千歌「導かれし者たち」【長編SS】

どらくえ AqoursーSS


1: 2020/08/12(水) 22:02:47.33 ID:tHMH+efV
1-1

国王「最近イムルの村で子供が行方不明になっているという噂は聞いておろう」

国王「我が国バトランドとしても見過ごせない事態なのでな、おぬしたち兵士に調査してもらおうと思う」

国王「では、行ってまいれ」

果南(子供の神隠しの話は私も聞いたことあるけど…)

果南(事件だとしたら傭兵としてほっとけないよね)

果南「…とりあえずイムルに行って話を聞いてみよう」

2: 2020/08/12(水) 22:03:30.50 ID:tHMH+efV
「そこの戦士さんや」

果南「はい?」

「わしもお城の戦士になってみたいものじゃ。どうじゃろ?つれてってくれぬか?」

果南「えっと…別にいいですけど」

「よし、頑張っていくぞ」

果南「じゃあ行きますよ」

果南(あのおじいさん…私についてこれるのかな?)

果南(…ってもうあんな遅れて!?)

果南「大丈夫ですか?」

「はあはあ……。やっぱり年寄りには無理のようじゃ。諦めるとしよう。気にせずに行ってくだされ。」

果南「はあ…気を付けてくださいね」

3: 2020/08/12(水) 22:04:00.75 ID:tHMH+efV
フレア「戦士様。お願いがあります」

果南「ん、私?」

フレア「私の夫のアレクスがイムルに行ったっきり帰ってこないのです」

フレア「皆さんは例の噂の調査でイムルに行くんですよね?」

フレア「でしたらアレクスのことも調べていただけないでしょうか」

果南「わかりました。何か情報があれば教えます」

果南(多分子供の事件とは関係ないだろうけど、困ってる人を助けるのも私たちの仕事だもん)

4: 2020/08/12(水) 22:04:43.38 ID:tHMH+efV
果南「ここがイムルの村だね」

果南(程よく田舎って感じで故郷を思い出すなぁ)

果南(こんなのどかなところで事件が起きるなんて…)

果南(まずは…聞き込み?)

果南(情報がなければ何もできないもんね)

5: 2020/08/12(水) 22:05:26.46 ID:tHMH+efV
果南(いろいろ聞いてみたけどあんま手がかりはみつからなかったなあ…)

果南(見てた人も急に消えたとかよくわからないこと言ってたし)

果南(うーん…あ、パンを盗んで捕まったって人が牢屋にいるんだっけ)

果南(子供のふりしてるとかよくわかんないこと言ってたけど)

果南「一応話を聞いてみるかな…」

6: 2020/08/12(水) 22:06:05.32 ID:tHMH+efV
アレクス「お姉ちゃん誰?」

アレクス「僕はアレクス」

アレクス「助けて!僕はお腹がすいたからパンを食べただけなのに…」

果南(なにこれ…どうなってるの?)

果南(見た目はいい年した大人なのに…演技をしてるようには見えないし)

果南(ん?)

果南「名前…アレクスっていった?」

アレクス「お姉ちゃん僕を知ってるの?」

果南「えっと…私は知らないけど、あなたを知ってる人がいるからちょっと待ってて」

果南(とりあえずバトランドにいた奥さんに報告しよう…)

7: 2020/08/12(水) 22:06:43.71 ID:tHMH+efV
果南(戻ってきたものの…本当に伝えちゃっていいのかな)

果南(あの状態のアレクスさん見たら逆にショック受けるかもしれないし)

果南(黙ってたほうが…?)

フレア「戦士さん!?」

フレア「夫について何かわかったんですか?」

果南(あ…見つかっちゃった)

果南「えっと…イムルで捕まってるみたいで…」

フレア「捕まってる!?どういうことですか?」

果南「私も詳しくは聞いてないですけど、幼児退行して盗みを働いたとか…」

フレア「そんな、アレクスがまさか…」

フレア「戦士さん、私をイムルに連れて行ってください!」

9: 2020/08/12(水) 22:07:23.33 ID:tHMH+efV
フレア「アレクス!」

アレクス「おばちゃん誰?」

フレア「何言ってるの?あなたの夫のフレアよ」

アレクス「…?」

フレア「まさか本当に私のことを覚えてないの?」

フレア「じゃあ、これでも思い出さない」シュル

果南「ちょっ!」

フレア「ぱふぱふ…」

アレクス「…???」

フレア「ぱふぱふぱふ…」

11: 2020/08/12(水) 22:08:07.45 ID:tHMH+efV
アレクス「…はっ!」

アレクス「フレア!」

フレア「そうよ、私よ」

アレクス「そうだ、思い出した。魔物に襲われたときに幼児退行したらしい」

アレクス「ありがとうフレア」

フレア「お礼ならそこの戦士さんに言ってちょうだい。私をここまで連れてきてくれたのはあの人なんだから」

アレクス「ありがとうございます戦士さん。子供の行方不明事件の調査ですよね」

果南「ええ、まあ」

アレクス「子供たちから聞いた話なのですが、村の南東に秘密の遊び場があるそうで。何かあるのかもしれません」

果南「あ、ありがとうございます…」

12: 2020/08/12(水) 22:08:38.44 ID:tHMH+efV
果南(あれは驚いた…)

果南(まさかいきなりぱふぱふしだすなんて…)

果南(…まあ、愛の形は人それぞれだし?)

果南(それでアレクスさんが正気に戻って情報ももらえたからいいよね、うん)

果南(可能性があるところはとりあえず行ってみよう)

13: 2020/08/12(水) 22:09:25.09 ID:tHMH+efV
果南「ここが子供たちが隠れて遊んでたって場所か…」

「こっちにおいでよ」

果南「誰!?」

「こっちにおいでよ」

果南(誰もいない…声だけ)

果南「罠…?」

果南「いや、でも事件の手掛かりになるかもしれないし」

果南(あの声に呼ばれた結果行方不明になったかとか…)

14: 2020/08/12(水) 22:10:00.44 ID:tHMH+efV
「こっちにおいでよ」

「そっちじゃないよ」

「こっちにおいでよ」

果南(はっきりと誘導されてる…)

果南(まるで私の居場所がわかってるかのような)

果南(この先に何が待っているのか。戦いの準備はしておかないとね)

15: 2020/08/12(水) 22:10:52.94 ID:tHMH+efV
果南「行き止まり?」

果南「誰もいない…」

果南(声は聞こえないし…)

果南(なんか落ちてる…靴?)

果南(何でこんなものが?)

果南(とりあえず持って帰ろうか)

16: 2020/08/12(水) 22:11:24.72 ID:tHMH+efV
果南「出口…どっちだっけ?」

「しくしく…しくしく…」

果南「誰かいるの?」

ルビィ「ぴぃ!」

果南「…ホイミスライム!?」

ルビィ「ぷるぷる…ルビィ悪いホイミスライムじゃないです…」

果南「わっしゃべった!」

果南「…いや、たまに人間の言葉を覚えるスライムの話は聞いたことがあるけど」

17: 2020/08/12(水) 22:11:53.30 ID:tHMH+efV
果南「えっと…なんで泣いてるの?」

ルビィ「ルビィは…ガーデンブルグに向かってる途中で…気づいたらこんな姿でここにいて…」

果南「人間?呪いかなんかで魔物に変えられたってこと?」

ルビィ「わかりません…」

果南「うーん…とりあえず一緒に来る?」

ルビィ「いいんですか?」

果南「私がどうにかできるかはわからないけど、いつまでもここにいるわけにはいかないし…」

ルビィ「ありがとうございます!」

果南「私は果南。今はバトランドに使えてる戦士だよ」

19: 2020/08/12(水) 22:12:55.51 ID:tHMH+efV
ルビィ「その靴、何ですか?」

果南「声に呼ばれて言ったら落ちてたんだ」

ルビィ「ルビィも聞きました。こっちにおいでよって声ですよね?」

果南「うん。履いてみれば何かわかるのかもね」

果南「よいしょ」

ピューン

果南「ひゃぁぁー」

20: 2020/08/12(水) 22:13:35.21 ID:tHMH+efV
果南「ここは…どこだろう?

果南「外が見える…この景色まさか湖の中の塔!?」

果南(なんでこんなとこに)

果南(あの靴でここまで空を飛んだってこと…?)

果南「あっ、ルビィは!?」

ルビィ「ルビィはここです…」

果南「よかった…ついてきてたんだ」

ルビィ「果南さんが急に飛んでっちゃったので一生懸命しがみついてました」

21: 2020/08/12(水) 22:14:21.56 ID:tHMH+efV
ルビィ「ここになにかあるんですか?」

果南「わからないけど…子供の行方不明事件に関係あるかもしれない」

ルビィ「行方不明?」

果南「あ、ルビィは知らないのか。イムルの村で子供が何人か行方不明になっていて、それで私たちバトランド兵が調査してるんだ」

ルビィ「そんなことが…」

果南「まだ原因とか全然わかってないんだけどね」

果南「とりあえず下まで行ってみよう」

22: 2020/08/12(水) 22:15:00.00 ID:tHMH+efV
果南「くっ…こんなに魔物がいるなんて」

果南「薬草…足りるかな…」

ルビィ「あ、待ってください」

ルビィ「ホイミ」

果南「おお…回復呪文使えるの?」

ルビィ「はい、まだ見習いですが、シスターなので」

果南「ありがとう、助かるよ」

23: 2020/08/12(水) 22:15:47.35 ID:tHMH+efV
ルビィ「塔なのに地下もあるんですね」

果南「ここまでは何も手掛かりなかったけど…」

果南「しっ。誰かいる」

果南(魔物と…子供!?)

果南(まさか行方不明になったイムルの子供…?)

24: 2020/08/12(水) 22:16:29.01 ID:tHMH+efV
「助けてー」

ピサロの手先「泣いても無駄だ」

ピサロの手先「デスピサロ様は勇者誕生を警戒している」

ピサロの手先「こうやって勇者になる可能性のある子どもを事前に消しておけば、デスピサロ様も喜んでくれるはずだ」

ピサロの手先「お前たちに恨みはないが、勇者誕生阻止のため死んでもらおう」

ピサロの手先「そして私もデスピサロ様に…ぐふふ」

25: 2020/08/12(水) 22:17:07.07 ID:tHMH+efV
果南「そうはさせないよ!」

ピサロの手先「誰だ貴様は…まあいい、見られたからには生かしておけぬ」

ピサロの手先「メラ」

果南(避けたらルビィや子供たちにっ…受けるしか!)

果南「くっ!」ジュッ

ルビィ「ホイミ!」

ルビィ「回復は任せてください」

果南「みんなのためにもさっさとけりをつけないとね」

26: 2020/08/12(水) 22:17:38.60 ID:tHMH+efV
果南「とどめっ」ズバン

ピサロの手先「ぐふっ…」

果南「ふぅ…何とか倒せた」

果南「ルビィ大丈夫?」

ルビィ「はい、果南さんが守ってくれたので」

果南「私もルビィの呪文のおかげで助かったよ」

果南「君も、もう大丈夫だからね」

「えーん…こわかったよー」

果南「さあ、イムルに戻ろうか」

27: 2020/08/12(水) 22:18:18.46 ID:tHMH+efV
「戦士さん、ありがとうございます!」

果南「無事に子供も送り届けたし、バトランドに戻ろうか」

果南「だけど、ホイミスライムってよく見ると…」

ルビィ「な、なんですか?」

果南「ぷよぷよの頭とか…」プニプニ

ルビィ「ひゃっ!」

果南「柔らかい脚とか…」ムニュムニュ

ルビィ「あの…?」

果南「かわいいっ♪」ムギュー

ルビィ「きゅ~…」

28: 2020/08/12(水) 22:18:58.02 ID:tHMH+efV
果南「ごめんごめん、強く抱きしめすぎちゃったよ」

ルビィ「もう…気を付けてください」

ルビィ「あの…果南さんはこれから…」

果南「んー…勇者を守りに行くよ」

ルビィ「え…バトランドの兵士なのにいいんですか?」

果南「まあ傭兵だからね。この国には悪いけど、辞めさせてもらうよ」

果南「勇者が狙われてるって聞いたらほっとけなくってさ」

果南「それからルビィを人間に戻す方法も探さないとね♪」

38: 2020/08/13(木) 01:00:20.07 ID:ldpTIsjZ
2-1

国王「曜よ。お前も姫なのだからもう少しおとなしくだな…」

国王「部屋の壁を壊すなど言語道断」

曜「えー、つまんないよー」

曜「私は外の世界を旅したいの!」

曜「格闘技鍛えてるから魔物とだって戦えるし」

国王「確かにお前の才能は目を見張るものがあるが、それとこれとは別だ」

国王「サントハイムの後継ぎとして…」

曜「もういい!」

39: 2020/08/13(木) 01:00:50.94 ID:ldpTIsjZ
曜「まったくお父さんも心配性なんだから」

曜(こんな木でふさいだだけの壁なんて…)

曜「えーい」バキ

曜「簡単に壊せるんだから」

曜「もう1回旅に出てやる」

40: 2020/08/13(木) 01:01:31.10 ID:ldpTIsjZ
ダイヤ「お待ちください」

曜「げっ」

梨子「やっぱり…」

ダイヤ「姫様、また脱走するおつもりですか?」

曜「そうだよ。ダイヤちゃんも止めに来たの?」

曜「だとしたら力づくでも通してもらうけど」

ダイヤ「はぁ…そうおっしゃると思っていました」

41: 2020/08/13(木) 01:02:04.06 ID:ldpTIsjZ
ダイヤ「国王様も同じ考えのようで。姫様はどうせ止めても聞かない、と」

ダイヤ「なので条件を付けられました」

ダイヤ「私と梨子を同行させることで国内の旅を許すと」

曜「…ってことは旅に出てもいいってこと!?」

梨子「はい。ただし無茶はしないで下さい」

梨子「曜様にもしものことがあったら私…」

梨子「…じゃなくて王様がとても悲しむでしょうから」

曜「やったー!」

42: 2020/08/13(木) 01:02:34.22 ID:ldpTIsjZ
梨子「ところで姫様はどちらに向かうおつもりですか?」

曜「うーん…」

梨子「あまり遠くに行かれると帰るのも大変になります」

曜「あ、それ禁止」

梨子「それ、とは?」

曜「その敬語だよ」

梨子「しかし姫様相手にため口というのは」

曜「なんで。昔は普通に話してたじゃん」

ダイヤ「子供のころの話です。我々は王女と臣下、使える相手に敬語を使うのは当然でしょう」

43: 2020/08/13(木) 01:03:07.70 ID:ldpTIsjZ
曜「じゃあ王女として命令するよ」

曜「旅の間は曜に敬語禁止ね。もちろん姫様呼びも」

曜「聞いてくれないなら置いてっちゃうよ」

梨子「それは困ります!」

ダイヤ「わかりまs…わかったわ曜ちゃん」

梨子「う、うん…曜ちゃん」

曜「よーし!3人で冒険の旅に出発だー」

44: 2020/08/13(木) 01:03:47.38 ID:ldpTIsjZ
ダイヤ「はぁ…はぁ…」

ダイヤ「何でこんな山奥に…」

曜「あ、村が見えてきたよ!」

梨子「曜ちゃんはなんでそんなに元気なの…」

ダイヤ「普段のおてんば行動のおかげかしらね…」

45: 2020/08/13(木) 01:04:30.27 ID:ldpTIsjZ
曜「ここはテンペっていう村なんだね」

ダイヤ「名前は見たことがあるけれど、私も来るのは初めてね」

梨子「でも、なんか空気が沈んでるというか…」

曜「なにかあったのかな?」

ダイヤ「あまりよそのことに首を突っ込まないほうがいいと思うけれど」

曜「でもここもサントハイム領内でしょ?だったら助けないと」

ダイヤ「…こういうところは王女らしいんだから」

46: 2020/08/13(木) 01:05:05.73 ID:ldpTIsjZ
村長「村のはずれに魔物が住み着いて、若い娘の生贄を求めるのです」

村長「今夜の生贄は我が娘…ああ、ニーナ…」

ダイヤ「それは…サントハイムには報告しましたか?」

村長「それが…外に助けを求めたら村を滅ぼすといわれていて」

曜「…許せない」

曜「私たちで倒しに行こう!」

梨子「そんな、危ないよ!」

ダイヤ「そうよ。一旦秘密にサントハイムに持ち帰って対策を取らないと」

曜「でも生贄は今夜なんでしょ?間に合わないよ」

47: 2020/08/13(木) 01:05:41.67 ID:ldpTIsjZ
曜「ねえ、村長さん。生贄ってどうやって連れてくの?」

村長「夜に娘を籠に入れて魔物の待つところまで運びます」

曜「じゃあ私がその子の代わりに籠に入るよ」

曜「それで魔物が出てきたところでバーンって」

ダイヤ「そんな危険な役目をあなたに任せるわけにはいかないわ」

ダイヤ「それなら私が」

曜「魔物と戦うんでしょ?それなら私のほうが向いてるよ」

曜「ダイヤちゃんと梨子ちゃんは呪文でサポートをお願い」

梨子「うん、曜ちゃんのことは必ず守るから」

48: 2020/08/13(木) 01:06:17.42 ID:ldpTIsjZ
神父「なんと、その娘さんが身代わりに!?」

曜「魔物をやっつけてくるよ」

神父「おお、勇敢な娘に神のごカゴがありますように」

曜「あははっ、ダジャレ?」

ダイヤ「…この事態に何言ってるのかしら」

49: 2020/08/13(木) 01:06:54.46 ID:ldpTIsjZ
カメレオンマン「生贄は持ってきたか?」

「はい、こちらの籠に」

カメレオンマン「よし。下がれ」

カメレオンマン「ははは。今宵の娘をいただくとしよう」

曜「そうはさせないよ!」

カメレオンマン「貴様、抵抗する気か」

カメレオンマン「ならばじっくりいたぶってやろう」

50: 2020/08/13(木) 01:07:36.16 ID:ldpTIsjZ
曜「はぁっ」ボコッ

カメレオンマン「ぐふっ…」

曜「よし!」

ダイヤ「大したことない魔物でよかったわ…」

梨子「曜ちゃん大丈夫?」

曜「大丈夫だよ。こんなのかすり傷なんだから」

梨子「でも一応…ホイミ」

曜「梨子ちゃんは心配性だなぁ」

51: 2020/08/13(木) 01:08:21.54 ID:ldpTIsjZ
曜「う~ん、人助けをすると気持ちいいね♪」

梨子「そろそろお城に帰ったらどうかな?」

曜「何言ってんの。冒険はまだ始まったばっかだよ」

曜「あ、あっちに町があるんだって。行ってみようよ」

ダイヤ「あちらの方向は…確かフレノールね」

ダイヤ「そこそこ栄えた町のはずだから問題はないでしょう」

58: 2020/08/13(木) 21:50:27.56 ID:ldpTIsjZ
2-2

曜「フレノールに到着!」

梨子「何か盛り上がってるね」

曜「お祭りでもあるのかな?」

「この町にサントハイムのお姫様が来てるんだって!一目見てみたいわ」

曜「サントハイムの姫?わたしn…」

ダイヤ「しっ」

ダイヤ「おそらく偽物ね…少し様子を見ましょう」

59: 2020/08/13(木) 21:50:57.10 ID:ldpTIsjZ
「ようこそ宿屋へ…と言いたいところですが、今はサントハイムのお姫様がいらっしゃっているので泊めることはできないんですよ」

ダイヤ「その姫様に会うことはできますか?」

「それは…」

「きゃーー」

梨子「悲鳴!?」

曜「行ってみよう!」

60: 2020/08/13(木) 21:51:48.77 ID:ldpTIsjZ
「あわわ…姫様…」

「誰か…助けて!」

「へへっ王女はいただいた。無事に返してほしければ明日の夜までに黄金の腕輪を持ってこい!じゃあな」

ダイヤ「黄金の腕輪…?」

「どうしよう…姫様が…」

「誰か姫様を助けてくだされ…」

梨子「この人たちは自分の手で助けようって気はないのかな…」

61: 2020/08/13(木) 21:52:42.13 ID:ldpTIsjZ
曜「あの子を助けなきゃ」

ダイヤ「自分を騙る偽物を助けようとするなんて曜ちゃんもお人よしだけど…」

ダイヤ「誘拐は見逃すわけにはいかないわね」

ダイヤ「身分詐称については誘拐事件を解決してから問い詰めましょう」

曜「さらった人は黄金の腕輪と交換って言ってたけど」

曜「2人とも知ってる?」

ダイヤ「災いを呼ぶと本で読んだとはあるわ」

ダイヤ「ただ所在までは…」

梨子「誰か知ってる人いるのかな?」

62: 2020/08/13(木) 21:53:23.41 ID:ldpTIsjZ
「黄金の腕輪か…昔この村にあったんだけど、そのせいで争いが起こったから南の洞窟に封印したんだ」

「あそこは今は魔物が巣食ってるからやすやすとは取りに行けないさ」

梨子「黄金の腕輪のことを知ってるおじいさんがいてよかったね」

ダイヤ「洞窟…じめじめしてて好きではないのだけれど…」

曜「そう遠くないみたいだし早く取ってきちゃおう」

64: 2020/08/13(木) 21:54:14.85 ID:ldpTIsjZ
曜「ここだね」

曜「うわぁ…魔物の気配がぷんぷんだよ」

梨子「なにこれ…奥から禍々しい気が…」ブル

曜「梨子ちゃん怖い?外で待ってる?」

梨子「…ううん。私は曜ちゃんの護衛役だもん。主を置いて待ってるなんてできないよ」

曜「よしっ早いとこ腕輪を見つけちゃおう」

65: 2020/08/13(木) 21:55:02.67 ID:ldpTIsjZ
曜「あった!これだよね」

梨子「近くで見るとますます…」

曜「曜は魔法には詳しくないけど、これがよくないものだってことはわかるよ」

ダイヤ「これを渡すというのも嫌な予感がするけれど」

ダイヤ「人命が最優先よね」

曜「あの子はまだ無事だよね…」

66: 2020/08/13(木) 21:55:51.60 ID:ldpTIsjZ
「へへっ、黄金の腕輪は用意できたか?」

ダイヤ「ここに」

ダイヤ「これを渡せば本当にそこの姫を開放していただけるんでしょうね」

「もちろん。俺たちは腕輪が欲しいだけなんでね」

「さっさとそれをよこしな」

ダイヤ「仕方がないわね…」

「確かに受け取ったぜ。ほらよ人質は解放してやる」

「それじゃ、おさらば」

曜「あ、まてっ!」

梨子「曜ちゃん、深追いしちゃダメ!」

67: 2020/08/13(木) 21:56:37.88 ID:ldpTIsjZ
ダイヤ「あなた、怪我は?」

メイ「お許しください!」

メイ「私はメイと申します。ただの旅芸人で、たまたま王女様に間違えられたから王女のふりをしただけなんです」

メイ「王女様の名を騙って悪事をしようとは考えておりません」

ダイヤ「しかし、王族を騙るというのは…」

曜「まあ、いいんじゃない」

梨子「曜ちゃん!?」

曜「あなたももう王女のふりしないって約束できるよね?」

メイ「もちろんです」

68: 2020/08/13(木) 21:57:26.59 ID:ldpTIsjZ
梨子「ほんとにあのまま開放しちゃってよかったのかな…」

ダイヤ「曜ちゃんが許したんだから私たちは従うしかないでしょう」

ダイヤ「それに一歩間違えれば本物の曜ちゃんがさらわれてたかもしれないんだから、その身代わりになったことで罰は受けているという考えもできるし」

曜「曜がさらわれそうになっても犯人ぶっ飛ばして捕まえちゃうよ♪」

梨子「それはあるかも…」

曜「それより南の砂漠のオアシスでバザーやってるんだって!

曜「あと隣のエンドールで今度武術大会が開かれるみたい!」

曜「武術大会ってことは強い人がたくさん集まるんだよね?曜も参加したいなぁ~」

ダイヤ「…砂漠のバザーはいいけれど、エンドールはだめよ」

曜「えー、なんで」

ダイヤ「王様から許可されたのはサントハイム国内の行動だから」

梨子「王様のお許しがないと関所を通してもらえないよ」

曜「じゃあ武術大会のことははお父さんに話に行くとして、とりあえずバザーに行ってみようよ♪」

69: 2020/08/13(木) 23:39:40.32 ID:ldpTIsjZ
2-3

ダイヤ「暑い…」

曜「すごい!お店がたくさん!」

曜「私バザーって初めてなんだ。ねえ、全部見て回ろうよ♪」

梨子「こんな暑い中なんであんなに元気なの…?」

「姫様、探しましたよ!」

曜「あれ、うちの兵士?」

梨子「急いでるみたいだけどどうしたんだろう…」

「すぐにサントハイムにお戻りください」

曜「何かあったの!?」

「詳しくは聞いていませんが、王様が大変なようです!」

曜「お父さんが!?何があったんだろう…」

ダイヤ「ともかくすぐに戻りましょう」

70: 2020/08/13(木) 23:40:42.60 ID:ldpTIsjZ
曜「お父さん!」

国王「…」

曜「私に用があるんだよね?」

国王「…」コクリ

ダイヤ「まさかお声が…?」

「そう、王様は突然お声が出なくなってしまったのじゃ」

「原因も解決方法も調査中だが…」

71: 2020/08/13(木) 23:41:36.75 ID:ldpTIsjZ
「報告します!サランに住むマローニというものが、以前声が出なくなったことがあると言っていました」

「なんと!マローニと言えば国一番の美声とも名高い詩人ではないか」

「砂漠のバザーに売っていたさえずりの蜜というものを飲んでよくなったそうです」

「うぅむ…効くかどうかはわからんが、さっそく兵を出して…」

曜「曜が行ってくるよ」

「いえ、姫様はここでお待ちください」

曜「曜のお父さんなんだよ。自分の手でできるならどうにかしたいよ」

「ダイヤがそういうのならばよいでしょう…」

ダイヤ「そうですね。私たちも同行しますし、そこに行ったことがあるので時間はかかりません」

72: 2020/08/13(木) 23:42:15.73 ID:ldpTIsjZ
曜「どこでえずりの蜜が売ってるんだろう…」

ダイヤ「ひとつひとつ聞いて回りましょう」

「ああ、それなら昔はここでも扱ってたけどね…最近は見ないなあ…」

梨子「そんな…どこかで手に入らないんですか?」

「あれはエルフが作ったものらしいからねえ…あ、そういえば西の塔のてっぺんにエルフが来るって噂があるけど」

「ただあそこは魔物が多いからね。腕に自信がある人じゃないと取りに行くなんて…」

曜「西の塔だね。よし、行こう」

73: 2020/08/13(木) 23:43:07.43 ID:ldpTIsjZ
曜「この魔物…倒しても倒しても仲間呼んでくる」

梨子「どうしよう…囲まれちゃった…」

ダイヤ「2人とも私の後ろに。ヒャダルコ!」

梨子「すごい…一気に全部…」

曜「ダイヤちゃんそんな呪文使えたの!?」

ダイヤ「ふふ…成長してるのはあなただけじゃないってこと」

74: 2020/08/13(木) 23:43:41.46 ID:ldpTIsjZ
梨子「ここが最上階…かな」

曜「あ、誰かいるよ!もしかしてエルフ?」

「きゃ、人間だわ。逃げましょう」

「まって。さえずりの蜜が…」

「そんなのどうでもいいから早く」

曜「もう、逃げなくてもいいのに」

ダイヤ「まあ、人間にいい印象を持っていないエルフもいるので」

曜「これ、さっきの子が落としていったけど…」

ダイヤ「おそらくこれがさえずりの蜜ね」

梨子「もらっちゃっていいのかな…?」

ダイヤ「捨てられたようなものだから私たちが貰っても文句は言われないでしょう」

ダイヤ「申し訳ないと思うなら次に会ったときに何かお返しをすればいいだけのこと」

75: 2020/08/13(木) 23:44:18.46 ID:ldpTIsjZ
曜「お父さん、これ飲んで」

国王「…?」

曜「いいから」グイ

国王「…」ゴクリ

国王「いきなり何をする」

国王「ん!?おお…声が…」

曜「よかった、きいてくれて」

国王「おまえたちがこの薬を…ありがとう、助かったぞ」

76: 2020/08/13(木) 23:44:46.71 ID:ldpTIsjZ
ダイヤ「王様、声が出なくなった原因に心当たりはあるのでしょうか」

国王「心当たりというものではないのだが…」

国王「夢を見てな。強大な魔物が眠りから覚める夢を」

国王「毎日同じ夢を見るものだから大臣に相談しようとしたところ、急に声が出なくなったのだ」

大臣「サントハイム王家は予知夢を見ることがあるから、王様の夢にも何か意味があるのでしょう…」

ダイヤ「強大な魔物…」

国王「魔物のことについてはこちらで調べておくから、お前たちは気にしなくてもいいぞ」

77: 2020/08/13(木) 23:45:12.76 ID:ldpTIsjZ
曜「そうだ。お父さんに聞きたいことがあったんだ」

国王「なんだ?旅のことならサントハイム領内を自由にしていいぞ」

曜「私エンドールの武術大会に出たいの!」

国王「エンドールに!?しかし他国は…」

国王「いや、エンドールにいることがわかってるなら逆に問題はないのか…」

国王「よし。エンドールに行くことは許可しよう」

国王「ただし、その先の国に行くのはだめだ」

曜「やったー!ありがとう!」

85: 2020/08/14(金) 22:29:23.72 ID:PblRbEqU
2-4

曜「エンドール!大きい!」

曜「武術大会はどこで開かれてるんだろう」

梨子「曜ちゃんまってよ~」

ダイヤ「落ち着きなさい。ここの看板にまだ受付期間だと書いてあるでしょう」

曜「ほんとだ。なになに…優勝者にはモニカ姫と婚約する権利を与える!?」

ダイヤ「これは…思い切ったことを」

梨子「お姫様納得してるのかなぁ…」

曜「王様に聞いてみよう」

86: 2020/08/14(金) 22:30:03.30 ID:PblRbEqU
国王「これはこれは曜姫、久方ぶりで」

国王「サントハイム王から話は聞いているぞ。武術大会に出たいそうな」

国王「姫君が出場とは驚いたが、サントハイム王の許しがあるのなら断る理由もない」

国王「存分に腕を発揮してくれ」

曜「もちろん!私の強さを見せてあげます!」

ダイヤ「王様。優勝賞品のことで質問があるのですが…」

国王「モニカのことか…」

国王「実はわしも後悔してるのだよ」

国王「強い人に来てほしいから賞品にしてしまったが…」

国王「モニカの気持ちも考えずに…父親失格だな」

国王「しかし王として一度行ったことを取り下げるわけにはいかない…」

曜「そんな!じゃあモニカちゃんは…」

87: 2020/08/14(金) 22:30:41.88 ID:PblRbEqU
モニカ「曜様、ご心配ありがとうございます」

モニカ「わたくしも見知らぬ人との結婚は本意ではないですが…エンドールのため、この身をささげる覚悟はしています」

曜「だめだよ!結婚は好きな人としないと」

曜「私が優勝して止めてあげる!」

国王「そうか、その手があったか」

国王「曜姫が優勝すればモニカとの結婚の権利は曜姫のもの」

国王「そして姫が権利を破棄してくれればモニカは結婚せずに済む」

国王「うむ。曜姫よ、モニカのためにもぜひ優勝してくれ」

88: 2020/08/14(金) 22:31:23.30 ID:PblRbEqU
梨子「ますます負けられなくなったね」

曜「うん、最初から負ける気もないけどね」

曜「モニカちゃんも王様に勝手に振り回されて大変だね」

ダイヤ「どこぞの王様は姫君の行動に振り回されているようだけど」

曜「あははっ、うちと反対だね」

ダイヤ「自覚はあるのね…」

ダイヤ「しかしあなたが結婚について語るとはね…」

曜「私だって一応女の子だよ?」

梨子「曜ちゃんは…どんな人と結婚したいとかあるの?」

曜「うーん…まずは私より強い人かな?」

ダイヤ「まあ予想できた答えだけど…曜ちゃんより強い人を探すのも大変そうね」

梨子「曜ちゃんに勝つなんて私じゃ…いえ、あの呪文を使えば私にも…ってそんなのだめだよ!」ブツブツ

曜「梨子ちゃん?おーい」

89: 2020/08/14(金) 22:32:00.95 ID:PblRbEqU
ダイヤ「さて、武術大会まではまだ少し時間があるようだけど…」

曜「私カジノ行ってみたい!」

梨子「そんな…ダメだよギャンブルなんて」

ダイヤ「…確かにギャンブルにはまるのは危険だけど、遊びでやる分には気分転換にもなっていいと思うわよ」

ダイヤ「1人10コイン。それが無くなったら終わりにしましょう」

曜「えー、それだけ?」

ダイヤ「不満なら勝ってみせなさい」

90: 2020/08/14(金) 22:32:47.27 ID:PblRbEqU
梨子「いろいろあるね…」

曜「ダイヤちゃんは来たことあるの?」

ダイヤ「いいえ。私も初めてよ」

曜「あ、モンスター闘技場だって、おもしろそう♪」

ダイヤ「なるほど、モンスターの知識がものをいうところね」

曜「曜はこれにかけようかな~」

ダイヤ「ふふ…倍率と体力を考えればこのモンスターに決まりよ」

91: 2020/08/14(金) 22:34:24.54 ID:PblRbEqU
ダイヤ「なっ…そこで痛恨の一撃が出るなんて…」

曜「私の勝ち~」

曜「知識だけじゃ勝てないのもあるんだよ」

ダイヤ「くっ、次こそは…」

92: 2020/08/14(金) 22:35:06.88 ID:PblRbEqU
曜「あーあそこで眠らされなければ勝てたのに!」

ダイヤ「あのモンスターはラリホーが使えるの。覚えておきなさい」

曜「じゃあ今度はこれで勝負だよ」

ダイヤ「いいでしょう。受けて立つわ」

梨子「2人とも夢中になっちゃって…私はどうしようかな…」

93: 2020/08/14(金) 22:35:44.00 ID:PblRbEqU
ダイヤ「負けてしまった…これで0コインね」

曜「結局2人とも同時だったね…」

曜「あれ、梨子ちゃんは?」

ダイヤ「そういえば…」

チャリンチャリンチャリン

梨子「曜ちゃん、ダイヤちゃん助けて~」

曜「梨子ちゃん!?」

ダイヤ「すごいコイン…」

梨子「スロットやってみたらなんかたくさん出てきちゃって…」

94: 2020/08/14(金) 22:36:26.57 ID:PblRbEqU
梨子「これにしようかな」

曜「お、かわいい腕輪だね。梨子ちゃんに似合うと思うよ」

梨子「はい、曜ちゃん」

曜「私に!?」

ダイヤ「梨子ちゃんが当てたコインなんだから、あなたが好きに使っていいのよ?」

梨子「私は曜ちゃんにあげたいから」

梨子「これが役に立つかわからないけど…武術大会絶対勝ってね!」

曜「うん!まかせてよ♪」

95: 2020/08/14(金) 22:36:54.40 ID:PblRbEqU
「勝者、曜選手!」

梨子「やった。また曜ちゃんが勝った♪」

ダイヤ「ここまでは順調ね」

梨子「サイモンさんだっけ?あんな重装備の戦士にも勝っちゃうなんてすごいよ!」

ダイヤ「まあ、会心の一撃がうまく決まったわね…何度も狙えるわけではないでしょうけど」

ダイヤ「いよいよ次が決勝戦。相手は…」

梨子「なにあれ…」

96: 2020/08/14(金) 22:37:46.20 ID:PblRbEqU
曜「うぇ、魔物!?」

ベ口りンマン「くくく…おいらの術が見破れるかな」シューン

曜「分身した!?」

曜「でも片っ端から倒していけばっ」ブン

曜「当たらない!?」

ベ口りンマン「残念、はずれ♪」ボカ

曜「くっ!」

ベ口りンマン「まだまだいくよ」シューン

97: 2020/08/14(金) 22:38:29.52 ID:PblRbEqU
梨子「またはずれ…」

ダイヤ「分身でどれが本物かわからない上に、偽物を攻撃すれば自分が隙だらけになる…」

梨子「ダイヤちゃんだったらどう戦うの?」

ダイヤ「私ならヒャダルコで分身ごと一網打尽にすればいいけれど」

ダイヤ「火力はあまりなさそうだから梨子ちゃんでもスカラとホイミで消耗戦に持ち込めば勝てるんじゃないかしら」

ダイヤ「単体物理攻撃しかできない曜ちゃんじゃ相性が悪いわね…」

梨子「そんな…」

ダイヤ「ふふ…でも、大丈夫そうよ」

98: 2020/08/14(金) 22:39:20.71 ID:PblRbEqU
曜(いくら見ても本物と偽物の区別がつかない…)

