桜坂しずく(27)【長編SS】

SS


582: 2020/04/03(金) 00:12:30.38 ID:cFWpLomt
ー自宅ー

ボスン

あなた「ふーっ……まだちょっと顔赤いや」

あなた「しずくちゃんにメッセージ送ろう」

あなた「步夢ちゃんからのメッセージ1500ちょいか……。思ったより増えてないし途中で送るの辞めたのかな」


あなた「えーと、しずくちゃん、今日はありがとう。楽しかったよ、と」

あなた「…………」

あなた「…………」

あなた「…………」


あなた「既読付かないなぁ。もう寝ちゃったのかな。明日早いって言ってたもんね」

583: 2020/04/03(金) 02:23:13.63 ID:cFWpLomt
あなた(それにもう一つ気になったのが)

あなた「久々だけど返してくれるかな。というかメッセージ送れるっけ?送れたとしても通信料大丈夫!?というか向こう今何時だっけ!?」

あなた「いいや、えーい!」

あなた「…………」

あなた「あっ、既読ついた!」


?<(うわー!久しぶり!!)

?<(たまたまスマホ見てたらあなたからメッセージが来てたんだもん!びっくりしたよ!)

?<(ずっと返事無かったから心配したよー!)

   (ごめんね。エマさん)>

?<(ううん。私は気にしないよ)

?<(どうかしたの?それともお話してみただけ?)


あなた(ちょっと確かめたいことがあるんだ。勿論直接は聞かないけど)

584: 2020/04/03(金) 02:26:45.26 ID:cFWpLomt
(今日果林さんに会ったんだ)>

?<(えぇ!?果林ちゃんに会ったの!?)

(え、そんなに驚くこと?)>


あなた(エマさんも避けてるのかな)


?<(だって、私今でもたまに日本に遊びに行くけど)

?<(果林ちゃんいっつもお仕事が忙しいからって会ってくれないの)

?<(いいなー)

585: 2020/04/03(金) 02:29:59.48 ID:cFWpLomt
?<(ねぇ、果林ちゃん元気にしてた?)

   (うん!元気だったよ!)>

?<(そっかぁ。よかった)

?<(私も会いたいなぁ)

?<(すっごく忙しいんだよね 服飾のお仕事って)



あなた「えっ、服飾……?」

586: 2020/04/03(金) 02:33:11.55 ID:cFWpLomt
?<(あれ?もしもーし)


あなた「何て返そう……」


   (うん、そうみたいだね)>

   (すっごく忙しそうにしてた)>

?<(やっぱりそうだよね?果林ちゃん偉いな~)



あなた(…………)

608: 2020/04/09(木) 23:21:31.70 ID:6k+cPGQ2
>>604

ー翌日ー

入れ忘れてた

604: 2020/04/09(木) 18:41:53.12 ID:+cA0kxpx
ーーーー

果林「あら、もう来てくれたの?そんなに私の魅力にメロメロになったのかしら」

あなた「ま、まぁそんなところかな……」

果林「私が言うのも何だけど、あんまりのめり込んじゃ駄目よ?あなたお金あんまりないでしょ?」


あなた「実は今日は果林さんを誘いに来たんだ」

果林「あら、何かしら」

あなた「今度の休み、一緒にでかけられたりしないかな?」

果林「何?デートのお誘いしにきたの?それならわざわざ店に来なくたって──」

果林「あっ」

605: 2020/04/09(木) 18:47:43.83 ID:+cA0kxpx
スッ

ポチッポチッ

果林「あら、メッセージで誘ってくれてたのね。気付かなかったわ!」

あなた「…………」

果林「ほら、こういう職業だからお客さんとのメッセージのやり取り多くって。それで埋もれちゃってたみたい!」

あなた「そうだったんだ」

606: 2020/04/09(木) 18:58:52.47 ID:+cA0kxpx
果林「それでどこにデートに行くの?」

果林「私とデートなんて、常連のお客さんでもそう簡単にはできないんだから。良いところなんでしょうね?」

あなた「ほら、覚えてるかな。高校生の時一緒に動物園に行ったじゃない?」

あなた「あの動物園にまた行こうよ。調べたけど、今パンダに餌やりできるんだって!」
 
果林「え、それ本当!?」バッ

果林「あっ……///」

607: 2020/04/09(木) 19:08:18.89 ID:+cA0kxpx
あなた「果林さんすっごく綺麗になってびっくりしたけど、中身は変わってないね。なんか安心したよ」

果林「もう、からかわないでよ……」

あなた「ごめんごめん、でもさっきの果林さんすっごく可愛かったから」

果林「それなら、今度はこっちがキミをからかっちゃおうかしら」

あなた「え……?」

果林「折角またここに来たんだから。ここは何をする場所か分かるでしょ?」

果林「時間はたっぷりあるんだから、今日は今日で楽しみましょう?」


ーーーー

612: 2020/04/11(土) 05:09:07.62 ID:z1JOZGtf
果林「うわー!!!見て見て!私の笹をパンダが食べてるわ!!」

果林「ねぇ、ちゃんと動画撮ってる!?」

あなた「バッチリ!」

果林「あとで送ってね!ふふっSNSに上げちゃおっと!」

あなた(果林さんすっごく可愛いな)

あなた(それ故に昨日とのギャップが///)

613: 2020/04/11(土) 05:11:17.78 ID:z1JOZGtf
果林「もう、キミってばまたパンダじゃなくて私を見てる」グイッ

あなた「わっ///」

果林「私に見とれてくれるのは嬉しいけど、今日の主役はパンダでしょ?ほら、今度はあなたの番よ!」

あなた「あっ、うん!」

614: 2020/04/11(土) 05:12:20.40 ID:z1JOZGtf
あなた「わっ、凄い凄い!食べてる!」

カリカリカリ

カリカリカリ

あなた「ねぇ、これ大丈夫かな……。手まで食べられちゃわない?」

果林「パンダは草食だし大丈夫じゃない?」


飼育員「お姉さん達、実はパンダは草食じゃないんですよ」

果林「え?」

飼育員「パンダはクマ科に分類される肉食性の強い雑食動物の仲間なんです。だから人間の肉なんてペロッと食べちゃいます」

あなた「ちょっと」

615: 2020/04/11(土) 05:13:01.11 ID:z1JOZGtf
飼育員「そちらのお姉さんの時は運が良かったですが、お姉さんはどうでしょうか」

あなた「パンダの口どんどん近づいてくるんだけど!」

飼育員「運悪く食べられちゃわないといいですね」フフッ

あなた「助けて果林さん!!」

パクッ

あなた「ぎゃー!!」







飼育員「はい次の方どうぞー」

あなた「…………え?」

616: 2020/04/11(土) 05:13:52.16 ID:z1JOZGtf
飼育員「すみません、ついからかっちゃいました。安全性は勿論配慮してますので大丈夫ですよ~」

