【SS】歩夢「お昼休みの」副会長「生徒会室に」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (とばーがー) 2022/07/09(土) 21:57:24.66 ID:rZ1vMG4O
グイグイかすみん×ツンデレクールぽむ×にゃんデレしおりん×せつしお推し(?)副会長×厄介彼方

読まなくても読める前作
かすみ「ぽむちゃんの」栞子「あゆねえの」歩夢「誕生日?」
 
【SS】かすみ「ぽむちゃんの」栞子「あゆねえの」歩夢「誕生日?」【ラブライブ!虹ヶ咲】
コンコン 栞子「どうぞ」 かすみ「おはよ~しお子」 栞子「かすみさん。おはようございます。どうされました?」 かすみ「今度ぽむちゃんの誕生日でしょ?今回はどうしよって思って」 栞子「そういえばそんな時期ですね……」 かすみ「そう!もう3ヶ月しかないの!」 栞子「急がないといけませんね」 かすみ「今年もサプライズで、ぜったい!ぽむちゃんには気付かれないように!」 栞子「もちろんです」
2: (とばーがー) 2022/07/09(土) 21:57:55.61 ID:rZ1vMG4O
~昼休み・生徒会室~

栞子「占いなんて信じてないけど♪」

栞子「『AB型が最下位!』って、Ah-♪」

栞子「ちょっとヘコむね♪」パチッ

はんぺん「にゃ~ん」

副会長「……」ソローリ

栞子「『ラッキーアイテムはピアノ!』♪」

栞子「『ショパンが弾けたならダイジョウブ!?』って、Ah-♪」

栞子「イジワルなルール♪」クルッ

はんぺん「にゃ~ん!」

かすみ「…………」ソロリソローリ
 
3: (とばーがー) 2022/07/09(土) 21:59:23.25 ID:rZ1vMG4O
栞子「お昼やすみに練習しようかな?♪」

栞子「ドレミファソ・ドレミファソ♪」

栞子「いやいや、それじゃきっと間に合わないでしょ!?♪」

栞子「オボツカナイ・オボツカナイ♪」

歩夢「………………」スタスタ

栞子「って、あーだ!こーだ!1人で悩んでいないで♪」

栞子「いっそアカもアオもキイロもマッシュアップして♪」

栞子「カラフルな世界をみんなでつくろう♪」ヨコピース

歩夢「……」

かすみ「……」

副会長「……」

栞子「」

副会長「こんにちは、栞子さん♪」

栞子「あああああああっっっ!!!」
 
4: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:00:44.09 ID:rZ1vMG4O
歩夢「どう?副会長?お昼休みの栞子は」

副会長「大変面白いものが見られました、ありがとうございます」

栞子「なんなんですかっ!」

歩夢「私としては猫なで声の栞子が出て来るかと思ったんだけど、まさかソロライブやってるとはね」

栞子「どっちも見なくていいですっ!」

歩夢「ノリノリだったじゃない」

かすみ「ほんとだよ」

かすみ「『ちょっとヘコむね』って、ウィンクしてるし!全然ヘコんでないじゃん!」

栞子「今が一番ヘコんでます!」
 
6: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:02:01.13 ID:rZ1vMG4O
栞子「……皆さん何しに来たんですか。ここは生徒会室ですよ」

歩夢「お昼を食べに?」

栞子「生徒会室は生徒会役員が仕事をする場所です」

副会長「私は役員ですから」

かすみ「っていうかしお子が一番仕事とほど遠いことしてたよね」

栞子「あれははんぺんのためにソロライブをしていただけです」

歩夢「それ仕事なの?」

栞子「はんぺんは生徒会の飼い猫ですから、退屈させない義務があります」

かすみ「いくらなんでも無茶だよしお子」

栞子「はんぺんも喜んでいましたが」

副会長「そういう問題ではないです」
 
8: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:04:04.22 ID:rZ1vMG4O
栞子「いつからここはあゆねえやかすみさんのお昼処になったのでしょうか……」

かすみ「しお子のライブ会場にもね」

副会長「そのずっと前から菜々さんのアニメグッズの隠し倉庫にもなっています」

栞子「……は?」

副会長「いえ、あるんですよ。菜々さんが隠しているアニメグッズが今も」

副会長「ほら、こちらに」

栞子「……なんですかこれは……」

歩夢「もういいんじゃない?生徒会長の趣味の部屋で」

栞子「趣味じゃないですっ!」
 
9: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:06:48.92 ID:rZ1vMG4O
歩夢「さ、ライブが終わったところでお昼食べましょ」

栞子「まだ半分も歌っていませんでしたが……」

かすみ「じゃあ続き歌う?」

栞子「結構です」

副会長「色とりどりのスケールで♪」

歩夢「日常をナナイロにメイクアップ♪」

かすみ「#最高のエンターテインメント♪」

栞子「なんてつぶやいちゃお!♪」

栞子「ってやらせないでください!」

副会長「ノリノリじゃないですか」
 
10: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:09:23.49 ID:rZ1vMG4O
歩夢「副会長上手いわね」

副会長「本当ですか?お世辞でも嬉しいです」

栞子「いえ、そういうことではなく……」

かすみ「歌い慣れてるような……」

副会長「えっ!?……いえ、なんのことだか」

歩夢「っていうか普通に歌詞覚えてたわね」

副会長「……勘違いじゃないですか?」

かすみ「思いっきり副会長さんから歌い始めてましたよね」

副会長「……まあそんなことはいいじゃないですか!」

かすみ(……ごまかした)

歩夢(まあ知ってたけど)
 
11: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:11:33.60 ID:rZ1vMG4O
副会長「そういえば、そろそろ修学旅行ですね」

栞子「はい」

歩夢「そうね」

かすみ「……」

副会長「……かすみさん?」

歩夢「そろそろ『わたしの』修学旅行だからね」

栞子「小学校の時からずっとですね」

副会長「……ああ、なるほど。かすみさんは上原さんがいなくて寂しいのですね」

かすみ「たまにはぽむちゃんと一緒に修学旅行行きたい!」

副会長「それはさすがに難しいですね……」
 
12: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:14:02.85 ID:rZ1vMG4O
副会長「みなさんのこれまでの修学旅行はどんなだったんですか?」

