【SS】侑「作ってるの、間近で見てたけどすごかったよね!」璃奈「璃奈ちゃんボードのこと?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

ゆうりなあい SS


3: 2021/02/14(日) 19:14:09.26 ID:QG/vLa4n
侑「そうそう。突貫だったのにしっかりできてたなあって」

侑「今でもライブで大活躍だもん!」

璃奈「あれは、みんなが助けてくれたから」

璃奈「たくさん励ましてくれたから思いつけたし、絶対完成させるんだって頑張れたの」

侑「ちょっとでも力になれてたら嬉しいよ」ニコッ

侑「改めて璃奈ちゃんと愛ちゃんの技術力というか……とんでもなかったなって」

璃奈「そう?」

侑「うん」

侑「目の前でどんどん形が出来てくの、ホントにすっごかった!」

璃奈「組み上げてるとき、ずっと近くで見てくれてたね」


侑「具体的になにが起きてるかは全く分からなかったけど……」

璃奈「専門知識が要るから、それは仕方ないと思う」

4: 2021/02/14(日) 19:15:49.88 ID:QG/vLa4n
侑「『おぉー! 形になってる!』って思ってたんだけど」

侑「その前の段階っていうか……あれはなんていうんだろう」

璃奈「顔認証の設定とか、ディスプレイとの連携のところかな」

侑「それそれ! 多分だけど」

侑「全く知らない分野だから、なにもかも初めて見たようなものばっかりで」

璃奈「……どうだった?」

侑「分かんないけどカッコよかった!」

侑「見たことない画面がいっぱい出てきて、それが全部璃奈ちゃんボードに繋がってるっていうか、反映されてるっていうか……それがすごいなって」

侑「あはは、ド素人の感想だけど」テレ

璃奈「ううん。楽しんでくれてたら良かった」

璃奈「遅くまでの作業だったけど、侑さんのリアクションが良くて頑張れたところもいっぱいある」

侑「賑やかしには自信があるからね!」

5: 2021/02/14(日) 19:17:34.52 ID:QG/vLa4n
璃奈「愛さんと3人でお喋りしながらだったから、最後まで力尽きずに済んだ」

侑「あんまり直接力にはなれなかったから、そういうところで手伝えたなら良かったよ」アハハ

侑「一応画面見たり、3Dプリントしたパーツのやすりがけとかはしてたけど、それくらいだし」

璃奈「そんなことない」キッパリ

侑「!」

璃奈「後ろに流すPVはたくさん意見をもらったし、やすりがけとかそういうのは時間がかかる」

璃奈「映像もボードも、『見る側』としての意見をくれるから、すごく助かった」

侑「そう?」

璃奈「そう」コクッ

侑「……そうかな、ありがとう」

璃奈「こちらこそ。璃奈ちゃんボード『感謝!』」

6: 2021/02/14(日) 19:19:24.50 ID:QG/vLa4n
璃奈「でも、途中で映像に向かってペンライト振り出したときはちょっとびっくりしたかな」