あなた「な、なんだぁ……」フラッ



果林「キミってば凄くいい顔してたわよ?ほら!」

あなた『ぎゃー!!』

あなた「撮ってたの!?」

果林「この動画どうしよっかな~」

あなた「ちょっ、果林さん消してよ~!」

620: 2020/04/12(日) 03:47:36.78 ID:fpiwt+7A
果林「ふぅ、ごめんね。一日中動物園に付き合わせちゃって。他の所行けなかったわね」

あなた「全然気にしてないよ!その分いっぱい動物見れたもんね!」

果林「誰かと動物園なんてホントにあの時以来だわ。楽しかった、今日はありがとうね」ニコッ

あなた「う、うん///」ドキッ

 
ふと先日キャバクラで果林さんと話していたときの事を思い出す。

あなた(今日の果林さんはこの前キャバクラで話した時と違って過剰なアピールも無く、素の果林さんって感じだった)

あなた(やっぱりお仕事で話すのとプライベートで話すのとは違うのかな。…………って当然か)



女性同士でもあんなにアピールするものなのか。女の私でもドキドキしたんだから、私が男性だったらもーっと嬉しいんだろうな。

キャバクラは客に恋愛感情を抱かせてお金を使わせるのが仕事だってどこかで見たけど、女性でもキャバクラの女の子に恋愛感情を抱く人がいるのかな。

621: 2020/04/12(日) 03:56:24.76 ID:fpiwt+7A
あなた「あ、果林さん」

果林「なに?」

あなた「この後まだ時間ある?ちょっと2人きりで話したくて……」

果林「あら、あらあら?お姉さんにお誘いかしら!」

あなた「別に、普通に話がしたくて」

果林「もう、釣れないわね」


あなた「場所はどこがいいかな……あ、いいバー知ってるんだ。落ち着いててあんまり人もいないからそこで──」

あなた「………………」

あなた「いや、やっぱり今の無しで」

果林「え、やめるの?中々良い場所だと思ったけど」

あなた(あれ、何で今無しなんて言ったんだろう)

あなた(しずくちゃんと何回か話してる場所で慣れてる場所なのに)

622: 2020/04/12(日) 04:07:46.08 ID:fpiwt+7A
果林「あ、それならあそこなんてどう?」

あなた「え、どこ?」

スタスタ

果林「ここ、ここ!」


あなた「休憩5000~、宿泊8000~」


あなた「…………」


あなた「ここラブホテルじゃん!エ チするところじゃん!」

果林「あら、お姉さんとは嫌かしら」

あなた「いや、私女だし!」

果林「女の子同士だってするわよ?」

あなた「…………果林さんはするの?」

果林「さぁ、どうかしら」

623: 2020/04/12(日) 04:14:17.16 ID:fpiwt+7A
果林「冗談はともかく、1度やってみたかったのよね、ラブホ女子会!」

あなた「あ、よかった。そういう」ホッ

果林「他に良い場所も無いなら、折角だからここにしましょ?」

あなた「うん、まぁ変なコトしないならいいよ……」

あなた(私もラブホ女子会はちょっと興味あるし……)

果林「もしそういう雰囲気になったらキミのこと味見しちゃおうかしら」

あなた「もう!どっち!?」

629: 2020/04/13(月) 01:32:35.61 ID:R+CSpevu
ガチャッ

あなた(結局入っちゃった……)

果林「ふー、疲れた」ドサッ

果林「早く入りたいから、お風呂貯めてくるわね」

あなた「うん」

果林「どうする?一緒に入る?」

あなた「え?」

果林「興味ない?私のボディ。あの頃より更に魅力的になったと思うし、ちゃんと普段見えないところまでお手入れしてるのよ?」

あなた「いやいやいや!一緒には無理……!別々でいいから///」

果林「もう、恥ずかしがることないのに。友達なんだし、何より女同士なんだから」

あなた「無理無理!」

果林「そんなに否定されると流石にちょっと傷ついちゃうわ」

あなた「あ、ごめん……」

あなた(いや、それでもロクに手入れしてない私が、ちゃんと手入れしてる果林さんと一緒に入るとか絶対無理!!)

630: 2020/04/13(月) 01:38:23.20 ID:R+CSpevu
ーーーー
 
あなた(ふぅ……温まった)ポカポカ


あなた「お待たせ」

果林「あら、早かったわね。宿泊にしてるから時間は気にしなくて大丈夫よ」

あなた「大丈夫。ちゃんとしっかり浸かったから」

果林「そう?それなら早速女子会始めましょうか」

あなた「女子会もいいんだけど、まずは果林さんと話したいことがあって……」

果林「そういえば2人きりで話したいから、ここに泊まるって話になったんだったかしら」

631: 2020/04/13(月) 01:39:08.12 ID:R+CSpevu
あなた「この楽しい雰囲気の中で言うのも悪いんだけど……」

果林「いいわ、話してみて」

あなた「それじゃあ言うね」


あなた「…………」スゥゥ


あなた「…………果林さん、キャバクラのお仕事は本当に果林さんのやりたいことなの?」


果林「…………」


果林「え?」

634: 2020/04/13(月) 04:51:37.74 ID:R+CSpevu
果林「まさか話ってそれ?」

果林「なに?そんなこと言うために今日連れ出したの?」


あなた「そうなるかな……。一緒に動物園行きたかったのもホントだけど」


果林「はぁ……」

636: 2020/04/14(火) 05:07:14.59 ID:bgVovXpw
果林「知ってる?こういう話、嬢からは迷惑でしかないのよ。お説教なら勘違いしたお客さんに散々されたわ」

果林「お店で言わなかったかしら?私はこの仕事にやりがいを感じてる」

果林「自分の魅力をアピールしてお客さんの心を掴む。形は違えど、スクールアイドルをしていた頃と本質は変わらないと思ってる」

果林「引け目は感じてないし、後悔はしてない。だって私は今、皆の期待に応えられているから!」


あなた「それは果林さんの本心?」

果林「どっ……どういうことよ」

637: 2020/04/14(火) 05:08:53.10 ID:bgVovXpw
あなた「昨日エマさんと話してて偶然お仕事の話になってね」

果林「エマと!?」

あなた「もちろん本当の事は話してないよ」

あなた「エマさん服飾の仕事してるって思い込んでた。引け目を感じてないならどうして嘘なんてつくの?」

果林「それは……」

あなた「それに、私からのラインもブロックしてたよね」

果林「なっ、何を根拠に……!」

638: 2020/04/14(火) 05:09:39.92 ID:bgVovXpw
あなた「お店で果林さん言ったよね。『メッセージで誘ってくれてありがとう』って」

