【スポ根SS】侑「公式ドッジボール?②」~VS東雲フェニックス編~【ラブライブ!虹ヶ咲】

ゆう SS


1: 2021/02/11(木) 15:16:03.79 ID:m2iMhq8+

3: 2021/02/11(木) 15:16:32.40 ID:m2iMhq8+
「「「前回までのドッジボール!」」」


侑「私、虹ヶ咲学園、2年の高咲侑! 幼馴染と体育館に公式ドッジボールの大会を観に行ったら、帰りに綺麗な投げ方の女の子を目撃して……」

侑「気が付いたら、ときめいちゃってた!」

侑「歩夢も同じ気持ちだったみたいで、私たちは公式ドッジボールを始めることに。咄嗟に『虹ヶ咲学園公式ドッジボール同好会』を名乗った」

侑「マネージャーでも気持ちは熱い! 私たちの心は、いつも一つ!」ビシッ

歩夢「何してるの、侑ちゃん?」

侑「あっ……以下ポジションとルールのおさらいです!」

歩夢「?」

4: 2021/02/11(木) 15:17:12.60 ID:m2iMhq8+
ポジション(簡易版)※詳細は前スレ参照

内野アタッカー
内野からアタックを撃つ。基本は右・左・センターの3人。

元外野
試合開始時の外野。最もボールに触れる機会が多いため、チームの司令塔的存在。

カット
公式ドッジボールでは守備時、基本的に一列に並び、常にボールと一定の距離を保つ。カットはこの時、ラインから離れて自由に動き回り、相手のパス回しを妨害する。
必然的に狙われる確率も上がるため、最も運動神経と動体視力が求められる。

ジャンパー
試合開始時のボールの支配権は、ジャンプボールによって決定される。ジャンパーはその名の通り、ジャンプボールを行うポジション。

レシーバー
守備時、外野とカット以外は全員がレシーバーとなる。パスカウントをコールしてアタッカーに伝えたり、パスの取りこぼしを防ぐなど、攻撃にも参加する。

大砲
ボール支配権移行後の一発アタック専門のポジション。球は速いが、コントロールに難がある選手が起用される。

5: 2021/02/11(木) 15:17:38.41 ID:m2iMhq8+
ルール(簡易版)
オーバーライン
線踏んじゃだめよ。

ホールディング
相手コートに転がってるボール取っちゃだめよ。(空中はセーフ)

アウトプレー
内外野の移動はコートの外を通ろうね。移動中はボールに触っちゃだめよ。

ダブルタッチ
当たった後、外野に出るまでボールに触っちゃだめよ。

ダブルパス
内野同士、外野同士でパスしちゃだめよ。

フライングスロー
試合が一回止まった後はボールを頭の上に上げて、審判が笛吹くの待とうね。

ファイブパス
パスは4回までね。

キープフォーファイブ
5秒以上ボール持っちゃだめよ。

ヘッドアタック
頭部はセーフ。当てられた方のボールになるよ。

イリーガルスロー
バレーみたいに弾いたり、サッカーみたいに蹴ってパスやアタックしちゃだめよ。

イリーガルキャッチ
アタックを意図的に一度弾いて捕っちゃだめよ。

ワンタッチ・ノータッチ
外野はパスを逸した時、手の平で触れようね。触れられなかった時や手の平以外に当たって出たら相手ボールよ。

ジャンパーアタック・ジャンパーキャッチ
ジャンパーは1球目プレーに参加できないよ。

ボールデッド
コート外にボールが出たら、最後に触れたチームじゃないほうに支配権が移るよ。

タッチザボディ
相手選手に触っちゃだめよ。

7: 2021/02/11(木) 15:20:31.55 ID:m2iMhq8+
公式ドッジボール参考動画


※小学生の全国大会の動画です。無いとは思いますが、リンク先動画のコメント欄などで本作について言及することは迷惑行為となりますのでお控えください。

13: 2021/02/11(木) 15:24:23.23 ID:S4uR+T7j
>>7
自分が見た動画はアジア大会?だかで大人がやってるのだったけど全然違った。国際ルールはまたレギュレーションが違うのかな

16: 2021/02/11(木) 15:26:01.56 ID:m2iMhq8+
>>13
人数が違うのと、ボールが東アジア基準に変わります。
あと、ワンタッチノータッチにかかわらず外野がボールを逸したら相手ボールになりますね。

29: 2021/02/11(木) 15:40:17.30 ID:S4uR+T7j
>>16
たしかに大人だとこの人数だと狭くて無理そう。こっちの動画の方がわかりやすいな

