2:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:15:12 ID:???00
菜々(夏休みも終わり、今日から新学期ですね。さあ、新たな気持ちで頑張りましょう)
愛「あ! おはよー! せっ……いと会長」
菜々「……宮下愛さん、おはようございます」
愛(あっぷなー、休み中はずっとせっつーだったから、勢いで呼んじゃうところだった)
菜々「どうかされましたか? 私に話しかけてくるのは珍しいですね」
愛「いやー、休み明けだし調子はいいかなって、カイチョーだけに!」
菜々「ええ、そうですね。体調はしっかり整えてきました」
愛「それにしても……愛さんのことも知ってるんだ。さっすが生徒会長」
菜々「え? ……ええ、それは……全校生徒の皆さんを把握していますから。それに、宮下さんは有名人ですから、私でなくてもみんな知っていますよ」
愛「ふーん、それって名簿から覚えてるってことだよね? 凄いなー」
愛「あ! おはよー! せっ……いと会長」
菜々「……宮下愛さん、おはようございます」
愛(あっぷなー、休み中はずっとせっつーだったから、勢いで呼んじゃうところだった)
菜々「どうかされましたか? 私に話しかけてくるのは珍しいですね」
愛「いやー、休み明けだし調子はいいかなって、カイチョーだけに!」
菜々「ええ、そうですね。体調はしっかり整えてきました」
愛「それにしても……愛さんのことも知ってるんだ。さっすが生徒会長」
菜々「え? ……ええ、それは……全校生徒の皆さんを把握していますから。それに、宮下さんは有名人ですから、私でなくてもみんな知っていますよ」
愛「ふーん、それって名簿から覚えてるってことだよね? 凄いなー」
3:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:15:31 ID:???00
菜々「いえ、生徒会長として当然のことです」
愛「いやいや、凄いよ。尊敬しちゃう! ……でもさ、名簿の写真と実際の見た目が違う人がいたらどうするの?」
菜々「え? ……ええと、それは、ど、どなたのことをおっしゃっているのですか?」
愛「えー? ほら、うちの同好会にもさー」
菜々「ど、同好会にも……?」
愛「夏休みデビューする子がいるかもだし」
菜々「……そ、そうですか」
菜々(もう! からかわないでください!)
愛「えー? 何のことかな~? でも、生徒会長とはあまり話したことなかったけど、結構波長合うかも」
菜々「それはありがとうございます。生徒会長としても皆さんに寄り添えればと思っていますので」
愛「うーん、お硬いねー」
愛「いやいや、凄いよ。尊敬しちゃう! ……でもさ、名簿の写真と実際の見た目が違う人がいたらどうするの?」
菜々「え? ……ええと、それは、ど、どなたのことをおっしゃっているのですか?」
愛「えー? ほら、うちの同好会にもさー」
菜々「ど、同好会にも……?」
愛「夏休みデビューする子がいるかもだし」
菜々「……そ、そうですか」
菜々(もう! からかわないでください!)
愛「えー? 何のことかな~? でも、生徒会長とはあまり話したことなかったけど、結構波長合うかも」
菜々「それはありがとうございます。生徒会長としても皆さんに寄り添えればと思っていますので」
愛「うーん、お硬いねー」
4:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:16:28 ID:???00
…………
愛「やっほー、カイチョー!」
菜々「こんにちは、宮下さん。何かありましたか?」
愛「ううん、ただ廊下からカイチョーが見えたからさー」
菜々「そ、そうでしたか」
愛「あ、でも、そうだなー……今日は同好会休みなんだけど、カイチョーは放課後用事ある?」
菜々「生徒会の仕事がありますが、……それが何か?」
愛「結構かかる? 終わるまで待ってていいかな? どこかにさ、遊びに行こうよ」
菜々「え……ええ、それほどかからないとは思いますし、待つのは構いませんが、……なぜ私と? 私とでいいんですか?」
愛「んー、深い意味はないけどさ、カイチョーとも仲良くしたいなって、思ったんだ」
愛「やっほー、カイチョー!」
菜々「こんにちは、宮下さん。何かありましたか?」
愛「ううん、ただ廊下からカイチョーが見えたからさー」
菜々「そ、そうでしたか」
愛「あ、でも、そうだなー……今日は同好会休みなんだけど、カイチョーは放課後用事ある?」
菜々「生徒会の仕事がありますが、……それが何か?」
愛「結構かかる? 終わるまで待ってていいかな? どこかにさ、遊びに行こうよ」
菜々「え……ええ、それほどかからないとは思いますし、待つのは構いませんが、……なぜ私と? 私とでいいんですか?」
愛「んー、深い意味はないけどさ、カイチョーとも仲良くしたいなって、思ったんだ」
5:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:16:42 ID:???00
菜々「そ、そうですか。……私と仲良くして、それほどいいことがあるとは思いませんが」
愛「あるよ! カイチョーと仲良くなれる!」
菜々「ですから、それにどんな意味が……」
愛「ふっふっふ、……愛さんがカイチョーと仲良くなれる!」
菜々「ええと……」
愛「つまり、仲良くなってどう、ということじゃなくて、仲良くなること自体が目的ってこと!」
菜々「なるほど。どうしてわざわざ私とという疑問は残りますが、まあいいとしましょう」
愛「やった! じゃあ、放課後生徒会室に行くから! また後でね!」
菜々「はい、……また後で、ってもう行ってしまいましたか。ふう、まるで嵐のような人ですね。」
愛「あるよ! カイチョーと仲良くなれる!」
菜々「ですから、それにどんな意味が……」
愛「ふっふっふ、……愛さんがカイチョーと仲良くなれる!」
菜々「ええと……」
愛「つまり、仲良くなってどう、ということじゃなくて、仲良くなること自体が目的ってこと!」
菜々「なるほど。どうしてわざわざ私とという疑問は残りますが、まあいいとしましょう」
