【長編SS】半沢直樹「国立音ノ木坂学院の再建?」【ラブライブ!スクスタ】

ラブライブーアニメーμ's AqoursーSS


1: 2020/09/21(月) 09:15:39.17 ID:hJ+eZv0A
頭取「ああ」

頭取「やってくれるか?半沢次長」

半沢「…」

半沢「…はい」

半沢「…かしこまりました」

頭取「そうか」

頭取「頼んだぞ、半沢」

2: 2020/09/21(月) 09:16:24.53 ID:hJ+eZv0A
ガチャ…

大和田「お~、半沢くん」

大和田「随分と険しい顔をしているね~」

半沢「…あなたですね?大和田さん」

半沢「この案件を私に押しつけたのは」

大和田「おほほほほぉー」

大和田「おーしつけただなんてとんでもない!!」

大和田「これは頭取肝入りの案件でねぇ」

大和田「悔しいがねぇ…半沢くんの銀行マンの腕は確かだ」

半沢「…」

大和田「君の腕があれば、あの国でさえもいなしてしまうだろうからねぇ~」

半沢「国!?国とおっしゃいましたか!?」

大和田「まぁ、そんなことは調べればすぐに分かることだ」

大和田「せいぜいがんばりたまえ、半沢くん」

半沢「…」

3: 2020/09/21(月) 09:16:37.91 ID:hJ+eZv0A
細かいツッコミは無しにしていただきたい

5: 2020/09/21(月) 09:30:13.87 ID:hJ+eZv0A
■ 居酒屋

渡真利「それで音ノ木坂学院の再建を任されたってわけか」

半沢「ああ、そうだ」

渡真利「どうなんだ?いけそうなのか?」

半沢「…まだなんとも言えないが」

半沢「来週から2週間、徹底的に音ノ木坂を調査する」

半沢「判断はそこからになると頭取にも説明している」

渡真利「そうか」

渡真利「ん…あれは」

半沢「どうした?渡真利」

渡真利「あのテレビに映ってるのって文部科学省の白井大臣だよな?」

半沢「ん?ああ、そうだな」


白井『私たち文科省は、国立音ノ木坂学院の再建に踏み切ることに致しました』


半沢「!?」

渡真利「おいおい…まじかよ?」


アナ『具体的にどうされるのですか?』

白井『国で専用のタスクフォースを立ち上げ再建に取り組みます』

白井『また、音ノ木へ融資している銀行各社へは、ぜひ債権放棄をお願いしたいと考えております』


半沢「さ…債権放棄だと!?」

6: 2020/09/21(月) 09:30:36.06 ID:hJ+eZv0A
書き溜めが無いのでスローペースでの投稿になりそうです

11: 2020/09/21(月) 10:09:47.55 ID:hJ+eZv0A
渡真利「債権放棄って…」

渡真利「今うちが貸してる金っていくらなんだよ」

半沢「…」

半沢「…500億だ」

渡真利「500億ぅ!?」

半沢「ああ、そうだ」

渡真利「それを全てチャラにしろっていうのかよ!?」

半沢「大和田が手を回した案件だからどういうことかと思ったが」

半沢「まさかこんな状況になっているとはな…」

16: 2020/09/21(月) 10:19:36.48 ID:hJ+eZv0A
■ 東京中央銀行

大和田「くっくっく…これは楽しみですねぇ~」

チラッ

頭取「ああ、大和田くんじゃないか」

大和田「頭取!!」

頭取「音ノ木の件、半沢次長に伝えさせてもらったよ」

大和田「はぁ!!ありがとうございます頭取!」

頭取「感謝など結構だ」

頭取「500億の損害は東京中央銀行にとって、大変大きな損害になる」

頭取「今や音ノ木は社の命運を握っていると言っても過言ではない」

大和田「ごもっともであります!!」

大和田「ですが心配はご無用です!頭取!!」

大和田「『半沢次長の責任』の下、指揮を取りましたらば」

大和田「必ずや音ノ木は自立再建できることでしょう!!」

頭取「ああ、期待しているよ」

19: 2020/09/21(月) 10:30:20.05 ID:hJ+eZv0A
ちなみに時系列は、μ'sが9人揃った直後くらいです

24: 2020/09/21(月) 10:51:14.82 ID:hJ+eZv0A
■ 音ノ木坂

南「以上が当校の財務状況になります」

半沢「なるほど…想像以上に厳しい状況ですね」

南「はい…」

半沢「自立再建への道は…時にはかなり厳しい決断を迫られるかもしれません」

南「…」

半沢「…ですが」

半沢「不可能じゃない」

南「…!!」

半沢「私は過去に瀕死の高等学校を再建した経験があります」

半沢「文科省の強行施作に頼ることなく」

半沢「私と一緒に頑張っていただくことはできませんか?」

南「はい!!できることならなんでもやります!!」

半沢「ありがとうございます」

半沢「南理事長のご覚悟、しかと受け止めました」

南「他になにかできることはありませんか?」

半沢「それでは御校の学業やその他活動についても」

半沢「資料等があれば見せていただけませんか?」

南「ええ、こちらの棚になります」

半沢「ありがとうございます」

25: 2020/09/21(月) 10:52:57.95 ID:hJ+eZv0A
今更ですが、半沢直樹のネタバレが存分に含まれていますので、ご注意ください

29: 2020/09/21(月) 11:01:34.40 ID:hJ+eZv0A
南「こちらが最後の資料になります」

半沢「なるほど…」

南「いかがでしょうか?」

半沢「そうですね…何かもう少し…」

半沢「……」

半沢「…ん?」

半沢「そちらの机に置かれている2枚の書類は?」

南「ああ」

南「これは当校の学生が先日持ってきた入部届です」

半沢「拝見してもよろしいですか?」

南「ええ、どうぞ」

半沢「ありがとうございます」

31: 2020/09/21(月) 11:02:30.70 ID:hJ+eZv0A
半沢「…」

半沢「…アイドル研究部…ですか」

南「ええ」

半沢「研究ということは…実際には活動はされていない?」

南「前まではそうでした」

南「しかしながら、最近メンバーが増え」

南「スクールアイドルとして活動し始めたんです」

半沢「…そうですか」

半沢「こちらの部活動についても何か資料はありませんか?」

南「あるにはありますが…」

南「まだ…大会にも出たことはありませんし…」

南「それでも大丈夫でしょうか…?」

半沢「問題ありません」

南「わかりました、こちらへ」

33: 2020/09/21(月) 11:13:20.55 ID:hJ+eZv0A
半沢「……なるほど」

半沢「……」

南「ど…どうかされましたか…?」

半沢「……」

半沢「……できあいのメンバーで…スクールアイドル…ですか」

南「…」

半沢「…今や社会的現象となったスクールアイドルですが」

半沢「その世界は恐ろしく険しく厳しい…」

半沢「…何の経験もないメンバーが揃ったところで」

半沢「……太刀打ちできる可能性は…非常に少ないでしょう」

南「…」

半沢「……」

半沢「……どうでしょう?」

半沢「こちらのアイドル研究部ですが」

半沢「他校から新メンバーを補充する…というのは」

南「!?」

34: 2020/09/21(月) 11:14:12.20 ID:hJ+eZv0A
半沢「そうすることにより核ができ、上を目指せるかもしれません」

南「……」

南「……」

南「……そ…それは」

半沢「南理事長」

半沢「よくお考えになってください」

南「……」

半沢「今言った条件が…我が行からの支援条件だと言ったら…」

半沢「…どうされますか?」

南「……」

南「……」

南「それは…」

半沢「……」

半沢「……それでは私はこれで帰ります」

南「……待ってくださいっ!!」

36: 2020/09/21(月) 11:16:24.10 ID:hJ+eZv0A
半沢「ということは応じていただける…と?」

南「…い…いえ!!」

南「それは断じてできません……!!!」

半沢「……」

南「……確かに当校のスクールアイドルは…μ’sは…」

南「無名で…経験不足かもしれません…」

南「ですが…」

南「……μ’sは」

南「…μ'sはこの9人でμ’sなんです!!」

南「それだけは譲れません!!!」

半沢「……」

半沢「……」

半沢「……」

半沢「……」

半沢「」ニッコリ

半沢「南理事長」

南「えっ…」

半沢「そのお気持ち、大事にされてください」

南「…!!」

39: 2020/09/21(月) 11:27:17.33 ID:hJ+eZv0A
半沢「μ’sの動画…見せていただきました」

南「…」

半沢「これは素晴らしい…!!」

南「…」ビクンッ!!

半沢「…私も長く女子校を見てきましたが」

半沢「こんなにも素晴らしいスクールアイドルは見たことがありません!!」

半沢「まるで手作業で作られたかのような境遇を持った9人だ!!!」

南「は…はぁ」

45: 2020/09/21(月) 11:53:55.56 ID:hJ+eZv0A
半沢「高坂穂乃果さん…」

半沢「人を惹きつける…カリスマ性とでも言えばいいのでしょうか」

半沢「9人いても尚輝いています」

南「はぁ」

半沢「絢瀬絵里さんは、ロシアでは常にバレーコンクールの上位だった過去があります」

南「そ…そうなんですね」

半沢「西木野真姫さんは作曲の才能が素晴らしく」

半沢「園田海未さんの素直な詩ととてもマッチしています」

南「…」

半沢「星空凛さんのバネと運動神経はスクールアイドルとしては全国レベルですし」

半沢「小泉花陽さんの歌声は個性が強いメンバーの歌声に見事な調和を与えています」

南「…そうですか」

半沢「牽引する対になる存在として、9人を包み込む包容力を持った東條希さん」

半沢「…それに…秋葉原のカリスマメイドまでいますし」

半沢「いや…『元』と言った方がいいのでしょうか」

南「誰ですか…?」

半沢「そして…矢澤にこさん」

半沢「彼女は…スクールアイドルNo.1ユニットへ花束を贈る強かさを持ち合わせています」

南「…なぜそれを?」

半沢「以前再建した高校に訪れた際に、少し名前を見たものですから」

南「お詳しいんですね…」

46: 2020/09/21(月) 11:55:04.58 ID:hJ+eZv0A
半沢「南理事長」

半沢「ご協力ありがとうございました」

半沢「御校の概要を掴むことができました」

南「そんな、礼には及びませんよ」

南「半沢さん」

半沢「それではこれより2週間の間」

半沢「御校を視察させていただきます」

南「はい、よろしくお願いいたします」

47: 2020/09/21(月) 11:55:47.18 ID:hJ+eZv0A
ナレ『国立音ノ木坂学院の再建を任された半沢は』

ナレ『2週間の間、徹底的に音ノ木坂学院の実態を調べあげたのであった』

ナレ『調査の際、アイドル研究部を訪れた半沢であったが…』

48: 2020/09/21(月) 11:58:35.85 ID:hJ+eZv0A
半沢「ん…?」

半沢「アイドル研究部の部室はここのはずだが…?」

乃原「ああ?」

乃原「あんた…東京中央の」

半沢「半沢直樹です」

乃原「あー、聞いてるよ」

乃原「音ノ木の自立再建目指してるんだって?」

半沢「そうですが」

乃原「無駄なことを」

半沢「…それにしても、こちらは?」

半沢「文科省肝入りの音ノ木坂再建タスクフォース乃原リーダー」

乃原「ああ、この場所なんだが」

乃原「タスクフォースの作業場所にさせてもらったよ」

乃原「あと屋上もな」

半沢「…アイドル研究部の部室と学校の屋上が…作業場所…?」

乃原「ああ」

半沢「………妙ですね?」

乃原「なにがだよ」

半沢「ここはまだしも…雨ざらしの屋上が作業場所とは!!」

乃原「!?」

半沢「屋上に机やパソコンを置いて…雨が降ったらどうするんですか?」

乃原「…ふん、その時は傘でもさしながらやるさ」

半沢「何か…故意的なものを感じますが」

乃原「はっ!!無駄な詮索はよせよ!!」

乃原「ほら!!どけっ!!邪魔なんだよっ!!」

半沢「………」

67: 2020/09/21(月) 20:01:43.95 ID:hJ+eZv0A
■ 半沢家

花「じゃあその部員に会えずに帰ってきたってこと?」

半沢「ああ」

花「ふーん」

半沢「どうしたんだよ、花ちゃん」

花「…」

花「…なんか直樹らしくないなーって思って」

半沢「そんなことないさ」

半沢「時間も時間だったし、まだ2週間ある」

半沢「じっくりやろうと思ってるだけだよ」

花「…そう?」

半沢「ああ」

半沢(部室が一時的に『女子更衣室』に移されたから迂闊に入れない、なんて…)

半沢(花ちゃんに言えるわけないしな)

68: 2020/09/21(月) 20:05:08.74 ID:hJ+eZv0A
花「あ~!そんなことより直樹!!」

半沢「!?」ゴホッゴホッ

半沢「ど…どうしたの…花ちゃん」

花「なに?なんかやましいことでもあるの?」

半沢「そんなわけないだろ…」

半沢「急に大きい声あげるからビックリしただけだって」

花「今秋葉原に通ってるんでしょ?」

半沢「ああ」

花「実はその近くに『穂むら』っていう有名な和菓子屋があるんだって~」

半沢「ふーん」

半沢「それで?」

花「それで、じゃないわよっ!!」

花「次の連休にね?婦人会でお茶会があってさ」

花「そのお店のお饅頭を差し入れするって言っちゃったんだよねぇー」

半沢「言っちゃったって」

花「直樹お願い!!明日買ってきて!!」

半沢「…別にそんな気を使うことないって」

半沢「たかが夫人同士のお茶会だろ?」

花「はぁ!?」

花「気使うわよっ!!」

花「誰のためを思ってやってあげてると思ってんの!?」

花「その振る舞いで直樹たちのポジションに影響する可能性だってあるんだからね!?」

半沢「わ…わかったよ…」

半沢「買うよ!買うよ!買ってきますよ!!」

花「ふふーん」

花「よろしくね~直樹♪」

72: 2020/09/22(火) 05:38:33.27 ID:MWu+QDe6
■ 翌日@音ノ木

田島「一通りはざっと校内に目を通せましたね」

半沢「ああ、そうだな」

半沢「田島はどう思う、この学校のことを」

田島「次長と一緒にこの学校を俯瞰してきましたが」

田島「……正直、厳しいんじゃないかと思います」

田島「財務状況は悪化の一途を辿っていますし」

田島「学業でも部活動でも特に秀でた功績を残しているわけではない」

田島「正直…先は暗いと考えています」

半沢「そうか」

田島「…」

半沢「俺はそうは思わない」

田島「え?」

半沢「この数日、お前とは少し違う視点でこの学校を見ていた」



パサッ…

半沢「」スタスタスタ

半沢「ハンカチ、落とされましたよ?」

ミカ「えっ?」

ミカ「あ、ありがとうございます!!」

フミコ「あははっ、ミカはドジだなー」

フミコ「本当にありがとうございました」

73: 2020/09/22(火) 05:40:20.16 ID:MWu+QDe6
ヒデコ「あっ!!もしかして銀行の…えーっと」

半沢「半沢直樹と申します」

ヒデコ「は…半沢さん!」

ヒデコ「私たち…この学校が大好きなんです!!」

ヒデコ「だから…本当によろしくお願いします!!」ペコッ

フミコ「私たちが協力できることならなんでもしますから」

ミカ「うんっ!!」

半沢「はは、それは心強いですね」

半沢「何かあれば是非相談させて下さい」

ヒデコ「はい!」

半沢「我々も全身全霊で頑張らせて頂きます」

「「「よろしくお願いします!!」」」

タッタッタ…



半沢「確かにこの学校は瀕死状態だ」

半沢「だが…腐っちゃいない」

田島「……!!」

半沢「この数日、生徒・学校関係者の学業・仕事への取り組み方を観察していた」

半沢「経験上、潰れていく学校は関係者の覇気が無くなっていく」

半沢「挨拶なんてする気も起こらない」

半沢「だが、音ノ木坂は違う」

半沢「生徒が、先生が、サポート人員が」

半沢「それぞれに学校を良くしたい、学校生活を楽しむと心の底から思っている」

半沢「そういう学校は……まだまだ復活できる」

74: 2020/09/22(火) 06:15:29.54 ID:MWu+QDe6
■ 理事長室

半沢「まだ細かい部分は残っているものの、大半の視察が完了しました」

南「ありがとうございます」

半沢「あとは…アイドル研究部を残すのみです」

南「申し訳ありません…」

南「タスクフォースに急に部室を取り上げられバタバタしてしまって…」

南「女子更衣室の一角くらいしか空きが無かったものですから…」

半沢「いえ、致し方ありません」

半沢「しかし更衣室の狭さでは…」

半沢「ミーティングはできたとしても、まともに練習は出来ないでしょう」

南「それも問題ではあるのですが…実は…」

半沢「?」

南「先日、ラブライブ運営から通知がありまして」

半沢「ラブライブ…スクールアイドルの全国大会ですね」

半沢「μ'sも参加予定とお聞きしています」

南「ええ、そのはずだったんですが…」

南「この通知書…ご覧いただけますか」

半沢「ありがとうございます」

半沢「……」

半沢「!?」


半沢『今大会における御校の参加を』

半沢『見送りとさせて頂く』



半沢「こ…これは一体…!?」

南「分かりません…問い合わせても見送るの一点張りで…」

南「現在我が校は悪い意味で世間の注目の的になっています」

南「その飛び火が移らないように…とのことでしょうか…」

半沢「……」

半沢(……ラブライブ運営)

半沢(…何かが引っかかる)

82: 2020/09/22(火) 10:32:19.76 ID:MWu+QDe6
■ 音の木坂 校庭

田島「それで、どうしましょうか」

田島「次長」

半沢「まずはなんとしてもμ’sに接触を図りたい」

田島「しかし…さすがに女子更衣室は…」

半沢「わかっているさ」

半沢「そこで応援を頼もうと思う」

田島「応援?」

半沢「ああ、頼れる後輩ってやつさ」


タッタッタ

浜村「部長!!」

半沢「おー浜村」

半沢「元気でやっているか?」

浜村「はいっ、おかげさまで順調ですっ」

半沢「それはなによりだ」

田島「こちらの方は?」

半沢「ああ、こいつは俺が東京セントラル証券に勤めていた時の部下だ」

浜村「浜村瞳と申します」ペコッ

田島「あ…ああ、これはご丁寧に」ペコッ

田島「私は現在の半沢次長の部下でして、田島春と申します」

半沢「浜村は以前、新システム導入時や電脳の案件で、熱心に動いてくれてな」

半沢「まだまだ若いが強い信念と正義感を持っている、信頼できる女性だ」

浜村「ふふっ、部長にそう言ってもらえて嬉しいです」

83: 2020/09/22(火) 10:33:26.19 ID:MWu+QDe6
浜村「それで、お願いとは何でしょうか」

半沢「ああ、概要はざっくり伝えた通りだ」

半沢「この写真に映っている9人」

半沢「現在スクールアイドルとして精力的に練習に励んでいると聞いている」

半沢「この子達が現状どのような活動を行っているかを知りたい」

半沢「そこで、お前に女子更衣室に入って見てきてもらいたいんだ」

半沢「また、可能なら今後俺とコンタクトを取れるようにしてもらいたい」

浜村「女子更衣室はあの部屋ですね?」

半沢「ああ、そうだ」

半沢「聞いた話によると、更衣室の1区画が彼女達専用に確保されているらしい」

浜村「わかりました」

浜村「そういうことでしたら、お安い御用です」

84: 2020/09/22(火) 10:34:34.57 ID:MWu+QDe6
田島「あの…」

半沢「どうした、田島」

田島「一応…このことは南理事長にお話しておいた方が…」

半沢「………」

半沢「……いや」

半沢「……今はやめておこう」

田島「…どうしてですか……?」

半沢「………なんとなく…だ」

田島「…はぁ」

半沢「すまんが浜村、このあと運動系の部活動が動き出す時間だ」

半沢「更衣室が混み合うとお前が目立ってしまう」

浜村「わかりました」

半沢「もし何かあったら携帯で知らせてくれ」

半沢「少しでも怪しいと思うことがあれば、すぐに出るように」

浜村「はい」

85: 2020/09/22(火) 10:35:45.63 ID:MWu+QDe6
■ 女子更衣室

キー…

バタン…

浜村「……とりあえず今は誰もいないみたい」ホッ

浜村「まっ、バレても先生を装えばいいかな」

浜村「スーツ着てるし」


浜村「それにしても結構広い」

浜村「女子校の更衣室だしね」

浜村「部長の言う通りだと、この時間はμ’s…だっけ?」

浜村「μ’sが活動してる時間帯のはずだけど…」

浜村「活動スペースは…どこなんだろう」


(10分後)


浜村「見つからない…μ’sはいったいどこに…」

浜村「…あっ…こんなところに細い廊下があったんだ」

浜村「でも…広さ的にここはないかな?」

浜村「…」

浜村「…ん?」

浜村「…えっ…こんなところに…入口が…」

浜村「…あれ…?でも…?」

86: 2020/09/22(火) 10:36:58.93 ID:MWu+QDe6
■ 校庭

ピピピピピッ…


半沢「浜村からだ!!」


ピッ


半沢「どうした?浜村?」

浜村『今…μ’sがいるらしき部屋を見つけたのですが…』

半沢「よくやったっ!」

浜村『ですが…電子ロックがかかっていて…』

半沢「電子ロック!?」

半沢「なぜわざわざ更衣室内に……」

浜村『部屋と電子ロックの機械の写真を撮ったので送ります』

半沢「わかった」

半沢「ありがとう、浜村」

半沢「もう帰ってきてくれていい」

浜村『わかりました』

87: 2020/09/22(火) 10:42:31.57 ID:MWu+QDe6
タッタッタ…

浜村「写真届きましたか?」

半沢「あーばっちりだ浜村、よくやった」

浜村「えへへっ」

半沢「しかし…一体これは…どういうことだ」

田島「まるで…誰かが何かを隠しているようですね…」

半沢「ああ…」

田島「しかし…これからどうすれば」

半沢「……」

半沢「……電子ロック」

半沢「………相談に乗ってもらうか」

田島「どこにですか?」


半沢「Spiralの瀬名社長だ」

88: 2020/09/22(火) 10:44:02.90 ID:MWu+QDe6
半沢「彼の会社はIT企業で、セキュリティのコンサルも手掛けている」

半沢「特にあの会社には凄腕のハッカーがいてな」

半沢「名前は確か…こ…こ…」


浜村「高坂圭さんですっ!!!」


浜村「あっ…」

浜村「えっと…その…」

半沢「ああ、そうだ。高坂さんだ」

半沢「……高坂」

田島「確かμ’sのリーダーの苗字も高坂でしたね」

半沢「…ああ」

半沢「まぁいい」

半沢「それより瀬名社長の連絡先は………」

ピッ

94: 2020/09/22(火) 20:17:50.28 ID:MWu+QDe6
■ Spiral本社

半沢「こちらが…お話しした電子ロック機器の写真です」

瀬名「なるほど」

瀬名「これをリモートから操作して、ロックを解除すればいいってことか」

半沢「はい…可能でしょうか?」

瀬名「事前に頂いていた機種名から機器の仕様を調べました」

瀬名「パスワードは6桁の英数字」

瀬名「パスワードクラックを使えば解除は可能かと思います」

半沢「パスワードクラック…」

半沢「以前…黒崎が用いていた手法か」

瀬名「問題はどのようにリモートから入るか…ですね」

瀬名「そちらについては、現在高坂に検討してもらっています」

半沢「おお…それは心強い」

95: 2020/09/22(火) 20:18:28.06 ID:MWu+QDe6
ウイーン…

スタスタ

高坂「社長、お待たせしました」

半沢「これは高坂さん、お久しぶりです」

高坂「半沢さん!」

高坂「こちらこそ、いつもお世話になっています」

高坂「森山さんから半沢さんのご活躍はいつもお伺いしています」

半沢「そうですか、森山も頑張っているみたいだな」

96: 2020/09/22(火) 20:20:22.22 ID:MWu+QDe6
瀬名「それで検討内容はどうなんだ?」

瀬名「早速だが聞かせてくれっ!」

高坂「……」

高坂「……検討しましたが、結論から言いますと」

瀬名「ああ」

高坂「リモートアクセスは不可能です」

瀬名「…はぁ!?どうしてだ…!?」

瀬名「お前のスキルを持ってしても…無理だと…いうのか…?」

高坂「まぁ、無理ですね」

瀬名「音ノ木坂学院のIT技術力は…高坂をも凌駕すると…そういうのか…!?」

瀬名「くそっ!!」バンッ!!

半沢「…高坂さん、もう少し説明していただけませんか?」

高坂「あっ、はい」

高坂「その機種、ネットワーク接続できないタイプです」

高坂「だから無理です」

半沢「なんと…!?」

高坂「ネットワークに繋がってないサーバにアクセスしようがないのと一緒です」

高坂(少し考えれば素人でもわかると思いますけど)

瀬名「ちくしょうっ!!そういうことかっ!!」バンッ!!

半沢「音ノ木坂……そこまで先を読んでいたのか……」

高坂「……」

高坂「私はこれで失礼します」スタスタ

98: 2020/09/22(火) 21:19:03.28 ID:MWu+QDe6
■ 居酒屋

田島「残念でしたね…リモート接続の件」

半沢「ああ…この時代…機器をネットワークに繋がないとは…」

半沢「相手が一枚上手だった」

田島「それで…どうするんですか…?次長」

半沢「……」

半沢「……できればやりたくなかったが」

半沢「作戦は…1つある」

田島「……!!」

田島「……そ…それは…どういった案ですか…?」

半沢「………」

半沢「………」

半沢「……女子更衣室に……ビデオカメラを仕掛ける」

田島「!?」

半沢「ただし、もちろん撮すのは『電子ロックの画面部分』のみだ」

半沢「そこにフォーカスして撮影する」

半沢「μ’sの誰かがロックを解除すればパスワードがわかるはずだ」

田島「な…なるほど!!」

半沢「田島…」

半沢「今からできるだけ小さいビデオカメラを調達してきてくれるか?」

半沢「設置は明日取り行う」

半沢「幸いにも……ここは秋葉原だ」

田島「し…しかし……もし誰かに見つかったりしたら……!!」

半沢「…安心しろ、田島」

半沢「……その時は……俺が全責任をとる」

101: 2020/09/22(火) 22:02:04.13 ID:MWu+QDe6
■ 穂むら

スタスタスタ…

半沢「和菓子屋『穂むら』…」

半沢「ここだな」

半沢「思い出して良かった…花ちゃんのお使い」


ガララララー

雪穂「いらっしゃいませっ」

半沢「夜分遅くにすみません」

雪穂「いえ、まだ営業時間内なので」

半沢「それは良かったです」

半沢「えっと…」

雪穂「何かお探しですか?」

半沢「ええ」

半沢「妻がこの店の饅頭を欲しいと言うものですから」

雪穂「それはありがとうございます」

雪穂「穂むら名物『穂むらまんじゅう』はこちらになります」

半沢「へぇ、凄く美味しそうな饅頭だ」

半沢「それでは、そちらの30個セットと6個セットを1つずついただけますか?」

雪穂「ありがとうございますっ!」

102: 2020/09/22(火) 22:04:09.29 ID:MWu+QDe6
半沢「それではありがとうございました」

雪穂「いえいえ」

雪穂「また来て下さいねっ!」


ガララララー

配達員「すいませーん、高坂雪穂さん宛にお荷物でーす」

雪穂「あ…はーい」

スタスタ…


半沢「高坂?」

半沢「……高坂」

半沢「……まんじゅう」

半沢「……秋葉原」

半沢「………」


[プロフィール]
園田海未
 好きな食べ物: 穂乃果の家のまんじゅう


半沢「穂乃果…」


(田島『確かμ’sのリーダーの苗字も高坂でしたね』)


半沢「…高坂…穂乃果」

半沢「…穂乃果の家のまんじゅう……」

半沢「ま…まさか…!?」

103: 2020/09/22(火) 22:04:57.76 ID:MWu+QDe6
半沢「あ…あの…!!」

雪穂「なんでしょうか?」

半沢「もしかして…」

半沢「こちらは『高坂穂乃果』さんのご自宅…でしょうか?」


雪穂「……」

雪穂「……もしそうだとしたら…一体なんだっていうんですか?」

半沢「…」

雪穂「……もう帰って下さいっ!!」

雪穂「閉店なのでっ!!」

半沢「………」

104: 2020/09/22(火) 22:27:42.71 ID:MWu+QDe6
■ 翌日@音ノ木坂校庭

半沢「…よし」

半沢「浜村のお陰でなんとかカメラの設置ができたな」

田島「あ、ちゃんと設置できたんですか?」

半沢「ほら、この通りだ」

半沢「俺の携帯から状況を見ることができる」

田島「おお!ほんとですね!」

田島「文字の入力部分までくっきり見える」

田島「これなら完璧です!!」

半沢「ああ」

半沢「さぁ、それじゃあ暗証番号調査をはじ…


男A「待てっ!!全員そこを動くなっ!!」

男B「少しでも不要な動きするんじゃねーぞ!!」

半沢「……?」

田島「…な…なんだなんだ…!?」

半沢「……こいつら……どこかで見たことがあるな」

半沢「………!!」

105: 2020/09/22(火) 22:29:06.22 ID:MWu+QDe6
黒崎「あらあらあら~♪」

黒崎「なーんでこんな所にな・お・きがいるのかしらぁ~?」

半沢「黒崎検査官!?」

半沢「なぜあなたがこちらに!?」

黒崎「ここ~今話題の学校でしょ~?」

黒崎「どーんな財政状況なのか調べに来たのよ~?」

半沢「………そうですか」

黒崎「まーた直樹に会えて嬉しいわっ♪」

半沢「……」

黒崎「あんたたち、まずはその『女子更衣室』から調べなさい」

半沢「!?」

半沢「…なぜそちらを?」

黒崎「うーん?なぜそんなことわざわざ聞くのかしらぁ~?」

半沢「女子更衣室と財政状況はあまり関係があるとは思えませんが」

黒崎「そんなのアタシ達の勝手でしょ!?」

黒崎「あんた達!!早く手を動かして!!」

スタスタスタ…

106: 2020/09/22(火) 22:30:15.09 ID:MWu+QDe6
田島「…ま…まずいですよ…次長…!」

田島「ビデオカメラが見つかりでもしたら…」

田島「それこそ警察沙汰ですよ…!!」

半沢「……」

田島「それにしても…なんで急に…」

半沢「……」

半沢「……恐らくだが…誰かが黒崎に密告したんだろう」

田島「…!?」

半沢「…俺らのこの動きを知る……誰かがだ…!!」

112: 2020/09/22(火) 22:46:15.50 ID:MWu+QDe6
導入が長くなっていますが
μ'sの面々は後々出てくる予定です

124: 2020/09/23(水) 19:45:47.02 ID:cAITRh1R
■ 女子更衣室

黒崎(ふっふっふっ)

黒崎(直樹もこれで終わりねぇ~)

黒崎(女子更衣室にビデオカメラを仕掛けた、なんてことが明るみに出ればっ♪)


黒崎「ほら!なにをやっているの!?」

黒崎「早くビデオカメラを探しなさい!?」

男A「そ…それが…」

男A「先ほどから探しているのですがどこにも見当たらないんです…」

黒崎「はぁー?そこの電子ロックを撮影しているはずよ?」

男A「わかってはいるのですが…」

黒崎「はぁ…もういいわ」

黒崎「あたしが探すからどきなさい!!」スタスタスタ

125: 2020/09/23(水) 19:48:36.75 ID:cAITRh1R
■ 校庭

田島「部長…大丈夫なんですか…?」

半沢「……」

半沢「……正攻法ではないからな」

半沢「……見つかることはないと踏んでいる」

田島「そ…そうでしょうか…?」

126: 2020/09/23(水) 19:49:37.07 ID:cAITRh1R
■ 女子更衣室

黒崎「………」

黒崎「……どこにも見当たらないじゃない!?」バンッ!!

黒崎「……どうして…!?直樹は絶対に更衣室のどこかにカメラを仕掛けたはずなのよ!?」

黒崎「…………あら?」

男A「どうかされましたか?」

黒崎「………」

黒崎「………」

黒崎「……わかっちゃった♪」

男A「本当ですか!?」

黒崎「そこに鏡台があるでしょう」

男A「…!!」

黒崎「」スタスタスタ

黒崎「この鏡と電子ロックの角度から察すると~♪」

黒崎「」スタスタスタ

黒崎「ビデオカメラは…」

黒崎「………」

黒崎「………」

黒崎「この椅子の隙間ね!?」バッ!!!

黒崎「……」

黒崎「……」

男A「こ……これは…!!」

男A「ビデオカメラ!!」

男A「…………ではなく……………かりんとう……?」

黒崎「……」

黒崎「……」

黒崎「……ど……どういうことなのよ!?」バンッ!!!

127: 2020/09/23(水) 19:51:16.61 ID:cAITRh1R
■ 校庭

田島「今…すごい音がしましたね…」

半沢「ふふっ」

半沢「どうやら見つからなかったようだな」

田島「えっ!?」


黒崎「」スタスタスタ


黒崎「……直樹!?」

黒崎「……どういうことなの!?」

半沢「どうかしましたか?黒崎検査官」

半沢「捜査中だというのに随分とお暇なようだ」

黒崎「……」グググッ…

黒崎「……」

黒崎「……」

半沢「もしかして『当てにしていたもの』が見つからなかったのでしょうか?」

半沢「国税庁が何の成果も出せずただ働きとは…」

半沢「我々の税金をどぶに捨てるおつもりなのでしょうかね?」

黒崎「……」グッ…!!

黒崎「……」

黒崎「…まぁいいわ」

黒崎「…どんなトリックを使ったのかはわからないけれど」

黒崎「今回は見逃してあ・げ・る」

半沢「…」

黒崎「……でも」

黒崎「…ただ働きなんてとんでもないわ!!」スタスタスタ

128: 2020/09/23(水) 19:52:18.02 ID:cAITRh1R
■ 女子更衣室

ピピピッ!!

黒崎「理事長!!?」

南『は…はい』

黒崎「更衣室のロックの暗号パスワード…おしえなさい!?」

南『…』

黒崎「やましいことが無いのなら見せれるはずよねぇ?」

南『…』

黒崎「…」

黒崎「…」

黒崎「…はやくっ!!!」バンッ!!!

南『……!』

南『……』

南『……はい』

南『暗証番号は……』

黒崎「」ニヤリ

南『全て小文字で、びー、ゆー、えす、あい、えむ、おー』

南『……busimo……です』

黒崎「全て小文字で、びー、ゆー、えす、あい、えむ、おー」

黒崎「bushimoね~」

ピッ!!

129: 2020/09/23(水) 19:53:05.81 ID:cAITRh1R
黒崎「あんたたち!!聞いた通りよっ!!」

黒崎「はやくその部屋のロックを解除しなさいっ!!」

男A「は…はいっ!!」


黒崎「ふっふっふっ…」

黒崎「情報によるとここに音ノ木坂の脱税の証拠があるってことだったわね♪」

黒崎「…手ぶらでは帰らないわっ!!」バンッ!!

