ランジュ「アタシ、あなたは要らないの」【SS】

あゆ SS


1: 2020/11/14(土) 17:23:45.09 ID:sGoHlxVU
 
ランジュ「ま、待ってっ!」



 本日午後4時頃、東京都江東区の学校敷地内で、
 少女が同校の通路から飛び降りるのを見かけた同校学生が110番した。
 少女は制止を振り切って飛び降り、その場で死亡が確認された。

 虹ヶ咲署によると亡くなったのはこの学校に通う高校二年生の少女(16歳)
 目撃した女生徒によると「私は要らない子だから」と言い残して飛び降り自〇を図ったと言う。
 所持品に遺書などは見つかっておらず、
 同署は衝動的に飛び降り自〇を図った可能性が高いとみている。
                               』

5: 2020/11/14(土) 17:39:47.78 ID:sGoHlxVU
ランジュ「ごめんなさい……っ、アタシ……アタシそんなつもりじゃ……っ!」

バンッ!

歩夢「そんなつもりかどうかなんてどうでもいいッ!」

歩夢「死んじゃったんだよ……っ」

歩夢「飛び降りて……死んじゃったんだよっ!」

かすみ「歩夢先輩……」

エマ「貴女が、要らないって言ったから……」

ランジュ「ごめんなさい……ごめんなさいっ」

せつ菜「謝って許されることだと思っているんですか!?」

栞子「さすがに……酷すぎます……」

7: 2020/11/14(土) 17:57:35.62 ID:sGoHlxVU
彼方「二人は、なにしてたのかな……?」

果林「わ、私達は……」

愛「あの子が一人で良いっていうから……」

エマ「言い訳は良いよッ!」

果林「っ」ビクッ

エマ「……あの人のところに、行かせちゃった私達も同罪だよ」

ランジュ「ごめんなさい……っ」

しずく「でも、自〇なんて……」

歩夢「二人がいなくなって……平気な顔してても、ストレスはあったんだよ」

かすみ「そこに、自分は要らないなんて、全否定されたんだもん……」

しずく「………」

ランジュ「ごめんなさい……」

17: 2020/11/14(土) 18:17:42.91 ID:sGoHlxVU
――――――――――
――――――

「その前日までは留学にいっていたって話は?」

歩夢「本当です」

歩夢「本来はその日は登校せずに翌日からだったんですけど」

歩夢「その……私達に会いに来て……」

「そう……」

「貴女は、仲良かったのよね?」

歩夢「幼馴染でした……」

歩夢「私……私……っ」

「上原さん……」

歩夢「ちゃんと連絡しておけばよかった!」

歩夢「止めておけばよかった!」

歩夢「一緒に行っておけばよかった!」

「上原さんっ」

歩夢「私……私……っ!」

歩夢「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「上原さん落ち着いて!」

18: 2020/11/14(土) 18:31:18.11 ID:sGoHlxVU
歩夢(あなたが……いない)

歩夢(電話も、メールも、LINEも……送ってももう、既読さえつかない)

歩夢(どうして……どうして自〇なんて……)

歩夢「会いたい……会いたいよ……」

歩夢「あなたに……会いたいよ……っ」

カチャッ....

歩夢「………」

....スッ
    グッ

――スパッ

歩夢「血が……全然でない……場所、間違えたかなっ」

歩夢「待っててね……すぐ、行くからっ」

歩夢「私……頑張るからっ」

――スッ

24: 2020/11/14(土) 18:59:17.71 ID:sGoHlxVU
――――――――
―――――

せつ菜『歩夢さんがリストカットによる自〇を図ったそうです……』

エマ『そんなっ!』

かすみ『無事なんですか!?』

せつ菜『一命はとりとめたそうですが……まだ、目は覚ましていないそうです』

璃奈『病院は?』

しずく『今は……私達外出禁止です』

彼方『何するか分からないって……こういうことだったんだね』

エマ『……せつ菜ちゃんはどうやって知ったの?』

せつ菜『親の方にですけど連絡、回ってきました……私、歩夢さんと同学年なので……』

せつ菜『偶々、その電話を聞いてしまって……母が私は大丈夫か確認にも来ました』

かすみ『み、みんなまで自〇……しないですよね?』

しずく『……歩夢さんは一番、先輩のこと大切に思ってましたから……』

彼方『このこと、ほかの人には……』

エマ『言っても、どうにもならないよ……』

29: 2020/11/14(土) 19:43:29.07 ID:sGoHlxVU
璃奈『同学年なら、愛さんにも伝わると思う』

エマ『私……あの人のこと、許せないよ……』

エマ『駄目だって分かってる……憎んだって仕方がないって分かってる』

エマ『でも……っ、でも……っ!』

せつ菜『気持ちは、分かります』

かすみ『せつ菜先輩!?』

彼方『穏やかじゃないね~……』

璃奈『あの人の一言で、自〇しちゃった。歩夢さんまで……』

璃奈『許せないよ』

彼方『璃奈ちゃん……』

せつ菜『……あの人の全てを全否定したんです。許せるわけ、ありませんよ』

かすみ『あ、危ないことはしないでくださいね? 話なら……いつでも――』

――ブツッ

彼方『……早まらないと、良いけど』

かすみ『……そう、ですね』

37: 2020/11/14(土) 20:42:55.94 ID:sGoHlxVU
―――――――――
―――――

愛『そう……連絡があって』

果林『……そう』

愛『ほかのみんなにも連絡しようと思ったんだけどさ……同好会のグループ解散しちゃってるし』

愛『改めてグループ作りたいって連絡したけど拒否されちゃって』

果林『私も、寮内だからエマに会いに行ったんだけど……門前払い』

果林『歩夢、無事では、あるのよね?』

愛『らしいけど、人伝の話にどこまで信憑性を持てるか……』

果林『私達が部に移らなければ……』

愛『そんなこと言ったって……』

果林『どうしようもうないのは分かってるけど……だけど』

愛『だけど。ランジュのやり方を認めた結果が、あなたを自〇に追いやることになった』

果林『っ……私達のやり方を認めて欲しいだなんて……』

愛『もう、アタシ顔向けできないよ……』

38: 2020/11/14(土) 21:03:42.14 ID:sGoHlxVU
果林『ねぇ、このこと栞子ちゃんには』

愛『うん、伝えないでおこうと思ってる……』

愛『ほかのみんなにも……無視、されると思うけど』

愛『一応、伝えないようにしようってメッセージは送っておいた』

果林『そう……私達、完全に孤立しちゃったわね……』

愛『こんなつもりじゃ、なかったのにね……』

果林『学校……どうなっちゃうのかしら』

愛『再開すると思う』

愛『もう週末だから、来週の月曜日から、とか』

果林『再開して……それで?』

愛『……それで、どう、なるのかな……』

40: 2020/11/14(土) 21:29:27.83 ID:sGoHlxVU
――――――――――
――――――

しずく「学校は再開したけど……」

かすみ「うん……流石に人が大勢いる部室棟でのこと、だもんね……」

璃奈「みん――」

「ねぇ、あの自〇しちゃった先輩ってスクールアイドル部の――」

かすみ「部じゃなくて同好会!」

「そ、そんな怒らなくたって」

かすみ「先輩は同好会! 部じゃなくて、同好会……っ!」ガタッ

しずく「落ち着いてかすみちゃんっ」ギュッ

璃奈「お願い、私達には関わらないで」

「……ご、ごめん。私そんなつもりじゃ」

かすみ「っ」ギロッ

璃奈「璃奈ちゃんボード」サッ

しずく「今、ナーバスになってるから……お願い」

「う、うん……ごめんね」

41: 2020/11/14(土) 21:51:31.60 ID:sGoHlxVU
しずく「かすみさん、落ち着こう?」

かすみ「同好会……部じゃないのに……部じゃないのに……っ」ギリッ

ガタガタガタガタ.....

