【SS】侑「ゆう子って呼んでみない？」【ラブライブ！虹ヶ咲】

───ある日の部室───


かすみ「うああん！しず子おおお！勉強教えてえええ！」

しずく「もう、今日は何を教えて欲しいの？」

かすみ「世界史いぃ！ボニファティウス8世憤死事件のインパクトが強すぎて、もう先生の話全然頭に入ってこなかったの！」

しずく「その出来事そんな名前じゃないから…。というか、こないだも似たようなこと言ってなかった？」

かすみ「こないだのは張作霖爆〇事件だよ！」

しずく「どうしてそう物騒な名前にすぐ気を取られちゃうの…？」

かすみ「だって、憤死と爆〇だよ！絶対普通の死に方じゃないじゃん！穏やかにしねないなんて可哀想だよ！」

しずく「かすみさんが優しいのは分かったから、勉強の時はもう少しだけドライになろうね？」

かすみ「ええ、しず子あっさりしすぎ」

しずく「冷たい人だと思った？」

かすみ「ううん、しず子は良い人だよ。だって、もう勉強頼むの8回目なのに付き合ってくれるもん」

しずく「かすみさんに教えると、私もついでに復習できて都合が良いだけ」

かすみ「しず子～、素直になりなよ～。本当は可愛いかすみんに頼られて嬉しいって」

しずく「もうかすみさんったら。はいはい、嬉しいよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

かすみ「ん゛も゛お゛おお！しず子おおおお！！」




侑「…………」ｼﾞｰｯ

───またある日の部室────


かすみ「うわああん！りな子おおお！部室のパソコン壊しちゃったよおお！」

璃奈「かすみちゃん大丈夫。これブラクラ。ただのいたずらだよ」

かすみ「えー！ウイルスじゃないの！？なんか画面が動き回ってて気持ち悪いよお！」

璃奈「落ち着いて。これはだいぶ軽いのだから、タスクマネージャーを開いて───」ｶﾁｶﾁ

璃奈「はい、直ったよ」

かすみ「もう直ったの！？ありがとおお！りな子天才だよ！」

璃奈「えっへん 从||*¯꒳¯*||从」

璃奈「でも、今どきブラクラ踏む人がいるなんて。かすみちゃん、変なページ開こうとしなかった？」

かすみ「し、してないよ！『人気スクールアイドルのあーんな姿やこーんな姿♡』なんてページ、全然開こうとしてないよ！」

璃奈「開こうとしたんだ…从||ㆆ_ㆆ||从」

璃奈「そういうのは釣りの典型。かすみちゃんはまんまと罠にかかったんだよ」

かすみ「ぐぬぬ…。かすみんの純情をもてあそぶなんて…」

璃奈「でも、慌てて私を頼ってくるかすみちゃん、可愛かった」

かすみ「こんなの全然可愛くないよお！」

璃奈「ううん、可愛い。 从cι˘＞△＜˘* な顔してて。くすっ 」

かすみ「ん゛も゛お゛おおお！りな子おおおお！！」




侑「……………」ｼﾞｰｯ

───そしてまたある日───


かすみ「ううぅ！ゆうせんぱーい！今日、宿題家に忘れて先生に怒られちゃいましたぁ～！」

侑「もう、かすみちゃんてば。大変だったね。よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

かすみ「でへへ～///」

侑「これからは気をつけないとダメだよ？」

かすみ「はーい♡」

侑「……………」

かすみ「……あれ？先輩どうしました？」

侑「先輩……かあ」

かすみ「ん？侑先輩はかすみんの先輩じゃないですか」

侑「───かすみちゃん、ためしに私のこと、『ゆう子』って呼んでみない？」

かすみ「ええっ！？なんですかいきなり！？」

侑「かすみちゃんは同級生の名前に子を付けて呼ぶでしょ？」

侑「しずくちゃんと璃奈ちゃんを見てたら、私も呼ばれたいなー、って」

かすみ「こ、これはクセみたいなもので深い意味は無いんですけど…」

侑「でも私には、親しみが込められてるように見えたんだよね。壁が無いっていうか」

かすみ「かすみんは別に、侑先輩との間に壁を感じてませんよ？先輩って呼ぶのは、かすみんなりの尊敬の証です！」

侑「うん、それは嬉しいよ。けどね、調べてみると私と同じこと考えてる人がいたみたいでさ」

侑「例えば、秋葉原のとあるスクールアイドルグループは、遠慮や壁を無くすために先輩禁止令を出してたし──」

侑「沼津の内浦のとあるスクールアイドルは、グループの上級生で1人だけ『ちゃん』じゃなく『さん』呼ばわりなのが寂しかったって話もあるみたいだよ」

かすみ「あっ、その話聞いた事あります！」

かすみ「かすみんたちは基本ソロですし、あまりがっちり上下関係を意識する機会も無かったですからねえ」

かすみ「──もしかして、先輩も寂しいんですか？」

侑「うーん、ちょっぴり」

侑「もし私が1年遅く生まれてたらなー、なんて思っちゃって」

かすみ「くふふ、先輩もそんな可愛いこと考えるんですね♡」

侑「あはは、かすみちゃんの可愛さには敵わないよ」

かすみ「う゛っ……///」

かすみ「ま、まあ？かすみんは可愛いうえに優しいので、先輩のお願い聞いてあげなくも無いですよー？」

侑「本当！？やったー！ありがとうかすみちゃん！」ﾀﾞｷｯ

かすみ「わ゛あ゛あ！先輩、いきなり抱きつかれるとびっくりしちゃいますぅ！///」

侑「今の私は先輩じゃなくて、ゆう子だよ！」

かすみ「え！？もう、始まってるんですか！？」

侑「そうだよー。ゆう子って呼んでくれるまで離さないっ！」

かすみ「そ、そんなこと言われたら、かすみん呼べなくなっちゃいます///」

侑「え？じゃあ、もーっとぎゅってしちゃうよ？」ｷﾞｭｩｯ!

