1: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:00:54.87 ID:IYdW3Meg
同棲してる大学生ようまりです。
2: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:01:41.96 ID:IYdW3Meg
鞠莉「ん…」
冴えた空気と陽の光。さっき寝たばかりのような気がするけど、冬の朝の気配に目が覚めてしまったみたい。
鞠莉「うぅー」
私は寒さから逃げるように、布団を体にかけなおす。もぞもぞと隣を向くと、横で寝ている曜と目があった。
鞠莉「曜…」
曜「あ、起きた?」
鞠莉「んー…いま何時?」
曜「8時。もっと寝ててもよかったのに」
鞠莉「そのつもりだったんだけど…ふぁぁ…」
あくびする私の頭を撫でながら、曜はクスッと笑って。
曜「やっと仕事納めしたんだから、ゆっくりしてていいんだよ?」
そう、昨日は私の仕事納めの日だったのだ。
冴えた空気と陽の光。さっき寝たばかりのような気がするけど、冬の朝の気配に目が覚めてしまったみたい。
鞠莉「うぅー」
私は寒さから逃げるように、布団を体にかけなおす。もぞもぞと隣を向くと、横で寝ている曜と目があった。
鞠莉「曜…」
曜「あ、起きた?」
鞠莉「んー…いま何時?」
曜「8時。もっと寝ててもよかったのに」
鞠莉「そのつもりだったんだけど…ふぁぁ…」
あくびする私の頭を撫でながら、曜はクスッと笑って。
曜「やっと仕事納めしたんだから、ゆっくりしてていいんだよ?」
そう、昨日は私の仕事納めの日だったのだ。
3: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:02:08.90 ID:IYdW3Meg
「仕事納め」という言葉を、大学生である私が用いるのはおかしいのかもしれないけど。年末の忙しさからの解放について、これほど端的に言い表した言葉を、私は他に知らない。
12月はもともと大学の方も慌しかったんだけど、冬休みに入ってからもサークルの行事やら小原家関係のタスクやらが舞い込んできて、土日を含め家を空ける日が続いていた。
形を変えて連日押し寄せる忙しさのおかげで、せっかくのクリスマスも二人でゆっくりする時間が作れず、寂しい思いをさせられてしまったのだ。
…いえ、寂しくさせた、が正しいわね。
そんな状況も昨日でようやく落ち着いて、やっと平穏な日常が訪れるはずだったのだけど。
鞠莉「んー…」
いつもの習慣のせいか、普段とあまり変わらない時間に起きてしまったみたい。目覚めは悪くないけど、なんだかもったいない気がする。
12月はもともと大学の方も慌しかったんだけど、冬休みに入ってからもサークルの行事やら小原家関係のタスクやらが舞い込んできて、土日を含め家を空ける日が続いていた。
形を変えて連日押し寄せる忙しさのおかげで、せっかくのクリスマスも二人でゆっくりする時間が作れず、寂しい思いをさせられてしまったのだ。
…いえ、寂しくさせた、が正しいわね。
そんな状況も昨日でようやく落ち着いて、やっと平穏な日常が訪れるはずだったのだけど。
鞠莉「んー…」
いつもの習慣のせいか、普段とあまり変わらない時間に起きてしまったみたい。目覚めは悪くないけど、なんだかもったいない気がする。
4: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:02:23.01 ID:IYdW3Meg
とりあえず体を起こそうとすると、曜はそれを優しく制して。
曜「だーめ。ちゃんと休まなきゃ、疲れが取れないよ」
子どもを寝かしつけるママみたいに、頭をポンポンとしてくれた。
鞠莉「曜だって起きてるじゃない」
曜「私はいいんだよ、朝から元気だから!それに」
鞠莉「それに?」
曜「それに、ね。鞠莉ちゃんの寝顔、もっと見てたかったし」
鞠莉「…!」
少しはにかみながら曜が呟いた。朝からこの可愛さ、ちょっとズルいんじゃないかしら。
曜「だーめ。ちゃんと休まなきゃ、疲れが取れないよ」