しずく「かすみさん……」

璃奈「貧乏ゆすり……保健室行く?」

かすみ「っ……」ガタンッ

璃奈「……HR終わったら保健室行こう。HRは絶対に出てって話だから」

かすみ「うん……ごめん」

しずく「かすみさんが怒らなかったら私が怒ってたかもしれないから……」

璃奈「関係ない人たちにとっては、部も同好会も一緒……」

璃奈「凄く……嫌な気分」

しずく「璃奈さん……」

44: 2020/11/14(土) 23:23:25.43 ID:sGoHlxVU
愛「あ……」

菜々「………」

愛「ぁ……あのさっ」

菜々「なんでしょう?」

愛「その……アタシ……」

菜々「今更どうこう言ったところで……もう戻ってきません」

愛「わ、分かってるよ……分かってるけど――」

菜々「だったら、何を言うつもりなんですか?」

愛「せっつー……」

菜々「宮下さん達は部の人間です……彼女の心に傷をつけた一人です。違いますか?」

愛「それは……」

菜々「それが分かっていてなお、なにを口にすると?」

菜々「まさか……その軽口で"ごめんなさい"とは言いませんよね?」

菜々「もしも万が一そうであれば、ご遠慮いただいてもよろしいでしょうか?」

菜々「さすがに……私も頭に血が上ってまで冷静でいられる自信はありませんので」

愛「っ……そ、そこまで言わなくたって……」

菜々「……なる、ほど」ガタンッ

菜々「わかりました」

49: 2020/11/14(土) 23:44:55.87 ID:sGoHlxVU
エマ「……落ち着かないね」

彼方「うん……どんよりしてる」

エマ「結構な人数があの……光景を見ちゃったらしいから」

彼方「精神的なもので登校で来てない人も……多いね」

エマ「それにしても、彼方ちゃんそのクマ――」

.....ガラッ

果林「ェ……エマ……彼方も……」

エマ「来たんだね」

果林「く、来るわよ……それは」

彼方「来れないと思ってた」

果林「……その……私」

エマ「今更ごめんなさいって言われてもどうにもならないよ」

果林「っ」

エマ「……私で言えば、ここにいる間に一家離散しているようなものなんだ……」

果林「エマ……」

エマ「そんな報告……出来るわけない……」

エマ「止められなかったことが申し訳なくて仕方がないよっ……私っ……私っ」

エマ「あなたの帰ってくる場所……守ってあげられなかったっ」

エマ「辛かったと思う、悲しかったと思う……平気そうな顔して、でもきっと……すっごく」

果林「エマ……」スッ

エマ「触らないでッ!」

51: 2020/11/14(土) 23:53:23.14 ID:sGoHlxVU
果林「……ごめんなさい」

エマ「っ――」

ガシッ

彼方「それ以上はあなたが絶対に望まないって、彼方ちゃんでも断言できるよ」

エマ「彼方ちゃん……」

彼方「うん……うん」ギュッ

エマ「私……私……うぅ……」

彼方「うん……いつもしてくれるから。こういう時くらいは、彼方ちゃんに任せてくれていいよ」

エマ「うぅ……うわぁあぁぁぁぁん……」ギュゥゥッ

彼方「……よしよし」

果林「エマ……」

彼方「果林ちゃん……向こう。行って貰っても良いかな」

果林「か、彼方……」

彼方「お願いだから、ね?」

彼方「彼方ちゃん……怒ってるエマちゃん。あんまり見たくないな」

54: 2020/11/15(日) 00:15:30.34 ID:yejLBccB
―――――――――
―――――

しずく「せ、せつ菜さんが愛さんを殴った……!?」

璃奈「正確には、ビンタしたらしい」

璃奈「なんか、せつ菜さん……ううん、菜々さんが凄い怒ってたって」

彼方「愛ちゃんは特に問題なかったけど、せつ菜ちゃんは早退したみたい……」

かすみ「そう、ですか……」

エマ「同好会も解散、かな……」

しずく「そんな……」

エマ「だって、続けられないよ……」

かすみ「しず子……先輩はもう、いないんだよ」

しずく「でも……だけど……っ」

かすみ「しず子っ!」

しずく「っ……」

璃奈「……今までみたいに、歌うなんて絶対に出来ない」

彼方「でも……残しておきたいって、彼方ちゃんは思う……」

67: 2020/11/15(日) 10:19:41.83 ID:+bAYG8Ft
璃奈「残して、どうするの?」

璃奈「活動できると思えない……残しておいたって、悲しくなるだけだと思う」

かすみ「部室に行くたびに、思い出しちゃうよ……」

しずく「かすみさんはそれでいいの?」

しずく「私達が……私達が私情で離散してしまった時も、かすみさんは――」

かすみ「その時と今じゃ全然違うっ!」

しずく「っ」

かすみ「全然、違う……死んじゃったんだよ?」

かすみ「ただ退部したとか、転校したとか……転部したとか。そんな簡単な話じゃないっ」

かすみ「もう二度と、絶対に……っ、会うことも話すこともできないっ!」

かすみ「……なのに、部室があったら、私……っ」

....ギュッ

エマ「辛いよね……」

彼方「けど、同好会まで無くなっちゃったら……あの子が……」

エマ「……存続できたとして、それって結局、あの子が必要なかったことになると思う」

しずく「それは……でも、私達は元々同好会としての活動をしていたじゃないですか」

璃奈「それは、いなかった頃の話……だよ」

璃奈「いなかった。入って来た。いなくなったから戻して存続。それで……良いって思う?」

68: 2020/11/15(日) 10:31:14.06 ID:+bAYG8Ft
しずく「……それは」

かすみ「しず子にはとってはその程度だったんだ」

しずく「かすみさん……っ」

かすみ「いてもいなくても一緒! いなくなったらいなくなったでまた前に戻るだけ!」

かすみ「その程度にしか考えてないんだッ!」

しずく「ち、違っ……違うのかすみさん……っ」

かすみ「何が違うの!?」

しずく「っ……私、私はただ……」

ガタンッ

しずく「!」

かすみ「っ」

彼方「……落ち着こう?」

璃奈「彼方さん?」

彼方「私達にこんな争いさせるためにあの子がいなくなったってことになる……」

彼方「そんなの……私は絶対に認めない。絶対に嫌、絶対に許さない」

彼方「いい加減に……しようよ」

彼方「……いい加減に、ね?」フラッ

エマ「ぁ……彼方ちゃんっ!」

....ドサッ

72: 2020/11/15(日) 11:10:21.00 ID:+bAYG8Ft
 
――――――――――
――――――

遥「……お姉ちゃん、あの日から全然寝つけていなかったんです」

遥「夜、お休み~って、いつもみたいに明るく言うのに……ベッドに入ってからも……ずっと起きていたみたいで」

遥「ごめんね、ごめんねって……」

遥「一度、ちゃんと寝るように言って膝枕したんですけど……結局、数分もせずに何度も起きちゃって」

遥「……ごめんねって、私にも言うようになって……」

遥「病院に連れていこうとしても、大丈夫だからの一点張りで……っ」

エマ「もしかして……食事も……」

遥「作って、食べてはいました……でも、もしかしたら気付かないところで吐いていたかもしれません」

かすみ「彼方先輩……」

遥「お姉ちゃん、同好会凄く大切にしていました。凄く楽しそうにしていました」

遥「だから……」

しずく「なのに……私達は喧嘩して……」

遥「お姉ちゃんはしばらく入院することになるみたいです」

遥「お願いします……これ以上、お姉ちゃんを苦しませないでください」

遥「お姉ちゃんまで同じようなことになったら私……みなさんを……」

遥「だから、どうかお願いします」

74: 2020/11/15(日) 11:36:27.02 ID:+bAYG8Ft
かすみ「同好会の件は、もう少し落ち着いてからでいい?」

かすみ「歩夢先輩も……せつ菜先輩も、彼方先輩もいないし……」

しずく「うん……そうしよう」

璃奈「今日は、解散だね」

璃奈「それと……定期的に連絡を取り合う方が良いと思う」

エマ「そう……だね。明日も学校があるし、部室……一応、集まろう」

しずく「……四人に、なっちゃいましたね」

エマ「彼方ちゃんも歩夢ちゃんもまだ……」

かすみ「あとは、あの人たちですけど……」

エマ「……彼方ちゃんは争いは嫌だって言ってた」

エマ「だから、私……話くらいはしようと思う」

璃奈「だったら、私も愛さんと」

かすみ「なら、しお子と……でも、あの人だけは無理」

しずく「ランジュさん……思えば、スクールアイドル部開いていませんでしたし……」

しずく「登校していたんでしょうか?」

エマ「明日確認してみよう? 今日は……二年生が、みんな……」

かすみ「そうですね……今日は、ううん。最近は色々ありすぎました」

78: 2020/11/15(日) 12:46:59.90 ID:+bAYG8Ft
――――――――――
――――――

璃奈『かすみちゃん?』

しずく『そう……なんだか、今にも壊れてしまいそうな感じがして』

璃奈『確かに、クラスメイトにもしずくちゃんにも尋常じゃなく苛立ってる感じがしてた』

璃奈『それにかすみちゃん、あの日から一度も"かすみん"って言ってないよね?』

しずく『そ、そう言えば……』

璃奈『かすみちゃん、歩夢さんと同じくらいにあの人のこと好きだった』

璃奈『後追い自〇していないだけ……頑張ってるんだと思う』

しずく『後追い自〇なんてっ』

璃奈『嫌な話だけど、今残ってるメンバーの中で一番危ないのはかすみちゃんかもしれないって私は思ってる』

しずく『危ないって……まさか』

璃奈『何するか分からない』

璃奈『彼方さんまでダウンしちゃって……不幸中の幸い……だなんて言いたくないけど』

璃奈『エマさんは落ち着いたかもしれない……けど、周りに気を使えるとは思えない』

璃奈『それにかすみちゃんの朝の様子を見る限り、ちょっとしたことで爆発すると思う』

璃奈『今の状態でランジュさんと会いでもしたら……嫌な予感しかしない』

しずく『そんな……』

82: 2020/11/15(日) 13:15:10.28 ID:+bAYG8Ft
しずく『待って、だったら栞子さんとも……』

璃奈『……ヤバい。かも』

しずく『わ、私、栞子さんに電話してみる!』

璃奈『分かった。こっちでかすみちゃんに連絡とってみる』

璃奈『栞子ちゃん、意外と無神経だから釘を刺しておいて欲しい』

しずく『栞子さんに"大丈夫ですか?"なんて言われただけでも怒りそう……だよね』

璃奈『うん。だから早く』

しずく『うん!』

......ブツッ

璃奈『……でも、止められる可能性は限りなく低い』

璃奈『今朝は尋常じゃなかった……璃奈ちゃんボードで隠さないといけないくらい、酷い顔してた』

タッ...タタッ

.....プルルルルルッ

璃奈『出て……お願い……』

プルルルル.....