8: 2021/02/11(木) 15:21:13.09 ID:m2iMhq8+
~VS東雲フェニックス編~


※※※


侑「彼方さんの妹?」

彼方「うん! 遥ちゃんは~、彼方ちゃんの世界一大好きな妹なんだよ~」ダキッ

遥「お、お姉ちゃん! 人前じゃ恥ずかしいよ~!」

侑「ねえ、遥ちゃんって、東雲フェニックスの近江遥ちゃんだよね!?」

遥「は、はい……!」

侑「うわー! すごいすごい!」

歩夢「侑ちゃん、他校の選手もチェックしてるんだね」ニコッ

侑「うん! 大好きなんだ!」

歩夢「そう……」


せつ菜「色々調べてくれていて、本当に助かります!」

せつ菜「侑さんが同好会に入ってくれて、本当に良かったですっ!」

侑「皆が頑張ってるから、私も頑張れるんだよ!」ニコッ


侑「それで、今日はどうして虹ヶ咲に?」

彼方「ふふふ、私たちの活動に興味を持って、見学に来てくれたんだ~」

遥「はい! お姉ちゃんが、いつも楽しそうにお話してくれるので!」

侑「そうなんだ! 是非見ててってよ!」

遥「はい!」

9: 2021/02/11(木) 15:21:34.93 ID:m2iMhq8+
※※※


彼方「うおおおおおおお~」

彼方「遥ちゃーん!」

遥「お姉ちゃんが、あんなに速く走るなんて……」

侑「うん! 同好会の活動が再開してから、彼方さんすごく頑張ってるんだよ!」

遥「そうなんですね……」

侑「ん?」


※※※


彼方「」ガクンッ

遥「お姉ちゃん……?」

しずく「大丈夫ですよ、枕はちゃんとありますから」

遥「え!?」

エマ「この枕、彼方ちゃんのお気に入りなの。寝心地良いんだって」

遥「あの! お姉ちゃんは、よく寝ちゃうんですか?」

しずく「はい。私が知る限り、彼方さんは寝るのが大好きだと思いますよ?」

エマ「特に膝枕で寝るのが好きだよね」ニコニコ

遥「ひ、膝枕!?」

愛「そうそう! 愛さんもしてあげたよー!」

遥「お姉ちゃん、皆さんに膝枕をしてもらうほど、頻繁に寝ているんですね……」

しずく「そういえば……。最近、いつにも増してよく寝ているような……」

璃奈「確かに……。練習しながら、寝てた」

しずく「この前も、全然起きないくらい熟睡してて……」

彼方「」スヤァ


エマ「彼方ちゃん……?」

10: 2021/02/11(木) 15:21:57.89 ID:m2iMhq8+



侑「私は、皆の応援団みたいな感じかな?」

遥「へえ! そうなんですね!」

彼方「……あれぇ?」

遥「! 目、覚めた?」

彼方「は! くぅ~! 遥ちゃんにお姉ちゃんの恥ずかしいとこ見られてしまった~!」

遥「恥ずかしくなんかないよお姉ちゃん。疲れて当然だよ、いっぱい無理してるんだから……」

彼方「? 無理してるって何を?」

遥「やっぱり……」

彼方「遥ちゃん?」

遥「お姉ちゃん、同好会が再開してから、あんまり寝てないでしょう?」

彼方「うん、つい楽しくて~」

遥「私、お姉ちゃんが忙しすぎて、倒れちゃうんじゃないかって心配で……」

遥「それで、今日見学に来たんだ」

彼方「そうだったの……?」


遥「でも、今日のお姉ちゃんは、疲れなんて感じさせないくらい楽しそうで……すごく嬉しかった」

遥「いつも私を優先してくれたお姉ちゃんが、やっとやりたいことに出会えたんだって」

彼方「遥ちゃん……」

遥「今のお姉ちゃんには、同好会がとても大事な場所だってよくわかったの」

遥「だから私、決めたよ」

彼方「ん? 何を?」


遥「私――」



遥「ドッジボール、やめる」

11: 2021/02/11(木) 15:22:24.05 ID:m2iMhq8+
彼方「……は?」


侑・彼方「「えええ~!?」」


彼方「わちょ、え、え……?」

侑「どうして!?」

遥「このままじゃ、お姉ちゃんが身体壊しちゃうから……」

彼方「彼方ちゃんが寝ちゃったせいで、遥ちゃんに心配させちゃったの? 大丈夫だよ~!」

遥「全然大丈夫じゃないよ!」ガタッ

彼方「!」


遥「お姉ちゃんはお母さんが忙しいからってお家のこと全部して、家計を助けたいからってアルバイト掛け持ちして!」

遥「奨学金もらってるからって、勉強も頑張って!」

遥「その上ドッジボールなんて、誰だって倒れちゃうよ!」

彼方「……」


遥「……もういいの」


彼方「……?」


遥「私のことより、お姉ちゃんにはやりたいことを全力でやってほしいの」

彼方「……遥ちゃん」

12: 2021/02/11(木) 15:22:43.98 ID:m2iMhq8+
しずく「あの……そのために遥さんはドッジボールを辞めるんですか?」

遥「はい」

彼方「だ、だめ! そんな……遥ちゃんは夢を諦めちゃ駄目!」


遥「お姉ちゃんが苦労してるのわかってて、夢を追いかけるなんて出来ないよ!」

彼方「そんなの……気にしなくて良いんだよ~!」

彼方「だって、遥ちゃんは大事な妹なんだもん」

遥「どうして……? 妹だったら、気にしちゃいけないの?」

彼方「心配させちゃってごめんね? 彼方ちゃん、もっと頑張るから」


遥「……お姉ちゃんの、わからず屋!」ダッ

侑「遥ちゃん!」


侑「私、見てくる!」ダッ

14: 2021/02/11(木) 15:24:34.78 ID:m2iMhq8+
※※※

翌日


「「「練習試合!?」」」


侑「うん。それが……」


――――
――


侑「待って遥ちゃん!」

遥「侑さん……」

侑「本当に、辞めちゃうの?」

遥「そうでもしないと、お姉ちゃんは無理を続けちゃうから……」

侑「……でも」

遥「侑さん」

侑「?」


遥「うちと試合をしませんか?」

侑「え!?」

遥「最後の思い出に、お姉ちゃんがいる虹ヶ咲と試合がしたいんです」

侑「試合が出来るのは嬉しいけど……」

侑「遥ちゃんが辞める前提でやるのはちょっと……」

遥「お願いします! どうしてもやりたいんです!」


侑「……一応、みんなに聞いてみるね」


遥「……!」


遥「ありがとうございます!」


――
――――

17: 2021/02/11(木) 15:27:25.85 ID:m2iMhq8+
侑「……というわけで……」

せつ菜「私は、受けたほうが良いと思います」

せつ菜「うちのような何の実績もない新参チームは、とにかく実戦経験を積むのが重要ですから」

侑「……そうだよね」

エマ「記念にしたいってことは、もし断った場合、遥ちゃんはすぐにドッジボールを辞めちゃうかもしれないんだよね?」

侑「うん」

歩夢「逆に言えば、試合さえ組んでしまえば、少なくともそれまで遥ちゃんは選手のまま……」

愛「なるほどね」

しずく「でも、相手はあの東雲フェニックスですよ?」

かすみ「東雲フェニックス……」

果林「強いの?」

かすみ「強いなんてもんじゃありませんよ! 去年の春の都大会まではベスト16止まりの中堅だったんですが、今年に入って急激に力を付けてきたチームです!」

しずく「確か、先日のODAIBAカップでも優勝していましたね……」

歩夢「ODAIBAカップって、前に侑ちゃんと見に行ったあの?」

侑「うん。関東と東海のチームが集まる大会でね。毎年かなり高レベルな試合が繰り広げられるんだって……」

しずく「今年は上位3チームを東京勢が独占したみたいです」

かすみ「確か、準優勝が藤黄ヴィクトリーズ、3位が音ノ木坂ミューズだったよね」

18: 2021/02/11(木) 15:28:47.12 ID:m2iMhq8+
歩夢「音ノ木坂ミューズ……」

侑「希さんのチームだね」

かすみ「知ってるんですか?」

歩夢「ああうん、まあね」


かすみ「藤黄ヴィクトリーズは去年の春の全国チャンピオン、音ノ木坂ミューズは、うちと同じく今年結成のチームですね」

璃奈「今年の東京って、そんなにレベルが高いの」

せつ菜「はい。ドッジボールは比較的毎年勢力図が変わるスポーツですが、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡は毎年安定して強いですね」


果林「なるほどね」

果林「でも、遥ちゃんは1年生でしょう? 1年生部員の独断で試合が組めるものなの?」

侑「普通なら難しいかもしれないけど……」

侑「彼方さん、あの記事って今持ってますか?」

彼方「……あ、うん」カサッ


『彗星の如く現れた東雲フェニックスの1年生エース、近江遥』


果林「……あの子、エースなのね」

19: 2021/02/11(木) 15:29:08.60 ID:m2iMhq8+
侑「うん。今、全国的に注目されてる選手の一人だよ。東雲の躍進は、遥ちゃんの加入が大きいって」

愛「愛さんにも見せて!」カサッ


『近江の武器は、その正確なコントロールである。球速こそ73㌔とエースとしては心許ない数字だが、肩口・足元をまるで熟練のスナイパーの如く撃ち抜く』

『そのコントロールは、パスにも活かされる。センターアタッカーのみを配置する特異なフォーメーションにより、全てのボールを近江に集め、高速かつ繊細なパス回しを可能としている』

『また、東雲フェニックスに関して、何より特筆すべき点は』


愛「……あれ? 途中で切れちゃってる」

彼方「いやー、遥ちゃんが写ってるのが嬉しくて……。記事の範囲をよく見ずに切りとっちゃったんだよね~」

歩夢「新聞って、改行先がすごく飛んでる時ありますもんね」

彼方「そうそう~」

20: 2021/02/11(木) 15:29:34.37 ID:m2iMhq8+
侑「ワントップアタッカーか……。かなり珍しいね」

しずく「普通、パス回しの軸になるのは元外野ですからね」

かすみ「パス回しを始める時も、初球は左右のアタッカーが投げるし……」

侑「うん。センターアタッカーはパス回しの終着点。みんなでパスを回して相手を崩して、エースであるセンターアタッカーが決めるってのが鉄板だからね」


歩夢「うーん……」

侑「? どうしたの歩夢?」

歩夢「えっと、TwitterにODAIBAカップの詳細結果の画像があったから眺めてたんだけど……」

侑「どれどれ?」

21: 2021/02/11(木) 15:31:16.92 ID:m2iMhq8+


予選リーグ
東雲フェニックス 4:0 横浜スピリッツ
東雲フェニックス 5:3 チーム草津
東雲フェニックス 4:1 豊田アースドラゴンズ

決勝トーナメント
一回戦 東雲フェニックス 5:1 三ノ輪スピリッツ
二回戦 東雲フェニックス 6:2 浦安レッドデビルス
準々決 東雲フェニックス 4:3 ライジングHIDA
準決勝 東雲フェニックス 2:1 アクア浦の星
決勝戦 東雲フェニックス 6・5:5・4 藤黄ヴィクトリーズ
※決勝のみ3セットマッチ