愛「やった! じゃあ、放課後生徒会室に行くから! また後でね!」
菜々「はい、……また後で、ってもう行ってしまいましたか。ふう、まるで嵐のような人ですね。」
6:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:17:07 ID:???00
クラスメイトA「今のって、情報科の宮下さんだよね?」
クラスメイトB「そうそう、部室棟のヒーローの」
A「中川さんに何の用だったんだろう」
クラスメイトC「何か楽しげに話してたけど、珍しい組み合わせだよねー」
B「でも、宮下さんって勉強もできるらしいから、優等生同士でもあるのかも……」
A「え、あの見た目で運動神経抜群で、勉強もできるの? 最強じゃん」
C「それにしてもタイプは違う組み合わせに見えるけどねー」
クラスメイトB「そうそう、部室棟のヒーローの」
A「中川さんに何の用だったんだろう」
クラスメイトC「何か楽しげに話してたけど、珍しい組み合わせだよねー」
B「でも、宮下さんって勉強もできるらしいから、優等生同士でもあるのかも……」
A「え、あの見た目で運動神経抜群で、勉強もできるの? 最強じゃん」
C「それにしてもタイプは違う組み合わせに見えるけどねー」
7:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:18:29 ID:???00
……
放課後 生徒会室
愛「失礼しまーす。……あれ、カイチョーだけ?」
菜々「ああ、宮下さん。……ええ、今日は少し書類仕事をするだけですから」
愛「ふーん、どれどれ、……今度の集会の準備だね。……これって、みんなでやればすぐに終わるんじゃない?」
菜々「そうかもしれませんが、私がやると決めた仕事なので」
愛「じゃあ、愛さんもその仕事をやるって決めた!」
菜々「え? ちょっと、困ります」
愛「いいからいいから。早く終わらせて、遊びに行こうよ。放課後は限られた時間しかないよ」
菜々(ああ、もう。菜々だと、どうにも愛さんのペースに巻き込まれてしまいますね……)
放課後 生徒会室
愛「失礼しまーす。……あれ、カイチョーだけ?」
菜々「ああ、宮下さん。……ええ、今日は少し書類仕事をするだけですから」
愛「ふーん、どれどれ、……今度の集会の準備だね。……これって、みんなでやればすぐに終わるんじゃない?」
菜々「そうかもしれませんが、私がやると決めた仕事なので」
愛「じゃあ、愛さんもその仕事をやるって決めた!」
菜々「え? ちょっと、困ります」
愛「いいからいいから。早く終わらせて、遊びに行こうよ。放課後は限られた時間しかないよ」
菜々(ああ、もう。菜々だと、どうにも愛さんのペースに巻き込まれてしまいますね……)
8:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:18:45 ID:???00
愛「はい、終わり! さあ、どこに行こっか」
菜々「……私はあまり詳しくないので、お任せします」
愛「じゃあ、糖分補給してカラオケって感じかな。よーし、レッツゴー!」
菜々「……私はあまり詳しくないので、お任せします」
愛「じゃあ、糖分補給してカラオケって感じかな。よーし、レッツゴー!」
9:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:21:11 ID:???00
……
愛「どう? ええと……ここ愛さんが同好会のみんなとよく来るお店なんだけど」
菜々「はい、おいしいです。私もいつも、……いえ、初めて来ましたが、いいお店ですね」
愛「だよねだよね! じゃあ、また来ようね!」
菜々「はい、そうしましょう」
愛「どう? ええと……ここ愛さんが同好会のみんなとよく来るお店なんだけど」
菜々「はい、おいしいです。私もいつも、……いえ、初めて来ましたが、いいお店ですね」
愛「だよねだよね! じゃあ、また来ようね!」
菜々「はい、そうしましょう」
10:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:21:47 ID:???00
生徒D「あれ、見てあれ、うちの生徒会長じゃない?」
生徒E「えー? あ、本当だ。生徒会長ってこういう店来るんだー」
生徒F「ね、ちょっと意外だよね」
D「意外といえば、一緒にいる人も意外かも」
E「へー、誰?」
D「知らないの? 二年の宮下さんっていって、結構隠れファンも多いんだから」
E「ふーん、でも確かにちょっと派手だし、生徒会長とは違うタイプかもねー」
生徒E「えー? あ、本当だ。生徒会長ってこういう店来るんだー」
生徒F「ね、ちょっと意外だよね」
D「意外といえば、一緒にいる人も意外かも」
E「へー、誰?」
D「知らないの? 二年の宮下さんっていって、結構隠れファンも多いんだから」
E「ふーん、でも確かにちょっと派手だし、生徒会長とは違うタイプかもねー」
11:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:22:29 ID:???00
愛「よーし、次はカラオケ! 歌うぞー」
菜々「いつも同好会で歌っているのに、まだ歌いたいものですか?」
愛「そりゃあね、歌うのは好きだし、自分の曲以外も歌いたいしね!」
菜々「なるほど……」
愛「カイチョーは? カラオケ嫌いだった?」
菜々「いえ、そういうわけではありませんが、あまり流行りの曲を知らないもので……」
愛「そんなの、何歌ったっていいじゃん。……例えばアニソンとかは?」
菜々「……ア、アニメもあまり見ないので、それほど詳しくは……」
愛「へえ、そっかー。……でもさー、今は二人だけだから別にいいんじゃない?」
菜々「よくありません! 壁に耳あり障子に目ありですよ!」
菜々(……それに、菜々と仲良くなりたいと言ってくれましたから)
菜々「いつも同好会で歌っているのに、まだ歌いたいものですか?」
愛「そりゃあね、歌うのは好きだし、自分の曲以外も歌いたいしね!」
菜々「なるほど……」
愛「カイチョーは? カラオケ嫌いだった?」
