【SS】歩夢「せつ菜ちゃんが幼児退行しちゃった」しずく「えぇ……」【ラブライブ！虹ヶ咲】

ｽﾀｽﾀ

しずく(授業も終わり、部室棟を目指して歩く放課後のこの時間が大好き)

しずく(今日も練習頑張らないと！)

ｺﾝｺﾝｺﾝ

しずく「お疲れ様ですっ。今日も──」


せつ菜「うー！ あうー！」

歩夢「わわっ！？ せ、せつ菜ちゃん！ 落ち着いてー！」


しずく「」
　

しずく「え？ え！？ な、なんですかこの状況……」

歩夢「あっ、し、しずくちゃん」

しずく「歩夢さん。これはいったい……」

せつ菜「あうっ！」

歩夢「え、えっと……そのぉ」

歩夢「せつ菜ちゃんが幼児退行しちゃった」

しずく「えぇ……」

せつ菜「うゆ！」
　

しずく「何か原因とかはあるんですか？」

歩夢「私が部室に来た時からずっとこんな感じで、何がなんだか……」

しずく「なるほど」

せつ菜「あう！」

しずく「こ、これは中々深刻ですね」

せつ菜「……」

歩夢「あれ？ 急に静かになっちゃった」

しずく「本当ですね」

せつ菜「あうー！」ｷｬｯｷｬｯ

歩夢「気のせいだった……」

しずく「ですね……」






せつ菜(いやいやいや)

せつ菜(なんで普通に受け入れられているんです！？)

せつ菜(思っていた反応と違います！！)
　

～少し前～

せつ菜『……』ﾍﾟﾗｯ､ﾍﾟﾗｯ

せつ菜『……』ﾊﾟﾀﾝ

せつ菜(くぅ～！ 新刊最高でした！)

せつ菜(まさかヒロインのあの子にあれだけ母性を感じる展開がくるとは思いもしませんでした)

せつ菜(なにかに目覚めそうでした)

せつ菜『……』

せつ菜『主人公の子、羨ましいなぁ』

せつ菜『誰かに甘えるのって、いいですよねぇ』

せつ菜『……』
　

せつ菜(す、少しだけ同好会の誰かの前で子供っぽく演じてみる？ そうしたら誰か甘やかしてくれるかも……)

せつ菜(いやいや！ 普通にドン引きされるだけに決まっています！)

せつ菜『冷静になりましょう。うん』

せつ菜(いや、でも冗談だと思ってもらえて、実は～みたいな感じで甘やかしてほしかった欲を相談すれば甘やかしてくれるかも……皆さん優しいですし)

せつ菜(いや！ 恥ずかしい！ ──けど甘えたい！)

せつ菜(私だって人間だもん！)

せつ菜『始まったのなら、貫くのみです！』

せつ菜(ちょうど今日はA・ZU・NAの打ち合わせがありますし、その時にやってみましょう！ 一番早く部室に行って準備をしなければ！)

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ
　

せつ菜『よし、一番乗りできました』

せつ菜『では早速準備を……』

せつ菜『あー、あー……んんっ』

せつ菜『わがまま気ままありのまま』

せつ菜『えびでい、えびない』

せつ菜『ついてきなさい！』ｷｬﾋﾟｯ

せつ菜『──いけますっ！！』
　

せつ菜『伊達に菜々とせつ菜を使い分けていません。私の演技力も中々ですね』

せつ菜『よし……もう一度』ｸﾞｯ


せつ菜『あうあうー！』

せつ菜『ママ～！ ちゅきー！』

せつ菜『うー！』


せつ菜『……』

せつ菜『……///』ｶｧｧｧｧ

せつ菜『は、始まったのなら！！ 貫くのみです！！』


ｺﾝｺﾝｺﾝ


せつ菜『！！』

せつ菜(来た！)
　

歩夢『こんにちわ～』

せつ菜(歩夢さんから来てくれました！ 歩夢さん、お優しい方ですから甘やかしてくれそうですね！)