歩夢「これを見る限り、東雲ってあんまり守備は得意じゃないのかなって」

侑「確かに……。どの試合も最後に2人は外野にいるみたいだね」

22: 2021/02/11(木) 15:32:01.57 ID:m2iMhq8+
せつ菜「付け入る隙が無いわけでもなさそうですね」

愛「練習試合とはいえ、やるからには勝ちたいよねー」

侑「うん。今回はうちと東雲の2チームだけだから、10試合くらいは出来ると思う」

歩夢「そのうち1試合でも勝てれば……」

果林「あら? 随分と弱気じゃない? 東雲は都大会でも上位に行けば戦うことになるだろうし、勝ち越すくらいの気持ちじゃないと」

歩夢「そ、そうですよね!」

かすみ「よぉし、それじゃあ今日も、張り切って練習行きましょう!」


「「「おー!」」」

23: 2021/02/11(木) 15:33:22.96 ID:m2iMhq8+
※※※


璃奈「……」グイッグイッ

愛「りなりーどんどん柔らかくなってきてるねー!」

璃奈「うん、嬉しい」


かすみ「本当かな……?」グイッグイッ

しずく「まあ、初日に比べれば……」


愛「よし交代ね。次は愛さんの番!」

璃奈「うん」


エマ「果林ちゃんは私が押すね~」

果林「お願いするわ」


歩夢「よいしょっ、よいしょっ」グイッ

侑「……」ジーッ

歩夢「? どうしたの侑ちゃん? あっちばっかり見て」ポムッ

侑「ああごめん、愛ちゃんと果林さんはやっぱりすごく柔らかいなあって思ってさ」

歩夢「そうだね」

歩夢「柔らかいと、何か良いことあるの?」

侑「もちろん。まず怪我をしにくいっていうのと、関節の可動域が広いから球を持つ時間が長くなって、ノビのあるアタックが撃てるようになるんだ」

歩夢「へえ……」

侑「それに、あんなに柔らかかったら、アレが出来るかも」

歩夢「アレ?」

24: 2021/02/11(木) 15:34:40.99 ID:m2iMhq8+
※※※


果林「柔軟性?」

侑「そう! 果林さんには、これから別メニューで必〇技の練習をしてもらいたいんだ!」

果林「必〇技? キャッチボール中に呼び出したと思ったら、そんな漫画みたいな……」

侑「えへへ、そう言った方が盛り上がるかなって」

果林「まあ、せつ菜のジャンピングアタックやエマの一発アタックみたいなのには憧れるわね」

侑「でしょでしょ!? だから、やってみようよ!」

果林「ええ、いいわよ」

果林「ところで、柔軟性なら愛もかなりすごいじゃない? どうして私が」

侑「理想は2人とも使えるようになってほしい技なんだけど、試合まで時間がないし、愛ちゃんにはカットとパス回しの練習を重点的にやってもらいたいから」

果林「なるほどね。それで、どんな必〇技なの?」


侑「えっとね……」カラーコーンカカエー

25: 2021/02/11(木) 15:35:51.72 ID:m2iMhq8+
※※※


果林「ふんっ! それっ!」ブンッブンッ


彼方「果林ちゃん、頑張ってるねー」

侑「元々果林さんは球速もあるし、あの分だとすぐに習得できそうだね!」

せつ菜「果林さんの身長と柔軟性なら、かなりの武器になりそうです!」

かすみ「侑先輩はホントにかすみんたちのことよく見てますよねぇ」

侑「えへへ、みんなそれぞれ得意なことがあるから、作戦を考えるのがとっても楽しいよ!」

侑「みんなも、もっともっと特技を伸ばしていって欲しいな!」


しずく「そうなんですね、ところで、私にはどんな特技が……」

26: 2021/02/11(木) 15:36:33.94 ID:m2iMhq8+
侑「ええっと、しずくちゃんは……」

しずく「はい」


侑「……」ジッ


しずく「……」


侑「うーん」


しずく「……?」キョトン


侑「お、お尻が大きい……かな?」

しずく「え?」


侑「い、いや、良い意味でね? 下半身の強さは球威の強さに繋がるし……」


しずく「みんなも、もっともっと特技を伸ばしていって欲しいな!(侑モノマネ)」


侑「……」


しずく「これ以上お尻を大きくして、何になるって言うんですか!!」フンガー


かすみ「し、しず子落ち着いて!」

璃奈「あっちでキャッチボールしよ」クイッ

しず子「うぅっ……」トボトボ


愛「ゆうゆ、今のはちょっと……」

侑「実際、しずくちゃんはかなり高いポテンシャルがあると思うんだけど……」

エマ「しずくちゃんの球技音痴は相当だからね~」

侑「う~ん……」

27: 2021/02/11(木) 15:38:12.85 ID:m2iMhq8+
※※※

試合当日


遥「あ、虹ヶ咲の皆さん!」タッタッタッ

遥「今日は来てくださってありがとうございます!」

クリスティーナ「東雲フェニックスキャプテンのクリスティーナです。今日はよろしくお願いしますね」ミギテスッ

侑「こちらこそ!」ギュッ

遥「早速試合の方なんですが、3試合ごとに休憩を挟みながらの計9試合で大丈夫そうでしょうか?」

せつ菜「はい! 今日は胸をお借りさせていただきますね!」

クリスティーナ「そんなに謙遜なさらなくても」ニコッ

かさね「楽しもうね!」


歩夢「ねえ侑ちゃん、どうしてこの子だけ、うちの高校のジャージ着てるんだろ」ボソボソ

侑「さあ……」ボソッ


遥「ふふっ、かさねさんはコスプレが趣味なんです。よくこうして相手チームのユニフォームやジャージを着て歓迎するんですよ」ニコニコ

歩夢「そ、そうなんだ」

28: 2021/02/11(木) 15:39:19.16 ID:m2iMhq8+
※※※


侑「みんなー! がんばってー!」ピョンピョン


かすみ「練習試合であんなにはしゃぐベンチって……」

歩夢「うふふっ、侑ちゃん可愛い」

かすみ「まあ、可愛いですけどぉ……」

かすみ「……! か、かすみんの次に」


せつ菜「愛さん、ジャンプボールお願いしますね!」

愛「あいよー!」


歩夢「あ、私も外野に行かなきゃ」

かすみ「今回は交互に私と歩夢先輩で元外野をするわけですが……」

かすみ「9試合だとかすみんが一試合目少なくなっちゃいますよね」ブー

エマ「それは侑ちゃんが決めたことだから~」ニガワライ

かすみ「む~」

30: 2021/02/11(木) 15:40:18.74 ID:m2iMhq8+
しずく「それより、東雲は随分変わった戦術を取るんですね……」

せつ菜「そうですね。時々見かけますが、対戦するのは初めてです」

果林「あら、やっぱり珍しいのね?」

せつ菜「はい、基本的には自分たちが不利になるので……」

しずく「要は最初から一人アウトになってるようなものですからね……」

せつ菜「ええ」チラッ


侑(元外野が2人……)


クリスティーナ「では、今回は私がメインで動きましょう」

かさね「はーい」


侑(ハンデ……ってわけじゃ無さそうだね。これが東雲フェニックスのスタイル……)

侑(つまり、うち相手に本気でやってくれるんだ……!)ワクワク

31: 2021/02/11(木) 15:41:12.61 ID:m2iMhq8+
主審「ジャンプボール!」


東雲「「「飛べ飛べ東雲! 飛べ飛べ東雲!」」」パチパチ


璃奈「なにあれ」

侑「ああ、うちはまだ決めてなかったよね。ほとんどのチームはジャンプボールの時、ああやって応援のコールをするんだ」

璃奈「そうなんだ。カッコいい」

侑「戦術ばっかりで、すっかり忘れてたよ」

璃奈「実はまだ、チーム名も決まってない」

侑「……あ」

璃奈「気付いてなかったんだ」

侑「練習試合が終わったら、みんなで考えよ?」

璃奈「うん」


愛「よっと」ピョン


彼方「先攻ゲット~」パシッ

せつ菜「いきますよ!」

「「「おー!」」」

32: 2021/02/11(木) 15:41:45.41 ID:m2iMhq8+
一試合目
【オーダー】
虹ヶ咲学園公式ドッジボール同好会
1 優木せつ菜    センターアタッカー
2 上原歩夢     元外野
3 中須かすみ    レシーバー
4 エマ・ヴェルデ  大砲
5 朝香果林     レシーバー
6 近江彼方     左アタッカー
8 宮下愛      右アタッカー・カット・ジャンパー
9 桜坂しずく    レシーバー
ベンチ 天王寺璃奈