璃奈『かすみちゃん……』

――ガチャッ

83: 2020/11/15(日) 13:24:48.39 ID:+bAYG8Ft
璃奈『かすみちゃん?』

かすみ『……どうか、した?』

璃奈『もしかし……ううん、今、何かしてた?』

かすみ『なんにも……何にもしてない』

かすみ『音楽聞こうと思ったんだけど……聞いてたらっ、また……思い出しちゃって……』

かすみ『先輩のこと……ばっかり考えちゃって……』

璃奈『そっか……』

璃奈『かすみちゃん、栞子ちゃんとは話した?』

かすみ『まだだけど……なに? 私がしお子に怒鳴るとでも思って心配した?』

璃奈『ううん、話してたらどんなこと話したのか情報収集しようと思っただけ』

かすみ『しお子が情報くれるわけないよ』

かすみ『あの人や理事長と繋がりがあるから情報は持ってるかもしれないけど、どうせ何にも言ってこない』

かすみ『個人情報だとかなんだとか屁理屈並べてどうせ何にも教えてくれない』

かすみ『仇も恩義も忘れてさっさと部に行った時みたいに、あの人の味――』

璃奈『かすみちゃん!』

かすみ『っ……』

璃奈『気持ちは分かる……けど、落ち着こう?』

璃奈『深呼吸して……少し、目を閉じよう?』

84: 2020/11/15(日) 15:28:31.28 ID:+bAYG8Ft
かすみ『りな子、私』

璃奈『今のかすみちゃん、ちょっと……怖いよ』

かすみ『怖い……?』

かすみ『怖いなんて、はじめて言われた……』

かすみ『私……怖いんだ』

璃奈『かすみちゃん……』

かすみ『でも、確かに教室で取り乱しちゃったとき……怖がられてたよね』

かすみ『りな子がボードで顔を隠してくれてたっけ……』

かすみ『どんな顔してたんだろ……わかんないや』

かすみ『わかんない……自分の顔がわかんない……自分が自分じゃないみたいに……顔が見えない』

かすみ『エマ先輩たちが許せないって言った時……そんなのダメだって思った』

かすみ『でも……でも私っ……やっちゃえって……やってくれたらいいなって……思って……っ』

かすみ「先輩がいなくなっちゃったって感じるたびに……あの人たちが生きてるのが憎くて堪らなくなってくる……っ!」

かすみ『なんで……どうしてって……』

璃奈『……でも、彼方さんが言っていたように、そんなこと望んでないと思う』

かすみ『分かってるよそんなことっ!』

かすみ『でも……じゃぁ、許せっていうの……?』

かすみ『りな子はあの人達のこと許せるのっ!?』

85: 2020/11/15(日) 15:54:24.51 ID:+bAYG8Ft
璃奈『……許せないと思う』

かすみ『だったら――』

璃奈『でも、私は憎んでるだけではだめだと思う』

璃奈『どうしたらいいかなんて、私にも分からない』

璃奈『でも……憎んで恨んで……その先にはきっと、幸せになれないと思う』

かすみ『幸せ……?』

....アハハハハッ

璃奈『かすみちゃん?』

かすみ『幸せ……? なれると思う?』

かすみ『先輩〇されて……それで……いつか幸せになれるなんて……』

かすみ『そんなわけないっ!』

璃奈『か――』

.....ブツッ

璃奈「……幸せになって欲しいって思ってるはず」

璃奈「恨んで憎んで生涯を捧げて……壊れるよりも」

璃奈「きっと、幸せになって欲しいって」

璃奈「……かすみちゃん……」

87: 2020/11/15(日) 16:41:01.77 ID:+bAYG8Ft
 
――――――――
――――――

エマ「……」

果林「……」

エマ「彼方ちゃんも、あの後失神しちゃったんだ」

果林「え……」

エマ「あの日以降、全然眠れなかったみたいで……食事も、ちゃんとできてなかった可能性があるみたい」

エマ「それで、失神しちゃって……しばらく入院することになった」

果林「そん、な……」

エマ「歩夢ちゃん、彼方ちゃん。これで二人も……だよ?」

果林「っ……」

エマ「ねぇ果林ちゃん……ランジュちゃんは? 何してるの? 知ってるんだよね?」

果林「し、知らないわ……ほんとに、あれ以降連絡つかないし、部にも来ないし」

果林「学校にも、来てなかった」

エマ「……学校にも……?」

果林「え、エマ……?」

エマ「それ、本当?」

88: 2020/11/15(日) 16:51:48.48 ID:+bAYG8Ft
エマ「学校、来てなかったの?」

果林「み、見に行って、聞いたから間違いない。と思うけれど」

エマ「そっか」

果林「っ……」ビクッ

エマ「ランジュちゃん、自分の国に"逃げちゃった"のかな」

果林「エマ……エマ……?」

エマ「あ……ごめんね……」

エマ「こんなじゃ、彼方ちゃんに怒られちゃう」

果林「エマ……彼方は寝不足だったの?」

エマ「うん、そうみたい」

エマ「それに加えて栄養失調も見られたって」

果林「そう……歩夢のご両親から追加の連絡は?」

エマ「誰にも」

89: 2020/11/15(日) 17:11:09.55 ID:+bAYG8Ft
果林「そう言えば……愛とせつ菜の話は聞いた?」

エマ「うん」

エマ「愛ちゃんがせつ菜ちゃん……菜々ちゃんに何か話してて」

エマ「愛ちゃんが笑った……のかな? その時に菜々ちゃんが席を立って……力一杯叩いたって」

果林「聞いてるのは私と同じね……」

果林「せつ菜、停学とかにならないわよね?」

エマ「分からない……けど、私達ってあの子と一番近かったから」

エマ「先生たちも気にしてると思う」

果林「最悪……しばらく自宅待機になるかもしれないわね」

エマ「どうだろう……」

果林「ねぇエマ……私……」

エマ「謝らなくていいよ」

エマ「謝られても、何にも変わらない」

果林「………」

エマ「でも、私達が先輩としてしっかりしないと……だから、協力して欲しい」

91: 2020/11/15(日) 17:59:06.08 ID:+bAYG8Ft
果林「協力するわ……」

果林「何が出来るか分からないけど……私も原因の一つ」

果林「なにより、私だって……あの子のこと、好きだった。大切だっ――」

エマ「嘘だよ」

果林「ぇっ……」

エマ「好き? 大切?」

ガタンッ

エマ「だったらどうして……どうして、部に移籍なんてしたの?」

エマ「あの子が悲しむって、嫌な思いするって、辛いって……分からなかったの?」

エマ「……理解できないよ」

エマ「好きとか大切とか‥…そんな、嘘つかないで」

果林「嘘って……」

エマ「せっかく、我慢しようって……思ってたのに」

エマ「そんな嘘つかれたら……もう私、果林ちゃんのこと大嫌いになっちゃう……」

果林「っ……」ギリッ

果林「……嫌いになったら、良いじゃない」

果林「私だって好きだった! 大切に思ってたわよ!」

果林「その気持ちを嘘だって言われるくらいなら、嘘にしなきゃいけないくらいなら……嫌いになって貰って結構よ!」

93: 2020/11/15(日) 18:55:08.35 ID:+bAYG8Ft
....ガチャッ
      バタンッ!

