侑「ジャブで相手の動きを止めてストレートで仕留める、かぁ」【ラブライブ!SS】

SS


1: 2021/01/12(火) 14:09:17.32 ID:12TxSClX
立ったら書く

2: 2021/01/12(火) 14:11:14.89 ID:12TxSClX
侑「ちょっと試してみようかな……」スッ


侑(1で左拳を突き出して)

侑「しゅっ」ヒョロッ

侑(2で右拳を突き出す!)

侑「しゅっ!」ヒョロッ!


侑「……おぉ」

3: 2021/01/12(火) 14:13:38.88 ID:12TxSClX
侑「しゅっしゅっ」ヒョッヒョロッ!

侑「しゅっしゅっ!」ヒョッヒョロッ!

侑「しゅっしゅっ!!」ヒョッヒョロッ!

侑「……ふぅ」


侑「結構いい感じなのでは……?」

9: 2021/01/12(火) 14:18:19.36 ID:12TxSClX
侑「しゅっしゅっ!」ヒョッヒョロッ!

侑「……うん、いい感じだねこれは」

侑「ボクシングはニュースくらいでしか見たことないけど、これはいい感じだと思う」

侑「しゅっしゅっ」ヒョッヒョロッ!


侑「……なんか楽しくなってきた!」

11: 2021/01/12(火) 14:20:12.09 ID:12TxSClX
~1分後~


侑「ダメだ疲れた」グテー

侑「もう腕が上がらない」

侑「……」


侑「私って体力ないのかな……?」

14: 2021/01/12(火) 14:25:05.87 ID:12TxSClX
侑「……いやでも最初のワンツーで仕留めれば体力とか関係ないし」

侑「……」

侑「そうだよ」

侑「ワンツーで確実に相手を仕留めればいいんだ……!」ガタッ

侑「よーし!そうとなったら!」



侑「……明日からまた頑張ろう!」

19: 2021/01/12(火) 14:30:53.58 ID:12TxSClX
~一週間後~


侑(あれから私は毎日左ジャブと右ストレートによるワンツーの練習をするようになっていた)

侑(だんだんとイメージ通りに体が動くようになってきている感じがして楽しい)

侑(ちなみに筋力を上げる為にやろうとした腕立て伏せは初日でギブアップした)

侑(決して一回もできなかったのが理由ではない)

侑(単純に私のスタイルに合っていない、そう判断しただけだ)

21: 2021/01/12(火) 14:35:09.08 ID:12TxSClX
侑「しゅっしゅっ!」ヒョッヒョロッ!!

侑「……ふぅ」

侑「……」

侑「そろそろ実戦で試してもいいのでは……?」

23: 2021/01/12(火) 14:38:32.77 ID:12TxSClX
侑(実戦、となると路上で喧嘩……)

侑(……いや、もし相手に怪我をさせたのが学校にバレたら停学……最悪退学になるかもしれない)

侑(そんなことになったら同好会の皆にも迷惑がかかってしまう)

侑「……うん、路上で試すのはダメだね」

25: 2021/01/12(火) 14:43:16.78 ID:12TxSClX
侑(ならどうしよう?)

侑(近場のボクシングジムに行ってみるとか……?)

侑(……いや、それでもし「これは凄い!是非我がジムに加入を!」なんて展開になったら同好会に参加する時間がなくなってしまう)

侑(皆に迷惑をかけるわけにはいかないし……)

侑「……ジムに行くのもダメだね」

29: 2021/01/12(火) 14:48:02.56 ID:12TxSClX
侑(そういえばうちの学校にはボクシング部があったような……!)

侑(……いや、それもジムと同じ展開になるかもしれないしダメそう)

侑(となると……)

侑(……)


侑「……同好会の誰かに協力してもらう、とか?」

31: 2021/01/12(火) 14:52:21.84 ID:12TxSClX
侑(もちろんその場合は本当に当てたりしたらダメだ)

侑(あくまで試したいだけだから……そうだな、寸止めでやらせてもらおう)

侑(先に相手に殴りかかってもらって、こっちがカウンターで返す!みたいな感じがいいかな?)

侑(あとストレートは強くて危ないからあくまでジャブだけにしよう)

侑(皆に怪我をさせるわけにはいかないからね)

33: 2021/01/12(火) 14:57:38.90 ID:12TxSClX
侑(内容は大体決まったし、後は誰に協力してもらうかだね)

侑(一番頼みやすいのは歩夢……だけど)

侑(歩夢だと「えぇ!?侑ちゃんを殴る!?そんなことできないよ!」ってなりそう、というか絶対なる)

侑(そもそも歩夢に殴られる想像ができないし……うん、歩夢はナシだね)

36: 2021/01/12(火) 15:04:48.99 ID:12TxSClX
侑(……消去法でいこう)

侑(まず一年生に頼むのはダメだね)

侑(先輩にそんなこと頼まれてもやりにくいだろうしかわいそう)

侑(次に三年生もダメかな)

侑(後輩からそんなこと頼むの失礼だし)


侑(……決して怖いからとかではないよ)

39: 2021/01/12(火) 15:09:03.04 ID:12TxSClX
侑(残りは二年生、か)

侑(せつ菜ちゃんはノリが良さそうだし引き受けてくれそうだけど)

侑(……私より小さいしな、こっちがちょっとやりにくいかも)

侑(となると残るは……)

46: 2021/01/12(火) 15:17:33.39 ID:12TxSClX
~翌日、昼休み~


侑「愛ちゃん!」

愛「やっほーゆうゆ!」

侑「ありがとね、わざわざ来てもらって」

愛「いいよいいよ、それで話って?」

侑「うん、実は────」

49: 2021/01/12(火) 15:22:56.34 ID:12TxSClX
侑「────ってことなんだけど」

侑「愛ちゃんには殴りかかる役をお願いしたくて……」

愛「……なるほどね~」

愛「うん、愛さんでよければいいよ!」

侑「ホントに!?ありがとう!」

52: 2021/01/12(火) 15:30:45.41 ID:12TxSClX
愛「ただし、愛さんからも条件出していい?」

侑「条件?」

愛「うん、もしホントに当たっちゃったら危ないからさ、裸拳じゃなくてグローブをつけた状態でやろうよ」

侑「グローブって、ボクシングのやつ?」

愛「そうそう」

侑「わかった、いいよ!……あ、でも私グローブとか持ってなくて」

愛「それなら大丈夫!愛さんからボクシング部の友達に頼んでみるからさ」

侑「そっか、それなら大丈夫そうだね」

54: 2021/01/12(火) 15:37:33.80 ID:12TxSClX
愛「じゃあグローブつけた状態でやるってことで」

侑「うん!お願いします!」

愛「おーよろしく!」

侑「……にしても愛ちゃん、ボクシング部にも友達いたんだね」

愛「あ~まあね」

侑「ホントに顔が広くて凄いな~さすが部室棟のヒーロー!」

愛「……あはは、じゃあまた放課後にね!」

侑「うん!」


侑(よーしこれでついに試せるぞー!)

侑「しゅっしゅっ!」ヒョッヒョロッ!!

57: 2021/01/12(火) 15:45:22.06 ID:12TxSClX
~放課後、ボクシング部練習場所~


愛「やっほー!」

ボクシング部部長(以下部長)「お、来たね」

愛「や~ごめんね、いきなり連絡して」

部長「愛ならいいよ、むしろ嬉しかったし」

愛「ホント?ならいいんだけどさ」アハハ



侑「おお……!」

侑(ここがボクシング部!)

61: 2021/01/12(火) 15:50:38.22 ID:12TxSClX
歩夢「……侑ちゃん、本当に大丈夫なの?」

歩夢「私、心配だよ……」ギュッ

侑「はは、そんな心配しなくても平気だって、ちょっと試すだけだし」

歩夢「……怪我だけはしないでね」

侑「わかってるって」


侑(本当は歩夢には内緒にしておくつもりだったんだけど……まあ仕方ないか)

62: 2021/01/12(火) 15:56:46.49 ID:12TxSClX
璃奈「……」

侑(それと、歩夢だけでなく璃奈ちゃんも見に来ている)

侑(どうやら愛さんについてきたらしい)


璃奈「……侑さん」ジッ

侑「ん?」

璃奈「侑さんは、ボクシングの経験あるの?」

侑「え?」

73: 2021/01/12(火) 16:09:23.35 ID:12TxSClX
>>62
すみません、以下の箇所訂正です

×侑(どうやら愛さんについてきたらしい)

◯侑(どうやら愛ちゃんについてきたらしい)

──────



璃奈「……ううん、なんでもない」

侑「そう……?」

歩夢「ちょっと侑ちゃん!」ガシッ

侑「うわっ!」

歩夢「ボクシングなんていつやってたの!?私そんなの知らないよ!?」

侑「いや、まあ隠れて、みたいな……?」アハハ


璃奈「……本当に大丈夫かな」

66: 2021/01/12(火) 16:01:36.45 ID:12TxSClX
侑(ボクシングの経験、か)

侑(正直ワンツーの練習しかしてないけど……でもそれもボクシングの技だし)

侑「まあ、かじった程度にはあるかな?」

璃奈「そうなんだ」

璃奈「なら、愛さんと闘っても大丈夫なのかな」ボソッ

侑「え?」

76: 2021/01/12(火) 16:17:33.80 ID:12TxSClX
愛「ゆうゆ~!」

侑「!ごめん、私行ってくるね」

歩夢「あっ、ちょっと侑ちゃん!」

侑「話なら後で聞くから~!」

歩夢「も、もう……!」

璃奈「……」

83: 2021/01/12(火) 16:24:41.74 ID:12TxSClX
愛「はい、貸してもらったグローブだよ」

侑「ありがとう!……あれ?」

侑(イメージしたのと違うような……?)

