【SS】しずく「私はあなたの理想の―――」【ラブライブ!虹ヶ咲】

しずく SS


1: 2021/04/02(金) 22:10:25.51 ID:Oe1CGDUl
しずく「眠れない…」

スマホを探す。今何時だろう。

しずく「午前2時…誰も起きてないよね」

しずく「あれ?通知?」

果林(しずくちゃん、明日の放課後空いているかしら?)

果林さんから?

しずく(演劇部のお稽古があるのでそれが終わったら会えます!)

すぐに既読がつく。こんな時間まで起きてるんだ。

果林(そう、じゃあ学園の正門で待ってるわ)

しずく(わかりました、おやすみなさい)

果林(おやすみなさい)

3: 2021/04/02(金) 22:15:31.28 ID:Oe1CGDUl
正門

しずく「果林さーん!」

果林「あ、しずくちゃん」

しずく「お待たせしましたっ」

果林「全然大丈夫よ」

しずく「今日はなにをするんですか?」

果林「そうね…とりあえずダイバーシティを見てまわりましょ?」

しずく「わかりましたっ」

果林さんと2人きり…ちょっと楽しみかも。

4: 2021/04/02(金) 22:20:43.37 ID:Oe1CGDUl
服屋

果林「しずくちゃんならこの服似合うと思うけれど」

しずく「こ、これは露出が凄すぎて…」

果林「しずくちゃんは可愛いから絶対似合うし可愛いわよ?」

しずく「そ、そういう問題ではなくてですね…」

果林「なんでもチャレンジしてみなくちゃダメよ?」

しずく「…そうですね!これ買ってみます!」

果林「そんなに真っ赤な顔して買わなくてもいいのよ?」ニコッ

6: 2021/04/02(金) 22:25:47.23 ID:Oe1CGDUl
しずく「正直ちょっと恥ずかしいですけれど、果林さんが可愛いって言ってくれるなら買おうかなって…」

果林「…………」

果林「なんかこっちが恥ずかしいわね…」

しずく「果林さんがですか?!」

果林「あ、レジ空いたわよ」

しずく「あ!ごめんなさいっ」

果林さんが似合うって言ってくれたなら絶対可愛いよね!

8: 2021/04/02(金) 22:30:44.24 ID:Oe1CGDUl
しずく「結局服屋さんに1時間もいたんですね…」

果林「買うものを決めないとそのくらい普通じゃないかしら?」

果林「しずくちゃん、まだ時間ある?」

しずく「あと1時間くらいなら大丈夫です」

果林「そう、じゃあなんか食べて帰りましょ?」

果林「なにがいいかしらね…」

果林「お寿司なんかどうかしら?」

しずく「お寿司ですか?いいですね!」

果林「じゃあ早速行きましょっ」

果林さんは私の腕をぐいっと引き寄せる。

しずく「そんなに引っ張らなくてもついて行きますよ」

こんな積極的な果林さんを見るのは珍しいかも。

9: 2021/04/02(金) 22:35:16.55 ID:Oe1CGDUl
果林「今日は私が奢ってあげるから好きなもの食べていいわよ」

しずく「自分で食べたものは払うので…」

果林「まぁまぁ、今日は特別よ?」

しずく「じゃあお言葉に甘えて…」

果林「お腹いっぱいになるまで遠慮せず食べていいからお金のことは心配しないでいいわ」

果林「はい、あーん」

しずく「果林さん?!」

果林「なによ?これくらい別にいいじゃない」

しずく「い、いただきます…」

11: 2021/04/02(金) 22:40:54.54 ID:Oe1CGDUl
果林「おいしい?」

しずく「美味しいですけれど…」モグモグ

凄く恥ずかしいっ!

果林「ふふっ、それならよかった」ニコッ

しずく「ありがとうございます…?」

今日の果林さんどうしちゃったんだろう?