菜々「いえ、そういうわけではありませんが、あまり流行りの曲を知らないもので……」
愛「そんなの、何歌ったっていいじゃん。……例えばアニソンとかは?」
菜々「……ア、アニメもあまり見ないので、それほど詳しくは……」
愛「へえ、そっかー。……でもさー、今は二人だけだから別にいいんじゃない?」
菜々「よくありません! 壁に耳あり障子に目ありですよ!」
菜々(……それに、菜々と仲良くなりたいと言ってくれましたから)
12:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:22:53 ID:???00
愛「じゃあー、何歌おっか」
菜々「では、そうですね、流行りの曲ではないかもしれませんが……」
愛「おおー、そう来たか! いいじゃんいいじゃん」
菜々「では、そうですね、流行りの曲ではないかもしれませんが……」
愛「おおー、そう来たか! いいじゃんいいじゃん」
13:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:27:58 ID:???00
菜々「ふう……」
愛「イエーイ! 流石にうまいね! ……でも、意外なチョイスかも」
菜々「実は、母の影響なんです。……これでも以前、母とコンサートに行ったこともあるんですよ」
愛「おお、どうだった? 楽しかった?」
菜々「ええと、歌は素晴らしかったです。でも、……歌と歌の間、MCというか、お芝居? が実は思ったよりちょっと長くて……」
愛「お芝居? コンサートで? しずくならやりそうだけど……」
菜々「もうそのお芝居が延々と続くんです。お芝居を見に来たんだったかな、と錯覚するほどに」
愛「へー、歌だけでは伝えきれないことを伝える、とか? ……やっぱり自分のやりたいことをやるのって大事なのかな」
菜々「どうなんでしょう……今ならもっと理解できるのかもしれませんが、当時はもっと歌が聞きたかったなんて思ってしまいました。……それでも私は母に連れてきてもらった手前、すごく楽しかったと言ってしまって……」
愛「イエーイ! 流石にうまいね! ……でも、意外なチョイスかも」
菜々「実は、母の影響なんです。……これでも以前、母とコンサートに行ったこともあるんですよ」
愛「おお、どうだった? 楽しかった?」
菜々「ええと、歌は素晴らしかったです。でも、……歌と歌の間、MCというか、お芝居? が実は思ったよりちょっと長くて……」
愛「お芝居? コンサートで? しずくならやりそうだけど……」
菜々「もうそのお芝居が延々と続くんです。お芝居を見に来たんだったかな、と錯覚するほどに」
愛「へー、歌だけでは伝えきれないことを伝える、とか? ……やっぱり自分のやりたいことをやるのって大事なのかな」
菜々「どうなんでしょう……今ならもっと理解できるのかもしれませんが、当時はもっと歌が聞きたかったなんて思ってしまいました。……それでも私は母に連れてきてもらった手前、すごく楽しかったと言ってしまって……」
14:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:28:26 ID:???00
愛「あっはっはっは! その様子が目に浮かぶよ」
菜々「え、そうですか?」
愛「だってカイチョーは、いつも周りに気を遣ってるから。悪いことだとは言わないけどね」
菜々「そんなことはないと思いますけど……主張すべきことは主張しますし」
愛「まあ、そういう意見もあるってことで。じゃあ、愛さんは演歌とか歌おっかなー」
菜々「演歌、ですか。そちらも宮下さんのイメージとは違いますね」
愛「みんなで来たときなんかにはあまり歌わないけどね、今日はそういう日かなって!」
菜々「……なるほど?」
愛「愛さんの場合は、おばあちゃんの影響かな。実は元々好きなんだよね。そして、演歌歌手の人たちはみんなマジで歌が上手い! 真似したいけど一朝一夕では難しいね」
菜々「確かに、声量といいその場の雰囲気を変える力といい、スクールアイドルにも活かせるかもしれませんね! ……あ、宮下さんの」
愛「そうだねー。よーし、パフォーマンスの向上も兼ねて、今日は演歌デーだ!」
菜々「え、そうですか?」
愛「だってカイチョーは、いつも周りに気を遣ってるから。悪いことだとは言わないけどね」
菜々「そんなことはないと思いますけど……主張すべきことは主張しますし」
愛「まあ、そういう意見もあるってことで。じゃあ、愛さんは演歌とか歌おっかなー」
菜々「演歌、ですか。そちらも宮下さんのイメージとは違いますね」
愛「みんなで来たときなんかにはあまり歌わないけどね、今日はそういう日かなって!」
菜々「……なるほど?」
愛「愛さんの場合は、おばあちゃんの影響かな。実は元々好きなんだよね。そして、演歌歌手の人たちはみんなマジで歌が上手い! 真似したいけど一朝一夕では難しいね」
菜々「確かに、声量といいその場の雰囲気を変える力といい、スクールアイドルにも活かせるかもしれませんね! ……あ、宮下さんの」
愛「そうだねー。よーし、パフォーマンスの向上も兼ねて、今日は演歌デーだ!」
15:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:29:56 ID:???00
……
せつ菜「みなさん! おはようございます!!!」
愛「おはようせっつー。今日も元気だねー」
せつ菜「はい!! 今日も張り切っていきましょう!!! 」
愛「おー! がんばろー!」
せつ菜「あ、愛さん、この間は楽しかったですね!!!」
愛「この間?」
せつ菜「はい!! 一緒にカラ……あ! な、なんでもありません!!!」
せつ菜(いけません、カラオケに行ったのは菜々のときでした)
せつ菜「みなさん! おはようございます!!!」
愛「おはようせっつー。今日も元気だねー」
せつ菜「はい!! 今日も張り切っていきましょう!!! 」
愛「おー! がんばろー!」
せつ菜「あ、愛さん、この間は楽しかったですね!!!」
愛「この間?」
せつ菜「はい!! 一緒にカラ……あ! な、なんでもありません!!!」
せつ菜(いけません、カラオケに行ったのは菜々のときでした)
16:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:31:12 ID:???00
愛「せっつー?」
せつ菜「いえ……こ、この間の幼稚園でやったライブが、すごく楽しかったので、またやりたいと思いまして」
愛「ああ、せっつーはみんなに大人気だったもんね。必〇技をせっつかれてさ、せっつーだけに!」
せつ菜「愛さんもみなさんからキラキラした目を向けられていましたよ!」
愛「子どもたちの真剣な目っていいよねー。すっごくやる気出たよ」
せつ菜「はい! また来て欲しいと言ってもらえるよう、頑張りましょう!!」
愛「うん、頑張ろう! よーし、今日はせっつーと愛さんとでランニング競走しよっか!」
せつ菜「ええ!? 愛さんと競走ですか!? そ、それは、……しかし、そうですね。やる前から諦めるわけにはいきません!! うおおぉぉぉ!!! やりますよー!!!」
せつ菜「いえ……こ、この間の幼稚園でやったライブが、すごく楽しかったので、またやりたいと思いまして」
愛「ああ、せっつーはみんなに大人気だったもんね。必〇技をせっつかれてさ、せっつーだけに!」
せつ菜「愛さんもみなさんからキラキラした目を向けられていましたよ!」
愛「子どもたちの真剣な目っていいよねー。すっごくやる気出たよ」
せつ菜「はい! また来て欲しいと言ってもらえるよう、頑張りましょう!!」
愛「うん、頑張ろう! よーし、今日はせっつーと愛さんとでランニング競走しよっか!」
せつ菜「ええ!? 愛さんと競走ですか!? そ、それは、……しかし、そうですね。やる前から諦めるわけにはいきません!! うおおぉぉぉ!!! やりますよー!!!」
18:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:32:18 ID:???00
せつ菜「……はあ、はあ、……やって、やります、……よー」
愛「お疲れせっつー! でもまあ、今回は愛さんの勝ちだね!」
せつ菜「まだ、……まだです!! 今日は勝負の気分、……次は、パフォーマンス勝負です!!!」
愛「お、いいねえ。じゃあ……あ! ゆうゆ、ちょっとジャッジしてよ! 今から二人でパフォーマンスするからさ!」
愛「お疲れせっつー! でもまあ、今回は愛さんの勝ちだね!」
せつ菜「まだ、……まだです!! 今日は勝負の気分、……次は、パフォーマンス勝負です!!!」
愛「お、いいねえ。じゃあ……あ! ゆうゆ、ちょっとジャッジしてよ! 今から二人でパフォーマンスするからさ!」
19:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 21:32:56 ID:???00
愛「ふー、楽しかったー!」
せつ菜「はい!! 本当に!!」
愛「でも……うーん、身体能力は愛さんのほうが高いと思うんだけど、パフォーマンスになるとやっぱり敵わないなあ」
せつ菜「そうでしょうか? 結果は引き分けでしたが」
愛「それは……ジャッジがゆうゆだったからね」
せつ菜「愛さんのパフォーマンス、素晴らしかったですよ」
愛「ありがと。……よし、午後は糖分補給しに行こっか」
せつ菜「いいですね! いつものところですか? 行きましょう!!!」
せつ菜「はい!! 本当に!!」
愛「でも……うーん、身体能力は愛さんのほうが高いと思うんだけど、パフォーマンスになるとやっぱり敵わないなあ」
せつ菜「そうでしょうか? 結果は引き分けでしたが」
愛「それは……ジャッジがゆうゆだったからね」
せつ菜「愛さんのパフォーマンス、素晴らしかったですよ」
愛「ありがと。……よし、午後は糖分補給しに行こっか」
せつ菜「いいですね! いつものところですか? 行きましょう!!!」
20:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:35:57 ID:???00
……
菜々「……先ほどから何をしているのですか?」
愛「んー? なっつーを眺めてるよー」
菜々「……何ですかそれは」
愛「今日は予定がなくて暇なんだよねー。なっつーも今日は生徒会の仕事だっていうし」
菜々「いえ、その……なっつーというのは何ですか?」
愛「いつまでもカイチョーじゃねえ、なんか距離があるからさ、愛なりさんの親愛の証だよ」
菜々「『な』はわかりますけど、『っつー』はどこから来たのですか?」
愛「そりゃあね、あそこからだよー」
菜々「どこのことかわかりませんが……まあいいです。それより、見ているだけで面白いのですか?」
愛「うーん、それが意外になかなか、悪くないんだなこれが」
菜々「……先ほどから何をしているのですか?」
愛「んー? なっつーを眺めてるよー」
菜々「……何ですかそれは」
愛「今日は予定がなくて暇なんだよねー。なっつーも今日は生徒会の仕事だっていうし」
菜々「いえ、その……なっつーというのは何ですか?」
愛「いつまでもカイチョーじゃねえ、なんか距離があるからさ、愛なりさんの親愛の証だよ」
菜々「『な』はわかりますけど、『っつー』はどこから来たのですか?」
愛「そりゃあね、あそこからだよー」
菜々「どこのことかわかりませんが……まあいいです。それより、見ているだけで面白いのですか?」
愛「うーん、それが意外になかなか、悪くないんだなこれが」
21:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:36:27 ID:???00
菜々「そ、そうですか?」
愛「そうなんだよ。一生懸命仕事してるなー、って。愛さんも手伝えればいいんだけど……」
菜々「今日の書類は役員以外にお見せできないものも含まれていますから。……また今度お手伝いをお願いしますね」
愛「うん、任せて! そういえばうちの同好会からもイベント企画を出したから、そのときなら手伝えるかな?」
菜々「あ、この間の、……いえ、先日受領したものですね。まだ概要を見ただけですが……いい企画だと思います」
愛「そうでしょ? 同好会のみんなで一緒に考えたんだ」
菜々「……」
愛「?」
菜々「いえ……何でもありません。楽しみにしていますね」
