千歌「私に宿る9人の女神」【長編SS】

ちか (7) AqoursーSS


189: 2016/12/23(金) 20:33:04.57 ID:embjycw5.net
――


ガヤガヤ


千歌「また来ちゃった。秋葉原…」

千歌「(行くなら穂むらなんだけど…今思い返してみると前回すごい失礼なことしちゃってたし、行けないよね…)」

千歌「(だからアテはない…けど絶対に今回でμ'sの人たちを見つけなきゃ!)」

千歌「まずは…音ノ木坂学院!」

190: 2016/12/23(金) 20:33:48.22 ID:embjycw5.net
―――


千歌「あの…」

音ノ木坂学院生「ん?なに?」

千歌「音ノ木坂にμ'sの人が来る予定とかって…ないですよね?」

学院生「そうねえ、少なくとも私は何も知らないけど」

千歌「そうですよね、ありがとうございます」

千歌「…………はぁ」

千歌「(μ'sは何も残していかなかった、か)」

千歌「分かってたけどやっぱりいないか~」

千歌「ま、でもまだ一つ目だし、次はことりさんが働いてたメイド喫茶!」

191: 2016/12/23(金) 20:34:17.06 ID:embjycw5.net
――


千歌「さすがにもうメイドさんはやってないよね。ちょっとだけ期待してたけど」

千歌「あ、このオムライス美味しい。隠し味は愛情だっけ?」

千歌「ってそんなことはどうでもいいんだよ!」

千歌「次は…西木野病院だね!」

千歌「すみません、お会計お願いしまーす!」


ハーイ


千歌「って…メイド喫茶ってこんなに高いの!?」

193: 2016/12/23(金) 20:35:13.23 ID:embjycw5.net
――


千歌「す、すみません」

ナース「どうしたの?受付ならあそこだけど」

千歌「あの、西木野真姫さんってここにいますか?」

ナース「あら、あなた真姫ちゃんのお友達?」

千歌「そういうわけじゃないんですけど…」

ナース「残念ね~、真姫ちゃん今お友達と旅行に行ってるらしくて家にいないって聞いたのよ」

ナース「確か三日もすれば帰ってくるって言ってたはずよ」

千歌「そうですか…ありがとうございました」

194: 2016/12/23(金) 20:35:43.70 ID:embjycw5.net
――


千歌「ここが穂乃果さんたちが昔遊んでたっていう公園か~」

千歌「まあ…当たり前だけど子供しかいない…」

子供「ねえお姉ちゃん!」

千歌「ん?お姉さんに何か用?」

子供「一緒に遊ぼうよ!」

千歌「えっと…今お姉さん大切な用事があって…」

子供「じゃあお姉ちゃんが鬼ごっこの鬼ね!」

千歌「待っ…」

子供「みんな逃げろー!」


キャーキャー


千歌「う、嘘でしょ…」

195: 2016/12/23(金) 20:36:25.00 ID:embjycw5.net
――


千歌「やっと子供たちから解放されたけど、いよいよ行くアテがないよぉ」

千歌「うぅ…穂乃果さーん、海未さーん…ことりさーん。どこにいるんですかぁ」


グゥゥゥゥ…


千歌「………………」

千歌「(みんなに身体を貸し始めてからお腹がたくさん空くようになってる…)」

千歌「鬼ごっこでいっぱい動いたし、オムライスだけじゃ足りないよ~!」

196: 2016/12/23(金) 20:36:44.70 ID:embjycw5.net
【GoHAN-YA】


千歌「…………ん?」クルッ

千歌「ご飯屋……う、ううん!今はμ'sの皆さんを探さなきゃいけないんだし、こんなところに寄ってる暇は…」


『黄金米』


千歌「ぐっ…!」


『黄金米』


千歌「う、ぁ…」

197: 2016/12/23(金) 20:37:22.64 ID:embjycw5.net
『黄金米』


千歌「ま、まあご飯屋さんなら花陽さんがいるかもしれないし、これは決してお腹が空いただけってわけじゃ…!」


 