エマ「ぁ……」

エマ「っ……」

エマ「私……酷いこと言っちゃった……」

エマ「どうしよう……カッとなっちゃって……」

エマ「でも……だって……」

エマ「大切なんて……好きなんて……」

エマ「だったら……転部なんてっ」

エマ「……」フルフル

エマ「彼方ちゃん……っ」

ダッ

.......ガチャッ

エマ「果林ちゃん待ってっ!」

95: 2020/11/15(日) 19:11:53.70 ID:+bAYG8Ft
コンコンッ

エマ「果林ちゃん!」

エマ「……果林ちゃん聞いて!」

エマ「私、知ってたよ。果林ちゃんが好きだって大切に思ってたって」

エマ「でも、だからこそ分からなかった……納得いかなかった」

エマ「それなら……ちゃんとっ」

エマ「あの子が戻ってきてから相談しても良かったよね……っ?」

エマ「なのに……っ」

エマ「果林ちゃん?」

コンコンッ

ガチッ....ガチンッ

エマ「……締まってる」

エマ「果林ちゃん……また、明日話そう?」

エマ「ごめんね……?」

99: 2020/11/15(日) 20:09:48.36 ID:+bAYG8Ft
 
―――――――
――――

しずく『栞子さんは変わりない?』

栞子『は、はい……特に問題は……』

しずく『せつ菜さん達の話は聞いてる?』

しずく『今日、学校でちょっとした騒動があったって……』

栞子『はい……窺っています』

栞子『せつ菜さん……いえ、中川さんは元生徒会長なので』

栞子『あの人が……っていうのは、生徒会内部でも話が上がりました』

栞子『あれは本当なんですか?』

しずく『私も聞いた話なので、絶対とは言えないけれど、本当だと思う』

しずく『実際、せつ菜さんは早退していたし……愛さんは、会えなかったけど……』

栞子『そう、ですか……』

栞子『なぜ、そんなことに……』

しずく『なぜ……?』

しずく『それ、本気で言っているの?』

101: 2020/11/15(日) 20:44:25.36 ID:+bAYG8Ft
栞子『え……?』

しずく『愛さんが部に転部したからだよ……』

しずく『なんて話をしていたのかまでは聞いていないけど』

しずく『あのせつ菜さんが叩くなんて普通じゃない』

しずく『せつ菜さんが怒るような何かを、言ったんだと思う』

しずく『例えば、事の重大さを分かっていないようなこと……とか』

栞子『事の重大さを……』

栞子『歩夢さんの件、でしょうか?』

しずく『え?』

栞子『ですが、愛さんがその……自〇などを軽く考えるとは――』

ガタンッ

栞子『!』ビクッ

栞子『し、しずくさん? しずくさん、大丈夫ですか?』

しずく『……ごめんなさい。ちょっと、驚いちゃって』

102: 2020/11/15(日) 20:58:23.04 ID:+bAYG8Ft
しずく『彼方さんが倒れたことは聞いてる?』

栞子『それは……初耳です』

しずく『あの日以降、眠れていなかったみたいで……急に失神しちゃって』

しずく『しばらく入院が必要みたい』

栞子『そう……ですか』

栞子『では、今同好会はしずくさん、かすみさん、璃奈さん、ヴェルデさん、せつ菜さんの五人ですか?』

しずく『せつ菜さんも出て来られるか分からないから……四人』

栞子『……これからのことは決まっているんですか?』

しずく『まだ未定……だけど、存続と解散で意見が別れちゃって……』

栞子『あの……こんなことを言うのはあれですが』

栞子『もしも万が一、規定人数を割った場合は同好会は廃部と……』

....ギリッ

しずく『ねぇ……』

栞子『はい?』

しずく『ねぇ……栞子さん』

しずく『いい加減に、して貰っていいかな?』

しずく『規定人数どうこうなんてみんな分かってるよ……そういう問題じゃないんだよ』

しずく『分かるでしょ……分かってよ……っ!』

栞子『し、しずくさん?』ビクッ

しずく『先輩がいなくなって、歩夢さんが自〇未遂……それでなんにも感じてないの!?』

しずく『いい加減にしてよ……ッ!』

105: 2020/11/15(日) 21:57:05.20 ID:+bAYG8Ft
しずく『はぁ……はぁっ』

しずく『ごめんなさい……取り乱して……』

栞子『い、いえ……すみません』

栞子『私の失言でした……』

栞子『私も……二人があんなことになって、辛いです』

栞子『なにより、あなたはあんなひどいことをしてきた私を、同好会に招き入れてくれた人……』

しずく『――でも、その恩を仇で返した』

栞子『……それは、否定できません』

栞子『幼馴染であるランジュを放っては置けず、私は部に移りました……』

しずく『その結果、何にも止められずに監視委員だったり、部室没収だったり……』

しずく『恩を仇で返した意味があったのかな……』

栞子『そこは……悔やんでも悔やみきれません』

栞子『ですが、まさかこんなことになるなんて……』

しずく『っ……』

109: 2020/11/15(日) 22:11:12.23 ID:+bAYG8Ft
ギリッ....

しずく『………』

しずく『栞子……さん……』

栞子『どうかしましたか?』

しずく『っ……はぁ……』

グッ......

しずく『かすみさん達には……そういうこと、言わないで』

栞子『ですが……謝罪を――』

しずく『しないでって言ってるんだよ……!』

しずく『お願い……これ以上私達を苦しめないで』

しずく『これ以上、かすみさんの心にヒビを入れないで』

しずく『壊れちゃうよ……』

栞子『しずくさん……』

栞子『分かりました……今更謝罪をしたところで、取り返しが付くものでもありませんし』

栞子『留意します』

しずく『お願い……ね』

ブツッ.....

112: 2020/11/15(日) 22:43:46.41 ID:+bAYG8Ft
しずく「はぁ……」

――ガンッ!

しずく「こんな話……かすみさんがされていたら……」

しずく「恩を仇で返して」

しずく「あまつさえ、悔やんでも悔やみきれない?」

しずく「今更そんなこと言われて……どうしろって……」

しずく「だめだ……取り乱しちゃ……」

しずく「落ち着かなきゃ……落ち着かなきゃ……」

しずく「栞子さんに苛立ったって……何にもならないんだから……」

しずく「うぅ……」

しずく「……もう……もう……っ」

しずく「どうして……どうして……いなくなってしまったんですか……っ」

しずく「先輩……先輩……っ」

しずく「先輩……っ……うぅ……ぁぁあ……」

しずく「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

132: 2020/11/16(月) 08:55:36.25 ID:j0Soebma
 
――――――――
――――――

エマ「しずくちゃんが欠席……?」

璃奈「うん……昼休みは部室集合って連絡したら、今日は学校休ませて貰ってるって」

エマ「どうしたんだろう……彼方ちゃんみたいに、疲れが溜まっちゃってたとか……」

璃奈「しずくちゃん、せつ菜さんが今日は欠席……かすみちゃんは連絡がつかない」

璃奈「彼方さんと歩夢さんは入院……」

エマ「2人だけに……なっちゃったね」

エマ「ついこの前まで、10人いたのに」

エマ「3人いなくなって7人になって……あの子が戻って8人になって……」

エマ「今は、私と璃奈ちゃんだけ」

エマ「私が果林ちゃんを引き留められていたら……そうしたら、もっと結果は変わっていたのかな……っ」ポロポロ

璃奈「それを言ったら、私だって愛さんを止められなかった……」

エマ「どうしよう……ねぇ……どうしたらいいのかな……」

エマ「このままじゃ、もう……一番最悪なままバラバラになっちゃうよ……っ!」

133: 2020/11/16(月) 09:12:42.61 ID:j0Soebma
璃奈「……まだ、一番最悪じゃない」

エマ「え……?」

璃奈「もっと最悪な結果はほかにあると思う」

璃奈「そうなる前段階で、みんな止まってる……だけ」

エマ「もっと悪いって……自〇する子がいるってこと?」

璃奈「自〇なら……最悪でも最低最悪じゃない」

璃奈「せつ菜さんがしたことがもっと過激になる可能性……」

璃奈「誰かが、憎悪に耐えられなくなってランジュさんを〇すかもしれない」

エマ「そんなっ」

璃奈「ないとは言い切れない」

璃奈「せつ菜さんは愛さんを叩いた。かすみちゃんは同級生やしずくちゃんにでさえ一触即発のような状態だった」

璃奈「歩夢さんは自〇しようとして失敗して……今は入院させられて監視下に置かれてる」

璃奈「みんなピリピリしてる……エマさんは大丈夫?」

エマ「わ……たし……」

璃奈「大切な人がいなくなった。留学なんて遠距離じゃない。もう二度と連絡すらできない場所に行っちゃった」

璃奈「なのに、ランジュさんは生きてる……憎いよ。辛いよ」

璃奈「ダメだって分かってても、頭で心は止められない。賑やかなことも今の私達にとっては毒でしかない」

璃奈「憎しみが溜まる一方だから……ちょっとしたことでも頭にきて、手が出ることもある」

エマ「私……果林ちゃんに嘘だって怒っちゃった……あの子が好きだとか大切だとか」

エマ「そんな嘘つかれたら大嫌いになっちゃうって……私、言っちゃった……」

135: 2020/11/16(月) 09:50:18.58 ID:j0Soebma
エマ「すぐに、私悪いこと言っちゃったって思った」

エマ「でも、それを口にしてる時は悪いことだとかそういうこと……考えられていなかったと思う」

エマ「ただ、ふざけないでって気持ちでいっぱいで……」

璃奈「衝動的に……ってやつだね」

璃奈「みんな、余裕がない」

璃奈「私も……もしかしたらダメになっちゃうかもしれない」

エマ「そんなことないよっ」

エマ「璃奈ちゃんはまだ全然問題ないように見える……」

エマ「彼方ちゃんだって、そんな衝動的にはなってなかった」

エマ「だから、璃奈ちゃんだって……」

璃奈「私、愛さんに電話できなかった」

璃奈「話するって言ったのに……できなかった」

璃奈「何か言われたら、突っかかっちゃうかもしれないって思ったら」

璃奈「電話するのが怖くなって……メッセージさえも、送れなかった」

139: 2020/11/16(月) 10:29:24.46 ID:j0Soebma
エマ「璃奈ちゃん……」

璃奈「私は……私も……平気に見えるだけ」

璃奈「かすみちゃん達が私よりも先に怒っちゃったから、落ち着いていられただけ」

璃奈「今……何かあったら、たぶん……私も悪いこと言っちゃうと思う」

エマ「………」

エマ「どう、したらいいのかな……」

エマ「病気なら、仕方がないよ……事故なら、裁判があるよ」

エマ「でも、あの子は飛び降り自〇……ランジュちゃんは直前に話してて、目の前で飛び降りを目撃しただけの人」

エマ「きっと、罪には問われない」

エマ「私……私……っ」

璃奈「落ち着いて」

エマ「落ちつ――」

璃奈「エマさん!」ペシンッ

エマ「ぁ……」

璃奈「ラ……あの人のことはもう考えるの止めよう?」

璃奈「考えちゃうから、憎くなる。考えちゃうから許せなくなる」

璃奈「考えちゃうから余計に考えちゃって……自分に手が付けられなくなる」

璃奈「もう……考えない方が良い」

140: 2020/11/16(月) 11:00:17.21 ID:j0Soebma
エマ「考えないなんてそんなの無理だよ……」

エマ「あの子がいなくなったって感じるたびに、なんで、どうしてって思う」

エマ「なのにランジュちゃんは……って結びついちゃう」

エマ「果林ちゃんも愛ちゃんも栞子ちゃんも」

エマ「部に移籍したくせに……って、嫌なものが湧いて頭がぐちゃぐちゃになっちゃう……」

璃奈「エマさん……」

エマ「私……優しい気持ち……忘れちゃった……」

エマ「ちゃんとしなきゃって……思ってるのに……」

璃奈「………」

璃奈「……そっか」ギュッ

エマ「璃奈ちゃん……」

ヴィーッ...
     ヴィーッヴィーッ....

