【SS】虹三年が高一から知り合いだった感じの世界【ラブライブ！虹ヶ咲】

※自己解釈/設定/捏造盛り盛り

書き溜め中途半端＋遅筆
　

やっほ～近江彼方だよ

彼方ちゃんには、二人の大切なお友達がいます

かわいいけれどかっこいい果林ちゃんと、おっとりさんだけどアクティブなエマちゃん

私にとって──ちょっとした憧れの存在だったりするのです
　

果林ちゃんとは、通ってる学科が同じだったんだけど、、、やってる事は別々だったから、話すきっかけっていうのはずっと無かったんだよね

でも、噂では知ってたんだ──学校生活もこなしながら、読者モデルとして活躍してる凄い子がいるって

そんな果林ちゃんとの最初の出会いは、ファッション雑誌の中でした

今月号にまた朝香さんが出演してる！、、、という話題で持ちきりのクラスの方々のご厚意で、回し読みさせていただいた誌面の彼女とご対面

とはいっても、当時は名前と評判くらいしか知らないような人の事だったから、大した感動があるわけでもなくて、、、

なるほど聞いていた通りの別嬪さんですな～なんて、とりあえず思っておいたりしてた
　

けれどそうして、同じ学校の生徒っていう、一応身近な存在といえなくもない関係なのに

直接本人を目にするより前に、写真とかで先に姿を見る事になる──っていうのは初めての経験で

私の中で朝香さんは、これで“名前も顔も知っている人”になったけれど
朝香さんの方からしたら、私は“名前も顔も知らない人”なんだよね

とか考えたら、何だか凄く『有名人』を相手にしているみたいで、結構ワクワクしてたかも

それで、今からでも会いに行こうと思えば会えるんだろうな──とも考えたけれど、別にいいかなってなってやめた
　

特に興味も無いのに押し掛けたところで迷惑だろうし、何より住んでいる世界が違うように感じたから

正直なところ、彼方ちゃんはそういうお洒落なジャンルには疎かったからね～

代わりに、こうやって早くから結果を出しているっていうのは、色々頑張ってきたんだろうなぁ、、、くらいの事は想像できたので

会う機会は無いだろうけど、影ながら応援してるぞ～なんて、心の中で勝手に分かったようなリスペクトを送ってみたり

・・・その時はまだ、私たちが深い関係になるなんて思いもしなかったんだよね
　

そんな私たちを引き合わせてくれたのは、エマちゃん

国の境を越えてやってきた彼女は、県の中の市区町村の中の学校の中ぽっちの壁なんて、あっという間に無くしちゃって──

私たちに、ポカポカな出会いと繋がりを届けてくれたんだ

だから、お互いエマちゃんには頭が上がらないね、なんてふたりで話したりして

早くもお世話漬けになってた果林ちゃんは、随分と苦笑いで同意してたけど。。。
　

そのエマちゃんとは、ひょんな事から知り合う事になったの

といっても、別に大した事があったわけじゃなくて、、、

うっかり寝そべり申していたところを、エマージェンシーされかけてしまったというか

あとちょっと目を覚ますのが遅れてたら、危うく眠れる森の彼方ちゃんになるところだったといいますか・・・

優しさダイナミックな救命活動に、ドキドキしすぎて逆に心臓が止まっちゃうかと思ったねぇ
　

とまぁ、お恥ずかしいファーストコンタクトだったわけなんだけど、すぐにその出会いはまさに運命だったと思ったね

軽く数言話しただけで、これ絶対気が合うやつ～って確信したよ

実際私たちは、気が合った

というか、合いすぎちゃったかな～

お互いのノリというか、雰囲気というか、“キャラ”といいますか

マイペース同士って意外としっくりこない事もあるけれど、エマちゃんとは方向性もバッチリで

どっちも可愛い妹（エマちゃんは妹弟合わせて7人！）を持つ、一家のお姉ちゃんなのも同じ（私の至高の妹、遥ちゃんについても語りたいけどいくら時間があっても足らないからやめておくね）
　