マイドアリー

ウィーン


千歌「うぅ…」

198: 2016/12/23(金) 20:42:17.15 ID:embjycw5.net
――


千歌「もうそろそろ帰らなきゃいけないのに…」

千歌「まだ誰も見つかってないよぉ!」

千歌「これじゃオムライスとご飯を食べに秋葉原まで来たようなものじゃん!」

千歌「はぁ…どうしよう」


トボトボ


千歌「……あ、神田明神」

千歌「残る手段は神頼みだけかぁ」

199: 2016/12/23(金) 20:44:05.72 ID:embjycw5.net
 

千歌「ここまで来たら小銭は全部入れちゃえ!」

チャリリリリンチャリーンッ

千歌「お願いします、どうかμ'sのメンバーと会えますように…!」パンパンッ


千歌「……よしっ!これでおっけー!あと少ししか時間ないけどもう一回探しに行くぞー!」

千歌「っていってもどこに行けばいいのかな。うーん…」

千歌「うん!こういうときは色んなところを走り回ってみればきっと見つかる気がするよっ!」

千歌「そうと決まれば早速…」


「そこのお姉さん」

200: 2016/12/23(金) 20:44:52.34 ID:embjycw5.net
千歌「え?」

「そこのお姉さん」

千歌「もしかして…私のこと?」

「そう、キミキミ」

千歌「(だ、誰~?)」

千歌「なんですか?」

201: 2016/12/23(金) 20:45:24.14 ID:embjycw5.net
「ちょっと話聞いていかない?時間はとらせないから」

千歌「…すみません。今すっごい急いでて、もう時間がないんです!」

千歌「それじゃあ失礼しますっ」

「いくら探してもμ'sのみんなは見つからんよ」

千歌「え…?」

202: 2016/12/23(金) 20:45:56.74 ID:embjycw5.net
「ふふっ、キミのことはなんでもお見通し」

「…だからウチはキミと巡り会えた」

「ううん、この状況もたくさん御賽銭を入れたキミへの神様からの気まぐれな贈り物なのかも」

千歌「あなたは?」

占い師「ウチ?ウチはこの神社で占いしてるただの占い師。まあ暇なときに趣味でやってるだけなんだけど、このニカブも占い師の服も似合ってるでしょ?」

千歌「占い師…」

千歌「今言ったことも占った結果ですか?」

占い師「まあそんなところかな」

203: 2016/12/23(金) 20:48:19.17 ID:embjycw5.net
占い師「ねえねえ、少しだけ話聞いていかない?お代は要らないから」


千歌「……わかりました」

占い師「決まりっ!じゃあここに座って」

千歌「は、はい」

占い師「今からこの水晶玉でキミの運命を占ってみる。水晶玉の中心をじーっと見つめてみて」

千歌「………………」ジー

204: 2016/12/23(金) 20:48:48.67 ID:embjycw5.net
占い師「むむむっ!むぅ…!」

占い師「むーーーっ!」

千歌「あの…?」

占い師「なーんて、やっぱり慣れないことはやるべきじゃないね。こんな茶番はおしまいっ」

千歌「ちゃ、茶番って」

占い師「単刀直入に言うよ」

205: 2016/12/23(金) 20:49:42.91 ID:embjycw5.net
占い師「…今やろうとしてることはやめた方がいい」

千歌「え?」

占い師「例えこの先μ’sの誰かと出会えて、その人の物を手に入れたとしても、絶対に良い未来なんて訪れんよ」

占い師「キミがμ’sであろうとし続ける限り、ね」

206: 2016/12/23(金) 20:50:27.10 ID:embjycw5.net
千歌「くっ…」ギリ

千歌「あなたに何がわかるんですかっ!周りはすごい人ばっかりで、置いていかれないように必死な私の気持ちなんて…!」

占い師「わかるよ」

千歌「う、嘘っ!」

占い師「わかるよ。周りがすごい人ばっかりだと不安にもなるよね」

占い師「だから自分を大きく見せたりして」ボソッ

207: 2016/12/23(金) 20:50:57.02 ID:embjycw5.net
千歌「知ったようなこと言わないで!」

千歌「私の気持ちなんてみんな分かってくれない。相談も出来るわけないっ!」

占い師「……」

占い師「確かにウチにはキミの悩みの全てを理解することなんてできないかもしれない」

千歌「なら…!」

占い師「でも、その方法だけは間違ってると思う」

千歌「いいえ、私がμ'sみたいになれば…きっとみんなを、Aqoursを引っ張っていける」

占い師「話は平行線やね…」

千歌「意見を変えるつもりはありません」

208: 2016/12/23(金) 20:51:58.98 ID:embjycw5.net
占い師「……そうやなぁ」

占い師「ねえ、なんでμ'sは輝けたんだと思う?」

千歌「それは…個性があったから。すごい人たちが九人集まって奇跡が起こった」

占い師「ウチは違うと思うな」

千歌「なら何でですか?μ'sは普通集団だったけど輝けたって言うんですか…?」

占い師「うん、普通の女子高生だったよ」

209: 2016/12/23(金) 20:52:33.85 ID:embjycw5.net
占い師「ウチが思うに、個性がどうとか、そんなの全然関係なくて……みんな精一杯の自分で精一杯輝こうとした」