璃奈「あ……」

エマ「鳴ってるよ?」

璃奈「……っ」フルフル

璃奈「愛さんからの電話……」

141: 2020/11/16(月) 11:15:26.47 ID:j0Soebma
璃奈「……この電話に出ちゃったら」

璃奈「私……エマさんに偉そうなこと言ったのがブーメランになりそうな気がする」

璃奈「今は落ち着いた心のままでいたい」

璃奈「エマさんと、静かな時間を過ごしていたい」

エマ「璃奈ちゃん……」

エマ「ありがとう……璃奈ちゃんが一緒にいてくれてよかった……」

ヴィーッ
   ヴィーッヴィーッ....
ヴィ....

璃奈「今日は、一緒に帰ろう?」

エマ「うん……寮だから、上がって行って」

璃奈「……わかった。お邪魔する」

エマ「もっと、もっと邪魔してくれていいよ……」

エマ「嫌な考え、嫌な思い、嫌なこと……私がしそうな全部の邪魔……して欲しいな……」

璃奈「璃奈ちゃんボード<頑張る>」

エマ「………」

スッ

エマ「……エマちゃんボード<嬉しい>」

143: 2020/11/16(月) 11:31:07.48 ID:j0Soebma
―――――――
――――

「璃奈ちゃんあら、HR終わってすぐに出ていきましたけど……」

愛「え……」

愛「い、急いでる感じだった?」

「急いでるようには見えなかったですけど、いつもよりは速足だったと言うか……用事はあったと思いますけど」

「用事なかったらあんなにすぐ出ていかないでしょ」

「それもそっか……」

愛「………」

「あの……スクールアイドル部、どうなっちゃうんですか?」

「天王寺さん、凄く楽しそうにしてたのに……」

愛「……違う」

「え?」

愛「りなりーは……天王寺さんはね……スクールアイドル同好会だよ」

愛「部じゃなくて、同好会……部なのは、アタシ……」

「そう、なんですね」

愛「……天王寺さんがいないなら、いいや」

愛「ごめんね、ありがと」

タッ....
    タッタッタッタッ....

「……宮下先輩、なんか怖かったね」

「ほら、この前自〇しちゃった先輩、スクールアイドルの……」

「天王寺さんが関係あるのかな、自〇」

「しーっ! そう言うの、言っちゃダメって言われたでしょ」

「……でもさ、あの日以降スクールアイドルの人たちみんな様子がおかしいって話だし……」

「留学も、部だか同好会から追い出されてただけなのかもって噂だしね……」

「……怖いね」

146: 2020/11/16(月) 11:43:08.32 ID:j0Soebma
トゥルルルルル....
    トゥルルルルルルル.....

愛「りなりー……」

愛「どうして電話出てくれないの……?」

愛「メッセージにも既読つかない」

愛「電話だって、お昼から何回も……」

愛「少しくらい話をしてくれたって良いじゃん……話を聞いてくれたって良いじゃん」

愛「許されないことをしたんだって……分かったよ……」

愛「もう十分わかったよ……」

愛「せっつーにも、怒られた」

愛「いい加減にしてくださいって……あんなに怒ったせっつー初めてだった」

愛「今更謝られてもっていうのも……分かってるよ」

愛「でも……」

ブツッ

愛「りなりー……っ」

147: 2020/11/16(月) 11:50:37.41 ID:j0Soebma
愛「……せめて、メッセージだけでも見てよ」

スタスタ....

愛「許してなんて言わないから」

愛「ごめんなんて、口が裂けても言わないから」

スタスタ....

愛「歩夢が自〇未遂で、カナちゃんが入院して」

愛「どんどん、同好会のみんながボロボロになっていくのが……心配なだけなんだよ」

愛「今更そんなこと言うなって、思うと思う」

愛「でも、アタシは……愛さんは――」

.....オイ!!

愛「ただ、みんなが……」

「おいっ! 戻れっ!」

愛「え?」

――キキィィィィィッ!!!

ドンッ!

150: 2020/11/16(月) 11:59:21.13 ID:j0Soebma
―――――――
――――

タッタッタッタッ

エマ「はぁっ……はぁ……愛ちゃんは!」

璃奈「どこ……?」

果林「……っ」フイッ

「……どうして、どうして……っ」

璃奈「果林さん……愛さんは……?」

ガシッ

璃奈「愛さんは? どこ……?」

璃奈「果林さ――」

果林「もういないわよっ!」

エマ「っ……」

璃奈「嘘……」

果林「嘘……? 私が、こんなことでも嘘をつくって貴女まで言うの!?」

果林「そんなわけないじゃないっ!」

果林「私だって嘘ならどれだけいいかって思うわよ! 悪い夢、悪い冗談……」

果林「自分だけが死にかけている中で見ている夢なら良いってずっとずっと思っているわよ!」

果林「でも現実なの! これが……現実なのよ……っ!」

155: 2020/11/16(月) 12:11:14.17 ID:j0Soebma
せつ菜「……目撃した人の話では、赤信号無視。歩きスマホで信号を見てなかったそうです」

エマ「そんな……どうしてそんな……」

璃奈「私のせいだ……私がちゃんと出てあげなかったから……」

璃奈「私がメッセージを無視しちゃってたから……」

璃奈「だから愛さんは……」

璃奈「私のせい……私のせいで……っ」

エマ「璃奈ちゃんっ」

璃奈「私が……私が〇しちゃったんだ……っ」

璃奈「あぁ……」

ガクッ

璃奈「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ガンッ...ガンッ....

果林「………」

せつ菜「………」

エマ「璃奈ちゃん……っ」ギュッ

タッタッタッタ.....

かすみ「あ――」

しずく「璃奈さん……っ」

165: 2020/11/16(月) 12:42:33.39 ID:j0Soebma
かすみ「りな子……」

璃奈「………」

エマ「今は、そっとしておいてあげて」ギュッ

しずく「……そうですね」

しずく「果林さん……栞子さんは?」

果林「連絡したけど……返事はないわ……」

せつ菜「……もう、仲違いは止めにしませんか?」

かすみ「仲違い?」

せつ菜「果林さん、栞子さんのお二人といつまでもいがみ合っていない方が良いって話です」

せつ菜「どうにかしなければいけないのに、どうにもできなかった」

せつ菜「ああしたこうした……そんなことを言い合って、互いに反発して……」

ギュッ

せつ菜「その結果が……これです」

せつ菜「愛さんが璃奈さんに必死になった原因の一端は私の浅はかな叱責にあると思います……」

せつ菜「それさえなければ……あの時受け入れずともちゃんと話を聞き、改めて場を設けるなどしてさえいれば」

せつ菜「今回の事故は確実に防げたと思います……」

かすみ「思う、思う……そんなこと言ったってもう遅いじゃないですかッ!」

せつ菜「だからこそですっ!」

かすみ「っ……」

せつ菜「だからこそ……また誰かが、何かが手遅れになる前に……蟠りを解消すべきだと思うんです」

166: 2020/11/16(月) 13:00:58.96 ID:j0Soebma
エマ「……果林ちゃん、ごめんなさい」

果林「エマ……」

エマ「私、酷いこと言っちゃったよね……」

エマ「あんなこと言うつもりはなかった。果林ちゃんが大切に思ってるって知ってた」

エマ「でも、どうして、なんでって思って……気付いたらあんなこと言っちゃって……」

果林「……もう、聞いたわ」

果林「私も、昨日は悪いことを言っちゃったって思ったわ……」

果林「……転部しておきながら、好きだの大切だの言われたって」

果林「そりゃ、信用ならないしふざけるなって思うわよね」

果林「なのに逆切れして、嫌いになってくれて結構だなんて……ほんと」

果林「最低にも程があったと思う……」

果林「悪かったわ……エマ」

168: 2020/11/16(月) 13:11:49.99 ID:j0Soebma
しずく「………」

かすみ「なんですか……それ……」

せつ菜「かすみさん……?」

かすみ「勝手に居なくなって、勝手に仲直り?」

かすみ「そのせいで何があって、誰がいなくなったと思ってるんですか……」

かすみ「ふざけないでください……ふざけないでくださいよっ!」

グイッ

果林「かすみちゃっ……」

かすみ「その程度だったなら初めから転部なんてしないでくださいよっ!」

かすみ「それがあったからっ! そんなことしたから先輩がっ!」

バチンッ

果林「っ!」

かすみ「仲直りなんて……出来るわけないじゃないですかッ!」

しずく「かすみちゃん!」

バシンッ

かすみ「っ……」

しずく「果林さんに謝って!」

171: 2020/11/16(月) 13:28:00.67 ID:j0Soebma
しずく「私だってそんなことわかってる……」

しずく「でも、だとしても私達が言い争って、喧嘩して……それで何か良いことがあるの!?」

しずく「私にはあるとは思えないっ!」

かすみ「こんな人と仲直りしたって良いことなんてないっ!」

ドンッ

しずく「っ……」

果林「………」

かすみ「部外者のくせに……っ、被害者面なんてしないでくださいよっ!」

ダッ

エマ「かすみちゃんっ!」

せつ菜「私が追いかけます!」

タッタッタッタ.....

