【SS】@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リに支配される世界【ラブライブ!虹ヶ咲】

ぽむ顔文字 SS


1: (しまむら) 2021/07/21(水) 22:52:59.24 ID:Dqm2nZXr
──その日人類は思い出した

奴らに支配されていた恐怖を…

鳥籠の中に囚われていた屈辱を……

4: (しまむら) 2021/07/21(水) 22:55:19.36 ID:Dqm2nZXr
『ねーお母さん。台所に変な生き物がいた』

『は?』

『……』ジー

『わ、分かったわよ。見に行くわよ』

『もー、あの人ったらなんでこんな時にいないの……?』

『でも変な生き物って……なにかしら?』


ガチャ

5: (しまむら) 2021/07/21(水) 22:55:35.00 ID:Dqm2nZXr
@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ ヒョコ

8: (しまむら) 2021/07/21(水) 22:58:08.13 ID:Dqm2nZXr




ザッザッザッザッ!!

「貴様らァ! 全員整列ッ!!」

ダッダッダッダ!! ──ピタッ!!

「大総統がお見えになる。各自、静かにそのまま待機!」


しずく「……」ドキドキ

しずく(私もついに訓練兵を卒業して、戦士になれたんだ……!)

しずく(これで人類の為に戦うことが出来るんだ!)

しずく(頑張るぞー! おー!)

しずく「……」

かすみ「ねぇねぇしず子〜」ヒソヒソ

しずく「……」

かすみ「ねぇってば〜」ヒソヒソ

しずく「かすみさん。整列中はおしゃべり禁止だよ?」ヒソヒソ

11: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:01:21.90 ID:Dqm2nZXr
かすみ「ちょっとくらい大丈夫だって〜」

しずく「全くかすみさんは……怒られちゃうよ?」

かすみ「大丈夫だって」

かすみ「それに、最近ぽむの目撃情報も減ってきてるんでしょ?」

かすみ「それなのに毎日訓練って……暑苦しくて仕方ないよ……。かすみんクタクタだよ〜」

しずく「も〜……ならなんでかすみさんは戦士になったの?」

かすみ「そりゃあ戦士は可愛くないとなれないし? 可愛いかすみんが戦士になるのは当然のことじゃーん!」

しずく「はいはい……」

かすみ「ちょっとしず子!? ちゃんと聞いて──」

「貴様らァ! 私語を慎め! 大好きを没収されたいのか!?」

しずく「も、申し訳ございませんでした!」ビシッ
かすみ「申し訳ございません!」ビシッ

「分かればよろしい!」

しずく(もー! かすみさんのせいで怒られちゃったよ!)

かすみ(ちょっとくらい雑談したっていいじゃん。まったくもう!)

スタスタ ──ピタッ

しずく(あっ、大総統だ)

15: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:11:13.01 ID:Dqm2nZXr
せつ菜「皆さんこんにちは!! 大総統のせつ菜ですよー!!」

せつ菜「さすがです! しっかりと待機できていますね!?」

キィィィィィィン!!

かすみ(相変わらずうるっさいなぁ……)

しずく(さすが大総統! 小さい身体からは考えられない声量。なんてパワフルなの!)

しずく(憧れるなぁ)キラキラ

かすみ(しず子もなんであんなに大総統にお熱なんだろ……かみんの方がよっぽど魅力的だと思うんだけど)

せつ菜「ぽむが突然現れ、我々は次々と生活圏を奪われました。その後我々人類は強固な壁を作り……ぽむ達から身を守り……反撃の時を待ちました!!」

せつ菜「力を付け!! 戦士の数はかなり増やしました!! 今がぽむへの反撃の時なんです!!」

せつ菜「訓練生を卒業し、新たな戦士となった貴方達を──私達は歓迎します!!」

せつ菜「共に!! ぽむから世界を取り返しましょう!!」

「「「おおおおおおおおおお!!」」」

19: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:16:23.76 ID:Dqm2nZXr
しずく「おー!」

かすみ「……」

しずく「ちょっとかすみさん……? やる気あるの?」ジトー

かすみ「あるってば。ただこの光景が宗教じみた感じがして好きじゃないだけだよー」

しずく「そんな宗教って……」

かすみ「だいたい、さっきも言ったけどぽむの目撃情報は減って──」


ドゴーン!!!!

しずく「!?」ビクッ!!

かすみ「!?」ビクッ!!

グラグラグラグラ……!!

しずく「じ、地震!?」


せつ菜「み、皆さん落ち着きましょう!!」

「だ、大総統……あれ……」

せつ菜「へ?」

20: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:17:49.46 ID:Dqm2nZXr

21: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:20:51.02 ID:Dqm2nZXr
かすみ「な、なにあれ!?」

しずく「こっちに向かって走ってくる!?」


せつ菜「あ、あれは!! マッチョぽむ!! 希少種じゃないですか!! 外にしかいないはずなのに……何故壁の中に!?」

「だ、大総統!! 大変です!!」

「先程の揺れは、壁を破壊された音だったようです……!!」

せつ菜「そ、そんな!!」

せつ菜「ウォール・エマリアが突破されたというのですか!?」

23: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:24:58.89 ID:Dqm2nZXr
「わああああああ!!」

「に、逃げないと!!」

しずく「え? ちょ!! 皆さん!?」


「き、貴様らァ!! それでも戦士か!?」

「あんなでかいの、倒せるわけないでしょ!?」

「逃げても無問題でしょ!!」

「ぐぬぬぬぬ……!!」


かすみ「し、しず子! かすみん達も逃げないと……!」

しずく「逃げるってどこに? ぽむが壁の中に入ってしまったんだから、どの道戦うしかないよ」

かすみ「っ!!」

24: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:27:46.55 ID:Dqm2nZXr
せつ菜「……」

せつ菜「ふぅ……」

せつ菜「全く、御行儀の悪いぽむですね」


しずく「み、見てかすみさん! 大総統が……!」

かすみ「へ?」


せつ菜「──いきます!!」スッ

せつ菜「セツナスカーレットストームッ!!!!」

ドォォォォォォンッ!!