子どもを寝かしつけるママみたいに、頭をポンポンとしてくれた。
鞠莉「曜だって起きてるじゃない」
曜「私はいいんだよ、朝から元気だから!それに」
鞠莉「それに?」
曜「それに、ね。鞠莉ちゃんの寝顔、もっと見てたかったし」
鞠莉「…!」
少しはにかみながら曜が呟いた。朝からこの可愛さ、ちょっとズルいんじゃないかしら。
5: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:03:03.72 ID:IYdW3Meg
曜「えへへっ、なーんてね。さて、私は朝ごはんの準備するから、鞠莉ちゃんはもう少しゆっくりして――えっ?」
起き上がろうとした曜をぎゅっと抱き寄せる。
曜「えっと、鞠莉ちゃん?」
鞠莉「だめ」
曜「えっ」
鞠莉「決めたわ、曜の言うとおり、ゆっくりする」
曜「う、うん」
鞠莉「だから、曜も一緒ね」
起き上がろうとした曜をぎゅっと抱き寄せる。
曜「えっと、鞠莉ちゃん?」
鞠莉「だめ」
曜「えっ」
鞠莉「決めたわ、曜の言うとおり、ゆっくりする」
曜「う、うん」
鞠莉「だから、曜も一緒ね」
6: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:03:37.65 ID:IYdW3Meg
曜「ええっ?でも、ご飯が」
鞠莉「そんなのいいから、一緒にいて。もう少しでいいから、ね?」
曜「わ、鞠莉ちゃん!?」
全身で曜を包み込む。柔らかくてあったかくて、天国はやっぱりお布団の中にこそ存在するのかもしれない。
曜「な、なに言ってるの」
鞠莉「あ、声に出てた?なら説明はいらないわね」
曜「わ、わあっ」
私の気がすむまで、曜はこのまま抱き枕で決定なんだから。
鞠莉「そんなのいいから、一緒にいて。もう少しでいいから、ね?」
曜「わ、鞠莉ちゃん!?」
全身で曜を包み込む。柔らかくてあったかくて、天国はやっぱりお布団の中にこそ存在するのかもしれない。
曜「な、なに言ってるの」
鞠莉「あ、声に出てた?なら説明はいらないわね」
曜「わ、わあっ」
私の気がすむまで、曜はこのまま抱き枕で決定なんだから。
7: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:04:47.65 ID:IYdW3Meg
……………………………………
その後、時計の長針がふた周りしてから起きた私たちは、台所に立って遅い朝食の準備を始めていた。
曜「誰かさんがお寝坊するから、朝ごはんどころかお昼ご飯だよ」
野菜を細かくカットしながら曜が言う。セリフとは裏腹に、どこか楽しげな言い方なのは、私の希望的観測というわけではなさそうだ。
鞠莉「いいじゃない、せっかくのお休みなんだから。それとも…嫌だった?」
曜「そ、そういうことじゃないよ」
ほら、やっぱりね。
その後、時計の長針がふた周りしてから起きた私たちは、台所に立って遅い朝食の準備を始めていた。
曜「誰かさんがお寝坊するから、朝ごはんどころかお昼ご飯だよ」
野菜を細かくカットしながら曜が言う。セリフとは裏腹に、どこか楽しげな言い方なのは、私の希望的観測というわけではなさそうだ。
鞠莉「いいじゃない、せっかくのお休みなんだから。それとも…嫌だった?」
曜「そ、そういうことじゃないよ」
ほら、やっぱりね。
8: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:05:19.11 ID:IYdW3Meg
鞠莉「じゃあ、良かったってことよね」
曜「ま、まあ」
鞠莉「まあじゃなくて、ちゃんと聞きたいな。どうよかったのか、曜の言葉で」
曜「う、うー。今は料理中だから後で!」
鞠莉「あー、逃げた」
曜「逃げてなんて…とにかく、後ったら後っ。今は料理に集中するよ」
鞠莉「ふふっ。その言葉、覚えたわよ」
こういうシャイで可愛いところ、大学生になった今でも相変わらずだ。
曜「ま、まあ」
鞠莉「まあじゃなくて、ちゃんと聞きたいな。どうよかったのか、曜の言葉で」
