千歌「私に宿る9人の女神」【長編SS】

ちか (7) AqoursーSS


1: 2016/12/21(水) 19:30:09.13 ID:5+qyjyYK.net
――私は普通の女の子。


花丸「はあ、もうクタクタずらぁ」

ルビィ「でも花丸ちゃん、ステップすっごい上達してたよ!」

花丸「本当!?」


――普通星の普通星人。だから、みんなみたいに魅力的な個性なんて何一つ持ってない。


千歌「あれ、みんな帰らないの?」

曜「あー、ごめんね。今日中に衣装作り進めなくちゃだから」

千歌「そう、なんだ」

曜「また明日ね」

千歌「うん」

ルビィ「ルビィも衣装作り手伝うよっ」

曜「本当!?終わるか不安だったんだよね~」

千歌「………………」

4: 2016/12/21(水) 19:32:53.40 ID:5+qyjyYK.net
花丸「マルも作詞終わらせないと」

善子「このヨハネの助けが必要なんじゃない?難しい言葉はたくさん知ってるわよ」

花丸「そういう変なのはいらないずら」

善子「変って何よ!」


ダイヤ「私も生徒会の仕事を片付けていかないとですわ」

鞠莉「じゃあ私も理事長としての事務仕事をfinishさせちゃおうかなー」

鞠莉「ちょうどダイヤに渡したい資料もあったし」

果南「鞠莉もダイヤも残るなら私ももう少し新しい振り付け決めして残ってようかな」


――ずっと思ってた。何も無い私が、みんなを引っ張っていってもいいのかなって。

5: 2016/12/21(水) 19:33:26.27 ID:5+qyjyYK.net
梨子「千歌ちゃん?どうしたの?」

千歌「え…あ、なんでもない…よ。えへへ」

梨子「ふふっ、変な千歌ちゃん」

千歌「あれ、梨子ちゃん曲作りがあるんじゃ…」

梨子「作詞待ちかな。作曲はそれから」

千歌「そうなんだ」

梨子「千歌ちゃん、一緒に帰ろ?」

千歌「……うん」

6: 2016/12/21(水) 19:38:02.37 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「ただいまー」


トタトタ

スー


千歌「はぁ、もうくたくただよ~!みんなこれからやることがあるなんてよく体力が持つよね」

千歌「本当に…」


千歌「(曜ちゃんとルビィちゃんは衣装作りで花丸ちゃんは作詞)」

千歌「(果南ちゃんは振り付けを決めてくれてるし、ダイヤさんと鞠莉さんはスクールアイドル以外にもやることはたくさんある)」

千歌「(善子ちゃんは元々個性があって、梨子ちゃんだって作曲っていう重要な役割をこなしてる。でも…)」

千歌「(私は…)」


千歌「どうすればいいんだろう…」

千歌「私がリーダーなんて。そもそも…」

千歌「(ずっと自分を誤魔化す言葉ばかり言ってきたけど、スクールアイドル自体私に向いてないんじゃ…)」

7: 2016/12/21(水) 19:39:03.32 ID:5+qyjyYK.net
千歌「な、なんて。嘘でもそんなこと思ったらダメだよね。みんなでラブライブを優勝するって決めたんだから!」

千歌「……えへへ。部屋で一人、何呟いてるんだろ」

千歌「……馬鹿みたい」

千歌「なんだか食欲もないし、寝ちゃおうかな…」


千歌「………………」

千歌「みんな、何か活かせることを持ってて私には…」

千歌「私に…なにか…っあるのかな……っ」ポロ…

千歌「…うぁっうっ……っ」ポロポロ

8: 2016/12/21(水) 19:42:19.00 ID:5+qyjyYK.net
――


善子「個性について聞きたい?」

千歌「うん、Aqoursの中で一番個性的なメンバーって言ったら善子ちゃんかなって」

善子「善子じゃなくてヨハ…」

千歌「ほら、私ってスクールアイドルなのに何もないから。だから善子ちゃんの意見を参考にしてみようと思ったんだ」

善子「…そんなことないわよ」

千歌「え?」

善子「私が堕天使キャラで悩んでるときに救ってくれたのは千歌たちだし…千歌のおかけでみんなスクールアイドルを伸び伸びできてると思うし…」

9: 2016/12/21(水) 19:44:03.84 ID:5+qyjyYK.net
千歌「善子ちゃんは優しいんだね」

善子「お世辞じゃないわよ」

千歌「……それで、なにかいい案ないかな。善子ちゃんみたいな個性が出せる方法」

善子「あいにくないわね。今の私だって、私が好きなことを突き詰めていった結果みたいなもので、作ろうと思ってやってるキャラじゃないから」

千歌「そうだよね…」

善子「…私は今のままの千歌でも充分いいと思うわよ」


千歌「…………の」

善子「え?」

千歌「それじゃダメなの…それじゃあ…」

10: 2016/12/21(水) 19:45:56.81 ID:5+qyjyYK.net
善子「本当に大丈夫?今日の千歌、少し変よ」

千歌「変?えへへ」

善子「………………」

千歌「あ、そうだ」

千歌「私も堕天使キャラやってみようかな。そうすれば個性とか少し分かるかもしれないし」

千歌「衣装とか魔術書とか貸してくれないかな?」

善子「………………」

善子「わかったわ。明日持ってくるわね」

千歌「うん、ありがとうっ!」

11: 2016/12/21(水) 19:48:06.36 ID:5+qyjyYK.net
――


善子「これが堕天使の衣装、使わなくなったからあげるわ。それで、こっちが魔術書なんだけど…」

千歌「けど?」パラッ

善子「古書店で外装だけ気に入って衝動買いしたやつだから…」

千歌「ぜ、全部英語…」

善子「ま、でもこれでも小道具にはなるでしょ」

千歌「ありがとう!早速家に帰って着てみるね」ダッ

善子「え、ええ」

 