歩夢「わたしは……そうね」

~~

歩夢「それじゃ、行ってくるわね」

かすみ「……行ってらっしゃい」

栞子「気を付けてくださいね」

歩夢「ありがとう、ふたりとも」

かすみ「……やっぱりこっそりついてく!」

歩夢「いや、ダメだからね。ちゃんと授業受けること」

かすみ「……」

栞子「かすみさん、あまりあゆねえを困らせては……」

かすみ「……しお子も寂しいくせに」

栞子「……」
 
13: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:16:08.76 ID:rZ1vMG4O
歩夢「明後日には帰ってくるんだから、ね?」

かすみ「……」

歩夢「好きなだけ電話かけてきていいから」

かすみ「ずっとかけてるもん……」

歩夢「ずっとはちょっと困るけど……」

かすみ「好きなだけって言った」

歩夢「……授業中はダメだからね?」

かすみ「……うん」
 
14: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:18:07.87 ID:rZ1vMG4O
栞子「……」

歩夢「栞子も、ね?」

栞子「はい、かすみさんと一緒に電話します」

歩夢「ん。じゃあ……ちょっと寄って」

かすみ「わっ……」ギュッ

栞子「あゆねえっ……」ギュッ

歩夢「んー……やっぱりこうすると落ち着くわね……」
 
15: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:19:54.27 ID:rZ1vMG4O
歩夢「じゃあ、今度こそ行ってくるわね」

栞子「はい、行ってらっしゃいあゆねえ」

かすみ「気をつけてね」

歩夢「ありがとう。ふたりも行ってらっしゃい」

~~

歩夢「っていう感じで始まったわね」

副会長「おふたりは本当に上原さんが好きですね」

かすみ「もちろんです!」

栞子「はい、もちろんです」

歩夢「その後、昼間は休み時間のたびに電話がかかってきたわ」

副会長「すごいですね……」
 
16: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:22:08.06 ID:rZ1vMG4O
副会長「中学校ではどこへ行ったんですか?」

歩夢「京都と大阪のあたりね。まあ修学旅行としてはありふれたところよ」

かすみ「かすみんとしお子からするとつい去年のことなんですけどね」

栞子「そうですね。楽しかったです」

歩夢「ちなみに、ふたりが修学旅行の時はひっきりなしにLINEが送られてきたわ」

栞子「送ったのは9割以上かすみさんですが……」

歩夢「そうだった?3割くらいは栞子だった気がするけど」

かすみ「しお子もぽむちゃんのことずっと気にしてたよね」

栞子「そっ、そんなことないですっ!」

歩夢「……気にしてなかったの?」

栞子「そんなことないですっ!」

歩夢「ふふっ、分かってるから大丈夫よ」
 
18: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:24:12.25 ID:rZ1vMG4O
歩夢「それで私は休憩時間のたびに電話をかけて……結局私も同じ事してたわ」

歩夢「だからまあ、私のときもふたりのときも、半ば一緒に旅行してたようなものね」

歩夢「なんなら私、このふたりが何日目に何を食べたかとか、大体覚えてるわよ」

栞子「あゆねえ、それは当たり前です」

かすみ「うん、だって大体ぽむちゃんと同じルートを回ったんだもん」

歩夢「っていう感じなのよね」

副会長「なるほど…………いわゆる聖地巡礼……のような……」

歩夢「聖地は言いすぎよ」

かすみ「そういえばせつ菜センパイは今度の修学旅行、好きな作品の聖地巡礼するって言ってた」

歩夢「せつ菜ならどこに行ってもそれが出来そうよね」
 
19: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:25:51.95 ID:rZ1vMG4O
かすみ「副会長さんはせつ菜センパイと一緒に回るんですか?」

副会長「え!?……そうですね……まだ考えてなかったです……」

かすみ「まあしお子はいないですし、せつ菜センパイと行くのがいいんじゃないですか?」

副会長「し、栞子さんがどうかしましたかっ!?」

かすみ「いや、わかりやすすぎですよ……」

栞子「ええっと……残念ながら私は一緒には行けませんが、ぜひ他の方と楽しんできてください」

副会長「……はい、ありがとうございます」

歩夢(……)
 
20: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:27:02.49 ID:rZ1vMG4O
かすみ「副会長さん、ぽむちゃんの修学旅行の時の写真、ありますよ」

副会長「本当ですか?ぜひ見たいです」

かすみ「どうぞ」

副会長「…………」

歩夢(……?)

歩夢「どれ?……ああ、清水の舞台のときのね」

副会長「…………」

歩夢「どうしたの?黙り込んで」

栞子「……仕方ないと思いますよあゆねえ。あの写真はものすごいです」

歩夢「私としては普通にしてるつもりなんだけど……」
 
21: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:28:26.52 ID:rZ1vMG4O
副会長(……こ、これはっ……)

副会長(相当な観光地なのに周りに人がいない!?)

副会長(……背中から囲いにもたれかかる上原さん。背後には絶景の自然)

副会長(少し俯いた顔は自然体なのに何故か物憂げで、それでいて自信に満ちあふれたような表情……)

副会長(まったく偉そうにはしていないのに、見えるもの全てを従わせているかのような全能感……)

副会長(……か、かっこいいっ……!)

かすみ「……副会長さーん、戻ってきてくださーい」

副会長「……失礼しました」

副会長「ときに、上原さんの周りに人が見えないのは何故なのでしょうか?」

歩夢「……私にもよく分からないけど、私がそこに移動したら何故かさっと人払い……というか、人が勝手に払われていったわね」

副会長(さすが上原さんっ……)
 
22: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:29:57.56 ID:rZ1vMG4O
かすみ「あ、そうだぽむちゃん!お弁当作って!」

歩夢「え?どうしたの突然」

かすみ「修学旅行の時に作ってくれたでしょ?それ思い出したの」

歩夢「ああ、なるほど、そういうことね」

副会長「……あの、すみません、どういうことですか?」

栞子「あゆねえが修学旅行に行く日、わたしたちのために作ってくれたんです。少しの間いない分、せめてお弁当くらいは、と」

歩夢「……まあ、そういうことよ」

副会長「上原さん、照れてるんですか?」

歩夢「……見間違いでしょ」
 
23: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:31:12.87 ID:rZ1vMG4O
歩夢「確かに最近お弁当作ってあげてなかったわね」