そして──まだ先の事だけど、私たち皆にとってかけがえのないものになる──スクールアイドルに惹かれてたって事も、一緒だった

実際に自分たちで始められるようになるまでは、ファンとしてふたりで色んな子たちを応援しに行ったりして

あとは、そうだなぁ。。。

果林ちゃんについての見解っていうものも、完全に一致してたかも
　

セクシーで格好いいイメージの、果林ちゃん

けどそれは、そうとも言えるしそれだけじゃないとも言えるかな～

いざ仲良くなってみると、果林ちゃんの色んな姿っていうものが見えてきて

何というか、上手く言葉にできるか分からないけれど・・・

果林ちゃんって、普段見えない“かわいい”一面の方が素なんじゃないかな──って感じた

でも・・・だからこそ

果林ちゃんは“かっこいい人”なんだって、気がしたの
　

生まれ持った性格と、なりたい自分のイメージって、必ずしも一致しているものでもないって思わない？

例えば、インドアな人がアクティブな人に憧れたり
熱血な人が、クールな人に憧れてたり

そういう事だって、あるんじゃないかな

彼方ちゃんも、ご覧の通りののんびりさんだけど、テキパキしてる人に憧れたりする事もあるんだよ～

まぁ、実際にそうなりたいとまでは思わないんだけど。。。
　

でも、中には──本気で変わろうとしている人だっている

そしてそれは、性格とかの話だけに限らなくて

私も、内面的なところは現状維持でいいかな～って考えてるけど、他の部分でちょっとワケありなものでして

──だから、頑張るんだよね

なりたい自分に、少しでも近付けるように

いつか本当に、そうなれるように
　

果林ちゃんって、そういう人なんじゃないかな

これも誤解を招きかねないけど、可愛い人が“周りから”クールだって勘違いされてるとかじゃなくて“自分から”クールに振る舞おうとしてる──というか

だからって、大人っぽい部分が果林ちゃんの素じゃないとか、子供っぽい部分が嫌だから隠したがってる、とかいうわけじゃなくて

うーん・・・変な感じにならないように説明するのって難しいね

要するに、そんな抜けてる部分もこのご時世なら、いわゆるギャップ萌え～みたいな感じで売っていく事もできたと思うんだよ

多分、自分のおっちょこちょいなところは、果林ちゃんが一番よく分かってると思う

だからそうしておけば、もっと気楽だったんじゃないかなって、、、思うんだよ
　

でも、果林ちゃんはそうしなかった

ありのままの自分でもいいっていう風潮に甘えて、妥協したりはしなかった

それは、とても大変な事だったと思う

──できる事だけすれば失敗はしないけれど、できない事ができるようにはならないよね

だから私たちは、果林ちゃんはかわいいんだよ～って言っちゃいそうになるのを抑えて、“見せたい自分”で頑張る姿を応援する事にしているのです
　

そしてそういう意味ではエマちゃんも凄い！何てったってこっちは国を越えて来ちゃってるからね

可愛い顔してだいぶアグレッシブ！
スケールが違いますよこいつぁ…

自分に置き換えてみると、大人になるまで勉強してようやく読み書きできるようになるかどうかっていう英語を、
高校生になるまでに外国で普通に過ごせるレベルまで極めてるわけだから、凄いよねえ