千歌「はっ…はっ…」タッタッタッ

千歌「(これで少しだけみんなに近づける)」

12: 2016/12/21(水) 19:49:30.89 ID:5+qyjyYK.net
 
千歌「ただいまーーー…」

美渡「おかえりー…ってもう部屋に行っちゃった」


 


千歌「これが衣装…前に一回着たけどこういう衣装って私に似合うのかなぁ。あとで着てみよう」

千歌「それでこっちが魔術書。…本物なのかな?ってそんなわけないよね~」

千歌「うへぇ、本当に全部英語だ」ペララララ

13: 2016/12/21(水) 19:50:15.05 ID:5+qyjyYK.net
千歌「魔法陣も色んな種類があるんだなぁ」

千歌「………………」

千歌「冥界に住みし悪魔の化身よ…我の声に応じその身を現せ!……なんて」

千歌「善子ちゃんの真似、似てないよね…」

千歌「考えてみれば全然堕天使のことについて知らないや」

千歌「…何て書いてあるんだろう」ペララララ

千歌「読めば少しは堕天使の魅力がわかるかも」

――――――

――――

――

14: 2016/12/21(水) 19:51:18.78 ID:5+qyjyYK.net
千歌「えっと、この単語は…」


カチッ…カチッ…カチッ…


千歌「あーもうわかんない!」


カチッ…カチッ…カチッ…


千歌「この文法ってどうやって訳すんだっけ」


カチッ…カチッ…カチッ…


千歌「スピリチュアリー……ザンリュウシネン…?」

――――――

――――

――

15: 2016/12/21(水) 19:52:01.85 ID:5+qyjyYK.net
千歌「できた!」

千歌「って言っても適当に開いた見開きの二ページだけだけど」

千歌「えーと、なになにタイトルは…」

千歌「擬似人格の付与?」

千歌「付与したい人格のザンリュウシネンのこもった物を生き物の血で描いた魔法陣の中心に置いて…………」

千歌「………………」


千歌「こ、こ…」

千歌「これだよっ。これがあれば…」


千歌「μ'sの人たちの人格を手に入れれば、Aqoursのリーダーにふさわしくなれるっ」

16: 2016/12/21(水) 19:55:52.20 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「(考えてみたけど要するに、その人に関係のあるものを集めろってことだよね)」

千歌「(ルビィちゃんが確か花陽ちゃんのサイン色紙を持ってるって前に言ってたような)」


千歌「ということで早速黒澤家に突撃~!」

ピンポーンッ


『は、はい…ご要件は何でしょうか』

千歌「あ、ルビィちゃん!私、千歌だよ!」

『なんだ千歌ちゃんかぁ。ちょっと待ってね』

17: 2016/12/21(水) 19:56:07.31 ID:5+qyjyYK.net
ガラガラ

ルビィ「お待たせっ。今日はどうしたの?」

千歌「今日はルビィちゃんに大事なお願いがあってきたのっ!」

ルビィ「うゅ…?お願い?」

千歌「ルビィちゃん、前に花陽ちゃんのサイン色紙持ってるって言ってたよね」

ルビィ「う、うん。μ'sの生サインとかって今はプレミアが付いててすっごく高いんだけど、お年玉を貯めて買ったんだっ!」

千歌「それさ、見せてくれない?」

ルビィ「うんっ!いいよ。すぐに取ってくるね」

19: 2016/12/21(水) 19:58:08.79 ID:5+qyjyYK.net
千歌「………………」


ルビィ「千歌ちゃーん!はぁ…はぁ…これ」

千歌「おおっ!」

千歌「これが本物の花陽さんが書いた、生サイン…」

ルビィ「ルビィの大切な宝物なんだ!」

千歌「へぇ…」

ルビィ「もうそろそろ…」

千歌「うわぁー凄いなー」

千歌「ね、ねえルビィちゃん」

ルビィ「うゅ…?」

20: 2016/12/21(水) 19:58:41.95 ID:5+qyjyYK.net
千歌「これ今日貸してくれないかな?明日絶対返すから!」

ルビィ「ええ!?でも…」

千歌「大切に取り扱うし、もっとちゃんと見たいの!」

ルビィ「え~と…」

千歌「お願いっ!この通り!」

ルビィ「千歌ちゃんなら…いいけど…」

千歌「本当!?ありがとう!じゃあ早速家でゆっくり眺めなくちゃ、じゃあね!」

ルビィ「さ、さようなら~」


ルビィ「行っちゃった…」ポツーン

21: 2016/12/21(水) 20:01:20.97 ID:5+qyjyYK.net
――


ザパーンッ…

千歌「次は生き物の血で魔法陣を描かなきゃいけないんだけど…」

千歌「魚の血でも大丈夫だよね」

千歌「とにかくいっぱい釣らなきゃ!」


千歌「(もし足りなくてもカラスがよく集まるところにホウ酸団子を置いてきたし…)」


ザパーンッ…


千歌「暇だなぁ」

22: 2016/12/21(水) 20:01:59.04 ID:5+qyjyYK.net
しいたけ「わんっわんっ」

千歌「しいたけを連れてきといて良かったよ。一人だったら飽きたーー!ってなっちゃいそうだし。よしよし」

しいたけ「わんっ」

千歌「………………」

千歌「生き物の血…」

しいたけ「くぅーん…」


千歌「って竿引いてる!」

23: 2016/12/21(水) 20:03:23.19 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「この魔術書に描いてある通りに…最後にここをこう描けば……よしっ!」