しずく(!! 大総統の手から!!)

かすみ(とてつもない大きさの炎を塊が!!)

25: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:29:09.39 ID:Dqm2nZXr

27: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:31:39.02 ID:Dqm2nZXr
──ボカアアアアアアアアンッ!!


せつ菜「ふぅ……」


@cメ*˶× ~ ×˵リ シュゥ~


しずく「い、一撃……?」

かすみ「あ、あれが選ばれし者だけが使えるチカラ……!」

29: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:36:01.23 ID:Dqm2nZXr
「「「……」」」

せつ菜「安心してください、皆さん」

せつ菜「貴方達は、私が守ります!!」

せつ菜「ただ攻められただけです。このまま追い返して、ぽむを殲滅すればいいだけです!!」

せつ菜「戦えない者は、止めません。今すぐに帰って結構です。だけど、戦える者は」

せつ菜「私共に、戦いましょう!!」

「「「おおおおおおおおおお!!」」」

「「「せつ菜、バンザーイ!!」」」


かすみ「あれだけバラバラになっていた戦士達が……また戦う意志を取り戻した!?」

しずく「さすが、せつ菜大総統!!」

しずく「私達も戦おう! かすみさん!!」

かすみ「……」

しずく「かすみさん?」

かすみ「う、ううん! そうだねしず子!」

かすみ「早くぽむを追い返して、平和な世界を取り戻そ!!」

しずく「うんっ!」

31: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:43:49.63 ID:Dqm2nZXr
せつ菜「では皆さん、装備を整えましょう。壁が破られた今、すぐにぽむがやってきます。副会長、指示を頼みます」

副会長「分かりました! よし! 武器から準備するんだ」


しずく「かすみさん? ちゃんと武器の使い方とか分かってるよね?」

かすみ「あのさしず子……かすみんもいちおー戦士なんだから分かるってば」

かすみ「大総統みたいに特別なチカラを持たないかすみん達は、これを使うんでしょ?」カチャッ

しずく「そう!」

しずく「このキジョウユウドン砲だね!」カチャッ

かすみ「なにやら特別なエネルギーが込められているみたいで、これを受けたぽむは動けなくなるんだよね?」

しずく「うん! ただ、逆にぽむから攻撃を受けたりしたら……」

かすみ「かすみん達がぽむになっちゃうんだよね?」

しずく「……」コクリ

かすみ「まったくもう! 厄介過ぎだよ!」

32: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:50:52.73 ID:Dqm2nZXr
しずく「よし、準備出来た!」

スタスタ

せつ菜「貴方達、中々準備が早いですね」

せつ菜「素晴らしいです」

しずく「だ、大総統!! かすみさん!」ビシッ

かすみ「う、うん!」ビシッ

せつ菜「あははっ、そんな固くならなくて大丈夫ですよ? 楽にして下さい」

しずく「わ、分かりました。ありがとうございます」

せつ菜「貴方、名前は?」

しずく「お、桜坂しずくと申します」

せつ菜「貴方は?」

かすみ「中須かすみです」

せつ菜「うん、覚えました」

しずく「へ?」

せつ菜「貴方達は、すぐに逃げなかった。素晴らしい戦士達です。誇りに思います」

しずく「そ、そんな恐れ多いです……」

せつ菜「これからも共に戦い、中央都市にいる王女様を守りましょう」

しずく「はい!」

かすみ「…………」


ドゴーン!!!!


しずく「!?」

せつ菜「──また来ましたね?」

かすみ「っ……!!」

33: (しまむら) 2021/07/21(水) 23:57:14.40 ID:Dqm2nZXr
=͟͟͞͞ @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

=͟͟͞͞ @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

=͟͟͞͞ @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

=͟͟͞͞ @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

ゾロゾロゾロゾロ!!


しずく「ソルジャー級が多数!」

かすみ「ぽむの中では一番オーソドックスで、小さいやつだね!」

「い、いっぱい来た!」

「あっちにマッチョぽむもいるよ!」

副会長「なんだよぉお、もおおおお」

副会長「またかよぉおぉぉおおおお」

せつ菜「私はでかいのをやっつけます! 皆さんはソルジャー級を!!」

「「「はい!!」」」


しずく(戦え、戦えしずく!!)

しずく「人類を、舐めないでください!!」

35: (しまむら) 2021/07/22(木) 00:07:39.03 ID:yClThROo
──それから、長い戦いが始まった。

ぽむ達との戦いは、多くの犠牲を生み出した。


かすみ「コペ子ぉぉぉぉおおおお!!」

しずく「ダメ、もう間に合わないよかすみさん!!」ガシッ


コペ子「えへへ……泣かないでかすみん……」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

コペ子「……」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ

コペ子「ふふっ、引っかかったね?」

コペ子「これ、見て?」バッ

@cメ*˶° ᴗ °˵リ !?

コペ子「コッペパン爆弾キジョウユウドン味……!」

コペ子「美味しく食べてね?」

──チュドォォォォォォン!!


かすみ「コペ子ぉぉぉぉぉおおおおおおお──!!」

しずく「ッッッ……!!」

しずく「コペ子さん……!!」

しずく(あなたの分まで、かすみさんは守るから……!!)

38: (しまむら) 2021/07/22(木) 00:22:43.59 ID:yClThROo
──この戦いに、何の意味があるんだろう。

分からなかった。


彼方「いい、遥ちゃん?」

遥「良くってよ、お姉ちゃん」

しずく「だ、ダメです! そのチカラを使ったら……彼方さん達は……!!」

彼方「いいんだよ……しずくちゃん」

遥「どの道……ぽむに噛まれた私達は……もう短い命だもん」

かすみ「そ、そんな……」

彼方「しずくちゃん。かすみちゃん」

遥「幸せにね……!」

彼方「ここは、私達が足止めするから!」


@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ フフフ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ フフフ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ フフフ


しずく「彼方さん!! 遥さん!!」

かすみ「いくよ、しず子……!」ガシッ

しずく「いやあああああああ!!」

かすみ「今の私達じゃ、闇ぽむには勝てないッ……!! ──いくよ!!」

しずく「ああああぁあああああッ!!」

タッタッタッタ!!