歩夢『あっ、せつ菜ちゃん。こんにちはっ。今日も頑張ろうね！』

せつ菜『……』

歩夢『あ、あれ？ せつ菜ちゃん……？』

せつ菜『うー！ あうっ！』ｷｬｯｷｬｯ

歩夢『え、えぇー！？』

せつ菜(さ、流石に驚いていますね。さて、種明かしのタイミングを──)

歩夢『た、大変……』

せつ菜『？』

歩夢『せつ菜ちゃんが幼児退行しちゃった……！』

せつ菜(えぇ……)
　

せつ菜(──ということがあってもう少ししたら種明かしできると思ったのに)

しずく「璃奈さんに相談してみますか？」

歩夢「うーん。あんまり事を大きくしちゃうのも避けたいよねぇ」

しずく「そうですね」

せつ菜(なんで普通に受け入れられているんですか……)
　

しずく「それにしても歩夢さん」

歩夢「ん？」

しずく「よくこの状況を簡単に受け入れられましたね」

せつ菜「！！」

せつ菜(そうですよね！？ 流石しずくさんです！)

せつ菜(これで良い方向にお話が進むような気がします)

歩夢「いや、だってさ」

歩夢「火星人もいるし幽霊だっているし、かすみちゃんが洗脳されちゃったりもしたし。今更これくらいじゃ驚かないよ」

しずく「確かにそうですね……」
せつ菜「あう(確かにそうですね……)」
　

せつ菜(言われてみればそうでした)

せつ菜(……いや、待ってください)

せつ菜(冷静に考えてみたら、これはチャンスなのでは！？)

せつ菜「あう！」ｷﾞｭｯ

歩夢「わわっ！？ せ、せつ菜ちゃん！？」

しずく「ふふっ。難しい話ばかりで構ってほしくなっちゃったのかも」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

歩夢「うふふっ、そうかも。せつ菜ちゃん、どうしたの～？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

せつ菜「」

せつ菜(これ、天国なのでは？)
　

歩夢「せつ菜ちゃんってやっぱり可愛いよね～」

しずく「はいっ。かっこいい所が沢山目立っていますけれど、すごく可愛らしくて憧れの先輩です」

せつ菜「！？///」

せつ菜(なんか、恥ずかしいですね……)

しずく「あっ！ も、もちろん歩夢さんの事も尊敬していますよ！？」

歩夢「ふふっ、どうしたの急に？」

しずく「いえ、その……おひとりだけを褒めるのは良くないかなぁって思いまして」

歩夢「そんなの全然気にしないよ？ でもしずくちゃんって本当にいい子だよね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

しずく「あうっ……！ あ、ありがとうございます……///」

歩夢「ふふふ」ﾆｺﾆｺ

せつ菜(あっ、ここ天国です)ﾆｺﾆｺ

せつ菜(A・ZU・NAヘブンの開園です)
　

せつ菜(それにしても……)ｼﾞｰ

歩夢「？」

せつ菜「ま～」ｷﾞｭｯ

せつ菜(歩夢さんって本当に良い匂いがしますね)

せつ菜(な、なんだか変態さんみたいですけれど、ここまできたら吹っ切れます)

歩夢「か、かわいい～……！」ｷﾗｷﾗ

せつ菜(この何しても許される感じ、たまりませんね！！)
　

しずく「……」ｿﾜｿﾜ

しずく「あ、歩夢さん！」

歩夢「どうしたの？」

しずく「わ、私もせつ菜さん……ギュッとしたいです」

せつ菜「！！」

歩夢「なら確認しないとだね。せつ菜ちゃん～？ しずくちゃんがせつ菜ちゃんをギュッとしたいんだって。お願い聞いてあげてほしいな～」ﾆｺﾆｺ

せつ菜(完全にあやされてますね私)

せつ菜(いや、でも……)ﾁﾗｯ

しずく「……」ｿﾜｿﾜ

せつ菜(冷静に考えると、後輩に甘えるのは……)
　

