曜「嵐の中でシャイニーして」

SS


3: (庭) 2017/11/04(土) 06:16:19.23 ID:nqiL2/v/
廊下・理事長室前


曜(練習が終わって。お仕事で来られなかった、鞠莉ちゃんの様子を見に来たけど…)

曜(この扉の前に立つと、なんだか緊張しちゃうんだよね。雰囲気が違うからかな、鞠莉ちゃんの部屋だってわかってはいるんだけど)

曜(えっと、ノックって2回だっけ、3回だっけ?ま、いいや)スッ

『ですから、その事については先日も――』

曜(っと、取り込み中かな)ピタッ

5: (庭) 2017/11/04(土) 06:21:19.53 ID:nqiL2/v/
『何度も申し上げているとおり、私たちは学校を続けるために――』

曜(どうやら電話で話してるみたい。内容は、学校のこと…きっと大人の話だ)

『そんな!私が理事長をしているのも、スクールアイドルをしているのも、全てはこの学校を――』

曜(…あまりいい雰囲気じゃなさそう)

『はい…失礼します…』

曜「…っ」

『…』シーン

6: (庭) 2017/11/04(土) 06:22:50.31 ID:nqiL2/v/
曜(静かになった。終わったみたいだけど、今入っていくのは勇気がいる…)

曜(ええいっ、怖気づいてどうする。全速前進…!)スッ

コンコン

『…はい』

曜(声が暗い…)

曜「すみません。私です、曜です」

『…』

曜「ぅ…」ドキドキ

ガチャ

7: (庭) 2017/11/04(土) 06:26:14.09 ID:nqiL2/v/
曜「あ、鞠莉ちゃ――」

鞠莉「シャイニーっ!」ハグッ

曜「うわあっ!?」

鞠莉「ウェルカーム!良い時に来たわねー」ムギュー

曜「わっ、わっ!」

鞠莉「これからお茶にするところでね。ひとりきりじゃ寂しすぎるから、誰か来てくれないかなーって思ってたところなの!」

曜「い、いきなりのハグはやめてよ、びっくりするじゃん!」

鞠莉「そういうわけで、立ち話もなんだから入って入ってー」ズリズリ

曜「聞いてよ!ちょ、このままは危ないからー!」ジタバタ

鞠莉「~♪」

曜(…いつもの鞠莉ちゃんだ)ニコ

10: (庭) 2017/11/04(土) 06:28:14.10 ID:nqiL2/v/
鞠莉「何飲む?緑茶、紅茶、それともコーヒー?」

曜「んっと、鞠莉ちゃんと同じもので」

鞠莉「なら、コーヒーにするね。お砂糖とミルクはいつも通りでいい?」

曜「うん、お願いします」

鞠莉「よーしっ。この私がとびっきり美味しいコーヒーを入れてあげましょーう!」

コポコポ…

鞠莉「~♪」

曜「…ふふっ」

曜(コーヒーの香りが部屋に満ちていく。正直、苦いのはあまり得意じゃないけど、この時間はとっても好き)

曜(いい香りと、コーヒーを淹れる音と、楽しそうな鞠莉ちゃんと…ゆったりしてて、落ち着く)

11: (庭) 2017/11/04(土) 06:29:53.65 ID:nqiL2/v/
鞠莉「今回のは自信作なの。いい豆が手に入ってね――」

曜(…あれ。そういえば、今の今までコーヒーの匂いがしなかった)

鞠莉「挽き方も色々試してみて、これが一番――」

曜(使ったコップも見当たらない。今日は休憩もできないくらい忙しかったのかな…)

鞠莉「確かクッキーがこの辺に…あれ、食べちゃったかなぁ?」

曜(大丈夫かな。さっきの電話の事といい、心配…)

鞠莉「はい、おまたせー」カチャ

曜「あ…」ハッ

12: (庭) 2017/11/04(土) 06:31:09.10 ID:nqiL2/v/
鞠莉「マリーオリジナルのスペシャルブレンドよ。自慢の逸品、どうぞ召し上がれ♪」

