桜坂しずく(27)【長編SS】

SS


244: 2020/02/04(火) 01:19:32.69 ID:ZyWdyKiM
栞子「しかし同好会での活動を見る限りあなたには作曲の才能があると思っていたのですが、それでも音楽界は厳しいものなのですね」

あなた「それなんだけど」

栞子「?」

あなた「2人に聞いてもらってもいいかな。今の私が書いた曲」


~♪

栞子「これは……」

せつ菜「何というか……」

栞子「酷くはありませんが普通、悪く言えばどこにでもいる素人のような感じですね」

せつ菜「なんだか情熱というか、心に伝わってくる物がありません……」

せつ菜「どうしちゃったんですか?あの頃はあんなに心が込もったいい曲を私達にくれたのに!!」   

246: 2020/02/04(火) 01:41:38.24 ID:ZyWdyKiM
あなた「モチベーション……とはちょっと違うかな。あの頃と比べて何だか筆が乗らないんだ。イメージが全然沸いてこない」

あなた「それで最近になって気付いたんだ」

あなた「かすみちゃん、しずくちゃん、果林さん、愛ちゃん、彼方さん、せつ菜ちゃん、エマさん、璃奈ちゃん」 

あなた「そして步夢ちゃん」


あなた「皆がいたからこそ、あんなにいい曲が書けたんじゃないかって」

あなた「あのあと同好会メンバーの入れ替わりはあったけど、この9人でいた時が1番楽しかったしね」

247: 2020/02/04(火) 01:46:55.04 ID:ZyWdyKiM
あなた「だから自分は別にソングライターになりたかったわけじゃなくて、ただ皆と一緒にいたあの頃を忘れられないだけなのかなって」

せつ菜「でもあなた、確かスクールアイドルに興味を持つ前から音楽科でしたよね?元々音楽に興味があったんじゃないんですか?」

あなた「それは步夢ちゃんに歌がうまいねって言われたから何となく」

せつ菜「あ、そうだったんですね……」

248: 2020/02/04(火) 01:50:23.82 ID:ZyWdyKiM
栞子「つまり音楽自体への関心はそこまで強くないということですね」

あなた「そうなるのかな……」

栞子「でしたら話は簡単です。今すぐ別の仕事を探すことをオススメします」


あなた「うっ」

249: 2020/02/04(火) 02:06:35.12 ID:ZyWdyKiM
あなた「でも私、音楽以外特に得意なこともないし……」

栞子「演奏の方は?」

あなた「それも、とてもプロレベルとは言えないかな」


あなた「音楽以外でしたらマネジメントでも……と言いたいところですが、先程のあなたの話を聞く限りその9人でないとパフォーマンスが発揮されないかもしれませんね」


せつ菜「他に何か適性が無いか分かりませんか、しおりん」

栞子「仕事に直結するものとなると流石に難しいかもしれないわ。実際音楽関係は1度失敗していますし」

253: 2020/02/04(火) 02:16:12.96 ID:ZyWdyKiM
>>251
あ、そうです。すみません

>>249

栞子「音楽以外でしたらマネジメントでも……と言いたいところですが、先程のあなたの話を聞く限りその9人でないとパフォーマンスが発揮されないかもしれませんね」

252: 2020/02/04(火) 02:15:10.59 ID:ZyWdyKiM
あなた「…………」

栞子「やはり納得がいってないようですね」ハァ


栞子「あなた、皆ともう一度会って答えを見つけている途中と言ってましたね」

あなた「うん」

栞子「今まで会った人は?」

あなた「えーと……しずくちゃん、かすみちゃん、彼方ちゃん、それからせつ菜ちゃん」

あなた「4人かな」

せつ菜「え、しずくさんと会ったんですか!?とても忙しいみたいで私なんてもう5年以上も会ってないのに!」

栞子「菜々、話がそれます」

せつ菜「あ、ごめんなさい。つい……」

254: 2020/02/04(火) 02:26:02.99 ID:ZyWdyKiM
栞子「コホン」

栞子「1か月です」

あなた「え?」

栞子「その皆に会って答えを出すというのは1か月以内に済ませて下さい」

あなた「えっ、なんで!?」

栞子「きちんと期限を付けないと、今のままだと答えが出ないままダラダラ過ごす事になる可能性が高いです」

栞子「動き出すなら1秒でも早い方が良いですからね」

255: 2020/02/04(火) 02:33:12.06 ID:ZyWdyKiM
栞子「それでいいですか?」

あなた「1か月だね。分かった」

栞子「それでは連絡先を教えますから、答えが出たら直ぐにでも連絡下さい」

あなた「あ、うん」

ピロン

あなた(まさか今になって三船さんと連絡先を交換することになるとは……)

栞子「この歳でその職歴なら次の就職先を探すのは難しいかも知れません。ですからどうしてもというのなら、私からの紹介ということで何とかお願いしてみます」

256: 2020/02/04(火) 02:37:16.04 ID:ZyWdyKiM
あなた「何で三船さんがそこまでしてくれるの?」

栞子「元生徒会長として元虹ヶ先の生徒であるあなたのサポートをするのは当たり前でしょう?」

あなた「えっ」

栞子「……というのは冗談です」

あなた(三船さんも冗談言うんだ)