曜(そうか…見てもわからないなら)

ベ口りンマン「おやおや、目をつぶっちゃって。もうあきらめたのかな」

ベ口りンマン「じゃあ遠慮なく攻めさせてもらうよ」

曜「はぁぁっ」ボス

ベ口りンマン「ぐふっ…」

ベ口りンマン「な、なんで見抜けたんだ…」

曜「見た目で区別がつかないなら音と気配を頼ればいい」

曜「それだけだよ」

ベ口りンマン「なん…だって…」パタリ

「勝者、曜選手!」

99: 2020/08/14(金) 22:40:01.90 ID:PblRbEqU
国王「わっはっは。お見事だ姫君」

国王「これでモニカも助かったろう」

モニカ「もう、お父様の軽はずみな発言を曜様が救ってくれたんですよ」

モニカ「それにしても曜様すごくカッコよかったです…」

モニカ「私、曜様となら結婚しても…ぽっ」

曜「あはは。結婚のことならもう断ったんだから気にしないでよ」

国王「ところでこの結果をおぬしの父上にも報告をしたらどうだ」

曜「それもそうですね。サントハイムに戻ろう」

100: 2020/08/14(金) 22:40:43.83 ID:PblRbEqU
梨子「曜ちゃん、なんか早足じゃない?」

曜「嫌な予感がしたんだ」

曜「早くサントハイムに戻らないと…って」

梨子「嫌な予感…?」

ダイヤ「確かに血筋のせいか、あなたの予感はよく当たるけど」

ダイヤ「こういう予感は当たってほしくないわね…」

101: 2020/08/14(金) 22:41:31.57 ID:PblRbEqU
ダイヤ「やけに静かね…」

梨子「まるで誰もいないみたいな…サントハイムがサントハイムじゃないみたい」

曜「そんなまさか…私たちをおどかそうとしてるだけだよね?」

102: 2020/08/14(金) 22:42:14.50 ID:PblRbEqU
曜「お父さん!」

ダイヤ「玉座の間にも…誰も…」

梨子「みんな…どこに行ったの…?」

曜「うそ…だよね?すぐドッキリだって言ってくれるよね?」

103: 2020/08/14(金) 22:42:55.13 ID:PblRbEqU
梨子「お城全部探しても誰も…猫1匹すらいない…」

ダイヤ「一体なぜこんなことが…」

梨子「まるで神隠しにあったみたい…」

曜「どうすればいいの…」

104: 2020/08/14(金) 22:43:30.54 ID:PblRbEqU
ダイヤ「一旦サランの町に行きましょう」

ダイヤ「そこで今後のことを考えてから」

曜「ううん。すぐに出よう」

曜「サントハイムに何があったのかはわからないけど」

曜「私たちが無事だったからには私たちがどうにかしなきゃダメなんだ」

曜「探しに行こう。みんなを!」

113: 2020/08/15(土) 13:29:38.30 ID:+XDBRZoJ
3-1

鞠莉「いらっしゃいませ」

鞠莉「お買い上げですね。ありがとうございます」

鞠莉「こちらはあなたは装備できないようですがよろしいですか?」

鞠莉「はい、買い取りいたします」

114: 2020/08/15(土) 13:30:14.58 ID:+XDBRZoJ
鞠莉「…ふぅ」

「いやー鞠莉ちゃん今日もありがとね。ほらバイト代」

鞠莉「ありがとうございます、おやじさん♪」

「可愛い子が店番やってるって噂が広がったおかげでこの武器屋も最近大繁盛だ」

鞠莉「ふふ、お上手ですね」

「明日もよろしく!」

鞠莉「はい♪」

115: 2020/08/15(土) 13:30:53.21 ID:+XDBRZoJ
鞠莉(今の私はレイクナバの武器屋のただのバイトだけど)

鞠莉(いつか世界一の商人になってやるんだから)

鞠莉(まずは旅に出て世界を知らなくちゃいけないよね)

鞠莉(そのためにはお金が必要…なんだけど)

鞠莉「うーん…まだ足りないねえ」

116: 2020/08/15(土) 13:32:28.95 ID:+XDBRZoJ
鞠莉「ただいま」

ネネ「あら、おかえりなさい鞠莉ちゃん」

ポポロ「鞠莉ちゃんだー」

ネネ「ご飯の用意できてるわよ」

鞠莉「いつもありがとうございます、ネネさん」

117: 2020/08/15(土) 13:33:03.41 ID:+XDBRZoJ
鞠莉「あの、これを…」

ネネ「だからお金は受け取れないと言ったでしょう」

鞠莉「でも…」

ネネ「私はただあなたを応援したいから下宿させてるんだから」

ネネ「旦那と似たような志を持ったあなたをね」

ネネ「そのお金はあなたの旅の資金にしなさい」

ネネ「生活費を払いたければ出世払いでいいから」

鞠莉「ネネさん…」

118: 2020/08/15(土) 13:34:01.35 ID:+XDBRZoJ
ネネ「そういえばあの人は今頃何をしてるのかしらね」

ポポロ「パパ?」

ネネ「そうそう。ちょっと前は入るたびに形が変わるダンジョンに挑んでるって聞いたんだけど」

鞠莉「なにそれ、面白そう!」

ネネ「やっぱり似てるわね…あなたたち」

119: 2020/08/15(土) 13:34:36.58 ID:+XDBRZoJ
ネネ「おはよう。今日もバイト?頑張ってね」

ネネ「これ、いつものおべんとう」

鞠莉「ありがとうございます。ネネさんのおべんとうおいしくて大好き♪」

ネネ「あら、そんなに褒められると作り甲斐があるわね」

120: 2020/08/15(土) 13:35:47.18 ID:+XDBRZoJ
鞠莉「おはよう。トムおじいちゃん」

鞠莉「今日も教会?背中押しちゃうよー」

トム「おお、鞠莉ちゃん。いつも悪いのう」

トム「うちの息子も鞠莉ちゃんくらいいい子だったらよかったんじゃが」

トム「どうやらボンモールでコソ泥をして捕まってるらしい」

トム「まったく、心配かけさせおって」

鞠莉「はい、教会に到着~」

トム「ありがとさん。ほれ、少ないがお小遣いじゃ」

鞠莉「ありがとう♪」

121: 2020/08/15(土) 13:36:31.99 ID:+XDBRZoJ
「おう、おはよう。今日もバイト頼むぜ」

鞠莉「はい!」

鞠莉(さーて、今日もしっかり働かないとね)

122: 2020/08/15(土) 13:37:24.37 ID:+XDBRZoJ
「この武器を売りたいのですが」

鞠莉(これは…破邪の剣!)

鞠莉「…なかなかのものですね」

「他の店に行ったら2625ゴールドと言われてね。この店はどうだろうかと」

鞠莉「うちなら…2700、いえ2800ゴールドで買い取りましょう」

「ほんとかい?じゃあお願いするよ」

鞠莉「毎度ありがとうございます」

123: 2020/08/15(土) 13:38:08.78 ID:+XDBRZoJ
鞠莉(きた…ついに来たわ!)

鞠莉(武器屋ならいい武器が見つかるかもしれないと地道に働いてきたけど)

鞠莉(まさか、これほどのものが来るなんて)

鞠莉(これまで貯めてきたお金で…)

鞠莉(…足りない)

鞠莉(ええい、アタックあるのみ!)

124: 2020/08/15(土) 13:38:35.37 ID:+XDBRZoJ
鞠莉「おやじさん!」

「なんだい。何かあったのか?」

鞠莉「この武器なんだけど」

「これは…おう、珍しい物買い取ったな」

鞠莉「私に売ってください」

「売るぅ?…まあ客として買うってならかまわないが、これを買えるだけのお金持ってるのかい?」

鞠莉「それは…ちょっと足りないから、分割払いでお願いしたいと…」

「うーん…うちは現金一括払いしか受け付けてないんだがなあ…」

「いや、しかし鞠莉ちゃんのおかげでここ最近儲けさせてもらったし…」

「特別だ。足りない分は後でいいぞ」

鞠莉「…ありがとうございます!」

125: 2020/08/15(土) 13:39:27.46 ID:+XDBRZoJ
「それで…旅立つのか?」

鞠莉「はい。自分の道を切り開いて見せます」

「そうか…」

「あーあ。また平凡な武器屋に戻っちまうな」

鞠莉「…おやじさんならきっとすごい武器屋にできますよ」

「お世辞でもうれしいねえ」

126: 2020/08/15(土) 13:40:00.55 ID:+XDBRZoJ
鞠莉「お世話になりました」

ポポロ「鞠莉ちゃん行っちゃやだー」

ネネ「こら、わがまま言わないの」

ネネ「それに多分もうじきパパが返ってくると思うわ」

ポポロ「ほんと?やったー」

ネネ「鞠莉ちゃんも元気でね。これ最後のおべんとう」

鞠莉「ありがとうございます」

鞠莉「それじゃあ、いってきます♪」

127: 2020/08/15(土) 13:42:07.45 ID:+XDBRZoJ
~マリーのアイテム鑑定~
【】を付けてアイテムを指定してくれれば、マリーが気まぐれで鑑定しちゃうよ♪

128: 2020/08/15(土) 13:42:44.34 ID:+XDBRZoJ

【ひのきのぼう】

129: 2020/08/15(土) 13:43:36.05 ID:+XDBRZoJ
>>128
これは…木を棒状に削った武器ね。
モンスターと戦うのに素手よりはマシってとこかしら?
武器としては頼りないから、護身用に家に置いておく程度がいいんじゃない。
…どこかの世界にはひのきのぼうとあと5つのアイテムを集めたら、モンスターを仲間にできるという伝説があるとか

131: 2020/08/15(土) 14:02:16.78 ID:PXJ3YNuo
【まどろみのけん】

140: 2020/08/15(土) 19:43:38.94 ID:niQu70DW
>>131
スパイラルな刀身で催眠術のように相手を眠らせることができる不思議な剣ね。
攻撃力もなかなか高いけど…あの形は斬りつけにくくないかしら?

132: 2020/08/15(土) 14:50:27.49 ID:dQ+E0Bm4
【すごろくけん】

159: 2020/08/15(土) 23:33:09.35 ID:SWPhZQmh
>>132
鞠莉「すごろく場で1回プレイできるチケットね。
自分を駒としてビッグなすごろくを体験できるなんて面白そうじゃない?
残念ながらマリーの知ってるところにはそういう施設はないけど、商売が軌道に乗ったら作ってみようかしら♪」

134: 2020/08/15(土) 16:00:46.90 ID:/7lbhurk
【てんしのレオタード】

188: 2020/08/16(日) 16:46:17.56 ID:THLv+LSc
>>134
鞠莉「天使をイメージした、身体にぴったりとフィットする衣装ね。
薄手の服のわりに防御力も高いし呪文やブレスにも耐性がある優れもの♪
ただボディラインがしっかり出るから梨子辺りは着るのを恥ずかしがりそうね。
曜は──案外動きやすさを気に入るかも♡」

141: 2020/08/15(土) 19:44:23.32 ID:niQu70DW
3-2

鞠莉(まずは近くのボンモール目指して来たものの…)

鞠莉(歩いてみると意外と遠いものね)

鞠莉「あら、あんなところに村なんてあったかな?」

鞠莉「ちょうどいいから休みましょ」

142: 2020/08/15(土) 19:44:51.33 ID:niQu70DW
「旅人さん?よく来たね」

「お疲れでしょう。ゆっくりしていくといい」

鞠莉(小さな村だけど、全員が旅人にフレンドリー)

鞠莉(優しいところのはずなのに…)

鞠莉(なんだろう、何か違和感が…)

143: 2020/08/15(土) 19:45:26.12 ID:niQu70DW
鞠莉(あ、あの人…他の人と雰囲気が違う)

鞠莉「あの」

ドン・ガアデ「なんじゃ?」

鞠莉「あなたもこの村の人ですか?」

ドン・ガアデ「いや、わしは建築家のドン・ガアデと言うものだが、たまたま寄ったこの村でこの子に好かれてしまってな」

ドン・ガアデ「結婚してここに住もうかとも考えてるところだ」

「あなたもここに住んだらいかが?」

鞠莉「いえ、私は…」

144: 2020/08/15(土) 19:45:56.42 ID:niQu70DW
「申し訳ないがこの村に宿屋はなくてね。うちで休んでいくといい」

「ええ…ありがとうございます」

鞠莉(結局違和感の正体はわからなかったけど)

鞠莉(まあ今日は疲れたし、明日考えましょう)

鞠莉(こんなに親切な人たち疑うのも悪いし)

145: 2020/08/15(土) 19:46:34.23 ID:niQu70DW
鞠莉「どういうこと…?」

鞠莉(私昨日は村長さんの家に泊めてもらったはず…)

鞠莉(気づいたら原っぱに立っていた。村長さんの家どころか村自体がない…)

鞠莉「なんで…?」

鞠莉(はっ!魔物のしわざ!?)

鞠莉(でも、持ち物や私の体に何かされた様子はないし…)

鞠莉(夢でも見ていたのかな?)

鞠莉(まるで狐につままれたような…)

146: 2020/08/15(土) 19:47:10.80 ID:niQu70DW
鞠莉「ボンモールに来たはいいけれど、やっぱり小さな国ね…」

鞠莉(あんまり長居する必要はなさそう)

鞠莉「さっさとエンドールに行っちゃいましょう」

「エンドールなら今は行けないよ」

鞠莉「え?」

「橋が壊れててね。ドン・ガアデという建築家に修理を依頼してるはずなんだけどなかなか来なくて」

鞠莉(ドン・ガアデって確か…)

鞠莉「情報ありがとうございます」

鞠莉(とはいえ私がもう1回行っても何されるかわかんないし)

鞠莉(もう少し情報を集めましょう)

147: 2020/08/15(土) 19:47:44.99 ID:niQu70DW
鞠莉(情報がつながってきたわ…)

鞠莉(人を化かす狐、そこにいるドン・ガアデさん、狐に強いという犬)

鞠莉(ボンモールがエンドール相手に戦争を起こそうとしてるとか不穏な話もあったけど…)

鞠莉(犬と言えばトムおじいちゃんの家にいたよね)

鞠莉(あー、でもあの子息子さんの言うことしか聞かないんだっけ)

鞠莉(トムおじいちゃんの息子さんってここで捕まってるって言ってたわね?)

148: 2020/08/15(土) 19:48:12.76 ID:niQu70DW
「たしかに俺はトムの息子だが、あんたは確か…」

「俺に何か用か?親父から何か伝言でもあるのか?」

「これまでのことはちゃんと反省してるしこれからは心を入れ替えて生きてくよ」

鞠莉「あの、犬を飼っていましたよね?」

「犬?ああトーマスのことか。それがどうしたの?」

鞠莉「狐退治に貸していただけないでしょうか」

「ああ、別にいいよ。狐狩りは得意だからな」

「はいこれ、檻の鍵とあいつに言うこと聞かせるためのおもちゃ」

鞠莉「おもちゃ?」

トムの息子「これ持ってないということ聞いてくれないんだよね。だから気を付けてな」

鞠莉「わかりました。ありがとうございます」

149: 2020/08/15(土) 19:48:54.23 ID:niQu70DW
「く~ん」

鞠莉「檻の前通るだけで吠えられてたのがウソのようになついてるわね…」

鞠莉「さ、トーマス出番よ。狐たちの正体を暴いてきなさい」

「ワンワン!」

「きゃー犬よー」

「助けてー」

鞠莉(村が…消えていく…)

150: 2020/08/15(土) 19:49:40.10 ID:niQu70DW
鞠莉(ただの原っぱになったわね)

「ごめんなさい。ちょっと人に化けてからかってただけなんです」

鞠莉「あら、あなたが化かしてた狐?」

「もう2度と悪さはしないので許して下さい」

鞠莉「んー…まあいいわ。また次見かけたらこの犬をけしかけるだけだし」

「ひぃ、勘弁してください~」スタタタ

ドン・ガアデ「はっ…わしは何を…」

ドン・ガアデ「そうだ、こうしちゃいられない。ボンモールから橋を直す依頼を受けてたんだった」

ドン・ガアデ「よくわからんが旅の方、ありがとう」

151: 2020/08/15(土) 19:50:08.94 ID:niQu70DW
鞠莉「橋もすぐ直るそうだし、今日はボンモールで休んですぐにエンドールへ…」

鞠莉(…なんか騒がしいわね)

「王子ー、どこにおられますかー」

鞠莉(王子がエスケープでもしたのかしら?)

鞠莉(サントハイムの姫様がおてんばとは聞いたことがあるけど、王族ってみんなそうなの?)

鞠莉(ま、私には関係ないか)

リック「君、旅の人だよね?」

鞠莉「はい?」

リック「僕はこの国の王子リック。頼みがあるんだ」

リック「この手紙をエンドールのモニカ王女に届けてほしい」

リック「訳は話すと長くなるんだが…」

「王子!こんなところに。さあ、城に戻りますよ」

リック「どうかよろしく頼む!」

「いけません、あんな旅人と話をしては」

152: 2020/08/15(土) 19:50:51.20 ID:niQu70DW
鞠莉(いきなりなんだったの…)

鞠莉(王子?手紙をエンドールの姫に?)

鞠莉(話が急すぎるわ…)

鞠莉(まあ、エンドールには行く予定だし、やるだけやってみましょう)

鞠莉(だけどいきなりその辺の旅人に手紙を渡すなんて、あんな王子でこの国は大丈夫なのかねぇ)

153: 2020/08/15(土) 19:51:28.52 ID:niQu70DW
鞠莉「ここがエンドール…おっきいわね~」

鞠莉(お姫様にこの手紙を渡す。う~ん…どうすればいいのかな)

鞠莉(はいどうぞ。って会わせてくれないよね)

「なんだ、王様に店を出す許可をいただきに来たのか?」

鞠莉「え?」

「今この国には店が十分にある。すんなりとは許可されないだろうが、お伺いを立ててくるといい」

154: 2020/08/15(土) 19:52:02.42 ID:niQu70DW
鞠莉(あっさり玉座の間に通されてしまった…)

国王「そなたも店を出したいと申すか」

鞠莉「あ、いえ。実はこの手紙をボンモールのリック王子から預かっていまして」

国王「なに?なぜそなたに預けたのかはわからんが…」

国王「うーむ…字が汚くて読めぬな」

モニカ「お父様!その手紙、私にください」

国王「構わんが…」

155: 2020/08/15(土) 19:52:32.01 ID:niQu70DW
モニカ「これは…間違いなくリック王子の字!」

国王「して、何と書いてあるのだ?」

モニカ「…お父様には黙っていましたが、私とリック王子はお付き合いをしているのです」

鞠莉(わ~お♪)

モニカ「リック王子からはボンモールがエンドールに攻め込もうとしている、と書かれています」

国王「なんと!お前がどこぞの者と文を交わしていることは知っていたがリック王子とは…」

国王「父親として思うところはあるが、相手がボンモール王子なら問題はなかろう」

国王「しかしボンモール王め…野心家だとは思っていたが戦争を考えていたとは」

国王「ふむ。であれば…こちらの手紙をボンモール王に渡してくれぬか」

鞠莉「え、私ですか?」

国王「ボンモールとなにやらつながりがあるのだろう。頼んだぞ」

156: 2020/08/15(土) 19:58:48.04 ID:SWPhZQmh
鞠莉(何で私が国同士の重要な手紙を運んでいるのかしら…)

鞠莉(まあ、戦争は起こらないにこしたことはないけれど)

鞠莉(責任重大ね)

鞠莉「それにしてもまたボンモールに逆戻りか…」

157: 2020/08/15(土) 19:59:20.12 ID:SWPhZQmh
「何者だ!今は大事な時期。部外者を城に入れるわけにはいかぬ」

鞠莉「これを、王様に渡していただけますか」

「手紙…?王様が読むとは限らないが、渡すだけはしておこう」

「少しそこで待っていろ」

158: 2020/08/15(土) 19:59:49.61 ID:SWPhZQmh
「よくわからないが王様が大喜びで戦争を中止したよ」

「あの手紙は何だったんだ?」

「まあ俺としても人間相手に戦うのは気が進まなかったから助かったよ」

リック「旅人さん」

「王子!なんでここに!」

リック「モニカに手紙を渡してくれたんだね」

リック「ありがとう。これで僕もモニカと…」

リック「これはほんの気持ちだ」

鞠莉「え…こんな大金」

リック「モニカと結婚できることに比べれば安いものさ」

160: 2020/08/15(土) 23:33:36.32 ID:SWPhZQmh
3-3

鞠莉(再びエンドールに来たけど…)

鞠莉「え、やってないの!?」

「ああ、カジノは今改装工事中だ」

鞠莉「そんな~」

鞠莉(エンドールといえばカジノ!せっかく王子からお礼をもらったからちょっと遊んでいこうと思ったのに…)

鞠莉(しょうがない。次の町に行きましょうか)

161: 2020/08/15(土) 23:34:14.55 ID:SWPhZQmh
鞠莉(東のブランカまでは渡し船で川を渡るしかないのね)

鞠莉(これじゃあ交易は難しそう)

鞠莉(何かいい方法は…)

鞠莉「あら、こんなところに洞窟?」

162: 2020/08/15(土) 23:34:55.95 ID:SWPhZQmh
鞠莉「おじいさん1人?」

「こんなところに人が来るとは珍しいな」

「わしは夢があって東につながるこのトンネルを掘り始めたのじゃが、お金もつきわしも年を取ってしまった」

「あと60000ゴールドくらいあれば工事もできると思うが…どうじゃ、わしの夢を継いで洞窟を完成させないか?」

鞠莉「60000ってそんな大金…」

「まあ、そうだろうな。無理にとは言わん」

鞠莉(でも…もしここがつながれば商売がやりやすくなるし、私の名前も広げられる)

鞠莉「お金がたまったらまた来るわね、おじいさん」

「おう、わしが生きてるうちに頼むぞ。わっはっは」

163: 2020/08/15(土) 23:35:34.24 ID:SWPhZQmh
鞠莉「どっかにお金儲けの方法落ちてないかしらね~」

「なに、おじょうさん。そんなにお金が欲しいの?」

「だったらエンドール北東の洞窟なんてどう?ものすごいお宝が眠ってるって噂よ」

鞠莉「噂ねえ…」

「ま、あたしも飲みに来る人達の話を聞いただけだからほんとかどうかはわかんないけどね」

「もし見つけたら町外れのお屋敷に持っていくといいわ。希少品を集めるのが趣味で高く買い取ってくれるらしいわよ」

鞠莉「さすが。詳しいのね」

「まあ酒場をやってたら情報なんていくらでも入ってくるものさ」

鞠莉(洞窟に眠るお宝か…)

164: 2020/08/15(土) 23:36:01.48 ID:SWPhZQmh
スコット「お嬢ちゃん、北東の洞窟に行く気かい?」

鞠莉「なに?聞いてたの?」

スコット「洞窟には魔物も多い。見たところそんなに戦えそうにも見えないが…」

スコット「俺はスコットっていうんだ。どうだ、俺をボディーガードに雇わないか?」

スコット「見ての通り戦闘にはちょっと自信があるぜ」

ロレンス「いやいや。それなら私を雇ったらどうです」

ロレンス「私はロレンス。近接戦はあまり得意ではないですが、呪文でいろいろサポートしますよ」

スコット「あー、またお前かよ。交渉の邪魔しやがって」

ロレンス「なにを言うのです。選ばれたもの勝ちですよ」

165: 2020/08/15(土) 23:36:51.86 ID:SWPhZQmh
鞠莉「2人とも…宝を横取りする気じゃないでしょうね」

スコット「おいおい、いきなり疑うのかよ。契約した金以外を求める気はないぜ」

ロレンス「我々傭兵業は信用も大事なんです。雇い主を裏切るようなことをすれば仕事がなくなります」

鞠莉「そう…じゃあ2人とも雇うわ」

スコット「おお、太っ腹だねえ」

ロレンス「ありがとうございます。きっとお役に立ちましょう」

鞠莉「私は鞠莉よ。さあ、トレジャーハントに出発!」

166: 2020/08/15(土) 23:37:24.70 ID:SWPhZQmh
スコット「ところで俺は金さえもらえればいいんだが…」

スコット「あんたは本当に宝があると思ってるのか?」

スコット「噂になってたらとっくに誰かに取られてるかもしれないのに」

鞠莉「誰かが取ってたとしたらその情報が出ててもおかしくないわ」

ロレンス「実際は宝なんてなかったとしたら?」

鞠莉「だとしても、お宝なんてなかったって情報が広まるはずよ」

鞠莉「宝の存在だけが噂されてるってことは何かはあるのよ」

ロレンス「そこまで考えていたとは…若いのになかなかやりますね」

167: 2020/08/15(土) 23:38:00.75 ID:SWPhZQmh
鞠莉「これかしら」ポチ

スコット「うわっ、水が引いてくぞ!」

ロレンス「水の有無で地形が一気に変わりましたね」

鞠莉「そうすると、こっちのフロアは…っと」

スコット「おお…いかだで通れるようになってるぞ」

鞠莉「うん、予想通り」

ロレンス「なるほど。スイッチで水を操作しないと道が開けないとは」

スコット「その上水中から陸から天井からモンスターが出てくるんじゃなかなか宝にはたどり着けないわな」

鞠莉「さあ、ここまで苦労させたんだもの。何もなかったら許さないわよ!」

168: 2020/08/15(土) 23:38:27.35 ID:SWPhZQmh
鞠莉「これがお宝…」

鞠莉「綺麗な女神像…」

ロレンス「これは…銀でしょうか」

スコット「俺には美術品の価値はわからんが、高く売れそうってことは確かだな」

ロレンス「しかし本当に宝が眠っているとは」

スコット「ちくしょう!これなら報酬はお宝の山分けを提案しとくんだったぜ」

ロレンス「それでどうするんです?」

鞠莉「例のお屋敷に売りに行くよ」

鞠莉「私が持ってても役に立たないし」

169: 2020/08/15(土) 23:39:20.39 ID:SWPhZQmh
「これは…見事な銀の女神像ですな…」

「私のコレクションの中でも1、2を争うものになりそうだ」

「これを飾るならこの棚…いやこっちかな」

鞠莉「で、どうします?」

「これなら20000…いや25000ゴールドで買おう」

鞠莉(これは…いけるわね)

鞠莉「…うーん」

「何か不満かね?」

鞠莉「実は28000ゴールドで買いたいって人がいましてねぇ」

「なに…むむ、ならば30000でどうだ?」

「OK、その値段で売りましょう」

170: 2020/08/15(土) 23:40:01.50 ID:SWPhZQmh
ロレンス「なかなかやりますね。他に買ってもらえるあてなんてないんでしょう?」

鞠莉「あの人どうしても欲しがってるみたいだったからね。釣り上げても行けると思ったの」

スコット「あんた商人の才能あるんじゃないのか」

スコット「それを元手に商売でも始めるか?」

鞠莉「いいえ。これからするのは未来への投資よ」

ロレンス「投資?」

鞠莉(他に拾った装備品をいくつかお城で買い取ってもらえたし、リック王子からのお礼と合わせれば…)

171: 2020/08/15(土) 23:41:04.16 ID:SWPhZQmh
「おじょうさん、また来たね」

「もしかしてお金の用意ができたのか?」

鞠莉「はい、ここに」

「なんと、こんな短期間で60000ゴールドなんてどうやって!」

「いや、方法はどうでもいい」

「これでトンネル工事を再開してくれるというのじゃな」

鞠莉「ええ。ただし、トンネルが開通した時には出資者として私の名を広めてもらうわ」

「もちろんじゃ。なんならこのトンネルにあんたの名前を付けよう」

172: 2020/08/15(土) 23:41:55.20 ID:SWPhZQmh
スコット「しかし驚いたぜ。まさかあんだけの大金をあっさり使うなんて」

ロレンス「自分のお金でトンネルを作るとは…あなたはどこまで遠くを見ているのでしょう」

スコット「これで俺たちの契約は終わりだが、あんたと一緒でよかったよ」

ロレンス「私も新たな世界が開けたような気がします」

鞠莉「2人ともありがとうね。私はまた旅に出るわ」

鞠莉「次に会うときはビッグになっているんだから♪」

174: 2020/08/16(日) 16:30:31.42 ID:THLv+LSc
4-1

「きゃー、ヨハネ様―」

「ヨハネちゃんいいぞー」

「ヨハネーこっち向いてー」

善子(ふふっ、さあリトルデーモンたちよ。今宵も我が舞に酔いしれなさい♪)

175: 2020/08/16(日) 16:30:59.67 ID:THLv+LSc
花丸「ヨハネちゃん、お疲れ様」

善子「あら、来てたの」

善子「それで、どうだった?」

花丸「やっぱりダメ」

善子「まあ、今更手掛かりも見つからないわよね…」

善子「ここにいないとなれば北の方かしら」

善子「私も最後の舞台を終えたから明日には出発しましょう」

176: 2020/08/16(日) 16:31:55.55 ID:THLv+LSc
「本当に辞めちゃうのかい?踊り子として人気も出てきたところなのにもったいない」

善子「ヨハネたちの目的は言ったでしょう?」

善子「モンバーバラには情報収集のためにいるだけなんだから」

「お父さんの敵討ちだっけか」

「錬金術師エドガンの名前はモンバーバラにも伝わってたからね」

「弟子に暗〇されたのは残念だが…」

「私としては敵討ちなんてしてもむなしくなるだけだと思うんだがね」

「まあ、身内を〇されたことのないやつに言われても説得力ないか」

善子「何を言われても考えを変える気はないわ」

花丸「うん。お父さんを裏切ったバルザックは許せない」

「そうか…ま、君たちの人生だ、好きにすればいいさ」

「はいこれ、これまでの給料だ」

「また堕天使ヨハネのステージを待ってるよ」

177: 2020/08/16(日) 16:32:45.08 ID:THLv+LSc
善子「それで、次の行先はキングレオ?」

花丸「そこなんだけど…クーデターが起きて王子が国王の座を奪ったらしいって話はしたでしょ?」

善子「ええ。それから税金が高くなったとか取り締まりが厳しくなったとか」

花丸「そう、それに若い女性がお城に連れてかれてるでしょ?

花丸「その人たちがそのまま戻ってこないって噂もあるずら」

善子「なにそれ怖っ。行きたくないわー」

花丸「だから先にハバリアに行こうと思うんだ」

善子「北の港町だっけ?船で別の国に逃げてたらどうしようもないわね」

花丸「ううん。それでもこの国にいないってことがわかれば進歩だよ」

178: 2020/08/16(日) 16:33:18.91 ID:THLv+LSc
花丸「その前に…一旦コーミズに寄ってもいいかな?」

善子「モンバーバラからハバリアへの通り道だしいいんじゃない」

善子「私としてはあんな田舎よりモンバーバラみたいな都会のほうが好きだけど」

善子「故郷に帰るのに理由なんていらないわ」

179: 2020/08/16(日) 16:34:07.29 ID:THLv+LSc
「おや善子ちゃんに花丸ちゃん。帰ってきたんだね」

花丸「こんにちは、おじいさん」

善子「ちょっと立ち寄っただけよ。またすぐ出るわ」

「そうか…まだバルザックを…」

「わしも若ければ手伝いたいのだが…」

善子「これは私たちの復讐。関係ない人を巻き込むわけにはいかないわ」

「いや、わしらもエドガンさんには世話になった。バルザックを倒すのにできることがあれば言ってくれ」

180: 2020/08/16(日) 16:34:54.30 ID:THLv+LSc
「おっと、そうだ。オーリンのことは聞いたか?」

花丸「オーリンさん?お父さんと一緒にバルザックに〇されちゃったんじゃないの?」

「生死不明だったが、エドガンさんの研究所の方で見たという人がいるんじゃ」

善子「本当に!?」

「声をかけたわけじゃないから本当にオーリンかはわからんが…」

善子「行こう、マルちゃん」

花丸「うん!」

182: 2020/08/16(日) 16:35:49.11 ID:THLv+LSc
善子「しっかし何でお父さんはこんな村から離れたところに研究所を作ったのかしらね」

花丸「錬金術は間違えると危険なこともあるから、村にあんまり近くないほうがよかったんじゃないかな」

花丸「ちょうどいいところに古代遺跡があったってオーリンさんが言ってた気がするずら」

善子「荒らされた形跡があるわね…」

花丸「多分バルザックだね…お父さんたちの研究を全部持ってったんだと思う」

善子「ほんとにここにオーリンがいるのかしら?」

183: 2020/08/16(日) 16:36:24.31 ID:THLv+LSc
オーリン「善子様!花丸様!」

花丸「オーリンさん!」

善子「本当に生きてたのね!」

オーリン「ええ。奴にやられた後、ここにひそんで傷をいやしていました」

オーリン「お二人のことは心配でしたが、自分が動けないことにはどうしようもないので」

花丸「でもお父さんの研究所じゃバルザックが来るかもしれないのに…」

オーリン「いえ、すでに奴は実験データを持って行った後だったので。わざわざ戻ってくることもないだろう…と」

184: 2020/08/16(日) 16:37:17.03 ID:THLv+LSc
花丸「バルザックは何でお父さんを裏切ったの?」

オーリン「実は…エドガン様は錬金術の研究の過程で進化の秘法というとんでもないものを見つけてしまったのです」

オーリン「これを使えば人を超えた力を手に入れることができる…悪用されることを恐れてエドガン様は進化の秘法を封印しようとしました」

オーリン「しかしバルザックはそれに反対で…そこに原因があるのでしょう」

オーリン「現に進化の秘法に関するデータはすべて持ち去られています」

善子「進化の秘法…そんなものをバルザックが使っていたとしたら…」

オーリン「早いうちにバルザックを止めなくては」

185: 2020/08/16(日) 16:37:56.39 ID:THLv+LSc
オーリン「心配をおかけしましたが、私の傷は回復しました」

オーリン「これよりバルザックを倒しに行ってきます。なのでお二人はコーミズで待っていてください」

善子「いやよ」

花丸「マルたちのお父さんの仇だもん。自分たちで決着をつけるよ」

オーリン「しかしお嬢さま方に〇し合いなど…」

善子「私たちだってそれなりに魔法は使えるようになってるし」

善子「なにより父親を〇されて黙っていられないの」

花丸「村を出た時からとっくに覚悟はできてるよ」

オーリン「…わかりました。では私も敵討ちに同行させていただけますか」

善子「もちろんよ。みんなで頑張りましょう」

186: 2020/08/16(日) 16:38:42.07 ID:THLv+LSc
オーリン「こちらをお持ちください」

花丸「水晶玉?」

オーリン「静寂の玉と言って、呪文を封じる力があります」

オーリン「エドガン様がこっそり作っておられました」

オーリン「バルザックは魔法にも通じていたので戦いの役には立つかと」

花丸「ありがとう、オーリンさん」

187: 2020/08/16(日) 16:39:20.07 ID:THLv+LSc
善子「…というわけでモンバーバラでは手掛かりが見つからなかったんだけど」

善子「バルザックがいそうなところについて何か知らない?」

オーリン「ううむ…バルザックにやられて以降、人とは会っていないので情報はないのですが」

オーリン「…そういえば以前キングレオの王子と仲良くしてると聞いたことがあります」

善子「王子と!?バルザックが?」

オーリン「どういう接点があったのかは知りませんが…」

花丸「キングレオの王子というとクーデターで国王になったっていう…」

善子「バルザックの裏切りとキングレオ王子のクーデター…まさか!」

花丸「可能性はあるずら!キングレオ城に行ってみよう!」

190: 2020/08/16(日) 22:25:11.24 ID:THLv+LSc
4-2

善子「さて…どうやってお城の中に入るかね」

花丸「警備が硬い…多分正面から行っても門前払いを食らうよね…」

オーリン「お嬢さま、こちらに裏口が!」

善子「よし、じゃあそこから」

善子「…って鍵がかかってるじゃない」

オーリン「お任せください。この程度なら…」ガチャ

花丸「開いた…どうやったの?」

オーリン「なに、錬金術の応用です」

191: 2020/08/16(日) 22:25:47.89 ID:THLv+LSc
「あら、あなたもここに連れてこられたの?」

善子「え、ええ。まあ…」

「おいしいごはんに豪華なベッド。飲んで踊って」

「ここはまるで天国よ」

善子「へえ、そんなにいいところなの」

「もう元の生活に戻りたくないくらいよ」

花丸「ここに連れてこられた女性って他にもたくさんいるんですか?」

「結構いるわね。私より後に来た人も何人もいるし」

192: 2020/08/16(日) 22:26:33.08 ID:THLv+LSc
善子「みんな楽しく過ごしてるの?」

「そうね。たまに王様に呼ばれる人がいるけど、基本的には自由にしてるわ」

「そういえば王様に呼ばれてった人の姿をその後見てないような…」

善子「どうやったら王様に会えるのかしら?」

「さあねえ。私はどこにいるかも知らないし」

「いつも大臣が王様の指示を伝えるだけ。兵士たちも王様の居場所を知らないって噂よ」

花丸「兵士たちも?」

「それより王様に会ってどうする気?余計な詮索はしないほうがいいと思うな」

「ま、私には関係ないことだけど。じゃあね」

193: 2020/08/16(日) 22:27:03.47 ID:THLv+LSc
オーリン「城内を一通り回りましたが、確かに玉座の間のようなところはなかったですね」

