【短編SS】にこ「穂乃果って…」穂乃果「にこちゃんって…」

ほのにこ。
短いです。



「今日も練習頑張るよー！！」

…ホント、あの子はいっつも元気ね。放課後なのに、今から1日が始まるみたい。

「？にこちゃん、どうかした？」

わわっ、見てるのバレちゃった。案外鋭いのね。野生の勘、ってやつかしら。

「よっし、にこちゃん一緒に柔軟しよっか♪」

思い返してみれば、穂乃果とペアで練習したことなんて、あんまりなかったわね。
穂乃果は大抵、海未やことりと組んでるから…

「わぁ、にこちゃん体柔らかいなぁ～羨ましいっ！」

ふふん、当たり前よ。宇宙No.1アイドルが体が硬くてどうするの。

「穂乃果も小さい頃は柔らかかったんだけど…時間って残酷だね…あいててて！にこちゃん痛いよー！」

…たまには穂乃果と組むのも悪くないわね。

「あー！笑ったね！本当に痛かったんだから！骨折れたらどうするのっ！？」

笑ったり、悲しんだり、怒ったり。
ころころくるくる変わる穂乃果の表情の変化をずっと追いかけてたら、目が回りそう。

「もうっ！穂乃果も容赦しないんだから。覚悟しといてね！」

そう言って笑った彼女の笑顔はとても眩しくて。熱いくらいにギラギラと輝いて、体全体を火照らせる。

オレンジに燃える夕陽が、屋上に居る私たちを包み込む。

「穂乃果って…」

「太陽みたい」

あ。しまった。つい、心の声が口に出てしまった。
穂乃果は一瞬、驚いたように目をまん丸にして、またすぐにいつもの笑顔になった。

「えへへ、そうかな？だったら嬉しいかも。みんなを明るく照らしてる、ってことだよね？」

『みんな』…か。そうだ。勘違いしてはいけない。太陽の光は、地上の生きとし生けるもの全てに、平等に降り注ぐ。

誰か1人が太陽を独占するなんて、あってはならないこと。

「でもね、穂乃果思うんだ」

少しキリッとした表情。

ホントに少し、だけどね。

「…にこちゃんも、μ'sを明るく照らしてくれてるよ。いつもはおどけてるけど、本当は誰よりもアイドルに熱くて、負けたくない、って思ってる。そんな姿を見て、私たちも頑張らなきゃ！って思うんだよ。だから、みんなを代表して言うね」

「ありがとう」

…何、急にそんなこと言うのよ。流石のにこにーでも、真剣にそんなことを真正面から言われたら…照れるじゃない。

眩しい。

この眩しさは、斜陽のせいだろうか。それともー

「あっ、にこちゃん照れてる？よーし！さっきの仕返しだよ！軟体動物になるくらい柔軟するんだから！」

：
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「お疲れ様です、今日の練習はここまでです」

「海未ちゃーん！一緒に帰ろ♪」

「ことりも♪」

「そういえば穂乃果、今日は珍しくにこと柔軟をしてましたね」

「確かに、穂乃果ちゃんがにこちゃんと組んでるの、あんまり見たこと無いなぁ」

「あはは、今日は練習前に何と無く目が合ったからね」

「楽しそうにやってたよね♪」

「うん！楽しかったー！にこちゃんね、すっごく体柔らかいんだよー！穂乃果の5倍は柔らかいよ！」

「あはは、5倍は言い過ぎだよぉー」

「ふふ、そうなんですね。今度、一緒に組んでみましょう」

「…前から思ってたんだけどさ、にこちゃんって…」

「太陽みたいだよね」

熱くて、ギラギラしてて、ものすごいエネルギーを持っていて。
ずっと見てると灼け焦げそうなほど眩しくて。

ーそして、遠くにある。

「太陽…ですか？」

「うーん、確かに、燃えてる感じするもんね…？」

私だけのものではない、みんなの太陽。手を伸ばせばきっと、灼かれてしまう。

「んー、今日は光合成いっぱいしたし、明日もがんばろー！」

ああ、今日はちょっと日焼けをし過ぎたかな。体が火照って熱い。

次は日焼け止めクリームをちゃんと塗らなきゃな…

なんてね。




おわり

いいね

ほのにこ良いなぁ…

このシリーズの雰囲気がたまらなく好き

優しい世界っていいよね。
誤字だと思うけど穂乃果ちゃんはことりって呼び捨てにしないぜw