曜「い、いただきます。んっ…」

鞠莉「どう、今日のは深みが違うと思わない?」

曜「ん…残念だけど、私にはまだわからないなぁ」

鞠莉「あら、そう?」

曜「最近、ようやく苦さに慣れてきたばかりだし。違いのわかる大人には程遠いかなーって」アハハ

曜「でも、すごく良い香りで美味しいよ。私は好きだな」

鞠莉「ふふっ、良かった」ニコ

曜(あ、笑ってくれた)ニコ

13: (庭) 2017/11/04(土) 06:32:44.64 ID:nqiL2/v/
鞠莉「どれどれ…んー、エクセレント!我ながら良い出来ね!」

鞠莉「これならいっそのこと、カフェでも開いちゃおうかしら」

曜「カフェかぁ。この部屋を使って?」

鞠莉「コーヒーが飲める理事長室っていうのも悪くないけど、せっかくなら地域の人との交流の場にしたいかな」

鞠莉「使われてない教室を改装して。部活動や社会勉強を兼ねて、生徒主体で運営するの」

曜「なるほどね。で、鞠莉ちゃんがマスターになって、こだわりのコーヒーを淹れてくれるってわけだね」

14: (庭) 2017/11/04(土) 06:33:46.51 ID:nqiL2/v/
鞠莉「イェス!制服は曜に作ってもらってね。Aqoursでライブしたり、ダイヤに琴を弾いてもらったり」

鞠莉「それぞれが得意なことや好きなことを通じて、楽しく学校を盛り上げる。そんな場所が身近にあったら素敵よね」

曜「面白そうだね!」

鞠莉「案外人気が出て、入学希望者も増えちゃうかも!」

曜「それなら、言うことなしだね!」

鞠莉「ふふっ。そういうの…夢があっていいよね」

曜「!」

曜(いま、一瞬だけど寂しそうな顔した…)

15: (庭) 2017/11/04(土) 06:35:30.98 ID:nqiL2/v/
鞠莉「ところで、さっき考え事してたでしょ」

曜「えっ?」

鞠莉「コーヒーを置いたとき、難しい顔してた。何か悩み事?」

曜「あ、ああ。その…」

鞠莉「フーム。その様子、どうやら久しぶりにぶっちゃけトーク!をする必要がありそうですねぇ」

曜「ちょ、なにその手は…ふみゅぅぅぅぅ!?」

鞠莉「おおっ、この一級品の柔らかさと肌ざわり!まさしく癒しよね!」むにゅむにゅ

曜「ひゃ、ひゃめてひょぉー」

鞠莉「うりゃうりゃうりゃ!」

曜「ふぁぁぁぁぁー!」

16: (庭) 2017/11/04(土) 06:36:39.20 ID:nqiL2/v/
鞠莉「さてさて。久々に曜のほっぺたを堪能したところで、次は話してもらう番ね」パッ

曜「んもぉ…相変わらず強引なんだから」サスサス

鞠莉「相変わらずシャイな曜がいけないの。本音を隠して、ため込もうとして」

鞠莉「思ってる事が出やすいように、かた~くなったお口と気持ちを、優しく丁寧にほぐしてあげたんですよ?」

曜(本音、か…)

鞠莉「だから、遠慮しないで話して。ね?」

曜「…逆に心配させちゃったかな」

鞠莉「?」

曜「えっと、言うね。鞠莉ちゃんのことなんだけど…」

鞠莉「え、私?」

17: (庭) 2017/11/04(土) 06:38:19.81 ID:nqiL2/v/
曜「うん。鞠莉ちゃんさ…最近、頑張りすぎてない?」

鞠莉「ん?」

曜「理事長のお仕事。すごく忙しそうだから」

鞠莉「ああ…今が正念場だからね。こればっかりはしょうがないかなって」

曜「今日みたいに、練習に来れない日もあるし」

鞠莉「だよねぇ。みんなと練習したい、しなきゃなって、思ってはいるんだけど」

鞠莉「迷惑かけてごめんね?」

曜「そんなんじゃ…ただ、お仕事大変そうだから、鞠莉ちゃんは大丈夫かなって…」

鞠莉「心配してくれるのね、ありがとう」

鞠莉「でも、マリーはそんなにヤワじゃありませんよ?」ニコ

曜(鞠莉ちゃん…)