しずく「……」

しずく「……よしっ……」ﾎﾞｿｯ

せつ菜「？」

しずく「こほん」

しずく「せつ菜さんっ」

しずく「おいで～？」ﾆｺｯ

せつ菜「！？！？！？」

せつ菜「ママー！」ﾊﾞｯ

しずく「わわっ！？」ｷﾞｭｯ

しずく「ふふっ、もう。危ないですよ？」

しずく「けど来てくれてありがとうございますっ」

しずく「いい子いい子♡」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

せつ菜(飛ぶ～～～～～～～～～～)
　

せつ菜(盲点でした)

せつ菜「あう～！」

しずく「はぁ……可愛い……！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

せつ菜(しずくさんもママでした)

せつ菜(それに……)ｷﾞｭ~

しずく「ん～？ せつ菜さん。どうしたんですか？」

せつ菜(しずくさんも良い匂いしますね……)

せつ菜(しかも)ｼﾞｰ

しずく「？」

せつ菜(顔が良いですね……)
　

せつ菜(歩夢さんもしずくさんも改めて見ると本当に可愛らしいですし、美人ですね)

せつ菜(素敵な人達に囲まれて幸せです)

歩夢「それにしても、どうしたら治るんだろうね」

しずく「うーん。子供は遊びを通して色々学ぶと聞きますからね。もしかしたら遊び続けたら戻るかも」

歩夢「しずくちゃん名案！」

歩夢「ちょっと待ってて！」ｽﾀｽﾀ

ｶﾞｻｶﾞｻ

歩夢「あった！」

歩夢「じゃじゃーん。せつ菜ちゃーん？ これなんだと思う～？」

せつ菜「！！」

せつ菜(パペット人形ー！)

せつ菜「あうあうー！」

歩夢「あはは。喜んでくれてる～」ﾆｺﾆｺ

しずく「可愛いですねぇ」ﾆｺﾆｺ
　

しずく「それにしても歩夢さん。よく持ってましたね」

歩夢「うん。たまに公園にいる子達と遊ぶ為に持ち歩いてるんだ」

しずく「なるほど。可愛いし折り畳めるタイプなので荷物にならないですし、良いですねこのお人形さん」

歩夢「でしょ？」

歩夢「ほら、せつ菜ちゃん～？ うさぴょんだよ～？」

せつ菜「ぴょん！ ぴょん！」ｷﾗｷﾗ

あゆしず「かわいい～！！」ｷｬｯｷｬｯ
　

歩夢「じゃあ、はい！ しずくちゃん」ｽｯ

しずく「え？」

歩夢「片方貸してあげるっ。一緒にせつ菜ちゃんに人形劇見せてあげよ」

しずく「素晴らしいですー！」

せつ菜(うおおおおおお！ 人形劇きましたー！！)

せつ菜「キャー！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

歩夢「ふふっ、すっごく喜んでくれてる」

しずく「楽しい時間の開演ですよ？ せつ菜さんっ」
　

歩夢「どんなお話にしようか。しずくちゃん」

しずく「そうですねぇ。優しいお話が良いと思うので」

しずく「少し考えますね」ﾌｰﾑ

せつ菜「！」ﾜｸﾜｸ ﾆｺﾆｺ

せつ菜(人形劇、いくつになっても面白いので楽しみですね！)

しずく「──よしっ。歩夢さん」

しずく「うさぎさんとくまさんの2匹は幼馴染でお互い愛し合っていました。しかし、草食動物と肉食動物の愛は禁断であるとされ、結ばれてはいけませんでした。年も重なってきた為、そろそろ離れなさいと村の長から向き合いたくない現実を告げられてしまい、2匹は逃避行を始めます。平和であった村から出た外の世界は、厳しくもあり優しくもあった。様々な動物達との出会いを通し成長し、2匹は更に愛を深め、やがて禁断の愛をも乗り越える！」

