【SS】彼方「掴んだ手は、二度と離さない」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


3: 2021/02/05(金) 20:37:49.34 ID:QW3izgkw
プロローグ ~Side.しずく~ Feb.15

「もうすぐ先輩たちも卒業じゃん?」

「かすみんたち1年生で何かサプライズでプレゼントしない?」

「それ良いね、やりたい!璃奈ちゃんボード「むんっ!」」

「私も良いけど、何をプレゼントするつもりなの?」

「ベタだけど、手紙とか良いんじゃない?」

「りな子ナイスアイデア!しず子は他に何かない?」

「う~ん、かすみさんの言う通り、私も手紙で良いと思う」

「じゃ決定!3/1の卒業式の後のパーティーで渡せるように26日までにかすみんのところに持ってきてね!」

「了解っ!」

「わかった」

4: 2021/02/05(金) 20:38:47.61 ID:QW3izgkw
プロローグ~Side.彼方~ Jan.18

「もうすぐ自由登校期間だけど、彼方はどうするの?」

「えっ?何のはなし~?」

「エマは気付いてると思ってたわよ…しずくちゃんのことよ」

「かかかかかかか果林ちゃん!???」

「てっきりそうかな?って思ってたけどやっぱりそうだったんだ!告白とかしないの?」

「…」

「まだ迷っているのね…後悔はしないようにしなさいよ」

5: 2021/02/05(金) 20:41:32.07 ID:QW3izgkw
Side.しずく ~Feb.23~

果林さんとエマさんへの手紙は書き終わった。
けど、どうしても彼方さんへの手紙は書き終わらない。というより書ける気がしない。
本当にかすみさんや璃奈さんとの思い出とは違った意味で思い出が多すぎる。

部室で膝枕をしたりされたり、あーんをし合ったり。学校の外では何度も彼方さんのお家で、あるいは私の家でお泊りをしたり。

それに私は、彼方さんのことが好き───。

8: 2021/02/05(金) 20:43:07.50 ID:QW3izgkw
だから、手紙でもどうしても想いが溢れそうになってしまう。

彼方さんは4月から料理系の専門学校に通うことになる。彼方さんいわくとても忙しい日々になるとも何度も聞かされてもいる。だから、私は、、、

いい加減に書かないと一旦かすみさんに渡す日が来てしまう。

頑張って書かないと。

この気持ちは、誰にも知られちゃいけないから、

想いが、溢れないように。

でも今は何か別の事を考えたかった私は、かすみさんに電話することにした。

「もしもしかすみさん?」

9: 2021/02/05(金) 20:45:44.04 ID:QW3izgkw
Side.彼方 ~Feb.28~

あれこれ迷っているうちに卒業式の前日になってしまった。

結局私は、しずくちゃんに告白はしないことにした。
しずくちゃんのことはもちろん大好きだ。

抱き枕にしたい、膝枕をしてあげたいしして欲しい、一緒に遊びたい、キスしたい、そしてもっと先のことも───。

でも、しずくちゃんにとっては彼方ちゃんはただの仲の良い、世話の焼ける先輩としか思われていない。だからこそ、当然両想いなこともあるはずもなくて。

10: 2021/02/05(金) 20:48:29.33 ID:QW3izgkw
もし、しずくちゃんが、私と同じ意味で私を好いていてくれる、そんな夢みたいな話もあるかもしれない。

だけど、しずくちゃんには夢がある。
私にももちろん夢はあるけど、私の夢がちっぽけなものに感じてしまうくらい、大きな、大きな、とてつもない夢。

だからこそ、私が、彼方ちゃんが、邪魔をするわけにはいかないの。

それに今日はどうしても眠れそうにない。

果林ちゃんに少し話でも聞いてもらおうかな、って思ってスマートフォンを手に取った。

11: 2021/02/05(金) 20:50:22.84 ID:QW3izgkw
でも、それは叶わなかった。

その画面には想い人である「桜坂しずく」という名前が表示されていた。

12: 2021/02/05(金) 20:52:03.75 ID:QW3izgkw
Side.しずく ~Feb.28~

明日、彼方さんが虹ヶ咲を卒業する。

つまり、明日、私は失恋する。

そして、明日以降、私はもう想い人には会えない。

スマートフォンでの彼方さんとのやりとりや彼方さんとの写真や思い出を見返していると、どんどんこの想いに押し潰されそうになってしまう。

そう決めたのは他でもない私だ。

14: 2021/02/05(金) 20:55:22.14 ID:QW3izgkw
ここ最近はメッセージアプリで文章でのやりとりはしてるけど、通話はしていない。
私からは敢えて通話をしていない。卒業まで時間があるタイミングで声を聴いたら、