愛「……ああ、これはパンチンググローブっていって練習用のやつなんだよ」

愛「オンスグローブ……っと、テレビでよく見るようなグローブよりも……ゆうゆにはこっちのがいいかなって思ってね」

侑「へぇ、グローブにも色々種類があるんだね~」

侑(なるほど、マジックテープで固定する感じなんだね)

侑(確かにこれは使いやすいかも!)

91: 2021/01/12(火) 16:33:20.72 ID:12TxSClX
愛「ちゃんとつけられた?」

侑「うん、大丈夫そう!」

愛「どれどれ……ん、大丈夫そうだね」

侑「ありがと」

侑「……よし、じゃあ早速お願いしてもいいかな?」

愛「んー、そうだなぁ……」

愛「やる前に確認しておきたいことがあるんだけど、いい?」

侑「?いいよ」

愛「ゆうゆって何種類くらい打てるの?」

侑「……種類?」

愛「……あー、パンチの種類の話ね」

愛「何を打てるのかは事前に確認しとかないとさ、今回はスパーリングでも実際の試合でもないんだし」

侑「……なるほど」

95: 2021/01/12(火) 16:39:45.33 ID:12TxSClX
侑(私が練習したのは左ジャブと右ストレートだけだから……)

侑「二種類、かな?」

愛「……ストレートとフックとか?」

侑「あ、いや、ジャブとストレートだけかな」

愛「……そっかそっか」

愛「ふむ……」

侑「愛ちゃん?」

愛「……ゆうゆさ」

侑「なに?」

愛「ジャブとストレート、一回打って見せてもらってもいい?」

侑「え!?」

103: 2021/01/12(火) 16:47:43.74 ID:12TxSClX
侑(愛ちゃんに殴りかかってもらったところで私の高速のジャブを初披露してびっくりしてもらう予定だったんだけど……)

愛「ゆうゆ?」

侑(……仕方ない、ここは予定変更といこう)

侑「わかったよ」

侑「今ここで打って見せればいいんだよね?」

愛「うん、シャドーでいいからさ」

侑「……しゃどー?」

愛「……あー、何もない空間に向かってパンチを打つってことだよ」

侑「なるほど」

侑(それならいつも練習でやってたことだ!)

112: 2021/01/12(火) 16:59:32.79 ID:12TxSClX
侑「オッケー、なら今からやるね」

愛「うん、何発か連続で打ってみて」

侑「わかった」

侑「ふぅ……」スッ

侑「……」



──────

侑「シュッシュッ!」ビュッブンッ!

侑「シュッシュッッ!!」ビュッブンッ!!

侑「シュッフッッッッ!!!」ビュッブォンッッ!!!

愛「ッッッ!?」

侑「……ふぅ、どうかな?私のジャブとストレートは」キリッ

愛「す、凄いよゆうゆ!!」

歩夢「侑ちゃん凄い!」

璃奈「侑さん凄い」

部長「今すぐボクシング部に入部してくれないか!?」

侑「すみません、私は同好会所属なので……」

部長「そうか、残念だな……凄い才能を発見したと思ったんだけど」

侑「……ですが、愛ちゃんのように助っ人という形でなら試合に参加することもできますよ」

部長「本当か!?それなら今度試合があるんだがそれに是非!」

侑「はは、そしたらまずはスケジュールを確認しないと」

歩夢「侑ちゃん私応援しに行くからね!」

──────



侑(よし!イメージは完璧だ!)

123: 2021/01/12(火) 17:10:41.69 ID:12TxSClX
侑(後は自分の体で再現するだけ!)

侑「……!!」カッ



侑「しゅっしゅっ」ヒョッヒョロッ

侑「しゅっしゅっ!」ヒョッヒョロッ!

侑「しゅっしゅっっ!!」ヒョッヒョロッ!!

愛「……」

侑「……ふぅ、どうかな?私のストレートとジャブは」キリッ

愛「……なるほどね」

歩夢「……可愛い」

璃奈「……パンチってあんなに可愛く打てるものなんだ、私初めて知った」



侑「……あれ?」

135: 2021/01/12(火) 17:21:36.94 ID:12TxSClX
侑「……えっと、どうだった?私のストレートとジャブ……」

愛「あー……ゆうゆさ、一個聞いてもいい?」

侑「え?うん、いいよ」

愛「その……パンチ打つ練習するときさ、何か参考にしてたものとかってある?」

愛「ほら、実際の試合の映像とか、後は動画サイトによくあるパンチの打ち方講座動画みたいなやつとか、なんでもいいんだけどさ」

侑「……なるほど」

侑「それだったら……」スッ

愛「スマホってことは動画とか?」

侑「ううん、これ」

愛「……これ?」

侑「うん」

愛「……そっか、この漫画の影響だったか」

侑「?」

136: 2021/01/12(火) 17:28:53.05 ID:12TxSClX
愛「ちなみにこれ、どこまで読んだ?」

侑「え?あー、無料だったの1話だけだから1話だけ読んだよ」

愛「1話だけ、か……それで……」

愛「……ちなみに、どうして練習始めようと思ったの?」

侑「え?えーと、冴えない感じの主人公がいかにもな不良をボクシングのワンツーで返り討ちに!ってとこが凄いな~って思ってさ!これなら私にもできるかなって!」

愛「……なるほどな~そっかぁ~」

侑「?」キョトン

愛「ゆうゆは可愛いなぁ」ナデナデ

侑「……なんで私頭撫でられてるの!?」

145: 2021/01/12(火) 17:38:22.05 ID:12TxSClX
愛「全巻読んでこれならともかく……うん、1話だけならまあ……」ナデナデ

侑「愛ちゃん?あの……」

愛「……ゆうゆさ」

侑「なに?」

愛「愛さんと一緒に、ちょっと練習してみよっか」ニッ

侑「……え?」



部長「こんにちは」

歩夢「!こ、こんにちは!」

璃奈「……こんにちは」ペコッ

部長「君たちも愛の友達?」

璃奈「うん……じゃなくて、はい」

歩夢「そ、そうです」

歩夢「……私は侑ちゃんの付き添いだけど」ボソッ

151: 2021/01/12(火) 17:49:23.38 ID:12TxSClX
部長「……もしかしてスクールアイドル同好会の人たち?」

璃奈「そう、です」

部長「そうか……」

歩夢「あの、何か……?」

部長「……いや、愛がここに来てくれることはもうないだろうと思っていたからね」

歩夢「え?」

璃奈「……」

部長「愛が色んな部活の助っ人をやっていることは知っているだろう?」

歩夢「えぇ、まぁ……」

部長「そのうちの一つにね、我がボクシング部も入っていたんだよ」



部長「……スクールアイドル同好会に入るまでは、ね」

歩夢「えっ?」

158: 2021/01/12(火) 18:03:08.61 ID:12TxSClX
歩夢「それって、どういう……」

部長「……アイドルは、顔が命なんだろう?」

歩夢「……!」

部長「アイドル同好会に入るのが決まってすぐだったかな、愛から伝えられたんだ」

部長「申し訳ないけどこれからは助っ人に行けなくなった、とね」

部長「最初はどういうことかと思ったけど、すぐに合点がいったよ」フッ

璃奈「……」

部長「そっちの君は知っていたようだね?愛がボクシングをやっていたことを」

璃奈「……」コクリ

璃奈「一応言うと、ボクシング部だけじゃない」

璃奈「空手部とか、レスリング部とか……色んな武道や格闘技系の部活の助っ人も行ってたみたい」

璃奈「でも、全部スクールアイドルと並行してやるには危ないから行くのやめたって、前に愛さんから聞いた」

歩夢「そんなことが……」

163: 2021/01/12(火) 18:17:15.77 ID:12TxSClX
部長「……愛にはボクシングの才能があったんだ」

部長「最初こそ知識経験ともにゼロからのスタートだったが、こちらがやって見せたことを次々に見様見真似で吸収し、理論を後から学ぶことでめきめきと実力を伸ばしていったんだ」

