ちか｢よーちゃんっ、てぶくろをぎゃくからよんでみて！｣【SS】

よう｢えーっと……｣

ちか｢……｣ﾜｸﾜｸ

よう｢ろ、ろて……く………｣

ちか｢はやくー｣

よう｢……っ！ろくぶて！｣

ちか｢あ、いっちゃったねー、よーちゃん｣ｽｽｯ

よう｢え……どうしたの、ちかちゃん｣

ちか｢いくよー？いちにーさんしーごーろくっ｣ﾎﾟﾃﾎﾟﾃ

よう｢ふぇ……｣

ちか｢ひっかかったね、よーちゃん｣ﾌﾌﾝ

よう｢……うっ｣

ちか｢え？｣

よう｢うえぇぇぇぇえええん！｣ﾋﾞｰｯ

ちか｢ええっ！？｣

よう｢ち、ちかちゃんなんかしらないっ！｣ﾋﾟｭｰｯ

ちか｢ま、まってよーちゃん！｣

ちか｢…よう…ちゃ……ん｣

ちか｢っ…え……｣

ちか｢――うえぇぇぇぇえええん！！｣

志満｢……千歌ちゃーん？ってどうしたの！？｣ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

ちか｢うわぁぁあああん｣

志満｢ちょっと、何があったの？｣

ちか｢…うぅ…っ……｣ﾋｯｸ

志満｢泣いてないできちんと説明しなさい！曜ちゃんはどうしたの？｣

ちか｢……っ、よーちゃんっ…にっ……｣

志満｢うん、曜ちゃんに？｣

ちか｢…きらわれ、ちゃったのぉ……｣


美渡｢――あのさ志満ねえ、さっき曜ちゃんが大泣きしながら出てったんだけど｣ｶﾞﾗｶﾞﾗ

ちか｢…っ……｣

志満｢……なにしたの？｣

ちか｢……ちかがね、ぶっちゃったの｣

志満｢どうして？｣

ちか｢あのね……｣

―――――


よう(ちかちゃん、わたしのこときらいだったんだ)

よう(……やだ、やだよぉ)

よう(もういっしょにあそべないのかな……)