彼方「……あんがとね。かすみちゃん」

遥「お姉ちゃん。やろ?」

彼方「うん……!」

──チュドォォォォォォン!!

41: (しまむら) 2021/07/22(木) 00:31:35.63 ID:yClThROo
──なんでぽむと戦うんだろう。そんな疑問も思い浮かんだ。


しずく「そ、そんな……」

かすみ「なんでりな子が……!!」

璃奈「なんでって……分からないの?」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ リナチャン!!

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ リナチャン!!

璃奈「最初から私は──」

璃奈「ぽむ派の人間だったんだよ」

しずく「な……!」

今日子「そういう事だよ?」

浅希「皆もぽむ派になろうよ? 可愛いよ?」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ キョウコチャン!

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ 。°(ダレダッテコノコ?)

かすみ「2人まで……!!」

しずく「…………」

かすみ「…………」

璃奈「どうしたの? 2人とも?」

璃奈「ぽむ派になる決意が出来た?」

しずく「──さない」

璃奈「ん?」

しずく「許さない!! 信じてたのに!!」

かすみ「目を覚まさせてあげるんだから!!」

璃奈「………………」

璃奈「愚かだねぇ」




43: (しまむら) 2021/07/22(木) 00:40:20.12 ID:yClThROo
しずく「くっ……!」

かすみ「強い……」

璃奈「2人も強かったよ」

今日子「うーん……」

浅希「きゅう……」

璃奈「まさか2人がやられるとは……ね?」

璃奈「私もあと少しでキジョウユ塗れにされる所だった。危なかった」

しずく「……私達を、どうするつもり?」

璃奈「2人は、私の友達」

かすみ「な、何を今更!!」

璃奈「だからしずくちゃん達には、真実を──」

ボカアアアアアアアアンッ!!

しずく「──え?」

かすみ「りな……子……?」

璃奈「」 ドサッ

せつ菜「ふぅ、良く戦ってくれましたね! 2人とも!!」

せつ菜「お陰で隙が出来ましたよ!!」

しずく「あぁ……あああああ!!」

璃奈「」

かすみ「り、りな子!! ──璃奈ぁ!!」

せつ菜「おや? なんで悲しんでいるんですか?」

しずく「へ?」

せつ菜「この人は、裏切り者ですよ?」ニコッ

しずく「っ……!」

せつ菜「こうなって当然ですっ!」ペカー

44: (しまむら) 2021/07/22(木) 00:42:28.61 ID:yClThROo
かすみ「だからって!!」

せつ菜「なんですか?」

かすみ「っ……!!」

しずく「……ッ……!」

せつ菜「ふふっ、それでいいんです。静かにしててください」

せつ菜「あなた達はぽむを倒す為の、戦士なんですから!!」

せつ菜「ね?」ニコッ

しずく「…………」

かすみ「…………」

46: (しまむら) 2021/07/22(木) 00:47:19.61 ID:yClThROo
せつ菜「分かりましたね?」ペカー

しずく「!!」

しずく「はいっ! 分かりました!!」

かすみ「へ? し、しず子?」

しずく「さすがは大総統です……!」

しずく「助けて頂き、ありがとうございました!」

せつ菜「いえいえ!」

かすみ「しず子!? 急にどうしたの?」

せつ菜「どうもしませんよね?」

しずく「はいっ!」

しずく「私は戦士ですから! ぽむを倒すタメの!」

かすみ「し、しず子……」

48: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:00:47.86 ID:yClThROo




しずく「さぁ、かすみさん! 今日もぽむを殲滅させるために頑張ろうね!」

かすみ「…………」

かすみ「しず子」

しずく「ん? どうしたのかすみさん?」

かすみ「おかしいと思わない?」

しずく「へ?」

かすみ「なんで私達、ぽむと戦ってるの?」

しずく「なんでって……ぽむに人類は生活圏を奪われたから……それを取り戻そうと……」

かすみ「そう、生活圏を奪われたからだよね?」

しずく「うん……」

かすみ「それが理由。だけど、あの時大総統は──」


せつ菜『これからも共に戦い、中央都市にいる王女様を守りましょう』


かすみ「なんで……ぽむの目的を知ってたの?」

かすみ「それにしず子達戦士、全員──」

ヒュッ! ──ボコッ!!

かすみ「うぐっ!!」

しずく「へ? か、かすみさん?」

かすみ「ぷはっ! ──なにこれ……ま、枕?」

チッ、チッ、チッ、チッ!!

かすみ「!!」

かすみ「しず子! 離れて!!」 ドンッ!!


しずく「ひゃっ!!」ドサッ!!

しずく「な、なに!? かすみさ──」


ボカアアアアアアアアンッ!!


しずく「──え?」

50: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:11:07.32 ID:yClThROo
かすみ「」ドサッ

しずく「かすみ……さん……?」

しずく「かすみさん……かすみさん!!」

かすみ「え、へへ……か、かすみ……ん……気付いたよ……」

しずく「しゃ、喋らないで!! すぐに救急──」

かすみ「しず、子」

かすみ「いい……間に合わない……から……」

かすみ「きー……て?」

かすみ「あの……ね……」

しずく「ダメ!! 話さないで!!」

かすみ「しず子!!」グイッ

かすみ「戦士じゃなくて──になって」

しずく「え?」

かすみ「えへへ……!」

かすみ「しず子ぉ……!!」

かすみ「大好き!!」

しずく「!!////」

かすみ「」

しずく「か、かすみさん……?」

しずく「ねぇ、かすみさん」

しずく「ねえ……ね、ねぇ!! かすみさん!!」

しずく「起きてよ!! 起きてぇ!!」

しずく「──かすみさんっ!!」

かすみ「」

しずく「いやぁ……やぁ……!!」ポロポロ

かすみ「」

しずく「いやあああああああああああああ────!!」

51: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:13:28.88 ID:yClThROo




せつ菜「そうですか……」

せつ菜「かすみさんが……」

副会長「はい……」

副会長「彼女は、優秀過ぎました」

せつ菜「……」プルプル

副会長「……大総統……」

52: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:20:37.50 ID:yClThROo
──あの日から私は、ぽむを倒し続けた。