果林「お腹いっぱいになった?」

しずく「もう食べれないです…」

果林「ふふふっ、」それはよかったわ」

果林「さて…もう夜になっちゃったし今日はここまでね」

しずく「凄く楽しかったです!ありがとうございましたっ!」

12: 2021/04/02(金) 22:45:43.37 ID:Oe1CGDUl
果林「そんな感謝されるようなことしてないわよ」

果林「…ねぇ、今度の日曜日、また会えるかしら」

ほんの少し俯いて私に尋ねる。

しずく「はい、日曜日は毎週空けているので大丈夫ですよ」

果林「そう!じゃあ日曜日に会いましょう!」

しずく「はいっ、ではまた明日の同好会で!」

果林「ええ!」

果林さん、すごく嬉しそうな顔してたなぁ。

日曜日が楽しみ。

13: 2021/04/02(金) 22:51:08.27 ID:Oe1CGDUl
翌日 同好会の部室

かすみ「今日はかすみん特製のコッペパンを持ってきました~!」

愛「今回のコッペパンは普通の色だね」

果林「この前持ってきた虹色のコッペパンは流石にびっくりしたわね…美味しかったけれど…」

かすみ「美味しさも大事ですけど、可愛いが一番大切なんです!」

侑「かすみちゃんは可愛いが本当に好きなんだね」

かすみ「可愛い勝負なら歩夢せんぱいにだって負けませんからね~」

歩夢「かすみちゃんの可愛いって唯一無二だから私なんて全然敵わないよ」

エマ「そんなことないよ~歩夢ちゃんもすごく可愛いよ!」

侑「歩夢の可愛いも唯一無二だもんね!」

歩夢「そうかな…///」

歩夢「わ、私のことはいいからかすみちゃんのコッペパン、食べてみたいな」

15: 2021/04/02(金) 22:55:34.81 ID:Oe1CGDUl
璃奈「このコッペパンは何味なの?」

かすみ「それは食べてからのお楽しみだよりな子!」

果林「お楽しみ、ねぇ…」

果林「しずくちゃんは何を選ぶ?」

しずく「私ですか?えぇっと…」

しずく「かすみさん、本当に大丈夫だよね?」

かすみ「ほんとに大丈夫だよっ!しず子はかすみんのことどんな目で見てるの?!」

しずく「じゃあ私はこれで…」

一番右のコッペパンを選ぶ。

しずく「いただきま」

果林「しずくちゃん、ちょっと待って」

16: 2021/04/02(金) 23:00:38.90 ID:Oe1CGDUl
果林「そのコッペパン貸してくれるかしら?」

しずく「?どうぞ」

果林さんは私が持っていたコッペパンを2つに分ける。

果林「…」パクッ

果林「…………」モグモグ

かすみ「果林せんぱい?!」

果林「…よかった、大丈夫よ」

しずく「もしかして味見してくれたんですか?」

果林「まぁそんなところね」

17: 2021/04/02(金) 23:05:41.36 ID:Oe1CGDUl
璃奈「果林さん、お姉さんみたい。璃奈ちゃんボード『かっこいい』」

かすみ「かすみんのコッペパンってそんなに信用されてないんですかー?!」

果林「かすみちゃんを信じてるから味見しただけよ。かすみちゃんはいい子だからそういういたずらはしないと思ったのよ?」

かすみ「なんか嬉しいですけど複雑な気分ですぅ…」

果林「しずくちゃん、勝手に食べちゃってごめんなさいね」

しずく「いえいえ、ありがとうございます」

かすみ「しず子はかすみんのこと信じてたよね?」

しずく「普通のコッペパンに見えたからちょっと怖かったけど信じてたよ?」

かすみ「こっちも複雑な気分…」

18: 2021/04/02(金) 23:11:20.68 ID:Oe1CGDUl
しずく「中に入ってるのは…いちごクリームかな?」

かすみ「ぴんぽーん!頑張って作ったよ!」

しずく「いただきます」パクッ

しずく「…おいしいよかすみさん!」

かすみ「ほんとに?!よかったぁ~」

果林「すごくおいしかったわ、今度作り方教えてちょうだい?」ナデナデ

かすみ「うわぁ!?いきなり撫でられると恥ずかしいですよぉ!」

璃奈さんの言った通り、果林さんがお姉さんにみえる。かすみさんが隣にいるから余計に。

…ちょっとだけ羨ましいな。

19: 2021/04/02(金) 23:16:40.25 ID:Oe1CGDUl
果林「しずくちゃんにもね」ナデナデ

しずく「わ、私ですか?!///」

愛「あははっ!しずくが照れてる!」

かすみ「あー!ずるいよしず子!」

璃奈「私も…」

果林「困った子たちね…」

愛「果林がお母さんに見える…愛さんも撫でられたーい!」

侑「私も私もー!」

果林「もう…こんなことしてたら練習時間なくなっちゃうわよ?」

20: 2021/04/02(金) 23:20:58.04 ID:Oe1CGDUl
侑「あ、ほんとだ!早く行かないと!」

かすみ「今日はかすみんが1番乗りですからね~!」

歩夢「あ、待ってよかすみちゃ~ん!」

侑「2人ともー!廊下走ったら菜々さんに怒られちゃうからねー!」

みんなが思い思いのペースで練習場所に向かう。

果林「しずくちゃん、私たちも行きましょ?」

しずく「そうですね!」

しずく「さっきの果林さん、すごくお姉さんって感じがしてかっこよかったですよ」

果林「そ、そうかしら?」

しずく「はい!」

なんだろう…かっこよかったのもあるけれどそれ以上に不思議な気持ちになった。

果林さんに撫でられた時、なぜかドキドキするより心が落ち着いたのはなんでだろう?

22: 2021/04/02(金) 23:25:48.15 ID:Oe1CGDUl
日曜日

しずく「果林さん、遅いなぁ…」

もう集合時間から30分経っている。

しずく「まさか、迷子?」

確か果林さんって方向音痴だったよね…。

しずく「探しに行かないと!」

しずく「ここにはいない…」

しずく「ここにも」

しずく「本当にどこ行っちゃったんだろう…」

23: 2021/04/02(金) 23:30:10.73 ID:Oe1CGDUl
やっぱり集合場所に戻った方が…

しずく「…あ」

あそこに座ってるロイヤルブルー色の髪の人…

しずく「果林さん!」

果林「あ…しずくちゃん」グスン

しずく「泣いているんですか?!」

果林「泣いてないわよっ…!」

しずく「でも目が腫れてま…いえ、なんでもありません」

しずく「なんにせよこれで集まったんですから行きましょっ!」

果林「ええ…ええ!そうね!」

目が腫れたままだけれど、無邪気な笑顔を私に見せる。

果林「早速なんだけど、今日は行きたいところがあるからそこに行ってもいいかしら?」

24: 2021/04/02(金) 23:37:10.50 ID:Oe1CGDUl
しずく「分かりました!楽しみです!」

果林「じゃあ行きましょ?」

果林「あとその服、凄く似合ってるわよ?やっぱり買った甲斐があったわね」

しずく「あ、ありがとうございます!」

果林さんのほっとする様な、凄く嬉しそうな、そんな表情。

大人びているイメージとかけ離れているけれど、すごく…可愛らしい?のかな?

果林「えーっと今日行くところは…」

しずく「どこに行くんですか?」

果林「着いてからのお楽しみよ?」

果林さんだけに任せて大丈夫かな…。

25: 2021/04/02(金) 23:42:19.10 ID:Oe1CGDUl
果林「えぇと…」パラパラ

しずく「なに見てるんですか?」

果林「た、ただの地図よ」

A4の紙を束にしてホッチキスで本みたいにしている。

すごい…少し盗み見しただけだけど、色々な場所とそこに行くための地図や手段が細かく書かれている。

果林「…なるほど、この電車に乗れば…」

果林「さぁ、行くわよしずくちゃん!」

しずく「は、はいっ!」

元気になってよかったけれど、果林さんにしては積極的というか元気というか…。

26: 2021/04/02(金) 23:48:40.73 ID:Oe1CGDUl
果林「着いたわよ」

しずく「ネイルサロンですか?」

果林「そうよ、早速やりましょ?」

果林「ネイルは…やめておきましょうか」

果林「今回はマニキュアだけにしましょ?」

しずく「わかりましたっ」

しずく「果林さんは何色にします?私、こういうの初めてでよくわからなくて…」

果林「しずくちゃんってマニキュアしたことないの?」

しずく「興味はあったのですがなかなか機会に恵まれなくて…」

果林「じゃあ今回が人生で初めてなのね?」

しずく「そうですね、凄く楽しみです!」

27: 2021/04/03(土) 00:22:16.86 ID:HZyAJ/kR
果林「ふふっ、それならよかった」

果林「それと、色選びなんて気になった色とかでいいのよ」

果林「一目見て綺麗だなって思った色を選んでみて?」

しずく「なるほど…」

いろんな色があって迷う…。

ふと、とある色に目が引き寄せられる。

しずく「…これ、凄く綺麗…」

しずく「私はこの色にします」

果林「私の髪色に似ている…というかそっくりじゃない」

しずく「あ、本当だ…」

何気なく選んだのにすごい偶然。

28: 2021/04/03(土) 03:34:22.99 ID:HZyAJ/kR
果林「そうね…私もその色にしようかしら」

しずく「同じ色でいいんですか?」

果林「同じじゃなくて『お揃い』よ。私はこれでいいの」

果林「まぁ少しだけ違いをつけるとしたら…そうだ、この色にラメを入れましょうか」

しずく「ラメ、ですか」

果林「ラメは私が選んであげるわね」

果林「しずくちゃんが輝いて見えるようなラメを選んであげるわ」

しずく「ありがとうございます!」

どんな爪になるんだろう…。すごく楽しみ。

29: 2021/04/03(土) 03:42:04.27 ID:HZyAJ/kR
1時間ほど経ったかな。

しずく「うわぁ…!凄く綺麗です…!」

人生初のマニキュアをながめる。

ロイヤルブルーの爪に金色のラメが散りばめられていて、まるで星空を爪にしまっているよう。

果林「あら、すごく綺麗じゃない!」

しずく「果林さんは銀色のラメなんですね、果林さんの方も凄く綺麗です!」

しずく「でも私が金色で果林さんが銀色だと少し申し訳なくなっちゃいます…」

果林「大丈夫よ、私は銀色にしたくて銀色を選んだんだから」

しずく「なにか意味があるんですか?」

果林「…まぁ色々と、ね」

しずく「…?」

銀色には理由が?