愛「そうなんだよ。一生懸命仕事してるなー、って。愛さんも手伝えればいいんだけど……」
菜々「今日の書類は役員以外にお見せできないものも含まれていますから。……また今度お手伝いをお願いしますね」
愛「うん、任せて! そういえばうちの同好会からもイベント企画を出したから、そのときなら手伝えるかな?」
菜々「あ、この間の、……いえ、先日受領したものですね。まだ概要を見ただけですが……いい企画だと思います」
愛「そうでしょ? 同好会のみんなで一緒に考えたんだ」
菜々「……」
愛「?」
菜々「いえ……何でもありません。楽しみにしていますね」
22:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:37:05 ID:???00
……
せつ菜「みなさーん!!! ありがとうございましたー!!!!」
せつ菜「ふう……」
愛「お疲れせっつー、じゃあ次は、愛さんの番だね!」
せつ菜「はい!! よろしくお願いします!!」
愛「よーし、みんな! 次は愛さんのステージだよ! せっつーのステージも盛り上がったけど……愛さんも負けないように盛り上がっていくよ!」
愛「今回のイベントはね、同好会のみんなももちろんそうなんだけど、それ以外のみんな……特に生徒会の友達にすごく手伝ってもらって実現したんだ! だから、このステージを作り上げてくれたみんなのためにも、楽しんでいってね!」
せつ菜「愛さん……」
せつ菜「みなさーん!!! ありがとうございましたー!!!!」
せつ菜「ふう……」
愛「お疲れせっつー、じゃあ次は、愛さんの番だね!」
せつ菜「はい!! よろしくお願いします!!」
愛「よーし、みんな! 次は愛さんのステージだよ! せっつーのステージも盛り上がったけど……愛さんも負けないように盛り上がっていくよ!」
愛「今回のイベントはね、同好会のみんなももちろんそうなんだけど、それ以外のみんな……特に生徒会の友達にすごく手伝ってもらって実現したんだ! だから、このステージを作り上げてくれたみんなのためにも、楽しんでいってね!」
せつ菜「愛さん……」
23:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:37:30 ID:???00
愛「それじゃあ、今日のライブはおしまい! またね! 気を付けて帰ってね!」
せつ菜「お疲れさまでした! すごくいいステージでしたよ!」
愛「ありがとう、せっつー。このステージを作ってくれたみんなのおかげだね」
せつ菜「そうですね……」
愛「うん、ありがとうせっつー!」
せつ菜「いえ、私は何も……」
愛「……せっつー?」
せつ菜「お疲れさまでした! すごくいいステージでしたよ!」
愛「ありがとう、せっつー。このステージを作ってくれたみんなのおかげだね」
せつ菜「そうですね……」
愛「うん、ありがとうせっつー!」
せつ菜「いえ、私は何も……」
愛「……せっつー?」
24:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:53:43 ID:???00
……
菜々「ふう、今日は随分涼しいですね」
愛「本当だ。……ちょっとずつ日も短くなってきたねー」
菜々「はい。愛さんは、夏のほうが好きですか?」
愛「うーん……夏はもちろん好きだけど、他の季節も好きだなー。それぞれ代わりにはならないっていうか」
菜々「代わりにはならない……そうかもしれませんね」
愛「うん、だんだん夏が長くなってきて、秋が夏化してるなんて言われてるけど、やっぱりねー。春の心躍る感じも、秋の静かだけど少し寂しい感じも、冬の凛とした寒さも、夏には真似できないよ」
菜々「そうですか……」
愛「なっつー、どうしたの?」
菜々「代わりにならないのって……人もそうだと思いますか?」
菜々「ふう、今日は随分涼しいですね」
愛「本当だ。……ちょっとずつ日も短くなってきたねー」
菜々「はい。愛さんは、夏のほうが好きですか?」
愛「うーん……夏はもちろん好きだけど、他の季節も好きだなー。それぞれ代わりにはならないっていうか」
菜々「代わりにはならない……そうかもしれませんね」
愛「うん、だんだん夏が長くなってきて、秋が夏化してるなんて言われてるけど、やっぱりねー。春の心躍る感じも、秋の静かだけど少し寂しい感じも、冬の凛とした寒さも、夏には真似できないよ」
菜々「そうですか……」
愛「なっつー、どうしたの?」
菜々「代わりにならないのって……人もそうだと思いますか?」
25:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:54:09 ID:???00
愛「え? ……人も? ……そう、なんじゃないかな」
菜々「では、私は……何なんでしょう」
愛「どうしたの? 何なんだろうって、なっつーはなっつーでしょ?」
菜々「では……優木せつ菜は、彼女は何だと思いますか?」
愛「……それは、スクールアイドルとしての……じゃないの?」
菜々「私は……中川菜々と優木せつ菜は、同じもののはずなのに……でも、私は……愛さんとスクールアイドルの話をすることもできません。今すぐ共有したい気持ちを口に出すことが……そんな当たり前のことが、できないんです」
菜々「では、私は……何なんでしょう」
愛「どうしたの? 何なんだろうって、なっつーはなっつーでしょ?」
菜々「では……優木せつ菜は、彼女は何だと思いますか?」
愛「……それは、スクールアイドルとしての……じゃないの?」
菜々「私は……中川菜々と優木せつ菜は、同じもののはずなのに……でも、私は……愛さんとスクールアイドルの話をすることもできません。今すぐ共有したい気持ちを口に出すことが……そんな当たり前のことが、できないんです」
26:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:54:34 ID:???00
愛「でも……それは事情があるからで……」
