【SS】歩夢｢今日はせつ菜ちゃんのしてほしいことを叶えてあげたいんだ｣ せつ菜｢！！！｣【ラブライブ！虹ヶ咲】

歩夢｢なにかある…？｣

せつ菜｢お、幼なじみに……｣

歩夢｢うん？｣

せつ菜｢1日だけ！1日だけでいいので…わたしの幼なじみになってくれませんか…？！｣

歩夢｢わかった｣

せつ菜｢いいんですか？｣

歩夢｢うん！｣

せつ菜(や…やった…！！！！！！！！！歩夢さんと幼なじみですよ！！)

歩夢｢でも、それだと1日じゃ足りないよね｣

せつ菜｢え？｣

歩夢｢お腹の中からやり直そっか｣

せつ菜｢は、はい？｣

歩夢｢せーのっ｣ﾊﾟﾁﾝ


───────

ﾄﾞｸﾝﾄﾞｸﾝ

せつ菜｢……んん…………こ…ここは…………｣

せつ菜｢………どこですかここ！！｣ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


ｱｯ､ｲﾏｵﾅｶｦｹｯﾀﾜﾖ


せつ菜｢…こ、声がきこえます…！｣


ｹﾞﾝｷﾅｺﾀﾞﾅ ｺﾚﾃﾞｵﾅｶｹﾙﾉﾅﾝｶｲﾒﾀﾞ?

ｹﾞﾝｷﾅｺﾄﾊｲｲｺﾄﾃﾞｽﾖ

ｿﾚﾓｿｳﾀﾞﾅ


せつ菜｢お、お腹…？！｣

せつ菜｢な、何を言ってるんですか？！｣ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

せつ菜｢…くっ……体が思うように動かせない…！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ


ｹﾘｽｷﾞﾖ

ﾊｯﾊｯﾊ


せつ菜｢…よ、よく聞くとお父さんとお母さんの声です…｣

せつ菜｢お父さん！お母さん！わたしはここにいます！助けてください！！｣ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


ｳｯ

ﾀﾞｲｼﾞｮｳﾌﾞｶ!

ﾀﾞｲｼﾞｮｳﾌﾞﾖ…ﾎﾝﾄ､ｹﾞﾝｷﾅｺﾈ


せつ菜｢い、意味がわかりません！！何なんですかこの状況は！！｣

ﾅｶｶﾞﾜｻﾝ、ﾀﾞｲｼﾞｮｳﾌﾞ?


せつ菜｢！ 知らない人の声……｣


ｱﾗ、ｳｴﾊﾗｻﾝ


せつ菜｢…上原？？｣


ﾅｶｶﾞﾜｻﾝﾉｵｺｻﾝﾊｹﾞﾝｷﾐﾀｲﾈ

ｴｴ、ﾓｳﾁｮｯﾄｵﾄﾅｼｸｼﾃﾃﾎｼｲｸﾗｲﾖ

ﾜﾀｼﾉｺﾊ、ｵﾄﾅｼｽｷﾞﾃｷﾞｬｸﾆｼﾝﾊﾟｲﾖ


せつ菜｢…？？？｣

ｿｳｲｴﾊﾞ、ﾅｶｶﾞﾜｻﾝﾊﾓｳﾅﾏｴｷﾒﾀﾉ?

ﾂｲｻｲｷﾝｷﾏｯﾀﾄｺﾛﾖ

ﾓｼﾖｶｯﾀﾗ、ｷｶｾﾃﾓﾗｴﾙｶｼﾗ

ﾓﾁﾛﾝﾖ ﾜﾀｼﾄｳｴﾊﾗｻﾝﾉﾂｷｱｲﾃﾞｽｶﾗ


せつ菜｢な、名前？！｣


ｺﾉｺﾉﾅﾏｴﾊ…ﾅﾅ ﾅﾅｯﾃｲｳﾉﾖ


せつ菜｢！｣


ｲｲﾅﾏｴﾈ

ｱﾘｶﾞﾄｳ


せつ菜｢…こ、ここは本当にお母さんのお腹の中…？！｣

ｳｴﾊﾗｻﾝﾊ、ﾓｳｷﾒﾀﾉ?

ｷﾒﾀﾜ

ｷｶｾﾃｸﾚﾙ?