18: (庭) 2017/11/04(土) 06:40:54.58 ID:nqiL2/v/
曜「…何かできることないかな、私」

鞠莉「ほわっつ?」

曜「なんでもいいから、鞠莉ちゃんをお手伝いできないかな。生徒会のお仕事みたいに」

鞠莉「んー。気持ちは嬉しいけど、生徒には見せられないものも多いから」

曜「そっか…」

鞠莉「どうして?」

曜「鞠莉ちゃん、きっと今すっごく大変なんだろうなって。さっきの電話も…」

鞠莉「…聞かれちゃったか」

曜「盗み聞きするつもりはなかったんだ。だけど、辛そうだったから…」

鞠莉「ん、そうね…」

曜「…」ジッ

鞠莉「楽しい話じゃないと思うけど…ちょっとだけ付き合ってくれる?」

曜「うんっ」

19: (庭) 2017/11/04(土) 06:43:06.81 ID:nqiL2/v/
鞠莉「廃校の話が出て、理事長として浦の星に戻って来て…」

鞠莉「小原家の力を傘に着た、なりふり構わないやり方だって人は言うし、自分でもそう思うけど。学校を救いたい、輝かせたい。その一心で色々やって来たつもり」

鞠莉「厳しい状況に変わりはないけど、嬉しい事や楽しい事もたくさん増えた」

鞠莉「みんなのおかげで、果南やダイヤとも仲良しに戻れた。みんなと一緒に、スクールアイドルという新しいスタートを切った」

鞠莉「応援してくれる人や味方してくれる人も増えた。夢に向かって進んでるって、実感できる様になった」

曜「うん…」

鞠莉「それでもね。たまに、本当にたまーにだけど、くじけそうになる時があるの」

鞠莉「現実に負けそうで、自信が無くて、心細くて…そんな時が」

20: (庭) 2017/11/04(土) 06:47:55.88 ID:nqiL2/v/
曜「それが、さっき…?」

鞠莉「困ったことに、最近そういうことが増えちゃってね」

鞠莉「今はみんなが側にいてくれるから、前より辛いことなんてないって思ってたのに…」

鞠莉「逆風になって初めて、自分が利用してきた小原家の大きさと、現実の複雑さを痛感するなんてね」

鞠莉『入学説明会は、中止になるの…』

曜「…」ズキ

鞠莉「それでも続けられるのは、続けたいのは。みんなが一生懸命輝いているからなの」

鞠莉「夢を諦めないで、キラキラしてるみんなを見てるとね。やってきたことが無駄じゃなかったんだ、私も輝きたいって、そう思えるから」

21: (庭) 2017/11/04(土) 06:49:38.81 ID:nqiL2/v/
曜「…それは違うよ。鞠莉ちゃんが頑張ってくれたから、私たちは前に進める。希望を捨てないで、夢を追い続けていられるんだ」

曜「絶対に無駄なんかじゃない。絶対に」

鞠莉「…ありがとう」

曜「…ごめん、無理やり言わせちゃったかな」

鞠莉「ぶっちゃけトークだからね。曜にだけ言わせて、私がだんまりってのはフェアじゃないし」クスッ

鞠莉「…悩みをこんなに話せたのは初めて。聞いてくれてありがとう」

鞠莉「立ち止まってる場合じゃないわ。私も前に進まないと、ね」

22: (庭) 2017/11/04(土) 06:52:06.95 ID:nqiL2/v/
曜「でも、それじゃあ…」

鞠莉「それでも、辛くなっちゃったときは…そうだなぁ」

ハグッ

曜「!」

鞠莉「こんな風に、ハグさせてもらえると嬉しいなって」

23: (庭) 2017/11/04(土) 06:53:11.61 ID:nqiL2/v/
曜「鞠莉ちゃん…」

鞠莉「ふふっ。知らないと思うけど、曜って抱き心地いいんだよ?」

鞠莉「可愛くて、優しくて…落ち込んでても元気を貰えるの」

鞠莉「だから…ごめんね。もう少しだけでいいから、こうさせて…」

鞠莉「もう少しで、いつもの元気な私に戻るから…」



曜(震えてる。私は…)

曜(私は…!)

24: (庭) 2017/11/04(土) 06:55:57.13 ID:nqiL2/v/
曜「…私ね。鞠莉ちゃんのハグ、すっごく好きなんだ」

鞠莉「う、ん…?」

曜「ハグしてもらうと安らぐんだ。あなたはひとりじゃないよ、大丈夫だよって、言ってくれるみたいで」

曜「だから…」



ハグッ

鞠莉「!」

曜「だから。私からも、こうしてあげたいんだ」

25: (庭) 2017/11/04(土) 07:02:01.61 ID:nqiL2/v/
鞠莉「あっ…」

曜「お仕事のこととか、家のこととか…想像もつかないくらい大変だと思うし、任せっきりだけど」

曜「私たちと居るときは、輝きに憧れるひとりの女の子でいてほしいんだ」ナデナデ

鞠莉「ん…」

曜「私にできることなんてほとんどなくて、たまにこうやってお茶を飲むことぐらいしかないのかもしれないけど」

曜「それでも寂しくなったり、辛かったら…いつでもハグしてあげるから」

鞠莉「よ、う…」

曜「いつもありがとう、鞠莉ちゃん」



曜(大好きだよ…)