かすみ「食べたい!コッペパンも焼いてくるから明日作ってきて!」

栞子「私も食べたいです」

歩夢「はいはい。わかったわ」

副会長「……あの、わ、わたしも……食べてみたいです」

歩夢「……」

歩夢「ええ、いいわよ」
 
24: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:32:29.69 ID:rZ1vMG4O
副会長「本当はもっと色々お話を聞きたいのですが……」

栞子「そろそろ授業が始まりますね……仕事は全く進みませんでしたが」

歩夢「いいじゃない、お昼処で」

栞子「……」

かすみ「明日もここで食べることになるよね?」

栞子「……」

歩夢「もう全生徒出入り自由にしたら?昼休み限定で」

栞子「……検討してみます」

かすみ「ぽむちゃんのお弁当が勝った」

栞子「いえ、私は生徒会長として生徒との交流を図ろうとしているまでです」

歩夢(この調子なのに他の生徒の前だとしっかり者のイメージを崩さないんだから、大したものよね)

栞子「あゆねえ?何か失礼なことを考えていませんか?」

歩夢「なんでもないわ」
 
25: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:35:05.52 ID:rZ1vMG4O
~翌朝~

ヒトハダレモ オビエテイル ユメノハテマチウケルセカイニ

歩夢「……んー……」

シロカクロカ ハテハハイカ タドリツカナキャワカレナイ

歩夢「朝ね…………今日はかすみの曲か……」

歩夢「…………パン焼いてくれるって言ってたし、モーニングコールしてあげようかな……」

歩夢「……あ、かすみ。おはよう……」

かすみ『おはようぽむちゃん、眠そうだね』

歩夢「まあ……」

かすみ『今からパン焼くところだよ。ぽむちゃんは?』

歩夢「今起きたところよ……」

歩夢「……パンのお礼でモーニングコールのつもりだったんだけど、私の方がされるべきだったわね……」
 
26: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:37:57.78 ID:rZ1vMG4O
歩夢「かすみ、食べたい物ある?」

かすみ『おまかせ!』

歩夢「……それ、一番困るんだけど……」

かすみ『ぽむちゃんのものならなんでも美味しいし……』

歩夢「そう言ってくれるのは嬉しいけど」

かすみ『ぽむちゃん、コッペパンの具材何がいい?』

歩夢「……おまかせ、かしらね」

かすみ『あー!それかすみのセリフ!』

歩夢「この場合は私が言ってもいいはずよ?」

かすみ『そうだけどー!』
 
27: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:39:12.25 ID:rZ1vMG4O
歩夢「じゃ、切るわね。ケガしたらよくないから……」

かすみ『うん、ぽむちゃんもね!』

歩夢「はーい」

歩夢「……あ、ねえかすみ。ちょっと待って」

かすみ『なに?』

歩夢「学校でも自分のこと『かすみ』って呼んだら?私その呼び方好きよ」

かすみ『えっ……!?……ちょっと恥ずかしい……』

歩夢「私しかいなくても外では絶対言わないものね」

かすみ『うん。……んー……考えてみる……』

歩夢「ありがとう。……じゃ、今度こそ切るわね。またあとで」

かすみ『うん!じゃあね!』
 
28: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:41:54.77 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……」

歩夢「まあ、私のお弁当っていうなら卵焼きはいるわよね」

歩夢「4人分の卵焼き……っていうか4人分のお弁当作るのなんて初めてだわ」

歩夢「…………」

歩夢「……何入れたらいいの……?」

歩夢「……っていうか卵すら4人分ないわね……買いに行くしかないか」

歩夢「スーパーはすぐそこだし、今の時間なら変な心配もしなくていいし……」

歩夢「あ、ごはんだけ先に炊いて……」

歩夢「……よし、行きましょ」
 
29: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:43:15.33 ID:rZ1vMG4O
歩夢(……家から道一本挟んだだけのスーパーってやっぱり便利ね。立地に感謝だわ)

「おはよ~歩夢ちゃ~ん」

歩夢「!?」

歩夢「……びっくりした。ちょっと彼方、驚かせないでよ」

彼方「ごめんよ~。彼方ちゃん、驚かせる気はなかったんだけど、やっぱり突然だったかな~」

歩夢「いや、私が驚いてるのはこの時間にあなたが起きてるってところよ」

彼方「ああ~それはね~。遥ちゃんのお弁当を作るためだからちゃんと起きれるんだ~」

歩夢「なるほどね」

彼方「……んん~?つまり、彼方ちゃんは起きてること自体を非難されてるのかな~」

歩夢「起きてるべき時間に起きてないことを非難してるのよ」
 
30: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:44:38.12 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……あんまり無理な生活してると、いつか本当に倒れるわよ」

彼方「…………」

歩夢「彼方?」

彼方「……彼方ちゃん、ちょっと感激しちゃったよ~。歩夢ちゃんって優しいんだね~」

歩夢「失礼ね、私はいつも優しいわよ」

彼方「……うんうん、そうかもだね~」

歩夢「ところで、あなた今は仕事中じゃないのよね?」

彼方「うん、お弁当の食材が足りなかったから買いに来たんだ~」

歩夢「じゃあちょっと相談に乗ってくれる?私も4人分のお弁当作るんだけど、何を入れるか決まらないの」
 
31: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:46:41.61 ID:rZ1vMG4O
彼方「…………」

歩夢「……彼方?なに鳩が豆鉄砲食らったような顔してるの?」

彼方「歩夢ちゃんが彼方ちゃんを頼ってくれるなんて、今日は大雪かな……」

歩夢「ちょっと、いつもの間延びした話し方はどうしたのよ。そんなに驚くこと?」

彼方「遥ちゃんがスクールアイドル辞めるって言ったときと同じくらいの衝撃だったよ……」

歩夢「……そう」

歩夢(私のイメージ……)

歩夢「で、どう?助けてくれる?」

彼方「うん、いいよ~。彼方ちゃんにお任せあれ~!」

歩夢「ええ、料理に関しては信頼してるわ」

彼方「その限定はなくしてほしいな~」
 
32: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:48:58.41 ID:rZ1vMG4O
彼方「ときに歩夢ちゃん、どうして4人分なの?歩夢ちゃんとしおみんちゃんたち3人なら分かるけど、あともうひとりは?」

歩夢(しおみんちゃんって栞子とかすみよね。慣れないわね……)