果林「部外者のくせに……ね……」

果林「そうね……部外者を選んだのは……私なのよね……」

果林「私は私で高みを……ふふっ……馬鹿なこと、したわね……」

エマ「果林ちゃん……」

果林「私のせいで溝を深くするのは申し訳ないから……もう行くわね……」

果林「私……酷いことして、ばっかり……」

しずく「果林さん……」

果林「ありがとうしずくちゃん……ごめんなさいね」

172: 2020/11/16(月) 13:45:46.82 ID:j0Soebma
タタタタタタッ

せつ菜「かすみさん!」ガシッ

かすみ「っ……」

せつ菜「かすみさんの気持ちも分かります……」

せつ菜「ですが、これ以上誰かが死んでしまうなんてことになったら、悔やみきれません……」

かすみ「死んじゃえばいいじゃないですか……」

せつ菜「かすみさん……」

かすみ「先輩がいなくなって、歩夢先輩はそれを追いかけようとして……」

かすみ「そうですよ……死ねば良いんです」

かすみ「死ねばまた、先輩に逢えるじゃないですか」

かすみ「だから……歩夢先輩も死のうと……」

せつ菜「ダメです……そんなの絶対にっ」

せつ菜「そんなこと誰も望まない、誰も喜ばない、なにも良いことなんてない」

せつ菜「死んじゃダメです……っ!」

かすみ「せつ菜先輩……」

せつ菜「……今日はうちに来てください」

せつ菜「嫌だって言っても連れ帰ります」

せつ菜「今のかすみさんを……一人になんてしてあげません……」ギュッ

173: 2020/11/16(月) 14:02:29.00 ID:j0Soebma
――――――――
――――

『本日、午後4時頃……』

ブツッ

璃奈「……愛さんの、ニュース」

エマ「そうだね……」

璃奈「ウェブニュースにもなってた……」

璃奈「ほとんどが名前伏せてくれてたのに……名前、出ちゃってた……」

エマ「璃奈ちゃん……」

璃奈「スクールアイドルだってことも、自〇したあの人との関係も、実家も、全部っ、なにもかも知られちゃってた!」

璃奈「自〇させたのが愛さんじゃないかって言われてる……」

璃奈「愛さんが悪者にされちゃってる……っ」

エマ「見ない方が良いよ……見ちゃったら……」ギュッ

璃奈「愛さんが……私のせいで……っ」

璃奈「うぅぅ……」

エマ「……大丈夫、愛ちゃんが自〇させたわけじゃないって私達は知ってる」

エマ「璃奈ちゃんが〇したんじゃないって、私達は知ってる」

エマ「大丈夫……私は、璃奈ちゃんの傍にいるから」

エマ「今度こそ……もう、手放したりなんてしないから……っ」

176: 2020/11/16(月) 14:12:00.58 ID:j0Soebma
璃奈「エマさん……」

璃奈「……スイスに帰らない?」

エマ「うん」

璃奈「卒業しても一緒にいてくれる?」

エマ「何とかする……」

璃奈「絶対に、いなくなったりしない?」

エマ「約束する」

璃奈「………っ」ギュッ

エマ「………」

エマ「璃――」

ヴィーッ
   ヴィ...ピッ

璃奈「愛さんっ!」

栞子『えっ……ぁ、い、いえ……すみません』

栞子『私です、栞子です。三船……栞子』

璃奈『……栞子ちゃん? 待って、スピーカーにする』

ピッ

璃奈『なに?』

栞子『えっと……ニュースはご覧になられましたか?』

エマ『その話なら、やめてくれると助かるかな……』

181: 2020/11/16(月) 14:23:31.70 ID:j0Soebma
栞子『す、すみません……愛さんの件がニュースになっていて』

栞子『それが誹謗中傷の的になっていると言う話を聞いたので……』

璃奈『それも知ってる……』

栞子『その……その件で、明日、ランジュが直接会ってお話したいと言っているんです』

栞子『もしよろしければ、明日の放課後、スクールアイドル部の部室でお会いできないかと思いまして』

エマ『ランジュちゃんが?』

栞子『はい』

栞子『ランジュは元々、根は悪い子ではないんです……ただ、不器用なだけで』

栞子『自分の発言であの人が目の前で飛び降りてしまってから酷く憔悴してしまっていたのですが』

栞子『そこに、愛さんの事故の話を耳にしてしまって……』

エマ『……許さないよ』

栞『えっ?』

エマ『憔悴したから、何? 愛ちゃんの事故を聞いたから、何?』

エマ『ごめんなさいってされたって……死んじゃった人は戻ってこないんだよ?』

栞子『そ、それは分かっています……ですが、どうか、会って頂くことはできませんか?』

185: 2020/11/16(月) 14:37:38.29 ID:j0Soebma
璃奈『会って、どうするの?』

璃奈『自分の発言が引き金になった、ごめんなさい』

璃奈『そうされて、私達は許してあげればいいの?』

栞子『璃奈さん……』

璃奈『許せると思う? そんな言葉だけで……』

璃奈『たとえ土下座されたって私は許さない……絶対に許さないよ……』

栞子『そんな……』

エマ『栞子ちゃんは許してあげて欲しいんだよね?』

エマ『ランジュちゃんは根が良い子だから、傷ついています。許してあげてください。そう言いたいんだよね?』

栞子『そんなこと言ってません!』

エマ『言ってるようなものなんだよ!』

栞子『っ』

エマ『ねぇ……栞子ちゃんはどうしてそうなの……』

エマ『どうしていつもいつもいつも……っ』

栞子『わ……私は、私はただ……』

璃奈『もう二度と電話してこないで』

ブツッ

栞子「私は……違う……違うんです……っ」

栞子「ただ、本当に……」

栞子「どうして……どうしてこんなことに……っ!」

ガシャンッ

栞子「うぅっ……」

栞子「うぅぅぅぅぅっ……」

190: 2020/11/16(月) 14:48:42.71 ID:j0Soebma
エマ「明日……行く?」

璃奈「学校には行く……でも、会いたくない」

璃奈「会って、ごめんなさいってされて……」

璃奈「冷静でいられる自信がない……」

エマ「……休んじゃおっか」

璃奈「エマさんまで付き合わなくても良い」

エマ「ううん」

ギュッ

エマ「一緒にいる」

エマ「璃奈ちゃん、心配だから」

エマ「それに、あそこにランジュちゃんがいるって分かってたら」

エマ「我慢、出来なくなっちゃうかもしれないでしょ?」

璃奈「………」

エマ「だから、一緒にいる」

エマ「互いに、変なことしちゃわないように……見張ってればいいよ」

璃奈「……うん」

195: 2020/11/16(月) 14:59:19.29 ID:j0Soebma
―――――――
―――

「天王寺さん、中須さんは今日はお休みという連絡がありました」

しずく「え……?」

しずく「それは、本人から連絡があったのでしょうか? それとも――」

「今、昨日の件で忙しいからそう言うのは答えてられないんです!」

しずく「でも――」

トゥルルルルル....ガチャッ

「はい、こちら――」シッシッ

  トゥルルル

トゥルルルル
        トゥルルルル.....

しずく「……っ」

しずく「エマさんも果林さんも今日は欠席……」

しずく「せつ菜……菜々さんも璃奈さんも、かすみさんも……みんな」

199: 2020/11/16(月) 15:10:32.94 ID:j0Soebma
しずく「……どうして、どうしてこんなことになっちゃったんですか?」

しずく「どうして、飛び降りてしまったんですか?」

コツッ.....コツッ....

しずく「……先輩っ」

しずく「ここから……ここから飛んでいけば……また……先輩に……っ」

歩夢「しずくちゃん」

しずく「!」ビクッ

ガタッ

しずく「あ、歩夢さん……っ」

歩夢「ふふっ、どうしたのそんな驚いて……」

歩夢「もしかして、あの子が見えたのかな?」チラッ

しずく「っ……歩夢さん……」

歩夢「なに?」

しずく「なに……してきたんですか……」

しずく「その血……誰のなんですか!?」

歩夢「……あの子がね、そうしなきゃ会ってくれないの」

しずく「え……?」

歩夢「何度も何度も何度も何度も死のうとしたのに……まだ死んじゃダメって……死なせてくれないの」

歩夢「だから……私ね、ちゃんと……ランジュさんのこと、〇してきたの」ニコッ

203: 2020/11/16(月) 15:19:08.79 ID:j0Soebma
歩夢「あの子がそれを望んでた……そうしてくれないと会わないって、言ってた」

歩夢「だから……〇したの」

しずく「そんな……」

歩夢「だって、会いたいよ……会いたくて会いたくて会いたくて……私、こんなに頑張ったよ?」

しずく「ひっ……」

歩夢「腕を切って切って切って切って……なのに、気付いたら病院にいた」

歩夢「屋上に出られないから階段からも飛ぼうとした……でも、邪魔された」

歩夢「だから……私、まだやることが残ってるんだって思った」

歩夢「そしたら、あの子が会いに来てくれたの」

歩夢「ランジュを〇してって……連れてきてって……」

歩夢「あの子が栞子ちゃんを連れてきてね……今日、どこに行けば〇せるか教えてくれたの……」

しずく「栞子さんが〇して欲しいと言うはずが……」

歩夢「しずくちゃんもあの子に会いたくてここに来たの?」

スッ

歩夢「一緒に……会いに行く?」

しずく「一緒にって……まさか、ここから飛び降りるつもりですか!?」

歩夢「うん、そうだよ」ニコッ

208: 2020/11/16(月) 15:35:55.38 ID:j0Soebma
歩夢「あ……」チラッ

しずく「歩夢さん……?」

歩夢「もうちょっと待っててー! 今、しずくちゃんがいるの!」

しずく「あ、歩夢さん……っ、下に誰かいるんですか?」

歩夢「あの子が迎えに来てくれたみたい。ほら、見て」

グイッ

しずく「っ……」

歩夢「ほら、あそこ、あそこで手を振ってる」

歩夢「しずくちゃんもおいでって」

しずく「え……」

しずく「誰もいない……」

グッ

しずく「あ、歩夢さんっ」

歩夢「……何?」

しずく「私は……」

歩夢「あの子が呼んでるんだよ? 早く行こう?」

しずく「やっ、やめ――」

歩夢「しずくちゃ」

しずく「やめてくださいっ!」

ドンッ

ガタンッ...グラッ....