千歌「魔法陣完全っ!」


千歌「おぇ…とりあえずこの血の入ったバケツを片付けて換気しなきゃ」ガラガラ

千歌「魔法陣は要らなくなったシーツの上に描いたからいつでも隠せるし…」

千歌「準備が整ったら早速儀式を始めよう」

 

千歌「えっと、魔法陣の中心にサイン色紙を置いて…」

千歌「最後にこの呪文を唱えれば…。調べても意味が分からなかったから適当にルビ振ってみたんだけど…大丈夫だよね」

千歌「……ふぅ」

千歌「(やっと…やっとAqoursのリーダーにふさわしい私になれる)」

24: 2016/12/21(水) 20:04:09.90 ID:5+qyjyYK.net
千歌「Dg…AhUGuFyltHiIG…」

千歌「FyihIUGiUvctesZrFeRCT…」


千歌「(あれ…?魔法陣が光ってる?)」


千歌「GYohUToigiguUt」


千歌「(ま、眩しい…!でもあと少し!)」


千歌「UfguiUflcc…Gflful!」


パァァァァ!

千歌「あっ…」クラッ


――――――

――――

――

25: 2016/12/21(水) 20:05:33.88 ID:5+qyjyYK.net
千歌「う…うぅん…」

千歌「……あれっ!?」ガバッ

千歌「いつの間にかベッドで寝ちゃってたの!?」

千歌「それじゃあ儀式したのも夢…?」


千歌「というか夕飯の時間とっくに過ぎてるじゃん!みと姉どうして起こしてくれなかったの~!」

千歌「あ、でもこの魔法陣見られたらやばかったから良かったかも」

26: 2016/12/21(水) 20:06:08.50 ID:5+qyjyYK.net
トタトタ


千歌「みと姉~夕ご飯は~?」

美渡「何言ってんの。さっき食べたでしょ」

千歌「…は?」

美渡「どうしたの?変なものでも食べた?ってそれだと私も食べたことになるんだけど…」

美渡「まあ千歌が夕飯を作るって言った時は何事かと思ったよ。それにお米の正しい炊き方は~とか白米に良く合うオカズは~とかどうとか言ってたし」

千歌「……へ?」

美渡「今日は早く寝たら?きっとスクールアイドルの活動で疲れてるんでしょ」

千歌「う、うん」


タッタッタ


千歌「私がお米を炊いて夕ご飯も作った…?……夢じゃ無いよねっ?」

千歌「………………」プルプル


千歌「…魔術書に書いてあることは本当だったんだ!」

27: 2016/12/21(水) 20:07:17.48 ID:5+qyjyYK.net
――


曜「ち、千歌ちゃん?」

鞠莉「ワオ…」

梨子「すごい…」

ルビィ「(今日はみんな千歌ちゃんに釘付け。いつもは余所見なんてしてたら注意するあのお姉ちゃんでさえも)」


千歌「~♪」タンッ

千歌「~~~♪」タタンッ


ルビィ「(わぁ…そこのステップすごく難しいところなのに、あんなに余裕そうに)」

ルビィ「(どうしても目で追っちゃう。終わってほしくないって思っちゃう…。でもこの歌い方って、このステップって…)」

28: 2016/12/21(水) 20:09:37.02 ID:5+qyjyYK.net
千歌「」タン…

千歌「ふぅ…」


シーン…


千歌「あ、あれ?ダイヤちゃん、曲終わったけど…」

ダイヤ「え?あ、そうですわね!それでは今日の練習はここまでとしますわ」


鞠莉「ちかっち!」ズイッ

千歌「ピャア!?」

鞠莉「一体どうしたの!?yesterdayまでとは別人じゃない。どんな魔法を使ったの?」

30: 2016/12/21(水) 20:11:08.42 ID:5+qyjyYK.net
千歌「魔法なんて何も。千歌なんてまだまだだよぉ」

鞠莉「ふ~ん…Top secretってワケ?」

千歌「えっ、そういうわけじゃ」

鞠莉「私も負けてられないわ!ちかっちに付けられたこの炎が消えないうちに家で練習しないと」

鞠莉「それじゃあね、バーイ!」

千歌「ば、ばいばい」

31: 2016/12/21(水) 20:12:04.37 ID:5+qyjyYK.net
千歌「ふぅ」

ルビィ「千歌ちゃん、お疲れ様」

千歌「あ、ルビィちゃん。お疲れ様ですっ」

ルビィ「千歌ちゃん歌い方変えた?」

千歌「え゛ぇ゛!?変えてないよぉ」

ルビィ「そっか」

千歌「どうして?」

ルビィ「う、ううん、何でもない」

千歌「あ、ルビィちゃん、昨日借りた花陽ちゃんのサイン色紙返すね」

ルビィ「うん、ありが…


グゥゥゥゥ…

32: 2016/12/21(水) 20:13:13.11 ID:5+qyjyYK.net
ルビィ「な、なに!?今の音」

千歌「えっと…///」

千歌「れ、練習したらお腹空いちゃって」ボソボソ

ルビィ「お、お腹の音…?」

千歌「うぅ…恥ずかしいです///」

ルビィ「でも今日の千歌ちゃん、ダンスもいつもより格段に動けてたもんね」

千歌「えへへ、そうかな?」


千歌「あ、今日練習が終わったら食べようと思っておにぎり握ってきたんだ!ルビィちゃんも食べる?」

ルビィ「え、いいの?」

千歌「うんっ、取ってくるから少し待っててね」


ルビィ「うーん…」

ルビィ「(あの歌い方もダンスもどこかで見たことあるような…)」

33: 2016/12/21(水) 20:22:06.40 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「……………あ」

