないじゃない。もしかして迷った?」


エマ「果林ちゃんが言う!?」


せつ菜「もしかしたら、愛さんたちは他に行く所があるのかもしれませんね」


??「もしかして、流しそうめん同好会に行くのかい?」


エマ「誰?」


せつ菜「情報処理学科2年、足立御籤(みくじ)さんです」


御籤「あれ?会ったことあったっけ?」


せつ菜「あ……いえ……」


御籤「ま、いいや。それで、もしかして流しそうめん同好会に介入するの?」


果林「話を聞くだけよ。介入するかどうかはその後決めるわ」


御籤「単刀直入に言うけど、流しそうめんに関わるのはやめてほしいな」
 
24: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:05:31.00 ID:dwXTt5xB
せつ菜「なんで……」


御籤「私も君たちのファンだから……だから危険な目に合わせたくないんだ」


せつ菜「危険な目って、どういう……」


果林「ちょっと勝手すぎない?」


エマ「あ、思い出した」


果林&せつ菜「「?」」


エマ「御籤ちゃんって、米部だよね」


御籤「……」


エマ「なんで米部が言ってくるの?」


御籤「……とりあえず、忠告はしたからね」スタスタ


果林「なんだったのよ……?」


せつ菜「今は部室に急ぎましょう」
 
25: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:09:38.47 ID:dwXTt5xB
―流しそうめん同好会部室―


せつ菜「失礼します」コンコン


??「はーい……って、せつ菜ちゃん!?」ガラッ


果林「あら?副部長一人?」


流そ副部長「果林さん!?エマちゃんも!?」


流そ副部長「ほかの部員は今買い出しに行ってて……。それよりどうしたんですか?いきなり」


せつ菜「あの……今日は同好会が二分してると聞きまして……」


流そ副部長「……もう広まっちゃてるんですね」


果林「どうしてこんなことになったのか、教えてくれる?」


エマ「私たち力になりたいの!」


流そ副部長「でもこれは、私たちの問題だし……」


果林「気にしないで。ただのお節介よ」


せつ菜「それにもしこのことが大事になれば、分裂どころか廃部もありますし……」


流そ副部長「……そうだよね。じゃあ、奥で話そう」
 
26: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:13:27.55 ID:dwXTt5xB
流そ副部長「―というわけなんだけど……」


果林「なるほど、これがその『そうめんスライダー』なのね」


流そ副部長「この同好会は、今よりもっと大きくなれるはずなんです!」


流そ副部長「そのためには新しいことにも挑戦していかなきゃ!」


せつ菜「それは……」


流そ副部長「それにみんなこれを玩具って言いますけど、ちゃんと世界流しそうめん協会公認なんですから!」


エマ「そうだったんだー」


せつ菜「副部長さんのそうめんスライダーへの熱い想いは伝わりました」


せつ菜「ですが、それならちゃんと話し合うべきです」


果林「そうね。お互い話し合わないまま争っても、何も解決しないし、悲惨な結果にしかならないわよ」


流そ副部長「……」


せつ菜「もしそちらがよろしければ、生徒会に掛け合って話し合いの場を設けましょうか?」


果林「どうする?」


流そ副部長「……わかりました。お願いします」


エマ「私たちも同席するから大丈夫だよ」


果林「言っておくけど、私たちは中立だから。どちらにも贔屓はしないわよ」


流そ副部長「わかりました」
 
27: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:18:07.64 ID:dwXTt5xB
せつ菜「ところで、そのおも……いえ、そのスライダー、もう一度見せてくれませんか?」


流そ副部長「どうぞどうぞ」


せつ菜「……やっぱり……」


エマ「せつ菜ちゃんどうかした?」


せつ菜「副部長さん、貴女これをどこで手に入れましたか?」


流そ副部長「えっ。どこって……」


果林「どういうこと?せつ菜」


せつ菜「この製品、タカラトミー製なんです」


流そ副部長「それはそうだけど……」


せつ菜「この学校、虹ヶ咲学園ではタカラトミー製品は禁止なんです」
 
30: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:21:19.13 ID:dwXTt5xB
果林&エマ&副部長「?」


果林「ごめんなさい。意味が分からないわ」


せつ菜「この学校がタカラトミー禁止なのは、ここのスポンサーの一つがバンダイなんです」


果林「……はい?」


せつ菜「今まで疑問に思わなかったんですか?アイカツ同好会はあるのにプリチャン同好会がなかったり、ガンプラ同好会はあるのにゾイド同好会はなかったり」


果林「そういえば……」


せつ菜「全部学校の方針で禁止されてたんです」


流そ副部長「えっ!?じゃあ、このスライダー違法なの?」


せつ菜「持ち込み自体は、生徒会の許可を得れば可能ですよ」


流そ副部長「そうだったんだ……」


せつ菜「それでもう一度聞きますが、これをどこで……」


流そ副部長「も、もらったの!」


果林「もらった?誰に?」


流そ副部長「名前は知らない!ただ、その人は“タカトミ同好会”の人間だって……」


せつ菜「タカラトミー同好会!?」
 
32: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:26:22.65 ID:dwXTt5xB
流そ副部長「ホントにそれしか知らないの!その人が、流しそうめんが好きだからプレゼントだって……」


せつ菜「……」


エマ「せつ菜ちゃん……」


せつ菜「そのような同好会聞いたことがありませんし、生徒会が許可を出すはずが……」


果林「完全に怪しいわね。そのタカトミ同好会」


流そ副部長「わ、私捕まるの!?どうなっちゃうの!?」


エマ「大丈夫だよー。私たちが何とかするから」


せつ菜「先ほども言ったように、きちんと申請すれば大丈夫ですから」


流そ副部長「よかったー……」ハァ…


果林「それより詳しく話してくれる?タカトミ同好会のこと」


流そ副部長「はい」
 
33: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:31:24.54 ID:dwXTt5xB
ガラガラ…


流そ部員「副部長!薬味のミョウガ買ってきましたー!」


流そ副部長「お帰りー」


流そ部員「あれ?お客様ですか?」


エマ「お邪魔してますー」


流そ部員「あ、そうそう。さっき入り口で副部長宛てに贈り物貰ってきましたよ?」


流そ副部長「私に?誰から?」


流そ部員「それが名前も言わないで行っちゃったんですよねー。はい、これです」カチカチ


果林「宛名とかは書いてないわよね」


流そ副部長「う~ん……書いてないですね」カチカチ


エマ「何か音してない?カチカチって」


せつ菜「まさか爆弾!?」


流そ副部長「いやいや、そんなわけ――」


BOOOOM!!!


――――――

――――

――
 
35: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:35:26.32 ID:dwXTt5xB
―保健室―

ガラッ‼


愛「みんな!!」


栞子「保健室ではお静かに」


愛「でも……」


かすみ「とりあえず無事でよかったです」


彼方「命あっての物種だね~」


せつ菜「勝手に〇そうとしないでください!」


エマ「粉まみれになっただけだよー」


かすみ「……へ?粉?」


栞子「はい。爆発物の正体は小麦粉でした」


かすみ「なんだ~……。よかった~……」


栞子「よくありません!」


栞子「これは明らかにテロ行為です。“虹ヶ咲特殊捜査班”の要請も視野に……」


愛「ちょ、ちょっと待って!これからどうすんの?」
 
36: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:39:22.84 ID:dwXTt5xB
せつ菜「流しそうめんの話し合いは……」


果林「それに、事件の前に聞いたタカトミ同好会のことは……」


栞子「今回のテロとタカトミ同好会の関係性は現時点で不明です。これは現在生徒会でも調査中です」


栞子「とりあえず皆さんは、本来の予定通り流しそうめんの話し合いに出席してください」


愛「どういうこと?」


彼方「テロだのなんだのは、私たちの手に余るってことなんだね」


果林「ま、最初から仲直りが目的だったしね」


せつ菜「わかりました」


栞子「あぁ、それとその会談には麺同好会そうめん派も同席する予定です」


かすみ「なんで!?」


栞子「スクールアイドル同好会では専門性と公平性に欠ける、というのが向こうの言い分です」


かすみ「なんでしお子オッケーしたのさ……」


栞子「残念ですが、拒否する理由がありませんでした」


かすみ「ぐぬぬ……」


栞子「会談には私も生徒会として出席しますが、あくまでも中立の立場。皆さんにはこの会談、絶対に成功させてください」


愛「裏で何が起こってるか知らないけど、この会談絶対に成功させるぞー!!」
 
37: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:43:50.05 ID:dwXTt5xB
―生徒会室―


栞子「はぁ……よりにもよって“タカトミ同好会”ですか……」


バァン!!