あなた「私、お誘いのメッセージは送ってないんだ」

果林「えっ」

あなた「既読が付かないのを見て直接お店に行こうって思ったからね。ブロックって解除してもブロック中のメッセージは見えないんだよね?それで話を合わせようとしてるのがなんとなく分かったんだ」

果林「……そうよ、ブロック……してたわ」

639: 2020/04/14(火) 05:12:43.81 ID:bgVovXpw
果林「そのことはごめんなさい。夜のお仕事について皆に対して引け目を感じてたのは本当よ」

果林「でもそれがなに?そんなに私のことを論破してなにがしたいの?私を笑いたいの?優越感にでもひたりたいの?」

あなた「違うんだよ」

果林「何が違うっていうの!?」

あなた「余計なお節介もしれない。でも果林さんには他にやりたいことがあるんじゃないかって」

果林「……どうしてそう思うの?」

640: 2020/04/14(火) 05:13:35.38 ID:bgVovXpw
あなた「エマさん、果林さんは服飾の仕事で忙しいって言ってた。もしかしたらこれが果林さんの本当にやりたいことなんじゃないの?」


果林「……誰かが仕事っていうのは人の嫌がることをすることって言ってたわ。皆が皆自分の好きな事を仕事にできるわけじゃないのよ」

あなた「分かるよ。実は私、お店では言わなかったけど、アーティストの仕事してたんだ。」

果林「そうだったの?」

あなた「うん、ずっとやってるから芽が出ないままだったんだけどね。だから自分のしたい事が必ずしも仕事に結びつかないことは何となく分かってる。本当の事を皆に言いづらいのも……」

果林「そうだったのね。キミも……」



果林「…………」

641: 2020/04/14(火) 05:14:55.50 ID:bgVovXpw
果林「丁度良い機会かもしれないわね……。私も本当のことを話すわ」



果林「卒業した後モデルとしてやっていこうと思ってたんだけどね、本業は読者モデルをやってた頃と違って周りも綺麗な人ばっかりで、私なんてすぐに埋もれちゃったの」

果林「それでモデルを辞めた後何しようかなーって考えて、服飾の専門学校に行こうと思ったの。昔からファッションには興味あったから」

果林「そのための学費を稼ぐためにバイトでもしようかと思ってた所に丁度今のお店に声をかけられてね。それからお店で大金を稼ぐうちになんだかまた学校に行って、モデルと同様売れるかどうかも分からない仕事を目指すのがアホらしくなっちゃったの」

642: 2020/04/14(火) 05:16:52.45 ID:bgVovXpw
果林「キャバクラって凄い稼げるのよ。月に100万を越えることもあったわ」

あなた「100万!?それはアホらしくもなるかも……」

果林「最近は歳のせいか売り上げも徐々に落ちてきたけどね。もうすぐ30よ私」

あなた「今も果林さんは綺麗だよ?」


果林「ありがとう。キミに言われるとお世辞でも嬉しいわ」


果林「このままずっとこの仕事をするのは無理だって何となく察してきたんだけど、今更他のお仕事できる気もしないし。どうしようかなって丁度考え始めた所だったの」

果林「こんなこと話したのキミが初めてよ。聞いてくれてありがとうね。なんだか少し楽になったわ」

あなた「ねぇ果林さん」

果林「なに?」

あなた「もう少し付き合って欲しいところがあるんだけどいいかな?」

果林「?」

643: 2020/04/14(火) 05:23:10.63 ID:bgVovXpw
ーーーー



ーチューリッヒ空港ー

「久しぶりに会えるなんて楽しみだな~。2人とも元気にしてるかな?」ルンルン



あなた「この辺りにいるはずだけど……。果林さんは手離さないでね?3回もはぐれたんだから」

果林(29)「申し訳ないわ……」

あなた「えーと……あ、いた!」

あなた「おーい!」ブンブン



「あ!いた」


エマ(29)「チャオ~!会いたかったよ~!!」

651: 2020/04/16(木) 05:37:49.45 ID:n/qaOtPY
あなた(28)「わっ……わっ……」

あなた(28)「うわぁぁエマさぁん!!」バッ

エマ(29)「わっ……。ふふ、あなたってば子供みたい。よしよし」ナデナデ

エマ(29)「あの頃と変わらないね。何だか懐かしくなっちゃう!」

あなた(28)「うぅ……癒される~」

652: 2020/04/16(木) 05:46:10.80 ID:n/qaOtPY
あなた「急に連絡してごめんね。急遽行くことになって」

エマ「それくらい大丈夫。あなたは昔から思いついたら即行動!って感じだったし」

エマ「それよりずっと連絡しても返事が無かったのはどうして?私心配したんだよ?」

あなた「うっ……。それにはちょっと事情があって……。後で話すよ」


エマ「それから果林ちゃんも!」ヒョイヒョイ

果林「え?」

エマ「なでなでしよっか?」

果林「私もうすぐ三十路よ!流石にこんな歳でそんな子ども扱いは……」

エマ「そっか、そうだったよね。ごめんね果林ちゃん……」シュン

果林「あっ……」

果林「そうよ……もうエマがいなくても私は大丈夫なんだから」

653: 2020/04/16(木) 06:01:53.67 ID:n/qaOtPY
あなた(エマさん、あの頃もとってもグラマラスだったけど、更に大きくなってて癒しのパワーがリミットブレイクしてるよ……)

あなた(体つきもどっしりしてるし、正にお母さんって感じ。こんなの胸に飛び込みたくならない方がおかしいよ!)


