【SS】曜「罪深き夜」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:32:17.50 ID:eBFa3SsA
ようまり

2: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:33:28.12 ID:eBFa3SsA
ある夜

曜「…」

鞠莉「曜、ここにいたのね」

曜「…鞠莉ちゃん」

鞠莉「なにやらお悩みのご様子。私で良ければ、力になるわ」

3: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:35:36.92 ID:eBFa3SsA
曜「な、悩んでなんか」

鞠莉「嘘ね、顔を見ればわかるわ。自分がどうすべきか、あるいはどうすべきでないのか、迷い続けているのでしょ?」

曜「…っ」

鞠莉「決意には勇気が伴う。決断には責任を伴う。一人で決められないのなら、私にも付き合わせて」

4: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:36:27.37 ID:eBFa3SsA
曜「ダメ、ダメだよ、これは私の問題だもん。鞠莉ちゃんを巻き込むわけには――」

鞠莉「ていっ」

曜「あたっ」

鞠莉「そういう寂しいこと、言わないの」

5: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:38:47.73 ID:eBFa3SsA
曜「でも、でもっ…」

鞠莉「勇気が足りないなら補えばいい。リスクを恐れるなら分かち合えばいい。これまでも、これからも」

曜「…鞠莉、ちゃん」

鞠莉「今更遠慮は無しよ。ね?」

6: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:40:34.38 ID:eBFa3SsA
曜「…うん!私、もう迷わない」

鞠莉「ふふっ、いい表情。心は決まったようね」

曜「鞠莉ちゃん、私のわがままに付き合ってくれる?」

鞠莉「その言葉を待っていたわ――それじゃ、まずはお湯を沸かして…」

7: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:41:33.80 ID:eBFa3SsA
――――――――

ピピピッ、ピピピッ

曜「3分経ったね」

鞠莉「待ちに待った時が来たわ」

曜「よーし、それじゃあ!」

ようまり「いただきまーす!」

10: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:42:34.27 ID:eBFa3SsA
曜「んーっ、美味しい!これこれ、求めてたのはこの味だよ!」

鞠莉「夜中に食べるカップラーメンの美味しさ、まさしくギルティでーす!」

曜「ありがとう、鞠莉ちゃん。どの味にするか迷ってたけど、おかげでしょうゆと塩の両方が食べられるよ!」

鞠莉「どっちも捨てがたいものね。そろそろ交換する?」

曜「うん!」

14: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:43:53.03 ID:eBFa3SsA
……………………………………

翌日の夜

曜「うーん…」

鞠莉「まーたキッチンで睨めっこしてるの?食べたいのなら、食べればいいじゃない」

曜「2日連続で夜食のカップ麺は、流石に良心が咎めるというか」

鞠莉「まあ、ギルティかもね」

15: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:45:08.84 ID:eBFa3SsA
曜「でもお腹空いちゃったし、完全にカップ麺の気分だしで、うーーーん」

鞠莉「はいはい、食べてから悩みましょう。味は?」

曜「しょうゆと塩と、カレーと激辛系のやつ」

鞠莉「昨日より増えてるじゃない。さては食べる気満々だったわね?」

17: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:46:22.77 ID:eBFa3SsA
曜「違うんだよ。日中買い物に行って、昨日食べた分を買い足したとき、ついつい他の味が気になっちゃって」

鞠莉「誘惑を振り切れなかったのね」

曜「ダメだダメだーって思えば思うほど、食べたくなっちゃうものでしょ?」

鞠莉「背徳感は最高のスパイス、否定はしないわ。で、どうする?」

18: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:47:34.10 ID:eBFa3SsA
曜「鞠莉ちゃんにおかれましては、二日連続となりますが、お付き合いいただけますでしょうか」

鞠莉「罪深い夜会へのお誘い、謹んでお受けしましょう」

曜「そうと決まれば、私は例によってお湯を沸かすね」

鞠莉「なら私は例によって、飲み物を用意しておくわ」

19: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:48:39.13 ID:eBFa3SsA
……………………………………

ある日の夜

鞠莉「コーヒーが飲みたい」

曜「唐突だね。こんな時間に飲んだら、目が冴えて寝れなくなっちゃうよ」

鞠莉「ふっふっふっ。こんなこともあろうかと、実はこの棚にディカフェを常備しているの」

曜「えっ?あ、本当だ、全然気付かなかったよ。いつの間にストックしたの?」

20: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:49:45.66 ID:eBFa3SsA
鞠莉「それはほら、ご愛敬?」

曜「よくわからないけど、鞠莉ちゃんの愛嬌に免じて許します」

鞠莉「ありがと♪曜もご一緒するでしょ?」

曜「するする!」

21: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:51:00.60 ID:eBFa3SsA
――――――――