曜「う、うー。今は料理中だから後で!」
鞠莉「あー、逃げた」
曜「逃げてなんて…とにかく、後ったら後っ。今は料理に集中するよ」
鞠莉「ふふっ。その言葉、覚えたわよ」
こういうシャイで可愛いところ、大学生になった今でも相変わらずだ。
9: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:05:41.78 ID:IYdW3Meg
曜は細かく刻んだ野菜――ニンジン、ピーマン、玉ねぎを耐熱容器に入れて、レンジにセットした。
曜「冷蔵庫からスープのお鍋出して、あっためてもらえる?」
鞠莉「任せて」
曜は「昨日の残りでごめんね」と付け加えたけど、全然ごめんじゃない。
ちゃんとご飯を作らなきゃって思ってくれてるんだろうけど、律儀というか生真面目よね。
曜「冷蔵庫からスープのお鍋出して、あっためてもらえる?」
鞠莉「任せて」
曜は「昨日の残りでごめんね」と付け加えたけど、全然ごめんじゃない。
ちゃんとご飯を作らなきゃって思ってくれてるんだろうけど、律儀というか生真面目よね。
11: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:06:05.61 ID:IYdW3Meg
曜「よし、ウインナーはこんなもんかな」
スープの鍋を取って戻ると、先に小鍋で茹でていたウインナーを、曜がトングでお湯から取り出したところだった。
私は役目を終えた小鍋をシンクに移してから、スープのお鍋を火にかける。曜はその小鍋を水で十分に冷やしてから、茹で汁をシンクに流した。
流れるような共同作業に、思わずくすくすと笑いがこぼれる。お互い無意識だったけど、こう言うのを阿吽の呼吸と言うのかもね。
曜「んー?」
鞠莉「なんでもないわ」
スープの鍋を取って戻ると、先に小鍋で茹でていたウインナーを、曜がトングでお湯から取り出したところだった。
私は役目を終えた小鍋をシンクに移してから、スープのお鍋を火にかける。曜はその小鍋を水で十分に冷やしてから、茹で汁をシンクに流した。
流れるような共同作業に、思わずくすくすと笑いがこぼれる。お互い無意識だったけど、こう言うのを阿吽の呼吸と言うのかもね。
曜「んー?」
鞠莉「なんでもないわ」
12: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:06:25.16 ID:IYdW3Meg
曜「そう?なんか嬉しそうだったけど」
鞠莉「そうね。嬉しいわ、こういうのって」
曜「だねー」
トースターが甲高い音を立てた。食パンはベストまであと一歩といった焼き具合だけど、今の段階ではこれでいい。
鞠莉「パン、いい感じよ」
曜「じゃあ、ケチャップ塗ってもらえる?」
鞠莉「はーい」
鞠莉「そうね。嬉しいわ、こういうのって」
曜「だねー」
トースターが甲高い音を立てた。食パンはベストまであと一歩といった焼き具合だけど、今の段階ではこれでいい。
鞠莉「パン、いい感じよ」
曜「じゃあ、ケチャップ塗ってもらえる?」
鞠莉「はーい」
13: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:06:34.93 ID:IYdW3Meg
曜「あと、とろけるチーズの用意もよろしくね」
鞠莉「はいはーい」
曜「はい、は一回だよー」
鞠莉「はーいっ。ねえ、チーズはどっちのタイプ?」
曜「んー、スライスの方がいいかな。具材がまとまるから」
鞠莉「りょーかいっ」
ケチャップとチーズを冷蔵庫から取り出し、まずはトーストにケチャップをスプーンで塗っていく。
…ちょっとムラができちゃったけど、これも味のアクセントよね、うん。
鞠莉「はいはーい」
曜「はい、は一回だよー」
鞠莉「はーいっ。ねえ、チーズはどっちのタイプ?」
曜「んー、スライスの方がいいかな。具材がまとまるから」
鞠莉「りょーかいっ」
ケチャップとチーズを冷蔵庫から取り出し、まずはトーストにケチャップをスプーンで塗っていく。