千歌「私の部屋…ってことは学校は終わったんだ」

千歌「花陽さんバージョンの私はしっかりやってくれたのかな」

千歌「切り替わったら意識がなくなるからどんな感じだったのかがわからないのが難点だなぁ」

ブーブー

千歌「ん?電話…梨子ちゃんから」

千歌「もしもし?」

梨子『あ、千歌ちゃん?』

34: 2016/12/21(水) 20:23:22.89 ID:5+qyjyYK.net
千歌「どうしたの~?」

梨子『別に用があるってわけじゃないんだけど、少し心配になっちゃって』

梨子『今日の千歌ちゃん、様子がおかしかったから』

千歌「え、もしかして私、変なことしちゃった?」

梨子『ううん、そんなことなくて逆に…なんていうか…すごかった。まるで千歌ちゃんじゃないみたいに』

千歌「私じゃないみたい…。そっか、えへへ」

梨子『千歌ちゃん、何かあった?私心配で…』

35: 2016/12/21(水) 20:24:23.96 ID:5+qyjyYK.net
千歌「全然大丈夫だよ」

梨子『でも…』

千歌「ほら、馬鹿は風邪ひかないって言うし健康で元気なのが私の数少ない取り柄だから!」


美渡「千歌ー、ご飯だよー」

千歌「はーい!」


千歌「あ、みと姉に呼ばれたからそろそろ切るね。また明日!」

梨子『千歌ちゃん待っ…』


千歌「………………」

千歌「ちゃんと出来てたってことだよね」

千歌「千歌ちゃんじゃないみたいかぁ…えへへ」

37: 2016/12/21(水) 20:27:20.64 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「おかわりしますっ」

曜「ま、また!?」

梨子「いくら練習後の寄り道でも千歌ちゃん食べ過ぎじゃない…?」

千歌「最近すぐにお腹が空いちゃって…それに」

曜梨子「それに?」

千歌「お米が美味しすぎるのがいけないんですっ!」パクパクッ

千歌「おかわりお願いします!」

曜「早っ!?」

38: 2016/12/21(水) 20:28:21.38 ID:5+qyjyYK.net
梨子「そういえば、新しい曲の候補をいくつか考えてるんだけど、千歌ちゃんはどんな曲がいい?」

千歌「え?うーん…」

千歌「千歌は梨子ちゃんが選んだ曲なら何でもいいかなぁ」

梨子「え?そ、そう」

曜「千歌ちゃん私も、衣装決めてみたんだけど…ちょっと待ってね」ガサゴソ

曜「はいこれがイラスト!ズバリタイトルは『奇抜』!」

曜「なーんて冗談なん…」

千歌「うん、良いんじゃないかな」

曜「へ?」

千歌「千歌はそんな決めるとか…千歌は曜ちゃんが良いと思った衣装なら賛成だよ」

曜梨子「………………」カオミアワセ

39: 2016/12/21(水) 20:30:02.94 ID:5+qyjyYK.net
千歌「ごめんね。ちょっと、お花摘みに…」

曜「あ、うん」


曜「なんか、千歌ちゃんらしくなかったね」

梨子「ええ、ダンスも歌も上手くなったんだけど、受け身になったというか…」

曜「リーダーっぽくなくなったというか…」

曜「悪いことじゃないんだけど……千歌ちゃんAqoursのリーダーだし…」

梨子「Aqoursの活動に悪い影響が出なければいいけど」

曜「どうしちゃったんだろ…千歌ちゃん」

40: 2016/12/21(水) 20:34:33.24 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「お待たせっ」

ダイヤ「千歌さん、遅いですわよ」

千歌「ご、ごめんね。すぐに着替えるから」

ダイヤ「曜さんは?」

千歌「も、もう来るんじゃないかな?」

ダイヤ「まったく…」

鞠莉「ちかっち、今日は何の練習にするの?」

千歌「うーん」

花丸「マルたちはどうすればいいの?」

千歌「え?えーと…」

果南「あ、そういえば次のライブのセットリストはもう決めてくれた?」

千歌「え?えっ?」

41: 2016/12/21(水) 20:35:15.78 ID:5+qyjyYK.net
ガチャ!


曜「千歌ちゃんっ!」

千歌「曜ちゃぁん…!」

ダイヤ「遅いですわよ」

曜「今日は天文学部が屋上使うから屋上使えないって!」

鞠莉「really?」

梨子「ち、千歌ちゃんどうするの?」

千歌「あわわ…」

曜「千歌ちゃんっ!」

千歌「だ……だ……」

ダイヤ「だ…?」

千歌「誰か助けてぇぇぇ!」ダッ

42: 2016/12/21(水) 20:38:53.07 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「…………っと」

