【SS】エマ「わたしのこと、ずっと見ていて」【ラブライブ!虹ヶ咲】

エマかりんに抱き着く SS


1: 2020/03/24(火) 00:12:08.36 ID:wK+zZi28
あなた「(朝、部室のお掃除を知らないうちにやってくれていたエマさん)」

あなた「(ずっと任せっきりになっちゃってたお詫び代わりに、その日の部活では練習ノートにエマさんのことをたくさん書くことになった)」

あなた「(『たくさん書くにはたくさん見ないといけない』ってエマさんが言ってた通り、今日の部活ではほとんどエマさんのことを見っぱなしだったなあ)」

あなた「(……そこまでは良いんだけど)」



ー虹ヶ咲学園学生寮・エマの部屋ー

エマ「ふふっ♪ あなたとお部屋でふたりきりって、よく考えたら初めてかもっ」

あなた「(寮の部屋にお泊まりなんて、心の準備が出来てないよ!)」

2: 2020/03/24(火) 00:12:30.50 ID:wK+zZi28
あなエマ短編SS
キズナエピソード14話からイメージした話

3: 2020/03/24(火) 00:13:27.99 ID:wK+zZi28
あなた「(エマさんのルームメイトの人は部活の合宿でいないし……)」

エマ「今お茶を淹れてるから待っててね。果林ちゃんがこの前オススメのオーガニックの紅茶をくれたんだ」

あなた「あ、う、うん! ありがとう、でもそんな気を遣って貰わなくても」

エマ「わたしがしたいから良いの。それに今日のあなたはお客さんなんだから、おもてなしさせて?」

あなた「なら、お言葉に甘えて」

エマ「は~いっ」

あなた「(髪を下ろしてるエマさん、いつもとはまた違った大人っぽさがあるなぁ」

あなた「練習の合間にも見たけどドキドキする……)」

4: 2020/03/24(火) 00:14:06.33 ID:wK+zZi28
エマ「お茶置いて、もう夜だけど、お菓子もちょっぴり……うん、OK! 始めよっか♪」

