【SS】果南「死んでしまったな~ん」【ラブライブ!サンシャイン!!】

かなん SS


1: 2018/08/16(木) 19:22:17.78 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「……なんなんです突然」

果南「だから死んじゃったんだってば」

ダイヤ「だからっていきなり来て……今何時だと思ってるんです?」

果南「午前2:35分……あ、今36分になった」

2: 2018/08/16(木) 19:27:30.75 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「…………」

果南「どうしたのダイヤ? 不機嫌そうな顔して」

ダイヤ「それはこんな時間にいきなり起こされたら不機嫌にもなります」

果南「えー、せっかく親友が会いに来たのにそんな言い方は酷くない?」

ダイヤ「だから時間と言うものを考えて……」

果南「でも、早く来ないといつ成仏しちゃうか分かんないし」

3: 2018/08/16(木) 19:36:56.44 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「……そういうものなんですか?」

果南「うん、たぶん」

ダイヤ「たぶんって……」

果南「だって私、死ぬの初めてだからわかんないよ」

ダイヤ「それはそうかもしれませんが……」

果南「でしょ? でもなんとなくあんまり時間がないってのは分かるんだよ」

7: 2018/08/16(木) 19:47:36.04 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「……足はありますのね」

果南「ああ、これ? うん、そーなんだよね~。幽霊になったら足がなくなるって嘘みたい」

ダイヤ「まあ、幽霊に足がないと言うのは日本独自の言い伝えらしいですしね」

果南「そーなんだ」

ダイヤ「でもちゃんと宙には浮いていますのね」

果南「うん。結構、飛ぶのは簡単だよ。なんて言うか感覚的に飛び方が分かるって言うか」

ダイヤ「壁もすり抜けられますの?」

果南「うん。ほら」

ダイヤ「まぁ……」

果南「へへ~凄いでしょ」

8: 2018/08/16(木) 19:54:25.11 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「それで……なにか御用ですの?」

果南「ええ~、御用って……せっかくダイヤに会いに来たのになんか冷たくない?」

ダイヤ「私はまだ眠いんですよ」

果南「良いじゃん、ちょっとくらい相手してくれてもさ~。でも、深夜のダイヤの家って静かで暗くてなんか怖いよね。
おばけ出そう……」

ダイヤ「おばけなら私の目の前にいますが」

果南「え!? やだやだ怖いどこぉ~!?」

ダイヤ「…………」

10: 2018/08/16(木) 20:05:46.88 ID:DD/3aZuX
果南「あ、おばけって私のことか……あはは」

ダイヤ「まったく……死んだばかりだと言うのにこんな所に居ていいのですか? ご家族の方の元に居た方が……」

果南「あ~、うちの家族みんなシクシク泣いちゃってさ~。お通夜みたいな空気でなんだか見てらんなくて」

ダイヤ「それはそうでしょう……」

11: 2018/08/16(木) 20:12:04.07 ID:DD/3aZuX
果南「それにダイヤならもう起きてるかなって」

ダイヤ「いくら私でもこんな時間に起きたりしません!」

果南「あはは、そうだよね。海の家の時も時間通りに来なかったしね」

ダイヤ「おやすみなさい」

果南「わー、ダイヤ寝ないでよー!」

12: 2018/08/16(木) 20:22:58.85 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「昔の事をいつまでもいつまでも……」

果南「あはは、死んでも忘れなかったね」

ダイヤ「そんなくだらない話をする為にわざわざ来たのですか? どーでもいい事ばかり覚えてて……」

果南「ねえ、仏間にあった食べ物食べていい?」

ダイヤ「人の話をお聞きなさい!」

15: 2018/08/16(木) 20:29:07.74 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「って言うか食べ物を食べますの? 幽霊って」