男A「……!!」

男A「開きました!!」

黒崎「ふふっ♪よくやったわっ♪』スタスタスタ

黒崎「なにがでるかな♪なにがでるかな♪」

チラッ

黒崎「……」

黒崎「……!!」

黒崎「……こ…これは…!!!」

130: 2020/09/23(水) 19:54:28.25 ID:cAITRh1R
■ 校庭

黒崎「……」スタスタスタ

黒崎「……」ピタッ

半沢「……」

黒崎「……」グググッ……!

黒崎「……」

黒崎「……」フンッ!!

黒崎「……」スタスタスタ


田島「……行ってしまいましたね」

半沢「ああ」

田島「……次長…一体どうやって…?」

半沢「んー?」

半沢「なんのことだ?」

田島「だからその…ビデオカメラをどこに隠したんですか…?」

半沢「ああ、そんなことか」

半沢「……」

半沢「お前には悪かったが」


半沢「ビデオカメラなんか」

半沢「最初から仕掛けちゃいない」


田島「…ええっ!?」

半沢「あれは黒崎をおびき寄せる『餌』だ」

田島「……!?」

131: 2020/09/23(水) 19:57:19.95 ID:cAITRh1R
半沢「昨日俺はお前にビデオカメラを買いにいかせたが」

半沢「実はその2時間前に奴に内通者を装ってメールを送ったんだ」

半沢「俺だとバレないようにな」

田島「!?」

半沢「メールの内容はこうだ」


音ノ木坂の不正を暴くべく、半沢が女子更衣室の電子ロックがかかった隠し部屋に侵入を図ろうとしている

そのため、今から2時間後に半沢の部下が秋葉原でビデオカメラを入手する予定だ


半沢「1行目だけでは疑われると思ったんだ」

半沢「だから、現実味を持たせるために、実際にお前がカメラを買うところを見せたってわけだ」

半沢「今まで黙っていてすまなかった、田島」

半沢「これは…『お前が何もわかっていない』ことが一番のポイントだったんだ」

田島「そ…そういうことだったんですね……」

田島「でも…さっき見せてくれた次長の動画は…?」

半沢「ああ、これはただの静止画だ」

半沢「瀬名さんに頼んでそれっぽく加工してもらった」

田島「な…なんだぁー…」ホッ…

田島「で…でも…」

田島「それじゃあ…これからどうするんですか…??」

半沢「…」

半沢「……そろそろ電話がかかってくるはずだ」

半沢「更衣室の中にいる、女子高生に扮した…浜村からな」

田島「…!!」

133: 2020/09/23(水) 19:58:35.33 ID:cAITRh1R
ピピピッ

半沢「きた!」

ピッ!!


半沢「どうだった!!浜村!!」

浜村『そ…それが……』

浜村『部長がおっしゃったように国税庁の人がパスワードを言っていたので部屋に入れたのですが…』

浜村『……』

浜村『……部屋の中に……全く何もなくて……』

浜村『……とてもスクールアイドルが活動している場所には…思えません』

半沢「……」

半沢「……そうか」

半沢「…よくやってくれた浜村」

半沢「帰ってきてくれて構わない」

浜村『は…はい』

ピッ…


半沢「……これは」

半沢「…少し厄介かもしれないな」

136: 2020/09/23(水) 20:12:15.92 ID:cAITRh1R
■ 東京中央銀行

田島「μ'sは…いったいどこで何をしているのでしょうか…」

半沢「てっきり更衣室で活動していると思っていたが」

半沢「こうなってくると南理事長の発言にも疑問が出てくるな」


田島「…どうするおつもりですか?部長」

半沢「μ'sの誰かに…接触を謀る」

田島「まぁ…そうですよね」

田島「でも誰に…」

半沢「一番接触しやすいのは誰か」

半沢「それを調査する必要があるな」

田島「はぁ…しかし理事長を頼ることはできませんし…」

田島「そんな探偵じみたこと…」

半沢「だから東京中央に帰ってきたんだ」

田島「えっ」

半沢「……少々嫌な思いはしたが…話はつけてきた」


スタスタスタ…

福山「おやおやおやぁ~」

福山「これは半沢次長ぉ~」

半沢「福山」

半沢「わざわざすまないな」

福山「別にあなたの為ではないですよぉー?」

福山「私は大和田さんのご指示で動いているだけだぁー」

福山「そこのところ勘違いしないように?」

半沢「わかってるさ」

福山「それでぇー?一体何がお望みですかぁー?」


半沢「…音ノ木坂学院にμ'sというスクールアイドルユニットがある」

半沢「お前には…それぞれのメンバーの行動を調査してもらいたい」

149: 2020/09/24(木) 23:24:39.42 ID:qKzqgnTE
■ 1週間後@東京中央銀行

シャンシャン♪

福山「…」

シャンシャン♪

福山「…」

シャンシャン♪


スタスタスタッ…

福山「!!」


…ガチャッ!!

半沢「待たせたな、福山」

福山「お…遅いですよ、半沢次長」


半沢「…今タブレットで何かやっていなかったか?」

福山「…ちょっとした暇つぶしだよ」

半沢「そうか」

150: 2020/09/24(木) 23:25:36.22 ID:qKzqgnTE
半沢「それよりμ'sの情報は入手できたか!?」

福山「まぁ、それなりにはねぇ」

半沢「そうか、早速だが聴かせてもらえないか」

福山「まずμ'sですが、やはり現在は活動を中断しているようですねぇ」

半沢「…やはりそうか」

福山「そのため9人ではなく、学校が終わってからは基本的に個々人で行動していますねぇ」

福山「それが、この行動記録表です」サッ

半沢「…」

151: 2020/09/24(木) 23:26:41.24 ID:qKzqgnTE
福山「まず園田海未ですが、放課後は基本的に弓道部に顔を出しているようですねぇ」

半沢「…弓道もやっていたのか」

福山「その腕前は都内でも5本の指に入るそうです」

半沢「弓道部に転部した、ということか?」

福山「そこまではわかりませんが、掛け持ちの可能性もあります」

福山「また毎週火曜日の放課後は必ず高坂穂乃果の家でお饅頭を買って帰るそうですねぇ」

半沢「…和菓子屋『穂むら』…か」

福山「比較的会いやすいメンバーだと言えるでしょう」

163: 2020/09/25(金) 23:29:53.02 ID:46SGaCzC
福山「それからーーーー」

ーーーー

ーーー

ーー


半沢「とにかく9人の情報は入手した」

田島「…次長…あの人一体何者なんですか…?」

半沢「そうだな」

半沢「渡真利と並ぶ情報屋と思ってくれればいい」

半沢「…情報の入手経路が少し独特だが」

田島「はぁ」


半沢「…よし」

半沢「それじゃあ行くか」

半沢「音ノ木坂に」

164: 2020/09/25(金) 23:31:17.03 ID:46SGaCzC
■ 音ノ木坂 弓道場


キキキキキッ…


…パシッ…!!


パンッ!!!


海未「……ふぅ」

海未「もう一度…」スタスタスタ…


半沢「いやぁ…これは凄い」

半沢「まるで精密機械のようです」

海未「……」

海未「…どちら様……でしょうか?」クルッ


半沢「私、こういう者です」サッ


海未「…東京中央銀行…半沢さん」

海未「ああ、音ノ木坂の自立再建を支援頂いている方でしたか」

半沢「はい」

半沢「再建の可能性を検討するため、構内をいろいろ回らせて頂いております」

半沢「入校の許可はこの通り、南理事長から」

海未「………理事長…ですか」

半沢「……」

165: 2020/09/25(金) 23:32:25.07 ID:46SGaCzC
海未「それで本日は弓道部へ?」

半沢「いいえ、弓道部ではありません」

海未「……?」

半沢「園田海未さん、あなたに会いに来たんです」

海未「………とは?」

半沢「単刀直入に伺います」

半沢「現在μ'sは…どのような活動をされているのでしょうか?」

海未「……」

海未「………何故…それを聞くのでしょうか」

半沢「……」

半沢「…音ノ木坂学院が復活できる鍵」

半沢「それは貴方達μ'sにある、と考えているからです」

海未「私達が…鍵…?」

166: 2020/09/25(金) 23:34:23.88 ID:46SGaCzC
半沢「はい」

半沢「貴方達の動画…見せて頂きました」

海未「えっ…」

半沢「荒削りながらも…貴方達は近い将来…必ずや大きく輝ける存在になれる」

海未「……!!」

半沢「そう…確信しました」

海未「……」

海未「……そうですか」

半沢「はい」

海未「……」

海未「…私達の資料…読まれましたか?」

半沢「はい、一通りは」

海未「では…μ'sの結成理由はご存知ですか?」

半沢「それは…すみません」

半沢「資料になく…」

海未「そうですね」

海未「資料には残していません」

海未「私達の胸の内にしまっている目標…ですから」

半沢「といいますと?」

海未「μ'sの結成理由、それは」

海未「音ノ木坂学院の廃校阻止です」

海未「まさか同じ考えの方がいるとは思いませんでしたが」

半沢「……!!」

167: 2020/09/25(金) 23:35:51.55 ID:46SGaCzC
海未「スクールアイドルとして名を残せば廃校を阻止できる…」

海未「そう思って立ち上げたのがμ'sです」

半沢「…」

海未「そんな無謀な挑戦、私達だけが考えつくことだと思っていましたが」

海未「まさか銀行員の方が同じ考えを頂けているとは…」

半沢「…無謀な挑戦」

半沢「確かにそうかもしれない」

海未「…」

半沢「だが、やる価値は多いにある」

半沢「私と一緒に音ノ木坂再建を手伝ってはいただけませんか?」

海未「…」

海未「…μ'sは」

海未「今…活動していません」

半沢「……!!」

半沢「……やはり…そうでしたか」

169: 2020/09/25(金) 23:37:03.52 ID:46SGaCzC
半沢「しかし何故…?」

海未「……」

海未「…あまり大きな声では言えませんが」

海未「……私達の活動を阻止する動きがあります」

半沢「……!!」

半沢「……やはり」

海未「最初は気にせず活動していたのですが……」

海未「……しまいにはラブライブ出場まで剥奪され……」

海未「………もうどうしたらいいのか」

半沢「園田さん以外のメンバーは今何をされているのでしょうか?」

海未「お恥ずかしながら…そのような状況もあり…」

海未「今は喧嘩別れのような形になっています…」

半沢「なるほど…事情はわかりました」

170: 2020/09/25(金) 23:38:07.46 ID:46SGaCzC
海未「どうされるおつもりですか?」

半沢「メンバー一人一人に会ってみます」

海未「そう…ですか」

半沢「ええ」

半沢「…園田さんはまだμ'sをやりたい気持ちはありますか?」

海未「あ…あたりまえです!!」

海未「あっ…声を荒げてしまい…申し訳ありません」

半沢「…」

半沢「…いえ」ニッコリ

半沢「園田さんのお気持ち、十二分に伝わりました」

半沢「必ずや…もう一度μ'sを集めてみせます」

海未「……はい」

171: 2020/09/25(金) 23:39:29.61 ID:46SGaCzC
半沢「お忙しいところ失礼致しました」

半沢「何かあれば名刺の連絡先まで」

半沢「それでは」スタスタスタ


海未「あ…あの…!」

半沢「はい、なんでしょうか?」

海未「失礼ですが…半沢さんは武道をされていますか?」

半沢「ええ、学生時代から剣道を少々」

海未「…そうですか」

半沢「なにか?」

海未「いえ」

海未「ふふっ」


海未「武道をされている人に悪い方はいません」

海未「半沢さん」

海未「貴方は…信頼できるかもしれません」クスッ

172: 2020/09/25(金) 23:40:05.69 ID:46SGaCzC
本日はここまでです
明日は予定があり投稿できなさそうです

181: 2020/09/27(日) 20:25:44.38 ID:XvafjFHz
■ 秋葉原

半沢「次は…ここだな」チラッ

半沢「よし、ついでに飯でも食べていくか」


ウイーン

イラッシャイマセー

コチラニドウゾー


(福山「小泉花陽と星空凛ですが」)

(福山「昔からの幼馴染のようでして」)

(福山「現在も共に行動しているようですねぇ」)

(福山「小泉は米が大好きらしく」)

(福山「毎週火曜日と木曜日の放課後に星空と『GoHAN-YA 秋葉原店』に通っています」)


半沢「GoHAN-YA、か」


  GoHAN-YA


ナレ『GoHAN-YAとは、東京を拠点に全国120店舗を展開する外食チェーンのことである』

ナレ『そのメニュー構成は、新潟産こしひかりをふっくらと炊き上げたごはんを中心に添えた定食』

ナレ『卵をとろとろに仕上げたカツ丼を始めとした丼メニュー、こしに拘ったうどん、オリジナルカレー等、多岐に渡り』

ナレ『食べ盛りの若者は勿論の事、子供から老人まで幅広い客層に支持される街のご飯屋である』


半沢「確か、株式会社GoHAN-YAの主力銀行は東京中央だったな」

182: 2020/09/27(日) 20:27:02.90 ID:XvafjFHz
メニュードウサレマスカー?

半沢「すいません」

半沢「2名の連れが来る予定なので少し待ってもらえますか」

カシコマリマシター


半沢「さてと」

半沢「福山からの情報によると…そろそろ来るはずだが」


ウイーン

イラッシャイマセー


花陽「今日で大盛り無料だよぉ~!最高だよねっ!!」

凛「凛はこっちのかよちんも好きにゃー」


シツレイデスガオツレサマデスカー?


花陽「えっ、お連れ?」


半沢「」ペコリ


凛「うーん?」

183: 2020/09/27(日) 20:28:35.12 ID:XvafjFHz
■ GoHAN-YA 秋葉原店

半沢「急に申し訳ありません」

半沢「東京中央銀行の半沢と申します」

凛「銀行の人なんだっ!」

半沢「ええ」

花陽「東京中央銀行はお母さんがよく使ってますっ」

半沢「それはそれは」

半沢「いつもご贔屓いただき」

半沢「誠にありがとうございます」ペコリ

凛「でも銀行の人がどうして凛たちにー?」

半沢「ええ」

半沢「先ほどもお話した通り、私は音ノ木坂を再建したいと考えています」

半沢「そのために、是非あなた達の力をお借りしたいんです」

花陽「私たちの」

凛「力?」

184: 2020/09/27(日) 20:29:41.93 ID:XvafjFHz
――――――

――――

――

花陽「…それでμ’sを取り戻そうって」

半沢「ええ」

半沢「園田さんにはお声がけしたのですが」

凛「かよちんよかったねっ!」

凛「もう一度アイドルしたいってずっと言ってたもんっ!」

花陽「…うんっ」クスッ

花陽「で…でも」

凛「うん?」

花陽「その…凛ちゃんも…もう一度一緒にやってくれる?」

凛「あったりまえにゃー!!」

凛「凛はかよちんと一緒にいれるならなんだってやりたいのっ!」

花陽「そっか…ありがとうっ」

花陽「凛ちゃん!!」

半沢「お二人にその気持ちがあるのであれば」

半沢「私も全身全霊で活動をサポートさせていただきます」

花陽「よ…よろしくお願いしますっ!!」

半沢「こちらこそよろしくお願いします」

185: 2020/09/27(日) 20:31:31.02 ID:XvafjFHz
半沢「それではこれからどうするか相談…

凛「よーーっしっ!」

凛「じゃあアイドル再開が決まったところで」

凛「次はラーメン屋に行っくにゃーっ!」

半沢「……ん?」

半沢「定食屋からのラーメン屋はしご…ですか?」

凛「うんっ」

半沢「…それは流石に賛同できかねます星空さん」

凛「えっ?どうして?」

半沢「過度な糖質摂取は体のキレを失うどころか」

半沢「健康を害する恐れがあります」

半沢「ましてやあなた達はアイドルだ!!」

半沢「さすがに私も見過ごすわけにはいきませんよ星空さん」

凛「えー…」

花陽「あははっ」

半沢「笑っている場合ではありませんよ小泉さん」

半沢「そもそも何故晩ご飯が別に用意されているにもかかわらず」

半沢「定食屋で間食しているのですか?(俺も人のことは言えないが)」

花陽「ぐっ…そ…それは…」

半沢「小泉さん、星空さん」

半沢「まずは」

半沢「食事の改善をお願いできますか」

花陽(な…なんだか…)

凛(海未先輩がもう一人増えたみたいだにゃー…)

198: 2020/09/29(火) 04:11:32.80 ID:jhszJRf4
■ 翌日@ファストフード店

にこ「ふんふーん♪」

真姫「…何見てるの、にこ先輩」

にこ「わっかんなーい?」

バーン!!

にこ「これよこれ!」

真姫「…UTX高校のパンフレット」

にこ「ごめいと~」

真姫「いや、見れば分かるし」

にこ「知ってるー?」

にこ「UTXのスカウト制度♪」

真姫「知らなーい」クルクル

199: 2020/09/29(火) 04:13:02.21 ID:jhszJRf4
にこ「スカウト制度って言うのはぁ~」


半沢「UTX高校の芸能科が取り入れている制度であり」

半沢「数十人レベルのスカウト陣が日本各地で」

半沢「芸能・アイドルの素質がある女子高生を見極めスカウトを行う」

半沢「UTX高校は芸能プロダクションとのコネも厚く」

半沢「卒業後はそのまま芸能界入りする生徒も多い」


半沢「というところでしょうか」

にこ「…なに、あんた」

半沢「はい」

半沢「私はこういう者

にこ「………!!」

にこ「あーーーー!!!」

にこ「ま…まさか…!!あんたUTXのスカウトぉ!?」

半沢「…」

200: 2020/09/29(火) 04:14:24.41 ID:jhszJRf4
にこ「す…凄いにこ…!!」

にこ「ついに…!このにこにーにお声がけが来たのねっ!!」

半沢「…落ち着いて下さい」

にこ「スーツ着てシュッとした感じ…」

にこ「スカウトの人に違いないわっ!!」


真姫「…にこ先輩、うるさい」

真姫「ちゃんと話聴いた方がいいんじゃない」

にこ「そ…そうね」

にこ「にこにーとしたことがつい興奮しちゃったわ…」

半沢「ありがとうございます」

半沢「西木野さん」

にこ「!?」

真姫「…なんで私の名前を?」

にこ「そ…そんな…!!」

にこ「ま…まさか…スカウトを受けたのが真姫ちゃんの方だったなんて…」ガーン

半沢「…」

206: 2020/10/01(木) 04:30:33.09 ID:BMOntgIt
にこ「はぁー…銀行員…」クッソデカタメイキ

にこ「UTXの人じゃなかったのね…」

真姫「当たり前でしょ」

真姫「そんな都合よくいくわけ無いわよ」

にこ「でもそれにしてはUTXに詳しすぎない?」

半沢「ええ」

半沢「UTX高校は、東京中央銀行の子会社である」

半沢「東京セントラル証券が再建のご支援をしたものですから」

にこ真姫「!?」

207: 2020/10/01(木) 04:32:40.38 ID:BMOntgIt
真姫「……それ、おかしくない?」

真姫「UTXと音ノ木はいわばライバル企業みたいなもんでしょ?」

真姫「なんで同じグループ会社同士が?」

半沢「確かにグループ会社同士ではありますが」

半沢「各々が独立採算で利益を出さなければいけない」

半沢「顧客が似通ってくる中で、このような事態はままある事です」

真姫「ふーん」

半沢「音ノ木は国と東京中央の後ろ盾の下」

半沢「これまで高校運営にあぐらをかいてきました」

半沢「それがここにきて、UTX・東京セントラル連合軍に刺された形になります」

にこ「やっぱUTXって凄いのね!」

208: 2020/10/01(木) 04:34:26.47 ID:BMOntgIt
半沢「UTXは私立であるからこそのフットワークの軽さを活かし」

半沢「様々な施策を打ち出し、再建を実現しています」

にこ「東京セントラル証券?だっけ」

にこ「再建を担当した人すっごい有能じゃない?」

半沢「……」

真姫「そうね」

真姫「音ノ木坂も東京中央じゃなく東京セントラルに任せればいーんじゃなーい?」クルクル

半沢「現在音ノ木坂は東京中央の出資先、いわばパートナーです」

半沢「簡単にセントラルに引き渡すことはできない」

半沢「それに当時の再建担当者はもう東京セントラルにはいません」

真姫「あら、そうなの?」

半沢「ええ」

209: 2020/10/01(木) 04:35:37.97 ID:BMOntgIt
にこ「ふーん」

にこ「まぁ、UTXのことはよく分かったけど」

にこ「それでなんでにこたちに?」

半沢「ええ」

半沢「これまで黙っていてすみません」

半沢「改めて、過去の肩書きで自己紹介させて頂きます」

にこ真姫「?」


半沢「東京セントラル証券営業企画部部長兼UTX高校再建担当リーダー」

半沢「半沢直樹です」

にこ真姫「!?」


半沢「あなた達には」

半沢「音ノ木坂のA-RISEになっていただきたい」

227: 2020/10/02(金) 20:49:33.14 ID:mQvIJe1l
■ 生徒会室


ッシャッシャッシャ…


絵里「さっきから何やってるの希」

希「タロット占い」

絵里「……また?」

絵里「もう10分くらいずっとやってるじゃない」

絵里「そんなのより仕事して」

希「違うんよ、エリち」

絵里「何が違うの」

希「さっきから何度やっても同じカードが出るん」

絵里「ふーん」

絵里「そんなことあるの?」

希「…まぁ」

希「普通に考えたらありえないかもね」

絵里「そうなの」

希「うん」

希「普通じゃない何かがうちらにせまってきてる」

絵里「……」

絵里「…また?」

228: 2020/10/02(金) 20:51:56.61 ID:mQvIJe1l
絵里「散々μ'sの活動を邪魔されて」

絵里「これ以上どんな嫌がらせが待ってるっていうの?」

希「違うんよ、エリち」

絵里「?」


シャッシャッ…


サッ…


希「カードはJUDGEMENTの正位置」

絵里「意味は?」


希「キーワードは復活、復縁、迅速」

希「ウチらの知らないところで状況は凄い速さで進展してる」

希「いったん諦めた関係が修復できる日は近いかもしれない」


希「だって」

絵里「……そう」

229: 2020/10/02(金) 20:53:49.75 ID:mQvIJe1l
コンコン


コンコン


絵里(…誰?こんな遅くに)


絵里「はい、どうぞ?」


ガチャッ


にこ「久々ね」

絵里「……!!」

希「ニコっち、久しぶりやん」

絵里「…何しに来たの?」

にこ「あんた達にお客さんよ」

絵里「…客?」


クルッ


にこ「ほら、ここまで連れてきてあげたんだから」

にこ「あとはしっかりやんなさいよ」


にこ「じゃー私は帰るから」

スタスタスタ

230: 2020/10/02(金) 20:56:07.76 ID:mQvIJe1l
絵里「ちょ…ちょっと…ニコ!?」

絵里「……いったい何なの…?」

希「どうやら、お客さんはニコっちじゃないみたいやな」

絵里「えっ?」


ガチャッ


スタスタスタ


ピタッ…


半沢「夜分遅くに失礼致します

半沢「私、東京中央銀行の半沢直樹と申します」


半沢「音ノ木坂学院生徒会長、副会長」

半沢「本日はあなた方お二人にお話があって参りました」

235: 2020/10/04(日) 15:45:07.65 ID:LO1gFtHw
――――――

――――

――
半沢「――――というわけです」

半沢「どうか音ノ木坂再建のため」

半沢「我々に力を貸していただけないでしょうか」

半沢「生徒会長」

半沢「…いえ」

半沢「絢瀬さん、東條さん」

絵里「…」

絵里「…この内容」

絵里「…理事長には話を通されましたか」

半沢「…」

半沢「大いなる期待をさせて頂いていることは伝えていますが」

半沢「あなた方お一人お一人に対して、このようにお話させて頂いていることは」

半沢「現在、南理事長へは伝えておりません」

希「まぁ、そうやんね」

希「理事長に許可を取ってれば」

希「こんな探偵まがいなことする必要ないやんね」

絵里「…」

絵里「…なぜ理事長へ話を通されないのですか」

半沢「…」

半沢「…それは」

236: 2020/10/04(日) 15:46:58.33 ID:LO1gFtHw
絵里「…」

絵里「答えていただけますか、半沢さん」

絵里「理事長は、私たちの大切な仲間である南ことりの母親でもあります」

半沢「…」

半沢「…絢瀬さん」

絵里「…」

半沢「…わかりました」

半沢「南ことりさんのこともございますので」

半沢「お伝えするのを憚っておりましたが」

半沢「生徒会長がそこまでおっしゃるのであれば」

絵里「ご遠慮なく」

半沢「あくまでも私の見解ですが」


半沢「南理事長は東京中央銀行に対して重大な何かを隠されている」


半沢「と、考えています」


絵里「…!」

絵里「…そう…ですか」

半沢「はい」

237: 2020/10/04(日) 15:51:14.04 ID:LO1gFtHw
半沢「御校の理事長に対して大変失礼な言動であることは承知しています」

絵里「半沢さん、何故理事長は重大な事実を隠していると思われるのですか」

半沢「南理事長は私に対して、全面的に協力いただけるとおっしゃったにも拘らず」

半沢「唯一、μ’sに対する情報開示に関して、本当に重要な部分は何故か消極的です」

絵里「…」

半沢「また、私に対して嘘をつかれた」

半沢「理事長は、μ’sは更衣室の一角で今も活動中であることをおっしゃいましたが」

半沢「実際には、そんなものはどこにも無かった」

半沢「あなた達は今、全く活動をされていない」

絵里「…」

半沢「理事長は私に対して何かを隠そうとされておられます」

絵里「…それで?」

絵里「『何か』とは?」

半沢「………申し訳ありません」

半沢「そこまではまだ掴めていません」

絵里「…」

絵里「…あなたの仰られることはよくわかりました」

半沢「…」

半沢「…」

絵里「……希」

半沢「…」

絵里「例の書類を出して」

希「りょーかい♪」

半沢「……書類?」

238: 2020/10/04(日) 15:53:29.07 ID:LO1gFtHw
絵里「半沢さん」

半沢「…」

半沢「…」

絵里「私たちも半沢さんと同意見です」

半沢「…!!」

絵里「理事長は私たちに何か重大なことを隠されています」

絵里「それは、μ'sへの…いえ…全校生徒への裏切りに他なりません」

半沢「…」

絵里「あなたが理事長の協力者であれば」

絵里「わざわざそのようなことを言うはずがない」

絵里「あなたが信頼できる方であることを前提に資料をお見せします」


希「ど~ぞ~」サッ

半沢「ありがとうございます、東條さん」


サッサッサッ…


半沢「こ…これは…!!」

絵里「ここ数日の理事長の行動記録表です」

絵里「生徒会で独自に調べたものですので、くれぐれも口外しないでください」

半沢「……」

半沢「……」

239: 2020/10/04(日) 15:55:59.51 ID:LO1gFtHw
絵里「何かわかりますか?」

半沢「…ええ」

半沢「明らかに理事長は音ノ木坂再建タスクフォースと『仲』がよろしいようだ」

絵里「はい」

絵里「タスクフォースは再建の支援者ですし懇意にするのはわかりますが」

絵里「プライベートでの関係が多すぎます」

半沢「…その中でも熱心に会っているのは……やはり私が想像した通りですね」

絵里「…ええ」


半沢・絵里「「…乃原弁護士」」


絵里「理事長は、タスクフォースと利益供与の関係があると考えています」

絵里「あなた方に対してフェアじゃないわ」

半沢「…なるほど」

半沢「乃原弁護士…南理事長…少し話が見えてきたかもしれません」

希「………それはどうやろか」

半沢「…!?」

絵里「の…希…?」

希「半沢さん、やっけ?」

希「ちょっと、うちにつきあってくれる?」

240: 2020/10/04(日) 15:57:47.48 ID:LO1gFtHw
■ 神田明神

半沢「東條さん、こちらは?」

希「このあたりの住民の心の拠り所とでも言えばいいんやろか」

希「うちのバイト先でもあるけどね」

半沢「神田明神…そうでしたか」

絵里「でも…こんな遅くに何の用事…?」

希「実は、エリちにもまだ言えてなかったんやけど」

希「こっち来てくれる?」

絵里「?」


半沢「これは…絵馬…ですか」

絵里「そうですね」

希「二人とも、これ見て」


音ノ木坂学院再建祈願  南


絵里「理事長が祈願したもの?」

希「そう」

243: 2020/10/04(日) 16:00:56.87 ID:LO1gFtHw
半沢「南理事長は本当にこの学校を愛されておられるのですね」

希「でも、注目するのはこれじゃない」

希「もう一つの方や」

絵里「?」


μ’s、ラブライブ出場祈願  南


絵里「…!!」

半沢「……!!」


希「今日の早朝、6時くらいやったかな」

希「理事長がここに来てな」

希「これを結んでいったんよ」

絵里「…」

希「どうも、うちには理事長が悪い人には見えへん」

半沢「…」

半沢「…そうですね」

半沢「…もしかしたら、理事長は最後の心の拠り所をここに求めたのかもしれません」

絵里「…最後の?」

半沢「…ええ」

半沢「もしかすると」

半沢「…かなり切羽詰まった状況である可能性があります」

245: 2020/10/04(日) 16:04:58.72 ID:LO1gFtHw
半沢「音ノ木坂学院生徒会長、副会長」

半沢「ここまで、本当にお疲れ様でした」

半沢「あとは我々東京中央銀行が引継ぎます」

絵里「…えっ」


半沢「絢瀬さん、東條さん」

半沢「あなた達には他にもっとやるべき…」

半沢「いや」

半沢「やりたいことがあるはずです」

絵里「……!!」

半沢「一度きりの学生生活です」


半沢「学校再建の最大の目的は」

半沢「あなた達のような希望に満ち溢れた学生が」

半沢「最後まで学園生活を楽しめるようにすることです」

半沢「決してお金だけの問題じゃない」

絵里「……!!」


半沢「これからはやりたいことをやってください」

半沢「実現してください」

半沢「皆さんにはその権利がある」

絵里「……はい」ジワッ…

半沢「本当に叶えたい夢があるのであれば」

半沢「我々東京中央銀行はそのための支援を惜しみません」


半沢「それでは、本日はこれにて失礼致します」

246: 2020/10/04(日) 16:06:26.75 ID:LO1gFtHw
絵里「…」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…希」

希「なーに?エリち」クスッ


絵里「…μ’sを」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…穂乃果達を……取り戻すわよ…!!」キリッ


希「ふふっ、やる気まんまんやな~」

絵里「当たり前よ」

絵里「私たちはもう前に進むしかないわ」

希「りょーかーいっ」


希「……なー?ええやろ?」

希「そこで隠れんぼしてるお二人さんもっ♪」


にこ「!?」

真姫「!?」

247: 2020/10/04(日) 16:07:52.59 ID:LO1gFtHw
■ 料亭

乃原「南理事長、先日はありがとうございました」

乃原「東京中央の…半沢…?だったか」

乃原「本当に困りますよ、いろいろ嗅ぎ回って」

南「…」

南「…いえ」

南「……乃原弁護士のお役に立ててなによりです」

乃原「あなたが学校を愛する気持ちは十二分に理解しています」

乃原「まぁー、私たちタスクフォースに任せておけば大丈夫ですよ」

南「…ありがとうございます」

乃原「あー、それと」

乃原「近々、進政党の箕部幹事長がぜひ理事長とお会いしたいとおっしゃっていましてねー」

南「…!!」

乃原「一度お食事でもいかがですか?」

南「…」

南「…」

南「…はい」

南「……かしこまりました」

248: 2020/10/04(日) 16:08:10.13 ID:LO1gFtHw
一旦ここまでの投稿になります

255: 2020/10/05(月) 23:31:58.86 ID:PMR7eXs5
■ 翌日@喫茶店

海未「すみません…!遅れてしまって…」タッタッタ

絵里「あら?海未」

絵里「ふふっ、久しぶりね?」

真姫「時間ピッタリだし別にいーんじゃない?」クルクル

凛「そうだにゃ~」

海未「絵里先輩に、真姫、凛」

海未「…それに他の皆さんも」

花陽「うんっ♪」

希「早くすわり~?」ニシシ

海未「はい」クスッ


にこ「これで予定通り7人が集まったわね!」

にこ「それじゃーこれより第15回μ's打ち合わせを開催するわ!!」

希「にこっちー?」

にこ「ん?なによ?」

希「もう一人くるで」

にこ「えっ?」


カランカラーン

スタスタスタ


半沢「皆さん」


半沢「お集まりですね」ニッコリ

256: 2020/10/05(月) 23:32:53.39 ID:PMR7eXs5
にこ「あ…あんた!」

凛「半沢さんだーっ」

絵里「ふふっ」

絵里「半沢さんを呼ばないわけにはいかないでしょう?」

絵里「今私たちがこうしていられるのも半沢さんのお陰よ?」

半沢「とんでもございません」

半沢「こちらこそわざわざお声がけ頂き、ありがとうございます」

絵里「いえ」

絵里「まだ7人ですが、μ'sの大事な再開の日ですから」クスッ

257: 2020/10/05(月) 23:35:10.70 ID:PMR7eXs5
花陽「でも…早く学校に戻りたいね…」

凛「うん…」

にこ「しかたないでしょ?」

にこ「部室はあいつらに取られちゃったし」

にこ「μ'sが活動してるって理事長にバレると不味いんでしょ?」

半沢「…申し訳ありません」

半沢「南理事長については引き続きこちらで調査中ですが」

半沢「今は波風を立てたくないと考えていまして」

希「半沢さんのせいやない」

希「ウチらを想ってくれてのことやろ?」

半沢「…ご理解ありがとうございます、東條さん」

海未「事情は分かったのですが」

海未「これからどうしていくのが良いのでしょうか…」

海未「学校以外で練習するのはなかなか難しいかと…」

花陽「うーんと…神田明神はどうでしょうか…?」

真姫「それはダメね」

花陽「どうして?」

真姫「神田明神は理事長がよく出入りしてるみたいだから」

真姫「でしょ?」

希「うん」

希「理事長の行動履歴みたら神田さん周辺はよく行ってるみたい」

絵里「そうね…」

絵里「音ノ木坂からそれなりに近くて」

絵里「ある程度広くて人目に付きにくい場所があればいいのだけれど…」

にこ「はぁ…」

にこ「そんな都合いい場所あるわけないでしょ」

半沢「…」

半沢「それでしたら…一つ心当たりがあります」

全員「えっ?」

258: 2020/10/05(月) 23:55:34.42 ID:PMR7eXs5
■ UTX高校

ウイーン

スタスタ

ツバサ「ふふっ、お久しぶりね」

ツバサ「半沢さん」クスッ

半沢「綺羅さんこそ、お元気そうで何よりです」ニッコリ

半沢「その後は順調ですか」

ツバサ「ええ」

ツバサ「学校経営のことは私には詳しくわからないけれど」

ツバサ「生徒は皆、生き生きとしてる」

ツバサ「貴方には感謝してもしきれないわ」

半沢「いえ」

半沢「UTX高校の関係者各位、そしてなにより生徒の皆さんが心から学校の復活を望んだからこそです」

半沢「私がやった事などたかが知れている」

半沢「一番大変なのはいつも現場ですから」

ツバサ「相変わらずご謙遜ね」

259: 2020/10/05(月) 23:56:29.05 ID:PMR7eXs5
ツバサ「それじゃあ、現場の声も一つ伝えておこうかしら」

半沢「『A-RISE』でしょうか?」

ツバサ「ええ」

ツバサ「今はラブライブ予選に向けて最終調整中です」

半沢「決勝はいけそうですか?」

ツバサ「ふふっ」

ツバサ「本人が言うのもなんだけれど」

ツバサ「負ける気がしない」

半沢「そうですか」

半沢「相変わらず謙遜知らずな方だ」

半沢「だからこそ、A-RISEは強い」

ツバサ「ふふっ、ありがとうございます♪」

260: 2020/10/05(月) 23:59:33.85 ID:PMR7eXs5
ツバサ「それで本日はどうされたんですか?」

半沢「実は諸般の事情で、スクールアイドル活動をしたくてもできないユニットがいまして…」

半沢「もし…UTXに空部屋があれば、と思いまして」

ツバサ「…」

ツバサ「…それってもしかして」

ツバサ 「音ノ木坂?」

半沢「…!?」

ツバサ「ふふっ、まさか本当に当たっているとは思わなかったわ?」

半沢「ご存知なんですか?」

ツバサ「『μ's』でしょう?」

ツバサ「近くの学校だしね」

ツバサ「まだ動画は1つしか見た事ないけど、とても光るものを感じた」

ツバサ「ふふっ、まさか半沢さんが絡んでいるとはね」

半沢「いえ、私は当時全く関与していません」

半沢「あれは紛れも無く、彼女たちの実力です」

ツバサ「凄く彼女たちを買っているのね」

半沢「ええ」

ツバサ「ふふっ、ちょっと嫉妬しちゃうわね」


ツバサ「いいわ?上にかけあってあげる」

半沢「本当ですか…!」

半沢「ありがとうございます綺羅さん」

ツバサ「感謝なんていらないのよ?」


ツバサ 「UTXは、A-RISEは貴方に救われた」

ツバサ 「半沢さんの頼みなら、なんだって聞いてあげるわ」

261: 2020/10/05(月) 23:59:45.71 ID:PMR7eXs5
続きます

264: 2020/10/07(水) 04:12:15.93 ID:r0dp1beZ
半沢「それではこれにて失礼致します」ペコッ

ツバサ「ええ、お気をつけて」

バタンッ


ツバサ 「ふぅ…」

ツバサ 「…半沢直樹」

ツバサ 「…そして…音ノ木坂」


prrrr... prrrr...