千歌「今日も私はしっかりやってくれたかなぁ」


ブーブー


千歌「電話…今日はダイヤさんから?」

千歌「何だろう……はい、もしもし」ピッ

ダイヤ『あ、千歌さん』

千歌「どうしたんですか?」

ダイヤ『今日のことで少し話があります』

千歌「は、はい…?」

千歌「(何かあったのかな?)」

43: 2016/12/21(水) 20:39:32.72 ID:5+qyjyYK.net
ダイヤ『あなたはAqoursのリーダーでしょう?』

千歌「そうですけど…」

ダイヤ『完璧にまとめなさい、とまでは言いませんが今日の様では私たちが困りますわ』

千歌「えっと…つまり…?」ダラダラ

ダイヤ『リーダーとして私たちをまとめてください。走って逃げるなんて言語道断ですわ』

千歌「あちゃ~……花陽さ~ん」

ダイヤ『は?』

千歌「い、いえ何でも。その…すみません…」

44: 2016/12/21(水) 20:40:06.12 ID:5+qyjyYK.net
ダイヤ『はぁ、千歌さんは――』


千歌「(でも、よくよく考えてみたら花陽さんはμ'sの中でもまとめる役じゃなかったし)」

千歌「(花陽さんにリーダーを任せるなんて酷な話だよね)」

千歌「(こうなったら別のメンバーを探すしか…)」


ダイヤ『ちょっと、聞いてますの?』

千歌「え…あ、はい」

ダイヤ『だから――』

45: 2016/12/21(水) 20:40:37.67 ID:5+qyjyYK.net
千歌「(μ'sのまとめ役といえばリーダーの穂乃果さん、それに海未さんと絵里さんとか)」

千歌「(…そういえばダイヤさんは絵里さんのファンなんだよね。もしかしたら何か持ってるかも)」


ダイヤ『そもそも――』

千歌「あの、ダイヤさん」

ダイヤ『ん?何ですの?』

千歌「実は…」


――――――

――――

――

47: 2016/12/21(水) 20:43:20.96 ID:5+qyjyYK.net
ダイヤ「これがエリーチカ直筆のサイン色紙ですわ」

千歌「ありがとうございますっ」

ダイヤ「千歌さん!」

千歌「え?」

ダイヤ「貸すのは良いですが、絶対に傷をつけたりしないでくださいね!」

ダイヤ「エリーチカの生サイン色紙なんてプレミア中のプレミア!簡単に弁償できるものではないのですから」

千歌「は、はい」

48: 2016/12/21(水) 20:44:06.75 ID:5+qyjyYK.net
千歌「(ルビィちゃんに借りたときは何にも考えてなかったけど、大切に扱った方がいいのかも…)」