257: 2020/02/04(火) 02:43:21.92 ID:ZyWdyKiM
栞子「あなた、だからですよ」

あなた「私だから?」

栞子「一応、あなたには感謝してますからね。色々と」

あなた「三船さん……」


栞子「それと、菜々の頼みでもありますし……」ボソッ

あなた「え、何だって?」

栞子「なっ何でもありません///」

270: 2020/02/05(水) 12:26:21.04 ID:tUnbdMNa
せつ菜「お話まとまりましたね!」

あなた「うん、とりあえずは」

せつ菜「ならお料理再会しますね!もうちょっとで出来ますから待ってて下さい!」

あなた「忘れてた……」サーッ

栞子「不安そうですね」

あなた「あっいや、別に……」

栞子「大丈夫です。あなたが心配しているような事はありません」

272: 2020/02/05(水) 12:32:17.63 ID:tUnbdMNa
せつ菜「出来ました!食べてみて下さい!!」

あなた「い、いただきます……」

あなた(見た目は普通の肉じゃがだけど)

あなた「えいっ」プルプル

あなた「…………あれ?普通に美味しい」

273: 2020/02/05(水) 12:35:24.26 ID:tUnbdMNa
せつ菜「もー!あなたまで普通にってなんですか!!失礼しますね!!」

あなた「あ、いや、ごめん!スイーツ作った時なんか特に酷い味だったって聞いてたし……」

せつ菜「え、あれは大好評でしたけど」

あなた(步夢ちゃんが必死に手直ししてたの知らないんだな)

274: 2020/02/05(水) 12:43:08.42 ID:tUnbdMNa
せつ菜「他の声優さんと共演した時に皆があまりにも私の料理が美味しくないっていうものですから必死になって練習したんです!」

栞子「まともな味になるまで私が徹底的に指導しましたから」

せつ菜「確かにしおりんのおかげで美味しくはなりましたけど、元から味はそんなに悪くないと思うんですけどね……」

栞子「…………苦労しましたよ」

あなた(心中お察しします)

275: 2020/02/05(水) 12:49:20.87 ID:tUnbdMNa
栞子「それでは私はこれで失礼します。肉じゃがご馳走様でした」

せつ菜「もう帰っちゃうんですか?」

栞子「明日も忙しいですから。また何かあれば連絡してください」

栞子「あっそういえば菜々」

せつ菜「え?」

栞子「今週末のライブも頑張ってくださいね。楽しみにしてます」

バタン

277: 2020/02/05(水) 23:00:04.11 ID:tUnbdMNa
あなた「せつ菜ちゃんライブやるんだ」

せつ菜「はい。あ、そうだ!折角だからあなたもぜひ来て下さい!!」

あなた「えっ?でもチケット無いけど……」

せつ菜「大丈夫です、関係者席に招待します!!」

せつ菜「ぜひあなたに今の私を見ていって欲しいんです!!」

あなた「せつ菜ちゃん……」

278: 2020/02/05(水) 23:07:19.52 ID:tUnbdMNa
あなた「うん!ぜひ行かせてもらうよ!」

せつ菜「ありがとうございます!では当日これをスタッフの方に見せて下さい。話は通しておきますから」

あなた「ありがとう。会場は……ぶっ!!武道館!?」

せつ菜「はい!実はちょっと緊張してます……」

あなた「えっ、これもしかしてソロ!?ソロで武道館なんて凄すぎるよせつ菜ちゃん!!」

せつ菜「えへへ……そんなにストレートに褒められると流石に照れちゃいます」

279: 2020/02/05(水) 23:12:09.47 ID:tUnbdMNa
あなた「ごめんね。せつ菜ちゃん」

せつ菜「急にどうしたんですか?」

あなた「さっきは売れっ子のせつ菜ちゃんなんかに私の気持ちなんて分かんないよ、なんて偉そうに言っちゃって」

あなた「もうせつ菜ちゃんは嫉妬するのもおこがましい程に私なんかとは違う世界の人なんだなって」

せつ菜「…………」

280: 2020/02/05(水) 23:13:03.32 ID:tUnbdMNa
せつ菜「絶対ライブ、来て下さいね」

あなた「えっ?うん、行くけど……」

せつ菜「…………」

281: 2020/02/05(水) 23:17:16.47 ID:tUnbdMNa
パンッ

せつ菜「よしっ、この話はお終いです!今日泊まってもらっていいですか?」

あなた「お仕事も無いし、せつ菜ちゃんがよければ」

せつ菜「やりましたっ!あなたとはもっと一緒にアニメ見たりお話ししたりしたかったんです!!」

せつ菜「そうだ!ついでに私の曲のコールの予習もしておきましょう!!それがいいです!!今夜は寝かせませんよ!!」

あなた「あはは、お手柔らかに……」


あなた(せつ菜ちゃんのこの感じ、久しぶりだな)

あなた(今は昔を懐かしんでもいい時だよね……)