私の決意が揺らいでしまいそうだったから。
想いが溢れてしまいそうだったから。

でも決心がついたから、無性に彼方さんの声が聴きたくなった。
だから最後に直接電話してみようと思う。

「もしもし、彼方さん?」

電話を切った後、どうしても耐えられなくなってしまって、私は紙とペンを取った。
結局かすみさんには全てを話してしまったから、手伝えることがあったら手伝うって言ってくれたから。
申し訳ないなと思ったけど、今回だけは許してね。

15: 2021/02/05(金) 20:56:58.24 ID:QW3izgkw
「───さよなら、彼方さん。」

16: 2021/02/05(金) 21:01:07.67 ID:QW3izgkw
Side.彼方 ~卒業式~

昨日の夜、しずくちゃんから電話がかかってきた。

特に何かをいつもと違うことを話したわけでもない、いつも通り他愛のない話をしたり、そして時折お互い無言になったり、そんなおよそ10分間の通話。

その時のしずくちゃんは、彼方ちゃんにもわかる異変があった。普段なら、通話でしずくちゃんが無言になるようなことはあっても、お互いに無言になってしまうことはまずないから。

それに声が突然上ずったりなど、明らかに普段のしずくちゃんでは考えられないようなことがたくさんあった。

19: 2021/02/05(金) 21:04:27.49 ID:QW3izgkw
もしかしたら、もしかしたらだけど、しずくちゃんも同じ気持ちなのかもしれない。

想いを伝えたい。
でも伝えちゃいけない。

20: 2021/02/05(金) 21:06:59.70 ID:QW3izgkw
今日は卒業生以外は自由登校。同好会のみんなはパーティの準備のために学校には来ていることだろう。
だから、式が始まる前にしずくちゃんが来てくれることを期待していつものベンチで時間ギリギリまですやぴしようとしたりもした。当然眠れるはずもなかった。それに、しずくちゃんも来なかったけど。

式中も頭の中でずっと想いを伝えるべきか、否か、そんなことがぐるぐる回ってた。菜々ちゃんの在校生代表スピーチも、正直何を言ってたかなんて全く覚えてない。

気付いたら式も終わってて、もうすぐ同好会の部室に行かなきゃな時間だった。

「朝は晴れていたのに、ちょっと雲行きが怪しくなってきたなぁ。」

そう独り言を呟いて、部室に向かった。

21: 2021/02/05(金) 21:09:54.75 ID:QW3izgkw
Side.彼方 ~卒業お祝いパーティ~

「エマさん、彼方さん、果林さんの卒業を祝って、かんぱーい!」

\\\\\\\\\\かんぱーい//////////

侑ちゃんの掛け声で始まったパーティ。
部室で10人で集まる最後の機会だからと、みんなでパーティーゲームをやったり、在校生の7人からのプレゼントを渡されたり。歩夢ちゃんがボロボロ泣いちゃって大変だったりと。

そして、パーティーが終わる直前に1年生からサプライズとして手紙を渡された。

23: 2021/02/05(金) 21:12:29.33 ID:QW3izgkw
「卒業するみなさんに、1年生みんなで手紙を書いてきました」

「おぉ~!ありがとう~、彼方ちゃん大切にするねえ~」

エマちゃんには璃奈ちゃんから、果林ちゃんにはかすみちゃんから、彼方ちゃんには、よりにもよってしずくちゃんから3人からの手紙を渡された。

「しずくちゃん、璃奈ちゃん、かすみちゃんありがとう、大切に読ませてもらうね!」

「3人ともありがとう、今読んでも良いかしら?」

「恥ずかしいから、家で読んでほしいな。璃奈ちゃんボード「テレテレ」」

「果林先輩!!流石にここで読まれると恥ずかしいので終わってからお家で読んでください!!!」

「冗談よ、かすみちゃんはかわいいんだから~(ムニムニ」

24: 2021/02/05(金) 21:15:02.89 ID:QW3izgkw
果林ちゃんはかすみちゃんを、エマちゃんは璃奈ちゃんとわちゃわちゃしてるところで、彼方ちゃんはしずくちゃんを探した。けど部室には見当たらない。