花丸「じゃあ大臣に聞くしかないのかな?」

「やめておいたほうがいい」

善子「げ…兵士…」

「あんたたちが何を考えてるのかは知らんが、王子…いや現国王のクーデター以降城内はおかしくなってる」

「このあいだも大臣の部屋の近くで大きな音を出した者がハバリアに投獄されたからな」

善子「あなたはそんな私たちを放置していいの?」

「何かトラブルが起こるようなら仕事として動くが、触らぬ神に祟りなしだな」

善子「待って。バルザックって名前に心当たりはない?」

「確か新しい王の側近がそんな名前だったが…それがどうかしたのか」

善子「ありがとう!」

「おい、トラブルは起こすんじゃないぞ!」

194: 2020/08/16(日) 22:27:52.92 ID:THLv+LSc
善子「見つけたわ…バルザック!」

花丸「キングレオの王家に取り入ってたなんて…」

花丸「あとはどうやって王様のところに行くかだね」

オーリン「大臣が王の場所を知っているというのなら、王のところに行くよう仕向ければいいのです」

オーリン「大臣を脅かせた者のことが気になりますな。ハバリアに行ってみませんか?」

善子「そうね。情報は片っ端から集めましょう」

195: 2020/08/16(日) 22:28:50.87 ID:THLv+LSc
花丸「さすが港町ハバリア、潮風がきもちいいねぇ~」

善子「バルザックのことがなければのんびり観光もできたんだろうけど」

オーリン「ここからはエンドール行きの定期船が出てるそうですね」

善子「エンドールと言えばカジノよねー」

善子「よし、敵討ちが終わったら行きましょう」

花丸「…ヨハネちゃん運悪いんだからやめとこうよ」

オーリン「私もおすすめはしません…」

善子「何でよ!」

196: 2020/08/16(日) 22:29:44.34 ID:THLv+LSc
善子「牢屋なんて辛気臭くって嫌よね」

オーリン「情報収集のためです。仕方ありません」

花丸「あなたがキングレオで大臣を脅かした人ですか?」

「そうです!聞いてください。私は大臣に危害を加えるつもりはなく、ただ間違えて火薬を破裂させてしまっただけなんです」

「大臣が驚いて部屋から出てきたと思うとすぐに戻ってきて捕まりました」

「おそらく王様に報告したのだと思いますが…」

「たったそれだけでこんなことになるなんて…」

197: 2020/08/16(日) 22:30:33.86 ID:THLv+LSc
善子「その火薬ってどこで手に入れたの?」

「私は以前アッテムトの鉱山で働いていたので、その時に手に入れました」

「しかしあそこはもう…」

花丸「どういうことですか?」

オーリン「アッテムトと言えばかつては鉱山街として栄えていたが、今はさびれてしまったはず」

「ええ。鉱山の奥からガスが出るようになり、それと同時に魔物もはびこるようになりました」

「それで採掘を中断したのですが、最近また再開したらしく」

「炭鉱夫が頻繁になくなっているけど国が強制的に働かせているとか」

「いまも働かされている人たちに比べれば今の自分はましなのかもしれませんね…」

198: 2020/08/16(日) 22:31:30.06 ID:THLv+LSc
花丸「鉱山からガスかぁ」

オーリン「少々不安ですが、時間をかけなければ大丈夫でしょう」

善子「え、行く気なの?」

花丸「だってキングレオの王様の場所は大臣しか知らないし」

オーリン「大臣を大きな音を出して脅かせば王のところに行くでしょう」

花丸「そのためには火薬が必要でしょ?」

善子「別に火薬なくても…」

善子「例えばみんなで叫ぶとか」

花丸「ヨハネちゃん部屋の外から大声が聞こえてきて王様に報告するほど驚く?」

善子「ないわね…じゃ、じゃあ私のメラで火をつけるとか」

オーリン「キングレオ城を燃やすのはまずいでしょう。無関係の死人が出ます」

199: 2020/08/16(日) 22:32:17.81 ID:THLv+LSc
花丸「ヨハネちゃん。敵討ちの覚悟はその程度だったの?」

花丸「ガスの出る鉱山に行きたくない程度の」

善子「…そんなこと、ない」

善子「バルザックが憎い」

善子「ごめん。私が甘かったわ」

善子「バルザックを倒すためにどんなことでもするって決めたもんね」

200: 2020/08/16(日) 22:33:01.54 ID:THLv+LSc
善子「とは言ったものの…」

善子「何この匂い…」

「こんなところに何の用だい」

「見てのとおりこの町は鉱山から出るガスのせいで炭鉱夫以外はみんな逃げ出したよ」

「あんたらもあそこの人みたいにならないうちに早くよそに行きな」

善子「ひっ…死体…」

「あの人はハバリアに子供を残してきたらしくてね。最期は子供からの手紙を握りしめたまま…」

「こっちも人手が足りなくてお墓も満足に作ってあげられない」

花丸「あの…おばあさんは逃げないんですか?」

「あたしゃあもう先は長くない。最期まで残った人の世話をするさ」

201: 2020/08/16(日) 22:33:46.59 ID:THLv+LSc
オーリン「アッテムトがこんなになっているとは…」

花丸「ガスだけじゃない…亡くなった人が放置されてるのも匂いの原因ずら…」

善子「バルザックを倒すだけじゃないわね。キングレオ王の暴政も止めないと」

花丸「これ以上犠牲者を出さないためにもね」

善子「そのためにはまず火薬よ。誰に聞けばいいのかしら」

202: 2020/08/16(日) 22:34:35.34 ID:THLv+LSc
「火薬なら国から作るのを禁止されていてな。ここにはないんじゃ」

「鉱山の中に残りがあったと思うが…命が惜しくないなら好きにすればいい」

善子「え…あの中に入るの…?」

オーリン「ここは私ひとりで行ってきましょう」

花丸「オーリンさんだけに危険なことはさせられないよ」

善子「ええい、さっさと火薬を取ってきましょう。息止めて一気に行くわよ!」

203: 2020/08/16(日) 22:35:31.70 ID:THLv+LSc
「掘って掘って掘りまくれ~。金が出るまで掘りまくれ~」

善子「生気の抜けた歌ね…」

「魔物にやられるのが先か。ガスにやられるのが先か。歌わなきゃやってらんねえよ」

花丸「何でそこまでして…」

「逃げだしたのがばれたら〇されちまう。だったら金を見つけて開放されるのを祈るしかねえさ」

「嬢ちゃんたちはこんなところに何の用だよ。自〇願望でもあるのか?」

善子「私たちは火薬が欲しくて…」

「火薬ならそこにあるぞ」

「しけってて破裂音を出すぐらいしかできないだろうが、それでよければ持ってきな」

204: 2020/08/16(日) 22:36:11.46 ID:THLv+LSc
善子「もういや。早くこんなとこ脱出するわよ!」

花丸「待って!」

オーリン「どうかしたのですか?」

花丸「こっちの方…魔力を感じる」

善子「魔力?…確かにあるけど、気にするようなこと?」

花丸「わかんない。でもなんか呼ばれた気がするんだ」

善子「気がする…ねえ。まあ、あんたの占いはよく当たるから予感を疑うわけじゃないけど」

205: 2020/08/16(日) 22:36:57.70 ID:THLv+LSc
花丸「あった」

善子「これは…銀色のタロットカード?」

善子「不思議な力を感じる…ただのタロットじゃなさそうね」

花丸「多分これは…」シャシャ

花丸「祈りを込めて引けばっ」シュ

善子「んん…?なんか力が湧いてきたわ」

善子「まさかそのタロットの力?」

花丸「マルが占った結果ずら」

善子「これがあればバルザックとの戦いでも役に立ちそうね」

花丸「でも何が引けるかはわからないし、中には悪い効果が出るカードもあると思うんだよね」

善子「いい効果が出るまで引き直せばいいんじゃないの?」

善子「…って占いだとしたらそうもいかないか」

花丸「うん。何回も占ってもいい結果は出ない。引いたカードがその時の運命なんだから」

オーリン「よし、元気なうちに鉱山を出ましょう」

206: 2020/08/16(日) 22:37:31.38 ID:THLv+LSc
花丸「こんなところに祠なんてあったんだ」

オーリン「真ん中の大きな光とその周りの8つの青い光…不思議なところですね」

善子「ちょうどいいから戦勝祈願でもしていきましょう」

善子「…ん?」

「今のあなた方では巨大な力の前にひれ伏すだけでしょう」

「しかし案ずる事はありません」

「私には見えるのです。あなた方は光り輝く力によって守られているのが…」

「今は小さな光ですがいくつもいくつも導かれやがて大きな力となるでしょう」

「焦ってはいけません。あなた方が絶望に打ちひしがれたその時こそ、あなた方の旅が始まるのです」

「やがて世界は魔の手によって蝕まれます」

「導かれし者よ。あなた方がいつか勇者とともに世界を救う日があらんことを」

207: 2020/08/16(日) 22:38:12.05 ID:THLv+LSc
善子「なに…今の声?」

オーリン「声?私には何も聞こえませんでしたが」

善子「うそ!ねえ、マルちゃんは聞こえたわよね?」

花丸「うん…」

善子「ほら。聞こえたのはヨハネだけじゃないわ」

善子「勇者?世界を救う?何のことかさっぱりね」

善子「あんなの忘れてキングレオ城に乗り込みましょう」

花丸「…」

211: 2020/08/17(月) 20:29:01.41 ID:q33rYuCD
4-3

善子「さあ待ってなさいバルザック!」

花丸「…」

善子「どうしたの?今更怖気づいたんじゃないでしょうね」

花丸「違うけど…ううん、今はバルザックを倒すことに全力だよね」

善子「しっかりしなさいよ。あんたがいないと勝てないんだから」

212: 2020/08/17(月) 20:29:37.67 ID:q33rYuCD
善子「2度目の侵入だけど…やっぱり裏口からよね。オーリン」

オーリン「お任せください」ガチャ

善子「やっぱり見事な手さばきよね。私も習いたいわ」

オーリン「ではこの戦いが終わったらお教えしましょう」

オーリン「善子様は器用ですから、すぐ身に着けられると思いますよ」

213: 2020/08/17(月) 20:30:09.07 ID:q33rYuCD
花丸「大臣の部屋は…ここだね」

善子「さあ王様のもとに案内してもらうわよ」

オーリン「うまくいくといいのですが」

善子「火薬に火をつけてっと」

善子「2人とも耳ふさいで!」

ボカン

「な、なんじゃ今の音は!」

214: 2020/08/17(月) 20:30:47.91 ID:q33rYuCD
善子(驚いて出てきてくれたわね)

「…」ダッダッダ

善子(一体大臣はどこに向かうのか…)

「…」ポチ

善子「消えた!?」

花丸「この壁…ボタンになってる」

善子「そう…ここが王様とバルザックの隠れてる場所ってことね」

善子「行くわよ」ポチ

215: 2020/08/17(月) 20:31:27.39 ID:q33rYuCD
バルザック「誰かと思えば…エドガンの娘たちじゃないか」

バルザック「それにオーリンも。あの時〇し損ねたのか」

善子「バルザック…!」

バルザック「おおかた父親の敵討ちってところか?」

花丸「何で、あなたはお父さんを…!」

バルザック「あの男は進化の秘法を封印しようとしたんだよ」

バルザック「愚かな。世紀の発見だというのに」

216: 2020/08/17(月) 20:32:21.02 ID:q33rYuCD
オーリン「違う!あれは人間が扱っていいものじゃないんだ」

バルザック「使ってもない者が何を言う」

バルザック「みよ。我が進化した肉体を」グググ

花丸「バルザックの姿が…」

善子「まるで魔物…!」

オーリン「これが…進化の秘法の力!?」

217: 2020/08/17(月) 20:33:08.66 ID:q33rYuCD
バルザック「俺は人間を超えた力を手に入れた」

バルザック「さらに研究を進めれば世界の王にもなれるだろう」

バルザック「それをエドガンは邪魔しやがって…だから〇した」

花丸「ゆるせない…そんなことのためにお父さんを…」

善子「バルザック…あんたもこの手で〇してやる!」

バルザック「はっはっは。ただの人間が進化した俺に勝てるか」

バルザック「我が野望を阻止するものには死んでもらおう!」

218: 2020/08/17(月) 20:33:56.95 ID:q33rYuCD
オーリン「でやぁっ」

バルザック「ふん」

オーリン「な…私がバルザックに力で押されるだと…」

バルザック「まだわからないのか。あの時とは違うんだよ」

バルザック「今の俺はお前ごときひねり潰せる」

善子「ギラ」

花丸「バギ」

バルザック「ぐっ…」

オーリン「はぁっ」ザク

バルザック「ぐはっ」

219: 2020/08/17(月) 20:34:42.23 ID:q33rYuCD
バルザック「じゃまな小娘よ。お前らから先に片付けるとしよう」

バルザック「ギラ」

オーリン「お嬢様、危ない!」ジュツ

オーリン「ぐぅっ」

善子「オーリン!」

花丸「ホイミ!」

オーリン「ありがとうございます」

善子「無理しないで。自分の身くらい守れるから」

220: 2020/08/17(月) 20:35:34.36 ID:q33rYuCD
善子「割とダメージ受けちゃって、人間を超えたって割には大したことないわね」

バルザック「ふん。この程度」

バルザック「ベホマ」

花丸「そんな…高位呪文を…!」

バルザック「お前たちの攻撃などすぐ回復できるんだよ」

善子「っ…だったら」

善子「回復する暇もなく攻撃するまでよ!」

オーリン「はいっ、善子様!」

221: 2020/08/17(月) 20:36:18.79 ID:q33rYuCD
花丸(このままじゃいたちごっこ…)

花丸(ううん…マルたちが先に消耗するずら…)

花丸(バルザックの呪文を封じなければ勝ち目は…)

花丸(封じる…?そういえば!)

222: 2020/08/17(月) 20:36:54.75 ID:q33rYuCD
バルザック「無駄無駄ぁ!ベホマ」

バルザック「何?ベホマ!」

オーリン「バルザックの傷がふさがらない…?」

バルザック「貴様ら…何を」

花丸「これだよ」

オーリン「それは、静寂の玉!」

善子「そうか、それで呪文を封じたのね」

223: 2020/08/17(月) 20:37:40.97 ID:q33rYuCD
バルザック「回復などなくとも…!」

善子「呪文さえ封じちゃえば!ギラ」

オーリン「我々の勝利が見えるぞ!」バシュ

花丸「おらたちの全力で!バギ」

バルザック「ぐはぁっ」バタン

善子「さあ、これでとどめよ…」

「そこまでだ」

224: 2020/08/17(月) 20:38:22.48 ID:q33rYuCD
オーリン「何者だ!?」

バルザック「キングレオ様っ…」

キングレオ「不覚を取ったもんだなバルザックよ」

善子「キングレオ…あんたが国を乗っ取った王子ってことね」

キングレオ「そうだ。私はバルザックとともにこの国を世界一にするのでな」

キングレオ「まだこやつに死なれるわけにはいかないのだ」

キングレオ「お前たちは私が始末してやろう」

225: 2020/08/17(月) 20:38:54.35 ID:q33rYuCD
善子(なに…こいつ…)

善子(バルザックとは比べ物にならない…)

善子(これも進化の秘法の力なの…?)

オーリン「ぐぁっ…」

善子「オーリン!」

226: 2020/08/17(月) 20:39:42.62 ID:q33rYuCD
花丸(だめ…勝てる未来が見えない…!)

花丸(ヨハネちゃんもオーリンさんもやられて)

花丸(マルたち死んじゃうのかな…)

花丸(そうだ…今こそ銀のタロットで…)

花丸(マルたちに力を!)

花丸(星の…カード…)パタリ

227: 2020/08/17(月) 20:40:29.73 ID:q33rYuCD
オーリン「花丸様!」

花丸「ここは…?」

善子「牢屋よ。よかった…目覚めて」

花丸「マルたち…生きてる…」

善子「どうやら〇されはしなかったようね」

「おそらくそなたたちを実験に使うつもりじゃろう」

花丸「この人は?」

オーリン「先代の国王様だ」

花丸「え、じゃあ…」

228: 2020/08/17(月) 20:41:00.00 ID:q33rYuCD
「我が息子が申し訳ない」

「わしの育て方が悪かったのか悪魔のような男になってしまった…」

「本当ならわが身をもって償うべきなんじゃが、この老体じゃ息子は止められん」

「ここに乗船券がある。せめて〇される前にそなたたちに逃げてもらうことくらいしかできぬ」

善子「逃げるってどうやって?」

「そこの壁の向こうは通路になっている。だいぶぼろくなっているからあんたの仲間の男の力なら壊せるじゃろう」

花丸「でも、そんなことしたら見張りの兵士が…」

「私は何も見ていないし、聞いていません。仕事中に眠ってしまっただけです。ぐうぐう…」

「彼も命令と正義の間で揺れているんじゃよ」

229: 2020/08/17(月) 20:41:43.19 ID:q33rYuCD
「今はとにかく逃げて、生き延びよ」

「そしてできればいつかこの国を元に…いや、そこまで無理は言えん」

花丸「いいえ。また戻ってきます」

善子「バルザックは私たちの仇。今は勝てなくても、力をつけてキングレオごとやっつけてやるわ」

「そうか…頑張ってくれ…」

オーリン「行きましょうお二人とも」

230: 2020/08/17(月) 20:42:45.43 ID:q33rYuCD
オーリン「ここを出たらハバリアからエンドールに向かいましょう」

オーリン「あいつらに勝つためには鍛えるしかありません」

善子「ヨハネの魔法もキングレオには全然通用しなかった…」

善子「もっと強く…」

花丸(小さな光…大きく…それが示すのは)

231: 2020/08/17(月) 20:43:42.92 ID:q33rYuCD
「お前たち!まさか脱走者か!?」

オーリン「まずい、見つかった!」

「捕まえ !」

オーリン「くっ…ここは私に任せて、お二人は先にお逃げください」

花丸「そんな、一人じゃ無理だよ!」

オーリン「私のことはいいから。お二人が生きていれば仇は討てるのです」

善子「…行くわよマルちゃん!」

花丸「だめだよ。オーリンさんも一緒じゃないと」

善子「このまま一緒にいてもそろって捕まるだけよ!」

善子「オーリンの覚悟を無駄にしないで」

232: 2020/08/17(月) 20:44:16.29 ID:q33rYuCD
「エンドール行きの船はまもなく出港しまーす。乗船券をお持ちの方はお早めにお乗りください」

花丸「…」

善子「いつまで落ち込んでるの」

花丸「だってオーリンさんが…」

善子「あのオーリンよ?バルザックにやられても生きてたんだから今度も大丈夫よ」

善子「だから私たちも死ぬわけにはいかないの」

善子「いつかバルザックとキングレオを倒すために…」

234: 2020/08/18(火) 00:11:39.25 ID:v4fBroZJ
5-1

「勇者様…」

千歌「ん?チカのこと?」

「勇者様、お助けください」

千歌「わっ、カエルがしゃべった!?」

「実は私はカエルではなく、呪いで姿を変えられたとある国の姫なのです」

「詳しい話をしたいのでこちらにお願いします」ピョンピョコ

千歌「呪い…姫…すごそう!」

235: 2020/08/18(火) 00:12:19.78 ID:v4fBroZJ
千歌「確かこっちに来たと思うけど…」

シンシア「どうしたの千歌?」

千歌「あれ、シンシアちゃん?」

千歌「こっちにカエル来なかった?」

シンシア「さあ?見てないけど」

千歌「あれー…おかしいなぁ」

シンシア「カエルなんて珍しくもないじゃない」

千歌「実は呪いをかけられたお姫様だってカエルがいてさ、チカに助けを求めてきたんだ」

シンシア「へー呪いねぇ…」

236: 2020/08/18(火) 00:12:52.72 ID:v4fBroZJ
シンシア「…あははっ」

シンシア「あなたが見たのってこれでしょ」ポワン

千歌「あーっ、そのカエル!」

千歌「シンシアちゃんだったの!?なにそれ!呪文!?」

シンシア「そうそう。モシャスっていってね、変身できる呪文なの♪」

千歌「すごい!そんなの使えるんだ」

千歌「チカは魔法はあんまり得意じゃないからなぁ」

シンシア「と言っても、あなたは両方それなりに使えるじゃない」

シンシア「私は近接戦闘のほうは全然だし、果南も魔法はまったく覚えられなかったでしょ」

シンシア「人それぞれ向き不向きはあるからね」

237: 2020/08/18(火) 00:13:31.05 ID:v4fBroZJ
千歌「果南ちゃんかぁ…今頃何してるんだろうね」

シンシア「さあ…どこかのお城で働くって聞いて以来音信ないものね」

シンシア「まあ便りがないのはいい便りとも言うし、あの果南なんだから心配することもないわよ」

千歌「そっか…そうだよね」

シンシア「さあ、もうお昼の時間ね、帰りましょう」

千歌「うん!」

238: 2020/08/18(火) 00:14:08.85 ID:v4fBroZJ
千歌「あれ、あんな人村にいたっけ?」

シンシア「旅の詩人らしいわよ。迷ってたところを泊めてあげたんだって」

シンシア「よそ者を入れるなんて何考えてるのかしらね」

千歌「よその人入れちゃダメなの?」

シンシア「そりゃあ千歌が…」

シンシア「ごめん、何でもないわ」

千歌「えー!何でもないってことないでしょ。チカがどうしたの?」

シンシア「…その時が来たら話すわ」

千歌「そんなあ~」

239: 2020/08/18(火) 00:14:55.18 ID:v4fBroZJ
「おや、あなたは」

千歌(さっきの詩人さん)

千歌(きれいな人…)

シンシア「何か用ですか?」

「失礼。懐かしい雰囲気を感じたもので」

「しかし気のせいだったようです」

シンシア「あなたは何でこの村に来たの?」

「たまたま迷ってたどり着いたのですよ。まさかこんな山奥に村があるなんて思いもしませんでしたね」

シンシア「そう、なら早く元のところに戻ったほうがいいんじゃないの?」

「ええ、言われずとも。長居しても悪いですからね」

「では失礼します」

240: 2020/08/18(火) 00:15:38.50 ID:v4fBroZJ
千歌「シンシアちゃん…なんか感じ悪いよ?」

シンシア「あの人…嫌な予感がするの」

千歌「そう?優しそうな人だったけど」

シンシア「よくないことが起こらなければいいけど…」

シンシア「それよりお昼お昼。もうおなかぺこぺこよ」

241: 2020/08/18(火) 00:16:32.15 ID:v4fBroZJ
「ようし、今日の訓練はここまでだ」

千歌「はぁ~…」

「お疲れ様です。戦士様」

千歌「うさぎ…?ああ、シンシアちゃんだよね」

シンシア「あら、ばれちゃった?」

千歌「2度目は引っかからないよ」

シンシア「今日も大変だったね」

千歌「体中痛いよ。でも、強くなるためだもん」

「お前たちも家に帰るといい。明日もビシバシ鍛えてやるからな」

242: 2020/08/18(火) 00:17:24.74 ID:v4fBroZJ
「おや、千歌おかえり」

「今日も疲れたでしょう。夕食ができてるからお食べ」

シンシア「何か手伝いましょうか?」

「いいのいいの。2人とも座って待ってなさい」

243: 2020/08/18(火) 00:17:57.42 ID:v4fBroZJ
「大変だー!魔物が攻めてきたぞー」

千歌「え!?」

シンシア「まさか…」

「まあ!急いでこの子を隠さないと」

千歌「私も戦うよ?」

「千歌、聞いて。今まで黙ってきたけど、私たちはあなたの本当の親じゃないの」

「あなたは選ばれし勇者。遠くない未来、世界を照らす光となるでしょう」

「だから今失うわけにはいかないの」

千歌「いきなり何言ってるの…?」

「シンシアちゃん、お願い」

シンシア「はい。千歌行くわよ」

244: 2020/08/18(火) 00:18:34.97 ID:v4fBroZJ
シンシア「あなたはここに隠れてて」

千歌「わけが分からないよ…勇者とか本当の親じゃないとか…」

シンシア「ごめんなさい。詳しく説明してる時間はないの」

シンシア「魔物の狙いは多分勇者であるあなたの命」

シンシア「でも大丈夫。あなたを〇させはしないわ」

シンシア「モシャス」ポワン

千歌「その姿…」

シンシア「絶対出てきちゃだめだから」

シンシア「あなたは何があっても生きるのよ」

千歌「待ってシンシアちゃん。チカに変身してどうすr」

シンシア「さようなら…私もあなたのことは可愛い妹みたいに思っていたわよ」

245: 2020/08/18(火) 00:19:11.57 ID:v4fBroZJ
「いたぞ!勇者だ」

「みな、かかれー」

「逃がすなー」

246: 2020/08/18(火) 00:19:42.41 ID:v4fBroZJ
「勇者を仕留めました!」

「よし、よくやった。デスピサロ様に報告だ」

「ひきあげじゃあ!」

253: 2020/08/18(火) 21:03:18.83 ID:v4fBroZJ
5-2

千歌(静かになった…)

千歌(どうなったの…?)

千歌(村のみんなは…)

254: 2020/08/18(火) 21:03:55.67 ID:v4fBroZJ
千歌「なにこれ…」

千歌(村が…なくなってる)

千歌「誰か…」

千歌「誰かいませんかー」

千歌(みんな〇されちゃったの…?)

千歌「お母さん、お父さん、シンシアちゃん…」

千歌「うぅ…ぐす…ひっく…」

255: 2020/08/18(火) 21:04:27.84 ID:v4fBroZJ
千歌(チカが勇者で、魔物たちはチカを狙ってるって言ってたよね…)

千歌(じゃあ村のみんなはチカを守るために…?)

千歌(私のせいだ…私がいなければみんなは無事だったんだ…)

千歌(私も死ねばみんなと会えるかな…)

千歌「これ…シンシアちゃんがかぶってた帽子だ」

千歌(そういえば…)

千歌(何があっても生きるのよ…か)

千歌(そっか…チカが死んだらダメなんだ…)

256: 2020/08/18(火) 21:05:02.49 ID:v4fBroZJ
千歌「生きる…」

千歌(生きるってどうやって…?)

千歌(この村以外は知らないのに)

千歌(チカ1人じゃ何もできない…)

千歌(そうだ…果南ちゃん…)

千歌(村を出て行ってからどんくらい経つんだっけ…)

千歌(果南ちゃんに会えば何か変わるかな…)

千歌(とりあえず村を出ないと)

千歌(さようなら、みんな…)

257: 2020/08/18(火) 21:05:40.80 ID:v4fBroZJ
千歌「はぁ…はぁ…」

千歌(どこまで続くの…この山道)

「おめえこんなところで何してんだ?」

千歌「え?」

「ここはおめえみてえなガキがいるところじゃねえぞ」

「しけた顔面してんな…ついてこい」

258: 2020/08/18(火) 21:06:23.98 ID:v4fBroZJ
「さあ、食え」

千歌「でも…」

「なんだ?俺の飯が食えねえってのか」

千歌「そういうわけじゃ…いただきます」

「そうだ、食ったらさっさと寝ろ」

「一晩休んでいきやがれ」

259: 2020/08/18(火) 21:07:09.08 ID:v4fBroZJ
「いつまで寝てんだ」

「起きたならさっさと出ていきやがれ。南に行けば城があるからよ」

千歌「あの…」

「おっと、そんな装備で行く気か?」

「向こうに使い古しだが防具がある。持っていきやがれ」

千歌「いろいろ、ありがとうございます…」

「ああ?礼を言われるようなことはしてねえよ」

「もう俺の前にそんなしけた面見せんじゃねえぞ」

260: 2020/08/18(火) 21:07:52.67 ID:v4fBroZJ
千歌(口は悪いけど親切なおじいさんだったなぁ)

千歌(南にお城って言われたけど…)

千歌「わぁ…」

千歌(本でしか見たことなかったけど、すごい大きい…!)

「なんだ嬢ちゃん、城を見るのは初めてか?」

千歌「ふぇ?」

「口をあんぐり開けて、田舎もんが丸出しだぞ」

千歌「だって…こんな大きなの初めてで…」

「ははっ、よっぽど山奥に住んでたようだな」

261: 2020/08/18(火) 21:08:57.44 ID:v4fBroZJ
「ここブランカの国には何しに来たんだい?」

千歌「えっと…人を、探しに」

「ほう、この国で働いてるのか」

千歌「どこにいるかはわからないんだけど…」

「わからないだと!?そんな相手をどうやって探す気…」

「いや、だったら西のエンドールに行ってみるといい」

「よく当たる占い師がいるという噂だ。探し人を見つけてくれるかもしれんぞ」

「ついでにここよりさらに大きな城があるぞ」

千歌「じゃあ…そうしようかな。ありがとうございます」

262: 2020/08/18(火) 23:31:17.49 ID:v4fBroZJ
4-4

花丸「ここが、エンドール…」

善子「すっご…モンバーバラが田舎に見えるわ」

花丸「じゃあ分かれて情報を…」

善子「まずはカジノで…」

花丸「え?」

花丸「カジノ…ってまさか遊ぶつもり?」

善子「まあ、待ちなさいリトルデーモン」

263: 2020/08/18(火) 23:31:48.63 ID:v4fBroZJ
善子「船で話したでしょう」

善子「いくら鍛えても2人じゃキングレオ相手に勝ち目は薄い」

善子「あの祠で言われたこと。ヨハネたちは勇者とともに世界を救うと」

善子「だからまずは仲間を探そうって。同じ光に導かれし者と中心にいる勇者様を」

善子「そのためには世界一の大国、エンドールで情報を集めるのが一番じゃない?」

善子「エンドールの娯楽と言えばカジノ」

善子「カジノならステージくらいあるでしょう」

善子「ヨハネはそこで稼ぎつつ情報を集めるつもりなの」

264: 2020/08/18(火) 23:32:28.66 ID:v4fBroZJ
花丸「ごめんなさい!」

花丸「ヨハネちゃんはまじめに考えていたのに、マルは疑っちゃって…」

善子「いいのよそのくらい。私とあなたの仲じゃない」

善子(カジノでちょっと遊ぶつもりなのは事実だし…)

善子「マルちゃんの方こそ占い任せたわよ」

花丸「うん、頑張るよ」

265: 2020/08/18(火) 23:33:05.45 ID:v4fBroZJ
花丸(とは言ったものの…)

花丸(どの人を占っても普通の結果ばっかり)

花丸(このままエンドールに居続けていいのかな…)

「あんたが今噂の占い師さん?」

花丸「あ、はい。噂かどうかは知りませんが」

花丸「どのようなことを占いましょうか」

「あー…っと、そろそろ結婚を考えててな」

「その、何というか…出会いみたいなものがないのかなー…って」

花丸「結婚相手と出会いを探しているということでしょうか」

花丸「では占ってみましょう…」

266: 2020/08/18(火) 23:33:52.57 ID:v4fBroZJ
花丸(これは…!)