嵐珠「栞子助けに来たわよ!」


栞子「ランジュ!?あなた、歩夢さんの単独ライブのプロデュースに行ってるはずでは?」


嵐珠「無問題ラ!すべて順調よ!」


嵐珠「それより歩夢も心配してたわ」


栞子「それは私ではなく愛さんたちに言ったのでは?」


嵐珠「もちろん同好会みんなに言ってきたわ!」


栞子「そうですか」


嵐珠「それよりランジュにできることはあるかしら?」


栞子「それはこちらで何とかします。あなたは歩夢さんに付いていてあげてください」


栞子「それと、あなたも気を付けてくださいね。念のため」


嵐珠「わかってるわ。拜拜」


バタン
 
38: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:48:02.55 ID:dwXTt5xB
嵐珠「どうやらアタシはお呼びじゃないみたいね」


果林「これは私たちの問題よ」


嵐珠「盗み聞き?アナタ趣味が悪いわよ」


果林「たまたまよ」


嵐珠「それで?このランジュを送り返すんだから、ちゃんと勝算はあるのよね?」


果林「…………」


嵐珠「ないの!?」


嵐珠「ないなら、ランジュがすべて解決してあげるわ!」


果林「ないけど、私がやることは決まってるわ」


嵐珠「そ。なら大丈夫そうね。でもランジュは好きにさせてもらうわ」


果林「栞子ちゃんに怒られても知らないわよ」


嵐珠「ところで……」


果林「なに?」


嵐珠「……ジャージ姿も似合ってるわよ」


果林「せ、制服が粉まみれになったんだから、仕方ないでしょ!」
 
39: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:54:03.77 ID:dwXTt5xB
―麺同好会部室―


麺同好会そば派部員「今日のそばは『出雲そば』です」


麺同好会部長「この出雲そば、やっぱり香りが最高ね」ズゾゾゾゾ


そば派部員「それで、そうめん派のことですが……」ズゾゾゾゾゾ


部長「こっちはフォー派のことで手一杯なのに……」ズゾゾゾ


そば派部員「このままではスクールアイドル同好会まで敵に回しかねません……」ズゾゾゾ


部長「やっぱり信じられるのはそばだけね」ズゾゾゾ


そば派部員「それで、どうします?」


部長「「彼女たちが勝手にしたこと」じゃ、通じないわね……」


そば派部員「うまく立ち回れば……あるいは」


部長「はぁ……この手は使いたくなかったんだけどね……」


そば派部員「では、さっそく」


部長「お願い」


ズゾゾゾゾゾゾゾ.....
 
40: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 17:58:16.48 ID:dwXTt5xB
―翌日、第3会議室―


生徒会副会長「定刻になりましたので、流しそうめん同好会部長派と副部長派、二者間の問題に対する会談を始めたいと思います」



参加者

三船栞子(虹ヶ咲学園生徒会会長・議長)

生徒会副会長(司会進行)

生徒会書記(2名)(書記)


鶴橋水面(みなも)(流しそうめん同好会部長・竹派)

沢小道(流しそうめん同好会部員・竹派)


詰襟凪咲(なぎさ)(流しそうめん同好会副部長・そうめんスライダー派)

土師白光(しらみつ)(流しそうめん同好会部員・そうめんスライダー派)


宮下愛(スクールアイドル同好会部員)

近江彼方(スクールアイドル同好会部員)


明星梅(麺同好会そうめん派代表)

逆江戸求(さかえど もとむ)(麺同好会そうめん派部員)
 
41: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:02:29.40 ID:dwXTt5xB
――――――

――――

――


―1日前、保健室―


栞子「もう一つ話しておかなければならないことが」


かすみ「今度は何ですか?」


栞子「スクールアイドル同好会はアドバイザーとしての参加となります。そのため、出席できるのは2名までとなるのですが……」


愛「愛さん出たい!」


かすみ「かすみんもです!」


栞子「この場合、先ほど相談に向かった愛さん、彼方さん、かすみさん側とせつ菜さん、果林さん、エマさん側から一人ずつが普通かと」


果林「悪いけど、私とエマはやることがあるから違う人にしてちょうだい」


愛「やることって?」


果林「ちょっと人に会うだけよ」


せつ菜「私もタカトミ同好会について調べたいことがあって……」


栞子「そうなると……愛さんと彼方さんですか」


かすみ「なんで!?」
 
62: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 19:05:36.55 ID:dwXTt5xB
すみませんが、これから夜勤なので一旦終わり
続きは翌朝~になります

>>42
兄が先がどうなるかはわからないけど、一応全交代という設定
 
43: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:07:10.08 ID:dwXTt5xB
栞子「かすみさんに議論の適性があるとは……」


かすみ「かすみんだって発言くらいできますけど!」


愛「カナちゃん、バイトとか大丈夫?」


彼方「心配には及ばないよ~」


栞子「では決まりですね」


かすみ「うぅ~……」


果林「なら、私たちと来る?おいしいもの食べられるかもしれないわよ?」


かすみ「行きます行きます!二人とも会談頑張ってくださいね!」


栞子「くれぐれも危険な真似はしないようにしてください」


果林「大丈夫よ」


――――――

――――

――
 
45: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:13:01.31 ID:dwXTt5xB
―現在、第3会議室―


副会長「まず初めに、本日出席予定でした麺同好会そうめん派部員の逆江戸さんは、本人より欠席との連絡がありました。」


副会長「それでは始めて行きたいと思います」


梅「その前にいいですか?」


副会長「どうぞ」


梅「この場に何でスクールアイドル同好会がいるんですか?部外者ですよね?」


愛「アタシ達は流しそうめん同好会の仲を取り持とうと……」


梅「でも、そうめん詳しくないですよね?」


愛「なっ……」


彼方「それについては、私たちは双方から仲介を依頼されてます。今回はその依頼に沿ってここにいます」


彼方「確かにそうめんに関しては素人です。なので、私たちは人間関係や同好会運営の観点から発言したいと思っています」


栞子「そういうことです。スクールアイドル同好会には生徒会からも同席をお願いしています」


梅「……わかりました」
 
46: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:17:35.26 ID:dwXTt5xB
愛「カナちゃん、ありがとう」


彼方「なんのなんの。私はこのために参加したのサ」


愛「すごい助かるよ」


彼方「じゃあ、彼方ちゃんはすやぴするね~」


愛「え?マジ?」


彼方「すやぁ……」


愛「いや、会議ですやぴはまずいって!」
 
47: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:20:46.72 ID:dwXTt5xB
小道「あのー……」


副会長「はい、竹派の沢小道さん」


小道「話し合いも何も、副部長が持ち込んでるそうめんスライダーって違法なんじゃ……」


白光「そんなわけないでしょ!今はもう許可されてますー」


梅「やっぱり竹なんて古いもの使ってる人たちは、情報も古いのね」


小道「なんだとー!」


副会長「静粛に!落ち着いてください!」


栞子「それについては昨日申請があり、許可しました。よって、問題はありません」


白光「ほらー」


小道「……」


副会長「他、何もなければ先に進みます」
 
48: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:24:46.00 ID:dwXTt5xB
―部室棟―


果林「悪いわね。付いてきてくれて」


エマ「果林ちゃんだけじゃ心配だったから……」


エマ「それに、私も役に立ちたいから」


かすみ「可愛いかすみんが、まぁるく治めまっすよー」


かすみ「それで、今からどこに行くんですか?」


エマ「かすみちゃん……」


果林「何とか着いたわよ」


―米部―


かすみ「こめっ……なんでですか?」


果林「私たち、昨日流そ同好会に行く途中絡まれたのよ」


エマ「絡まれたっていうか、米部の子に忠告されたというか……」


かすみ「そんなの絶対怪しいじゃないですかー!」
 
50: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:28:33.91 ID:dwXTt5xB
コンコン


米部部員「はーい」


エマ「やっほー」


米部部員「あっ、エマちゃん久しぶりー!」


エマ「久しぶりー」


米部部員「ちょうどよかった。今ね利き白米やってたんだけど、エマちゃんも参加するー?」


エマ「ほんとに?するする!」


果林「ちょっとエマ」


エマ「あ、そうだったね。えっと……御籤ちゃんいる?」


米部部員「御籤?おーい!」


御籤「そろそろ来る頃だと思ったよ」モグモグ


かすみ「うっ……なんか見るからに怪しいですね……」


エマ「かすみちゃん」


御籤「君こそコッペパン同好会のスパイなんじゃない?」


かすみ「むきー!かすみんはスパイなんかじゃないです!」


米部部員「ケンカならよそでやってよー?」


御籤「ごめんなさい」


米部部員「とりあえずこっちでご飯食べながら話そっか」
 
52: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:33:02.13 ID:dwXTt5xB
―第3会議室―


愛「あのー……」


副会長「はい、スクールアイドル同好会宮下さん」


愛「その、『そうめんスライダー』が合法なら争わなくてもいいんじゃない?」


水面「そういうわけにはいきません」


白光「竹は古い!」


小道「玩具が何を!」


副会長「静粛に。竹派はなぜ流そ器を認めないのか、理由をお願いします」


水面「はい。私たちが言いたいのは、安易な流そ器に頼るのは間違っている、と言いたいのです」


水面「流そ器というのは、普通の家庭ではできない流しそうめんを簡単に楽しく行えることを目的とした玩具です」


凪咲「それが何か?」


水面「なら、家庭ですればいい」


凪咲「!」
 
53: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:37:48.42 ID:dwXTt5xB
水面「この同好会は、そんな普段家ではできないような体験をするための同好会です。だから、私たちは竹にこだわるんです」


副会長「なるほど。そのようにおっしゃっていますが?」


凪咲「安易?玩具?副会長、いいでしょうか」


副会長「どうぞ」


凪咲「今、“普段家ではできないこと”。そう言いましたね?」


水面「ええ」


凪咲「ではこのそうめんスライダー、いったいいくらすると思いますか?」


愛「3,980円?」


水面「5,000円くらい?」


凪咲「こちら、15,000円します」
 
54: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:41:20.18 ID:dwXTt5xB
ざわっ……


愛「高っ……」


凪咲「はい、一般的に見れば“いい値段”の商品です」


水面「……」


凪咲「さらに、このそうめんスライダーの特徴として別売りのカスタムパーツを使えば、どんどん拡張できるというものがあります」


凪咲「こちらは参考になりますが……白光」


白光「はい」カタカタ


凪咲「こちらをご覧ください」


小道「これって……」


凪咲「こちらの画像は、約15万円、およそ10倍の金額で作られたスライダーです」


全員「「!!?」」ザワッ


凪咲「部長、いえ、ここに集まってる皆さん。これでもそうめんスライダーを安易な玩具と言えますか?」


ざわ……ざわ……


水面「……」
 
56: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:45:52.60 ID:dwXTt5xB
―米部部室―