282: 2020/02/05(水) 23:20:01.92 ID:tUnbdMNa
ーライブ当日ー

ザワザワザワ

あなた「うわぁ、まだ開演一時間前なのに凄い人だかりだなぁ……。早めに入っておこうか」


あなた「あのーすみません。せつ菜ちゃんに招待されてきたんですけど」ペラッ

「…………確認しました。こちらへどうぞ」

283: 2020/02/05(水) 23:32:25.86 ID:tUnbdMNa
あなた「流石関係者席……。2階から辺り一面が見渡せるや。……ん?」

あなた「うわっ三船さん!」

栞子「人の顔を見るなりいきなり叫び出すなんて失礼ですよ」

あなた「ごめん。まさか来てるとは思わなくて……」

栞子「あなたと同じく中川さんに誘われたんです」

栞子「こういった事にはあまり興味は無いのですが、中川さんから好意でいただいたチケットを無駄にするわけにはいきませんから」

284: 2020/02/05(水) 23:32:45.68 ID:tUnbdMNa
栞子「それよりもあなた、ちゃんとコールは覚えてきたんですか?」

あなた「うん、一応一通りは覚えてきたけど」


栞子「それならいいんです。たとえコネで呼ばれた関係者でも、せつ菜のライブに来たからにはきちんと応援しないと失礼にあたりますからね」


あなた「は、はぁ……」

あなた(興味ないんじゃ無かったの……?)

286: 2020/02/05(水) 23:35:09.92 ID:tUnbdMNa
ウォォォォォォォ!!!????

あなた「あっ暗くなった。始まるのかな」


せつ菜「みんなぁぁぁぁぁ!!!!こんばんわぁぁぁぁぁ!!!!!!」

あなた(相変わらず凄い声量──

栞子「キャァァァァァァア!!!!!せっちゃぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!!!!!!!!!!」

あなた「!?」

287: 2020/02/05(水) 23:37:52.06 ID:tUnbdMNa
せつ菜「いくぞみんなー!!!」

せつ菜「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」


栞子「ハイ!!ハイ!!ハイ!!ハイ!!」



せつ菜「どうも!!声優の優木せつ菜です!!!」

栞子「かわいーっっっ!!!!!!!!!」


あなた(…………)

288: 2020/02/05(水) 23:41:50.16 ID:tUnbdMNa
せつ菜「みんなー!今日はホントにホントに、ありがとー!!!!」

ウォォォォォォォ!!!!!!!


あなた「…………」ポォォォ

栞子「ふぅ、水分補給したらアンコールの準備をしましょうか」

栞子「それよりあなた」

あなた「えっ!?はいっ!」

栞子「私も自分のことで精一杯でしたが、傍目で見る限り殆ど地蔵でしたよね」

あなた「うん、ごめん……。ちょっと雰囲気に圧倒されちゃって。せつ菜ちゃんこんなに凄いんだなって」

あなた(それと三船さんも……)

289: 2020/02/05(水) 23:43:11.50 ID:tUnbdMNa
栞子「まぁいいでしょう。せめてアンコールくらいはお願いしますね」

あなた「うん!」


アンコール!

アンコール!

アンコール!