気が付けば、ぽむは数をほとんど減らし……殲滅まで後少しというところまで来た。


しずく「…………」

せつ菜「しずくさん。最近のあなたの活躍、素晴らしいですよ!!」

せつ菜「かすみさんも喜んでいることでしょう!!」

しずく「…………」

しずく「はいっ!」

しずく「私は戦士ですから!! ぽむを殲滅させるために、もっと頑張りますっ!!」ニコッ

せつ菜「ふふっ、その意気です!」

せつ菜「貴方は、戦士なんですから!」

スタスタ

副会長「大総統、戦意を喪失している戦士を連れてきました」

姫乃「あぁ……か、果林さんが……果林さんがぁ……!」

副会長「慕っていた者が、ぽむに……」

せつ菜「そうですか」

姫乃「」ブツブツブツブツ

せつ菜「あなたは」

せつ菜「ぽむを殲滅する為の戦士ですよ!!」ペカー

姫乃「!!」

53: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:26:05.12 ID:yClThROo
姫乃「!! ──そうです!!」

姫乃「私は、戦士です! ぽむを殲滅させるための!!」

せつ菜「そうです! なので」

せつ菜「共に戦いましょうっ!!」

姫乃「はいっ!!」


しずく「…………」


せつ菜「あれ? どうしました? しずくさん?」ジー


しずく「いえ! 早くぽむと戦いたいなって思って、うずうずしてたんです!!」

しずく「私は戦士ですからっ!!」ペカー


せつ菜「ふふっ、優秀ですねぇしずくさんは」

せつ菜「貴方になら、役職を与えてもいいかもしれませんね!」

しずく「有り難きお言葉です!」

せつ菜「近いうち、私の部屋に呼びますっ!」

せつ菜「その時はよろしくお願いします!」

しずく「はいっ」ニコッ

54: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:34:20.58 ID:yClThROo




せつ菜「ふふっ、よく私の部屋に来てくれましたねっ、しずくさん!」

しずく「大総統に呼ばれるだなんて……恐れ入ります!」ビシッ

せつ菜「楽にして下さいっ!」

しずく「承知致しました!」

せつ菜「さて、部屋に呼んだ内容なのですが」

せつ菜「近々あなたを、私の右腕である副会長という役職に任命しようと考えていますっ!」

しずく「へ!?」

せつ菜「今の子より優秀そうですからねぇ」

せつ菜「どうです?」

しずく「う、嬉しいです! 私にお任せ下さいっ!!」

せつ菜「いい返事ですね! しずくさん!!」

せつ菜「任せることができそうです」

しずく「はいっ!」

せつ菜「しずくさん」

せつ菜「貴方は戦士ですよ」

しずく「えぇ、私は戦士です」

せつ菜「ぽむを殲滅させるための」

せつ菜「はいっ!」ニコッ

せつ菜「……洗脳は解けてなさそうですね」ボソッ

しずく「……」ニコニコ

せつ菜「しずくさん、貴方はなんですか?」

しずく「人類の為に、ぽむを殲滅させる戦士です!」

せつ菜「──ふふっ、そうです!」ペカー

せつ菜「貴方は戦士ですっ!!」

せつ菜「それでいいんですよっ!!」

しずく「はいっ!」

55: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:42:49.19 ID:yClThROo




──副会長になり、私は大総統の補佐となった。

そして、王女様と会える機会ができた。

中央都市にいる、王女様と。


せつ菜「しずくさん。貴方は何も話さずに、王女様と私に何かあった時に護衛する為の戦士ですよ?」

しずく「はいっ!」

しずく「私は、何も話さずに、王女様と大総統に何かあった時に護衛する為の戦士です」

せつ菜「……ふっふふふふ」

せつ菜「このチカラ……最高です……!」

しずく「どうされました? 大総統?」

せつ菜「いえっ! 何も言ってませんよ?」

せつ菜「貴方は何も聞いていません!」

しずく「はい! 私は何も聞いてませんっ!」

せつ菜「ふふふ」

せつ菜「さぁ! この奥に王女様がいます!」

せつ菜「貴方の役目は?」

しずく「私は、何も話さずに、王女様と大総統に何かあった時に護衛する為の戦士です」

せつ菜「素晴らしいですよ、しずくさん」

せつ菜「では、入りましょう」

ゴォォォン

56: (しまむら) 2021/07/22(木) 01:48:20.06 ID:yClThROo
せつ菜「久しぶりですね、王女様」

せつ菜「いえ、侑さん」

侑「…………」

せつ菜「侑さん?」

侑「その子は……?」

しずく「………………」

せつ菜「あぁ、私の新しい右腕のしずくさんです!」

侑「!! お願い!! 今すぐせつ菜ちゃんを──」

せつ菜「無駄ですよ、侑さん」

せつ菜「洗脳してありますから!! 彼女は何も話さずに、王女様と大総統に何かあった時に護衛する為の戦士です!!」ペカー

しずく「………………」

侑「ッ……せつ菜、ちゃん……!」

侑「どうして……!!」

58: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:02:29.18 ID:yClThROo
せつ菜「どうしてって」