私と被らない様にしてくれたのかな。

こういう些細な優しさが果林さんのいいところだよね。

30: 2021/04/03(土) 03:46:07.56 ID:HZyAJ/kR
果林「マニキュアは乾かさないとだめだからのんびり散歩しましょ?」

しずく「そうですね、果林さんが行きたい所はもうないんですか?」

果林「あるにはあるけれどマニキュアを乾かす時間も必要だから…」

果林「メモ帳も触れないわね…どこに行こうかしら…」

しずく「もうそろそろお昼ですし何か食べに行きませんか?」

果林「そうね、少しだけ街を歩きながら食べるところ探しましょ?」

果林「手は…だめなのよね」

しずく「?どう言う意味ですか?」

果林「手を使った料理はなるべくやめておいた方がいいって思っただけよ」

しずく「確かにハンバーガーとか手を直接使う料理はやめておいた方がいいですね」

果林「立ち止まっているのも勿体ないし歩きましょ?」

しずく「そうですね、駅まで歩けば何か見つかるのかもしれません!」

31: 2021/04/03(土) 03:51:38.42 ID:HZyAJ/kR
果林「今日のしずくちゃんはすごい元気ね」

それはもちろん。

しずく「果林さんと一緒にいるのはすごく楽しいです!」

果林「それは…ありがと」

しずく「ちょっと顔が赤いですよ?」ニヤニヤ

果林「面と向かって褒められたら誰だって恥ずかしくなるわよっ」

しずく「ふふっ、確かにそうですね」

果林「しずくちゃんのせいで体が熱くなっちゃったじゃない」

果林「ほら、もう行くわよ?時間がもったいないわ」

しずく「はい!」

今日の果林さんは表情豊かですごく楽しそう。

こんな果林さんが見れて幸せ。

エマさんは毎日果林さんのいろんな表情を見ているのかな。少しだけ羨ましいかも。

32: 2021/04/03(土) 03:56:47.11 ID:HZyAJ/kR
果林「あ、ここなんてどうかしら?」

20分ほど歩いたのかな。果林さんが足を止めた。

果林さんが指を指した先にはレストランがある。

しずく「うわぁ…!どれも美味しそうです!」

果林「じゃあここで決まりね」ニコッ

果林「しずくちゃんはなににするの?」

しずく「私はドリアが気になります」

チーズが乗せられたドリア、すごく美味しそう。

でも少し量が多いかな…。

33: 2021/04/03(土) 04:03:43.55 ID:HZyAJ/kR
果林「私もこれにしようかしら」

しずく「せっかくですし一緒に食べませんか?一人で食べきれる自信がありませんし…」

果林「いいの!?…じゃなくてそうね、これは女の子には少し多いかしら」

しずく「いいの、ってなんですか…?」

果林「…気のせいよ」

『いいの?!』と言ったときに見せた屈託のない笑顔。あまりにも綺麗で…可愛かったなぁ。

しずく「…かわいい」

果林「何か言った?」

しずく「い、いえ、なんでもないですよ」

果林「そう、じゃあ入りましょ?」

しずく「はいっ」

34: 2021/04/03(土) 04:08:08.30 ID:HZyAJ/kR
果林「そういえばしずくちゃんって姉妹はいるの?」

しずく「私は一人っ子ですね」

ドリアを待っている間、私たちは姉妹についての会話になっていた。

果林「…やっぱり姉妹って羨ましいって思う?」

しずく「そうですね。休日に色んなところに遊びに行ったり、家事をしたり、たまに喧嘩したり…そんな生活、一度でいいから体験してみたいです」

妹さんがいる彼方さんが羨ましくなるよね。

果林「…」

果林「もし姉妹ができたとしたら姉と妹、どちらになりたい?」

しずく「うーん…私は…」

しずく「私は妹になってみたいです」

しずく「一人っ子だからこそ目上の人に甘えたくなってしまいますね」

しずく「もう叶わない夢ですけどね…」

35: 2021/04/03(土) 04:13:43.82 ID:HZyAJ/kR
果林「そう…」

果林「少しお手洗いに行ってくるわね」

しずく「わかりました」

少し小走りでお手洗いに向かう果林さん。

耳が少し赤かったけれど大丈夫かな?