…ちょっとムラができちゃったけど、これも味のアクセントよね、うん。
14: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:07:06.30 ID:IYdW3Meg
鞠莉「塗ったわ」
曜「ありがと。うん、いい感じだね!」
ニコッと笑って嬉しいコメントをくれる。曜って本当、褒め上手ないい子。
曜「それじゃ、この上にチンした具材と、カットしたウインナーを乗せていくよ」
慣れた手つきでトーストの上に具材を均等に乗せていく。私もやってみたけれど、やっぱり少しバランスが悪くなっちゃったかも。
曜「最後はこの上に、とろけるチーズを乗せてっと」
鞠莉「乗せて、っと」
曜「ありがと。うん、いい感じだね!」
ニコッと笑って嬉しいコメントをくれる。曜って本当、褒め上手ないい子。
曜「それじゃ、この上にチンした具材と、カットしたウインナーを乗せていくよ」
慣れた手つきでトーストの上に具材を均等に乗せていく。私もやってみたけれど、やっぱり少しバランスが悪くなっちゃったかも。
曜「最後はこの上に、とろけるチーズを乗せてっと」
鞠莉「乗せて、っと」
15: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:07:25.36 ID:IYdW3Meg
曜「これで準備は完了。あとはトースターでチーズに色がつく程度に焼いたら」
鞠莉「美味しいピザトーストの完成、ってわけね!」
曜「そういうこと!お皿用意しちゃうから、焼き加減はお願いしていい?」
鞠莉「オフコース!一番美味しいタイミングを逃さないよう、ちゃんと見張ってるわ」
曜「よろしくー」
鞠莉「よっ、と」
具材が落ちないように気をつけながら、トースターの網にパンを乗せていく。
鞠莉「美味しいピザトーストの完成、ってわけね!」
曜「そういうこと!お皿用意しちゃうから、焼き加減はお願いしていい?」
鞠莉「オフコース!一番美味しいタイミングを逃さないよう、ちゃんと見張ってるわ」
曜「よろしくー」
鞠莉「よっ、と」
具材が落ちないように気をつけながら、トースターの網にパンを乗せていく。
16: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:07:49.68 ID:IYdW3Meg
鞠莉「ふむ、なるほどね」
曜が「具材がまとまるから」とスライスチーズを選んだ理由がやっとわかった気がする。
全体にチーズがかかっていないと、動かしたときや食べた時に、他の具が溢れちゃうかもしれないものね。細かいことだけど、ちゃんと意味があるんだ。
曜「よし、スープはオーケーだよ。後は焼けるのを待つばかり!」
私が焼け具合に目を光らせている間に、曜は食器や飲み物の用意を済ませていた。
この手際の良さ、私が真似しようと思ってもできるものじゃないけど、せめて自分の役割くらいは全うしないとね。
チーズが熱でとろけ出し、表面がうっすらとキツネ色になり始めた。いい匂いもするし、食べごろまであと少し。
ああ、早く焼き上がらないかな。
曜が「具材がまとまるから」とスライスチーズを選んだ理由がやっとわかった気がする。
全体にチーズがかかっていないと、動かしたときや食べた時に、他の具が溢れちゃうかもしれないものね。細かいことだけど、ちゃんと意味があるんだ。
曜「よし、スープはオーケーだよ。後は焼けるのを待つばかり!」
私が焼け具合に目を光らせている間に、曜は食器や飲み物の用意を済ませていた。
この手際の良さ、私が真似しようと思ってもできるものじゃないけど、せめて自分の役割くらいは全うしないとね。
チーズが熱でとろけ出し、表面がうっすらとキツネ色になり始めた。いい匂いもするし、食べごろまであと少し。
ああ、早く焼き上がらないかな。
17: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:08:26.64 ID:IYdW3Meg
――――――――
曜「それじゃ、いただきまーす」
鞠莉「いただきます」