東雲フェニックス
1 クリスティーナ 元外野①
2 支倉かさね   元外野②
3 吉川瑞希    ジャンパー
4 神谷理華    レシーバー
5 結城沙菜    レシーバー
6 御堂優里    レシーバー
7 宮下ココ    レシーバー
8 近江遥     センターアタッカー

33: 2021/02/11(木) 15:42:41.74 ID:m2iMhq8+
彼方「」ブンッ


歩夢「せつ菜ちゃん!」ブンッ


せつ菜「……跳びますっ!」ダッ


ピョン

パシッ


せつ菜「うおおおお!!」ブンッ


ギュインッ


ココ「っ!」バチンッ


主審「7番アウト!」ピッ


エマ「ナイスアタック!」


侑「やった! いきなりジャンピングアタック成功だよ!」

璃奈「流石せつ菜さん」

侑「やっぱりせつ菜ちゃんのアタックは、都大会でも通用するレベルなんだ!」

34: 2021/02/11(木) 15:44:06.94 ID:m2iMhq8+
かすみ「これは、本当に勝ち越しあるんじゃないですか?」

しずく「気が早いですよかすみさん」

果林「早く構えなさい! くるわよ!」


遥「――【ショットガンA】」スッ


かさねクリスティーナ「!」ダッ


侑(遥ちゃんが何かのハンドサインを出した直後に、外野の2人が動き出した!?)


愛「! 両サイドに……! 追いつけないっ」


せつ菜「左サイドですっ! 練習の通り、中央の彼方さんを軸に、2列になってください!」

かすみ「はい!」ザッ


クリスティーナ「それっ」パシッ ブンッ


璃奈「速い……!」

侑「クイックモーションだね。普通パスを捕球する時は、ボールの勢いを〇すようにして手を引いて、肘を回して投球に移行するんだけど」

侑「クイックモーションでは、僅かに後ろに引いてそのまま手首でボールを押し出すようにして投げる」

侑「当然球速は落ちるんだけど、相手の陣形を崩すには重要なテクニック……!」

璃奈「手首だけで、あんなに正確にコントロール出来るなんて」

35: 2021/02/11(木) 15:44:55.16 ID:m2iMhq8+
侑「すごい練度だよ。きっとすごい量の反復練習を……」


遥「えいっ」パシッ ブンッ


侑「! 遥ちゃんも出来るんだ!」

璃奈「しかも、外野の人より速い。まるで、壁に当たって跳ね返ったみたい」


せつ菜「逆サイドです!」ザッ

エマ「うわっ」グラッ


かさね「もらった!」ブンッ


エマ「きゃっ!」ボンッ


主審「4番アウト!」ピッ

主審「ボールデッド! 東雲内野ボール!」


かすみ「エマ先輩!」

せつ菜「まずいですね、全くターンが追いついていない……」

しずく「クイックで左右に揺さぶって、遅れた選手を狙い撃ちする……すごいパス回しです」

彼方「……」

36: 2021/02/11(木) 15:46:40.28 ID:m2iMhq8+
奈「強いチームが使うサイド攻撃って、こういうことだったんだね」

侑「うん。しかも、当てる場所がかなり計算されてる。アタックが決まった後、弾いたボールがコートの外に出るようにしてるんだ……」

璃奈「そうすれば、もう一回マイボールになるからね」

侑「これが東雲フェニックス……」

侑「そうだ、愛ちゃんのカットなら……!」


愛(2人サイドにいる以上、片方に張り付いても意味がないし、間でポジションを取ることも出来ない……)

愛(でもパターンが決まってるなら、1番と2番で先にパスを返した方以外をマークすれば……!)


遥「――【ショットガンB】」スッ


ココ「」ダッ


愛(! 7番も右サイドに向かって動き出した!?)


かさね「」パシッ ブンッ


愛(2番が返した! 元々右サイドにいた1番は……)キョロキョロ

愛(……!)クルッ


クリスティーナ「ふふっ」ニコッ


愛(いつの間に真後ろに!?)


遥「えいっ」ブンッ


パシンッ


クリスティーナ「ごめんなさい」ブンッ


愛「!」


バンッ


主審「8番アウト!」ピッ

主審「ボールデッド! 東雲内野ボール!」

37: 2021/02/11(木) 15:47:04.98 ID:m2iMhq8+
>>36
璃奈の璃が抜けてます

38: 2021/02/11(木) 15:48:47.48 ID:m2iMhq8+
侑「今度は外野の真ん中から……!」

璃奈「東雲の1番、内野に戻ったね」

侑「これってもしかして……」


遥「……」スッ


侑「また2人で両サイドに!」


ココ「」パシッ ブンッ

遥「」パシッ ブンッ

かさね「そこ!」ブンッ


しずく「ひゃんっ!」バチンッ


主審「9番アウト!」ピッ

主審「ボールデッド! 東雲内野ボール!」


侑「やっぱり、全員がクイックモーションを使えて、攻撃のパターンと動きを理解してる……!」

璃奈「今度は2番は内野に戻ってない」

侑「常に2人以上をキープして、攻撃のバリエーションを減らさないようにしてるんだ」

侑「これが、ODAIBAカップで全試合内野が6人以下だった理由……!」

璃奈「でも、あれだと遥ちゃんのサインを解読すれば予測できそうだけど……」

侑「それがね、1回目と2回目の両サイド攻撃で手の動きが違ったんだ。あれは多分揺動で、他の方法で意思疎通してるんじゃないかな」

璃奈「なるほど……」

39: 2021/02/11(木) 15:50:24.78 ID:m2iMhq8+
かすみ「ぐぬぬぬぬ、全くこっちにボールの支配権が回ってこないです」

せつ菜「大丈夫です! 人数が減れば、サイド攻撃の効果は薄まります!」


遥「……」スッ


侑(! 今度は外野2人が内野両端の後ろについた?)


クリスティーナ「」パシッ ブンッ

ダンッ

遥「」パシッ ブンッ

ダンッ

ココ「」パシッ ブンッ

ダンッ


侑「ここにきて縦攻撃! しかも、全球アタックでうちの内野の両サイドを抜いてきてる……!」

璃奈「確か、相手内野の間を抜いてパスカウントをリセットするんだよね」

侑「うん。アタックの定義は、相手選手が直立して両手を広げた時の肩から下。つまり、内野の端を抜き続けてもパスカウントはゼロのままなんだ!」

璃奈「これじゃあ、ずっとボールを支配されたまま……」

41: 2021/02/11(木) 15:51:23.07 ID:m2iMhq8+
かすみ「何とかしてボールを……!」バッ

果林「駄目! かすみちゃん!」


バチッ


主審「3番アウト!」


璃奈「ああ……」

侑「端を抜き続けて、痺れを切らして無理に取りに来た選手を当てる作戦か……」

璃奈「でも、かすみちゃんはボールをコートに残していったよ」

侑「そうだね。愛ちゃんが戻ってきてくれれば……!」


果林「愛!」ブンッ


愛「よーし!」パシッ

愛「……なっ!」


クリスティーナ「もっと下がって大丈夫ですよ」

遥「はいっ」ザッ

42: 2021/02/11(木) 15:52:20.50 ID:m2iMhq8+
侑「センターラインギリギリの後方守備!?」

璃奈「愛さんを警戒してるのかな」

侑「それにしてもかなり極端だね。これじゃあ内野から撃たれたら確実に当たっちゃうよ。まだ内野にはせつ菜ちゃんがいるわけだし……」

璃奈「……もしかしたら、逆に当たりに行ってるのかもしれない」

侑「……!」

侑「そうか、今は内野人数6:3で、外野から当たれば1点差だけど、内野からなら2点差を守れる。当たってもコートにボールを残しさえすれば良いから、キャッチするよりも簡単なんだ!」

