【SS】にこぱな活動日誌

SS


1: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:00:26.68 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「にこちゃんは、もう一度先輩って呼ばれたいっていう欲求はないの?」

にこ「うーん……ないっていったら嘘になるかもって程度にはあるかしらね」

花陽「そうなんだぁ」

3: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:01:26.22 ID:72FHqjw9.net
にこ「……」

花陽「……」にこにこ

にこ「……え?終わり?話の続きは?」

花陽「ないよ?」

にこ「は……?」

4: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:02:10.78 ID:72FHqjw9.net
にこ「あんたが私のことを『にこ先輩♡』って呼ぶ流れじゃないの……?」

花陽「えへへ~。にこちゃんが呼んで欲しいっていうなら、呼んであげてもいいよー♡」にこにこ

にこ「……」いらっ

にこ「先輩に舐めた口きくのはこの口かしらね~?」むにむに

花陽「ひゃっ、にこひゃんっ、ひたいよぉっ!ふにふにしないでぇ~」ぐすぐす

5: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:03:28.20 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室



花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」


花陽「にこちゃんって、お尻にほくろあるよね」

にこ(何いってんのこの子……)

にこ「……確かに、あるけど。なんで知ってるの?」

花陽「えへへ~、実はね」

花陽「一緒に着替えてる時とか、いつもこっそり探してたんだぁ♡」

にこ「」

6: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:04:22.99 ID:72FHqjw9.net
にこ「……へ、へぇー、そうなの」ひきっ

花陽「もしかしたら、にこちゃんが自分でも知らないほくろまで知ってるかもしれないよ?」

花陽「良かったら、私が知ってるの、全部教えてあげようか……?」てれてれ

にこ(ほんとに何言ってるのこの子!?)

にこ(花陽といえども、これは流石に拒否よ、拒否)

にこ「いや、遠慮しとくわ」


花陽「そっかぁ……」しゅん

にこ(ぐぅ……)ずきん

にこ(こんなので心が痛むのが納得いかない……)

7: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:05:08.47 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室



花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「メガネかけてみない?使ってないの持ってきたんだ」

にこ「度付きは気分悪くなるから嫌よ」

花陽「それなら大丈夫!レンズは取ってあるよ。はい、これ」

にこ「それならまあ……」ひょい 

8: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:05:45.92 ID:72FHqjw9.net
にこ 装着

にこ「そうそう、これこれ!メガネといったらこれよね~」

にこ「お得な上に可愛いのよね。鼻とヒゲがついてて、色んなところに売ってる……」

にこ「―――ってこれ鼻メガネでしょうが!なにさせんのよっ」べしっ

花陽「おー!にこちゃん、流石ですっ」ぱちぱち

にこ「感心すんなっ!」

9: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:07:29.11 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「にこちゃんは、先輩って呼べる人はいたの?」

にこ「……親しい上級生はいなかったわ。学校にいる間は部室に篭もりっきりだったし」

花陽「そっかぁ。……それじゃあ」


花陽「私のこと先輩だと思って、花陽先輩って呼んでみない……?」

10: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:09:14.16 ID:72FHqjw9.net
にこ「いきなり何いってんのよ……」

花陽「だって、大好きな先輩がいるのって、とっても幸せなことなんだよ?」

花陽「私がどれだけ、にこちゃんに感謝しているか……。少しでも伝わったら嬉しいんだけどな」にこっ


にこ「……」

にこ「微妙に断りにくい言い方するわね」


花陽「駄目かな……?」うるうる

にこ「……仕方ないわね……。今日だけだからね」

花陽「やったぁ!」

にこ「……じゃあ、やるわよ。……ごほん」

12: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:11:25.11 ID:72FHqjw9.net
にこ「……花陽せん……んんっ……花陽せんぱ……んんっ……」てれっ

花陽「あ、それと、ちゃんと敬語で話してね」

にこ イラッ

にこ「花陽先輩っ!これでいいですかっ」まっかっか


花陽「……えへへ♡」

花陽「思った通り!後輩にこちゃん可愛いですっ♡」ぎゅっ

にこ「……花陽先輩、最近ことり先輩に似てきたんじゃないですか」つん

花陽「あ、にこちゃんが一年生の設定なんだね……」

にこ「それでー?花陽先輩は、にこをこんな風にして、どうしてくれるんですか?」つーん

花陽「ふふふ……。ちゃんと考えてあるよ?これから、にこちゃんを後輩として可愛がりますっ。まずは……」

にこ「まずは?」

13: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:13:55.30 ID:72FHqjw9.net
花陽「―――おらぁ、にこちゃん!お金渡すからジュース買ってきてくださいっ!」

にこ「いきなりパシリって……言葉遣いも変だし……」

にこ「……っていうか!感謝が伝わって欲しいって話はどこいったのよ!」すぱーん!


花陽「ぴゃぁっ!」ぺしーん!


花陽「……にこちゃん酷いよぉ……」ひりひり

にこ「あほなこと言い出すあんたが悪い」

花陽「もうっ!後輩のお茶目を許してあげるのが、慕われる先輩ってものだよ、にこちゃん」ぷぅーっ

にこ「……」いらっ すぱーん!

花陽「ぴゃぁっ!」ぺしーん!

14: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:16:08.25 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


にこ「ねえ、花陽」

花陽「なあに、にこちゃん」くるっ ぷにっ 


花陽「―――」

花陽「えっと、私のほっぺたをぷにぷにする、この指は一体なんなのかなぁ……?」


にこ「ぶふっ見事に引っかかったわねっ」けたけた

にこ「ふふふっ、やっぱり花陽のほっぺは柔らかいわねー!」ぷにぷに

15: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:17:11.56 ID:72FHqjw9.net
花陽「にこちゃん……?」じとーっ

にこ「なあによー。ちょっとした悪戯じゃなーい」さっ

花陽「……」じとーっ

にこ「それとも花陽ちゃんは、にこに両方のほっぺたをぷにぷにして欲しかった?」くすくす

花陽「ふんだ」ぷいっ

にこ「あ、ちょっと。拗ねないでよ」

花陽 つーん

16: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:18:03.16 ID:72FHqjw9.net
にこ「ねえー。本当にごめんってば。こっち向いてよ」

花陽 つーん

にこ「そんなに怒らないでよ」

花陽「……知らないっ」

にこ「ね、私に可愛いお顔を見せてよ」

花陽「……」

にこ(後ひと押しで機嫌なおりそうね)

にこ「花陽が可愛くて、つい、魔が差しちゃった。本当にごめんね。許して?」


花陽「……もう。そこまでいうなら、許してあげま―――」くるっ ぷにっ

17: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:18:29.75 ID:72FHqjw9.net
にこ「あはっまた引っかかった!ぶふふっ、ふふふふっ」

にこ「ひぃ、ひぃ……あー、おなかいたいわ、ふふっ」


花陽「―――」ぶちっ

花陽「にこちゃん!もう許さないからね!!」どたどた

にこ「きゃー♪逃げろー♪」ばたばた

18: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 00:19:56.89 ID:72FHqjw9.net
とりあえず15超えるまで投下しておきたかった
じゃあの

24: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 08:55:07.34 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室



花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「本読んでないで、私に構ってほしいなぁ」

にこ「んー」

花陽「ねえ、聞いてるのー?」

にこ「ん~」

花陽「ねえってばー」

にこ「んー」ぺらっ

25: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 08:56:06.68 ID:72FHqjw9.net
花陽「もうっ」

にこ「……」

花陽(そうだっ)ぴこーん

花陽「にこちゃんって、アイドル好きだよね?」

にこ「んー」

花陽「……じゃあ、私のことも好き?」どきどき

にこ「んー」ぺらっ

花陽「ふふっ」にこにこ

花陽(話聞いてないのをわかっていても、嬉しいな)

花陽「それじゃあ、アイドルと私、どっちが好き?」

花陽(なんてね)

26: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 08:56:51.66 ID:72FHqjw9.net
にこ「花陽」

花陽「ふぇ?」

花陽「……えっ、今……なんていったの?」

にこ「んー」

花陽「なんていったのぉ!?」ゆさゆさ

にこ「きゃっ……ちょっと!本読んでるんだから急に揺らさないでよっ」ぷんぷん

花陽(無意識だったの?)まっかっか

27: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 08:59:29.73 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室



花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「にこちゃんってキスしたことある?」

にこ「―――ぶふっ!ごほっごほっ!」


にこ「……急になんてこと聞くのよ」

花陽「なんとなくです、なんとなく」

にこ「なんとなくって……」うーん


花陽(にこちゃんの困った顔が見たく鳴って、つい言ってしまいました)

花陽(キスしたことがないのは、希ちゃんに聞いて知っていたりします)

花陽(にこちゃんはなんて答えるでしょうか?楽しみです)わくわく


にこ「あるわよ」

28: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:00:14.54 ID:72FHqjw9.net
花陽「……!?」


花陽「えっ、にこちゃん、キスしたことあるんですかっ?」

にこ「だから、あるわよ」ふふん

花陽「えっと……それって男の人とってこと……?」

にこ「……まあ、そうなるわね。ついでに言うと、最近のことよ」

花陽「」がーん

花陽(冗談半分のはずだったのに、凄くショック受けてます……)


花陽「そうなんだぁ……」うるうる

29: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:01:06.88 ID:72FHqjw9.net
にこ ぎょっ

にこ「待って花陽、今のは嘘―――でもないけど、相手はこたろうだから。そんなに動揺しないでよ」おろおろ

花陽「……こたろう君?」

にこ「え、ええ。最近色気づいちゃってねー。にこにーとちゅーするーって言ってキスされちゃったのよ」

にこ「まあ、こたろうだけじゃなくて、羨ましがったこころとここあにもされちゃったんだけど……どのみち家族の話なの」

にこ「アイドルの信念を破って誰かと付き合ってるとかじゃないわ」

花陽「そうなの……?」

30: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:01:57.91 ID:72FHqjw9.net
にこ「からかいたくなって言っちゃったの。不安にさせちゃったわよね。ごめんね」なでなで

花陽「……私の方こそ、変なこと聞いてごめんね」

にこ「ふふっ、本当よー。びっくりしたんだから」ほっ

花陽(私も、家族になれば……)ぼそ

にこ「ん?今、何か言った?」

花陽「―――ううん、なんにも!」にこっ

31: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:02:30.91 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「髪型、ツインテールにしてみたの。どうかな♪」

花陽(可愛いっていってくれるかなぁ)どきどき

にこ「……下に垂れすぎよ。直してあげるから、こっち来て座りなさいよ」ちょいちょい

花陽(もらえたのはダメ出しでした)しょぼん

32: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:03:14.30 ID:72FHqjw9.net
花陽「それじゃあ、お願いします……」とてとて ちょこん