鞠莉「ふぅ、落ち着く。こんな時間のコーヒータイムっていうのも、悪くないわね」

曜「うーむ」

鞠莉「どうかした?」

曜「ディカフェって、香りや深みがなんとなく弱いような気がしていたけど、これは美味しいなって」

22: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:51:51.93 ID:eBFa3SsA
鞠莉「さすがに鋭いわね。一般に、ディカフェはコーヒーからカフェインを除去する過程で、風味も一緒に抜けてしまうと言われているの」

曜「でも、これはそうじゃない?」

鞠莉「そうね。これも一概には言えないのだけれど、カフェインを抜く技術にも色々あるし、コーヒーそれ自体の良し悪しによっても変わってくるから」

曜「なるほど。コーヒー通の鞠莉ちゃん御用達なら、味やクオリティにこだわり有り、ってところかな」

23: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:53:09.64 ID:eBFa3SsA
鞠莉「そんなところね。ところで、曜」

曜「ん?」

鞠莉「甘いもの、食べたくない?」

曜「ほら、別の欲が刺激されたー」

24: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:54:11.14 ID:eBFa3SsA
鞠莉「コーヒータイムのお供が欲しくなるのは自然なことよ。何か手頃なもの、ないかしら」

曜「んー、この時間は危険かもだけど」

鞠莉「かもだけど?」

曜「チョコとか、行っちゃう?」

鞠莉「行っちゃう行っちゃう!」

25: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:55:21.34 ID:eBFa3SsA
……………………………………

鞠莉「うふふっ」

キッチンにてインスタントラーメンを調理する曜の横顔を眺めていたら、ふと目があった。

曜「んー?」

鞠莉「料理中の曜、可愛いなって」

26: (らっかせい) 2021/08/30(月) 19:57:11.30 ID:eBFa3SsA
曜「おだてないの」

鞠莉「思ったことを素直に口にしただけ。家庭的なところ、好きよ」

曜「えへへっ、作り甲斐が出てくるね。張り切っちゃうよー」

麺を入れたどんぶりに、具材やトッピングを手際良く乗せていく。料理が作り込まれていく様子は、いつだって心躍る光景だ。

27: (らっかせい) 2021/08/30(月) 20:00:34.88 ID:eBFa3SsA
「ぐぅ~」見惚れていると、お腹から小さな音が鳴った。我慢できなくなったお腹の虫が「早く食べたい」と、私の胃袋をキックしたのだ。

どうやら曜の耳にも届いてしまったらしい、曜がくすくすと笑っている。私は咳払いをしてやり過ごそうとしたけど、逆に不自然だったかも。

曜「あと少しだよ。最後に海苔をこうしたら…出来たっ!お待ちどおさま、完成だよ!」

28: (らっかせい) 2021/08/30(月) 20:02:01.76 ID:eBFa3SsA
――――――――

今夜の曜自慢の一品は、インスタントの味噌ラーメン。ネギやキャベツ、煮卵が乗っていて、その出来栄えは夜食の域を超えている。添えられた海苔が、海風に帆を広げたフルセイルのように見えた。

割り箸よし、麦茶よし、七味よし。テーブル向かいの曜が微笑む。人生を楽しむ準備はすべて整った。

ようまり「いただきます」

両手を合わせて一礼し、お互い小さく笑みを交わした後、主役のラーメンへと視線を落とす。湯気立ちのぼる光景はとてもブリリアントだ。箸とれんげを使い、ふぅふぅしながら麺をすする。

29: (らっかせい) 2021/08/30(月) 20:03:14.71 ID:eBFa3SsA
鞠莉「んんっ…!」

言葉が出てこない。本当に美味しいものを味わうとき、言葉や反応は遅れてやってくる。

鞠莉「美味しい…!」

思わず万感がこもる。野菜の旨みが溶け込んだスープが麺によく絡み、噛むたびに美味しさが口の中に広がっていく。控えめに言って最高、はっきり言えば絶品だ。

30: (らっかせい) 2021/08/30(月) 20:04:14.05 ID:eBFa3SsA
曜「どれどれ…うん、今日のは良くできたみたい!」

曜もまた満足げなニコニコ顔を浮かべている。良くできたと評したけど、ちょっと表現が軽すぎるわ。控えめに言っても最高なんだもの。

鞠莉「美味しいラーメンは沢山あるけれど、曜の作ってくれる夜食のラーメンにはかなわないのよね」

曜「時間帯もあって、より美味しく感じるんだよね」

31: (らっかせい) 2021/08/30(月) 20:05:30.72 ID:eBFa3SsA
鞠莉「なにより、愛情がたっぷりだもの」

曜「あはは、たっぷり入れさせていただきました」

ああ、私ってすごい幸せ者かも。

鞠莉「一緒に食べるって、嬉しいね」

曜「うん!」

曜との食事は、いつだって最高のひととき。



終わり

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1630319537/

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