できたてのピザトーストをサクッと一口すると、とろけたチーズがにゅーっと伸びて、香ばしい味と香りが広がった。
鞠莉「んー…!」
曜「熱くない?」
鞠莉「大丈夫よ。美味しくって言葉が出なかっただけ」
曜「よかった。ん、美味しいっ!」
曜「それじゃ、いただきまーす」
鞠莉「いただきます」
できたてのピザトーストをサクッと一口すると、とろけたチーズがにゅーっと伸びて、香ばしい味と香りが広がった。
鞠莉「んー…!」
曜「熱くない?」
鞠莉「大丈夫よ。美味しくって言葉が出なかっただけ」
曜「よかった。ん、美味しいっ!」
18: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:08:43.71 ID:IYdW3Meg
鞠莉「ふふっ。でも、そっちが私の作った方じゃない?」
今気付いたけど、形を見るかぎりそんな気がする。私の手元にあるピザトーストの方が、見た目のバランスが整っているから。
でも変ね、ちゃんと自分の席に置いたはずなのに。
曜「ん、そうだよ」
認めたと言うことは、わざわざ入れ替えたということなのだろう。
鞠莉「交換する?」
曜「いいんだよ、鞠莉ちゃんが作ってくれたのを食べたいから」
そう言って嬉しそうにピザトーストを頬張る。もう、本当にこの子は。
今気付いたけど、形を見るかぎりそんな気がする。私の手元にあるピザトーストの方が、見た目のバランスが整っているから。
でも変ね、ちゃんと自分の席に置いたはずなのに。
曜「ん、そうだよ」
認めたと言うことは、わざわざ入れ替えたということなのだろう。
鞠莉「交換する?」
曜「いいんだよ、鞠莉ちゃんが作ってくれたのを食べたいから」
そう言って嬉しそうにピザトーストを頬張る。もう、本当にこの子は。
19: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:09:05.90 ID:IYdW3Meg
曜「でも、10時半かぁ」
曜は時計を見ながら「中途半端な時間だから、夜までにお腹空いちゃうよね」と続けた。
鞠莉「なら、前に行ったパンケーキのお店に行かない?あそこのコーヒークリームパンケーキ、久々に食べたいなって思ってたの」
曜「それはいい考えだけど、んー」
鞠莉「どうかした?」
曜「それなら、ピザトーストじゃない方がよかったかなって」
鞠莉「それはそれ、これはこれでしょ」
曜「ん、そっか、そうだね。じゃあ今日はお出かけってことで!」
鞠莉「ええ、楽しみね!」
久々のデートに心をワクワクさせながら、美味しすぎるピザトーストを口に運んだ。
曜は時計を見ながら「中途半端な時間だから、夜までにお腹空いちゃうよね」と続けた。
鞠莉「なら、前に行ったパンケーキのお店に行かない?あそこのコーヒークリームパンケーキ、久々に食べたいなって思ってたの」
曜「それはいい考えだけど、んー」
鞠莉「どうかした?」
曜「それなら、ピザトーストじゃない方がよかったかなって」
鞠莉「それはそれ、これはこれでしょ」
曜「ん、そっか、そうだね。じゃあ今日はお出かけってことで!」
鞠莉「ええ、楽しみね!」
久々のデートに心をワクワクさせながら、美味しすぎるピザトーストを口に運んだ。
20: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:09:27.70 ID:IYdW3Meg
……………………………………
曜「いくよ、ヨーソローっ!」
掛け声とともに、曜がシャンメリーの栓に力を込めると、ポン!と勢いのある音が部屋に響いた。
曜「えへへっ、メリークリスマス!――って、うわわわわっ!?」
開栓からワンテンポ遅れて中身が吹き出してきて、大役を終えたばかりの曜を慌てさせた。
鞠莉「あらら、大丈夫?」
曜「あー、やっちゃったぁ…」
鞠莉「待ってね、拭くものを持ってくるから」
曜「ごめんね。あーもー…」
曜「いくよ、ヨーソローっ!」
掛け声とともに、曜がシャンメリーの栓に力を込めると、ポン!と勢いのある音が部屋に響いた。