せつ菜「侑さんのためですよ?」

侑「違う……!」

せつ菜「違いません」

せつ菜「貴方を、歩夢さんから守る為です」

侑「!!」

せつ菜「……貴方と歩夢さんは、選ばれし者になりました」

せつ菜「特別なチカラを、神から授かった」

せつ菜「おかしいですよね?」

せつ菜「魔王討伐を任命されたパーティは……私と愛さんと、歩夢さん……勇者である貴方の4人でしたのに」

せつ菜「愛さんは……犠牲となりました。それでも! なんとか魔王を倒した。……皆で頑張りました。なのに、なんで……!」

せつ菜「貴方達二人だけが、選ばれし者になったんですか!?」

侑「ッ……!!」


しずく「………………」

59: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:09:25.20 ID:yClThROo
せつ菜「よくある物語でした」

せつ菜「魔王に支配される世界に私達は住んでいた。その中で、勇者として選ばれた侑さんと」

せつ菜「戦士である私と」

せつ菜「僧侶の歩夢さんと、魔法使いの愛さんで……冒険へと出ました」

せつ菜「様々な苦労がありました。けど、何とか魔王を討伐しました」

せつ菜「民からも! 神からも喜ばれた!!」

せつ菜「そして神は……特別なチカラを……授けてくれると仰っていた」

せつ菜「けど、貰えたのは貴方と歩夢さんだけ」

侑「…………」

せつ菜「なんで?」

せつ菜「私達、頑張ったよね?」

せつ菜「愛さんの犠牲があって……魔王を倒せたんですよ?」

せつ菜「なのに……」

せつ菜「なんで侑さんと歩夢さんにだけなの?」

侑「せつ菜ちゃん……」

せつ菜「おかしいですよね? おかしいですよね!?」

せつ菜「ねぇ!!」

61: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:22:49.78 ID:yClThROo
侑「やめてよ……せつ菜ちゃん……」

せつ菜「貴方は、他者に特別なチカラを与える事ができるチカラを授かった」

せつ菜「歩夢さんは……世界を変えるチカラを授かった」

侑「…………」

せつ菜「貴方達は、神と同等のモノになったんです」

せつ菜「素晴らしいですよねぇ……本当に……」

せつ菜「神から感謝され、神に認められた貴方達」

せつ菜「まるで二人を祝福しているようですね?」

侑「…………」

せつ菜「……ふざけないでください……!!」

せつ菜「勇者である侑さんはまだしも……なんで……歩夢さんが……選ばれたんですか?」

せつ菜「……歩夢さんが……侑さんを愛してるから?」

侑「!!」

せつ菜「私だって…」

せつ菜「侑さんの事……愛してるのに……」

侑「せつ菜ちゃん…っ…!!」

62: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:33:29.87 ID:yClThROo
せつ菜「ふふ」

せつ菜「ふふふふ……!」

せつ菜「だから私は、貴方と歩夢さんを引き離したんです」

せつ菜「歩夢さんを牢に閉じ込めて」

せつ菜「本当にお人好しな方です。すぐに世界を作り変えて、そうならないようにすれば良かったのに」

せつ菜「あの人はそれを、しなかった」

せつ菜「神に選ばれたくせに……そんなのはいけないことだって言って……」

せつ菜「その後は……」

侑「!! やめて、せつ菜ちゃん…!」

せつ菜「ふっふふ……あははっ!」

せつ菜「私は侑さんから、姿を変えるチカラを……受け取った」

侑「やめて……やめて、せつ菜ちゃん……言わないで!!」

せつ菜「姿を変えるチカラ。別にそれは自分だけじゃないです」

せつ菜「他者の姿を変えることもできます」

侑「やめて!! やめてやめてやめて!!」

せつ菜「それで私は」

せつ菜「歩夢さんの姿を……」

せつ菜「魔物に変えた」

侑「やめてよッ!!」

せつ菜「……」

侑「聞きたくない……聞きたくない……!」フリフリ


しずく「……………………」

63: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:37:36.64 ID:yClThROo
侑「聞きたくないよぉ……!」ポロポロ

せつ菜「……勇者の姿がそれですか?」

侑「っ!!」

せつ菜「憐れですね。自分には特別なチカラを与える事ができないんですから」

せつ菜「他者のためにしか、何も出来ない」

せつ菜「こうして鎖に繋がれて、定期的に私にチカラをくれる為の人になっている」

せつ菜「神から選ばれた人間が、ですよ?」

せつ菜「笑えますよね?」

侑「…っ…!!」ポロポロ

66: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:50:06.73 ID:yClThROo
せつ菜「ただ、歩夢さんは流石としか言えません」

せつ菜「魔物であるぽむになっても、貴方を取り戻そうとしてるんですから」

せつ菜「ありとあらゆる手を使って、貴方を取り戻そうとしている」

せつ菜「人類を巻き込んでも、貴方の為に」

侑「…………」

せつ菜「それにしても、人類もお馬鹿です。自分を、戦士と思い込む者ばかり。疑問を浮かべる者もいますが、すぐに消せます。貴方のチカラのお陰で!」

せつ菜「ふふふ……キジョウユウドン砲がぽむを倒す武器って……適当に言ってるのに、騙されちゃうんですよ?」クスクス

せつ菜「魔力が込められているとも知らずに……!」

侑「……」

せつ菜「……少しお喋りが過ぎましたね」

せつ菜「そろそろ今月のチカラを貰いましょう」

せつ菜「全く。月一でしかチカラを貰えないのは不便です」

せつ菜「戦士を洗脳するチカラ。炎を操るチカラ。人を魅了させるチカラ。姿を変えるチカラ。武器を作るチカラ等々、色々貰いましたね?」

せつ菜「今月は何にしましょう? 私は戦士なので、あまり魔力がないため、しっかりと考えないとチカラを使えませんからね」

せつ菜「そうですねぇ……」

侑「…………」

せつ菜「──よしっ、決めました!」

せつ菜「今月のチカラは──」ペカー

しずく「決める必要はありませんよ?」

せつ菜「──え?」

グシュッ!!