あなた「うん。練習ノートを見ながら、内容をもっと詳しく話せば良いんだよね」

エマ「ノートを挟んで向き合うのって、なんだか勉強会みたいだね~」

あなた「あははっ、そうだね! これも練習の復習になるから、勉強会っていうのも案外当たってるかも」

エマ「パフォーマンスで気付いたこととか、それ以外にも、あなたが見ていて思ったことを教えてくれれば嬉しいな」

あなた「……なんだかエマさん、テンション高い?」

エマ「そう?そうかもっ」

エマ「あなたがわたしのこと、どういう風に見てくれてたんだろうって、ずっと楽しみだったから♪」

あなた「ハードルが上がっちゃってる気がするよぉ……楽しみにしてくれるのは嬉しいけど」

あなた「っと、本題に入らないとね。今日のページは……」

エマ「あっ、今日の日付があったよ」

あなた「それじゃあ、エマさんのことを書いたところを、一個ずつ見ていこうか」

6: 2020/03/24(火) 00:15:02.52 ID:wK+zZi28
『ターンするときの動きが優雅! 指先を揃えるともっとステキかも』

エマ「これはダンスの練習をしてるときのだね~」

あなた「いつも思うけど、エマさんのダンスはしなやかで優雅~! って感じなんだよね。果林さんにもターンの優雅なやり方を教えるくらいだし」

エマ「そうなんだ?自分ではまだはっきりとはわからないけど……」

あなた「上品なんだけど、親近感があるんだ。癒されながら見てられるっていうか」

あなた「う~ん……感覚を言葉で伝えるのって難しい!」

エマ「ううん、あなたがわたしのダンスをどう思ってくれてるか、ちゃんと伝わってるよ」

エマ「あと、この指先を揃えた方がっていうのは?」

7: 2020/03/24(火) 00:15:40.09 ID:wK+zZi28
あなた「それはふっと思いついた案なんだ」

あなた「Bメロのロングトーンで前に伸ばす手は指先を揃えて、ラストのサビでは開くようにしたら良いんじゃないかなって」

エマ「えーっと……序盤と終盤に出てくる同じ振りのところで差を作るってこと?」

あなた「そうそう! そしたら曲のイメージの、後半に向けて解き放たれてる感が出るかと思ったんだ」

あなた「ここでは『もっとステキかも』って書いてるけど、開くのも揃えるのもステキだって思ってるよ」

エマ「そうなんだ! そうしたら、明日の練習では振りを変えて踊ってみるね」

あなた「でもこれは私の思いつきだから、エマさんがやりたいようにやって良いんだよ?」

エマ「うん。わたしがやってみたい、って思ったからやるんだよ」

エマ「わたし達をよく見てくれてるあなたが言うんだもん」

エマ「きっともっとダンスを素敵に見せられると思うな」

あなた「そ、そうかな」

エマ「うんうん♪」

あなた「わっ、頭」

エマ「撫でちゃ嫌?」

あなた「う、嬉しいけど……!」

あなた「(何回されても慣れないなぁ……顔が熱いよ)」

8: 2020/03/24(火) 00:16:25.74 ID:wK+zZi28
『声の伸びがいつ聞いても最高! ロングトーン前は音を抑えめにしようかな』

あなた「練習って分かってても、エマさんの歌にはいつも聴き入っちゃうよ」

エマ「歌うのが大好きだから、そう言ってくれると嬉しいな~」

あなた「ずっと聴いてられるし、心があったまる感じがして好きだなぁ」

エマ「わたしは、あなたの歌も好きだよ?」

あなた「えっ、私?」

エマ「ボランティアのときにみんなで歌ったり、駅前でも一緒に歌ったりしたでしょ?」

あなた「でも、あのときは子どもたちとか、駅のときも最後は大合唱になってたし……」

エマ「それ以外にも、練習中にアドバイスしてくれるときにワンフレーズ歌ったり、仮歌があなたの声のときもあるもん」

あなた「仮歌は……学科の声楽コースの子に頼んだりしてるけど、日程とか音域が合わないときは、確かにそうしてるね」

あなた「(エマさんみたいに歌が上手な人にじっくり聴かれてたのは恥ずかしい……!)」

9: 2020/03/24(火) 00:17:15.31 ID:wK+zZi28
エマ「今度、あなたの歌を聴いてみたいな~」

あなた「わ、私がひとりで歌うの?」

エマ「普段そういう機会ってあんまりないでしょ? カラオケでもみんなの歌を聴いてる方が多いし」

あなた「(いつもコールとかブレード振るのが楽しくて歌うのを忘れてるとは言えない……)」

あなた「(そもそも人前で歌う経験を積んでるみんなの前で歌うのはハードル高いし)」

エマ「……だめ?」

あなた「うっ……か、考えておくね」

エマ「楽しみにしてるね♪」

あなた「(駄目だ! こんな目で見られたら断れないよ!)」

10: 2020/03/24(火) 00:18:49.74 ID:wK+zZi28
『ちょっとキリッとした顔、ギャップがあって良い!→できれば演出に入れる?でも自然に出る方が…』