かすみ「このアイスとってもおいしいです!」


エマ「つぶつぶ食感がアクセントになってボーノだよー」


御籤「アイスクリーム同好会のアイスクリーム派と共同で作ったお米アイスさ。結構合うでしょ?」


御籤「それで、何から話そうか」


果林「全部よ。昨日私たちの前に現れた理由。私たちがかかわるのを止めようとした理由」


御籤「いいよ。君たちは味方だって分かったからね」


エマ「味方?」


かすみ「どういうことですか?」


御籤「エマ先輩が、釜めし派やコッペパン派を手引きして同好会として独立させたって噂があったからね」


エマ「そんなことしてないよ」


果林「エマはそんなことしないわ」


御籤「それぞれ独立したのは事実だからね」


果林「あんまりいい気分じゃないわね」


御籤「だから、疑ったお詫びもかねて質問に答えるよ。もちろん、米部の利益になる範囲内で、だけど」
 
57: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:49:34.23 ID:dwXTt5xB
エマ「果林ちゃん……」


果林「さっき私たちとは味方って言ったわよね?」


御籤「ああ、私も流しそうめん同好会に分裂してほしくないね」


果林「いいわ。乗ってあげる。そのあなたたちが流そ同好会にこだわる理由も説明してくれるのよね」


御籤「それは簡単。オープンキャンパスのパフォーマンスに感動したから」


エマ「嘘だよね」


御籤「……なぜ?」


エマ「なんか……話聞いてたら、釜めし同好会とかコッペパン同好会に独立されたくなかったのかなぁって……」


エマ「っていうか、あんまりほかの部活に興味ないのかぁって……」


御籤「……」


エマ「ごめんね、うまく言えないけど……なんとなく……」


かすみ「自分のことしか考えてない?」


エマ「うん、そんな感じ」


御籤「酷い言われようだね」


エマ「ごめん……」


果林「謝ることないわよ」


御籤「でもエマ先輩の言いう通りだよ」
 
58: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:53:21.42 ID:dwXTt5xB
エマ「えっ……」


御籤「今回の流そ同好会の分裂は、地方の同好会の小競り合いなんかじゃない」


かすみ「なっ……」


御籤「もっと大きな……戦争だよ」


エマ「戦争って……」


果林「ちょっとどういうことか答えて!」


御籤「これについてはこれ以上は答えられない。米部の利益がかかってる」


かすみ「ずるくないですか?それ」


御籤「そう。利益だよ。この戦争は、相手憎しや価値観の違いで起きる戦争じゃない」


御籤「互いが自分の利益最優先で起きてる戦争なんだ」


エマ「じゃあ、私たちはどうしたら……」


御籤「言っただろ?私は味方だって。教えてあげるよ、小麦粉爆弾の犯人を」


果林&エマ&かすみ「えっ!?」
 
59: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 18:57:50.20 ID:dwXTt5xB
―第3会議室―


愛「待って待って!」


愛「この会談って和平交渉だよね?」


副会長「宮下さん、落ち着いてください」


愛「これじゃ、ただ言葉で殴り合ってるだけじゃん!」


副会長「静粛に」


栞子「宮下さんの言う通りです」


副会長「会長?」


栞子「この会談は和平の道を探るための会談です。あまり攻撃的にならないようお願いします」


梅「和平?そんな段階はとっくに過ぎてるのよ!そこのスクールアイドルが言ったように、殴り合いなの!」


副会長「静粛に」
 
61: (もんじゃ) 2022/05/20(金) 19:01:45.19 ID:dwXTt5xB
彼方「なんだか怪しいね~」


愛「カナちゃん?起きてたの?」


彼方「私が本当にすやぴしてると思ったの?」


愛「それは……まあ……」


彼方「でもあの梅って子、わざと場を荒らしてる気がするんだよね~」


愛「それってどういうこと?」


彼方「それがまだわからんのだよ」
 
66:>>1(もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:13:13.13 ID:W6KalffC
おはようございます
再開します
 
67: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:15:16.68 ID:W6KalffC
栞子「ここで改めて、お互いの要求をはっきりさせときたいのですが」


栞子「次の文化祭、同好会の出し物を竹でいくか、そうめんスライダーを使うかということでいいんですよね?」


水面「ええ」


凪咲「そして、その結果がそのまま今後の流そ同好会の主流になるってこと」


栞子「わかりました」


愛「じゃあじゃあ、竹とスライダー合同でやったら?文化祭」


小道「実際問題、私たち同好会の規模だと難しい気が……」


愛「そっか……」


梅「これ以上は時間の無駄じゃない?」


彼方「確かに、お互い譲らないから平行線だね~」


彼方「今日のところは解散でいいんじゃないかな?」


愛「ちょっとカナちゃん!?」


栞子「私からも、仕切り直しを要求します」


副会長「わかりました。それでは、仕切り直しに異論のある方」


全員「…………」


副会長「いないようなので、第1回和平交渉を終了いたします」


副会長「次回以降については追って連絡します。皆様お疲れさまでした」
 
68: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:19:44.38 ID:W6KalffC
―米部部室―


御籤「――これが今の流そ同好会をめぐる状況……そしてテロ事件の全貌さ」


エマ「そんな……事件は全部そうめん派が仕組んだこと……」


果林「確かに辻褄は合うけど、本当?」


御籤「私が今持ってる情報から組み立てたらこの結論になった、というだけで、証拠はない」


果林「状況証拠ってやつね」


御籤「だから今の推理だけでそうめん派を問い詰めても躱されるだろうね」


果林「私たちに必要なのは物的証拠……」


御籤「そういうこと」


かすみ「ちょっと待ってください!今の話が本当なら、今回の事件はかすみんたちのせい……」


果林「それは違うわよ」


エマ「果林ちゃん……」


果林「私たちはSIFで最高のパフォーマンスをして学校内外から高い評価を得た……」


果林「結果、こういうこともついて回る……ある種の有名税ってやつよ」


かすみ「くっ……それでも……」


御籤「それで先輩たちは……スクールアイドル同好会はどう動く?」
 
69: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:24:03.21 ID:W6KalffC
かすみ「それはもちろん――」


果林「もちろんあなたの言う“戦争”を止めて見せるわ」


御籤「……」


エマ「果林ちゃん」


果林「米部の思惑も麺同好会の思惑も関係ないわ。私たちは愛が言ってたように、流その分裂を止める。それだけよ」


御籤「それでいいよ」


かすみ「そうと決まれば、こんなところに用はありません!行きましょう果林先輩!エマ先輩!」


御籤「こんなところとは心外だけど、行くってどこに?」


かすみ「それは……」


御籤「今日は遅いから、明日“小麦同好会”に行くといい」


かすみ「“小麦同好会”?」
 
71: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:27:18.91 ID:W6KalffC
エマ「あ、そっかぁ」


御籤「私は米部の人間だから行けないけど、きっと先輩たちなら聞いてくれるだろうね」


果林「ありがと」


御籤「味方だからね」


果林「味方なら、この事件が解決したら本当の事しゃべってもらうわよ」


御籤「いいよ。それと……気に入ったなら、お米アイス持って帰る?」


かすみ「ください!」


エマ「私も!」


御籤「はいはい。果林先輩は?」


果林「……いただくわ……」
 
72: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:31:51.41 ID:W6KalffC
―学園内、廊下―


愛「どうして止めたの?カナちゃん」


彼方「今の会議、どうも不自然というか……初めから破綻するようになってような……」


彼方「ともかく、時間が欲しかったのサ」


愛「う~ん……」


栞子「愛さん!彼方さん!」


愛「しおってぃー」


栞子「力になれずすみません……」


彼方「栞子ちゃんには栞子ちゃんの仕事があるから、仕方ないよ~」


愛「明日、どうしよっか……」


栞子「とりあえず明日はみんな集まって報告ですね。果林さんのほうも気になりますし」


愛「そうだね……」


彼方「愛ちゃん、これは愛ちゃんだけの問題じゃないよ」


愛「カナちゃん……」


彼方「同好会みんなで解決していこ?」


愛「うん!ありがと!」
 
73: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:35:51.22 ID:W6KalffC
―部室棟、廊下―


小道「どうしよう……このままじゃ、竹派が負けちゃう……」


水面「向こうには麺同好会がついているから不利ね……」


小道「あの!やっぱり私、米部に協力を……!」


水面「それだけは駄目よ」


小道「私、米部に幼馴染がいるんです!その子に頼めば……」


水面「いい?小道。私たち弱小同好会が大国に支援を求めれば、きっと応じてくれる」


水面「でもそれでスライダー派との争いに勝っても、今度は米部の言いなりになってしまう……。部長としてそれは避けたいの」


小道「部長……」


水面「そんなことになったら、私は戦うしかない」


小道「そう、ですよね……」


水面「私たちが流すのは血でも涙でもない、そうめんよ!」


小道「部長!」


水面「私たちにはスクールアイドルがいるし、それに……」


小道「?」


水面「幼馴染は利用したりされたりするものじゃなくて、互いに愛をはぐくむものよ」


小道「愛……」


水面「そう、愛」
 
74: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:40:14.49 ID:W6KalffC
―翌日、スクールアイドル同好会部室―