アンコール!


~~~~

295: 2020/02/06(木) 22:34:10.66 ID:EHBgtkqF
パッ

ウォォォォォォォ!!!


せつ菜「…………」


栞子「おや、珍しいですね。いつもアンコール後は曲から入るのですが、今日はMCからですか」

296: 2020/02/06(木) 22:42:15.04 ID:EHBgtkqF
せつ菜「皆さん、本日はほんとうに、ありがとうございました!!まさかソロで武道館に立てる日が来るなんて思っても見ませんでした!!」

せつ菜「ですが実は、武道館に立つの自体は初めてじゃ無かったりするんですよね」

せつ菜「皆さん分かりますか?」サッ


ニジガクー!!!!!


せつ菜「わっ凄い!そうです!!虹ヶ咲同好会で皆と一緒にスクールアイドルとして活動していた頃に、他のグループの皆さんと一緒にここで歌わせてもらいました!!」


せつ菜「もしかしたら私がスクールアイドルだった頃から応援してくれた人もいるんでしょうか??」


ハーイ!!!!!

栞子「はいっ!ハーイ!!!!!」バッ


せつ菜「こーんなにたくさん!!ありがとうございます!!!」

297: 2020/02/06(木) 23:45:48.86 ID:EHBgtkqF
せつ菜「そのスクールアイドル活動中1度私のせいで同好会がバラバラになったり、厳しい両親に反対されたりいくつも苦難がありました」

せつ菜「そんな時、同じ同好会の部長が励ましてくれました」

せつ菜「自分の気持ちに嘘をつかないで、いつだって全力な私が好きだから」

せつ菜「言葉で伝えられないなら、私らしく大好きをぶつければいい」

せつ菜「多分その言葉が無ければ今のラノベ作家、そして声優の優木せつ菜はいません。それ程までに私はこの言葉に救われました」

298: 2020/02/07(金) 00:03:03.46 ID:Lo1I1OWX
栞子「…………」

あなた(せつ菜ちゃん……)

せつ菜「だから!次は私がみんなを応援する番です!!」


せつ菜「もしこの中にかつての私と同じように、自分の気持ちに嘘をついている人、自分の将来で迷っている人がいたら諦めないでください!!」


せつ菜「皆が大好きをぶつけられるように、私はこれからもずっとみんなの大好きを応援するために歌います!!」


せつ菜「それでは遅くなりましたがアンコールありがとうございます!!早速ですが優木せつ菜、大好きを精一杯この歌に乗せて歌います!!!」


せつ菜「虹ヶ咲スクールアイドル同好会、優木せつ菜で」


せつ菜「CHASE!」

299: 2020/02/07(金) 00:09:00.99 ID:Lo1I1OWX
あなた(そういえばそんなこと言ったっけ)

あなた(諦めないで下さい、か)


『なりたい自分を我慢しないでいいよ』

『夢はいつか ほら輝き出すんだ!!』

あなた(夢…………)

あなた(私の、夢)

300: 2020/02/07(金) 00:36:18.62 ID:Lo1I1OWX
ガクッ

あなた「うっ……うぅ……」

栞子「大丈夫ですか……?」グスッ

あなた「ありがとう栞子さん。泣いてるんですか?」グスッ

栞子「あなただって泣いてるじゃないですか」グスンッ

あなた「ははっ、ホントだ……」

301: 2020/02/07(金) 00:37:21.05 ID:Lo1I1OWX
あなた(せつ菜ちゃんはこんなに大きくなったのに、私は何でこんな落ちこぼれてるんだろうってずっと思ってた)

あなた(でも今日やっと、なんであんなに自堕落だった分かった)

あなた(私はせつ菜ちゃんみたいに【大好き】をぶつけてこなかった、いや、ぶつけるほどの【大好き】がソングライターの仕事自体には無かったんだ)


あなた「私の大好きは──」

318: 2020/02/13(木) 05:42:44.33 ID:on9VBg1z
ー楽屋ー

ガチャッ

せつ菜「あ!来てくれたんですね!ありがとうございます!!」

あなた「うん、凄く良かった!!」

せつ菜「それからし……三船さんもありがとうございます!!楽しんでいただけましたか?」

栞子「そうですね。特にプロデビューしてからスクールアイドル時代の曲を歌ったのは初めてなので驚きました」

あなた「えっ、初めてなの?」

せつ菜「はい、三船さんの言うとおりです」

せつ菜「やはり声優はスクールアイドルとはまた別物ですし、いつまでも過去の栄光に囚われちゃいけないと思ったので、あえて歌わないようにしてたんです」

あなた「なんでそれを今日?スクールアイドル活動10周年とかそんな感じでも無いと思うけど」

せつ菜「あなたに聴かせたかったから」

あなた「えっ」

せつ菜「って、ホントは駄目なんですけどね。身内1人に聴かせるためにセトリを変えるなんて」

せつ菜「実はあなたが訪問してきた次の日、急遽セトリを変えたんです……」

あなた「え!?大丈夫だったの!?」

せつ菜「ダンスの方は体が覚えてました!スタッフの皆さんにはいっぱい迷惑をかけてしまいましたが……」

319: 2020/02/13(木) 05:48:09.15 ID:on9VBg1z
せつ菜「ホントは皆にも来て欲しいんですけど、あんまり人呼びすぎると怒られちゃいますから」

せつ菜「それにちょっと皆に声かけづらいっていうか、もう何年も連絡取ってない人もいますし」

あなた「やっぱり、私が皆を避けてたから……?」

せつ菜「そんなことありません……といいたいところですが、それもあると思います」

せつ菜「後は皆も大人になって色々忙しくなったんです。ちょっと寂しいけどそれは喜ばしい事ですから」

320: 2020/02/13(木) 05:54:11.08 ID:on9VBg1z
あなた「あ、ごめん!変なこと聞いちゃって!」

あなた「それで、何で私に聴いて欲しかったの?」