にこ「よし、座ったわね。それじゃ、やっていくわよ……って櫛持ってくるの忘れたわ。手櫛だけどいいわよね?」

花陽「うん」

花陽(むしろ歓迎ですっ)


にこ「まずは、リボンをほどいて―――っと」するっ さらっ

にこ「……んー」

にこ「花陽の髪って、なんか妙にさらさらしてる気がするわ……」さわさわ

花陽「ひゃんっ」びくん

にこ「あ、ごめんごめん、つい……。ちゃんとやるわ」

花陽(……恥ずかしい声でちゃった)かぁぁ

33: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:04:06.21 ID:72FHqjw9.net
にこ「髪をとかしてー、いい感じに髪を集めて~、こう!」すっ すっ

にこ「―――で、結ぶ」きゅっ

にこ「もう片方もやって―――」きゅっ

にこ「よし、出来上がり。これでバッチリよっ」

花陽「ありがと、にこちゃん。……それで、私、どうかなぁ?」きたい

にこ「……」


にこ「何が?」はて

34: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:04:46.89 ID:72FHqjw9.net
花陽(ええっ……それはないよ、にこちゃーん)がーん

花陽「……髪型が似合ってるかとか、そういう感想を頂けたら、嬉しいのですが……」ぐじぐじ

にこ「あ、あー、そういうことね」あせあせ

花陽「……」じーっ

にこ「えー、おほん」


にこ「花陽。私とお揃いの髪型、とっても似合ってる。最高に可愛いわよ」きりりっ

花陽「……」

35: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:05:25.16 ID:72FHqjw9.net
花陽(いけない)

花陽(とってつけたような言葉に、すごく喜んでる自分がいる)うずうず

花陽(……私ってこんなにちょろかったかなぁ……)


花陽「にこちゃん、可愛いだなんて、えへ、恥ずかしいよぉ、えへへー」にっこにっこ


にこ(ふぅ、なんとかセーフね。危うくヘソ曲げられちゃうところだったわ)

にこ(……にしても、最近花陽の面倒くささが上がってる気がするわね……)

36: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 09:06:17.08 ID:72FHqjw9.net
朝の投下終わり

43: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:04:39.29 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「なにか面白い話して欲しいな」

にこ「……いきなり難易度高いこと言うわね、あんた」

花陽「えへへ、だめかな?」

にこ「……そうねえ。あ、特別な話が一つだけのあるわ。面白いかどうかは知らないけど」

花陽「わあっ!どんなお話か楽しみですっ」わくわく

にこ「……」

にこ「あれは今日みたいにお天気がいい日のことよ」

44: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:05:25.03 ID:72FHqjw9.net
―――あの頃、ちょうど風邪が流行っててね。たしか穂乃果と凛が休んでたわ。

バカは風邪引かないなんて嘘ね、なんて言いながら練習してたから、確かそう。

そしたら希に、じゃあ、にこっちも風邪ひかんとねって言われてムカついたり……って、え?覚えてる?

まあ花陽もあそこにいたし、覚えてるか。でも安心していいわよ?話が面白くなるのは練習が終わった後だから。

……練習が終わって、希と絵里と一緒に普通に帰ってたわけよ。

それで校門を出て五分くらい歩いた時に、希に言われたの。にこっち、カーディガン着るの忘れてるよって。

ブレザー着てたから、パッと見じゃ気づかなかったのね。暑くて汗かいちゃうからって、脱いだままにして部室に忘れちゃったってわけ。

そういえば、ちょうど今の花陽くらい汗かいてたわね。……にしても、花陽。そんなに汗かいてどうしたの?暑い?窓開けましょうか?いらない?そう。

45: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:06:08.77 ID:72FHqjw9.net
……で、続きだけど。週末だったし、面倒くさいけど仕方なく取りに戻ったのよ。のぞえりコンビに別れを告げて。

学校までの道をテクテク歩いたわよ。ああいう時の時間って無性に長く感じるわよね。すっごいダルいっていうか……。

まあそれはいいや。学校に戻って、廊下を歩いて、さあいざ部室よ!って時に、中から気配を感じたのよ。

おかしいわよね?もうみんな帰ったはずだし。校門出るとこまでは、みんな一緒だったし。

……ねえ花陽、どうしたの?急に立ち上がって。え?掴んでる手をはなしてほしいって?

ここまで聞いたんだから最後まで聞きなさいよ。もう少しで終わるから。

中から聞こえて来る物音を聞いて、私達の私物を狙う変質者が現れたのかも……って思ったわ。

職員室に行くべきか悩んだけど、とりあえず相手を確認することにしたの。ドアの小窓から、少しだけ中見えるしね。

それからでも遅くないって思ったし。……それで私は、おそるおそる物音をたてないように、ドア顔を近づけて覗きこんだのよ。

そしたら、中には何がいたと思う?私は、あんなに恐ろしい生き物、初めて見たわ……。

46: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:07:13.56 ID:72FHqjw9.net
スカート履いてる上に、上半身がピンク色で、うねうねしてる生き物よ。しかもなんか、ぴゃあっぴゃあって叫んでる謎生物。

恐ろしくて恐ろしくて、すぐ逃げ帰っちゃったわ。結局、私のカーディガンは次の日の朝に取りに行ったわ。

なんとなくサイズが大きくなってるような気がしないでもない、ピンクのカーディガンをね……。

それにしても、あれ、一体何だったのかしら……。今でもたまに出現してるみたいなのよね。

この前、また忘れちゃったんだけど。その時にも出現してたのよ、その生物。

もしかしたら、私のカーディガンと関係のある存在なのかもしれないわね―――

47: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:07:59.74 ID:72FHqjw9.net
花陽「……」ぷるぷる

にこ「あれ?花陽?どうしたの?」にやにや

花陽「気付いてたなら言ってよぉ!!」かおまっか

にこ「えー?なんのことー?にこしらな~い♡」

にこ「花陽ちゃんがぁ、にこのカーディガンを着てぇ、悦に入ってたことなんてえ、ぜんっぜん知らないニコよ~♡」

花陽「うう……」ぷしゅー

花陽「ぜんぜん面白い話じゃないよぉ!にこちゃんのばかぁっ」ぽかぽか

にこ「ぷくくく……」

48: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:08:47.10 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「……えいっ」わきばらつんつんっ

にこ「ひゃあっ」びくん

にこ「―――いきなり何すんのよっ!」


花陽「?」ふしぎ

49: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:09:21.62 ID:72FHqjw9.net
にこ「なに不思議そうな顔してんの!?」

花陽「……私はただ、にこちゃんの敏感な部分を探そうと思っただけだよ?」ぎもん

にこ「だけだよ?じゃないわよっ!そんなことやらんでいいっ!」がーっ

花陽「でも……」

にこ「デモもストライキもないの!次、いきなり触ったら、花陽といえどグーでいくからねっ」ぷいっ

50: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:10:00.64 ID:72FHqjw9.net
花陽(むぅ、残念)

にこ「……ったくもう最近の花陽は……」ぶつぶつ


花陽(あ、そうだ。触らないようにすればいいんだ)

にこ「……セクハラは希の影響かしら……」ぶつぶつ


花陽 そーっ

にこ「……悪戯は穂乃果と凛ね……」ぶつぶつ

51: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:10:32.02 ID:72FHqjw9.net
花陽「ふぅー♡」

にこ「ひゃああっ!」ぞわぞわーっ

花陽「耳に吐息はセーフだよね、にこちゃん♡」


にこ「―――」かおまっか


にこ「アウトよっ!!」ぼこっ

花陽「ごふっ」

52: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:11:11.28 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

花陽「……」

花陽「……?」ちらっ

花陽「あ、今日はいないんでした」ぽんっ

花陽「……」

花陽「……」

花陽「今のうちに、にこちゃんグッズを確保しておこう……」がさごそ

53: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 13:11:37.07 ID:72FHqjw9.net
昼の投下終わり

59: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:27:52.68 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽 「……」かみのけくるー

にこ「いや、なによ」

花陽「意味わからないですっ」

にこ「……何が?」

花陽「知らないよっ」つーん

にこ「私が言いたいわそれ……」

にこ(一体なんなの?)

60: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:28:34.44 ID:72FHqjw9.net
花陽「……」ちらっちらっ

にこ(なんか気付いてほしそうにしてるし)

にこ「わけわかんないわ……」

花陽 ぷぅーっ

にこ(……ふくれはじめちゃった)

花陽「ふんっキモチワルイですっ」どやっ


にこ(……ああ、なるほど。やっとわかった。口調が花陽でわかりにくかったけど)

にこ「真姫ちゃんのものまねしてたのね」

61: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:29:03.39 ID:72FHqjw9.net
花陽 ぱぁーっ

花陽「正解ですっ!」

花陽「にこちゃんなら、わかってくれると思ってました」にこっ

にこ「……」

にこ(チャレンジ精神を褒めてあげるべきかしら……)

にこ(いや、甘やかし過ぎはよくない)

にこ(ここはビシバシいくべきよね)

62: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:29:59.30 ID:72FHqjw9.net
にこ「花陽」

花陽「はいっなんでしょう!」


にこ「ものまねのクオリティが低い。やるならもっと練習しときなさい」


花陽「!」

花陽「了解です、部長!ご期待に沿えるよう、いっぱい練習しておきます!」ふんす

花陽「次回のものまねにも、ご期待くださいっ」ふんすふんす


にこ「……期待しないで待ってるわ」

にこ(はぁ……次も正解しなくちゃならないのかしら……)

63: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:30:54.54 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「これ、なーんだ♡」

にこ「ん~?」じーっ


【ご飯のかたまり】


にこ「これ、おにぎり……よね?変な形してるけど」

にこ(つーか、大きすぎ。私の頭くらいあるわよ……)

64: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:31:54.67 ID:72FHqjw9.net
花陽「そうだけど、もっとよくみてっ」

にこ「もっと……?」

にこ「……ううーん?よくみたら、人の顔にみえるような……?」


花陽「―――ザッツライス!これは、にこちゃんです!」びしっ


にこ「は?」

にこ(ライス?)

花陽「にこちゃんに、にこちゃん型おにぎりのプレゼントだよ♡」

花陽「ささっ、遠慮せずに食べてください♡」ずいっ

65: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:33:41.23 ID:72FHqjw9.net
にこ「……」

にこ(別に遠慮してないわ!こんなに食べられるか!)