チラッ

ツバサ「英玲奈?」

ピッ

ツバサ 「どうしたの?」

英玲奈『ツバサ、直接話したいことがある』

英玲奈『そっちに行ってもいいか?』

ツバサ「あの件かしら?」

英玲奈『ああ』

英玲奈『状況はツバサの言った通り進行している』

271: 2020/10/10(土) 11:31:38.45 ID:bMOUrDeZ
■ UTX屋上

半沢「今後こちらを利用してください」

半沢「利用できる日時に制限はありますが」

にこ「す…すごいっ…!」

にこ「UTXの屋上!!憧れる~!!」

真姫「…憧れるっていうか利用していいって言われてるんじゃない」


絵里「半沢さん」

絵里「UTXの方に交渉していただき、本当にありがとうございます」

半沢「いえ」

半沢「ここでしたら理事長に見つかる心配も無いでしょう」

半沢「あとは…」

海未「…はい」

海未「穂乃果とことりを連れ戻さねばなりません」

半沢「お二人は今どちらに?」

海未「お恥ずかしながら…ことりも穂乃果も……よくわかりません」

海未「μ’sのことになるとあまり喋ってくれないので…」

海未「一体何を考えているのか…」

半沢「…」

272: 2020/10/10(土) 11:33:20.64 ID:bMOUrDeZ
半沢「…高坂さんのご実家は『穂むら』という和菓子屋ですよね?」

海未「ええ、その通りです」

半沢「実は」

海未「?」


(半沢「もしかして…」 )

(半沢「こちらは『高坂穂乃果』さんのご自宅…でしょうか?」)


(雪穂「……」 )

(雪穂「……もしそうだとしたら…一体なんだっていうんですか?」 )

(半沢「…」 )

(雪穂「……もう帰って下さいっ!!」 )

(雪穂「閉店なのでっ!!」 )


半沢「ということが先日ありまして」

凛「雪穂ちゃんって?」

花陽「穂乃果先輩の妹さんなんだっ」

花陽「一度合ったことあるけど」

花陽「初めての人にそんなこと言う子には見えなかった…」

海未「…そうですね」

273: 2020/10/10(土) 11:35:24.74 ID:bMOUrDeZ
海未「昔から知っていますが…そのような雪穂は私も見たことがありません」

希「雪穂ちゃんが穂乃果ちゃんを庇ってるように見えるね」

半沢「ええ」

半沢「高坂さんにお声がけするのは少し慎重になったほうが良いかもしれません」

海未「…ということは」

半沢「ええ」

半沢「まずは南さんからです」

絵里「ことりと会う場合、理事長の目に気を配る必要があるわね…」

半沢「はい」

半沢「あまり大所帯で彼女に接触するのは避けたほうがいい」

半沢「一度私の方でお会いさせていただきたいと思っています」

海未「しかし…ことりは基本的には真っ直ぐ家に帰っているみたいですし」

海未「家の中だと理事長が…」

半沢「それについては」

半沢「私に一つ心当たりがあります」

274: 2020/10/10(土) 11:37:00.12 ID:bMOUrDeZ
■ 夕方@神田

渡真利「待たせたな、半沢くん」

半沢「すまないな渡真利、わざわざ」

渡真利「別にいいって」

渡真利「それにしても、神田で飲みたいなんて珍しいな」

渡真利「家と逆方向だろ?」

半沢「ん?」

半沢「俺は『神田で待ち合わせ』と言ったが『神田で飲みたい』と言った記憶はない」

渡真利「はぁ?」

半沢「着いてきてくれ」


スタスタスタ


渡真利「おいおい…」

渡真利「秋葉原まで来ちまったぞ」

渡真利「こんなところに居酒屋があるのか?」

半沢「居酒屋じゃない」

半沢「が、酒は飲めるぞ」

渡真利「なんだよそれ」

275: 2020/10/10(土) 11:38:24.26 ID:bMOUrDeZ
半沢「よし」

半沢「ここだな」チラッ

渡真利「…ん?」

渡真利「!?」

渡真利「…こ…これって」

半沢「行くか」

渡真利「ちょ…ちょっと待て…聞いてないぞ…!!」


ウイーン


スタスタスタ


メイド「おかえりなさいませっ♪」

メイド「ご主人様っ♪」

半沢「……」

半沢「……南さん……ではないな」

メイド「?」

半沢「大人2名で」

メイド「かしこまりましたっ♪」

メイド「こちらからお入りくださいっ♪」

半沢「ありがとうございます」

渡真利「……半沢」

渡真利「…あとでじっくり訳を聞かせてもらうからな」

半沢「ああ」ニッコリ

277: 2020/10/10(土) 11:40:17.47 ID:bMOUrDeZ
一旦ここまでになります

皆さんお気遣いありがとうございます
平日は筆の進みが遅く申し訳ない…

279: 2020/10/10(土) 17:31:56.84 ID:bMOUrDeZ
――――――
――――
――

パチンッ

渡真利「つまり、この店でその『南』って子が働いてるってわけか」

半沢「その通りだ」

渡真利「でもさっき対応してくれた子は違ったんだろ?」

半沢「ああ」

渡真利「どうするんだよ」

渡真利「指名でもするか?」

半沢「渡真利」

半沢「メイド喫茶で『指名』はご法度だ」

渡真利「あ、そうなの?」

半沢「確かにメイド喫茶は可愛らしい女性が多く働いている」

半沢「しかしながら、勘違いしてはいけないのは」

半沢「メイド喫茶の売りは『性』ではなく『世界観』だということだ」

半沢「コンセプトに基づいた世界観を形成するため」

半沢「店内の内装や衣装、飲食物等に付加価値をつけ」

半沢「メイド喫茶としての商品価値を高めている」

半沢「どちらかといえば遊園地のようなテーマパークに近いものだ」

渡真利「…そう思うんならこんなおじさんじゃなく花ちゃんを誘えよ」

渡真利「テーマパークなんだろ?」

半沢「…花が秋葉原を歩いている姿はあまり想像できないな」

渡真利「俺だって一緒だっての!」

半沢「さすがに男1人で入る勇気はなくてな」

半沢「今度飯奢るからさ」

渡真利「…はぁ」

渡真利「酒もつけろよ」

半沢「ああ、何杯でも頼め」

280: 2020/10/10(土) 17:32:52.78 ID:bMOUrDeZ
渡真利「でも…じゃあどうするんだよ」

渡真利「南って子に会えないと意味ないんだろ?」

半沢「出てくるまで待つしかない」

半沢「指名はできないが、呼びかけてメニューを頼むことはできる」

渡真利「だが半沢くん」

渡真利「そんな都合よく出てくるか?」


スタスタスタッ

ガチャッ

半沢「…!」


半沢「……俺も長期戦を覚悟していたが」

半沢「神田明神で祈った甲斐があったかもしれない」


スタッ


クルッ♪


ことり「お疲れ様でございますご主人様っ♪」

ことり「ミナリンスキー、ただいま戻りましたっ♪」

288: 2020/10/12(月) 00:16:23.31 ID:BQTu3WtB
渡真利「おい半沢、あの子で間違いないのか?」

半沢「ああ」

半沢「秋葉原の伝説のメイドこと『ミナリンスキー』」

半沢「『ミナ』は南から取ったものだろう」


渡真利「じゃあ注文するか。呼ぶぞ?」

半沢「ああ」


パチンッ

渡真利「ママ、注文で」

ことり「あっ!は~い♪」

半沢「…誰がママだ」

渡真利「すまない…いつもの癖が出た」

ことり「あははっ♪」

ことり「ご主人様お仕事お疲れ様ですっ♡」

ことり「メニューどうされますか~」

半沢「そうですね」

半沢「生2つと、たこわさ、ミックスナッツを頂けますか」

渡真利「おいおい」

渡真利「世界観どうしたんだよ」

半沢「いいじゃないか別に」

半沢「ディズニーランドでも酒が飲める時代だ」

ことり「あははっ♪」

ことり「生ビールお2つと、ぴりりんたこわさ、ミックスなっちゅですね~♪」

ことり「少々お待ち下さ~い♡」スタスタ


渡真利「彼女、声が凄いな」

半沢「良いところに気づいたな渡真利」


半沢「南ことり」

半沢「彼女が産まれながらにして持つ特徴ある歌声は」

半沢「μ'sに必要不可欠な要素だ」

292: 2020/10/14(水) 03:20:58.31 ID:IhdUniDU
――――――
――――
――

ことり「お待たせしました~♪」

半沢「ありがとうございます」

渡真利「ん?ミナリンちゃん何持ってるの?」

ことり「オレンジジュースです♡」

ことり「私も一緒に乾杯したいな~って思って♪」

渡真利「おっ、いいねぇ」パチンッ

渡真利「じゃあ乾杯の音頭は、半沢くん頼めるかな?」

半沢「おいおい、なんで俺なんだよ」

渡真利「いいから」ウインク

半沢「…そうだな」

ことり「ありがとうございますっ♪」

293: 2020/10/14(水) 03:23:47.05 ID:IhdUniDU
半沢「ミナリンスキーさん」

半沢「いえ、南ことりさん」

半沢「お仕事お疲れ様です、乾杯」

渡真利「乾杯」

ことり「かんぱ~い♡」ゴクゴク

ことり「……」

ことり「………えっ」

半沢「ご挨拶が遅れました」

半沢「私、東京中央銀行の半沢直樹と申します」

ことり「東京中央…」

半沢「お仕事中大変申し訳ありません」

半沢「本日は貴方にお話があって来ました」

ことり「す…すみません…」

ことり「今はちょっと…」

半沢「園田さん達μ'sの方々が貴方のこと心配されていましたよ」

ことり「……!!」

半沢「店内でのプライベートな会話が厳禁であることは重々承知しています」

半沢「貴方を困惑させてしまい申し訳ありません」

半沢「もし可能でしたら外で少しお話しできないでしょうか」

ことり「……」

ことり「……仕事が20時に終わるので」

ことり「それまで待ってもらえますか?」

半沢「はい」

半沢「こちら、念のため私の連絡先です」

渡真利(…新手のナンパだなこりゃ)

294: 2020/10/14(水) 03:25:42.00 ID:IhdUniDU
■ 20時すぎ

タッタッタ

ことり「おそくなりましたっ…」

半沢「いえ、こちらこそ来ていただき本当にありがとうございます」

ことり「東京中央って…音ノ木坂を助けて頂いている銀行さんですよね?」

半沢「やはりご存知でしたか」

半沢「それでしたら話は早い」

ことり「それで…海未ちゃん達が心配してるっていうのは…?」

半沢「単刀直入に言います」

半沢「μ'sは、貴方と高坂さんを除き活動を再開しています」

ことり「……」

半沢「…その顔を見るとご存知だったようですね」

ことり「…海未ちゃんのことは何でも分かってるつもりです」

半沢「南さんは、本当に幼馴染である園田さんのことが好きなんですね」

295: 2020/10/14(水) 03:27:11.29 ID:IhdUniDU
半沢「でも、それならどうしてμ'sに戻られないのですか?」

半沢「当時はメンバー間で喧嘩のようなものがあったとは聞いていますが」

半沢「それはもう解消しているはずです」

ことり「…」

半沢「…お母さまから何かを言われましたか?」

ことり「……!!」

半沢「それで貴方は動けない」

ことり「…」

半沢「このタイミングでアルバイトを始めたのも」

半沢「何か理由があってのことだと考えています」

ことり「…」

ことり「…」

半沢「南さん」

半沢「貴方はμ'sを続けたいですか?」

ことり「…」

半沢「それはお母さまが決めることでなく貴方自身が決めることだ」

ことり「…」

半沢「もし貴方にその気持ちがあるのであれば」

半沢「私は全力でサポートさせていただきます」

ことり「…」

ことり「…」

296: 2020/10/14(水) 03:29:18.89 ID:IhdUniDU
半沢「…よろしければ」

半沢「少しこちらを見ていただけないでしょうか?」

ことり「…えっ」

半沢「μ'sの皆さんから貴方宛に頂いたビデオメッセージです」

ことり「……!!」


花陽『こんにちは』

花陽『ことり先輩元気にされてますか?』クスッ

凛『うにゃー!凛は元気だにゃー!!』

真姫『ちょっと凛!?急に飛び出して来ないで!』グイッ

凛『うぅー…真姫ちゃん苦しいにゃー…』グググッ

花陽『ふふっ』

真姫『…その…ことり先輩も早く帰ってきなさいよ…?』

にこ『うひひっ!真姫ちゃんツンデレにこ~』ニシシ

真姫『は…はぁ!?』

真姫『ことり先輩みたいな常識人がいないとやってけないってだけだし…』

にこ『まーね』

にこ『このにこにーが貴方をメンバーとして認めてあげたんだから早く戻って来なさい』

希『にこっちもツンデレやん』

にこ『うっさい希!!』

希『ことりちゃん?みんなことりちゃんがいなくて寂しがってるよ?』

希『ウチもそう』

希『寂しくて死んじゃいそうや…』

絵里『…死んじゃうってウサギじゃないんだから』

絵里『ことり、希が言ったようにみんな貴方のことを待っているわ?』

絵里『早く一緒に練習できる日を楽しみにしてる♪』


ことり「み…」

ことり「みんな…」

297: 2020/10/14(水) 03:33:05.16 ID:IhdUniDU
海未『ことり』

海未『私をスクールアイドルの世界に引きずり込んだのは貴方と穂乃果です』

海未『貴方には私と一緒にスクールアイドルをやり遂げる責任があります』

海未『…なんて強がりを言ってしまいました』

海未『私はもう一度貴方と共に同じ時を過ごしたい』

海未『いつまでも待っています、ことり』クスッ


ことり「う…海未ちゃん…」ウルッ

ことり「う…うぅ…」

ことり「……は…半沢…さん」

ことり「私…」

ことり「また…みんなに逢いたい…」

ことり「逢いたいよぉ…」グスグス

306: 2020/10/16(金) 07:01:52.22 ID:5PUimG0h
――――――
――――
――

半沢「そうですか」

半沢「やはり南理事長からアイドル活動を制限するように言われた、と」

ことり「…はい」

半沢「理由は聞いていますか?」

ことり「それが…いつ聞いてもはぐらかされて…」

半沢「そうですか」

半沢「南さんがアルバイトを始めたのは」

半沢「μ'sのためですか?」

ことり「…今はμ'sとして活動できないけど」

ことり「いつか活動を再開してラブライブに出場する時用に」

ことり「可愛い衣装を作りたいなって思って…」

半沢「ということは」

ことり「はい、私はμ'sの衣装制作を担当しています」

307: 2020/10/16(金) 07:04:33.64 ID:5PUimG0h
半沢「そうでしたか…」

半沢「『僕らのLIVE 君とのLIFE』の動画を見せて頂きましたが本当に素晴らしかった…」

半沢「機械ではあのような精巧な、特に腰回りの作り込みは難しい」

半沢「手作業で丹念に時間をかけて作られたことが想像できます」

半沢「それを1人で9着も…素晴らしい技術だ…!」

ことり「…可愛い衣装はアイドルの命です」

ことり「手を抜くことはできません」

半沢「しかし…それほどまでに精巧な衣装をこの若さで…」

半沢「衣装製作で他から声がかかってもおかしくない」

ことり「……」

半沢「…も…もしかして既にそのような話が…!?」

ことり「……この前スーツを着た男の人から少しそんな話をされました」

半沢「…!!」

ことり「まだ回答はしてないんですけど…」

半沢「…失礼ですが…その方のお名前はわかりますか?」

ことり「は…はい」

ことり「名刺をもらったので…」

ことり「これです」

半沢「ありがとうございます」


半沢「…!!」

半沢「…音ノ木坂再建タスクフォース…乃原正太」

半沢「………乃原がどうしてここで」

ことり「…?」

半沢「…その件についてはまた後ほど詳しく聞かせて下さい」

ことり「わ…分かりました」

308: 2020/10/16(金) 07:06:56.56 ID:5PUimG0h
半沢「それで話は戻りますが」

半沢「μ'sは現在理事長に見つからないように、とある場所で練習を再開しています」

半沢「南さんも戻ってきていただけませんか?」

ことり「わ…私も戻りたいですけど…」

ことり「私が戻るとお母さんに見つかって迷惑かけちゃうかも…」

半沢「南さん」

半沢「南さんはアルバイトをしていることを理事長に伝えていますか?」

ことり「い…いえ」

半沢「理事長から帰りが遅いことについて何か言われていますか?」

ことり「特に言われていないです…」

半沢「…やはり」

ことり「…?」

半沢「理事長はあなたにμ'sとしての活動をするな、と言ったにもかかわらず」

半沢「あなたはそのタイミングで理事長に内緒でアルバイトを始めた」

半沢「理事長からすると、こっそりμ'sとしての活動をしていると考えるのが普通です」

半沢「だが、それを詮索しようとも止めようともしない」

半沢「妙だとは思いませんか」

ことり「た…たしかに…」

309: 2020/10/16(金) 07:10:15.89 ID:5PUimG0h
半沢「ここ数日の南理事長の動きやμ'sの方々の話を伺い薄々は感じていましたが」

半沢「南さんのお話を聞いて確信に変わりました」

ことり「えっ」

半沢「南理事長は表向きはμ'sの活動を休止するよう言っていますが恐らく彼女の本意ではない」

ことり「……!!」

半沢「どなたかが、μ'sは南理事長に見張られていると言っていましたが」

半沢「見張られているのは南理事長の方です」

ことり「そ…そんな…!!」

半沢「南理事長は現在、非常に苦しい思いをされている」

半沢「そして…南理事長を救えるのはあなた方μ'sしかいない」

ことり「……」

ことり「……」

ことり「……」

ことり「………半沢さん」

ことり「海未ちゃんたちが練習してる場所」

ことり「教えてもらえますか?」

半沢「はい」ニッコリ

ことり「ありがとうございます」


ことり「待ってて」

ことり「お母さん」

316: 2020/10/18(日) 17:08:01.78 ID:Vd5FgtC/
■ 後日@高ア連本部

スタスタスタ

半沢「………高ア連」
『高ア連』

高ア連とは日本高等学校スクールアイドル連盟の略称であり

半沢が再建を担う国立音ノ木坂学院や、過去に再建を手掛けたUTX高校をはじめ

全国3957校が加盟する公益財団法人である

連盟は教育の一環としてスクールアイドルの育成に力を入れており

全国大会である「ラブライブ!」の運営を行なっている


半沢「失礼します」

半沢「私、東京中央銀行の半沢と申します」

受付「いつもお世話になっております」

受付「半沢様」

半沢「13時より、選手権大会運営委員会の谷川様とお会いすることになっておりまして」

受付「承知しております」

受付「谷川ですが、4Fの第二応接室にてお待ちしております」

受付「ご案内いたしましょうか」

半沢「いえ、こちらで結構です」

半沢「教えていただきありがとうございます」

317: 2020/10/18(日) 17:09:06.62 ID:Vd5FgtC/
■ 第二応接室

谷川「それで、本日はどのようなご用件でしょうか」

谷川「本連盟はあいにくお金には困っておりませんが」

半沢「はい」

半沢「現在、私はとある高校の再建を担当しておりまして」

半沢「少しお話を、と」

谷川「再建?」

半沢「ええ」

谷川「そうですか」

谷川「銀行マンも大変ですね」

谷川「それで、どちらの高校を?」

半沢「『国立音ノ木坂学院』と申します」


谷川「…」ピクッ


半沢「ご存知でしょうか」

谷川「申し訳ありませんが、存じておりません」

318: 2020/10/18(日) 17:11:12.49 ID:Vd5FgtC/
谷川「なにぶん本連盟は加盟校が多いものですから」

谷川「ご容赦下さい」

半沢「いえ」

半沢「私も過去の融資案件を全て記憶できているわけではありません」

半沢「お気になさらず」

谷川「それでその音ノ木坂学院がどうかされたのですか」

半沢「音ノ木坂ですが」

半沢「現在、スクールアイドル部が存在します」

半沢「正確な名称はアイドル研究部ですが」

谷川「そうでしたか」

半沢「先日、その部が御連盟主催の『ラブライブ!』へエントリーしたところ」

半沢「当初は承諾されたにもかかわらず、後ほど参加を見送りという書面通達が来まして」

半沢「それについてご説明をいただきたいと考えております」

谷川「先ほどもお話した通り、御校に関する事情を把握できておりません」

谷川「担当に確認をとりますので、後日ご連絡という形でも構いませんか」

半沢「今担当の方にご確認いただくことはできませんか?」

谷川「あいにく東京校の担当者が不在ですので」

半沢「…承知しました」

半沢「よろしくお願いいたします」

谷川「それでは私はこれで失礼します」

324: 2020/10/19(月) 05:53:53.86 ID:9bH3ZEZj
■ 後日@UTX高校屋上

海未「それで、谷川という方からその後連絡はあったのですか?」

半沢「…あるにはありましたが」

海未「その反応からすると、あまり良い結果では無かったのですね」

半沢「ざっくり言いますと、悪い意味でいろいろ話題になっている高校だから」

半沢「という内容です」

ことり「悪い意味で話題になるのと、スクールアイドルがどう関係あるんですか?」

半沢「スクールアイドル活動は教育の一環であり」

半沢「音ノ木坂はその教育をする土壌として」

半沢「現状適切ではない、との回答です」

真姫「…納得できないわね」

真姫「それなら音ノ木坂自体を除名すればいいじゃない」

真姫「加盟させといて出場させないなんて意味わかんない」

海未「まぁ、除名はそれなりに手続きが必要でしょうし」

海未「様子見の措置、というところでしょうか」

半沢「ええ」

半沢「あまり派手に動くと、高ア連自体にも飛び火が移る可能性があります」

半沢「穏便に行きたいところはあるでしょう」


半沢「ですが」

半沢「西木野さんのご意見も一理ある」

真姫「えっ」

325: 2020/10/19(月) 05:58:03.48 ID:9bH3ZEZj
半沢「高ア連は何かを隠されていると、私は考えています」

海未「どうしてそう思われるのですか」

半沢「私が音ノ木坂の名前を出した際、谷川さんは一瞬ですが怪訝な顔をされました」

半沢「音ノ木坂の事情を知った上で、何かを隠されているような」

ことり「でもそれだけじゃ…」

半沢「ええ」

半沢「もう一点あります」

半沢「私は音ノ木坂を東京に所在がある高校であると一言も言っていないにもかかわらず」

半沢「彼女は東京校の担当者の管轄であると決めつけた」

半沢「妙です」

真姫「東京中央銀行が担当してるから東京だと思った、とかじゃなくて?」

半沢「手前味噌ではありますが」

半沢「東京中央銀行は日本全国に750の支店をもつメガバンクです」

半沢「選手権大会運営委員会の委員長ともあろうお方が」

半沢「そのような安易なお考えをなさるとは考えにくい」

海未「…ということは」

半沢「ええ」


半沢「彼女は明らかに音ノ木坂のことを知っていた」

半沢「そしてそれを秘密にしておきたい事情があった」


半沢「高ア連は」

半沢「意図的にμ'sの参加を拒否している可能性があります」

329: 2020/10/20(火) 05:07:14.89 ID:mar6nlWC
■ 東京中央銀行 大和田取締役 役員室

ガチャ

半沢「失礼します」

大和田「おぉー、半沢くん」

半沢「本日はどのようなご用件でしょうか」

大和田「どのようなご用件じゃないよ」

大和田「音ノ木の再建案は順調かねぇ?」

半沢「ええ」

半沢「今月末にはご提示できるかと」

大和田「そうですか」

大和田「私も不本意ではあるがねぇ」

大和田「本プロジェクトにおいて君は私の部下です」

半沢「不本意?」

半沢「私をこのプロジェクトに推薦したのは、大和田さん」

半沢「貴方ではありませんか」

330: 2020/10/20(火) 05:10:43.87 ID:mar6nlWC
大和田「前にも言いましたがね、半沢くん」

大和田「君のバンカーとしての腕だけは認めてるつもりです」

半沢「それだけでしょうか」

大和田「んん?」

大和田「他にも褒められたいというんですか?」

大和田「ほぉー、これはこれはいいご身分ですねぇー」

半沢「…」

大和田「…なんだよ」

大和田「心当たりがあるのなら言ってみなさい」

半沢「音ノ木坂への融資案件は、旧T、旧東京第一銀行が手掛けたものです」

半沢「学校規模に見合わない融資額になっているのは」

半沢「何か裏があるとお考えなのでは無いでしょうか」

半沢「だから、旧S、旧産業中央銀行出身である私をリーダーに充てた」

半沢「違いますか」

大和田「…」

大和田「…頭取はな」

大和田「旧T出身であるが故、取り巻きも旧Tが多く、大変苦心されている」

半沢「…」

大和田「旧Sで動けるとしたら私か君しかいない」

大和田「失敗は許されねぇぞ、半沢」

331: 2020/10/20(火) 05:14:46.31 ID:mar6nlWC
半沢「…貴方こそ、途中で裏切ったりしないでしょうね」

半沢「失敗の火種はいつも誰かの裏切りだ」

大和田「私が頭取を裏切る?」

大和田「バカも休み休み言いたまえよ半沢くん」

大和田「それより音ノ木の報告をちゃんとしなさい」

大和田「報連相の一つもできないのか?君は」

半沢「…音ノ木の再建ですが」

半沢「鍵を握るのは『μ's』にあると考えています」

大和田「…ミューズ?薬用石鹸でも販売するんですか?」

半沢「音ノ木に所属するスクールアイドルユニットです」

半沢「彼女たちが全国的に有名になれば、再建への良い材料になります」

大和田「はぁ…?スクールアイドル…?」

大和田「そんなちっぽけなものが一体何の足しになるって言うんですか?」

大和田「それよりも財務状況の整理が先じゃないのか」

半沢「もちろん並行して進めておりますが」

半沢「ちっぽけとは聞き捨てなりませんね」

大和田「大勢を見ろと言っているんだよ、私は」

大和田「アイドルなんかにうつつを抜かしてる場合か?」

半沢「…あなたはいつもそうです」

半沢「そのものの奥にある価値、可能性を見抜こうとしない」

大和田「はぁ?」

332: 2020/10/20(火) 05:15:34.48 ID:mar6nlWC
半沢「あなたにとってはちっぽけなスクールアイドルかもしれませんが」

半沢「そのアイドル一人一人が国を動かしているんです」

大和田「何を言っているんだね、君は」

半沢「…この写真を見て何か思い出しませんか」

大和田「ああ…?」

大和田「なんだこの薄汚い芸能事務所みたいなのは?」

半沢「……!!」

半沢「…これ以上の報告は次回とさせていただきたい」

半沢「失礼致します」

大和田「おい、半沢!」

大和田「…スクールアイドルだぁ?」

333: 2020/10/20(火) 05:16:19.27 ID:mar6nlWC
スタスタスタ…

半沢(………)


(回想)

半沢父『待って下さい…!!』

半沢父『お願いします…!!』

半沢父『もう少しで…もう少しで国民的アイドルが育つんです…!!』

大和田『…』

大和田『…いい加減にして下さい!!』バッ!!

半沢父『グッ…!!』

半沢父『…ま…待って…待って下さい…!!』


半沢(………大和田)

スタスタスタ…

334: 2020/10/20(火) 05:16:29.58 ID:mar6nlWC
続きます

340: 2020/10/20(火) 22:43:19.77 ID:mar6nlWC
■ 高坂家

穂乃果母「穂乃果ー、晩ご飯よー?」

穂乃果「ありがとう、お母さん」

穂乃果「今から行くね」


スタスタ


ガラー


穂乃果「えっ」

海未母「ふふっ、お邪魔してます」

海未母「穂乃果ちゃん」

穂乃果「海未ちゃんのお母さんっ!」

穂乃果「どうしてっ?」

海未母「お饅頭を買いに来たついでにね?」

穂乃果母「最近来てくれてなかったからねー」

穂乃果母「久しぶりに一緒に話したくなっちゃって」

穂乃果「そうなんだっ」

穂乃果「ゆっくりしていって下さいっ!」

341: 2020/10/20(火) 22:45:33.64 ID:mar6nlWC
海未母「ふふっ、穂乃果ちゃんとも久々に話せるから嬉しくなっちゃうわ?」

海未母「スクールアイドル、始めたのでしょう?」

穂乃果「あっ…そ…それは…」

穂乃果「私…」

穂乃果「もう…アイドル辞

海未母「本当、昔のきぃちゃんそっくりね?」

穂乃果「えっ?」

海未母「さっき二人で話していたのよ?」

穂乃果母「ちょっ…!その話は…!!」

海未母「あら?ダメだったの?」

穂乃果母「は…恥ずかしいから…」

穂乃果「えっ?なになに?聞かせて欲しいっ」

海未母「ふふっ、穂乃果ちゃんにそこまで言われたらね~」

穂乃果母「も…もう…」

海未母「きぃちゃんなんだけどね?」

海未母「昔アイドルになろうとしてたのよ♪」

海未母「本当穂乃果ちゃんそっくりだわ?」

穂乃果「えっ…」

穂乃果「えええ!?お母さんが!?」

342: 2020/10/20(火) 22:48:06.69 ID:mar6nlWC
穂乃果母「な…なろうとしてただけで結局なれてないから…」

海未母「でも当時ホント可愛かったんだから♪」

海未母「ほら?この写真見て~」

穂乃果「どれどれー?」

穂乃果母「ちょ…!!いい加減にしなさい…!!///」

穂乃果「うわっ!ホントだ!」

穂乃果「お母さん若いしスカート短いっ!!」

穂乃果「すっごく可愛いっ!!」

穂乃果母「あ…あんまり見ないでよ…」

穂乃果「この隣にいる眼鏡を掛けたおじさんは?」

穂乃果母「……」

穂乃果母「…この人は当時私が所属してた芸能事務所の社長さん」

穂乃果母「小さい事務所だったけど何の取り柄もない私に目をかけてくれて」

穂乃果「へぇ~」

穂乃果「お母さんを選ぶなんて見る目ある~」

海未母「実際いいところまで行ったのよ?」

海未母「それなのにアイドルを途中で辞めちゃうなんて…」

海未母「事情も話してくれないし…もったいないわ?」

穂乃果母「や…辞めたくて辞めたわけじゃない…!!」

穂乃果「えっ…?」

穂乃果母「あ…!!ご…ごめんなさい…急に声を荒げちゃって」

穂乃果母「…この話は…もうおしまい」

穂乃果母「ふふっ、晩ご飯にしましょう?」

353: 2020/10/24(土) 23:52:53.05 ID:xDsRaDVg
■ 食後@雪穂の部屋

タッタッタッ!!

ガララー!!