程なくして果林さんが戻ってきた。

しずく「大丈夫ですか?少し耳が赤かったので心配です」

果林「大丈夫よ、むしろ元気なくらいだわ」

しずく「それならいいんですけど…顔もほんのり赤いですよ?」

果林「本当に大丈夫よ、しずくちゃんは優しすぎるのよ」ナデナデ

しずく「そ、そんなことないです」

果林「今度はしずくちゃんの顔が赤いわよ?」

しずく「それは果林さんの…!」

36: 2021/04/03(土) 04:17:10.84 ID:HZyAJ/kR
店員「お待たせいたしました」

果林「ありがとうございます」

しずく「あ、ありがとうございます」

果林「すごく美味しそうね!」ニヤニヤ

しずく「そうですね…って何でまだ笑ってるんですか!」

果林「別に美味しそうだと思っただけよ?」ニヤニヤ

しずく「もう!私が全部食べちゃいますからね!」パクッ

しずく「…あついっ!」

果林「そんなに急がなくてもドリアは逃げないから大丈夫よ?」

しずく「むぅ…」

37: 2021/04/03(土) 04:23:12.74 ID:HZyAJ/kR
果林「美味しかったわね」

しずく「そうですね、果林さんはお腹いっぱいになりました?私だけいっぱい食べちゃった気がして…」

果林「全然大丈夫よ、しずくちゃんが美味しそうに食べてたのをみてたらそれだけでお腹いっぱいだわ」

しずく「は、恥ずかしいですしもう次に行きましょ?」

果林「ふふふっ、そうね」

果林「でももう夕暮れ時なのよね…そろそろ帰らないと」

果林「私が集合場所にもっと早くいれば…」

しずく「そんな気にすることないですよ」

しずく「そういうアクシデントも楽しいです!」

果林「しずくちゃん…」

果林「・・・・・・」

しずく「何か言いました?」

果林「なんでもないわ、今日は取りあえずお開きにしましょうか」

しずく「今日は楽しかったです!」

果林「私も楽しかったわ」

38: 2021/04/03(土) 04:27:20.38 ID:HZyAJ/kR
しずく「またお時間が合えば一緒に遊びたいですっ」

果林「…二人きりでもいいかしら?」

しずく「もちろんです!」

果林「そう…」ニコッ

果林「じゃあまた明日の同好会でね」

しずく「はいっ!」

今日の果林さんはいろんな表情を私に向けてくれた。

泣きそうな顔だったり、果林さんらしくない朗らかな笑顔だったり、ちょっと恥ずかしそうに顔を赤く染めたり…。

しずく「本当に楽しかったなぁ…」

夕暮れの空に、星空が詰まった手を掲げる。

しずく「また二人きりで遊んでみたいな」

39: 2021/04/03(土) 04:30:57.35 ID:HZyAJ/kR
翌日 同好会部室

かすみ「しず子の爪すごくかわいい~!」

彼方「おぉ~キラキラしてて綺麗だねぇ」

しずく「彼方さんもこの前、紫色のマニキュアつけてましたよね?すごくきれいでした!」

彼方「むふふ~ありがと~」

かすみ「ちょっとぉ!かすみんを置いてかないでよー!」

彼方「かすみちゃ~ん、今度一緒にマニキュア塗ろうよ~」

かすみ「え?!いいんですか?!」

かすみ「でもかすみんが手も綺麗になっちゃうとかすみんの可愛さに誰もついていけなくなっちゃいますよ~?」

彼方「じゃあ辞めておこうかなぁ~」

かすみ「うそですうそですぅ!」

40: 2021/04/03(土) 04:35:07.46 ID:HZyAJ/kR
ガチャ

果林「あら、3人とも来てたのね」

かすみ「あ、果林せんぱ…って!その爪!」

彼方「おぉ~!もしかしてしずくちゃんと一緒に行ったのかなぁ~?」

果林「まぁ、そんなところね」

かすみ「ひどいですぅ!かすみんも連れてってくださいよ~!」

彼方「まぁまぁ~かすみちゃんは私と行こうねぇ」

しずく「綺麗です、果林さん」

果林「しずくちゃんもね」

彼方「なんか姉妹みたいで可愛いなぁ~」

果林「そうかしら?!」

彼方「う、うん、可愛いと思うよぉ」

果林「姉妹……」ニコニコ

41: 2021/04/03(土) 04:40:55.74 ID:HZyAJ/kR
かすみ「ねぇしず子、果林せんぱいってあんなに元気な顔するっけ?」ヒソヒソ

しずく「さ、さあ?」ヒソヒソ

かすみ「…………」ジーー

かすみ「何か隠してない?」ヒソヒソ

しずく「なにも隠してないけど…」ヒソヒソ

確かに部室でこんな果林さんを見るのは初めてかも。

かすみ「ふーん…」

果林「なに二人でコソコソ話してるのよ?」

かすみ「今日の果林さんなんか元気だなーって」

果林「そうかしら?」

果林「あ、もうこんな時間じゃない。今日は校庭で練習なのよね?」

しずく「そうですね。侑さんたちは先に向こうに行っているそうです」

果林「そう、じゃあ早く行きましょ?」グイッ

しずく「うわぁ!果林さん!?」

私の手を引っ張り駆け出す果林さん。

ここ数日の出来事のせいで私の中で大人びていたあのイメージがなくなった。

少しびっくりしたけど新しい一面を見れてとっても嬉しい。

42: 2021/04/03(土) 04:45:23.28 ID:HZyAJ/kR
校庭

侑「あ、果林さんにしずくちゃん!」

愛「かすみんとかなちゃんは?」

果林「もうすぐ来るはずよ」

愛「お!果林、その爪すっごくいいね!」

果林「でしょう?」

歩夢「うわぁ…すごく綺麗…」

侑「本当だ!すっごくきれい!せつ菜ちゃん、マニキュアって校則違反じゃないんだよね?」

せつ菜「はい、マニキュアは大丈夫ですよ!」

侑「歩夢っ!今度一緒に塗りに行かない?」

歩夢「うん!お揃いの色にしてみたいな」

侑「そうだね!どんな色にしてみよっかなー」

侑「私たちもラメ入れてみたいね!」

歩夢「うん!私たちは可愛いのにしてみたいね!」

果林「歩夢と侑のマニキュアも楽しみにしてるわね」

果林さんが褒められているのを見て咄嗟に手を後ろに動かしてしまう。

43: 2021/04/03(土) 04:50:15.20 ID:HZyAJ/kR
エマ「しずくちゃんも見せてほしいな?」ニコニコ

しずく「え?!なんでエマさんが…」

『なんでエマさんが知っているんですか』って聞こうとしたけど、果林さんといつも一緒にいるもんね。

エマさんが気づかないわけないし、果林さんがエマさんに話さないわけないもんね。

いつかはみんなに気づかれるってわかっていたけれど二人だけの思い出にしたかったな。

…ってなに考えてるんだろ、私。

侑「しずくちゃんも塗ったの?見せて見せて!」

しずく「は、はい…」

歩夢「この色って…」

愛「果林とおそろじゃん!」

侑「しずくちゃんのラメは金色なんだね!」

エマ「すごく似合ってるよしずくちゃん!」

しずく「あ、ありがとうございます…」

44: 2021/04/03(土) 04:56:25.71 ID:HZyAJ/kR
果林「そんなに顔真っ赤にしなくてもいいのよ?」

しずく「恥ずかしいです…」

エマ「ほんとに姉妹みたいだよ~!」

しずく「姉妹?!」

果林「エマっ!なにもここで…!」

エマ「あ!ごめんね?」ニコニコ

侑「確かになんか姉妹みたいで可愛いですね!」

歩夢「姉妹…確かに言われてみればそうかも…」

果林「もう!この話はおしまいよ!」

侑「あははっ、果林さん照れてる!」

果林「侑~?」

侑「ああ~!ほっへふへはあいへふははい~!」

遠くから声が聞こえる。

かすみ「も~!彼方さんが寝ちゃったから遅れちゃったじゃないですかぁ~!」

彼方「だってかすみちゃんの膝枕が気持ちよかったんだも~ん」

せつ菜「お、2人も来ましたね!早速準備体操しましょう!」

同好会一同「おー!」

46: 2021/04/03(土) 10:54:09.99 ID:HZyAJ/kR
果林さんと私が姉妹みたい?性格も全然違うのに?

でも…

しずく「姉妹か…」

果林さんがお姉さんで私が…

かすみ「しず子?早くストレッチしよーよー!」

しずく「あ、うん、ごめんね」

かすみ「じゃありな子からストレッチね!」

璃奈「うん。しずくちゃん、私の背中押してくれる?」

しずく「うん、いいよ」

かすみ「あ!部室にタオル置いてきちゃった!取りに行っていい?」

しずく「いいよ。先に準備運動終わらせちゃっていい?」

かすみ「うん!ちょっと待っててね!」

47: 2021/04/03(土) 11:00:01.39 ID:HZyAJ/kR
璃奈「今日もかすみちゃんは元気だね」

しずく「そうだね、あの元気は羨ましいよね」

璃奈「妹にほしい感じだよね」

しずく「妹といえばあんな感じの性格なのかな?」

璃奈「私はお姉ちゃんは頼れる、妹は元気いっぱいっていうイメージがあるよ」

璃奈「しずくちゃんはお姉ちゃんっていうイメージ」

しずく「私なんか全然頼れるような人じゃないよ」

しずく「璃奈さんこそ妹にほしい存在だなーって思うよ」

璃奈「…嬉しい」

璃奈「しずくちゃんはお姉ちゃんと言えばどんなイメージなの?」

48: 2021/04/03(土) 11:05:21.10 ID:HZyAJ/kR
しずく「私は…うーんと…」

しずく「一緒にいて楽しいって思える人とか?」

璃奈「それじゃあ皆んながお姉さんになれちゃう」

しずく「璃奈さんがお姉ちゃんってちょっとかっこいいかも」

璃奈「私は身長低いしお姉さんにはなれないよ」

しずく「そんなことないよ、璃奈お姉ちゃん」

璃奈「…恥ずかしい」

49: 2021/04/03(土) 11:10:43.62 ID:HZyAJ/kR
かすみ「かすみんとうちゃーく!」

かすみ「あれ?りな子顔赤くない?」

璃奈「…別に普通」

かすみ「熱とかないよね?」

璃奈「…いきなりおでこ触るとちょっとびっくりする」

かすみ「だってほんとに心配なんだもん!」

かすみ「でも熱はなさそう!よかった~」

璃奈「かすみちゃんは優しいね」

かすみ「そりゃ、お友達だし…」

璃奈「かすみちゃんもしずくちゃんも・・・・・」

ふと、果林さん達の方に目を向ける…あれ?

