【SS】千歌「果南ちゃん何読んでるの？」果南「論文」【ラブライブ！サンシャイン!!】

千歌「え……論文って学者が出すあの？」

果南「そうだけど？」
　

千歌「これ、全部英語で書いてあるよ？」

果南「そりゃそうでしょ。英語が1番普及してる言語なんだから、研究成果を世界に向けて報告するなら当然英語になるよね？」
　

千歌「か、果南ちゃん……内容わかるの？」

果南「ある程度はね。さすがに大学で専門的に学んだわけじゃないから、わからない部分も多いけど」
　

千歌「嘘だ！！！！！」

果南「おわっ！？急に大きな声出さないでよ！？」
　

千歌「果南ちゃん嘘ついてるでしょ！？果南ちゃんに英語の論文なんて読める訳ないじゃん！？しかもこれ理系のなんでしょ！？」

果南「いやいや、私これでも天体観測が趣味なんだよ？天文学なんてモロに物理と数学使うし最新の動向を知るには英語論文読むのが1番なんだって」
　

千歌「じゃあ今読んでる論文の説明してみてよ！」

果南「別にいいけど、千歌に説明してわかるかなぁ？」
　

千歌「バカにして！果南ちゃんがわかるレベルなんだから私にだって理解できるよ！」

果南「わかった、そこまで言うなら説明するね？」
　

千歌「どんとこいだよ！絶対嘘を暴くんだから！」

果南「今読んでるのは、マランゴニ効果についての論文。マランゴニ効果っていうのは同一液体内で局所的な表面張力勾配が発生した場合にその自由表面が移動すること。その移動によって生じる流れをマランゴニ対流って呼ぶんだ。この論文は基礎研究だから目新しい成果とかはないんだけど、色々と面白い実験が載ってるんだ。例えばこんなのがあるよ。まず赤色102号で着色した水をリノール酸に滴下して浮かせる。あっ！きっと千歌は今、水より比重の小さいリノール酸に水滴が浮くわけないって思ったよね？でもマイクロピペットを使って極少量の体積を静かに滴下した場合、表面張力によって浮かぶんだよ？極小の水滴がリノール酸の界面に静かに滴下された場合、まずリノール酸の界面は水滴によって変形するね？リノール酸の表面積は当然大きくなるから、この時リノール酸が表面を小さくしようもしてはたらく表面張力によって水滴が浮くって訳」
　

千歌「…………えっ？か、果南ちゃんちょっと待って」

果南「ここで水滴とリノール酸の関係について確認するよ？水滴が浮かんでいる、つまり静止した状態で平面内を移動していないと言うことは力がつり合っているってこと。ここで水と空気の界面間にはたらく表面張力をγ(wa)、空気と油(リノール酸)の界面間にはたらく表面張力をγ(ao)、油と水の界面間にはたらく表面張力をγ(ow)とおくと平面のある一軸を考えた場合、γ(ao)=γ(wa)cosθ+γ(ow) の式が成り立つのは千歌なら理解できるよね？ここで水滴に対して532のNd:YAGレーザーを10mWの出力で照射する。すると赤色102号によって着色された水滴は532のレーザー光を吸収するでしょ？この時吸収したエネルギーの一部は熱に変わるんだけど、表面張力は温度に依存する関数で表されるから、さっきの式の右辺の水滴の表面張力に依存する項の値が小さくなる。するとさっきの式はγ(wa)>(γ(ao)cosθ+γ(ow)となってこの時力のつり合いがくずれて、レーザーの入射軸に対するγ(wa)の方向へ水滴が前進するんだよ！面白いよね！それで……！」
　

果南「……って千歌？聞いてる？」

千歌「」
　

花丸「か、果南ちゃん！」

果南「おっ！花丸おはよー！」

千歌「」
　

花丸「最初から聞いてたけど、おらもう我慢の限界ずら！」

果南「え？話始めた時からいたの？」

千歌「」
　

花丸「ちょうど話始めに入ってきたの！挨拶もしたのに果南ちゃんがあまりにも夢中だったから気付かなかったんだよ！」

果南「いや、こりゃ失敬」

千歌「」
　

千歌「……はっ！怒涛の語りで思わず気を失ってた！」

果南「大丈夫？だからやめといたらって言ったのに」

花丸「果南ちゃん！そんなことよりもさっきの話だよ！話を逸らそうとしたってそうはいかないよ！」
　

千歌「そうだよ花丸ちゃん！果南ちゃん絶対おかしいよ！何とか言ってやって！」

花丸「任せてよ千歌ちゃん！いい！？果南ちゃん！言わせてもらうけどね……！」

果南「お手柔らかに頼むよ？」
　

花丸「さっきの説明の中で吸収による温度上昇で表面張力が変化した結果水滴が進むって言ったけど、レーザーは吸収されて終わりじゃなくて一部は透過するはずだよね？この時レーザーが進む順番としては、油→水→油で屈折率の違う媒質を通ってる以上、水滴にはレーザーからのradiation pressure、つまり放射圧がはたらいてるはずずら！この影響は無視していいの！？」