花丸「最近誰かと一緒に行動しませんでしたか!?」

「誰かと…って、傭兵の仕事柄いろんな人と一緒にいるがなぁ」

「あ、ちょっと前に女商人を護衛はしたけど」

花丸「その人このことを教えてください!」

「鞠莉っていってな。何を隠そうブランカとをつなぐマリートンネルを作った人だが…」

「東のほうに旅立ってったよ…まさかあの人が運命の相手だっていうのか?」

「いやいや、俺なんかがあの人の相手をつとめられるわけないぜ」

花丸「あ、いえ。その人はあなたの運命の人ではありませんが…」

花丸(まり…間違いない。この人もおらたちと同じ…)

花丸「あなたのお相手は…そうですね」

花丸「近い未来に出会いがあります。あなたがそれを運命だと気づければ道が開けるでしょう」

「なるほど、すぐ出会いがあるのか。ありがとさん」

267: 2020/08/18(火) 23:34:34.33 ID:v4fBroZJ
花丸(この銀のタロットを使うといろいろ見えるようになったけど…)

花丸(未来の可能性が見えても、未来を決定するのは結局その人本人の行動次第なんだよね)

花丸(運命の出会いか…)

花丸(マルの運命の勇者様はどこにいるずら…)

268: 2020/08/18(火) 23:35:30.90 ID:v4fBroZJ
「あのー…」

花丸「あ、はい、ごめんなさい」

花丸(おらとおんなじくらいの子かな…)

「よく当たる占いってここですか?」

花丸「当たるかは保証できませんが、何を占いましょうか」

「会いたい人がいるんですけど」

花丸「人探しですね。わかりました」

花丸「まずはあなた自身について占いましょう」

269: 2020/08/18(火) 23:36:11.55 ID:v4fBroZJ
花丸「あなたのまわりには8つの光が見えます」

花丸「まだ小さな光ですがやがては導かれ大きな光となり…」

花丸「えっ!?」

花丸「勇者様!?」

270: 2020/08/19(水) 00:33:55.09 ID:lMOWZxxi
5-3

千歌「え…!」

花丸「あなたを探していました!」

千歌「勇者…って。なんなの…」

千歌「村でも言われた…ここでも?」

千歌「なんで私?ただの人なのに」

花丸「いいえ。あなたは勇者です」

花丸「世界を救う可能性を秘めた、光に導かれし勇者です」

千歌「世界を救う…?村1つ守れなかった私が?」

花丸「村…」

花丸「何かあったのですか?」

花丸「…いえ、ここではなんですから、宿屋で話を聞きましょう」

271: 2020/08/19(水) 00:34:27.39 ID:lMOWZxxi
善子「あーもう!今日も勝てなかったわ」

花丸「勝てなかった…ってまたカジノ?」

善子「げ、マルちゃん…いや、ほんのちょっとね。1回だけ」

花丸「いい加減あきらめてよ…」

善子「負けを取り戻すまでやめるわけにはいかないのよ」

善子「…ってその人は?」

花丸「あ、探してた勇者様ずら」

善子「ほんと!?いやーこれで百人力よ」

善子「…それにしてもやけに暗い顔してるわね勇者様」

272: 2020/08/19(水) 00:35:07.38 ID:lMOWZxxi
善子「ふーん…村がね」

千歌「うん…」

善子「それで唯一残った知り合いの幼馴染を探して旅をしてると」

善子「その人の居場所は見当つくの?」

花丸「具体的な場所はわからないけど、この先道は交差するって占いでは出たよ」

千歌「ほんとに?果南ちゃんとまた会えるの?」

花丸「占いは絶対ではないです。行動次第で未来は変わるので」

善子「年も変わらない相手にあんたはいつまで敬語使ってるのよ」

花丸「でも勇者様だし…」

千歌「その勇者様ってのやめてもらえないかな…」

千歌「チカは全然勇者なんかじゃないし」

273: 2020/08/19(水) 00:35:53.53 ID:lMOWZxxi
善子「ちかっていうのがあなたの名前?」

千歌「そうだけど」

花丸「そういえばまだ名乗ってかったずら」

花丸「おらは花丸。こっちが善子ちゃん」

善子「ヨハネよ」

千歌「善子…ヨハネ?」

善子「善子というのは仮の名。私は堕天使ヨハネよ」

千歌「よし…ヨハ…よっちゃん?」

花丸「あはは、かわいい」

善子「だからヨハネ…まあいいわ」

274: 2020/08/19(水) 00:36:27.61 ID:lMOWZxxi
善子「それで、果南って人に会えたらどうするの?」

善子「村を滅ぼした相手に復讐?」

千歌「復讐…はどうなんだろう…」

善子「大切な人を〇した相手が憎くないの?」

千歌「そりゃあ憎いけど…」

千歌「どんな相手かもわからないからあんまりイメージがわかなくて」

善子「まあ私たちと旅の目的は似たようなものね…」

千歌「え?」

花丸「マルたちはお父さんを〇した相手に復讐するために旅をしているずら」

千歌「あなたたちも…」

善子「私はお父さんを〇したあいつが許せない」

275: 2020/08/19(水) 00:37:01.71 ID:lMOWZxxi
花丸「でもそのデスピサロって魔物はどこかでまた会うことになるんじゃないかな」

千歌「どういうこと?」

花丸「相手は勇者を狙ってたんだよね?」

花丸「だとしたら千歌ちゃんが生きてるとわかったらまた狙われると思うずら」

千歌「あ…」

善子「どうやら導かれし者たちを集めてデスピサロと戦うことになりそうね…」

花丸「それが世界を救う勇者の仕事でもあると思うずら」

276: 2020/08/19(水) 00:37:49.32 ID:lMOWZxxi
善子「仲間探しだけど…なんか手掛かりないの?」

花丸「あるよ」

善子「まあ、ないわよね…ってあるの!?」

花丸「千歌ちゃんと果南さんのことを占ったときに、果南さんの方に光が見えたずら」

花丸「導かれし者ってことだと思う…」

花丸「それと、商人の鞠莉さんも多分そう」

善子「どこかで聞いたことある名前ね」

花丸「東のトンネルを作った人だよ」

千歌「トンネル?」

善子「エンドールとブランカをつなぐトンネル。そっちのほうから来たんなら通ったんじゃないの?」

277: 2020/08/19(水) 00:38:23.80 ID:lMOWZxxi
千歌「そういえば…そこ通った時に、何人目かの記念だってことでコイン貰ったんだった」

善子「コイン?」

千歌「何に使えるんだろう…」

善子「これは…カジノコイン!」

善子「そんな偶然もらえるなんて、あなたもしかして運いい人?一緒にカジノ行きましょう」

千歌「えっと…」

花丸「もう、千歌ちゃんをギャンブルに引き込まないでよ」

善子「じ、冗談だって」

278: 2020/08/19(水) 00:38:50.74 ID:lMOWZxxi
善子「こほん。とりあえず果南って人と鞠莉って人を探せばいいのよね?」

花丸「うん。鞠莉さんは東のほうに行ったって聞いたずら」

善子「ブランカ…さらにその先かしら」

花丸「この大陸は広いから、どこまで行けばいいのかはわからないけど」

花丸「勇者千歌ちゃんがいれば、巡り合えるはずずら♪」

善子「よし、仲間探しの旅に出発よ!」

千歌「果南ちゃん…チカ、会いに行くからね」

279: 2020/08/19(水) 01:40:14.39 ID:lMOWZxxi
1-2

ルビィ「はぁ…はぁ…」

果南「大丈夫?」

果南「少し休もうか」

ルビィ「すごい山奥にあるんですね。果南さんの故郷って」

果南「うん、こんなところに村があるなんて思わないよね」

果南「小さな村なんだけど、のどかでいいところなんだ」

果南「まあ私は外の世界を知りたくて村を出たんだけどさ」

280: 2020/08/19(水) 01:40:42.14 ID:lMOWZxxi
ルビィ「そこの先生ならルビィを元の姿に戻す方法を知ってるかもしれない…」

果南「私の知ってる中で一番の物知りってだけだけどね」

果南「でも、他にあてもないし、千歌の無事も確認できるし」

ルビィ「千歌…さん?」

果南「あ…と、私の幼馴染でね」

果南(おっと…千歌が勇者なことは秘密だった)

果南「あの村には子供は私の他に2人しかいなかったから姉妹みたいに育ったんだけど、妹分のことはやっぱり気になってさ」

ルビィ「姉妹…」

ルビィ(お姉ちゃん…ルビィは…)

果南「お姉ちゃん…シンシアちゃんはしっかりしてるから大丈夫だろうけど」

281: 2020/08/19(水) 01:41:10.36 ID:lMOWZxxi
ルビィ「でも…こんな姿のルビィが行って大丈夫なんですか?」

ルビィ「モンスターだって退治されちゃうんじゃ…」

果南「うーん…まあ私と一緒だから大丈夫なんじゃないの?」

果南「ちゃんと説明すればわかってくれるだろうし」

果南「ルビィはこんなにかわいいんだから平気平気」

ルビィ(ほんとかなぁ…)

282: 2020/08/19(水) 01:41:44.12 ID:lMOWZxxi
果南「さて、回復できた?」

ルビィ「はい。もう大丈夫です」

果南「よし、もうあと少しのはずだよ」

果南「なんなら抱っこしてあげようか?」

果南「私見ての通り力はあるからね」

ルビィ「自分で歩けますよぉ」

283: 2020/08/19(水) 01:42:22.50 ID:lMOWZxxi
果南「見えた!あそこだよ」

果南「…あれ?」

果南「なに…これ…」

ルビィ「ここが…村?」

果南「何で、こんな…」

ルビィ「建物がぼろぼろ…」

果南「誰かー!誰かいないー?」

果南「千歌ー、シンシアちゃんー」

284: 2020/08/19(水) 01:42:52.73 ID:lMOWZxxi
果南「誰も…いない…」

ルビィ「も、もしかしてみんなで引っ越したとか…」

果南「この壊れ方見てそう思う?」

ルビィ「う…」

果南「襲われたようにしか見えないよ…」

果南「モンスターか。人間か」

ルビィ「でもなんでこんな村を」

ルビィ「あ!ご、ごめんなさい…」

果南「うん…こんな村をね…」

果南(狙われるとしたらやっぱり…)

285: 2020/08/19(水) 01:43:25.25 ID:lMOWZxxi
果南「千歌が狙われて…」

ルビィ「千歌さん?」

果南「こうなったからには隠してても意味ないと思うから話すけど…」

果南「勇者って知ってる?」

ルビィ「勇者?」

ルビィ「確か…闇の力が強まるとき、世界に光をもたらす…って」

果南「うん」

果南「千歌が…その勇者なんだ」

ルビィ「え?」

ルビィ「えぇ~~!」

286: 2020/08/19(水) 01:43:58.24 ID:lMOWZxxi
果南「何で千歌が勇者なのかは知らないし教えてもらえなかったけど、村のみんなで千歌を守って育ててた」

果南「いつか世界に訪れる脅威に対抗するためにって」

果南「それなのに、この村がこうなってるってことは…」

果南「敵に勇者の存在がバレた…んだよね」

果南「こんなこと…私が村に残っていれば…」

果南「千歌…みんな…」

果南「もう…終わりだよ…」

287: 2020/08/19(水) 01:44:34.65 ID:lMOWZxxi
ルビィ「…」

ルビィ「千歌さんが…」

果南「え?」

ルビィ「千歌さんが本当に勇者なら、こんなところでやられたりしないです」

ルビィ「勇者は世界を救うんだもん!」

果南「…」

果南「そうか…そうだよね」

果南「千歌が死ぬのを見たわけじゃない」

果南「勇者なら、きっとどこかで生きてるはず!」

果南「千歌を…探しに行こう!」

290: 2020/08/19(水) 22:28:51.80 ID:lMOWZxxi
5-4

善子「え、休業中!?」

花丸「この先のアネイル、コナンベリーに向かうにはこの砂漠を超えるしかないとブランカで聞いたのですが…」

「ええ、普段はアネイルまで砂漠越えの馬車を出していますが…」

「申し訳ないことに、私が腰をやっちゃいまして、馬車を動かせる状態じゃないんですよ」

花丸「他に人はいないんですか?」

「私の息子も馬車は使えるんですが…」

「先日友人を無くしてから、人間不信になって引きこもっちゃいまして」

「親として傷心の息子に強く言うわけにもいかず…」

「いや、お客さんにこんなことを言うのもお恥ずかしい」

花丸「この砂漠を歩いて渡るのは…」

「やめたほうがいいですね」

「砂漠の寒暖差は簡単に体力を奪う。道を知っていたとしてもたどり着けるかどうか…」

「コナンベリーへ行きたいならエンドールから船もありますが…」

善子「ここまで来てエンドールまで戻るっての!?」

291: 2020/08/19(水) 22:29:21.03 ID:lMOWZxxi
千歌「息子さんが人間不信になったのって何があったんですか?」

「友人と冒険に行ったと思ったら大けがをして帰ってきてね」

ホフマン「聞きたいなら教えてやるよ」

「ホフマン…聞いていたのか」

ホフマン「世界で一番大切な宝物が隠されているという噂を聞いて、俺は友達とその洞窟に行ったんだ」

ホフマン「でも一番の友達と思っていたのに突然俺を裏切って襲い掛かってきたんだ」

ホフマン「俺はこの手で友人を…」

ホフマン「洞窟になんか行くんじゃなかった!」

292: 2020/08/19(水) 22:29:49.32 ID:lMOWZxxi
善子「まさか洞窟に行くってんじゃないでしょうね」

千歌「行ってみようよ」

千歌「ホフマンさんの友達が裏切った理由もわかるかもしれないし」

善子「他人のことにわざわざ首突っ込まなくてもねえ…」

花丸「まあ、ホフマンさんの人間不信を治すか、お父さんの腰が治るのを待つしかないし」

花丸「それともエンドールから船で行く?」

善子「うぅ…しょうがない。行くだけ行ってみましょう」

293: 2020/08/19(水) 22:30:22.96 ID:lMOWZxxi
善子「ここが例の洞窟かしら」

千歌「あれ、行き止まりだよ?」

花丸「この壁…多分扉になっているずら」

千歌「どういうこと?」

花丸「ここ。縦にまっすぐ線があるよ」

善子「ほんとね。じゃあどっかに開ける方法が…」

善子「ねえ!こっちにボタンがあるわ」

千歌「押してみよう」ポチ

花丸「あ、何も考えずに押したら…」

294: 2020/08/19(水) 22:31:11.49 ID:lMOWZxxi
千歌「なにも起きないね」

善子「壊れてるのかしら?」

花丸「もう。どんな罠があるかわからないんだから慎重にやらないと」

千歌「あ、こっちにもあった」ポチ

花丸「言ったそばから…」

善子「こっちも何も起きないわね」

千歌「うーん…このボタンで開けるんじゃないのかなぁ」

花丸「だとしたらどうやって開ければいいのかな…」

295: 2020/08/19(水) 22:31:55.18 ID:lMOWZxxi
善子「あ、2つ同時に押してみるってのはどう?」

千歌「うん、やってみよう」

千歌「いくよ、よっちゃん。せーの」ポチ

ガガガ

花丸「開いた…」

千歌「やったー」

善子「2人以上じゃないと入れない仕掛けなのね…」

296: 2020/08/19(水) 22:32:33.42 ID:lMOWZxxi
千歌「あれー、行き止まりだ」

千歌「複雑な道だよねー」

千歌「よっちゃん、マルちゃん。いったん戻って…」

千歌「いない!?」

千歌「うそ、どっかではぐれちゃった?」

千歌(どうしよう…とりあえず来た道を戻って…)

297: 2020/08/19(水) 22:33:06.92 ID:lMOWZxxi
善子「あ、いたいた」

千歌「よっちゃん!」

花丸「もう、探したわよ」

花丸「急にはぐれちゃうんだから」

千歌(…ん?)

善子「でもちょうどよかったずら。」

千歌(…んん!?)

善子「ここならお前を始末しやすいし!」ブン

千歌「ひゃぁっ」

298: 2020/08/19(水) 22:33:52.30 ID:lMOWZxxi
千歌「2人ともいきなり何するの!?」

花丸「うるさい!前から憎かったんだ」ブン

善子「ここなら邪魔も入らずにやれる!」シュッ

千歌(な、何でいきなり…)

千歌(私何かした!?)

299: 2020/08/19(水) 22:34:36.97 ID:lMOWZxxi
千歌「違う…」

千歌「2人は偽物だ!」

花丸「はぁ?何を言ってるのかしら」

善子「おらたちが偽物とか意味わかんない」

千歌「さっきから言葉遣いが変だよ」

千歌「それに本物のマルちゃんとよっちゃんなら呪文で攻撃してくるはず」

「っち。ばれちゃあしょうがない」ポン

千歌「魔物!?やっぱり」

「逃げるぞっ」

千歌「あ、待て!」

300: 2020/08/19(水) 22:35:09.88 ID:lMOWZxxi
千歌「どこに逃げたんだろう…」

花丸「きゃ~」

善子「助けて~」

「へへへ。観念しな」

「もう逃げ場はないぞ」

千歌「さっきの魔物!」

花丸「あ、ちょうどいいころに」

善子「私たちこの魔物に襲われてるの」

301: 2020/08/19(水) 22:35:53.67 ID:lMOWZxxi
千歌「…ちがう。この2人も偽物だ」

千歌「そんなのに騙されないよ」

千歌「本物のよっちゃんとマルちゃんなら、そんなふうに魔物から逃げたりしない!」

千歌(まだ短い時間しか一緒じゃないけど、そんくらいはわかる)

302: 2020/08/19(水) 22:36:30.12 ID:lMOWZxxi
善子「その通りよ」

善子「私たちに化けて襲うなんて卑怯な手使っちゃって」

千歌「よっちゃん!」

花丸「うん、この千歌ちゃんは本物みたいだね」

千歌「マルちゃんも。無事でよかった~」

善子「私たちも千歌ちゃんの偽物に襲われて大変だったんだから」

善子「さあ、覚悟しなさい」

303: 2020/08/19(水) 22:37:11.75 ID:lMOWZxxi
千歌「これで片付いたかな」

善子「ま、大したことなかったわね」

千歌「すぐに変身といてたけど、よく自分と同じ顔に向かって迷いなく攻撃できるね」

花丸「ヨハネちゃんは千歌ちゃんに化けた魔物にも容赦なかったずら」

花丸「マルは攻撃を躊躇しちゃったけど…」

善子「魔物が化けてるんでしょ?ならどんな見た目でも変わらないわ」

304: 2020/08/19(水) 22:38:00.93 ID:lMOWZxxi
花丸「でも仲間に化けるって厄介だよね」

花丸「偽物だと見破れないとなかなか攻撃できない」

花丸「多分ホフマンさんと友達の人も…」

善子「そうね、偽物の友達に襲われた可能性が高いわね」

千歌「このこと話せば考え変えてくれるかな?」

花丸「すぐにうまくいくかは分からないけど、効果はあると思うな」

善子「じゃあ戻りましょう」

305: 2020/08/19(水) 22:38:42.07 ID:lMOWZxxi
善子「あ…っと」

善子「宝を忘れてたわ」

花丸「世界で一番大切な宝だっけ」

千歌「そうだった…ホフマンさんたちは宝探しに来たんだったね」

千歌「いったいどんなものなんだろう」

善子「そりゃあもう金銀財宝…って」

善子「まあ、そんな貴重なものがこんなとこにあるとも思えないけど。一応探すだけ、ね」

306: 2020/08/19(水) 22:39:29.01 ID:lMOWZxxi
ホフマン「何だい、その宝石は?」

千歌「あの洞窟の奥にあったんだ」

ホフマン「え、あんたたちあそこに行ったのか!?」

善子「ええ、それで途中私たちに化けた魔物に襲われたわ」

花丸「多分あなたを襲った友人も魔物が化けた偽物だったと思います」

ホフマン「そうか…そういうことだったのか。おかしいと思ったよ…」

ホフマン「俺があいつのことを信じていれば偽物だと見破れたのだろうか…」

善子「とりあえずこの宝石はあなたにあげるわ」

ホフマン「ありがとう。なぜだろう…これを見ていると心が洗われてくるようだ」

ホフマン「信じる心…そうか!一番大切な宝物って人同士が信じ合うことなのか」

ホフマン「よし、いつまでもふさぎ込んでいられないな。アネイルまでの馬車を出そう。もちろん恩人のあんたたちはただでいいぞ」

307: 2020/08/19(水) 22:40:04.19 ID:lMOWZxxi
花丸「いいの?ホフマンさんにあげちゃって」

善子「別にいいわよ。高く売れそうな見た目でもないし」

善子「これが豪華な財宝とかだったらまた話は別だけどね」

善子「信じることが大事…って私はまだピンと来てないけど」

花丸「お父さんが弟子を信じた結果、ああなっちゃったわけだしね…」

善子「でも千歌ちゃんのことは、なんか信じられる気がするわ♪」

千歌「チカも!よっちゃんとマルちゃんは深い絆でつながってるような感じがするよ」

310: 2020/08/20(木) 21:33:36.95 ID:nJoZCtnb
5-5

千歌「アネイルに着いたー」

善子「はぁ…ずっと砂漠だったからもう汗と砂でべとべとよ」

花丸「確かアネイルは温泉街だったはずだよ」

千歌「温泉!いいね、入りたい♪」

善子「これは行くしかないわね」

311: 2020/08/20(木) 21:34:13.80 ID:nJoZCtnb
「おや、お嬢さんたち、この町は初めてかい?よかったら案内するが」

善子「結構よ。私たちは早く温泉に入りたいの」

「そうか。それなら町の奥にあるぜ」

「あ、それから泊まるとこを探してるなら、この宿はよくないからやめたほうがいいよ」

「あっちの宿が安くて親切でおすすめだ」

花丸「わざわざありがとうございます」

千歌「温泉、温泉~」

312: 2020/08/20(木) 21:35:00.35 ID:nJoZCtnb
花丸「はぁ~…ごくらくごくらく」

千歌「いきかえるねぇ~」

善子「2人ともばばくさいわね…」

千歌「こんないい湯なんだよ?旅の疲れも抜け落ちてくよ」

「あんたたち旅の者かい?」

花丸「はい、そうですが…」

「この町は温泉が一番の名物だがな、もう1つすごいのがあるんじゃよ」

「よかったら後で教会に行ってみな」

千歌「何があるんですか?」

「それは見てのお楽しみじゃ」

313: 2020/08/20(木) 21:35:37.30 ID:nJoZCtnb
善子「教会…ここね」

花丸「温泉で会ったおばあさんの言ってたすごいものって何だろうね」

「教会へようこそ」

千歌「あのー…ここに町の名物があるって聞いたんですが」

「ああ、それでしたらこちらへどうぞ」

千歌「ほぇ~りっぱな鎧…」

「十数年前…魔物の群れがこの町に攻めてきたのです」

「その時にこの町を守ったのが戦士リバスト。この町の英雄です」

「残念ながら彼は最後の魔物と相討ちして死んでしまいましたが…その時使っていた鎧をこちらに飾っているのです」

314: 2020/08/20(木) 21:36:19.51 ID:nJoZCtnb
善子「確かにいい鎧には見えたけど…飾るほどのものかしら」

花丸「うん、特に特別な力は感じなかったずら」

千歌「やっぱり鎧がすごいんじゃなくて、リバストって人がすごかったんだろうね」

花丸「魔物の群れを1人で倒したんだから、まあそうなんだろうね」

千歌「チカもそんな強い戦士になりたいなあ」

花丸「きっとなれるよ。千歌ちゃんは導かれし勇者だもん」

315: 2020/08/20(木) 21:37:04.73 ID:nJoZCtnb
千歌「あれ、なんか人気のないほうに来ちゃった?」

善子「道、間違えたのかしら?」

千歌「あそこに誰かいるよ。聞いてみよう」

花丸「あ、その人は…」

リバスト「おや、私が見えるのかい?これは珍しい」

千歌「なんか影が薄い…?」

リバスト「私はリバスト。恥ずかしながら、この町では英雄と呼ばれてるみたいだね」

善子「リバスト…って確か死んだはずじゃ」

善子「…ってことは、ゆ、幽霊!?」

千歌「ひゃー」

リバスト「おいおい、見えているのにそんなに驚かないでくれよ。なにも悪いことをしようってわけじゃないんだから」

316: 2020/08/20(木) 21:37:38.27 ID:nJoZCtnb
花丸「あなたはなぜここにいるんですか?」

リバスト「実は私が使っていた鎧がいつの間にか偽物にすり替えられてたみたいでね」

リバスト「行方が気になってあの世に戻れないんだよ」

千歌「すり替えられたって、教会に置いてあるのが?」

リバスト「そうだ。あの鎧のおかげで魔物の攻撃に耐えられたようなものなのに」

善子「まさか私たちに探してこいなんて言わないでしょうね?」

リバスト「はは。そんな無理なお願いはしないよ」

リバスト「ただ真実を知っていてほしいだけさ」

317: 2020/08/20(木) 21:38:15.44 ID:nJoZCtnb
リバスト「そうだ、1つ別の頼みがあるんだ」

花丸「なんですか?」

リバスト「あっちの方で歌の練習をしている詩人がいるんだがね…」

リバスト「聞いてる私が恥ずかしくなるからやめてもらうようお願いしたい」

善子「そんなの自分で言えばいいじゃない」

リバスト「残念ながらその詩人に私は見えないようでね。言っても何も聞こえていないみたいなんだ」

千歌「それで私たちに…そのくらいなら大丈夫だよ!」

318: 2020/08/20(木) 21:38:45.08 ID:nJoZCtnb
「おお戦士リバスト~」

「輝く鎧をまとう者~」

「魔物と戦い戦死リバスト~」

千歌「あの人のことかな?」

「おや聞いていたのですか」

「戦士リバストをたたえる歌を作ろうと思っているのですが、なかなかうまくいかないものですね」

善子「まあ…戦死リバストはどうかと思うわ…」

花丸「同感ずら…」

「やはりそうですか…戦士と戦死をかけるのは我ながらいいできだと思ったんですが、他の部分との繋ぎですね」

「むむ…何か思い浮かびそうだ。通りすがりの方、ありがとう。いつかいい歌を完成させてみせます」

319: 2020/08/20(木) 21:39:23.99 ID:nJoZCtnb
花丸「行っちゃった…」

善子「戦士と戦死の部分がダメなところなのにね…」

千歌「うん。いいダジャレだとは思うけど、英雄の歌にはふさわしくないよね」

善子「え?」

千歌「ん?」

善子「いやいや、ただのオヤジギャグじゃない」

千歌「えー、戦士が戦死って言葉としては面白いでしょー?」

花丸「千歌ちゃんってそういうセンスだったんだ…」

320: 2020/08/20(木) 21:39:54.51 ID:nJoZCtnb
善子「とりあえず、もう疲れたし休みましょう」

花丸「確かこっちの宿屋がおすすめなんだっけ」

善子「なんか…ボロくない?」

千歌「うーん…ほんとにいい宿屋なのかな?」

善子「ねえ、よくないって言われた方にしない?あっちのほうが綺麗だし」

花丸「そうだね。少し高くても綺麗なほうが休まると思うずら」

321: 2020/08/20(木) 21:40:22.70 ID:nJoZCtnb
「いらっしゃいませ。宿屋へようこそ」

「3名様ですか?それではお部屋にご案内いたします」

「ごゆっくりお過ごしください」

善子「値段も普通だし」

千歌「部屋も綺麗で」

花丸「サービスも問題なし」

善子「どこに問題があるのかしらね?」

千歌「あ、もしかして幽霊が出るとか…」

善子「や、やめてよね。怖がらせるの」

花丸「本物を見てきたばっかりなのに何言ってるずら…」

322: 2020/08/21(金) 00:41:31.75 ID:mDOYm9Js
5-6

鞠莉「そこのあなたたち、冒険者よね?ちょっと力を貸してもらえない?」

千歌「ほぇ?」

善子「いきなり何なの?」

鞠莉「ここコナンベリーに来たってことは、船でどこかに行くつもりなんでしょ?」

鞠莉「残念ながら、今は東の灯台にいる魔物のせいで船が出せない状態なの」

鞠莉「だから私が倒しに行こうと思うんだけど、1人じゃちょっとね…」

鞠莉「魔物を退治できたら船が出せるようになるんだし、あなたたちにとってもメリットでしょう」

善子「私たちは人探しに来ただけなんだけど…」

花丸「まあ、いずれ船で移動することになるだろうし」

千歌「魔物に困ってるならほっとけないよ!」

323: 2020/08/21(金) 00:42:02.98 ID:mDOYm9Js
鞠莉「人探し?誰を探してるの?」

鞠莉「私そこそこ顔広いから、何かわかるかもしれないよ」

善子「鞠莉って商人なんだけど知らない?」

鞠莉「…私のこと?」

千歌「え?」

鞠莉「私が鞠莉よ」

千歌「えぇ~!」

花丸「あっさり見つかっちゃった…」

善子「アネイルでこっちに来たって話聞いて来てみたら、いきなり会えるとはね…」

324: 2020/08/21(金) 00:42:37.09 ID:mDOYm9Js
善子「ねえ、ほんとにこの人?」

花丸「まって…うん、間違いないよ。この人からも光が見える」

鞠莉「もー、疑うなんて失礼な子ね」

鞠莉「こーんなにキュートなレディを前にして」

善子「あ、ごめんなさい」

鞠莉「意外と素直なのね…」

325: 2020/08/21(金) 00:43:06.35 ID:mDOYm9Js
鞠莉「ところで光って?」

千歌「鞠莉さんも導かれし者なんだって♪」

鞠莉「導かれし者って…何?」

善子「よくわからないけど世界を救う運命らしいわよ」

鞠莉「私が世界を救う!?」

花丸「勇者とともに世界を救う仲間です」

鞠莉「ふふふ…それも面白いわね」

鞠莉「そんなことになったらワールドワイドに名前が知れ渡って、商売がますますやりやすくなるわね」

326: 2020/08/21(金) 00:43:42.03 ID:mDOYm9Js
鞠莉「よし、私も仲間になるわ。一緒に世界を救いましょう!」

善子「案外軽いわね」

鞠莉「どうせ世界を回るつもりだもの。その間にヒーローになれるチャンスなんて掴むしかないじゃない」

鞠莉「というわけで、これからよろしくね勇者様♪」

千歌「うん!」

善子「な、なぜヨハネではなく千歌ちゃんが勇者だと…!」

鞠莉「私は人を見る目はあるつもりよ」

鞠莉「この3人の中で勇者っぽい子って言ったらねえ」

花丸「さすが商人…」

327: 2020/08/21(金) 00:44:21.53 ID:mDOYm9Js
鞠莉「ふむふむ…千歌にヨハネにマルね。OK」

鞠莉「私のことはマリーって呼んでくれていいわよ」

鞠莉「さて、世界を救うためにまずはこの街を救わないと」

花丸「灯台の魔物のせいで船が出せないって言ってたよね?どういうことずら?」

鞠莉「この街の東に灯台があるんだけどね。私がこの街に来たちょっと後に、そこが魔物に乗っ取られちゃったの」

鞠莉「それ以降この辺りは邪悪な光で照らされて…」

千歌「光が変わっただけ?」

鞠莉「ううん、船を出そうとしたら海が荒れるのよ」

鞠莉「船が沈んじゃった人も何人かいるわ」

花丸「ひどい…」

鞠莉「でしょ。じゃあ一緒に魔物を退治しに行きましょう」

善子「そうね。私たちも船は必要だろうし」

328: 2020/08/21(金) 00:44:59.55 ID:mDOYm9Js
鞠莉「ここが東の灯台よ」

千歌「大きな灯台だねー」

花丸「近づくとよくわかる…よくない気配が…」

善子「なんか居るだけで気分悪くなりそうね」

善子「さっさと魔物を倒して光を取りもどさないと」

329: 2020/08/21(金) 00:45:42.27 ID:mDOYm9Js
善子「火が落ちてる…」

千歌「この火…なんか柔らかい感じがする」

鞠莉「多分、これが聖なる種火ね」

鞠莉「これを最上階で燃やせば光を取り戻せるって聞いたわ」

善子「なんでこんなところにあるのかしら?」

花丸「もしかして…魔物が手を出せなかったのかも」

善子「それで無造作に放置ねえ…ずいぶん適当だこと」

鞠莉「まあ見つけやすくてよかったじゃない」

330: 2020/08/21(金) 00:46:21.51 ID:mDOYm9Js
「けけけ。燃え 燃え 。邪悪な光ですべての船を沈めてしまえ」

千歌「お前がこの灯台をこんなにしたのか!」

灯台タイガー「ふん、ここまでやってくるなんて馬鹿な人間だ」

灯台タイガー「ちょうどいい。おまえらも燃料にしてやろう」

鞠莉「さあて、燃料になるのはどっちかしらね」

331: 2020/08/21(金) 00:46:56.05 ID:mDOYm9Js
灯台タイガー「ぐふっ…」

善子「大したことなかったわねー」

鞠莉「思った以上にあなたたち強いのね」

千歌「ま、一応世界を救うために旅してるからね」

花丸「鞠莉ちゃんも商人とは思えない剣さばきずら」

鞠莉「これまで1人で旅してたんだもの。自分の身を守るくらいはできないと」

鞠莉「さあ、再び聖なる火で照らすわよ!」

332: 2020/08/21(金) 00:47:32.24 ID:mDOYm9Js
千歌「わぁ、町の人たちが元気になってる!」

鞠莉「港町だもの。船が使えるかどうかは商売にもかかわるからね」

花丸「マルたちも次の目的地を決めないと」

善子「次の仲間はどこかしらね」

千歌「ここから船でどこかに行くの?」

鞠莉「ああ、それなんだけど…」

「鞠莉さんや。アレ、できましたぞ」

鞠莉「あら、ちょうどいいわ。早速見せてもらっていい?」

善子「アレ?」

鞠莉「ついてくればわかるよ」

333: 2020/08/21(金) 00:48:12.39 ID:mDOYm9Js
善子「船!?」

鞠莉「なかなかいいできね~」

「そりゃあもう、腕によりをかけましたからな」

善子「え、この船鞠莉ちゃんのものなの!?」

鞠莉「そうよ。この町に来た時に頼んどいたの」

善子「いやいや、船買うってどんだけお金あるのよ」

千歌「すごーい」

花丸「スケールが大きいずら…」

334: 2020/08/21(金) 00:48:39.61 ID:mDOYm9Js
鞠莉「これがあれば世界中好きなところに行けるわ」

千歌「じゃあ次は…」

鞠莉「まずは南のミントスに行ってみたいの」

鞠莉「海に詳しい老人がいて、凄い地図を持っているって聞いたから」

千歌「地図?」

善子「財宝を乗せた沈没船の地図とか?」

鞠莉「行ってみてのお楽しみね」

千歌「じゃあミントスに行ってみんとす!」

善子「…」

花丸「…」

鞠莉「…」

335: 2020/08/21(金) 00:51:10.25 ID:mDOYm9Js
~マリーのアイテム鑑定~
【】を付けてアイテムを指定してくれれば、マリーが気まぐれで鑑定しちゃうよ♪

…遠慮しなくていいのよ?
どうせ私はこの後バトルではたいして役にたてないんだし──

336: 2020/08/21(金) 01:23:13.58 ID:jkLOzRV9
【うまのふん】

349: 2020/08/21(金) 21:44:15.42 ID:mDOYm9Js
>>336
鞠莉「ちょっと!なんてもの見せてくれるのよ!
そりゃあ草食動物のものだから臭いはそんなにないけど…手に持ちたいものじゃないでしょう?
こんなもの袋に入れたりしないでよね」

337: 2020/08/21(金) 15:24:42.91 ID:2BhUCDHo
【あみタイツ】

364: 2020/08/22(土) 00:34:42.59 ID:wDz3hUBX
>>337
鞠莉「脚をセクシーに見せるオトナの衣装ね。
バニーガールがよく着ていて、男の人の目線をくぎ付けにしてるみたいだけど──。
あなたは生足とタイツ、どっちが好きかしら♡」

338: 2020/08/21(金) 17:11:17.42 ID:OierMwyh
【ピンクのレオタード】

365: 2020/08/22(土) 00:35:15.95 ID:wDz3hUBX
>>338
鞠莉「ボディラインをアピールできるぴっちりとした服ね。
天使のレオタードもそうだけど、こう見えて意外と防御力が高いのよ♪
この前ゲットしたんだけど、誰かに着てもらおうかしら──」

339: 2020/08/21(金) 18:45:25.04 ID:YiaQzzt9
【シャイ煮】

386: 2020/08/22(土) 17:58:23.53 ID:Oh5gzywU
>>339
鞠莉「何かの煮物かしら?
私が知らないものだけど…」

340: 2020/08/21(金) 19:02:57.32 ID:m89bGsJ+
【みなごろしの剣】

401: 2020/08/22(土) 23:55:21.54 ID:Oh5gzywU
>>340
鞠莉「高い攻撃力を持つ呪われた剣ね。
この剣を持ったものは敵も味方も関係なく攻撃し、持ち主が死ぬまで戦い続ける…そういったエピソードから名付けられたみたい。
…見つけても触っちゃだめだからね」

341: 2020/08/21(金) 21:38:41.63 ID:mDOYm9Js
2-5

曜「へー…ここがミントスの町か~」

ダイヤ「ここはヒルタンという方が興した宿屋が有名なの」

梨子「…」

曜「じゃあ曜たちも泊まってみようよ!」

曜「いいところなんだろうなー。ベッドとかふかふかだったり?」

ダイヤ「それは構わないけど…サントハイムの曜ちゃんの部屋の方がいいものを使っているとは思うわよ」

梨子「…」

342: 2020/08/21(金) 21:39:10.37 ID:mDOYm9Js
ダイヤ「梨子ちゃん、顔色悪いようだけど、大丈夫?」

梨子「はい、大丈夫…」

曜「もしかして船で酔っちゃった?少し休んでこうか?」

梨子「大丈夫だから、心配しn……」パタリ

曜「梨子ちゃん!?」

ダイヤ「大変!どこかで休ませないと」

343: 2020/08/21(金) 21:39:49.84 ID:mDOYm9Js
梨子「…」パチリ

梨子「ここは…?」

ダイヤ「梨子ちゃん!…よかった、目が覚めたようね」

ダイヤ「ここはミントスの宿屋よ」

梨子「私…なんで…」

ダイヤ「あなた…急に倒れて、丸一日眠った状態だったのよ?」

梨子「そんなに…」

344: 2020/08/21(金) 21:40:21.92 ID:mDOYm9Js
ダイヤ「具合はどう?まだ熱は下がってないみたいだけど」

梨子「すごく…体が重い…頭も痛くて…」

ダイヤ「そう…」

ダイヤ「お医者様にも見てもらったのだけど、原因がわからなくて…」

ダイヤ「万病に効くといわれるパデキアのねっこなら…って話を聞いて曜ちゃんが探しに行ってるんだけど」

梨子「ごめんなさい…迷惑かけて…」

梨子「旅の途中で、体調を崩すなんて…」

ダイヤ「確かに迷惑ね」

ダイヤ「具合が悪いのを黙ってた事は」

ダイヤ「私たちは仲間なんだから。変に我慢とかしないで、ね」

梨子「はい…」

345: 2020/08/21(金) 21:40:57.94 ID:mDOYm9Js
曜「ダイヤちゃん!パデキアのねっこなんだけど…」ガチャ

曜「あ、梨子ちゃん!」

曜「よかった~。心配したんだよ?」

梨子「ごめん、なさい…」

曜「なんであやまるの?」

梨子「みんなに…心配かけたから…」

曜「梨子ちゃんはたまたま病気になっちゃっただけなんだから悪くないじゃん」

曜「仲間なんだから、なんかあった時は助け合うのが当然でしょ!」

梨子(曜ちゃんもダイヤちゃんも同じことを…)

346: 2020/08/21(金) 21:41:40.06 ID:mDOYm9Js
曜「梨子ちゃんの目が覚めたってことは、もしかしてパデキアのねっこがなくても大丈夫だったりする?」

ダイヤ「いいえ。まだ梨子ちゃんの体調はかなり悪いわ」

ダイヤ「安静にしていてよくなるかもわからないから、あれば助かるのだけど」

曜「パデキアはソレッタって国でとれるみたいなんだけど、なんかしばらくの間手に入ってないんだって」

曜「だからソレッタまで行かないとないみたい」

曜「私、急いで取りに行ってくるね」

ダイヤ「待って。なら私も…」

曜「ダイヤちゃんは梨子ちゃんのそばにいてあげて。そんなに遠くないみたいだし、曜1人で大丈夫だから」

曜「もうばびゅーんって行っちゃうから♪」ダダダ

ダイヤ「あ…」

347: 2020/08/21(金) 21:42:23.70 ID:mDOYm9Js
ダイヤ「曜ちゃんを1人にしておけないし、後を追って…でも梨子ちゃんもこの状態で…」

梨子「ダイヤちゃん…」

梨子「曜ちゃんのところに、行ってあげて…」

ダイヤ「しかしあなたは…」

梨子「私は、寝てるだけだし…」

ダイヤ「わかったわ。宿屋の人に言っておくから、何かあったら頼ってね」

348: 2020/08/21(金) 21:42:50.36 ID:mDOYm9Js
ダイヤ(ソレッタは確かここから南…)

ダイヤ(曜ちゃんは道をわかっているのかしら?)