なぜか果林さんが私たちを見ていた。すぐにそっぽを向いちゃったけれど。

…なぜか少しだけ悲しいような、寂しいような、そんな表情をしていた気がした。

50: 2021/04/03(土) 11:15:14.29 ID:HZyAJ/kR
侑「今日の練習はこの辺にしとこっか!3時間くらいやってたかな?」

せつ菜「そうですね!暗くなってきましたしここまでにしておきましょう!」

かすみ「明日はお休みなんですよね?」

せつ菜「はい!練習は明後日からです!」

かすみ「彼方せんぱい!明日の放課後マニキュア塗りに行きませんか?」

彼方「明日はバイトがあるんだよねぇ~ごめんね?」

かすみ「じゃあ今度の日曜日はどうですか?」

彼方「その日は彼方ちゃんとお出かけ~」

かすみ「えぇー!それじゃあかすみん困りますぅ!」

彼方「来週の土曜日空けとくからその日はどう?」

かすみ「そこなら空いてますけど…」

53: 2021/04/03(土) 11:22:46.90 ID:HZyAJ/kR
>>50訂正
彼方「その日は彼方ちゃんとお出かけ~」

彼方「その日は遙ちゃんとお出かけ~」

>>51ご指摘ありがとうございます!助かります

52: 2021/04/03(土) 11:20:18.42 ID:HZyAJ/kR
侑「私たちはいつ行く?」

歩夢「うーん…私はいつでもいいけど…」

侑「じゃあ明日行こっ!」

歩夢「色はどうするの?」

侑「実はもう決めてあるんだ」

歩夢「何色?」

侑「ひみつっ!でも歩夢なら絶対気にいると思うよ!」

歩夢「私は侑ちゃんと一緒なら何色でも好きになるよっ」

侑「えへへ…ありがとっ!」

しずく「あの…果林さん」

果林「…どうしたの?」

しずく「私たちも…その…明日、どこか行きませんか?」

果林「…………」

54: 2021/04/03(土) 11:27:32.28 ID:HZyAJ/kR
果林「明日はお仕事が入ってるから、ごめんね」

しずく「そうですか…」

果林「私は先に帰るわね」

しずく「あ、はい、お疲れ様でしたっ」

あの暗い表情…お仕事なんて絶対嘘だよね。

エマ「しずくちゃん」

しずく「あ、エマさん…」

エマ「明日の放課後、私と一緒に遊ばない?」

エマさん…私のために気遣ってくれたのかな。

しずく「はい、大歓迎ですっ!」

エマ「よかった~じゃあまた明日!」

「果林ちゃん待って~」と言いながら走っていくエマさん。

果林さんが後ろを振り向いてエマさんを迎える。

……………………

果林さん…………

その笑顔、どうして私に見せてくれなかったんですか。

55: 2021/04/03(土) 11:35:06.06 ID:HZyAJ/kR
翌日 放課後

しずく「…………」

今日の小さな星空は心なしか霞んで見える。

果林さんに悪いことしちゃったのかな。でもなにが悪かったのかが分からない。

しずく「もっと仲良くなりたかったのに…なにやってるんだろう、私…」

エマ「しずくちゃ~ん!」

しずく「あ、エマさんっ!」

エマ「待った?」

しずく「全然大丈夫ですっ」

しずく「今日はどこに行くんですか?」

56: 2021/04/03(土) 11:40:55.98 ID:HZyAJ/kR
エマ「実はまだ決めてないんだよね~」

エマ「しずくちゃんと一緒にいたいなぁーって思って!」

しずく「…ありがとうございます」

エマ「あ!果林ちゃんと遊べなかったから代わりに誘ったって訳じゃないよ?」

エマ「しずくちゃんと一回2人きりでお話ししたかったんだ~」

しずく「私と2人きりで、ですか?」

エマ「うん!今日は楽しもうね!」

しずく「…はいっ!」

57: 2021/04/03(土) 11:47:49.94 ID:HZyAJ/kR
エマ「ここのパン屋さんで何か買って食べ歩きしない?」

しずく「エマさんって本当にパンが好きなんですね」

エマ「日本のパン屋さんは本当に美味しいよ~!故郷のパンも美味しいけどね!」

エマ「しずくちゃんはどのパンにする?」

しずく「私はサンドイッチにしようと思います」

エマ「サンドイッチか~!いいね!」

エマ「じゃあ私はこれとこれとこれと…あ、これもおいしそ~!」

幸せそうな顔でパンを選ぶエマさんを見ると私の心まで暖かくなる。

エマ「しずくちゃんはサンドイッチだけでいいのかな?」

しずく「私はこれだけで大丈夫です」

エマ「わかった!じゃあ買ってくるね!」

しずく「あ、私の分のおか…行っちゃった」

たくさんのパンをトレーに乗せるエマさん。ピクニックにでも行くのかな?

58: 2021/04/03(土) 11:54:11.91 ID:HZyAJ/kR
エマ「えへへ~結局いっぱい買っちゃったよ~」

しずく「どれも美味しそうですね!」

エマ「しずくちゃんにも分けてあげるね!」

しずく「ありがとうございます」

しずく「本当にお金はいいんですか?」

エマ「全然大丈夫だよ~!」

エマ「しずくちゃんはサンドイッチだよね?はい、どうぞ!」

しずく「いただきます」モグモグ

しずく「美味しいです!」

エマ「ほんとに?私も一口いい?」

59: 2021/04/03(土) 12:18:32.48 ID:HZyAJ/kR
しずく「はい、どうぞ!」

エマ「いただきます!」パク

エマ「んん~!ボーノ!」

エマ「私の焼きそばパンも食べる?」

しずく「いいんですか?すごく美味しそうです!」

エマ「はい、あ~ん!」

しずく「あ~ん…」パク

しずく「美味しいですっ!」

エマ「じゃあ私も…」パク

エマ「こっちもボーノ!」

しずく「この後はどこに行きます?」

エマ「…私の寮に行ってもいいかな?」

しずく「忘れ物ですか?」

エマ「忘れ物ってわけじゃないかな~」

しずく「?」

エマ「しずくちゃんも一緒に来てくれる?」

しずく「もちろんです!」

エマ「ありがとう!」

60: 2021/04/03(土) 12:24:06.14 ID:HZyAJ/kR
エマの部屋

エマ「入っていいよ!」

しずく「お邪魔します」

しずく「すごく可愛いお部屋です…!」

すごい…日本なのにまるで外国にいるような気分になる。

エマ「ありがとう!」

エマ「ここで残りのパン、一緒に食べよ?」

しずく「エマさんの分なのにいいんですか?」

エマ「あ、このパンはしずくちゃんと一緒に食べるために買ってきたんだよ~!」

エマ「なんでも食べていいからね!」

61: 2021/04/03(土) 12:28:37.61 ID:HZyAJ/kR
しずく「ありがとうございますっ!」

しずく「どれも美味しそう…!」

エマ「…………」ニコニコ

しずく「エマさんはどれを…ってなんで笑ってるんですか?」

エマ「果林ちゃんの言った通りだなぁーって思って」

しずく「え?果林さん?」

なんで果林さんの名前が?

エマ「うん!」

62: 2021/04/03(土) 14:36:02.62 ID:HZyAJ/kR
エマ「しずくちゃん、ほんの少しだけ大事なお話、してもいい?」

しずく「大事?」

エマさんは彼女の机からあるものを取り出す。

しずく「あ!それは…!」

エマさんが持ってきたのはいつか果林さんが持っていたA4の紙を束ねたメモ。

エマ「これみたことあるの?」

しずく「はい、果林さんが持っていたのをちらっと見ただけですけどね」

エマ「しっかりと見たことはないんだね」

エマ「じゃあ見てみる?」

しずく「ちょっと気になるので見てみたいです」

63: 2021/04/03(土) 14:41:59.65 ID:HZyAJ/kR
・・・・・

―――メモ

⓵ネイルサロン

・場所→しおどめ方面の某所

・行き方→虹ヶ咲学園のもより駅から9駅「東京駅の方だよ!」、地図に書いてある赤い線を頼りに駅から歩く。

・しずくちゃんがいやがらなかったらしずくちゃんの色に合わせてみたい
・しずくちゃんが迷ってたら水色、あじさいっぽい色を選んであげる
・早めに行ってかわかす時間を有効活用する!