せつ菜「MCで言ったとおり、あなたの大好きを応援したかったんです。そのためにはあなたが作った曲をもう一度聴いて貰うのが1番だと思いましたので!」

せつ菜「あなたの大好きが何なのか、今の私には分かりません。でも、応援することなら私にも力になれるかなって!!」

321: 2020/02/13(木) 05:57:56.49 ID:on9VBg1z
あなた「ありがとう。せつ菜ちゃんのおかげでちょっと見えてきた気がする」

せつ菜「ホントですか!?」

あなた「うん。ほんとに何となくなんだけどね」

せつ菜「よかったです!あなたの力になれて!!」

栞子「期限を付けましたが、あまり必要無かったですかね」

あなた「いや、ほんとに何となくだから、結局見つからなかった時にはお世話になるかもしれない……」

栞子「そこは否定してほしかったです」

322: 2020/02/13(木) 05:58:46.57 ID:on9VBg1z
>>321訂正

栞子「期限を付けましたが、あまり必要無かったですかね」

あなた「いや、ほんとに何となくだから、結局見つからなかった時にはお世話になるかもしれない……」

栞子「そこは否定してほしくなかったです」

323: 2020/02/13(木) 06:11:37.62 ID:on9VBg1z
あなた「とにかくありがとうせつ菜ちゃん、三船さん。私もなりたい自分を見つけられるように頑張るよ」

せつ菜「え、もう行っちゃうんですか?」

あなた「うん、ちょっと行く所が出来たから」

せつ菜「だったら仕方ないですね……」

せつ菜「あ、だったら写真だけ撮ってもいいですか?当時の友人が遊びに来てくれました!!って。ネットに上げる時顔はちゃんと隠しますんで!」

あなた「いいよ。写真なんて久しぶりだね」

せつ菜「ほら、し……三船さんも!!」

栞子「今回も『またこいつか』とか書かれそうですね」

あなた(三船さんはいつも撮ってるんだ……)

324: 2020/02/13(木) 06:18:58.35 ID:on9VBg1z
あなた「そういえば三船さんと写真撮るの初めてかも」

せつ菜「あー……あの頃は散々目の敵にされてましたからね私達」

栞子「まぁ、私怨をぶつけていたのは否めません。まだ未熟だったとはいえすみませんでした」

あなた「あ、いや、別に謝って欲しいわけじゃなくて、ただ珍しいなーって……」

せつ菜「またそのうちこの3人で食事でも行きましょうよ!」

栞子「そうですね。私も色々話したいです」

あなた「えっ、どんな事言われるの……?」

栞子「そこまで露骨に引かれるといくら私でも傷つきます……」ショボン

あなた「わっ、わっ!ごめんなさい!」

せつ菜「ふふっ、じゃあ撮りますよ!!」

せつ菜「はい、チーズ!!」

カシャッ

325: 2020/02/13(木) 06:21:32.15 ID:on9VBg1z
あなた「それじゃあまたね、せつ菜ちゃん。今日はありがとう!!」

せつ菜「こちらこそありがとうございました!!私はずっとあなたのこと応援してますから!!」

栞子「頑張ってくださいね」

バタンッ

あなた「ふーっ……よし」スッ





メッセージを送信しました。

from しずく

339: 2020/02/18(火) 23:15:50.13 ID:z3dGf5jD
ガチャッ

あなた「あ、来てくれたんだ」

しずく「もちろん、先輩からのお誘いですから」

しずく「とはいっても、今日の夜に連絡だなんて急すぎますよ?たまたま仕事が早く終わっていたので来れましたけど」

あなた「ごめん……」

340: 2020/02/18(火) 23:17:50.41 ID:z3dGf5jD
しずく「まぁ先輩が思いつきで行動するのは知ってますのでいいですよ」

しずく「ふふっ、それより今度は髪ちゃんと結んできてるんですね。とっても可愛いです!」

あなた「あの時は急いでたから起きてからそのまんまで……」

しずく「懐かしい、ですけど。まさかその歳になってまだツインテールにしていたとは……」

あなた「いっ、いいでしょ!好きなんだから!」

しずく「うーん、確かにお世辞抜きでまだ十分可愛いですからね。」

あなた「もう、髪の話はいいから!」

343: 2020/02/18(火) 23:21:11.32 ID:z3dGf5jD
>>341
確かにそうだわ ごめん……

342: 2020/02/18(火) 23:20:04.75 ID:z3dGf5jD
しずく「それで、わざわざ先輩から呼び出したと言うことは、考え直してくれたって事ですか?」

あなた「それなんだけど」

あなた「私、ソングライターの仕事好きじゃなかったみたい」


しずく「…………え?」

345: 2020/02/18(火) 23:30:13.31 ID:z3dGf5jD
しずく「どういうことですか?」

あなた「思えばこの仕事、なりたくてなったっていう感じじゃ無かったし」

あなた「あの頃良い曲が書けてたのは皆のお手伝いがしたい!って熱意があったからなんだろうなって」


しずく「じゃあ私の曲は……?」

あなた「しずくちゃんには悪いけど、やっぱり無しって事で」

あなた「ほら、別の仕事するにしても何するか早めに決めないといけないし──」


しずく「そんなの嫌です!」バンッッッ


あなた「し……しずくちゃん……?」

347: 2020/02/18(火) 23:40:47.49 ID:z3dGf5jD
しずく「なぜですか……声をかけるのが遅かったからですか?私のために曲を作るのが嫌なんですか?」

あなた「いや、嫌というか書けないというか……」

しずく「たとえ仕事が好きじゃなくても、私のためになら書けたりとかはしませんか!?」


あなた「しずくちゃん……なんでここまで私に拘るの?」

あなた「あの頃はアマチュアのスクールアイドルだったからともかく、今は色んな人から声がかかってるんでしょ?」