部長「あのまま続けていれば……いや正式にうちに入部してくれればエースとなる日もそう遠くはなかっただろう」

部長「……それだけに、見事に愛を射止めて正式加入させることができた君たちスクールアイドル同好会には……正直嫉妬せざるを得ないよ」

歩夢「……っ」

部長「なんてね、ただの冗談さ」フッ

璃奈「……」

167: 2021/01/12(火) 18:28:44.90 ID:12TxSClX
侑「うぁ~疲れた~!」バタッ

愛「なになに?ゆうゆもうギブなの?」

侑「ちょっと休憩させてぇ……」

愛「まだフォーム矯正の途中なんだけどな~」

侑「お、お願いします、少し時間を……」

愛「まあやりすぎは良くないしね!ちょっと休もっか!」

侑「助かったぁ~……」



歩夢「あっ、侑ちゃん休憩に入るみたい」

璃奈「……もう体力残ってなさそう」

歩夢「侑ちゃ~ん大丈夫~?」ダッ

侑「あ、歩夢ぅ……」グッタリ

歩夢「もう、侑ちゃんってば」アハハ

169: 2021/01/12(火) 18:35:45.19 ID:12TxSClX
愛「いや~、人に教えるってのもなかなか楽しいもんだね~」

璃奈「愛さん、お疲れ様」

愛「おーりなりーお疲れぃ!」

部長「……愛、これからはトレーナーという形で助っ人に来てくれたりしないかい?」

愛「トレーナーか~、それも楽しそうだけど」チラ



歩夢「はい、飲み物」スッ

侑「ありがと~……」



愛「今は一人を育てるだけで手一杯かな~」アハハ

部長「そうか……」フッ

170: 2021/01/12(火) 18:45:17.69 ID:12TxSClX
~その日の夜、高咲家、侑の部屋~


侑「ぐぁ~もう動けない~」ボフンッ

侑「あ~ベッド最高~……」ゴロゴロ

侑「……」



侑(あの後、愛ちゃんからジャブとストレートのフォームについて徹底的に教えてもらった)

侑(結果的に、私のジャブとストレートはただ棒立ちの状態から順番に腕を突き出してるだけで実戦ではまるで使い物にならないということがよくわかった)

侑(もしそれを知らないままボクシング経験がある愛ちゃんに挑んでいたら……)



侑「うあぁぁぁ~!!!!めっちゃ恥ずかしいぃ~!!!!」ジタバタジタバタ

侑「なんだよ『どうかな?私のストレートとジャブはキリッ』ってさぁ~!!!!」ジタバタジタバタ

侑「うわああああああああ!!!!」ジタバタジタバタ

190: 2021/01/12(火) 23:05:18.55 ID:12TxSClX
~一ヶ月後、学校の帰り道~


侑(今日は同好会の活動がお休み!ということで)

侑(歩夢とどこかに遊びにでも行こうかな~と思っていたんだけど……)


──────

歩夢「ごめん侑ちゃん!今日はちょっとお母さんと出かける用事があって……!」

歩夢「誘ってくれたのは本当に!本当に嬉しいんだけど……!ごめんね……!」

歩夢「今度!今度また絶対遊びに行こうね!」

歩夢「ね!?」

──────


侑(……といった感じだったので結局一人で過ごすことになってしまった)

侑(その後誰か誘ってもよかったんだけど……)

侑「まあ、たまには一人で過ごす放課後も悪くないよね~」

侑(せっかくだし、普段はあんまり行かないところに行ってみようかな!)

192: 2021/01/12(火) 23:17:04.05 ID:12TxSClX
~ゲームセンター~


侑(というわけでやって来たよゲームセンター!)

侑(前に歩夢と遊びに来たときにお金使いすぎちゃって「ゲームセンターはしばらくダメ!」って言われて以来かな?)

侑(でもクレーンゲームとか欲しいの見つけるとついついやっちゃうんだよなぁ)

侑「とりあえずぐるっと見て回ろっかな~」

侑「……お?あれは」


璃奈「……」スッパンッガチャガチャシュパッ


侑(璃奈ちゃん!)

侑(あれは……格ゲーかな?)


璃奈「……」ガチャガチャパンッシュッガチャガチャ


侑(な、なんかよくわからないけど凄い操作してる……)

侑(……一段落ついてから声をかけよう)

193: 2021/01/12(火) 23:21:11.98 ID:12TxSClX
~しばらくして~


『YOU WIN !』テレレレー

璃奈「……ふぅ」



侑(おっ、決着着いた感じかな?)

侑「よし……おーい、璃奈ちゃ────」



「っだぁー!!クソがッッ!!」ガンッ

侑「ひっ!?」ビクッ

194: 2021/01/12(火) 23:31:13.17 ID:12TxSClX
侑「な、なに……?」



不良レズ1「畜生ッんだこれ!?全然勝てねぇじゃねぇか!」

不良レズ2「はは、お前の操作がクソなだけっしょ」

不良レズ1「ちげーっつの!アタシはいつも通りだっての!」

不良レズ3「んじゃ相手が強いだけじゃねーの?」



侑(げ、璃奈ちゃんの対戦相手の人達なんかガラ悪そう……)

侑(早いとこ璃奈ちゃん連れて逃げた方がいいよねこれ……)



不良レズ1「チッ、やってられっかこんなクソゲーッ!!」ガンッ

璃奈「……ちょっと」

璃奈「ゲームに当たるのは、よくない」

不良レズ1「……あ?」ギロッ



侑(り、りりり璃奈ちゃん!?)

197: 2021/01/12(火) 23:35:38.75 ID:12TxSClX
不良レズ1「今、なんか言ったか?」ズカズカ

璃奈「ゲームに当たるのはよくない」

璃奈「そう言った、だけ」

不良レズ1「あ~?」

璃奈「……」

不良レズ1「なんだお前、喧嘩売ってんのか?」

璃奈「別に、そんなものは売ってない」



侑(わわ、ちょっとまずいよこれ……!)

199: 2021/01/12(火) 23:42:57.81 ID:12TxSClX
不良レズ1「……ん?」ジッ

璃奈「……なに?」

不良レズ1「へぇ……お前、結構可愛い顔してんじゃん」ジロジロ

璃奈「っ?」ビクッ



不良レズ2「おーい、んなガキほっといてさ~別のとこ行こ~よ~」

不良レズ3「アタシカラオケ行きた~い」

不良レズ1「待って待って~その前にちょいこっち来てよ」

不良レズ2「あ?なんで?」

不良レズ1「こいつもさ、カラオケ連れてこーよ」

璃奈「!?」

侑(は!?)

205: 2021/01/12(火) 23:52:52.10 ID:12TxSClX
璃奈「な、なに言って……」

不良レズ1「ほら、こいつ結構良くない?」

不良レズ2「……ふーん、なかなかイイじゃん」

不良レズ3「てか結構アタシ好みかも」

不良レズ1「ああ、そういやお前口りコンだもんな」

不良レズ3「ばッ!ちげーし!口りコンじゃねーし!年下が好きなだけだし!」

不良レズ1「あーうっせうっせ」

不良レズ2「なんでもいいや、んじゃ行こっか」ガシッ

璃奈「い、いや」ビクッ

不良レズ1「さっきは怒鳴ったりしてごめんねー?ちょっと機嫌悪かったからさー」ガシッ

璃奈「わ、私、人を待ってて」

不良レズ3「なに?彼氏?それとも彼女?」

不良レズ1「なんでもいいよ、とりあえず行こうぜ」グイッ

璃奈「あ、や、やだ……」



侑(……やばい!!!)

209: 2021/01/13(水) 00:03:21.92 ID:ZDeVWzN0
侑(店員さん呼ぼうかなとか思ってたら璃奈ちゃん連れてかれそうになってるし!!)

侑(てか現在進行形で連れ去られてる!!)

侑(どうしよどうする!?)

侑(ここで割って入る!?でも相手は三人だよ!?)

侑(仮に璃奈ちゃんを上手く取り返せたとしてどこに逃げる!?)

侑(まずいまずいどうし────)


──────


璃奈「あ、や、やだ……」


──────


侑(────!!)

バチンッッ

侑「……ふぅ」ヒリヒリ

侑(何をもたもた考えてるんだ私は)

侑(悠長に後のこと考えてる場合じゃないでしょ)

侑(今は!璃奈ちゃんを助けることだけ考え ッッ!!)