歩夢「あとひとりは副会長よ。昨日生徒会室で雑談しながらお昼食べてたら、成り行きで私がお弁当と、かすみがパンを持ち寄ろうってことになったの」

彼方「なるほどね~。あの子、せつ菜ちゃんだけじゃなくて栞子ちゃんのことも大好きだよね~」

歩夢「分かるの?あの子、栞子については表に出してないはずなんだけど」

彼方「一緒に壇上にいるときに栞子ちゃんに向けてる視線、すっごく熱がこもってるよ~」

歩夢「なるほど、そういう見方もあるのね。さすがだわ」

彼方「それって褒めてる~?」

歩夢「褒めてるわよ」
 
33: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:50:30.80 ID:rZ1vMG4O
歩夢「あなたも来る?お昼休みの生徒会室に」

彼方「いく~。彼方ちゃんのお弁当も、楽しみにしててね~」

歩夢「大丈夫?ちゃんとひとりで来れる?」

彼方「迎えに来てくれるとうれしいな~」

歩夢「そこまではしないわ。自分の責任で来て」

彼方「せっかく献立の相談に乗ってあげたのに……」

歩夢「そのお礼は卵焼きでさせて貰うわ」

彼方「確かに歩夢ちゃんの卵焼きは楽しみだけど~、それだと歩夢ちゃんは彼方ちゃんのお弁当と何を交換するのかな~?」

歩夢「……すぐ起きなさいよ」

彼方「ありがと~」
 
34: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:51:55.96 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……あ、かすみのパン、4人分しかないかも」

彼方「えっ……」

歩夢(この顔への切り替えだけは速いのよね。……百面相じゃなくて二面相?)

歩夢「そんな絶望した表情しないで。彼方が来る予定はなかったから……聞いてみるわね」

彼方「お願いするよ~」

歩夢「……あ、何度もごめんねかすみ。……パンっていくつ焼いてる?彼方の分も追加できたりする?」

かすみ『彼方センパイの分?クラスでも配ろうと思って多めに焼いてるから大丈夫だよ』

歩夢「ありがとう。今日は彼方も来ることになったから、その分もお願い」

かすみ『そうなの?うん、わかった!』

歩夢「……よかったわ、確保できて」

彼方「かすみちゃんのコッペパン、美味しいよね~。あれはお店出せるレベルだよ~」

歩夢「それ、本人に言ってあげてくれる?絶対喜ぶわよ」

彼方「それは今日のコッペパンの出来次第かな~」

歩夢「かすみが焼くのよ?美味しいに決まってるでしょ」

彼方「歩夢ちゃん、姉バカだね~」

歩夢「どの口がいうのよ」
 
35: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:53:49.76 ID:rZ1vMG4O
彼方「そういえば歩夢ちゃん、すぐ近くに住んでるんだよね?……彼方ちゃん、ここでバイト中に歩夢ちゃんのこと見たことない気がするんだけど……」

歩夢「彼方のいそうな時間帯には来ないようにしようと思って」

彼方「彼方ちゃん傷つくぜ~」

歩夢「あなたのレジにあたったらめんど……いえ、時間がかかりそうじゃない」

彼方「聞き捨てならないな~。……ちなみに、彼方ちゃんは基本的にレジにはいないよ~」

歩夢「そうなの?どのあたりにいるの?」

彼方「基本的に生鮮食品の辺りかな~」

歩夢「つまり一番便利な出入り口を使わなければ彼方に会うことは基本ないってことね?」

彼方「言い方に悪意を感じるよ~」

歩夢「いいこと聞いたわ。これからは夕方にも来ましょ」

彼方「その時は頑張ってレジに入らせてもらうね~」

歩夢「セルフレジに行くわ」
 
36: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:55:07.41 ID:rZ1vMG4O
歩夢「朝からありがとうね、彼方。助かったわ」

彼方「お迎え、待ってるよ~」

歩夢「別に自力で来てもいいのよ?」

彼方「お迎え、待ってるよ~」

歩夢「……」

彼方「お迎え、待ってるよ~」

歩夢「分かったわよ」

彼方「お弁当も期待してるよ~」

歩夢「あなたも遥ちゃんに美味しいお弁当作ってあげなさいね。……じゃあ学校でね」
 
37: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:56:24.50 ID:rZ1vMG4O
~お昼休み~

「……はい、今日はここまで」

歩夢(……ちょっと眠いわね。彼方じゃないけど……)

歩夢「……あ、彼方。迎えに行かないといけないんだった……」

歩夢「…………行かないとね。……面倒くさいけど」

歩夢「……料理の腕は確かなのよね。それ以外も果林と違って生活力あるし」

歩夢「ああ、起きられないのは果林も一緒だったわね」

副会長「上原さん。今から生徒会室に向かうのですか?」

歩夢「あ、副会長。今から私、彼方を連れてこないといけなくて」

副会長「近江さんですか。生徒会でも有名ですよ。校舎のどこでも昼寝をするのではんぺんのようだと」

歩夢「はんぺんくらい素直に起きてくれれば何も文句はないんだけど」

副会長「あはは……そうですね」

歩夢「ついてくる?授業終わったばっかりだから、探す手間はないはずよ。探す手間は」

副会長「探す手間は、ですね。お供します」

歩夢「ありがとう」
 
38: (とばーがー) 2022/07/09(土) 22:57:47.18 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……そういえば、あなたが栞子のファンなの、彼方にはバレてたわよ」

副会長「……なんのことですか?」

歩夢「いや、私に今更隠しても意味ないでしょ。昨日だってコンセントレイト!きれいに歌ってたし……」

副会長「…………」

歩夢「壇上で栞子に向ける目線に熱がこもってた、って言ってたわ」

副会長「……近江さん、侮れませんね」

歩夢「彼方は正直底が見えないわね、色々と」

副会長「眠りの深さは底が見えて欲しいものですが……」

歩夢「全くもって同感よ」
 
39: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:00:18.30 ID:rZ1vMG4O
副会長「あ、上原さんの歌うコンセントレイト!も素敵でしたよ。カバーが聞けて嬉しいです」