しずく「こんな物語はどうでしょう？」

歩夢「」

せつ菜「」
　

歩夢「ちょ、ちょっと壮大すぎて終わらせられなさそうかなぁ……」

せつ菜「うゆ……(本1冊出来上がりそうなくらいの設定ですもんね)」

しずく「言われてみればそうかもしれませんね」

しずく「ならエチュードでいきましょうっ」

せつ菜(おぉ！ エチュード！)

せつ菜(確か即興劇ですよね？ これは楽しみです！)

しずく「うさぎさん、うさぎさん。こんにちは！ ボクはクマのレアティーズ！」

歩夢「えっと……。こんにちは、レアティーズさんっ！ 私はうさぴょんって言うの」

歩夢「今日は何しにここへ来たの～？」

せつ菜「……」ﾆｺﾆｺ

しずく「うん！ それはね！」
　

歩夢「うんうん！」


しずく「──お前をッ！！ 食べる為に来たんだよッ！！」


歩夢「きゃあああああ！？」

せつ菜「ぴゃああああ！？」

歩夢「し、しずくちゃん！」

しずく「えへへ。ごめんなさい」
　

しずく「ちょっぴりふざけちゃいました」

せつ菜「……」ﾌﾟｸｰ

しずく「へ？ せ、せつ菜さん？」

せつ菜「ぷいっ」

しずく「え、えぇ！？」

歩夢「それはそうだよ……」

せつ菜(全くです！ ビックリしちゃいました。怖がらせるのはダメです！)

せつ菜(ご法度ですよご法度！)

しずく「ご、ごめんなさいせつ菜さん」

せつ菜「ヤダ！」

歩夢「へ？」

しずく「へ？」

せつ菜(あっ)
　

歩夢「へ？ 今喋ったよね……？」

しずく「え、えぇ。ヤダ！ って仰ってました」

せつ菜「……」

歩夢「も、もしかしてせつ菜ちゃん──」

せつ菜「ちぇいす！ ちぇいす！」

歩夢「！？」
しずく「！？」

せつ菜「めろでぃ！」

せつ菜「らいくいっとらぶいっと！！」

せつ菜「ヤダ！」ﾌﾟｲｯ

歩夢「……」

しずく「……」

せつ菜「むー……」ﾂｰﾝ

せつ菜(い、いけたでしょうか？)

しずく「歩夢さん」

歩夢「うん」

しずく「これ、せつ菜さんが歌っていた曲のタイトルは喋る事ができて意思疎通を図っているのでは？」

歩夢「うん。私もそう思う」

せつ菜(ふ～～～～～～～～～～)
　

せつ菜(危なかったです。バレてしまうかと思いました)

せつ菜(……あれ？ よく考えると、当初はバラして甘やかしてもらおうと思っていたのに)

歩夢「これでせつ菜ちゃんが演技してたとかだったら流石にビックリしちゃうもんね」

歩夢「思い切り抱きしめちゃったりとかして恥ずかしいし」ﾆｺｯ

しずく「ですね」ﾆｺﾆｺ

せつ菜(これ、中々まずい状況になっていませんか？)

せつ菜(切り出せなくなってます！！)
　

しずく「いや、ただ歩夢さん」

歩夢「うん？」

しずく「流石にこれは演技ではないですよ」

しずく「あまりにクオリティが高すぎますし」

せつ菜「……」

歩夢「演劇やってるしずくちゃんからしてもそう思う？」

しずく「えぇ。恥ずかしがっている感じもしませんし。私でも途中恥ずかしくなって素が出てしまうと思います」

歩夢「だよね」

せつ菜「……」
　

せつ菜(恥ずかしくはあったもん……)

せつ菜(けどそれ以上に甘えたかったから……)

せつ菜「……」

歩夢「あれ？ せつ菜ちゃん？」

しずく「眠くなってきてしまったのでしょうか？」

しずく「──あっ！ あと先程は本当にごめんなさいせつ菜さん。おふざけが過ぎました」

歩夢「ちゃんと反省できてて偉いねしずくちゃん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

しずく「あ、歩夢さん。今は甘やかす対象は私ではないです///」
　

せつ菜「……」

せつ菜(改めて思ってしまいます。同好会の皆さんは本当に優しいなぁって)