にこ(―――と言いたいところだけど。花陽がねえ)ちらっ


花陽「お米の産地にもこだわってるので、とってもおいしいですよっ」きらきら


にこ(このぴゅあぴゅあな瞳……断りにくいったらありゃしない)

にこ(せめて、量を減らしてもらいましょう)

にこ(それも、出来るだけ傷つけないように……)


花陽「……うん、やっぱり、本当においしそう……」じゅる

66: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:34:25.08 ID:72FHqjw9.net
にこ(んっ?)

花陽「にこちゃん、食べないの……?」ちらっちらっ


にこ(え?もしかしてこの子……食べたくなってきたの?)

にこ(私、まだなんにも言ってないんだけど。早すぎない……?)

にこ(……いや、よく考えるのよ矢澤にこ。ちょうどいいわ)

にこ(大半を花陽に食べてもらえば、私は少しだけですむんだから)

67: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:35:31.99 ID:72FHqjw9.net
にこ「花陽、私は少しだけでいいわ。あんまりお腹すいてないの」

花陽「……そうですか?それじゃあ、仕方ないよね」

花陽「捨てるのはもったいないから、私も貰っちゃうね?」うきうき

にこ「せっかく作ってくれたのに悪いわね。私は後でいいから、先にどうぞ」


花陽「いただきますっ」ぱくー


にこ(ノータイムで食いついたわね……)

にこ(いや別にいいんだけど。少しは躊躇いなさいよ)


花陽「にこちゃんおいしいよぉー!」ぱくぱく

にこ「それは私じゃないわよっ」


にこ(……ま、いっか。喜んでるし)

68: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:36:21.52 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「猫と犬どっちが好き?」

にこ「そうねえ。どっちも可愛くて好きだけど、最近は犬の気分かな」

花陽「……気分で変わっちゃうの?」

にこ「まあね。例えば、可愛いわんこが目の前にいる時とか、そんな気分になるわね」じーっ

花陽「へえ、そうなんだぁ♪」わふわふ

69: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:37:38.75 ID:72FHqjw9.net
にこ「で、なんで急にそんなベタな話したの?」

花陽「今日のお昼にね、凛ちゃんと真姫ちゃんと話してたんだぁ」

花陽「自分たちを犬か猫で例えたらどっちかなっていう話をしてたら、二人に私は犬だよねって言われちゃって……」

にこ「へ、へえー……。逆に、あの二人は猫っぽいわよね……」

花陽「うん、だからにこちゃんが犬派で嬉しいなぁ♡」

にこ「……」

70: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:39:26.09 ID:72FHqjw9.net
にこ「ほらでも、可愛いにゃんこが目の前に来たら猫派になっちゃうかも……」

花陽「……」

花陽「そうなんだぁ……」

にこ「ははっ……」


花陽「それじゃあ、目の前に私と凛ちゃん真姫ちゃんがいたら、にこちゃんは何派になるのかな?」にこっ

にこ「」

71: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:41:19.17 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「肩お揉みしますっ」もぎゅ

にこ「いや、やらなくても……ってあんた肩もみ上手ね……」

花陽「そうなの!家族にも評判いいんだ~。結構握力があるから、強くも出来るよ」もみもみ

にこ「……今ぐらいの感じでいいわ。ありがとね」

花陽「どうしたしましてっ」もみもみ

にこ「……ああ~……キくわぁ……」

72: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:42:14.43 ID:72FHqjw9.net
花陽「……」

花陽「にこちゃん、すごく凝ってるね」もみもみ

にこ「やっぱりわかる?……最近うちに抱っこブームが来ててね」

花陽「抱っこ?」もみもみ

にこ「そうなのよ。マ……お母さんがいるときはそっちにいくんだけど、居ない時は私のほうに来るのよね」

にこ「ここあとこたろうはまだ大丈夫なんだけど。こころくらいになるとかなりキツくて……はぁ……」

花陽「それでも、抱っこしてあげるんだ?」もみもみ

にこ「そりゃそうよ。姉弟間に差をつけるわけにはいかないし……」

花陽「……ふふっ」にこにこ

にこ「何笑ってんのよ……」

73: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:43:17.81 ID:72FHqjw9.net
花陽「やっぱり、にこちゃんは家族が大好きなんだなぁって思って」にこにこ

にこ「……当たり前でしょ」ふん

にこ「……」

にこ「はぁ……私だってママに抱っこしてもらいたいのになぁ……」ぼそっ

花陽「?」

花陽「ごめんね、今なんて言ったの?」もみもみ

にこ「なんでもなーい」

74: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 18:43:44.03 ID:72FHqjw9.net
夕方の投下終わり

77: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:01:31.49 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「―――じゃんけんぽんっ!」ちょき

にこ「っ!」にっこにっこにーの手

花陽「……」

花陽「突然のじゃんけんへの、その対応力……」

花陽「にこちゃんってやっぱり凄いっ!」そんけー

にこ「ふっ……もっと褒めていいわよ」どや

78: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:02:54.10 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「私、にこちゃんのリストバンドが欲しいの……」

にこ「えーっと。あれは確か、駅前の小物のお店で買った―――」

花陽「ううん、違うの、売ってる場所じゃなくて!」

花陽「にこちゃんがいつも練習の時につけてるのが欲しいの」

にこ「……は?なんでまた、そんなもの欲しいのよ?」

花陽「あのね、ちょっと恥ずかしいんだけど……」

花陽「仲良しの印に、身近なものが欲しいなって思って……駄目かなあ?」てれてれ

にこ「いや、そういうのはわかるし、別に駄目じゃないんだけど」

にこ「リストバンドとか、ほら、汗吸っちゃってるし垢ついてるし……あんまりないんじゃないの?」

79: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:04:02.67 ID:72FHqjw9.net
花陽「……」はて

花陽「うーん?確かに、言われてみればそうかも……?」


にこ「言われなくても、普通はそーなのよ」

にこ「……だからまあ、代わりに欲しいものがあるなら言ってみなさい。問題がなければあげてもいいわ」

花陽「わぁ、いいのっ!?」ぱぁぁ

花陽「じゃあねじゃあね!私、にこちゃんが普段使ってるハンカチが欲しいですっ!」うきうき

にこ「……」

にこ「あんた、私の話きいてた?」じとーっ

花陽「?」にこにこ

にこ「はぁ……」

80: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:06:07.46 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「それっ」わしわし

にこ「ちょっ!なにすんのっやめなさいよっ」じたばた

花陽「それそれ」わしわし

にこ「やめっ……ふふっ!あははっ、こそばゆいって!」けらけら

花陽「まだまだやめないよー」わしわし

にこ「あはははははっ!もう限界だから!限界だって!もうやめてっ」けらけら

花陽「……そろそろいいかな」さっ

にこ「ひぃ……ひぃ……にこぉ……」ぐったり

81: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:06:51.61 ID:72FHqjw9.net
花陽「どうだった?希ちゃんに教わったんだけど……。上手に出来てたかなぁ?」にこにこ

にこ「……」

にこ「…………」ゴゴゴゴ

にこ「花陽ォ!!」がばっ

にこ「あんたにも、わしわししてあげるわ!!」

花陽「きゃぁっ」ぷにぷに

にこ「……んぅ?ぷにぷに?」

花陽「あはは、にこちゃんっ、くすぐったいよぉっ」ぷにぷに

にこ「……ハハッなるほどね。胸が大きいと、わしわしじゃなくて、ぷにぷにになっちゃうってことか……」

にこ「……」ゴゴゴゴ

にこ「この屈辱の落とし前、どうしてくれるの!?」ぎりっ

花陽「くふふ、知らないよぉっ、ふふっ」ぷにぷに

花陽「それより、ふふふっ、まず手を止めてよぉっ、あははっ」ぷにぷに

82: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:12:23.98 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこお姉ちゃん」

にこ「んー?」

花陽「あっ」

にこ「……あれ?今、お姉ちゃんって言った?」

花陽「い、言ってません」ふるふる

にこ「そう?聞き間違いかしら……」はてな

にこ「まあいいわ。で、なに?」

花陽「えーっと、ね……そのね……」あせあせ

花陽(話そうとしたこと忘れちゃったよぉ!)

83: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:13:07.60 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」


花陽「ちょっと見ててね」くるっ

花陽「……」


花陽「にっこにっこにー♡あなたのハートににこにこにー♡」きゃるん

花陽「笑顔届ける、矢澤にこにこー♡にこにーって覚えてラブにこー♡」にこにこっ

花陽「にこちゃんも~、にこっ♡」ぱなっ


にこ「……」

花陽「どうかな?」おそるおそる

にこ「……やるじゃない。完璧よ」ぐっ

花陽「良かったぁ」ほっ

84: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:13:57.30 ID:72FHqjw9.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽 つんつん

にこ「……背中突っついて何がしたいの?」

花陽「にこちゃん。私は今、にこちゃんの経絡秘孔を突いたの」※押されると死んだりするツボ

花陽「助かる道はひとつ。私をなでなでしないと、十秒後にはボンッです……」きりっ

にこ「……」

にこ「別にそんなことしなくても、いくらでもしてあげるわよ」なでなで

花陽「ふわぁ♡」

87: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:22:23.05 ID:72FHqjw9.net
夜その1の投下終わり

98: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:18:47.50 ID:aiQuaPU6.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちん」

にこ「んー?」

にこ「……」

にこ「んんっ?ニコチン?」

花陽「えへ、私のかよちんっていうあだ名と、にこちゃんを混ぜてみたんだっ」

花陽「結構可愛いと思うんだけど、どうかな?」わくわく

99: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:19:51.33 ID:aiQuaPU6.net
にこ「……いや、かなりギリギリでしょ」

にこ「にこちんって言ったらまずタバコを連想するじゃない。ニコチン中毒とかいうし……」

にこ「アイドル的には微妙よね」

花陽「ふっふっふっ……。そこは抜かりありません!」

花陽「タバコによるニコチン中毒。そして、にこちゃんによるにこちん中毒」

花陽「にこちゃんは中毒になりそうなくらい可愛いっていう意味も込めているのです!」どやぁ

100: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:20:51.03 ID:aiQuaPU6.net
にこ「……ああそう。そんなにドヤるほどでもないと思うけど、今はそれはいいわ……」ふぅ

にこ「あのね、微妙な理由はタバコだけじゃないわよ?他にも……」

にこ「花陽。にこちんを十回連続で言ってみなさい」


花陽「……え?うん、わかった」すぅー

花陽「にこちん、にこちん、にこちん、にこちん、にこちん、にこ〇〇〇、〇〇〇、〇〇〇―――あっ」


にこ「ほら、だから言ったでしょ。ギリギリだって……」あきれ

花陽「ぴゃぁぁ……」かぁぁ

101: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:21:48.80 ID:aiQuaPU6.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」


