【SS】「演劇部の部長と生徒会長ってお似合いじゃない?」 「分かる絵になるよね」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 20:53:42.51 ID:lci/Aue2
私としずくさんで廊下を歩いている時、1年生達のそんな会話が耳に入った。

「……」

「聞いた?お似合いだって」

「ええ、聞こえましたね」

「……どうする?」

「別にどうもしませんよ」

「あれ?もしかして」

「はい?」

「照れてる?」

「いえ、別に」

「顔赤いけど?」

「気のせいです」

「ふーん……」

しずくさんの表情が変わる。
いたずらっ子のような笑みを浮かべた。
 
2: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 20:55:24.88 ID:lci/Aue2
「じゃあ、もっとくっついてみる?」

腕に抱き着いて来るしずくさんの体温を感じる。そして心臓の鼓動まで伝わってくる。
少し早い鼓動が。

「……照れてるのはあなたの方では?」

「そうかな」

恥ずかしさを隠すように私は歩き出した。しずくさんもそれに合わせて隣を歩いてくれる。

「あの人達、付き合ってないんだよね」
「そうだよね、絶対お似合いなのに」

通り過ぎた後ろからそんな声が聞こえる。

「……サービスしてみる?あの子達に」

「あなたはもう少し恥じらいというものを持った方がいいと思いますよ」

「嫌だったら言ってね」

私の返事を待たずにしずくさんは手を握ってくる。指を絡める恋人繋ぎ。しずくさんはそのまま手を離さない。
 
3: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 20:56:27.00 ID:lci/Aue2
「……」

後ろからは黄色い歓声が上がり、周りからの視線を感じる。それでもしずくさんは私から離れることはない。
下級生達もしずくさんも何を盛り上がっているのだろうか。私はため息をつく。

「栞子さんもサービスしてあげなよ」

「私も?」

「ほら、あの子達を1年生の頃の私達だと思ってさ」

「……それは無理があるかと」

「ほら、果林さんの真似すればいいんだよ。『あら、ごめんなさい』とか言って」

「言いませんよそんなこと」

「えー?じゃあ私がやろうかなぁ」

「え?」
 
5: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 20:57:45.03 ID:lci/Aue2
冗談めいた口調だったが、一瞬だけ本気の声色に変わった気がした。
しずくさんの顔を見ると真剣そのものという感じだった。演技をしている時の目つきになっている。

「栞子さんのこと、好きになってもいいかしら?」

「はい?」

思わず素の反応が出てしまう。周りの下級生達がざわついた。
しずくさんが咳払いをする。

「……今の無し」

「なんですそれ」

後ろの方ではざわめきが広がっていく。なんだなんだと他の生徒がこちらを見ている。しずくさんは頬を赤らめていた。

「私に無しと言っても周りには聞こえていませんよ」

「助けて栞子さん」

「はぁ……」
 
6: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 20:59:41.60 ID:lci/Aue2
私はしずくさんの手を握ったまま胸に持っていく。

「私で良ければお付き合い致します」

「あはは……」

周囲からどよめきが起こった。

「わあ……」
「大胆……」

などと囁き声が聞こえてくる。
というか、いつの間にギャラリーが増えていた。

「栞子さんって結構大胆なところあるよね」

「しずくさんほどではありません」

しずくさんの顔をじっと見つめる。しずくさんも見返してくる。お互い目を逸らすことはしない。

周囲の喧騒を無視して時間だけが過ぎていく。

「もう……」

先に根負けしたのはしずくさんだった。小さく息をついてから微笑む。
 
7: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 21:01:19.70 ID:lci/Aue2
「ねえ見た?今の」
「うん!2人とも凄い!」
「2人きりの世界に入ってたね……」
「あの2人背が高いから絵になるんだよね……」
「桜坂先輩可愛い……」
「三船先輩カッコイイ……」


周りから漏れ聞こえる言葉を聞いているうちに冷静になってきた。この空気に耐えられそうにない。

「ちょっと早歩きになろうか」

「そうですね」

私達は足並み揃えて廊下を進む。
下級生達の視線はまだ続いていた。


「手繋いで歩いてるってさ、やっぱりそういうことだよね」
「ね、あの2人の距離感すごいもんね」
「あれ見てたら分かるかも」


その会話が聞こえた時、私は手を離そうとした。
するとしずくさんがぎゅっと握り返してくる。
 
8: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 21:03:07.48 ID:lci/Aue2
「今手離したら聞こえてるってバレちゃうよ」

「ですけど……」

「大丈夫だから」

しずくさんは前を向いていた。彼女の言う通り、ここで手を離せば聞こえているということがバレてしまうだろう。それはまずい。

「分かった?」

「……分かりました」

結局、私達は目的地まで手を繋いだままだった。

下級生達の羨望の眼差しを受けながら歩いた。
 
9: (もんじゃ) 2022/04/06(水) 21:04:09.30 ID:lci/Aue2
おわり


3年生になったしずしおはいい感じの距離感になっててほしい
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1649246022/

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