穂乃果「ねぇねぇ雪穂っ!」

雪穂「うわぁ!?」

雪穂「び…びっくりしたぁ…」ドキドキ

雪穂「ド…ドアのノックくらいしてよ!お姉ちゃん!!」

穂乃果「ドアじゃなくてふすまじゃん」

穂乃果「そんなことより聞いて!!」

雪穂「晩ご飯なら外で食べてきたからいらないって言ったでしょ…」

穂乃果「もぉー、ちがうよぉー」

穂乃果「お母さんのこと!!」

雪穂「お母さんがどうかしたの?」

穂乃果「お母さん!昔アイドルを目指してたんだって!!」

穂乃果「写真見せてもらったんだけどすっごく可愛いくてっ!!」

雪穂「……」

雪穂「……それ…誰から聞いたの?」

穂乃果「えっ?海未ちゃんのお母さんからだけど」

雪穂「……あちゃー」

雪穂「…秘密にしてたんだけどなぁ」

穂乃果「ええ!?雪穂知ってたの!?」

穂乃果「もぉー!ズルイよぉ!!」

雪穂「ズルイって言われても…」

穂乃果「なんで雪穂だけ知ってるのさっ!!」

雪穂「……そ…それは」

穂乃果「ねぇ!!」ガシッ

雪穂「う…うぅー…」

354: 2020/10/24(土) 23:55:50.92 ID:xDsRaDVg
雪穂「…」

雪穂「…お姉ちゃんがスクールアイドルやるって宣言を聞いた後に」

雪穂「お母さんが…こっそり私に話してくれたの」

穂乃果「えっ」

雪穂「『お姉ちゃんがアイドルやるの、すっごく嬉しいんだ』って…」

雪穂「『自分は最後までやり通せなかったから夢を叶えさせてあげたいの』って…」

雪穂「『穂乃果の夢は私の夢なんだ』って…」

穂乃果「……!!」

穂乃果「そ…そんな……知らなかった……」

穂乃果「………私……お母さんを失望させちゃったのかな…」

雪穂「そんなことない!!」

穂乃果「ゆ…雪穂…?」

雪穂「お姉ちゃんはμ'sのためにいっぱい頑張ったじゃん!!」

雪穂「悪いのは……汚い大人たちだよ……」グスッ

雪穂「この前もスーツ着た男の人がお姉ちゃんを探しに店に来たりして…いい迷惑だよ…」

穂乃果「スーツを着た…男の人?」

雪穂「いーの!!追い返しといたからっ!!」

穂乃果「……」

雪穂「それより、お姉ちゃん時間できたんでしょ?」

雪穂「たまには家にいないでパーッと遊びにでも行ってきなよっ」

雪穂「なんなら~妹の私が特別に付き合ってあげてもいいよ~?」ニシシ

穂乃果「…」

穂乃果「…」

穂乃果「……」クスッ

穂乃果「…雪穂、いつもありがとう」ポンッ

雪穂「あっ…」

雪穂「……うんっ」エヘヘ

356: 2020/10/25(日) 00:24:08.74 ID:V6ngEISe
穂乃果「雪穂」

雪穂「うん?」

穂乃果「…お母さんの昔のこと」

穂乃果「…スーツの男の人のこと」

穂乃果「私に詳しく聞かせて?」

雪穂「…えっ?」

雪穂「で…でも…」

穂乃果「……」ギュッ

雪穂「……!!」

穂乃果「知りたいの」

穂乃果「お願い」

357: 2020/10/25(日) 10:11:33.76 ID:V6ngEISe
■ 同刻@展望台

ガチャ

花「うわー!凄いねっ!」

花「こんなに綺麗な夜景が観れる場所があったんだっ」


半沢「花」

花「うん?」

半沢「ずっと、話しておきたかったことがある」

花「なーに?」

半沢「俺の親父は過労で死んだって昔に話したよな」

花「…うん」

半沢「あれは、嘘なんだ」

花「……えっ」

半沢「親父が操業していた半沢芸能が」

半沢「当時資金繰りで信頼していたメインバンクに突然見捨てられ」

半沢「親父は自〇したんだ」

花「……!!」

花「そ…そんな………」

半沢「…ごめん」

半沢「黙ってて」

花「…」

半沢「銀行は、親父の事務所に未来は無いと考え」

半沢「協力して再建案を検討することもせず」

半沢「突然融資を打ち切った」

花「…」

358: 2020/10/25(日) 10:13:08.67 ID:V6ngEISe
半沢「事務所の所属メンバーは少数だったが」

半沢「トップアイドルを目指し希望に満ち溢れていた」

半沢「だが、事務所が潰れたことをきっかけに」

半沢「皆活動を辞めてしまったそうだ」

花「…どうして?」

花「…他の事務所に移るって選択肢は無かったの…?」

半沢「汚い大人のやり方に嫌気がさしたそうだ」

半沢「自分たちは今後もこんな世界で生きていかないといけないのかって」

花「…そっか」

花「…もしかしたら…私もそう思っちゃうかも」

半沢「そうだな」

花「その人たちはその後どうなったの…?」

半沢「所属メンバーのその後は俺も分からない」

半沢「あれから25年、家族を持つ方もおられるだろう」

半沢「もしかしたらこの夜景の光のどこかにいるのかもしれない」

花「…」

359: 2020/10/25(日) 10:14:46.19 ID:V6ngEISe
花「…その人たちの子供がアイドルをやりたいって言ったら」

花「…どう言って…あげるのかな」

半沢「どうだろうな」

半沢「…ただ一つ言えるのは」

半沢「子供にはずっと夢を、希望を持って欲しい」

半沢「そう思わない親はいないんじゃないかと思う」

花「…うん」

半沢「俺は」

半沢「そんな子供達や親、アイドルや経営者の想いに寄り添えるバンカーになりたい」

花「…」クスッ

花「直樹ならできるよ?」

半沢「…ありがとう、花」ギュッ

花「うん…」ギュッ

360: 2020/10/25(日) 10:15:56.79 ID:V6ngEISe
半沢「…だが、俺だけがそうなっても駄目なんだ」

半沢「さっきは言葉を濁したが」

半沢「親父への融資を断ったメインバンクは」

半沢「東京中央銀行だ」

花「……えっ……?」

花「じゃあ…何…?」

花「お父さんの仇の銀行に入ったってこと…?どうして…?」

半沢「…さっきも言ったが」

半沢「俺一人だけじゃ何も変えられない」

半沢「世の中を活かすも〇すも銀行次第」

半沢「銀行全体を変えないといけない」

半沢「だから…俺は上に行きたい」

花「…そっか」

花「話してくれてありがと…直樹」

半沢「…花」

半沢「親父が死んだ後、希望が無くなった俺を支えてくれたのは」

半沢「花のひまわりのような笑顔だった」

花「ふふっ」クスッ

半沢「笑顔は人々に勇気を希望を与えてくれる」


半沢「俺はアイドルにはなれないが」

半沢「人を笑顔にさせられる仕事をしていきたい」

半沢「そう思ってる」

362: 2020/10/25(日) 10:56:53.52 ID:V6ngEISe
■ 翌日@園田家前

ガララー

海未「行って参ります」

スタスタスタ

スタスタ

……ピタッ

海未「……!!」

海未「ほ…穂乃果!!」

穂乃果「…うん」


穂乃果「海未ちゃん、おはよ」ニコッ

穂乃果「一緒に学校、行こ?」


―――――
――――
――

海未「最近は、放課後どうしているのですか」

穂乃果「うーん、漫画読んだりテレビ見たり?」

海未「もう…遊びばかりでなく宿題もしなければいけませんよ?」

穂乃果「ご…ごめーん…」

海未「ふふっ、わかってもらえたら良かったです」

363: 2020/10/25(日) 10:59:51.46 ID:V6ngEISe
穂乃果「……海未ちゃん」

穂乃果「…あのね?」

海未「どうかしましたか?」

穂乃果「…これまで海未ちゃんのお誘い…断り続けちゃってごめん」

海未「…穂乃果」

穂乃果「…私…スクールアイドル続けるの…怖かったの」

穂乃果「急にいろんな人が私達の邪魔をしてきて…」

穂乃果「皆に迷惑をかけるのが…怖かった…」

海未「迷惑…ですか」

穂乃果「うん…」

海未「……」クスッ

海未「はっきり言いますが、穂乃果にはずっと迷惑かけられっぱなしなんですよ」

穂乃果「えっ」

海未「そもそも私がアイドルをやってること自体、今でも違和感が凄いです」

海未「ですが、穂乃果に振り回されるのはもう慣れっこなんです」

穂乃果「う…海未ちゃん」

海未「なんなら、かなりその気になってきました」

海未「私、実は結構ビジュアルイケているのではないかと」

海未「ことりにも負けるつもりはありません」フフン

穂乃果「……」

穂乃果「…ふふっ……あははっ!!」

穂乃果「う…海未ちゃん…ふふっ…無理しすぎ……あははっ!!」

海未「な…何を笑っているのですか…!///」

364: 2020/10/25(日) 11:03:24.97 ID:V6ngEISe
穂乃果「だって…ふふっ…いつもだったら絶対に言わないセリフだし…ふふっ…」

穂乃果「あははっ!お腹痛い…ふふっ…」

海未「も…もう…!笑いすぎですよ穂乃果…!」

穂乃果「ご…ごめんごめん…ふふっ」

穂乃果「…ありがと海未ちゃん」

穂乃果「私を元気づけてくれようとしたんでしょ?」

海未「…」

海未「…元気」

海未「出ましたか?」

穂乃果「うんっ!」

穂乃果「最近で一番笑ったかも!!」

海未「…それはよかったです」クスッ

海未「私は穂乃果が元気になってくれればそれでいいんです」

穂乃果「…海未ちゃん」

穂乃果「これまで…心配かけてごめん」

穂乃果「私…μ'sのみんなに逢いたい」

海未「ふふっ、みんなも喜ぶと思います」

海未「今日の放課後に一緒に行きましょう」

穂乃果「ありがとう!」

365: 2020/10/25(日) 11:03:34.60 ID:V6ngEISe
穂乃果「あと…黒いスーツを着た男の人で思い当たる人っている?」

穂乃果「眼鏡はかけてないみたいなんだけど…」

海未「もしかすると…半沢さんでしょうか」

穂乃果「知ってるの!?」

海未「ええ」

海未「私たちμ'sを全面的にサポート頂いている銀行の方です」

穂乃果「そうなんだ…」

穂乃果「………信頼できる人…?」

海未「…少しは信頼できるかもしれない、と当初は思っていました」

海未「ですが、訂正します」

穂乃果「…?」


海未「間違いなく信頼できる方です」

海未「彼なら…音ノ木坂を本当に変えてくれるかもしれません」

375: 2020/10/30(金) 07:35:16.57 ID:DAlIpn7X
■ 放課後@UTX屋上

ガチャ

凛「あー!半沢さんだー!」

半沢「お疲れ様です、星空さん」


穂乃果「あ、この人が…」

海未「穂乃果、ご紹介します」

海未「こちらが先ほどご説明した東京中央銀行の半沢直樹さんです」

半沢「お待ちしていました、高坂さん」

穂乃果「す…すみません…!!」

穂乃果「この前雪穂が失礼な事を言っちゃったみたいで…」

半沢「雪穂…」

半沢「ああ、高坂さんの妹さんですね」

穂乃果「はい…」

半沢「とんでもありません」

半沢「姉想いの良い妹さんではありませんか」

半沢「なかなか初対面の方にあそこまで強くは言えません」

穂乃果「」パァー!!

穂乃果「そうなんです!雪穂は凄いんです!」

穂乃果「この前も!

海未「穂乃果…調子に乗らない」

穂乃果「うっ…ごめぇーん」ウゥー…

376: 2020/10/30(金) 07:37:56.98 ID:DAlIpn7X
半沢「」ニッコリ

半沢「高坂さんのお話は以前から聞いていましたが」

半沢「実際にお話させて頂くと、はるかに魅力的ですね」

穂乃果「えっ…///」

半沢「貴方なら、μ'sなら」

半沢「音ノ木坂のこの状況を本当に変えてくれるかもしれません」

穂乃果「…」プッ

穂乃果「あははっ!」

穂乃果「朝に聞いた海未ちゃんのセリフと全く一緒!!」

海未「ちょっ…!穂乃果…!」

穂乃果「半沢さん!これからよろしくお願いします!」

半沢「ええ、こちらこそ」ニッコリ


ガチャッ

穂乃果「えっ?」

ツバサ「ようやく全員集まったみたいね」

穂乃果「あ…A-RISEのツバサさん…!?」


ツバサ「少し、お話をさせてくれないかしら」

382: 2020/11/01(日) 08:01:46.92 ID:VbVrimES
本日のみ、投稿先が変更になります

383: 2020/11/01(日) 08:03:42.30 ID:VbVrimES
■ UTX高校カフェ

真姫「屋上以外の場所は初めて来たけど、良いカフェね」

花陽「うんっ、見晴らしがすっごくいいね!」

凛「かよちんの家もばっちり見えるにゃ~」

にこ「ふふんっ、あったりまえでしょ~?」

にこ「なんてったってにこが憧れたUTX高校なんだもの」ドヤァ

希「にこっちが自慢げになるのはおかしいけどね」

ことり「あははっ…」

穂乃果「半沢さんは?」

海未「先程お電話が入ったようで」

海未「急遽、出かけられましたよ」

384: 2020/11/01(日) 08:06:00.94 ID:VbVrimES
絵里「それで、お話というのは」

ツバサ「ええ」

ツバサ「まずはμ'sの皆さん、活動再開おめでとう」

穂乃果「ありがとうございますっ!」

穂乃果「これから頑張りますっ!」

ツバサ「頼もしいわね」クスッ

絵里「私からも一度綺羅さんにお礼を言いたいと思っていました」

絵里「練習場所を貸して頂き、本当にありがとうございます」

ツバサ「うーん、駄目ね」

絵里「えっ」

ツバサ 「呼び方」

絵里「?」ポカーン

ツバサ「私たち、同じ学年でしょう?」

ツバサ「ツバサって呼んでくれて構わないわ♪」

絵里「あっ///」

にこ「ほ…ほんと…!?」

にこ「じゃ…じゃあ私もツバサって呼んでもいい…?」

ツバサ「当然よ?にこ♪」

にこ「」パァー


海未「…それで」

海未「何故私たちに練習場所を貸して頂けたのでしょうか」

ツバサ「…」

ツバサ 「ふふっ」

ツバサ「あなた半沢さんみたいね、園田海未さん」

海未「……」

385: 2020/11/01(日) 08:08:17.49 ID:VbVrimES
ツバサ「何故私が貴方達に練習場所を貸したか」

ツバサ「簡単に言うと、貴方達μ'sに近づきたかったからよ」

穂乃果「えっ、私たちに?」

希「なんでウチらなん?」

ツバサ「国立音ノ木坂学院μ's」

ツバサ「貴方達は今、高ア連などから圧力をかけられていると聞いているわ」

穂乃果「…」

ツバサ「その情報が欲しい」

μ's「!?」

絵里「…何故かしら、ツバサ」

ツバサ「怖い顔しないで、絵里」

絵里「…」

ツバサ「説明順序が逆になってごめんなさい」


ツバサ「UTX高校A-RISEは今」

ツバサ「貴方達μ'sと極めて近い状況に置かれている」


μ's「……!!」

386: 2020/11/01(日) 08:09:44.19 ID:VbVrimES
海未「ま…まさか…」

ツバサ「この1ヶ月、おかしいと思う事がいくつもあって」

ツバサ「英玲奈とあんじゅに調べてもらっていたの」

ツバサ「流石に貴方達μ'sに対するものほど露骨では無いけれど」

ツバサ「A-RISEのラブライブ出場に対して人為的なものを感じざるを得ない」

穂乃果「そ…そんな…!!」


ツバサ「μ'sの皆さん」

ツバサ「A-RISEと協力してもらえないかしら」


ツバサ「私は」

ツバサ「『ラブライブ!』を取り戻したい」

387: 2020/11/01(日) 08:43:23.23 ID:VbVrimES
■ 国税庁入口

黒崎「……」


タッタッタ

黒崎「…あら、あなた」

半沢「大和田から聞きました」

半沢「国税庁をお辞めになられると」

黒崎「…」

黒崎「…どうかしちゃったのかしらね、あたし」

黒崎「政府に楯つくなんて」

黒崎「あなたの行動が移っちゃったのかしら」

半沢「…」

黒崎「これであなたの顔を見ることも無くなるわね」

黒崎「じゃあね」スタスタスタ

黒崎「…」

黒崎「…」

ピタッ

388: 2020/11/01(日) 08:45:28.85 ID:VbVrimES
黒崎「検査官じゃなくなったあたしから」

黒崎「最後に一つ教えてあげる」


黒崎「箕部と高ア連は繋がっているわ」

黒崎「『私立浦の星女学院』を調べなさい」


黒崎「あたしが言えるのはここまで」

黒崎「もうあなたしかいないのよ…」

半沢「…」

黒崎「本当に…あなたのことなんて大っ嫌い!」


黒崎「だから最後まで」

黒崎「私が大っ嫌いなあなたでいてちょうだい」

黒崎「半沢次長」スタスタスタ


半沢「…黒崎検査官!!」


ピタッ

黒崎「…」


半沢「…」ペコッ


黒崎「…」

黒崎「…」ニコッ

401: 2020/11/05(木) 00:43:08.07 ID:PVXyTEvX
■ 新政党

箕部「白井くん」

箕部「音ノ木の件、うまくいっているんだろうねぇ?」

白井「…といいますと」

箕部「500億の債権放棄の件に決まっているじゃぁないか」

箕部「音ノ木は我々新政党が救うんだ」

箕部「向こうの理事長さんにもそろそろお会いしないとな」

箕部「なぁ?笠松くん」

笠松「はい、先生」

笠松「先方とは現在日程を調整中です」

箕部「よろしく頼むよぉー?」

箕部「白井くんもな」

白井「…」

箕部「…どうかしたのかねぇ?」

白井「いえ…南理事長とお会いしてどうされるのかと思いまして」

箕部「ふん」

箕部「そんなこと決まっているだろう」


箕部「老いぼれのこの私の頭はな」

箕部「下げるためにあるんだよ」

箕部「白井くん」

402: 2020/11/05(木) 00:46:02.80 ID:PVXyTEvX
■ 後日@沼津

キー

バタンッ

半沢「ありがとうございます」

半沢「領収書を頂けますか」

運転手「少し待ってな」


半沢「それにしても…かなりの田舎ですね」

運転手「このあたりは内浦湾って言ってな」

運転手「漁業は盛んだが年々縮小傾向なんだ」

運転手「若い子はどんどん外に出ていってる」

半沢「そうでしたか」

運転手「ほら、あそこに見えるのが浦の星女学院だ」

運転手「用があるんだろう」

半沢「ええ、ご丁寧に」

運転手「それが仕事だからな」

運転手「良かったら帰りも頼むよ、じゃあな」

半沢「ありがとうございました」

403: 2020/11/05(木) 00:46:48.78 ID:PVXyTEvX
半沢「…さて」

半沢「とりあえず来たは良いものの、どうするか」


半沢「……ん?」

半沢「あれは…」

半沢「……浜辺に何か文字が書いてあるな」


スタスタ

スタスタスタ

…ピタッ


半沢「……」

半沢「………」

半沢「………これは」


  助けて、ラブライブ!


半沢「……」

412: 2020/11/07(土) 12:02:11.52 ID:xYpuGB7v
ピピピッ
ピッ


半沢「どうした、田島」

田島『次長』

田島『先ほど音ノ木坂の南理事長より連絡がありました』

田島『タスクフォースの再建案を入手したそうで』

田島『今すぐに次長にお見せしたいとのことです』

半沢「そうか」

半沢「わかった、今から行く」

田島『よろしくお願いします」


ピッ


スタスタスタ


半沢「改めて出直すか」

半沢「ん…?」


チラッ


半沢「……これは」

413: 2020/11/07(土) 12:05:55.91 ID:xYpuGB7v
■ 音ノ木坂学院

南「タスクフォースから再建案の詳細を確認するよう命じられ」

南「半沢さんにもご確認をお願いしたいと思いまして」

半沢「ありがとうございます」


ペラッ…

ペラッ…

ペラッ…

半沢「…………!!」


南「…驚きましたか?」

半沢「…はい」

田島「なんだこれ…」

南「半沢さんが作られた再建案のまる写しです」

南「あれだけ人と時間をかけて…」


半沢「…いえ」

半沢「違います」

414: 2020/11/07(土) 12:06:57.26 ID:xYpuGB7v
半沢「8ページ目にある『姉妹校新設』の一覧」

半沢「この表の最終行…」


半沢「『私立浦の星女学院』」


田島「これって…」

南「ええ…私も詳しく認識できていないのですが」

南「赤字で廃校寸前の高校と聞いています…」

田島「他の姉妹校候補はどれも有名な女子校ですよ?」

田島「どうしてこの高校だけ…」

半沢「恐らく……箕部幹事長の選挙地盤だからだ」

田島「そうなんですか…!?」

半沢「ああ」


半沢「浦の星女学院のある内浦」


半沢「その町の掲示板に」

半沢「箕部幹事長の記事が掲載されていた」

415: 2020/11/07(土) 12:08:02.94 ID:xYpuGB7v
■ 新政党

白井「あの…箕部先生」

白井「この『私立浦の星女学院』というのは…」

箕部「なにかぁ?」

白井「…」

乃原「箕部先生の方から」

乃原「今後音ノ木と協調することで収益が伸びる高校であると助言を頂きましてね」

乃原「候補に入れさせて頂くことに決めました」

白井「…ですがこれだけの赤字では」

箕部「…」

箕部「…」

箕部「…はぁ?」

箕部「…最近どうも耳が遠くてねぇ」

箕部「…」

箕部「…もう一度、言ってくれんかねぇ?」

白井「……いえ」

白井「…失礼いたしました」

笠松「…」

416: 2020/11/07(土) 12:09:42.90 ID:xYpuGB7v
■ 音ノ木坂学院 校門

スタスタスタ

田島「自分の息がかかった高校をリストアップするだなんて…」

田島「忖度まみれの再建案じゃないですか」

半沢「ああ」

半沢「だが、問題はそれだけじゃない」

半沢「これは、銀行の債権放棄ありきで作られている」

半沢「これまで東京中央が何度も拒絶しているにもかかわらずだ」

田島「どうして…」

半沢「タスクフォースは東京中央銀行に債権放棄を認めさせる自信がある」

半沢「ということだろう」

田島「自信…」

半沢「それを徹底的に調べ上げる必要がある」


半沢「鍵を握るのは箕部幹事長」

半沢「そして、私立浦の星女学院だ」


半沢「黒崎検査官からの助言を無駄にするわけにはいかない」

半沢「かならず正体をつきとめ」


チラッ


半沢「この高校を、学生を、スクールアイドル達を救わなければならない」

417: 2020/11/07(土) 12:10:02.40 ID:xYpuGB7v
一旦ここまでです

420: 2020/11/08(日) 10:28:28.01 ID:SxW5XxAh
■ 東京中央銀行

田島「…過去10年における幹事長への融資案件は見つかりませんね」

半沢「となると…合併前に遡る必要がある」

田島「合併前ですか」

半沢「お前は合併後に入校したからピンとこないかもしれないな」

半沢「一つは、旧産業中央銀行」

半沢「俺や渡真利、大和田取締役の出身」

半沢「一方、旧Tは、旧東京第一銀行」

半沢「中野渡頭取や、紀本常務の出身行だ」

田島「旧S、旧Tってやつですね」

半沢「そうだ」

半沢「合併以降、頭取は常に旧Tの人間が受け継いでいる」

田島「派閥の絆ってやつですか…くだらない」

半沢「………派閥の…絆」

421: 2020/11/08(日) 10:29:19.22 ID:SxW5XxAh
■ 東京中央銀行 書庫

田島「あった!」

田島「ありましたよ!次長!」

半沢「……!!」

田島「これです!」

田島「30年前、箕部がまだ若手議員だった頃」

田島「旧Tとの取引があったそうです」

田島「事業の運転資金として、数千万円程度が箕部に振り込まれているようです」

半沢「明細は」

田島「…機密扱いになっています」

半沢「………役員の承認が必要だな」

田島「旧S出身の紀本常務に見せてくれと頼むわけにはいきませんし…」

半沢「………」

432: 2020/11/08(日) 19:29:16.94 ID:SxW5XxAh
>>421
「旧T出身の紀本常務」のミスです
失礼しました

422: 2020/11/08(日) 10:30:01.33 ID:SxW5XxAh
■ 大和田取締役 役員室

大和田「…旧T時代の融資明細ねぇ…?」

半沢「お願いします」

大和田「一体何の融資なのかな?」

半沢「大和田さんには関係の無い小口案件です」

大和田「そうですか、ではどうぞ」


大和田「なんて認めるわけねーだろぉ!?」


大和田「何を調べてるんです」

半沢「…」

大和田「半沢くん」

大和田「言ってみなさいよ」

大和田「命令だ」

半沢「…」

大和田「言え…」

大和田「言いなさい!!」

半沢「ずいぶんと苛立っているようですね」

半沢「原因は紀本常務でしょうか」

大和田「……!」

423: 2020/11/08(日) 10:31:28.81 ID:SxW5XxAh
半沢「紀本さんを役員の座から引き摺り下ろし」

半沢「その後釜に座るはずだったが、思惑が外れた」

半沢「あなたにとっては面白く無いでしょうね」

大和田「君というやつは…ほんっとうにいちいち癇に障る」

半沢「…」

大和田「ですが、まぁ、うん」

大和田「多めに見てあげます」

大和田「君が何を調べようとしているか、おおよそ検討はついている」

大和田「箕部と浦の星だろう?」

半沢「…」

大和田「紀本と箕部、浦の星はつながっていると私は睨んでいる」

大和田「しかしその具体的なつながりがなんなのかがわからない」

大和田「君だってそれを知りたいはずだ」

大和田「だから協力してやる」

半沢「…協力?冗談ではありません」

半沢「私が頂きたいのは資料の閲覧承認、それだけです」

半沢「あなたには何度も掌を返されてきた」

半沢「1ミリたりとも信じられません」

大和田「信じていただかなくて結構」

大和田「私だって君なんかに信じられたら虫唾が走るね」

大和田「本音を言えばお前と手を組むなんて口が裂けても言いたく無い」

半沢「…」

大和田「私はこの世で一番お前のことが嫌いなんだよ」

大和田「…だが、バンカーとしての実力だけは認めてやる」

半沢「…」

424: 2020/11/08(日) 10:32:50.24 ID:SxW5XxAh
大和田「確かに紀本のことは面白くない」

大和田「…しかし…それ以上に心配なのは頭取だ」

大和田「政府からの圧力を止めるためには、早急に真相を掴む必要がある」

大和田「そのためには、猫の手だろうと、犬の手だろうと、半沢の手だろうと借りなければならんのだ」

大和田「…お前だって私の協力がなければこれ以上先には進めないはずだ」

大和田「違うか?」


サッ…


大和田「…いいか?」

大和田「私が差し出すこの手は決してお前のためなんかじゃない」

大和田「頭取のためだ」

半沢「…」

大和田「どうなんだ半沢」

大和田「組むのか、組まないのか」

大和田「どっちなんだ!!」


半沢「…人にモノを頼むときには」

半沢「大事な七文字を以前教えていただきましたね」

半沢「もうお忘れですか?」

大和田「…」

425: 2020/11/08(日) 10:36:08.86 ID:SxW5XxAh
半沢「あなたがおっしゃったことです」

大和田「……お」

半沢「…」

大和田「……おねしゃす」

半沢「…おねしゃす?」

半沢「二文字足りないようですが」

大和田「お・ね・が・い・し・ま・す!!」

大和田「これでいいだろう!!!!」

半沢「…」

半沢「…」


  助けて、ラブライブ!


半沢「…」


サッ…


半沢「……私が差し出すこの手は」

半沢「東京中央銀行の」

半沢「そして、スクールアイドル達の未来のためです」








ギュッ


半沢「…」


大和田「…」

426: 2020/11/08(日) 11:09:04.11 ID:SxW5XxAh
■ 内浦湾

ザァー…

千歌「……」


曜「ちーかちゃんっ」

千歌「あっ…曜ちゃん」

曜「ふふっ、こんなところでどうしたの?」

千歌「…んーん」

千歌「ラブライブ」

千歌「次の予選も頑張らなきゃって思って」

曜「…そっか」


千歌「ねぇ、曜ちゃん」

曜「うん?」

千歌「もしラブライブ優勝したら」

千歌「何がしたい?」

曜「えっ」

曜「うーん、そうだなー」

曜「ウチの船に優勝旗立ててみんなでクルージング!!」ニシシ

千歌「あははっ」

千歌「曜ちゃんらしいや」

427: 2020/11/08(日) 11:11:06.19 ID:SxW5XxAh
曜「そういう千歌ちゃんは?」


千歌「私かー」

千歌「…私は」

千歌「…」

千歌「…どうするだろう?」


曜「えー?なにそれー?」

曜「私に聞いておいて…」

千歌「あははー」

千歌「ごめんごめんー」

曜「もー…」


千歌(…なんでだろう)

千歌(優勝してる私たちの姿が…想像できなかった)


曜「千歌ちゃん?」

千歌「えっ」

曜「どうしたの?ぼーっとして」

千歌「んーん、なんでもないー」


バッ


千歌「そろそろ練習、もどろっか?」クスッ

曜「うんっ」

428: 2020/11/08(日) 11:12:18.79 ID:SxW5XxAh
一旦ここまでです
Aqoursですが、スクスタ時空となりますのでご注意ください

430: 2020/11/08(日) 11:43:32.67 ID:SxW5XxAh
スクスタ時空と書きましたが、あくまで学年だけの話であり
Aqoursメンバー内の関係性や、他学校との関係性はスクスタとは異なりますのでご注意ください

434: 2020/11/09(月) 06:44:56.54 ID:lGib0Kya
■ 東京中央銀行 地下倉庫

半沢「…これか」

大和田「見つかったのか」

半沢「ええ」

半沢「この中に過去の箕部への融資の詳細が記載されているはずです」

半沢「融資詳細は…」

ペラッ…

ペラッ…

半沢「…ありました」

大和田「どれ、私にも見せたまえ」


大和田「融資明細…」

大和田「…2000万」

半沢「…4000万」

大和田「…3000万」


半沢・大和田「!?」


半沢・大和田「ご…50億…!?」


大和田「…なんだこれは」

半沢「融資理由は…新規事業における土地購入」

半沢「決裁者は…紀本常務」

半沢「…やはり紀本常務と箕部は繋がっていましたか」

435: 2020/11/09(月) 06:46:12.10 ID:lGib0Kya
大和田「繋がりもそうだが」

大和田「ここを見たまえ…半沢くん」

大和田「5年間もの間…無担保で貸している」

半沢「無担保…50億なんて金額」

半沢「到底考えられません」

半沢「購入先の土地情報は…これか」ペラッ

大和田「東京の千代田区ですか」

半沢「住所を検索します」ポチポチ


半沢「……!!」

半沢「こ…これは…」

大和田「一体どこなんだね」


半沢「……秋葉原ドーム」

半沢「スクールアイドル達のメッカです」

半沢「現在の地価にして…800億円」

440: 2020/11/10(火) 06:12:52.03 ID:h6aXh7qt
■ 鉄板焼き屋

瀬名「いやー、それにしても半沢さんの」

瀬名「この前の会見かっこよかったよな~」

瀬名「『東京中央銀行は債権放棄を断固として拒絶します!』ってさ」

森山「はい、テレビで見てて痺れました」

半沢「あの時は必死でしたから」

半沢「ですが、新政党はまだ債権放棄を諦めていません」

瀬名「しつこい連中だな…」

半沢「その鍵を握っているのは、先ほども話しましたが、恐らく高ア連」

半沢「明日、高ア連に行こうと思っています」

森山「部長、それなら僕にも行かせて下さい」

瀬名「お、いいね~」

半沢「…ダメだ」

半沢「今回限りはお前を庇い切れる自信がない」

森山「…別に庇って欲しいなんて思ってません」

森山「僕自信が部長に協力したいんです」

森山「それにこの件はUTX高校にも大きく関わっています」

森山「UTX高校の財務パートナーとして見過ごせません」

半沢「………」

半沢「…………ダメだ」

441: 2020/11/10(火) 06:13:12.16 ID:h6aXh7qt
■ 翌日@高ア連近辺

スタスタスタ

半沢「高ア連…」

半沢「…ん?」


スタスタスタ

森山「部長、来ちゃいました」

半沢「……森山」

442: 2020/11/10(火) 06:19:19.04 ID:h6aXh7qt
半沢「いいか」

半沢「ヤバくなったら逃げるんだ」

森山「分かっています」

森山「言われなくても部長置いて一人で逃げますよ」

半沢「ああ、それでいい」

森山「それで、どうするんですか?」

半沢「過去に旧T・東京第一銀行が箕部に融資した50億で購入された土地」

半沢「それは現在の秋葉原ドームの敷地だ」

半沢「森山、秋葉原ドームの管轄者を知っているか」

森山「…高ア連ですか?」

半沢「その通りだ」

半沢「箕部に融資した金で購入されたのが、高ア連が管轄する秋葉原ドーム」

森山「なるほど」

半沢「だが、融資明細には、肝心のクレジットファイルが添付されていなかった」

半沢「これが不正融資であることの確証が無い」

半沢「恐らく、紀本か箕部あたりが隠し持っているんだろう」

森山「それじゃあ、どうするんですか?」

半沢「俺たちができることは、金の流れを追うことくらいだ」

半沢「50億がどのように箕部に渡り」

半沢「高ア連がどう絡んでいるのか」

443: 2020/11/10(火) 06:20:33.96 ID:h6aXh7qt
半沢「……!?」

森山「どうしたんですか?」

半沢(森山!姿勢を低くしろ!!)

森山(…?)