璃奈「うん」

侑「かと言って外野から撃とうにも……」


愛「おりゃ!」ブンッ

かさね「よっと」パシンッ


侑「流石の愛ちゃんでも、この距離は捕られるよね……」





主審「5番アウト!」ピッ





主審「1番アウト!」ピッ


ピッピー

43: 2021/02/11(木) 15:53:17.18 ID:m2iMhq8+
※※※


侑「結局残れたのは彼方さん一人か……」

彼方「一人になってからは、2回キャッチ出来たんだけどね~」

せつ菜「こちらもサイド攻撃を試みましたが、流石東雲、ターンが速くてすぐに体勢を整えてしまいました」

歩夢「こっちのアタックが決まらないわけじゃないんだけど、すぐに戻って来ちゃうから……」

愛「相手の外野が増えればむしろ、パターンの予測が困難になるし」

果林「暫定東京都No.1チームは伊達じゃなかったってことね」

しずく「何とか対策を考えないと……」


クリスティーナ「虹ヶ咲さーん! 2試合目始めても大丈夫ですかー?」


侑「あ、はーい!」

侑「とにかく、試合を重ねてみないと何ともね……。取り敢えず、サイドに注意して、無理なボールには手を出さないようにするくらいしか……」

かすみ「……行きましょう」タッタッタッ

44: 2021/02/11(木) 15:56:01.91 ID:m2iMhq8+



侑(そこから、私たちは東雲の複雑かつ高速な攻撃の前に、5連敗を喫した)

侑(途中惜しい試合は何度かあったが、危なくなるとエースである遥ちゃんもアタックを撃ち始め、すぐに追いついてくる)

侑(そして、7戦目を迎える前……)


せつ菜「このまま無策で挑んでも、これまでの試合展開の繰り返しになるでしょうね……」

愛「せめてサインの意味でも分かったらなー!」


璃奈「それなら、私分かったかもしれない」

かすみ「ええ!?」

璃奈「自信は無いけど」

侑「取り敢えず話してみて?」

璃奈「うん。多分、サインを出してるのは遥ちゃんだけじゃない……と思う」

「「「!?」」」


璃奈「遥ちゃんがサインを出すのは1番が外野にいる時だけ。1番が帰還した後は、遥ちゃんがでたらめにサインを出すふりをして、レシーバーに入った1番が本当のサインを出してるんだと思う」

侑「なるほど……」

璃奈「具体的には、1番の右足の向き。右に向けてたら両サイド攻撃、左に向けてたらサイド→中央、真っすぐだと外野が遥さんにアタックを撃たせるパスを投げ始める

璃奈「外野さえサインを理解していれば、後は遥さんがその動きに応じたパスを出す」

璃奈「縦攻撃への移行は、相手カットを当てたらとか、こちらの人数が一定より少なくなったらとか、そういう条件なんだと思う」

璃奈「……ベンチから見て立てたただの予想だけど」

せつ菜「侑さん、確かあそこのステージから試合のビデオ撮ってますよね? 実際に見てみませんか?」

侑「うん!」

45: 2021/02/11(木) 15:56:35.51 ID:m2iMhq8+



侑「……本当だ。確かに1番の足の向きを見て外野が動いてる……」

愛「すごいよりなりー!」

しずく「お手柄ですね!」

せつ菜「前もってパターンが分かっていれば、ある程度キャッチ率も上がるはずです!」

侑「よし、これで……!」

46: 2021/02/11(木) 15:57:53.62 ID:m2iMhq8+
※※※


かすみ「うがー! これで8連敗ですぅ!」

エマ「確かにパターンは読めるようになってきたけど、やっぱりパス回しが速すぎて、ターンが追いつかないね~」

璃奈「遥さんのアタックもすごい」

果林「相手の身長や、その時の体勢に合わせて撃ってくるのよね。特に肩に当てられると、高確率でボールデッドになってまた相手ボールだわ」

愛「時々リードしてる場面もあるんだけどなー!」

歩夢「こっちの内野が多い時ほどサイド攻撃が痛いよね。外野から当たっちゃうと2点差が付くわけだし……」


しずく「そう言えば、彼方さんは今日一度もアウトになってませんよね?」

彼方「う、うん?」

せつ菜「すごいです! 流石我がチームの守備の要ですね!」

彼方「うーん、彼方ちゃんが捕れてるというよりは……」

せつ菜「?」


彼方「彼方ちゃん、今日の試合は最後の一人になるまで一度も狙われないんだよね」

47: 2021/02/11(木) 16:00:02.17 ID:m2iMhq8+
彼方「一人になれば自分にしかアタックが来ないって分かるし、相手もコントロールを意識して投げざるを得ないから、割と簡単にキャッチ出来るんだよー」

侑「……確かに、意図的に彼方さんを残すように攻撃してきてるような……」

果林「単純に彼方が1番当てにくいからっていうのもあるでしょうけど……」

歩夢「遥ちゃんが決めてるのかも」

侑「?」

歩夢「当てつけ? みたいな」

彼方「ええー……」

歩夢「仲直り、まだ出来てないんですか?」

彼方「うーん……。一応家では普通に話せるんだけど……」

彼方「ドッジボールの話題になると、すぐはぐらかされちゃうんだよねー」

侑「なるほど……」

しずく「彼方さんへの何らかの意思表示……。確かに有り得そうですね」

かすみ「嫌がらせってことですか?」

歩夢「わかんない……。でも、リードしてる時の過剰な内野寄りの守備、絶対に彼方さんを外野に出さない攻撃……まるで」

侑「彼方さんに、アタックを撃たせようとしてる?」

歩夢「うん……」

48: 2021/02/11(木) 16:02:01.82 ID:m2iMhq8+
エマ「色々気になるけど、もう試合始まっちゃうよ~」

せつ菜「そうですね、相手方をこれ以上待たせるのも失礼ですし、行きましょうか」


侑(……)カキカキ


侑「待って! 最後のオーダー発表するね!」


九試合目
【オーダー】
虹ヶ咲学園公式ドッジボール同好会
1 優木せつ菜    元外野①
2 上原歩夢     元外野②
3 中須かすみ    元外野③
4 エマ・ヴェルデ  元外野④
5 朝香果林     元外野⑤
6 近江彼方     センターアタッカー
7 天王寺璃奈    元外野⑥
8 宮下愛      ジャンパー・カット
ベンチ 桜坂しずく


「「「!?」」」


歩夢「元外野が6人!?」

かすみ「ちょ、ちょっと! 侑先輩!?」

せつ菜「ふざけている場合ではありませんよ!?」

侑「ふざけてないよ。これが、私なりに考えた……東雲学園を倒す最適解だよ」

49: 2021/02/11(木) 16:03:17.54 ID:m2iMhq8+
>>48
訂正
彼方→レシーバー
愛→センターアタッカー・ジャンパー・カットです