しずく「あなたはここで、終わりですから」

せつ菜「なっ……んで……?」

侑「え……?」

67: (しまむら) 2021/07/22(木) 02:57:57.37 ID:yClThROo
せつ菜「う……ぅ、そ……」ボタ、ボタ

しずく「はぁ、はぁ……やっと隙を見せてくれましたね?」

せつ菜「洗、脳した……はずじゃ」ドサッ

しずく「洗脳? されてませんよ?」

しずく「私は戦士じゃ、ありませんでしたから」

しずく「あの日から……!」

せつ菜「ぁ……あの、日……?」

しずく「かすみさんが……貴方の爆弾で……亡くなった日……!」

しずく「私は……戦士じゃなくなりました」

しずく「私は──」


かすみ『しず子!!』グイッ

かすみ『戦士じゃなくて役者になって』


しずく「──役者です」

せつ菜「やく、しゃ…?」

しずく「全部演技ですよ」

しずく「洗脳されたフリをしてたんですよ……!!」

せつ菜「…………」

せつ菜「ぁ、はは……」

69: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:08:49.89 ID:yClThROo
しずく「ッ!! 何がおかしいんですか!!」

せつ菜「ごほっ! ごほ!」

せつ菜「……ぃえ……」

──────────────

せつ菜『そうですか……』

せつ菜『かすみさんが……』

副会長『はい……』

副会長『彼女は、優秀過ぎました』

せつ菜『……』プルプル

副会長『……大総統……』

せつ菜『くふふ……ふっふふふ……!』プルプル

せつ菜『本当に、優秀過ぎますね。かすみさん。まさか、私の洗脳も魅力も効かないんですから。自分に魅力されてるから、効かないんでしょうね』

せつ菜『危なかった……最初は戦士全員洗脳出来てると思って、油断して王女様の話をしてしまいました。あの時は焦りましたが、もっと気を張るべきでした』

せつ菜『答えにもたどり着くし……消せてよかったぁ!』ペカー

副会長『だ、大総統……?』

せつ菜『忘れなさい。貴方はぽむを殲滅する為の戦士ですから』

副会長『はい』

せつ菜『ふっふふ』ニコッ

──────────────


せつ菜「優秀過ぎる人は……ここにも……」

せつ菜「いたん……ですね……」

せつ菜「油断せず……あなたも……消せ、ば……よ…か…」

せつ菜「………………」

せつ菜「失、敗……しちゃ……ぃ……ま……し……」

70: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:15:21.06 ID:yClThROo
侑「……せ、せつ菜ちゃん……?」

せつ菜「」

侑「せつ菜ちゃん……!」

しずく「…………」

しずく「……っ……!」ポロポロ

しずく「戦士とか関係なく……明るくって人類を元気付ける貴方を──本当に、尊敬してたのに……!」

しずく「ばか……!」ポロポロ

侑「…………」

しずく「……」ゴシゴシ

しずく「……王女、様……?」

侑「……ううん。違うよ」

侑「私は侑」

侑「……その子の友達の……侑だよ」

しずく「……」

しずく「侑さん。鎖、解きます」

侑「……ありがとう」

侑「しずく、ちゃん?」

しずく「えぇ」ニコッ

侑「ありがとう。しずくちゃん」

71: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:25:51.52 ID:yClThROo
しずく「侑さん。動けますか?」

侑「うん。動けるよ」

しずく「私に、チカラを与える事……できますか?」

侑「……うん。出来るよ」

しずく「なら、他者を生き返──」

侑「それは、できないよ」

しずく「!! どうして!?」

侑「キミの魔力では、無理」

しずく「!!」

侑「ぽむになっちゃった人と、せつ菜ちゃんに洗脳された人ばかりになったから……忘れ去られちゃったけど」

侑「本来キミ達は、ただの一般人なんだ」

侑「魔王討伐に選ばれた私達勇者パーティとは……違うから……適性がない」

しずく「そ、そんな……!」

侑「それでも、しずくちゃんは多少の魔力がある。大したものだよ」

侑「たまに、才能として魔力を持つ子がいるから……キミやせつ菜ちゃんに騙されなかった子はちょっとした特別な子だったんだね」

しずく「…………」

しずく「どれくらいのレベルのモノなら、貰えますか?」

侑「……ちょっと鑑定するね?」ジー

しずく「お願いします」

侑「…………」ジー

侑「キミには他者になりきる適性があるね」

しずく「!!」

侑「自分の姿だけを変えるチカラくらいなら……あげられるかも」

しずく「なら、それを頂いても良いですか?」

侑「……ん、わかった」

侑「キミなら悪用しないって、信じてるから」

しずく「はい」

72: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:33:28.28 ID:yClThROo




ザワザワザワザワ

「ねぇ、まだ大総統来ないの?」

「ぽむ討伐作戦、もうすぐ始めなきゃじゃない?」

「またぽむ入ってきたら……」

スタスタ

しずく「……」

「!! ふ、副会長。お疲れ様です!!」

しずく「皆さん。もう解散してください」

「へ?」

しずく「戦いは終わりです」

侑「……」

「え?」

「何言って……? それに隣の人、どなたですか?」


ドゴーン!!!!


しずく「……」

73: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:41:32.80 ID:yClThROo




ザワザワザワザワ

「ねぇ、まだ大総統来ないの?」

「ぽむ討伐作戦、もうすぐ始めなきゃじゃない?」

「またぽむ入ってきたら……」

スタスタ

しずく「……」

「!! ふ、副会長。お疲れ様です!!」

しずく「皆さん。もう解散してください」

「へ?」

しずく「戦いは終わりです」

侑「……」

「え?」

「何言って……? それに隣の人、どなたですか?」


ドゴーン!!!!


しずく「……」


「き、きた!!」

「全員! 構え──」

しずく「ダメです!」

「「「!?」」」

しずく「全員、武器を収めて」

「そ、そんな!!」

74: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:41:46.58 ID:yClThROo
ゾロゾロゾロゾロ!!

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ

@cメ*˶◉ ᴗ ◉˵リ


「ひ、ひぃぃぃ!!」

「あっという間に囲まれた……!!」


しずく「…………」

侑「……」


@cメ*˶° ᴗ °˵リ !?