占い師「だからμ'sっていうグループも輝いたんよ」

千歌「……そんなのは個性があるから言えることです」

占い師「はぁ、これは頑固そうやね」

占い師「じゃあ…」ガサゴソ

千歌「…?」

210: 2016/12/23(金) 20:54:21.44 ID:embjycw5.net
占い師「はい」

千歌「なんですか、これ」

占い師「μ'sのみんなに縁のあるもの」

占い師「これは海未ちゃんの詩集で、こっちは真姫ちゃんの持ってた楽譜。それとのぞみんのタロットカードに、にこっちが一年のときの…」

千歌「…なんでこんなものを…。というか止めてたんじゃ」

占い師「今もやめてほしいって思ってるよ
。でも、言っても聞かなそうだからね」

占い師「一回やってみればウチの言いたいことも伝わるかもって」

211: 2016/12/23(金) 20:55:02.28 ID:embjycw5.net
千歌「………………」

千歌「ありがとうございます」

占い師「………………」

千歌「大切に…使わせてもらいます」

占い師「……うん」

 

千歌「(私は絶対に完璧になるんだ)」

212: 2016/12/23(金) 20:56:13.28 ID:embjycw5.net
――


曜「あー!ミニライブの日まで残りわずかなのに衣装が全然決まらないぃ~!」

ルビィ「さすがにそろそろデザインを決めないと間に合わなくなっちゃう…」

曜「頭の中ではある程度固まってるんだけど上手くイラストにできないっていうか」

曜「あーもうどうすれば~」

213: 2016/12/23(金) 20:56:38.28 ID:embjycw5.net
梨子「花丸ちゃん、そろそろ歌詞を見せてくれないと作曲ができないのだけど…」

花丸「もうちょっとだけ待ってほしいずらっ」

善子「まだ考えてるの?もう私が考えた『堕天使の鎮魂歌』で良いんじゃない?」

花丸「それはありえないずら」

善子「なんでよ!」

214: 2016/12/23(金) 20:57:17.69 ID:embjycw5.net
ガチャ

千歌「ちょっといいかしら?」


梨子「千歌ちゃん?」

曜「………………」

善子「どうしたのよ」

千歌「これ、次のライブの歌詞と曲」バサッ

215: 2016/12/23(金) 20:57:53.18 ID:embjycw5.net
梨子花丸善子「…え?」

善子「か、歌詞って…」

千歌「なるべく今まで花丸が書いてきた歌詞とかけ離れないように注意はしてみたわ」

千歌「曲の方だけど、こっちは私が今作れる最高のものを作ったつもり。この音楽プレイヤーに入れたから聴いてみて」

梨子「え、ええ…」


ルビィ「千歌ちゃん作曲なんてできたの!?」

曜「全然知らなかった…」

千歌「あとは衣装のイラストね」

ルビィ「…へ?」

216: 2016/12/23(金) 20:58:25.63 ID:embjycw5.net
千歌「曜がボツにしたイラストをまとめてみて、あなたが描きたいであろうイラストを描いてみたの」

ルビィ「え?」

千歌「あと試作で一着だけ作ってみたから確認してみて」

曜「あ、うん…」

千歌「それじゃあラブライブまで時間もないんだから早く練習始めるわよ」クルクル

千歌「みんなも早く準備して屋上に来てよね」

217: 2016/12/23(金) 20:59:17.19 ID:embjycw5.net
ガチャ


花丸「善子ちゃん、これ…」

善子「少し前まで作詞してたのは知ってたけど、千歌ってこんなに作詞が上手かったっけ?一つ一つの歌詞が心に訴えかけてくるというか…」

花丸「すごいずら…」

218: 2016/12/23(金) 20:59:46.49 ID:embjycw5.net
曜「衣装のデザイン、全部みんなにぴったり似合っててそれでいてごちゃごちゃしてない」

曜「千歌ちゃんは私が思い描いてるデザインって言ってたけど、こんなすごいデザイン私には…」

ルビィ「試作って言ってた衣装も丁寧に作り込まれてて、まるで売り物みたい…」

ルビィ「千歌ちゃんもお裁縫が得意だったんだね」


曜「う、うん、びっくりしたな~。千歌ちゃんにそんな特技があったなんて。ずっと一緒にいて………全然知らなかった」


曜「……千歌ちゃん」

219: 2016/12/23(金) 21:05:16.79 ID:embjycw5.net
――


ダイヤ「1.2.3.4…ルビィ、動きが遅れていますわよ!」

ルビィ「はっ、はっ、うんっ!」


ダイヤ「曜さん、逆にテンポが早いですわっ!」

曜「はぁ…はぁ、了解ヨーソロー!」


鞠莉「はぇ~…」

ダイヤ「鞠莉さん、気を抜かない!」

鞠莉「S、Sorry」


ダイヤ「(…分かっていますわ。千歌さんのことですわよね)」

220: 2016/12/23(金) 21:05:53.46 ID:embjycw5.net
千歌「にゃっ…にゃっ」


梨子「はぁ、千歌ちゃん…はぁ、全く息が切れてない」


千歌「行っくにゃ~!」クルクル

ダイヤ「千歌さん、変な動きを入れないでください!」

千歌「えへへ、ごめんなさい」


果南「運動神経すごっ。今バク宙二回転してた…?」

221: 2016/12/23(金) 21:06:58.49 ID:embjycw5.net
ダイヤ「(これまでも突然千歌さんのダンスのレベルが上がることはありましたが、今回は異常ですわ。まるで千歌さんではないような…)」