50: 2021/02/11(木) 16:04:06.69 ID:m2iMhq8+
一旦ここまで。夜8時過ぎくらいに続き書きます。

52: 2021/02/11(木) 20:05:14.08 ID:m2iMhq8+
果林「……一応、どうしてこうなったのか聞かせてもらっても良いかしら?」

侑「まず、東雲は彼方さんが一人になるまで狙ってこない。これがうちの攻撃機会が少ない1番の原因」

しずく「確かに、最もキャッチ率の高い彼方さんにアタックが来ないわけですからね……」

侑「だから敢えて、レシーバーを彼方さんだけにしてみる」

歩夢「内野人数が極端に少ないから、相手のサイド攻撃はほぼ完封出来そうだね」

侑「うん。そして、一応全滅のリスクを避けるためと、先攻を取るために愛ちゃんも内野にした。カットは軽い妨害程度にして、無理して取りに行かないようにね」

侑「愛ちゃんがいるだけで相手は縦攻撃の連続アタックも出来ない。歩夢が言ったようにサイド攻撃も防げるから、かなり守りやすくなると思うよ」

愛「……うん、わかった」

侑「それと……」

愛「?」

侑「今回、カットは内野側についてみて。複数いる外野より、一人しかいないアタッカーについた方がパスの流れを切れるはずだから」

愛「なるほど!」


侑「それじゃあ、細かい作戦とゲームプランを簡単に説明するね!」

53: 2021/02/11(木) 20:06:27.69 ID:m2iMhq8+
※※※


クリスティーナ「……何なんですか、これは」

かさね「スタート時点で、外野が6人!?」

遥「お姉ちゃん……?」

クリスティーナ「……しかし、虹ヶ咲の皆さんの目……あれは、勝つ気ですね」

遥「……行きましょう」



主審「ジャンプボール!」



東雲「「「飛べ飛べ東雲! 飛べ飛べ東雲!」」」



果林「私たちもああいうのやりたいわね」

璃奈「侑さんが、この試合が終わったら皆で考えようって言ってた」

璃奈「あと、チーム名も」

かすみ「そう言えば、うちまだチーム名はっきり決まってなかったね」

エマ「虹ヶ咲レインボー! 虹だけに!」

かすみ「愛先輩じゃないんですから……」

エマ「えへへ~」

せつ菜「……始まりますよっ!」

54: 2021/02/11(木) 20:07:00.69 ID:m2iMhq8+
ピョン


愛「よっし先制!」


彼方「いくよ~」ポイッ


歩夢「よっ」パシッ


東雲「「「」」」ザッ


歩夢(やっぱり、センターラインギリギリまで下がるよね……)

歩夢(ええっと、侑ちゃんの作戦では……)

55: 2021/02/11(木) 20:07:33.69 ID:m2iMhq8+
――――
――


侑「まず、序盤は内野側からしかアタックを撃たない」

侑「内野から2人当てるまでは、愛ちゃんがランニングアタックをしやすいよう、歩夢がパスを出してね」

かすみ「かなり内野側にラインが上げられてるから、それは良いんですけど…」

せつ菜「逆転する前に時間切れになってしまいますよ?」

侑「大丈夫。逆転なんてする気ないから」ニコッ

せつ菜「?」


――
――――

56: 2021/02/11(木) 20:08:09.71 ID:m2iMhq8+
歩夢「愛ちゃん!」ブンッ


愛「よし来た!」ダッ


パシッ


愛「この距離なら、捕られる方が難しいって!」ブンッ


沙菜「」バチンッ


主審「5番アウト!」ピッ

主審「ボールデッド! 虹ヶ咲内野ボール!」


愛「やった!」

彼方「ナイスアタックー」パチパチ

57: 2021/02/11(木) 20:10:40.67 ID:m2iMhq8+
侑「よしっ!」グッ

しずく「やはり、この距離から端の選手を狙えば、高確率でボールデッドになりますね」

侑「うんっ! あともう一人当てられたら……!」


ボンッ


主審「4番アウト!」


せつ菜「ナイスアタックです!」


侑「良い流れだよ!」

しずく「でも、今度は相手にボールが渡っちゃいましたね……」

侑「ここであわよくば1点差まで詰めておきたかったけど、2点差なら計画通りだよ!」

しずく「そうですね、後は守備で耐え凌げば……!」

58: 2021/02/11(木) 20:11:29.56 ID:m2iMhq8+
果林「……」ドキドキ


果林(侑、恨むわよ)


――――
――

侑「この計画の鍵は、果林さんだよ!」

果林「わ、私!?」

侑「うん! 果林さんがアタックを決められるかどうか、これが全てだと言ってもいい!」

果林「どうして私が……」

せつ菜「私は走り込むか跳ぶかしないと球威がかなり落ちますし……」

エマ「私はパスを捕ってすぐ投げるのが苦手だから~」

かすみ「かすみんも、あれだけ距離があると当てれる自信ないです」

――
――――


果林(責任重大じゃない……!)

59: 2021/02/11(木) 20:12:58.08 ID:m2iMhq8+
ピーッ


主審「東雲外野オーバーライン! 虹ヶ咲内野ボール!」


愛「ラッキー!」


侑「よしよし。どんなに強いチームでも、ずっと攻撃を続けさせれば必ず何らかのミスは出る。それに、彼方さんを一人にするのにこだわって、愛ちゃんを深追いしてくれてる」

しずく「生き残ることだけを考えるカットを当てるのは、至難の技ですからね。ましてやそれが圧倒的な運動能力を誇る愛さんなら」

侑「うん、外野が4人いてもサイドは使えないし、攻撃の軸である遥ちゃんは愛ちゃんがガッツリマークしてる」

侑「単調にならざるを得ない攻撃、仮に狙われても、この条件なら彼方さんは絶対にキャッチする!」

60: 2021/02/11(木) 20:13:41.73 ID:m2iMhq8+
エマ「ほら、果林ちゃん!」

果林「え、ええ」ザッ


愛「カリン!」ブンッ

果林「」パシッ


果林(……)

果林(残り時間は……あと3分!)

果林(アレを使うのは最後の1球だけ)

果林(だから、今私のやることは……)


果林「愛!」ブンッ


パシッ


愛「そこだ!」ブンッ

61: 2021/02/11(木) 20:14:43.16 ID:m2iMhq8+
遥「」パシッ


クリスティーナ「ナイスキャッチ!」ガイヤカラオオゴエ


遥(また内野からのアタック? 確かに2点差で時間がある今、内野から攻めるのがセオリーではあるけど……)

遥(今のアタック、さっきまでと比べて明らかに遅い……。何か企んでるの?)


果林(今はとにかく、私の肩を温めることに専念ね)

果林(……特訓の成果を、充分発揮するために!)

62: 2021/02/11(木) 20:15:39.39 ID:m2iMhq8+



遥「……」ハァハァ


遥(どうして? この2分半、虹ヶ咲は果林さん→愛さんから私に緩いアタックを撃つパターンの攻撃しかしてこない……)

遥(……でも、残り30秒。落ち着いてこのまま逃げ切れば……!)


ツルッ


遥「!」


フワッ


遥(手が滑った! まずい、このパスは……!)


愛「よっと!」ダッ


パシッ

63: 2021/02/11(木) 20:16:08.85 ID:m2iMhq8+
侑「ナイスカット!」

しずく「やはり、限界が近かったみたいですね」

侑「うん。全国的に注目されてるエースとはいえ、流石に9連戦全部一人でアタッカーは無理があるよ」

侑「アタックはほとんど外野から撃つからODAIBAカップではもったんだろうけど、今回は外野からのアタックを上手く封じたし、ひたすら遥ちゃんにボールを渡して、更に球数を増やした」

しずく「引退試合のつもりですから、遥さんも多少無理をしてでも続投しますしね」

侑「残り15秒。さあ、最後の攻撃だよ!」

64: 2021/02/11(木) 20:17:05.92 ID:m2iMhq8+
果林(……)ドクンッドクンッ


エマ「大丈夫だよ、果林ちゃん」オテテニギッ

果林「エマ……」

エマ「果林ちゃんなら出来る。私、信じてるから」ニコッ

果林「……ありがとう」オテテニギリカエシー

65: 2021/02/11(木) 20:17:33.52 ID:m2iMhq8+
歩夢「いくよっ!」

かすみ「愛先輩!」ダッ


遥(左サイドに走った! ここに来てパターンを変えてくるなんて!)


せつ菜「いえ! こっちです!」ダッ


遥(せつ菜さんが右サイドに!? 最後の最後でエースのサイド攻撃! まずい!)

遥(今までの単調な攻撃は、全てこのための布石……!)

67: 2021/02/11(木) 20:25:58.64 ID:m2iMhq8+
遥「右サイドから来ます!」バッ


璃奈「……相手のラインを乱す方法は、パス回しだけじゃない」

歩夢「こんな方法があったなんて……」


愛「せっつー!」ブンッ


遥(え? そっちにせつ菜さんはいない! 暴投!?)