213: 2021/01/13(水) 00:19:13.36 ID:ZDeVWzN0
~ゲームセンター前~


不良レズ3「で、彼氏?それとも彼女?」ズイッ

璃奈「っ」ビクッ

不良レズ1「どんだけ気になってるんだよ」

不良レズ2「そういやお前処〇のノンケ好きだっけ」

不良レズ3「ばっ!お前処〇でノンケかどうかは大事だろ!」

不良レズ1「別に非処〇でもどっち好きでもいいじゃねーか……」

不良レズ3「全然違うっての!!」

不良レズ3「で!どっち!?」ズイッ

璃奈「い、いや……ちが……」

不良レズ3「どっちなの!?」ズイッ

璃奈「っ……」



侑「おおおおおお!!!」ダダダダダ

ドンッ

不良レズ3「いっ、て!」

璃奈「!?」

214: 2021/01/13(水) 00:23:22.68 ID:ZDeVWzN0
侑「璃奈ちゃん!」ガシッ

璃奈「ゆ、侑さ」

侑「逃げるよ!」ダッ

璃奈「っ」ダッ



不良レズ1「……オイオイオイ」

不良レズ2「なんだ今の」

不良レズ3「ばっ!何やってんだ追うぞ!」ダッ

216: 2021/01/13(水) 00:34:49.86 ID:ZDeVWzN0
~路地裏~


侑「はぁ……はぁ……」ゼェハァ

璃奈「ふぅ……侑さん大丈夫……?」

侑「はぁ……うん……はぁ……だ、大丈夫……」ゼェハァ

璃奈「……大丈夫じゃなさそう」

侑「いや、だ、大丈夫だけど……」ゼェハァ

侑「ちょっ、ちょっと休ませて……」ゼェハァ

璃奈「……うん」

璃奈「今のうちに、連絡しておく」

侑「だ、誰に……?」ゼェハァ



不良レズ3「いたーッ!!」

ゆうりな「!」

219: 2021/01/13(水) 00:42:51.81 ID:ZDeVWzN0
不良レズ3「アタシからは逃げられないよ~?」


侑「や、やばい……」

璃奈「……逆側から逃げよう」クルッ


不良レズ1「残念!」

不良レズ2「挟み撃ちってやつだよ~」

璃奈「!」

侑「こ、これはまずいね……」ハハ

221: 2021/01/13(水) 00:54:58.61 ID:ZDeVWzN0
侑(……どうしよう)

侑(片方は一人、もう片方は二人が迫ってきてる)

侑(こっちは二人だけど……)


璃奈「……ゆ、侑さん」ギュッ


侑(……璃奈ちゃんの手、震えてる)

侑(そりゃそうだよ、こんな状況怖いに決まってる)

侑(私だって怖いし、今だって膝の震えを抑えるので精一杯だ)

侑(でも)チラ


璃奈「……」ブルブル


侑(……可愛い後輩の前だもん)

侑(勇気出さなきゃ!!)

226: 2021/01/13(水) 01:03:48.20 ID:ZDeVWzN0
侑「璃奈ちゃん」ボソッ

璃奈「!」

侑「私が合図したら、あっちの一人に向かって全力で走って」ボソボソ

侑「あの人は私がなんとか抑えるから、その横を抜けて逃げて」ボソボソ

璃奈「……侑さんはどうするの?」ボソボソ

侑「……なんとかするよ」

侑「ほら、私ボクシングかじってるし」ハハ

璃奈「でもそれは……」

侑「璃奈ちゃんは助けを呼んで来てくれればいいから、ね?」

侑「お願い」ニコ

璃奈「……わかった」コクリ

229: 2021/01/13(水) 01:11:45.73 ID:ZDeVWzN0
不良レズ3「ちょーっと!何こそこそ喋ってんだ~?」

不良レズ3「おねーさんも混ぜてよ~!」


侑「……今!」ダッ

璃奈「!」ダッ

不良レズ3「お!?」

侑「おおおおお!!!」ガシッ

不良レズ3「うわっ!」

璃奈「……っ」タッタッタッ

不良レズ3「あ、ちょっと!」

侑「ダメ!」グイッ

不良レズ3「おお?」

231: 2021/01/13(水) 01:16:25.47 ID:ZDeVWzN0
侑(よし!璃奈ちゃんは大丈夫そう!)

侑(後は……!)

不良レズ3「あーもう、また逃げられちゃった」

侑(私がこの人をなんとかすれば……!)

不良レズ3「……お前さぁ」グイッ

侑「わっ」



不良レズ3「何してくれちゃってんの?」ギロッ

侑「っ」ビクッ

232: 2021/01/13(水) 01:20:05.07 ID:ZDeVWzN0
侑(や、やば……いざ正面から組み合ってみるとわかるけど)

不良レズ3「せっかくアタシ好みの子が見つかったってのにさ~」

侑(この人、力強い……!)

侑(それに……)



不良レズ3「どうやって責任取ってくれんの?」ギロッ

侑(めちゃくちゃ怖い……!!)

233: 2021/01/13(水) 01:27:36.92 ID:ZDeVWzN0
侑(で、でも怖がってちゃダメだ!)

侑(璃奈ちゃんが助けを呼んでくるまで、どうにか時間を稼がなくちゃ……!)

侑「ぃ……いや」

不良レズ3「あ?」ズイッ

侑「っ」ビクッ

侑「……っち、が……を……」

不良レズ3「なに?聞こえないんだけど?」

侑「っ!」

侑「……そ、そっちが……!」

不良レズ3「あ?」

侑「そっちが、嫌がる璃奈ちゃんを無理やり連れ出したんでしょ……!」ブルブル

234: 2021/01/13(水) 01:33:06.13 ID:ZDeVWzN0
不良レズ3「……」ポカン

侑「な、なに……?」ブルブル

不良レズ3「……ぷっ、はは」

侑「っ?」

不良レズ3「あはは、はっ、ちょっこいつ見てよっ」

不良レズ1「ははっ、顔真っ赤じゃん!」ゲラゲラ

不良レズ2「ちょっと泣いちゃってるじゃん」クスクス

侑「えっ、あ……?」ポロ

侑(嘘、私泣いて……?)

不良レズ3「はー……なんだよ」



不良レズ3「お前も、結構可愛い顔してんじゃん」ズイッ

侑「ひっ!?」ビクッ

237: 2021/01/13(水) 01:39:54.60 ID:ZDeVWzN0
侑(な、なに……!?)

不良レズ1「なになに、そいつもお前のタイプってわけ?」

侑(見た目が不良っぽいから喧嘩になるかどうかの心配をしてたのに……!)

不良レズ2「お前ツルペタノンケ処〇口りが好きなんじゃないの?その子ちょっと胸大きくない?」

不良レズ3「ばっ!ちげーよ!確かにどストライクはそれだけど別にそこから少し外れてるくらいなら全然セーフだよ!」

不良レズ2「ふーん、まあ確かにツインテで雰囲気口りっぽいけど」

不良レズ1「お前のストライクゾーンって結構ガバガバだよな」ゲラゲラ

不良レズ3「るせーっての!」

侑(なんか違う意味での危険を感じるよ……!?)

241: 2021/01/13(水) 01:50:21.31 ID:ZDeVWzN0
侑(こ、これは璃奈ちゃんが助けを呼んでくるのを待ってる場合じゃ……!)

不良レズ3「まあいーや」

不良レズ3「……ほら、もっとちゃんと顔よく見せてよ」グイッ

侑「ひっ」ビクッ

侑(ダメだ怖いこれは……!)

侑(抵抗、するしかない……ッッ!!)ヒュッ


バチッ


不良レズ3「ぶっ!?」

242: 2021/01/13(水) 01:54:35.54 ID:ZDeVWzN0
侑「……!」

不良レズ3「い、って……」

不良レズ1、2「!」

侑(当たった、左ジャブ……ッ!)

侑(……ここで止まるな!すかさず右ストレートをッ!)ヒュッ


ガクンッ


侑「あ、れ……?」

侑(右肩が、出ない!?)

245: 2021/01/13(水) 02:01:09.81 ID:ZDeVWzN0
────このとき、私はすっかり忘れていた


不良レズ3「……ってーな!」

ドンッ

侑「がっ……!」


────右肩を回し込んで打つ右ストレートは


不良レズ3「優しくしてたらつけあがりやがって!」ブンッ

侑「ひっ」ビクッ

ガッ

侑「っ、あっ」


────肩を掴まれた状態では十分に打てないということを

246: 2021/01/13(水) 02:11:46.23 ID:ZDeVWzN0
────なにより、私は左ジャブから右ストレートへ繋げるワンツーしか練習していなかった


不良レズ3「喧嘩なら買ってやるぞッ!」

ゴッガッ

侑「っ、うっ」


────しかし、今回のように取っ組み合った超近距離状態では


不良レズ3「オラァッ!」

ドッガッ

侑「っ、ぁ……」


────ワンツーを使用できる場面などなく


不良レズ3「ラァッ!!」

ガッドッ

侑「がっ……」


────ただただ相手の力に蹂躙される他なかった

248: 2021/01/13(水) 02:18:23.66 ID:ZDeVWzN0
不良レズ3「ハァ……ハァ……」

侑「う、ぐ……」

不良レズ3「なんだよ……調子がいいのは最初だけかよ……?」

不良レズ1「オイオイ、何熱くなってんだよ」

不良レズ2「可愛い子に手上げていーわけ?」

不良レズ3「ッるせぇ!こっちは先に一発やられてんだよ!」

不良レズ1「そりゃお前がヘラヘラ油断してるからだろ~?」

不良レズ2「そうそう、あれくらいどうにかできなきゃヤれるもんもヤれないって」

不良レズ3「るせー!」

侑「ぅ……っ……」

253: 2021/01/13(水) 02:27:30.79 ID:ZDeVWzN0
侑(ダメだ……最初の一発しか当たんなかった……!)