歩夢「ありがとう、まあ私はスクールアイドルだし……」

副会長「かすみさんのカバーも素敵でした……」

歩夢「……」

副会長「どうされました?」

歩夢「ねえ、かすみや栞子は下の名前で呼ぶのに、私は『上原さん』、なの?」

副会長「……そう言われればそうですね……」

歩夢「私も下の名前で呼んでいいのよ?」

副会長「いいんですかっ!?」

歩夢「……え、ええ。もちろん」
 
40: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:01:36.28 ID:rZ1vMG4O
副会長「ではぜひっ!」

歩夢(こっちは本当に百面相してるわね。表情が興奮してるときのせつ菜みたい)

歩夢(せつ菜のそれは大体いつものことだけど……)

副会長「……あ、あのっ。……今度の修学旅行、私と一緒に回りませんか!?」

歩夢「……え?……嬉しいけど、せつ菜……というか菜々はいいの?」

副会長「それはそうなんですけど、今回はぜひ歩夢さんと仲良くなりたいんですっ」

歩夢「いきなりどうしたの?」

副会長「……実はその……昨日見せて頂いた歩夢さんの写真に感動してしまって……」

歩夢「あれそんなに衝撃だったの?私としては普通にしてるつもりなんだけど……」

副会長「せつ菜ちゃんとは違うかっこよさだったんです!」

歩夢「……あ、ありがとう……」
 
41: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:03:03.31 ID:rZ1vMG4O
歩夢(……ついに来たわね、弁当作りの100倍大変な作業が)

歩夢「彼方ー?」

彼方「…………」

歩夢「彼方ー?寝てるの?」

彼方「すやぴ……」

歩夢「……彼方、起きなさい。っていうか起きてるでしょ」

彼方「……バレたか。さすが歩夢ちゃん」

歩夢「すやぴ、なんて寝息あるわけないでしょ」

彼方「寝言かもよ~?」

歩夢「タイミングが良すぎるのよ」

歩夢「ほら、私のお弁当とかすみのコッペパンが待ってるわよ」

彼方「うん……」

彼方「……あ~、栞子ちゃんのファンの子だ~」

副会長「……近江さん!それは秘密にっ!」

彼方「……あ、そっかあ~。ごめんね~」
 
42: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:04:45.79 ID:rZ1vMG4O
副会長「……やはり噂通り油断なりませんね……」

歩夢「……この子、昨日から私のファンにもなったそうよ」

副会長「歩夢さんっ!それも内密にっ……」

副会長(……この子……?……この子……)

彼方「せつ菜ちゃんに栞子ちゃんに歩夢ちゃん……浮気者だね~」

副会長(栞子さんが歩夢さんを『あゆねえ』と呼ぶ気持ちが分かった……)

歩夢「彼方も人のこと言えないわよね?遥ちゃんがいるのにエマにしずくに膝枕させて……」

副会長(……)

彼方「彼方ちゃんの一番は遥ちゃんだよ~」

歩夢「その言葉、録音してふたりに聞かせようかしら」

副会長「……」

歩夢「……ちょっと、どうしたの?彼方じゃないんだからぼーっとしてないで、行くわよ」

副会長「…………!……は、はいっ」
 
43: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:06:02.98 ID:rZ1vMG4O
歩夢「栞子、かすみ、お待たせ」

栞子「待っていました。お弁当、作ってきてくれてありがとうございます」

かすみ「ちゃんとコッペパンも持ってきたよ!」

歩夢「ありがとう、私も持って……連れて来たわ。お弁当と、副会長と、あと彼方と」

かすみ「朝、彼方センパイの分もって言ってたよね。どうしたの?」

歩夢「材料が足りなくて買いに行ったら彼方がいてね。残りの献立を決めるサポートしてくれて、そのお礼に……ね」

栞子「彼方さんが朝から起きていたんですか!?」

彼方「栞子ちゃ~ん、歩夢ちゃんと同じ反応しなくてもいいんじゃないかな~」

歩夢「当然の反応よ」
 
44: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:08:40.17 ID:rZ1vMG4O
彼方「ということで、彼方ちゃんのお弁当も持ってきたよ~」

栞子「本当ですか?ぜひ食べてみたいです!」

副会長「はい、私も気になります。私からは何もお渡しできないのが心苦しいところですが……」

栞子「あっ……私もです……」

彼方「じゃあ~、副会長ちゃんと栞子ちゃんには食べた後で膝枕してもらおうかな~」

副会長「ふ、副会長ちゃんっ!?」

彼方「あれ、ダメだった~?」

副会長「いえ、大丈夫です。膝枕は……授業前にはちゃんと起きていただけますか?」

彼方「起きれなかったら一緒にお昼寝しようよ~」

歩夢「ちょっと、あなたのサボりに他人を巻き込まないの。……いざとなったら私がたたき起こすから、安心しなさい」

副会長「ありがとうございます。歩夢さんがそうしてくれるなら安心です」

彼方「彼方ちゃんは安心出来ないよ~……」
 
45: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:10:03.14 ID:rZ1vMG4O
歩夢「それでかすみ、今日は何を挟んできてくれたの?」

かすみ「ふっふ~ん。今日はこれ!」

かすみ「まず、副会長さんにはかすみんイチオシ!レモン塩カスタードコッペパンです!」

かすみ「しお子にはラクレットチーズはちみつコッペパン!エマセンパイが一緒に考えてくれたの!」

かすみ「彼方センパイにはふかふかブルーベリーミルクコッペパン!ライブでお昼寝してる時のクッションみたいにやさしい食べ心地になってますっ!」

かすみ「それでぽむちゃん!ほんとはたまごハンバーグコッペパンにしようと思ったんだけど、お弁当とかぶりそうだから、デザートっぽくピーチ生クリームコッペパン!新作だよ!」

かすみ「……最後にかすみは、ときめきレインボーコッペパン!ニジガクと同好会をイメージした実験作!かわいいでしょ!」

歩夢(……)

歩夢「ええ、とっても」
 
46: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:12:55.86 ID:rZ1vMG4O
副会長「ありがとうございます。……美味しそうなだけではなくて、かすみさんカラーでかわいいですね」

かすみ「そうです!かすみんのコッペパンですからね!」

栞子「ラクレットチーズ、食べてみたかったんです……ありがとうございます!」

かすみ「しお子、チーズ好きだもんね!」

彼方「彼方ちゃんのこれ、遥ちゃんが来たときに作ってくれたやつだよね!ふかふかっていうのがすっごく気に入ったの……!かすみちゃん、また作ってっ……!」

かすみ「ええ!?食べる前から言わないでくださいよぉ~!」

歩夢「ほら、早く食べましょ。かすみのパンはお弁当のあとのデザートかしらね」

かすみ「うん!そのつもりで作ってきたよ!」
 
47: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:14:17.51 ID:rZ1vMG4O
歩夢「じゃあ、彼方の紹介からしてもらおうかしら」