エマ「わたし、そんな顔してた?」

あなた「確か練習の合間かな。譜面を確認し直す時の表情が印象に残っちゃって」

あなた「エマさんって笑顔の印象が強いから、ドキッとしたんだ」

エマ「そうなんだ~」

エマ「ちょっとやってみようかな……どう?」

あなた「ん、ふふっ……! 今のは無理やり感があってかわいくなっちゃってる」

エマ「あ、あれ~?」

あなた「ノートに書いた通り、これは演出でやるより自然に出た方が良いものなんだろうね」

あなた「エマさんが思う通りのステージをやってる中で、それでもそういう表情になっちゃったなら、それはそれでOK! って程度かな」

11: 2020/03/24(火) 00:19:20.57 ID:wK+zZi28
エマ「ちょっぴりそういう方向も興味があったけど、難しいね」

あなた「あ、そうなの?」

エマ「果林ちゃんとか、せつ菜ちゃんとか、ああいう風にみんなで熱くなるステージも素敵だな~って見てて思うから」

あなた「みんなの長所を伸ばしていく方針だけど、興味があるならそっちも試してみていいと思う!」

あなた「全部変えちゃうんじゃなくて、例えばセトリに一曲入れるとか、演出の工夫とか、やれることはいっぱいあるからね」

エマ「でも、さっきの表情はあんまり上手くいかなかったみたいだから」

エマ「かっこいい、っていうのはわたしのジャンルじゃないのかなあ」

あなた「……そんなことはないと思う」

12: 2020/03/24(火) 00:19:50.92 ID:wK+zZi28
エマ「?」

あなた「さっきは笑っちゃってごめんね。でも、練習中で見た表情以外にも、エマさんのかっこいいところはたくさんあるよ」

あなた「なんていうのかな……見た目とかじゃなくてね。生き方っていうと大げさだけど」

エマ「……?」

あなた「小さい時に見た夢を追いかけて、言葉も全然違う遠い国に一人で来るって、やっぱりすごいことだよ」

あなた「それくらい真っ直ぐ、夢に向かってる姿って……かっこいいなって思う」

あなた「エマさんも、同好会のみんなも、私から見たらみんなかっこいい存在だよ」

あなた「だから、真剣な表情がふっと見えると、ついドキドキしちゃうというか……」

エマ「そう思ってくれてたんだね。嬉しいな」

エマ「あなたってしっかりしてて、頼りになるから……そんな人にかっこいいって思われてると、もっと嬉しくなっちゃう」

あなた「……そっか」

エマ「すぐ照れちゃうところとかはかわいいけどね~♪」

あなた「え、エマさん~!」

13: 2020/03/24(火) 00:21:07.52 ID:wK+zZi28
『髪を解くとまた雰囲気が変わる! 表情と一緒に切り替える演出とかアリかも→やるなら新規向けより既存の層の方が良い?』

エマ「これは?」

あなた「書いてある通り、さっきの表情の話とも繋がるんだけどね」

あなた「髪を下ろしたエマさんって、いつもより大人っぽい感じがするんだ」

あなた「新規云々っていうのは、初めてエマさんを見た人より、ある程度知ってる人の方がギャップに驚くんじゃないかってこと」

エマ「三つ編みのイメージが定着してる人……今まで応援してくれてる人向けのイベントでやった方が良いってことかな?」

あなた「そもそもステージで解くかっていうところからだけど……」

エマ「わたし、やってみたいかも! サプライズみたいに、みんな驚いてくれるかな~?」

あなた「ファンミみたいなイベントのときが良いかもね! いつもと違う姿って、特別感があってドキッとしちゃうし」

エマ「そしたら、今はどう?」

14: 2020/03/24(火) 00:21:44.49 ID:wK+zZi28
あなた「えっ?」

エマ「わたし今、髪を下ろしてるよ」

あなた「そ、そうだね?」

エマ「……どうかな、あなたはドキドキしてる?」

あなた「それはもちろんドキドキす……──!?」

エマ「……」

あなた「(エマさんが机の向こうから乗り出してきて……!?)」

あなた「(か、顔が近くに! ちっか! うわ美人! 知ってるけど! めちゃくちゃ良い匂いする!)」

エマ「教えて欲しいな~♪」

あなた「する! すごくしてるから! うぅっ、この距離はずるい!」

15: 2020/03/24(火) 00:22:08.92 ID:wK+zZi28
『いつもより飛ばし気味? キレが良いけど、息が上がるのもちょっと早いような。要:練習ペースを一緒に考える』