地図は↓


⓶服屋さん

・場所→ダイバーシティ

・行き方→虹ヶ咲学園のもより駅から5駅「こっちも東京駅の方だよ!」、改札を出て右に行って、大きい建物が右前に見えるからそこに行く。大きいロボットに近い入り口に入ってエレベーターに乗って3陪「階」まで行ったら目の前に見える

・なるべくしずくちゃんに選ばせてあげる
・私みたいな服はちょっといやがってそうだったから助言程度に
・マニキュアに合う服を選んであげてもいいかも
「道がわからなくなったら別の服屋さんでもいいと思う!」

地図は↓

⓷ワッフルのカフェ

・場所→ヴィーナスフォート

・行き方→虹ヶ咲学園のもより駅の次の駅「これも東京駅の方だよ!」、改札を左に出ておっきい広場に着く「左のメインゲートって言うところに入る!」、中に入ったら左に歩いて、噴水広場を目指し、噴水広場についてすぐ左にある「エレベーターとかトイレがある方だよ!」。

・しずくちゃんには好きなメニューを選ばせてあげる
・たくさんお話したい
・もしマニキュアをぬった後なら絶対行かないこと!

64: 2021/04/03(土) 14:46:32.31 ID:HZyAJ/kR
しずく「…………」

この3つだけじゃない。他にも同じようなものが何十個もある。

東京だけじゃなくて色々な地域の観光地やお店のことが事細かく書かれていている。

全部直筆で、たまに漢字を間違えたり、ひらがなで書いてあったり…

エマ「果林ちゃん、すごいよね」

エマ「私もできる限りアドバイスを書き込んだんだけど、果林ちゃんがそれ以上に熱心に調べてて…」

しずく「…でもなんで」

しずく「なんで果林さんは私に笑顔を向けてくれなかったんですか」

しずく「こんなにも私のために考えてくれていたのに…」

なんでだろう…私の声が震えている。

エマ「…それは昨日のことかな?」

しずく「はい…果林さん、エマさんには明るい表情で接していましたよね…?」

エマ「うーん…」

エマ「実はね、昨日果林ちゃんに相談されたの」

しずく「私のことですか?」

65: 2021/04/03(土) 14:51:27.34 ID:HZyAJ/kR
エマ「うん!」

エマ「昨日お話しした感じ、果林ちゃんは別にしずくちゃんのことが嫌いになったり、苦手になっちゃったりしちゃったわけじゃないよ」

エマ「だからしずくちゃんは果林ちゃんと今まで通り接して欲しいな!」

しずく「でもどうして…」

エマ「昨日のことは果林ちゃん自身がしずくちゃんに直接お話したいって思ってるはずだから、その話は果林ちゃんと二人きりの時にね?」

しずく「…わかりました」

エマ「もやもやしてると思うけど、果林ちゃんを信じてあげて」ニコッ

果林さんを信じる…。

しずく「…そのメモ、もらってもいいですか?」

エマ「?別にいいよ~」

しずく「あ、でもこれ果林さんのものですよね」

エマ「果林ちゃんも同じやつのコピーを持ってるから大丈夫!はい、どうぞ!」

しずく「ありがとうございますっ」

エマさんからメモを受け取る。

しずく「っ…………」

ただ紙をもらっただけなのに……

しずく「果林さん……」

ほんの少しだけ、果林さんの匂いが私の体を包んだ。

66: 2021/04/03(土) 14:56:53.29 ID:HZyAJ/kR
家に帰った私は早速果林さんに連絡を取る。

しずく(果林さん、今度の土曜日会えますか?)

果林さんからの返信を待つ間、エマさんからもらったメモをベットで寝転がりながら眺める。

綺麗な字で書かれた文章、消しゴムで字を消した跡、疲れてしまったのか、だんだんと雑になっていく字、のりで一枚一枚、ぺたぺたと貼り付けたであろう地図。

その一つ一つに暖かみを感じる。普段のクールな果林さんからは想像もできない。

しずく「果林さん…」

その暖かさが全て私のために向けられてるものだと思うと、目頭が熱くなる。

ふと、あの香りが私の鼻をつく。

しずく「あ…またこの匂い…」

なんでこの匂いが、という疑問よりもこの匂いがあると落ち着くという気持ちが勝る。

しずく「かり…ん…さん…」

メモを抱き抱えたまま、意識が途絶える。

70: 2021/04/03(土) 21:52:33.23 ID:HZyAJ/kR
翌日 朝

しずく「むぅ…あぅ……はっ!」

しずく「果林さんからの……!」

果林(いいわよ。予定、開けておくわね)

しずく「果林さん…!」

本当だ、嫌っているわけじゃなかったんだ…!

しずく「よかった…」

安堵感からか、ほんの少しだけ視界がぼやける。

しずく(ありがとうございます!)

そうだ。

せっかくだから…

しずく(果林さんが行ってみたい場所に連れていってくっれませんか?)