彼方「いいよ~。彼方ちゃんのはこれ~。普段は卵焼きを入れてるんだけど、今日は歩夢ちゃんのが食べれるから入れてこなかったんだ~」

かすみ「彼方センパイ、これお弁当っていってもお店で買うお弁当みたいな雰囲気ですよ……」

栞子「彼方さん、さすがの料理の腕ですね……」

副会長「はい……見ているだけで美味しいことが伝わって来ます」

歩夢「さすがよね。このお弁当を毎日食べてる遥ちゃんは羨ましいわね」

彼方「おお~……歩夢ちゃんまでべた褒めしてくれて彼方ちゃん感激だよ~」

歩夢「わたしを何だと思ってるのよ。……で、その彼方が献立協力の、今日の私のお弁当はこれね」

かすみ「こっちはぽむちゃんのいつものお弁当の雰囲気ですね」

栞子「はい、とてもなじみのあるお弁当です」

彼方「歩夢ちゃんのクールなイメージとはギャップだよねえ~」

副会長「かっ、かわいいっ……!」
 
48: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:15:03.20 ID:rZ1vMG4O
歩夢「そ、そう?」

副会長「はい!だって歩夢さんが卵焼きに、ミートボールに、タコさんウインナーですよっ!かわいいですっ!」

歩夢「そ、そう……」

歩夢「なんだか、せつ菜に似てきたわね……」

栞子「私もそう思います」

彼方「同好会のみんなに熱く語ってるときのせつ菜ちゃんだね~」

かすみ「ちょっとめんどくさ……いえ、なんでもないです」

歩夢「たぶんせつ菜と同じに扱われたら何だって喜ぶだろうから大丈夫よ」
 
49: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:16:01.17 ID:rZ1vMG4O
歩夢「さ、食べましょ」

かすみ「うん!」

副会長「……では歩夢さんの卵焼きから……」

彼方「彼方ちゃんもいただくね~」

栞子「……」

かすみ「……」

歩夢「どうしたの?ふたりとも黙りこくって」

栞子「いえ、あゆねえの卵焼きにどんな反応が返ってくるかドキドキで……」

かすみ「うん、かすみも一緒」

歩夢「そういうのは自分が作ったときにやりなさいよ」
 
51: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:17:18.35 ID:rZ1vMG4O
副会長「……美味しいですっ!!!」

彼方「うん、さすが歩夢ちゃんだね~」

かすみ「やった!しお子!ハイタッチ!」

栞子「はいっ!」

歩夢「いや、それ私がやることよね」

かすみ「ぽむちゃんも一緒に3人でやろ!」

栞子「はい、したいです」

歩夢「はいはい……」
 
52: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:18:14.92 ID:rZ1vMG4O
歩夢「じゃ、彼方のもらうわね」

彼方「めしあがれ~」

歩夢「……」

歩夢「……へえ……すごいわね」

彼方「でしょ~?」

歩夢「遥ちゃんはこれを毎日食べられるのよね?……羨ましいわ……」

彼方「……歩夢ちゃんにそこまで言われるとちょっと照れるな~……」

歩夢「はいはい、もう褒めないわよ」

彼方「え~、もっと褒めて褒めて~」

歩夢「じゃあまた食べさせなさいよ」

彼方「もちろんだよ~」
 
53: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:19:05.65 ID:rZ1vMG4O
彼方「ねえ、昨日はなんの話してたの~?」

栞子「修学旅行の話ですね。主にあゆねえの」

彼方「修学旅行かあ~。この前彼方ちゃんにも話してたよね~。歩夢ちゃん、しおみんちゃんたちがいなくて寂しかったって~」

歩夢「寂しかったとは……」

かすみ「……ぽむちゃん、寂しくなかった?」

栞子「そうなんですか……?あゆねえ……」

歩夢「……寂しくなかったとは……言ってない」

彼方「ひゅー、歩夢ちゃんは本当にふたりに弱いね~」

歩夢「うるさい……」
 
54: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:20:24.64 ID:rZ1vMG4O
副会長「……あの、しおみんちゃんというのは……」

彼方「栞子ちゃんとかすみんちゃんのことだよ~」

副会長「なるほど……そういう呼び方が」

歩夢「いや、無いからね。言ってるのは彼方だけだから」

栞子「初めて聞きました」

かすみ「かすみんもです」

彼方「言ってなかったか~」

かすみ「っていうか彼方センパイ!そこでかすみんちゃんって言うなら普段からかすみんって呼んでくださいよ!」

彼方「考えとくね~」

かすみ「考えるんじゃなくて今から呼んでくださいよ~!」
 
55: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:21:26.68 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……ってことで、最後にかすみの番ね」

かすみ「うん!さ、どうぞどうぞ食べてください!」

副会長「では……」

彼方「かすみちゃんのパン、久しぶりだなぁ~」

歩夢「……」

副会長「……美味しいですっ。カスタードがたっぷり挟んであるのに、レモンの酸味のおかげでくどくならない味付け、なによりパンの香ばしさ、中のふんわりさ、これはもう職人ですよっ!」

かすみ「……あ、ありがとうございます」

彼方「いやいやかすみちゃん、副会長ちゃんの勢いに引いてるけど、これは本当に職人レベルだよ~。彼方ちゃんのクラスメイトにもここまでのものを作れる子はいないよ~」

かすみ「そ、そうですか?……ありがとうございます」

歩夢「ねえ栞子、こういうときのかすみって、声が特にかわいいわよね」

栞子「はい、ちょっと上擦っていて尻すぼみで、かわいいです」

かすみ「ぽむちゃんもしお子もやめてー!」
 
56: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:22:24.68 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……んー……やっぱりかすみの作るものは美味しいわね」