エマ「でもあなたと果林ちゃんに久しぶりに会えて嬉しいよ!2人とも最後に会ったのは高校卒業した時かなぁ」

あなた「あ、果林さんとも会ってなかったんだ」

エマ「うん、だから果林ちゃんと今日会えるって聞いたときはもう嬉しくって!」


果林「たまたまお休みが貰えてね。今までは忙しかったのよ。色々と……」


あなた「果林さん……」

果林「大丈夫…………後でちゃんと話すわ」

エマ「?」

659: 2020/04/18(土) 02:15:13.71 ID:x3040EJw
ーーーー


あなた『ねぇ果林さん、もう少し付き合って欲しいところがあるんだけどいいかな?』

あなた『実は私もちょっと前まで皆のこと避けてたんだ。メッセージも見て見ぬふりして』

果林『えっ、あなたもだったの?』

あなた『さっきアーティスト目指してたって言ったよね。それで芽が出ないまま落ちぶれて皆に合わせる顔が無いと思ってて』

あなた『でもあることをキッカケに今私、皆に会っていってるんだ。』

果林『どうして?』

あなた『1つは皆に今まで避けてた罪悪感を感じてたから、それを解消しようと思って。皆と久々に会うのは楽しかったし、皆こんなのになった私を受け入れてくれて嬉しかったよ』


あなた『もう1つはあの頃、皆といた時はなんであんなにいい曲を作れたのかなって考えたんだ。そしたら、皆といたからじゃないかって言われてね』

あなた『皆に会えばあの頃のトキメキを思い出して何かが変わってもう一度いい曲を作れるようになるかもしれないって思って』

660: 2020/04/18(土) 02:15:43.08 ID:x3040EJw
果林『確かに、あなたも何となく私と似たような状況なのかもしれないわね』

果林『それで、もう少し付き合って欲しい場所って?』

あなた『スイス』

果林『ス……スイス!?』

果林『それってまさか……』

あなた『私エマさんにも会おうと思ってるんだ。果林さんにも一緒に来て欲しい』

果林『スイスって、そんな簡単に……。いや、あなたの行動力がおかしい事はよく知ってるけど』

661: 2020/04/18(土) 02:18:17.60 ID:x3040EJw
果林『そもそも何で私も一緒なの?あなた1人で行けばいいじゃない』

あなた『果林さん、これからどうしようか悩んでるで言ったよね』

あなた『だったらエマさんと会って1度本当の事を話してみようよ』

果林『エマに……そんな今更本当の事なんて言えるわけ……』

あなた『私に話したように楽になると思うよ。それに、これからの事が何か見えてくるかもしれない。少なくとも私はそう信じて今行動してる』

あなた『しずくちゃん、かすみちゃん、彼方さん、せつ菜ちゃん、それから果林さん』

あなた『まだ具体的には決まってないけど、でも少しずつ見えてきてる。そんな気がするんだ!』

662: 2020/04/18(土) 02:20:07.16 ID:x3040EJw
果林『それに何で直接会いに行くの?話をするだけならスマホでだって』

あなた『対面とビデオ通話は全然違うよ。ちゃんと直接会って話さなきゃ!』


果林『しかもスイスって私はともかくあなたお金は大丈夫なの?』

あなた『それは……長期滞在しなければ貯金からギリギリ……』

あなた(貯金無くなる前にギリギリバイトすれば……)


果林『…………スイスへ行くのなら1日や2日の休みじゃ無理でしょ?私お店があるんだけど』

あなた『そこを何とか!果林さんが悩んでるなら、私何とかしたいんだ!』

あなた『それが私と同じような状況なら尚更!』



果林『…………はぁ。相変わらずキミってばお節介ね。頼んでもいないのに』

663: 2020/04/18(土) 02:21:11.82 ID:x3040EJw
果林『分かった。私も今のこの状況を変えたいもの。あなたの事を信じるわ』

あなた『それじゃあ!』

果林『私もスイスに行くわ。それでエマに今まで嘘ついてたこともちゃんと話す。一旦、先のことについて少し考えてみるわ』

果林『ちょっと怖いけど、あなたも付いていてくれるのよね』

あなた『もちろん!』

果林『よろしくお願いするわ』


果林(良い機会なのかもしれない。今のままじゃ、先の問題から逃げてぼーっと生きていただろうし)

果林(それに多分私1人じゃ本当の事を言い出す勇気なんて出ないと思うから──)


ーーーー

687: 2020/04/26(日) 02:06:45.46 ID:3Kml22/5
エマ「2人ともお疲れのところ悪いんだけど、もうすぐ鉄道が来る時間なの!ちょっとだけ急いでもらえると助かるんだけど……」

あなた「あ、うん!果林さん!」

果林「分かったわ」






あなた「え、これ特急?」

エマ「ん?スイスの鉄道に特急は無いよ?」

あなた「あ、そうなんだ」

あなた「それでこの値段は……」

エマ「高い?」

あなた「うん……」

688: 2020/04/26(日) 02:08:53.48 ID:3Kml22/5
エマ「スイスはね、世界一物価が高いって言われてるんだよ。」

あなた「世界一!?」

エマ「日本に来たときはびっくりしたよ。東京の電車賃がすっごく安かったから!」

あなた「へ、へぇ、スイスってこんなに物価高いんだ。全然知らなかった……」

果林「そんなに高いかしら。確かに日本の電車よりは高いかもしれないけど」

あなた「果林さんはもうちょっと金銭感覚直した方がいいと思う」

果林「え?」

689: 2020/04/26(日) 02:13:03.97 ID:3Kml22/5
エマ「他の国からの旅行者向けにお得な切符も売ってるんだけど、それは買わなかった?」

あなた「そんなのあったんだ……」

果林「この子ったら急にスイス行くって言い出したから、私達ロクに下調べもしてないのよ。向こうにはエマもいるしなんとかなるって」

エマ「へぇ。なんというか、ムボーだね」

あなた「うっ」

エマ「あなたらしい!」ニコッ

あなた(これは本来の意味で言われてるのか、それともエマさんが微妙にニュアンスを間違えてるのか……。後者であって欲しい!)