もし全面バックアップをして貰えたとしても、同じ事ができるかっていえば・・・そこまでのガッツは、彼方ちゃんには無いかなぁ～

今は何かと便利でグロ～バルな時代なので、テレビやネット越しでも触れられる事なら、自分はそこで満足しちゃうだろうなって
　

それでも、エマちゃんは日本にやって来たんだよね

夢を夢のままで終わらせないために

自分ができる事だけじゃなくて、自分ができる以上の事をやってみる事で、世界っていうのは広がっていくんじゃないかな

ハングリー精神ってやつだね～

心の栄養には、腹八分目は無いのです

──もし、スクールアイドルがスイスでもできるものだったら

エマちゃんは、日本に来てくれなかったのかな・・・っていうのは、ズルい考え方かな？
　

彼方ちゃんのモットーは、毎日適度にゆるゆると

やりたい事とやらなきゃいけない事、どっちもサボらず頑張れるように

けれど、世の中には

ちょっと背伸びをしてでも叶えたい夢──っていうのは、あると思う

時には無理をしたり、必死にならないといけないような場面って・・・あると思うんだ

もちろん、辛い事はできればしたくないよね

だけど、そこで踏ん張ってもう一歩を前に出せる人が──大きな夢を叶えられるんじゃないかと、彼方ちゃんは思うのです
　

人生は与えられた手札で戦うしかない、とはいうけれど

それを理由に、上を目指す事を諦めたくはないよね～

へこたれてはいられないのです

だから、シンパシーっていうのかな

彼方ちゃんにとってふたりは、そんな『かっこいい』人たちなのです
　

果林編に続く
　

ハーイ♪朝香果林よ

私には、二人のかけがえのない友人がいるわ

留学生で同じ寮生のエマと、特待生で同じライフデザイン科生の彼方

私にとって──とても尊敬している相手、ってところかしら
　

エマとの出会いは、高校に上がったばかりの頃

春から新しく虹ヶ咲に転入してきた彼女に、声をかけたのが始まりだった

当時の私は、モデルとしてデビューするために中学からお台場での活動を始めていて──

だから、一足先に一人暮らしをスタートしていた先輩気分だったのかしら

同じ寮生として、不安そうにしていた彼女を・・・どうにも放っておけなかったの

そうして私は、エマに色々なことを教えることにしたわ

寮生活での決まりについて話したり、寮や学校の様々な場所に案内してあげたり──ね

結果として、それはほとんど上手くいかなかったけれど・・・
　

ルールの説明のところまではまだよかったの、でも問題はそこから

意気揚々と引き受けた道案内は、全然目指したところにたどり着けなくて大失敗

頑張ってルートを調べてくれたエマに、逆に私の方が助けられる始末

そうして行きも戻りも迷い続けて、得意げにレクチャーした門限は危うく破るところだったり、もう散々な有様だったわ

おまけに「地図の読み方を教えてくれてありがとう」だなんて、怒られるどころかフォローまでされちゃって・・・

自分からガイドを買って出ておいて、あんまりな話でしょう？
　

何年も過ごしていて多少は土地勘もついたと思ったのだけれど・・・慣れないことはするものじゃないわね

そもそも自分のことすら満足にできない中で、人の世話を焼いてる場合じゃないっていうことに気付くべきだったのよ

なのに見切り発車で行動して、結局こっちの方が迷惑をかけることになってしまったし・・・

今思うと、どこまでも格好つけでしかなかったわ

彼女の最初の日本の友達が、私なんかで本当によかったのかしら
　

事実、彼女は自分よりよっぽど社交的で、本来私の助けなんて必要ないような子だった

いつの間に仲良くなったのか、私より先に彼方と友達になって連れてきたりして

──その頃には、もう余計なお節介は終わりにするつもりだったのだけれどね

でも、彼方は、その・・・私がそんな立場じゃないっていうのは分かっていても・・・けど、どうしても放っておけなくて

私たちで面倒見てあげましょうね──なんて懲りずにエマと話をして、何ともいえない顔をされてしまったわ
　

彼方とは、選んだ学科こそ一緒だったものの・・・専攻は違っていたから、顔を合わせる機会というのは特になかったの

ただ、話には聞いていた──料理上手で成績優秀なのに、いつも人知れずどこかで寝てばかりの不思議な転入生がいるって

聞いてはいたけれど・・・それで、会ってみたいとまでは思うことはなかったわ

だって、会いに行ったところで一体何を話せばいいのかしら？
　

「学科中の話題になっていたから見にきました」とでも言ってみる？　そんなの困るだけよね

私のように自分から注目されることを選んだならともかく、本人にそのつもりがないのに悪目立ちして、それで押しかけられるのは迷惑にしかならないわ

まだ駆け出しとはいえ、人の目を意識する世界に携わる身としては“見られること”と“見世物になること”の差は理解しているつもり

その子は珍獣じゃないのよ
ここは動物園とは違うのよ──なんて、一丁前に周りを諭したりしてたのよね

それに何より、彼女とは住む世界が違うように感じてた
　

スタイル維持のために摂生をしていた自分にとって、料理や食事を楽しむっていうことはすっかり縁遠いものになっていたし

成績も、将来に繋がらない方面のものについては最低限確保できていれば十分と考えていたから、勉強家というところにも惹かれなかったし

あと、しょっちゅう寝てるらしいって部分は・・・正直、そこだけ聞いたところでどう判断すればよかったのかしら

ともかく、噂でしか知らなかった“近江さん”への印象は、どうということのないものだった

──そして実際の彼女を知って、その評価は何もかも覆されることになるの