かすみ「でしょ?」

歩夢「ねえ、これ私の好みに合わせて作ってくれたでしょ。生クリームにフルーツのせてて」

かすみ「うん、学食でフレンチトーストに生クリームとカットフルーツのせて食べるのが好きって言ってたから、作ってみようと思ったの」

歩夢「やっぱりそうよね。ありがとう、かすみ」

かすみ「フレンチトーストにはできなかったけど……」

歩夢「十分よ、ありがとう」

かすみ「でも……」

歩夢「……なら、今度一緒にやってみる?」

かすみ「……いいの?」

歩夢「もちろんよ」

かすみ「じゃあやる!」
 
57: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:23:36.85 ID:rZ1vMG4O
かすみ「さ、しお子も食べて!」

栞子「はい。いただきます……」

栞子「……わっ……ラクレットチーズってすごく美味しいんですね……。はちみつがかかっているだけでスイーツになっているのもすごいです……さすがかすみさんです」

かすみ「ふっふーん。でしょ?」

栞子「はい、とっても美味しいです。ぜひまた作って下さい」

かすみ「なんならしお子もオリジナルのコッペパン作る?」

栞子「……はい、ぜひ!」
 
58: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:24:48.43 ID:rZ1vMG4O
彼方「というわけで~、美味しいごはんを食べたところで、彼方ちゃん眠くなってきたな~」

歩夢「いつものことでしょ」

彼方「ふっかふかのコッペパンを食べた後は~ふっかふかの膝枕でお昼寝したいな~」

副会長「……は、はいっ……」

歩夢「別にソファに寝かせとくだけでもいいのよ?どうせ彼方は寝るから」

歩夢(何なら床でも)

副会長「いえ、お弁当をごちそうになった身でそのような訳には……」

歩夢「……ねえかすみ、これ、私たちも何か頼んでいいわよね?」

かすみ「ぽむちゃん、悪い顔してる」

歩夢「かわいいでしょ?」

かすみ「かっこいい」
 
59: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:26:25.23 ID:rZ1vMG4O
彼方「おお~。これが副会長ちゃんのお膝……」

彼方「想像通りやわらかくてすべすべでいい気持ちだねえ~」

歩夢「あんまり暴走すると引かれるわよ」

彼方「……むぅ……」

彼方「………………」

副会長「……え、もう寝たんですか!?」

歩夢「……どうかしらね」

かすみ「………………」

歩夢「……かすみ?どうかした?」

かすみ「……かすみもぽむちゃんに膝枕してほしい」

歩夢「いいけど……」
 
60: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:27:54.09 ID:rZ1vMG4O
栞子「あっ!かすみさんズルいです!私もあゆねえに膝枕してほしいです!」

彼方「栞子ちゃんはこのあと彼方ちゃんの膝枕になるんだからダメ~」

栞子「……私も何か持ち寄るべきでした…………」

彼方「……じゃあそろそろ代わってもらおうかな~。副会長ちゃん、ありがとね~」

副会長「……はい、こちらこそお弁当ありがとうございました」

彼方「っていうことで~、栞子ちゃん、おいでおいで~」

栞子「……はい……」

歩夢「彼方、言っておくけど、栞子に変なことしたら窓から放り捨てるから」

彼方「歩夢ちゃんが言うと冗談に聞こえないよ~」
 
61: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:29:00.38 ID:rZ1vMG4O
歩夢「かすみ、どう?満足?」

かすみ「ぽむちゃん、放課後までこのままでよくない?」

歩夢「彼方みたいなこと言ってると怒るわよ。ちゃんと授業受けなさい」

かすみ「はーい……」

彼方「歩夢ちゃ~ん、彼方ちゃん、ちゃんと授業は受けてるよ~」

歩夢「それは知ってるわ。あなたの場合そういう問題じゃないのよ」

歩夢「……どう?栞子には満足した?もういいんじゃない?」

彼方「まだ一分も経ってないよ~……」
 
62: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:30:34.56 ID:rZ1vMG4O
彼方「まだまだ栞子ちゃんのお膝を堪能できてないんだ~」

歩夢「……そろそろ通報するわよ」

彼方「だから歩夢ちゃんが言うと冗談に聞こえないよ~」

歩夢「そうでしょうね。……だって本気だもの」

歩夢(遥ちゃんにだけど)

彼方「ひぃっ……!」

歩夢「……そこまで怯えなくても」

彼方「……もう彼方ちゃん静かにしてるよ~……」

歩夢「賢明ね。……かすみ、栞子の番になったら起きてね?」

かすみ「はーい」

歩夢(かすみが彼方みたいになったらどうしたら……)

かすみ「……?」

歩夢(……それはないか)
 
63: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:31:45.84 ID:rZ1vMG4O
歩夢「……あ、副会長、修学旅行で自由に選べる行き先、どこ行くの?」

副会長「まだ決めていませんね……歩夢さんはどうですか?」

歩夢「私もまだ。それも同じところにする?」

かすみ「……ん?」

副会長「……そうですね。歩夢さんにお任せします」

歩夢「分かったわ」

かすみ「……!?……ぽむちゃん!副会長さんと一緒に回るの!?」

歩夢「ちょっ……かすみ、いきなり起き上がったら危ないわ」

かすみ「ごめん!……それでどうなの!?」

歩夢「ええ、さっき誘われて」

かすみ「副会長さんはせつ菜センパイじゃないんですか!?」

副会長「今回は歩夢さんと仲良くなりたいと思いまして」

かすみ「かすみんだってぽむちゃんと一緒に行けないのに!ズルいです!!」

栞子「…………」

彼方「いたっ……」
 
64: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:33:20.85 ID:rZ1vMG4O
副会長「……ええっと……一緒に来ますか?」

かすみ「行きます!」

歩夢「いや、無理だからね?」

副会長「かすみさん、修学旅行に一緒に行けないのは……その、私にはどうしようもないのですが、歩夢さんの写真は全力で撮って送りますので……」

かすみ「…………それで手を打ちましょう」

副会長「はい……歩夢さんを魅力的に撮るコツ、当日までに教えてください」

かすみ「ぽむちゃんを撮らせたらかすみんの右に出る者はいませんよ」

歩夢(どういうコツよ)
 
65: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:35:21.57 ID:rZ1vMG4O
栞子「……かすみさん、あゆねえの膝枕はもういいですか?でしたら私が代わりますね」

歩夢「……いや、既に頭のせてる状態で言うことじゃないわよね?」

栞子「……膝枕っていいですね……」

歩夢「向こうで放置された彼方、ものすごくショック受けた顔してるけど」

栞子「自分でしているうちは分からないよさがあります……」

歩夢(聞いてない……)