果南「んー……わかんないけど……お腹が空く訳でもないんだけど、美味しそうな物を見ると食欲がわく?
様な気がする様なそうでない様な……」

ダイヤ「なんだかよく分かりませんわね……」

果南「まあ、とりあえずちょっと行ってくるね」

ダイヤ「あ、ちょっと……はぁ。仏壇の食べ物は貴女にお供えしてる物じゃありませんわよ」

16: 2018/08/16(木) 20:39:07.12 ID:DD/3aZuX
果南「ただいま~」

ダイヤ「おかえりなさい。どうでした? 食べれました?」

果南「うん。すっごく美味しかった!」

ダイヤ「まあ!? 本当にたべましたの!?」

果南「本当にって言うか……実際には食べた訳じゃないけど、お供え物の前に居たら食べた気になった。
味もちゃんとしたよ。幽霊の食事ってあんな感じなのか」

ダイヤ「まあ……ではお供えと言うものは本当に意味のある物ですのね」

果南「うん。だからダイヤ。私のお墓参りの時は新鮮な海の幸をたーっくさん用意してね!」

ダイヤ「ええ。最高級のワカメを山程用意いたしますわ」

果南「まあそれでも良いけどさ……」

17: 2018/08/16(木) 20:49:10.33 ID:DD/3aZuX
果南「あ!」

ダイヤ「なんですの?」

果南「そういえば千歌に本を借りっぱなしだった! ダイヤ、私の部屋の本棚に入ってるから今度代わりに返しといて!」

ダイヤ「そんなの……貴女から千歌さんに直接、本の場所を伝えれば良いのではないですか?」

果南「それが……多分ダメなんだよね」

ダイヤ「え?」

果南「たぶん、千歌とはこうやって会話出来ないんだよ。なんて言うか波長? みたいなものが
幽霊になったら分かってさ。それが合う人間としかこうして話せないって感覚的に分かるんだよ。
千歌とは多分合わない。家族とすら無理。
ダイヤとは合うってなんとなく死んですぐに分かった。だからこうしてダイヤに会いに来たんだよ」

ダイヤ「まあ……でも一体なぜ……」

果南「ふふ……何だかんだ言ってもダイヤと鞠莉は私にとって一番長い付き合いの親友だからね。
それで波長が合うのかも」

ダイヤ「果南さん……」

果南「もしかしたらダイヤも棺桶に片足突っ込んでるからかもだけど」

ダイヤ「祓いますわよ?」

18: 2018/08/16(木) 20:58:16.99 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「でも、鞠莉さんとも波長が合いそうなのですか?」

果南「うん、多分」

ダイヤ「では鞠莉さんにもこれからご挨拶に?」

果南「そのつもり……でも鞠莉って外国でしょ? 上手く鞠莉の所に行けるかな……迷子になりそう」

ダイヤ「幽霊でも迷子になりますの……」

果南「あ、飛行機に乗って行った方が確実かな!?」

ダイヤ「幽霊が飛行機……」

20: 2018/08/16(木) 21:06:41.49 ID:DD/3aZuX
果南「でも鞠莉の居る場所はなんか感覚で分かるから多分大丈夫! 自力で行く!」

ダイヤ「そう言うものなのですか……でも時間が掛かるんじゃありませんの?」

果南「それも大丈夫だと思う。この体って本気出せば凄いスピードで飛べるんだよ。ここに来る時も一瞬でこれたし」

ダイヤ「そうなんですか……」

21: 2018/08/16(木) 21:10:23.83 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「それにしても元気のよろしいことで……本当に死人ですの?」

果南「まあ、一応」

ダイヤ「私、体力自慢の果南さんは100歳くらいは軽く生きると思ってましたわ」

果南「そうだよねー。私も同級生3人の中で一番最初に死んじゃうとは思ってなかったよ。
ハッキリ言ってダイヤが一番最初だと思ってたし。でも、憎まれっ子世にはばかるとも言うからな……」