しずく「戦う意思は、ありません」

しずく「侑さんも……無事です……」


@cメ*´•̥ _ •̥ リ


侑「歩夢……」

しずく「……」

しずく「貴方達のリーダーの所まで、案内して?」


@cメ*´•̥ _ •̥ リ)) コクリ、コクリ


しずく「ありがとう」ニコッ

侑「……」

77: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:48:59.73 ID:yClThROo




歩夢「…………」

歩夢(この姿になって……どれくらいだったんだ……)

歩夢「…………」

スタスタ

歩夢「……へ……?」


侑「歩夢」

歩夢「!?」

歩夢「ゅ……ちゃ……ん」

侑「ごめんね、遅くなっちゃった……!」ギュッ

歩夢「……っ……っ……」ポロポロ

しずく「……」

侑「しずくちゃん、ありがとうね?」

しずく「いえ……その方が歩夢さんですか?」

侑「うん。ここに連れてきてくれたぽむと違って、カタコトじゃないし」

侑「オリジナルだよ」

しずく「そう……ですか……」

歩夢「……っ……」ポロポロ

しずく(確かに姿はソルジャー級のぽむだけど……なんか他とは違う気がする……)

78: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:53:53.27 ID:yClThROo
侑「……歩夢、会いたかった」ギュッ

歩夢「ゎ……しも……!」

侑「ふふっ、一緒だね」ニコッ

歩夢「……」ニコッ

侑「しずくちゃん」

侑「これ、あげる」スッ

しずく「これって……写真?」

侑「うん。私達、勇者パーティの集合写真!」

しずく「……皆さん、笑顔ですね」

侑「うん! 仲良し……だったからね」

侑「可愛い歩夢も写ってるでしょ?」

しずく「はいっ! 可愛いです!」

侑「ふふっ、だよね〜!」

歩夢「……////」

侑「あっ、照れてる」

しずく「かわいい〜」

歩夢「!! ──っ……っ!!」

侑「こーら、動かない。じっとしてて〜」

79: (しまむら) 2021/07/22(木) 03:57:38.45 ID:yClThROo
侑「……しずくちゃん」

侑「私の可愛い幼馴染の歩夢の事、覚えておいて!」

しずく「はい。分かりました」

侑「ありがとう!」

侑「あとさ! ちょっと2人きりにしてもらっていい?」

しずく「へ?」

侑「2人きりの時間がほしいんだ〜」

しずく「……わかりました!」

しずく「少ししたら、戻ってきますからね!」

侑「うん。ありがとう」

歩夢「ぁ……りが……とう……!」

しずく「!! はいっ!」

しずく「では、ごゆっくり!」

タッタッタッタ!!

80: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:04:07.75 ID:yClThROo
侑「……ありがとう、しずくちゃん」

歩夢「……ぃぃ子……」

侑「うん。わかる」

侑「ねぇ、歩夢」

歩夢「ん……?」

侑「私、歩夢が好き。歩夢は?」

歩夢「わたしも……ゆうちゃ……すき」

侑「えへへ……やった! 一緒だね、歩夢」

歩夢「──でも、ね」

歩夢「せつ、菜ちゃ……と……あいちゃんも……」

歩夢「同じくら……ぃ、すき」

侑「!!」

歩夢「だいすき」ポロ、ポロ

侑「……っ……!!」ポロポロ

侑「えへへ…っ…」

侑「一緒だね……! 歩夢……!」

歩夢「うん……!」

侑「歩夢……あの子の罪、私は償いたい」

歩夢「……わたしも……いっしょ。いっしょ……償う」

侑「!! ──……うん……!」

侑「ごめんね……歩夢……!!」

歩夢「もー……違うでしょ?」

歩夢「侑……ちゃん」

侑「……そう、だね」

侑「──ありがとう、歩夢!」

歩夢「──うん!」

侑「今度は」

侑「平和に過ごしたいね……!!」

歩夢「うん……!」

82: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:08:32.64 ID:yClThROo




しずく「よいしょ、よいしょ」

しずく「お水、飲めるかな?」

しずく「もうそろそろ、戻ってもいいよね?」

しずく「これからは、平和な時代が来るんだもん」

しずく「♪」ニコッ

しずく「……かすみさんの分まで……生きなきゃ」

しずく「……ううん。他の皆さんのためにも!」

スタスタ

しずく「あっ! 侑さん! 歩夢さん!」

しずく「もう戻っても──」

しずく「──え?」


ガランガシャンッ!!


しずく「」

しずく「どう……して……?」

しずく「……どう、して……?」

83: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:13:36.35 ID:yClThROo
侑さんと歩夢さんは、抱きしめあっている。


しずく「」

しずく「」

しずく「どうして……?」

しずく「どうして」

しずく「どうして、どうして」

しずく「どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして」

しずく「ッ──どうしてッ!!!!」

しずく「っ……!!」ポロポロ

しずく「罪、償うって……言ってたじゃん……」

しずく「これが……貴方達の罪の償い方なの?」

しずく「ふざけないでよ……ふざけないで、くださいよ」

しずく「そんなの……罪を償ってない……!!」


2人は──息絶えていた。

84: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:17:09.64 ID:yClThROo
しずく「──私達は!!」

しずく「貴方達の喧嘩に!! 巻き込まれたんですよ!?」

しずく「コペ子さんも!! 彼方さんも!! 遥さんも!!」

しずく「かすみさんも!! 貴方達のくだらない喧嘩に!! 巻き込まれて──死んじゃったんですよ!?」

しずく「ふざけないでよ……!!」

しずく「ふざけないで……!!」

しずく「そんなの……ただの逃げだよ!!」

しずく「バカ……バカ!!」

しずく「……っ……皆の事……返してよぉ……!!」

しずく「ぁぁ……ああぁぁぁああああああッ!!」

しずく「ああああああああああああッ!!」




85: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:20:50.86 ID:yClThROo
しずく「…………」

しずく(戦う事って、何なんだろ)

しずく(何の意味が……あったんだろ)

しずく(侑さん達は……なんで……魔王討伐の為に……頑張ってたんだろ……)

しずく(なんで神様は……せつ菜さんにチカラを与えなかったんだろ……?)