花陽「ででん!」さっ


にこ「……なんなの、その箱」

花陽「よくぞ聞いてくれました!今日はなんと、お菓子を持ってきたんです!」

にこ「……」

にこ「花陽のことだし、ポン菓子とか雷おこしとか、お米系なんでしょうね……。まあ、嫌いじゃないけど」

102: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:22:49.90 ID:aiQuaPU6.net
花陽 ぷぅーっ

花陽「もーっ、これはケーキだよぉ!」

花陽「にこちゃんは私をなんだと思ってるの?」ぷんぷん

にこ「……あ、そうだったの。ごめんごめん。許してニコ♡」

花陽「そんなのじゃ許しませんっ」

にこ「花陽。ケーキ持ってきてくれて、ありがとね。大好きニコ♡」なでなで

花陽「……」うずうず

花陽「今回だけだからね……」にこにこ

にこ(ふっ、ちょろい)

103: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:23:42.37 ID:aiQuaPU6.net
にこ「……で、花陽」

にこ「一体、何のケーキなの?」ワクワク

花陽「ふふー、気になるよね。それじゃ、開けるね~♪」

にこ (ショートケーキ♪ミルフィーユ♪モンブランにティラミス♪ふふんふん~♪チーズケーキでもいいわよ~♪)ワクワク

花陽「はい、このケーキだよ♪」カパッ


【大福】


にこ「……えっと、」

にこ「……………なに?お餅?」

104: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:24:32.44 ID:aiQuaPU6.net
花陽「ライスケーキ(餅)です!」どや

にこ「……あ、そうなんだ………」しゅん

にこ「うん、好きよ、お餅もね……」ずーん

花陽(どどど、どうしよう!?ちょっとした冗談だったのに、すごく落ち込んでるっ)あせあせ

花陽「にこちゃん、ただの大福じゃないよ!苺大福なんだぁ!美味しいよ?」

にこ「苺……ショートケーキ……」うつろな目

花陽(ダレカタスケテー!)

105: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:25:32.32 ID:aiQuaPU6.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「にこちゃんって抱き心地いいのかな?」

にこ「……なんなのその質問」

花陽「穂乃果ちゃんと凛ちゃんにいつも抱きつかれてるから、ちょっと気になって……」

にこ「……そりゃまあ、宇宙一プリちーで可愛いキュートなにこにーだし?」

にこ「抱き心地だって半端ないんじゃないかしら。自分じゃ、よくわかんないけど」

花陽「うーん、私もそう思うんですけど。実際はどんなに凄いのか……やっぱり、気になりますっ」

106: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:26:06.80 ID:aiQuaPU6.net
にこ「……」

にこ「へぇ、気になるんだ?」

花陽「そうなの。気になるの……」こくり

にこ「……」

花陽「……」

にこ「……そういえば花陽も、ことりとか凛に、よく抱きつかれてるわよね?」

花陽「うん……。ということは、もしかしたら私の抱き心地も、凄いのかも知れないです」

にこ「そうなるわよね……。なんだか、気になってきたわ……」

107: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:26:38.69 ID:aiQuaPU6.net
花陽「……にこちゃんも、気になるんだ」

にこ「そりゃそうでしょう……」こくり

花陽「……」

にこ「……」

花陽「それじゃあ……」ゆらり

にこ「確かめ合いましょうか……」ゆらり



ぎゅーーーーーーっ♡

119: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:13:50.60 ID:nw8u688X.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「今度おうちに行ってもいいかな?」

にこ「……私の家?」

花陽「うん。にこちゃんが、こころちゃん達のことよく話してるから、私ももっと知りたくなっちゃった」

にこ「……別にいいけど、小さい子と遊ぶのって、たぶん花陽が思ってるより大変よ?」

にこ「三人もいると際限なく続くし」

120: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:15:12.26 ID:nw8u688X.net
花陽「それでいいのっ!私、姉弟がいないし、親戚にも小さい子がいなくて……。そういうのに、憧れがあって……。ね、お願い!」

にこ「だから、別にいいわよって。好きな時に来てくれたらいいわ」くすくす

花陽「本当?やったっ」がっつぽーず

にこ「……で、いつ来る?私は今日でもいいし、明日でもいいし、週末でもいいし。事前に言っておいてくれたら、いつでも―――」

花陽「―――今日でお願いしますっ」

にこ「ふふっ、はいはい、今日ね。それじゃあ、帰りにそのまま一緒に私の家に行きましょうか」

花陽「うんっ」にこにこ


にこ(にしても、花陽にそういう願望があったなんてねー)

にこ(一人っ子だから、自分より年下の子が欲しくなるのかしらね?)にこにこ


花陽(お姉ちゃんと妹、弟が一度に体験出来るなんて、最高だよぉ!)うへへぇ

121: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:17:37.95 ID:nw8u688X.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「苗字はどっちがいいかなぁ?」

にこ「苗字って、なんの?」

花陽「小泉にこ?矢澤花陽?私はどっちでもいいですよっ♡」くねくね

にこ「……別姓で」

花陽「えぇー!?」がーん

124: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:19:48.41 ID:nw8u688X.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「……ちょっと失礼」むぎゅ

花陽「うーん、なるほど、これが……」むぎゅむぎゅ

にこ「?」

にこ「腕を揉んで何がしたいの?」

花陽「にこちゃん知らない?二の腕と胸は同じ柔らかさなんですよっ」

にこ「あー。なんか聞いたことあるわね」

にこ「……でもそれ、本当なのか怪しくない?」

126: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:20:42.26 ID:nw8u688X.net
花陽「うん。だから私も、にこちゃんで確かめようと思ったんだけど」

花陽「前にわしわしした感触、もう忘れちゃって、よくわかりません……」ちらちら

にこ「……」じとっ

にこ「言っておくけど……揉ませないからね?」じとーっ

にこ「つーか、自分の体でやりなさい」ぺしっ

花陽「あたっ」

にこ「ったく、油断も隙もないわ」

花陽「てへへ……」

127: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:21:26.18 ID:nw8u688X.net
にこ「……あ、そうだ」ぴこーん


にこ「ねえ、花陽。腕、揉ませてあげたんだから、私にも揉む権利はあるわよね?」

花陽「えっ?うん、にこちゃんが揉みたいなら……。はい、どうぞ」腕ずいっ

にこ「……」にやり

にこ「それじゃ遠慮なく」わしづかみ

花陽「ぴゃぁっ!」ぷにぷに

にこ「この感触久しぶりだわー。相変わらずムカつく揉み心地よねー、本当。ははっ……」

花陽「にこちゃん、そこ腕じゃなくて胸だよぉ!?」ぷにぷに

131: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:11:09.52 ID:nw8u688X.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「だーれだ♪」めかくし

にこ「暗いんだけど」まっくら

花陽「ふふ、当てないと真っ暗なままだよー?」にこにこ

にこ「……誰かしら。こんな悪戯をする子といえば……凛でしょ」

花陽「ぶぶー。違いますっ」

132: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:11:46.08 ID:nw8u688X.net
にこ「えー、違うの?それじゃあ……穂乃果ねっ!」ズバリ

花陽「ハズレですっ」

にこ「じゃあ、残るは……希?」

花陽「もう、真面目に答えてくださいっ」ぷんぷん

にこ「だって、難しいんだもの……。ヒントちょうだい、ヒント」

花陽「ヒントですか?そうですね……」

花陽「……まず、にこちゃんの可愛い後輩ですっ」

にこ「それだけ~?まだ難しいわよ。もひとつちょうだい」

133: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:12:08.30 ID:nw8u688X.net
花陽「しかも、同じ部活で、私は一年生ですっ」くすくす

にこ「……だいぶ絞れたわっ!ヒント、もう一声っ!」けらけら

花陽「その上、とっても可愛くて、にこちゃんのことを尊敬してますっ」のりのり

にこ「―――やっとわかった!そんなの一人しかいないものっ」

にこ「ね、花陽!」

花陽「正解だよっにこちゃん!」ぱっ

にこ「ふっ……私にはすぐわかったわよ?花陽だってね」きりっ

花陽「もー、嘘ばっかり」くすくす

134: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:45:45.13 ID:nw8u688X.net
とある日 部室


にこ「ねえ、花陽」

花陽「なあに?」

にこ「その……私の上に座られると……重いんだけど」

花陽「にこちゃん……?女の子に重い、なんてこと言っちゃ駄目なんだよ?」めっ

にこ「いや、今はそういうのいいから。どいてよ」げんなり

花陽「……」ふいっ

にこ「こらぁ、無視すんなっ!」じたばた

135: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:47:50.30 ID:nw8u688X.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「ちゃん付けで私の事、呼んでくれないかな?」

にこ「……花陽ちゃん。これでいい?」

花陽(うん、なんだか先輩って感じが増してグーです!)


花陽「次は、かよちんって言って欲しいな♪」

にこ「何なのよ。……かよちん」

花陽(同級生になったみたい!それもとっても親しい間柄の……これもまた良しですっ)

136: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:54:15.19 ID:nw8u688X.net
花陽「最後に、いつも通りお願いしますっ」

にこ「はいはい、そうくると思ってたわ……」


にこ「―――ねえ、花陽。……これでいい?」


花陽「はいっ!にこちゃん!」にこにこ

花陽(呼び捨ての時に、一瞬だけ見せるきりっとした表情。最高ですぅ!)


にこ(……花陽が何考えてるのか、よくわかんないけど)

にこ(ころころ変わる表情は、見てて楽しいわね)

146: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:38:51.53 ID:zpRND4q0.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「妙に嬉しそうだけど……。なにかあったの?」

にこ「……ふふふー。知りたい?知りたい?」にこにこ

花陽(すっごく聞いて欲しそう……)

花陽「うん、知りたい」

にこ「もーう、仕方ないわねー!」ばしばし

花陽(いたいです……)

にこ「実はね、さっき一年生の子にこんなもの貰っちゃったの!」でんっ

147: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:40:50.68 ID:zpRND4q0.net
花陽「手紙……?」

にこ「応援してます!読んでください!って渡されちゃった~♪これってファンレターよね♪」

花陽「わぁ、良かったね!中はもう読んだの?」

にこ「ううん、これからよ。何書いてるのか楽しみだわ~♪」ぺらっ

にこ「―――ふんふん。ふふっ。いや、照れるわねー。この子、よく見てる!振付の細部まで理解してくれてる……」にまにま


花陽「へぇー、そうなんだ……」 

148: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:42:03.94 ID:zpRND4q0.net
にこ「ここまで私の意図が伝わってるのは嬉しいわね~。なかなか見所のあるファンね。うふふ……」にまにま


花陽 むっ


にこ「ふう。やっぱり、生の手紙はメールとは違った嬉しさがあるわよねー」にこにこ

にこ「花陽もそう思うでしょ―――って」


花陽「―――!!」かきかき


にこ「……花陽?何書いてるの?」

花陽「にこちゃん、もうちょっと待っててねっ!」かきかき

にこ「……?」


花陽(私のほうが、にこちゃんのことわかってるんですから!)