しずくちゃんを目にしたらもう、耐えられない。

想いを告げずにしずくちゃんとばいばいしたくない。

しずくちゃんに告白するって決心したから、しずくちゃんを探そうと思い、愛ちゃんに聞いたら、

「しずくならもう帰ったよ、急用が出来たって今さっき走って出て行ったけど」

25: 2021/02/05(金) 21:16:44.49 ID:QW3izgkw
でも、

遅 か っ た 。

26: 2021/02/05(金) 21:19:24.30 ID:QW3izgkw
だから彼方ちゃんも全力で、しずくちゃんが通学に使う駅まで追いかけた。部室から出て行く時に、果林ちゃんから小声で「頑張って」とだけ言われたような気がした。

部室棟から出たら、もう既に雨が降り出していた。

そして、全力で駅まで走ったけど、しずくちゃんに追い付くことはなかった。

駅に着くころにはもう涙が止まらなかった。
彼方ちゃんの涙を流してくれると思って、しばらくの間は泣きながら雨に打たれ続けた。

27: 2021/02/05(金) 21:22:17.58 ID:QW3izgkw
Side.しずく ~Mar.1 16:30~

「卒業するみなさんに、1年生みんなで手紙を書いてきました」

「おぉ~!ありがとう~、彼方ちゃん大切にするねえ~」

よりによって手紙を渡す相手が彼方さんだとは考えもしなかった。

かすみさんが気を遣ってこういう形にしてくれたのはわかる、わかるけど…。

手紙を渡し終えた後、どうしても耐えられなくなってしまい、愛さんに急用が出来た事を伝え、他のみなさんにも伝えるように頼み、私は部室から出た。

28: 2021/02/05(金) 21:25:04.75 ID:QW3izgkw
私、上手くやれたよね?声震えてなかったよね?
彼方さんには涙を見せずに済んだよね?

私は、自分にそう言い聞かせながら、駅まで逃げるように走った。

彼方さんが追いかけて来てくれることを、少し、いや、ほんの少しだけ期待したけれど、現実は非情で、そこまで上手くは行ってはくれなかった。

そして駅に着くのと同時に雨が降り出した。

帰宅した私は、両親に「夕飯はいらない」と告げ、自分の部屋に逃げ込むように飛び込んだ。
制服が皺になることも気に留めずに布団にくるまった私は大きな声で泣いた。

分かっていた事とはいえ、失恋を実感してしまったから。

29: 2021/02/05(金) 21:27:22.52 ID:QW3izgkw
それに、彼方さんに渡した"書き足した手紙"は、叶うことのないラブレターそのものだったから───。

それと同時に、私のスマートフォンには、かすみさんからの電話が虚しく鳴り響いていた。

30: 2021/02/05(金) 21:30:02.64 ID:QW3izgkw
Side.彼方 ~Mar.1 17:30~

「ただいま~」

「おかえr…どうしたのお姉ちゃん!??ずぶ濡れだし風邪引いちゃうよ!お風呂沸かすから」

ずぶ濡れになった私は部室には戻らずに帰宅した。

当然、同好会のメンバーには個人メッセで全員に突然抜けたことを謝罪した。グループメッセに書いたら、恐らくだけどしずくちゃんが自分自身を責めてしまうだろうから…。

そして、果林ちゃんにはお礼したうえて、ダメだったことを伝えた。

31: 2021/02/05(金) 21:33:14.52 ID:QW3izgkw
遥ちゃんが沸かしてくれたお風呂から出た私は、まず1年生の3人から貰った手紙を読むことにした。

最初にかすみちゃんからの、次に璃奈ちゃんからの手紙を。

2人の手紙を読んだら全てがどうでも良くなった、とは言わないけれど多少は気が楽にはなった。良い後輩を持って彼方ちゃんは幸せ者だなあ…。

そして最後にしずくちゃんからのを───。

32: 2021/02/05(金) 21:35:51.78 ID:QW3izgkw
読むのが怖い、

悪いことが書いてあるはずなんてないのに、

どうしても手が震えてしまう。

そこから簡単に夕飯を作って、食べたので1時間くらいは経過したろうか。

私は、思いきってしずくちゃんからの手紙を手に取った。

33: 2021/02/05(金) 21:39:11.53 ID:QW3izgkw
ただこの手紙には明らかに不自然な点があった。

明らかに開けられた痕跡がある。

意を決して開封してみると、1枚の便箋と1枚の封筒が入ってた。

その1枚の便箋は、かすみちゃんのと璃奈ちゃんのと同じようにただの普通の手紙だった。日頃の感謝や、将来への激励というありふれたメッセージ。

もう1枚の封筒の表側には「彼方さんへ」とだけ書かれていた。

恐らくもう1枚の封筒のほうを入れ直したんだろうか?