土曜日がまた楽しみになってきた。

71: 2021/04/03(土) 21:57:25.48 ID:HZyAJ/kR
土曜日

しずく「ふぅ…」

果林さんと会うだけなのにドキドキが止まらない。

今日はちゃんと来てくれるかな…。

「しずくちゃん、お待たせ」

ずっと聴きこがれていた声がする。

しずく「果林さん!」

果林「そんな大声で呼ばなくてもいいじゃない…」ニコッ

しずく「えへへ…」

果林「さ、行きましょ?」

しずく「はい!」

さっきまであんなにドキドキしていたのにいつの間にか胸の鼓動がおさまっている。なんだか不思議。

72: 2021/04/03(土) 22:02:16.44 ID:HZyAJ/kR
しずく「今日はどこにいくんですか?」

果林「ええと、今日は…」パラパラ

果林「今日は…………」

果林「…………………」

不安そうな顔で持っているメモを見つめる果林さん。

しずく「果林さん」

果林「…どうしたの?」

しずく「この日をすごく楽しみにしてて、夜もあんまり眠れなかったんですよ?」

しずく「私、それくらい果林さんと一緒にいるだけで幸せなんです」

果林「…ありがとう」ニコッ

笑っているけど少しだけ目が潤っている。

果林「じゃあ、今日はたこ焼きミュージアムにでも行こうかしら」

しずく「はいっ!」

73: 2021/04/03(土) 22:09:24.88 ID:HZyAJ/kR
たこ焼きミュージアム

果林「前にエマと来たことがあったんだけど、すごい美味しかったからしずくちゃんとも来てみたかったのよね」

しずく「すごく美味しいですっ」

しずく「ちょっと熱いですけどね」ホクホク

果林「あんまり急いで食べなくてもいいのよ?」

果林「ほら、ふーふーしてあげるから」フーフー

しずく「あ、ありがとうございます///」

果林「しずくちゃん、あーん」ニコッ

しずく「あ~ん…」パク

果林「熱くない?」

しずく「らいろうふれふ!」モグモグ

果林「ふふふっ、それはよかったわ」

74: 2021/04/03(土) 22:14:30.91 ID:HZyAJ/kR
しずく「果林さんもどうぞ!」

しずく「あ~ん」

果林「わ、私はいいわよ」

しずく「…………」ニコニコ

果林「あ~ん…」パク

しずく「美味しいですか?」

果林「………///」コクコク

しずく「それはよかったですっ」

数日ぶりに体感するこの感覚。

何年かぶりかと思うくらい久しぶりのような気がして心の底から幸せです、果林さん。

75: 2021/04/03(土) 22:19:25.26 ID:HZyAJ/kR
果林「今は何時かしら?」

しずく「ちょうど3時ですね」

果林「たこ焼き食べすぎたわね…お腹いっぱいだわ」

しずく「そうですね…なんだかんだ2時間ほどいましたね」

果林「今度はどこに行こうかしら…」ペラペラ

私のために考えてくれてる…。

そう考えるだけで顔の筋肉が緩んでしまう。

果林「ねぇ、しずく…ってなんでそんなにニコニコしてるのよ」

しずく「え?あ!いやえぇっと…」 

76: 2021/04/03(土) 22:26:01.69 ID:HZyAJ/kR
果林「まぁいいわ、しずくちゃんの笑顔見られたならよしとしましょう」

果林「うーん…それにしても決まらないわね…」ペラペラ

果林「とりあえずダイバーシティまで歩いてみましょ?」

しずく「せっかくですし二人でお揃いの小物とか買ってみたいです」

果林「お揃い……」

不安そうな、それでいて嬉しそうな、そんな不思議な表情。

しずく「…果林さん?」

果林「いえ、なんでもないわ」ニコッ

果林「ほら、ぼーっとしてないで行くわよっ!」

しずく「あ、待ってくださーい!歩くって言ったじゃないですかー!」

77: 2021/04/03(土) 22:30:46.98 ID:HZyAJ/kR
果林「あら…?」

しずく「はぁ…はぁ…果林さん…」

しずく「ダイバーシティまで行くんですよね…?」

果林「そ、そうよ…」

しずく「ここ、愛さんが歌ったレインボー公園ですよね…」

果林「どうしてかしら…」

しずく「…ふふっ」

果林「な、なんで笑うのよ」

しずく「果林さんらしいなって思って」

果林「後輩の目の前で道に迷うなんて恥ずかしすぎるわよ…」

しずく「そういうのも私はいいと思いますっ」

果林「どういうこと?」

78: 2021/04/03(土) 22:35:06.28 ID:HZyAJ/kR
しずく「今までは果林さんのこと、すごいクールでかっこいい先輩だなって思ってました」

しずく「だけど果林さんと二人きりで遊んでるとすごく可愛い一面も見えてきて」

しずく「その可愛い一面が…なんていうか…その」

しずく「落ち着く?感じがします」

果林「落ち着く…」

果林「それならよかったわ」ニコッ

果林「気を取り直して行きましょ?」

しずく「はいっ」

果林さんといると何故か落ち着くと言う感情に囚われる。

楽しい、とか好き、とかではなくて。

一緒にいて気持ちがいいと言うか…。

79: 2021/04/03(土) 22:42:22.99 ID:HZyAJ/kR
――――――

果林「ここの雑貨店、結構可愛いもの揃ってるのよね。彼方のマニキュアはここで買ったのよ」

しずく「マニキュアって自分でもできるんですか?」

果林「あまりうまくはないけれど一応できるわよ」

しずく「そうなんですね、興味が湧いてきました!」

今度果林さんにやってもらおうかな。

果林「それにしてもここって本当に雰囲気いいのよね」

しずく「そうですね、とても可愛らしいです…!」

果林「そうでしょ?」

果林「それで…なにを買おうかしら…」

80: 2021/04/03(土) 22:45:31.08 ID:HZyAJ/kR
しずく「果林さんってパンダが好きなんですよね?」

果林「え、ええ、一応ね」

しずく「じゃあこれにしませんか?」

果林「このシャーペン?あら、可愛いじゃない」

しずく「すごく書きやすそうですしどうです?」

果林「別にパンダの柄だけにこだわらなくてもいいのよ?」

しずく「私もパンダが好きなので大丈夫ですよ」

果林「嘘ってバレバレよ」ニコッ

しずく「一応本当ですっ」

果林「一応?」

しずく「ええっと…」

果林さんが私とお揃いのシャーペンを持って嬉しそうな顔を浮かべるのが想像できたから。

なんて言えるような勇気はないけれど。

81: 2021/04/03(土) 22:50:05.94 ID:HZyAJ/kR
しずく「と、とにかく私はこれがいいんですっ」

果林「しずくちゃんがそこまで言うなら…」

しずく「あ!私のわがままになってしまって…」

果林「いいのよ、私もこのシャーペン好きよ」

果林さんは私の頭に手を伸ばす。

……………………

果林「…」

果林「他に何か買うものはある?」

しずく「…え?」

しずく「あ、他には…ないです」

果林「そう、じゃあ買ってくるわね」

果林さんが差し伸べた手は虚空を撫でただけ。

少し悲しいけれど、私は信じています。果林さんの暖かさは私もよく知っています。

その手に持っているメモが何よりの証拠だから。

82: 2021/04/03(土) 22:54:43.84 ID:HZyAJ/kR
果林「お待たせ、はいどうぞ」

しずく「ありがとうございますっ!」

しずく「可愛い…」

果林「どうせならぬいぐるみでもよかったんじゃない?」

しずく「それはまた今度二人で来たときに買いませんか?」

果林「また今度…?」

しずく「言ったじゃないですか」

しずく「果林さんといると落ち着くし、幸せですって」

果林「しずくちゃん…」

しずく「果林さんの気持ち、私に伝えて欲しいです」

果林「…少しだけ歩きましょ」

しずく「はい」

83: 2021/04/03(土) 22:59:27.00 ID:HZyAJ/kR
果林「…………」

しずく「…………」

しずく「どこに行くんですか?」

果林「分からないわ」

しずく「分からない?」

果林「もう分からないのよ、もう」

やっぱり待っているだけじゃだよね。

それじゃあ…

私が果林さんの背中を…

しずく「果林さん」

果林「…どうしたの?」

しずく「果林さん、行きたいところができたので行ってもいいですか?」グイッ

果林「しずくちゃん?!」

果林さんが心を開いてくれる、いや、果林さんが果林さん自身の気持ちをさらけ出せる場所はあそこしかないよね。

84: 2021/04/03(土) 23:04:23.54 ID:HZyAJ/kR
しずく「着きました」

しずく「ここが私の行きたかった場所です」

果林「はぁ…はぁ…」

果林「…………っ!」

しずく「もうダイバーフェスティバルの面影は残ってないですけれどね」

果林「どうしてここに…」

しずく「ステージの上って、本当の私を出せるっていうか…なんだってできる気がしませんか?」

しずく「だから、果林さんがここにくればダイバーフェスティバルで見せてくれた勇気をもう一度この場所からもらえるんじゃないかなって」

果林「……………………」

果林「ありがとう」

果林さんは大きく息を吸う。

果林「私は…」

85: 2021/04/03(土) 23:09:24.54 ID:HZyAJ/kR
果林「私は私の本当の気持ちを常に分かってくれる、理解してくれる人が欲しかった」