歩夢「……栞子、授業までには起きなさいよ?」

栞子「はい……」
 
66: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:36:44.63 ID:rZ1vMG4O
~放課後~

歩夢(……んー、食べ過ぎたのかしらね。……眠い……)

歩夢(今日は同好会ないし……)

歩夢「こういうときは……」

歩夢「……空いてればいいんだけど」

歩夢「……設備が多くて充実してるのは便利だけど、こうも広いと移動が大変よね……」

歩夢(……見えてきた)

歩夢「学生証……」
 
67: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:38:52.74 ID:rZ1vMG4O
歩夢(うん、やっぱり空気がいいわよね。静かだし)

歩夢(……どうせほとんど読まないだろうけど、何か1冊持って行こうかな……)

歩夢(……雑誌でいいか)

歩夢(…………『これ一冊で安心!九州旅行!』『必携・近畿ツーリズム』『憧れの北海道旅行ガイド』……)

歩夢(いや、こういう図書館に置いてる雑誌ってもっと学術的な意味での雑誌じゃないの?なんで旅行雑誌?)

歩夢(……あ、でもこれは……丁度良いタイミング……なのか)

歩夢(これにしましょ)

歩夢(……さて、空いてて欲しい……もっと言えば周りに誰もいないと落ち着くんだけど……)

歩夢(……)
 
68: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:40:14.84 ID:rZ1vMG4O
歩夢(……見事にガラガラね。嬉しいけど……)

歩夢(今日も日当たりいいし……)

歩夢「……ふぅ……」

歩夢(近畿から西って行ったこと無いのよね。遠いし、テーマパークみたいな分かりやすい観光地のイメージないし)

歩夢(……いや、あるんだっけ、テーマパーク。……あ、好きに選べる行き先の中にあったか……。そういえばまだ決めてないわね)

歩夢(……あ、載ってる)

歩夢(…………)

歩夢(へえ、写真映えしそうでよさげ?)

歩夢(……意外とかすみが好きそうな雰囲気かも。……城とかあるし……)

歩夢(…………ここにしたら……来年かすみも行きたくなるかな……)
 
69: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:41:48.76 ID:rZ1vMG4O
歩夢(……ネットも見てみようかな……)

歩夢(…………随分色々とあるのね……)

歩夢(……え、住めるの?中に?)

歩夢(…………へえ…………他には……)

歩夢(……あ……チーズの専門店?……があるのね……)

歩夢(お土産にしたら……栞子も喜ぶかな……)

歩夢(……冷やしとかないといけないなら…………送れば大丈夫よね……)

歩夢(どうせなら……私の行ったところ……ふたりにも楽しんでほしいし……)

歩夢(他はどこに…………行くんだっけ……)

歩夢(………………)

歩夢(……………………)
 
70: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:42:10.18 ID:rZ1vMG4O
…………

……おかえりー!

……お帰りなさい!

……ただいま……!
 
71: (とばーがー) 2022/07/09(土) 23:45:20.02 ID:rZ1vMG4O
終わりです。ありがとうございました。

アニメ2期は最終話でかすみのネクタイ直してる歩夢とか、Infinity! Our wings!!で海底に沈んでる歩夢とか、とてもクーぽむっぽくてよかったです。このシリーズのかすみなら照れないはず。
副会長好きなので名前が付かなかったことだけ心残りです。
というわけで次回、歩夢は修学旅行へ行きます(多分)。

シリーズ過去作
歩夢「かすみ」かすみ「ぽむちゃん?」
歩夢「ブックマーク同好会?」栞子「はい…」
かすみ「ぽむちゃんの」栞子「あゆねえの」歩夢「誕生日?」

その他の過去作
遥「迷い蝶」
 
【SS】歩夢「かすみ」かすみ「ぽむちゃん?」【ラブライブ!虹ヶ咲】
1:名無しで叶える物語(とばーがー) 2021/10/17(日) 23:14:02.17 ID:dt4vf1L5 ツンデレクールぽむ×グイグイかすみん×クール(?)しおりん 立ったら ...
【SS】歩夢「ブックマーク同好会?」栞子「はい…」【ラブライブ!虹ヶ咲】
2名無しで叶える物語(とばーがー)2021/11/12(金) 23:19:18.21ID:HHsqhc9w>>9 ~通学路~ かすみ「おはようぽむちゃん!」 歩夢「おはよう、かすみ」 歩夢「かすみ、今日はあなたたちのクラスでお昼食べて、栞子をクラスに馴染ませようと思うんだけど」 かすみ「しお子を?昨日ぽむちゃんのクラスでやったみたいに?」 歩夢「そうそう」 歩夢「かすみはクラスに馴染めた?」 かすみ「うん!もう大丈夫!」 歩夢「なら良かったわ。で、あの子も多少は人見知りを治さないとね」 歩夢「まあ、栞子をみんなで囲んで、借りてきた猫みたいにすればいいのよ」 かすみ「ᶘイº⇁ºナ川」 かすみ「こんなの?」 歩夢「あなた器用ね…」
【SS】かすみ「ぽむちゃんの」栞子「あゆねえの」歩夢「誕生日?」【ラブライブ!虹ヶ咲】
コンコン 栞子「どうぞ」 かすみ「おはよ~しお子」 栞子「かすみさん。おはようございます。どうされました?」 かすみ「今度ぽむちゃんの誕生日でしょ?今回はどうしよって思って」 栞子「そういえばそんな時期ですね……」 かすみ「そう!もう3ヶ月しかないの!」 栞子「急がないといけませんね」 かすみ「今年もサプライズで、ぜったい!ぽむちゃんには気付かれないように!」 栞子「もちろんです」
【SS】遥「迷い蝶」【ラブライブ!虹ヶ咲】
「次、近江さんお願いします」 遥「…………」 「近江さん?」 遥「……近江遥です。よろしくお願いします。」 「……え、それだけ?」 遥「はい、すみません」 「……そうですか。……じゃあ次の……」 この教室にいる人間は、教壇に立つ先生以外は皆、えんじ色の陽気な制服を着ている。 その中で私ひとりが、制服と不似合いに、登校初日とは思えない程に暗い顔をしていた。  

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1657371444/

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