侑(後はこの人の力に振り回されながら殴られてばっかで、何もできない……!)

侑(顔は避けてくれてるみたいだけど、それでも体中痛いし……!)

侑(肩を掴まれてる以上、ワンツーを繰り出す隙もない……!)

不良レズ3「……すっかり大人しくなったな?」

侑「っ」ビクッ

侑(私は、この人には……!)ブルブル

不良レズ3「なんだよ、一気にまた可愛い感じに戻ったな」ハハ

不良レズ3「……そんじゃまあ」



不良レズ3「ここでいっちょ、つまみ食いといっちゃいますか?」ニヤァ

侑(勝てない……ッ!!)

255: 2021/01/13(水) 02:37:57.71 ID:ZDeVWzN0
不良レズ1「はあ?お前まさかここでヤる気か?」

不良レズ2「オイオイオイ、いくら人目が少ないからって……ここ一応外だぞ?」

不良レズ3「ばっ!お前誰がここで最後までヤるって言ったよ!」

不良レズ3「あくまでつまみ食いだっての!ちょっとした味見!」

不良レズ1「はぁ……」

不良レズ2「最後までヤるときはさ、ちゃんとホテルとかに連れてけよ」

不良レズ3「わーってるよ!もう!いちいちうるさいな!」



不良レズ3「……さてと、待たせたちゃったね」ジロッ

侑「ひっ」ビクッ

不良レズ3「あーあーすっかり怯えてらぁ」ゲラゲラ



不良レズ3「まあ、そういうの好きなんだけどね」グイッ

侑「や、やっ……!」

256: 2021/01/13(水) 02:46:31.50 ID:ZDeVWzN0
不良レズ3「ほーら暴れんなって」

侑「やだ……離して……!」

侑(こんな、喧嘩にも負けて……ッ)

不良レズ3「あー、汗ばんだ感じのイイ匂いするなー」スンスン

侑「やっ、やだ……!」グスッ

侑(どこの誰かもよくわからない人に好きにされて……ッ)

不良レズ3「なぁ、お前って彼氏とか彼女とかいる?あ、そもそもノンケ?どんな感じ?」スンスン

侑「いやっ……ッ」ポロポロ

侑(意味わかんないこと聞かれて……ッ)

不良レズ3「うわ、めっちゃ泣いてるじゃん!そういうの興奮すんだけど」ハァハァ

侑「やだ……やめて……」ポロポロ

侑(誰か、誰か……ッ)

侑「助けて……!」





「ゆうゆ!!!!!」

260: 2021/01/13(水) 02:54:06.85 ID:ZDeVWzN0
~遡ること少し前~



愛「はぁ……はぁ……」タッタッタッ

愛(今日はりなりーと遊ぶんだ~って楽しみにしてたのに……!)


──────


『助けて』


──────


愛(ってメッセージと位置情報がいきなり送られてくるなんて!)

愛「も~どうなってんのさ~!」

愛(りなりー……無事でいてよね……!)



璃奈「愛さん!」タッタッタッ

愛「!」

261: 2021/01/13(水) 02:58:01.10 ID:ZDeVWzN0
璃奈「よかった、合流でき」

愛「りなりー!」ギュッ

璃奈「わっ」

愛「よかった無事だったんだね!」ギューッ

璃奈「わ、私は大丈夫」

璃奈「それより!」グイッ

愛「お?」



璃奈「侑さんが、侑さんが危ないの……!」

愛「……ゆうゆが?」

262: 2021/01/13(水) 03:03:42.04 ID:ZDeVWzN0
璃奈「侑さんが、私の代わりに残って、それで……!」

愛「りなりー」

璃奈「!」

愛「さっき送られてきた場所に、まだゆうゆがいるの?」

璃奈「う、うん」

愛「わかった、りなりーはどっか安全な場所にいて!」ダッ

璃奈「愛さん!わ、私も……!」タッ

愛「っ」ダダダダダ

璃奈「は、速っ……!?」

264: 2021/01/13(水) 03:15:03.71 ID:ZDeVWzN0
愛(ゆうゆ……!りなりーの為に無茶してくれたんだよね……!)


──────

侑「しゅっしゅっ」ヒョッヒョロッ

──────


愛(あんな可愛いパンチしか打てないのに……!)


──────

侑「……ふぅ、どうかな?私のストレートとジャブは」キリッ

──────


愛(自分が強くないこともよくわかってなさそうなのに……!)


──────

侑「……なんで私頭撫でられてるの!?」

──────


愛(ビシッと決めるとき以外はただの可愛い子なのに……!)


──────

侑「ホントに顔が広くて凄いな〜さすが部室棟のヒーロー!」

──────


愛「……ッ!!」



「助けて……!」

愛「!」

愛(この声は……!)



愛「ゆうゆ!!!!!」バッ

265: 2021/01/13(水) 03:22:07.41 ID:ZDeVWzN0
────そこには



不良レズ1「あ?誰だお前」

不良レズ2「なになに?誰か来ちゃった感じ?」

不良レズ3「オイオイオイお前らちゃんと見張っとけよ!」



────ガラの悪そうな女が三人と



侑「……あっ」



────アタシのよく知る女の子が



侑「愛、ちゃん……?」ポロポロ



────知らない表情で、ボロボロに涙を流していた

266: 2021/01/13(水) 03:30:59.58 ID:ZDeVWzN0
────瞬間、



愛「────ッ」



────プツン、と



愛「────か」

不良レズ3「あ?なんだって?」



────アタシの中で



愛「ゆうゆ泣かせたの」



愛「お前か?」



────何かが、キレる音がした

267: 2021/01/13(水) 03:34:28.72 ID:ZDeVWzN0
すみませんが寝るので一旦ここまでです!!!!!
そろそろ終わり近いので起きたらそのまま続き書いて締めたいと思います!!!!!

286: 2021/01/13(水) 12:28:00.20 ID:ZDeVWzN0
不良レズ1、2、3「ッ!?」ゾクッッッ


愛「────」ザッザッ


不良レズ3「……チッ」バッ

侑「っ……?」ヘナヘナ

不良レズ3「オイ!こっちは今からお楽しみタイムに入ろうとしてるところなんだよ!」ズカズカ

愛「────」ピクッ

不良レズ3「どこの誰か知らねーけどよ!人様の楽しみを邪魔するんじゃねーよッ!」バッ

侑「ぁ、愛ちゃ……!」

愛「────ッシ!!」ビュッ



バチッッバキッズガンッッッ!!!



不良「ぶふッ!!?」

侑「……!?」

288: 2021/01/13(水) 12:30:07.07 ID:ZDeVWzN0
>>286

すみません以下訂正です

×不良「ぶふッ!!?」

◯不良レズ3「ぶふッ!!?」

289: 2021/01/13(水) 12:39:49.29 ID:ZDeVWzN0
────それは一瞬の出来事だった


不良レズ3「ぅ……ッ」ガクッ


────私を襲ったときと同じように、あの人は愛ちゃんの右肩を抑えようと掴みかかった


不良レズ3「ぁ……」フラッ


────しかし、それ以上の速度で愛ちゃんは相手の右側に回り込み


不良レズ3「……」ドサッ


────即座に左ジャブ、右ストレート、右ハイキックのコンボを叩き込んでいたのだった

291: 2021/01/13(水) 12:56:44.49 ID:ZDeVWzN0
不良レズ3「……っ、ぁ……」ピクピク

愛「……ふぅ」

不良レズ1「なっ……?」

不良レズ2「こ、こいつ……!」

不良レズ1「のやろ……ッ!!」バッ



────後ろに控えていた二人のうち一人が愛ちゃんに向かって走り出す



不良レズ1「よくもッ!!」ブンッ



────その勢いのまま大振り気味な右フックを繰り出そうとする、が



愛「────フッ!!」ザッ



────それよりも素早く相手の左手側に回り込んだ愛ちゃんの右掌底が



バグンッッ!!

不良レズ1「がッ!?」



────勢い良く相手のこめかみに叩き込まれた

296: 2021/01/13(水) 13:12:26.35 ID:ZDeVWzN0
不良レズ2「……ざけんなッ!!」ダッ



────残る一人が愛ちゃんに向かって駆け出す



愛「!」



────愛ちゃんはもう一人の相手に向いている為、こちらに背中を向ける形になっている



侑(このまま羽交い締めにでもされたらいくら愛ちゃんでも……!)

侑「っ、後ろ!!」

不良レズ2「終いだオラァッ!!」バッ



────しかし、相手の手が愛ちゃんに届くよりも早く



愛「────エイヤッッ!!!」グルンッ



────振り返るように繰り出された愛ちゃんの後ろ回し蹴りが



ドガッッッ!!!