ダイヤ「お供え物は最高級の梅干で良いですわね」

果南「ひどい!」

ダイヤ「どっちがですか!」

22: 2018/08/16(木) 21:14:48.11 ID:DD/3aZuX
ダイヤ「……まったく、幽霊のくせに生き生きしてますわね貴女は」

果南「そう? でも、そうかも。まだ死んじゃった実感がないからかな?」

ダイヤ「果南さんの人格の問題だと思いますが……」

果南「どーいうこと?」

ダイヤ「別に……果南さんらしくて良いと言っただけですわ」

果南「へへ……そうかな。でも……そうだな。まったく何にも未練が無いって訳でもないけど……
充実した人生だったって思えるからかな」

ダイヤ「…………」

23: 2018/08/16(木) 21:19:42.33 ID:DD/3aZuX
果南「これまでの人生……辛い事や悲しい事もいっぱいあったけど……それ以上に楽しくて幸せな充実した
人生だったって思える。中でも一番の思い出は……やっぱり高校時代のあの時だけど!」

ダイヤ「果南さん……」

果南「どーでもいい事ばっかりじゃないよ。あの時の事は全部ハッキリと覚えてる。私達が一番輝いていた時間……」

果南「あの最高の瞬間の思い出があったから……そのあとの人生もずっと前向きに生きられた。
Aqoursのみんなには本当に心から感謝してる!」

ダイヤ(……私もですわ。果南さん)

果南「なんか久しぶりに歌いたくなっちゃったな! 一曲歌おうか!」

ダイヤ「今からですか!?」

果南「うん! ひーらいた~花の香りから~……」

24: 2018/08/16(木) 21:27:06.35 ID:DD/3aZuX
ーーーーーーーーー

果南「……ミーライへ向かおう~♪」

ダイヤ(結局30分くらい歌いっぱなしですわね……)

ダイヤ(でも……あの頃と同じこの歌声を聴いていると、まるであの時に戻った気分になりますわ……)

果南「うーん、やっぱり歌うのって楽しいね! ねえねえ、今度はダイヤも一緒に歌おうよ」

ダイヤ「そんな事をしたら流石に家人が起きてしまいますわ」

果南「え~……」

ダイヤ「それに今の私では昔の様には歌えませんし……」

果南「大丈夫だって!」

ダイヤ「でも……」

果南「お願い……」

ダイヤ「うぅ……仕方ありませんわね。一曲だけですわよ」

果南「やったあ!」

25: 2018/08/16(木) 21:32:14.89 ID:DD/3aZuX
ーーーーーー

ダイヤ「ふぅ……」

果南「ダイヤの歌声すっごく良かったよ! まだまだ全然イケるじゃん!」

ダイヤ「そんなお世辞はいりません」

果南「お世辞じゃないって……あの頃に戻った気分だよ」

ダイヤ「果南さん……」

果南「鞠莉ともこんな風に一緒に歌えるかな」

ダイヤ「ええ……きっと」

26: 2018/08/16(木) 21:39:23.60 ID:DD/3aZuX
果南「あ、でも!」

ダイヤ「え?」

果南「鞠莉に『シャイニー!』なんて輝く笑顔で挨拶されたら歌う前にその場で成仏しちゃうかも!?」

ダイヤ「ぷっ……ふふふ、あっはははは!」

果南「あ、なによダイヤー! でも、やっと笑ったね!」

ダイヤ「貴女に長い時間付き合ってたせいで眠気も飛んでいきましたからね。ほら、外をご覧なさい」

果南「あ、朝日が昇ってる!」

ダイヤ「まったく、こんな時間まで付き合わせてくれて……」

果南「ふふ、ゴメンね。でも楽しかった。ありがとう!」

ダイヤ「果南さん……」

27: 2018/08/16(木) 21:45:10.95 ID:DD/3aZuX
果南「さて、時間もあんまりないしそろそろ鞠莉の所に行くね」

ダイヤ「ええ……」

果南「ダイヤ……」ギュウ

ダイヤ「か、果南さん!?」

ダイヤ(感じる……果南さんの温もりを確かに……)

果南「それじゃあ一足お先に向こうに行くけど……天国で待ってるからまた会おうね。
バイバイ、ダイヤ!」

ダイヤ「まって、果南さん!……行ってしまいましたね。まったく、相変わらずマイペースな人なんですから」

ダイヤ(本当に……あの頃と変わらない)