千歌「そ、それじゃあ早速家に帰って眺めなきゃー」

千歌「ダイヤさん、さようならっ」ダッ

ダイヤ「千歌さんっ!?」


ダイヤ「…全くもう、騒がしい人ですわね」ハァ

49: 2016/12/21(水) 20:47:05.90 ID:5+qyjyYK.net
――


先生「ここがこうなるから~」


梨子「………………」チラチラ

曜「………………」チラチラ


千歌「………………」


先生「ちょっと難しいんだけど、誰か…ここの問題、黒板で解いてくれる人いる~?」

千歌「はい」キョシュ


ザワザワ…

50: 2016/12/21(水) 20:47:40.11 ID:5+qyjyYK.net
梨子「ち、千歌ちゃん無理しなくていいんだよ?」

曜「こんな難しい問題まだ千歌ちゃんには早いって…」ヒソヒソ

千歌「ちょっと~、私のこと馬鹿にしてる?」

曜「してないから、ね?」

千歌「馬鹿にしてるじゃない。大丈夫よ」

千歌「こう見えても私、子供の頃は賢い可愛い千歌ちゃんって呼ばれたんだから♪」

梨子「そ、そうなの…?」ヒソヒソ

曜「初めて聞いた」ヒソヒソ

51: 2016/12/21(水) 20:48:14.29 ID:5+qyjyYK.net
先生「そ、それじゃあ高海さん、お願い~…」

千歌「はい」


カッカッカッ


千歌「どうですか?」

先生「せ、正解です~!」

曜「ウソ…」

梨子「熱でもあるんじゃ…」

千歌「ふふっ」

55: 2016/12/21(水) 20:56:27.17 ID:5+qyjyYK.net
――


曜「――ってわけでして…」

ダイヤ「学業に精が出るのは良いことですわ」

梨子「え?」

ダイヤ「ついに千歌さんもAqoursのリーダーとしての自覚が生まれたのですわね」

ダイヤ「私も嬉しいですわぁ」

曜「そういうのともまた違う気がするんだけどなぁ」


千歌「そこ、おしゃべりは終わりにして、そろそろ練習始めるわよ」

曜「う、うん」

ダイヤ「わ、わかりましたわ」

56: 2016/12/21(水) 20:57:01.60 ID:5+qyjyYK.net
千歌「じゃあまずは…」

鞠莉「どうするの?」

果南「前回みたいに逃げないでよね~」

千歌「鞠莉と果南は発声練習からね。まだ音程が外れているところもあるし」

鞠莉「おっけー!」

果南「わかった」

花丸「千歌ちゃんっ、マルたちは?」

千歌「花丸たち一年生はランニング。鞠莉たち三年に比べて体力がないから」

花丸「ランニング辛いずら~」

ルビィ「花丸ちゃん、がんばルビィ!」

57: 2016/12/21(水) 20:58:17.98 ID:5+qyjyYK.net
曜「私達はどうすればいいの?」

ダイヤ「私にも指示をお願いしますわ」

千歌「そうね、三人は…」


ガチャ


生徒「黒澤さんっ!」


ダイヤ「ん?どうしたんですの?」

曜「誰?」ヒソヒソ

鞠莉「ダイヤと同じ生徒会役員よ」ヒソヒソ

58: 2016/12/21(水) 20:59:05.76 ID:5+qyjyYK.net
生徒「じ、実は今生徒会の資料にミスが…!」

ダイヤ「何ですって!?」

生徒「明日までに直さないと!」

ダイヤ「…わかりました。千歌さん、申し訳ありませんが生徒会の方に行ってきますわ」

果南「確かに明日までってなると今日は無理そうだね」

ダイヤ「はい、それでは…」

千歌「私も手伝うわ」

ダイヤ「ち、千歌さんが?」

59: 2016/12/21(水) 20:59:43.12 ID:5+qyjyYK.net
千歌「人手が多くあった方が効率的でしょ?」

ダイヤ「しかし…」

千歌「大丈夫よ。何となく出来そうだし」

ダイヤ「………………」

ダイヤ「わかりましたわ。それでは千歌さんも」

千歌「ええ、曜と梨子には悪いんだけど、今日は自分の苦手なところを重点的に練習しておいてくれるかしら」

曜「りょ、了解ヨーソロー!」

梨子「うん」

61: 2016/12/21(水) 21:02:44.25 ID:5+qyjyYK.net
――


役員A「す、すごい…」ヒソヒソ

役員B「高海さんって何者…?」


千歌「………………」スラスラ

千歌「ふぅ、ダイヤ、ここからここまでは全部修正しといたから」

ダイヤ「え、ええ」

ダイヤ「千歌さん…中学の頃に生徒会の役員だったとかではありませんよね?」

千歌「ええ、初めてよ」

ダイヤ「他の役員がいなくても務まるのではというレベルですわ…」ボソッ

62: 2016/12/21(水) 21:03:33.22 ID:5+qyjyYK.net
千歌「あ、これミニメロンパン?貰うわね。ちょうど甘いものが欲しかったのよね」ヒョイパク

役員A「あ、それはっ!」

千歌「……硬い…」

役員A「それ…匂い付きメロンパンストラップ…」

千歌「え?」

役員A「……ぷっ」

役員B「ちょっと笑っちゃ…ぷっ」

千歌「」カァ///

役員A「高海さんってちょっと抜けてます?」

役員B「私も同じようなもの持ってますよ。匂い付きカップケーキストラップ」

ダイヤ「最近はこんなものまであるのですね…」

千歌「ハラショー…」

64: 2016/12/21(水) 21:06:30.51 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「………………」スッ

千歌「よし、終わりっ」

千歌「絵里さんになってから一週間、ダイヤさんにお叱り電話をもらうこともなくなったし、完璧ってことだよね!」

千歌「絵里さんのことだからみんなをきっちりまとめてるんだろうなぁ」

千歌「…どんな感じなのか曜ちゃんに電話して聞いてみようかな」


ピッピッピッ

プルルルルルル…


曜『もしもし、千歌ちゃん?』

65: 2016/12/21(水) 21:07:07.68 ID:5+qyjyYK.net
千歌「あ、曜ちゃん。ちょっと聞きたいことがあって電話したんだ」

曜『うん、どうしたの?』

千歌「ここ一週間さ、リーダーとしてキチッとしてみてるんだけど……曜ちゃんから見てどんな感じかな?」

曜『私から見て…』

千歌「うんっ」

曜『…千歌ちゃんのことを悪く言うつもりはないよ。あんな千歌ちゃんも可愛いと思うし…』

千歌「…?」

66: 2016/12/21(水) 21:07:26.30 ID:5+qyjyYK.net
曜『ちゃんと務まってるんだけど…』

千歌「だけど…?」

曜『本当に悪くないよ!けど、少し……抜けてるというか。なんて言うのかな……あっ』


曜『…ポンコツ?』

千歌「え゛…?」

千歌「ほ、本当…?」

曜『…うん』

曜『で、でもしっかりAqoursをまとめてくれてるから全然問題ないよっ!』

千歌曜「『………………』」

67: 2016/12/21(水) 21:08:29.19 ID:5+qyjyYK.net
曜『あ…あー、もうそろそろ夕飯になるから…また明日ねっ』

プツ


千歌「………………」

千歌「お、おかしいよっ!どういうこと!?」

千歌「絵里さんは完璧クール生徒会長じゃないの~!?」


ピッピッピッ…!