かすみ（あわわわわ!!///）

かすみ（だ、ダメ！/// このまま抱きしめられたら…かすみんの気が持たなくなっちゃうぅ///）

かすみ（先輩をゆう子って呼んであげなきゃ…！）

かすみ（──で、でも…いくら先輩が望んでるといっても、いきなり『ゆう子』呼びはどうなの！？）

かすみ（ああ、けどここで呼ばなきゃ、かすみんが壁を作ってることにもなっちゃうぅ）

かすみ（うう、……なら！）

かすみ「先輩///いきなりゆう子って呼ぶのは、ちょっとハードル高いです！」

侑「さっきはお願い聞いてくれるって言ったのに」

かすみ「さ、最後には必ず呼びます！だから、少しずつ段階を踏ませて下さい！」

かすみ「ゆ、ゆ……」

かすみ「ゆうちゃん……先輩///」

侑「！！」



侑（ゆうちゃん…先輩！！？？）

侑（なんだろう…。ゆう子じゃないし、先輩って呼ばれてるのは相変わらずだけど──）


かすみ「い、今はこれでいいですか？ゆうちゃん先輩？」


侑（かすみちゃんに『ゆうちゃん』って呼ばれるの…良い！）

侑（ちょっとこそばゆいけど、親しみが増した気がする！）

侑（それに──）


かすみ「も、もう///なにか反応してください！かすみんこれでも頑張って勇気出してるんですよ！」

かすみ「ゆうちゃん先輩！///」


侑（こんな私のわがままのために頑張ってくれるかすみちゃん……）


侑「──可愛い…」

かすみ「へっ！？///」

侑「今の呼び方、すっごくときめいたよかすみちゃん！」

かすみ「ほ、ほんとですか！」

かすみ「えへへ、かすみん頑張った甲斐がありました！」

侑「かすみちゃんの可愛さに免じて、今はそれで許してあげる」

かすみ「うう…///なら、そろそろ離してください…///」

かすみ「かすみん…身体が熱くなって…あ、汗だくになっちゃいます///」

侑「あ、ごめんごめん！暑苦しかったよね！」ﾊﾞｯ

かすみ「い、いえ…///」

侑「ふふっ、なんだか初めてかすみちゃんの自己紹介を見た時と同じくらいときめきを感じたよ」

かすみ「え？」

かすみ「えへへぇ♡そうですかあ？♡」

かすみ「そこまで褒めてくれるんでしたら、もーっと呼んであげちゃいます！」

かすみ「ゆうちゃん先輩♡」

侑「あーん、可愛い！」

かすみ「ゆうちゃんせんぱーい♡」

侑「わはあっ！♡」

かすみ「ゆうちゃーん♡」

侑「え？」

かすみ「あっ…」

かすみ「…えっと、ご、ごめんなさい…。調子に乗りました…」

侑「…………」

かすみ「………」

侑「…………」

かすみ「ゆうちゃん………せんp──」

侑「待って」

侑「そのまま、ゆうちゃんって呼んで」

かすみ「ゆ…ゆうちゃん……」

侑「───ごめんね」

かすみ「え？」

侑「先輩外したかすみちゃんが、あんまり可愛いから、びっくりして言葉が出なかった」

かすみ「ふえっ！///」

かすみ「も、もう！///やめてください！かすみんがびっくりしちゃいました！」

侑「あはは、だからごめんって言ったじゃん」

かすみ「ゆうちゃんは時々ずるいんですから！」

侑「うんうん、もう自然とゆうちゃんて呼んでくれてるね」

かすみ「んもう！ゆうちゃん！」

侑「あっ、その怒り方、ちょっと歩夢っぽい！」

かすみ「からかわないでください！もう、ゆう子って呼んであげないですよ！」

侑「ああっ、それは勘弁して！」

かすみ「まったく…。かすみんをからかった罰です。お願いを聞いてくれるまで、また侑先輩に戻しちゃいます！」

侑「お願い？」


かすみ「……」


かすみ「かすみんのこと、『かすみ』って呼んでみてほしいです…」

侑「呼び捨て？『かすみん』じゃなくて？」

かすみ「『かすみん』も嬉しいんですけど──」

かすみ「その…歩夢先輩が侑先輩に呼び捨てされてるの、ちょっと羨ましいというか…」

侑「うーん、歩夢とは長い付き合いだから、自然と呼び捨てになっただけなんだけど」

かすみ「うう、けど！歩夢先輩にだけ特別な感じに見えるんです！」

かすみ「───さっきも怒ったかすみんを歩夢先輩ぽいとか言うし」ﾎﾞｿｯ

侑「え？」

かすみ「な、なんでもないです！とにかくです！」

かすみ「かすみんも……侑先輩の特別になりたいんです……！」

侑「…………」


かすみ「…………」


侑「……………」