不良レズ2「ぉがッ!?」



────相手の腹部目掛けて、正確に叩き込まれていた

298: 2021/01/13(水) 13:22:49.17 ID:ZDeVWzN0
不良レズ1「こ、の……ッ」



────かろうじて意識があった残り一人が愛ちゃんに再度向かおうとするが



愛「────ッ」ガシッ

不良レズ1「!」



────即座に愛ちゃんの両手が前屈みになった相手の後頭部に回され



愛「────セイッッ!!」

ドゴッッッ!!

不良レズ1「ごふッッ!?」



────そのまま強烈な膝蹴りが叩き込まれた

300: 2021/01/13(水) 13:28:30.77 ID:ZDeVWzN0
不良レズ1「ぅ……」ドサッ

不良レズ2「ぁ……」ドサッ



愛「────シッ!!」バッ



侑「……すご、い」

侑(なんて……)

侑(なんて綺麗で流れるような動き……ッ!)

303: 2021/01/13(水) 13:34:33.18 ID:ZDeVWzN0
愛「……ふぅ」



侑「ぁ、愛ちゃ……」

愛「っ、ゆうゆ────」



「────なんだァ?これは」

ゆうあい「!?」

304: 2021/01/13(水) 13:41:36.28 ID:ZDeVWzN0
「上玉捕まえたって連絡あったからわざわざ車で来てやったってのに……」チッ



侑(な、なに……誰……?)

愛「……」ジッ



不良レズ2「あ、せ、センパイ……」

先輩レズ「お?何そんなとこで寝転がってんだお前」

先輩レズ「……ん?」チラ

愛「……」

先輩レズ「……お前、どっかで見たことある顔だな」

侑(えっ、愛ちゃんの知り合い……?)

307: 2021/01/13(水) 13:48:42.74 ID:ZDeVWzN0
先輩レズ「……思い出した」

先輩レズ「お前ニジガクのやつだろ、前に試合で見たことあるぜ」

侑「し、試合……?」

先輩レズ「ん?」ジッ

侑「っ」ビクッ

先輩レズ「……なんだよ、ちゃんといるじゃねぇか上玉が」ニヤァ

侑「ひっ!?」

311: 2021/01/13(水) 13:58:03.20 ID:ZDeVWzN0
愛「……おい」ザッ

先輩レズ「ん?あ、その子もしかしてお前の女?」

愛「……は?」

侑(えっ)

先輩レズ「どーなんだよ?」



愛「……だったら、どーすんの?」

侑(え!)

先輩レズ「ふっ……」



先輩レズ「ここでお前をぶっ倒して、その子をアタシのモノにする」スッ

侑「は!?」

愛「……ゆうゆは、渡さないよ」スッ

侑「ちょ……!?」

315: 2021/01/13(水) 14:09:01.49 ID:ZDeVWzN0
不良レズ2「く、くくく……バカだなあの女……」

不良レズ2「いくら喧嘩が強くても、センパイに勝てるわけねーだろッ!」

侑「な、なに……どういうこと……?」

不良レズ2「あの人はな、ボクシングやってんだよ」

不良レズ2「今年大学に入ってからは遊んでるみたいだけど、高校では三年間部活でビシバシやってたんだ!」

不良レズ2「アタシたちみたいなただの不良とは次元が違うんだよ……!」

侑「なっ……」チラ


先輩レズ「……」


侑(た、確かに体格もしっかりしてそうだし、愛ちゃんよりも背が高い……)

侑(それに構えも隙がなさそうというか、強そう……!)

侑(も、もしさっきの話が本当なら、いくら愛ちゃんでもまずいんじゃ……!)

318: 2021/01/13(水) 14:17:26.57 ID:ZDeVWzN0
侑「あ、愛ちゃん……!」

愛「ゆうゆ……」チラ

愛「……大丈夫だよ」



愛「ゆうゆのことは、愛さんがちゃんと守るから」

愛「だから、信じて待っててよ」ニカッ

侑「!」ドキッ



先輩レズ「おーおーなんだよ、堂々と目の前でイチャついてくれるじゃん」

愛「……」スッ

先輩レズ「……ふん、まあなんでもいいさ」

先輩レズ「お前をここで倒すってのは変わらないから」


先輩レズ「よッッ!!」ダッ

愛「!!」バッ

319: 2021/01/13(水) 14:24:22.90 ID:ZDeVWzN0
先輩レズ「────フッ!!」シュッッ

ビッガッッ

愛「────ッッ!」


侑「は、速い!!」

侑(確かに、さっきの人達とはまるで動きが違う!)

侑(隙だらけの大振りなパンチを振るうこともなく、小刻みにリズム良く素早く正確に打ち込んでる感じがする……!)


先輩レズ「ハッ、なんだその程度か!?」シュッッシュッッ

愛「……ッ!」


侑「愛ちゃん……!!」

321: 2021/01/13(水) 14:36:08.57 ID:ZDeVWzN0
────おそらく、これが"ボクシングの勝負"であれば愛ちゃんは体格差の関係もあり圧倒的に不利なままだっただろう



────しかし、ここは"リング"ではなく"路上"であり、この勝負は"ルールのあるスポーツ"ではなく"ノールールのストリートファイト"である



────それはつまり



愛「────フッ」クッ

先輩レズ「ハッ!!」シュッッ

愛「────ッシ!!」


ビシィッ!



先輩レズ「がッ!?」

侑(……右ローキック!?)



────拳以外の武器の使用が許されている、ということである

322: 2021/01/13(水) 14:41:31.78 ID:ZDeVWzN0
先輩レズ「こ、の……!」タッ

愛「────!」タタタ


ビシィッ!


先輩レズ「ッつ!」シュッッ

愛「!」バッ

愛「────」タタタ

先輩レズ「っの、人の周りをクルクルと逃げやがって!」



侑(なるほど、ローキックを利用して相手の裏へ……!)

323: 2021/01/13(水) 14:50:59.17 ID:ZDeVWzN0
侑(それも、ただ裏へ回るだけじゃない……!)

侑(一度自分からフェイントを仕掛けて相手のパンチを誘い出し、その隙に正確にローキックを打ち込んでから回ってる!)

侑(これなら相手は愛ちゃんの動きについていくので精一杯で余裕がなくなる……!)

侑「でも……」


不良レズ2「なにやってんですかセンパイ!」

不良レズ2「そんなの蹴り入れられる瞬間に殴り返せば終わりじゃないですか!?」

先輩レズ「……るせぇッ!口挟むな!」

不良レズ2「ひっ、は、はい……」


侑(……そう、やろうと思えば蹴られる寸前もしくは蹴られる瞬間にパンチを合わせることもできるはず)

侑(それができていないということは────)


ビシィッ!

先輩レズ「ッッ!!」

愛「────」タタタ



侑(愛ちゃんの蹴りとフェイントのレベルがそれだけ高いということ……ッ!)

326: 2021/01/13(水) 14:58:31.46 ID:ZDeVWzN0
先輩レズ「はぁ……はぁ……」

先輩レズ(クソッ左に回るのはわかってるのに追いきれねぇ!)


愛「────フッ」バッ

先輩レズ「ッシ!」シュッッ

愛「ッ」バッ


ビシィッ!


先輩レズ「ぐッ!」


先輩レズ(パンチのフェイントで蹴りに入るモーションが読めない……!)

先輩レズ(前にボクシング部の試合で見たときとは動き方がまるで違う!)

先輩レズ(ボクシングならこんな動きはしない!こいつ……!)



愛「フーッ……」



先輩レズ(……想像以上に強いぞ!!)

330: 2021/01/13(水) 15:11:25.56 ID:ZDeVWzN0
侑(相手の人の動きがだんだん鈍くなってきた……!)


愛「────フッ!」シュッシュッッ

ビッガッッ

先輩レズ「ぐ、うっ……っの!!」シュッッ

ガクンッ

先輩レズ「な!?」ヨロッ

愛「────シッ!」

ビシィッ!

先輩レズ「ぐぁッ!」


侑(軸足である左脚にあれだけダメージを受けてるんだ、もう最初みたいにキレのあるパンチは出せないはず……)

侑(仕掛けるなら……!)



愛「────今だッッッ!!!」ダッ

333: 2021/01/13(水) 15:27:58.61 ID:ZDeVWzN0
────右足を蹴る感じで勢い良く踏み出し、前足である左足に素早くウェイトを乗せる


愛「────」ダンッ


────荷重移動によって上体が前へ出るのと同時に左拳を相手の顔面へ向けて突き出す


愛「────フッ!」ビュッッ

バチンッッ

先輩レズ「ぶッ!」


────腕が伸びきる反動を使って素早く戻ると同時に腰を回し、入れ替えるように右拳を相手の顔面へ突き出す


愛「────ッシ!!!」ブオンッッッ

バキィッッ!!!