菜々「事情って、何ですか? 正体を隠しているから? そんなの、私の勝手な事情です。ただ、自分自身をそのまま見せるのが怖いだけ。変身ヒーローみたいだなんて自分をごまかして……ただ、勇気がないだけなんです!」
愛「そんなの、誰にだってあるよ。……愛さんだってさ、ステージに立ってるときと、教室でおしゃべりしてるときだと、やっぱり全然違うしさ」
菜々「そういうことじゃ、ないんです。一緒にしないでください! 何も……知らないくせに!」
菜々「事情って、何ですか? 正体を隠しているから? そんなの、私の勝手な事情です。ただ、自分自身をそのまま見せるのが怖いだけ。変身ヒーローみたいだなんて自分をごまかして……ただ、勇気がないだけなんです!」
愛「そんなの、誰にだってあるよ。……愛さんだってさ、ステージに立ってるときと、教室でおしゃべりしてるときだと、やっぱり全然違うしさ」
菜々「そういうことじゃ、ないんです。一緒にしないでください! 何も……知らないくせに!」
27:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:55:04 ID:???00
菜々「…………あ、……ごめんなさい。私、なんてことを……」
愛「……知ってるよ」
菜々「え……?」
愛「アタシは、優木せつ菜も中川菜々もずっと見てきたから」
菜々「何を……」
愛「なっつーは知らなかったかな? 愛さんは春に校内で行われた優木せつ菜のライブを観て、心を撃ち抜かれちゃったんだ」
菜々「春……あのときの……?」
愛「そう、優木せつ菜に憧れたのは、歩夢とゆうゆだけじゃない。愛さんも、あんな風に歌ってみたいって思った。あんな風に見てる人に熱を伝えられる人になりたいって」
菜々「愛さんが……私を……」
愛「……知ってるよ」
菜々「え……?」
愛「アタシは、優木せつ菜も中川菜々もずっと見てきたから」
菜々「何を……」
愛「なっつーは知らなかったかな? 愛さんは春に校内で行われた優木せつ菜のライブを観て、心を撃ち抜かれちゃったんだ」
菜々「春……あのときの……?」
愛「そう、優木せつ菜に憧れたのは、歩夢とゆうゆだけじゃない。愛さんも、あんな風に歌ってみたいって思った。あんな風に見てる人に熱を伝えられる人になりたいって」
菜々「愛さんが……私を……」
28:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:55:38 ID:???00
愛「だから、愛さんにとって、目標とするスクールアイドルは優木せつ菜。せっつーはずっと愛さんのヒーローなんだ」
愛「でも、それだけじゃない。なっつーと過ごしてみてわかった。なっつーは、みんなのことをよく考えていて、できることをこつこつと進める、みんなに寄り添う優しい赤。せっつーの周囲を巻き込む炎とは違うけど……中川菜々もヒーローだってわかったんだ」
愛「だから、どっちの自分も否定しなくていいんだよ。どっちも自慢していい自分の一部だよ」
菜々「そんなの……そんなこと、ありません」
愛「最近なっつーが何か悩んでるのかなとは思っていたけど……でも、もしかしたら愛さんがせっつーだけじゃなくて、なっつーとも仲良くなりたいと思ったからかな。……ごめんね、迷惑だったね」
菜々「やめてください! そんなこと、あるわけないじゃありませんか! 愛さんと一緒にいて、凄く楽しかった。菜々には仲のいい友達がいませんでしたから……だから、嬉しかったんです」
菜々「でも、私は……そこまで自分に自信を持てません。こんなに……愛さんに、仲良くしてもらう価値がないんです。それに、知っているんです。愛さんと一緒にいると、まじめだけが取り柄の生徒会長じゃ、愛さんには不釣り合いだって思われる……」
愛「でも、それだけじゃない。なっつーと過ごしてみてわかった。なっつーは、みんなのことをよく考えていて、できることをこつこつと進める、みんなに寄り添う優しい赤。せっつーの周囲を巻き込む炎とは違うけど……中川菜々もヒーローだってわかったんだ」
愛「だから、どっちの自分も否定しなくていいんだよ。どっちも自慢していい自分の一部だよ」
菜々「そんなの……そんなこと、ありません」
愛「最近なっつーが何か悩んでるのかなとは思っていたけど……でも、もしかしたら愛さんがせっつーだけじゃなくて、なっつーとも仲良くなりたいと思ったからかな。……ごめんね、迷惑だったね」
菜々「やめてください! そんなこと、あるわけないじゃありませんか! 愛さんと一緒にいて、凄く楽しかった。菜々には仲のいい友達がいませんでしたから……だから、嬉しかったんです」
菜々「でも、私は……そこまで自分に自信を持てません。こんなに……愛さんに、仲良くしてもらう価値がないんです。それに、知っているんです。愛さんと一緒にいると、まじめだけが取り柄の生徒会長じゃ、愛さんには不釣り合いだって思われる……」
29:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:56:57 ID:???00
愛「そっか……でもね、今話した愛さんの気持ちは本当だよ」
菜々「そんなの……信じられません……」
愛「……ねえ、なっつー、虹にさ……赤色の部分があるでしょ?」
菜々「虹……?」
愛「うん、空にかかる虹。……その虹のさ、赤の隣にいる色ってなんだか知ってる?」
菜々「赤の隣の色は……オレンジ色、ですか?」
愛「さすがだね。そう、少しでも赤に近づきたくて……だから愛さんの色はオレンジ色にしたんだ」
菜々「そんなの……信じられません……」
愛「……ねえ、なっつー、虹にさ……赤色の部分があるでしょ?」
菜々「虹……?」
愛「うん、空にかかる虹。……その虹のさ、赤の隣にいる色ってなんだか知ってる?」
菜々「赤の隣の色は……オレンジ色、ですか?」
愛「さすがだね。そう、少しでも赤に近づきたくて……だから愛さんの色はオレンジ色にしたんだ」
30:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:58:09 ID:???00
菜々「本当……に?」
愛「最初は憧れからだったけど、やっぱりオレンジにしてよかったと思うよ。おかげで、こうしてヒーローを隣で支えられる」