ダイヤ(真っ直ぐに行ってれば、私じゃ追いつけないでしょうけど…)

ダイヤ(もし、道に迷ってたら?…探しに行かなくちゃ)

ダイヤ(まずは、ソレッタに急いで曜ちゃんが来たかどうかの確認を…)

ドン

ダイヤ「あ、すみません…」

350: 2020/08/21(金) 22:59:31.47 ID:5TlVS/d3
【エ チなしたぎ】

426: 2020/08/23(日) 13:23:34.42 ID:ZITmHtQ1
>>350
鞠莉「あらぁ♡ド直球なネーミングのセクシーなランジェリーね。
黒をメインとしたデザインが女性の魅力を引き立てる、まさに勝負下着♪
実はマリーも今着てるの──なんて、冗談よ♡
下着というからにはこの上に服を着るのが普通でしょうけど…まさかこれしか装備させずに外を歩いてたりしないでしょうね?」

351: 2020/08/22(土) 00:26:15.26 ID:wDz3hUBX
5-7

善子「大きな宿屋ねー」

「ミントスにいらっしゃいませ。ここはヒルタン様の宿屋です」

花丸「ヒルタン?」

鞠莉「聞いたことがあるわ。冒険者として見つけた宝を元に、商売を始めて大成功したって」

鞠莉「商人たちの間では有名人なの」

「はい、この町でヒルタン様が宿屋を始めてから栄えだして、今ではこんなににぎやかに」

千歌「すごい人なんだね」

善子「ねえ、海に詳しい老人って」

鞠莉「ヒルタンさんのことかもしれないわね」

「ヒルタン様ならあちらで講義をしていますよ」

鞠莉「地図のことを聞いてみましょう」

352: 2020/08/22(土) 00:26:53.01 ID:wDz3hUBX
ヒルタン「では今日の講義はここまでじゃ。何か質問のある者はわしのところに来るがいい」

鞠莉「なるほど…従業員は…店長として…」ブツブツ

千歌「zzz…」

花丸「こんなにたくさんの人が聞いてるなんて…」

善子「私にはよくわからなかったけど、すごい人なのね」

善子「とりあえず話を聞くチャンスね」

善子「その前に…」

花丸「うん…」

353: 2020/08/22(土) 00:27:33.91 ID:wDz3hUBX
花丸「千歌ちゃーん…起きて~」ユサユサ

千歌「…はっ」

千歌「なに?終わっちゃった?」

花丸「うん、よく寝てたね」

千歌「チカこういうの苦手で…昔からよく眠っちゃって、先生に怒られてたんだよね…」

354: 2020/08/22(土) 00:28:12.38 ID:wDz3hUBX
善子「鞠莉ちゃんはずいぶん熱心に聞いてたわね」

鞠莉「そりゃあ、あのヒルタンさんの話だもの。今後の商売のためにしっかり聞いておかないと」

善子「鞠莉ちゃんだって船買えたりできるくらい稼いでたじゃない」

善子「今更聞いて役に立つことあるの?」

鞠莉「マリーはこれまで1人で儲けてきただけだからね」

鞠莉「店を経営するとして、従業員を雇ったときにどうするかとか、支店を開くときとか、まだまだ勉強しなきゃいけないことはたくさんあるのよ」

善子「商人も大変ね…」

355: 2020/08/22(土) 00:28:57.98 ID:wDz3hUBX
ヒルタン「何? 海に詳しい老人とはわしのことかじゃと?」

ヒルタン「ばかもの!わしは海だけじゃなくて世界のことに詳しいのじゃ」

千歌「ひぇっ…」

鞠莉「すみません。世界中を旅したヒルタンさんが宝の地図を持っていると聞いたので、少し見せていただけないでしょうか…と」

ヒルタン「ふむ…その件か」

ヒルタン「ならばわしの問いに答えてみせよ。正解すればお主たちに地図をやろう」

ヒルタン「商売において一番大切なことは何か?」

356: 2020/08/22(土) 00:29:34.57 ID:wDz3hUBX
鞠莉(一番…?大事なことはたくさんあるけど、ナンバーワンと言われると…何?)

千歌(何それ…全然わかんない…でも鞠莉ちゃんなら…)

善子(商品?お金?人脈?ヨハネは商売のことは専門外だし、鞠莉ちゃんに…)

花丸(誠実なこと…粘り強いこと…冷静なこと…うかつに答えるわけにはいかないし、鞠莉ちゃんが…)

鞠莉(3人の視線を感じる…私が答えないと…でも何と…)

ヒルタン「みな無言か…」

ヒルタン「うむ…正解じゃ」

千歌「えっ?」

ヒルタン「何も言わない…つまり沈黙は金なりじゃ」

ヒルタン「これがその宝の地図じゃ。若い頃手に入れたが、わしは探し当てる事が出来なかった…」

ヒルタン「だがわしはもう十分に儲けた。今更宝なぞいらん」

ヒルタン「宝さがしはそなたたちに託そう。頑張るのじゃぞ」

357: 2020/08/22(土) 00:30:18.95 ID:wDz3hUBX
千歌「鞠莉ちゃん正解分かってたの?」

鞠莉「いいえ。分からなかった…」

鞠莉「なにも答えを出すことができなかっただけなのに、勘違いされちゃうなんてね」

花丸「怪我の功名…ってことだね」

善子「あのおじいさんも適当ねえ…ま、目的の地図が手に入ったからいいけど」

千歌「何が書いてあるの?」

鞠莉「どれどれ…」

358: 2020/08/22(土) 00:30:47.38 ID:wDz3hUBX
鞠莉「地図に…印がついてるだけ?」

善子「この印のところに宝があるのかな?」

千歌「でもそれなら簡単に取りに行けるんじゃない?」

花丸「待って。ここって…岩山に囲まれてるよ」

善子「それじゃあ歩いて行けないじゃない」

鞠莉「だからヒルタンさんは宝をゲットできずにいたって事…?」

鞠莉「だとしたらこの地図を作った人はどうやって…」

鞠莉「うーん…」

善子「ま、わからないことを今考えてもしょうがないでしょ」

花丸「旅を続けるうちに何か方法が見つかるかもしれないんだし」

鞠莉「そうね…この地図のことは一旦保留しましょう」

359: 2020/08/22(土) 00:31:27.18 ID:wDz3hUBX
鞠莉「ねえ、あの宿泊まっていい?」

鞠莉「あのヒルタンさんの宿…ぜひサービスを見てみたいの」

善子「いいんじゃない。あまり高級な感じでもなかったし」

花丸「ちょっと早いけど、急ぎの用事もないしね」

ドンッ

千歌「いたっ」

360: 2020/08/22(土) 00:31:54.07 ID:wDz3hUBX
ダイヤ「すみません、急いでいたもので」

ダイヤ「お怪我はありませんか?」

千歌「大丈夫。こっちこそよそ見してたんで…」

善子「というか千歌ちゃんの方が悪いし」

ダイヤ「よかった…すみませんが私はこれで失礼します」

361: 2020/08/22(土) 00:32:35.59 ID:wDz3hUBX
花丸「何かあったのですか?」

ダイヤ「…実は仲間が病気になりまして」

ダイヤ「ソレッタの国で取れるというパデキアのねっこならば…という訳で、いただきに向かうところです」

ダイヤ「先走ってしまったもう1人の仲間が心配なので早く追いかけなければ、と」

千歌「パデキアのねっこ?」

鞠莉「確かどんな病気にも聞くといわれてる植物ね」

鞠莉「割とレアものらしいんだけど…私もゲットできるならゲットしたいね」

千歌「じゃあ私たちも行ってみる?」

鞠莉「いいね♪ソレッタまで、ご一緒してもいいかしら?」

362: 2020/08/22(土) 00:33:22.59 ID:wDz3hUBX
ダイヤ「…でしたら、大変おこがましいお話ではありますが」

ダイヤ「パデキアのねっこを貰ってくるのをお願いできないでしょうか」

ダイヤ「私は寝込んだ仲間のことも心配なので…」

ダイヤ「もちろん相応のお礼は致します」

鞠莉「ん~…私は別にいいけど」

千歌「うん。チカたちが行くことは変わらないし」

ダイヤ「あ、ありがとうございます!」

363: 2020/08/22(土) 00:33:57.23 ID:wDz3hUBX
善子「といっても私たち、先に行ったあなたの仲間のことわからないからすれ違ったりするかもしれないわよ?」

ダイヤ「それは…」

善子「こういうのはどう?私がここに残ってその病気の人の様子を見てるから、あなたはソレッタまで行ってくるってのは」

花丸「マルも残るよ。何かできることがあるかもしれないし」

ダイヤ「よろしいのですか?」

善子「わざわざ大勢で行くようなことでもないしね」

善子「千歌ちゃんたちもそれでいい?」

千歌「うん。3人で行ってくるよ!」

ダイヤ「ありがとうございます」

ダイヤ「申し遅れました。私はサントハイムに仕えるダイヤと申します」

366: 2020/08/22(土) 02:59:24.97 ID:5e8CRqmM
【ステテコパ〇〇】

438: 2020/08/23(日) 22:09:12.70 ID:rMOwQTD2
>>366
鞠莉「男性用の地味な下着ね。
通気性がよくて蒸れない…らしいわ。
もちろん私たちのパーティには無用の物よ。
どこかの世界にはこれを使った奇妙なダンスがあるらしいけど…一度見てみたいわね」

367: 2020/08/22(土) 17:41:50.17 ID:wDz3hUBX
5-8

梨子「う…ん…」

善子「うなされてるみたいだけど、大丈夫かしら?」

善子「回復呪文でどうにかなったりしないの?」

花丸「ホイミやキアリーが効くものじゃなさそうずら…」

花丸「タオルも変えたばっかりのようだし、今は見守るしかないんじゃないかな」

善子「怪我ならすぐ治せるのに、もどかしいものね」

花丸「生き死にが直接わかるわけじゃないけど、ちょっと占ってみようか」

368: 2020/08/22(土) 17:42:22.14 ID:wDz3hUBX
花丸「…ありゃ」

善子「どうしたの?」

花丸「この人…導かれし者ずら」

善子「はい?」

花丸「もしかしてダイヤさんも…やっぱり!」

善子「ということはもう1人の仲間ってのも…」

花丸「多分…光がつながってるのが見えるよ」

善子「こんな偶然に見つかるものなの?」

花丸「やっぱり運命に導かれてるんじゃないかな…」

善子「ま、帰ってきたら仲間になってもらいましょうか」

369: 2020/08/22(土) 17:43:17.24 ID:wDz3hUBX
千歌「ここがソレッタ?」

鞠莉「ソレッタって村だっけ?」

ダイヤ「お城がある王国と聞いていたのですが…」

鞠莉「だよねえ…」

「お城ならあそこだべ」

鞠莉「え?」

鞠莉「あそこってただの平屋じゃ…とても王様が住んでるようには見えないわ」

「この国の王様は質素な方でな。今もほれ、あそこで畑仕事をやっておられる」

鞠莉「王様が畑仕事って…すごい国ね…」

千歌「あの王様の隣にいる女の子って」

ダイヤ「曜ちゃん!」

370: 2020/08/22(土) 17:44:12.09 ID:wDz3hUBX
曜「ダイヤちゃん!?何でここに?梨子ちゃんは?」

ダイヤ「この方たちの仲間に少し面倒を見ていただくことになったの」

国王「この娘さんのお仲間かね?」

国王「もう一度言うが、今はパデキアのねっこは無いんじゃよ」

国王「確かに、我が国はパデキアの産地じゃったが…数年前の災害で全滅してしまっての」

国王「もしものために南の洞窟にパデキアの種を保管してあったが、いつの間にやらモンスターが住み着くようになっていて、我が国の兵どもじゃ太刀打ちできなくてな…」

国王「今は普通の野菜などを育てているのじゃよ」

曜「じゃあ私が種を取ってきます」

国王「取ってきてくれるならありがたいが…大丈夫かね?」

曜「モンスターくらい平気です!」

371: 2020/08/22(土) 17:44:52.54 ID:wDz3hUBX
ダイヤ「勢い、種が保管されているという洞窟に向かっているのはいいものの」

ダイヤ「種を取ってきたところで、それを植えて成長するまで何日かかるのでしょうか…」

鞠莉「すぐってわけにはいかないでしょうね」

ダイヤ「それまで梨子ちゃんは…」

鞠莉「自然に治るのを期待したほうがいいかもね」

ダイヤ「快復してくれればいいのですが…」

鞠莉「こういうのはポジティブに考えたほうがいいわよ?」

鞠莉「最悪を想定することは必要だけど、マイナスの思考だと運気も逃げちゃうんだから」

ダイヤ「そういうもの、ですかね」

鞠莉「そ・れ・と」

鞠莉「そんなにかしこまらないでちょうだい。同年代でしょ?」

ダイヤ「それは…そうね」

372: 2020/08/22(土) 17:45:39.17 ID:wDz3hUBX
千歌「え、お姫様ってそんなこともするの?」

曜「そうなんだよ、もうめんどうでさー。ちょっと外に出ると誰かついてくるし」

千歌「へー…私もお姫様にあこがれてたけど、本物は苦労もあるんだね」

千歌「編み物したり、おほほほってお話したり。優雅にお城で好きなこと出来るのかと思ってた」

曜「わー曜の苦手な奴…」

曜「千歌ちゃんは編み物とか好きなの?」

千歌「ううん。外で遊びまわるほうが好きだなー」

曜「私も!思いっきり体動かしたほうが楽しいよね♪」

373: 2020/08/22(土) 17:46:23.90 ID:wDz3hUBX
鞠莉「あの2人すっかり打ち解けちゃって」

鞠莉「サントハイムの姫と聞いたときは驚いたけど、お姫様とは思えないフランクさね」

ダイヤ「曜ちゃんは昔からお城の料理人や清掃員などとも仲良くなるような子だったので」

鞠莉「消えたサントハイムの国民を探す旅をしてるって言ってたよね?」

ダイヤ「ええ。あの城の住人で残されたのはおそらく私たちだけ」

ダイヤ「私たちが解決しないといけない気がするの」

鞠莉「だったらさ、私たちと一緒に旅をするってのはどう?」

ダイヤ「いいのですか?」

鞠莉「もちろん千歌や残ったヨハネとマルにも聞かないといけないけど、私たちの旅の目的が世界を救うことな以上断るとも思えないしね」

ダイヤ「それはありがたい提案ね…梨子ちゃんが元気になったら相談してみるわ」

374: 2020/08/22(土) 17:47:06.76 ID:wDz3hUBX
曜「さっむ!」

千歌「この洞窟、寒すぎるよ!」

ダイヤ「パデキアの種を保存するためでしょうね」

ダイヤ「低温にすることで、発芽を防ぎ、種のまま保存することができるの」

鞠莉「このままじゃ凍りついちゃうわ。早いとこ種を見つけちゃいましょ」

曜「よーっし、じゃあ暖めるためにも走って…」

ダイヤ「あ、足元よく見て!」

曜「わーーー」ツー

曜「っぶない!」

鞠莉「おお。みごとにバランスとってる…」

曜「なにこれ!すべるー」

ダイヤ「地面が凍り付いているみたいね。気を付けていきましょう」

375: 2020/08/22(土) 17:47:36.37 ID:wDz3hUBX
千歌「やっと、種見つけた…」

鞠莉「寒いわ、足元は滑るわ、モンスターは襲ってくるわ。ソレッタの兵士が取りに来れなかったのも納得ね」

ダイヤ「我々も凍傷になる前に引き返しましょう」

曜「ねえ、こっちにも箱があるよ?」

曜「何が入ってるんだろう」パカ

ダイヤ「目的のものは見つけたんだからむやみに…」

ガシッ

曜「ひゃああ!」

千歌「曜ちゃん!」

鞠莉「ひとくいばこ!?」

ダイヤ「ヒャド!」

曜「このっ…やぁ!」ドスツ

376: 2020/08/22(土) 17:48:05.46 ID:wDz3hUBX
鞠莉「トラップモンスターがいるなんてね」

ダイヤ「迂闊でした…インパスをかけておけば…」

千歌「曜ちゃん大丈夫?」

曜「うん、牙がちょっとかすっただけだし」

ダイヤ「梨子ちゃん、ホイミを…って居ないのだったわ」

鞠莉「そういえばうちのヒーラーもいないわね。パーティ編成間違えたかしら」

鞠莉「ま、傷は浅いし薬草ぬっとけば治るでしょ」

377: 2020/08/22(土) 17:48:36.87 ID:wDz3hUBX
国王「おお!それは紛れもなくパデキアの種!」

国王「まさかあの洞窟から取ってきてくれるとは」

国王「ありがとう。礼を言うぞ」

国王「これでソレッタもまたパデキアの産地になるであろう」

ダイヤ「あの…パデキアのねっこが採れるまでにはどのくらいかかるのでしょうか」

国王「ふーむ…パデキアは成長が早いとはいえ、不完全な根にしても20日ほど、完全なものとなるともっとかかるじゃろう」

ダイヤ「そんなに…」

国王「急ぎで必要なんじゃろう?少し待っておれ」

378: 2020/08/22(土) 17:49:04.02 ID:wDz3hUBX
国王「これは万が一の時のために保管しておいたパデキアのねっこじゃが、再びパデキアを生産できるようになった以上、もはや不要」

国王「種を取ってきてくれたお礼に、これをお主たちに差し上げよう」

ダイヤ「あ、ありがとうございます!」

曜「やった!これで梨子ちゃんを治せる」

国王「お主たちはこの国の恩人じゃ。欲しいときはいつでもパデキアのねっこをやるぞ」

国王「さあ、わしも今まで以上に畑仕事に精が出るぞ!」

鞠莉「それでも王自ら農作業なのね…」

379: 2020/08/22(土) 17:49:39.70 ID:wDz3hUBX
曜「梨子ちゃん!パデキアのねっこだよ。これ使って!」

ダイヤ「曜ちゃん。病人相手なんだから静かに」

梨子「曜ちゃん…ダイヤちゃん…」

善子「使うって…それをそのままかじるっての?」

曜「そうだった…えっと」

ダイヤ「植物なのだからすり潰して煎じるのがいいかと」

曜「そうだね。待ってて、道具借りてくる!」バタバタ

380: 2020/08/22(土) 17:50:18.47 ID:wDz3hUBX
善子「騒がしい人ね…あれが例の姫様?」

梨子「おてんばな方でごめんなさい…」

善子「別にあなたが謝ることじゃないわ。逆に姫らしくなくて親しみやすいもの」

花丸「梨子ちゃんから聞いた以上に元気そうなお姫様だね」

千歌「うん、曜ちゃんすっごい強いんだよ」

千歌「魔物もどんどん倒しちゃうし」

鞠莉「バトルでマリーの出る幕がないくらいだったね」

善子「それは楽しみな仲間ね」

ダイヤ「仲間?」

善子「あ、説明してなかったわ」

曜「借りてきたよー…ってどうしたの?」

381: 2020/08/22(土) 17:50:51.85 ID:wDz3hUBX
曜「えーー!曜たちが世界を救う勇者!?」

善子「の仲間ね」

曜「千歌ちゃんが勇者なの?すごーい」

千歌「えへへ、それほどでも」

曜「じゃあさ、サントハイムも元に戻せるってことだよね?」

花丸「それは断言できないずら…でもおらたちの運命の先に希望はあるはず」

花丸「はい、できたよ薬湯」

ダイヤ「梨子ちゃん、飲める?」

梨子「はい…」コクコク

梨子「…苦い」

ダイヤ「良薬は口に苦しってところね」

ダイヤ「さ、一晩寝て休めましょう」

382: 2020/08/22(土) 17:51:20.72 ID:wDz3hUBX
曜「梨子ちゃん、どう?」

梨子「おはよう。うん、すっかりよくなったよ」

曜「よかったー」

ダイヤ「本当に、良かったわ…」

千歌「一晩で治っちゃった…」

鞠莉「すごい…これがパデキアの力…」

鞠莉(これを商売できれば、結構なものになりそうね)

383: 2020/08/22(土) 17:51:56.15 ID:wDz3hUBX
善子「さて、私たちは7人の大所帯となったわけだけど」

鞠莉「これだけいればどんな敵も倒せそうね♪」

千歌「まだ。果南ちゃんが…」

花丸「そう、千歌ちゃんの幼馴染の果南さんともう1人」

花丸「どこかにいる導かれし者を探す必要があるずら」

曜「占いでわかったりしないの?」

花丸「占いは自分たちのことはあまりわからないの」

梨子「占いと言っても万能じゃないんだね」

鞠莉「まあそんなものよ。全部わかったら神になれちゃうもの」

384: 2020/08/22(土) 17:52:31.75 ID:wDz3hUBX
曜「それで、どこに行くの?」

鞠莉「船があるからどこへでも行けるよ」

ダイヤ「まだ行っていないエリアは…」

善子「私のわがままなんだけど、キングレオ城に行かせてもらえないかしら」

千歌「キングレオってよっちゃんとマルちゃんの…」

善子「そう。仇のバルザックとキングレオがいるところ」

385: 2020/08/22(土) 17:57:42.75 ID:Oh5gzywU
善子「前はキングレオに歯が立たなかったけど、今なら…」

花丸「マルからもお願いします」

花丸「あの辺りはキングレオの圧政によって被害を受けてる人も多いはずだし、世界を救う過程でも避けられないところだと思うずら」

鞠莉「私は別にいいわよ」

千歌「チカも。困ってる人はほっとけないよね」

曜「うん、悪い人をやっつけちゃおう」

梨子「みんなの力を合わせれば!」

ダイヤ「決まりね。キングレオに向かいましょう」

387: 2020/08/22(土) 23:46:22.21 ID:Oh5gzywU
1-3

果南「南のキングレオの方で人を変身させる研究をしてるっていう噂を聞いて、エンドールから船で向かうわけだけど…」

果南「ぬいぐるみのフリ…頑張ってね」

ルビィ「は、はい…」

果南「魔物を乗せてくれる船なんてないだろうし、よくて船を下ろされるか、悪ければ海に放り出されちゃうかもしれないから」

ルビィ「うぅ…」プルプル

388: 2020/08/22(土) 23:46:51.74 ID:Oh5gzywU
「お客さん、チケットは…よし」

「1人だね」

果南「は、はい」

「その抱えてるホイミスライムのぬいぐるみ…」

果南「なにか…?」ドキ

ルビィ「…」ドキドキ

「持ち運ぶのは大変そうだが、荷物室に入れるかい?」

果南「いえ、自分で持ってます」

「そうか。大事なものなんだな」

389: 2020/08/22(土) 23:47:20.44 ID:Oh5gzywU
果南「ふぅ…」

果南「無事に客室まではたどり着けたね」

ルビィ「ごめんなさい…ルビィのせいで」

果南「何でルビィが謝るの」

果南「ルビィは魔物に変えられちゃった被害者でしょ」

ルビィ「果南さん…ありがとうございます」

果南「それとさん付けと敬語も禁止にしようか」

ルビィ「え?」

果南「一緒に旅する仲間なんだし。硬いことはなしで♪」

390: 2020/08/22(土) 23:47:54.49 ID:Oh5gzywU
ルビィ「いいの?ルビィを外に出して」

果南「まあこんな朝早くに甲板に出る人もいないでしょ」

果南「ルビィだってずっと閉じこもってるのもつらいだろうし」

果南「…海って綺麗だよね」

果南「私も故郷を出るまで見たことなかったんだけどさ」

果南「最初に見たときは感動したよ」

果南「果てなくどこまでも広がって…」

391: 2020/08/22(土) 23:48:35.55 ID:Oh5gzywU
果南「ルビィの故郷はどこなの?」

ルビィ「ルビィはサントハイムってところなんだ」

果南「サントハイムかあ…お姫様がすごいおてんばって聞いたけど」

ルビィ「曜ちゃ…曜様の噂ってバトランドまで届いてたの…?」

果南「あれ、もしかして姫様と知り合いなの?」

ルビィ「うん。小さいときは一緒に遊んでたし、今もお姉ちゃんが教育係やってるから」

ルビィ「ルビィは身分が違うから最近全然話してないけどね…」

果南「ふぅん…」

392: 2020/08/22(土) 23:49:21.79 ID:Oh5gzywU
「おや、話し声が聞こえると思ったら、お嬢さん1人かい」

果南(やばっ…ばれた?)

「そのぬいぐるみと話でもしてたのかな?」

果南「…ええ、まあ」

果南(優しそうな老紳士…いざとなったら力づくで…いや、そんなことできないし)

「ふむ…本物と間違えそうなくらい見事なホイミスライムのぬいぐるみだ」

「少し触ってみてもいいかね」

果南「だ、だめ!」

「おっと、これは失礼」

「どうやら大切なもののようだね」

「私も孫のお土産にスライムのぬいぐるみなどを検討しているのだが、よければそれをどこで買ったか教えてくれないかね」

果南「えっと、それは…わからないというか…」

「わからないというと、貰い物かなにかという訳か。仕方がない自分で探すとしよう」

「君もその子を海に落としたりしないよう気を付けたまえ」

393: 2020/08/22(土) 23:49:51.95 ID:Oh5gzywU
果南「あの人に悪いことしちゃったかな?」

ルビィ「しょうがないと思う…」

果南「本物のスライムを紹介するわけにもいかないもんね…」

果南「しかし油断はできないねえ」

果南「船を降りるまでルビィには苦労をかけることになりそうだ」

ルビィ「…」

394: 2020/08/22(土) 23:50:22.22 ID:Oh5gzywU
「誰か!誰か戦える人はいませんか!?」

「モンスターに襲われています。皆さんは部屋で待機してください!」

「戦える人がいればお助け願います」

果南「モンスター!?」

ルビィ「そんな…客船が襲われるなんて…」

果南「私、行って来るね」

果南「ルビィはここで待ってて」

ルビィ「気をつけてね…」

395: 2020/08/22(土) 23:51:04.26 ID:Oh5gzywU
「ぐはっ…」

「船長!」

果南(けが人が多い…)

果南(相手は…トドマン!?)

果南「手伝います!」

「ああ、ありがとう。こっちはもう戦えるものが少ない」

「だが向こうもだいぶ弱ってるはず。あと一息なんだ」

果南「そのようですね」

396: 2020/08/22(土) 23:51:37.76 ID:Oh5gzywU
果南「てりゃー」グサ

「ぐふっ…」

「やった!トドマンを倒したぞ」

「あんたなかなかやるな」

果南「いえ、他の人たちがダメージを与えてくれてたおかげなので。私はただとどめを刺しただけですよ」

果南「それより怪我した人たちを早く手当てしないと」

「ああ、しかしまずいな…医療担当もやられて気絶しちまってる…」

「船長なんか重症だぞ…」

果南(私じゃ応急手当ぐらいしか…)

果南(ルビィなら…いや、でも…)

397: 2020/08/22(土) 23:52:22.01 ID:Oh5gzywU
ルビィ(ルビィなら助けられるかも…)

ルビィ(でもそんなことしたらルビィは…)

ルビィ(……)

ルビィ(果南ちゃんごめんなさい!)

ルビィ「ベホイミ」

果南「ルビィ!?」

「何だ!?新たな魔物か!?」

「船長から離れろ!」

果南「待って!」

「邪魔するな。魔物の味方をするのか?」

果南「あの子はそうじゃなくて…」

398: 2020/08/22(土) 23:53:06.37 ID:Oh5gzywU
ルビィ(怖い…でも)

ルビィ「ホイミ」

「この魔物…回復呪文をかけてくれてるのか!?」

「そりゃあホイミスライムなんだから回復させるだろ」

「いや、人間のけが人にだぞ」

ルビィ「ホイミ」

「ほんとだ…どういうことだ?」

「あんた、説明してもらおうか」

果南「それは…」

399: 2020/08/22(土) 23:53:39.04 ID:Oh5gzywU
「なんと、そういうことだったか。ならば乗船を認めよう」

「船長、いいんですか?そんな簡単に」

「私の傷を治してくれたんだ。恩人を無下に扱うわけにはいかない」

「隠して乗ったことは問題だが…私でも同じことをしただろうしな」

「ただ、一般客に納得してもらうのは難しい。申し訳ないがもうしばらくぬいぐるみのふりをしてくれないだろうか」

ルビィ「はい…」

果南「よかった…」

400: 2020/08/22(土) 23:54:17.25 ID:Oh5gzywU
「乗船ありがとうございましたー」

ルビィ「やっとハバリアに着いた…」

果南「キングレオの研究のことを聞いて回らないとね」

果南「悪いけどもう少しぬいぐるみのふりしてもらうけど大丈夫?」

ルビィ「ルビィは平気です♪」

402: 2020/08/23(日) 00:03:56.43 ID:kfMfwj47
【はかぶさの剣】

459: 2020/08/24(月) 01:13:13.04 ID:/9U3vtFc
>>402
鞠莉「創造主のミステイクによって作られた空想上の武器──だと思ったら別の世界で実際に作られてたのね、ビックリ。
最強クラスの攻撃力で2回行動ができるチートクラスの剣よ。
果南が装備したらどのくらい強くなるのかしら──」

405: 2020/08/23(日) 13:07:48.51 ID:ZITmHtQ1
5-9

善子「戻ってきたわね…」

花丸「バルザックとキングレオ…勝てるよね?」

善子「あの時の私たちとは違う。今度こそ…」

鞠莉「大丈夫。私たちがついてるから」

曜「そうそう、敵は全部けちらしちゃおうよ」

善子「そうね…こんなにもの仲間と一緒なら…」

406: 2020/08/23(日) 13:08:21.31 ID:ZITmHtQ1
花丸「相変わらず警備が硬そうだね…」

千歌「どうやって入るの?」

善子「あの時は確か裏口から…だめ、鍵を開けられるオーリンがいない」

曜「ドア壊しちゃえばいいんじゃないの?」

梨子「曜ちゃん、それじゃあ見つかっちゃうよ」

鞠莉「どうせ私たちは国王を倒そうっていうエネミーなんだから、正面突破でもいいんじゃない」

ダイヤ「しかし兵を相手にしていてはキングレオにたどり着く前に疲弊するリスクが」

ルビィ「お姉ちゃん!」

407: 2020/08/23(日) 13:09:01.29 ID:ZITmHtQ1
ダイヤ「ルビィ!?」

曜「ルビィちゃん?」

ダイヤ「そんなまさか…ルビィがこんなところにいるはず…」

ルビィ「お姉ちゃん…」

千歌「ホイミスライム…?」

ダイヤ「ルビィ…あなたルビィなのね?」

ルビィ「お姉ちゃん、ルビィのことわかるの?」

ダイヤ「当然よ。どんな姿であっても、私があなたのことを見間違えるはずがないでしょう」

ルビィ「お姉ちゃん!」ギュゥ

曜「ええ~~!ほんとにルビィちゃんなの!?」

408: 2020/08/23(日) 13:09:39.40 ID:ZITmHtQ1
ダイヤ「ルビィ、どうしてそんな姿に?」

ルビィ「わからないの…」

ルビィ「それで、元に戻る方法を探してて…」

ルビィ「そうだ。果南ちゃんが危ないの」

ルビィ「あ、果南ちゃんっていうのはルビィを助けてくれた人で…」

千歌「果南ちゃん!?今果南ちゃんって言った?」

ルビィ「は、はい…」

千歌「果南ちゃんが危ないってどういうこと!?」

409: 2020/08/23(日) 13:10:20.89 ID:ZITmHtQ1
ルビィ「ルビィたちはこの国で人を変身させる方法を調べてるって聞いたから、やってきたんだけど」

善子「進化の秘法のことかしら?」

ルビィ「お城の外から様子を見てたら果南ちゃんが捕まっちゃって…」

ルビィ「あやしいから王様のもとに連れてくって…」

ルビィ「ルビィだけじゃ何もできないし…」

ルビィ「どうしよう…果南ちゃんが…」

千歌「すぐに助けに行こう!」

千歌「曜ちゃん。正面の入り口壊すよ!」

曜「おっけー」

善子「あ、ちょっと待ちなさいよー」

410: 2020/08/23(日) 13:10:56.75 ID:ZITmHtQ1
「止まれ!貴様ら何者だ!」

「許可のない者を通すわけにはいかない」

ダイヤ「まったく、暴走しちゃって…」

ダイヤ「ラリホー」

「従わないなら命の保証は…」パタリ

鞠莉「眠った!?」

花丸「ダイヤちゃんの呪文ずら。今のうちに…」

曜「てりゃー」バキン

梨子「開いた!」

善子「たいした馬鹿力ね…」

411: 2020/08/23(日) 13:11:32.55 ID:ZITmHtQ1
千歌「果南ちゃん、どこー」

善子「玉座の間はあっちよ」

善子「隠し扉になっているから、案内するわ」

「侵入者だ、捕まえ !」

梨子「わわわ…兵士たちが追いかけてくるよぉ」

412: 2020/08/23(日) 13:12:06.03 ID:ZITmHtQ1
千歌「果南ちゃん!」

果南「千歌!?何でここに?」

善子「そういうのは後にして」

花丸「キングレオ…」

キングレオ「どこかで見た顔だと思えば…バルザックを狙っていた娘たちじゃないか」

キングレオ「逃げ出したのにわざわざ〇されに戻ってきたとは」

善子「バルザックはどこ?」

キングレオ「これから死ぬ者が知る必要もないことだが…」

キングレオ「冥途の土産に教えてやろう」

413: 2020/08/23(日) 13:12:49.34 ID:ZITmHtQ1
キングレオ「奴は今サントハイムにいるぞ。あそこの城が無人になっていたのでな、主になってもらうことにした」

曜「なんだって!?」

キングレオ「おやおや、そちらにいるのはサントハイムの姫君ではありませんか」

キングレオ「久方ぶりですな。サントハイムは王家もろともいなくなったかと思ったが、生き残っていたとは」

曜「お城のみんなは死んでない!ちゃんと戻ってくるんだ」

キングレオ「そう思うのは勝手だが…どちらにしろあなたはここで死ぬんですよ」

414: 2020/08/23(日) 13:13:25.22 ID:ZITmHtQ1
キングレオ「兵ども、こいつらを捕らえよ!」

果南「させない!」

果南「よくわかんないけど、こっちの兵士は私が抑えておくから」

果南「そっちは任せたよ」

鞠莉「私も手伝うわ。1人じゃ大変でしょ?」

415: 2020/08/23(日) 13:14:16.94 ID:ZITmHtQ1
善子「お父さんの仇はバルザックだけど…あんたもオーリンの仇よ」

花丸「この国と近くの町の人たちのためにも、ここで討つ!」

キングレオ「ただの人間ふぜいが舐めた口を」

キングレオ「数が増えようと、進化の秘法で強くなった我が前には無力」

キングレオ「貴様らまとめて私直々に始末してやろう」

416: 2020/08/23(日) 13:15:12.38 ID:ZITmHtQ1
キングレオ「くらえっ」コォォ

千歌(氷ブレス!?)

千歌「あぐっ」

曜「ああ“っ」

梨子「ベホイミ」

ルビィ「ベホイミ」

梨子「回復は任せて」

ルビィ「ルビィも頑張ります」

千歌「ありがとう!」

417: 2020/08/23(日) 13:15:44.13 ID:ZITmHtQ1
花丸「バギ」

千歌(マルちゃんの呪文に重ねて…)

千歌「はっ」シュパ

千歌(硬い!)

キングレオ「そんな貧弱な攻撃、効かぬわ!」

ダイヤ「ならば…ルカニ」

キングレオ「何っ!」

ダイヤ「これで攻撃も通るわ」

曜「たあぁっ」ドスッ

キングレオ「ぐぅっ…」

418: 2020/08/23(日) 13:16:43.34 ID:ZITmHtQ1
キングレオ「貴様ぁ!」

千歌「通さないよ」

善子「食らいなさい、ベギラマ!」

キングレオ「ぐぉぉ」

花丸「千歌ちゃん、今だよ!」

千歌「いっけぇぇー」ザシュ

善子(よし、千歌ちゃんの剣が正面から貫いたわ!)