だからそうやって勝手に線引きしていた私と、彼方を引き合わせてくれたエマには・・・本当に感謝しないといけないわ
　

そんな行動力の塊みたいなエマは、留学生のスイス人で──ある意味当人が一番“住む世界が違う”人だったのよね

あまりにも自然に馴染んでいるから忘れそうになるけれど、今まで日本の滞在経験があったり身内がいたりしたわけじゃない完全な外国人

思えば最初に話しかけた時はそのことに全く気付いていなくて、彼女が日本語ペラペラでいてくれたから良かったものの・・・

そうでなかったら、外国語なんてろくに話せない私はどうするつもりだったのかしら

我ながらどこまでも行き当たりばったりだったと思うわ

そうしてはるばるやってきたエマに、私はちょっとした仲間意識のようなものを抱いてた

国と島という程度の違いはあるけれど、お互い故郷を離れてきた似たもの同士として──ね
　

でも、それは思い上がりも甚だしかった

彼女と親しくなって、より個人的なことまで語り合うような間柄になって──

そして気付いた・・・私の郷愁は、エマとは比べることすらできないものだったって

エマは、心から自分の故郷を大事に想っている

決してそこでの暮らしに飽きたりなんてしたわけじゃない

家族を、友人を、自然を愛して──それでも、ここでしかできないことをするためにやってきた
　

彼女が故郷を出てきたのは、そんな前向きな理由

けれど、私は？

互いの郷土の景色だとか、食べ物だとか──そんな思い出話に華を咲かせれば咲かせるほど

自分の中で、次第に意識の差というものが浮き彫りになっていく

近しい境遇の相手と出会ったことで、私はようやく実感した

私は自分の故郷を・・・大事に思ってなんていなかったんだと
　

彼女が故郷を出てきたのは、そんな前向きな理由

けれど、私は？

互いの郷土の景色だとか、食べ物だとか──そんな思い出話に華を咲かせれば咲かせるほど

自分の中で、次第に意識の差というものが浮き彫りになっていく

近しい境遇の相手と出会ったことで、私はようやく実感した

私は自分の故郷を・・・大事に思ってなんていなかったんだと
　

地元はいいところだったと、どれだけ口では聞こえのいいことを言っていても自分は・・・

本心では、あの島の中で一生が終わるなんて受け入れられなかったんだわ

私が故郷を出てきたのは・・・そんな後ろ向きな理由

代わり映えのしない毎日に変化が欲しくて、島にはないものを見てみようとして・・・

地元への愛がもっともらしいものでしかなければ、地元を離れる理由ももっともらしいものでしかなかったわね

そうして自分から飛び出してきておいて、ふと故郷が恋しくなって島の味を感じられるようなものを求めたりして・・・本当に、勝手だと思うわ

こっちの都合で突き放したり懐かしんだり・・・こんなの、子供と変わらないじゃない
　

──大人ぶっているっていう自覚はあった

でも、それを本当の意味で痛感したのはこの時だったと思う

そして、本当の美しさっていうのはこういうことなんだって分かったの

スタイルやメイクやファッションの見てくれじゃなく、何かを愛し想いやる心の優しさ

そんな人として大事なことを、言葉ではなく生き様で教えてくれたエマに──私はどこまでもかなわないなと思ったわ
　

綺麗な心の持ち主といえば、彼方も負けてはいないわね

彼女と初めて会った頃は、とぼけた態度でつかみどころがなくて、話に聞いてた通りいつの間にか寝てばかりいて

失礼な話だけれど・・・正直、だらしのない人なのかと思っていたの

だけど、そこから、彼方がずっと抱えているものを知ってしまった時──

・・・私は、自分が恥ずかしくなったわ

実家を出て、近くに頼る人のいない土地で・・・どこか自立していた気分だった

とはいいつつ学費も仕送りも受け取ってはいたし、その一人暮らしだってやるべきことをいくつも切り詰めた上でどうにかやっていけてた程度のものだった
　

なのに彼方は、私より大変な状況で、私よりずっと沢山のことをしてて・・・私より、よっぽど自立していた

こんな人がいるんだって思った、そして自分がどれだけ恵まれていて・・・どれだけ甘ったれだったのか

私は本当に・・・狭い世界しか見ていなかったのね

人の頑張りは人それぞれで、比べるものではないだろうけど・・・私が自分の環境を変えるためにしてきた“努力”は、彼方の足元には及ばないと思う

少なくとも生活力については確実に

自分の家族を何よりも大事にしていて、やるべきこととやりたいことを無理はしつつもしっかり両立する

そんな彼女は、私より遥かに立派な人間だわ
　

『冒険』だったり『挑戦』だったり──ただの自分のわがままを、私はずっとそんな言葉で美化してきた

けれど実際に色んなものを目の当たりにして、自分がどれだけちっぽけな人間だったのかを思い知らされた

そういう意味では、“家出”をしてきた意味はあったのかも

でも、だからといってここで引き返すわけにはいかないわ

どれだけ滑稽でも、始まりが不純だったとしても・・・一度意地を張ったからには、最後までその意地は張り通したいから

それに──これだけは確実に自信を持って言える、ってことがあるの

それはエマと彼方っていう、私にはもったいないくらいの素晴らしい友人に出会えたっていうこと
　

青い自分をどれだけ恥じても、いくら後悔しても・・・一度やってしまったことは変えられない

ならせめて、この出会いは絶対に間違っていないものだったって──そう、胸を張って言えるように

自分と勝手に似てると思って、実は全然似ていなかった私の友人たち

想いやりに溢れて、自分のやりたいことのために国も生まれも乗り越えて頑張る

私にとってふたりは、そんな強さを持った人たちなのよ
　

エマ編に続く
　

,,(d!.•ヮ•..)