曜「えへへっ、メリークリスマス!――って、うわわわわっ!?」
開栓からワンテンポ遅れて中身が吹き出してきて、大役を終えたばかりの曜を慌てさせた。
鞠莉「あらら、大丈夫?」
曜「あー、やっちゃったぁ…」
鞠莉「待ってね、拭くものを持ってくるから」
曜「ごめんね。あーもー…」
21: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:10:11.88 ID:IYdW3Meg
ふきんとタオルを取って戻ると、曜は手近にあったペーパータオルで手元を拭いていた。幸い、瓶を持っていた左手と、お皿の下に敷いていたマットが濡れただけみたい。
曜「料理にかからなくてよかったよ」
持ってきたタオルを手渡し、使ったペーパータオルを預かる。代わりのマットも持ってこないとね。
曜「あ、いいよ。手洗ってくるから」
そう言ってペーパータオルをもう一度手に取り、マットにくるんで台所へと向かった。
濡れちゃったのは可哀想だけど、料理の方は大丈夫そうだから、そこは一安心。
ここに並んでいる料理は、今日のためにと曜が一生懸命作ってくれた、特別なものばかりなのだから。
曜「料理にかからなくてよかったよ」
持ってきたタオルを手渡し、使ったペーパータオルを預かる。代わりのマットも持ってこないとね。
曜「あ、いいよ。手洗ってくるから」
そう言ってペーパータオルをもう一度手に取り、マットにくるんで台所へと向かった。
濡れちゃったのは可哀想だけど、料理の方は大丈夫そうだから、そこは一安心。
ここに並んでいる料理は、今日のためにと曜が一生懸命作ってくれた、特別なものばかりなのだから。
22: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:10:59.87 ID:IYdW3Meg
帰ってきた曜は、頬をかきながら少し笑って。
曜「失敗失敗。いきなり出鼻をくじいちゃったねー…」
むぅ。笑顔を作ってはいるけれど、声がちょっと落ち込んでいる。こんなときは。
鞠莉「んー、どれどれ」
曜「えっ…わ…!」
その鼻先に軽くキス。唇を離すと、曜は目をまん丸にしていた。
曜「ま、鞠莉ちゃん…」
鞠莉「ふふっ、可愛いお鼻は無事みたいよ。ご馳走さま♪」
曜「失敗失敗。いきなり出鼻をくじいちゃったねー…」
むぅ。笑顔を作ってはいるけれど、声がちょっと落ち込んでいる。こんなときは。
鞠莉「んー、どれどれ」
曜「えっ…わ…!」
その鼻先に軽くキス。唇を離すと、曜は目をまん丸にしていた。
曜「ま、鞠莉ちゃん…」
鞠莉「ふふっ、可愛いお鼻は無事みたいよ。ご馳走さま♪」
23: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:11:20.89 ID:IYdW3Meg
曜「…もう、気が早いなぁ。乾杯はこれからだよ?」
鼻に手を当てて、照れくさそうに応える。曜は気にしちゃうタイプだから、ちゃんと気持ちを切り替えてあげなくちゃね。
鞠莉「練習みたいなものよ。私たちのクリスマスをお祝いする、ね」
今日は二人でゆっくり過ごす、一足遅い我が家のクリスマスの日。プレゼントはクリスマス当日に交換済みだし、ケーキも飾り付けも無いけれど、日中のパンケーキデートがその代わりだったというわけ。
鞠莉「さあ。練習も済んだことだし、そろそろ本番を始めましょうか」
曜「うん、ありがとっ。では気を取り直して」
鼻に手を当てて、照れくさそうに応える。曜は気にしちゃうタイプだから、ちゃんと気持ちを切り替えてあげなくちゃね。
鞠莉「練習みたいなものよ。私たちのクリスマスをお祝いする、ね」
今日は二人でゆっくり過ごす、一足遅い我が家のクリスマスの日。プレゼントはクリスマス当日に交換済みだし、ケーキも飾り付けも無いけれど、日中のパンケーキデートがその代わりだったというわけ。
鞠莉「さあ。練習も済んだことだし、そろそろ本番を始めましょうか」
曜「うん、ありがとっ。では気を取り直して」