691: 2020/04/26(日) 22:46:52.15 ID:3Kml22/5
あなた「これお金足りるかな……」

果林「もう、もしもの時は私が出してあげるから早く乗るわよ!」ヒソヒソ

あなた「ほんとにごめん果林さん……!」ヒソヒソ



エマ「買った?これに乗るよー?」


あなた「今行くよ!」


ーーーー

692: 2020/04/26(日) 22:50:23.16 ID:3Kml22/5
あなた「ふー疲れた」ボスンッ

果林「案外スイスの電車も悪くない乗り心地ね」


あなた「そういえば改札は?通ったっけ」

エマ「スイスには改札が無いの。その代わり車掌さんが見回りに来て切符の確認をするんだ」

あなた「へぇ。なんか昔の日本もそんな感じだったんだっけ」

693: 2020/04/26(日) 22:52:54.68 ID:3Kml22/5
あなた「ね、やっぱり電車の中からでもスイスの景色いっぱい見える?」

エマ「もちろん!緑がいっぱいみられるよ!」

あなた「うわぁ~やった!すっごく楽しみ!!」

果林「もう、はしゃぎすぎよ?」

あなた「だってスイスだよ?エマさんがずっと自然が綺麗って言ってたし。1度見てみたかったんだよね!」

果林「キミってば子どもみたいにはしゃいじゃって」

694: 2020/04/26(日) 22:59:11.86 ID:3Kml22/5
エマ「果林ちゃんたら、子どもだなんて」

果林「まるで私達、家族みたいね」

果林「キミが子どもで、私がお父さん。エマがお母さん、なんて」

エマ「えー、果林ちゃんがお母さんじゃないの?」

果林「だって今のエマ、すっごく母親らしいもの。元々お母さんって感じではあったけど」

エマ「果林ちゃんも美人なお母さんって感じだけどなぁ。んー、でもホントにお母さんになったからかな?」

果林「そうそう、去年4人目が生まれたんだったかしら?」


あなた「え……?」

695: 2020/04/26(日) 23:02:24.49 ID:3Kml22/5
あなた「え……お母さん……?子ども……?」

果林「何よ、ハトが水鉄砲喰らったみたいに」

あなた「それは豆鉄砲……」

あなた「じゃなくて!子どもって?4人って!?」バッ

果林「え!?何にそんなに驚いてるの!?」

あなた「え、エマさんが結婚……?そんな……」

果林「大丈夫?目の焦点が合ってないけど」ブンブン

696: 2020/04/26(日) 23:07:29.61 ID:3Kml22/5
あなた「ごめん……気持ちの整理が追いつかない……」

あなた「しばらく景色みておく……」プイッ

エマ「大丈夫?」

果林「そんなに取り残されたのがショックだったのかしら。私は結婚してないけど」

エマ「果林ちゃんは結婚しないの?」

果林「いい人がいればね。それに私は1人で生きていくって決めてるから」



ーーーー

702: 2020/04/28(火) 23:09:34.86 ID:B2Q3sR+f
ガタンガタン 

果林「それにしても緑と青が凄く鮮やかね。早々以上でびっくりしちゃったわ!」

エマ「でしょー?気に入ってくれてよかった!1度スイスの自然を同好会の皆に見て欲しいって、ずっと思ってたんだ!」

果林「ねぇ、そろそろ落ち着いたかしら?キミも見てみなさいよ!今すっごく綺麗な所よ!」



あなた「…………」



果林「おーい」



あなた「スゥ…………」



果林「寝ちゃってるみたい」フフ

エマ「飛行機長かったもんね、仕方ないよ。寝かせておいてあげよう?」

果林「私以上にスイスの景色を楽しみにしてたのに、勿体ないわね」

707: 2020/04/29(水) 00:52:10.98 ID:2QgbBY5J
>>702どうでもいい間違い……


早々→想像

703: 2020/04/29(水) 00:39:10.99 ID:2QgbBY5J
エマ「果林ちゃんは?」

果林「え?」

エマ「果林ちゃんも疲れてるんじゃない?」

果林「私は……飛行機の中で寝たから大丈夫よ」

エマ「でも疲れてるでしょ?日本とはかなり時差もあるし、遠慮しなくてもいいんだよ?」


エマ「ほら、膝枕!」ポンポン


果林「あ……」

704: 2020/04/29(水) 00:42:42.58 ID:2QgbBY5J
ーーーー


エマ(17)『果林ちゃん!はい、膝枕!』

果林(17)『もう、いつも言ってるじゃない。子ども扱いしないでって!』

エマ『してないよ~。さっき他の皆は膝枕したのに、果林ちゃんだけ断ってたから』

エマ『ほら、今なら誰も見てないよ~』

果林『……………』

キョロキョロ

果林『じゃあちょっとだけ……』

エマ『うん!いっぱい甘えてね!』


ーーーー

705: 2020/04/29(水) 00:44:34.16 ID:2QgbBY5J
果林「……もう私は立派な大人なんだから、子ども扱いしなくて大丈夫よ」


エマ「あっ……そうだよね」

エマ「果林ちゃんあの頃よりもすっごく綺麗になってるし、もうすっかり大人の女性って感じだもんね」

エマ「ごめんね子ども扱いしちゃって……」


果林「別にいいわよ。気にしてない」

706: 2020/04/29(水) 00:45:09.38 ID:2QgbBY5J
ガタンガタン



果林「…………」


エマ「…………」シュン


果林(はぁ…………)