侑「え、私そんなことしてたの?」

璃奈「うん」

侑「こわ……全然覚えてない……」

侑「MVの破壊力と深夜テンションでおかしくなっちゃってたかもしれないね」

侑「あの、ごめん。夜中に騒いじゃって」

璃奈「でも目は覚めたし、それだけいい映像にできたっていうのは伝わったから、嬉しかった」

侑「だったらよかったけど、璃奈ちゃんは私を甘やかしすぎな気もするよ」

8: 2021/02/14(日) 19:21:12.71 ID:QG/vLa4n
侑「今まで機械とかプログラムとか、身近にあるけどあんまり意識してなくってさ」

璃奈「見えるものもあるけど、基本は目に見えないところで色んなものを動かしてるものだもんね」

侑「璃奈ちゃんとか愛ちゃんの話を聞いてると、親しみみたいなのが湧いてきたんだ」

侑「あ、もちろん自分ができるとかは思わないんだけど」クスッ

侑「こういう風にできてるんだとか、なんていうのかな……」

侑「ごめん、言葉がうまいこと出なくて」

璃奈「大丈夫。言いたいこと、なんとなくだけど分かるから」

璃奈「なんだか、嬉しいな」

侑「?」

9: 2021/02/14(日) 19:23:18.85 ID:QG/vLa4n
璃奈「パーツ組んだり、コード書いたり」

璃奈「そういうの、私にとっては勉強以上に……趣味とか、自分の表現でもあるから」

璃奈「分からなくっても親近感を持ってくれるのって、距離が近くなったみたい。嬉しい」

侑「……」

侑「みたいじゃなくて、近いんだよ」ナデナデ

璃奈「……うん」

璃奈「ありがとう」

侑「こちらこそ!」

侑「……」スッ

璃奈「あ……」

侑「!」

侑「……」ナデナデ

璃奈「……♪」

10: 2021/02/14(日) 19:25:45.97 ID:QG/vLa4n
侑「そうだ、こうしてたら思い出したんだけど」

璃奈「なあに?」コテン

侑「璃奈ちゃんの頭のてっぺんの癖っ毛」

璃奈「これ?」チョンチョン

侑「うん、それ! 可愛いよね!!」

侑「合宿でお化けの格好してたとき、布の上からぴょこって出てたの見てさ」

侑「アレってどうなってたんだろうって」

璃奈「仕組みはシンプル。穴を開けてただけ」

侑「え? それ用に?」

璃奈「そう。このくせっ毛用にスリットを作ってあった」

侑「こだわりポイントなんだね」

璃奈「ここが倒れると、全体のバランスがおかしくなっちゃうから」

侑「それも可愛いと思うけど、チャームポイントでもあるもんね」

璃奈「……」リナチャンボード『テレテレ』

侑「かわいいなぁ」ホッコリ

11: 2021/02/14(日) 19:27:36.17 ID:QG/vLa4n
璃奈「え、えっと、そう、これといえば」

璃奈「たまにはんぺんもじゃれてくる」

侑「猫じゃらしみたいに?」

璃奈「そう」

侑「子猫って言ってもそこそこ重いと思うけど……首やられたりしない?」

璃奈「動き回られると少し大変だけど、首がどうにかなるほどじゃない」

璃奈「しっぽが首とか耳に当たると、ちょっとくすぐったいけど」

侑「分かるわかる! もふもふだけど顔周りにくるとこそばゆいよね」

璃奈「侑さん、このあいだ部室でやられてた」

侑「ソファで寝てる間に顔に乗っかられてるとは」

璃奈「その光景もだけど、あそこまでされて気づかない侑さんにもびっくり」

侑「イベントの映像見て夜更かししちゃってたからなぁ」

璃奈「万が一が起こる前に見つけられてよかった」

侑「璃奈ちゃんは私の恩人だね」ナデナデ

12: 2021/02/14(日) 19:29:14.73 ID:QG/vLa4n
侑「その日さ、私が部室に一番乗りで、そのときにはもうはんぺんもいたんだけど」

璃奈「うん」

侑「ぱっと見はんぺんだって分からなかったんだよ」

璃奈「どうして?」

侑「なんかこう……すごく細長くなってて」ミョーン

侑「知らない生き物がいるのかと思ってびっくりしちゃった」

璃奈「確かに、猫は普通に動いてるときと伸びてるときで長さがぜんぜん違う」

璃奈「璃奈ちゃんボード『猫は液体』」ニャーン

侑「あははっ、なんかそれよく聞くよね。猫は水だ! とか」

璃奈「大真面目にそのことについて書いた論文もある」

侑「論文があるの!?」

璃奈「『猫の流動学について』っていう題名」

侑「思ったよりしっかりしてそう」

璃奈「文中に載せられた猫の写真は11枚」

侑「11枚」

13: 2021/02/14(日) 19:30:59.20 ID:QG/vLa4n
侑「ちなみにそれはどういう……?」

璃奈「私もそこまで詳しいわけじゃないから、ざっくり言うね?」