ダイヤ「(なんて考えすぎですわね。これも千歌さんの自主練習の賜物でしょう)」


ダイヤ「はい、それでは今日の練習はこれで終わりにしますわ!皆さん水分補給を忘れないように」

善子「はぁ、今日もハードだったわね」

ルビィ「善子ちゃんお疲れ様っ」

善子「善子言うな!」

花丸「お腹空いたずらぁ」

善子「まあ最近は運動量も多いから無理もないわ」

222: 2016/12/23(金) 21:07:30.62 ID:embjycw5.net
千歌「花丸ちゃんお腹減ってるの?」

花丸「え、うん。何だかそう言われると恥ずかしいずら…///」

千歌「良かったぁ」

ルビィ「良かった?」

千歌「あのね、今日はおにぎりとマカロンを作ってきたんだっ♪」

千歌「たくさん作ってきたからみんなで食べて!」

果南「お、おにぎりとマカロンってすごい組み合わせだね…」

223: 2016/12/23(金) 21:08:15.97 ID:embjycw5.net
鞠莉「早速いただくわね」

ダイヤ「鞠莉さん、はしたないですわよ」

鞠莉「ノープロノープロ。ダイヤは細かいことを気にしすぎだって」

ダイヤ「何か言いましたか?」

鞠莉「何も…ってあれ、これおにぎりの中に何も入ってない?」

千歌「うん、おにぎりと言えばお米の味を味わえる白むすびが一番っ」

224: 2016/12/23(金) 21:08:52.72 ID:embjycw5.net
梨子「塩おむすび、何だか意外」

鞠莉「千歌っちのことだから中にみかんでも入れてくると思ったのに」

千歌「さ、さすがにそんなことはしないかな」アハハ

曜「………………」

千歌「はい、曜ちゃんも」

曜「……ありがと」

千歌「えへへ」

225: 2016/12/23(金) 21:09:33.85 ID:embjycw5.net
ワーワー


ズラー


千歌曜「………………」モグモグ

曜「……その、この前はごめんね。千歌ちゃんのこと考えないで少し言いすぎたかもって」

千歌「そんな…」

曜「でも、私はいつもの千歌ちゃんが好き。その思いは変わってないから」

千歌「…………うんっ」

226: 2016/12/23(金) 21:10:08.10 ID:embjycw5.net
ルビィ「マカロンもすごく美味しい」

果南「おにぎりとは合わないけどね」


花丸「善子ちゃんそのマカロン食べないの?じゃあ貰うね」パクッ

善子「あぁ!それ取っておいたやつなのにぃぃぃ!」

227: 2016/12/23(金) 21:11:06.81 ID:embjycw5.net
――


ガラッ

千歌「すみません、お待たせしました」

千歌「ってどうしたのですか…?あれ」


ギャーギャー

228: 2016/12/23(金) 21:12:15.58 ID:embjycw5.net
鞠莉「だからなんで今から振り付けを変える必要があるのよ!」

果南「そっちの方がインパクトがあるからって何度も説明してるでしょ!」

鞠莉「私が言いたいのはそういう事じゃなくて、なんで今なの!?もうライブまで一週間しかないのよ!?」

果南「だからってより良い方に変えないって理由にはならないと思う。鞠莉はライブを良いものにしたくないの?」

鞠莉「直前で変更して失敗するよりはマシよ!みんなが果南みたいにすぐに対応できると思わないでっ!」

ダイヤ「お、お二人共落ち着いて…」

果南鞠莉「ダイヤは黙ってて!」

229: 2016/12/23(金) 21:13:01.70 ID:embjycw5.net
ギャーギャー


曜「次のライブの振り付けを変えるか変えないかで喧嘩っぽくなっちゃってて、話は見た通り平行線なんだけど…」

曜「三年生の喧嘩だと私たちじゃ止められなさそうだし。あ、千歌ちゃんなら止められるかも。あの時みたいに」

千歌「はぁ、まったく…」

千歌「………………」スッ

曜「ん?」

230: 2016/12/23(金) 21:13:48.68 ID:embjycw5.net
千歌「やっほー、二人ともどうしたん?」

果南「鞠莉がワガママ言って…って千歌には関係ないよ」

鞠莉「ワガママ言ってるのは果南でしょ!」

果南「はぁ!?」

千歌「まあまあ落ち着いて、まずは二人の言い分を聞かないことにはどうしようもないんよ」

鞠莉「私は果南と話してるの!」

果南「そう、これは私と鞠莉の問題なんだから千歌は下がってて」