713: 2020/05/01(金) 09:05:07.05 ID:tyQ6dgK7
ーーーー
 
エマ「ねぇ、そろそろ着くよ。起きて~」ユサユサ

あなた「……はっ!!」ビクッ

あなた「あれ、天界との頂上決戦は……?大天使エマリエルは……?」

果林「一体どんな夢見てたのよ……」

714: 2020/05/01(金) 09:11:23.72 ID:tyQ6dgK7
あなた「ってもう外暗い!窓から景色いっぱい見ようと思ってたのに!」

果林「ちょっと落ち着きなさいよ……。まぁ、確かに景色は綺麗だったけど」

あなた「いいな!なんで私寝ちゃったんだろう……」

エマ「ごめんね。疲れてると思って起こさなかったんだ」

果林「窓からの景色なら帰りも見れるでしょ?」

あなた「言われてみればそうだね」



あなた「…………」



あなた「エマさんが結婚……」

果林「だから落ち着きなさいってば!」

715: 2020/05/01(金) 09:19:05.73 ID:tyQ6dgK7
ー市街地ー

あなた「へぇ、意外とお店とか家とか建物色々あるんだね」

果林「私もスイスっていうとなんとなく自然!みたいなイメージだったわ」

エマ「私が育った場所は自然に囲まれたところだけど、そういう場所ばかりじゃないからね」

エマ「でもここも日本の都市と比べたら自然に囲まれてるでしょ?」

エマ「あ、別に日本の事を悪く言ってる訳じゃないよ!?私は日本の都市も大好きだし!」

あなた「言わなくても分かってるよ!」

エマ「今日はもう遅いし、また明日案内するね。私の家はここから少し進んだ山道を登った所にあるよ!」

716: 2020/05/01(金) 09:26:39.60 ID:tyQ6dgK7
あなた「エマさん……いつ着くの……?」ハァハァ

エマ「あともう少し!頑張って?」

あなた「それさっきも聞いた……」

果林「中々……いい運動に……なるんじゃない……?」ハァハァ

エマ「2人とも大丈夫?」

エマ「ほら、マイナスイオン放出~~」フリフリ


あなた「うわぁぁぁぁ!!!」


あなた「よーし、癒された!!」

果林「キミほんとそれ好きね……」

717: 2020/05/01(金) 09:32:42.03 ID:tyQ6dgK7
エマ「ほら、見えてきたよ!」

あなた「ほんとだ。何件か家があるね」

エマ「あそこの1番右の建物だよ」


あなた「あそこにエマさんの旦那さんが……」

果林「エマの旦那さんってどんな人?」

エマ「とっても優しい人だよ~」

果林「エマが言うなら相当なんでしょうね」


あなた「よーし!一言文句言ってやる!!」

果林「まだ言ってるわ……。くれぐれも失礼のないようにしてよ?」

719: 2020/05/01(金) 09:42:09.36 ID:tyQ6dgK7
コンコン

ガチャッ

あなた「すみません!エマさんの旦那さんはいますか!?」

ガタイのいい筋肉質の長身男「~~~~~~~~~~~~~!!!」

ガタイのいい筋肉質の長身男「~~~~~~~~~!!」ハッハッハッ


あなた「」


果林「文句の1つでも言ってやるんじゃ無かったの?」

あなた「いや無理……デカいし強そうだし、何言ってるか分かんないし……」

果林「スイス語全然分からないから私も何言ってるのか分からないわ」

エマ「スイス語は無いよ果林ちゃん。スイスでは4つの言語で話されてて、この辺りはイタリア語だね」

果林「も、勿論分かってたわ……!」

720: 2020/05/01(金) 10:07:43.63 ID:tyQ6dgK7
エマに似てる女性「チャオ!」

エマ「エッコミ クゥワ!」

果林「この人は?」

エマ「この子は私の妹、アンナ!」

果林「エマの妹も胸が大きいのね……。流石だわ」ジーッ

エマ「もう、あんまり変なこと言っちゃダメだよ!アンナも日本語分かるんだから」

アンナ「初めまして!」

あなた「うわっ日本語だ!」

アンナ「私も日本大好きですから。お姉ちゃんほど上手じゃないけど」

あなた「いやいや、完璧だよ!」

721: 2020/05/01(金) 10:12:16.66 ID:tyQ6dgK7
エマ「ごめんね、子ども達のめんどう任せちゃって」

アンナ「気にしないで!お姉ちゃんにはいっぱいお世話して貰ったから、今度は私の番!」


あなた「ん?」

小っちゃい子ども「~~~……」

エマ「あ、マリアはまだ起きてたのね」

アンナ「うん、もうちょっと起きてたいって」

722: 2020/05/01(金) 10:16:04.36 ID:tyQ6dgK7
マリアと呼ばれた少女「~~~~……」

エマ「ーーーーーー!」

果林「なんて言ってるのかしら」

エマ「知らない人が来てビックリしてるみたい」

エマ「一応2人が来ることは事前に言ってあったんだけど、違う国の人だし流石にちょっと怖いのかも」

トコトコ

あなた「ん?」

マリア「~~~~カリン!!?」キラキラ

エマ「え?」

果林「わ、私の方によってきたわ。なんて言ってるのかしら……。私の名前を言ったのは何とか分かったけど」

728: 2020/05/02(土) 02:02:01.27 ID:nijiNPO3
果林「えーと……チャオ?」


エマ「『本物のスクールアイドル果林さんですか!?』って」


マリア「ーーーー!?」


エマ「あれ、マリアにスクールアイドルのDVD見せたことあったっけ?」


エマ「~~~~~」

マリア「ーーーーーーー!!」


エマ「『お母さんの棚から見つけて自分で見た!』って」

729: 2020/05/02(土) 02:09:04.82 ID:nijiNPO3
果林「一々エマに翻訳してもらうのも悪いわね……。かといってイタリア語なんて分からないし……」

あなた「翻訳アプリ使えば?エマさんの訳を聞く限り大体合ってると思うよ」

果林「流石ね、私も後で入れようかしら」

果林「ねぇ、ちょっと私にも見せて貰っていい?」


エマ『いつか見せようかなとは思ってたけどいつの間に……』

アンナ『お母さんの棚勝手に触って怒られるかと思っていままで黙ってたの。ごめんなさい』

730: 2020/05/02(土) 02:13:07.78 ID:nijiNPO3
>>729
アンナ→マリアです……

731: 2020/05/02(土) 02:16:48.35 ID:nijiNPO3
マリア『いっぱいDVDがあったから、気になって幾つか再生してみた』

マリアその『中にたまたま日本のスクールアイドルに出会って、それからもう夢中になっていっぱい再生した!
若い頃のお母さんも映っててビックリした!』

マリア『スクールアイドルのDVDは全部見たよ!いっぱい日本のスクールアイドルが映ってたけど、やっぱり果林ちゃんが1番格好良かった!!』

果林「わ、わたし?」

あなた「確かに格好いい系は私も果林さんが1番だと思うな」

果林「もう、キミまで……」

732: 2020/05/02(土) 02:24:23.00 ID:nijiNPO3
果林「海外にまで私のファンがいるなんてビックリしたわ。しかも、もうかなり前の話なのに」


マリア『私、果林ちゃんがとっても大好きなの!だってだって、すっごく格好いいもん!!』

マリア『ねぇ、いつか私も果林ちゃんみたいなスクールアイドルになれるかな!?』


果林「あら、道のりは厳しいわよ?このスタイルを維持するのも結構大変なんだから」

マリア『うわぁ~色々教えて!!』

733: 2020/05/02(土) 02:33:00.43 ID:nijiNPO3
エマ『はい、そこまで!気持ちは分かるけど、もう寝る時間だよ?』

マリア『え~まだいいでしょ?』

エマ『果林ちゃんなら明日もいるから。それに明日も学校でしょ?』

マリア『え~でも~』

果林「まだ夜の8時じゃない。ちょっと早くない?」

エマ「スイスでは子どもは早く寝るの。大体8時前には寝てるよ」

果林「へぇ……。寝る子は育つって本当なのね……」ジーッ

エマ「?」ドーン

マリア「?」ドーン

734: 2020/05/02(土) 02:37:26.30 ID:nijiNPO3
アンナ『お姉ちゃん、私料理の準備するからマリア寝かしつけてきなよ』

エマ『お願いしていい?』

果林「私もいくわ。私が言った方がよく聞きそうじゃない?」

エマ「果林ちゃん……ありがとう」


あなた「私も何か手伝った方がいいかな?アンナさん」

アンナ「お姉ちゃんのお客さんに手伝わせるわけにはいかないよ。席についてゆっくりしておいて?」

あなた「あ、はい……」

735: 2020/05/02(土) 02:37:39.08 ID:nijiNPO3
あなた「…………」

ガタイのいい長身男『ようこそ!エマの友達だね?歓迎するよ!』ハッハッハッ

あなた(気まずい……)