34: 2021/02/05(金) 21:41:21.80 ID:QW3izgkw
トクンと心臓が高鳴る。

ある種の確証めいたものがあった。

これは普通の手紙ではないだろうことはすぐにわかった。

35: 2021/02/05(金) 21:44:07.39 ID:QW3izgkw

直接言うのは恥ずかしいのでここで書かせて頂きます。

本当は彼方さんに卒業してほしくないです。

まだまだ一緒に過ごしたかったですし、もっと、もっと、一緒にスクールアイドルをしたかったです。

毎日のように外のベンチでお昼寝をしてる彼方さんを起こしに行ったり、お菓子をあーんしあったり、一緒にお出かけしたり、お泊りしたり。


36: 2021/02/05(金) 21:46:39.77 ID:QW3izgkw
しずくちゃんの本音がつらつらと書かれているこの手紙。

いつもは綺麗な字を書くしずくちゃん。なのに、ところどころ手が震えたのだろうか、字の形がおかしいところがあったり、涙のにじんだ跡が見えたりで。

37: 2021/02/05(金) 21:48:52.84 ID:QW3izgkw

長々と思い出語りをしてすみませんでした。

私、桜坂しずくは近江彼方さんの事が好きでした。

彼方さんは、4月から料理の専門学校に進学するとお聞きしました。
とても忙しい日々になるだろうことは私にもわかります。
彼方さんの夢を邪魔するわけにはいきませんので、返事はいりません。

ずっと、彼方さんに、あなたに片想いを、あなたの後輩でいさせてください。

最後に、卒業おめでとうございます。

そして…

38: 2021/02/05(金) 21:49:54.86 ID:QW3izgkw
───さよなら、彼方さん。

桜坂しずく

39: 2021/02/05(金) 21:53:44.22 ID:QW3izgkw
「──────────。」

さよなら、彼方さん。

この10文字で私の心臓がきゅーっとなった。どれほどの想いで、どれほどの覚悟でこれを書いたんだろうか?

そして、しずくちゃんとはどんな子だったか。真面目で、優しくて、甘えるのが下手で、でもその割には甘えたがりで、とても不器用な女の子。

そんな女の子が不器用なりに、想いをぶちまけてくれている。

40: 2021/02/05(金) 21:55:15.46 ID:QW3izgkw
だから、彼方ちゃんは、

私は───────。

41: 2021/02/05(金) 21:58:31.71 ID:QW3izgkw
「お願い、しずくちゃん、電話に出て…!」

「神様がいるなら、今だけで良いから、お願いだから彼方ちゃんのわがままを聞いてよ……」

とうとうしずくちゃんは電話に出てくれることはなかった。
だから、私はボイスメッセージを残し、遥ちゃんに今日は帰らないかもしれないことを伝え、家を飛び出した。

「しずくちゃん?今からそっち行くね」

44: 2021/02/05(金) 22:01:20.20 ID:QW3izgkw
Side.しずく ~Mar.1 21:10~

どうやらあの後泣き疲れて眠ってしまったらしい。

同好会の皆さんに悪いことしちゃったな…と思ってスマートフォンを開くと大量の通知が来ている。
20件もの不在着信と同好会の皆さんからの私を心配するメッセージだった。

19:35 近江彼方から不在着信
19:36 近江彼方から不在着信
19:38 近江彼方から不在着信
19:39 近江彼方から不在着信
19:42 近江彼方から不在着信
19:43 近江彼方から不在着信
19:44 近江彼方から不在着信
19:45 近江彼方から不在着信
19:47 近江彼方からボイスメッセージ[再生]

45: 2021/02/05(金) 22:03:56.18 ID:QW3izgkw
少しだけ迷ったが、覚悟を決めて再生ボタンを押した。

「しずくちゃん?今からそっち行くね」

47: 2021/02/05(金) 22:06:46.68 ID:QW3izgkw
確か彼方さんの最寄駅から鎌倉まではおおよそ1時間半くらい。

つまりもう近くまで来ている。行かなきゃ…!