千歌「うわあああああああ！？！？！？！？花丸ちゃんもおかしいよお！？！？！？！？！？！？」
　

「……ちゃん」

千歌「ううう……こんなの賢くないよ……いや、賢いんだけど賢くないよ……」

「千歌ちゃん！」

千歌「ふぇっ！？……梨子ちゃん？」

梨子「いつまで寝てるの？もうHR終わったよ？」
　

千歌「えっ？私寝て……？じゃあさっきのは、夢？」

梨子「さ、早く部室行きましょ？明日からテスト週間だからしばらく練習できないしね。曜ちゃんは水泳部の方に顔出してから来るって」
　

千歌「……うん、そうだね。それにしても本当に夢でよかったよ」

梨子「そう言えば起こす時もブツブツ何か言ってたね。変な夢だったの？」
　

千歌「そうだよ！とびきり変な夢で私驚きすぎて死ぬかとおもったんだから！」

梨子「そこまで言われると聞きたくなっちゃうけど……」
　

千歌「絶対やだ！思い出すのも憚られるんだから！」

梨子「そんなに！？」
　

千歌「お疲れ様でーす！」

果南「だから仕方ないって言ってるでしょ！それくらい大目に見てよ！貧乏学生なんだよこっちは！」

花丸「そんなの絶対ダメだよ！正規の手順を踏んでる人たちに申し訳ないと思わないの！？」
　

千歌「なんだなんだ！？突然！！！」

梨子「2人ともケンカはだめだよ？」

果南「あっ！千歌！梨子！聞いてよ！花丸ったらうるさいんだよ！」

花丸「そんなことないずら！絶対果南ちゃんが悪い！」
　

梨子「それで、一体どうしたの？」

花丸「果南ちゃんがs○○-h○○を使って論文をダウンロードしてるの！こんなの到底許されることではないよ！」

千歌「さ、さ○○○？何それ？」
　

梨子「えっ？千歌ちゃん知らないの？s○○-h○○って言ったら、学術論文を出版社の有料のサービスを回避して直接ダウンロードできるようにした海賊版サイトのことに決まってるじゃない」

千歌「えっ？えっ？」
　

花丸「梨子ちゃんの言った通りだよ！だからs○○-h○○の利用自体好ましくないし、そもそも著作権の侵害になるの！」

果南「そんなの分かった上で使ってるんだよ！大体22年度の月別調査だと日本では約720万回もs○○-h○○かれダウンロードされてる時点で察しなよ！」

梨子「学術論文の50パーセント以上がわずか5社によってコントロールされてるし、投稿料も高額で自分の研究なのに著作権がジャーナル側にあるというのもおかしな話よね」
　

果南「そうそう！お金が自分には入ってこないからこそ、ライセンスがあろうが無かろうが、読んでもらって何なら参考文献に入れてもらうのが一番の喜びになるの！だから世界各国でs○○-h○○に対して根強い人気がある訳だし、理念には世界的に共感できる科学者も多いからこそいまだに使われ続けてるんでしょ！？」

梨子「私も果南ちゃんと同じで賛成派かな」

花丸「そんなのってないよ！千歌ちゃん！千歌ちゃんはどう思うの！？」
　

千歌「」

梨子「あっ！千歌ちゃんが気絶してる！？」

果南「ええっ？また？最近すぐ気絶するんだからもう」

花丸「絶対果南ちゃんが悪いずら。あの時だって、あんなにすごい剣幕で捲し立てられたら誰でもそうなるよ」
　

果南「いや、つい興奮しちゃって」

梨子「もう！果南ちゃんったら！」

花丸「なんだか千歌ちゃんのせいで興が削がれちゃった。これからみんなでおすすめの論文紹介しない？」
　

果南「おっ！いいね！なら私はこの前の続きでMarangoni Burstingについての論文を……」

花丸「おらは表面プラズモンとラマン散乱の論文にするずら」

梨子「じゃあ私は共焦点顕微鏡を用いた共振周波数特性の解析に関する論文にしようかな」
　

かなりこまる「はははっ！！！！！」

千歌「」










千歌「」
　

乙
気絶っちかわいい
　

乙
久しぶりにSSで賢い果南ちゃん見れて満足
　

乙
果南ちゃん英語できてすごい
ぼくはDeepLなしで英語の論文読めない
　

どこがわからないのかなん？



　

乙です
賢い果南ちゃん解釈一致でホント好き
またサンシャインのSS書いてくれると嬉しいな