パシッ

68: 2021/02/11(木) 20:28:36.08 ID:m2iMhq8+
果林「――任されたわ」


遥(……! せつ菜さんすらも、フェイク……!)


遥(しまった! せつ菜さんを警戒して、ラインが既に対サイド攻撃フォーメーションになってる! このタイミングで外野右端からのアタックは……!)



侑(……)

侑(みんなすごい、完璧だよ!)

69: 2021/02/11(木) 20:30:08.33 ID:m2iMhq8+
――――
――

数日前、練習


果林「はぁ、はぁ」

侑「お疲れ様! 大分使いこなせるようになってきたね!」

侑「コート内の色んなところに相手内野に見立てたカラーコーンを置いて、ひたすらアタック! 単調だけど中々良い練習でしょ?」

果林「ええ。最初は思ったようにコントロール出来なかったけど、かなり安定してきたわ」ゼーゼー

侑「これ、実は結構初級のアタックテクニックではあるんだけどね。果林さんほどの柔軟性があればやっぱり相当な武器になると思ってたよ!」

果林「それ、褒めてるのかしら?」

侑「もちろん! せつ菜ちゃんもここまでの使い手は見たことないです! って褒めてたよ!」

果林「ふふっ、都内屈指のアタッカーがそう言うなら、光栄に思っておくわ」


――
――――

70: 2021/02/11(木) 20:30:32.05 ID:m2iMhq8+
侑(――X(クロス)アタック)

侑(顔を正面に向けたまま、腰を大きく捻って体の内側方向へ撃つフェイントアタックの一種)

侑(外側に撃つY字アタックと比べて、球速が上がりやすく、制御もしやすい)

侑(右アタッカーが多用するアタックだけど、普通は精々45°程度の角度までしか撃てない)

侑(でも、果林さんの柔軟性なら、ほぼ直角に撃つことすら可能)

侑(つまり――)



果林(今、コート全てが私の射程範囲内――!)クイッ

71: 2021/02/11(木) 20:31:48.53 ID:m2iMhq8+
 
 
 
ギュインッ



ココ「!」バンッ



主審「……!」


主審「な、7番アウト!」ピッ




ビー!




主審「ゲームセット!」ピッピー

72: 2021/02/11(木) 20:32:38.61 ID:m2iMhq8+
かすみ「やったあぁ!!!」

歩夢「ナイスアタック果林さん!」

エマ「果林ちゃん……!」ウルウル


果林「ありがとうエマ、あなたのおかげで勇気が出たわ」


璃奈「果林さん、早く内野に戻らないと」

果林「あ、そうだったわね」ニコッ


タッタッタッ


主審「報告します、東雲3! 虹ヶ咲3!」


クリスティーナ「……引き分け……」



侑「――待ってください!」

73: 2021/02/11(木) 20:36:46.40 ID:m2iMhq8+
「「「!?」」」


侑「クリスティーナさん! ラストですし、Vポイントやりませんか?」ニコッ


クリスティーナ「……!」


※Vポイントゲーム
試合終了時点の状態でジャンプボールから試合を再開し、先にアタックを決めた方が勝者となる。以前はサドンデスゲームと呼ばれていた。


遥「……キャプテン! 私からもお願いします!」


侑(食いついた!)


主審「ええっと……。練習試合ですし、両チームが合意するのなら」


クリスティーナ「……ふふっ」

クリスティーナ「そういう熱いの、嫌いじゃないですよ」クスッ

クリスティーナ「――やりましょう」

74: 2021/02/11(木) 20:38:24.70 ID:m2iMhq8+
 
 
「「「わー!」」」



侑(よし、ここまでは完全に計画通り!)


――――
――


せつ菜「逆転する気がない!?」

侑「うん。内野人数2:6、普通この状況なら、外野からのアタックで少しでも点差を詰めたいよね」

せつ菜「ええ……」

侑「でも、外野を戻して内野が増えると、東雲のサイド攻撃が効力を持ってしまう」

歩夢「そうだね」

侑「そこで、絶対に当て返されないタイミングで外野からのアタックを決める」

かすみ「……ラストアタックってことですね?」

侑「そう。ラスト30秒を切った後にボールの支配権を手に入れたら、パスカウントをリセットしたりゆっくりパスを回したりしながら、東雲が反撃出来ないギリギリまでボールを持ってて」

侑「そして、かすみちゃんとせつ菜ちゃんで相手を揺動する」

侑「当然せつ菜ちゃんのことは東雲の選手も知ってるだろうから、せつ菜ちゃんが攻撃に参加する素振りを見せたら無視できない」

せつ菜「私を意識して相手が陣形を崩すのを狙うわけですね」

75: 2021/02/11(木) 20:40:41.71 ID:m2iMhq8+
侑「そう。この時、果林さんは外野の出来る限り右側にポジションを取って、特に体勢を崩した選手にXアタックを撃つ」

侑「決まれば3:3。遥ちゃんの性格上決着を付けたがるだろうから、すかさずVポイントゲームを持ちかける」

愛「なるほどね、愛さんを内野にしたのは、それもあるんだ」

侑「うん。Vポイントは先攻が圧倒的に有利なシステムだから、愛ちゃんが内野に残っている必要がある。でも、試合中に外野から戻ってこれる保証はないから」

愛「おっけー、必ず残って、必ず取るよ」

侑「頼もしいっ」ニコッ

侑「先攻を取ったら、愛ちゃんのランニングアタックか、ワンタッチからのエマさんの一発アタックで決着を付ける。以上が私のゲームプランだよ」

しずく「すごい……。何だか本当に勝てそうですね!」


彼方「……」


――
――――

76: 2021/02/11(木) 20:44:12.10 ID:m2iMhq8+
クリスティーナ「遥さん!」ガイヤサイドカラコエカケ

遥「?」

クリスティーナ「……好きなようにやりなさい」ニコッ

遥「は……はい!」





主審「ジャンプボール!」


愛「よろしく」テサシノベ

瑞希「今回は負けないよ」ニギッ



ピョン


愛(……!)