エマ「確かに、今日はちょっといつもより頑張っちゃったかも」

あなた「一生懸命なのは良いけど、ちょっと心配になっちゃったんだ」

あなた「エマさんのことだからペース配分も考えられるとは思うんだけど……」

あなた「同好会のみんな、イベント前とか不安なことがあると結構ハードな練習をしちゃいがちなんだよね。何か心配なところとかあった?」

エマ「不安というか……えっとね」

あなた「もし私に相談出来ることなら、教えてほしいな」

エマ「イベントが近いから、っていうのもあるんだけど……」

あなた「うん……?」

16: 2020/03/24(火) 00:22:31.24 ID:wK+zZi28
エマ「えへへっ、今日はあなたがいっぱい見てくれるから、張り切っちゃったの」

あなた「──っ!」

あなた「(これは反則では!?)」

17: 2020/03/24(火) 00:23:07.80 ID:wK+zZi28
エマ「それでこんなにいっぱい書いてもらえたから、頑張って良かったよ~」

あなた「でっ、でも、無理とかしちゃダメだからね」

エマ「体を壊しちゃったら意味ないもんね。気をつけます♪」

あなた「(笑顔でこの返事。エマさん、時々こういうことあるよね……敵わないなあ)」

エマ「ふふっ♪」




ーしばらく後ー

あなた「なんだか私が喋りっぱなしになっちゃってるけど、大丈夫?」

エマ「大丈夫! これからの練習の参考になるし、なによりとっても楽しいから」

あなた「そう? それなら良いんだけど」

エマ「あなたの言葉を聞いてると、もっともっと頑張ろうって思えるんだ。もっと色々聞かせてほしいな~♪」

あなた「え、ええと、他にはね──」

…………

……


18: 2020/03/24(火) 00:23:40.84 ID:wK+zZi28
あなた「──今日の分はこれで終わりかな」

エマ「本当にいっぱい見てくれてるんだね。嬉しいな♪」

あなた「喜んでくれて良かった。これでお詫びになるかは分からないけど……」

エマ「朝も言ったけど、気にしなくていいのに~」

あなた「でも、練習を見て浮かんだイメージとかを共有できたのは良かったね」

あなた「面と向かっては流石に言いにくい感想とかも、思ったより冷静に伝えられたし……」

エマ「わたしも、あなたがどういう視点でわたしを見てくれているか分かって嬉しかったよ~」

あなた「私に出来るのは、作曲とイベント申し込み以外だとこれくらいだからね」

あなた「(みんなはワガママっていうけど、こういう風に色々お願いしてくれると、自分にもできることがあるって安心するな)」

19: 2020/03/24(火) 00:24:05.45 ID:wK+zZi28
エマ「──違うよ?」

あなた「へっ」

エマ「今までも、何度も、わたし達は伝えてきたでしょ?」

エマ「あなたは仲間で、必要で、なくてはならない人なんだって」

あなた「エマさん……?」

エマ「隣、行くね」

あなた「え、うん」

エマ「……」

あなた「(真剣な顔……)」

20: 2020/03/24(火) 00:24:54.18 ID:wK+zZi28
エマ「ねえ、前にあなたは、必要だって言って欲しいって、わたしに伝えてくれたよね」

あなた「……う、うん」

エマ「わたしも、おんなじ気持ちだよ。聞いてくれる?」

あなた「!」

エマ「わたしの夢には、わたしには、あなたが必要だよ」

エマ「あなたの『大丈夫』って言葉は最高のおまじない。あなたの存在が癒しで、道しるべなの」

あなた「(手……握られて)」

エマ「言って欲しいな。あなたの夢には、わたしが──エマ・ヴェルデが必要だって」

あなた「エマさん……」

エマ「あなたが主役の、あなたの夢を、わたしも一緒に叶えていきたいの」

エマ「ね、どうかな?」

あなた「……!」

あなた「もちろん……もちろんだよ!」

あなた「私、もっともっとエマさんを支えたい! 輝かせたい! エマさんの一番そばで! だから……私の夢には、エマさんが必要だよ!」

エマ「うん♪」

エマ「わたしのこと、これからもずーっと見ていてね」

21: 2020/03/24(火) 00:25:26.93 ID:wK+zZi28
あなた「(──それから)」

あなた「(部室の掃除は当番制になったけど、他の番でもお手伝いをしたり、逆にお手伝いをしてもらったりで、朝の部室に色んな組み合わせで集まることが増えた)」

あなた「(それでもたまに、エマさんとふたりになることもあって)」



エマ「今日はあなたとふたりなんだね」

あなた「う、うん」

エマ「それじゃあ……明日のお昼はどうかな?」

あなた「分かった。時間、空けておくね」

あなた「(そんな日の練習では、エマさんのことをたくさんノートに書くのが、私たちの暗黙の了解になった)」

あなた「(しょっちゅうお泊りというわけにもいかないから、時間が空けられるときに内容を一緒に見るのも了解のうち)」

あなた「(……そこまでは良いんだけど)」

エマ「ねえ、あなた」

あなた「エマさん?」

22: 2020/03/24(火) 00:25:56.15 ID:wK+zZi28
エマ「──秘密の“デート”、楽しみだね♪」

あなた「~~!!」

あなた「(こんな風に表現されるのは、未だに全然慣れないよ~っ!)」


おしまい

23: 2020/03/24(火) 00:26:14.22 ID:wK+zZi28
エマ「……」

エマ「……ふふ♪」

ほんとにおしまい

24: 2020/03/24(火) 00:27:48.86 ID:wK+zZi28
読んでくれた人がいたらありがとう

短編書いて慣れてこうと思ってやってみたけど、長編書ける人ってすごいね

26: 2020/03/24(火) 00:45:24.54 ID:8u3eji9E
乙です キズナエピソードから膨らませた話いいね
誰推しかは分からないけどエマちゃんの事をすごくちゃんと考えてるなって伝わってきた

27: 2020/03/24(火) 00:46:44.69 ID:Gl8Mhgfc
健全なあなエマもいいぞ~

29: 2020/03/24(火) 00:57:20.09 ID:WKySGsJE
すばらしい

33: 2020/03/24(火) 01:35:24.55 ID:AqlUQC0b

あなたちゃんのアドバイスが細かくリアリティがあってイイネ!

32: 2020/03/24(火) 01:18:46.61 ID:VBpR/ja/
こういう路線のあなエマ大好き

31: 2020/03/24(火) 01:11:57.07 ID:mVWH4ES2
めっちゃ良かったです

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1584976328/

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