侑「うん! 璃奈ちゃん先生、お願いしますっ」

璃奈「よろしい、では説明します」ドヤ

璃奈「流動学っていう学問分野があって、そこでは固体、液体、気体について一般的な定義がされてる」

璃奈「正確にってなると色んな数式が絡んでくることになるから、すっごく略してみると」

璃奈「固体は、一定の体積と形を保つもの」

璃奈「液体は、体積は一定だけど、容器に合わせて形を変えるもの」

璃奈「気体は、そこにある体積を満たすべく広がるもの」

璃奈「気体は今回関わらないから傍に置く。猫はまず、絶対に固体ではあるよね?」

侑「うん。体積も変わらないし、猫の形も保ってるよね」

14: 2021/02/14(日) 19:32:40.62 ID:QG/vLa4n
璃奈「そう。次に、本題の液体の話」

璃奈「この写真たちを見てほしい」スマホスッ

侑「はんぺんの写真?」

璃奈「何枚かある」

『ダンボールに四角に収まったはんぺん』

『ちっちゃい瓶にみっちり入っているはんぺん』

『洗面台の丸い流し台にまんまるに入っているはんぺん』

『細長い隙間に細長くなりながらハマっているはんぺん』

『土鍋からしっぽだけ出して詰まっているはんぺん』


侑「かわいい~!」

璃奈「分かる。でも今はそこじゃない」

15: 2021/02/14(日) 19:34:58.02 ID:QG/vLa4n
璃奈「この写真……どれもはんぺんが容器に合わせてぴっちりハマってるよね?」

侑「そうだね。びっくりするくらいぴったり」

璃奈「さっきの液体の定義を思い出して」

侑「えっと……『体積は一定だけど、容器に合わせて形を変えるもの』」

侑「!」

璃奈「……分かったみたいだね」

侑「璃奈ちゃん先生……」

璃奈「この定義には、さっきのはんぺんの様子が当てはまる」

侑「ということは……!」ゴクリ

璃奈「猫は固体でもあり、粘度の高い液体でもあるってことになる」

侑「なるほど!」

侑「……なるほど?」ウーン

璃奈「それが正しい反応だと思う」

16: 2021/02/14(日) 19:37:14.80 ID:QG/vLa4n
璃奈「でも、この論文の最後の方は、猫の別の側面にも触れてる」

侑「別の?」

璃奈「こっちはすんなり納得できる話だと思うよ」

璃奈「ストレスを転移させて、吸収できるものとして捉えるべきということが示唆された、って」

侑「うーん……? つまり?」

璃奈「すごく意訳すると、猫をもふもふしてると癒されるよねってこと」

侑「なるほど~!」ペカッ

17: 2021/02/14(日) 19:39:03.19 ID:QG/vLa4n
侑「液体かどうかは置いておいて、はんぺんはすっごく可愛いよね!」

侑「なんだか膝に乗っけたくなっちゃう」

璃奈「侑さんの膝の上、はんぺんもだけどかすみちゃんもよく乗ってるよね」

侑「あぁー、そうだね」

侑「改めてどうこうとかじゃなくて、気づいたら乗せててさ」

侑「不思議だよね」

璃奈「この前ふたりが話してるとこを見てたんだけど」

侑「うん」

璃奈「一瞬目を離した瞬間に乗ってた」

侑「早業だ」

璃奈「乗せてる側の侑さんもだと思う」

18: 2021/02/14(日) 19:40:36.57 ID:QG/vLa4n
璃奈「……」

璃奈「あの……」

侑「どうしたの?」

璃奈「……私も、やってみたい」

侑「乗りたいってこと? 良いよ!」ニコッ

璃奈「ううん、それもいいけど、そっちじゃなくて」

侑「うん?」

璃奈「乗せる方」

侑「そっちかぁ」

19: 2021/02/14(日) 19:42:07.89 ID:QG/vLa4n
侑「えー……うーん、いやどうなんだろ……」

璃奈「私も筋肉がついてきたから、侑さんくらいなら乗せられると思う」

侑「うーん……でも絶対私のほうが重いし」

侑「璃奈ちゃんのこと潰しちゃうかもしれないし、そしたら私も罪悪感で潰れちゃうよ」

璃奈「潰れない。絶対大丈夫」

璃奈「……だめ?」コテン

侑「う」

璃奈「私、どういう気持ちになるのか知りたい」ジッ

璃奈「大丈夫だけど、万が一潰れちゃいそうだったらすぐに言うよ」

璃奈「それでも、やっぱりだめ?」ジッ

侑「……」

璃奈「……」

侑「……い、良いよ」

璃奈「やった」コロンビア

20: 2021/02/14(日) 19:43:47.69 ID:QG/vLa4n
侑(ホントに大丈夫かなぁ)

侑(璃奈ちゃん、背のこともあるけどそれ以上にものすごく細いし)

侑(トレーニングしてるとはいえ、全体重がかかるっていうのは)

璃奈「……」ジーッ

侑(断れない……!)