笠松「…」スタスタスタ


半沢「あれは…箕部幹事長の秘書の…笠松」

半沢「…なぜこんな所に」

456: 2020/11/15(日) 10:56:20.22 ID:KoJozr5W
■ 浦の星屋上

ルビィ「あっ…そういえば…」

ダイヤ「どうかしたのですか」

ルビィ「この前のラブライブ2回戦でSaint Snow落ちちゃったみたいで…」

千歌「えっ」

花丸「Saint Snowってこの前合同ライブした?」

ルビィ「う…うん…」

善子「ふーん、あんなに強気だった割にはアッサリじゃない」

果南「すっごい自信マンマンだったもんねぇー」


千歌「…」


千歌「…なんで落ちちゃったんだろう」

千歌「あんなに凄いパフォーマンスしてたのに」

梨子「うーん、北海道が激戦区だからとか?」

鞠莉「…」

曜「どうかしたの?鞠莉ちゃん」

鞠莉「…なんでも無いわ」

鞠莉「梨子の言う通りじゃないかしら」

鞠莉「地区が異なるのであれば私達と単純比較はできない」


鞠莉「それよりも練習を再開しましょう」

鞠莉「もうすぐ、陽が暮れるわ」

457: 2020/11/15(日) 10:59:38.06 ID:KoJozr5W
■ 喫茶店

森山「…まさか箕部の秘書と高ア連の谷川が繋がっていただなんて」

半沢「森山、もう少し声を抑え 」

半沢「2人に気づかれてしまう」

森山「すみません…部長」


笠松「…」

谷川「…」


半沢「この距離だと会話までは聞こえないな…」

半沢「…あの会話には箕部の不正を暴く重要なヒントが隠されているはずなんだが」


カランカラーン


森山「あ、新しいお客さんが来たみたいですね」

半沢「ああ」チラッ

半沢「!?」


??「」スタスタスタ


半沢「あ…あれは……」

森山「部長?」


??「」ピタッ


半沢「………………どういうことだ……」


穂乃果母「お待たせしたわね」

谷川「こちらに」クスッ


半沢「…」

半沢「俺達は…」

半沢「どこかで重大な思い違いをしている可能性がある……」

474: 2020/11/21(土) 09:50:08.99 ID:IBwIOfIi
■ 浦の星理事長室

生徒「理事長、新政党の箕部先生からお電話です」

鞠莉「…また箕部のお爺さん」

鞠莉「わかったわ、つないでくれる」

生徒「はい」
ピッ


鞠莉「お電話変わりました、小原です」

箕部『おぉー、小原くん』

箕部『レッスンの方は順調かい』

鞠莉「ええ、おかげさまで」

箕部『それは良かった』

箕部『よろしく頼むよぉー?』

箕部『君たちにはこの学校の「未来」がかかっているからねぇ』

鞠莉「未来……ね」

箕部『そのためには私も協力を惜しむつもりはない』

箕部『何でも言ってくれたまえ』

鞠莉「なんでもねぇ」

鞠莉「文部科学省のトップがそんな1つの高校に肩入れしてていいのかしら」

箕部『小原くん』

箕部『我々新政党の政党理念、ご存知かな』

鞠莉「知らないわね」


箕部『新生党の政党理念、それは』

箕部『「弱者救済」』


鞠莉「…」


箕部『これは決して肩入れじゃない』

箕部『我々は君たち浦の星を救ってあげようと言っているんだ」

475: 2020/11/21(土) 09:53:25.86 ID:IBwIOfIi
鞠莉「…それで今日は一体何の用なのかしら」

箕部『音ノ木坂との姉妹校の件をそろそろ具体的に進めていきたくてねぇ』

鞠莉「…はぁ?」

鞠莉「姉妹校を進めるのは銀行が債権放棄してからって約束だったじゃない」

鞠莉「債権を抱えたままの音ノ木坂と姉妹校連携してる余裕はうちの学校に無いわ」

箕部『あのねぇ、小原くん』

鞠莉「なによ」

箕部『浦の星の財務権限を持たない君がとやかくいうことじゃない』

箕部『お金の話はすでに君の父親と話がついてるからねぇ』

鞠莉「…!?」

鞠莉「…パパが承認したってこと…?」

箕部「ああー、そういうことだ」

鞠莉「聞いてないわよ…!?」

箕部「ああ…?いちいち君を通す必要があるのかねぇ?」

鞠莉「……今の浦の星の理事長は私よ」

箕部「あぁー、そうだったなぁ」


箕部「形式上は」


鞠莉「…」


箕部『詳しい話は、第一秘書の武田くんに連絡させるから』

箕部『よろしくたのむよぉ』

箕部『それじゃぁ』


ガチャッ


ツーツー…


鞠莉「………」ギリッ

476: 2020/11/21(土) 09:55:06.19 ID:IBwIOfIi
コンコン

コンコン


鞠莉「…はい?」


ガチャッ


千歌「鞠莉さんっ、そろそろ練習の時間だよ?」

鞠莉「あっ…千歌っち」

鞠莉「…ええ、いきましょう」

千歌「…どうかした?」

鞠莉「えっ」

千歌「鞠莉さん…さっき怖い顔してたから…」

鞠莉「…」

鞠莉「…ふふっ」

鞠莉「あなたが気にすることじゃないわ?」

千歌「で…でも…」


鞠莉「ほーら♪」ギュッ

千歌「あっ…///」


鞠莉「本当に心配しないで?」ナデナデ

鞠莉「千歌っちの可愛い顔が台無しよ?」

千歌「…」

千歌「…」

千歌「鞠莉さん」

千歌「私が力になれることがあったらなんでも言ってね?」

鞠莉「…」

鞠莉「ふふっ、千歌っちは優しいわね♪」

481: 2020/11/22(日) 23:49:40.00 ID:m/Ru+90n
■小料理屋

渡真利「それで、結局高ア蓮と箕部の関係性までは掴めなかったわけか」

半沢「ああ」

森山「もう少し近い席だと話が聞けたんですが…」

渡真利「でもそのμ’sの高坂って子の母親、絶対に何かあるだろ」

渡真利「…まさかμ’sが高ア連と繋がっている…なんてことはないだろうな?」

半沢「……」

半沢「……それは無い」

渡真利「なんでそう言い切れるんだよ」

半沢「…それは」

森山「…それは部長のスクールアイドルを見る目が本物だからです」

森山「μ’sにそんな影があるわけありませんよ」

半沢「……森山」

森山「なんたってウチのA-RISEのライバルになるべく存在ですから」

半沢「………ああ」

半沢「その通りだ」

渡真利「なーに通じ合っちゃってるんだか、お二人さん」

半沢「スクールアイドルを信じることができないで銀行マンが務まるか」

渡真利「いや、務まるでしょ」

半沢「だが高坂さんのお母さんと高ア連の関係性については詳しく調べる必要がある」

渡真利「どうするんだよ、高坂さんに聞くのか?」

半沢「それは最終手段ではあるが…できるだけやりたくない」

482: 2020/11/22(日) 23:50:52.47 ID:m/Ru+90n
智美「あら?どうしたんですか?難しい顔をして」

智美「また銀行の人事の話ですか?」

渡真利「そんな堅苦しい話じゃないって」

智美「そうなんですか?」

渡真利「アイドルの話とでも言っておこうかな」

智美「あら、それは楽しそうですね」

智美「私も混ぜてもらおうかしら?」

渡真利「またまた…」

渡真利「混ぜてって、アイドルとか知らないでしょ?」

智美「…」

智美「…ええ」

智美「そうですね、昔から疎くて」

智美「それより森山さんは久しぶりですね?」

森山「あ、はい」

森山「いつも部長と渡真利さんがお世話になっています、女将さん」

渡真利「おい、なんだよそれ」

智美「ふふっ」

半沢「………」

483: 2020/11/22(日) 23:51:38.33 ID:m/Ru+90n
渡真利「それで、これからどうするんだよ半沢くん」

半沢「箕部への50億の融資に関するクレジットファイルも見つからず」

半沢「高ア連でも大きな出掛りを掴むことはできなかった」

渡真利「新政党に乗り込むか?」

半沢「いや…それは時期尚早だ」

渡真利「じゃあどうする気だよ」

半沢「決まっている」


半沢「箕部幹事長と繋がりをもつ、もう一つの手がかり」

森山「……浦の星女学院」

半沢「ああ、そうだ」

484: 2020/11/22(日) 23:52:41.68 ID:m/Ru+90n
半沢「音ノ木坂の姉妹校候補でもある浦の星女学院を徹底的に調査する」

半沢「実は前もって浦の星について少し調べたんだが、おかしなことがあってな」

渡真利「おかしなこと?」

半沢「浦の星は、とある生徒が理事長を兼任している」

渡真利「………はぁ?」

渡真利「そんなことありえるのか」

半沢「俺も人から聞いただけだが、間違いなさそうだ」

森山「…生徒が理事長を兼任…何か裏がありそうですね」

半沢「ああ」


半沢「明日の始発で沼津に向かう」

半沢「浦の星女学院の理事長は、箕部に関する秘密を握っている可能性がある」

496: 2020/11/28(土) 21:52:24.30 ID:hkwcHFOS
■ 翌日早朝@内浦

ザァーー…

ザァーー…

半沢「…本当に綺麗な海だ」


ダイヤ「ふふっ」

ダイヤ「お褒めの言葉、ありがとうございます」

ダイヤ「ですが、晴れた日には富士山も見えるのですよ?」

半沢「…あなたは」

ダイヤ「あっ…」

ダイヤ「急に失礼いたしました」

ダイヤ「道に迷われておられる方かと思いまして…」

半沢「…まぁ、そんなところです」

ダイヤ「やはりそうでしたか」

ダイヤ「この辺りに人がおられるのは珍しいものですから」

半沢「それでわざわざ声を?」

ダイヤ「え…ええ」

ダイヤ「その…困っている方を見ると放って置けない性分でして…」
半沢「…」

半沢「」ニッコリ


半沢「わかります」

ダイヤ「?」

半沢「私も同じ性分ですから」

ダイヤ「…ふふっ」

ダイヤ「それはそれは、奇遇ですわね」クスッ

498: 2020/11/28(土) 21:55:56.55 ID:hkwcHFOS
ダイヤ「私は黒澤ダイヤと申します」

ダイヤ「どちらに行きたいのか教えていただければご案内いたしますわ」

半沢「黒澤さん、ありがとうございます」

半沢「私、東京中央銀行の半沢直樹と申します」

ダイヤ「東京中央銀行…」

ダイヤ「確か、沼津にも支店がありますわね」

半沢「ご存知でしたか」

半沢「沼津支店は私の同期が支店長をやっております」

ダイヤ「それはそれは」

ダイヤ「御出世されておられるのですね」

半沢「ええ、私の同期には有能な人材が多い者ですから」

ダイヤ「それで、半沢さんはどちらをお探しですか」

半沢「ええ」

半沢「私立浦の星女学院に伺いたいと思いまして」

ダイヤ「あら、そうでしたか」

ダイヤ「それは偶然ですわね」

半沢「偶然?」

ダイヤ「ええ」

ダイヤ「今から私も登校しようと思っておりましたから」

半沢「……!!」

499: 2020/11/28(土) 21:56:26.76 ID:hkwcHFOS
タッタッタ…

ルビィ「おねーちゃーん…!!」

ルビィ「歩くの速いよぉー…!!」

ダイヤ「あらあら」クスッ


ダイヤ「私、浦の星女学院の生徒会長をしております」

ダイヤ「浦の星のことであれば、なんなりと聞いてくださいまし」

500: 2020/11/28(土) 21:57:43.01 ID:hkwcHFOS
■ 浦の星理事長室

コンコンッ

コンコンッ

鞠莉「………はーい」


ガチャ


ダイヤ「おはようございます」

鞠莉「おはよー…」

ダイヤ「……鞠莉さん」

ダイヤ「…また徹夜されていたのですか」

鞠莉「徹夜なんてしてないわよ」

鞠莉「途中で30分寝たし」

ダイヤ「はぁ…それを徹夜と言うのですよ」

鞠莉「そうなの?」

ダイヤ「どうせそんなことだろうと思って」

ダイヤ「朝ごはんを買ってきました」ガサッ

鞠莉「リアリィ!?」

鞠莉「サンキューダイヤッ!!」

501: 2020/11/28(土) 22:00:28.00 ID:hkwcHFOS
ダイヤ「それを食べ終わったら授業が始まるまで寝ていてください」

ダイヤ「こちらの書類は私が進めておきますから」

鞠莉「はぁー…いつも悪いわねぇ」

ダイヤ「悪いのは鞠莉さんを理事長にした上層部です」

ダイヤ「学業と経営の二刀流なんて現実的ではありませんわ」

鞠莉「その下馬評をひっくり返すっていうのが格好いいんじゃない」

ダイヤ「どこぞのプロ野球選手が二刀流に挑戦するみたいですわね…」


ダイヤ「それと鞠莉さんに一つ言っておくことがあります」

鞠莉「言っておくこと?」

ダイヤ「音ノ木坂との姉妹校の件で話したいことがあると」

ダイヤ「東京中央銀行の半沢様がお見えになられておりますわ」

鞠莉「東京中央銀行…」

鞠莉「…確か音ノ木の再建支援をしてるんだっけ」

鞠莉「新政党のタスクフォースと戦ってるって噂の」

ダイヤ「私も詳しいことはわかりませんが…」

鞠莉「…それで?」

ダイヤ「鞠莉さんは少し休む必要があります」

ダイヤ「また午後から改めて下さいと言っておきましたわ」

鞠莉「…そう」

502: 2020/11/28(土) 22:01:43.90 ID:hkwcHFOS
ダイヤ「それまで学校内を見学させて欲しいと言われたのですが」

ダイヤ「鞠莉さんは許可しないと思ったので私の方で断っておきましたわ」

鞠莉「……」

鞠莉「……」

鞠莉「……いや」

ダイヤ「?」


鞠莉「許可して」


ダイヤ「…はい?」

鞠莉「半沢さんだっけ」

鞠莉「浦の星の見学を認める」

鞠莉「伝えておいて」

ダイヤ「…そうなのですか?」

鞠莉「ええ」


鞠莉「東京中央銀行には」

鞠莉「今のありのままの浦の星を見てもらうべきだわ」

507: 2020/11/29(日) 20:07:53.77 ID:R6lYymRb
■ 校庭


スタスタスタ…


半沢「…やはり、浦の星の経営状況は想像以上に良くない」

半沢「いくら箕部の地元だからと言っても…これでは」


コロコロコロ…


半沢「…ん?」

半沢「テニスボール…?」

花丸「あっ…すみません…」

半沢「いえ、どうぞ」


タッタッタッ


善子「もぉー…なにしてるのよ花丸」

花丸「あっ、善子ちゃん」

善子「ハァハァ…」

善子「一体…ハァハァ…どこの世界に…ハァハァ…テニスボールを真後ろに打つ人間がいるのよ…」

花丸「うーん、ラケットを思いの外早く振っちゃって」

花丸「その流れでバックスイングがボールをクリーンヒットしたずら」

善子「逆に才能あるんじゃない…?」

508: 2020/11/29(日) 20:09:28.37 ID:R6lYymRb
善子「…それで、その人は?」

花丸「テニスボールを取ってくれて」

善子「そう」

善子「ちゃんとお礼言ったの?」

花丸「あ…善子ちゃんが急に入ってきたから言いそびれたずら」

善子「ヨハネだって言ってるでしょ…ってかヨハネのせいみたいじゃない」

花丸「ボール取ってくれて、ありがとうございます」

半沢「いえ」

半沢「それにしても…綺麗なボールですね」

半沢「まるで…新品のようだ」

善子「新品のようっていうか、新品って言ってたわよ」

善子「最近どの部も設備を新しくしてるみたいだし」

半沢「……!!」

半沢「……そうでしたか」

花丸「体育の授業でこんな綺麗なボール宝の持ち腐れずら」

善子「まーいいじゃない」

善子「スクールアイドル部も合宿費だしてくれるみたいだし」

半沢「ス…スクールアイドル部ですか…!!」

509: 2020/11/29(日) 20:10:49.06 ID:R6lYymRb
善子「…急にどうしたのよ」

善子「あなた浦の星の先生でしょう?」

善子「スクールアイドル部知らないの?」

半沢「……ええ」

半沢「お恥ずかしながら」

善子「はぁ…ヨハネ達の存在全然知られてないじゃない…」

半沢「すみません、勉強不足でして」

半沢「もしよろしければ、この授業終わりに」

半沢「スクールアイドル部について、少しお話をお聞かせ願えませんか」

善子「ええー…面倒くさいわね…」

半沢「そこをなんとかお願いできませんか」

半沢「ヨハネさん」

善子「……!!」

善子「あ…あなた……!!」

花丸(初見でヨハネってちゃんと呼んであげる人初めて見たずら)

善子「し…しかたないわね~」


善子「お昼休みに校庭で待ってなさい」

善子「スクールアイドル部について何でも話してあげるわ?」フフン

511: 2020/11/29(日) 23:06:08.27 ID:R6lYymRb
■ 昼休み@校庭

善子「…って感じね、Aqoursに関しては」

半沢「なるほど…」

半沢「非常に参考になりました」

善子「それにしても、まさか先生じゃなくて銀行員だったなんてね」

半沢「誤解をさせてしまい申し訳ありません」

善子「まぁ別にいいけど」


ハムハムハムハム


花丸「東京のお饅頭はほんと美味しいずら~」

善子「あんたはさっきからお土産食べ過ぎ…」

半沢「秋葉原にある『穂むら』という和菓子屋の名物なのですが」

半沢「気に入っていただけて何よりです」

善子「えっ、秋葉原?」

半沢「ええ」

善子「ふーん」

半沢「なにか?」

善子「いや、別に大したこと無いけれど」

善子「リリーも今年の3月まで秋葉原に居たって言ってたわねって思って」

半沢「リリー?」

512: 2020/11/29(日) 23:09:18.95 ID:R6lYymRb
花丸「さっき紹介した梨子ちゃんのことずら」

善子「梨子だからリリー」

半沢「そうでしたか」

善子「確か秋葉原にある音ノ木坂学院ってとこから転校してきたのよね」

半沢「!?」

半沢「………その話を詳しく聞かせてもらえませんか」

善子「いや…そんなこと急に言われても詳しく知らないし」

善子「本人に聞くか、仲の良い二年生組に聞いた方がいいんじゃない」

半沢「…分かりました」


半沢(音ノ木坂から転校しスクールアイドル活動を始めた…)

半沢(もし…それがただの偶然で無ければ………)

519: 2020/12/01(火) 05:45:42.86 ID:/7FHq8p0
■ 放課後@音楽室


~♪

梨子「ふんふんふんっ♪」


カララ…


梨子「?」


半沢「チャイコフスキーの『眠れる森の美女』ですか」

半沢「素晴らしい音色だ」


梨子「……誰?」


半沢「ご挨拶が遅れ、申し訳ありません」

半沢「私、東京中央銀行の半沢直樹と申します」

半沢「生徒会長に許可を頂き、御校を見学させて頂いております」

梨子「ダイヤさん?」

半沢「ええ」

梨子「なぜ銀行の方が…?」

半沢「説明が不足しており、大変失礼致しました」

半沢「私は現在、東京にある『国立音ノ木坂学院』の再建担当をしております」

梨子「!!」

520: 2020/12/01(火) 05:47:22.25 ID:/7FHq8p0
半沢「桜内さん、音ノ木坂と浦の星の姉妹校の話はご存知ですか」

梨子「…はい」

梨子「この前ニュースで見ましたから」

半沢「音ノ木坂の再建にあたり、姉妹校は重要な鍵です」

半沢「この目で姉妹校先を見たいと思いまして」

梨子「……それだけですか?」

半沢「いえ」

半沢「津島さんから伺いました」

半沢「桜内さんが昨年度まで音ノ木坂に在学されていたことを」

梨子「………」

半沢「もしよろしければ、そのことについても少しお話を伺いたいと思いまして」


梨子「………音ノ木坂はもう過去の話です」


梨子「私は浦の星の生徒なので」

梨子「すみません」

521: 2020/12/01(火) 05:49:34.13 ID:/7FHq8p0
■ 秋葉原

ミカ「次どのゲームやるー?」

フミコ「うーん、このレーシングゲームは?」

ミカ「いいじゃん♪ヒデコもそれでいい?」

ヒデコ「…あー」

ミカ「どしたの?」

ヒデコ「なんか知らない番号から電話かかってきてて」

フミコ「えー、なんかこわっ」

ミカ「出なくていいんじゃない?」

ヒデコ「んー」

ヒデコ「普段だったら出ないけど」

ヒデコ「なーんか重要な気がするんだよねー」

フミコ「なんでそう思うの?」


ヒデコ「電話番号」


ヒデコ「下3桁が『123』」

ヒデコ「誰かから私たちへのSOS、みたいな?」

522: 2020/12/01(火) 05:50:59.88 ID:/7FHq8p0
ピッ


ヒデコ「はい」

半沢『もしもし、私半沢直樹と申しますが」

ヒデコ「!!」

ヒデコ「半沢さん!お久しぶりです」


ミカ「えっ、半沢さん?」

フミコ「μ'sを応援してくれてる?」

ヒデコ「」コクリ


ヒデコ「どうしたんですか?私に電話なんて」

半沢『突然のお電話で申し訳ありません』

半沢『高坂さんに電話番号をお伺いしまして』

ヒデコ「穂乃果かー、なるほどね」

ヒデコ「それで?」

半沢『他のお二方もいらっしゃいますか?』

ヒデコ「フミコとミカのこと?」

半沢『ええ』

ヒデコ「いますよ」

ヒデコ「スピーカーモードにしますね」ピッ


フミコ「半沢さん、お久しぶりです」

ミカ「お久しぶりでーすっ」

523: 2020/12/01(火) 05:54:32.48 ID:/7FHq8p0
半沢『お久しぶりです』

半沢『皆さんお揃いということで、単刀直入にお聞きします』

半沢『昨年度、音ノ木坂に在籍していた桜内梨子さんについてご存知の方はいらっしゃいますか』

ヒデコ「あー、桜内さんかー」

フミコ「ご存知もなにも同じクラスだったから」

ミカ「桜内さん、元気にしてるかなー?」

半沢『やはりご存知でしたか!』

半沢『高坂さん達は話した事が無いとのことだったので』

ミカ「穂乃果達とはクラスが別だったからね」

半沢『それでは桜内さんが転校された経緯はご存知ですか?』

ヒデコ「あぁー…経緯かー」

フミコ「うーん…そこまで親しい訳じゃなかったから…」

半沢『そうですか……承知しました』

半沢『お忙しいところ失礼しました』


ヒデコ「…」

ヒデコ「…経緯、知りたいんでしょ?」


半沢『……ええ』


ヒデコ「ふふっ」

ヒデコ「りょーかーい」

半沢『?』


ミカ「あたしたちっ♪」

フミコ「ひふみに~」

ヒデコ「お任せあれ」ニシシ

524: 2020/12/01(火) 05:54:46.21 ID:/7FHq8p0
本日はここまでです

528: 2020/12/02(水) 07:06:37.80 ID:sNVMJTzY
■ 屋上

ガチャッ

半沢「津島さんと国木田さんの話によると」

半沢「Aqoursの練習場所は屋上だったな」


半沢「…ん?」


曜「………」


半沢(…裸足の女性…一人で一体何を)


曜「………」スタスタスタ… カタッ…


半沢(!?)

半沢(……と…飛び降り…!?)


ダダダッ

半沢「な…何をやっているんですか!?」

半沢「辞めて下さい!!」


ギュッ!!


曜「えっ?」


クルンッ!!


曜「う…うわぁ!?」


ガタッ!!!


曜「うー…いたた…」

曜「一体なんなのさ…」チラッ

半沢「………」

曜「って大丈夫!?おーい!!」

半沢「………」

529: 2020/12/02(水) 07:08:37.83 ID:sNVMJTzY
■ 数分後@屋上

半沢「………んん」

曜「あっ…!!」

半沢「……あなたは」

曜「意識戻ったんだ!!よかったぁー」ホッ

曜「もぉー…」

曜「急に私の手を引っ張ったと思ったら」

曜「そのまま回転して頭打って意識無くしちゃったんだから…」

半沢「…それは大変申し訳ありません」

曜「あははっ!わかればよろし~」ニカッ

半沢「……ではなく!!」

曜「ええ!?」

半沢「なぜ…自〇などされようとしたんですか…!?」

曜「………はい?」

530: 2020/12/02(水) 07:11:21.14 ID:sNVMJTzY
ーーーー

ーーー

ーー

曜「というわけでさ」

半沢「はぁ…」

半沢「屋上で裸足で高飛び込みフォームの練習などしないで下さい…」

曜「あははっ!!」

半沢「笑い事ではありません…勘違いされますよ」

曜「うー…ごめんごめん」

曜「これからは気をつけるからさっ」


半沢(……)

半沢(…特技…高飛び込み)


半沢「…失礼ですが」

半沢「もしかするとAqoursの渡辺さんですか?」

曜「えっ?」

曜「うんそだよー、よく知ってるねお兄さん」

半沢「そうでしたか」

半沢「私、東京中央銀行の半沢直樹と申します」

曜「ぎんこー?」

半沢「本日、ぜひ皆さんの練習を見学させて頂きたいと思いまして」

曜「いいよー」

半沢「……また随分あっさりと」

曜「あははっ」

曜「だって見学したいんでしょ?」

半沢「…はい」


曜「おにーさん、私の自〇を止めようとしてくれたんだもん」


曜「命の恩人の頼みなら」

曜「断るわけには、いかないでしょ?」ウインク

541: 2020/12/06(日) 00:59:07.12 ID:JEIFJCLm
曜「…あっ」

半沢「どうかしましたか」

曜「」クンクン

曜「」クンクン

曜「…来るっ!!」

半沢「?」
ガチャッ


果南「おまたせー」

千歌「曜ちゃん、新しい衣装着てきたよー」


曜「きたー!!」

曜「千歌ちゃん!果南ちゃん!かわいーー!!」ガバッ

果南「うわっ」

千歌「あははっ!抱きつかないでよぉ~曜ちゃーん」

542: 2020/12/06(日) 01:00:53.07 ID:JEIFJCLm
曜「二人とも可愛いっ!お持ち帰りしたいっ!」ハァハァ

千歌「えー」

果南「うーん」

果南「持ち帰りたいならどっちか選んで欲しいなー」

曜「ええっ!?」

千歌「そーそー」

曜「千歌ちゃんまでっ!?」

果南・千歌「……曜ちゃん」

曜「は…はい!であります!」

果南「…私と」

千歌「…私」

果南・千歌「……どっちが大事なの?」

曜「うっ…!!」

果南・千歌「…」

曜「……た」

曜「…助けて…!!」

曜「ぎんこーのおにーさんっ…!!」

半沢「…」


果南・千歌「…………誰?」

543: 2020/12/06(日) 01:03:41.93 ID:JEIFJCLm
―――――――――

――――――

―――


果南「へー、それじゃあ東京からわざわざここまで来たんだ」

半沢「ええ」

千歌「秋葉原って凄いよね~」

千歌「キラキラしてて~」

半沢「……」

曜「どうかした?」

半沢「…いえ、なんと言いますか」

半沢「浦の星の方はみなさん、初対面の人に対し警戒心があまり無いと思いまして」

千歌「あー、確かにそうかもなー」

果南「新しい人に会う事があんまり無いから興味持っちゃうんだよね」

曜「梨子ちゃんにも同じこと言われたかも」

半沢「桜内さん…ですか」

千歌「んー?どうかしたー?」

半沢「いえ」

544: 2020/12/06(日) 01:08:19.31 ID:JEIFJCLm
曜「それじゃー、そんな半沢さんに衣装の感想を聞いてみよー!」

千歌「おー」

半沢「そうですね」

半沢「水兵服を基調にしたデザインに見受けられますが」

半沢「衣装造形の細部にまで非常に強いこだわりを感じられます」

半沢「もしかすると渡辺さんは制服がお好きなのではないでしょうか?」

曜「…!!」

千歌「お~、半沢さん大正解~」

果南「人を見る目あるねー」

半沢「また、アイドルであればスカート、特にミニスカートを選定しがちですが」

半沢「あえてショートパンツを起用されている」

半沢「海の近くで溌剌と育ったアイドルユニットにピッタリな衣装だ」

曜「や…やっぱりそうだよね…!!」

半沢「え、ええ」

曜「ほらっ!やっぱりそうなんだよっ!」

千歌「どしたの?曜ちゃん」

曜「なんかさー、鞠莉ちゃんが」

曜「最近やたら露出ある衣装を推してくるんだよねー」

千歌「へー」

半沢「鞠莉さんとは?」

果南「小原鞠莉」

果南「Aqoursのメンバーにして、浦の星の理事長だよ」

半沢「……!!」

半沢(ま…まさか…Aqoursのメンバーに理事長がいたとは…)

545: 2020/12/06(日) 01:10:33.06 ID:JEIFJCLm
半沢「…具体的にどのような衣装を勧めて来られるのですか」

曜「うーんとね、なんか描くものある?」

半沢「こちらにどうぞ」サッ

曜「ありがと」


曜「」カキカキ

曜「」カキカキ


曜「はい、こんな感じかな」

千歌「どれどれー?」

千歌「おぉー、へそだしミニスカだ~」

果南「確かに攻めてるね、これは」

半沢「私にも見せていただけますか」

千歌「いいよー」


半沢「………!!」

半沢(こ…このデザイン…………)

546: 2020/12/06(日) 01:12:42.12 ID:JEIFJCLm
果南「どうしたの?」

曜「おにーさんはそっちの衣装のが好み?」

半沢「……いえ」

半沢「渡辺さんのデザインの方が皆さんに合っていると思います」

曜「だよね!だよね!」

半沢「ですので、よろしければ記念に1枚」

半沢「皆さんの写真を撮らせて頂けませんか」

千歌「いいよ~」

半沢「ありがとうございます」サッ


半沢「それではいきます」

半沢「はい、チーズ」カシャッ


千歌・曜・果南「」ニコッ


半沢「皆さん、ありがとうございます」

半沢「少し用事を思い出しましたので、失礼致します」

547: 2020/12/06(日) 01:15:52.94 ID:JEIFJCLm
■ 浦の星校庭

prrrrr... prrrr...

ピッ

ことり『はい、もしもし』

半沢「南さん、お疲れ様です」

ことり『半沢さんっ』

ことり『どうかしましたかぁ?』

半沢「…少し伺いたいことがありまして」

ことり『なんですか?』

半沢「以前、南さんは衣装製作のオファーを」

半沢「音ノ木坂再建タスクフォースの乃原弁護士から受けたと言っていましたね」

ことり『は…はい…』

ことり『…断っちゃいましたけど』

半沢「それは、具体的にどのようなオファーでしたか」

ことり『えーっと、女の子達の写真を見せられて』

ことり『「この子達に合う衣装を作って欲しい」って…」

半沢「……その写真について何か覚えていませんか?」

ことり『うーん…うっすらと…』

ことり『確か海が写ってたようなぁ…?違ったかなぁ…?』

半沢「海……」

548: 2020/12/06(日) 01:18:20.72 ID:JEIFJCLm
半沢「南さん、今から画像を一枚送ります」

半沢「そちらを見て頂けませんか」ポンッ

ことり『画像ですか?』ポンッ


ことり『あっ、見れましたぁ』

半沢「何か思い当たりませんか」

ことり『あっ!この子達!!』

ことり『乃原さんに見せられた写真に写ってましたっ』

半沢「……やはりそうでしたか」

ことり『どういうことですか…?』

ことり『この子達…音ノ木坂と何か関係があるんでしょうか…?』


半沢「…ええ」

半沢「南さんのおかげで」

半沢「その可能性が0から1へ変わりました」

ことり『1…ですか』


半沢「今は1ですが」

半沢「1からその先へ進む手がかり…必ず見つけてみせます」

549: 2020/12/06(日) 01:19:09.59 ID:JEIFJCLm
お待たせしました
今回の投稿はここまでとなります

553: 2020/12/06(日) 22:32:30.72 ID:JEIFJCLm
■ UTX高校


コンコン


あんじゅ「ツバサー?」

ツバサ「どうしたの、あんじゅ」


ガチャッ


あんじゅ「ツバサにお客さんよー?」

ツバサ「あら」

あんじゅ「第二応接室で待ってもらってるから」

ツバサ「どちら様?」

あんじゅ「…うーんと…難しかったから忘れちゃった」

あんじゅ「カズノコみたいな名前だったかしら」

ツバサ「…何よそれ」

あんじゅ「そういえばどうでもいいんだけどー」

あんじゅ「この前テレビでやっていたわー?」

あんじゅ「カズノコは北海道産が一番上等なんだって~」

ツバサ「……本当にどうでもいいわね」

554: 2020/12/06(日) 22:33:45.41 ID:JEIFJCLm
スタスタスタ


ガチャッ


聖良「あ、ツバサさん」


ツバサ「…」

ツバサ「…鹿角聖良」


聖良「お久しぶりです」

ツバサ「………北海道産に違いないわね」

聖良「はい?」

ツバサ「いえ、こちらの話よ」

555: 2020/12/06(日) 22:34:44.60 ID:JEIFJCLm
――――――――

――――――

―――


ツバサ「つまり傷心旅行中ってわけね」

聖良「ふふっ、手厳しいですね」

聖良「元々決勝まで進めば、秋葉原に来る予定だったんです」

聖良「結果は2回戦敗退に終わってしまいましたが」

ツバサ「それなら決勝戦の私たちを観にくれば良かったじゃない」

ツバサ「時期尚早なんじゃないかしら?」

聖良「相変わらずツバサは嫌味の無い自信家ですね」

聖良「正直、敗退した後のラブライブにはそれほど興味がありませんから」

ツバサ「そう」

556: 2020/12/06(日) 22:36:31.73 ID:JEIFJCLm
ツバサ「それで今日は何の用かしら」

聖良「久々にUTX高校にご挨拶を、と思いまして」


聖良「私を落とした」


ツバサ「ふふっ、懐かしいわね」

ツバサ「UTX高校芸能科 転籍オーディション」

聖良「ええ」

聖良「あの時、私は持っている全てを出し切れませんでした」

聖良「ずっと悔やんでいます」

ツバサ「…そう」

聖良「なので、その想いを妹に託したいと思っています」

ツバサ「あら。妹さん、UTX受けるの?」

聖良「まだ何も話していませんが」

聖良「妹なら…理亞ならUTXで十分やっていけると思っています」

ツバサ「そう」

ツバサ「でもあくまでもフラットに判断させてもらうわ?」

聖良「そういえばツバサは次回のオーディションの審査員の一人でしたね」

ツバサ「そういうことよ」

聖良「ふふっ、望むところです」

ツバサ「それで?肝心の妹さんは?」

聖良「今は別行動をしています」

聖良「秋葉原を散策したい、とのことで」

ツバサ「そう」

ツバサ「よろしく言っておいて」

聖良「ええ」

557: 2020/12/06(日) 22:38:06.11 ID:JEIFJCLm
聖良「ところで…順調ですか、A-RISEは?」

ツバサ「順調そうに見えるかしら」

聖良「正直言っていいですか?」

ツバサ「ええ」

聖良「いつもリモートで見せて頂いていますが」

聖良「あなた達のパフォーマンスはとても素晴らしい」

聖良「……ですが」

聖良「どうにも審査員がたのA-RISEへの採点が厳しすぎるのでは無いかと思ってしまいます」

ツバサ「……あなたがそう思うのならそうかもしれないわね」

ツバサ「それに…私があなた達に感じたものと全く同じだわ」

聖良「……!!」

聖良「………観ていたのですか、私たちのライブ」

ツバサ「あたりまえよ」


ツバサ「本当に……辛い戦いだったわね、聖良」

聖良「………はい」

564: 2020/12/09(水) 01:38:20.49 ID:f1FCGcfI
作者です

SSが長くなってきましたので
簡単に登場人物を整理させていただきますと

no title

完全ではありませんが、基本はこちらがベースになっておりまして

帝国航空の位置が、音ノ木坂学院(μ's)

開発投資銀行の位置が、日本高等学校スクールアイドル連盟(ラブライブ運営)

政府との癒着があるのが、浦の星女学院(Aqours)

東京セントラル証券の顧客なのが、UTX高校(A-RISE)