栞子「皆さん、集まっていただきありがとうございます。そして昨日はそれぞれお疲れさまでした」


栞子「愛さんから聞いているとは思いますが、結論から言いますと昨日の会談は失敗に終わりました」


愛「うん。和解まで持っていけなかったのは残念だけど、でもカナちゃんが言うにはそうめん派が怪しいって」


彼方「まるで同好会を分裂させる方向に持っていってるような気がしたんだよね~」


愛「でも確証がなくって……」


彼方「女の感が告げている気がしただけ」


栞子「そうですか。果林さんたちはどうでしたか?米部に行ってたみたいですが」


果林「それについてはこっちも同じよ。そうめん派が限りなくクロね」


かすみ「でも、こっちも証拠がないんですー……」


エマ「お米アイスはおいしかったんだけどねー」


愛「アイスいいなぁ……」
 
75: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:45:04.03 ID:W6KalffC
かすみ「っていうか、せつ菜先輩は昨日何してたんですか?」


せつ菜「私は紫苑女学院のフェスに出張中のミアさんと璃奈さんにオンラインで協力してもらって、例の“タカトミ同好会”について調べていました」


愛「すっかり忘れてた。それでどうだった?」


せつ菜「お二人の力をもってしても、その存在を確認することができませんでした」


栞子「そうですか……。璃奈さんに引き続きお願いできますでしょうか」


かすみ「っていうか、最初からそんな同好会ないんじゃないですかぁ?」


エマ「そんなぁ……」


果林「かすみちゃんの言う通りかもしれないわね」


せつ菜「どういうことですか?」


果林「そのまんまの意味よ。最初からタカトミなんてなかった」


かすみ「嘘っぱちってことですか?」


果林「そう」


彼方「それか、相当慎重に痕跡を消してるかだね~」
 
76: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:49:49.67 ID:W6KalffC
かすみ「それで、今日はどうするんですか?」


愛「愛さん、麺同好会そうめん派に行って、話してくる!」


せつ菜「ちょ、ちょっと待ってください!今の話からすると今回の実行犯……黒幕かもしれないんですよ!?」


愛「だからじゃん!」


愛「会って、本当に事件に関わってんのか、もし関わってたならなんか解決できないか……とにかく話さなきゃ!」


せつ菜「それは……」


果林「楽観的ね」


愛「なっ……」


果林「たまたま居合わせただけとはいえ、相手は私たちを粉まみれにしたのよ?」


愛「それは……」


果林「それにそもそも話が通じるならテロなんて起きないし、やった以上テロは許されるものじゃないわ」


愛「でも……」


かすみ「かすみんも……果林先輩に賛成です。愛先輩は甘いです!」


愛「…………」


果林「それに話が通じて、向こうから謝罪があったとして、流そのみんなは?きっと許さないわよ」


愛「じゃあどうすればいいのさ!!」


一同「…………」
 
77: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 09:56:28.57 ID:W6KalffC
果林「悪いけど、私はこれから証拠を見つけに行ってくるわ」


栞子「あるんですか?証拠」


果林「昨日米部の子から教えてもらたのよ。「小麦同好会に行け」ってね」


愛「小麦同好会?なにそれ……?」


かすみ「かすみんも初耳ですけど、そういえばエマ先輩はなんか知ってる風でしたよね?」


エマ「うん。時々お世話になってるよ」


かすみ「一体どんな所なんですか?」


エマ「どんな所って……う~ん……パン部とかパスタ同好会のボス?みたいな所?」


せつ菜「端的に言い表すとそんな感じです」


せつ菜「パン部やパスタ同好会、旧お好み焼き同好会に焼き菓子同好会など、小麦粉を使うあらゆる団体に原材料や設備を提供する同好会です」


かすみ「なにそれ!絶対怪しいじゃん!」


栞子「断っておきますが、クリーンな同好会ですよ?ただ、せつ菜さんが先ほど言ったことくらいしか活動実績がないので、規模に対して同好会止まりにはなっていますが」
 
78: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:02:41.46 ID:W6KalffC
愛「じゃあ、そこに行こ!」


果林「少しは落ち着きなさい!」


愛「っ……」


栞子「果林さんの言う通りです」


彼方「ねぇ、愛ちゃん。彼方ちゃんたち、そんなに頼りないかなぁ?」


愛「それは……」


エマ「流そを何とかしたいっていうのは、みんな一緒だよ」


果林「流その分裂を止めたいのに、私たちがバラバラにばってたら意味ないわよ」


愛「ごめん……」


せつ菜「では、こうしましょう!愛さんは私と麺同好会に行きましょう!」


愛「せっつー!」


果林「大丈夫?」


せつ菜「少し話を聞きに行くだけです。それに一人より二人で行く方が心強いですし」


彼方「彼方ちゃんも馳せ参ずるよ~」


せつ菜「では、三人ですね」
 
79: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:06:42.76 ID:W6KalffC
果林「いったところで、話してくれる保証はないわよ?というか、まともに取り合ってくれるかも……」


せつ菜「その時はこの件が麺同好会ぐるみの犯行……少なくともそうめん派をかばっていることになります」


果林「なるほどね」


栞子「もし私たちに協力してくれるなら、そうめん派の暴走ということになりますね」


かすみ「その間にかすみんたちが小麦同好会で証拠を探してくれば……」


愛「時間稼ぎってわけだね。わかった!」


栞子「私はこの後生徒会業務があるのでごいっしょはできませんが、皆さんご武運を」


愛「それじゃ、愛さんたちは麺同好会に」


かすみ「かすみんはエマ先輩、果林先輩と小麦同好会に……行きますよー!!」


みんな「おーー!!」
 
80: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:11:19.60 ID:W6KalffC
―学園裏手 小麦同好会製粉工場―


かすみ「……ここ工場ですよね?」


エマ「小麦同好会は自分の工場を持ってるんだよー」


果林「第二次産業系の同好会は敷地内に自分たちの工場を持ってることが多いのよ」


かすみ「そうだったんですか……」


果林「かすみちゃんも気を付けたほうがいいわよ?」


かすみ「えっ!?何かあるんですか?」


果林「似たような建物が多いから、一度迷うと一生抜け出せなくなるから」


かすみ「あったんですね?抜け出せなくなったこと」


果林「?抜け出せてなかったら、今ここにはいないわよ」


かすみ「……」


エマ「その時は捜索隊を結成してくれて大事にはならなかったからね」


かすみ「捜索隊が結成される時点で大事になってるんじゃ……」


エマ「ほら、着いたよ」
 
81: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:17:51.70 ID:W6KalffC
コンコン


かすみ「あのー……」


小麦同好会部員「はーい!あっ、スクールアイドル同好会の皆さんですよね。話は生徒会から聞いてます」


ガヤガヤ   ガヤガヤ


果林「なんだか騒々しいけど、大丈夫かしら?」


小麦部員「今ちょっと文化祭前で小麦粉の生産が立て込んでて……」


エマ「今が一番忙しいんだもんねー」


果林「そうだったのね。時間割いてもらって悪かったわね」


小麦部員「いえいえ。こちらも部室じゃなくて工場の方まで来てもらって、ありがとうございます。迷いませんでした?」


果林「迷う?全然、一方通行だったわ」


かすみ「えー……」


小麦部員「アハハ。それはよかった。応接室に案内しますね」
 
82: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:22:05.53 ID:W6KalffC
部員B「この粉どこ行きー?」   部員C「製菓!洋生菓子派行き!」   部員D「天ぷら同好会が後2kg追加だってー!」


エマ「中ってこんな風になってたんだねー」


かすみ「エマ先輩も初めてなんですか?」


エマ「部室には入ったことあるけど、工場は初めてだよー」


小麦部員「もうすぐ部長が来ますので、こちらで待ていてください」


小麦部員「和菓子同好会から頂いたシベリアを召し上がりながらお待ちください」


エマ「ありがとう!いただきまーす」


かすみ「なんかかすみんたち、食べてばっかりですね」


エマ「後でお土産もらっていけば大丈夫だよー」ボーノ


小麦同好会部長「おまたせしました。そうめん派のことですよね?話は聞いています」
 
84: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:26:37.94 ID:W6KalffC
―麺同好会部室―


コンコン


せつ菜「あのー……」


麺同好会そば派部員「お待ちしておりました。スクールアイドル同好会の皆さまですよね。代表……同好会部長がお待ちです」


愛「結構すんなり入れたね」


せつ菜「やはり今回の事件には関係ないのでは……?」


彼方「それはまだ分からないかな~」


そば派部員「どうぞこちらへ」


そば派代表「やあやあ、スクールアイドルの皆さん!」


彼方「これまた濃いのが来たね~」


愛「あのっ!アタシたち……」


そば派代表「あー……落ち着いて落ち着いて」


愛「ご、ごめん……」
 
85: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:31:59.63 ID:W6KalffC
そば派代表「今そば茹でてるから、食べながら話そう?今日のそばは雪村そばだし」


愛「あ、いや、そうじゃなくて……」


そば派代表「雪村そばはね、二八そばなのよ!十割もおいしいけど、そばの美味しさを味わうんなら二八が一番だね!」


彼方「それじゃあ、お言葉に甘えてお蕎麦いただいちゃおうかな~」


愛「カナちゃん!?」


せつ菜「私もなんだかお腹が空いてきました!」


愛「せっつーまで!?」


彼方「まあまあ」


せつ菜「ここは私たちに合わせてください」


愛「う、うん……。じゃあ、愛さんももらっちゃおうかなー……」


そば派代表「待ってて。もうすぐだから」
 
86: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:39:57.74 ID:W6KalffC
―製粉工場―