菜々「愛さん……」
菜々「立花……藤兵衛みたいにですか?」
愛「立花……誰?」
菜々「……立花藤兵衛も知らないんですか? ふふ……これは基礎から始める必要がありそうですね」
愛「ええと……?」
愛「最初は憧れからだったけど、やっぱりオレンジにしてよかったと思うよ。おかげで、こうしてヒーローを隣で支えられる」
菜々「愛さん……」
菜々「立花……藤兵衛みたいにですか?」
愛「立花……誰?」
菜々「……立花藤兵衛も知らないんですか? ふふ……これは基礎から始める必要がありそうですね」
愛「ええと……?」
31:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 22:58:57 ID:???00
菜々「あー……なんだかこんなに悩んで、馬鹿みたいですね。菜々とかせつ菜とかじゃない。私は私、それだけのことなのに」
愛「……大丈夫?」
菜々「はい。……私はただ、自分を認めてあげたかっただけなのかもしれません。でも、自分だけではそれができなくて……だから、私を肯定してくれて、ありがとうございました」
愛「愛さんは何もしてないけど……どういたしまして。力になれたならよかったよ。なっつーは、私のヒーローで、私の大切な友達だから」
菜々「……愛さんがいてくれれば……いつか、正体を明かすときが来ても……自信を持って言える気がします。菜々もせつ菜も、どっちも私なんだ、って」
愛「……大丈夫?」
菜々「はい。……私はただ、自分を認めてあげたかっただけなのかもしれません。でも、自分だけではそれができなくて……だから、私を肯定してくれて、ありがとうございました」
愛「愛さんは何もしてないけど……どういたしまして。力になれたならよかったよ。なっつーは、私のヒーローで、私の大切な友達だから」
菜々「……愛さんがいてくれれば……いつか、正体を明かすときが来ても……自信を持って言える気がします。菜々もせつ菜も、どっちも私なんだ、って」
32:
◆cKLVhE3A★
2025/09/29(月) 23:00:00 ID:???00
菜々「あ、……見てください。夕焼けが……きれい」
愛「そうだね……きれいな夕日」
菜々(愛さんは私のことをヒーローと言ってくれましたが……知っていますか? スクールアイドルの世界では、ヒーローの色は赤じゃないんです)
菜々(愛さんの色……オレンジこそが、本当の……)
愛「ん? どうしたの?」
菜々「いえ……そろそろ行きましょうか!」
愛「……うん!」
愛「そうだね……きれいな夕日」
菜々(愛さんは私のことをヒーローと言ってくれましたが……知っていますか? スクールアイドルの世界では、ヒーローの色は赤じゃないんです)
菜々(愛さんの色……オレンジこそが、本当の……)
愛「ん? どうしたの?」
菜々「いえ……そろそろ行きましょうか!」
愛「……うん!」
35:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:23:35 ID:???00
……
翌年度末 愛たちが三年次の卒業式
栞子「——卒業生の皆さんの未来が輝かしいものであることを願い、送辞とさせていただきます」
愛(しおってぃーの送辞、さすがだねえ。そして、次は……)
薫子「答辞、卒業生代表……」
薫子「……っ!?」
薫子(これ、書き換えられるのは……栞子か。……私みたいな下っ端が勝手なことやると大変なんだけどなあ。……まあ、仕方がない。私が主任に怒られればいいか)
薫子「卒業生代表……優木せつ菜」
菜々「はい!!!」
愛「せっつー!?」
翌年度末 愛たちが三年次の卒業式
栞子「——卒業生の皆さんの未来が輝かしいものであることを願い、送辞とさせていただきます」
愛(しおってぃーの送辞、さすがだねえ。そして、次は……)
薫子「答辞、卒業生代表……」
薫子「……っ!?」
薫子(これ、書き換えられるのは……栞子か。……私みたいな下っ端が勝手なことやると大変なんだけどなあ。……まあ、仕方がない。私が主任に怒られればいいか)
薫子「卒業生代表……優木せつ菜」
菜々「はい!!!」
愛「せっつー!?」
36:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:24:32 ID:???00
菜々「在校生の皆様、先生方をはじめとした職員の皆様、関係者の皆様、本日は私たち卒業生のために、このようなすばらしい式典を開催いただき、ありがとうございます」
菜々「それに、本日だけではありません。私たちの高校生活がこれほど充実したすばらしいものになったのは、皆様の日頃からのご支援があったからです」
菜々「私たち三年生は、今日この学び舎を離れ、それぞれの道を進んでいくことになります。それでも、ここで仲間と過ごした三年間があるから、どんな道でも切り開いていけると信じられます」
菜々「それに、本日だけではありません。私たちの高校生活がこれほど充実したすばらしいものになったのは、皆様の日頃からのご支援があったからです」
菜々「私たち三年生は、今日この学び舎を離れ、それぞれの道を進んでいくことになります。それでも、ここで仲間と過ごした三年間があるから、どんな道でも切り開いていけると信じられます」
37:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:25:05 ID:???00
菜々「……少しだけ、私の話をさせてください。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私……中川菜々は優木せつ菜名義でスクールアイドル活動をしていました。それも、ただの芸名というだけではなく……中川菜々とは別の個人として」
菜々「そうしていたのは、ひとえに私の自分自身を認めてあげられない心の弱さからでした。周囲から求められる中川菜々像に縛られ、そこから外れる自分を、大好きを真っすぐ表現できない。そんな思いから、中川菜々から逃げるための存在として私は優木せつ菜を作り出しました」
菜々「当然そこには歪みが生まれ、私は私自身を見失うことになりました。どちらの自分も本来の自分を無理やり分けた、半端な自分だと考えるようになったのです」