419: 2020/08/23(日) 13:17:37.25 ID:ZITmHtQ1
キングレオ「ばかな…この私が…」

キングレオ「ぐふっ…」

千歌「たお…せた…」

「王様が…」

「死んだ…」

「俺たちは解放されるんだ…」

「もうあんな命令に従わなくていいんだ…」

梨子「これで…この国の人たちも…」

420: 2020/08/23(日) 13:18:40.36 ID:ZITmHtQ1
果南「千歌っ!」ギュー

千歌「わっ、果南ちゃん。苦しいよ」

果南「よかった、生きてて…」

千歌「果南ちゃん…」

果南「あの村に戻ったら誰もいなくて…」

果南「何があったの?」

千歌「魔物に…襲われて…」

果南「シンシアちゃんは?他のみんなは?」

千歌「…」フルフル

果南「そっか…やっぱり…」

421: 2020/08/23(日) 13:19:30.74 ID:ZITmHtQ1
果南「千歌だけでも生きててよかったよ…」

千歌「でも、チカを守るためにみんなが…」

千歌「勇者なのに…チカの力が足りなかったから…」

果南「違うよ。千歌は悪くない。悪いのは襲ってきた魔物なんだから」

果南「力が足りないと思うなら強くなればいい。」

果南「勇者として世界を救って。村の人たちが千歌を守ったことを後悔させないように」

果南「私も、大した力になれないかもしれないけど、勇者千歌の手助けをするよ」

422: 2020/08/23(日) 13:20:20.06 ID:ZITmHtQ1
花丸「あの…」

果南「あ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったね」

果南「私は果南。千歌の幼馴染で、千歌を探して旅を…」

果南「ってルビィは!?」

ダイヤ「こちらにいますが」

果南「え?」

ダイヤ「ルビィを助けていただきありがとうございます。私はルビィの姉のダイヤと申します」

果南「ええー!ルビィのお姉ちゃん!?」

果南「千歌に会えただけじゃなくて、こんな偶然…」

423: 2020/08/23(日) 13:21:10.67 ID:ZITmHtQ1
花丸「これも運命の導き…」

花丸「ここにいる9人は勇者千歌ちゃんのもとに導かれた仲間」

花丸「果南さんも、そしてルビィちゃんも」

ルビィ「ええっ!ルビィも?」

ダイヤ「ルビィが?そんなまさか。何かの間違いでは?」

花丸「マルの占いでは2人にみんなと同じ光が見えたんだけど…」

果南「そういえば…ここに来る前に祠で光に導かれて…って声が聞こえたんだった」

ルビィ「あれってこのことだったんだ…」

424: 2020/08/23(日) 13:21:59.95 ID:ZITmHtQ1
鞠莉「ってことは全員揃ったのね」

梨子「9人の導かれし者…」

梨子「私も聞いたときは驚いたけど、集まってみると仲間になるのが当然のように思えちゃう…」

ルビィ「ルビィも初めてあった気がしないかも」

善子「これが運命ってやつなのね…」

千歌「このみんなで世界を救う…か」

果南「きっとできるよ。そんな気がする」

425: 2020/08/23(日) 13:22:49.53 ID:ZITmHtQ1
ダイヤ「次の行先だけれど…」

花丸「もちろんサントハイムに」

善子「バルザック…今度こそ逃がさないわ」

曜「私も…ゆるせない!」

善子「サントハイムはあなたの故郷だったわね」

曜「うん。曜たちのお城を取り返さないと」

善子「行きましょう。サントハイムへ」

428: 2020/08/23(日) 14:27:10.14 ID:lzq3hnYS
【曜の隠し撮りブロマイド】

458: 2020/08/24(月) 01:08:54.49 ID:/9U3vtFc
>>428
鞠莉「そんなアイテムは存在しないようね。
ただダイヤに聞いた話だと梨子が──
梨子「な、何でもないから!」

429: 2020/08/23(日) 22:03:01.88 ID:rMOwQTD2
5-10

曜「また…戻ってきたね」

ダイヤ「次に来るのは事件を解決してからと思っていたのだけど…」

梨子「やっぱり誰もいないね…」

ルビィ「こんなこと…」

曜「私たちのお城…絶対取り戻す!」

430: 2020/08/23(日) 22:03:30.27 ID:rMOwQTD2
鞠莉「国民が急に消えた城…」

鞠莉「話に聞く以上にミステリアスな雰囲気ね…」

果南「お城は綺麗なままなのに、人の気配がしない。いったい何が起こって…」

善子「ここに…いる」

善子「マルちゃんに占ってもらわなくてもわかるわ」

花丸「うん、ここで終わらせよう。おらたちの敵討ちを」

花丸「マルとヨハネちゃん、みんなの力を合わせて」

431: 2020/08/23(日) 22:04:18.99 ID:rMOwQTD2
バルザック「やはり来たか。エドガンの娘よ」

善子「バルザック…なの?」

バルザック「どうした?〇したいほど憎い相手のことがわからないのか?」

花丸「その姿…」

バルザック「ふはは。どうだ、見違えただろう。このさらに進化した肉体にはもはや敵はいない」

バルザック「いずれ世界だって我が物にできる!」

善子「それがあんたの望みってわけね」

バルザック「頂点に立つ力があれば、それを使いたいとは思わないか?」

花丸「思わない!そんなことをすれば大きな犠牲が出るよ」

バルザック「そうか。まあお前たちがどう考えていようと関係のないこと」

バルザック「おとなしく逃げ出しておけば死なずに済んだものを…お前たちも父親と同じように始末してやろう」

432: 2020/08/23(日) 22:05:06.28 ID:rMOwQTD2
曜「…そこからどいて」

バルザック「ん?」

曜「ここは私たちのお城なんだ!お前なんかがいていいとこじゃない!」

バルザック「ほほう。サントハイムの生き残りだったか」

バルザック「だが、だれが来ようと関係ない。邪魔するものはまとめて蹴散らすのみ!」

善子「お父さんの仇、今度こそ討って見せる!」

花丸「あなたの野望ごと断ち切るよ!」

433: 2020/08/23(日) 22:06:26.12 ID:rMOwQTD2
バルザック「ふんっ」ブゥン

千歌「ひゃぁっ、少し当たっただけでも吹っ飛んじゃいそう」

鞠莉「見た目通りの馬鹿力ね」

ダイヤ「こういう時は…梨子ちゃん」

梨子「任せて、スクルト」

果南(これならっ)

バルザック「潰れろ!」ドンッ

果南「ぐっ!」

バルザック「な…受け止めただと!」

果南「今だよ!」

ダイヤ「バイキルト」

曜「サントハイムの怒りぃ」ドゴッ

バルザック「がはっ」

434: 2020/08/23(日) 22:07:02.90 ID:rMOwQTD2
善子「あれ、いくわよ」

花丸「うん」

善子「私たちの思いを込めたこの魔法」

花丸「1つとなり敵を討て」

善子「メラミ」

花丸「バギマ」

バルザック「ぐぁあああ!」

千歌「すごい、炎の竜巻がバルザックを切り裂いてる…」

435: 2020/08/23(日) 22:07:28.88 ID:rMOwQTD2
バルザック「まだ…進化が…足りないというのか…」

バルザック「ぐふっ…」

花丸「勝った…」

善子「やったわ、マルちゃん!」

善子「私たち…お父さんの仇を討ったのよ!」

花丸「うん…ヨハネちゃん!」

436: 2020/08/23(日) 22:08:00.63 ID:rMOwQTD2
梨子「やっぱり、お城の人たちは戻ってこないね…」

ダイヤ「まあ、わかっていたことだけど…」

ルビィ「みんな、どこにいるんだろう…」

曜「まっててねみんな…私が絶対この国を元に戻すから」

梨子「曜ちゃん…強いよね」

ダイヤ「これが王になる器なのかしら…」

437: 2020/08/23(日) 22:08:29.47 ID:rMOwQTD2
善子「当然だけど、バルザックを倒してもお父さんは帰ってこないのよね…」

花丸「…それは旅を始めた時からわかってたはずだよ」

善子「私たちのやったことって正しいのかしら?」

花丸「正しくはないんじゃないかな…」

花丸「敵討ちをした時点でバルザックと同類に堕ちる…そのうえで敵討ちを決めたんでしょ?」

善子「それは…」

鞠莉「確かに復讐は何も生まないね」

鞠莉「だけど進化の秘法を使って世界を支配しようとしたバルザックを倒した。これは正しいことのはずよ」

鞠莉「私たちは世界の人々の安全を守ったんだから」

善子「…そうよね」

善子「よし、ヨハネたちが旅に出た最初の目的は終わりっ。あとは勇者様とサントハイムのために働きましょう」

花丸「うん!」

441: 2020/08/24(月) 00:56:50.91 ID:/9U3vtFc
5-11

千歌「次はどこへ行く?」

ダイヤ「少し…調べ物をしてもいいかしら?」

果南「調べ物?」

ダイヤ「ルビィのことについて、書庫を探してみたいの。何か少しでもヒントがあれば…と」

ルビィ「お姉ちゃん…」

果南「そうか!お城の書庫なら何かあるかも」

花丸「マルたちも手伝うよ!」

鞠莉「マリーはホイミスライムの見た目のままでも可愛くていいと思うけどね♪」

梨子「それはルビィちゃんがかわいそうじゃないかな…」

442: 2020/08/24(月) 00:57:22.48 ID:/9U3vtFc
花丸「すごい…こんなに本があるなんて…」

鞠莉「一生かかっても読み切れなさそうだねー」

花丸「ここに住んだら幸せだろうなぁ…」

曜「マルちゃん、この冒険終わったらサントハイムに来る?」

花丸「いいの!?」

曜「私からお父さんに言っておくよ」

ダイヤ「関係ありそうなのは魔法や呪い…この辺りかしら」

善子「みんなで手分けして探しましょう」

443: 2020/08/24(月) 00:57:53.21 ID:/9U3vtFc
曜「あー…曜こういうの苦手ー…」

千歌「チカも…」

果南「こらこら、ちゃんと目を動かして」

曜「何書いてるかちんぷんかんぷんなんだもん」

曜「体を動かすことならいくらでもできるのに」

千歌「ねー」

曜「そうだっ、じゃあ私本運ぶ係やるよ」

千歌「ずるい、チカもやる!」

梨子「2人とも走ったら…!」

444: 2020/08/24(月) 00:58:20.35 ID:/9U3vtFc
善子「きゃあっ」ドン

果南「危なっ」ドサドサ

梨子「果南ちゃん!よっちゃん!」

果南「大丈夫?」

善子「ええ…ありがとう」

善子「あなたこそ大丈夫なの?私をかばって降ってきた本もろに食らってたみたいだけど…」

果南「うん、まあ鍛えてるし」

梨子「一応ホイミかけておくね」

445: 2020/08/24(月) 00:58:57.65 ID:/9U3vtFc
曜「ごめん!私のせいで」

善子「別にいいわよ。ケガしてないし」

善子「ま、片づけくらいは責任もってやってもらうけど」

曜「はい…」

千歌「あれ、何か紙が挟まってるよ?」

梨子「ほんとだ。誰かがメモでも残したのかなぁ」

善子「なんて書いてあるの?」

千歌「子供の字…かな?」

千歌「未来の僕の娘へ…って」

曜「え?」

446: 2020/08/24(月) 00:59:30.82 ID:/9U3vtFc
「未来の僕の娘へ」

「すごく困ったことがあった時に読んでほしい」

「お空のずっと上には天空のお城があって竜の神様が住んでるんだって。竜の神様なら解決方法を知っているはずだよ」

「天空のお城の事は北の海のスタンシアラの人々が詳しいと思うよ。」

曜「この名前…お父さんだ」

梨子「王様…ってことは未来の娘って」

千歌「曜ちゃん?」

果南「未来の娘へ…って適当に書いたんじゃないの」

曜「ううん。多分本当にわかってたんだと思う」

447: 2020/08/24(月) 01:00:19.53 ID:/9U3vtFc
梨子「そういえばサントハイム王家の人は未来予知の力を持ってるんだっけ…」

千歌「そうなの?」

梨子「うん、曜ちゃんも前に大雨で洪水が起きる夢を見たって言って、実際にその通りになったから」

梨子「幸い、あらかじめ国民を避難させてたから被害は少なかったけど」

善子「じゃあ曜ちゃんはこの後に起こることがわかるってこと?」

曜「それは…わからないよ」

曜「好きな時に未来がわかるなら私も知りたいし」

曜「そんな力があるんなら、このお城はこうなってないよ」

善子「それも…そうね」

448: 2020/08/24(月) 01:01:14.03 ID:/9U3vtFc
果南「空の上の城ねえ…とても信じられないことだけど…」

梨子「建物が浮くなんて…どんな魔法?」

梨子「いえ、魔法だとしてもとんでもない力…」

善子「スタンシアラの人が詳しいって書いてあるんだからダメもとでも行ってみましょうよ」

千歌「そうだね。私も天空のお城がほんとにあるなら行ってみたいし」

曜「あっちのダイヤちゃんたちにも話そう」

449: 2020/08/24(月) 01:02:11.32 ID:/9U3vtFc
ルビィ「さっきの音は棚から本が落ちちゃった音みたい」

ルビィ「梨子ちゃんもいるし、怪我もなかったみたいだけど…」

ダイヤ「そう、ならよかったわ」

ルビィ「ルビィも何か手伝えないかな?」

ダイヤ「といってもその手じゃ…」

鞠莉「本を読むのには向かないよねぇ」

ルビィ「うぅ…」

450: 2020/08/24(月) 01:03:09.77 ID:/9U3vtFc
花丸「ねえ、ここに書いてあるラーの鏡って」

鞠莉「どれどれ?」

鞠莉「その者の真の姿を現す…もしかして!」

ダイヤ「確かに、可能性はあるわね…」

ルビィ「じゃあこれを使えば…ってどこにあるんだろ?」

鞠莉「うぅむ…こんなものが一般に流通してるとも思えないし…」

花丸「物語だったら洞窟の奥か宝物庫にあるものだけど…」

鞠莉「宝物庫?この城にはないの?」

ダイヤ「…一応見てみましょうか」

451: 2020/08/24(月) 01:04:01.90 ID:/9U3vtFc
曜「ダイヤちゃんダイヤちゃん」

鞠莉「あ、曜。ちょうどいいところに…」

曜「次はスタンシアラに行こうと思うの」

ダイヤ「スタンシアラ…北の島国よね。何かわかったの?」

曜「さっきね…」

452: 2020/08/24(月) 01:04:56.58 ID:/9U3vtFc
ダイヤ「なるほど。天空の城…そんなものが本当にあるのかしら」

ダイヤ「私も名前は聞いたことがあるけれど、おとぎ話のものだと…」

鞠莉「ただ、現状は唯一のヒントなんだから聞いてみる価値はあるわね」

千歌「でしょ?」

ダイヤ「では次の行先はスタンシアラに…とその前に」

曜「ん?」

ダイヤ「宝物庫の鍵の場所を知っているかしら?」

曜「宝物庫?何で?」

ダイヤ「ルビィを元に戻せるかもしれない方法が見つかったの」

果南「本当?」

ダイヤ「ただそのアイテム、ラーの鏡がどこにあるかわからなくて…調べられるところは調べてみようかと」

曜「そっか。うん、開けてくるよ」

453: 2020/08/24(月) 01:05:46.33 ID:/9U3vtFc
善子「すごい…高そうなものがいっぱい…」

鞠莉「全部売ったらいくらになるのかしら…」

梨子「勝手に取っちゃだめだからねー…」

鞠莉「分ーかってるってそのくらい」

ダイヤ「マグマの杖…いかずちの杖…」

花丸「こんな貴重な杖が…」

ダイヤ「これは…ひのきのぼう?何でこんなものまで…」

曜「そういえば…お父さんから聞いたことあるんだけど、おじいちゃんが杖集めが好きだったんだって」

ルビィ「そっか、だからなんだね」

善子「いや、ひのきのぼうは何でよ」

454: 2020/08/24(月) 01:06:42.78 ID:/9U3vtFc
果南「うーん…ここにはラーの鏡?はなさそうだね…」

ダイヤ「さすがに簡単に見つかるものではないわよね…」

花丸「梨子ちゃん何読んでるの?」

梨子「歴代の王様の副葬品リストだよ。さすが王族だよね、豪華なものばっかり」

梨子「あぁー!」

ルビィ「どうしたの?」

梨子「これ。ここにラーの鏡って書いてあるの!」

ダイヤ「どこ!?」

455: 2020/08/24(月) 01:07:14.90 ID:/9U3vtFc
果南「さすが王家。お墓もすごい大きいねえ…」

曜「私も来るのはお母さんのお葬式の時ぶりだけど…」

ダイヤ「本来王族と側近の者しか入れない場所。厳かにするように」

梨子「ラーの鏡がサントハイムにあるのはよかったけど、まさかお墓荒らしみたいなことするなんて…」

花丸「バチ当たったりしないかなぁ…」

曜「こんな時なんだもん。ちょっと使わせてもらうだけだし、きっとご先祖様も大目に見てくれるよ」

456: 2020/08/24(月) 01:07:48.93 ID:/9U3vtFc
千歌「鏡、鏡…もしかしてあれ?」

ルビィ「よかったぁ…外に置いてあって…」

鞠莉「棺の中に入れられてたらさすがに開けるのためらっちゃうもんね」

千歌「んー…チカが映ってるだけで普通の鏡に見えるけど…」

果南「とりあえずルビィに試してみようよ」

ルビィ「大丈夫、だよね…」

ダイヤ「大丈夫。何かあっても私が守るから」

457: 2020/08/24(月) 01:08:21.53 ID:/9U3vtFc
果南「じゃ、いくよ」

パァァァ

花丸「ルビィちゃんが光って…!」

善子「人型に!」

ルビィ「ルビィの手が…足が…」

ダイヤ「ルビィ!」ギュッ

ダイヤ「よかった…元に戻って…」

ルビィ「お姉ちゃん…」

果南「うんうん、よかったね」

鞠莉「ほうほう、元の姿もホイミスライムの姿に負けじと、ううんそれ以上にキュートね」

ルビィ「ありがとう…みんな」

460: 2020/08/24(月) 01:15:11.46 ID:/9U3vtFc
ほぼセリフだけでバトルシーンを書くのは難しいから大目に見てほしい…

462: 2020/08/24(月) 01:18:10.80 ID:Jeuot3Hq
>>460
これぐらいなら大丈夫
とにかく完結まで頼むわ

466: 2020/08/24(月) 21:26:13.20 ID:/9U3vtFc
5-12

千歌「わっ、町が水だらけ」

ダイヤ「水の都スタンシアラ。水が多い国だからこそ、水路を生活に利用しているらしいわ」

ダイヤ「この国の人たちは道路の代わりに水路を使い、移動しているの」

千歌「でもどこに行くのにも船が必要って大変じゃないのかな?」

ダイヤ「私たちから見たらそうでしょうけど、案外なれたら楽なのかもよ?」

果南「泳いでいく人とかいたりするのかな」

ルビィ「服が濡れちゃうよ…」

467: 2020/08/24(月) 21:26:41.62 ID:/9U3vtFc
「あんたたちも王様のおふれを聞いて来たのか?」

果南「おふれ?」

「なんだ、知らないのか。そこの看板に書いてある通り、王様を笑わせることができたらどんな褒美ももらえるんだと」

「そのおかげで世界中から人が集まるもんだ」

鞠莉「どんな褒美でも!?」

「ああ、だがまだ王様を笑わせられた者はいないって噂だ」

鞠莉「笑わせれば…褒美…」

善子「なんでそんな大盤振る舞いしてるのかしら」

「さあな。俺たち庶民に取っちゃ理由なんて関係ないことさ」

468: 2020/08/24(月) 21:27:39.53 ID:/9U3vtFc
梨子「ところで、あの…天空のお城について何か知りませんか?」

「天空の城…?いや聞いたこともないが…」

「そういうことなら城にいる学者が詳しいんじゃないかな」

「お城までは直通のゴンドラがある。乗っていきな」

ダイヤ「ありがとうございます」

469: 2020/08/24(月) 21:28:25.87 ID:/9U3vtFc
「天空の城とな?確かにわしはそのあたりについて研究しているが」

花丸「やっぱりあるんですか?」

「ゴットサイド地方に行ったことはあるかね?」

ダイヤ「いいえ」

「あそこには天高くそびえる塔がある」

「その塔が竜の神が住む天空城に続いているといわれているのじゃが…」

花丸「誰も頂上まで行けてないんですか?」

「塔に入ることすらできなかったんじゃよ」

「天空の装備、つまり剣、鎧、盾、兜をすべてそろえた者に天空城への道が開けるとある」

「我が城に天空の兜、そしてバトランドに天空の盾があることはわかっているが」

果南「剣と鎧は?」

「…それ以外の手がかりはなくての」

「だから天空城は言い伝えの域を出ないのじゃ」

470: 2020/08/24(月) 21:29:09.37 ID:/9U3vtFc
善子「結局存在するかはあいまいなままだったわね」

曜「でも行き方がわかったんだよ」

千歌「うん、天空の装備をそろえればいいんだから」

善子「剣と鎧はどこにあるかもわからないのに?」

曜「世界中探せばきっと見つかるよ!」

花丸「途方もない話ずら…」

鞠莉「マルの占いで探せたりしないの?」

花丸「落とし物の持ち主を探すことくらいしかできないずら…」

鞠莉「まあそんな万能なわけないよね」

果南「いまんとこ他に方法もないんだし、天空城を探す方向で行くしかないんじゃないかな」

ダイヤ「そうね…」

千歌「私たちなら絶対見つけられるよ!そんな気がする」

梨子「ふふ…千歌ちゃんが言うと本当に見つけられそうだね♪」

471: 2020/08/24(月) 21:29:42.98 ID:/9U3vtFc
善子「じゃあまずは兜ね。この国にあるっていうんだから」

ルビィ「天空の兜をください、って言ってもらえるものかなぁ」

果南「そこは例のおふれを使えばいいんじゃない」

果南「王様を笑わせた人はどんな褒美だってもらえるんだから」

曜「そっか、王様を笑わせれば…笑わす…?」

曜「誰か面白いことできる?」

梨子「よっちゃんステージやってたんだよね?何かできたりしないかな?」

善子「ヨハネのステージは舞で魅了させるものよ。お笑いなんかじゃないわ!」

梨子「あ、ごめんね」

花丸「お笑いと言えば、モンバーバラではパノンって人が人気だったね」

善子「ああ、あの人ね。ヨハネに負けず劣らずのなかなかの盛り上がりだったわ」

472: 2020/08/24(月) 21:30:27.47 ID:/9U3vtFc
千歌「ふっふっふ。ここはチカの出番だね」

ルビィ「千歌ちゃん何かアイデアがあるの?」

千歌「こう見えてチカはダジャレが得意なんだよ♪」

果南「え、千歌のダジャレって…」

ダイヤ「例えばどういうのがあるの?」

千歌「みかんが見っかんない!」

ダイヤ「…」

千歌「あ、今のはみかんと…」

ダイヤ「説明しなくていいわ…」

果南「…まあ、千歌のダジャレはこんな感じだから別の案考えよう」

473: 2020/08/24(月) 21:31:05.03 ID:/9U3vtFc
鞠莉「そもそも王様は何で自分を笑わせようとしてるのかな?」

ダイヤ「確かに、笑わせるだけで何でももらえるというのは不自然よね」

千歌「うーん…笑うことができなくなる病気になっちゃったとか?」

梨子「そんな変な病気無いでしょ…」

千歌「わかんないよ~?世の中にはまだ知らない病気もあるかもしれないし」

鞠莉「その辺の理由がわかれば攻略のヒントがあるかもしれないよね」

果南「お城の人たちから情報集められないかな?」

曜「王様に直接聞いてみればいいんじゃないの?」

善子「はっ…その手があったか」

花丸「シンプルすぎて思いつかなかったずら…」

474: 2020/08/24(月) 21:31:59.13 ID:/9U3vtFc
国王「さて、そなたたちは何をして笑わせてくれるのかな」

ダイヤ「その前に、王様。失礼を承知でお伺いします」

ダイヤ「なぜ王様を笑わせれば褒美がもらえるなどというおふれを出されたのでしょうか」

国王「ふむ…まあよかろう」

国王「知っているかね、キングレオの城が魔物に乗っ取られたという話を」

善子「…」

国王「サントハイムの城が急に無人になったという話を」

曜「…」

国王「嘘か真かわからぬが地獄の帝王が復活するという噂もある」

千歌「地獄の帝王?」

国王「はるか昔、世界を支配しようとしたが、天の軍勢に封印されたと言われている魔物じゃ」

国王「地獄の帝王は伝承の域を出ない話だが、最近魔物に襲われる被害も増えている」

国王「国中が、いや世界中が暗い雰囲気になっているのでな。少しでも明るくしようとあのようなおふれを出したんじゃ」

475: 2020/08/24(月) 21:32:44.75 ID:/9U3vtFc
鞠莉「でしたら…私たちに天空の兜を頂けないでしょうか」

国王「なに?」

鞠莉「我々はキングレオを支配する魔物を倒し、現在サントハイムを元に戻す方法を探しているところです」

鞠莉「その途中、天空の城と竜の神の話を聞き、こちらに参りました」

鞠莉「聞けば天空の城に行くには天空の装備をそろえる必要があるとのこと」

鞠莉「天空の兜を頂ければ、他の装備も探し出します」

果南「地獄の帝王が復活したとしても私たちが倒します!」

ダイヤ「王様に、世界中の人々に笑顔をもたらすために尽力いたします」

476: 2020/08/24(月) 21:33:25.41 ID:/9U3vtFc
国王「うーむ…おぬしたちの心意気は買おう。しかし、はいそうですかと天空の兜を渡すわけにもいかないのじゃ」

国王「これは伝説の勇者が現れた時に渡そうと思っているのでな」

曜「勇者?」

国王「闇の力が増したときに生まれ、光を取り戻してくれる存在じゃ」

曜「勇者なら千歌ちゃんがそうですけど」

国王「なんじゃと…?」

千歌「えっと…そう、みたいです」

国王「むむむ…」

国王「いや、試してみればわかること」

国王「天空の兜を持ってまいれ」

「はっ!」

477: 2020/08/24(月) 21:34:14.37 ID:/9U3vtFc
善子「これが天空の兜…」

花丸「兜というよりサークレットに近いんだね」

国王「これは勇者以外が装備することはできないとされている」

国王「おぬしが本物の勇者であるならば、これを身に着けて証明してみなさい」

千歌「は、はい」

千歌(不思議な力を感じる…)

478: 2020/08/24(月) 21:34:49.45 ID:/9U3vtFc
千歌「どうです…か?」

ルビィ「かっこいい…」

国王「なんともないのだな?」

千歌「はい、サイズもぴったりです」

国王「おお…真の勇者のようじゃ…」

国王「はっはっは。まさか勇者が生まれているとはな」

国王「よかろう。この天空の兜とともに世界の平和をそなたたちに託そう」

「王様が…笑った…」

「いつぶりだろうか…」

国王「天空の盾を求めてバトランドにも行くのだろう?少し待っておれ、紹介状を書いておこう」

479: 2020/08/24(月) 21:35:22.87 ID:/9U3vtFc
曜「千歌ちゃん、それ千歌ちゃんにしか装備できないの?」

千歌「そう言ってたけど…誰でも使えそうだよね」

曜「ちょっと曜にも貸してー」

千歌「うん、いいよ」

曜「頭にのせて…なにこれ、重っ」

曜「頭がふらふらする~」

千歌「よ、曜ちゃん、大丈夫?」スッ

曜「助かった~…かぶったとたんすっごい重くなったよ」

国王「勇者以外が装備すると、重さを感じてまともに動けなくなるんじゃ」

曜「あ、王様」

国王「ほれ。バトランドへの紹介状じゃ。勇者千歌と仲間たちよ、みなが心から笑える日を待っているぞ」

千歌「ありがとうございます!頑張ります!」

481: 2020/08/25(火) 00:53:43.11 ID:9gP40RBB
5-13

「ようこそ、ガーデンブルグへ」

果南「おお、兵士まで女の人ばっかりだ」

梨子「女王を始めとして女性が主導の国…」

曜「曜より強い人いるかなぁ」

花丸「今の曜ちゃんより強い人なんて世界中探してもいるのかな…」

曜「果南ちゃんに勝てる気はしない…」

果南「武器使えればまだ負けないよ~」

482: 2020/08/25(火) 00:54:12.76 ID:9gP40RBB
鞠莉「バトランドの何代か前の王様も困ったものねぇ」

鞠莉「ガーデンブルグの女王様の気を引くために天空の盾をプレゼントしちゃうなんて」

ダイヤ「在りかが分かっているだけ良しとしましょう。他の2つは場所すら分からないのだから」

鞠莉「まあ、そうかもね…」

ルビィ「あれ、ヨハネちゃんは?」

千歌「ほんとだ、いない」

ダイヤ「どこかではぐれたのかしら?」

鞠莉「お城に入るまではいたはずだから、中のどこかだろうね。まったく…あの子ったら」

果南「まあ行先はわかってるんだしどっかで会えるでしょ」

483: 2020/08/25(火) 00:54:44.82 ID:9gP40RBB
善子(みんなとはぐれてしまった…)

善子(よそ見して歩いてたからね。はぁ~…)

善子(ま、女王に会うために玉座の間を目指せば合流できるでしょ)

「おや、旅の方ですか?」

善子「ええ、まあ」

「あちらのタンスを開けてみてください。面白いものが見れますよ」

善子(面白いもの…?)

484: 2020/08/25(火) 00:55:27.07 ID:9gP40RBB
善子「別に何もないじゃない」

善子(何だったのかしら?)

「きゃーー、泥棒よ!」

善子「え!?」

「誰かー!誰か来てー!」

善子「ちがっ…私は」

485: 2020/08/25(火) 00:56:09.05 ID:9gP40RBB
女王「なるほど。確かに、あなたは勇者のようですね」

女王「では我が国にある天空の盾を…」

「陛下、ご報告があります」

女王「何ですか?」

「この者がシスターのブロンズの十字架を盗み出しました」

善子「だから私は何も取ってないって!」

千歌「よっちゃん!?」

女王「この者はあなたの仲間ですか?」

千歌「はい…」

女王「勇者といえど盗みを働く仲間がいるとなれば、天空の盾を渡すわけにはいきません」

千歌「そんなっ…よっちゃんは泥棒なんて…」

「私見ました!その人がタンスの中を漁っているのを!」

善子「それは…!」

女王「まずはこの者の身体検査を」

「はっ!」

486: 2020/08/25(火) 00:56:54.38 ID:9gP40RBB
女王「十字架らしきものは見つかりませんね」

善子「だから盗んでないって…」

「そんな…確かにタンスは漁られて、ブロンズの十字架はなくなっていたのに」

女王「善子さんと言いましたね。問いましょう、あなたはブロンズの十字架を盗んだのですか?」

善子「違います!盗んでいません」

女王「シスターの部屋のタンスを漁りましたか?」

善子「それは…はい…」

女王「なぜそのようなことを?」

善子「通りがかったら…大きな女の人にタンスを見るといいと言われて…」

女王「その人はどちらに行きましたか?」

善子「…わかりません」

487: 2020/08/25(火) 00:57:33.44 ID:9gP40RBB
女王「誰か大きな女の人を見た人はいますか?」

「あの…男の人が城を出て南の方に走っていくのを見ました」

女王「男性…ですか」

善子「きっと、その人よ!女の人にしては体格良かったし、声も低かったし。変装していたんだわ」

女王「…では一応捜査してみましょう。南と言えば…洞窟がありましたね。兵を向かわせます」

千歌「あの…私たちも行っていいですか?」

花丸「ヨハネちゃんに濡れ衣を着せた犯人がいるならじっとしていられません」

果南「仲間の無実を証明させてください!」

488: 2020/08/25(火) 00:58:07.05 ID:9gP40RBB
女王「…いいでしょう」

女王「ただし、そのまま逃げられるようなことがあっては困るので、善子さんの身柄はこちらで預からせていただきます」

善子「まあ…そうよね…」

鞠莉「その役割…私が代わることはできないでしょうか」

女王「…別にかまいませんが」

善子「鞠莉ちゃん…いいの?」

鞠莉「もし戦いになった場合、あなたの魔法は必要でしょ?どうせマリーは戦闘では大して役に立たないし」

果南「よし、鞠莉のためにも早く真犯人を見つけよう!」

489: 2020/08/25(火) 00:58:52.02 ID:9gP40RBB
千歌「こんな洞窟の奥に部屋があるなんてね」

善子「盗賊の隠れ家にピッタリじゃない」

曜「よし、突入しよう」バタン

バコタ「げ、あんたは!」

善子「その手に持ってるのは…!あんたがシスターの十字架を盗んだのね?」

バコタ「くっ…捕まるわけには」

果南「逃がさないよ!」

490: 2020/08/25(火) 00:59:29.67 ID:9gP40RBB
「陛下。この方たちの協力もあり、ブロンズの十字架を盗んだ犯人、バコタを捕まえることができました」