UTX高校と昔から関わりのある、Saint Snow

過去に半沢の父が操業していた半沢芸能に所属していたのが、穂乃果ママ

というのが現時点の主要人物の大まかな関係性になります
今後の展開により、関係性は変わる可能性があるのでご注意下さい

573: 2020/12/11(金) 19:58:32.05 ID:MDgMYFE4
■ 数時間後@秋葉原ドーム

理亞「…」

理亞「…姉様」

理亞「…」

理亞「本当は…姉様と出場するばずだった…秋葉原ドーム…」

理亞「…」

理亞「…」ウ…ウゥ…

理亞「……」ポタッ…ポタッ…


スタスタスタ…

にこ「…大丈夫?」

理亞「…」ウグゥ…ウッ…

理亞「………えっ」


にこ「どこか痛いの?」シャガミコミ

にこ「それかお母さんとハグれた?」ウワメヅカイ

理亞「……………」

にこ「んー?」クビカシゲ

574: 2020/12/11(金) 20:00:01.37 ID:MDgMYFE4
理亞「……………」


理亞「………小学生が煩いわね」ボソッ

にこ「しょうがくせ……」

理亞「子供扱いするな、小学生のくせに」

にこ「……はぁぁぁぁ!?」

にこ「…そっちこそめそめそ泣いてる幼稚園児じゃない!!」

理亞「ようちえ……」

にこ「歩き立ての幼稚園児の分際で大人びるんじゃないわよ!!」

理亞「……はぁぁぁぁ!?」

理亞「誰が幼稚園児なのよ!?」

にこ「どう見ても幼稚園児にしか見えないんですけどー?」

にこ「うちの妹より年下じゃないの?」

理亞「だから小学生に言われたくないから!」

にこ「ぬわんですってぇ!?」


ギャーギャー

ギャーギャー


…スタスタスタ

ピタッ


希「………なにやってるん…にこっち」

聖良「………なにをやっているのですか…理亞」

希「…んー?」

聖良「…えっ?」


にこ「の…のぞみ」

理亞「ね…姉様」

575: 2020/12/11(金) 20:13:00.22 ID:MDgMYFE4
■ 喫茶店

―――――――――
――――――
―――

にこ「あの人…本当にあんたと2個しか離れてないの…?」ヒソヒソ

理亞「なによ?なんか文句あるの?」ヒソヒソ

にこ「だって………胸が………」ヒソヒソ

理亞「う…うっさいわね……!!」ヒソヒソ

理亞「それを言うなら…あの人あんたの同級生らしいじゃない…!!」ヒソヒソ

にこ「…なによ?なんか文句あるの?」ヒソヒソ

理亞「セクシーさがダンチじゃない……」ヒソヒソ

にこ「う…うっさいわね……!!」ヒソヒソ

ギャーギャー


希「お待たせー…ってまた喧嘩してるん」

にこ「…はぁ?してないし」

聖良「本当ですか、理亞」

理亞「し…してない」

聖良「はぁ…うちの子が申し訳ありません」

聖良「迷惑をかけてしまいまして」

希「いえいえ」

希「うちの子の方こそ喧嘩っぱやくてすみません」

にこ理亞「子供扱いが過ぎるんじゃない…!?」

583: 2020/12/13(日) 19:17:41.74 ID:dFyIdYpq
聖良「それにしても、ツバサさんから紹介されたμ’sの方々が」

聖良「偶然にも東京ドームにおられるとは思ってもいませんでした」

希「にこっちが急に行きたいって言うから」

にこ「べ…別にいいでしょ…」

理亞「ふーん」

理亞「もしかしてあんたもラブライブ予選で敗退したクチ?」

にこ「……」

理亞「どうしたの?なんとか言いなさいよ」

希「…それなら…まー納得はできたんやけどね」

理亞「?」


聖良「理亞、よく聞いてください」

理亞「姉様?」

聖良「μ’sの方々は…ラブライブ運営から理不尽な出場拒否を受けたのです」

理亞「………えっ」

希「あはは、恥ずかしい話やけど本当なんよ」

理亞「……どうして」

希「……正直、理由はまだ分かってないん」

聖良「希さんやにこさんは私と同じ高校3年生」

聖良「ラブライブ出場のラストチャンスをこのような形で不意にされたんです」

理亞「……そ……そんな」

584: 2020/12/13(日) 19:18:37.55 ID:dFyIdYpq
にこ「……希」

にこ「…喋りすぎよ」

希「あはは、ごめんねにこっち」


にこ「…理亞って言った?」

理亞「…えっ?」

にこ「あんたはまだ高校1年生」

にこ「あと2回チャンスがあるわ」

理亞「……」

にこ「お姉さんの言うことをよく聞いて」

にこ「頑張ってラブライブ決勝の出場権を勝ち取りなさい」

理亞「……あんた」

にこ「にこは卒業後スーパーアイドルになる予定だから」

にこ「直々に私が審査してあげるわ?」フフンッ

585: 2020/12/13(日) 19:20:30.58 ID:dFyIdYpq
理亞「ちょ……!ちょっと待ってよ!?」ガタッ

理亞「なんであんた…そんな冷静なの…!?」

理亞「最後の…最後のチャンスだったんじゃないの…!?」

にこ「……うるさいわね」

にこ「どうやったって時は戻せない」

にこ「ふふっ、ようやく居場所を見つけたと思ったんだけどね」

にこ「にこは、ここまでよ」

理亞「そんな……!!」

理亞「…ゆ…許せない…!!!」

理亞「ラブライブの運営も!!にこを拒否した人たちを!!」

にこ「……あんた」

聖良「理亞はスクールアイドルと真剣に向き合っていますから」

聖良「にこさんの気持ちが分かるのでしょう」

にこ「…そっか」

にこ「……理亞?」

理亞「……えっ」

にこ「さっきドームの前で泣いてたのって」

にこ「ラブライブに落ちた悔しさからでしょう?」

理亞「……」

理亞「……」コクン

にこ「そっか」

にこ「私も一緒」

にこ「ラブライブ決勝の舞台が忘れられなくてドームに来ちゃった」

にこ「あんたよりも年上なのに…情けないわよね」

理亞「な…情けなくなんか無い!!」

にこ「ふふっ、ありがと」

にこ「あんた、良い妹ね」

理亞「う…うう…///」

586: 2020/12/13(日) 19:22:23.96 ID:dFyIdYpq
希「私たちは今、A-RISEと協力して」

希「本当のラブライブを取り戻したいって思ってる」

聖良「ええ、ツバサさんから聞きました」

聖良「私も、是非協力をさせていただきたいと思っています」

理亞「そうなの?それなら私も…!!」

聖良「理亞、あなたはUTX高校の転入試験を受験して下さい」

理亞「えっ?」

聖良「以前にも少しUTX高校の事は話しましたが」

聖良「素晴らしい設備、優秀なスタッフの皆さんに恵まれています」

聖良「今からであれば、A-RISEからも多くのことを学べるでしょう」

聖良「あなたは、世界No.1のアイドルになって下さい」

理亞「ね…姉様」

にこ「へぇ、いいじゃない」

にこ「にこもUTX高校に入学したいと思ってたけど」

にこ「この際だから、あんたに譲ったげる」

理亞「な…なにを勝手に」


にこ「だって、この宇宙No.1アイドルのにこが言うんだもの」

にこ「ぜーーったいに、間違いないわ?」ニカッ

587: 2020/12/13(日) 19:22:38.01 ID:dFyIdYpq
本日はここまでです

594: 2020/12/15(火) 22:32:28.19 ID:Zmip9kFI
■ 放課後@浦の星理事長室

コンコン

鞠莉「はーい」

ガチャッ

ダイヤ「失礼します」

ガチャッ


ダイヤ「鞠莉さん」

鞠莉「ダイヤじゃない」

鞠莉「どうしたの?」

ダイヤ「朝にお話ししましたが」

ダイヤ「東京中央銀行の半沢様がお見えになっています」

鞠莉「あら、そうだったわね」

595: 2020/12/15(火) 22:33:51.08 ID:Zmip9kFI
ダイヤ「どうされますか?」

鞠莉「通してくれてかまわないわ」

ダイヤ「……」

ダイヤ「…しかし」

鞠莉「何?」

ダイヤ「……」

鞠莉「何よ」

鞠莉「…もしかして半沢って人に何か問題でも?」

ダイヤ「……いえ」

鞠莉「…じゃあ何なのよ?」

鞠莉「…ハッキリ言いなさいダイヤ」

ダイヤ「……その…………殿方を招く部屋に」

ダイヤ「女性の服や下着が無造作に散らばっているのはいかがなものかと」

鞠莉「……」

鞠莉「……」チラッ

鞠莉「………片付けるから少し待ってもらって」

ダイヤ「理事長室を私物化しすぎですわよ、鞠莉さん」

鞠莉「…すっごくハッキリ言うじゃない」

ダイヤ「仰せのままに」

596: 2020/12/15(火) 22:34:23.53 ID:Zmip9kFI
■ 5分後

ガチャッ

鞠莉「どうぞ」

半沢「失礼致します」

ガチャッ


鞠莉「そちらへお掛け下さい」

半沢「ありがとうございます」

半沢「小原理事長」


スタスタスタ

カチャッ

ダイヤ「こちら、よろしければお飲み下さいまし」

半沢「わざわざすみません、黒澤さん」

ダイヤ「いえ」クスッ


鞠莉「ダイヤ、ありがと」

鞠莉「悪いけど、少しの間席を外してもらえる?」

ダイヤ「分かっていますわ」


ダイヤ「それでは私はこれにて失礼致します」

スタスタスタ

ガチャッ…

597: 2020/12/15(火) 22:34:51.32 ID:Zmip9kFI
半沢「それでは」

半沢「改めて初めまして、小原理事長」

半沢「私、東京中央銀行の半沢直樹と申します」

鞠莉「ご丁寧に、ありがとうございます」

鞠莉「大変申し訳ありませんが、名刺を切らしていまして」

半沢「いえ、問題ありません」

鞠莉「…東京中央銀行本店の次長職ですか」

鞠莉「とても優秀なのね」

半沢「とんでもございません」

半沢「小原さんこそ、若くして理事長をなされている」

半沢「生半可な知識では務まりません」

鞠莉「理事長なんて所詮見せかけだけですよ。誰でもできます」

半沢「いえ」

598: 2020/12/15(火) 22:36:07.77 ID:Zmip9kFI
鞠莉「まぁ、前置きはこれくらいにしておいて」


鞠莉「半沢さん」

鞠莉「貴方をずっとお待ちしていました」クスッ


半沢「…と、言いますと」


鞠莉「『助けて、ラブライブ!』」


半沢「……!!」

半沢「…まさか」


鞠莉「先日、学校の屋上から浜辺の文字を見つめる貴方が見えたものですから」

鞠莉「書いたのは千歌っち…うちのメンバーですけど」

半沢「…ですが学校から浜辺までは非常に遠い」

半沢「何故それが私であると…?」

鞠莉「ふふっ、内浦の過疎を侮ってはいけません」


鞠莉「この街の人を全て記憶しておくくらいは」

鞠莉「たとえ見せかけの理事長であっても当然のことですよ♪」

608: 2020/12/21(月) 03:53:27.96 ID:lEYeiWx4
鞠莉「それで、本日はどのようなご用件でしょうか」

半沢「はい」

半沢「私は現在、東京にある国立音ノ木坂学院の再建を担当しております」


半沢「小原理事長」

半沢「音ノ木坂学院の再建に関して、大きく二つの動きがある事はご存知でしょうか」

鞠莉「もちろん」

鞠莉「1つは、音ノ木坂のメインバンクである東京中央銀行」

鞠莉「もう1つは、新政党率いる音ノ木坂再建タスクフォース」

鞠莉「でしょう?」

半沢「はい、その通りです」

半沢「今回私が御校を伺ったのは」

半沢「後者において姉妹校の案が御校に出ているからです」

鞠莉「ええ、知っているわ」

609: 2020/12/21(月) 03:56:10.81 ID:lEYeiWx4
鞠莉「でも、本当にそれだけの理由ですか?」

半沢「…小原理事長」

鞠莉「何かしら」

半沢「単刀直入にお伺いします」

半沢「新政党の箕部幹事長と関わりを持たれていますか」

鞠莉「どうしてそう思うのかしら」

半沢「大きく2点あります」

半沢「1つは、浦の星女学院の経営状況があまり良く無い点」

半沢「金銭面にシビアなタスクフォースがこのような点を見逃すとはとても思えない」

半沢「失礼ですが、浦の星女学院の経営状況を知った上で」

半沢「無理矢理音ノ木坂との姉妹校案を押し通されているように見えます」

半沢「もう1点は、沼津が箕部幹事長の地元であり、選挙地盤であることです」

半沢「浦の星の理事長である小原さんは、箕部幹事長と話す機会が何度かあったはずです」

半沢「…違いますか」

610: 2020/12/21(月) 03:58:01.42 ID:lEYeiWx4
鞠莉「なるほどね」

鞠莉「それでわざわざ東京からお越しいただいた」

半沢「はい」

鞠莉「ですが、もし仮に私と箕部が繋がっていたとして」

鞠莉「一体何を聞きたいのですか?」

鞠莉「タスクフォースの再建案は東京中央銀行の管轄外のはずです」

半沢「ええ」

半沢「おっしゃる通り」

半沢「先程話した内容だけであれば」

半沢「私がとやかく言うことではありません」

鞠莉「…どういう意味?」

半沢「問題は、タスクフォースの再建案は」


半沢「東京中央銀行からの借金を踏み倒す事で初めて成り立つもの」


半沢「ということです」

鞠莉「…そうみたいですね」

611: 2020/12/21(月) 04:00:16.73 ID:lEYeiWx4
半沢「一番の問題は額です」

半沢「小原理事長」

半沢「東京中央銀行が強いられている再建放棄の金額、ご存知ですか」

鞠莉「うーん、分からないけど」

鞠莉「50億とかそんなものじゃないかしら?」

半沢「やはり貴方は賢明なお方だ」

半沢「もし私が融資するならば、恐らく50億が限界でしょう」

鞠莉「………もっと上ってこと?」

半沢「桁が一つ違います」

鞠莉「……!?」

半沢「タスクフォースは東京中央銀行へ500億の借金棒引きを要求しています」

鞠莉「ご…500億!?」

鞠莉「私の想像を遥かに超えていたわ…」

鞠莉「というか…そもそもなんで…」

半沢「ええ」

半沢「何故東京中央銀行が音ノ木坂へそのような巨額の融資を行ったのか」

半沢「それは…お恥ずかしながら分かっておりません」

鞠莉「分かっていない…?」

612: 2020/12/21(月) 04:01:27.86 ID:lEYeiWx4
半沢「合併前の東京第一銀行が手がけたものなのですが」

半沢「クレジットファイル…融資明細が残っていないのです」

鞠莉「残っていないなんてあるの…?」

半沢「通常ありえません」

半沢「恐らく…誰かが隠したのでしょう」

半沢「私はそのクレジットファイルを追っています」

鞠莉「…そう」

半沢「そして、詳細は言えませんが」

半沢「私はこのクレジットファイルに」

半沢「箕部幹事長が絡んでいると想像しています」

鞠莉「ま…まさか…!?そんな…!!」

613: 2020/12/21(月) 04:03:29.74 ID:lEYeiWx4
半沢「失礼ながら1点お伺いしたいのですが」

半沢「浦の星の財務管理も小原理事長が担当されておられますか?」

鞠莉「………いえ」

鞠莉「財務管理のみ……権限を外されています」

半沢「……箕部幹事長……ですか?」

鞠莉「………」


半沢「音ノ木坂への500億の融資…」

半沢「その借金を棒引きにし、繋がりの深い浦の星との姉妹校案を強行…」

半沢「浦の星の財務管理…」


半沢「もし…これら全てに箕部幹事長が関係しているのであれば」

鞠莉「……とんでもない話ね」


半沢「私は現在、バンカーとしてこれら一連のお金の流れを追っています」

半沢「ご協力、いただけないでしょうか」

614: 2020/12/21(月) 04:05:21.00 ID:lEYeiWx4
鞠莉「半沢さん」

鞠莉「先ほどのお話、とても興味深いです」


鞠莉「ですが、協力するかどうかの判断にもう一つだけ聞かせて下さい」

半沢「何でしょうか」

鞠莉「箕部のお金の流れに『ラブライブ!』は関わってきますか」

半沢「………ええ」

鞠莉「やっぱり」

半沢「……申し訳ありません」

半沢「お伝えできておらず」

鞠莉「…ふふっ」

鞠莉「半沢さんはお優しいですね」

鞠莉「スクールアイドルである私に」

鞠莉「その事実をどうしても言うことができなかったのでしょう?」

半沢「……」

鞠莉「ですが私はスクールアイドルの前に理事長です」

鞠莉「この学校を、生徒を、関係者を守る義務があります」


鞠莉「半沢さん」

鞠莉「改めて私からお願いさせて下さい」


鞠莉「私たちを」

鞠莉「浦の星女学院を」

鞠莉「…どうか助けていただけないでしょうか」

631: 2020/12/27(日) 21:50:04.26 ID:ZeD3UUFr
作者です
いつもコメントや保守いただき本当にありがとうございます
大変励みになっております
また、半沢さんが頭取になられたようで大変嬉しく思います

年末年始なのですが、もしかすると更新が難しいかもしれません。。
隙があり次第、更新させていただきます
来年初めにはSS完結させられるように頑張ってまいります

よろしくお願いいたします

632: 2020/12/28(月) 08:31:48.31 ID:JInOoSKP
上のように書いた直後で申し訳ないのですが
続きを投稿させていただきます

633: 2020/12/28(月) 08:33:04.88 ID:JInOoSKP
―――――――
―――――
―――


鞠莉「――というのが今の箕部と私たちの関係です」

半沢「…なるほど」

半沢「状況はわかりました」


半沢「小原理事長」

半沢「今後なるべく綿密に連絡を取らせていただきたく」

半沢「ご連絡先を教えていただけないでしょうか」

鞠莉「わかりました」

鞠莉「後ほど、頂いたこちらの名刺の連絡先にSMSで送らせてもらうでいいかしら?」

半沢「ええ、そちらで問題ありません」


prrrr… prrrr…


半沢「…電話」

鞠莉「どうぞ?」

半沢「失礼します」

634: 2020/12/28(月) 08:34:01.73 ID:JInOoSKP
スタスタスタ


ピッ


大和田『あー、半沢くんかね』

半沢「大和田さん」

半沢「どうされましたか」

大和田『半沢くん』

大和田『大変面白いことが分かってねぇ』

半沢「もしかすると…あの件ですか?」

大和田「ああ、そうだ」

大和田『急ぎで話したいんだが、戻ってこれるかね』

半沢「承知しました」

半沢「これから戻ります」

大和田「今日は私も時間が無いんだ」

大和田「できるだけ早く頼むよ」

半沢「わかりました」


ピッ

635: 2020/12/28(月) 08:35:16.02 ID:JInOoSKP
半沢「小原理事長」

半沢「大変申し訳ないのですが、急遽銀行に戻る必要がありまして」

半沢「本日はこれにて失礼させていただきます」

鞠莉「そう、銀行マンも大変ね」

半沢「とんでもございません」

鞠莉「なんか急いでるみたいだけど」

半沢「…ええ、そうですね」

半沢「できるだけ早く戻らないといけないので…」

鞠莉「ふーん」


鞠莉「それじゃあ、乗り物を手配するから少し待っていただけるかしら?」

半沢「いえ、私の方で呼びますので大丈夫です」

鞠莉「遠慮しないで」

半沢「それでは…お手数おかけします」


ピッ


鞠莉「―――ええ」

鞠莉「今からこっちに来れるかしら」

636: 2020/12/28(月) 08:36:45.07 ID:JInOoSKP
鞠莉「そう、すぐに?」

鞠莉「わかった、ありがと」


ピッ


鞠莉「半沢さん、すぐに来れるらしいわ」

半沢「ありがとうございます、助かります」

鞠莉「礼には及ばないわ」

鞠莉「それじゃあ今から屋上へ上がりましょう」

半沢「屋上…ですか?」

鞠莉「そうよ」

半沢「…Aqoursの皆さんにお会いしたいのは山々ですが」

半沢「急遽東京へ戻りたいと考えておりますので…」

鞠莉「まー、それもあるけど」

鞠莉「屋上に行かないと乗れないから」

半沢「……と言いますと」


鞠莉「東京へのヘリコプターを用意したわ」

半沢「!?」


鞠莉「ヘリの時速は190km」

鞠莉「40分もあれば東京に着くと思うわっ♪」


半沢「……………ありがとうございます」

637: 2020/12/28(月) 08:38:28.73 ID:JInOoSKP
―――――――
―――――
―――


ババババババババッ!!!

ババババババババッ!!!


曜「うわぁー!」

善子「…すごっ」

梨子「う…うるさい…」

花丸「未来ずらぁ…」


半沢「……本当にヘリコプターですね」

鞠莉「だから言ったでしょー?」


ルビィ「半沢さん、き…気をつけて下さいねっ…?」

果南「またね~」

半沢「ありがとうございます」

638: 2020/12/28(月) 08:40:12.17 ID:JInOoSKP
半沢「それでは失礼――


千歌「…あ」

千歌「…あのっ!!」

半沢「どうかされましたか?」

千歌「その……」


千歌「浦の星のこと…Aqoursのこと…」

千歌「本当に…よろしくお願いしますっ…!!」ペコッ


半沢「」ニッコリ


半沢「高海さん」

半沢「スクールアイドルはお好きですか?」

千歌「はいっ!!」

半沢「それはとても心強い」ニッコリ

千歌「えへへっ」


半沢「本日、黒澤さんから」

半沢「『この土地は晴れた日には富士山が見える』とお聞きしました」

ダイヤ「ええ、そうですわね」クスッ


半沢「皆さんがこの土地でスクールアイドルとして輝ける日が来るよう」

半沢「私も全力を尽くさせていただきます」

639: 2020/12/28(月) 08:41:32.25 ID:JInOoSKP
というわけで、少し長くなりましたが、浦の星出張編でした

646: 2020/12/30(水) 23:16:51.88 ID:ri//656v
■一時間後@東京中央銀行


ガチャッ


スタスタスタ


半沢「大和田さん」

大和田「おお、半沢くん」

大和田「帰ってきたか」

半沢「それで、大変面白いこと、とは?」

大和田「君に言われて調べていた高ア連の選手権大会運営委員会なんだがね」

半沢「谷川さんですか」

大和田「ああ」

大和田「詳しくは、彼に説明してもらおう」


ガチャッ


福山「これはこれは半沢次長」

福山「沼津におられた割には随分と早いお帰りですねぇ」

半沢「急ぎで戻れ、とのことだったからな」

647: 2020/12/30(水) 23:18:17.49 ID:ri//656v
福山「それにしても速すぎではありませんかぁ?」

福山「浦の星 - 沼津駅間が、タクシーで30分」

福山「沼津駅間 - 東京駅間が、新幹線を利用したとしても70分」

福山「その他の待ち時間等で、おおよそ20分」

福山「計120分はかかる見込みですが、あなたは1時間で帰ってきました」

半沢「……ヘリコプターを使った」

福山「ヘリコプタァ…?何を馬鹿げたことを…」

半沢「後で東京都内を空撮した写真を送ってやる」

半沢「それより早く説明を」

大和田「そうだ、さっさと言いたまえよ福山くん」

福山「まぁまぁまぁ、落ち着いてください」

648: 2020/12/30(水) 23:19:44.74 ID:ri//656v
福山「先週から高ア連の谷川委員長の動向を探っていたのですが」

福山「和菓子屋穂むらの高坂氏と2回会っています」

半沢「やはりその後も会っていたか」

半沢「箕部の第二秘書の笠松はどうだ?」

福山「笠松氏については、私は一度も遭遇できていません」

半沢「そうか」

福山「ですが、谷川委員長が高坂氏と話している席に」

福山「新たにもう一人来られましてね」

半沢「もう一人…?」

福山「こちらの写真を見てください」


パッ


半沢「………!?」

半沢「こ…これは」


福山「私が調べたところによると」

福山「現在『上越やすだ』という居酒屋で女将を勤めています」

半沢「……………智美さん」

649: 2020/12/30(水) 23:21:38.36 ID:ri//656v
大和田「なんだ、知っているのか」

半沢「…ええ」

半沢「私がよく行く居酒屋です」

大和田「ほぉ」

大和田「それは偶然ですね」

半沢「しかし…なぜ智美さんが」

福山「それは、この3人に『とある共通点』があるからです」

半沢「共通点…」

半沢「…それは何だ福山」

福山「あのねぇ…人にモノを尋ねる時はもっと言い方ってものが」

半沢「何だ!!!!」

福山「……」ピクンッ

福山「……ちょっと待てよ」


パラッ


パラッ


福山「これだ」

福山「あなたなら彼女たちの関係性に気づいてもおかしくないと思ったのですがねぇ」

半沢「……どういうことだ」

650: 2020/12/30(水) 23:22:47.87 ID:ri//656v
福山「この女将の名字、ご存知ですか」

半沢「智美さんの名字…」

半沢「いや…あまり意識したことが無い」

福山「『新山智美』」

半沢「………新山…」

福山「そして谷川委員長の名前は『幸代』」

半沢「…谷川幸代」

福山「高坂氏の名前までは調べきれていませんが」

半沢「新山…谷川…高坂…………」

半沢「………!!!」

福山「ふふっ、思い出しましたか」

福山「半沢次長」

福山「いえ」


福山「『元半沢芸能』の半沢さん」


半沢「ま……まさか………!!!」

651: 2020/12/30(水) 23:25:07.07 ID:ri//656v
福山「当時、デビューしたかと思えば」

福山「事務所の廃業と共に、脚光を浴びることなく」

福山「すぐさま解散した3人組アイドルグループがいました」

福山「そのグループの名は」


半沢「…………Sister Princess」

半沢「……通称『シスプリ』」


福山「ご名答」

半沢「どうしてこんな重要な事実に今まで気がつかなかった…」

福山「まぁ当時小学生だった半沢次長がピンと来なかったのも無理はないですが」

大和田「半沢くん、先ほど新山智美と面識があると言っていたな」

半沢「…ええ」

大和田「それなら話は早い」

大和田「彼女経由で情報を直接探れないかね」

半沢「ええ、私もそうしようと考えています」


半沢「高ア連と新政党の関係」

半沢「箕部幹事長の過去の不正融資」


半沢「これらの鍵を握るのはSister Princessです」

652: 2020/12/30(水) 23:27:00.23 ID:ri//656v
ピコンッ

ピコンッ

ピコンッ

ピコンッ


半沢「…失礼します」

チラッ


穂乃果『お元気ですか?μ’sは元気ですっ!私たちが力になれることならなんでも言ってくださいっ!』

千歌『今日は本当にありがとうございました。Aqoursが輝ける方法…半沢さんと一緒に探していきたいです』

ツバサ『お仕事順調かしら。困りごとがあったら私たちA-RISEに何でも言ってくれて構わないから』

聖良『A-RISEとμ’sの皆さんからご紹介を受けたSaint Snowの鹿角聖良と申します。あなたの活動に賛同します。ぜひどこかでご挨拶、そしてご協力させてください』


半沢「……………………」


大和田「どうしたんだね、半沢くん」

半沢「……いえ」

半沢「箕部幹事長との戦いが始まる、というのにもかかわらず」

半沢「少し楽しくなってきたものですから」

大和田「楽しくだと…?」

半沢「ええ」


半沢「ここからが」

半沢「スクールアイドルフェスティバルの始まりです」ニッコリ

653: 2020/12/30(水) 23:28:06.01 ID:ri//656v
本日はここまでです

「Sister Princess」につきましては、名前だけを拝借しており
元ネタとは特に関係がありませんので、ご了承ください

661: 2021/01/03(日) 22:29:39.22 ID:TQYBeaxn
■ 後日@喫茶店

ウイーン

スタスタスタ

半沢「お待たせして申し訳ありません」

ヒデコ「おー、半沢さん」

半沢「お久しぶりです」

フミコ「お久しぶりです」

ミカ「ぶりでーすっ!」

半沢「この度は本当にご協力ありがとうございました」

ヒデコ「いいよいいよ、どうせ暇だし」

半沢「このお礼は必ずどこかで」

ヒデコ「別にいらないですよ、そんな」

ミカ「じゃあ私がそのお願い使っていい!?」

フミコ(…ヤムチャかな?)