先輩レズ「がッッ!!」

愛「────」

先輩レズ「ぁ……ッ」ヨロッ



ドサッ



────ジャブで相手の動きを止めて、ストレートで仕留める



侑(これが、ホンモノのワンツー……ッッ!!!)ゾワッッッ

335: 2021/01/13(水) 15:35:52.48 ID:ZDeVWzN0
愛「ふぅ……」

先輩レズ「ぐ……ぅ……」グググ

愛「……まだ、やる?」

先輩レズ「……ッ」

不良レズ2「せ、センパイ……!」

先輩レズ「……」

先輩レズ「……いや」

先輩レズ「もう、いいよ……」



先輩レズ「参った、お前の勝ちだ」ニッ

愛「……そっか」

先輩レズ「ああ……」チラ

侑「っ」ビクッ

先輩レズ「……あの子は、お前のモノだ」フッ

侑(!?)

337: 2021/01/13(水) 15:46:11.59 ID:ZDeVWzN0
愛「……じゃあ、さっさとどっかに行ってくれるかな?」

愛「それと、次またこんなことをしようってんならそのときは────」



愛「────全力で、潰すよ」

不良レズ2「ひっ」ゾクッッッ

先輩レズ「……わかった」


侑(あ、愛ちゃん……こんな怖い顔と声出るんだ……)

340: 2021/01/13(水) 16:01:18.30 ID:ZDeVWzN0
~不良レズ達が去った後~


愛「────さて、と」


愛「ゆうゆ大丈夫?怪我は?」スッ

侑「ぁ……」

愛「ん?」ニッ



────地面にへたり込んでいた私に目線を合わせるようにしゃがんで微笑む愛ちゃん



侑「わ、たし……は……」



────その優しく暖かい笑顔を見て、私は



侑「ぅ……」



────さっきまでの恐怖とか解放された安堵とか色んなモノが込み上げて来てしまって



侑「ぅぁああ……!」ポロポロ



────それら全部が、とめどなく涙として溢れ出す状態になってしまった

343: 2021/01/13(水) 16:10:02.32 ID:ZDeVWzN0
愛「わ、ゆうゆ!?どしたの!?」

侑「うぁぁぁ……」ポロポロ

愛「ど、どっか痛いの?」

侑「ぜんしんいたいよぉ……でも、そぉじゃなくてっ……」ポロポロ

侑「がんばったけど……やっぱりこわくて……っ」グスッ

侑「でも……あいちゃんたすけにきてくれて……」ヒック

侑「なんか、よくわかんないけどとまらないの……っ」ポロポロ

愛「……そっかそっか」

愛「それなら」ギュッ

侑「!」



愛「ゆうゆが泣き止むまで、愛さんがぎゅってしててあげるからさ」

愛「だから、好きなだけ泣きな?」ニカッ

347: 2021/01/13(水) 16:14:16.75 ID:ZDeVWzN0
侑「あ゛いちゃん……」グスッ

愛「……よしよし」ポンポン

愛「ゆうゆよく頑張った、えらいぞー!」ナデナデ

侑「う、ぅ……」グスッ

侑「ぅあぁぁ……!」ポロポロ

愛「……ホントに、よくがんばったよ」ナデナデ



璃奈(……完全に、出ていくタイミングを逃した)

349: 2021/01/13(水) 16:20:28.92 ID:ZDeVWzN0
璃奈「……」チラ



侑「うっ、うっ……」グスッ

愛「よしよし」ナデナデ



璃奈(侑さん、私を助けてくれたときはカッコよかったのに)

璃奈(今は、なんだかちっちゃい子みたい)キュン

璃奈「……?」

璃奈(今のは、なんだろう……?)

璃奈「……」ジッ



侑「うぅ……」ヒクッ



璃奈「……」キュン

璃奈(……侑さんが泣き止んで、落ち着いたら出ていこう)

璃奈(別に、このまま眺めていたいとかではなくて、侑さんに悪いと思うから)

璃奈(ただ、それだけ)

璃奈(……誰に言い訳してるんだろう、私)

352: 2021/01/13(水) 16:30:11.60 ID:ZDeVWzN0
~しばらくして~


侑「……はぁ」

愛「落ち着いた?」ナデナデ

侑「……うん、ごめんね、なんか情けないとこ見せちゃって」

愛「いいのいいの、気にしないで」ナデナデ

侑「うん、ありがとう……」

愛「どーいたしまして」ナデナデ

侑「……愛ちゃん」

愛「ん?どした?」ナデナデ

侑「……あの、そろそろ大丈夫かなって」

愛「なにが?」ナデナデ

侑「……でるの」

愛「?」ナデナデ

侑「あ、頭撫でるの!そろそろやめて大丈夫だよ!」

愛「……そっかー」ナデナデ

侑「いや無視しないで!?」

354: 2021/01/13(水) 16:38:12.98 ID:ZDeVWzN0
愛「あはは、冗談だって」パッ

侑「ぁ……」

愛「ん?」

侑「ぁいや、撫でられるのは好きだし安心するんだけどね」

侑「同い年の子にやられると、恥ずかしいというかなんというか……」アハハ

愛「……そっかー、でも」ポン

侑「ぇ?」

愛「別に恥ずかしがることないっしょ」ナデナデ



愛「ここには、ゆうゆと愛さんしかいないんだしさ」ニッ

侑「なっ……!」カァァァ

355: 2021/01/13(水) 16:43:34.74 ID:ZDeVWzN0
愛「はは、ゆうゆの照れ顔ゲット~!」ナデナデ

侑「う、ぐ……」カァァァ

侑「……!」


侑「愛ちゃん、手見せて!」

愛「へ?」

侑「いいから!」グイッ

愛「お、おおう?」スッ

侑「……」ジッ

侑「やっぱり」


侑「めちゃくちゃ腫れてる……!」

356: 2021/01/13(水) 16:54:21.69 ID:ZDeVWzN0
侑「な、なんで……!」

愛「……まあ、グローブもバンテージもなしに裸拳であれだけ人を殴ればね」

愛「できるだけ痛めないようにしてたつもりだけど、なかなか上手くいかないもんだよね~」ハハ

侑「……っ」

侑「私の、私のせ」

愛「おっと」ピッ

侑「!」

愛「これはさ、私が望んでやったことで出来たんだよ」

愛「だから、ゆうゆが謝ることじゃない」

侑「愛ちゃん……」

357: 2021/01/13(水) 17:01:40.59 ID:ZDeVWzN0
愛「むしろ名誉のふしょーってやつだよこれは」ハハ

愛「それよりもさ、ゆうゆは怪我大丈夫?」

侑「あ、私は……まあ痛いところあるけど大したものじゃないよ」

愛「……えい」ツン

侑「いたっ!?」ビクッ

愛「……大したことあるじゃんか」クスッ

侑「ぐ、ぐぅ……」

愛「お互いさ、後でちゃんと手当てしないとだね」

侑「……そうだね」クスッ



璃奈「……二人とも」ザッ

ゆうあい「!」

358: 2021/01/13(水) 17:07:48.83 ID:ZDeVWzN0
愛「りなりー!安全なとこにいてって」

璃奈「大丈夫、さっき来たばかりだから」

侑「璃奈ちゃん!よかった無事で!」

璃奈「侑さん……」ジッ

侑「?」


璃奈「……」ギュッ

侑「へ?」

愛「!」

璃奈「ありがとう」ナデナデ

侑「!?ど、どーいたしまして」

璃奈「うん」ナデナデ

359: 2021/01/13(水) 17:16:34.11 ID:ZDeVWzN0
侑「あ、あの璃奈ちゃん?」

璃奈「なに?」ナデナデ

侑「な、なんで頭を撫で続けてるのかなって」

璃奈「……ダメだった?」ナデナデ

侑「いや、その、なんというか……」

璃奈「……侑さん、私の為に頑張ってくれたから」ナデナデ

璃奈「だからこれは、それに対するささやかなお礼」ナデナデ

璃奈「もちろん、今度またちゃんとしたお礼はする」ナデナデ

璃奈「だから、今はこうさせてほしい」ナデナデ

璃奈「ダメ?」ナデナデ

侑「く、くぅ……そこまで言われると……!」


侑(同い年でもあれなのに年下の子、しかも同好会でも一番ちっちゃい璃奈ちゃんにこんなことを……めっちゃ恥ずかしい……!)カァァァ

璃奈(……赤くなってる)

璃奈(かわいいな、侑さん)キュン


愛「あの~愛さんもいるんだけどな~……?」アハハ

361: 2021/01/13(水) 17:41:43.96 ID:ZDeVWzN0
~エピローグ~


侑(あの後、私は璃奈ちゃんが満足するまで頭を撫で続けられた)

侑(よく考えると愛ちゃんにずっと見られてたんだよね……めちゃくちゃ恥ずかしい)

侑(……その後は一人で帰れる状態でもなかったので、お母さんに連絡して迎えに来てもらった)

侑(事情をかいつまんで説明したら無茶はしないでと叱られたけど、それ以上に無事でよかったとめちゃくちゃ心配された)