私は両親に少し散歩してくることを告げ、雨が降る中、傘も持たずに走って鎌倉駅に向かった。
当然雨が降っているので両親には怪訝な顔をされたが。

彼方さんに会いたい一心で、鎌倉駅へ向かって、走って、走って、ただひたすら走った。

そして鎌倉駅に着いてまず、彼方さんを探した。

48: 2021/02/05(金) 22:08:30.33 ID:QW3izgkw
───────いた!

全力で走って、息切れしてる状態でも、構わずに私は何度も、何度も叫んだ。

「彼方さーーーーーん!!!!!!!」

49: 2021/02/05(金) 22:11:26.59 ID:QW3izgkw
Side.彼方 ~Mar.1 21:25~

鎌倉駅に着いた私は、しずくちゃんに電話しようとスマートフォンを取り出した。

あれ?しずくちゃんの声が聞こえる?

「~~たさーん!!!~なたさん!!!!」
「かなたさーん!!!!!」

振り向いてみたら、数m先にいた。

今一番会いたい顔が、

髪を乱し、トレードマークの赤い大きなリボンはかなりズレていて、制服姿で、雨に濡れてずぶ濡れのしずくちゃんが、

51: 2021/02/05(金) 22:14:17.45 ID:QW3izgkw
だから全力で私はしずくちゃんの元へ走った。

「しずくちゃん!!!」

掴んだ手は、二度と離さないから。
嫌だって言っても絶対に離さないから。

溜めこんできた想いをすべて吐き出すように、強く、強く、しずくちゃんを抱きしめた。

そして、人目も憚らず2人で抱き合って泣いた。2人の心の欠けたピースを埋め合わせるように。

52: 2021/02/05(金) 22:17:58.08 ID:QW3izgkw
エピローグ

しずくちゃんとの想いが通じ合ったあの日、彼方ちゃんはしずくちゃんの家にお泊りさせてもらうことになった。

終電までの時間はまだあったし、しずくちゃんは明日も学校だからとても申し訳なく思ったけど、しずくちゃんがどうしても離れたくないと言って聞かなかったから甘えることにした。

それにしずくちゃんのワガママなんてなかなか聞けないからね。

54: 2021/02/05(金) 22:20:30.71 ID:QW3izgkw
しずくちゃんは傘を持たずにいなかったので当然ずぶ濡れだったから、しずくちゃんのお家に着いたらまず一緒にお風呂に入った。

「ところで彼方さん」

「なんだい、しずくちゃん」

「私、まだ返事されてません。確かにああ書きましたが、ここまで来たら返事が欲しくなってしまいます。」

「も~わかってるくせに~~」

「彼方さんの言葉で聞きたいんです!」

「そうやって怒るしずくちゃんもかわいいな~~ぎゅ~~~~」

「か~な~た~さん?」

55: 2021/02/05(金) 22:22:57.90 ID:QW3izgkw
「彼方ちゃんは、いや、私、近江彼方は、桜坂しずくちゃんのことが好きです。私とお付き合いしてくれませんか?」

56: 2021/02/05(金) 22:26:15.36 ID:QW3izgkw
直後、しずくちゃんに唇を奪われた。

唇を奪われる直前に見たしずくちゃんの表情は、一生忘れないくらい、素敵な涙交じりの最高の笑顔だった。

「どんなに困難な夢でも、しずくちゃんがいてくれるから叶えられる。そんな気がするんだ」

これは、そんなお話。

57: 2021/02/05(金) 22:27:25.18 ID:QW3izgkw
以上です。

読んでくださりありがとうございました。

59: 2021/02/05(金) 22:33:47.40 ID:EMfXrN6T
乙、良かった

60: 2021/02/05(金) 22:35:37.47 ID:bEulBZUm
よかった

61: 2021/02/05(金) 22:44:48.10 ID:5vA9pNpG

めっちゃ良かったです

62: 2021/02/05(金) 22:52:35.64 ID:WdbFFSe5
あなたが神か

63: 2021/02/05(金) 23:51:40.79 ID:9Gp3wUV7
最高

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1612524898/

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