26: (庭) 2017/11/04(土) 07:04:01.99 ID:nqiL2/v/
…………………

曜「落ち着いた?」

鞠莉「ありがと。もう大丈夫。やっぱり曜って癒し系ね」

曜「なにそれ、初めて言われたよ」クスッ

鞠莉「いいのよ、私だけが知ってれば」

鞠莉「さ、コーヒーブレイク再開…って、すっかり冷めちゃったね。今、淹れ直すから」カチャ

曜「あ、手伝うよ」

鞠莉「いいからゆっくりしてて。これはマリー流のおもてなしなのでーす」ガサゴソ

鞠莉「あ、クッキー発見!食べよう食べよう!」

曜「…ふふっ」

27: (庭) 2017/11/04(土) 07:11:33.18 ID:nqiL2/v/
鞠莉「そういえば、話は全然変わるけどね」コポコポ…

曜「うん?」

鞠莉「前から気になってたんだけど、入室する時、なんで『すみません、私です』って言うの?」

曜「えっ、変?」

鞠莉「変とは言わないけど。いつもの曜らしくないし、かと言ってカチコチの敬語でもないし…うん、やっぱり変かも」クス

曜「だって、理事長室って雰囲気違うんだもん。相手は鞠莉ちゃんだし、でもここは仕事するお部屋だしって、いつも悩んじゃって…」

鞠莉「ふふっ。曜のそういう所、好きだよ?」

曜「またそんな事言う。ドキドキしちゃうからやめてって」

鞠莉「わからないかなぁ、させたいのよ。なんてね?」クスッ

曜(うん。やっぱり、笑顔の方がよく似合う)ニコ

28: (庭) 2017/11/04(土) 07:24:13.44 ID:nqiL2/v/
鞠莉「はい、どうぞ」カチャ

曜「ありがと、いただきます…苦っ!?」

鞠莉「あ、クッキーあったからお砂糖控えめよ」

曜「先に言ってよ、そう言う大事なことは…ん、美味しい」モグモグ

鞠莉「ふふっ」ニコニコ

曜「ふふっ…あ、そうだ!さっきの話だけどさ、本当にやってみない?」

鞠莉「さっきの話って、カフェのこと?」

曜「うん!面白そうだし、話だけにしておくのは勿体無いよ。鞠莉ちゃんも楽しそうだったし」

鞠莉「だって楽しそうだもの。でも、いきなりっていうのもねぇ」

曜「すぐにオープンってなると難しいと思うけど、来月は文化祭があるからさ。そこで試しにやってみたらどうかなって」

鞠莉「おう、それはグッドアイディアでーす!」

曜「鞠莉ちゃんが淹れたコーヒーを、私がお客さんに運ぶんだ」

曜「マスターオリジナルのスペシャルブレンドです、って。あ、もちろん衣装も作るよ!」

鞠莉「それなら、コーヒーにもっと詳しくなってもらわないとね。んー…」

29: (庭) 2017/11/04(土) 07:26:09.51 ID:nqiL2/v/
鞠莉「決めた!私が特別に、コーヒーのイロハをレクチャーしてあげましょう」

曜「えー…」

鞠莉「なぁに、不満なの?」

曜「鞠莉ちゃん、コーヒーに関しては厳しそうなんだもん」

鞠莉「違いのわかる大人への道は険しいからね。マリー先生は甘くないよ?コーヒーだけに」

曜「んー…そこはお砂糖多めでお願いしたいかなって」

鞠莉「まあっ。ふふふ」

31: (庭) 2017/11/04(土) 07:48:05.93 ID:nqiL2/v/
鞠莉「そういうわけだから。これからはもっと遊びに来てくれていいからね?」

曜「ん、仕事部屋なわけだし。遊びにってのはちょっと…」

鞠莉「ああ、語弊があったわね。打ち合せやレクチャーを兼ねた、コーヒーブレイクに来て欲しいってこと」

鞠莉「仕事と思えば、曜も気兼ねせず入れるし、私もコーヒーが飲めて嬉しい。疲れたらハグもできるし、いいことづくめね!」

曜「ああ、なるほど!」

鞠莉「それと、このことはみんなには内緒にしておいてね。出し物会議でサプライズ発表して、あっと言わせちゃいましょう!」

曜「うん!2人の秘密だね?」

鞠莉「そうね、2人の秘密よ」


曜(理事長として頑張ってる鞠莉ちゃんも好きだけど。やっぱり、夢を話してるときの鞠莉ちゃんが一番好き)

曜(学校のこと、Aqoursのこと、水泳のこと、将来のこと…私も、頑張らなきゃいけないことだらけだけど)

曜(これからも鞠莉ちゃんの側で、微笑んでいれたらいいな)



終わり

8: (笑) 2017/11/04(土) 06:26:25.71 ID:551ANK1C
08小隊だっけ
違ったらすまん
スルーして

30: (神宮) 2017/11/04(土) 07:30:10.94 ID:FNeGdZxr
マフティーようまりの人かな?

32: (庭) 2017/11/04(土) 07:52:07.96 ID:nqiL2/v/
全弾撃ちつくしました。
ありがとうございました。

>>8
正解です。

>>30
はい、いつもありがとうございます。

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1509743589/

タイトルとURLをコピーしました