侑(後日、同好会メンバーにも怪我の理由を説明する必要があったので諸々の事情を伝えた)

侑(やっぱり叱られたしそれ以上に心配させてしまったみたいで……特に歩夢は凄くて、その話をしてから一週間くらいはずっと私にべったりだったっけ)

侑(……正直、歩夢を泣かせてしまったのが今回一番の反省点だったように思う)

侑(路上での喧嘩を自らしようとは絶対に思わないけど、せめていざというときに抵抗する為の手段と体力くらいは最低限身につけておかないとダメだなぁと強く思った)

362: 2021/01/13(水) 17:53:34.49 ID:ZDeVWzN0
侑(それと、歩夢以外にも変化があって……)


侑(璃奈ちゃんと話す機会が前よりも増えた)

侑(それと、スキンシップも)

侑(特に椅子に座ってるときとか、私の頭が璃奈ちゃんより低い位置にあるときは高確率で頭を撫でてこようとしたり、後ろからハグしようとしてくる)

侑(ハグはともかく、頭を撫でられるのはやっぱりまだ恥ずかしくて……たまに私の反応を面白がってやってるんじゃないかと思うときもあったりする)

侑(璃奈ちゃんは愛ちゃんともスキンシップが多いけど、そのときはどちらかと言えば甘えるような形のものが多くて、私のときは甘やかすようなものが多い気がする)

侑(一応、私の方が年上なんだけどなぁ……)


侑(……そうそう、愛ちゃんと言えば────)

363: 2021/01/13(水) 18:05:20.40 ID:ZDeVWzN0
~近所の公園~


侑「しゅっしゅっ」ヒュッヒュッッ

パンッパンッ

愛「そうそうその調子!」

侑「しゅっしゅっ!」ヒュッヒュッッ

パパンッ

愛「いいよいいよ!」

侑「……すぅ」スッ

侑「せいっ!」バッ

トンッ

愛「……おっけー形は良くなってきたよ!」

侑「はぁ…はぁ…」

愛「結構やったしちょっと休憩しよっか?」

侑「うっうん……!」

368: 2021/01/13(水) 18:32:05.47 ID:ZDeVWzN0
侑(あの一件があってからも、私は体を鍛えるのを続けていた)

侑(むしろあの一件があったからこそ、かな?)

侑(あのとき、愛ちゃんが魅せた技の数々に私は完全にときめいてしまっていた)

侑(かつてせつ菜ちゃんのライブを見たときのような感情に似ていて……でも、一つだけ違うものがあって)

侑(それは、私自身がああいう風に技を出せるようになりたい、というものだった)

侑(この違いが生まれたのがなぜなのかはわからないけど……)

侑(……愛ちゃんという明確な目標ができてからは以前よりはっきりとしたイメージが私の中にあって、最初にワンツーを練習し始めた頃よりもしっかり打ち込めている気がするんだ)

侑(それ以来、今日のように時々愛ちゃんにも付き合ってもらったりしている)

侑(愛ちゃんに見てもらった方が練習も捗るしね!)

369: 2021/01/13(水) 18:38:53.92 ID:ZDeVWzN0
侑「……でも、やっぱり愛ちゃんみたいには上手くいかないな~」

侑「左ジャブ、右ストレートのワンツーはだいぶ良くなってきた気がするんだけど」

侑「やっぱりハイキックは難しいなぁ……なんかトンって置きに行く感じになっちゃってるような……」

愛「まあ最初のうちは誰でもそんなもんだよ!」

愛「パンチとキックじゃ全然違うしね、たくさん練習して慣れればいけるって!」

侑「……そうだね、頑張るよ!」

愛「そうそう、その意気だよ!」ポン

侑「!」ドキッ

370: 2021/01/13(水) 18:39:34.18 ID:ZDeVWzN0
愛「でもさぁ、ホントにワンツーは成長したよね~」ナデナデ

侑「そう、かな」ドキドキ

愛「そうだよ!今だから言うけど最初に見せてもらったパンチは『ヒョロッ』って感じだったもん」アハハ

侑「『ヒョロッ』!?それパンチじゃなくない!?」

愛「いやでもホントにそんな感じだったからさ~」ハハ

侑「そ、そんなにダメダメだったかなぁ……」シュン

愛「……んー、そうだなぁ」ナデナデ

371: 2021/01/13(水) 18:48:22.02 ID:ZDeVWzN0
愛「ゆうゆ」スッ

侑「ん、なに?」

愛「もしゆうゆが強くならなくてもさ」

愛「ゆうゆのことは、愛さんがちゃんと守るから」

愛「だから、安心してよ」ニカッ

侑「!」ドキッ


──────

愛「ゆうゆのことは、愛さんがちゃんと守るから」

愛「だから、信じて待っててよ」ニカッ

──────


侑「ま、前にも、同じようなこと言ってたね……」ドキドキ

愛「あれ、そうだっけ?」

侑「……忘れちゃったんだ」

侑「あのとき、結構ときめいたんだけどな」ボソッ

372: 2021/01/13(水) 18:55:37.27 ID:ZDeVWzN0
愛「そうなの?」ズイッ

侑「うわ!き、聞こえてたの!?」

愛「そりゃこの距離なら聞こえるっしょ」ハハ

侑「う、うぅ……」カァァァ

愛「……」

愛「ゆうゆってさ」

侑「な、なに?」



愛「結構、可愛いとこあるよね」ニッ

侑「なぁっ!?」

375: 2021/01/13(水) 19:08:54.85 ID:ZDeVWzN0
愛「いや歩夢と一緒にいるときとかはカッコよく振る舞おうとしてる感じあったりするからさ」

愛「そういうの見れるの、愛さん的には結構ウレシーかも」ニカッ

侑「な、な……っ!」カァァァ

愛「……なんてね」



愛「さ、十分休んだし練習再開しよっか!」

侑「え!?」

愛「ほら、立って立って!」グイッ

侑「わ、ちょ、ちょっと愛ちゃん!」

愛「もっともっと強くなるんでしょ?」

愛「それなら、もっと頑張らなきゃね!」ニッ

侑「……もちろん!」ニッ



おしまい

377: 2021/01/13(水) 19:13:45.26 ID:ZDeVWzN0
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!!!
当初はフィジカルクソザコ侑ちゃんが思わぬカウンター食らって倒れた後恥ずかしさのあまり悶えるギャグSSにする予定で書き始めたのですが気づいたらゆうあいしてました!!!!!
後悔はないです!!!!!

378: 2021/01/13(水) 19:14:48.73 ID:5UpGfSFJ
おつおつ
ゆうあいはいいぞ

379: 2021/01/13(水) 19:15:00.85 ID:Fh+S55Dy
乙!
侑&愛に可能性を感じさせる作品でした!

380: 2021/01/13(水) 19:15:22.20 ID:k/odyvee
侑ちゃんも愛さんもかっこよくてよかった!乙!

381: 2021/01/13(水) 19:15:56.32 ID:wrgdLvwB
イケメンの愛さんはいくらでもすこれるから問題なし

382: 2021/01/13(水) 19:16:02.25 ID:jvm+khfk
良いSSだった

384: 2021/01/13(水) 19:23:06.30 ID:/FkosRuj
おつ!
ゆうあいも素晴らしいな…

386: 2021/01/13(水) 19:43:05.24 ID:qSc7L+Uk
侑「しゅっしゅっ! やー、私って同好会最弱とか言われてるけどさー、しゅっしゅっ!」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1610201860/

これと同じ人?

390: 2021/01/13(水) 20:17:14.75 ID:ZDeVWzN0
>>386
そちらは別の方のSSですね
虹のSSで完結したのはこちらが初めてです

387: 2021/01/13(水) 19:55:28.61 ID:TpbTYl/R
名作すぎる

389: 2021/01/13(水) 20:07:24.06 ID:ixIpnwIc
乙!
侑ちゃん可愛いし愛さんかっこいいし最高だった!
ほして地味に侑ちゃんの可愛さに気がついた璃奈ちゃんもいいね

391: 2021/01/13(水) 20:26:09.50 ID:xVoDwWMK
おつ!
イケメン愛さんとヒロイン侑ちゃんすごいよかった!

392: 2021/01/13(水) 20:31:42.63 ID:aYG4UFco
もっと完結させていけ

404: 2021/01/14(木) 00:45:42.11 ID:LemhO+OB
愛さん本編でもかなりゆうゆに触ってた
侑ちゃんは気持ちいいんだろうなあ
no title

no title

393: 2021/01/13(水) 20:33:44.37 ID:pS3zcKWE
良い作品をありがとう

397: 2021/01/13(水) 20:44:22.84 ID:FM3Xvwy5
最高。ありがとう

399: 2021/01/13(水) 21:21:59.91 ID:z4zHl2fo
今追いついた
めちゃめちゃ面白かった!ありがとう

401: 2021/01/13(水) 21:40:49.21 ID:vGgpTofH
最高のゆう愛をありがとう…!!

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1610428157/

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