菜々「そうしていたのは、ひとえに私の自分自身を認めてあげられない心の弱さからでした。周囲から求められる中川菜々像に縛られ、そこから外れる自分を、大好きを真っすぐ表現できない。そんな思いから、中川菜々から逃げるための存在として私は優木せつ菜を作り出しました」
菜々「当然そこには歪みが生まれ、私は私自身を見失うことになりました。どちらの自分も本来の自分を無理やり分けた、半端な自分だと考えるようになったのです」
38:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:26:10 ID:???00
菜々「そうするうちに、私は私を大好きではいられなくなりました。大好きを伝えるための優木せつ菜も、大好きを胸に秘めた中川菜々も、なくなってしまえばいいとすら思いました」
菜々「でも、そんな私を救い出してくれたのは、大切な友人でした。どちらの私も、肯定してもいいんだと彼女が教えてくれました」
菜々「彼女のお陰で、先輩、後輩、同級生、先生、家族……みんなが私を肯定していてくれていることにも気づくことができました」
菜々「でも、そんな私を救い出してくれたのは、大切な友人でした。どちらの私も、肯定してもいいんだと彼女が教えてくれました」
菜々「彼女のお陰で、先輩、後輩、同級生、先生、家族……みんなが私を肯定していてくれていることにも気づくことができました」
39:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:26:45 ID:???00
菜々「スクールアイドルである優木せつ菜とは今日でお別れです。それでも、せつ菜の、もう一人の自分の想いも受け入れて、私は胸を張って進んでいけます」
菜々「在校生のみなさん……みなさんも、楽しいことばかりの高校生活じゃない、悩むこともあるでしょう。……それでも、自分を……自分の中の理想とは違う自分のことを好きになってあげてください。そして、隣にいる人にあなたが大切だと伝えてあげてください。その人が自分を好きになれるように」
菜々「そうしたらきっと、あなたの世界は明るく輝くはずです!!」
菜々「在校生のみなさん……みなさんも、楽しいことばかりの高校生活じゃない、悩むこともあるでしょう。……それでも、自分を……自分の中の理想とは違う自分のことを好きになってあげてください。そして、隣にいる人にあなたが大切だと伝えてあげてください。その人が自分を好きになれるように」
菜々「そうしたらきっと、あなたの世界は明るく輝くはずです!!」
40:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:27:37 ID:???00
……
愛「なっつー、お疲れ! 答辞……よかったよ」
菜々「ありがとうございます。ちょっと自分のことを話しすぎてしまいましたね」
愛「でも、後輩たちにも、きっと伝わったよ」
菜々「そうだといいですが……」
愛「よーし! それじゃあ、みんな待ってるよ。最後の糖分補給、行こっか」
菜々「はい!! 今日は食べますよー!!」
愛「そう? なら今日はみんなでどれだけ食べられるか勝負しよっか!」
菜々「え? ランジュさんと歩夢さんと勝負ですか? ……よ、よーし……!」
愛「そうそう、卒業したら、当分一緒に糖分補給できないからね。トウブンだけに!」
愛「なっつー、お疲れ! 答辞……よかったよ」
菜々「ありがとうございます。ちょっと自分のことを話しすぎてしまいましたね」
愛「でも、後輩たちにも、きっと伝わったよ」
菜々「そうだといいですが……」
愛「よーし! それじゃあ、みんな待ってるよ。最後の糖分補給、行こっか」
菜々「はい!! 今日は食べますよー!!」
愛「そう? なら今日はみんなでどれだけ食べられるか勝負しよっか!」
菜々「え? ランジュさんと歩夢さんと勝負ですか? ……よ、よーし……!」
愛「そうそう、卒業したら、当分一緒に糖分補給できないからね。トウブンだけに!」
41:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:28:13 ID:???00
菜々「……はい……そうですね」
愛「……でも、大丈夫でしょ? 」
菜々「はいっ! 離れていても、空を……見上げれば……隣にオレンジ色がいると、知っていますから……」
愛「もう、愛さんも泣いちゃうから、泣かないでよー」
菜々「すみません……じゃあ、行きましょう! 今日は隣に座ってくれるんですよね?」
愛「いいけど……今日はたくさん食べるから、愛さんが手前の席ならいいよ」
菜々「いいえ! 私の方がたくさん取りに行きますから、愛さんが奥です!」
愛「えー? 本当かなあ。そう言っていっつもすぐギブアップするからなあ、なっつーは」
菜々「そんなことありません、今日はいつもとは違うんです!」
愛「それも毎回聞いてるからねー」
菜々「今日は本当に本っ当なんですからーー!」
おわり
愛「……でも、大丈夫でしょ? 」
菜々「はいっ! 離れていても、空を……見上げれば……隣にオレンジ色がいると、知っていますから……」
愛「もう、愛さんも泣いちゃうから、泣かないでよー」
菜々「すみません……じゃあ、行きましょう! 今日は隣に座ってくれるんですよね?」
愛「いいけど……今日はたくさん食べるから、愛さんが手前の席ならいいよ」
菜々「いいえ! 私の方がたくさん取りに行きますから、愛さんが奥です!」
愛「えー? 本当かなあ。そう言っていっつもすぐギブアップするからなあ、なっつーは」
菜々「そんなことありません、今日はいつもとは違うんです!」
愛「それも毎回聞いてるからねー」
菜々「今日は本当に本っ当なんですからーー!」
おわり
42:
◆jakkapKo★
2025/10/04(土) 15:30:38 ID:???00
本当はせつ菜たちの卒業式に薫子はいないはずだけど、(他に適任がいなかったので)そこは都合のいい色々があったということで
えいがさき二章楽しみだなー
えいがさき二章楽しみだなー