小麦部長「そうですね。後で生徒会と特殊捜査班に提出するつもりでしたけど、今回の事件に使われた爆弾の小麦粉はウチのものです」


かすみ「ええっ!?じゃあ……」


小麦部長「ああ、違います違います!ウチの小麦粉が使われたってだけで、犯人じゃないです!」


かすみ「かすみん、びっくりしましたよ……」


果林「それで、爆弾に使われた粉ってあるかしら?」


小麦部長「あります。これがあなたたちが被ったのと同じ粉です」


果林「へぇ……これが……」


エマ「……」ジー


かすみ「エマ先輩、なんかわかるんですか?」


エマ「……」ペロッ


かすみ「舐めた!?果林先輩!エマ先輩舐めましたよ!?粉!」
 
87: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:43:54.66 ID:W6KalffC
果林「どう?何かわかった?」


かすみ「え?スルー?」


エマ「部長さん、これって……」


小麦部長「さすがグルテン系スクールアイドルですね」


かすみ「違います。純粋系です!」


果林「癒し系よ」


エマ「あの……いいかな?」


かすみ「ごめんなさい」


果林「それで?」


エマ「これ、そうめん用の粉じゃないよね?」
 
88: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:49:28.99 ID:W6KalffC
かすみ「わかるんですか?」


エマ「うん」


果林「それよりどういうこと?そうめん用じゃないって」


小麦部長「その通りです。調べた結果、ウチがそうめん派に卸している小麦粉ではありませんでした」


かすみ「それじゃあ何用の小麦粉なんですか?」


小麦部長「それは、そばのつなぎに使われる粉です」
 
89: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:53:05.43 ID:W6KalffC
―麺同好会部室―


そば派代表「お待たせ―!召し上がれ」


愛「……」


そば派代表「そんなに警戒しなくても、そばに毒なんて入ってないよ」


3人「いただきます」ズルズル


せつ菜「おいしい!」


彼方「噛む度にお蕎麦の香りが鼻に抜けて、彼方ちゃんしあわせ~」ズルズル


彼方「遥ちゃんにも教えてあげよ~っと」メルメル


そば派代表「どう?」


愛「おいしい」ズルズル


そば派代表「じゃ、本題に入るけど、聞きたいのはウチのそうめん派のことでしょ?」
 
90: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 10:58:25.33 ID:W6KalffC
愛「教えてくれるの!?」


そば派代表「もちろんだよ。こっちもそうめん派の暴走には困っててね」


愛「ホントに?」


そば派代表「協力するよ」


せつ菜「それでは、そのそうめん派のことなんですけど……」


せつ菜「単刀直入に聞きます。そうめん派は今回の事件に何か関わっていますか?」


そば派代表「う~ん……」


愛「どうなの?」


そば派代表「言いにくいけど、その通りなのよね……。私たちでも調べた結果」


愛「あの!じゃあ、そうめん派をこっち……生徒会に引き渡してくれませんか?」


そば派代表「もちろんそうしたいのはやまやまなんだけど……」


せつ菜「何か問題でも?」


そば派代表「彼女たち、今朝から連絡が取れないのよね……。学校にも来てないみたいだし」


彼方「う~ん……悪いけど、そば派がかくまってるっていう見方もできちゃうんだよねぇ……」ウトウト


そば派代表「疑ってるの?」


彼方「こっちも被害者が出てるからねぇ」ウトウト
 
91: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:03:31.34 ID:W6KalffC
そば派代表「それはごめんなさい。でも本当に知らないのよ」


愛「え?」


そば派代表「何ならこの部室調べてもいいし、生徒会を呼んでも構わないわよ」


愛「どうする?」


せつ菜「そこまで言うならとりあえず、ここは信用して協力してもらいましょう」


愛「カナちゃんは?」


彼方「ふぁあ……」ウトウト


せつ菜「彼方さん、すやぴは後にしてください」


彼方「う~ん……まだ完全に無関係って決まったわけじゃないけど……せつ菜ちゃんの言う通り……証拠を……」スヤァ...


愛「カナちゃん!?」


せつ菜「大丈……夫……で……」クラァ


愛「な、何が…………」クラァ


そば派代表「……」
 
92: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:07:16.81 ID:W6KalffC
―製粉工場―


かすみ「なんでそばのつなぎが使われてるんですか!?」


小麦部長「考えられる理由は二つ……」


小麦部長「そうめん派がそば派に罪を擦り付けようとしたか……」


果林「そば派もグルだったか、ね」


かすみ「もしそうなら、愛先輩たちが危ないじゃないですか!」


エマ「助けに行かなきゃ!」


小麦部長「私たちにできるのはここまでよ」


かすみ「ありがとうございました!」


エマ「果林ちゃん、行こ」


果林「最後にいいかしら?」


小麦部長「何ですか?」


果林「あなたは麺同好会の仲間ではないの?」


小麦部長「仲間ではありませんよ。取引相手です」


果林「なるほどね」


かすみ「果林先輩行きますよ!」
 
94: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:13:57.61 ID:W6KalffC
―麺同好会部室―


彼方「…………」スヤァ


愛「な……んで……」ウトウト


そば派代表「なんでって、時間稼ぎよ」


愛「じか……せぎ……?」


せつ菜「それ……は……」ウトウト


そば派代表「ふふっ」


愛「……」ウトウト


せつ菜「笑っていないで、説明してください!そば派代表……いえ、麺同好会部長、逆江戸求さん!」


愛「えっ!?逆江戸って、昨日の会談お休みしてた……」


そば派代表、逆江戸求「まさか、全生徒会長の他に私の素性を知ってる人がいたなんてね」


愛「まさか……」


求「そうよ。そうめん派とは仮の姿よ。本来はそば派代表なのよ」


愛「なっ……」


求「悪いけど、流しそうめん同好会には分裂してもらうわ」
 
95: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:19:14.24 ID:W6KalffC
せつ菜「どうして……うっ……」


求「そろそろ睡眠薬が効いてきたかな?」


愛「やっぱり毒を……」


求「そばには混ぜてないわ。つゆの方に睡眠薬を、ね」


せつ菜「くっ……」


求「三人が寝てる間にすべての証拠を消す。次に目が覚めたら、流そ同好会は消滅。その犯人としてそうめん派が捕まり、ハッピーエンド」


愛「そんなこと……させ……な……」ドサッ


せつ菜「愛さん……」バタリ


――――――

――――

――
 
96: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:24:36.53 ID:W6KalffC
―麺同好会部室―


バァン!!


果林「愛!」


かすみ「先輩!!」


求「遅かったわね」


エマ「みんなをどこに隠したの!?」


求「隣の部屋で夢の中よ」


かすみ「そんな……なんで……」


果林「もう隠すつもりもないのね」


求「小麦同好会からたどってきたんでしょ?なら、全て知ってるはず」


求「……米部の入れ知恵もあったみたいだしね」


かすみ「おとなしく生徒会に出頭してください!」


エマ「今ならまだ……」


求「もう遅いわよ。梅!」


そうめん派代表、明星梅「はい」


かすみ「な、何するんですか!?」


梅「さっきの三人と同じように少し眠ってもらうだけです」


かすみ「そんなの嫌ですー!!」


梅「それじゃあ、おやすみなさい」
 
97: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:29:41.18 ID:W6KalffC
BEEEEOW!!


梅「くっ……」


求「誰!?」


ミア「Freeze!Student council!」


栞子「生徒会です!動かないでください!」


かすみ「ミア子!しお子!」


嵐珠「助けに来たわよ!」


エマ「ランジュちゃん!」


梅「このっ……」


ミア「おおっと、動かないほうがいいよ?BABYちゃん。せっかくのそばの香りが火薬臭くなる」


梅「……」


栞子「みなさん大丈夫でしたか?」


エマ「助かったよ~」


果林「私たちは平気よ。奥に愛たちが」


栞子「安心してください。すぐに虹ヶ咲特殊捜査班、NSIUも到着します」


かすみ「っていうか、ミア子銃!」


ミア「これ?NYCにいたころ習ったからね。簡単さ」


かすみ「そういう問題じゃ……」


嵐珠「無問題ラ!NSIUでも使われてる正式なもの!」


エマ「なんだあ、よかった~」


かすみ「え?」


栞子「そんなことより、愛さんたちを」


エマ「うん!」
 
98: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:34:59.13 ID:W6KalffC
――――――

――――

――


ガヤガヤ  ザワザワ


栞子「ええ、スクールアイドル同好会の体調を最優先に……彼方さんはそのまま寝かせておいてください」


愛「逆江戸さん、どうしてこんなことを……」


せつ菜「そこまでして流そが憎かったんですか?」


求「言ってもわからないわ」


愛「そんなこと……」


果林「そういうことじゃないのよ、愛」


愛「どういうこと?」


梅「確かに、最初は流そが妬ましかった……。私たち本家そうめん派より目立って、有名になって……憎かった」


愛「そんなのただの逆恨みじゃん!」


梅「なんとでも言えばいいさ。とにかく流そには消えてほしかった……」


梅「でもね」


せつ菜「?」


梅「そんな時、部長から誘われたの『どうせなら、麺同好会が一番得するような壊滅方法を考えましょう』って」


果林「だから、ありもしない『タカトミ同好会』の名を騙りテロを仕掛けた……」
 
99: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:41:22.14 ID:W6KalffC
せつ菜「待ってください!先ほどの逆江戸さんの発言が本当なら、すべての罪はそうめん派に行くんですよ?仮に成功したとしても……」