736: 2020/05/02(土) 02:44:23.66 ID:nijiNPO3
マリア『ねぇママ、まだ眠くない~』

エマ『そんなこと言って、トロンとしてるよ?』


果林『ねぇマリアちゃん?』

マリア『果林ちゃん!』

果林『このスタイルの秘訣は、健康的な生活習慣のおかげでもあるの。特に子どものウチは早く寝ないとスタイルよくなれないわよ?』

マリア『果林ちゃんみたいなスタイル……!』

果林『それに夜更かしはお肌に悪いからもう今日は早く寝ましょう?』

マリア『綺麗なお肌……!』パンパン

果林『今日は早く寝て、明日学校行って、帰ってきたらいっぱいお話しましょう?』

マリア『うん!私早く寝るね!お休み果林ちゃん!お母さん!』

エマ(ほぇ~)

果林『えぇお休み』

エマ『お休み、マリア』

737: 2020/05/02(土) 02:50:21.13 ID:nijiNPO3
エマ「凄いね果林ちゃん!あの子結構頑固なとこあるのに!」

果林「たまたま私の事が好きだったから言う事聞いてくれただけよ。私そんなに子どもの扱いうまくないし」

エマ「それでも凄いよ!もし果林ちゃんさえよければこっちにいる間マリアと色々お話ししてもらっていいかな?」

果林「わたしでよければ……」

エマ「ほんと?ありがとう!」


アンナ「おーいお姉ちゃん!準備できたよ!ワインも開けるね!」


エマ「あ、うん!ありがとう!」


エマ「ほら、いこ?果林ちゃん?」

果林「ん……いい匂いね」

エマ「ふふっ、絶対気に入るよ?」

758: 2020/05/10(日) 03:21:50.85 ID:q7TD8HC0
アンナ『あ、来た来た。お姉ちゃん!早く!』

エマ『わ~!チーズフォンデュに、それに白いパンも!』

エマ『しかもこのワイン大切な時のために飲むんだって言ってたやつだ!』

アンナ『お姉ちゃんにじゃないよ!果林さんに!』


アンナ「ね、果林さん。スイスのワインって殆どが国内で消費されるから貴重なんだ。白ワインはチーズフォンデュとも相性バッチリだから美味しいよ~」

エマ「あれ?アンナ、あなた果林ちゃん推しだったっけ?確か──」

アンナ「あぁぁ!お姉ちゃん!」

エマ「何か企んでるなー?」

759: 2020/05/10(日) 03:22:59.83 ID:q7TD8HC0
アンナ「その、果林さんスタイル滅茶苦茶いいでしょ?」

アンナ「だからその……色々教えて貰おうと思って……」

エマ「あぁ……」ジーッ

アンナ「お腹みるなぁ!」

760: 2020/05/10(日) 03:27:51.97 ID:q7TD8HC0
アンナ「それにスイスは肥満率高いから別にちょっとくらい太っててもおかしいことじゃないし!」

エマ「あなた食べ過ぎるところあるから……」

アンナ「お姉ちゃんだっていっぱい食べてるじゃん!」

エマ「私はダンスしてるから」

アンナ「くぅぅ……やっぱり私もスクールアイドル目指せばよかったか……?」

761: 2020/05/10(日) 03:33:05.19 ID:q7TD8HC0
エマ「ごめんね、果林ちゃん。気にせず食べてね」

エマ「あっ、でも結構カ口りー高いかも……」

果林「ちょっとくらい大丈夫よ。ちゃんとその分運動するから」

エマ「ほら、アンナ。ちょっとは果林ちゃんを見習ったら?」

アンナ「うぅ……運動は……」

762: 2020/05/10(日) 03:36:12.65 ID:q7TD8HC0
あなた「エマさん、これはパンをチーズに付けて食べればいいの?」


エマ「あ、ごめんね。そうだよ、パンを千切ってチーズに付けて食べるの。自由に食べて!」


果林「あら、チーズフォンデュってこう、ビヨーンって伸びるイメージがあったんだけど、意外と伸びないのね」

パクッ

果林「それに思ってたより味が濃すぎないわ。これならいくらでもいけちゃうわね!」

アンナ「そうでしょ!私、料理の腕は自慢なんだ!さ、もっと食べて食べて!」

エマ「こら!果林ちゃんスタイル維持してるんだから、そんなに進めたら太っちゃうでしょ!」

果林「エマ、私なら大丈夫だから、あんまり太る太る言わないで欲しいわ。その、食欲が……」

エマ「あ……。ごめんなさい……」シュン

769: 2020/05/13(水) 00:19:59.27 ID:DM1w3Jg3
果林「ご馳走様。とても美味しいのだけれど、今日はこの辺りにしておくわ」

アンナ「え、もう!?」

エマ「アンナ、果林ちゃんは体型気にしてるんだから」


果林「いいえ、ホントにお腹いっぱいなの。今日は長旅で疲れたし」

エマ「あ、そうだよね。果林ちゃん鉄道に乗ってるときも寝てなかったよね」

果林「シャワー浴びて今日はもう休ませて貰うことにするわ」

エマ「シャワーならそこの扉だよ」


果林「ありがとう、ブォナノッテ」

エマ「ふふ、Buonanotte!」

770: 2020/05/13(水) 00:23:04.49 ID:DM1w3Jg3
エマ「アンナ、果林ちゃんのスタイル維持してる方法、実践できそう?」

アンナ「無理……。食事は生きがいだし、運動苦手だし……」

エマ「もう、そんなんだから太るのよ」

アンナ「あ、言ったね!お姉ちゃんだって今は運動あんまりしてないじゃない!」

エマ「私は……そんなに食べてないし……」


あなた(私からしたら今も昔もかなり食べてる方だと思うんだけどなぁ)

771: 2020/05/13(水) 00:26:24.94 ID:DM1w3Jg3
あなた「ふぅ……私もこのくらいにしておこうかな」

エマ「そう?なら片付けるね」ガタッ

アンナ「あーあー!お姉ちゃんはゆっくりしてって!大事なお客様なんだから」

アンナ「後は私と義兄さんでやっておくから!」


エマ「そう……?なら甘えちゃおうかな!」



エマ「ねぇ」

あなた「ん?」

エマ「ちょっと外出てみない?」

773: 2020/05/13(水) 00:45:55.17 ID:DM1w3Jg3
エマ「ふぅ……このベンチね、お気に入りなの。よくあの人とここでお話ししたんだぁ」

あなた(あの人……旦那さんのことかな)


エマ「ねぇ、上見て?」

あなた「上?」

あなた「……!うわぁぁぁぁぁぁ!」

あなた「何これ凄い!!」

エマ「星が綺麗でしょ?」

774: 2020/05/13(水) 00:47:23.52 ID:DM1w3Jg3
あなた「来る途中はまだそこまで暗くなかったから気付かなかったけど、こんなに星が綺麗に見えるんだね!」