149: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:43:29.12 ID:zpRND4q0.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」ガタゴト

花陽「どうしてイスを一列に並べてるの……?」

にこ「……すぐにわかるわ」ガタコト

にこ「よいしょっと……」ガタッ

にこ「よし、これでおっけー。ね、花陽。ここに座ってくれる?」

花陽「?……うん」とてとて ぽす

にこ「さて、イスの上に寝るのってちょっとこわいけど……まあいいか」ごろん

151: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:45:17.08 ID:zpRND4q0.net
にこ「……それじゃ花陽、ヒザ借りるわよ?」ぷにっ

花陽「ひゃっ」びくっ

にこ「少し寝るから、10分くらいしたら起こして。……ふわぁぁ……」

花陽「えっと、にこちゃん……?」

にこ「……ぐぅ……」

花陽「寝ちゃった……」

にこ「……」すやすや

にこ「……うーん……」すやすや

花陽「……」

花陽「……ふふっ」

花陽「もう、強引なんだから……」くすっ

152: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:46:25.21 ID:zpRND4q0.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「今日は、チョコクッキー作ってきたんだ♪一緒に食べよ?」

にこ「花陽も、こういうの作れたんだ?見た目も綺麗だし、種類も色々あるし……すごいじゃない」

花陽「えへへー。この間、ことりちゃんに教えてもらったんだ♪」

にこ「……ああ、なるほどね。だから色々洒落てるわけね」

153: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:47:17.67 ID:zpRND4q0.net
花陽「ことりちゃんのレシピだから、味もすごく美味しいの!」

花陽「お菓子を作る時のことりちゃん、とっても手際が良くて、素敵だったなぁ」うっとり

花陽「あんな風にお菓子を作れる人って、私憧れちゃいますっ」

にこ「……」

花陽「それにそれだけじゃなくてね?完成したお菓子のラッピングも、とっても可愛くて―――」


にこ「―――ねえ、花陽!」


花陽「は、はいっ……どうしたの?」びっくり

154: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:48:23.57 ID:zpRND4q0.net
にこ「あんたって料理できたっけ?」

花陽「え?……それは……うぅ……あんまりです……」

にこ「それじゃあ今度、私の家に来なさい。一から十まで教えてあげる」

花陽「……いいんですか?」ぱぁっ

にこ「いいのっ!」ふんっ


にこ(ことりには負けたくない……!)ぐぎぎ

花陽「にこちゃんのお料理教室、楽しみです!」ほんわか

162: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:26:09.04 ID:qt46E5q0.net
とある日 部室


花陽 パシャ

にこ「ねえ、花陽。どうしたの、そのカメラ」

花陽 パシャパシャ

にこ「……っていうか無言で撮らないでよ。怖いから」

花陽「えへへ。勝手に撮っちゃってごめんね?」

花陽「このカメラはね、テストの点が良かったご褒美にって買ってもらったんだぁ」

花陽「せっかくだから、にこちゃんをいっぱい撮ろうと思って持ってきたの!」

にこ「ふぅん。……ま、にこで良ければ好きなだけ撮っていいけど」

花陽「わあ、ありがとうございます!頑張って可愛く撮るね!」

163: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:27:17.37 ID:qt46E5q0.net
花陽 パシャ

にこ「……」

花陽 パシャパシャ

にこ「……」

花陽 パシャパシャパシャ

にこ「……ねえ、花陽。私を撮るだけじゃなくてさ。二人を撮りましょうよ」

花陽「え、二人を、ですか?」

にこ「そ。私達のツーショット写真ってなかったでしょ?ちょうどいい機会だわ」

花陽「にこちゃんとのツーショット……」

にこ「……何?もしかして、私と二人じゃ不満?」じとっ

花陽「ち、違います!とっても嬉しいです!撮りましょう撮りましょうっ」あたふた

花陽「えっと、タイマーは……んーと……ああ、わかりません……」あせあせ

にこ「……」じーっ

165: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:28:51.78 ID:qt46E5q0.net
にこ「ちょっと貸して」ひょい

花陽「あ、にこちゃん、操作わかるの……?」

にこ「ううん、わかんないわ。でも、タイマーがわからないなら、カメラを逆に持って撮ればいいだけじゃない?」

花陽「あ……なるほど」

にこ「だから花陽。横に並んでくれる?近づかないと上手く撮れないから」

花陽「はい!」とてとて

花陽「……これでいいですか?」

にこ「いや、ちょっと遠いわよ。もっと肩寄せて、顔も近づけて」ぐいっ

花陽「きゃっ」むぎゅ

166: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:29:23.99 ID:qt46E5q0.net
にこ「……こんなもんかしら?それじゃ、可愛く撮れるまでやるわよー!」

花陽「は、はぃ……」

花陽(にこちゃんの顔近いよぉ……)どきどき

にこ「―――せーの、にっこにっこにー!」

花陽「にっこにっこにー……!」てれっ

パシャ

にこ「……うーん、いまいちね。まだ遠いのかしら?もっと近づいてから、もう一回撮るわよ―」ぐいぐいっ

花陽「ひゃっ」ほっぺむにゅ

花陽(ひゃあああー!近すぎだよぉー!)おめめぐるぐる

167: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:30:46.30 ID:qt46E5q0.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「私、温泉、行きたい」

にこ「なんで片言なのよ……」あきれ

花陽「美しい自然を眺めながら、暖かいお湯に包まれる幸福感……」

花陽「夕食は山の幸や海の幸、地の物のお料理の数々。当然、ご飯が出る和食です……」

花陽「畳の上でごろごろしながら、トランプやお喋り。ゆったりと流れる、贅沢な時間……」

花陽「そしてもう一度、温泉に入って、体を温めなおして、就寝……」

花陽「はぁ……温泉行きたいです」

にこ「……」

にこ「気持ちはわかるんだけど……うーん……」

にこ「……花陽ってさ。たまに思うんだけど……」

にこ「おばあちゃんみたいよね」くすっ

花陽「」


花陽「」

168: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:32:44.94 ID:qt46E5q0.net
とある日 部室


花陽「……」

にこ「ねえ、花陽ってば」ゆさゆさ

花陽「……」むすっ

にこ「まだ怒ってるの?おばあちゃん扱いしたこと……」

花陽「……知りませんっ」ぶすっ

にこ「やっぱり怒ってるじゃないの……」

花陽「……」つーん

にこ「もう一週間も花陽とアイドルの話してないじゃない?私、寂しいんだけどなぁ……」

花陽(そんなの、私だって!でも、そう簡単に許せることじゃありません!)

169: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:34:22.18 ID:qt46E5q0.net
にこ「やっぱり、私には花陽が必要なんでしょうね。今、すっごく後悔してるのがわかるもの」

花陽(にこちゃんのことです!どうせ誰にでもそんなこと言ってるに違いありません……!)

にこ「そうよね。そんなに簡単に許してくれないわよね……」しゅん


にこ「はぁー、これじゃあ、他に誰か誘わなきゃいけないわね……」


花陽(んん?なんのことでしょうか……?)

にこ「せっかくバイト代にボーナスが出たから、奮発して熱海でも連れてってあげようかと思ったのになー。ほんと、残念ね……(棒)」


花陽「!!」がばっ


花陽「あ、うう……にこちゃん……でもっ……そんなっ……私にだって……プライドが……」ぐらぐら

花陽(今更、私から誘ってください、なんて言いにくいよぉ……!)

170: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 21:36:22.13 ID:qt46E5q0.net
にこ(おーおー、葛藤してるわね……ふふ……自分からは言えないのかしら?)

にこ「誰を誘おうかしらねー?なんて言ったって私の奢りで温泉だもの。私が一緒にいて癒やされる相手じゃないとダメよね」

花陽(そうですそうです!その相手はここにいるよ、にこちゃん!)ブンブン

にこ「となると、穂乃果と凛はうるさいから却下。真姫ちゃんは……私の奢れる範囲だと格差を感じそうだから無しね」

にこ「希と絵里は……あいつらに奢るのはムカつくから無し、と残るは―――」チラリ

花陽(そう、私です!)にこっ

にこ「……」ぷいっ


花陽「!?」


にこ「海未と行くってのも、風情があっていいわよねー。ことりと仲を深めるのも悪くないわ。すっごい癒やされそうだし」

にこ「うーん、どうしようかしら」


花陽「―――」ぶるぶる

花陽「もう、にこちゃん!いじわるしないでっ!ぜんぶ許すから、私を連れて行ってくださいっ!」ぷぅーっ

にこ「あはは、ごめんごめん。もちろん、花陽を連れて行ってあげるつもりよ?くふふっ」にこにこ

花陽「もーっ!」ぷんすか

177: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 00:17:03.59 ID:FTbh/Qh2.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「どうして、今日はポニーテールなの?それに、リボンじゃなくてシュシュで結んでるし……」

にこ「いや、なんかね。希と髪型交換して遊んでたら絵里が、ずるい!私も混ぜて!って言って入ってきて……最終的にこんなことになったの」

花陽「なるほど!……ということは、希ちゃんと絵里ちゃんの髪型も変わってるんですね?」ぴこーん

にこ「そういうこと。絵里は私のリボンを使って希の髪型、希は絵里のゴム紐使って片方だけのツインテール―――サイドテールになってるわ」

花陽「ふむふむ。いつからその髪型にしてたの?」

にこ「……それが、朝の最初の休み時間からなのよ」はぁ

にこ「ちょっとした遊びのつもりだったんだけど。やめようとしたら、絵里が駄々こねはじめてね……」

にこ「面倒くさいことに、明日まで続ける約束になってるのよ」やれやれ

花陽「あはは……。それは大変だね」

178: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 00:18:11.06 ID:FTbh/Qh2.net
にこ「ほんとよー、もう。最近の絵里、すぐわがまま言うんだからっ」

花陽「……」

にこ「花陽達の前では偉ぶってるけどね?私と希の前だと、大体駄々っ子よ、駄々っ子!」ふんっ

花陽「―――ふふっ」

にこ「……なあによ、その、微笑ましいものを見る目は」じとっ

花陽「だってにこちゃん、すっごく嬉しそうな顔で話してるから……」

にこ「……なっ……」

花陽「絵里ちゃんのこと、大好きなんだなあって伝わってきて、なんだか私も嬉しくなっちゃった」にこにこ

にこ「~~~!」かぁぁ

にこ「はいはい!この話、終わり!」ぷいっ

花陽「ふふっ……はぁい」

183: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:41:31.18 ID:FTbh/Qh2.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「私が思う、にこちゃんの可愛いところを言っていってもいいかな?」