求「実行犯はそうめん派副代表。梅はそば派に亡命中で副代表が捕まった後に戻り、新生そうめん派を立ち上げる。そんな筋書きだったのよ」


愛「どこまでも卑怯な……」


かすみ「あれ?でもどうして流その壊滅が麺同好会の利益に繋がるんですか?」


求「簡単よ。同好会が壊滅しても、そこにあった人や資源、設備は残る。私たちはそれが欲しかったのよ」


エマ「そんな……」


愛「そんなことが許されるわけないじゃん!」


梅「流そはもともとそうめん派の一派閥。それを麺同好会が取り戻して何が悪い!」
 
100: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:47:17.56 ID:W6KalffC
果林「どこまでも同好会をモノとしか見てないのね……」


かすみ「最低です」


求「あなたたちスクールアイドル同好会に言っても解らないわ」


愛「なんでそんなこと言うの」


求「この学園には食品系の部活がいくつあると思う?」


かすみ「えっ?えっと……」


求「答えは無数よ。数年前の同好会規制緩和政策で、食品系の部活は日に日に増えていく……」


せつ菜「そんな……」


求「でも、資源には限りがある……。私たちは常にその資源を奪い合って生きてるの。こんな弱肉強食の世界、解らないでしょう?」


愛「…………」


栞子「時間です。護送の準備が整いました」


栞子「愛さんたちはこの後保健室へ寄って念のため検査を受けてください」


愛「う、うん……」


栞子「その後で改めて皆さんからお話を聞かせてもらいます」


かすみ「これで終わったんですよね……」


果林「まだよ」


かすみ「え?」


せつ菜「まだ、流しそうめん同好会の和平交渉が終わっていません」
 
101: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:52:24.06 ID:W6KalffC
―うどん同好会、部室―


うどん部員「部長!今テロ事件の犯人が捕まって……!」


うどん同好会部長「はいはい」


うどん部員「それが犯人が……」


うどん部長「そば派代表でしょ?逆井戸だっけ?」


うどん部員「逆江戸です。って、知ってたんですか?」


うどん部長「いや、普通に考えればわかるでしょ」


うどん部員「どういうことです?」


うどん部長「なんか、スクールアイドル同好会の人たちは物的証拠にこだわって必死に探してたみたいだけど……」


うどん部長「私から言わせれば、最初から麺同好会のアリバイをつついていけば、もっと早く逆井戸にたどり着いてただろうに」


うどん部員「逆江戸です。それで、私たちは……」


うどん部長「パスタの女狐や米部の狸に奪われる前に死肉を漁りに行くとしますか」
 
102: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 11:58:17.80 ID:W6KalffC
―パスタ同好会、部室―


パスタ同好会部員「部長。たった今連絡が入り、麺同好会部長の逆江戸求が捕まりました」


パスタ同好会部長「今お楽しみ中よん?」クチュクチュ


音楽科生徒「あんっ……♡せんぱぁい……///」


パスタ部長「ここでは“部長”って呼びなさいって言ったはずよ?」キュッ


音楽科生徒「ひゃうんっ!ぶ、部長ぉ、ごめんなさい……」


パスタ部長「貴女フォンニはいまいちだったけど、いい声で哭くのね」


音楽科生徒「ありがとおごはいまふ~……///」ビクンビクン


パスタ部長「それでぇ?」


パスタ部員「はい、すでに米部とうどん同好会が水面下で動き出してるようです」


パスタ部長「稲穂に重力を引かれたものと小麦の犬が……」ギュッ


音楽科生徒「きゃあんっ♡」


パスタ部員「いかがされますか?」


パスタ部長「いいわん。下着とってちょうだい?」


パスタ部員「はい」


パスタ部長「そっちじゃないわん。デュラム小麦のような黄金色の勝負下着よん♪」


パスタ部員「かしこまりました」


パスタ部長「さてと、グルテンの亡者が集う舞踏会へ参りましょ」
 
103: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:04:19.32 ID:W6KalffC
―小麦同好会、製粉工場―


小麦部員「あのー……良かったんですか?」


小麦部長「何が?」


小麦部員「一応そば派もそうめん派もウチのお得意様では?」


小麦部長「捜査協力は生徒の義務ですからね」


小麦部員「はぁ……?」


小麦部長「それに……」


小麦部員「それに?」


小麦部長「同好会がなくなったら、多くの難民があふれ出ます」


小麦部長「そのうち……いえ、きっとすぐ新しい麺同好会が生まれます」


小麦部員「なるほど」


小麦部長「そして、その新しい同好会の部長はきっと私たちと仲良くなれますよ」
 
104: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:09:18.77 ID:W6KalffC
―数日後、第1会議室―


生徒会副会長「それでは定刻になりましたので、第二回流しそうめんどうこうかい二派閥による会談を行いたいと思います」


副会長「皆さん、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます」



参加者

三船栞子(虹ヶ咲学園生徒会会長・議長)

生徒会副会長(司会進行)

生徒会書記(2名)(書記)


鶴橋水面(みなも)(流しそうめん同好会部長・竹派)

沢小道(流しそうめん同好会部員・竹派)


詰襟凪咲(なぎさ)(流しそうめん同好会副部長・そうめんスライダー派)

土師白光(しらみつ)(流しそうめん同好会部員・そうめんスライダー派)


宮下愛(スクールアイドル同好会部員)

近江彼方(スクールアイドル同好会部員)
 
105: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:13:58.75 ID:W6KalffC
栞子「まず初めに私から連絡事項があります」


栞子「まず、前回アドバイザー参加となっていた麺同好会そうめん派2名ですが、先の事件により廃部となったため不参加となります」


ザワザワ... ザワザワ...


栞子「そして同じく前回アドバイザー参加だったスクールアイドル同好会の皆さまですが、本人の申し出により今回はオブザーバー参加となります」


ザワザワ... ザワザワ...


栞子「最後に、今回起きた一連の事件の重要性を踏まえ、公開会談となっています」


ガヤガヤ  ガヤガヤ


彼方「とはいうけど、ほとんど小麦がらみみたいだけどね~」


愛「どういうこと?」


彼方「流そを欲しがってるのは麺同好会だけじゃないってことサ」


彼方「ほら、あそこにいるのはパスタ同好会の部長さんだよ~。芋部もいるみたいだね~」


愛「なんかヤな感じ」


副会長「それでは改めて第二回和平会談を始めます」
 
106: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:20:03.24 ID:W6KalffC
栞子「改めて確認しますが、次の文化祭の出し物を竹で行くか、そうめんスライダーを使うかですね?」


水面&凪咲「「はい」」


栞子「また今後の同好会の運営も決まる、ということですね?」


水面&凪咲「「はい」」


水面「ただ、そのことについてよろしいでしょうか?」


副会長「はい、流しそうめん同好会部長、鶴橋水面さん」


水面「まず最初に、お忙しい中このような機会を設けていただきありがとうございます」


水面「そしてこの場を借りて私から皆様へお伝えしたいことがあります」


一同「?」


水面「私鶴橋水面は、流しそうめん同好会部長を辞任させていただきます」


一同「!!?」


ザワザワ... ザワザワ...


小道「部長!」ガタッ


凪咲「どうして……」


愛「どういうこと!?」


彼方「これはこれは……」


副会長「皆さん、お静かにお願いします!鶴橋さん、説明をお願いします」
 
107: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:24:26.52 ID:W6KalffC
水面「私は今回の事件を通して人が争う愚かさ、一つのものを奪い合う醜さを目の当たりにしました」


水面「一方で、半ば巻き込まれた形で協力し解決に携わってくれたスクールアイドル同好会の皆さん」


愛「へっ?」


水面「皆さんのその前向きな姿勢に心気付かされました」


小道「何を……」


水面「私は伝統という型にはまり前に進むことをしなかった。立ち止まってしまっていた」


小道「そんな……」


水面「犠牲者が出た後で言うのも心苦しいですが、もう竹にこだわるつもりはありません」


白光「……」


凪咲「……はっ!それは負けを認め、今後スライダー主導でやっていく、ということですか!?」


水面「はい」
 
108: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:29:04.35 ID:W6KalffC
ザワザワ... ザワザワ...


副会長「静粛に!」


愛「……もしかして、これで終わり?解決?」


彼方「そうだといいんだけどね~」


愛「それって、どういう……」
 
109: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:33:33.77 ID:W6KalffC
小道「私は反対します!」


水面「小道さん?」


小道「私は部長の下で竹の流しそうめんをすっと楽しんできました。入部してからずっと部長に尽くしてきました!」


小道「それなのに……今になってこんな形で終わるなんて、納得できません!」


水面「小道……」


愛「……」


水面「小道、聞いて?」


水面「スライダー派の皆さんも、この場にいる皆さんも聞いてください」


水面「そうめんというのは誰かが流してあげなければ、ただのそうめんです。水に流すことで初めてそれは流しそうめんとなるのです」


水面「当然誰かがそうめんを水に流さなければなりません」
 
110: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:39:43.37 ID:W6KalffC
凪咲「何が言いたいの?」


水面「流す土台なんて竹でもプラスチックでも何でもよかったんです!」


一同「!!」


水面「頼れる先輩がいて、可愛い後輩がいて、笑い合って麺を流す仲間がいる。それだけでよかったんです」


一同「…………」


水面「会長、副会長」


栞子「はい」


副会長「は、はい!」


水面「私からは以上です。後ほど改めて書面として提出します」


栞子「わかりました」
 
111: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:43:35.26 ID:W6KalffC
凪咲「……」


小道「部長……」


水面「そんな顔しないで。どうせ私たちは文化祭が終わったら引退するの。それがちょっと早まっただけよ」


小道「そんなぁ~……」グズッ


凪咲「……最初からそうしていれば、こんなことにならずに済んだのに」


水面「ごめんなさい。少し意地になっていました」


凪咲「ま、いずれにせよ今後は私たちスライダー派が…………」


白光「副部長?」


愛「副部長さんさ……なんで泣いてるの?」


凪咲「え……?どうして……」


彼方「構ってほしかっただけなんだよね~。副部長さんは」


凪咲「ち、違っ……」


小道「そういえば、凪咲ってずっと部長に対抗意識燃やしてたよね」


凪咲「……」
 
112: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:50:01.43 ID:W6KalffC
愛「じゃあ、もう争う必要ないじゃん!」


スッ


愛「カナちゃん!?」


彼方「今回彼方ちゃんたちはオブザーバー参加。意見を求められない限り発言はできないんだぜ~」


愛「そんな……」


彼方「それにきっと大丈夫」


愛「え?」
 
113: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:55:02.92 ID:W6KalffC
水面「凪咲、後は頼みましたよ」


副会長「詰襟さん、何か言うことがあれば」


凪咲「わかりました。部長が負けを認めたのなら、今後はスライダーをメインにやっていきます」


愛「なっ……」


凪咲「ですが、部長や竹派の皆さんも満足させるような文化祭を作るとお約束します!」


ザワザワ... ザワザワ...