バコタ「ちくしょう…」

女王「そうですか。では一旦その者は牢に入れておきなさい」

花丸「これでヨハネちゃんの疑いも…」

女王「善子さん、疑ってしまい申し訳ありません」

善子「いえ…疑われるようなことした私も悪いので…」

千歌「そうだよ。勝手に人のタンスを漁るなんて」

女王「すぐにお仲間を解放いたしましょう」

491: 2020/08/25(火) 01:00:06.11 ID:9gP40RBB
鞠莉「みんな、事件を解決してくれてありがとね」

梨子「鞠莉ちゃん、大丈夫だった?」

鞠莉「そんな手荒な真似は受けてないし平気よ~」

鞠莉「ただ部屋で何もできないから退屈だっただけで、むしろ洞窟に行くより快適だった、かも?」

ルビィ「ルビィ、鞠莉ちゃんが牢屋に入れられちゃうかと思ったよ」

鞠莉「さすがに何もしてないのに牢屋に入れられたくはないわねー」

492: 2020/08/25(火) 01:00:49.54 ID:9gP40RBB
女王「こちら約束通り天空の盾…とお詫びとしてこれも差し上げましょう」

花丸「爪?」

鞠莉「もしかして…炎の爪ですか!?」

女王「はい。その通り」

ルビィ「鞠莉ちゃん知ってるの?」

鞠莉「炎の魔力を込められた武器よ」

鞠莉「こんな貴重なものを頂けるなんて…」

女王「武器は使わなければただの飾りです。あなた方ならば役立ててくれるでしょう」

果南「これは曜が使うのがよさそうだね」

曜「わー…もっと強くなれそう♪」

曜「女王様、ありがとうございます!」

496: 2020/08/25(火) 21:54:48.32 ID:9gP40RBB
5-14

千歌「ん、呼んだ?」

果南「別に呼んでないけど?」

千歌「あれ、今誰かに呼ばれたような気がしたんだけど」

果南「私は何も聞こえなかったけど…波の音じゃないの?」

千歌「…ううん。聞こえる」

果南「ちょっと…怖いこと言わないでよ」

千歌「あっちだ!」

果南「あっちって…遠くに陸があるだけじゃ…」

果南「一応鞠莉呼んでくるね」

497: 2020/08/25(火) 21:55:20.29 ID:9gP40RBB
鞠莉「んー…ちょうどあの方向に洞窟があるね」

千歌「洞窟…」

鞠莉「マリーもなんも聞こえないけど、ほんとなの?」

千歌「ほんとだもん!…多分。きっと…」

果南「千歌にしか聞こえないとなると勇者に関係あるものか…」

鞠莉「じゃなけりゃ幽霊ね」

鞠莉「とりあえず行ってみればわかるでしょう♪」

498: 2020/08/25(火) 21:56:05.68 ID:9gP40RBB
善子「船でしか入れない洞窟なんてよく見つけたわね」

梨子「中も水浸し…」

ルビィ「うぅ…ぬれちゃうよ…」

曜「ねえ、あそこ!」

花丸「あそこだけ…水がない!?」

ダイヤ「不自然ね…」

果南「真ん中にあるのって…鎧だよね」

千歌「あれだ…」ザブザブ

果南「ちょっと、罠かもしれないのに」

499: 2020/08/25(火) 21:56:58.07 ID:9gP40RBB
果南「この鎧ってもしかして…」

鞠莉「盾や兜ととのデザインを考えるとねぇ」

果南「だよねぇ」

千歌「どう、かな?」

梨子「まるで千歌ちゃんのために作られたかのようにぴったりだね…」

花丸「天空の鎧…」

ダイヤ「こんなところにポツンとあるなんて不思議なこともあるものね」

500: 2020/08/25(火) 21:57:38.63 ID:9gP40RBB
ルビィ「何で天空の鎧の周りだけ水がないんだろう?」

鞠莉「それは多分これね」

曜「石?」

ルビィ「わっ。水が元に戻った」

鞠莉「かわきの石っていって周囲に水を近づけさせない力があるの」

鞠莉「私も見るのは初めてだけど…」

ルビィ「まるで天空の鎧を守ってるみたいだね」

501: 2020/08/25(火) 21:58:18.31 ID:9gP40RBB
果南「とにかく、天空の装備ももう3つ集まったんだ。残りは剣だけだよ」

善子「後探すところは…」

鞠莉「千歌の勇者レーダーでなにか分からないの?」

梨子「レーダーって…」

千歌「わかんないよ…」

千歌「兜や盾の時に何か聞こえたとかはないんだし」

鞠莉「まあそれもそうよねー」

果南「しっ。何か聞こえる」

502: 2020/08/25(火) 21:58:58.78 ID:9gP40RBB
「聞いたか?地獄の帝王のこと」

「ああ、ついに復活するらしいな」

「人間どもが掘り当てたとか」

「アッテムトだっけ?ご苦労なこったな」

「地獄の帝王が味方になればデスピサロ様も安泰だ」

「人間共も敵じゃないさ」

503: 2020/08/25(火) 21:59:30.68 ID:9gP40RBB
果南「聞いた?今の魔物の話」

ダイヤ「ええ。地獄の帝王…スタンシアラでの話が本当だとは」

梨子「人間が掘り当てた…って言ってたけど」

ダイヤ「帝王という名が本当ならかなりの強敵。人類の脅威になりかねないわ」

善子「アッテムトって言ってたわね。私たちも行くわよ!」

506: 2020/08/26(水) 00:24:03.57 ID:HxrWDF5y
1-15

花丸「そんな…」

ダイヤ「アッテムトって…こんなところなの!?」

善子「前に来た時よりもひどい状態ね…」

梨子「倒れてる人がたくさん…手当てしなきゃ!」

「無駄だよ。もう死んでる」

梨子「え?」

「こんなところに来て何する気だい?」

「炭鉱夫たちが恐ろしいものを掘り出しちまった。もうこの町は終わりさ、あんたたちも逃げたほうがいい」

千歌「…みんな、行こう」

「ちょっと、話聞いてたのかい?」

507: 2020/08/26(水) 00:24:35.10 ID:HxrWDF5y
ルビィ「うゎぁ…嫌な臭い…」

鞠莉「こんなところでよく仕事してたね」

善子「前に来たときはこんな奥まで掘ってなかったわよね」

花丸「あの後も掘り続けてたってことだね…その結果…」

果南「この奥…何か建物があるよ」

梨子「神殿…みたいだけど、すごく禍々しい雰囲気だね…」

鞠莉「あそこに地獄の帝王がいるのね…」

508: 2020/08/26(水) 00:25:11.99 ID:HxrWDF5y
「そこの人間、何の用だ」

「帝王様に危害を加えさせるわけにはいかない。今すぐ消えてもらおう」

果南「邪魔、どいて」ザシュ

曜「その帝王に用があるんだから!」ザク

「ぐふっ…」

509: 2020/08/26(水) 00:25:46.99 ID:HxrWDF5y
千歌「大きい…」

梨子「これが地獄の帝王…?すごく強そうだね…」

エスターク「グゴゴゴゴ…」

エスターク「なにやつだ…我が眠りを妨げるものは…」

エスターク「我が名はエスターク…」

エスターク「人間を滅ぼし、世界を我らが魔族のものに…」

千歌「そんなことさせない!」

エスターク「邪魔するものは、排除するのみ…」

果南「くるよっ!」

510: 2020/08/26(水) 00:26:46.35 ID:HxrWDF5y
曜「くっ…近づけないよ!」

果南「あの両手の剣の攻撃が激しくて懐に潜り込めないし、まともに受けることすらできないね…」

ダイヤ「ならば…ピオリム!」

エスターク「ふんっ」シュー

曜「あれっ?」

ダイヤ「呪文が、解除された…?」

鞠莉「そんなこともできるの!?」

511: 2020/08/26(水) 00:27:39.12 ID:HxrWDF5y
鞠莉「重い攻撃、それに加えてブレスまで…」

善子「攻撃魔法もあまり効いてるようには見えないし…」

梨子「防戦一方だよぉ!」

ルビィ「ベホマ!回復呪文…いつまで持つかな…」

花丸(エスタークはまだ眠りから目覚めたばっかりなのにこんなに…)

花丸(目覚める…眠りから)

花丸「みんな、いったん止まって!」

果南「なに?なんか作戦があるの?」

512: 2020/08/26(水) 00:28:25.66 ID:HxrWDF5y
花丸「ラリホーマ!」

エスターク「ぬ…」ウトウト

ダイヤ「効いてる!?」

善子「そうか…目覚めたばかりでまだ完全じゃないのね」

花丸「もう一度…ラリホーマ」

エスターク「zzz…」

鞠莉「眠った!チャンスよ!」

果南「よっし、いっくよー」

513: 2020/08/26(水) 00:29:02.00 ID:HxrWDF5y
エスターク「zzz…」ブンブン

千歌「わっ、寝ながら武器振り回してる!」

果南「でも動きは単純っ」

曜「これなら近づけるよ!」

ダイヤ「一気に決めなさい。バイキルト!」

鞠莉「マルはそのまま眠らせ続けて」

花丸「ラリホーマ、ラリホーマ、ラリホーマ!」

514: 2020/08/26(水) 00:29:51.34 ID:HxrWDF5y
千歌「とどめぇ!ライデイン!」

エスターク「ぐふっ…」

千歌「勝った…?」

梨子「眠ってても手ごわい相手だったね…」

善子「地獄の帝王…本調子だったら恐ろしいわ」

花丸「でも、これでまた一つ脅威がなくなったずら…」

鞠莉「あら、これは…?」

果南「まって。大勢の足音が聞こえる!」

515: 2020/08/26(水) 00:30:34.17 ID:HxrWDF5y
「デスピサロ様、こちらに地獄の帝王様…が!?」

デスピサロ「これは一体…?」

「そこの人間、お前たちがやったのか?」

デスピサロ「バカな…地獄の帝王を倒すなんて勇者でもない限り…」

千歌(あの人…!あの時の!)

デスピサロ「その顔…!まさか生きて…」

「デスピサロ様!急ぎ伝えたいことが…」

「ロザリーヒルにいるエルフを襲おうとしている人間がいるという情報が入りました」ヒソヒソ

デスピサロ「…っ!?」

デスピサロ「私は用事ができた。あとは任せる」スタスタ

「は、デスピサロ様…?」

516: 2020/08/26(水) 00:31:18.01 ID:HxrWDF5y
「デスピサロ様が帰られたぞ」

「どうする?」

「邪魔な人間は倒すべきでは」

「帝王を倒したんだぞ。俺たちが勝てるか?」

「確かに…」

「我々も帰るぞ!」

「ひきあげじゃあー」

517: 2020/08/26(水) 00:32:05.34 ID:HxrWDF5y
ルビィ「帰ってくれた…?」

ダイヤ「理由はわからないけど、ボスが何かあったみたいね」

曜「子分たちも曜たちに恐れをなしたみたいだしね♪」

善子「今あの数で攻めてこられたら危なかったわよ」

曜「え?あれくらい何とかならない?」

善子「ヨハネは無理ね…魔力切れよ」

ルビィ「ルビィもちょっと…」

518: 2020/08/26(水) 00:32:41.75 ID:HxrWDF5y
千歌「デスピサロ…」

果南「あれが私たちの村を壊したやつ?」

千歌「多分…」

千歌「あの人…1回村に来てた」

千歌「そのときに私が勇者だって確認したんだ…」

果南「実際に敵の姿を見たら憎しみがわいてきたよ…」

果南「私はあいつに復讐したい。千歌もそう?」

千歌「うん。狙いがはっきりしたよ」

519: 2020/08/26(水) 00:33:16.21 ID:HxrWDF5y
ガガガガ…

梨子「な、なにこの音!?」

曜「エスターク…が動いたわけじゃないよね」

ダイヤ「これは…上!」

ルビィ「あわわ…天井が…!」

花丸「神殿が…崩れるっ」

善子「私たちも急いで逃げるわよ!」

521: 2020/08/26(水) 22:01:40.06 ID:HxrWDF5y
1-16

鞠莉「うーん…」

果南「なに、その壺?」

鞠莉「これ?アッテムトで拾ったんだけど…」

果南「え、いつの間に」

鞠莉「エスタークが倒れたときに後ろにあってね。なんかお宝が入ってたりしないかなーって持ってきたんだけど」

果南「ちゃっかりしてるねー…」

果南「で、何か入ってたの?」

鞠莉「ガスが入ってるみたいなんだけど」

鞠莉「ほら袋をかぶせると膨らんでくでしょ」

果南「ほんとだ」

522: 2020/08/26(水) 22:02:33.17 ID:HxrWDF5y
鞠莉「ただ袋をつぶしてもこう…エンドレスに出てくるのよねー」

果南「え、どうなってんの?」

鞠莉「マリーにもわからないの」

鞠莉「魔法でもかかってるのかな?封印されてたエスタークと一緒にあったってことはずっと昔のものでしょうけど…」

果南「不思議なものもあるもんだね」

鞠莉「これが何かに使えれば…」

曜「リバーサイドが見えてきたよー」

果南「お、次の町に着くみたいだね」

523: 2020/08/26(水) 22:03:03.27 ID:HxrWDF5y
千歌「川の両側に家があるなんてここも変わってるね」

善子「あっちに見える大きな像が気になるわ。行ってみましょう」

「旅の方ですか?そっちには行かないほうがいいですよ」

ダイヤ「どういうことですか?」

「この先の山に魔物の城があるという噂でして。調査に行ったものは誰一人帰ってこないんですよ」

梨子「それって危なくないんですか?」

「そこの魔神像が守ってくれているのかこの町に魔物が攻めてきたという話はきいたことがないですね」

「こちらから踏み込まない限り大丈夫ということなんですよ」

524: 2020/08/26(水) 22:03:36.87 ID:HxrWDF5y
曜「わー、なにこの籠?」

「これですか。気球といって…ちょっと待ってください」

「これが模型なんですが、こうガスを入れると…」

曜「わっ、飛んだ!」

「空気より軽いガスを入れることで浮くことができる。これを利用すれば空を飛ぶことも…と思って作ったんですがね」

ダイヤ「でも人を浮かせられるほどのガスなんて…」

「そう、それです」

「人を飛ばすために必要なガスの量はわかるのですが、肝心のガスをどうやって用意すればいいか…作ってから欠陥に気づいたんですよ」

鞠莉「ガス?それなら…」

「何か知っているんですか?」

鞠莉「ちょっと前に拾ったんだけど…」

525: 2020/08/26(水) 22:04:18.65 ID:HxrWDF5y
「おお!これは」

「無限にガスが出てくるぞ。これはいける!」

「これを取り付ければ…」

果南「勝手に使われてるけどいいの?」

鞠莉「べつにいいよ」

鞠莉「すごいものができそうなんだもん。そっちのほうが楽しみだわ♪」

526: 2020/08/26(水) 22:05:06.66 ID:HxrWDF5y
「できた!」

「あ、いや、夢中になってすみません…」

鞠莉「気球は完成したんですか?」

「はい、これで人の身で空を飛べますよ」

「この気球はあなたたちに差し上げます。自由に使ってください」

曜「え、いいの!?」

「はい、ガスの壺がなければ完成できなかったものですし。それに私は完成させられたことで十分です」

鞠莉「ではありがたくいただきます」

527: 2020/08/26(水) 22:05:46.52 ID:HxrWDF5y
千歌「おぉ~浮いた浮いた!」

曜「すごい!曜たち空飛んでるよ!」

梨子「落ちない…よね。これ」

善子「いざとなったらヨハネの魔法でどうにかしてあげるわよ」

ルビィ「どうするの?」

善子「それはもちろん堕天使の翼で…」

花丸「じゃあよっちゃんは気球に乗らなくても一人で飛べるね」

善子「まって、その手は何?突き落したりしないわよね…?」

花丸「冗談、ずら♪」

528: 2020/08/26(水) 22:06:25.16 ID:HxrWDF5y
果南「で、どこに向かってるの?」

鞠莉「行先は風に聞いてくれって感じねー」

鞠莉「今は東の方に進んでるみたいだけど」

果南「方向変えられないの?」

鞠莉「ガスの量を変えることで高度を調整して、違う気流に乗れば方向変わるけど…ダイヤ出来る?」

ダイヤ「私は気象学には詳しくないので、気流を読むなんてとても…」

鞠莉「だよね。まあこのままいけばちょうどミントス東の岩山に囲まれたところに行けそうだしいいんじゃない」

530: 2020/08/27(木) 00:17:39.78 ID:pl5VRZ+v
5-17

曜「ねえ、木が見えてきたよ」

善子「この距離であのサイズって、どんだけ大きな木なの!?」

花丸「本で見たことがあるずら…人の手の届かないところに天にも届く世界樹があるって…」

ルビィ「世界樹?」

ダイヤ「世界樹…癒しの力を持つという大樹ね。おとぎ話じゃなかったの…?」

花丸「あんな大きな木、世界樹以外に考えられないよ」

ダイヤ「本当だとしたら私たちはまたすごいものを見ているのね…」

鞠莉「ヒルタンさんの地図のマークはあれを差していたの…?」

果南「あの木の近くに着陸するよー」

531: 2020/08/27(木) 00:18:10.72 ID:pl5VRZ+v
千歌「近くに行くともっとすごい…てっぺんが見えないよ」

「あら?こんなところに人間が来るなんて」

梨子「エルフ!?」

「ここはエルフの里。世界樹とともに生きるところです」

花丸「あ、あの、この木ってやっぱり世界樹なんですか?」

「はい。ご自由にご覧になってください」

ダイヤ「私たちが木を傷つけたりとか警戒はしないのですね」

「悪しきものが近づけば世界樹が騒ぎます。あなた方が心正しき方だということはわかっています」

532: 2020/08/27(木) 00:18:38.36 ID:pl5VRZ+v
花丸「世界樹…生命力にあふれているずら…」ペタペタ

曜「わかるの?」

花丸「幹に触ってみて。生きているのがわかるから」

梨子「ほんとだ…鼓動を感じる…」

善子「マルちゃん…だからってそんな抱き着くようにしなくても…」

花丸「はっ!つい…」

533: 2020/08/27(木) 00:19:10.14 ID:pl5VRZ+v
果南「あれ、木の根元に剣が刺さってる?」

「その剣はいつからか世界樹に刺さっているのです。誰も抜くことができず、ずっとそのまま…」

果南「へぇ~…んっ!」グイッ

果南「だめだ…びくともしないね」

ルビィ「果南ちゃんの力でもだめならほんとに抜けないんだね」

千歌「その剣…」

果南「どうかした?」

千歌「えい」スポッ

果南「抜けたっ!?」

千歌「軽い…」

果南「うそ…私が無理だったのを千歌が…」

534: 2020/08/27(木) 00:19:48.88 ID:pl5VRZ+v
鞠莉「どうかしたの?」

千歌「あ、この木に剣が刺さってたんだけど」

果南「私が引っこ抜けなかったものを千歌があっさり抜いたんだよ?信じられる?」

鞠莉「ちょっと見せて」

鞠莉「これは…!」

ルビィ「すごい剣なの?」

鞠莉「すごい剣も何も…」

鞠莉「誰も抜けなかったのに千歌だけが引き抜けたということ、そしてこのデザイン」

鞠莉「導き出せる答えは?」

535: 2020/08/27(木) 00:20:23.65 ID:pl5VRZ+v
果南「そうか!天空の剣!」

鞠莉「そう。試しに果南振ってみて」

果南「はーい。うっ…重っ!」

鞠莉「でしょ。兜や盾と同じように勇者以外は装備できない」

千歌「やっぱり天空の剣なんだ」ブンブン

果南「軽々振るねー」

千歌「私の天空装備が反応した気がしたんだ」

鞠莉「天空装備もみんな揃いたがってたのかもね」

536: 2020/08/27(木) 00:20:57.34 ID:pl5VRZ+v
果南「いいなぁ千歌には専用の武器があって。私にもなんかそういうのないのかな?」

鞠莉「そうね…魔神の金槌なんてどう?」

果南「金槌…ハンマー系?」

鞠莉「そう。ものすごくヘビーな武器でね。扱うのに力が必要で敵に攻撃を当てるのも大変なんだけど、うまく使えればどんな硬い敵でも一撃で叩き潰せちゃう破壊力が出るらしいの」

果南「う~ん…」

果南「やめとくよ。そんなギャンブル性の高い武器だといざというとき外したら大変だし」

鞠莉「ま、そうよね。呪われた武器って噂もあるし」

果南「そんな危険なもの勧めたんかい!」

537: 2020/08/27(木) 00:21:36.40 ID:pl5VRZ+v
ルビィ「これで天空の装備が全部そろったんだね!」

ダイヤ「そうね。あとはゴットサイドにある塔を昇れば天空城に行ける…はずだけど」

曜「竜の神様かぁ…どんな人なんだろ」

善子「人というか…ドラゴンよね?」

ルビィ「ルビィたち食べられちゃったりしないよね…?」

ダイヤ「神様だもの。清きものに害を与えることはしないでしょう」

千歌「ワクワクしてきたよ♪ゴットサイドまで一気に行っちゃおー」

538: 2020/08/27(木) 20:57:37.25 ID:dNC8zYJX
5-18

千歌「ほえー…雲の上まで塔が伸びてる…」

曜「ここのを昇ればいよいよ竜の神様と会えるんだね!じゃあみんな…」

曜「どうかした?」

善子「いや…この高さ登るの?」

善子「私は下で待ってようかしら」

千歌「え、よっちゃん!?」

鞠莉「マリーもちょっとねぇ…登るのは千歌と曜にまかせましょう」

千歌「鞠莉ちゃんも!?」

梨子「私も登り切れるか不安が…」

千歌「梨子ちゃんまで…」

花丸「マルも登ること考えただけで…いや、でも竜の神様にも会ってみたいし…」

果南「千歌。私はちゃんと上まで行くからね」

千歌「果南ちゃん…」ウルウル

539: 2020/08/27(木) 20:58:10.48 ID:dNC8zYJX
ダイヤ「冗談は置いておくとして」

千歌「え、冗談なの?」

善子「まあ、うんざりする高さではあるけれど、今更立ち止まれないわね」

ダイヤ「長丁場になるかもしれないから準備はきちんとしておくこと」

梨子「一体何階まであるんだろう…」

曜「100階だって200階だって突き進むのみだよ!」

540: 2020/08/27(木) 20:58:41.27 ID:dNC8zYJX
曜「ここが入口だね。うんしょ…」

曜「鍵がかかってるよ?」

ダイヤ「天空の装備を集めた者のみが入ることができる…これが本当なら」

花丸「全部を身に着けてる千歌ちゃんならいけるはず」

鞠莉「千歌。開けてみて」

千歌「うん」

541: 2020/08/27(木) 20:59:17.16 ID:dNC8zYJX
千歌「開いた…」

善子「扉の前に立っただけなのに…」

ダイヤ「天空の装備をそろえたことを認識したのかしら?」

千歌「中、入るよ」

果南「私たちが通っても大丈夫だよね…?」

鞠莉「千歌が入ったとたん閉まっちゃうかもよ~?」

ルビィ「大変!早く入らないと」

542: 2020/08/27(木) 20:59:50.45 ID:dNC8zYJX
ウィーン

善子「エレベーターがあって助かったわ」

花丸「動力があるように見えないのにどうやって動いてるんだろう」

鞠莉「魔法とかじゃないの?神様がいるところにつながってるんだもの、何があっても不思議じゃないわ」

千歌「このまま一気に上までっ…」

ダイヤ「とはいかないみたいよ」

ルビィ「…止まった」

果南「ここからまた歩かなきゃいけないみたいだね」

543: 2020/08/27(木) 21:00:17.33 ID:dNC8zYJX
善子「今何階かしら…?」

鞠莉「わかんない。数えようもないし…」

善子「そうよね…」

梨子「エレベーターで昇ったり降りたり…地上に帰れるのかも不安だよ」

果南「あ、またエレベーターだ」

曜「この上…雲しか見えないよ?」

千歌「いよいよだ…そんな気がする」

544: 2020/08/27(木) 21:00:55.08 ID:dNC8zYJX
曜「雲の上だー」

千歌「あっ、お城があるよ!」

ダイヤ「雲の上のお城…あれが天空城なのね」

花丸「神秘的…」

鞠莉「よし、いくわよー」

善子「雲の上って…歩けるのね」

ルビィ「ふかふかでたのしい~」

545: 2020/08/27(木) 21:01:34.73 ID:dNC8zYJX
「お待ちしていました。勇者様」

曜「わっ!羽が生えてる!」

善子「あなたたちは何者?」

「私たちはマスタードラゴン様とともに天空城に住むもので、天空人と呼ばれています。」

花丸「天空人…」

「マスタードラゴン様がお待ちです。こちらにどうぞ」

果南「おぉ、飛んでる…」

546: 2020/08/27(木) 21:02:10.27 ID:dNC8zYJX
マスタードラゴン「よくぞ来た勇者千歌と仲間たちよ」

マスタードラゴン「私はこの城を治めるマスタードラゴン。竜の神と呼ばれているものだ。」

マスタードラゴン「お前達がなぜ私に会いに来たのかも既に分かっている」

マスタードラゴン「まずサントハイムだが…王を始めとした民は時空の挟間にとらわれている。光と闇の均衡がとれた時に解放されるだろう」

曜「お父さんやみんなは生きてるんですね!」

ダイヤ「誰がそんなことを…」

マスタードラゴン「私にもわからない。ただサントハイムの王が闇の増幅を察知した結果、時空の揺らぎに飲み込まれたのではないかと」

梨子「神様でもわからないのですか?」

マスタードラゴン「私はこの世界を作った神の使いにすぎない」

マスタードラゴン「お前達が思っているほど私は絶対の者ではないのだ…」

547: 2020/08/27(木) 21:02:45.12 ID:dNC8zYJX
マスタードラゴン「そしてデスピサロこの城の遥か下、地底世界にいる。いまこの瞬間にも進化の秘法を使い、強大な存在に進化しようとしている」

マスタードラゴン「もはや私にはどうすることもできぬ…だが、闇が強まるとき、光もまた強まる。それが勇者だ」

マスタードラゴン「1つ、昔話をしよう」

マスタードラゴン「昔、エスタークという魔族がいた」

マスタードラゴン「彼の者は力を求め、その結果進化の秘法を編み出し、自らを究極の生物に変えようとしていた」

マスタードラゴン「神はそれを予期し、天空人の中から勇者を生み出した。そして勇者を中心に天空人たちが力を合わせ、エスタークを封印することに成功したのだ」

548: 2020/08/27(木) 21:03:26.37 ID:dNC8zYJX
マスタードラゴン「後でわかったことなのだが、エスタークの進化の秘法は完全なものではなかった。黄金の腕輪が必要だったのだ」

ダイヤ「黄金の腕輪ですって!?」

曜「どっかで聞いたような…?」

梨子「ほら、フレノールの誘拐事件で」

曜「ああ!」

マスタードラゴン「その時の腕輪がその後魔族に渡ったようだ」

ダイヤ「そんな…私たちのしたことが世界の危機に繋がるなんて…」

マスタードラゴン「自分を責めるでない。魔族側が気づいた時点で遅かれ早かれ向こうの手に渡っていた」

マスタードラゴン「だが、封印から目覚めたエスタークを退けたお前たちなら、どんな進化をしようときっと勝てるはず」

549: 2020/08/27(木) 21:03:59.15 ID:dNC8zYJX
マスタードラゴン「これを授けよう」

果南「これは?」

マスタードラゴン「世界樹からわずかに取れる露を凝縮した奇跡の薬、世界樹のしずくだ。どんな瀕死でもたちどころに癒す力を持っている」

鞠莉「そんな貴重なもの、貰っていいんですか?」

マスタードラゴン「この世界の為に戦うものが持つのにふさわしい」

マスタードラゴン「さあ、地底世界までは送り届けよう」

マスタードラゴン「勇者千歌と仲間たちよ。世界が闇に染まる前に、光の力を見せてくれ!」

千歌「はい!」

550: 2020/08/28(金) 00:07:13.42 ID:1qYU2djK
5-19

千歌「いよいよだね…」

ダイヤ「デスピサロを守る4つの結界とその守護者」

ダイヤ「すべての結界を壊し、いざ決戦の時」

善子「ギガデーモン…後ろから不意打ちしてくる卑怯な奴だったわね」

果南「パワーはものすごいけど、物理攻撃だけの相手なんて敵じゃないよ」

花丸「アンドレアル…3体で連携して攻撃してくるのは厄介だったずら」

ルビィ「よっちゃんとお姉ちゃんの呪文が大活躍だったね」

曜「ヘルバトラー…打撃、呪文、ブレスといろんな攻撃してきて手ごわかった」

梨子「私とマルちゃんで一生懸命サポートをしたよ」

551: 2020/08/28(金) 00:07:43.00 ID:1qYU2djK
鞠莉「そして4つ目の結界…誰も守ってなかったね」

千歌「たまたま留守だったのかな?」

ダイヤ「残りの3つにあれだけの戦力を割いているのにそれは不自然だけど…」

果南「まあ考えてもしょうがないよ」

梨子「黄金の腕輪を使って究極の進化をしたデスピサロ…私たち勝てるのかな」

曜「大丈夫だよ梨子ちゃん!」

曜「ここにいる9人の力を合わせれば、どんな敵にだって勝てるよ!」

善子「結界の守護者たちもきっちり倒せたしね」

千歌「デスピサロを倒して終わらせよう!」

552: 2020/08/28(金) 00:08:19.95 ID:1qYU2djK
果南「これは…エスターク?」

ダイヤ「そんな…エスタークはあの時に!」

花丸「まさか生きていたの!?」

デスピサロ「なにもの…」

デスピサロ「わたしは、ですぴさろ…まぞくの、おう…」

鞠莉「デスピサロ?これが?」

梨子「進化の結果、エスタークとおんなじ所にたどりついたってことだね…」

善子「結構な美形だったのにもったいない」

デスピサロ「にん、げん…?」

デスピサロ「ゆるさ、ない…よくも…り…を…」

デスピサロ「ほろぼす…」

曜「くるよっ!」

553: 2020/08/28(金) 00:09:23.55 ID:1qYU2djK
デスピサロ「」ブンッブンッ

梨子「物理攻撃…なら、スクルト」

鞠莉「とはいえ早いし重そうね」

果南「隙さえ見つければ一気に行けるんだけど」

花丸「エスタークと同じならもしかして…ラリホーマ」

デスピサロ「がぁぁっ」

花丸「効かない…か」

ダイヤ「それなら、メダパニ!」

デスピサロ「???」

ルビィ「効いた!?」

554: 2020/08/28(金) 00:10:04.26 ID:1qYU2djK
曜「その腕もらったぁ!」ザシュン

デスピサロ「ぐはぁぁ!」

果南「反対側も!」バシュン

デスピサロ「がはっ」ヨロヨロ

曜「どうだ!これで手も足も出ないでしょ」

千歌「足は出るけどね」

梨子「そういうの今はいいから…」

555: 2020/08/28(金) 00:10:58.51 ID:1qYU2djK
デスピサロ「ベギラマ」

ルビィ「呪文!?」

千歌「えーそんなのもあるの!?」

デスピサロ「ヒャダルコ」

ダイヤ「くっ…果南!」

果南「はいよ」

ダイヤ「マホカンタ!」

果南「攻撃は私が引き受けるから今のうちに!」

556: 2020/08/28(金) 00:11:52.56 ID:1qYU2djK
善子「動きが鈍くなったわね。格好の的よ」

善子「焼き尽くしなさい、メラゾーマ!」

デスピサロ「ふがぁあ!」

鞠莉「見事にヘッドに命中!」

千歌「ここだぁー!」

千歌(正面から、頭を!)ズバッ

曜「切り飛ばした!」

557: 2020/08/28(金) 00:12:31.34 ID:1qYU2djK
果南「やった、倒し…た!?」

善子「まってまって何よあれ…」

梨子「お腹から顔が…」

ルビィ「気持ち悪い…」

鞠莉「頭がなくなったら新しい頭が出てくるとかありなの!?」

デスピサロ「ぐはぁぁ」ボォッ

花丸「ブレスっ…!フバーハ」

558: 2020/08/28(金) 00:13:06.28 ID:1qYU2djK
千歌(攻撃してもどんどん復活してく…)

千歌(ううん、復活じゃない。進化だ)

千歌(新しい腕が生えて、体も大きくなって)

千歌(強く、硬く…そして醜く)

千歌(理性を無くして暴れまわるだけ…)

千歌(これが究極の進化なの…?)

559: 2020/08/28(金) 00:13:36.77 ID:1qYU2djK
曜「うわっ…頭がもう1個生えてきた」

鞠莉「ますますグロテスクね…」

ダイヤ「もう、きりがないわ」

善子「無限に回復する相手なんて勝ち目ないじゃない」

千歌「…終わりはあるよ」

千歌「デスピサロだって生き物だもん。いつかは力尽きるよ」

果南「そうだね、千歌の言う通りだ。らしくなく弱気になっちゃってたよ」

鞠莉「みんなで力を振り絞って戦うわよ!」

560: 2020/08/28(金) 00:14:19.30 ID:1qYU2djK
果南「見て、相手の回復力が弱まってるよ!」

千歌「いける、いけるんだ!」

ダイヤ「みんな、攻撃の手を緩めないで」

善子「そう言われてもっ」

善子「そろそろこっちも弾切れよ。ベギラゴン!」

ルビィ「ベホマラー!」

梨子「私たちの魔力も…」

561: 2020/08/28(金) 00:14:51.85 ID:1qYU2djK
デスピサロ「ぐぉぉ」

曜「かはっ…」ドン

梨子「曜ちゃん!」

千歌「あぐっ」

鞠莉「千歌!」

ダイヤ「ルビィ、危ない!」

ルビィ「お姉ちゃん!」

ダイヤ「きぁぁっ」

花丸「回復が追い付かない…」

デスピサロ「ぐぐぁっ!」

善子「あと一押しで倒せそうなのに…!」

562: 2020/08/28(金) 00:15:40.67 ID:1qYU2djK
花丸(どうしよう…このままじゃみんなが)

花丸(あの呪文を使うしか…でもそうしたらマルは…)

果南「私が、倒れるわけには…うっ」バタ

花丸(そんなこと…言ってられないよね)

花丸(このままじゃ負けちゃうもん。なら…)

花丸(みんな…あとは任せたよ)

花丸「メガザル」

563: 2020/08/28(金) 00:16:28.28 ID:1qYU2djK
曜「よし回復!まだまだいくよ!」

善子「全員まとめてこの回復力…まさか」

果南「傷は回復呪文で治るけど、体力はそろそろ…」

果南(みんな限界が近いよね…どうにか決定打を…)

千歌「果南ちゃん。デスピサロの動き止められる?」

果南「何か策があるんだね」

千歌「うん、最強の一撃で決める」

果南「わかった」

果南「曜!一発食らう覚悟で足を攻めるよ!」

曜「ん、よくわかんないけどわかったよ!」

564: 2020/08/28(金) 00:17:25.44 ID:1qYU2djK
果南「てやぁー!」

曜「はぁっ」

デスピサロ「ぐっ」

千歌(デスピサロの体制が崩れた)

千歌(今だっ!)