231: 2016/12/23(金) 21:15:20.21 ID:embjycw5.net
千歌「本当に二人だけの問題?」

果南鞠莉「え?」

千歌「二人だけの問題ならウチは口出しするつもりはない。でも、振り付けの話ならAqoursみんなの問題と違うん?」

鞠莉「そ、それは…」

果南「そうだけど…」

千歌「でしょ?」

232: 2016/12/23(金) 21:15:52.87 ID:embjycw5.net
千歌「ほら、それじゃあここに座って、みんなでゆーっくり話し合お♪」

鞠莉「ちょっ…」

千歌「口答えすると…わしわしするで~?」ワシワシ

果南鞠莉「ひっ…!」


――――――

――――

――

233: 2016/12/23(金) 21:16:58.82 ID:embjycw5.net
果南「あ、千歌!探したよ」

千歌「果南、ちょうど私も探していたところだったので。それで、私を探していたというのは?」

果南「その…さっきはありがとね。私も鞠莉も熱くなってて周りが見えなくなってた」

千歌「二人ともAqoursのことを考えて口論になっていたのでしょう?それなら良い、とまでは言いませんが仕方ないと思いますよ」

234: 2016/12/23(金) 21:17:29.53 ID:embjycw5.net
果南「千歌ぁ…」

千歌「ですが!」

千歌「果南も鞠莉もダイヤの気持ちを考えてあげてください。勝手に突っ走ったり、ふざけたりするメンバーをまとめるのがどんなに大変か…!」

果南「う、うん、そうだね。ダイヤにも謝っておくよ」

235: 2016/12/23(金) 21:18:15.56 ID:embjycw5.net
果南「………………」

果南「ねえ千歌」

千歌「なんですか?」

果南「最近の千歌さ……すごいけど…何かおかしいよ」

果南「大丈夫?何かあるなら一人で抱え込まないで…」

千歌「心配しなくても大丈夫ですよ」

果南「でも…」

千歌「そんなことより私も果南に話があったのでした」

千歌「これが次のライブのセットリストなのですが…」

果南「うん…」

247: 2016/12/24(土) 18:02:24.28 ID:Vd6tA0Eu.net
――


千歌「みんな~♡」

千歌「今日はぁ、ちかちーのぉ、ミニライブに来てくれてありがと~♡」

梨子「ち、千歌ちゃんだけじゃないけど…」


千歌「あ、そうだっ!この前の話なんだけどね」

千歌「千歌、みんなにありがとうって気持ちを伝えたくて、一人でクッキーを焼いてたんだ♡」

千歌「でね、いざクッキーができて味見しちゃおう♪ってぱくって食べてみたら…」

千歌「このクッキー、しょっぱ~~い!」

鞠莉「は?」

248: 2016/12/24(土) 18:02:52.28 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「千歌、砂糖と塩を間違えて入れちゃってたのっ!」

千歌「もうっ!千歌ってうっかり♡」

花丸「あ、あはは…」

千歌「って千歌、自分のことばっかり喋っちゃってゴメンねっ!」

千歌「みんなのこと、ちゃーんと見えてるよっ♡」


ワァァァァ!

249: 2016/12/24(土) 18:03:27.70 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「こーんなにたくさんみんなが千歌のために来てくれるなんて、もう千歌感激ちか♡」

ダイヤ「ち、ちか?」

千歌「今日はぁ、みんなのために精一杯歌うから…千歌のことだけを見ててねっ♡」ウインク


曜「あ、はは…千歌ちゃん変なものでも食べたみたいで」

千歌「ぬぁんでよ!」


アハハハハハ

250: 2016/12/24(土) 18:04:36.27 ID:Vd6tA0Eu.net
 

花丸「オープニングトークの掴みはそんなに悪くなかったし、ここからが本番ずら」

鞠莉「いくらtalkが良くてもLIVE performanceがダメじゃ話にならないしね」

ルビィ「うぅ…緊張してきたよぉ」

花丸「ルビィちゃん、頑張って!」

251: 2016/12/24(土) 18:05:13.59 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「あんたたち、ファンを待たせてるんだからいつまでも舞台裏で喋ってなんかないで早く行くわよ!」