小道「凪咲……」


凪咲「そして文化祭後も部長の意志を継ぎ、竹派スライダー派の垣根を越えて手を取り合うことを誓います!」


一同「…………」


愛「……」パチパチ


一同「……」パチパチパチパチ


パチパチパチパチ‼‼


愛「な・が・そ!な・が・そ!」
 
114: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 12:56:09.87 ID:W6KalffC
ギャラリー「な・が・そ!な・が・そ!」


副会長「静粛に!静粛に!」


ギャラリー「な・が・そ!な・が・そ!」
 
115: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:01:10.40 ID:W6KalffC
――――――

――――

――


愛「お疲れ!しおってぃー!」


栞子「いったい誰のせいでこんなに疲れたと……」


彼方「まあまあ」


水面「皆さん、この度はありがとうございました」


愛「みなもん……本当に良かったの?辞めて」


水面「みなもん?ええ、もちろん。これで同好会が再び一つになるなら安いものです」


小道「部長!」


水面「小道……」


小道「あ、あのっ……」


水面「副部長をよろしく頼みましたよ」


小道「……はい!」


愛「よかったよかった」


小道「愛さん、スクールアイドル同好会の皆さんありがとうございました!」


水面「中継でご覧になってた他の方にのもお礼を伝えてください」


愛「もちろん!」


水面「それでは私はこれから凪咲と今後について話し合いがありますので」


小道「今度お礼に特製の青いそうめんだけの詰め合わせ持っていきますね」


彼方「それは絵面がちょっと~……」


水面「それでは失礼します」


愛「またねー!」
 
116: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:07:31.22 ID:W6KalffC
栞子「さて、私もこれから今回の報告書を作成しないといけないので」


彼方「じゃあ、後でね~」


庶務「会長ー!」


栞子「どうしましたか?」


庶務「あの、あの!」


彼方「落ち着きたまえ~」


庶務「はあ……はあ……」


愛「一体どうしたのさ」


庶務「拘留中の明星梅さんが消えました!」


愛「はあ?」


栞子「消えたってどういうことですか?」


庶務「そのままの意味です」


栞子「監視カメラは?」


庶務「それが、カメラのデータが消えてて……」


愛「データも?」


庶務「それどころか、生徒名簿など彼女に関するすべてのデータが消されていて……まるで最初から存在してなかったような……」


彼方「そりゃ、のっぴきならないね~」


栞子「もう一度確認してください。私も一緒に探します!」


愛「しおってぃー……」


栞子「とにかく私もこれで失礼します。何かあれば皆さんにもお伝えしますので」


愛「まさか、まだ終わってないの……?」
 
117: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:11:06.00 ID:W6KalffC
―数週間後、スクールアイドル同好会、部室―


ガラガラ~


愛「あ、カリンおはー」


果林「おはーって、今放課後よ」


愛「おー……そうだっけ?」


果林「ちょっと腑抜けすぎじゃない?」


愛「だってぇ……」


かすみ「仕方ないですよ。あの事件が終わった後ですし、その事件もわかんないことばっかりですし……」


果林「何言ってるの?私たちはスクールアイドルでしょ?」


愛「でも、梅が消えた話の続報もないし……」


果林「あのねえ……」


せつ菜「果林さんの言うとおりです!私たちにできることは現状ありません。なら、自分たちの仕事をするまでです」


エマ「そうだよ。文化祭の流しそうめん同好会の出し物すごかったじゃん」


彼方「光り輝いてたね~」


かすみ「あれ、いくらかかってたんですかね」


エマ「光ってたし、なんか音も鳴ってたよねー」


果林「さ、思い出話もそれくらいにして、練習するわよ」
 
118: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:16:19.37 ID:W6KalffC
コンコン


愛「はーい」ガラッ


御籤「こんにちは」


果林「あら、御籤ちゃん」


愛「どなた?」


果林「ああ、愛は会ったことなかったわね」


せつ菜「情報処理学科2年、足立御籤さんです」


御籤「本当に前生徒会長がせつ菜ちゃんだったわけか」


エマ「例の事件の時、私たちに協力してくれたんだよー」


愛「へぇー」


かすみ「それで何しに来たんですかぁ?」


御籤「ずいぶんだね。せっかく事件解決のお礼にお米アイスを持ってきたっていうのに」


かすみ「わーい!足立先輩ありがとうございますー!」


果林「それだけじゃないでしょ?」


御籤「もちろん。約束通り、今回の事件の真相を話しに来たのさ」


愛「真相?」
 
119: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:20:25.16 ID:W6KalffC
御籤「君たちだって、知名度が上がってきた流そに嫉妬した麺同好会がタカトミ同好会の名を騙りテロを起こし壊滅を目論んだ。そう思ってるわけじゃないだろ?」


せつ菜「裏があると?」


御籤「今私が言ったような小さな話じゃない」


エマ「説明してくれるの?」


御籤「そのために来たんだ」


一同「……」


御籤「話は数年前、当時の生徒会が行った“同好会規制緩和政策”から始まっているのさ」


せつ菜「緩和政策が……?」


御籤「そう。その政策で部活内の多くの派閥が独立を果たし、様々な同好会が設立された」


御籤「例えばパン部からはコッペパン同好会が、ウチの米部からは釜めし同好会が独立を果たした」


かすみ「それがどうしたっていうんですか?」


御籤「独立を果たし自分の同好会を持てた各派閥は嬉しいだろうけど、巣立たれたパン部や米部はそうもいかない」


彼方「独立されたら、パン部も米部も自分たちの資源が減っちゃうもんね~」


御籤「そういうこと」


御籤「資源だけじゃなく、人材や設備も引き抜かれたんだ」


愛「なるほど」
 
120: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:24:05.14 ID:W6KalffC
御籤「そんな展開に今の米部部長は納得できなくてね……。何とかして釜飯の抜けた穴を埋めたかったのさ」


果林「それで?」


御籤「そこで目を付けたのが、麺同好会のフォー派だった」


一同「!?」


御籤「部長は何とかしてのフォー派を米部に向かい入れようとした」


かすみ「そんなっ……」


愛「同好会を何だと……」


御籤「もちろん、麺同好会としては面白くない。しかし相手は規模の大きい米部、正面からぶつかれば100%負ける」


果林「そこ自分で言うのね」


御籤「事実だからね」


エマ「それで?」


御籤「窮地に陥った麺同好会は同じく大国で、私たち米部と対立しているパン部に助けを求めたのさ」


愛「パン部……?」
 
121: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:28:56.63 ID:W6KalffC
せつ菜「しかし、パン部は……」


御籤「そう。パン部からしたら何のメリットもない。それどころか表立って私たちと争うなんてデメリットでしかない」


果林「でも、パン部も米部がフォー派を手に入れるのを黙って見てる訳にはいかないんじゃない?」


御籤「だからパン部は悩んだろうね……」


かすみ「それでどうしたんですか?」


御籤「なかなか動こうとしないパン部に、麺同好会はこう言った。『以前ウチに所属していた流しそうめん同好会を引き渡す』とね」


一同「!!?」


御籤「麺同好会としては追放したはずの異端が本家より大きくなっているのが気に食わない」


御籤「それがパン部に吸収されその存在がなくなってところで、麺同好会は何も失わない」


愛「それどころか得しかないってこと……」


御籤「というわけで、麺同好会のそば派はそうめん派を使って流そ同好会を分裂させようとした、という訳さ」


御籤「あとは君たちの知っての通り」


エマ「そんな……」


愛「どこまでも流そがモノ扱いじゃん!」


御籤「いったはずだよ?これは利益を求めるための戦争だって」


かすみ「だからって……」


御籤「さて、ここからは現在の話をしよう」


せつ菜「まだ何かあるんですか?」
 
122: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:35:33.83 ID:W6KalffC
御籤「今麺同好会はどうなっていると思う?」


愛「どうなったって、廃部になったんじゃ……」


御籤「確かに以前の麺同好会は廃部になった。でもそこに所属していた生徒は?」


かすみ「何が言いたいんですか?」


御籤「元そば派残党が集まり『真生・麺同好会』を結成。部長に元そば派副部長が就任した」


果林「それは……」


せつ菜「校則的には問題ありません。ですが、まず認められないでしょう」


御籤「だろうね。というか実際認められなかった」


御籤「一方で、元そば派会計を中心とした派閥が『手打ちそば同好会』を結成。これはすぐに認可された」


愛「どうして……」


御籤「代表の元会計は親パン派、おそらく小麦同好会とも繋がっているだろうね。だから彼女たちの後ろ盾もあってすぐに認可された」


愛「それじゃあ……」


彼方「事実上の傀儡政権、だね~」


御籤「まったく……パン部はこの戦争に乗ってこないと思ったら、裏でとんでもないことをしてくれたもんだ……」
 
123: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:40:19.31 ID:W6KalffC
エマ「麺同好会の他の生徒はどうなったの?」