侑(こんな無垢な目で期待されたら……なんにも断れない!)

侑「し、失礼しまーす……」ソローリ

璃奈「遠慮なくどうぞ。璃奈ちゃんボード『おいでませ』」

侑「……」ストン


侑「うわぁ足細っ!?」

璃奈「!?」ビクゥッ!

21: 2021/02/14(日) 19:45:24.85 ID:QG/vLa4n
侑「あっ、ごめん! 大声出しちゃって」

璃奈「それはいい。けど、大丈夫?」キュ

侑「あまりにも細くてびっくりしちゃった……」

璃奈「そう?」

侑「見た目で思ってたよりもずっと細いよ」

侑「ご飯食べてる? 筋トレも大事だけどその前に栄養摂らないと逆に細くなっちゃうよ?」

璃奈「みんなに言われる。食べてるとは思うんだけど」

侑「それならいいんだけど……重くない?」

璃奈「平気。潰れないよ」

侑「そ、そっか」

22: 2021/02/14(日) 19:47:18.97 ID:QG/vLa4n
侑「……」ソワソワ

璃奈「落ち着かない?」

侑「落ち着かないというか、どうだろう」

侑「あんまりこうして人の膝に乗っかるってなかったから」

璃奈「私も乗せる側ってほとんどないけど、いまは結構落ち着いてる」

侑「そうなんだ」

璃奈「なにかギュッとしてるとほっとするし、侑さんがあったかいから」

侑「人肌は安心するっていうもんね」

侑「そう言われると、私も落ち着かないけど、安心してもいるかな」

璃奈「もう少し、こうしてて良い?」

侑「もちろん。璃奈ちゃんがしたいだけ」

侑「……とは言いたいけど、やっぱり誰かが来るまでかな」テレ

璃奈「わかった。内緒だね」キュッ

23: 2021/02/14(日) 19:49:01.28 ID:QG/vLa4n
~間~

侑「さて、そろそろみんな来──璃奈ちゃん、スマホ光ってるよ?」

璃奈「ホントだ。QU4RTZのグループに通知が来てた」スッスッ

璃奈「少し遅れるから、みんな直接練習場所に行くって」

侑「3年の専科はこの時期いろいろ立て込むからね」

侑「でもかすみちゃんはなんでなんだろう、先生に頼まれごとしたとか?」

璃奈「……この前のテストのことで……」

侑「あぁー……」

璃奈「……」

侑「と、とにかく移動しよっか! 今日はフォーメーションを確認する日だったよね!」

璃奈「うん。たくさんアドバイスをくれると嬉しい」

侑「見る側の視点があると助かるって言ってもらえたんだし、張り切っちゃうよ!」

24: 2021/02/14(日) 19:51:13.10 ID:QG/vLa4n
侑「よし、じゃあ出ぱ──」

璃奈「侑さん」ソデクイッ

侑「?」

璃奈「侑さん、私の頭のてっぺんのくせっ毛、ちょっとつついてみて」

侑「え? こ、こう?」チョンチョン

璃奈「スイッチオン」

侑「?」

璃奈「目的地、虹ヶ咲学園グラウンド」

璃奈「搭乗者は高咲侑。侑さん、肩に手を置いて」

侑「……あははっ、わかった! こうだね」トンッ

璃奈「オーケー。それじゃあ」

25: 2021/02/14(日) 19:52:45.40 ID:QG/vLa4n
璃奈「璃奈ちゃん号、練習場所へ出発!」トコトコ

侑「おー!」トコトコ

おわり

27: 2021/02/14(日) 20:15:42.63 ID:hBgRkXZ9
乙 ほっこりした

28: 2021/02/14(日) 20:19:27.22 ID:d4rVS3K6
こういうの好き

29: 2021/02/14(日) 20:19:50.54 ID:tFC9p+uv
かわいい

30: 2021/02/14(日) 21:50:10.18 ID:lk1LH5yn
ほっこりした

31: 2021/02/14(日) 21:55:34.48 ID:y9UOI2RE
実際短期間でボードを完成させたのはマジですごい

35: 2021/02/15(月) 00:01:43.23 ID:MXHjHTj/
癒し

36: 2021/02/15(月) 03:11:29.20 ID:v289iIhJ
すっごい癒し

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1613297568/

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