にこ「……意図はよくわかんないけど。勝手にすれば?」

花陽「それでは、言わせていただきます!まずは……白いお肌!」

にこ「……まあ、それが最初に来るわよね。私も常日頃からチャームポイントだって言ってるし……」

花陽「にこちゃんのお肌はとっても白くて綺麗で、私、憧れちゃいます!」ふんす

184: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:43:28.08 ID:FTbh/Qh2.net
にこ「……ふふ、そうでしょうともそうでしょうとも。肌にはだいぶ気を遣ってるもの。当然、憧れちゃうわよねっ」うれしい

花陽(この、白米のように白い肌。口に含めば、途端にご飯の甘い味が広がりそう……。是非、はむはむしたい!)じゅるり

花陽「お肌以外にも、にこちゃんと言えば、綺麗な黒髪も素敵ですよねっ」

にこ「ふっ、流石花陽ね……」

にこ「白い肌とくれば、黒い髪。この対比が、にこにーの可愛さを倍増させてるわけよ」ふふんっ

花陽「さらさらでつやつやで……。なんでも包み込んじゃいそうなくらい、綺麗です!」

にこ「ふっふーん!もっと褒めていいのよ?」うれしい

花陽(まるで、おにぎりを包む海苔のように、つやつやと輝いている黒髪……。白いご飯との対比が最高です!)じゅるり

185: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:45:12.94 ID:FTbh/Qh2.net
にこ「ほらほら、もうないの?私の可愛いところは?」うきうき

花陽「もちろん、まだまだあります!次は―――赤い瞳です!」

花陽「にこちゃんは、ツインテールなどによって、受ける印象が幼くなってしまいがちですが……」

花陽「そこに赤い瞳が加わることにより、妖しい色気をも纏うことに成功しているのです!」ばーん!


にこ「―――」ぷるぷる


にこ「そう!そうなのよ!私だって、そういう雰囲気があるのよっ!」

にこ「希や凛はいっつも小さいだの幼いだの言ってくるのに……花陽だけはわかってくれてて嬉しいわ!」かんげき

花陽「えへへ、それはもう、にこちゃんのことですから!」


花陽(ご飯。海苔。……赤くて綺麗な、梅干し♡)じゅるり

186: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:46:26.92 ID:FTbh/Qh2.net
とある日 部室


花陽「……」

にこ パソコンかちかち

花陽「……」すっ

にこ「あ、このアイドル可愛い……」ぼそっ

花陽「!」びくっ

花陽「……」

花陽「……」ふーっ

にこ「~ふんふふーん♪」かちかち

187: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:47:07.70 ID:FTbh/Qh2.net
花陽 すすっ

花陽 そろ……そろ……

花陽 どきどき

花陽 そーっ

にこ「……花陽。今度お尻触ったら全力で引っ叩くから」

花陽「」

花陽 さっ……

花陽 とぼとぼ……

花陽 しゅん

191: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 00:30:33.15 ID:iTM2dIl3.net
少なくて申し訳ない
今日の夕方以降に続く

197: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:53:44.29 ID:iTM2dIl3.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「呼びたかっただけです♪」

にこ「……ふふ、なによそれ」あきれ

花陽「えへへー」にこにこ

にこ「……」

にこ「ねえ、花陽」

花陽「なあにー?」

にこ「……呼びたかっただけよ」

花陽「あはっ」

にこ「なーに笑ってんのよ」くすっ

花陽「にこちゃんだって!」くすくす

198: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:54:51.07 ID:iTM2dIl3.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「やっぱりにこちゃんって、つり目が好きなんですか……?」じとーっ

にこ「!?」

にこ「―――ごほっ!ごほっ!……もう、いきなりなんなの!」

花陽「にこちゃん、アライズのツバサさんが大好きですし」

花陽「それに最近、真姫ちゃんによく構ってるのを見かけるのでっ」つん

にこ「……あー」

にこ(こうやって二人で話すからってことで、最近花陽にあんまり構ってなかった……やっちゃったわね)

199: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:55:42.64 ID:iTM2dIl3.net
花陽「私はたれ目なので、にこちゃんのお眼鏡には叶わなかったのかもしれませんがっ」つーん

にこ(とはいえ、今の花陽にそんなことを言っても、機嫌が戻るとは思えない……むしろ悪化しそう……)

にこ(……こんな時は、アレに限るわ)

花陽「ふたりともかっこいいし、私じゃ色々不足してるかもしれないけど――――」ぶつくさ

にこ「……」とてとて ぎゅーっ

花陽「ひゃあっ」

200: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:56:22.44 ID:iTM2dIl3.net
にこ ぎゅーっ

花陽「……にこちゃん?」

にこ ぎゅー!

花陽「……」

花陽「そんなことじゃ、誤魔化されないからねっ」

にこ ぎゅー♪

花陽「……ぅ……」

にこ ぎゅー♡

花陽「……」はぁ

花陽「ずるいですよ、もう……」ぎゅっ

にこ(ふっ、勝ったわ……!)

201: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:57:37.91 ID:iTM2dIl3.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」むにむに

花陽「そろそろ時間だけど、延長する?」

にこ「……うん。する。十分延長で」むにむに

花陽「わかりました。それでは、引き続きお楽しみくださいっ♡」

にこ「はぁ……ほわぁ……むぅん……」むにむに

にこ「ほん―――っとに、柔らかいほっぺよねぇ……」むにむに

202: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:58:19.60 ID:iTM2dIl3.net
にこ「何食べたらこんなほっぺになるのかしら……」むにむに

花陽「お米だよ♡」

にこ「……」

にこ「まあいいや何でも……ふぅ……」むにむに

にこ「しっかし……ちゅるんって吸い込めそうなくらい、ぷるんぷるんよね……」むにむに

にこ「……ふぅむ……」むにむに

花陽「別に、吸い付いてみてもいいですよ?」

にこ「いや、それはいいわ」むにむに

花陽「そうですか……」ざんねん

208: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 23:36:15.46 ID:iTM2dIl3.net
とある日 部室


花陽「ねえ、にこちゃん」

にこ「んー?」

花陽「音楽一緒に聴きませんか?」

にこ「……何の曲?」

花陽「私達、μ’sの曲。始まりから、今に至るまでの、全ての曲です」

にこ「―――」

花陽「ね、ダメかな?」

にこ「……いいわよ。聴きましょ」にこっ

花陽「―――!」にぱっ

花陽「それじゃあ、こっちのイヤホンどうぞっ」わたわた

にこ「ふふっなに慌ててんのよ……」すちゃ

にこ「……はい、着けたわ。再生していいわよ」

花陽「うん!それじゃあ、いきますね!」ぽちっ

『I say...♪』

209: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 23:39:05.09 ID:iTM2dIl3.net
『とある日 部室』 編 終わり

明日、『はじまり編』と『おわり編』を投下して、にこぱな活動日誌は終わりの予定です。

218: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:22:46.36 ID:7s2/80To.net
#にこぱな活動日誌@はじまり



 空に佇む太陽に、備え付けの蛍光灯は勝てなかったらしい。

天井には明かりがついているのに、夕陽に染まった部屋を見て、そんなことを考える。


「―――」


部屋の中には、探していた彼女がいた。椅子に座りながら、目を閉じ、イヤホンをして、静かに音楽を聴いている。

集中しているのか、音量が大きいのか。扉の開閉音には気が付かなかったようで、当然私にも気がついていない。

急に声をかけたら、驚かせてしまうかもしれない。人がいます、とアピールする物音をわざとらしく立てながら、近づく。

距離が縮まるにつれて、妙に、彼女の存在感が薄いことに気がついた。

まるで、幽霊のようだと思ってしまうほど。なんとなく躊躇してしまって、呼びかける声は自然と控えめになっていた。

219: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:23:45.62 ID:7s2/80To.net
「ねえ、にこちゃん」


それでも、どうにか聞こえたらしい。ぴくり、と少しだけ体が動いた。ゆっくりとまぶたが持ち上がり、赤い瞳が現れる。

半ば寝ていたのかもしれない。どこか茫洋としていて、焦点が定まっていない。


「んー?」


舌っ足らずに発された言葉。それが契機となって、意識がはっきりとしてきているようだ。

ジッと見つめた瞳の奥に、理性の光がゆっくりと時間をかけて宿りつつあるのが見えた。


「―――ああ、花陽か」


ようやく意識が覚醒したらしい。私の姿を認めて、耳からイヤホンを外した。

どうしたの、とでも言いたげな表情で、柔らかく微笑んでいる。

220: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:29:25.91 ID:7s2/80To.net
「にこちゃん、部室でなにしてたの?それも一人で……」


彼女と一番付き合いの長い友人から、部活動のない日にも学校に残っていることを教えてもらった。

それでなんとなく、二人だけでお話したいと思い立ってこうしてやってきたのだった。

そういう理由から、この夕陽の差し込む部室で、一人何をしていたのかが純粋に気になって尋ねてしまった。


「見ての通り、音楽を聞いてたのよ」


どうして部室で、そして一人で、ということに対する回答はなかった。

音楽を聴いて……それから話は続かないらしい。彼女は、言葉を付け足そうとせずに、私を見つめている。

柔らかかった微笑みは、いつの間にか硬質さを帯びていた。妙な威圧感が、加えて質問することに躊躇いを覚えさせる。

221: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:30:31.06 ID:7s2/80To.net
「……そうなんだ」


その雰囲気は、これ以上、この話に踏み込むなということなのだろうか。

ただ気まぐれに、彼女が何をしているのか気になった。そんな、安易な気持ちしか持ち合わせずにやってきた私には荷が重すぎる。

当然、彼女に踏み込む勇気なんてあるわけがないから、当たり障りのない言葉を吐き出すのが精一杯だった。

臆病な上に、気を遣うことすら上手く出来ない自分が嫌になる。


「ねえ、花陽も聴く?」


しょげてしまった私に、気を遣ってくれたのだろう。

先程とは打って変わった明るい笑顔で、イヤホンの片方を差し出している。

音楽を聴いていた理由は語ってくれずとも、それ自体は聴いてもいいらしい。

222: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:31:35.91 ID:7s2/80To.net
「うんっ」