プルルルルルル


ダイヤ『はい』

68: 2016/12/21(水) 21:08:58.43 ID:5+qyjyYK.net
千歌「ダイヤさんっ!」

ダイヤ『な、何ですの?』

千歌「…実は絵里さんはポンコツだったとか、有り得ます?」

ダイヤ『なっ…なっ…!』

ダイヤ『そんなわけありませんわっ!!』

千歌「うっ」キーン

ダイヤ『エリーチカはクールで賢くて生徒会長なのですわよ!?そんなポンコツなんて…!』

千歌「そっそうですよね!失礼しましたっ!」プツ

69: 2016/12/21(水) 21:09:39.01 ID:5+qyjyYK.net
千歌「ふぅ…やっぱりそんなわけないよね」

千歌「確かに絵里さんのはずなのになぁ」

千歌「うーん…確かにダイヤさんは絵里さんのサイン色紙って言ってたし」

千歌「…もしかしたら、シネンが弱くて失敗しちゃたのかも」

千歌「なら別の絵里さんのもので試せば…」

千歌「………………」


ピッピッピッ

プルルルルルル…プッ


ダイヤ『な・ん・で・す・の?』

千歌「あ、あはは…実は…」

70: 2016/12/21(水) 21:14:27.00 ID:5+qyjyYK.net
――


ダイヤ「これですわ」スッ

千歌「これがダイヤさんの持ってる色紙以外の絵里さんのもの?」

ダイヤ「ええ」

千歌「見たところ…ただの資料だけど」

ダイヤ「見た目だけで判断してはいけませんわよ。これはエリーチカがμ'sに加入する前のもの」

ダイヤ「音ノ木坂の学校説明会のときにエリーチカが作成した資料だそうですわ」

千歌「へ、へ~」

千歌「(どんなコネでそんなものを手に入れたんだろう…)」

71: 2016/12/21(水) 21:16:08.89 ID:5+qyjyYK.net
千歌「それで、今回も家でじっくり見たいから貸して欲しいなぁ…って」

ダイヤ「…これを?」

千歌「(そりゃただの紙だしそんな反応になるよね…)」

千歌「…はい」

ダイヤ「しかし薄い紙ですし…もし折れたり破れたりしたら…」

千歌「(そっちの心配ですか)」

千歌「あ、あー!もっとよく読み込んで絵里さんのこと知りたいなー!」

千歌「ダイヤさんと絵里さんの話もしたいなー」チラッ

72: 2016/12/21(水) 21:16:26.10 ID:5+qyjyYK.net
ダイヤ「………………」

千歌「…なんて」

ダイヤ「…千歌さん」

千歌「は、はい」

ダイヤ「あなたがそこまで考えていたなんて!私は感動いたしましたわっ!」

千歌「あ、はい」

千歌「(ちょろい)」

ダイヤ「ぜひ、一日じっくり読んで私とエリーチカ談義に花を咲かせましょう!」

千歌「あ、あはは…」

73: 2016/12/21(水) 21:19:05.44 ID:5+qyjyYK.net
――


美渡「千歌ー!ご飯出来たよ!」


『――』


美渡「千歌の声…誰かと電話?」


『――!』


パアァァァ!


美渡「ひ、光っ!?」

74: 2016/12/21(水) 21:19:23.04 ID:5+qyjyYK.net
美渡「な、何が…」スー

千歌「………………」

美渡「千歌…?」

千歌「何?」

美渡「あ…夕飯できたって」

千歌「そう、じゃあ先に食べてて」

美渡「う、うん」

75: 2016/12/21(水) 21:20:54.39 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「………………」スッ

千歌「よし、儀式は成功っ」

千歌「というかもうこんな時間…!?も~」


千歌「みと姉~!」タッタッタッ

美渡「あ、千歌」

千歌「なんで私除いて夕飯食べてるの!」

美渡「だって千歌が先に食べててって」

千歌「(あ、ちょうど絵里さんを入れ替わってたときに来たから…)」

美渡「ほら、千歌の分はここにあるよ」

千歌「うんっ」

76: 2016/12/21(水) 21:21:19.82 ID:5+qyjyYK.net
美渡千歌「………………」モグモグ

千歌「ねえ、みと姉。私さっき何か抜けたことしてなかった?」

美渡「なんでそんなこと聞くのよ」

千歌「え、えっとちょっと真面目になってみたんだけどボロが出てなかったかな~って」

美渡「まあ…できる女って雰囲気だったよ。クールというより冷たいというか…」

千歌「…?同じ意味じゃん」

77: 2016/12/21(水) 21:22:11.84 ID:5+qyjyYK.net
美渡「なんというか…尖った冷たさっていうのかな。あ、千歌が何か酷いことを言ったとかじゃないよ。ただそんな雰囲気だったってだけで」

千歌「ふーん?みと姉ありがとう、ごちそうさまっ!」ダッ

美渡「もういいの?」

千歌「うんっ!」

 

トタトタトタ…

千歌「クールな感じ…できる女…」

千歌「今度は成功だ!」

78: 2016/12/21(水) 21:25:54.93 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「よし、準備おっけー!」

千歌「そろそろ出ないと朝練の時間に遅刻しちゃうし、クールな絵里さん、お願いしますっ」

千歌「…………うぅん」クラッ


 


 


花丸「ひっぐ……ぐすっ…」

千歌「…………え?」

千歌「(何これ…ここ学校…?絵里さんから私に戻っちゃったの?それに…)」

79: 2016/12/21(水) 21:26:25.37 ID:5+qyjyYK.net
花丸「うぅぁ…」ポロポロ

千歌「ど、どうしたの!?」

善子「どうしたのって…」

曜「…千歌ちゃんが言ったんだよ?」

千歌「何を…?」

ダイヤ「千歌さん、確かに花丸さんはまだ体力がないかもしれません。でも、いくら何でも言い過ぎではないですの!?」

梨子「今日の千歌ちゃん、なんだか怖い…」


千歌「(どういうこと?)」

80: 2016/12/21(水) 21:27:14.18 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「はぁ~…久しぶりに学校から帰った気がする…」ドサッ

千歌「それにしても絵里さん…一体花丸ちゃんになんて言ったの?」

千歌「厳しいのは分かるけど花丸ちゃん泣かせたらダメじゃーん!」

千歌「もう~!」バタバタ


千歌「…っ!?」クラッ

千歌「(あ、これ…入れ替わる前の感覚…)」


 