鞠莉「千歌っちやる気満々ね!」

千歌「あったり前でしょ!アイドルっていうのはみんなを笑顔にさせる仕事なんだから」

ルビィ「みんなを笑顔をにさせる…」

ダイヤ「千歌さんもたまには良いこと言いますわね」

千歌「ふふん、伊達にアイドル目指してないわよ」

曜「ち、千歌ちゃんアイドル目指してたの?」

梨子「お、面白い冗談だね」

252: 2016/12/24(土) 18:05:52.13 ID:Vd6tA0Eu.net
ダイヤ「それじゃあ行きますわよ」

千歌「ちょっと待って…」

千歌「………………」スッ


千歌「みんな」

曜「千歌ちゃん…?」

曜「(急に雰囲気がまるで別人に…)」

千歌「やろう、歌おう全力で!」

千歌「だってそのために私たちは頑張ってきたんだから!」

梨子「ええっ」

千歌「できるったらできる!」

253: 2016/12/24(土) 18:07:26.57 ID:Vd6tA0Eu.net
善子「(何これ…)」

ルビィ「(さっきまですごい緊張してたのに…)」

曜「(千歌ちゃんの言葉が心にすんなり入ってくる…。いけるって思わせてくれる)」


千歌「よ~し、行っくよ~!」

千歌「Aqours…」


Aqours「サンシャイーン!」

257: 2016/12/24(土) 20:06:19.98 ID:Vd6tA0Eu.net
 


ザワザワ…


千歌「………………」

果南「すーはー……」

花丸「はっ……はっ…」

258: 2016/12/24(土) 20:07:13.58 ID:Vd6tA0Eu.net
曜「(何この空気…舞台裏と一転して何でこんなに張り詰めてるの…?)」

曜「(千歌ちゃん以外はみんな笑顔を維持するので精一杯)」

曜「(というか千歌ちゃん、明らかに雰囲気がいつもと違う。まるで千歌ちゃんの周りだけ空気が違うみたい…)」

千歌「それでは聴いてください」

曜「」ゾクッ

千歌「届かない星だとしても」

259: 2016/12/24(土) 20:07:57.86 ID:Vd6tA0Eu.net
~♪


夢描くってどんなこと――


曜「(辛い…プレッシャーに押し潰されそう)」

曜「(みんなは…)」


鞠莉「くっ…!」

善子「はぁ…はぁ…!」


曜「(やっぱりみんなステージを楽しむ余裕なんてない。置いてかれないように必死)」

260: 2016/12/24(土) 20:09:26.68 ID:Vd6tA0Eu.net
花丸「うぅっ!」

果南「ふぅ…!」


曜「(千歌ちゃん一人で突っ走りすぎだよ。これじゃまるで千歌ちゃんのワンマンステージ)」


――憧れるって素敵だよ

とにかく全部真似したい!


千歌「みんなもきっとわかるはず――」


曜「(すごい…すごいけどっ!)」

曜「(これが千歌ちゃん?ううん違うよ、私の知ってる千歌ちゃんはもっと――

261: 2016/12/24(土) 20:11:00.01 ID:Vd6tA0Eu.net
――


千歌「……………あ」

千歌「そっか…ライブ、終わったんだね」

千歌「今日はにこさんと穂乃果さんに頼んだからライブは大成功間違いなし!」

千歌「成功させて、みんなで盛り上がって…笑いあった…のかな」


――“私”はその喜びを共有できないけど。


千歌「………………」

262: 2016/12/24(土) 20:12:15.15 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「最近は気がついたらいつも部屋にいるなぁ」

千歌「えへへ…本当に何をやってるんだろう…」


――身体はスクールアイドルをしてる。でも、“私”は何もしてない。


――全部、知らない私がやってくれて、私たちは、決められた振り付けを曲を歌詞をこなすだけ…。


千歌「Aqoursってこんなに空っぽだったっけ…?」ボソッ

千歌「もうわからない…何もわからないよ」

千歌「でも…今更やめられない。だって私には…」

千歌「私には何も無いんだから…」

264: 2016/12/24(土) 20:19:35.54 ID:Vd6tA0Eu.net
――


ダイヤ「1.2.3.4.5.6.7.8…」パンパンッ

ダイヤ「1.2.3.4.5.6.7.8…」パンパンッ

ダイヤ「今日はここまでにしますわ。皆さんストレッチを忘れずに行うこと」

鞠莉「はーい」

ダイヤ「………………」


鞠莉「あれ、いつもだったら『なんですの、その気の抜けた返事は』くらいグチグチ言ってくるのに、どうしたのかしら」

265: 2016/12/24(土) 20:20:33.71 ID:Vd6tA0Eu.net
果南「まあ、仕方ないのかもね。最近はAqours自体に活気がないから」