彼女の厚意に甘えることにする。大きく頷いて、彼女の隣に腰掛けた。

受け取ったイヤホンを装着して、努めて明るい調子で質問する。


「誰の曲を聞いてたの?」

「色んなスクールアイドルの曲。花陽も知ってると思うわよ?」


言い終えると同時に、再生ボタンが押された。

彼女は先程していたように、目を閉じた。私も、それに倣って暗闇の世界へ。


「―――」


聴こえるのは、全国のスクールアイドルの青春の歌。

流れ行く楽曲たちは、どれも聞き覚えのあるもので、一生懸命に歌う彼女たちの歌声に心が踊りはじめる。

だというのに、言いようのない寂しさを感じるのは何故だろう。どこか釈然としない選曲に、私は考え始める。

この曲達は、何らかの意図があって選ばれたものなのではないか、と。

223: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:34:14.25 ID:7s2/80To.net
「―――」


目を開く。夕陽を眩しく思いながら、チラリと彼女の様子を窺ってみる。

まぶたを落として、静かに音楽を聴いている。鼻歌や、拍子をとるようなこともなく、身じろぎひとつしない。

私が部室へやって来る前から、今のようにしていたのだろうか。そんな事を考えたとき、流れていた曲が終了し、次の曲へと切り替わった。

これは、去年活躍していた有名グループの曲だ。彼女達は、この歌を発表したあとに急に解散してしまった。訳ありの、解散だった。

私自身、これが彼女たちの最後の曲になってしまったんだと、悲しんでいたことを思い出して―――


「、」


瞬間、息を呑んだ。選曲された理由、寂しさを感じていた理由に、気がついてしまった。

どれもこれも、志半ばに解散したグループの最後の曲だ。

今までに流れた全ての曲が、最後までやりきることすら出来ずに消えていった、スクールアイドルたちの最後の歌だった。


「……っ」


彼女が、悲しい結末に終わった彼女達の歌を聴いていた。それだけのことに、どうしても寒気を感じてしまう。

なぜあなたは、スクールアイドルの遺言とも、悲鳴とも言えるような曲ばかりを集めて、一人で聴いていたの。

そう聞くことが出来たなら、どれほど気が楽になって、同時に残酷だったことだろう。

彼女たちは、失敗したスクールアイドルだった。そして彼女も、その内の一人だったことを、私は知っていた。

224: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:36:03.81 ID:7s2/80To.net
「―――」


その動揺と悲しみを、うっすらと感じたのかもしれない。何も言わないままに目を開いて、私に視線を向けている。

視線が交差して、私は恐怖した。彼女の瞳には、何の色も宿っていない。

私のことを見ているようで、見ていない。果てしなく遠い何かを眺めるように、顔を向けているだけだった。

表情からも生気を感じなかった。そこにいるはずなのに、本当は存在していないかのように、姿が朧気になってゆく。

彼女そのものが、部室に取り込まれていくような錯覚。彼女は幽霊だった。この部屋に縛られた、地縛霊。


「っ!」


私達の世界に繋ぎ止めなければならない。咄嗟の思考と無意識下の行動。気がつけば、彼女の手を掴んでいた。

驚きの声は聴こえず、反射的な抵抗も起きない。動け、動けと、間髪入れずに新たな行動へと奮い立たせる。

今すぐ、この空間から、彼女を取り戻さねばならない。こんな彼女は一瞬たりとも見ていたくない。

彼女の肉体は、手を使って繋ぎ止めた。次は、心だ。精神を取り返すために―――思考は放り投げて、直観的に名前を叫んだ。

225: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:37:20.14 ID:7s2/80To.net
「にこちゃんっ!!」


一秒、二秒。全身全霊を込めた言霊は、確実に彼女に届いている。

紅い瞳が、さざ波をたてたように揺れている。三秒、四秒。私の指先、手のひらから熱が伝わったのだろうか。

血色がよくなって、表情に生気が宿りつつある。五秒、六秒、七秒。目尻が柔らかくなり、笑みを浮かべはじめた。

八秒、九秒。そして彼女は、口を開いた。


「花陽、うるさい」


悪態をついた彼女は、今までに見たことのない表情をしていた。儚げな微笑みなのに、不思議と人を安心させる穏やかさを伴っている。

他人に見せている矢澤にこを全てを剥ぎとったような、無防備な笑顔。もっとこの表情を見ていたいと思わせる魅力があった。

226: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:39:30.05 ID:7s2/80To.net
「……それで、なに?」


彼女を取り戻せた、という安堵に浸るまもなく、次の試練がやってきた。

そういえば、私は彼女の名前を呼んだのだった。つまり、言葉の続きを求められている。

全くと言っていいほど、後先を考えていなかったせいで、頭は真っ白になっている。

えっと、えっと、と何度も言い淀みながらも、なんとか、思いついたままに話しだす。


「あのね、にこちゃんの手、冷たそうだなぁって思って握ったんだけど。全然違って、とっても暖かかったの」


もっともらしい理由で誤魔化そうとして、繋ぎっぱなしだった手を離す。そうしたら、話の続きを思いつかなくなってしまった。

話の続きの切っ掛けになりそうなものを探すため、急いで周囲を見渡す。その途中で、眩しさを感じなくなっていることに気がついた。

部室から、鮮やかな赤色が消えていた。窓の外には、暗闇が迫っている。


「……お日様沈んじゃってたから、そう思っちゃったのかな。ほら、外を見て。こんなに暗くなってるよ」

「ほんとね」


敏い彼女には、私の焦りが伝わっていたのだろう。何も言わずに思いつきの話に付き合ってくれた。

我ながら、挙動不審だったと思う。恥ずかしさに、顔を隠したくなったけれど、我慢するしかない。

とにかく、彼女を取り戻すことは出来たのだ。もう、幽霊にはなることはないはずだ。少なくとも、今だけは……。

227: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:40:55.84 ID:7s2/80To.net
「もう遅いし、帰りましょ」


彼女はそう言って、自分と私の耳からイヤホンを取り外し、椅子から立ち上がった。

音楽プレイヤーをカバンの中に片付けた。それを見て、この時間は終わりなんだと実感する。

彼女ひとりだけの世界に、私が偶然紛れ込んだ特別な一幕は終わってしまったのだ。

結局、踏み込むことはなかった。彼女の気まぐれか、何も考えていなかったのか、垣間見ることは出来たけれど。


「花陽。手」


またもや、しょぼくれ始めた私に、言葉と共に差し出された彼女の手。見上げてみれば、なぜか微笑みを深めて楽しそうにしている。

自分と比べて妙に嬉しそうなのが、少し納得いかない。貴女のせいで気落ちしているのに。そう思いながらも、その手をしっかりと握りしめる。

ぐい、と引き寄せれて、椅子から立ち上がらされる。


「カバン持って」


彼女から、私のカバンが手渡された。その世話の焼き方が、幼い子へのような感じで、くすぐったい。

228: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:41:42.82 ID:7s2/80To.net
「ほら、出てった出てった」


カバンを持ったまま立っていると、せっつくように背中を押され、部屋から追い出された。

数秒後、後を追うに出てきた彼女は、手に持っていた鍵で施錠を始めた。しかし鍵穴の調子が悪いのか、なかなか閉まらないようだ。

格闘する彼女を他所に、私は考えにふけっていた。彼女はこれからも、一人で音楽を聴き続けるのだろうか。

今日のように、表情は消え、存在感は薄くなり、幽霊のようになってしまっているのだろうか。そんなのは、どうしても嫌だ。

自分勝手なわがままだとわかっているが、彼女には、いつだって自信たっぷりに笑っていて欲しいのだ。


「あーもう、閉まらないわね……」


かといって、無理矢理にでも阻止しようとして、不興を買ったとしよう。

そして、これ以上近づくな、と冷たい声音で言われでもしたら……。臆病な私は二度と近づくことはできなくなるだろう。

一体、どうすれば。袋小路迷い込んだ思考は、暴走しそうになって―――かちゃり、という錠前の閉まる音にハッとする。

扉のほうを見れば、戸締まりを終えたことに満足気になっている彼女がいた。

229: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:42:53.95 ID:7s2/80To.net
「よし。帰るわよ」


彼女はすぐさま歩き出した。既に考える時間はなさそうだ。続きは、家に帰ってからにしよう。仕方なしに歩き出す。

もっとも、彼女の心の奥底にあるソレを取り除くことができる答えなんて、どうせ見つからないだろう、と半ば諦めてはいたが。


「待ってよぉ」


小柄なのに歩く速度が早い。追いつくため、急いで後を追う。

少しばかり走って、一息を入れる。これで横並びだ。顔をよこに向ければ、彼女の横顔が見える。

そこからは何の憂いも、悲しみも感じない。普段通りのむっつり顔だ。しかし、私があの部屋で見た、朧気な彼女は本当だったはずだ。


「ねえ、にこちゃん」


ふと、声をかけたくなった。言いたいことがあるわけでもなかったし、話したいことがあったわけでもない。

そこにいるはずの彼女が、私の声で反応してくれるという、事実が欲しくなったのだ。


「んー?」


当たり前のように返ってきた言葉に、胸の中に染みわたる何かがあった。

自然と、頬が緩んでしまう。今回も呼びかけた理由はなかったけれど、誤魔化す必要はないのだ。

230: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:44:16.73 ID:7s2/80To.net
「なんでもないの。呼びたかっただけ」

「なあに、それ」


私の言動に、彼女はくすくすと静かに笑っている。それを見ていて、理解したことがある。

彼女を笑顔にするのに、特別なことなんていらない。名前を呼びかけるだけでも、にっこりとしてくれるのだから。

今まで難しく考えすぎていたのだと思う。心に踏み込むとか、勇気が足りないとか。

必要なのは、もっと簡単で、私が最初からしようと思っていたことだった。


「―――」


二人、肩を並べて通学路を歩く。心地よい静寂に包まれた、何も話さない時間。一緒にいるだけで笑顔になれる私達。

私は、決意を固めていた。彼女が学校に残る時は、私も残ろう。

部室に居る彼女に声をかけて、お話をする。そうして、いつの間にか、二人でいることを当たり前にしてやるのだ。

その思いを込めながら、彼女をジッとみつめる。すると、私の熱が伝わりすぎたのか、そっぽを向かれてしまった。

よくわからないうちに失敗してしまったらしい。表情は見えなくなってしまったけれど、不機嫌なわけではなさそうだ。

231: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:46:14.79 ID:7s2/80To.net
「……ありがと」