歩夢「ふふっ……先に……行ってるね?」ニコッ

しずく「ぁ……あぁっ、ま、待ってっ!」

しずく「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

―――ドサッ

213: 2020/11/16(月) 15:45:19.92 ID:j0Soebma
――――――
―――

しずく「違うんです……違うんです……私……私そんなつもりじゃ……」

「落ち着いて、誰も貴女を――」

しずく「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う……っ」

しずく「〇すつもりなんて……私……私っ」

しずく「あぁっあぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「落ち着いて! 桜坂さん!」ギュッ

しずく「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

しずく「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「落ち着いて……ダメっ、掻きむしったらまた爪が剥がれちゃう……」

「お願い、お願い落ち着いて……」ギュッ

「至急鎮静剤を!」

しずく「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
っ!」

「落ち着いて……桜坂しずくさん……っ」

216: 2020/11/16(月) 16:07:50.35 ID:j0Soebma
「……それで、貴女は――」

エマ「私は、璃奈ちゃん……天王寺璃奈さんとずっと一緒にいました」

エマ「二人以外、人はいませんでした」

エマ「場所は……璃奈ちゃんのマンションです」

「えぇと……桜坂しずくさんと、上原歩夢さんとは同じ部活仲間という話を聞いたのだけど」

エマ「はい、一緒に活動していました」

エマ「部長が自〇してから……バラバラになってしまって」

エマ「歩夢ちゃんは、自〇未遂をしてしまうなど……色々あって」

エマ「私と璃奈ちゃんは……学校に行きたくなかったので、休んでいました」

「二人が仲悪いとか、そう言った様子は見られました?」

エマ「……いえ、全然」

エマ「あんなことがあるまでは仲良くて……あってからは、歩夢ちゃんは入院していたので」

エマ「……しずくちゃんは、そんなことできるような子じゃありません」

「そうね……あと、もう一つ聞いても良い?」

エマ「はい」

「鐘嵐珠……ランジュさんと、桜坂さんはどうだったかしら」

「ランジュさんと、桜坂さん……貴女達の部と同好会で色々と小競り合いがあった。と聞いているのだけど」

エマ「ランジュちゃんに何かあったんですか?」

「じつは……ランジュさんが部室で亡くなっているのが発見されたの」

エマ「え……?」

218: 2020/11/16(月) 16:20:14.29 ID:j0Soebma
「詳しくは話せないのだけど……」

エマ「二人がそんなことするはずありません!」

「お、落ち着いて……」

エマ「絶対に違います! 何かの間違いです!」

ガタンッ

「そ、そうね!」

「そう……わたし達もそう思っているから安心して!」

エマ「……絶対にそんなことしません……っ」

「……そうね」

「ありがとう、エマ・ヴェルデさん」

「辛いのに、お話を聞かせてくれて」

エマ「いえ……」

「もう帰って大丈夫、車で送らせるから……」

エマ「ありがとうございます。失礼します」

221: 2020/11/16(月) 16:30:30.38 ID:j0Soebma
「………」

「……話は、聞けたんですか?」

「……ええ、二人はそんなことしないって」

「そっちじゃないですよ……もう一つの方です」

「もう一つ……聞けるわけないでしょう」

「………」

「部長さんが自〇、宮下愛さんが事故死」

「上原歩夢さんが転落死、桜坂しずくさんがその〇害容疑」

「聞いた話では、もう一人のメンバーである近江彼方さんは不眠症かつ拒食症を患って……入院中」

「……酷い状態ですね」

「ええ、ほんとに……本当に酷い」

「そんな中、貴方はもう一つの件を聞けっていうわけ?」

「……ですね……」

「中須かすみさんが中川菜々さん〇害後、自〇……こんなの、あの子達に言えるわけないじゃない」

228: 2020/11/16(月) 16:40:52.96 ID:j0Soebma
――――――――
――――

璃奈「エマさんも、同じこと聞かれたんだね」

エマ「うん、〇害容疑がかけられてるみたい」

エマ「璃奈ちゃんはどう思う?」

璃奈「……歩夢さんが〇した」

エマ「やっぱり……そう思う?」

璃奈「それが一番可能性が高い……というより、それ以外にはあり得ないと思う」

エマ「そうだよね……しずくちゃん、歩夢ちゃんが死ぬのを止めようとしたのかな」

エマ「それとも、死のうと思ってあそこに行ってたのかな」

璃奈「分からない」

エマ「……どうしよう、いなくなっちゃったね」

エマ「彼方ちゃんに……なんて言ったらいいのかな……」

エマ「私達以外、いなくなっちゃったって……言わないといけないのかな……」

230: 2020/11/16(月) 16:55:53.54 ID:j0Soebma
璃奈「………」

璃奈「エマさん……私達も、みんなのところに行くっていう手もある」

エマ「璃奈ちゃん……それって、死のうってこと?」

璃奈「もしも、エマさんが辛いのなら」

璃奈「もう、なんにも希望がないって言うなら……いなくなっちゃうかもしれないなら」

璃奈「どうせいなくなるなら……一緒が良い」

璃奈「一人には……なりたくない」

エマ「璃奈ちゃん……」

璃奈「ここのベランダからでも、落ちれば死ぬと思う」

エマ「璃奈ちゃんっ」

ギュッ

エマ「私は大丈夫だよ……璃奈ちゃんがいてくれるもん」

エマ「彼方ちゃんだっている」

エマ「もう、今までの関係には戻れないけど……果林ちゃんだって……」

璃奈「……かすみちゃん達のようには、しない?」

エマ「うん……彼方ちゃんを、これ以上悲しませたくない」

璃奈「……分かった」

エマ「……怒るかな」

璃奈「分からない……けど、怒ってたらまた会えるかも」

エマ「そうだね……また、会えると良いね……」

233: 2020/11/16(月) 17:18:07.61 ID:j0Soebma
エマ「……スクールアイドル部も、同好会も」

エマ「みんな無くなっちゃうね……」

璃奈「学校も、しばらくは駄目だと思う」

璃奈「二人転落死して、一人事故死して、一人〇害」

璃奈「風評も何もあったものじゃないと思うから……」

エマ「部長、愛ちゃん、歩夢ちゃん……」

エマ「そして、ランジュちゃん」

エマ「しずくちゃん、大丈夫かな……目の前で、だもんね……」

璃奈「……分からないけど」

璃奈「歩夢さんがどうだったか……だと思う」

璃奈「歩夢さんが死ぬ気がなくて、突き落としちゃったのなら……しずくちゃんはすごく後悔すると思うけど」

璃奈「もし……もしも、歩夢さんがあの人と同じ場所で死にたくて、あそこに来ていたのなら……」

璃奈「しずくちゃんのこと、歩夢さんは許してくれると思う」

エマ「歩夢ちゃんかぁ……」

エマ「きっと、死にたくてあの場所に行ったんだと思う」

エマ「あの子と同じ場所に行きたくて、あの子に会いたくて……たまたまそこにいたしずくちゃんを誘ったんだと思う」

エマ「……向こうで、幸せになれてるかな」

璃奈「なれてると、いいな」

エマ「そう、だね……」

239: 2020/11/16(月) 17:36:15.26 ID:j0Soebma
――――――
―――

栞子「ランジュが……〇されるなんて……」

栞子「私が教えたから……」

栞子「私がランジュのことを話してしまったから……っ」

栞子「私は……一体、何をしてるんですか……」

栞子「私の方がよりよくしていけると思った生徒会も……」

栞子「上手くいくと思ったことが全然うまくいかなくて、反対までされて……結局、中川さんの力が必要だった」

栞子「ランジュの横暴を止めるために、あの人がせっかく招いてくれた同好会を抜けたのに」

栞子「何一つ止めることが出来なかった」

栞子「しずくさんの言う通りじゃないですか……」

栞子「全部……全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部っ!」

ガシャンッ

栞子「ただ……仇で返しただけじゃないですか……」

栞子「しずくさんに怒られて、璃奈さんとエマさんに怒られて……」

栞子「最後に残ったランジュでさえ……私のせいで……」

栞子「私は何のために……生きてるんですか……」

栞子「周りを不幸にするだけ不幸にして……それで……私は……」

栞子「私は誰かを不幸にするために生まれたんですか?」

栞子「教えてください……誰か……私の存在意義を教えてくださいっ!」

ガシャンッ
    ガタンッ

栞子「誰か……誰か……教えてください……っ」

248: 2020/11/16(月) 17:56:02.94 ID:j0Soebma
栞子「誰か……誰か……?」

栞子「ふふっ……ふふふっ」

栞子「誰もいるわけないじゃないですか……」

栞子「受け入れてくれた同好会を抜けて……」

栞子「幼馴染のいる部活に入って……その結果が、これじゃないですかっ」

栞子「私の愚かさを許してくれたあの人がいなくなったのも、歩夢さんが亡くなったのも」

栞子「愛さんが亡くなったのも、ランジュが〇されてしまったことも」

栞子「全部……私が止められなかったことが原因でしょう……?」

栞子「結果が教えてくれてるじゃないですか……」

栞子「私になんて、存在意義はない」

栞子「私になんて、存在価値はない」

栞子「私はただ……周りの人を不快にさせて、不幸にさせるだけの……存在じゃないですか……っ」

栞子「良いですね……素晴らしい適性じゃないですか……死んだ方が良いですよ……死にましょう、今すぐ……」

栞子「周りを不幸にして、壊すだけ壊して……死ぬ……ふふっ……私にふさわしい……最低最悪の人生じゃないですか……」

栞子「………」

栞子「あぁ……そう、ですね……」

栞子「ならせめて……一つくらい……持って行きます……」

ビリッ....サッサッ.....