よう｢うぅ…っ………｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

果南｢あれー？曜ったらこんなところでなにしてるの？｣

よう｢……あ、かなんちゃん｣

果南｢どうしたの、そんなに泣いて。何かあった？｣

よう｢あのね、ちかちゃんにぶたれたの｣

果南｢えぇっ！？けんかしたの？｣

よう｢ううん、してない……とおもうけど｣

果南｢それじゃあ、なにか言っちゃった？｣

よう｢えっと、てぶくろをぎゃくからよんでみてっていわれて、ろくぶてっていったら｣

果南｢あー……｣

よう｢ちかちゃんに、ぶたれたの……｣

果南｢なるほどねー｣

よう｢どうしよう、わたしちかちゃんにきらわれちゃったんだ｣ｸﾞｽｯ

果南｢……｣

よう｢ちかちゃんとなかよしじゃなくなっちゃうの、やだよぉ…｣

果南｢あのさ、曜｣

よう｢…なに？｣

果南｢それ多分、ただのいたずらだよ｣

よう｢……なんでぇ？｣ﾋｯｸ

果南｢ほら。ろくぶてって、６回ぶってっていう意味になるでしょ？｣

よう｢―――あっ｣

―――――


ちか｢それで、よーちゃんないちゃって｣

志満｢もう、意地悪ないたずらしちゃだめでしょう？｣

美渡｢そうだそうだー｣

ちか｢みとねぇだって、いつもちかにいじわるしてくるくせに｣

志満｢こらっ、やめなさい｣

美渡｢あーあ、バカちか。曜ちゃんに嫌われちゃったねー｣ﾆｼｼ

ちか｢……うぅ、やっぱりっ…｣ｸﾞｽｯ

志満｢ちょっと美渡！言い過ぎよ｣

美渡｢っはい。すみません！｣

志満｢謝るのは千歌ちゃんにでしょ？｣

美渡｢……ごめん。千歌｣

ちか｢っでも、ちかひどいこと……｣

志満｢そうよ。曜ちゃんはきっと傷ついてるわ｣

ちか｢……｣

志満｢だから、ちゃんと謝りに行きなさい｣

ちか｢…うん。でもどこにいっちゃったかわからなくて｣

志満｢千歌ちゃんがいたずらして泣かせちゃったんでしょう？自分で探すのっ｣

ちか｢……わかった。さがしにいってくる！｣ﾊﾞﾀﾝｯ



美渡｢――またやっちゃったね～｣

志満｢まあ、ケンカするほど仲がいいっていうし。今度もきっと大丈夫だと思うわ｣

美渡｢それもそっか｣

志満｢でも曜ちゃん、あまり遠くまで行ってないといいけど…｣

美渡｢いくらなんでも幼稚園児なんだし、そう遠くまでは行けないんじゃない？｣

志満｢いや、曜ちゃんは体力あるからねぇ｣

美渡｢……もー、仕方ないなぁ｣ｽﾀｯ

志満｢あら、どこいくの？｣

美渡｢ちょっとしいたけの散歩行ってくるだけ～｣ﾊﾟﾀﾝ


志満｢――美渡も責任感じちゃってるのかなぁ｣ﾌﾌｯ

―――――


ちか｢よーちゃあああん！！｣

ちか｢…よーちゃんっ……｣

ちか(どこにいっちゃったんだろう。ぜんぜんみつからないよ)

ちか(あえなかったら、どうしよう。ちかのせいでよーちゃんがっ)


ちか｢……ううん。ぜったいにあってなかなおりしなきゃ｣ｸﾞｯ

ちか｢よーちゃああああん！！｣


美渡｢……バカちかーっ！｣

ちか｢うぇ、みとねぇ？｣

美渡｢あの、さ。あっちの砂浜行ったら、いるかもよ｣

ちか｢え、なんでわかるの？｣

美渡｢なっ、なんとなくよ｣ｷﾞｸｯ

ちか｢あやしいなぁー｣

美渡｢とにかくっ、行きなさい！｣

ちか｢…よくわかんないけど、それならいってみる！｣

美渡(ま、さっき果南ちゃんが来て教えてくれたんだけどねー)

美渡｢ちゃんと謝るんだよー！｣

ちか｢分かってるー！！｣ｽﾀﾀｯ


美渡｢……まったく、世話がやけるなぁ｣



ちか｢……よーーちゃあああん！｣ﾀｯﾀｯ


よう｢…ちか、ちゃん？｣

ちか｢あっ、ようちゃんっ！！｣

よう｢…あの、えっと｣

ちか｢あのね、よーちゃん｣


｢｢ごめんねっ！｣｣


ちか｢あれ？｣

よう｢えっ？｣


ちか｢ちか、よーちゃんにきらわれちゃったとおもって｣

よう｢そんなわけないよ！わたしこそ、ちかちゃんにきらわれて、ぶたれたんだって｣

ちか｢ちがうよ！あれはいたずらだったの｣

よう｢ほんとに？｣

ちか｢ほんとにっ。……ごめんね、よーちゃん｣ﾍﾟｺ

よう｢…いいよ、わたしもひどいこといってごめんね｣

ちか｢ううん、わるいのはちかだもん｣

よう｢わたしだって｣

ちか｢いやいや…｣

よう｢……っあはは！｣

ちか｢あはは！おかしいねー｣

よう｢また、あそんでくれる？｣

ちか｢あたりまえだよ！…あ、そうだっ｣ｶﾞｻｺﾞｿ

よう｢どうしたの？｣


ちか｢――はい、これあげる。てぶくろ！｣

よう｢え、いいの？ちかちゃんのおきにいりでしょ？｣

ちか｢もちろんっ、なかなおりのしるし！｣

よう｢わぁ、ありがとう！みかんいろでかわいい…、まいにちつけるね！｣

ちか｢うん、よかったぁ｣

よう｢……ほんとにあったかいなぁ｣

ちか｢こうしたらもっとあったかいよー｣ｷﾞｭｰ

よう｢わっ、ちかちゃん｣///

ちか｢―――ねえ、よーちゃん｣

よう｢…？｣

ちか｢あのね、ずーっといっしょにいようね！｣

よう｢…うんっ！｣

おしまい。