突然で脈絡のない、それでいて全てに納得のいく言葉が、彼女の方向から聞こえてきた。

未だにそっぽを向いているけれど、それは照れからくるものなのだろう。そわそわとしている彼女の雰囲気を微笑ましく思う。

つまりは、私に近づく勇気がなかったように、彼女には近づかれる勇気がなかったということ。

それを知ることが出来て、私は嬉しくなっていた。


「どういたしまして」


喜びをにじませた声で答える。彼女は未だにこちらを見ようとはしない。

空に目を移して、暗くなっていることを確認する。

世界を赤く染めていた赤色は、今では見る影もないはずだが、彼女にそんなことは関係ないらしい。

空に夕陽はもうないのに、赤く染まった彼女を見て、そんなことを考えていた。

232: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 17:47:13.81 ID:7s2/80To.net
『とある日 部室』 編 に続く

241: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:01:17.99 ID:7s2/80To.net
 部室を照らしていた夕焼けが、その役目を終えようとしている。

冬になると、これだ。まだ時間は早いというのに、空には夜の帳が下りてきてしまう。

もっともっとこの部屋に居たいのに、世界はそれを許してくれないのだ。

仕方がないと溜息をついて、読んでいる途中の雑誌を片付ける。


「はぁ……もうこんな時間か。花陽、帰るわよ」

「はいっ」


元気の良い返事に口元が緩みそうになるが、我慢。

私は先輩なのだ。自分を慕ってくれる後輩の存在が、いくら嬉しいからといってデレデレするのは違うのだ。

自分を厳しく律しながら、身の回りを整えた。帰宅準備はオーケー。

さあ、部屋から出よう……としたところで、花陽に声をかけられた。

242: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:05:25.58 ID:7s2/80To.net
「ねえ、にこちゃん」

「んー?」

「……今日、楽しかった?」


ほら来た。この子は、たまーにだけど、この質問をしてくる。

自分と二人きりで居ることに、私が息苦しさを感じているかもしれない、なんて考えているのだろう。

そんなに卑屈にならなくってもって思うけど、これが花陽の性格だ。仕方ない。

まあ結局、この時に私に出来ることはひとつしかない。不安の種を取り除いてあげることだけだ。


「楽しかったに決まってるでしょ……なんてったって、花陽と一緒だったんだからっ」


あーもう、つっけんどんに言ってしまった!こういうの、本当に照れくさいから嫌なのだ。

今だって顔は紅潮しているし、花陽のほうを見ることも出来なくて、天井の隅のほうを見ている。

我ながら面倒くさい性格しているなって思うけど、これでも可愛い後輩に対する最大限の譲歩をしているつもり。

243: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:08:49.29 ID:7s2/80To.net
「えへへっ、そっかぁ……」


で、これだ。私のフォローの言葉を聞いて、にやけながら、とろとろになって、いやんいやんと首に手をあてながらふるふるしている。

花陽がこうなるのも、いつものことだった。放置していたら二十分はこうしているので、無理やり廊下に押し出すのがお約束の展開だったりする。


「えへへぇー」

「ほら、出た出た。鍵閉めらんないでしょ!」


怪しげな声が垂れ流されているが、廊下に出てしまえば普段の花陽に戻るのを経験的に知っている。

無理やり外に押し出して、私もそれに続く。背後に花陽の視線を感じながら、鍵穴に鍵を突き刺して、右回転―――

がちゃ……がちゃがちゃ……がちゃ!閉まらない!……きぃぃっ!がちゃがちゃ!……かちゃん。ふぅ……。


「じゃ、行きましょ」

「うん」


ボロい扉への怒りを内心に押し込めて、何でもないように歩き出す。本当なら扉を蹴り飛ばしたいところだが、私は先輩だ。

みっともないところを見せてはいけない、その一心による忍耐だ。私の様子を見て、花陽がくすくすと笑っていたのは見なかったことにする。

244: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:11:46.44 ID:7s2/80To.net
「……」

「……」


廊下をてくてくと、静かに歩く。見てわかるように、私達は下校中は余り話さない。

時折、顔を見合わせて、ふふっ、だの、えへっ、だの笑い合いったりするけれど、基本的には沈黙したまま歩くのがお決まりだ。

散々、部室でお喋りしていたので、帰り道に話すことがなくなっている、という事情もあったりするけれど。


「……」

「……」


こんな風に一緒にいるようになったのは、いつだったっけ。私の居残りに、花陽が付き合うようになったのは。

確か、夏頃だったように思う。学校に居残っていた私のところに偶然やってきた花陽に、脆くて弱い部分を見られてしまったのだ。

いや、見られてしまったというよりも、私が、花陽に甘えてしまったと言ってもいい。

花陽なら、私の気持ちを理解してくれるんじゃないかっていう願望と、心が傷つく程には踏み込んでこないだろうという打算が、その行為を選択させたんだ。 ?
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)

246: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:13:07.03 ID:7s2/80To.net
「―――、」


急に。本当に急なことに、後輩を利用していながら、先輩面をしようとしていたことに、今更ながら笑ってしまいそうになった。

……そうだ、こんな性格をしているから、私はダメだったんだ。やる前から答えは見えていた。誰も私についてきてくれないことなんて、当たり前だったんだ。

失敗は必然で、私こそが失敗だ。そんな私なんかが、悲しむ資格なんてどこにも、最初から―――

……っと。いけないいけない。花陽といるときに、こんなネガティブなことを考えるなんて。また、あの時のように心配させてしまう。

鍵を上手く掛けられなかった苛立ちが残っていたのかもしれない。落ち着こうとして、花陽に不審に思われないように、静かに深呼吸。

だが、それがいけなかったみたいだ。


「……ねえ、にこちゃん」


花陽は、敏いのか鈍いのかわからない子だ。でも、私のことはよく見ていて、見逃さない。

しかも、長い時間を一緒に過ごしたせいか、私のことは大抵理解されてしまっているらしい。だから、本当に困ってしまう。

247: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:15:05.18 ID:7s2/80To.net
「なに?」


何をいわれるんだろう。まったく予想がつかなかった。もしも今、万が一にでもあの時のことを突かれでもしたら、泣いてしまうかもしれない。

そんなことを考えてしまうほど、ひとりでに追い詰められていた。だからこそ……花陽が、そんなことを言うわけがないことに、私は気がつくべきだった。


「今日、楽しかった?」


瞬時に、まずい、と思った。ここで、その質問を繰り返すなんて。さっき、楽しいに決まっていると答えたというのに。

私の内心が濁り始めたと察した途端、そうやってすぐに屈託のない笑顔で包み込もうとするんじゃない。

あんたといることで、私がどれだけ癒やされていたと思っているんだ。ああ、駄目だ。目尻に容赦なく涙が溜まってくる。

我慢なんて出来るわけがない。このままでは、後輩に泣かされてしまうじゃないか。私は、先輩なのに……!

248: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:16:25.14 ID:7s2/80To.net
「……っ」


ついには、涙がポロポロとこぼれ落ちる。自身を冷静だと言い張る理性が、暴走する肉体に泣き止め泣き止めとがなりたてている。

震える体は、当たり前のように言うことを聞かない。いくらまぶたを擦っても、止まりそうにない。その事実が、さらに涙があふれださせる。


「手、繋いでもいいかな?」


ダメ、繋がないで、そう言おうとしても、喉はきゅうと詰まってしまっていて、声を出すことが出来ない。

そして、そんな私の状態なぞお構いなしに、ぎゅっと繋がれてしまった。

249: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:17:45.34 ID:7s2/80To.net
「にこちゃんの手、あったかいね」


手のひらから伝わる花陽の熱に、胸があったかくなってしまって、途端に涙も震えもおさまり始めてしまった。

花陽の前では小さな子供のようになってしまって、ころころと感情に左右されてしまう自分が嫌になる。

だけど、やっぱり体はどこまでも正直で、繋がれた手と絡まった指に、心から安心してしまうのだ。


「花陽の手が、あったかいからよ……」


たったそれだけで骨抜きにされてしまっていても、あったかいのは花陽だと言っておきたかった。

本当なら私の手は冷たくて、あったかくしてくれたのは花陽なのだ。いつもそばに寄り添っていてくれる花陽には、それだけは知っておいて欲しかった。

250: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:19:12.26 ID:7s2/80To.net
「それじゃあ、ふたりともあったかいんだね。えへへ、私達一緒だねっ」


ぱぁ、と花咲いた笑顔に、抗いようもなく見惚れてしまう。

凄いのは、花陽だけなんだ―――そんな私の小さくて卑屈なプライドなんて、この笑みの前では何の意味もなかった。

自然と、口の端が釣り上がって、気分が高揚してくる。ああ、本当に、この子には敵わない。

花陽がいる限り、私が悲しむことなんてないんじゃないか―――そう考えるほどに、魅了されていた。

251: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:20:26.73 ID:7s2/80To.net
「っ!」


ぼろぼろと泣いたことが急に恥ずかしくなってくる。顔が火照ってきて、花陽の顔を直視できない。

しかし、これだけ花陽に気にかけてもらったのだから、感謝の言葉くらいは言っておかないといけない。

残り少ない、先輩の威厳がなくなってしまう。


「……ありがと」

「どういたしましてっ」


愛想のない私の言葉に、これほど喜びに満ち溢れた声で答えてくれる後輩は、これまでも、そしてこれからも花陽くらいなものだろう。

はぁ……いつまでも、一緒にいれたらな。内心溜息をつきながら、近く訪れる未来のことを想像してしまう。

私は三年生で、花陽は一年生だ。私は今年で卒業してしまって、一緒にいることは出来なくなる。

本当に、どうしてくれるんだろう、この子は。花陽にふにゃふにゃにされてしまった私を、また一人にするなんて。

252: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:21:38.73 ID:7s2/80To.net
―――私を弱くした責任、とりなさいよね。


にこにこしている花陽に見守られながら、私は胸中にひっそりと呟いた。

私は、いつしか、ずっと二人でいることを夢見てしまっていた。その気持ちは胸に仕舞ったままで、伝えるつもりはなかったけれど。

一度くらいは、花陽の前で想うことをしたかった。


「はいっ」


だから、その時に聴こえた声は、願望が生み出した空耳だったのだと思う。

なぜか真っ赤になっている花陽の表情を眺めながら、私も花陽のように、相手を見ているだけで大抵のことがわかるならな、と少しの間考えて。

……自分の馬鹿さ加減を笑うことになったのだ。

253: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:22:24.19 ID:7s2/80To.net
#にこぱな活動日誌@おわり

256: (たこやき)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:24:59.74 ID:7s2/80To.net
あっさりとした感じですがこれで終わりです
一週間のお付き合いありがとうございました
にこぱなもっ増

257: (あら)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:51:19.87 ID:E56x2T8L.net
最高すぎる
本当に乙でした

269: (庭)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 07:24:42.59 ID:QsDdOvw7.net
素晴らしい

270: (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 08:23:39.07 ID:VYDlhGQg.net
いいにこぱなだった

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1437490826/

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