千歌「私の残りの全魔力」

千歌「くらえーー!ギガデイン」

デスピサロ「ぐぁぁぁぁぁ」

565: 2020/08/28(金) 00:18:14.77 ID:1qYU2djK
デスピサロ「ぐふっ…」

千歌「たお…した…」

千歌「やった。やったよ果南ちゃん!」

果南「うん、私たちの勝ちだよ!」

千歌「ねえ、みんなも…」

566: 2020/08/28(金) 00:19:18.91 ID:1qYU2djK
善子「マルちゃん!」

鞠莉「どうしたの?」

善子「ルビィ、回復を」

ルビィ「う、うん…ベホマ」

花丸「…」

ルビィ「起きてよ、ねえ。ベホマ。ベホマ!」

梨子「最後に回復呪文使ってから攻撃を受けてないはずなのに…」

梨子「…まさか!」

567: 2020/08/28(金) 00:20:20.86 ID:1qYU2djK
善子「多分メガザルを使ったんだと思う」

曜「メガザルって?」

ダイヤ「…自身の生命エネルギーを使って全員を一気に回復させる呪文よ」

ルビィ「そんな…じゃあマルちゃんは…」

千歌「どうにかならないの!?」

善子「ベホマを超える回復力を持つ何か…そんなもの…」

鞠莉「そうよ!これ」

鞠莉「マスタードラゴンからもらった世界樹のしずく!」

梨子「それならもしかして…!」

568: 2020/08/28(金) 00:21:23.90 ID:1qYU2djK
善子「ほら、飲んで」

曜「マルちゃん…」

花丸「…ん」

ルビィ「マルちゃん!」

花丸「みんな…」

ダイヤ「よかった、目覚めて…」

花丸「デスピサロは…?」

果南「倒したよ…千歌がとどめを刺してくれた」

花丸「よかった…」

善子「バカっ!」ギュッ

花丸「わっ…ヨハネちゃん苦しいよ…」

善子「なんて呪文使ってんのよ」

善子「あんたまでいなくなったら私…私…」

花丸「でも、そうしないとみんなが…」

善子「そうかもしれないけど…っ」

569: 2020/08/28(金) 00:22:05.41 ID:1qYU2djK
ダイヤ「これで…終わったのよね」

善子「デスピサロ…最強の敵だったわ」

果南「でも私たち9人の力を合わせれば勝てた」

ルビィ「世界が闇に飲まれずに済んだね」

花丸「進化の秘法はまた封印される」

梨子「サントハイムのみんなも戻ってるといいな…」

曜「早く確認しなきゃ!」

鞠莉「長かったような短かったような冒険もおしまいね」

千歌「帰ろう、地上に」

570: 2020/08/28(金) 00:22:52.55 ID:1qYU2djK
千歌(デスピサロを倒したあと、私たちはそれぞれの道に戻ることになりました)

千歌(曜ちゃん、梨子ちゃん、ダイヤちゃん、ルビィちゃんはサントハイムへ。国のみんなもちゃんと戻ってきたんだって)

千歌(よっちゃん、マルちゃんはモンバーバラへ。踊りと占いで稼ぐ生活に戻るみたい)

千歌(サントハイムで働かないかとも誘われてたけど、お城の暮らしは堅苦しそうだからってよっちゃんが断っちゃった。マルちゃんは少し残念そうにしてたけどね)

千歌(鞠莉ちゃんはエンドールへ。自分のお店を開くって言ってた)

千歌(旅の間に手に入れた知識と人脈で世界一のお店にするんだってはりきってる)

千歌(そして私と果南ちゃんは故郷の村に…)

571: 2020/08/28(金) 00:23:26.51 ID:1qYU2djK
The End

578: 2020/08/28(金) 12:43:54.67 ID:X3mCxFEI
to be continued
 →はい
 →いいえ

582: 2020/08/28(金) 21:34:53.76 ID:X3mCxFEI
6-1

「聖良様。少し休まれてはいかがですか?」

聖良「今はその名で呼ばないように言ったはずだが」

「すみません、デスピサロ様。しかし大分お疲れのご様子…」

聖良「そう、今の私は魔族の王デスピサロ。しかし、最近私が王としてふさわしいか不安になるのです」

「何をおっしゃいますか。せ…デスピサロ様は立派に役目を果たしています」

聖良「だといいのだけど…」

583: 2020/08/28(金) 21:35:33.23 ID:X3mCxFEI
「予言の勇者がいるという山奥の村に行ったそうですが、どうだったのですか?」

聖良「この目で見たけれど、今は大した力もなく、私たちの敵ではない」

聖良「このまま監視を続け、敵対するようならば始末することも考えよう」

「お言葉ですが…目に見える脅威の芽があるのなら、早めに摘んだほうが良いのではないかと」

聖良「私の方針については何度も説明してるでしょう?」

「はい。それは存じております」

「人間は個の力は弱いけど、集団での団結力は魔族にないものを持っている。仮に全面戦争になったら、こちら側も大きく損傷するから、お互いになるべく手を出さないようにしよう」

聖良「その通り。私の仲間たちに不要な犠牲を出したくはないのだ」

584: 2020/08/28(金) 21:36:15.25 ID:X3mCxFEI
エビルプリースト「失礼します、デスピサロ様」

聖良「何だ?」

エビルプリースト「先ほど、勇者を始末してきました」

聖良「始末?どういうことです?」

エビルプリースト「そのままの意味です。デスピサロ様が確認した通り、勇者があの村にいたのだから〇したということです」

エビルプリースト「まあ、勇者を守ろうと村人が無駄な抵抗をしたから、村ごと焼き消しましたがね」

聖良「勝手に人間に手出ししないよう言ったでしょう!?」

エビルプリースト「何を言いますか。勇者は我らの脅威となる存在。力をつける前に消しておくのが魔族の繁栄にとって最善の策ですぞ」

エビルプリースト「デスピサロ様にとって不利益になることはないはず」

聖良(確かに勇者は不安要素の1つです…これがなくなるのは大きい)

聖良(私たちの為にやったというのであれば責めることもできない…)

聖良(しかし、村ごと滅ぼしたというのは人間と魔族間の争いに発展しかねませんね)

聖良「…まあいい。下がりなさい」

エビルプリースト「はっ」

585: 2020/08/28(金) 21:36:58.13 ID:X3mCxFEI
エビルプリースト(デスピサロは考えが甘い。人間との共存なんて無理に決まってる。このままでは魔族を滅ぼしかねない)

エビルプリースト(まったく、先代は何であんな小娘を王にしたんだか)

エビルプリースト(魔族の繁栄のために人間は邪魔なだけ。根絶やしにしたほうがいいだろうに)

エビルプリースト(おっと進化の秘法を見つけてくれたのはその人間だったな。これだけは感謝しないと)

エビルプリースト(研究中の進化の秘法を完成させていずれ私が王の座を…くくく)

586: 2020/08/28(金) 21:37:38.55 ID:X3mCxFEI
聖良(エビルプリースト…優秀な配下ですが、少々強行するところがありますね)

聖良(彼だけじゃない。私の意に反する動きをする者がいるのが気になります)

聖良(この前も私の為にと言いながら人間の子供に手を出す魔物がいたようですし)

聖良(まだ私は王として力が足りない)

聖良(魔族のためにも私も強くならないと…)

聖良(エビルプリーストが見つけてきたという進化の秘法…あれが完成すれば)

587: 2020/08/28(金) 21:38:10.51 ID:X3mCxFEI
「デスピサロ様、この後は…」

聖良「そうですね…少し休みをもらおうか」

「どこかお出かけで?」

聖良「ロザリーヒルに」

「かしこまりました。留守はお任せください」

588: 2020/08/28(金) 21:38:38.35 ID:X3mCxFEI
「聖良様、いらっしゃいませ」

聖良「理亞はどこに?」

理亞「姉さま!」

聖良「理亞!久しぶりね」

理亞「ロザリーヒルに来てくれたんだ」

聖良「ええ。ちょうど時間に余裕ができたから」

「聖良様が理亞ちゃんを保護してどれくらいになるでしょうか…もうすっかり本当の姉妹のようですね」

「ここに来た頃は沈んでいた理亞ちゃんもあんなに明るくなって」

聖良「皆さんが温かいおかげですよ」

「理亞ちゃんは毎日のように窓から外を見て聖良様がいらっしゃらないかと待ちわびていましたよ」

理亞「そ、そんなことしてない!…たまにしか」

聖良「ふふ、ごめんなさい。もっと時間を取れるようにしますね」

理亞「無理しないで、姉さま」

589: 2020/08/28(金) 21:39:05.41 ID:X3mCxFEI
聖良「…という訳で、進化の秘法を使えば強くなれることが分かったの」

理亞「その進化の秘法って…大丈夫なの?」

聖良「今エビルプリーストが研究しています。彼には理亞も会ったことあるでしょう?」

理亞「会ったけど…あの目、私、苦手」

聖良「確かにエビルプリーストはお世辞にも性格がいいとは言い難いですが、頭脳は確かなものです。」

聖良「進化の秘法が完成すれば理亞も強くなれますよ」

理亞「私はそんなの使いたくない」

聖良「あなたの涙は不思議なもの。これからも狙うものは現れるでしょう」

聖良「いつも私が守れるとは限らない。自分の身を守る力をつけてほしいのです」

理亞「…」

591: 2020/08/28(金) 22:07:40.44 ID:OXkD4yY0
デスピサロ「ぐはあああ……!
なにものだ おまえたちは?
わたしは デスピサロ
まぞくの おうとして めざめたばかりだ
うぐおおお……!
わたしには なにも おもいだせぬ……
しかし なにが にがてだったのかは わかっている」

女勇者「……」

デスピサロ「ひぃっ!その形は…ブ…ブロッコリー!?」

デスピサロは にげだした!

592: 2020/08/29(土) 00:48:15.65 ID:JfxlLW+I
6-2

「デスピサロ様、地獄の帝王エスタークが発見されました!」

聖良「何ですって!場所は?」

「アッテムトです。人間共が偶然掘り当てたようです」

聖良「すぐ行こう」

聖良「地獄の帝王を我々の味方に迎え入れる準備を」

593: 2020/08/29(土) 00:49:05.32 ID:JfxlLW+I
エビルプリースト「デスピサロ様、少々お待ちを」

聖良「あなたも聞いただろう。エスタークが復活すると」

エビルプリースト「はい。しかし地獄の帝王と呼ばれた存在、かなりの力を持つと思われ」

エビルプリースト「交渉がうまくいかない場合戦闘も考えられます」

聖良「それくらいはわかっている。だからある程度の戦力をもって…」

エビルプリースト「先ほど、進化の秘法が完成しました」

聖良「本当ですか?」

エビルプリースト「はい、最後の鍵となる黄金の腕輪を人間より手に入れたので」

エビルプリースト「これをお使いください。デスピサロ様ほどの方ならば無敵の存在となるでしょう」

聖良「ありがとう。よくやった」

594: 2020/08/29(土) 00:49:43.79 ID:JfxlLW+I
「デスピサロ様、こちらに地獄の帝王様…が!?」

聖良「これは一体…?」

聖良(目の前にあるのは力尽きたエスタークと9人の人間)

「そこの人間、お前たちがやったのか?」

聖良「バカな…地獄の帝王を倒すなんて勇者でもない限り…」

聖良(あの少女…!)

聖良「その顔…!まさか生きて…」

聖良(勇者はエビルプリーストが〇したはず…なぜ生きて)

聖良(いえ、それよりもこの事態)

聖良(エスタークが倒されたこと、エスタークを倒せるほどの人間がいること…)

聖良(まずいことに…!)

595: 2020/08/29(土) 00:50:28.79 ID:JfxlLW+I
「デスピサロ様!急ぎ伝えたいことが…」

「ロザリーヒルにいるエルフを襲おうとしている人間がいるという情報が入りました」ヒソヒソ

聖良「…っ!?」

聖良(まさか理亞が…)

聖良(この状況、何を優先すべきか…)

聖良「私は用事ができた。あとは任せる」スタスタ

「は、デスピサロ様…?」

聖良(私は魔族の王失格かもしれない。それでも…理亞を…)

596: 2020/08/29(土) 00:51:08.54 ID:JfxlLW+I
「さあ泣け!泣いてルビーの涙を流すんだ!」

理亞「誰が…あんたたちに…」

「強情な奴!これでもか!」グシャ

理亞「あ“あ”あ“っ…!」

「おい、ちょっとやりすぎなんじゃ」

「しまった、力を入れすぎた」

「いやエビルプリースト様は〇してでもルビーの涙を取って来いと言っていた。もしそれができなければ俺たちは…」

597: 2020/08/29(土) 00:52:02.68 ID:JfxlLW+I
聖良「理亞っ!」

「何だ、このエルフの知り合いか?」

「取り込み中だ。どっか行ってろ」

「邪魔するようならあんたも痛い目に…」

聖良「消えなさい」

「ぐふっ…」

598: 2020/08/29(土) 00:52:36.19 ID:JfxlLW+I
聖良「理亞っ、理亞っ」

理亞「ねえ、さま…」

理亞「そこに、いるんだね…」

聖良「あなた…目が…!」

聖良「あの者たちにやられたのね!?」

聖良「…許せない」

理亞「ねえさま…その力…」

聖良「にんげん…ゆるせない…」

理亞「だめ…憎しみに、飲まれたら…」

聖良「みんな…ほろぼす…」

理亞「ねえさま…」

599: 2020/08/29(土) 00:53:07.11 ID:JfxlLW+I
エビルプリースト(ふはははは。いいぞデスピサロ)

エビルプリースト(やはりそのエルフの娘が弱点だったか)

エビルプリースト(お前に渡したのは感情を暴走させる不完全なもの)

エビルプリースト(そのまま怒りに身を任せ、自ら滅びるがいい)

エビルプリースト(そして完全な進化の秘法を使い真の究極の進化をした私が、新たな魔族の王になってやろう!)

エビルプリースト(わははははは!)

602: 2020/08/29(土) 12:53:13.28 ID:JfxlLW+I
6-3

千歌「…あれ?」

千歌「ゆめ…?」

千歌「確か天空城に行って、マスタードラゴンに会って、地底に行って、デスピサロを倒して…」

千歌「どっから夢?」

千歌「というかここどこだっけ?」

千歌「宿屋みたいだけど見おぼえないし…」

603: 2020/08/29(土) 12:54:03.48 ID:JfxlLW+I
ダイヤ「一体どうなっているの?」

千歌(どういうわけかみんな同じ夢を見ていて)

千歌(おんなじ様に夢と現実の境が分かっていない)

鞠莉「そうだ、マルの占いで何かわからない?」

花丸「やってみるね」

花丸「…闇の力はまだ残っているずら」

曜「ってことはデスピサロを倒したのはやっぱり夢だったのかー…」

善子「あーあ…あんなに苦労したのにもう1回戦わなきゃいけないのね」

ルビィ「たくさん痛い思いもしたのに…」

梨子「そうだよ!夢にしてはおかしくない?痛みとかもあったんだし」

果南「そういえば…」

鞠莉「世界のどこかに時の砂っていう時間を戻すアイテムがあるらしいけど…知らずに使っちゃったとか?」

ダイヤ「そんな馬鹿な…」

604: 2020/08/29(土) 12:54:48.70 ID:JfxlLW+I
千歌「何が起きているのかは分からないけど…」

千歌「何かやらなきゃいけないことがあるんだと思う」

善子「デスピサロを倒す前に?」

千歌「うん、そんな気がする」

梨子「そんな気がする…かぁ」

鞠莉「ま、勇者の勘を信じましょう」

果南「ところでここどこなんだろう…どっかの町だよね?」

605: 2020/08/29(土) 12:55:44.46 ID:JfxlLW+I
「ここはゴットサイドの宿屋ですが…お客さん寝ぼけてるんですか?」

「あれ、私昨日あなたたち泊めましたっけ…?」

「いや、客室から出てきたんだから泊めたんでしょう、うん」

「それより大変なんです。急に祭壇に不思議な穴が開きましてね。町中てんやわんやですよ」

鞠莉「穴?」

「そう、まるで異世界にでも繋がってるんじゃないかっていう底の見えない穴です」

曜「見に行ってみようよ!」

606: 2020/08/29(土) 12:56:24.48 ID:JfxlLW+I
鞠莉「石を投げても何の音もしない…」

梨子「吸い込まれそうな暗闇…でも」

花丸「呼ばれてる…」

曜「うん、曜も感じる」

善子「私たちが戻ってきたのはこのため?」

千歌「行こう、この先へ」

607: 2020/08/29(土) 12:57:15.84 ID:JfxlLW+I
ルビィ「うぅ…ぐにゃぐにゃするよ…」

花丸「気持ち悪い…なにこれ」

ダイヤ「この感覚は旅の扉と似てるわ…」

善子「あまり使いたいものじゃないわね…」

千歌「そう?ぐねぐね~って面白かったけど」

鞠莉「ここはどこかしら?」

果南「鶏と…卵?」

梨子「農場…なの?」

曜「奥にモンスターがいるよ!」

608: 2020/08/29(土) 12:58:06.96 ID:JfxlLW+I
エッグラ「タマゴはえらい!誰がなんと言おうとタマゴのほうがえらい!」

チキーラ「いーや、ニワトリのほうがだんぜんえらいっ!」

エッグラ「ニワトリはタマゴから生まれるんだぞ!」

チキーラ「何を言う!ニワトリがいなければタマゴは生まれんのだからな!」

エッグラ「…ん?」

チキーラ「んん?」

エッグラ「おお、ちょうどいい所に来た。おまえ、タマゴとニワトリどっちが好きだ?」

チキーラ「当然ニワトリだよなっ!」

エッグラ「いーや タマゴに決まっとる!」

チキーラ「ニワトリだろ?」

エッグラ「タマゴだよな?」

千歌「えっと…」

エッグラ「ええい、めんどうくさい」

チキーラ「わしらと戦え!」

609: 2020/08/29(土) 12:58:52.66 ID:JfxlLW+I
チキーラ「はあはあ…うーむ、なかなかやるな。楽しかったぞ!」

エッグラ「うむ。ひさびさに楽しかったな!」

善子「何なのこいつら…」

曜「めちゃくちゃ強かった…」

ルビィ「ルビィたちギリギリなのに…」

果南「これだけ戦ってあの余裕…下手したらデスピサロより強いんじゃないの?」

チキーラ「よし今日は気分がいい。おまえにほうびをやろう!」

エッグラ「ずるいぞ!わしが先に言おうと思ってたのに!」

610: 2020/08/29(土) 12:59:40.66 ID:JfxlLW+I
鞠莉「これは…?」

チキーラ「なんだったかな…まかいじゅ?」

エッグラ「それを言うなら世界樹だろ」

チキーラ「そうだそうだ。世界樹の花だ」

花丸「世界樹の花…」

エッグラ「よくわからんが、珍しいらしいぞ」

チキーラ「失った手足ですら生えてくるって噂だからな」

ダイヤ「そんなものを頂いてよいのですか?」

チキーラ「お前たちが持ってたほうがいい気がするからな」

エッグラ「タマゴとわしにものすごーく感謝しろ!わははっ」

チキーラ「それを言うならニワトリとわしに感謝するのだ!」

611: 2020/08/29(土) 13:00:23.05 ID:JfxlLW+I
梨子「世界樹の花って、あの世界樹の?」

花丸「わからない…世界樹について書いてあった本はあっても、花のことは見たことなかったずら」

鞠莉「聞いた話が本当ならすごい効果だけど」

果南「とりあえずゴットサイドに戻って…あれ、どうやって帰るの?」

善子「そりゃあ来た道を戻って…ない!?」

ルビィ「どうしよう…」

ダイヤ「あの2人に聞くしかないわね…また口論始めちゃってるけど」

612: 2020/08/29(土) 13:01:14.95 ID:JfxlLW+I
千歌「あの~…」

エッグラ「タマゴの沈黙、あの思慮深さがどーしてわからんのだ?」

チキーラ「コケーッ!という鳴き声ひとつをとっても、タマゴにはマネできまい…ん?」

エッグラ「なんだ、まだいたのか。今いいところなんだ。ジャマしないでくれ」

ダイヤ「ここから帰る方法を教えてほしいんですが…」

チキーラ「それなら、ほれ。あそこに飛び込めばいい」

善子「あそこって火口でしょ!?死んじゃうわよ!」

エッグラ「心配するな。ほらほら」グイ

梨子「ちょっと待ってくださ…無理無理無理!」

チキーラ「ええい、うるさい!さっさと飛び込まんかい!」ドン

9人「きゃーー!」

613: 2020/08/29(土) 18:37:48.68 ID:JfxlLW+I
6-4

千歌「生きてる…」

ルビィ「よかったよぉ…」

ダイヤ「あれも夢だったんじゃないかという経験ね…」

鞠莉「でも世界樹の花はちゃんと持ってる…現実なんだね」

鞠莉「世の中にはまだまだ知らないこともあるのね…」

曜「ここは…どこなんだろう?」

梨子「どこかの村…?」

善子「目の前の家の人に聞いてみましょう」

614: 2020/08/29(土) 18:38:25.78 ID:JfxlLW+I
理亞「誰!?」

ダイヤ「すみません。ここがどこだか教えていただけないでしょうか」

理亞「あなたたちは人間…?」

理亞「ここはロザリーヒル。ホビットやエルフなどいろいろな種族が暮らす村」

理亞「だけど今人間は歓迎されないから…早く出てった方がいい」

花丸「それはどういう…」

ルビィ「あなた…目が…!」

615: 2020/08/29(土) 18:39:08.49 ID:JfxlLW+I
曜「魔物にやられたの?」

理亞「魔物っていうのも間違ってはないけど…私の目を直接やったのは人間」

梨子「人間が…!」

理亞「だから村の人から良く思われてない」

鞠莉「あなたは人間を恨んでないの?」

理亞「どの種族にも善と悪はいるから…人間をひとまとめにして考えるつもりはない。それに…」

果南「というか目が見えないのに私たちが人間ってわかるものなの?」

理亞「見えなくても感じる。種族ごとにある程度オーラが違うから。」

616: 2020/08/29(土) 18:39:47.24 ID:JfxlLW+I
千歌「私たちがここに飛ばされたのって…こういうことなのかな?」

曜「どういうこと?」

千歌「これも運命なんじゃないかな…って」

果南「使うの?」

千歌「いいかな?」

鞠莉「いいんじゃない。他に必要そうな場面も思いつかないし」

曜「花が枯れちゃってももったいないもんね」

617: 2020/08/29(土) 18:40:17.11 ID:JfxlLW+I
理亞「何を…話しているの?」

千歌「これ…使って」

理亞「これは?」

理亞「え…?」

理亞「目が…」

理亞「見える…!」

花丸「本当に目が再生した…」

善子「さすが、世界樹の力ね…」

618: 2020/08/29(土) 18:40:49.04 ID:JfxlLW+I
理亞「私の…目が…」ポロポロ

ダイヤ「涙が…?」

理亞「あっ…」

ルビィ「宝石みたい…」

梨子「どうなってるの?」

619: 2020/08/29(土) 18:41:29.01 ID:JfxlLW+I
理亞「私はエルフの理亞。私の涙はなぜか宝石になるの」

理亞「そのうち消えちゃうから役には立たないんだけど…」

理亞「そのせいでうわさを聞いた人間に狙われたこともあった…」

ルビィ「すごい…けど、大変なんだね」

理亞「この村の人たちは私のことを知っても普通に受け入れてくれた」

理亞「姉さまのおかげ」

善子「姉さま?」

理亞「本当の姉じゃないけど、私を助けてくれて、育ててくれた」

果南「良いお姉さんなんだね」

理亞「うん、最高の姉さま」

620: 2020/08/29(土) 18:41:58.54 ID:JfxlLW+I
理亞「あの…目を治してくれて、ありがとうございます」

理亞「あれはどこで手に入れたの?」

理亞「すごいもの…みたいだけど」

曜「ある魔物に勝ったらご褒美にもらった…って感じかな」

理亞「勝ったってことは、あなたたち強いの?」

鞠莉「そりゃもう。この子なんか勇者様だし」

理亞「勇者…すごい」

千歌「えへへ…」

621: 2020/08/29(土) 18:42:35.93 ID:JfxlLW+I
理亞「あの…人間にこんなこと頼むのもあれだけど…」

理亞「お願い!姉さまを助けて…!」

ダイヤ「どういうこと?」

理亞「姉さまは…私が人間にやられたのを知って」

理亞「一気に負の感情が膨れ上がった…」

理亞「このままじゃ憎しみに任せて動くだけの怪物になっちゃうかも…」

鞠莉「とんでもない話ね…一体何が原因でそうなるの?」

理亞「多分、進化の秘法が暴走したんだと思う…」

622: 2020/08/29(土) 18:43:21.86 ID:JfxlLW+I
善子「進化の秘法!?今、進化の秘法って言った?」

理亞「う、うん…」

花丸「そのお姉さんの名前は?」

理亞「聖良だけど…」

花丸「デスピサロじゃなくて?」

理亞「デスピサロとも名乗ってたみたいだけど…」

千歌「…っ!」

623: 2020/08/29(土) 18:44:06.66 ID:JfxlLW+I
千歌「お姉さんがデスピサロだって!?」

理亞「うん」

千歌「それは助けることはできないね」

果南「さっきのいいお姉さんってセリフ…撤回するよ」

千歌「行こう、みんな」

ルビィ「千歌ちゃん…」

理亞「え、急にどうしたの…みんな」

624: 2020/08/29(土) 18:44:45.22 ID:JfxlLW+I
千歌「デスピサロに私たちの村は滅ぼされたんだ」

千歌「私は…私と果南ちゃんは村のみんなの仇を討つために旅をしているの」

理亞「ち、違う!」

理亞「姉さまはそんなことしない!」

理亞「姉さまは…人間と魔物の共存を望んでた…」

理亞「お互い仲良くすることは難しくても…過度に干渉しなければ、って」

千歌「でも村を襲った魔物がデスピサロの名前を言ってたのは本当だもん!」

理亞「それは…何者かが姉さまの名前を騙ったとか…」

果南「そういえば…イムルの事件を起こした魔物もデスピサロの為にって言ってたっけ…」

理亞「そう!きっとその魔物も同じ…」

625: 2020/08/29(土) 18:45:17.58 ID:JfxlLW+I
千歌「ああ、もうわかんないよ!」

千歌「デスピサロ本人に聞きに行こう」

梨子「本人に直接!?」

千歌「うん。聞いて、デスピサロの命令じゃないなら真犯人を探す」

千歌「デスピサロの命令なら仇を討つ」

ダイヤ「ちょっと、仮にも妹さんの前で」

善子「理亞っていったっけ。デスピサロを元に戻せるの?」

理亞「わからない…呼びかけたりして本当の自分を思い出させるくらいしか思いつかないけど…」

果南「戻せなければ、その時はこの子には悪いけどそのまま倒すよ」

果南「どっちにしろほっといたら人間社会の危機なんだし」

理亞「私は…姉さまを信じてる」

626: 2020/08/29(土) 23:51:12.91 ID:d1rO8Rdc
6-5

曜「同じ場所、同じ姿…」

善子「ほんと、夢だったとは思えないわね…」

理亞「姉さま…そんな姿に」

デスピサロ「わたしは、ですぴさろ…まぞくの、おう…」

デスピサロ「にん、げん…?」

デスピサロ「ゆるさ、ない…よくも…り…を…」

デスピサロ「ほろぼす…」

627: 2020/08/29(土) 23:51:40.72 ID:d1rO8Rdc
理亞「姉さま!」

デスピサロ「誰…私を、呼ぶのは…」

理亞「姉さま!私、理亞よ!」

理亞「この人たちに目を治してもらったの。だから…もう、人間を恨まないで…」

ルビィ(理亞ちゃんの目から…)

鞠莉(涙が宝石となり散らばって…)

花丸(きれい…)

デスピサロ「り…あ…」

梨子「デスピサロの変身が…」

628: 2020/08/29(土) 23:52:12.85 ID:d1rO8Rdc
聖良「私は…」

理亞「姉さま!よかった…」ギュ

聖良「理亞…」

理亞「あの人たちが私の目を治してくれたの」

理亞「それで姉さまも助けられた」

聖良「勇者…」

聖良「死んだはずのあなたがなぜ生きているのか…それはともかく」

聖良「理亞を治してくれたお礼を言わなければならないようですね」

629: 2020/08/29(土) 23:52:47.63 ID:d1rO8Rdc
千歌「ひとつ…聞きたいことがあるんだけど」

千歌「私たちの村を滅ぼしたのがあなたの命令じゃないって本当?」

聖良「勇者の村ですか…」

聖良「確かに私は攻撃指示を出してはいません。配下のある者による独断です」

聖良「しかし、配下の監督不行き届きは私の責任でもあります」

聖良「恨みがあるというのなら受けましょう」

聖良「ただし私はやられるつもりは一切ないので」

630: 2020/08/29(土) 23:53:26.78 ID:d1rO8Rdc
理亞「やめてっ!」

理亞「姉さまは悪くないじゃん!」

理亞「そりゃあ部下をまとめられなかったかもしれないけど…」

理亞「勝手な行動をした者がいるんでしょ?そいつを恨めばいいじゃない!」

理亞「それに私を襲った人間もエビルプリーストの命令って言ってた」

聖良「何ですって!」

631: 2020/08/29(土) 23:54:02.64 ID:d1rO8Rdc
聖良「勇者の村を襲ったのもエビルプリーストでした…」

聖良「色々と優秀なので、これまで独断専行には目をつぶってきましたが…」

聖良「理亞に手を出すなんて…許せません」

聖良「おそらく私の進化の暴走も仕込まれたもの。意図的に不完全なものを渡されたのでしょう」

聖良「しかし、だとすると自身にも進化の秘法をつかっているはず」

聖良「身内の不始末に人間の手を借りるのもお恥ずかしいですが…」

聖良「いえ、あの者の野望は人間の殲滅。ならばあなたたちにも関係あるでしょう」

聖良「エビルプリーストを倒すのを手伝っていただけないでしょうか」

632: 2020/08/29(土) 23:54:36.18 ID:d1rO8Rdc
千歌「もちろん!」

千歌「正直すぐには切り替えられないけど…」

千歌「本当の仇がエビルプリーストだっていうなら、そっちを倒すだけだし」

花丸「人間を狙ってるんなら止めないとね」

善子「私たちの生活は私たちが守る!」

聖良「ありがとうございます…」

633: 2020/08/29(土) 23:55:37.02 ID:d1rO8Rdc
ダイヤ「えっと、デスピサロ…さん?エビルプリーストの居場所はわかるのでしょうか」

聖良「聖良、とお呼びください」

聖良「デスピサロは魔族の王としての名。臣下に裏切られた今の私が名乗るのにふさわしくありません」

聖良「エビルプリーストを倒し、魔族をまとめられたとき再びその名を名乗りましょう」

聖良「あの者は私たちの拠点、デスパレスにいると思います」

聖良「本来なら人間を入れるわけにはいきませんが、なりふり構ってられません」

聖良「行きましょう、我々の敵を倒しに」

635: 2020/08/30(日) 12:41:07.06 ID:TeItAsuD
6-6

善子「ここ、魔族軍の本拠地なのよね?私たち襲われたりしない?」

聖良「私がいれば大丈夫…と思いたいですが」

聖良「一応エビルプリーストに会うまでは顔を隠して行きましょう」

「デ、デスピサロ様!ご無事だったのですね!」

聖良「私のことはどう伝えられている?」

「デスピサロ様は研究中の進化の秘法を使い、暴走して戻れなくなってしまった。とエビルプリースト様が」

聖良「やはり…」

聖良「エビルプリーストは今どこに?」

「玉座の間にいると思われます。デスピサロ様の代わりに王座を継ぐと言われ…」

聖良「これで疑いようもなくなりましたね…」

「して、後ろの方は…?」

聖良「私の仲間だ。これよりエビルプリーストを粛正する」

636: 2020/08/30(日) 12:41:38.86 ID:TeItAsuD
「止まれ」

聖良「私が分からないのか?」

「デスピサロはもう帰らないとエビルプリースト様が言っていた。偽物を通すわけにはいかない」

聖良「説明も面倒ですね…」

「ごふっ」ドサ

鞠莉「やっちゃったの?元部下だろうに」

聖良「峰打ちです。まあ、どうせエビルプリースト側の者でしょうが」

637: 2020/08/30(日) 12:42:20.23 ID:TeItAsuD
エビルプリースト「むっ!お…お前は、デスピサロか!?」

エビルプリースト「なぜ元に戻っている!進化の秘法で理性を失ったはず」

聖良「やはりああなるのが分かっていて進化の秘法を渡したのですね。そして理亞のことも」

エビルプリースト「ほう…すべてを悟ったようだな。いかにもそのとおり」

エビルプリースト「お前の自滅をさそったのはこのわたしだ。お前に変わり新たな王となるためにな」

エビルプリースト「しかし、人間と手を組むとは。堕ちたものだなデスピサロよ」

エビルプリースト「む…?その娘…まさか勇者か!?馬鹿な、勇者はあの時〇したはず!」

エビルプリースト「しかし、どちらにせよもう遅いわ。見せてやろう、究極の進化を極めた、この私の新たなる姿を!」

638: 2020/08/30(日) 12:43:03.53 ID:TeItAsuD
善子「デスピサロと見た目一緒じゃん」

花丸「進化って結局同じところに行きつくのかな…」

鞠莉「こんな見た目で満足なのかしら?」

ダイヤ「本人が究極の進化と言ってるのだから油断は禁物よ」

果南「わかってるって」

曜「最初から、全力で!」

639: 2020/08/30(日) 12:43:32.43 ID:TeItAsuD
千歌(聖良さん…剣技も魔法もすごい…)

千歌(さすが魔族の王だ)

千歌(チカたちじゃ1対1だと勝てないと思う)

千歌(そしてエビルプリーストは強い)

千歌(暴れるだけのあの時のデスピサロと違って、理性が残ってる分さらに…)

千歌(デスピサロと戦った時の私たちなら勝てなかったかもしれない)

千歌(でも、今の私たちならいける!)

640: 2020/08/30(日) 12:44:07.60 ID:TeItAsuD
エビルプリースト「人間風情がちょこまかと!」

エビルプリースト「できれば使いたくなかった技だが…」

エビルプリースト「お前たちは私の予想を超えて強かった」

エビルプリースト「私の最強の呪文でまとめて片を付けてやろう」

エビルプリースト「マダンテ!」

641: 2020/08/30(日) 12:44:52.44 ID:TeItAsuD
エビルプリースト「私の全魔力の放出…これを食らえば…っ!」

曜「ふぅ…結構きつかったね」

鞠莉「こんな技を隠し持ってたなんて」

ルビィ「回復しておいてよかったぁ…」

エビルプリースト「なぜ…立ち上がれる」

聖良「あなたの中の私の評価はその程度ということですか」

果南「私たちだって何度も死線を潜り抜けてるんだから」

花丸「いろんな攻撃に対する準備はできてるよ」

善子「人間、なめんじゃないわよ」

ダイヤ「反撃と行きましょう」

梨子「私たちみんなの力を合わせて」

千歌「いっけぇー!ミナデイン!」

エビルプリースト「ぐぁぁっ!」

642: 2020/08/30(日) 12:45:30.62 ID:TeItAsuD
エビルプリースト「ば…ばかな…」

エビルプリースト「この私が…負けるなんて…」

エビルプリースト「それとも…これも…進化の秘法が…見せる幻覚…なのか…」

エビルプリースト「我こそが…世界を支配する…魔族の王…だ」

エビルプリースト「ぐふっ…!」

643: 2020/08/30(日) 12:46:07.84 ID:TeItAsuD
曜「これで人間の世界も平和だね」

果南「敵討ち…になったのかな」

善子「本当に終わり…よね」

鞠莉「また気が付いたら時間が戻ってたりして」

ルビィ「もうそんなのやだよ…」

644: 2020/08/30(日) 12:46:43.93 ID:TeItAsuD
聖良「内輪揉めに巻き込んでしまい申し訳ありません」

聖良「私は皆をまとめ、再び王となります」

聖良「もう人間はこの城に近づかないほうがいいでしょう」

千歌「聖良さん、これから仲良くしてくことってできないかな?」

聖良「それは難しいでしょう」

聖良「我々の中には人間に敵意を持っている者も多い。そしてそちら側も似た様なことのはずです」

聖良「それに、お互い歯向かってくる者をいくつも手にかけてきたのでは?」

千歌「それは…そうだけど…」

聖良「あなた方とはここでお別れですね」

聖良「いずれまた会うことがあるかもじれません」

聖良「そのときは、敵か味方かはわかりませんが…」

645: 2020/08/30(日) 12:47:11.66 ID:TeItAsuD
千歌(エビルプリーストを倒したあと、私たちはそれぞれの道に戻ることになりました)

千歌(曜ちゃん、梨子ちゃん、ダイヤちゃん、ルビィちゃんはサントハイムへ。国のみんなもちゃんと戻ってきたんだって)

千歌(よっちゃん、マルちゃんはモンバーバラへ。踊りと占いで稼ぐ生活に戻るみたい)

千歌(サントハイムで働かないかとも誘われてたけど、お城の暮らしは堅苦しそうだからってよっちゃんが断っちゃった。マルちゃんは少し残念そうにしてたけどね)

千歌(鞠莉ちゃんはエンドールへ。自分のお店を開くって言ってた)

千歌(旅の間に手に入れた知識と人脈で世界一のお店にするんだってはりきってる)

千歌(そして私と果南ちゃんは故郷の村に…)

646: 2020/08/30(日) 12:47:49.40 ID:TeItAsuD
果南「ふぅ…これで全員分かな」

果南「小さい村とはいえさすがに重労働だったね」

千歌「お父さん、お母さん、シンシアちゃん。そして村のみんな…」

千歌「遅くなっちゃったけどみんなのお墓作ったから」

果南「この村を滅ぼしたエビルプリーストも倒して仇は討ったし」

千歌「安らかに眠ってください」

647: 2020/08/30(日) 12:48:26.27 ID:TeItAsuD
果南「さてと…これからどうしようか?」

千歌「果南ちゃんやりたいこところある?」

果南「私は特にないかな。千歌と一緒にはいたいけど」

千歌「戦いが終わってからずっと考えてたんだけど…」

千歌「チカね、町を作ってみたいんだ」

果南「町?」

千歌「うん、人間だけじゃなくエルフや魔物ともみんなで楽しく暮らせるような町を」

果南「ここに?」

千歌「ううん。ここで眠るみんなの邪魔はしたくないから」

千歌「この世界のどこかにピッタリな場所があると思うんだ」

果南「そっか、じゃあ探しに行こう!」

648: 2020/08/30(日) 12:49:10.20 ID:TeItAsuD
千歌(それから私たちの町づくりが始まり)

果南「ここなんかちょうどよさそうじゃない?」

千歌(旅の仲間はもちろん、今まで会った人達の協力もあって)

鞠莉「こんな面白そうなことやってるなら言ってよー。マリーも手伝うんだから♪」

千歌(びっくりするくらい順調に進んで)

花丸「マルたちもこっちに引っ越そうと思うんだ」

善子「名声轟くヨハマルコンビでどんどん人を呼び寄せるわよ!」

千歌(だんだん形になっていった)

ルビィ「すごい!もうこんな町になってる!」

曜「曜もここに住む!」

ダイヤ「王女が城を離れるのは認められないわ…別荘を建てるくらいならいいでしょう」

梨子「そういえば…この町の名前ってなんていうの?」

千歌「名前…うーん…」

千歌「Aqours…なんてどうかな──」

649: 2020/08/30(日) 12:49:50.36 ID:TeItAsuD
The End

650: 2020/08/30(日) 12:50:22.54 ID:TeItAsuD
ほんとにおしまい

651: 2020/08/30(日) 12:52:36.47 ID:9Ud+az61

やっぱ4が一番好きだわ

652: 2020/08/30(日) 15:29:58.79 ID:VdvVDuTR
乙でした
楽しませて頂きました

654: 2020/08/30(日) 17:01:02.39 ID:IuHfvuUJ
お疲れ
群像劇の4はラブライブに合うな

655: 2020/08/30(日) 18:01:57.79 ID:rVp/T9t9
お疲れ様でした

656: 2020/08/30(日) 19:39:49.35 ID:Sr2r3QfG

6章まで書いてくれてありがとう
面白かった

657: 2020/08/31(月) 07:40:11.63 ID:LbFpJGJO

Aqoursばかりか聖良理亜もうまく4世界に落とし込んだな

658: 2020/09/01(火) 00:16:26.86 ID:ApSCyXYB
面白かった

659: 2020/09/01(火) 22:59:16.42 ID:GdTaltEY
元ネタやってみたくなった
おつ

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1597237367/

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