千歌「はっ…!」

千歌「花陽さんか絵里さん、どっちかと入れ替わった…?」

81: 2016/12/21(水) 21:27:49.34 ID:5+qyjyYK.net
千歌「………………」

千歌「入れ替わった時間は…三分くらい。でも誰と…」カサッ

千歌「ん? メモ書きだ。えっと…」


『素人に素人にしか見えないと言って何がいけないの?』


千歌「こ、これ、もしかして絵里さん…?」

千歌「……これを花丸ちゃんに?」

千歌「………………」

千歌「あーもう! 何言ってるの!」

千歌「明日どんな顔してみんなと会えば…」

千歌「もうこっちの絵里さんは絶対に使わないんだからっ」

83: 2016/12/21(水) 21:30:26.11 ID:5+qyjyYK.net
――


曜「千歌ちゃん梨子ちゃん、おはヨーソロー!」

梨子「おはよう。今日は朝練がないから、曜ちゃんと会うのも教室になっちゃったね」

千歌「うん、おはよう」

曜「もう今日の朝最悪だったよ~」


千歌「(結局昨日のことが怖くて、私のまま学校に来ちゃったんだけど…)」

千歌「(前までは出来てたんだし、大丈夫だよね?)」

84: 2016/12/21(水) 21:31:02.15 ID:5+qyjyYK.net
曜「でさーって、千歌ちゃん聞いてる?」


千歌「(というわけで、前の絵里さんお願いしますっ!)」

千歌「………………」スッ


曜「千歌ちゃん?」

千歌「………………」

千歌「あなたたち、今日は数学のテストがあったわよね?」

梨子「う、うん」

曜「あー、最近練習が忙しくてあんまり勉強出来てないんだよねー」

千歌「それなのにここで話してる暇があるの?」

曜「あ、そ、そうだよね」

85: 2016/12/21(水) 21:31:33.18 ID:5+qyjyYK.net
千歌「それにスクールアイドルはやらされてるんじゃなくて自分でやってることでしょ?」

千歌「勉強ができない理由にしないで」


曜「ご、ごめんね。じゃあ私は勉強してくるから、またね」

千歌「………………」

梨子「わ、私も勉強してこようかな」

千歌「そうね、私も」


千歌曜梨子「………………」

87: 2016/12/21(水) 21:34:05.65 ID:5+qyjyYK.net
――


先生「じゃあここの問題、解いてくれる人~」

千歌「はい」キョシュ


ザワザワ…


梨子「ここの問題、この前より難しいけど…」

曜「千歌ちゃん、まぐれは二度は起きないよ」

88: 2016/12/21(水) 21:35:17.29 ID:5+qyjyYK.net
千歌「………………」


ザワザワ…


千歌「あなたたち、今は授業中よ?私語は謹んで」


シーン


先生「そ、それじゃあお願いね」

千歌「はい」

89: 2016/12/21(水) 21:38:08.82 ID:5+qyjyYK.net
――


千歌「それじゃあ練習始めるわよ」

花丸「………………」

千歌「何?」

花丸「な、何でもないずら」

千歌「そう、じゃあ昨日と同じようにまずは柔軟から。二人一組になって」

鞠莉「オッケー!」

曜「千歌ちゃん」

千歌「私は一人でやるわ」

曜「そう…」

梨子「曜ちゃん、私と組もう?」

曜「うん」

90: 2016/12/21(水) 21:39:15.34 ID:5+qyjyYK.net
ワイワイ


千歌「……組めたみたいね」

千歌「なら昨日私が教えたように始めて頂戴」


鞠莉「あっ、あぁ!す、ストップストップっ!」

果南「全然押してないって~」

鞠莉「絶対楽しんでるでしょ!」

果南「そんなことないよ」

91: 2016/12/21(水) 21:39:50.35 ID:5+qyjyYK.net
ワイワイ


ダイヤ「押しますわよ」

花丸「うんっ」

ダイヤ「ん、んっ…」

花丸「も、もうちょっと…んっ、強くしてもっ…」

ダイヤ「駄目です、まだっ、始めたばかりなんですからっ、無理をして身体を痛めてはいけませんわっ」

花丸「は、はいっ」

92: 2016/12/21(水) 21:40:17.28 ID:5+qyjyYK.net
ワイワイ


ルビィ「よ、善子ちゃん、お願い…」

善子「行くわよ」

ルビィ「うん」

善子「…えいっ」グイッ

ルビィ「ピギィィィ!?」

善子「ご、ごめん。加減が…」

93: 2016/12/21(水) 21:41:02.75 ID:5+qyjyYK.net
ワイワイ


梨子「んっ、曜ちゃん体柔らかいねっ」

曜「えへへ、高飛び込みは体柔らかくないとだからね」

梨子「私は絵を描いたりピアノをしたり、運動はあんまりだから」

曜「良かったら、私のやってる柔軟法教えようか?」

梨子「え、いいの?」

曜「うんっ」

曜「まずは――」

94: 2016/12/21(水) 21:42:01.17 ID:5+qyjyYK.net
千歌「………………」

梨子「あ、千歌ちゃん。千歌ちゃんも聞く?」

曜「こうやってね」


千歌「あなたたち。いいえ、ここにいる全員」

95: 2016/12/21(水) 21:42:29.83 ID:5+qyjyYK.net
ダイヤ「どうしたんですの?」

千歌「さっきから聞いていれば楽しそうに私語私語私語」

千歌「あなたたちにとってスクールアイドル活動はレクか何かなの?」

果南「そんな言い方しなくても!」

千歌「ならなんて言えばいいのかしら?」

千歌「お友達と仲良くわいわい頑張っていく活動…これならいい響きね」

96: 2016/12/21(水) 21:43:02.41 ID:5+qyjyYK.net
ルビィ「うゅ…」

千歌「ラブライブ優勝ねえ…」

善子「な、何よっ」

千歌「こんな浮ついた空気でラブライブ優勝なんて出来るわけないじゃない」

花丸「それは…」

千歌「はぁ、所詮スクールアイドルなんてお遊びね」

ダイヤ「なっ…!」

千歌「昨日私が言ったことをしっかりやっておいて」

曜「ち、千歌ちゃんは?」

千歌「私はもう帰るわ。こんなことに付き合っても意味がないもの」


Aqours「………………」


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