ミカ「このスペシャルデラックスパフェ食べたいっ!!」

半沢「ええ、どうぞ」

ミカ「やったーっ!ヒデコとフミコも食べるでしょ?」

ヒデコ「太るからパース」

フミコ「私も」

ミカ「ええー…それじゃ私が食いしん坊みたいじゃん」

ヒデコ「ミカはいーっぱい食べて身長伸ばそうねー」ポンポンッ

ミカ「うぐぐっ…!お母さんかよっ…!!」

フミコ「あははっ」

662: 2021/01/03(日) 22:31:43.36 ID:TQYBeaxn
――――――
――――
――

半沢「それで、本題の桜内さんの件ですが」

ヒデコ「どういう経緯で音ノ木坂から浦の星に転校したか、だよね」

半沢「ええ」

ヒデコ「フミコ、メモ見せれる?」

フミコ「うん」


サッ


フミコ「この1週間、私たちで桜内さんについて調べました」

フミコ「まず、転校に関する事情の前に、彼女のプロフィールですが」

フミコ「本名『桜内梨子』」

フミコ「血液型A型の9月19日生まれ、乙女座です」

ヒデコ「A型っぽいね、清楚だし」

ミカ「乙女座かぁ~、いいなぁ~」モグモグ

フミコ「好きな食べ物『ゆでたまご・サンドイッチ』」

フミコ「嫌いな食べ物『ピーマン』」

ミカ「あははっ!かわい~」モグモグ

ヒデコ「乙女ポイント高し…」

フミコ「身長は160cmで、スリーサイズは上から80/58/82」

ミカ「おぉー…ナイススタイルだねぇー!!」モグモグ

ヒデコ「μ’sでもバスト80の身長160以上はあんまりいないね」

フミコ「趣味は絵画・手芸・料理、特技は楽器のピアノとヴィオラ」

ミカ「へー、桜内さんって手芸もできるんだ」モグモグ

ヒデコ「楽器もできて、手芸もできるって」

ヒデコ「スクールアイドルとして完璧だなー」

半沢「…なるほど」

663: 2021/01/03(日) 22:33:36.48 ID:TQYBeaxn
フミコ「本題の転校についてですが」

フミコ「今年の3月20日に沼津に引っ越ししています」

半沢「年度末ですね」

半沢「ということは、浦の星への転入は2年の進級と同時、ということでしょうか」

フミコ「はい、そうだと思います」

フミコ「それで転校の理由ですが、お父さんの転勤だそうです」

半沢「転勤…」

ヒデコ「転校の理由としちゃ、よくあるパターンだね」

ミカ「そだねぇ」

半沢「桜内さんはこれまでも何度か転校されているのでしょうか?」

フミコ「いえ、これが初めてみたいです」

半沢「そうですか」

ヒデコ「あー、それと、桜内さんと親しかった子に聞いた情報だけど」

フミコ「沼津の転勤は2年間限定みたい」

半沢「2年間限定…」

半沢「ということは、桜内さんは卒業と同時に東京へ帰ってくることになる」

フミコ「おそらく、ね」

フミコ「確証はないけど」

半沢「いえ、十分すぎる情報です」

669: 2021/01/03(日) 22:47:08.75 ID:TQYBeaxn
>>663
ラスト3つのフミコのセリフはヒデコが正しいです…
失礼しました

664: 2021/01/03(日) 22:35:08.68 ID:TQYBeaxn
半沢「その他に何かありますか?」

ミカ「あっ、私も知り合いの子に聞いたんだけど」

ミカ「桜内さんって、千代田区の富士見のマンションに住んでたんだって」

半沢「千代田区富士見…」

半沢「…もう少し詳しい情報はないでしょうか?」

ミカ「住所まではわからなかったんですけど」

ミカ「知り合いの子が、たまたまそのマンションを背景に撮った写真があるらしくて貰ったんですっ」

半沢「念のため、いただくことはできないでしょうか」

ミカ「はい、知り合いの子にもOKはもらってるので」

ミカ「今から送りますねっ」ポンッ

半沢「ありがとうございます」ポンッ


半沢「…」

半沢「…マンションの名前は書いていないですね」

半沢「他に何か手がかりになるような建物は……」

半沢「………!!!」


ミカ「どうかしましたか?」

半沢「…いえ、なんでもありません」

半沢「写真ありがとうございます」

665: 2021/01/03(日) 22:36:43.11 ID:TQYBeaxn
――――――
――――
――


半沢「皆さん、本当にありがとうございました」

フミコ「いえいえ」

ミカ「お役に立ててよかったですっ♪」

半沢「それでは」


ヒデコ「……あー」

ヒデコ「さっきのお礼の話なんですけど」

半沢「はい、なんでしょうか」

ヒデコ「今度、暇な時でいいので」

ヒデコ「銀行のことについて教えてもらえませんか?」

半沢「それは構いませんが、どうしてでしょうか」

ヒデコ「…その」

ヒデコ「半沢さんがμ’sや音ノ木坂のために一生懸命になってるのを見て」

ヒデコ「銀行って人を助けるために頑張れる職業なんだなって」

ヒデコ「私も将来…半沢さんみたいになりたいなって思って」

半沢「…そうですか」ニッコリ


半沢「あなたは困っている人を最優先に行動できる素晴らしい方です」

半沢「なかなかできることじゃない」

半沢「就職活動の際には、ぜひ当行をご検討いただけますと幸いです」


ヒデコ「…近い将来」

ヒデコ「もし私が本当にそうなったら、その時はこう呼ばせてもらえますか?」

半沢「?」


ヒデコ「半沢頭取!」


ヒデコ「ってね?」ニヤリ

666: 2021/01/03(日) 22:38:16.26 ID:TQYBeaxn
――――――
――――
――


ウイーン

アリガトウゴザイマシター


ピッピッピッ

prrrr… prrrr…


真姫『もしもし?』

半沢「西木野さんですか」

真姫『そうだけど』

真姫『どうかしたの?私に電話なんて』

半沢「はい」

半沢「少しお伺いしたいのですが」

半沢「西木野さんのご両親が経営されている『西木野総合病院』は」

半沢「確か市ヶ谷周辺でしたよね?」

真姫「?」

真姫「そうだけど…それがどうかしたの?」

半沢「市ヶ谷と言えば、富士見のすぐ近くです」

真姫「そうね」

半沢「富士見周辺はお詳しいですか?」

真姫「うーん、まぁそれなりにって感じだけど」

半沢「そうですか」

半沢「お忙しいところ大変申し訳ないのですが」

半沢「今から一枚の写真を送りますので」

半沢「そこに写っているマンションに心当たりがあるか見ていただけないでしょうか」

真姫『まぁ、別にいいけど』

667: 2021/01/03(日) 22:40:21.71 ID:TQYBeaxn
ポンッ


真姫『…あら』

真姫『うちの病院が小さく写っているわね』

半沢「そうなんです」

半沢「マンションと病院の距離にしておおよそ1~2kmと考えますが」

半沢「マンションがどこにあるか検討つかず…」

真姫『………うーん』

真姫『富士見も通りが多いからパッとは出てこないわね』

半沢「…そうですか」

真姫『このマンションの場所、そんなに知りたいの?』

半沢「……ええ」

真姫『はぁ…しかたないわね』


真姫『今から1時間後に市ヶ谷駅来れる?』

真姫『マンション探し、手伝ったげる』

半沢「……!!」

半沢「西木野さん…本当にありがとうございます」ニッコリ


真姫『べ…別にあんたのためじゃなくて音ノ木坂のためなんだから』


真姫『か…勘違いしないでよね』クルクル

681: 2021/01/10(日) 23:43:24.24 ID:DJtZVHGu
■ 1時間後@市ヶ谷駅

タッタッタッ

半沢「お待たせして申し訳ありません」

真姫「別に」

真姫「私も今来たところ」


真姫「それでこのマンションだけど」

半沢「当たりはつきそうですか」

真姫「まーね」

真姫「富士見で、うちの病院の看板がこの角度から見えるってことは」


パッ


真姫「スマホの地図だと、このあたりだと思う」

682: 2021/01/10(日) 23:44:07.34 ID:DJtZVHGu
――――――
――――
――


真姫「…着いたわ」

真姫「あれが、うちの病院」

半沢「本当ですね…おおよその角度は合っている」

半沢「ここからどうやって探すか」

真姫「他に写真に何か写っていないかしら…」

半沢「……」

半沢「……!」

半沢「西木野さん」

半沢「ここに小さく鳥居のようなものが写っています」

真姫「…ほんとね」

半沢「このあたりの鳥居といえば」

真姫「ええ」


半沢・真姫「…靖国神社の大鳥居」

683: 2021/01/10(日) 23:44:58.87 ID:DJtZVHGu
サッ


半沢「マンションと西木野総合病院を結ぶ線」サッサッ

半沢「マンションと大鳥居を結ぶ線」サッサッ

半沢「この角度…」

真姫「おおよそ25度~30度ってところじゃない?」クルクル

半沢「…ええ」

半沢「西木野さん、もう一度地図を見せていただけますか」


パッ


真姫「はい」

半沢「病院と大鳥居をそれぞれ結んだ直線が25~30度の角をなすエリア…」

真姫「…この富士見坂のあたりかしら」

半沢「ええ…向いましょう」

684: 2021/01/10(日) 23:46:04.42 ID:DJtZVHGu
――――――
――――
――


半沢「…西木野さん」

真姫「ええ」

真姫「確かにそれらしい雰囲気の道ね」

半沢「雰囲気だけではありません」

真姫「えっ」

半沢「…この建物」

真姫「あっ!まさしくこの写真と同じじゃない」

真姫「ふーん…あんまり綺麗な建物とは言えないわね」

半沢「…」

真姫「…どうしたの?」

真姫「マンションの名前は…『タムラ電機 社員寮』…?」


半沢「…」

半沢「……タムラ電機」

685: 2021/01/10(日) 23:48:24.41 ID:DJtZVHGu
■ 30分後

prrrrr… prrrrr…


ピッ


半沢「大和田さん」

大和田『待たせたな、半沢くん』

半沢「いえ」

大和田『人事部の資料を見るにはそれなりにセキュリティがあって面倒だよ』

半沢「お手数をおかけして申し訳ありません」

半沢「…それで…どうでしたか」

大和田『今、人事資料を見ているんだが』ペラッ


大和田『君の言うとおり』

大和田『東京中央銀行の出向先候補リストに「タムラ電機」があってな』

大和田『「桜内」という社員がタムラ電機に出向中だ』


半沢「…やはり」

686: 2021/01/10(日) 23:49:18.56 ID:DJtZVHGu
半沢「…その桜内という社員ですが」

半沢「今年の4月1日付で人事発令が出ていませんか」

大和田『少し待ってくれ』


ペラッ


ペラッ


ペラッ


大和田『…出向先内の転勤発令が出ている』

大和田『場所は…』


半沢「…沼津」


大和田『…ああ、そのとおりだ』

大和田『それに、もう一つ面白いことが分かった』

半沢「何ですか?」


大和田『この人事発令の承認欄に』

大和田『…紀本常務の捺印が入っている』


半沢「………!!!」


半沢「………」

半沢「…………紀本」

687: 2021/01/10(日) 23:50:09.07 ID:DJtZVHGu
■ 新政党

箕部「そう言えばぁ…」

箕部「君に連れてきてもらったぁ…なんだったかな」

箕部「その娘さん?」

箕部「結構良い曲を作るらしいねぇー」


紀本「ふふっ」


紀本「喜んででいただけて何よりです」

紀本「幹事長」

703: 2021/01/17(日) 14:58:22.18 ID:6q8qmWPQ
■ 2週間後@東京中央銀行 常務室


コンコン


紀本「入りたまえ」


ガチャッ


半沢「失礼します、紀本常務」

紀本「…半沢」

紀本「一体どうしたんだ」

半沢「ええ」

半沢「紀本常務に一つ「確認させていただきたいこと」がございまして」

紀本「…なんだ」

半沢「先日、紀本常務が新政党の箕部幹事長と会食をされていた」

半沢「という話を知り合いから聞いたものですから」

紀本「…!!」

704: 2021/01/17(日) 15:01:42.47 ID:6q8qmWPQ
半沢「音ノ木坂の案件において、新政党は明確な敵です」

半沢「そのような状況でありながら会食をされるとは」

半沢「ぜひ、どのような内容であったか、ご説明いただきたいと思いまして」

紀本「…なんでわざわざお前に説明しないといけないんだ」

半沢「紀本常務の秘書に、あなたの予定を確認したところ」

半沢「会社の業務として会食をされている」

半沢「場所までは分かりませんでしたが」

半沢「プライベートの話とは言わせませんよ、紀本常務」

紀本「ふん」

紀本「会食内容は役員機密」

紀本「東京中央の将来を大きく左右する内容だ」

紀本「次長クラスのお前においそれと話せるわけないだろう」

半沢「それでは聞き方を変えます」

半沢「紀本常務は箕部幹事長の選挙地盤である沼津へ行ったことはありますか」

紀本「沼津だと?」

半沢「ええ」

紀本「行ったことあるわけないだろう」

紀本「沼津のような海しか無いド田舎に」

705: 2021/01/17(日) 15:03:17.07 ID:6q8qmWPQ
半沢「では」

半沢「沼津の『浦ノ星女学院』や」

半沢「その高校のスクールアイドル『Aqours』についてはどうですか」

紀本「沼津に行ったことが無い私が知るはずないだろう」

半沢「知らない?」

紀本「ああ」

紀本「もういいだろう」

紀本「今忙しいんだ」

紀本「他に質問が無いなら出ていきなさい」

半沢「……」

半沢「……」

半沢「……おかしいですね」

紀本「何がだ」

半沢「先ほど紀本常務は」

半沢「沼津へ行ったことがなく」

半沢「浦ノ星女学院やAqoursについてもご存知無い」

半沢「とのことでした」

紀本「……何が言いたい」

706: 2021/01/17(日) 15:04:49.84 ID:6q8qmWPQ
サッ


半沢「こちらの人事資料、身に覚えはありませんか」

紀本「……」

半沢「『桜内』という、東京中央銀行の人間が」

半沢「もっと言うと、あなたと同じ、旧東京第一銀行出身の人間が」

半沢「タムラ電機へ出向中であり」

半沢「今年の4月に沼津へ転勤命令が出されています」

半沢「この決裁をされたのは紀本常務、あなただ」

紀本「毎日数え切れないほど判子をついてるんだ」

紀本「そんな細かい案件覚えておらんよ」

半沢「では、桜内という社員に心当たりは」

紀本「知らん」

半沢「そうですか」


半沢「……そうなると」

半沢「この写真の説明がつきませんね」


紀本「…写真だと?」

紀本「なんだそれは」

半沢「見たいのであれば」サッ

紀本「見せろ!!」パッ


紀本「……!!!」

707: 2021/01/17(日) 15:07:17.25 ID:6q8qmWPQ
半沢「紀本常務と箕部幹事長が沼津の料亭で会食されている写真です」

半沢「この写真には、タムラ電機の桜内さんも映り込んでいます」

紀本「な…なんだこの写真は……!!」

半沢「桜内さんの娘である梨子さんと少々知り合いでして」

紀本「…!!」

紀本「Aqoursと知り合いなのか…!?」

半沢「……おかしいですね、紀本常務」

半沢「私は梨子さんがAqoursのメンバーであるなんて一言も言っていませんよ」

半沢「Aqoursを知らないあなたの発言とは思えませんね」

紀本「………」

半沢「梨子さんには、桜内さんの転勤の事情を事細かに説明させていただき」

半沢「この写真を撮るために、ご協力いただきました」

半沢「また、あなたと、敵対する箕部幹事長との関係性についても、Aqoursの方から教えていただきました」

半沢「この内容が頭取の耳に入れば……その先は分かるでしょう」

708: 2021/01/17(日) 15:09:12.32 ID:6q8qmWPQ
紀本「……半沢」

紀本「お前の方こそ何をやっているのか分かっているのか」

紀本「転勤の事情は企業秘密だ」

紀本「例え社員の娘であっても軽々と口に出すことは企業倫理に反する」

半沢「…企業倫理」

半沢「…企業倫理とおっしゃいましたか」

紀本「ああ」


半沢「…企業倫理が無いのはどっちの方だぁ!!紀本!!!」バンッ

紀本「……!!!」ビクンッ


半沢「…これまでの会話は全て録音させてもらってる」サッ

半沢「ただで済むと思うな、紀本」

紀本「……」

紀本「……何が望みだ」

紀本「……常務か?常務の座が欲しいのか?」

紀本「いきなり役員は難しいが…そうだな」

紀本「部長ポストならすぐに用意することは可能だ」

半沢「そんなことはどうでもいい」

紀本「……じゃあなんだ」

709: 2021/01/17(日) 15:12:21.79 ID:6q8qmWPQ
半沢「聞きたいことは2つだ」

半沢「1つは、旧東京第一時代に土地購入代として箕部個人に融資した50億」

半沢「現在この土地は高ア連管轄の秋葉原ドーム、当時の地価の16倍だ」

半沢「これにより恐らく箕部は巨額の資産を得たはずだが、その裏を知りたい」

紀本「詳細は私も分からん」

紀本「ただ1つ言えることは、金の流れを隠すため」

紀本「高ア連を隠れ蓑に使っていることは確かだろう」

半沢「…やはりそうか」

半沢「だが、何故お前が詳細を知らない」

半沢「2つ目に聞きたかったことでもあるが」

半沢「箕部個人への50億の融資と、音ノ木坂への500億の融資」

半沢「これらのクレジットファイルがどこを探しても見つからない」

半沢「お前が隠したんだろう、紀本」

紀本「……ふん」

紀本「…ふふっ…ふふふふっ…」

紀本「はははははっ…!!!」

半沢「…」

紀本「馬鹿も休み休み言え」

紀本「私が持っているわけ無いだろう」

半沢「………なん…だと?」

710: 2021/01/17(日) 15:14:37.18 ID:6q8qmWPQ
紀本「よく考え 」

紀本「あの箕部が、明るみに出たら政治生命が終わる機密の保管を」

紀本「銀行の一社員に任せると思うか?」

半沢「…」

半沢「…ということは」

紀本「おそらく箕部自身」

紀本「もしくは第一秘書の武田が持っているはずだ」

半沢「………」


紀本「半沢」


紀本「正義感を振りかざすのもいいが」

紀本「箕部だけはここまでにしておくんだな」

半沢「…」


紀本「さもなければ」

紀本「冗談ではなく、本当に命を落とすことになるぞ」

718: 2021/01/21(木) 04:21:56.58 ID:o28EOFTJ
■ 半沢帰宅中

スタスタスタ

??「…半沢さん」

半沢「…ん?」

半沢「か…笠松さん!」

半沢「どうされたんですか?」


ウイーン


白井「…」ペコリ

半沢「白井大臣!?」

719: 2021/01/21(木) 04:23:06.34 ID:o28EOFTJ
■ 半沢家

ガチャッ

花「あ、直樹おかえりー」

半沢「な…なにこれ…!?花まみれじゃない!?」

花「んー、ちょっと仕事頼まれちゃってさ」

半沢「い…今すぐ片付けて…!!」

花「何言ってるの直樹」

半沢「お客さんだ…!!」

花「へっ?」


ガチャッ


白井「…」ペコリ

花「!?」

花「し…白井大臣…!?」ガタガタ


ガンッ!!


花「あ…いったぁ…!!」

半沢「…」

白井「…」

727: 2021/01/24(日) 10:52:55.73 ID:FP6ggjij
白井「突然申し訳ございません…」

白井「人目のある場所は避けたかったもので」

花「…」

半沢「……花?」


花「……ほんものだ…」


白井「…」

半沢「…」

花「い…いえ~…あはは…」

728: 2021/01/24(日) 10:57:06.95 ID:FP6ggjij
――――――
――――
――


白井「…それで」

白井「過去に先生が不正を犯した、という確固たる証拠はあるんですか?」

半沢「いえ」

半沢「ですが、幹事長の過去の融資に関するクレジットファイル…」

半沢「…クレジットファイルとは、貸出しをしている相手先の情報など」

半沢「貸出しを行うにあたり必要な情報を漏れなく記載した書類のことです」

半沢「そのファイルが見つかれば幹事長の不正の証拠に足る情報が得られると考えています」

白井「…」

半沢「白井大臣」

半沢「あなたはキャスター時代にアイドルに関する話題を熱心に取り上げられていた」

半沢「アイドル番組の司会も数多く経験されている」

半沢「彼女達の思いは人一倍ご理解されているのではと推察します」

半沢「もし、この国を、教育を、スクールアイドル達を取り巻く環境を変えたい」

半沢「というご意志があるのであれば」

半沢「どうかお力を貸していただけないでしょうか」

白井「…」

白井「……信用なりません」

729: 2021/01/24(日) 10:58:20.68 ID:FP6ggjij
白井「結局あなた、何の証拠も持っていないんじゃないですか」

半沢「……先ほど申し上げたクレジットファイル」

半沢「そのファイルを見つける手がかりは『高ア連』にあると考えています」

半沢「そうですよね」


半沢「笠松さん」

笠松「……」


白井「…笠松さん?どうして笠松さんが出てくるんですか?」

笠松「それに高ア連って日本高等学校スクールアイドル連盟のことですよね?」

半沢「教えていただけませんか」

半沢「幹事長と高ア連の関係について」

笠松「……半沢さん」

笠松「明日、お時間空いていますか」

半沢「ええ、無理やりにでも空けることは可能です」

白井「?」


笠松「あなたと直接お話しいただきたい方々がいます」

半沢「ええ、お待ちしておりました」ニッコリ

730: 2021/01/24(日) 10:59:35.48 ID:FP6ggjij
■ 翌日@穂むら

穂乃果ママ「ごめんなさいね」

穂乃果ママ「急に2人に店番頼むことになっちゃって」

雪穂「んーん、ぜんぜん大丈夫」

穂乃果「穂乃果達がいつもの2倍売ってみせるっ!」

穂乃果「やるったらやるっ!」

雪穂「うげぇ…それはちょっときついなぁ」

穂乃果ママ「ふふっ」

穂乃果ママ「もし本当にそうなれば来月のお小遣いアップかしらね」

穂乃果「ほんと!?」パァー

雪穂「やったっ!!」パァー

穂乃果「そうなったら雪穂!海未ちゃん達に連絡だっ!!」

雪穂「うんっ、私も亜里沙に声かけよ~」

穂乃果ママ「」クスッ


穂乃果ママ「穂乃果、雪穂」

穂乃果ママ「いってきます」

穂乃果・雪穂「いってらっしゃ~い」

731: 2021/01/24(日) 11:01:08.42 ID:FP6ggjij
穂乃果「じゃーお店がんばろっかっ」

雪穂「最近おねーちゃん店番やる気あるよね」

穂乃果「そうかな?」

雪穂「うん」

穂乃果「そうだねぇ」

穂乃果「ある人の言葉を思い出したからかな?」

雪穂「なーに?」


穂乃果『仕事は常にお客さんのためにするもの』

穂乃果『いつも人を笑顔にさせられる仕事を自分はしたい』


穂乃果「これってね?」

穂乃果「スクールアイドルと同じなんだよっ♪」ニコッ

732: 2021/01/24(日) 11:02:49.19 ID:FP6ggjij
■ 居酒屋「上越やすだ」

ガララ-

半沢「失礼します」


智美「半沢さん」

智美「お待ちしていました」

半沢「お昼からわざわざお店を開けていただき申し訳ありません」

智美「お気になさらず」

智美「こちらへどうぞ」

半沢「ありがとうございます」


スタスタスタ


半沢「白井大臣、笠松さん」

半沢「谷川さん、高坂さん、智美さん」


半沢「本日はお集まりいただきありがとうございます」

半沢「それでは…早速始めましょうか」ニッコリ

748: 2021/01/31(日) 23:50:07.70 ID:+BrBE5hw
――――――
――――
――

穂乃果ママ「半沢…さん」

穂乃果ママ「娘からお名前は聞いていましたが」

穂乃果ママ「まさか…」

半沢「…申し訳ございません」

半沢「本当であればもっと早くにご挨拶しなければならなかったのですが」

智美「…そんな」

智美「半沢さんが…半沢芸能の…」

半沢「…谷川さん、高坂さん、そして、智美さん」

半沢「皆様のお名前から、気づくべきでした」

穂乃果ママ「…しかたないわ」

穂乃果ママ「もうだーいぶ前の話だもの」

谷川「…」

749: 2021/01/31(日) 23:51:36.01 ID:+BrBE5hw
半沢「谷川さん」

半沢「…そのご様子から察するに、あなたは気づいておられた」

半沢「違いますか?」

谷川「……」

谷川「……ええ」

谷川「半沢さん、あなたのおっしゃる通りです」

半沢「…そうでしたか」

穂乃果ママ「幸代…どうして言ってくれなかったの…?」

谷川「…当然でしょう」

谷川「半沢さん、あなたは社長の仇である銀行にわざわざ入行された」

谷川「なにが裏があると思うのは当然よ」

半沢「…」

智美「で…でも…半沢さんに限って…」

半沢「…いえ」

半沢「それに関しては何を言われても仕方がないと思います」

半沢「ですが…私は親父を裏切った銀行を変えるために入行しました」

半沢「人も…会社も…そして、アイドルも」

半沢「本気を出せば絶対に変われます」

半沢「…それだけは…どうか信じていただきたい」

谷川「信じる、信じないは私の勝手です」

谷川「あなたにとやかく言われることじゃない」

半沢「…」

750: 2021/01/31(日) 23:53:41.67 ID:+BrBE5hw
穂乃果ママ「ゆ…幸代…!」

谷川「あなたが、半沢芸能の御子息だと分かってから」

谷川「こちらでもいろいろ調べさせていただきました」


谷川「半沢さん」

谷川「あなた、浦の星女学院まで押しかけたそうですね」

半沢「…ええ」

谷川「浦の星の理事長が言っていました」

谷川「『彼は最高に頼りになるバンカーよ』って」

谷川「あの子がそんなこと言うのは非常に珍しいことです」

半沢「……小原さん」

谷川「貴方のことを色々調べ、私自身で一つの結論を出しました」

半沢「…」


谷川「半沢さん」


谷川「私は」

谷川「高ア連は」

谷川「全面的に、あなたに協力させていただきます」


半沢「……!!」

751: 2021/01/31(日) 23:56:20.93 ID:+BrBE5hw
谷川「こちらこそお話が遅くなり申し訳ありませんでした…」

谷川「組織が大きいと、どうしても下手に動けなくて」

半沢「いえ、とんでもございません」

谷川「笠松さんにコンタクトを取って本当に正解でした」

笠松「いえ」

笠松「私は新政党の未来を思って動いたまでのことです」

笠松「ですが、どうして私に」

谷川「それは」


谷川「白井大臣が貴方を信頼しているから」


谷川「です」

白井「…?」

白井「なぜ…私が出てくるのでしょうか」

谷川「白井大臣」

谷川「あなたは大昔のことなので忘れているかもしれませんが」

谷川「私たちシスプリがデビューした当初、最も可愛がっていただけたのが」

谷川「当時アナウンサーをしていた白井アナです」

白井「シスプリ…」

白井「…あ…!あのときの…!」


谷川「白井アナ」


谷川「当時のアイドルは色眼鏡で軽く見られることがほとんどの中」

谷川「あなただけはアイドルを、私たちを敬って対応いただいた」

谷川「白井アナの誠実さは、私たちの心の中にずっと留まっています」

白井「…そうでしたか」

752: 2021/01/31(日) 23:57:50.73 ID:+BrBE5hw
谷川「その白井大臣の側近である笠松さんに相談を持ちかけた理由が」


半沢「………箕部幹事長」


谷川「ええ」


白井「……」

白井「……やはり先生は」

白井「…………過去に」

谷川「」コクリ

白井「そ…そんな…」


半沢「……谷川さん」

半沢「箕部幹事長の過去を暴くための手がかり」

半沢「お持ちですか?」

谷川「それを話すために私はこの場にいます」

谷川「こちらをご覧ください」

753: 2021/01/31(日) 23:59:17.87 ID:+BrBE5hw
――――――
――――
――


半沢「…つまり…高ア連の金庫の中に」

半沢「箕部の不正融資に関わるクレジットファイルが隠されている、と」

谷川「はい」

穂乃果ママ「それなら話は早いじゃない」

穂乃果ママ「それを明るみに出しちゃえば」

谷川「それがそんなに簡単なことじゃなくて」

谷川「金庫は、もう10年以上も前から開けられていない」

谷川「開けるには、高ア連のトップと、箕部のそれぞれの個人暗証番号が必要なの」

谷川「前者は私の方でどうにかなりますが、後者は箕部じゃないとわからない」

半沢「…なるほど」

白井「……」

白井「……その暗証番号というのは、どのような体系のものですか?」

谷川「16桁の数字です」

谷川「もし3回間違えると、箕部にも連絡がいく仕組みになっています」

智美「…それでは確証無く入力するのは危険ですね」

白井「……16桁の数字」

754: 2021/02/01(月) 00:01:23.79 ID:OIJ/j/lZ
半沢「白井大臣、何か思い当たる節がありますか?」

白井「…さすがに先生であっても」

白井「16桁の数字を完璧に記憶できるとは思えません」

白井「おそらく…先生のパソコンのどこかにメモがあるのではないか…と」

半沢「パソコンは誰でも簡単に見れますか?」

白井「…いえ」

白井「ログイン情報は先生と第一秘書しか知りません」

半沢「…そうですか」


半沢「谷川さん」


半沢「何か適当な口実を作って」

半沢「箕部幹事長と第一秘書の方を高ア連に呼び出して頂くことは可能ですか」

谷川「わかりました、やってみます」

半沢「ありがとうございます」


ピッ…


Prrrrr…. Prrrrr….


瀬名『はい、瀬名です』


半沢「瀬名社長」

半沢「折り入って、一つご相談があります」

755: 2021/02/01(月) 00:02:47.63 ID:OIJ/j/lZ
――――――
――――
――


■Spiral本社


Prrrr… Prrrr…


ピッ


瀬名「はい」

瀬名「Spiralの瀬名です」

白井『白井です』

瀬名「大臣、状況はいかがですか?」

白井『さきほど、先生達が外出されたので』

白井『今、先生の部屋に入ったところです』

瀬名「わかりました」

瀬名「担当の者に変わります」

756: 2021/02/01(月) 00:04:49.23 ID:OIJ/j/lZ
高坂「もしもし、お電話変わりました」

高坂「瀬名に代わりまして」

高坂「引き続き、私、高坂がサポートさせていただきます」

白井『すみません、ありがとうございます』

高坂「お渡しさせていただいたUSB、お持ちですか?」

白井『はい』

高坂「そちらを、パソコンに挿した状態で」

高坂「起動していただけませんか」


サッ


ウイーン


白井『…起動しました』

高坂「ありがとうございます」

高坂「それでは、私が言う通りにキーボードを押していただけますか」

白井『わかりました』


――――――
――――
――


白井『……!!』

白井『ログインできました…!』

高坂「良かったです」

757: 2021/02/01(月) 00:08:28.76 ID:OIJ/j/lZ
高坂「パスワードが書かれたファイルがありそうな場所」

高坂「検討つきますか?」

白井『…それが…正直検討が付いておらず』

高坂「わかりました」

高坂「それではUSBの中に」

高坂「PC内のパスワード関連のファイルを高速で検索できるソフトを入れていますので」

高坂「そちらを実行してみて下さい」

白井『…これですね』


カチッ


白井『……』

白井『……』

白井『……』

白井『……!!』


高坂「どうですか?」


白井『……それらしきものがありました』

白井『高ア連_クレジット_パス.txt』

高坂「ビンゴ、ですね」

白井「ええ」

白井『早速半沢さんに共有するようにします』

高坂「はい、それがいいと思います」

白井『ありがとうございました』

白井『失礼いたします』


ピッ

758: 2021/02/01(月) 00:11:12.22 ID:OIJ/j/lZ
瀬名「いけたのか?」

高坂「はい、なんとか」

瀬名「こんな短時間でよく検索ツールまで用意したな」

高坂「まぁ」

高坂「人間その気になれば何だってできますよ」

瀬名「じゃあ今降ってる雨を止ませることもか?」

高坂「人によっちゃできるんじゃないですか」

瀬名「本当かよ」


瀬名「…ん?」

瀬名「なんだ、お前」

瀬名「会社のパソコンで動画なんか見て」

高坂「別にいいじゃないですか、今昼休みなんですし」

瀬名「いや、動画の内容が」

高坂「あー」

高坂「言っときますけど、別にアイドルオタクな訳じゃないですから」

高坂「これ、親戚の子なんですよ」

瀬名「……は?」

高坂「この真ん中で踊ってるの」

瀬名「いや、お前」

瀬名「これ、半沢さんが関わってる子だろ?」

高坂「そうなんですか?」

瀬名「確か高坂………高坂!?」

高坂「穂乃果ちゃん、大きくなりましたね」


瀬名「………まじかよ」

771: 2021/02/06(土) 10:43:40.74 ID:cUbr40KU
■ 東京中央銀行 役員会議室

頭取「それで、本日はどのようなご用件で」

乃原「ええ」

乃原「早速ですが頭取」

乃原「音ノ木坂に保有されている債権を放棄していただけませんかね」

笠松「……?」

半沢「…」

大和田「し…しかしその件に関しましては先日の合同報告会の際に…」

乃原「あんたじゃなくて頭取に聞いてるんだよ」

大和田「…」ピクッ

乃原「頭取、いかがでしょう」

頭取「今お聞きいただいた通り、債権放棄案については見送らせていただく」

頭取「これは本行の正式決定です」

乃原「…」ハァ…

乃原「もう一度、考えていただきたいんですよ」

乃原「一週間後、タスクフォースの本部に来てもらって」

乃原「銀行の方針を改めて説明していただきたい」

大和田「い…一週間後…!?」

772: 2021/02/06(土) 10:45:16.07 ID:cUbr40KU
半沢「では、担当の私が」


バンッ!!


乃原「おめぇじゃなくて頭取に聞いてんだよ!!」

半沢「…」

乃原「雑魚はひっこんでろぉ!!」

半沢「…」

乃原「頭取、直々にがこちらの要望」

乃原「そこには箕部幹事長も来られます」

頭取「…」

乃原「幹事長の前で、御行の考えを聞かせてもらいたいんですよ」

乃原「どうでしょう」

頭取「…」

乃原「…そういえば、幹事長と御行は旧東京第一銀行の頃かのお付き合いでしたねぇ」

紀本「……!」

頭取「…わかりました」

頭取「お伺いしましょう」

乃原「それはよかった」


乃原「楽しみにしていますよ、頭取」

半沢「………」

773: 2021/02/06(土) 10:46:22.95 ID:cUbr40KU
――――――
――――
――


スタスタスタ


乃原「白井大臣には貴方から伝えておいてください、笠松さん」

笠松「…大臣の断りもなしに勝手なことを…!!」

乃原「ふんっ、所詮白井大臣はお飾り」

乃原「タスクフォースの指揮官は幹事長だ」

笠松「……!」

乃原「幹事長と旧東京第一の話を持ち出せば、東京中央は我々の要求を飲まざるを得ない」

乃原「…それでも従わないようなら」


乃原「銀行なんて、ぶっつぶしちまえばいい」

774: 2021/02/06(土) 10:54:26.10 ID:cUbr40KU
■ 東京中央銀行 会議室


ガチャッ


スタスタスタ


半沢「遅れてすまない」

渡真利「どうだったんだ?乃原に何か言われたのか」

半沢「ああ…少し面倒なことになった」

田島「面倒なこと?」

半沢「箕部の不正融資の真相をあと1週間で暴く必要がある」

渡真利「一週間…!?」

半沢「…ああ」


半沢「もしそれができない場合」


半沢「東京中央の…」

半沢「スクールアイドルの未来は…終わりだ」

775: 2021/02/06(土) 11:46:22.59 ID:cUbr40KU
――――――
――――
――


田島「こちらが、高ア連の谷川さんから送られてきた」

田島「過去の箕部幹事長への融資に関するクレジットファイル」

田島「そして、クレジットファイルに挟まっていたメモを年度の古い順に並べています」

渡真利「なんだ…これは」

半沢「この数字の意味が…どうしてもわからない」

半沢「パーセントなのか…額なのか…」

渡真利「じゃあ、このアルファベットの意味は分かったのか?」

半沢「ああ」

半沢「田島」

田島「はい」

776: 2021/02/06(土) 11:48:14.86 ID:cUbr40KU
田島「まず、この『TDN』は12年前から『TCN』に変わっています」

田島「12年前といえば」

パチンッ

渡真利「銀行が合併した年」

半沢「その通り」

半沢「この『TD』は『東京第一銀行』」

半沢「『TC』は『東京中央銀行』だ」

渡真利「その、後にくっついている『N』はなんだ?」

半沢「『沼津支店』」

渡真利「じゃあ、下に書いてある『NSR』は」

半沢「『日本高等学校スクールアイドル連盟』」

半沢「つまり、高ア連だ」

半沢「そして、横に記載のある『MK』が」

渡真利「…箕部啓治!」

半沢「ああ」ニッコリ


TDN…旧東京第一銀行・沼津支店
TCN…東京中央銀行・沼津支店
NSR…日本高等学校スクールアイドル連盟(高ア連)
MK…箕部啓治

777: 2021/02/06(土) 11:49:26.86 ID:cUbr40KU
半沢「沼津支店の高ア連の口座から」

半沢「箕部と『ME』に金が流れた、とみて間違いないだろう」

半沢「箕部に9、MEに1」

渡真利「その、MEっていうのは?」

半沢「過去を辿ると、5年前に『SS』から『ME』に変わっている」

半沢「おそらく、『SS』は『審査部』」

渡真利「じゃあ、『ME』は」

半沢「これは頭文字でなく、文字通り『自分自身』ということ」

半沢「つまり、このメモを書いた本人」

渡真利「このメモを書いた本人が、今も金を受け取り続けてるってことか」

半沢「そうだ」

778: 2021/02/06(土) 11:51:20.11 ID:cUbr40KU
ポンッ


半沢「来たか」

渡真利「なんだ?」


半沢「……」ニッコリ

半沢「これを見ろ、渡真利」

渡真利「なんだこれは?大和田さんからの画像のLINE?」

渡真利「…写ってるのはスケジュール帳か?」

半沢「ああ、だが問題は内容じゃない」

半沢「筆跡だ」

渡真利「……!!」

渡真利「このメモと同じ筆跡!!」

半沢「ああ」

渡真利「…誰のスケジュール帳なんだ」


半沢「先ほど大和田さんに頼んで」

半沢「紀本常務の筆跡がわかるものを撮影してもらった」

渡真利「……じゃあ」

半沢「ああ」


半沢「この『ME』は紀本常務」

半沢「過去に審査部の部長を務め、5年前に役員になっている」

半沢「その経緯からみても、間違いないだろう」


SS…審査部(紀本が部長)
ME…紀本常務

779: 2021/02/06(土) 11:53:20.06 ID:cUbr40KU
ガチャッ


スタスタスタ


福山「言われた通り調べましたよ」

渡真利「福山!」

福山「東京中央銀行・沼津支店の高ア連の口座情報」ニヤリ


サッ


半沢「H24.9.27…」


半沢「見ろ!」

半沢「メモの日付と同じ日に1億が引き出されている!!」

福山「しかも全て現金引き出しですよぉ?」

半沢「このメモによれば、箕部に9、紀本に1」

渡真利「9000万が箕部に、1000万が紀本常務に渡ったってことか」

福山「H24.4.5はなんと8億!!」

田島「箕部幹事長には7億9千万…紀本常務には変わらず1000万…」

半沢「…おそらく、紀本常務への支払いは『口止め料』だ」

渡真利「しかし現金だからこれ以上の金の追跡はできず…か」

渡真利「用意周到だな…悪知恵が働く」

半沢「………」

780: 2021/02/06(土) 12:08:24.16 ID:cUbr40KU
■ 紀本常務滞在ホテル


コンコン


紀本「……」


ガチャッ


紀本「…遅かったな」

半沢「紀本!!」

紀本「は…半沢!?」

渡真利「ドア開け手伝ってくれてありがとね~~♪」


ガタガタガタッ!!


半沢「さぁ!!説明していただきましょうかぁ!!」

半沢「貴方と幹事長、そして高ア連の金の流れは突き止めました!!」

紀本「……!!」

781: 2021/02/06(土) 12:11:30.33 ID:cUbr40KU
半沢「このことを頭取に話せば、いずれ貴方に処分が降る」

紀本「…」

半沢「今更隠し立てをしても仕方ないでしょう」

半沢「箕部に金が渡ったという記録を今すぐ出してください」

半沢「もう来週のタスクフォースへの説明会まで時間がない」

紀本「…ふっふっふ」

渡真利「その金も紀本常務が管理していたんでしょ?」

紀本「……はっはっはっ!!」

紀本「前回からまた同じことを聞くのか?」

紀本「そんなこと箕部自信以外には絶対にわからん」

紀本「何度も言わせるな」

半沢「…」

紀本「諦めろ」

紀本「これ以上この件に首をつっこんだら…」

半沢「これ以上突っ込まなきゃ銀行もスクールアイドルも終わる!!」

紀本「……」


半沢「証拠は消えても、金まで煙のように消えたわけじゃない」

半沢「箕部に流れた金を突き止めれば」


半沢「不正は証明できる」

782: 2021/02/06(土) 12:28:28.57 ID:cUbr40KU
■ 黒崎事務所

黒崎「ふーん」

黒崎「それでまたアタシに?」

半沢「…はい」

黒崎「最後に情報提供してあげたのに」

黒崎「まんまと箕部にしてやられたわけ?」

半沢「…」

黒崎「ダメダメのダメ沢直樹ねっ!!」

半沢「…すみません」


半沢「黒崎さん」

半沢「この件、金融庁に動いてもらうことはできませんか」

黒崎「それは無理」

黒崎「金融庁はこの件からもう手を引いたわ」

半沢「…」

黒崎「それでも動かすには」

黒崎「箕部が100%クロって確証がなきゃ」

黒崎「ム!!リ!!」

半沢「…確証ですか」

783: 2021/02/06(土) 12:30:57.49 ID:cUbr40KU
黒崎「差し引き、箕部に総額いくら渡ったのか、もう調べたんでしょ?」

半沢「はい」

半沢「100億8000万です」

黒崎「100億8000万…」


黒崎「全て100万円の札束にすると……」


パチンッ!!