鞠莉「原因は…」

果南「原因って言い方はやめない?Aqoursから活気がなくなったのは千歌がおかしくなり始めたからかもしれないけどさ」

鞠莉「ごめん…」


果南・鞠莉「………………」

266: 2016/12/24(土) 20:21:14.45 ID:Vd6tA0Eu.net
果南「ねえ、鞠莉」

鞠莉「What?なーに?」

果南「確かに昔は今より曲も、技量も、衣装も、振り付けも何もかも劣ってたかもしれない」

鞠莉「わーお…果南辛辣~」

果南「でもね…」

果南「私はレベルの上がったこんな今より、昔の下手だった頃の方が、ずっと輝いてた気がするんだ」

鞠莉「…うん。笑いあったり、ダイヤに怒られたり、果南の振り付けを一緒に考えたり…そんな何気ない出来事だったかもしれないけど、私もそう思う」

果南「何がいけなかったのかな。昔より、千歌の力があった方がずっと輝けるはずなのに」

267: 2016/12/24(土) 20:26:12.14 ID:Vd6tA0Eu.net
 

善子「それでこの前読んだ本がね」

花丸「マルに善子ちゃんの読む本は難しいずら。だてんしとか、どらごんとか、えるふ?とかがたくさん登場するし…」

善子「むむ…じゃあルビィはどう!?」

ルビィ「ル、ルビィ?」

善子「絶対に面白いから!後悔させないわよ!」

ルビィ「ルビィも、遠慮しておこうかなぁ」

善子「えぇ~!」

268: 2016/12/24(土) 20:27:14.70 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「みんな~お疲れ様ですっ♪」

ルビィ「あ、千歌ちゃん…お疲れ様」

千歌「ねえねえ、何の話してたの?」

花丸「え、ええっと、ちょっと…」

千歌「…?」

千歌「あ、そうだっ♪みんな今日は…」

花丸「ごめんなさいっ!マル、今日はおばあちゃんにお寺の掃除しろって言われれて…」

千歌「あ、そうなんだぁ、引き止めちゃってごめんねっ!」

269: 2016/12/24(土) 20:28:01.20 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「花丸ちゃん、ばいばい♪」

花丸「えっと……」

花丸「………………」フイッ

花丸「………………」ダッ

千歌「花丸ちゃん…?」

270: 2016/12/24(土) 20:28:32.45 ID:Vd6tA0Eu.net
善子ルビィ「千歌(ちゃん!)」

千歌「え?」

善子「私も今日は配信…じゃなくて大事な用があるから先に帰るわね」

ルビィ「ルビィも…その…用事が。だから……」


千歌「う、うん。ばいばーい」


千歌「お菓子、たくさん作ってきたのになぁ…」ポツーン

271: 2016/12/24(土) 20:34:05.63 ID:Vd6tA0Eu.net
――


千歌「…………はっ!」

美渡「だ、大丈夫?今お茶碗持ちながら寝てたけど…」

千歌「えっ、本当…?」

志満「スクールアイドルってそんなにハードなの?少し休んだ方が良いんじゃない?」

千歌「ううん、大丈夫だから。みんな私の取り柄が元気なことだって知ってるでしょ!」

志満「それはそうだけど…」

千歌「お、おかわり!ご飯よそってくるね……っと」クラッ

志満美渡「千歌!?」

272: 2016/12/24(土) 20:34:36.74 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「えへへ、ちょっとつまづいちゃったみたい」

美渡「ちょっと…本当に大丈夫なの?」

千歌「だから大丈夫だって。そもそも体調が悪かったらおかわりなんて出来ないでしょ?」

美渡「…信じるからね」

千歌「うんっ!」

273: 2016/12/24(土) 20:43:04.39 ID:Vd6tA0Eu.net
――


千歌「ふぅ……はぁ…」

ダイヤ「皆さんラストスパートですわよ!」

千歌「はぁ…はぁ…」

果南「やっほー」

千歌「あ…はぁ…果南ちゃ…」

果南「千歌、もしかしてへばったの?この階段も一気に駆け上がれないようじゃラブライブ優勝なんて夢のまた夢だよ~?」

千歌「へばってなんか…」

千歌「ないにゃあぁぁぁ!」ダッ

果南「おお!」

274: 2016/12/24(土) 20:43:38.95 ID:Vd6tA0Eu.net
 

千歌「っゴール!…っはあっ…っはあっ…!」

梨子「ち、千歌ちゃん大丈夫?」

千歌「だい…じょうぶ…にゃ…っは…っは」

梨子「お水持ってくるからちょっと待っててね」

千歌「はぁ…はぁ…ふぅ。こんなくらいで…はぁ…へばるはずないのに…」

千歌「はぁ…千歌の身体、おかしくなっちゃったのかなぁ」

275: 2016/12/24(土) 20:45:56.24 ID:Vd6tA0Eu.net
――


千歌「……………ん。今日もみんなの出番はおしまいっ!」

千歌「何もしてないのに疲れてお腹空くのってなんだか変な感覚だなぁ」


美渡「千歌ー、ご飯できたよ」

千歌「はーい今行く……あれ?何これ」ガクッ

美渡「千歌?」

千歌「えへへ、足が痺れちゃって。先に行ってて」

美渡「りょうかーい」

276: 2016/12/24(土) 20:46:17.29 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「………………」