遥「……」パシンッ



遥「――いきます!」

77: 2021/02/11(木) 20:44:50.26 ID:m2iMhq8+
侑「取られた!?」

しずく「これは予想外ですね……」

侑「ジャンプボールだけは、今日全勝だったのに……!」

しずく「まずいですね。果林さんはあまりキャッチが得意ではないはずです。狙われたら……」

侑「……私たちは、みんなを信じるしかできないよ……」

しずく「……そう、ですね」

78: 2021/02/11(木) 20:45:36.48 ID:m2iMhq8+
遥「……」ザッ



侑「!」


ザワッ


侑「遥ちゃんが、助走を取った!?」

しずく「左右に動くことはあっても、今まで走り込んで投げるなんて……!」

侑「一体何を……」



遥「お姉ちゃんの……」


タッタッタッ


遥「ばかぁ!」ビュンッ


ドンッ

79: 2021/02/11(木) 20:46:02.68 ID:m2iMhq8+
彼方「ぐっ……」ギュッ



侑「一発アタック!?」

しずく「しかも彼方さんを狙って、真ん中の直球勝負!」

侑「でも、これで攻撃のチャンス! 予定通り愛ちゃんかエマさんに……!」



彼方「……」

彼方「遥ちゃんこそ……」ザッ



侑「彼方さん……?」



彼方「頑固者!」ブンッ



遥「うっ!」ガシッ

80: 2021/02/11(木) 20:46:48.37 ID:m2iMhq8+
愛「ちょっとカナちゃん!?」



彼方「ごめんねみんな。でも……。私、絶対勝つから! お姉ちゃんだもん!」

彼方「……さあ遥ちゃん、本気でおいで!」バッ


遥「!」

遥「私はただ、お姉ちゃんに無理してほしくないのっ!」ブンッ


彼方「無理なんてしてない!」ガシッ

彼方「遥ちゃんのための苦労なら、私はいくらだって!」ブンッ


遥「それをやめてほしいの!」バシンッ

遥「過保護!」ブンッ

81: 2021/02/11(木) 20:47:05.97 ID:m2iMhq8+
彼方「過保護でいいよ!」ドンッ

彼方「遥ちゃんが、大好きだからっ!」ブンッ


遥「! 私だって……!」バァンッ

遥「お姉ちゃんのこと、大好きだもん!」

遥「だから、もっと自分を大切にして、ほしい!」ヒュンッ


彼方「……!」パシッ

彼方「遥ちゃん……」



遥「あれ? えへへ、もう……力が、入らないや」ヘラッ



彼方「――じゃあ、一緒に帰ろっか」ブンッ



バチッ



彼方「……お家に帰ったら、遥ちゃんの大好きな料理を食べながら、ちゃんと話し合お?」ニコッ



遥「……いいね」ニコッ

82: 2021/02/11(木) 20:47:45.48 ID:m2iMhq8+
 
 
主審「……」ウルウル


主審「……8番、アウト! ゲームセット!」




かすみ「か……」



「「「勝ったあああぁぁぁ!!!」」」

83: 2021/02/11(木) 20:51:18.34 ID:m2iMhq8+
※※※


翌日


かすみ「それで、妹さんとはどうなったんですかー?」

彼方「家に帰った後、ちゃんと話し合えたよー」

彼方「とりあえず、ドッジボールは続けてくれるって」

せつ菜「良かったじゃないですか!」

しずく「彼方さんは何か譲歩したんですか?」

彼方「えっとね、彼方ちゃんはひとまず家事を分担しようって提案したんだけどねー……」

歩夢「良いじゃないですか」

彼方「うん。でも、遥ちゃんはアルバイトがしたいらしいのさ」

璃奈「確かに、家事を分担したとしても、週5でアルバイトを掛け持ちしている彼方さんの負担は大きい」

彼方「遥ちゃんも同じこと言ってたよ~」

84: 2021/02/11(木) 20:52:49.51 ID:m2iMhq8+
彼方「でもアルバイトって大変だし、遥ちゃんにはやらせたくないなーって」

果林「アルバイトの大変さを知ってるが故にって感じかしら?」

彼方「そうそう~」

彼方「だから仮にやるとしても、彼方ちゃんが安心できるところでバイトさせたくって」

侑「過保護だね」ニガワライ

彼方「そこに、救世主が現れたんだー」

侑「?」

85: 2021/02/11(木) 20:53:12.28 ID:m2iMhq8+
愛「あっはっは! 救世主だなんて! 飯屋(メシア)だけに?」

侑「ぷっ……くっ……!」

歩夢「え……?」


彼方「遥ちゃんは、愛ちゃんちのもんじゃ屋さんでアルバイトすることになりましたー!」


「「「えええ!?」」」



~VS東雲フェニックス戦~ 完 

86: 2021/02/11(木) 20:54:09.80 ID:m2iMhq8+
※※※



次編予告



侑「大会に出ます!」


部長「控えなんでしょ?」


遥「決勝で会いましょう!」


侑「東雲が超攻撃型だとしたら、藤黄は超守備型……」


璃奈「愛さん、きらい」


愛「り、りなりー?w」


エマ「まずはチーム名を決めなきゃね~」


しずく「理想のプレイヤー……」



次編、~しずくバックスタバー編~

87: 2021/02/11(木) 20:56:12.98 ID:S4uR+T7j
東雲の子達は遥ちゃんが辞めるつもりだったことは知ってたのかな。続けてくれてホッとしてそう

91: 2021/02/11(木) 21:02:49.90 ID:m2iMhq8+
>>87
最初は引き止めましたが、東雲はみんな良い子たちなので、「あの子が決めたことなら……」と最終的には練習試合で全勝して花道を飾ってあげようと考えていたと思います。
……というエピソードをちゃんと入れていける書き手になりたいものです。

88: 2021/02/11(木) 20:56:52.15 ID:m2iMhq8+
東雲編完結です。次回はしずくメイン回の予定です。
しばらく忙しいので、一週間後くらいになるかと思いますが、よろしくお願いします。

89: 2021/02/11(木) 21:00:35.72 ID:m2iMhq8+
今回の補足

実際の試合では、主審は「ボールデッド」や「ゲームセット」をジェスチャーで表現するため、口には出しません。
ショットガンやX(クロス)アタックなどの名称は私が所属していたチームで使われていたものなので、地域やチームによって呼び方は異なります。

90: 2021/02/11(木) 21:02:37.94 ID:S4uR+T7j
おつでした。楽しみにしてる。ルール自体はシンプルだから、選手の動きがどうなってるのかさえイメージできれば
全体の流れがわかりやすくていいね

92: 2021/02/11(木) 21:03:26.95 ID:5dSSHHpN
乙です。
全て読みきれてないので今夜の読書のお供にしたいと思います。
続編楽しみにしてます。

93: 2021/02/11(木) 21:04:30.49 ID:m2iMhq8+
>>92
ありがとうございます。励みになります。

96: 2021/02/11(木) 21:14:36.23 ID:m2iMhq8+
【用語解説】

○ショットガンA
外野2名を両サイドに配置し、アタッカー→外野(サイド)→アタッカー→外野(逆サイド)という風に、高速でパスを回してアタックをする戦術。
相手の内野人数がある程度多く、高速でパスを回せる外野が2名以上いないと使えない。
小学生公式ドッジボールにおいては、10年ほど前に九州地方で流行したが、縦パスが主流となった現在では、その難易度と使い勝手の悪さもあってほとんど見られなくなった。


○ショットガンB
アタッカー→外野(サイド)→アタッカー→外野(中央)の流れ。
ショットガンAに比べて相手内野の移動距離が長く、比較的アタックが成功しやすい。
ただし、最後にアタックを撃つ外野を特定されやすく、カットがいるチームには通用しない場合がある。本編では、宮下ココちゃんの揺動と遥ちゃんの緻密なコントロールがあったため成功した。
こちらは比較的現在も使われている戦術。


○マシンガン(名称作中不出)
カット愛さんを外野に出した後に東雲が使った、全球アタック作戦。
某熊本県代表が全国大会で使用していたが、マシンガンという名称は特に決まっていない。

※作中のポジション・戦術名は、基本的に作者の所属していたチームで使われていた名称です。地域・チームによって違いがあります。

98: 2021/02/11(木) 21:43:02.98 ID:60j2tAmF
>>1
は経験者?

99: 2021/02/11(木) 22:23:28.10 ID:m2iMhq8+
>>98
選手7年、重複して指導者を5年やってます。

100: 2021/02/11(木) 23:05:39.53 ID:m2iMhq8+
おまけ

東雲フェニックス
1 クリスティーナ 外① 76㌔
2 支倉かさね   外② 78㌔
3 吉川瑞希    跳  75㌔
4 神谷理華    受  68㌔
5 結城沙菜    受  70㌔
6 御堂優里    受  69㌔
7 宮下ココ    受  71㌔
8 近江遥     中  73㌔(Rアタック78㌔)
暫定東京都1位の強豪チーム。エース遥の加入により、中堅チームから都内No.1チームに成り上がった。
ドッジボールでは通常、外野を軸に複数の内野アタッカーが攻撃を行うが、東雲は逆に遥が外野的な役割を果たし、元外野2人がサイドを使った多彩な攻撃パターンを繰り出す。
圧倒的な高速パス回しと、全員が外野から帰還できるアタック力が武器の超攻撃型チームである。ボールの支配率が高い反面、守備力に難がある。


ショットガンA
ショットガンB
マシンガン

97: 2021/02/11(木) 21:27:00.46 ID:pXoepSon
乙、面白かったです
こういう相手の戦術をどう破るかみたいな話はスポーツ物の王道って感じで好き

94: 2021/02/11(木) 21:06:37.82 ID:qpj7QxYZ
面白かったー乙
ショットガンかっけえじゃん…とか思ってたら実在したんか!
ジェスチャーとか外野増やすとか色んな戦略があって面白いね

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1613024163/

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