しずく「……世の中……」

しずく「不条理な事……ばかり……」

しずく「…………」

ペラッ

しずく「あっ」

しずく(侑さんから貰った……写真……)

しずく「…………」


侑『自分の好きな時に、自分の姿を変えることが出来るよ』


しずく「──!!」ハッ

87: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:28:26.64 ID:yClThROo
しずく「歩夢さんは……神からチカラを授かった……!」

しずく「世界を変えるチカラ」

しずく「なら……私が……!」

しずく「でも……できるの……?」

しずく「そんな……」

しずく(歩夢さんに姿を変えて、“歩夢”になって!! また世界を変えるチカラを授かるなんて!!)

しずく「……っ……」

しずく(どこかで見ているか分からない……神を……)

しずく(騙せるの……?)


かすみ『しず子!!』グイッ

かすみ『戦士じゃなくて役者になって』


しずく「!!」

しずく(騙せるのじゃない──騙すんだ)

しずく(私は──役者だもん)


──世界を騙せ。桜坂しずく。

ううん。違う。私は、歩夢。





歩夢「私は、神から愛されるヒロイン」

歩夢「また、チカラを下さい」

歩夢「勇者の伴侶である──私に」

歩夢「世界を変えるチカラを──!!」

88: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:34:40.97 ID:yClThROo
不思議な感覚だった。

温かく、冷たく。優しく。寂しく。

なんとも言えない感覚を──身体で感じる。

私の中に、何かが入ってくる。

これが、神からチカラを授かったってこと?

分からない。

分からないけれど──何かできる気がした。


歩夢「皆が傷付くこんな世界。私はいらない」

歩夢「皆が平和に過ごせる世界を私は望む」

歩夢「魔法も、神の力もいらない」

歩夢「魔王も、勇者もいらない」

歩夢「私が──」

しずく「──私が望むのは!!」

しずく「皆さんが楽しく過ごせる!! 平和な世界!!」

しずく「こんな世界──いらないッ!!」


──世界が終わる。

そして──生まれた。

ときめきで溢れる平和な世界が──

89: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:36:33.04 ID:yClThROo
──その日人類は全てを忘れた。

奴らに支配されていた恐怖も…

鳥籠の中に囚われていた屈辱も……


そんな世界は──存在しなかった。

90: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:39:24.16 ID:yClThROo
ピピピピピピピピ──ピッ!

しずく「うーん……!」ノビー

しずく「よしっ!」

しずく「今日も一日、頑張ろうっ!」

──ワン!

しずく「あっ! オフィーリアっ!」パァァァァァ

しずく「起こしに来てくれたの?」ナデナデ

しずく「ありがとうねっ!」ニコッ

しずく(今日も楽しい一日の始まり!)

91: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:44:08.47 ID:yClThROo
ガラガラ

しずく「皆さん、おはようございますっ!」

エマ「あっ! しずくちゃんおはよ〜!」

果林「さすが、早いわね?」

しずく「おはようございますっ!」

しずく「ふふっ、同好会……私大好きなのでっ!」

彼方「ふふふ……分かるぞしずくちゃん〜」

しずく「あっ、彼方さん。おはようございますっ!」


──今日も一日、楽しい日々が始まる。

92: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:50:19.97 ID:yClThROo
タッタッタッタ! ガラガラ!!

侑「よ、よし! 間に合ったー!」

愛「あっぶな〜! ちょーギリギリだったね……」

せつ菜「お泊まり会が楽し過ぎてまさか皆で寝坊してしまうとは……」

歩夢「もー! 皆はしゃぎ過ぎだよぉ! 早く寝よって言ったのに……」

愛「でも歩夢、楽しんでたよね?」

侑「ねー」

歩夢「二人とも!? 私はね!?」

せつ菜「まぁまぁ! 歩夢さん!! 間に合ったんですから……ね?」

歩夢「もー……」

しずく「皆さん、おはようございますっ!」

せつ菜「あっ! おはようございますっ!!」

愛「おっはー!」

侑「朝から騒がしくしちゃってごめんね? しずくちゃん」

歩夢「侑ちゃん……?」ジトー

侑「あはは……ごめんごめん……」

果林「みんな仲良しね〜」

エマ「ほほえま〜」

彼方「彼方ちゃん達も仲良しさなら負けてないけどね〜」


──大好きで溢れる、平和な時間。

93: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:56:35.98 ID:yClThROo
しずく「うーん……璃奈さんもかすみさんもどうしたんだろ?」

歩夢「確かに。まだ来ないね」

しずく「迎えに行った方が……」

タッタッタッタ!

かすみ「お、おはようございますぅー! か、かわいいかすみん……到着でーす!!」

璃奈「ご、ごめんなさい……夜更かししてたら、寝坊しちゃった」

しずく「!!」パァァァァァ

せつ菜「2人とも? 心配になっちゃうから、ギリギリな時は連絡してくださいね?」

彼方「せつ菜ちゃんも、ギリギリだったけどねぇ〜」ニヤニヤ

せつ菜「か、彼方さん!」

彼方「あはは〜!」



かすみ「あっ、しず子おはよ!」

璃奈「おはよう、しずくちゃん」

しずく「うんっ!」

しずく「おはようっ!」

しずく「かすみさん、璃奈さん!」ニコッ


──この大切で平和な大好きな日々を、大事にしていこう。

94: (しまむら) 2021/07/22(木) 04:56:57.61 ID:yClThROo
おしまい。

95: (茸) 2021/07/22(木) 04:59:07.09 ID:Bo7eS99a
おつおつ。ネタSSかと思ったら熱い話で面白かった

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1626875579/

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