栞子「……」

栞子「みなさん……」

ギュッ……ギュッ

栞子「……生まれてきて……申し訳ありませんでした」

グッ......ガタンッ

ギッ.....
    ギッ.....
ギッ....
       ギッ.....
 
 
 

256: 2020/11/16(月) 18:13:24.03 ID:j0Soebma
―――――――
――――

果林「……生徒会長が首つり自〇」

果林「件の自〇に関与している遺書……ね……」

果林「……もう、みんな……そんなところにまで行っちゃったのね……」

果林「……はぁ」

果林「彼方は統合失調症を発症しちゃうし」

果林「エマは留学取り消しで璃奈ちゃんとスイスに帰国……」

果林「ミアはあの子が自〇した後すぐに母国に帰っちゃって……それが一番、賢い選択だったのかもしれないわね」

果林「ねぇ……もう、みんないなくなっちゃったわ」

果林「虹ヶ咲に残ったのは私一人……」

果林「今からキミのこと追いかけても……見つけられるかしら?」

果林「もう一度、みんなと一緒にスクールアイドルをすることができるかしら……?」

果林「みんな一緒じゃなくていいって言ったのに……」

果林「誰もいなくなったのが……辛くて仕方がないの……」

果林「……最低よね、私」

265: 2020/11/16(月) 18:29:43.55 ID:j0Soebma
果林「一人で何かできるわけでもないのに」

果林「一人でできるみたいなことを、良くも言えたものだわ……」

果林「どうしたらいいのかしら……何ができるのかしら……」

果林「ねぇ……エマ……」

トゥルルルルル
     トゥルルルルル.....

果林「………」

果林「ふふっ……出てくれるわけないわよね……」

果林「あの頃に戻りたいわ……」

果林「何の変哲もなくて……賑やかで……ちょっぴり騒がしいと思うこともあるけれど」

果林「楽しくて、間違いなく幸せだって言えたあの頃に」

果林「でも、きっとその時の私は……物足りないだなんて、不満を抱いているのよね」

果林「生意気ね……失わないと気づかない?」

果林「気づかなかったから、こうなってるんじゃない……馬鹿なんだから」

ガッ....
      グイッ

遥「……帰りますよ。果林さん」

果林「見つかっちゃったわね……残念」

遥「死ぬなんて、許しません」

遥「これ以上、お姉ちゃんを苦しめないでください」

274: 2020/11/16(月) 18:46:25.01 ID:j0Soebma
果林「……ごめんなさい」

遥「謝られても、どうにもなりません……」

遥「ようやく戻り始めた頃に……あんなひどい話して……」

遥「お姉ちゃんに……スクールアイドルなんてやめて貰うべきでした……」

果林「申し訳なかったと思ってるわ」

果林「でも、分かって欲しいの……」

果林「どうにもならなかった、無力だった」

果林「あの崩壊は起こるべくして起こったんだって」

果林「そしてその責任の一つが、私にはあるんだって」

遥「だから死ぬんですか? ふざけないでください……生きてください」

遥「まともに生きていくことが出来なくなったお姉ちゃんの分まで……ちゃんと、生きてくださいっ」

果林「………」

果林「彼方の分……ね……」

果林「ええ、ちゃんと生きていくわ……"みんな"の分、生きていかなきゃ……」

遥「……それ、昨日も言ってましたよ」

果林「今日で最後にする」

遥「それも昨日も言ってます」

果林「そうだったかしら……じゃぁ、明日は言わないようにするわ」

遥「それ……いえ、そうしてください」

遥「今日は、お魚をメインでご飯作りますけど、良いですよね?」

果林「ええ……大丈夫……」

284: 2020/11/16(月) 19:19:18.16 ID:j0Soebma
ガチャッ.....

果林「ただいま……」

遥「ただいま、お姉ちゃん」

彼方「………」

遥「お姉ちゃん、起きてたの?」

彼方「…………」

果林「彼方……テレビ、見る?」

果林「………」

彼方「ぁ………」

果林「つけるわね?」

カチッ

『本日午後5時頃、虹ヶ咲学園で理事長を務めていた――』

彼方「ぁ……」

果林「……彼方のことじゃないわ」

ナデナデ

彼方「………」

果林「大丈夫……彼方のことを悪く言う人なんていないから……」

果林「……一緒にお風呂入りましょ? 流しっこ。ね?」

彼方「……ぅ」

果林「ありがと、手……引っ張るからね?」

ペタ....
    ペタペタ.....

遥「………」

遥「……っ」フイッ

陽乃「ぅ……ぅぅ……お姉ちゃん……っ」

285: 2020/11/16(月) 19:20:19.60 ID:j0Soebma
>>284
予測変換強い

最後の行 陽乃→遥

ガチャッ.....

果林「ただいま……」

遥「ただいま、お姉ちゃん」

彼方「………」

遥「お姉ちゃん、起きてたの?」

彼方「…………」

果林「彼方……テレビ、見る?」

果林「………」

彼方「ぁ………」

果林「つけるわね?」

カチッ

『本日午後5時頃、虹ヶ咲学園で理事長を務めていた――』

彼方「ぁ……」

果林「……彼方のことじゃないわ」

ナデナデ

彼方「………」

果林「大丈夫……彼方のことを悪く言う人なんていないから……」

果林「……一緒にお風呂入りましょ? 流しっこ。ね?」

彼方「……ぅ」

果林「ありがと、手……引っ張るからね?」

ペタ....
    ペタペタ.....

遥「………」

遥「……っ」フイッ

遥「ぅ……ぅぅ……お姉ちゃん……っ」

290: 2020/11/16(月) 19:32:27.58 ID:j0Soebma
遥「お姉ちゃん……」

遥「私……っ」

遥「………」フルフル

遥「いつか、いつか戻ってくれるって……信じてるからっ」

遥「……精神的なものだから一時的だって、お医者さまも言ってたから……」

遥「だから……」ポロポロ.....

グッ

遥「立派になったって……お料理もお洗濯も、いろんなこと出来るようになったって……」

遥「偉いねって」

遥「また、遥ちゃんって……笑顔で……」

遥「そうなるって……」

遥「信じて……る……からっ」

ゴシゴシ.....

遥「………」フルフル

遥「……頑張ろうっ」

291: 2020/11/16(月) 19:33:47.78 ID:j0Soebma
終わり。

313: 2020/11/16(月) 19:45:59.83 ID:YVbygHcV
生きてるのってエマりな果林彼方だけ?

308: 2020/11/16(月) 19:45:19.31 ID:j0Soebma
まとめ

あなた:自〇(飛び降り)
 歩夢:●害(しずくに突き落とされる)
せつ菜:●害(かすみとの心中)
かすみ:自〇(せつ菜との心中)
 璃奈:留学(エマとスイス)
 エマ:帰国(璃奈とスイス)
 果林:中退(モデル業+彼方介護)
 彼方:病気(精神病)
しずく:入院(精神病)※のち自〇
  愛:死亡(事故死)

 理事長:死亡(不詳)
ランジュ:〇害(歩夢に刺〇される)
  ミア:ステイツに帰国
  栞子:自〇(首吊り)

314: 2020/11/16(月) 19:46:26.28 ID:dT67EuUu
※のちに自〇

しれっと追加情報が…

293: 2020/11/16(月) 19:35:51.43 ID:3T0hWEKi
終わった(絶望)
どうにかなっちゃった人の描写がうますぎる

297: 2020/11/16(月) 19:38:04.77 ID:btAS03/h
お疲れ様でした。
終わったから言えるけど、傑作と感じました

301: 2020/11/16(月) 19:39:31.79 ID:wW16zu40
俺はこういう展開を妄想してたし見たかった
文字にしてくれてありがとう

310: 2020/11/16(月) 19:45:33.91 ID:M7mc6+iF
おつおつ
読み応えあったわ

331: 2020/11/16(月) 20:40:11.67 ID:wEXClFAL
おもしろかったわ乙

337: 2020/11/16(月) 21:12:48.15 ID:j26cil/v
おつかれさまでした!!
とても好き…好き……。こういうビターなやつ、もっと増えてほしい……。

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1605342225/

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