せつ菜(歩夢さんもしずくさんも、この短い時間だけでも変なことしてる私に優しくしてくれるし)

せつ菜(ま、まぁ幼児退行しているからって思っているからかもしれませんが)

せつ菜(それを抜きにしてもお二人はいつも優しいですし)

せつ菜(なんだか申し訳なくなってきてしまいました)

せつ菜(──そうだ。もう素直に言いましょう)

せつ菜(歩夢さんもしずくさんも、事情を知ったら受け入れてくれるに違いません)

せつ菜(かけがえのない、仲間ですから)
　

せつ菜「……」

歩夢「せつ菜ちゃん？ 少しだねお昼寝する～？」ﾆｺﾆｺ

しずく「お膝とか貸せますよ～？」ﾆｺﾆｺ

せつ菜「あ、あの……」

歩夢「へ？」

しずく「え？」

せつ菜「私……その──」

歩夢「も、もしかしてせつ菜ちゃん……戻っちゃったの？」

せつ菜「え？」
　

せつ菜「も、戻っちゃった？」

歩夢「あっ！ ご、ごめんねせつ菜ちゃん！ えーっと。その……記憶はある？」

せつ菜「へ？」

歩夢「あっ！ ごめ、なんでもないのなんでも！ 気にしないで！」

しずく「……」ｼｭﾝ

せつ菜(あれ？)

せつ菜(なんかまた勘違いが重なっていませんか！？)

せつ菜(色々戸惑ってしまっただけなのに、記憶飛んでるみたいに思われていませんか！？)

せつ菜(しかもなんか残念がられていませんか！？)
　

せつ菜「あ、あの！ 私は──」

歩夢「しずくちゃん！」ｽｯ

しずく「はい！」ｽｯ

せつ菜「！？」

歩夢「せつ菜ちゃん。多分さっきの事覚えてないと思うから、なんにもなかった風で動こう」ﾋｿﾋｿ

しずく「ですね。せつ菜さん、色々知ったらきっと恥ずかしがってしまいますもんね」ﾋｿﾋｿ

せつ菜(丸聞こえ！！)

しずく「こほんこほん。あー……きょ、今日は良い天気ですね～！」

歩夢「そ、そうだね～！ きょ、今日も練習が、ガンバろー！」

しずく「お、おー！」

せつ菜(誤魔化すの下手ですか！！)
　

せつ菜「歩夢さん！ しずくさん！ 私は──」

歩夢「せつ菜ちゃん！」

せつ菜「は、はい！」

歩夢「大丈夫だから」ﾆｺｯ

せつ菜(大丈夫だけど大丈夫じゃない状況ですよ！)

せつ菜(元を辿れば私の行動が原因ですけど！！)

せつ菜(なんか変に気を使われるのはヤダ！)

せつ菜「あ、あの──」

しずく「歩夢さん！ じ、次回のユニットライブのコンセプトは保育園というのはどうでしょう！？ お客様達が『がんばえー！』ってやってくれそうな幕間とか入れて！」

歩夢「い、いいねぇしずくちゃん！ A・ZU・NA保育園！ かわいいかわいい！」

しずく「で、ですよね！」

歩夢「さ、早速打ち合わせしよー！」

しずく「お、おー！」

せつ菜「私の話を聞いて～～～！！」
　

@cﾒ*˶ˆ ᴗ ˆ˵ﾘ jΣﾐｲ˶° ᴗ°˶ﾘ ⁄/*ｲ`＾@＾ﾘ 終わりです！！！！
　

乙
もっと幼児退行してもいいんだぞ
　

終わっちゃヤダ！
　

おつ
かわいくてよかった

AZUNA保育園はついこの前開園してた気もする
　

ᶘｲ^⇁^ﾅ川👍
　

ともりるに園児服着せてたあぐぽんかな
　

みんな可愛かった