黒崎「…縦7.6メートル、横16メートル」


黒崎「アナタも知ってる通り」

黒崎「現金ってのはね、足がつかない代わりに隠すのが大変なのよぉー…」

半沢「…」

黒崎「あの慎重な箕部なら、そのままにはしておかないでしょうね」

半沢「はい、私もどこかの口座に振り込んだと踏んでいます」

黒崎「国内の主要な銀行を総ざらいしたけど、そんな口座かけらも無かったわ」


黒崎「…ってことはおそらく」


半沢「…海外口座」

黒崎「ご名答♪」

半沢「国税で調べていただくことはできませんか」

黒崎「アナタも知っての通り、アタシは今国税をクビになってるの」

半沢「…」

黒崎「もし昔のメンバーに頼むとしても」

黒崎「国税が動いたと分かった瞬間、箕部はまた金を別場所に隠すわ」

半沢「…」

黒崎「つまり」


黒崎「勝負は……一度きりってこと!!」

784: 2021/02/06(土) 12:48:29.35 ID:cUbr40KU
■ 穂むら

穂乃果ママ「なるほどね…」

穂乃果ママ「でもそんな銀行どうやって探せばいいのかしら」

半沢「鍵は…現金です」


半沢「毎回箕部は当行の沼津支店から」

半沢「億単位の現金を降ろしています」

半沢「それだけのお金、遠くに運べば運ぶほどリスクが高くなります」

穂乃果ママ「そっか」

穂乃果ママ「ということは、その海外口座は沼津支店からそう遠く無いってことね」

半沢「はい」

785: 2021/02/06(土) 12:49:54.75 ID:cUbr40KU
ガララー


穂乃果「半沢さんっ!お茶とほむマンですっ!」

半沢「高坂さん、ありがとうございます」

穂乃果ママ「穂乃果?半沢さんと大事なお話があるから」

穂乃果「分かってるって、おかーさん」

穂乃果「ごゆっくりしていってくださいっ!」

穂乃果「あっ!また音ノ木坂にも遊びに来て欲しいですっ!」

半沢「ええ、是非行かせていただきます」ニッコリ


ガララー


穂乃果ママ「…それで、思い当たる銀行はあるのかしら」

半沢「沼津支店から半径100km圏内の海外銀行の支店は全部で23個あります」

穂乃果ママ「この中に箕部幹事長の隠し口座があるってことね?」

半沢「おそらく」

半沢「ですが、どの銀行か100%の確証が無ければ、国税は動けません」

穂乃果ママ「そう…この中から1つに絞るのは大変ね…」

穂乃果ママ「…もう時間も無いし」

半沢「………ええ」

787: 2021/02/06(土) 18:36:37.55 ID:cUbr40KU
■ 後日@頭取室

頭取「………そうか、紀本くんが」

半沢「…ええ」

頭取「これが世間の明るみに出れば」

頭取「東京中央への批判は避けられないだろう」

半沢「…はい」

大和田「…」


頭取「君に、音ノ木坂学院の再建担当を任命したのは私だ」

頭取「その職務を誠実に全うし、よくここまで辿り着いてくれた」

頭取「感謝している」

頭取「君が負い目を感じることは何もない」

半沢「……頭取」


頭取「半沢次長」

頭取「君には、改めて音ノ木坂学院の再建担当を命じる」

頭取「3日後に開かれる、タスクフォースへの会見」

頭取「そこへも君がむかえ」

半沢「…」

頭取「すべての責任は私が取る」


頭取「当行の代表として」

頭取「思いっきりやってこい!!」


半沢「」ニッコリ


半沢「承知致しました」

半沢「今回の箕部幹事長へは、倍返しではききません」

大和田「……!!」


半沢「銀行への分、学校への分、学生達への分」

半沢「……全部まとめて」


半沢「1000倍返しだ!!!」

788: 2021/02/06(土) 19:12:52.85 ID:cUbr40KU
■ 3日後@音ノ木坂学院再建タスクフォース記者会見場

箕部「中野渡さんはまだなのかな?」

党員「只今、中野渡頭取が到着されたそうです」

箕部「そう」フフッ


乃原「みなさん、中野渡頭取がいらっしゃいました」

乃原「ご登場の際には、盛大な拍手にてお迎えください」


パチパチパチッ

パチパチパチッ

パチパチパチッ


ガチャッ


乃原「」ニヤリ


スタスタスタ


半沢「…」


スタスタスタ


箕部「…」

乃原「…」


スタスタスタ


半沢「遅くなり、申し訳ございません」


乃原「……中野渡頭取はどうした?」

半沢「中野渡は所用がありまして、代わりに私が参りました」

箕部「…」ピクッ


半沢「東京中央銀行営業第二部次長」

半沢「半沢です」

789: 2021/02/06(土) 19:15:00.90 ID:cUbr40KU
箕部「君に本件を代表する権限は無いだろう」

箕部「出ていきなさい」

半沢「…」

箕部「…出ていきなさい!」


白井「いいじゃないですか」

箕部「……!?」


白井「半沢さん」

白井「要するに貴方は中野渡さんの代理でいらしたんですよね?」

半沢「はい」

白井「でしたら、お話を聞いてもいいんじゃありませんか?」

箕部「……」

乃原「…どういうおつもりですか?」

白井「」フッ


半沢「改めて申し上げます」

半沢「私は頭取直々の命令により東京中央銀行の代表としてこの場に参りました」

箕部「……」


半沢「では早速、タスクフォースから検討を要請された債権放棄について結論を申し上げたいのですが」

半沢「よろしいでしょうか」

乃原「…いいだろう」

乃原「前向きな返事なんだろうなぁ?」


半沢「音ノ木坂への債権放棄の件」


半沢「お断り申し上げます」


白井「……」

乃原「………!!」

箕部「……………」ギリッ

790: 2021/02/06(土) 19:17:04.40 ID:cUbr40KU
箕部「…しかしだねぇ、半沢くん」

半沢「白井大臣はどうお考えですか」


白井「…」


白井「…タスクフォースの作り上げた再建案は完璧なものです」

乃原「」フッ


白井「………しかしながら、東京中央銀行が苦労の末に作り上げた再建案と」

白井「瓜二つ」

乃原「……!!」

白井「ほとんど丸写しに近いものがあります」

箕部「…!?」


ザワザワ


白井「時間をかけたにも拘らず」

白井「タスクフォースは『東京中央銀行の債権放棄という極めて安易な政策』以外には」

白井「銀行を超える案を見つけることができなかった、ということです」

箕部「…」

乃原「……」ギリッ


白井「残念ながら、私が命じたタスクフォースは」

白井「何一つ、その使命を果たせなかった、と言えます」

白井「これは任命した私の責任であり」


白井「リーダーの乃原弁護士による『怠慢』によるものです」


バンッ!!!


乃原「黙れぇ!!!」

白井「ここは会見の場です」

白井「その態度…恥を知りなさい!!!」

乃原「……」ギリリリッ

791: 2021/02/06(土) 19:18:14.96 ID:cUbr40KU
ガタッ


白井「言い換えれば、銀行の再建案に基づけば」

白井「『音ノ木坂学院は十分に立て直しが可能』であると、私は考えます」

箕部「…白井ぃ!!!」


半沢「ありがとうございます、白井大臣」ニッコリ


半沢「以上の理由で、東京中央銀行は」

半沢「債権放棄を」


半沢「断固として拒否します!!!」


ザワザワ

ザワザワ


―――

渡真利『よし!!!』

―――

瀬名『っしゃああ!!!』

―――

穂乃果『やったっ!!』パァー

―――

千歌『は…半沢さんっ…!!』

―――

792: 2021/02/06(土) 19:19:59.53 ID:cUbr40KU
箕部「………白井くん」

箕部「なにがあったか知らないが…」

箕部「……君の考えは…よーーーく分かった」

白井「……」

箕部「これで失礼する」


半沢「お待ちください、幹事長」

半沢「まだ、話は終わっていません」

箕部「はぁ?」


半沢「先ほど大臣は、タスクフォースの再建案は」

半沢「我々銀行が提案したものと瓜二つとおっしゃいました」

半沢「ですが、姉妹校案に1つ違いがあります」

箕部「……」

半沢「我々が赤字を理由に姉妹校案から外していた高校を」

半沢「タスクフォースはなぜか提携校案に入れている」

半沢「どういうことでしょうか、幹事長」

箕部「…さぁ、私に聞かれてもねぇ」

半沢「では、私から説明しましょう」


箕部「…待ちなさいよ、半沢くん」


半沢「…」

箕部「この会見は全国民が注目しているんですよぉ?」

箕部「軽率なことを言えば御行の名に傷がつくことになる」

箕部「わかってるんでしょうねぇ…?」


半沢「もちろん、承知の上です」


箕部「……」ピクンッ

793: 2021/02/06(土) 20:18:36.84 ID:cUbr40KU
半沢「…今から15年前、合併前の旧東京第一銀行は」

半沢「そこにいる箕部代議士から、ある『個人融資』を持ちかけられました」

箕部「…」

半沢「箕部代議士の息が掛かった団体、仮に『NSR』としましょう」

半沢「そのNSRが、某所にある土地を50億円で購入するための転貸資金です」

半沢「その土地は数年後、箕部代議士が根回ししたことにより」

半沢「万単位の観客を収容できるライブ会場の建設予定地として値上がりし」

半沢「NSRは巨額の利益を得たのです」

箕部「………」


ザワザワ

ザワザワ

794: 2021/02/06(土) 20:21:19.50 ID:cUbr40KU
半沢「旧東京第一銀行は、その金儲けのカラクリを知りつつ」

半沢「箕部代議士に50億円を融資しました」

半沢「旧来より、当行は国立音ノ木坂学院への融資で箕部代議士と深い付き合いがあったこともあり」

半沢「断りきれなかったのでしょう」

半沢「しかしながら理由はどうあれ、銀行として、企業モラルを問われてもおかしくない与信行動です」

半沢「これについて当行は、謝罪の上、処分を受ける覚悟でいます」


ザワザワ

ザワザワ


半沢「さらに箕部代議士は、その余剰利益で、とある高校」

半沢「そうですね、仮に『UH校』と呼びましょう」

半沢「UH校の経営に踏み切ります」

半沢「ですが、昨今の不景気より経営状況が悪化」

半沢「そこで幹事長は、2つの施策を打とうとした」

半沢「1つは資金力の強化、そして、もう1つは知名度アップ」

箕部「……」

795: 2021/02/06(土) 20:24:06.85 ID:cUbr40KU
半沢「前者は、幹事長が古くから付き合いのあった音ノ木坂学院の姉妹校化を半ば強制することで達成するものです」

半沢「先ほどご説明した、タスクフォースの赤字の姉妹校候補がまさしくUH校」

半沢「しかしながら、赤字の音ノ木坂学院と姉妹校連携しても意味がない」

半沢「そこで打ち出したのが、今回の『債権放棄』です」

箕部「……!!!」

半沢「東京中央銀行が債権放棄をすることで得るであろう利益を」

半沢「姉妹校化したUH校へ回そうとしたのでしょう」


ザワザワ

ザワザワ


半沢「そして、後者の知名度アップ案」

半沢「これは、NSRにも確認を取りましたが」

半沢「UH校の『とある部活動』を全国大会で無理やり優勝させようと、半ば脅しのような形で根回しした」

箕部「……」

半沢「その為に、犠牲になった学校、学生達は数えきれず」

半沢「また、UH校の生徒達も苦しんでいます」


半沢「箕部幹事長」

半沢「文部科学を担う省庁をご牽引される政党のトップであるにも拘らず」

半沢「あなたは将来ある学生達の青春を踏みにじった!!!」


箕部「………聞き捨てならんことを言うなぁ!!!!」


半沢「……」ギロッ

796: 2021/02/06(土) 20:26:20.38 ID:cUbr40KU
箕部「みなさん!!」

箕部「私が融資を受けたのは」

箕部「親戚が経営する会社の資金繰りを助けるためなんですよ!!!」

半沢「…」

箕部「私がそれで金儲けをしたようなことを言われるのは甚だ侵害だ!!」

箕部「発言を取り消せぇ!!!」

半沢「まだ続きがあります」

箕部「……」ピクンッ


半沢「そのNSRですが、調べたところ13年前より」

半沢「箕部代議士の選挙地盤である当行・沼津支店から、定期的に数億の現金を引き出しています」

箕部「……!!」


ザワザワ

ザワザワ


半沢「そのうちの1000万円は毎回必ず口止め料として、融資に関わった当行の幹部に配られていました」

半沢「そして、残りのお金は全て」


半沢「…箕部幹事長」


半沢「あなたが受け取られていたんですよね?」

箕部「……」


ザワザワ

ザワザワ


半沢「違いますか?幹事長」


箕部「…事実無根だぁ!!」

箕部「とんでもない濡れ衣だぞぉ!?これはぁ!?」

箕部「名誉毀損だぁ!!!」

半沢「…」

箕部「発言を撤回しろぉ!!謝れぇ!!!」

797: 2021/02/06(土) 20:26:58.84 ID:cUbr40KU
半沢「…間違っているのなら、謝罪します」

箕部「ふざけるなぁ!!」

箕部「だったらしかるべき証拠を見せてみろぉ!!!」

箕部「どうなんだぁ!?!?」


半沢「…ございます」

箕部「!?」


半沢「お願いします」

箕部「……?」


ガチャッ…


スタスタスタ


大和田「…」


箕部「……!!!」


スタスタスタ


箕部「な…なんだ…!!」

箕部「や…やめろっ…!!!」


大和田「…」


箕部「やめろぉ!!!大和田ぁーーーー!!!!!」

799: 2021/02/06(土) 21:38:27.56 ID:cUbr40KU
□ 会見一週間前@穂むら

穂乃果ママ「…それで、思い当たる銀行はあるのかしら」

半沢「沼津支店から半径100km圏内の海外銀行の支店は全部で23個あります」

穂乃果ママ「この中に箕部幹事長の隠し口座があるってことね?」

半沢「ええ」

半沢「ですが、どの銀行か100%の確証が無ければ、国税は動けません」

穂乃果ママ「そう…23個から1つに絞るのは大変ね…」

穂乃果ママ「…もう時間も無いし」

半沢「………ええ」


ガララー


穂乃果「…」


穂乃果ママ「ほ…穂乃果!?」

穂乃果ママ「部屋に戻ってなさいって言ったはずよ!?」

半沢「…」


穂乃果「…その23個の銀行を1つに絞るの」

穂乃果「私たちに、協力させてもらえないですか?」

800: 2021/02/06(土) 21:39:17.92 ID:cUbr40KU
――――――
――――
――


(ビデオ通話)


ピッ


穂乃果「急に電話かけちゃってごめんなさいっ!」

千歌『こんばんはっ』

聖良『特に問題ありません』

ツバサ『それにしてもどうしたの?随分と急いでいるようだけれど』

穂乃果「ちょっとカメラ横に向けますっ!」


クルッ


半沢「…すみません、夜分遅くに」

皆『半沢さん!?』

801: 2021/02/06(土) 21:41:26.55 ID:cUbr40KU
――――――
――――
――


ツバサ『つまり、23の銀行から隠し口座がある銀行を探し出せばいいのね?』

半沢「ええ」

千歌『そっかそっか~なるほど~』

聖良『…簡単そうに言いますが…結構難易度高いと思います』

聖良『沼津から半径100km圏内に点在している23個なのですから』

千歌『うっ…た…確かに…』

ツバサ『東京にある程度集中しているとはいえ、それでも範囲は広いわね』

穂乃果「だから少し考えたんです」

穂乃果「私たちのメンバーを全員合わせると、ちょうど23人なんですっ!」

千歌『えーっと…』

千歌『μ’sが9人でー、A-RISEが3人でー、Saint Snowが2人でー、私たちが9人でー…』

千歌『……あっ、ほんとだ』

ツバサ『へぇ、すごい偶然ね』

聖良『それでどうするのですか?』

半沢「はい」

半沢「この一週間のどこかで、ターゲットにその銀行へ行くように仕向けます」

半沢「申し訳ありませんが、皆さんには一人ずつ、銀行の前で張っていただき」

半沢「ターゲットの口座がある銀行を特定したいと考えています」

ツバサ『へぇ、面白そうじゃない』

千歌『確かにっ、探偵さんっぽい~』

聖良『遊びじゃないんですから…』

穂乃果「あははっ!」

半沢「」ニッコリ

802: 2021/02/06(土) 21:42:44.37 ID:cUbr40KU
□ 会見当日・朝

半沢「笠松さん、幹事長の予定調整ありがとうございます」

笠松「いえ」

笠松「幹事長は月に1度、午前の予定をすべて空白にして欲しいと言われます」

笠松「おそらく、その日にお金を移動させているはずです」

半沢「なるほど」

笠松「ただ運が悪く…調整が会見当日となってしまい…大変申し訳ありません」

半沢「いえ…こればかりは仕方ありません」


prrrr… prrrr…

ピッ


半沢「みなさん、そろそろ幹事長が銀行に立ち寄る可能性があります」

半沢「よろしくお願いいたします」

全員『りょーかいっ!!』

803: 2021/02/06(土) 21:43:55.87 ID:cUbr40KU
――――――
――――
――


prrrr… prrrr…


半沢「………!!!!」


ピッ


半沢「半沢です」

海未『園田です』

海未『先ほど…半沢さんに共有いただいた方が銀行に入っていかれました』

半沢「………!!」

海未『念のため写真を撮りましたので送ります』

半沢「ありがとうございます…!』


ポンッ


半沢「………間違いない…箕部幹事長だ」

海未『見間違えでなくて良かったです』ホッ

半沢「この銀行はどちらでしょうか…!?」

海未『銀行名は』


海未『Bank of the UAE 新宿支店』


半沢「UAE銀行 新宿支店…ありがとうございます!!」

半沢「また何かあればかけなおします!!」


ピッ

804: 2021/02/06(土) 21:45:16.25 ID:cUbr40KU
□ 東京丸の内


Prrrrr… Prrrrr…


ピッ


黒崎「待っていたわぁ~?」

半沢『UAE銀行 新宿支店です!!』

黒崎「どうもありがとぉ~!」

黒崎「これで100%確証がつかめたわぁ~?しかもここから近いじゃない~♡」

半沢『あとは…よろしくお願いします』


黒崎「アナタは早く箕部を裁く準備でもしなさ~い?」

半沢『ええ』

黒崎「それじゃ~ね~♪」


ピッ


黒崎「UAE銀行新宿支店よっ!!早く車を出して頂戴っ!!」

805: 2021/02/06(土) 21:47:03.49 ID:cUbr40KU
――――――
――――
――


□ UAE銀行 新宿支店


ピッ


黒崎「はいっ♪大和田ちゃ~んっ♪」

黒崎「手に入れたわよっ♡」

黒崎「箕部の隠し口座♪」


黒崎「今データで送っておいたから~」

黒崎「よ・ろ・し・く・ね?」


――――――
――――
――


□ 音ノ木坂学院 理事長室


大和田「ありがとうございます!」


ピッ


南「こちらですっ!!」タッタッタッ


大和田「……」

大和田「……完璧ですな」


大和田「…では、出撃と参りますか」ニヤリ

南「はい」キリッ

806: 2021/02/06(土) 21:49:00.74 ID:cUbr40KU
■ 現在


箕部「そ…それはなんだ…!!!」


大和田「…」スタスタスタ

南「…」スタスタスタ


箕部「やめろ…!!大和田…!!」

箕部「それに南理事長もだ…!!」


スタスタスタ


箕部「なんだそれは…!!大和田…!!南…!!!」

箕部「やめろ!!やめろ!!」


箕部「やめろぉーーーー!!!!!」


大和田「はぁぁぁぁ!?」

箕部「…!!」


大和田「すみませんなぁ!!最近耳が遠くてぇ!!!」

大和田「はっはっはっ!」

箕部「……」ギロッ


サッ


大和田「はい」


大和田「1000倍」


大和田「思いっきり、やり返しなさい」


半沢「」ニヤリ


半沢「こちらはUAE銀行 新宿支店にあった口座情報です」サッ


半沢「南理事長、お願いします」

南「はい」

810: 2021/02/07(日) 08:58:53.47 ID:xYGzPOtK
半沢「ご覧の通り、名義人は箕部幹事長」

半沢「あなたです」

箕部「………」


半沢「そしてこちらは先ほどお話しした」

半沢「NSRの口座情報です」

箕部「………」


半沢「NSRの口座から最初に現金が引き出されたのは」

半沢「13年前の8月7日、1億円」

半沢「そして同じ日に、箕部幹事長の隠し口座には」

半沢「762,711ドルの入金が記録されています」

箕部「………」

半沢「UAE銀行で円をドルに換え入金したのでしょう」

半沢「これは当時のレートで9000万円ピッタリ」

半沢「1億から口止め料1000万円が引かれた額です」


ザワザワ

ザワザワ


箕部「………」クッ

811: 2021/02/07(日) 08:59:58.59 ID:xYGzPOtK
半沢「その次も同じ」

半沢「次も、次も、次も」

半沢「出金と入金が完全に同日に行われています」


半沢「入金総額は貸した50億をゆうに超える」


半沢「100億8000万円に上ります」


ザワザワ

ザワザワ


白井「……」ギロッ

箕部「………」グググッ


半沢「そして貴方はこの費用を収支報告していません」

半沢「これは一体どういうことなのでしょうか?」


半沢「箕部幹事長」


箕部「……………………記憶にないな」


箕部「…失礼する」

白井「……」ギロッ

箕部「……!!」

812: 2021/02/07(日) 09:00:57.92 ID:xYGzPOtK
半沢「幹事長」

半沢「『記憶にない』は国会答弁だけの話です」

半沢「ここは国会ではありません」

半沢「そんな馬鹿げた言い訳、一般社会では通用しない!!」


箕部「………」


半沢「今、教育団体、学生達が貴方を見ているんです」

半沢「それらの方に向かって、きちんと説明をして下さい」


箕部「………」

箕部「………ぉぃ」

箕部「………おい…!誰かぁ!!!!」


ガタッ


白井「誰も助けてはくれませんよ」

白井「説明できないのであれば、謝罪すべきです」

白井「それが政治家として、人として、最低限の義務ではありませんか?」

箕部「し…しらいいいいいい!!!!!!」

813: 2021/02/07(日) 09:02:51.12 ID:xYGzPOtK
半沢「政治家の仕事とは、人々がより豊かに、より幸せになるように政策を考えることのはずです」

半沢「貴方は文部科学省のトップとして、本来、学生達の模範となるべき存在です」


半沢「…今、この国の教育現場は大きな危機に見舞われています」


―――

南「………」

―――

鞠莉「………」コクリ

―――


半沢「それでも教育者、そして、学生達は必死に今を耐え凌ぎ」

半沢「苦難に負けまいと歯を食いしばり、いつか輝けるように、懸命に日々を過ごしているんです!」


―――

千歌「………!!」

―――

814: 2021/02/07(日) 09:04:24.58 ID:xYGzPOtK
半沢「学生達はみな、今の自身の素直な気持ちを信じている」

半沢「必死で夢を追いかけている」


半沢「もしかしたら、自身がやっていることが報われず」

半沢「誰も見向きもしてくれないかもしれない」

半沢「応援なんて全然もらえないかもしれない」


半沢「それでも、一生懸命頑張っているのは」

半沢「この国に、誰もが笑顔になれるような、そして自身が人を笑顔にさせれられるような」

半沢「明るい未来が来るはずだと信じているからだ!」


―――

穂乃果「………」ツー

―――


半沢「そんな学生達に寄り添い、支え、力になるのがあなた方政治家の勤めでしょう」

半沢「箕部幹事長、貴方はその使命を忘れ、自分の利益だけを見つめてきた!!」

箕部「……」ギロッ

815: 2021/02/07(日) 09:05:25.92 ID:xYGzPOtK
半沢「謝ってください!!」

半沢「懸命に生きる教育現場!!そして学生達に!!!!」

半沢「心の底から詫びてください!!!!」


箕部「……」

箕部「……」

箕部「……」


白井「……幹事長!!!」

箕部「……」ビクンッ


白井「やりなさい」ギロッ


白井「すべての教育現場、そして、学生達のために」


箕部「……」

箕部「……」


ガシッ


白井「やってください、ほら」


箕部「……」

816: 2021/02/07(日) 09:06:27.26 ID:xYGzPOtK
ザワザワ

ザワザワ


半沢「………」


箕部「……」

箕部「……」

箕部「……」


箕部「……」スタスタスタ

箕部「……………」ドゲザ


タッタッタ


箕部「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


党員「幹事長!!」

記者「幹事長!!!」


箕部「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」タッタッタ


ザワザワ

ザワザワ

817: 2021/02/07(日) 09:07:05.58 ID:xYGzPOtK
半沢「……」

白井「……」


半沢「ありがとう、ございました」

白井「」クスッ


スタスタスタ


鞠莉「ようやく、終わりました、ね?」ウインク

南「ええ」ニッコリ

818: 2021/02/07(日) 09:34:51.70 ID:xYGzPOtK
■ 後日@高ア連


スタスタスタ


谷川「あら、白井大臣」

白井「もう大臣ではありません」

谷川「そうでしたね」クスッ

谷川「新事務所設立、おめでとうございます」

白井「ありがとうございます」

谷川「今回の白井大臣の離党、大変失礼かもしれませんが、少し励みになっています」

白井「励み、ですか?」

谷川「ええ」

谷川「今回のことで、高ア連は体制を一から見直すことになりました」

谷川「スクールアイドルを目指す学生達に真摯に寄り添える」

谷川「そんな組織作りをしていきたいと考えています」

白井「素晴らしいですね」ニコッ

白井「その際にはぜひ取材させてください」

谷川「喜んで」クスッ


白井「ですが、今回のラブライブ大会中止は少し残念ですね」

谷川「はい…」

谷川「スクールアイドル達には本当に謝っても謝りきれません」

谷川「ただ、このまま大会を進めても良い方向には進まないと判断しましたので…」

白井「そうでしたか」

谷川「次回、必ず近いうちに」

谷川「健全で、輝かしいスクールアイドルの大会を開催したいと考えています」

谷川「その際には、ぜひ白井さんにもご協力いただけないでしょうか」

白井「喜んで」クスッ

819: 2021/02/07(日) 09:57:50.02 ID:xYGzPOtK
■ 浦の星女学院 スクールアイドル部 部室

千歌「いやぁー」

千歌「なーんか一気に貧乏になっちゃったねー、うちの部」

ダイヤ「うちの部だけではありません」

ダイヤ「浦の星女学院はこれから立て直しの時期」

ダイヤ「少ない予算でやり繰りしていく必要があります」

曜「まーでも、その方がウチららしくていいんじゃない?」

ルビィ「うんっ、この方が落ち着くっ」

花丸「内浦で活動するのに、そんなお金いらないずら」

善子「えー…いろいろ魔術系のグッズ買いたかったのに…」

果南「アイドルに必要ないから、そんなの」


ガララー


千歌「あ、梨子ちゃんと鞠莉ちゃん」

千歌「遅かったねー?」

鞠莉「ええ」


パンパンッ


鞠莉「みんな、聞いて」

果南「どうしたの?」

鞠莉「梨子のことで、少し話があるわ」

曜「えっ」

820: 2021/02/07(日) 09:58:47.92 ID:xYGzPOtK
鞠莉「みんなも知っての通り、梨子はあの爺さん」

鞠莉「もう口にも出したくないから名前は言わないけど」

鞠莉「その経緯で、お父様が内浦に出向させられていた」

鞠莉「けれど、今回半沢さんが全て暴いたことにより」

鞠莉「本社への栄転が決まったそうよ?」

千歌「えええっ!!!」

千歌「すごいっ!!」

千歌「良かったねっ!!梨子ちゃんっ!!」

梨子「ふふっ、ありがとう」


曜「…でも、それって」

千歌「?」

曜「お父さんが東京に戻るってこと…だよね…?」

千歌「……あっ」

鞠莉「その通りよ」

千歌「そ…そんな…!!」

鞠莉「その件について、梨子から挨拶があるわ」

全員「えっ…!!」

821: 2021/02/07(日) 10:00:51.50 ID:xYGzPOtK
梨子「みんな、私のお父さんのことで心配をかけてごめんなさい」

梨子「今、鞠莉さんから話があったように、お父さんが東京に戻ることになりました」

千歌「……」

梨子「元々、お父さんの都合で内浦に来た私も、必然的に東京に戻ることになります」

善子「そ…そんな…」


梨子「でも」

梨子「そんなことさせない」


千歌「えっ…?」

梨子「ふふっ、お父さんとお母さんとはもの凄ーく長い話し合いになっちゃったけど」

梨子「私、卒業までこの内浦に残らせてもらうようにお願いして」

梨子「OKをもらいました♪」


千歌「えっ!!」パァー!!!

曜「すごいっ!!」パァー!!!


梨子「お父さんだけ東京で単身赴任って形になっちゃうんだけど…」

花丸「そっかぁ、お父さんと離れちゃうのは寂しいなぁ…」

ダイヤ「ですが、定期的に逢いにいくのでしょう?」

梨子「はい」

梨子「お父さんも定期的に戻ってきますし」

梨子「私もたまに逢いにいきたいなって思ってて」


鞠莉「ふふっ」

鞠莉「じゃあ、すぐにチャンスが来るわ?」

梨子「えっ?」

千歌「どーゆーこと?鞠莉ちゃん」


鞠莉「私たちAqours、東京へ向けて出航よ♪」

822: 2021/02/07(日) 10:11:35.84 ID:xYGzPOtK
■ 音ノ木坂学院 アイドル研究部 部室


ドタドタドタ!!!


バーン!!!


穂乃果「お待たせー!!」

海未「穂乃果!廊下を走らない!!」

穂乃果「ご…ごめーん…」

ことり「あはは…」


穂乃果「それよりさっきAqoursの鞠莉さんから連絡があって」

穂乃果「一ヶ月後の参加オッケーだってっ!!」

花陽「すごいっ!やったねっ、凛ちゃんっ!」

凛「うんっ!!Aqoursの皆と一緒に踊れるの楽しみだにゃ~」

真姫「聖良とツバサにも了解もらったから、これで20校目ね」

にこ「聖良とツバサって…いつの間にそんなに仲良くなったにこ!?真姫ちゃん!?」

真姫「んー、内緒ー」クルクル

絵里「ふふっ、銀行口座探しの時じゃない?」

希「あー…うちのスピリチュアルパワーで命中させようと思ったのに」

希「海未ちゃんに負けたのが悔しいぃー…」

海未「いや…別に勝ち負けではありませんから」

823: 2021/02/07(日) 10:12:48.81 ID:xYGzPOtK
ことり「これから忙しくなるね♪穂乃果ちゃん♪」

穂乃果「うんっ!」

海未「しかしながら、いつも穂乃果には驚かされます」

海未「ラブライブが無くなったのであれば、私たちで作ればいい、だなんて」

穂乃果「へ、変かな?」

海未「いえ」

海未「……やっぱり、少し変です」

穂乃果「ええ!?」


海未「どこかの、銀行員さんと同じで」クスッ

824: 2021/02/07(日) 10:58:58.15 ID:xYGzPOtK
■ 東京中央銀行


ポンッ


穂乃果『一ヶ月後のスクールアイドル合同ライブ』

穂乃果『秋葉原で開催するので是非見に来てくださいっ!!』


半沢「」ニッコリ


半沢「おめでとうございます、高坂さん」


タッタッタッ


渡真利「おい、半沢」

半沢「渡真利」

渡真利「なにスマホ見てニヤニヤしてたんだ?」

渡真利「愛人か?」

半沢「まぁ、そんなところだ」

渡真利「よーし、花ちゃんに連絡だ」ピッピッ

半沢「やめろ」

渡真利「箕部に勝ったんだから怖いもんなしだろ?今の半沢さんは」


半沢「馬鹿言うな」

半沢「ウチの花の方が何倍も強敵だ」

825: 2021/02/07(日) 10:59:54.52 ID:xYGzPOtK
渡真利「それより、今から頭取室に行くんだろう?」

渡真利「どんな辞令が出るか楽しみだな」

半沢「ああ」

半沢「それじゃあ、行ってくる」

渡真利「次は営業部長か~?」


スタスタスタ


コンコン


半沢「失礼いたします」


頭取「入れ」

826: 2021/02/07(日) 11:01:14.55 ID:xYGzPOtK
■ 頭取室


スタスタスタ


半沢「失礼いたします」


頭取「半沢」

頭取「君にはまだ礼を言っていなかったな」


頭取「今回の件、本当にご苦労だった」

半沢「ありがとうございます」


頭取「音ノ木坂の再建、順調か?」

半沢「ええ」

半沢「南理事長全面協力の下、我々の再建案を着実に進めています」

半沢「そう遠くない将来、音ノ木坂の経営は軌道に乗るでしょう」

頭取「そうか」

頭取「本当によくやってくれた」

半沢「いえ」


頭取「君には是非」

頭取「次のステップに進んでもらいたい、と思っていてな」

頭取「そのために今日はここに来てもらった」


半沢「はい」

827: 2021/02/07(日) 11:02:53.06 ID:xYGzPOtK
頭取「それでは、辞令を言い渡す」


頭取「現・営業第二部次長、半沢直樹」

頭取「君には、大和田くんと共に」


頭取『虹ヶ咲学園創立における融資担当リーダー及び2年間の虹ヶ咲学園出向』


頭取「を命ずる」


半沢「!?」


頭取「以上だ」


半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」

半沢「…」


半沢「………」ニッコリ



828: 2021/02/07(日) 11:04:15.44 ID:xYGzPOtK
というわけで、半沢SSでした

ラブライブの世界と、半沢の世界
自分のできる範囲で融合させてみました
果たして、いかがだったでしょうか

最後は敢えて含みを持たせる終わり方としましたが
物語は本当にこちらで完結となります
その後の半沢達の活躍は、皆様にご想像いただけますと幸いです


投稿頻度が安定しない中、毎日のように保守
そして、完結まで読んでいただき、誠に感謝いたします

それでは最後に、締め括りとして、もう一度


細かいツッコミは無しにしていただきたい

829: 2021/02/07(日) 11:37:28.28 ID:1So9Z4C1
乙乙
うまいことアレンジされてて面白かったよ

830: 2021/02/07(日) 18:10:57.52 ID:CdouTzM5
完走お疲れ様です!素晴らしいお話をありがとうございます!始まってから5ヶ月足らず、日曜日が楽しみでした。

831: 2021/02/07(日) 18:11:46.14 ID:fDFzqRsL

エタらないでくれてほんとありがたい
よかったらまた書いてください

832: 2021/02/07(日) 18:35:15.80 ID:HQc0cxJ+
祝完結

833: 2021/02/07(日) 18:58:11.08 ID:I/eFvu8S
おつおつ
完結めでたい!!素晴らしいSSをありがとうございます!
めちゃくちゃ上手く融合されてて脳内再生余裕でした

834: 2021/02/07(日) 19:49:09.52 ID:52qUwV62
お疲れ様

835: 2021/02/07(日) 20:28:51.69 ID:BDZrzQaw
追い続けてよかった。本当にお疲れ様でした。

836: 2021/02/07(日) 21:21:14.10 ID:zY1T8PI5
乙!
最後のオチも良かった

837: 2021/02/07(日) 22:19:48.83 ID:7222I+Hj
お疲れ様でした。
毎週の楽しみでした。

838: 2021/02/08(月) 00:15:36.77 ID:WkbDdikA
お疲れ様やねん

839: 2021/02/08(月) 03:10:47.91 ID:/ezadPma
乙です

大和田は生物教師すればいいとして半沢は…

842: 2021/02/08(月) 12:09:39.14 ID:zxSBTuGQ
乙です
すごく面白かった
先が楽しみだった分終わってしまうと寂しい

843: 2021/02/08(月) 18:42:40.78 ID:W0WfAuli
乙!楽しませてもらいましたよ

841: 2021/02/08(月) 08:54:13.29 ID:rLOO0RZE
お疲れ様でした!
虹ヶ咲編も闇が深そうで楽しみ!

840: 2021/02/08(月) 08:05:50.48 ID:cIUoAEYc
お疲れ様です!素晴らしいSSだった……次回も楽しみにしています。

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1600647339/

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