あなた「私なんか比べものにならないくらい凄い人だし、絶対私より良い曲ができるよ!なのにどうして!?」


しずく「相変わらず、先輩はにぶちんですね」

348: 2020/02/18(火) 23:42:31.71 ID:z3dGf5jD
しずく「それは……」

しずく「…………」

あなた「しずくちゃん?」

しずく「はぁ…………言えません」

しずく「駄目ですね。お芝居なんて何回もしてきたはずなのに、あの頃と同じ。私は変わってない」

377: 2020/03/03(火) 02:24:20.14 ID:Lrr9o5tz
しずく「先輩、明日暇ですか?」

あなた「えっ、暇だけど。というより仕事もしてないのにわざわざ聞く必要ある?」

しずく「そうでしたね……すみません」


あなた「しずくちゃんは明日暇なの?」

しずく「…………ええ」

あなた「へぇ、意外だよ。しずくちゃんみたいな人気者は休みなんて無いかと思ってた」

しずく「休みは作る物ですよ」

あなた「へ?」

379: 2020/03/03(火) 02:29:38.69 ID:Lrr9o5tz
しずく「あ、いえ!ところで明日どうします?私が迎えに行きましょうか?」

あなた「えーと……」

あなた(って駄目だ!今の私の部屋結構散らかってるのに、そんな部屋見せられるわけ無い!)

あなた「お、お台場駅前で!お台場駅前でお願い!」

しずく「え~残念です。折角だから私が先輩を起こしに行きたかったのに」

あなた「な、何言ってるのしずくちゃん!?そういう冗談はいいから!」

しずく「流石に分かります?」

あなた「いくらしずくちゃんが大女優でもそれくらい分かるよ!」

しずく「実は冗談じゃないです」

あなた「え!?」

380: 2020/03/03(火) 02:33:33.29 ID:Lrr9o5tz
しずく「冗談です」

あなた「どっち!?」

しずく「すみません。先輩があまりにも素直なのでつい」

あなた「もー、からかわないでよ」

しずく「寝顔は見てみたかったですけど」ボソッ

あなた「ん?」

しずく「ん”ん”っ!」

しずく「それでは朝9時にお台場駅でおいですか?」

あなた「あ、うん。分かった」

384: 2020/03/03(火) 02:40:09.60 ID:Lrr9o5tz
あなた「ところで明日何するの?」

しずく「それは明日になってからの秘密です」

しずく「今日はもう遅いので私もう帰りますね」

あなた「え、もうこんな時間!?」

あなた(ってせつ菜ちゃんのライブ後に来たんだから当然か)

あなた「私も出るよ。明日遅刻するわけにはいかないし」

あなた「えーと、いくら?」

しずく「私が全部出しますから先輩はいいですよ!」

あなた「いや、そんな!せめて私の分だけでも……」サッ

あなた(千円札4枚しか入ってない……)

あなた(貯金幾らだったっけ……)


カランカラン

「ありがとうございましたー」

あなた「え、しずくちゃんもう払っちゃったの!?」

386: 2020/03/03(火) 02:44:53.96 ID:Lrr9o5tz
カランカラン

あなた「待ってしずくちゃん!」

しずく「私が払うって言ったじゃないですか」

あなた「いやでも……」

しずく「それじゃあ明日返してください。それでいいですか?」ニコッ

あなた「分かった、明日ね」

しずく「それじゃあお休みなさい。気を付けて帰って下さいね」フリフリ

あなた「お休みなさい!しずくちゃんも気を付けてね!」フリフリ

387: 2020/03/03(火) 02:46:29.57 ID:Lrr9o5tz
ーーーー

ピロンッ

ピロンッ

ピロンッ

あなた「んー……」

ピロンッ

ピロンッ

ピロンッ

あなた「何……?」

ピロンッ

ピロンッ

ピロンッ

あなた「アラーム……じゃないよね。」

スッ

あなた「まだ6時前だし……」

390: 2020/03/03(火) 02:55:23.22 ID:Lrr9o5tz
ピロンッ

ピロンッ

ピロンッ

あなた「五月蝿いなー……一体何事?」カチッ


【通知】
?夢ちゃん (1031)件の未読

ピロンッ

【通知】
?夢ちゃん (1032)件の未読

ピロンッ

【通知】
?夢ちゃん (1033)件の未読



あなた「ひっ!」ポトッ

395: 2020/03/03(火) 12:24:28.83 ID:Lrr9o5tz
あなた「ビックリした……1000件って」

あなた「そういえば步夢ちゃんのメッセージ見なくなったのっていつからだろう」

あなた「昨日までは何件未読だったっけ……」

ピロンッ

ピロンッ

あなた「鳴り止まないよ……どうしよう」

あなた「とりあえず設定で通知オフにして……」


步夢ちゃん
無事なんだよね?ねぇなんで返事くれないの?    (1039)


トーク一覧でチラッと見えたメッセージ。
どうやら同じような内容の文章を送り続けているようだ。

あなた(なんで急に……。こんなに連続でメッセージを送ってくることなんか今まで無かったのに)

396: 2020/03/03(火) 12:30:28.18 ID:NxDo8p7t
あなた「あ、せつ菜ちゃんから電話だ」

あなた「もしもし?」

せつ菜「聞いて下さい!朝起きたら步夢さんから30件ほど通知が来ていて!」

あなた(30件程で済んだんだ)

せつ菜「何だろうって気になって電話してみたんですよ」

せつ菜「そしたら昨日あなたと一緒にいたの!?今あの子どこにいるの!?って凄い圧で聞かれてしまって……」

あなた「なんで分かったんだろう」

せつ菜「あ、あれじゃないですか?昨日の夜3人で撮った写真あげたから」

あなた「あっ」

せつ菜「とはいえ私以外の顔はちゃんと隠してますよ!まぁ步夢さんには顔隠した程度では分かっちゃったみたいですけど」