あなた「凄い!」

エマ「ふっふっふ~凄いでしょ~!いつか同好会の皆に見て欲しかったんだぁ」

エマ「全然会えてないけど、他の皆は元気にしてるのかなぁ」

あなた「エマさんは連絡取ったりしてないの?」

エマ「たまに連絡取ったりはしてるんだけど、直接は会えてないから……」

エマ「もう、あなたも全然連絡くれないから心配してたんだよ!」

あなた「それはごめんなさい……」

775: 2020/05/13(水) 00:57:28.44 ID:DM1w3Jg3
あなた「実は──」


~~~~


エマ「うっ……うっ……」

あなた「ってえ!?エマさん泣いてるの!?」

エマ「だって……ずっと頑張ってきたのに皆に認められないなんて……!」

あなた「いや、音楽の世界じゃよくあることだから……。寧ろ成功する方が稀だから!」

あなた(っていいつつ自分でも情けないと思ってたから連絡しなかったんだけど)


エマ「おいで!!」バッ

あなた「え?」

エマ「皆が認めてくれなくても、私はあなたの凄さを知ってるから!」

776: 2020/05/13(水) 00:58:56.10 ID:DM1w3Jg3
エマ「私があなたを癒してあげたい!!さぁ来て!!」

あなた「え、えーっと……」

あなた「じゃあ……」スススッ


ギュゥゥゥ


あなた「うっ、苦しい……!」

あなた(でもいい感触……)

793: 2020/05/18(月) 17:22:53.58 ID:cczfs4hv
侑は歩夢呼びみたいなので別個体だと思った方がいいですね

794: 2020/05/18(月) 17:24:08.53 ID:cczfs4hv
あなた(包まれてる感じがして安心する……)

グスッ 

エマ「え、泣いてるの!?」

あなた「あ、うん。ちょっと」グスッ

エマ「どうして!?強く抱きしめ過ぎちゃったかな!?」

あなた「いや、凄く気持ちよかったよ!!」

あなた「ただ優しさに包まれれば包まれるほどエマさんがもう結婚してるんだなってことを思い出しちゃって」

795: 2020/05/18(月) 17:31:15.55 ID:cczfs4hv
あなた「もちろん私だけのなんて思っては──いや、ちょっとは思ったかな……」

あなた「結婚してるかもなんて考えてすら無かった」

あなた「大事な友達が結婚したのに素直に喜べないなんて最低だよね。大体距離を置いてたのは私の方なのに」

796: 2020/05/18(月) 17:33:56.08 ID:cczfs4hv
あなた「ごめんね、自分勝手で」

あなた「遠くに行っちゃった感じがして寂しいっていうのと、エマさんを取った旦那さんへの嫉妬がちょっとと」

あなた「とにかく色んな感情がグチャグチャになってて」


エマ「寂しいって事は、それだけ私のことを大事に思ってくれたってことだよね。ありがとう!」


あなた「うっ。天使かな……?」

797: 2020/05/18(月) 17:38:33.82 ID:cczfs4hv
エマ「それに友達が結婚して寂しくなるって気持ちは分かるよ」

エマ「私も皆に会えなくて寂しいし、遠くに行っちゃったっていうのも妹も同じ事言ってた」


あなた「あとそれから私もエマさんと結婚しかった!!!」

エマ「えぇ!?」

798: 2020/05/18(月) 18:18:10.11 ID:cczfs4hv
エマ「お、女の子同士だよ?」


あなた「気にしない!」

あなた「エマさんと結婚したら、私がエマさんを一生隣で支えて、エマさんには毎日癒してもらうんだ!!」

エマ「え、えぇ……?困ったなぁ……」


エマ「できればあなたとはお友達でいたいかな」

あなた「振られたっ!!」

799: 2020/05/18(月) 18:18:46.62 ID:cczfs4hv
あなた「なんて。あはは」

エマ「もう、本気で考えちゃったよ!」

あなた「ごめんごめん!でも半分くらいは本気だから」

エマ「もぉ!今度はどっち!?」

あなた「あはは」

800: 2020/05/18(月) 18:23:29.77 ID:cczfs4hv
エマ「環境は変わっても根っ子が同じなら縁は続いていく。私はそう思うな」

あなた「縁か……ヴェルデ(緑)だけに?」

エマ「漢字が一緒だから?(お互い勘違い中)愛ちゃんみたい」


エマ「もうヴェルデじゃないけどね」

あなた「あっ」


あなた「…………」ズーン


エマ「えっ、余計なこと言っちゃった!?」

801: 2020/05/18(月) 18:25:38.47 ID:cczfs4hv
あなた「とにかく!まだ気持ちの整理はついてないし、言葉に出来ない感情はいっぱいあるけど!!」


あなた「結婚おめでとう。エマさん」

エマ「うん、ありがとう!あなたにそう言ってもらえて嬉しい!」

エマ「いつまでいるか分からないけど、スイスにいる間は私にいーっぱい甘えてもいいからね!」

あなた「おお……!」キラキラ

809: 2020/05/22(金) 03:54:33.85 ID:VZAxo9kD
あなた「ふふ、やっぱり」

エマ「?」

あなた「今でもエマさんは私の天使だよ。かなり時間は経ったけど、あの頃と全然変わってない」

エマ「あなたもそうだよね」

あなた「えっ、私も?いやいや……」

811: 2020/05/22(金) 03:55:47.59 ID:VZAxo9kD
あなた「さっきの話聞いてたよね?見た目こそ変わってないとは思うけど、今はプー太郎だし」

あなた「いや、プー子かな?」


エマ「あなたこそ気づいてない?話しててすぐ分かったよ。あの頃のままだって。あ、成長してないってわけじゃないよ?」

エマ「ただ色々事情や状況が変わっても、やっぱり中身は変わらないんだなって」
  

あなた「私が……?」


エマ「うん!あなたは私の大好きなあなたのままだよ!」


あなた「そっか、私も変わってないんだ……」

812: 2020/05/22(金) 04:01:21.11 ID:VZAxo9kD
エマ「果林ちゃんはどう思う?」

あなた「え?」

エマ「あなたから見て、果林ちゃんは変わったと思う?」

あなた「え、えーと……」

あなた(まだあの事は話してないよね……?)

813: 2020/05/22(金) 04:05:08.39 ID:VZAxo9kD
あなた「ちょっと大人びたけど、動物園ではしゃいだりしてて、あ、やっぱり果林ちゃんなんだなーとは思うけど……」

あなた「エマさんはどう思うの?」

エマ「うーん……分からない。でも、なんだか私に冷たい感じがするっていうか、なんだか無理してる感じがするの」

エマ「もしかしてあの事気にしてるのかな……」

あなた「あの事?」

エマ「うん。虹ヶ咲の卒業式も終わって、寮を出る日に……」


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