千歌「(ここのところずっと、意識が戻ってから身体がすごく重い…)」

千歌「(ちゃんと寝てご飯も食べてるはずなのに…どうして…?)」

千歌「まあ、μ'sの力を使えば大丈夫だよね!今日もご飯食べたら衣装のデザイン決めないと!」

277: 2016/12/24(土) 20:49:30.01 ID:Vd6tA0Eu.net
ブーブー


千歌「ん、曜ちゃんから電話…」


ブーブー


ブーブー


千歌「……ごめんね。これ以上、曜ちゃんには心配も迷惑もかけたくないから…」


ブーブー


ブ……

278: 2016/12/24(土) 20:51:47.76 ID:Vd6tA0Eu.net
 

ピロリーンッ


千歌「メール…?」


From.渡辺曜
件名:なし

本文:今日の千歌ちゃん、調子悪そうだったけど大丈夫?無理しないでなんでも相談してね。

279: 2016/12/24(土) 20:55:20.00 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「………えへへ」

千歌「曜ちゃんは優しいなぁ」

千歌「でも、ここでやめるわけにはいかないから」


千歌「『心配してくれてありがとう。大丈夫だよ!何かあったらすぐに相談するね!』…これで送信っ」

千歌「早く夕ご飯食べに行かなくちゃ!」

280: 2016/12/24(土) 20:58:59.82 ID:Vd6tA0Eu.net
――


ダイヤ「1.2.3.4.5.6.7.8…」パンパンッ


千歌「はぁ…はぁ…」


ダイヤ「1.2.3.4.5.6.7.8…」パンパンッ


千歌「はぁ……あ」ヨロッ

281: 2016/12/24(土) 20:59:36.74 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「あはは、はぁ…何も無いところでコケちゃった、はぁ…」

梨子「だ、大丈夫?」

千歌「うん、足捻ってないから動けそうにゃ…ふぅ…」

ダイヤ「大丈夫なら笑っていないですぐに戻ってください」

千歌「う、うん。ごめんね」

282: 2016/12/24(土) 21:00:37.95 ID:Vd6tA0Eu.net
曜「(千歌ちゃんすごい辛そう…)」

曜「ね、ねえ、一回休憩にしない?千歌ちゃんも辛そうだし…」

千歌「え?はぁ…千歌は…はぁ…とーっても元気いっぱいだよ!…はぁ」

曜「でも…」

千歌「ほら、こうやってバク転もできるし」クルクル

花丸「はぇ~…」

善子「そんな技を出せる余裕があるのならまだ大丈夫そうね」

ダイヤ「そうですわよ、千歌さん。そろそろライブの日も近いのですからしっかりしてください」

283: 2016/12/24(土) 21:01:25.57 ID:Vd6tA0Eu.net
千歌「うん、まだまだ…………あれ?」クラッ


バタッ…

 

曜「…………え?」


千歌「………………」

284: 2016/12/24(土) 21:01:46.47 ID:Vd6tA0Eu.net
鞠莉「まったく、倒れたふりなんて笑えないわよ~?」

ダイヤ「そ、そうですわよ。まあ多少言いすぎてしまったとは思っていますが…」

果南「う、うんうん、ダイヤも反省したみたいだし、もう起きていいから、ね?」


千歌「………………」


果南「ち、か?…嘘でしょ」ユサユサ

ダイヤ「千歌さんっ!」

梨子「千歌ちゃん!」

285: 2016/12/24(土) 21:02:30.80 ID:Vd6tA0Eu.net
ダイヤ「きゅ、救急車…今すぐにですわ!」

善子「わかってるわよ!」


花丸「千歌、ちゃん…?」

ルビィ「ぇ…やだ……千歌ちゃん…やだよぉ…」

286: 2016/12/24(土) 21:03:00.45 ID:Vd6tA0Eu.net
曜「千歌ちゃん!」

曜「大丈夫って言ったじゃん!何かあったら相談するって言ってたよね!?」ユサユサ

ダイヤ「曜さん!動かしては危険ですわ!」

曜「離してぇっ!」


曜「千歌ちゃん、千歌ちゃんっ!!」


――――――

――――

――


タイトルとURLをコピーしました