397: 2020/03/03(火) 12:35:41.06 ID:Lrr9o5tz
あなた「それで、何か步夢ちゃんと話した?」

せつ菜「昨日ライブに来て貰ったって話したら、今度は何で私の所には来ないのって」

せつ菜「分かりません!気になるなら直接聞いたらどうですかって言いました。正直あの時の步夢さん、何だか怖かったです」

せつ菜「ところで、步夢さんとも連絡取ってないんですか?」

あなた「…………」

せつ菜「話しにくいんですか?今の状況のこと」

あなた「…………」

398: 2020/03/03(火) 12:40:42.32 ID:Lrr9o5tz
あなた「せつ菜ちゃんは話したの?今の私のこと」

せつ菜「詳しくは話してません。それはあなたが直接伝えるべきかと思って」

あなた「そう……よかった」

あなた「步夢ちゃんにはいずれ話すよ。少なくとも今のこんな様子じゃ步夢ちゃんに合わせる顔が無い」

せつ菜「…………そうですか」


せつ菜「あまり私が口出しするものでは無いと思いますけど、ちゃんと声に出して話し合わないと伝わりませんよ」

せつ菜「逆に声に出せばきっと伝わるはずです。敵対していた栞子さんみたいに」

せつ菜「朝早くすみませんでした、失礼します」

ガチャッ

あなた「…………」

あなた「はぁ……起きよ」

419: 2020/03/11(水) 21:15:37.59 ID:yDb4yjes
ーお台場駅前ー

あなた「着いたけど……」

キョロキョロ

あなた「しずくちゃんどこにいるんだろう。そういえば特に駅のどこで待つとか決めてなかったよね」

あなた「しずくちゃんらしい人は──」

トントン

あなた「はい?」クルッ

「おはようございます」

あなた「え、おはようございます……」

あなた「あの、どちら様ですか……?」

「ふふっ、先輩でも分からないならこの変装は完璧ですね!」スッ

そう言って目の前の女性はサングラスを外し、舌をペロッと出した。

あなた「えっ……しず──ん”ん”!?」

「ちよっと先輩!名前出さないでください!!」ギュムッ

あなた「ごっ、ごめん」

「もう、言っちゃったらこの格好の意味ないじゃ無いですか……」

420: 2020/03/11(水) 21:21:39.52 ID:yDb4yjes
↑目立ちそうなので黒メガネにします。


そう言って目の前の女性は再び眼鏡をかけ直す。

帽子を被って長い髪をコートの中にしまい、黒眼鏡(伊達かな?)をかけたその姿はいつものしずくちゃんとは違い少し地味めで、注意深く見ないとしずくちゃんとは分からなかった。

あなた(これが芸能人の変装ってやつか……初めて見た)

421: 2020/03/11(水) 21:27:59.65 ID:yDb4yjes
しずく「とりあえず移動しましょうか」

あなた「あ、うん」




あなた「芸能人って大変なんだね」

しずく「いつもはここまでしないんですけどね、今日は騒ぎになって先輩との時間の邪魔でもされてはかないませんから」

あなた「凄い変装だね。言われないと分からなかったよ」

しずく「先輩には気づいて欲しかったかも……。私先輩が着く10分前にはいたんですよ?」

あなた「え、ごめん!」

しずく「いえ、ただの私のワガママですから」

422: 2020/03/11(水) 21:35:48.06 ID:yDb4yjes
プルルルル

あなた(あれ、通知は切っておいたはずだけど)ゴソゴソ

しずく「あ、私です。ちょっと失礼しますね」ピッ


しずく「はい……はい……」ボソッ

しずく「そうなんです……朝から体調が悪くて……はい」ケホッケホッ

しずく「すみません。ありがとうございます。それでは……」ピッ

しずく「すみません先輩!」ケロッ

あなた「え、しずくちゃんもしかしてサボり?」

しずく「昨日言ったじゃないですか。休みは作る物だって」

423: 2020/03/11(水) 21:37:47.95 ID:yDb4yjes
あなた「い、いや!そんなの悪いよ!私はいつでも大丈夫だからしずくちゃんの都合の良い日でも……」

しずく「それじゃあ何年先になるか分からないですよ」

あなた「えっそんなに!?」

しずく「何年、は言い過ぎかも知れませんけど、少なくともここ数ヶ月は予定がびっしりでこうでもしないと丸1日休みなんてありませんよ」

しずく「好きでやってることですから仕方ありませんけど」

あなた「なんか悪い事しちゃったかな」

しずく「先輩が気にする必要ありませんよ。誘ったのは私なんですから」

425: 2020/03/11(水) 22:41:55.67 ID:yDb4yjes
しずく「それよりほら、今日はどうします?折角先輩と2人きりでお出かけなんだから楽しまないと!」

あなた「あ、特に行く場所とかは決めてないんだ」

しずく「昨日決めましたから流石に考える時間はありませんでした。それに念入りに準備なんかしなくても先輩といるだけで楽しいですから!」

あなた「私も、またしずくちゃんと遊べて嬉しい!」

426: 2020/03/11(水) 22:50:20.33 ID:yDb4yjes
しずく「先輩はどこか行きたい場所とかありませんか?」

あなた「んー……とりあえず映画館行こうよ」

しずく「いいですよ。行きましょう!」



ーーーー

ー映画館ー

しずく「先輩、何見ます」

あなた「うーん……あ、これしずくちゃん主演の奴じゃない?」

しずく「あ、はい……。そうです……///」

あなた「これ見てもいい?」

しずく「え?」

あなた「そういえば私しずくちゃんの出てる番組とかちゃんと見たことあんまり無かったなって」

あなた「きっと羨ましかったんだ。でも今ならちゃんと向き合えると思う」

あなた「駄目かな?」

しずく「いいえ、駄目じゃありません!是非見てください!精一杯演技しましたから!!」