かすみ「……………先輩？」

侑「──ふふっ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

かすみ「へ？頭撫でてどうしたんですか？」

侑「かすみは本当に可愛いな」

かすみ「ふえっ！///」

侑「ごめんね。変な提案しちゃって」

侑「やっぱりかすみは、私を先輩と慕ってくれるほうが可愛いよ」

かすみ「しょ、しょしょしょ、しょんな…！///か、かすみんが可愛いのは当たり前ですけど！///」

かすみ「かすみんこそ、いじわるなお願いしてごめんなさい！」

侑「ううん、かすみは悪くないよ」

侑「こんなに可愛い子の魅力を奪おうだなんて、どうかしてた」

侑「ゆう子って呼んでくれなくても───」

かすみ「私は、いつもどおりのかすみが好きだよ」


ｷﾞｭｯ


かすみ「ふええっ///ゆ、ゆゆ、ゆうしぇんぱい……///」

かすみ（ええっ！な、ななな、なにこの侑先輩！///）

かすみ（呼び捨てにして、ってお願いしただけなのに雰囲気まで変わってない！？）

かすみ（こんなの、かすみんとろけちゃいそうだよお///）


かすみ（──けど）

かすみ（──良いなあ、歩夢先輩 ）


かすみ（いつもこんなふうに侑先輩に、呼び捨てにされてるなんて）

かすみ（やっぱり侑先輩にとって、あの人は特別）

かすみ（呼び方だけじゃなくて、普段のやりとりから分かっちゃいます）

かすみ（かすみんの見ているこのかっこいい侑先輩は──）

かすみ（きっと夢や幻かなにかですよ）

侑「かすみ」

かすみ「は、はい…///」

侑「私は、歩夢だけが特別ってわけじゃないよ」

かすみ「え？」

侑「かすみも、私をときめかせてくれた──特別なスクールアイドルなんだからね」

侑「このときめきは、かすみとの大切な宝物だよ」

かすみ「ゆ、ゆう……せんぱい…」





この人の中には、いつも──どんな時も歩夢先輩がいると思ってた。

それはきっと間違いじゃないけれど──

だからといって、かすみんを特別に思ってくれてないわけじゃないよね。

呼び方の問題じゃ、なかったんだよ。



侑先輩───かすみんにとっても、

先輩は、特別な人です♡

かすみ（くふふっ、それは別にしても、先輩に『かすみ』って呼ばれるの、良いなあ）

かすみ（侑先輩に呼び捨てさせたのは、あなただけじゃないですよ！歩夢先輩！）

かすみ（それじゃ、次はかすみんが、侑先輩のお願いを叶える番ですね！）










かすみ「ねえ、ゆうk───」

侑「──う、ううっ……」

かすみ「う？」

侑「うわああああああ───っ！」

侑「かっこよくキメたつもりだけど、もう我慢の限界！ごめん、かすみちゃん！！」ﾜｼｬｼｬｼｬｼｬｼｬーー！

かすみ「う゛わ゛あ゛あ゛っ！なんでそんな急に頭撫で回すんですか！髪がくしゃくしゃになっちゃいますぅ！」

侑「だって！あんな可愛いセリフでお願いされて、私、もうときめきを抑えるので大変だったんだから!!♡」ｷﾞｭｳｳｳｯ!!

かすみ「わ、わかりましたから！/// またそんなに抱きしめられると、かすみん沸騰しちゃいますからあ！！///」

侑「ああん！かすみちゃん、そーゆーところも可愛いYOOOO！♡♡」

かすみ「ん゛も゛お゛おお！！ゆう子おおおお！！」

侑「うわっはあい♡かすみちゃんから『ゆう子』って呼ばれたああ！♡♡」

かすみ「もおおお！これっきりですからねぇえ！」







なんて思わず言っちゃったけれど───


「えへへ、かすみちゃんだーいすき♡」


こんなに無邪気に喜ぶ先輩が見られるなら───

これからもたまに、『ゆう子』って呼んであげようかな？

さっきの侑先輩は、やっぱりかすみんの見た幻だったのかも。

かっこいい先輩も良いけど、この人はこうでなくちゃ、です♡

いつもいーっぱい可愛いと言ってくれて──

先輩らしくて、尊敬できるところもあるけれど──

かすみんと同い歳に見えるくらい、可愛いところもある人

そんな侑先輩が──

かすみんも大好きです♡








おわり

ときめいちゃった

めちゃくちゃ良かった
満足度がすごい

乙！
ゆうかすはお互いがふにゃふにゃになるのほんと好き！！

あなかす、ゆうかすは体に良いんだよなぁ
乙

おつおつ
最高すぎた