29: 2018/08/16(木) 21:58:22.69 ID:DD/3aZuX
熟女「あの……失礼します」

ダイヤ「どうぞ」

熟女「……お義母様、おはようございます。どなたかとお話になられていた様ですが……」

ダイヤ「あ、あぁ、ごめんなさい。電話をしてまして」

熟女「そうでしたか……」

ダイヤ「ああ、そうだ……すみませんが後で喪服の用意をしておいて貰えますか?」

熟女「喪服を……どなたかのご不幸が?」

ダイヤ「ええ……大切な友人が……」

女「まあ、それは……わかりました用意しておきますね」

ダイヤ「ええ、お願いします」

33: 2018/08/16(木) 22:03:43.47 ID:DD/3aZuX
ダイヤ(貴女が高校生の頃の姿に戻って現れるからすっかり私もあの頃に戻ったと錯覚してしまう
所でしたわ。……今はもうすっかりおばあさんなのに……私も貴女も)

女「お祖母様、おはようございます」

ダイヤ「ええ、おはよう」

幼女「ひぃおばあちゃまあ! おはようございます!」

ダイヤ「まあ、メノウ。おはよう、今朝はずいぶん早起きですね」

幼女「うん! なんだかすごく楽しいお歌の夢をみてね。おめめ覚めちゃったの!」

ダイヤ「まあ、そうなの」

34: 2018/08/16(木) 22:08:53.34 ID:DD/3aZuX
女「お祖母様……ご友人が亡くなられたとか……」

ダイヤ「ええ……古くからの友人がね……」

幼女「なくなった?」

ダイヤ「そう。私のお友達が天国に行ってしまったの」

幼女「天国って……?」

ダイヤ「遠い……ずうっと遠い所よ」

幼女「そーなんだ……悲しいねぇ……」

ダイヤ「悲しい……」

ダイヤ(そうですわよね……普通なら悲しい筈なのに。まったく、死んだばかりだと言うのに
騒がしくて悲しむ暇も与えてくれないのですから)

35: 2018/08/16(木) 22:11:33.77 ID:DD/3aZuX
ダイヤ(でも、悲しむ必要はないのですよね果南さん。貴女はあんなにも元気いっぱいなのですから)

ダイヤ「大丈夫ですよメノウ。私のお友達は天国でもきっと元気に暮らしている筈ですから」

幼女「ほんとー? よかった!」

ダイヤ「そうだ。せっかく早起きしたのですから散歩にでも行きましょうか。朝の空気はとても
気持ちいいですよ」

幼女「お散歩!? うん行く! ひぃおばあちゃまとお散歩!」

ダイヤ「では、顔を洗って準備してらっしゃい」

幼女「うん!」

36: 2018/08/16(木) 22:14:23.55 ID:DD/3aZuX
女「お祖母様……」

ダイヤ「大丈夫ですよ本当に。暗いのは嫌いな明るい太陽の様な人だったからくよくよ悲しんで
いても嫌がるでしょうし」

女「そうですか……」

ダイヤ(私も……長い間生きて色んな事がありました。出逢いや別れを繰り返し……歳を重ね、

可愛い子や孫、ひ孫にも恵まれ……今はとても幸せな余生を過ごしています)


幼女「ひぃおばあちゃまぁ! 準備出来たよ!はやくはやく!」

ダイヤ「はいはい、今いきますよ」

ダイヤ(でもやはりあの時の思い出は私にとっても格別な物。あの時があったから今のこの幸せな
時間があると確信を持って言えますわ)

ダイヤ「私はもう少しこちらに留まりますが……いつかそちらでまた9人揃って歌える日が来るのを……
楽しみにしていますわ」


その時が来るまで……しばしのさようならです。

私の大切な親友……。

37: 2018/08/16(木) 22:15:03.18 ID:DD/3aZuX
おわり

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1534414937/

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