果林「それについてはエマが私の気持ちを理解してくれている。あの子には本当に感謝しているわ」

果林「でも…夜、独りぼっちになると…」

果林「常に一緒にいてくれて、心を落ち着かせてくれる存在が欲しいって言う気持ちが強くなったの」

果林「なんというか…私は…妹のような存在が欲しかったのよ」

果林「同好会でしずくちゃんとお話ししているうちにしずくちゃんにはそう言う存在であって欲しいって言う気持ちがだんだん強くなってきて…」

果林「だから私はしずくちゃんが私をお姉さんとしてみてくれるように色々考えたのだけれど」

果林「璃奈ちゃんとしずくちゃんの話を聞いて『私はしずくちゃんの思い描いているお姉さんになれているのか、なろうとしているのか』って思ってしまって…」

果林「それがわからないのに突っ走ってしまった。しずくちゃんの気持ちもわからないままただ振り回してしまった」

果林「本当に私って馬鹿よね」

86: 2021/04/03(土) 23:14:31.31 ID:HZyAJ/kR
しずく「…………」

しずく「ありがとうございます」ニコッ

果林「…どうして感謝されなきゃいけないのよ」

私はエマさんからもらったメモを取り出す。

果林「それって…」

しずく「こんな私をここまで想ってくれるなんて果林さんが初めてです」

しずく「もちろん、かすみさんや同好会の皆さんも私に対して優しく接してくれたりしましたけど、果林さんは皆さんと違って、果林さんの全てを私に見せてくれて…本当に嬉しかったです」

しずく「普段、クールだけど優しい果林さんがこんなにも暖かくて、明るくて、でもやっぱり少し抜けてるところがあって…」

しずく「エマさんからこのメモをもらった時、果林さんの匂いが少しだけ香ってきたんです」

しずく「その時、不思議と心が落ち着いたんです」

果林「…っ!」

そう。私も、果林さんと同じ気持ちだったんだ。

87: 2021/04/03(土) 23:16:09.16 ID:HZyAJ/kR
しずく「…私も果林さんのことお姉ちゃんとして欲しいなって思ってたんです」

果林「でも私はあなたの…」

しずく「どの果林さんも私の理想のお姉ちゃんです」

だから…

しずく「だから…」

しずく「私はあなたの理想の妹になれますか?」

果林「…………」グスン

果林「しずくちゃんはどんなしずくちゃんになっても私の理想の妹よ」

果林「しずくちゃんの絶対叶わない夢、叶えさせてあげるわ」

しずく「えへへ…」

やっとこの言葉が聞けた。

じゃあ…

89: 2021/04/03(土) 23:21:22.97 ID:HZyAJ/kR
しずく「じゃあ果林お姉ちゃん、私も寮で生活していいですか?」

果林「え?!」

しずく「だって姉妹なんですよね?」ニヤニヤ

果林「べ、別にいいけれど…」

しずく「同じ部屋って大丈夫なんでしたっけ?」

果林「同じ部屋?!それはちょっと準備が…」

しずく「もっといろんなお姉ちゃんを見せてくださいっ!」

しずく「早速明日申請してきますね!」

果林「え、ええ?!」

しずく「思い立ったが吉日ですよっ!」

果林「あ、しずくちゃん待ちなさいよ~!」

私の、絶対叶わないと思っていた生活ができるんだ…

90: 2021/04/03(土) 23:26:10.89 ID:HZyAJ/kR
しずく「果林お姉ちゃん起きてー!」

果林「もう…少しだけ…」

果林「しずくぅ…」

しずく「どうしたんで…どうしたの?」

果林「今…何時…?」

しずく「あと1時間後にはエマさんが迎えに来るよ」

果林「じゃあ…こっちきて」グイッ

しずく「また…」

果林「むぅ……」スヤー

しずく「…………えへへ」

あれから4ヶ月ほど経ったけれど、やっぱり果林…お姉ちゃんといると落ち着く…。

私もこのまま一緒に寝たいなぁ…。

91: 2021/04/03(土) 23:31:25.01 ID:HZyAJ/kR
「二人とも起きてー!」

遠くから声が聞こえる。

しずく「むぅ…」

しずく「っは!エマさん!」

エマ「もう!二人とも同じ部屋になってからしずくちゃんもねぼすけさんになってるよ~…」

あれ?いつの間にか一緒に寝ちゃってたんだ…。

しずく「ごめんなさい!すぐ準備します!」

しずく「果林おねぇ…果林さん!起きてください!」

エマ「…………」ニコニコ

果林「………」

しずく「ま、まだ恥ずかしいです…!果林さんも何か反応してください!」

果林「エマ、私の制服とってくれるかしら」

エマ「はーい、って果林ちゃん起きてたの?」

果林「しずくがベットに入ってからもう起きてたわよ」

しずく「えぇ?!果林さんってばあの寝顔って嘘だったんですか!?」

92: 2021/04/03(土) 23:36:24.03 ID:HZyAJ/kR
果林「『さん』?」

果林「果林さんって誰のことかしら?」

しずく「うぅ……///」プシュー

しずく「果林お姉ちゃんっ!」

果林「はいはい、おはよう、しずく」ナデナデ

しずく「エマさんがいるのに…」ヒソヒソ

果林「エマだって一緒に暮らすこと喜んでたしもう今更じゃない」ナデナデ

しずく「それはそうだけど…」

エマ「そうだよ~!しずくちゃんがきてくれて私も嬉しいな!」

果林「あ、制服ありがとう」

しずく「エマさん聞いてたんですか?!」

エマ「私からしたらもう一人妹が増えて本当に楽しいよ!」

94: 2021/04/03(土) 23:41:19.12 ID:HZyAJ/kR
果林「もう一人?あと一人は誰なのよ!」

エマ「なんのことかな~?」

エマ「じゃあ私は外で待ってるね!」

果林「エマっ!待ちなさーい!」

しずく「ふふふっ…」

果林「全くエマったら…」

しずく「今日はお仕事あるの?」

果林「今日は夜なら空いているわね」

果林「じゃあ少し散歩しましょ?」

しずく「はいっ!」

果林「はいじゃないでしょ~?」

しずく「…うん!」

95: 2021/04/03(土) 23:46:34.47 ID:HZyAJ/kR
同日 夜

しずく「うぅ…さむい…」

流石に手袋くらいは持ってきたほうがよかったかな…。

後でお姉ちゃんに温めてもらおうかな。

果林「お待たせ、今日は寒いわね」

しずく「まさかここまで寒くなるって思ってなくて…」

果林「手袋とかカイロ持ってきてないの?」

しずく「うん…」

果林「ほら、手貸してあげるから」

しずく「ありがとう」

しずく「あったかい…」

果林お姉ちゃんといると心も自然と暖かくなる。

果林「それならよかったわ」

果林「今日はどこに行きましょうか」

しずく「どこへでも!」

果林「ここ最近そればっかりじゃない」ニコッ

果林「じゃあ雑貨屋さんでマニキュア買って家で塗ってあげるわ」

しずく「すごく楽しみだよ!」

果林「何色がいい?」

しずく「うーんどうしよう…」

どんな色にしようか迷いながら空を見上げる。

冬の空…空気が澄んでいて星がよく見える。

オリオン座、こいぬ座、おおいぬ座の星が冬の大三角形を作っていてとても綺麗。

しずく「…あ」

冬の大三角形の真上には双子座が煌めいている。

――――双子座を作る金色と銀色の星が特に輝いて見えていた。




おしまい

96: 2021/04/03(土) 23:47:18.86 ID:HZyAJ/kR
最後までご覧いただき本当にありがとうございました!!!

しずくちゃん誕生日おめでとー!!

97: 2021/04/03(土) 23:55:32.44 ID:2iKsCo30
最高でした

98: 2021/04/03(土) 23:59:30.53 ID:XrULjDpL
おつでした。二人ともすごく可愛かった。しずくちゃん誕生日おめでとう!

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1617369025/

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