御籤「さっき言ったとおり、フォー派とビーフン派は米部が、素麺派は流そ同好会が接収。その他の春雨派なんかにいた人は芋部に亡命したよ」


御籤「さてこの戦争、だれが一番得したんだろうね」


せつ菜「そういえば……」


愛「どうかした?」


せつ菜「はい。こないだ新設されたさつまいも同好会の部長の青山さんが挨拶に来たんですよ」


エマ「あの焼き芋、さつまいも同好会からだったんだー」


果林「どういうこと?」


御籤「春雨とか芋を原料とする派閥はみんな芋部に亡命したからね。結果規模が大きくなったんで、最大派閥だったさつまいも派が同好会として独立したのさ」


愛「それも愛さんたちが麺同好会を潰したから……」


御籤「君たちはただ流そを助けただけだろうけど、これだけの部や同好会が影響を受けたのさ」


愛「……」
 
124: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:45:30.72 ID:W6KalffC
彼方「なあに、気にすることはない」


愛「カナちゃん……」


彼方「愛ちゃんが行動を起こしたから流そは助かったんだよ~」


せつ菜「その通りです!もしそば派の計画が成功していたら、もっと多くの生徒が悲しんでいたはずです」


愛「せっつーもありがとう」


御籤「米部も得したしね」


かすみ「もう、なんでそんなこと言うんですか」


果林「これ以上ウチの愛を悩ませないでくれる?」


御籤「ごめんごめん。悪気はないんだ、本当に感謝してる」
 
126: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:52:04.91 ID:W6KalffC
果林「そうやって米部が一番得した…………」


エマ「果林ちゃん?」


果林「まさか……!ごめん、エマ、みんな。ちょっと行ってくるわ!」ガラッ


かすみ「行くってどこに……」


せつ菜「どうしたんでしょう?一体」


御籤「これでこの事件の話はおしまい。すっきりした?」


かすみ「全然ですよ……」


御籤「あ、大事なこと言うの忘れてた」


愛「まだなんかあるの?」


御籤「タカトミ同好会は存在する」


一同「!!?」


せつ菜「し、しかし何をしてもその痕跡一つ見つからなかったんですよ!?」


御籤「そりゃ徹底して存在を隠してるからね」


御籤「でも確かに存在する。この学園の陰に、裏に」


一同「…………」


御籤「せいぜい気を付けるんだね」
 
128: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 13:57:16.98 ID:W6KalffC
御籤「それじゃ、私もそろそろ行くよ」


せつ菜「何はともあれ、ありがとうございました」


御籤「いろいろ言ったけど、君たちに感謝してるのは本当だからね」


かすみ「ホントですかぁ?」


御籤「信用ないなあ。なら今度はおにぎりでも持ってくるよ」


エマ「おにぎり!」


御籤「今年の新米は自信作だからね」


エマ「楽しみー!」


彼方「御籤ちゃんの笑顔初めて見たよ~」


御籤「私だって笑うさ」


御籤「それじゃあ、またね」


ガラッ


かすみ「まったく、あの人は何がしたかったんですか……」


せつ菜「とにかくいろいろ気を付けたほうがいいかもしれませんね」
 
129: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:01:23.45 ID:W6KalffC
―部室棟、廊下―


御籤「さてと、精米の予定を立てないと……。うるち米派にも声をかけて……」


ザザッ

御籤「?」


青装束の生徒A「情報処理学科2年、足立御籤ね?」


御籤「誰かな?」


青装束の生徒B「私たちは誰でもない」


青装束の生徒C「今までも、そしてこれからも」


青装束の生徒B「それは何人たりとも知ってはいけない」


御籤「そうか……君たちは……」


青装束の生徒A「私たちは存在しない」


青装束の生徒C「よって……」


青装束の生徒A「なかったことにする」ザッ


御籤「はぁ……。新米、食べさせたかったなぁ……」


――――――

――――

――
 
131: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:04:47.82 ID:W6KalffC
生徒会書記「会長!」


栞子「どうしました?明星さんの手がかり見つかりましたか?」


書記「あ、いえ……それはまだ……。それより見てほしいことがあるんですけど……」


栞子「なんですか?」


書記「調べてたら、明星さんの他にもう一人名簿から消えてる生徒がいて……」


栞子「誰ですか!?それは」


書記「それが明星さんの時と同じで、すべてのデータが消えてて誰が消えたのかまでは……」


栞子「明星さんの他にもう一人……」


書記「消えた部分から情報処理学科の2年生、というところまでは判明したんですが……」


栞子「全て消されている……」


――かすみ『っていうか、最初からそんな同好会ないんじゃないですかぁ?』


――彼方『それか、相当慎重に痕跡を消してるかだね~』


栞子「……まさか……」
 
132: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:09:59.63 ID:W6KalffC
―流しそうめん同好会、部室―


果林「はあ……はあ……」


――御籤『互いが自分の利益最優先で起きてる戦争なんだ』


果林「はあ……はあ……」


――御籤『さてこの戦争、だれが一番得したんだろうね』


コンコン   ガラッ


小道「はーいって、果林さん?先日は、どうも」


果林「あなたなの?」


小道「はい?」


果林「あなたが今回の事件仕組んだの?」


小道「……いきなり何を……?」


果林「今回の事件で米部やパン部だけじゃなく、もう一つ利益を得た同好会があったのよ」


小道「……」


果林「それは流しそうめん同好会よ」
 
133: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:13:57.50 ID:W6KalffC
小道「……」


果林「どうして解体された麺同好会のそうめん派が、そっくり流しそうめん同好会に行くのかしら?」


小道「何かおかしいとこでも?」


果林「なぜ注目株とはいえ、一同好会が大国に交じってそうめん派の利益を独り占めできたのかしら?」


小道「それは、私たちが被害者だから……」


果林「本当にそれだけ?」


小道「はい?」


果林「本当は小麦同好会辺りと話し合いがあったんじゃない?」


小道「……」
 
134: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:18:17.05 ID:W6KalffC
果林「あなたはこの流しそうめん同好会を大きくしたかった。でもそれには麺同好会の本家そうめん派がどうしても邪魔になってくる」


果林「ここであなたたちが分裂しようとすれば、そうめん派は必ず食いついてくる」


果林「それを逆手に取りあなたは麺同好会を崩壊させようと計画し、実際に成功させた」


小道「……」


果林「おそらく愛に相談を持ち掛けたのも、愛なら……過去に同好会を崩壊させた負い目がある彼女なら、この話引き受けてくれる。そう思ってのことよね」


果林「そして愛が味方に付けば、私たちも乗ってくる。そうすれば必ず勝てると思ったんじゃない?」


小道「はあ……」


小道「冗談は、そこまでにしてくださいよ」


果林「なに?」


小道「聞けば麺同好会が行動を起こしたのって、釜めし同好会が米部から独立したのがきっかけなんですよね?」


果林「ええ」


小道「それも私が先導したとでも?」


果林「それは……」


小道「果林先輩の推理は、推理じゃなくて思い付きですよ」


果林「……」
 
135: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:23:26.77 ID:W6KalffC
小道「もし私が本当に黒幕なら、「証拠はあるんですか?」なんて聞くところですけど、それ以前の話ですね」


果林「あなたは……」


小道「ま、でも面白い説だとは思いました」


小道「だからお礼に一つだけ教えてあげます」


果林「え?」


小道「愛先輩は優しすぎなんですよ。良い風に言えば“純粋・まっすぐ”なんでしょうけど、そのうち悪い人に騙されちゃいますよ?」


ドンッ!!


小道「!?」


果林「忠告ありがとう。私からも一つ教えてあげるわ」


小道「な、なんですか?」


果林「これ以上愛を悲しませたり、優しさを利用するなら、私が許さないから」


小道「し、親切で言ったんですよ?」


果林「私もただのお節介よ」


果林「わかった。いいわ。今日のところは引いてあげる」


小道「流しそうめん同好会はいつでもお待ちしてますよ」
 
136: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:28:44.52 ID:W6KalffC
―数日後、スクールアイドル同好会、部室―


しずく「なんかかすみちゃんたち、本当に大変だったみたいだねー」


かすみ「いや、大変だったってもんじゃなかったんだから!」


璃奈「今回は私ちょっとしか役に立てなかった」


かすみ「仕方ないよ。しず子は演劇祭の稽古で、りな子は紫苑女で対バンライブだったんだもん」


璃奈「次は必ず助けに行く。璃奈ちゃんボード『期待しててくれよな』」


しずく「私も次回はかすみさんをかばって凶弾に倒れるようにするからね」


かすみ「命の取り合いとかしてないからー!っていうか、次回なんてないし!」


ガラッ


愛「みんないるー!?」


歩夢「大変なの!」


しずく「一体どうしたんですか?」


歩夢「そ、それがね……」


かすみ「落ち着いてください歩夢先輩」


璃奈「ミアちゃんボード『Calm down』」


愛「お!新作?それ」


かすみ「いいから早く話してください」


歩夢「あのね、さっきドミノ同好会が、ドミノ派とドミノ倒し派に分かれて内紛が起きたの!」


かすみ「もう、勘弁してくださーーい!!」


終わり
 
138: (もんじゃ) 2022/05/21(土) 14:35:18.45 ID:W6KalffC
シリアス寄りの話を書くの初めてだったので、いろいろ拙い部分もあったかと思いますが
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1653030216/

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