24: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:12:01.20 ID:IYdW3Meg
曜はこほん、と咳払いをしてから。
曜「それでは、延期になっていた我が家のクリスマスを始めたいと思います!」
元気なあいさつとともに、シャンメリーをグラスに注いでくれた。シュワシュワと弾ける炭酸とさわやかな甘い香り。
鞠莉「実にいい感じね」
曜「でも、とびっきりのシャンパンでもよかったんだよ。クリスマスは年に一度なんだから」
鞠莉「いいのよ、今日は曜との時間を大事にしたいから。だからお酒はまた今度で」
曜「それでは、延期になっていた我が家のクリスマスを始めたいと思います!」
元気なあいさつとともに、シャンメリーをグラスに注いでくれた。シュワシュワと弾ける炭酸とさわやかな甘い香り。
鞠莉「実にいい感じね」
曜「でも、とびっきりのシャンパンでもよかったんだよ。クリスマスは年に一度なんだから」
鞠莉「いいのよ、今日は曜との時間を大事にしたいから。だからお酒はまた今度で」
25: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:13:41.03 ID:IYdW3Meg
「もちろん、曜は飲んでもいいのよ?」と付け加える。
曜「なら私もノンアルコールで!」
きっとそう言ってくれると思ったわ。曜のグラスにシャンメリーを注ぐ。
曜「鞠莉ちゃん。一年間お疲れ様でした」
にこやかに微笑む曜の顔。心があたたかくなる、私にとってなによりも大切なもの。
鞠莉「曜が支えてくれるからよ。いつもありがとう、お疲れ様」
曜「えへへっ。じゃあ、乾杯しようか。いいクリスマスと、一年間のお疲れ様に」
鞠莉「来年もこうして、仲良く笑顔で過ごせますように」
ちょっと遅めのクリスマス。すっかり時期を逃しちゃったけど、こうやって時を共有できるひとときが、私たちの最高の幸せなの。
終わり
曜「なら私もノンアルコールで!」
きっとそう言ってくれると思ったわ。曜のグラスにシャンメリーを注ぐ。
曜「鞠莉ちゃん。一年間お疲れ様でした」
にこやかに微笑む曜の顔。心があたたかくなる、私にとってなによりも大切なもの。
鞠莉「曜が支えてくれるからよ。いつもありがとう、お疲れ様」
曜「えへへっ。じゃあ、乾杯しようか。いいクリスマスと、一年間のお疲れ様に」
鞠莉「来年もこうして、仲良く笑顔で過ごせますように」
ちょっと遅めのクリスマス。すっかり時期を逃しちゃったけど、こうやって時を共有できるひとときが、私たちの最高の幸せなの。
終わり
26: (らっかせい) 2019/12/30(月) 00:14:02.92 ID:IYdW3Meg
全弾撃ち尽くしました。仕事納めの後、一足遅いクリスマスを過ごすようまりでした。
下記の続編です。
曜「鞠莉ちゃんとのレモンな生活」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1570283140/
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「鞠莉ちゃん先生とお泊り勉強会」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1575104529/
ありがとうございました。
下記の続編です。
曜「鞠莉ちゃんとのレモンな生活」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1570283140/
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「鞠莉ちゃん先生とお泊り勉強会」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1575104529/
ありがとうございました。
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1577631654/