ﾓﾁﾛﾝﾖ…ｺﾉｺﾉﾅﾏｴﾊﾈ、ｱﾕﾑｯﾃｲｳﾉ


せつ菜｢！！！？？？｣


ﾕﾒﾍﾑｶｯﾃ、ｲｯﾎﾟｲｯﾎﾟｱﾕﾝﾃﾞｲｯﾃﾎｼｲ ｿﾝﾅﾈｶﾞｲｶﾞｺﾒﾗﾚﾃﾙﾉ

ｽﾃｷﾅﾅﾏｴﾀﾞﾜ


せつ菜｢あ、歩夢さん…？！｣

ﾅﾅﾄｱﾕﾑ…

ﾌﾀﾘﾄﾓﾓｳｽｸﾞｳﾏﾚﾃｸﾙﾉｶｼﾗﾈ

ｿｳﾈ


せつ菜｢な、何を言ってるんですか？｣


ｺﾚｯﾃﾅﾝﾃｲｳﾉｶｼﾗ

ｳﾝ?

ﾎﾗ､ﾁｲｻｲｺﾛｶﾗｲｯｼｮﾉﾋﾄﾀﾁﾉｺﾄ

ｱｱ、ｵｻﾅﾅｼﾞﾐﾈ


せつ菜｢！！！｣


ｿｳｿｳｿﾚﾖ ﾅﾅﾄｱﾕﾑﾊ､ｵｻﾅﾅｼﾞﾐ

ｿﾚﾓ、ｳﾏﾚﾙﾏｴｶﾗﾉ


せつ菜｢！！！！！！｣


ﾅｶﾖｸﾅｯﾃﾎｼｲﾜﾈ

ｷｯﾄ、ｽｸﾞﾆﾅｶﾖｸﾅﾙﾜﾖ


せつ菜｢………｣

────

歩夢｢お腹の中からやり直そっか｣

────


せつ菜｢ま…まさかあの時の歩夢さんの言葉は……｣

せつ菜｢いえ、そんなことあり得ません！これは誰かのイタズラです！！！｣

せつ菜｢……で、でも、聞こえてくる声は紛れもないお母さんのもの…｣

せつ菜｢そして、上原と言う方の声も、何となく歩夢さんに似ている気がする…｣

せつ菜｢じゃあ本当にここは……｣


せつ菜｢い、いやっ！！誰か！！誰か助けて！！！｣ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


ﾏﾀｹｯﾀﾜﾖ

ﾎﾝﾄｳﾆｹﾞﾝｷﾅﾉﾈ


せつ菜｢違います！わたしはここにいるんです！助けてください！！！！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ


｢ねえ｣


せつ菜｢！？｣

｢どうしてそんなこと言うの？｣

せつ菜｢へ？｣

｢どうして"助けて"なんて言うの？｣

せつ菜｢……あ、歩夢さん…？｣

歩夢｢わたしはせつ菜ちゃんが、わたしと幼なじみになりたいっていう願いを叶えてあげようとしてるのに｣

せつ菜｢じゃあこれは本当に歩夢さんが…｣

歩夢｢ひどいよ、せつ菜ちゃん｣


歩夢｢せつ菜ちゃんなんて、生まれて来なきゃいいんだよ｣


せつ菜｢え？｣

ｿﾝﾅﾆｹﾞﾝｷﾅﾗ、ｵﾄﾅｼｸｻｾﾅｲﾄﾈ

ｴ?


ボゴォッ！！！


せつ菜｢ぐあっ……？！！！！！？！！｣


ｶﾞﾊｯ…ｳ､ｳｴﾊﾗｻﾝ…?!

ｼﾝｼﾞｬｴｼﾝｼﾞｬｴ


ボゴォッ！！！


せつ菜｢あがああっ？！！？？！い、一体何が…？！！！｣

ﾔ､ﾔﾒﾃｳｴﾊﾗｻﾝ!

ｼﾝｼﾞｬｴﾊﾞｲｲﾝﾀﾞ

ｲ､ｲﾔｱｱｱｱ!!!


バキッ！！！


せつ菜｢ぐふっ……！！！かはっ……はあっ……い…いたい……｣



ｵ､ｵｲ!ﾅﾆｼﾃﾙﾝﾀﾞ!!!

ﾀｽｹﾃｱﾅﾀ…ｵﾅｶﾉｺｶﾞ……

ｼﾈ!ｼﾈ!!


ドカッ！！！！メキメキメキッ！！！！！！


せつ菜｢──────｣

せつ菜｢はっ！！！！！！！！？？？？｣ﾊﾞｯ

せつ菜｢っ……｣ｷｮﾛｷｮﾛ

せつ菜｢わ、わたしの部屋……？｣

せつ菜｢…じゃ、じゃあ今のは……夢………？｣

せつ菜｢……｣

せつ菜｢…はははっ……あはははははっ！！！！！｣

せつ菜｢そ、そりゃ夢に決まってますよ！！！！！！！！！｣

せつ菜｢わたしが記憶を保ったまま赤ちゃんになるなんて有り得ないですし！｣

せつ菜｢そもそも歩夢さんのお母さんがあんなことするような人だとは想像もつきません！！｣

せつ菜｢タチの悪い夢ですね！！本当に最悪の目覚めですよ！！！｣

せつ菜｢あーーーーーー…｣

せつ菜｢顔でも洗いに行きますか……｣ｽﾀｽﾀ

ｶﾞﾁｬ

せつ菜｢！｣

歩夢｢おはよっ｣

せつ菜｢あ、歩夢さん？！｣

歩夢｢もー、だから歩夢って呼んでって言ってるじゃん！｣

せつ菜｢は…は？？｣

歩夢｢あ、迎えに来たんだけどね、菜々ちゃんが全然起きないから上がらせてもらったんだ｣

せつ菜｢？？？？？｣

歩夢｢寝ぼけてるね｣ﾌﾌｯ

せつ菜(ど、どういう状況なんですかこれは！！！)

ｼﾞｬﾊﾞｼﾞｬﾊﾞ

せつ菜｢…｣

歩夢｢目は覚めた？｣

せつ菜｢…まだ寝ぼけてると思います｣

歩夢｢もー、しっかりしてよ？｣

せつ菜｢はい……｣


せつ菜(…これも、夢、ですかね)

せつ菜(そうです！これも夢ですよ！！そもそも朝にわたしの家に歩夢さんがいる訳ないんですから！)

せつ菜(でも、さっきの最悪な夢と違ってこの夢は幸せそうな気がします！！)

せつ菜(目が覚めるまで、距離感の近い歩夢さんを楽しみましょう！)

せつ菜｢お父さん、お母さん、おはようございます！｣

歩夢｢え？｣

せつ菜｢へ？何か変なこと言いました？｣

歩夢｢…うう……ごめんね……っ…ごめんね菜々ちゃんっ……！！！｣ｸﾞｽｸﾞｽ

せつ菜｢ちょちょちょ！なんで泣いてるんですか？！｣

中川父｢どうした？｣

せつ菜｢お父さん！いきなり歩夢さんが…それより、お母さんはどこですか？｣

中川父｢……お前上原さんの前でそれを言ったのか？！｣

せつ菜｢え？何かおかしいですか？｣

中川父｢っ……！！｣ﾊﾞﾁﾝｯ!!

せつ菜｢いたっ……｣

せつ菜(な、何が起こってるんですか……？！)

せつ菜(厳しい人でも、絶対に手をあげることのなかったお父さんが……)

せつ菜(…いえ、そうです これは夢だったはずです)

せつ菜(現実世界と異なっていても、おかしくありません！)

せつ菜(そう…全部夢 夢なんですから！！！)


─────

せつ菜｢いってきます｣ｶﾞﾁｬ

歩夢｢…｣ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

せつ菜(歩夢さんはさっきの出来事以来、ずっと俯いたままです)

せつ菜(なぜ歩夢さんは泣いてしまったのでしょう…それに、謝っていた理由も気になります)

歩夢｢……菜々ちゃん｣

せつ菜｢！ な、なんですか？！｣

歩夢｢ふふ…あははははっ｣

せつ菜｢？！｣

歩夢｢夢じゃないよ！！全部全部！！｣

せつ菜｢……え？｣

歩夢｢わたしと菜々ちゃんが産まれる前からの幼なじみってことも｣

歩夢｢わたしが産まれる前に、お母さんが菜々ちゃんのお母さんを〇しちゃったことも…！！全部現実なんだよ！！！！｣

せつ菜｢は？な、何を言ってるんですか？！｣

歩夢｢でも仕方ないよね…これが菜々ちゃんが…いや、"せつ菜ちゃん"が望んだことなんだから！！！｣

せつ菜｢！？！？｣

歩夢｢あはははははっ！！あはははははははは！！！！！｣

せつ菜｢っ…────────｣

菜々！菜々！！

せつ菜｢う……ううん……｣ﾑｸﾘ

中川母｢もう！いつまで寝てるの！｣

せつ菜｢お、お母さん…？｣

中川母｢遅刻しちゃうわよ！｣

せつ菜｢え…｣ｷｮﾛｷｮﾛ

せつ菜(わたしの部屋…てことは、本当にさっきのは夢だったんだ……)

せつ菜｢は、はい すぐ準備します｣

中川母｢まったく｣ｽﾀｽﾀ

せつ菜｢……いえ、これも夢の可能性が…もう何が現実で何が夢なのかわからなくなってきました…｣ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

虹ヶ咲学園前

せつ菜(ここまでは至って普通…夢だと思う点はひとつもありませんでした)

せつ菜(てことは、ようやくあの悪夢から目が覚めたということでしょうか)

せつ菜｢……はぁ…｣


侑｢ため息つくと幸せ逃げちゃうよ？｣

せつ菜｢ゆ、侑さん…｣

歩夢｢おはよっ、せつ菜ちゃん！｣

せつ菜｢……ひいっ｣ﾋﾞｸｯ

歩夢｢え？｣

侑｢ど、どうしたの？！｣

せつ菜｢あ、いや…ごめんなさい……｣

侑｢……ひどいクマ｣

せつ菜｢え？｣

侑｢せつ菜ちゃん、寝れなかったの？｣

せつ菜｢それは…｣

歩夢｢怖い夢とか…？｣

せつ菜｢！！｣

せつ菜｢……｣

せつ菜｢……うう……｣ｸﾞｽｸﾞｽ

侑｢おわぁ！せ、せつ菜ちゃん！？｣

歩夢｢だ、大丈夫？！｣

せつ菜｢うわああんっ…！！！｣ｸﾞｽｸﾞｽ

歩夢｢落ち着いた？｣ｻｽｻｽ

せつ菜｢ごめんなさい……｣

歩夢｢ううん、大丈夫｣

せつ菜｢…侑さんは…？｣

歩夢｢お水買いに行ってくれたよ｣

せつ菜｢そうですか…｣

歩夢｢…｣

せつ菜｢…あ、あn｣

歩夢｢どうだった？｣

せつ菜｢え？｣

歩夢｢1日幼なじみ｣

せつ菜｢！？｣

歩夢｢覚悟が足りないよ、覚悟が｣

せつ菜｢？！｣

歩夢｢わたしと侑ちゃんの間に入って、わたしと幼なじみになりたかったんでしょ？｣

歩夢｢覚悟が足りなさすぎるよ｣

せつ菜｢！｣

歩夢｢幼なじみっていうのはね、沢山の幸せと沢山の困難 こういったものを何度も乗り越えて、強い絆で結ばれ合うの｣

歩夢｢でも、せつ菜ちゃんにはその困難を2人で乗り越えようとする覚悟が足りなかった｣

せつ菜｢な、なにを…｣

歩夢｢相応しくないんだよ、わたしの隣にいるには｣

せつ菜｢！！｣

歩夢｢だから、永遠に夢の中を彷徨い続けてなよ｣

せつ菜｢…え？｣

歩夢｢そうすれば何万通り、いや、それ以上ある夢の中から、誰かとお似合いの幼なじみになれる世界も見つかるかもね｣ﾌﾌｯ

せつ菜｢な、何を言ってるんですか…？｣

歩夢｢話はこれでおしまい｣

せつ菜｢ちょ、歩夢さん！｣

歩夢｢おやすみ｣ﾊﾟﾁﾝ

──────

せつ菜ちゃん！せつ菜ちゃん！

せつ菜｢……んん…｣

侑｢よかったぁ…せつ菜ちゃん、目が覚めたよ！｣

せつ菜｢わ…わたしは……｣

侑｢歩夢と話してる途中で、いきなり倒れちゃったんだよ？！｣

せつ菜｢……｣ﾁﾗｯ

歩夢｢…大丈夫…？｣

せつ菜｢……いやっ…｣

歩夢｢え？｣

侑｢せつ菜ちゃん？｣

せつ菜｢いやああああああああっ！！！！！！｣ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

侑｢せつ菜ちゃん！！｣

ﾊﾞﾘｲｲｲｲｲｲｲｲｲﾝ!!!!!!!!

───────

｢本日、午後16時頃 東京都港区にある虹ヶ咲学園で、生徒の飛び降り事件が発生しました
遺書は見つかっておらず、警察は他〇と自〇の両方の可能性があるとみて、捜査を進めています｣

｢本当に怖い、夢の話｣

出演
・優木せつ菜(中川菜々)
・上原歩夢
・高咲侑

脚本
・桜坂しずく

演出
・虹ヶ咲学園演劇部

終わり

何やってんだよ座長…