428: 2020/03/11(水) 23:36:26.61 ID:yDb4yjes
しずく「ど、どうでしたか……?」

あなた「…………」グスッ

しずく「先輩!?泣いてるんですか!?えっとハンカチハンカチ……」

あなた「ごめんしずくちゃん……映画も良かったけど、それ以上にしずくちゃんの演技に圧倒されちゃって……」グスッグスッ

しずく「そこまで言っていただけるなんて役者冥利につきます」

あなた「きっといっぱい努力したんだよね。流石大女優なんて言われるだけあるよ」

しずく「ありがとうございます…………」

あなた「今のしずくちゃんはもうあの自分を大女優だって奮い立たせてたあの子とは違って、立派な大女優なんだね……」

しずく「…………」

あなた「やっぱり私なんかいなくても……」

しずく「ちょっと先輩!何でそうなるんですか!」

429: 2020/03/11(水) 23:45:25.07 ID:yDb4yjes
しずく「先輩は自分を過小評価しすぎです!」

しずく「私がここまで演じられるようになったのはスクールアイドル時代の先輩のアドバイスのおかげですし、私はまだまだ現状で満足なんかしてません!更なる高みを目指すためにはこれからも先輩が必要なんです!」

しずく「あっ、先輩が必要と言っても、別に変な意味では無くて……」

あなた(相変わらず凄い肺活量……)

あなた「あはは、ごめん」

しずく「あ、からかいましたね!?」

あなた「いや、そういう訳じゃ無いよ!」

あなた(私を必要としてるって言ってくれるのが嬉しくて、つい)

今までの他の皆にはもう私以外の大切な人がいた。
だから、しずくちゃんに私が頼りにされている事がたまらなく嬉しかった。

431: 2020/03/11(水) 23:54:20.22 ID:yDb4yjes
>>429追記

あなた(私を必要としてるって言ってくれるのが嬉しくて、つい)

今まで会った他の皆にはもう、私以外の大切な人がいた。それは仕方ない事だけど、やっぱりどこか寂しさが募っていった。

だからしずくちゃんが、私を必要としてくれている事がたまらなく嬉しかった。

438: 2020/03/14(土) 17:48:40.78 ID:ElMxbCx7
しずく「あと、あんまり大女優大女優って言わないでくれると助かります」

あなた「え、なんで?」

しずく「やっぱり皆色眼鏡で見ますから。芸能界では演じていないときでも女優という桜坂しずくを演じているんです。そう振る舞ってるのは私の方なんですけど」

しずく「だから演じていない素でいられる今は凄く落ち着くんです。先輩は私のこと女優じゃなく後輩の女の子として接してくれないと嫌です!」

あなた(か、可愛い……!)

しずく「今女の子……?とか思いました?」

あなた「思ってない!思ってない!」

あなた(気にしてるのかな?)

439: 2020/03/14(土) 17:57:35.66 ID:ElMxbCx7
グ~

しずく「あっ……///」

あなた「……プッ」

しずく「今笑いましたね先輩!?」

あなた「いや、ごめん!つい!」

あなた「ほら、丁度いい時間だしお昼行こうよ!」

しずく「むぅ……。分かりました」

しずく「先輩は何か食べたい物とかありますか?私が全部出しますよ」

あなた「え、いいの!?」

あなた「あっ……ごめん。何か後輩にタカってるみたいに……」

しずく「私は別に構いませんよ。お金ならたくさんありますし」

あなた「ほ、ほんと?実は行ってみたかった所が……」

440: 2020/03/14(土) 18:01:32.54 ID:ElMxbCx7
ごめん
うっちーの通知が来た

444: 2020/03/14(土) 22:53:48.62 ID:ElMxbCx7
カランカラン

「いらっしゃいませ」

しずく「このレストランは……」

あなた「あれ、来たことあった?」

しずく「いえ、何かの紹介で見たことはあります。行ったことは無いですけど」


ペラッ

しずく「わっ、ランチのコース料理が5000円ですか。結構お高いですね」

あなた「でしょ?それにここの店雰囲気的に私1人じゃ入れなくって。ごめんね?」

しずく「いえ、私は構いませんよ。確かにお値段がするだけあって美味しそうです!」


「あの、すみません。失礼ですが、もしかして近江……いや、近江さんの……?」

445: 2020/03/14(土) 22:56:17.35 ID:ElMxbCx7
あなた「え?あ……」

ーーーー

彼方『おー!キミか~偶然~。最近よく会うね~』


『そ、そうだな……。偶然だな……』

『その……今日も一緒に行っていいかな』


ーーーー

あなた(この人あの時の……)

446: 2020/03/14(土) 23:06:59.36 ID:ElMxbCx7
あなた「はい、彼方さんの友人です」

「やっぱり!」

しずく「え、ここ彼方さんが働いてる店だったんですか!」

あなた「うん、ちょっと前知ったんだ」


あなた「でもよく分かりましたね」

「いや、あい……近江さんから散在聞かされてるんで。妹が大好きみたいでその話ばっかなんですけど、それと同じくらいあなたの話も滅茶苦茶してくるんですよ」

「スクールアイドルやってた時の写真とかもよく見せてもらってそれで」


「…………え、てことはその横に座ってる方ってまさか……」チラッ


しずく「!」


しずく「しっ、しーっでお願いします!お忍びなんです!!」ボソッ


「あっ、すみません……」シーッ

447: 2020/03/14(土) 23:19:44.43 ID:ElMxbCx7
「注文運ぶときあいつに行かせますね!」ダッ


あなた「とうとうあいつ呼び隠さなくなってる……」



彼方「おぉ~本当にあなたが来てる!」ゴトッ

彼方「それにしず──」

しずく「かっ彼方さん!名前は言わないでくれると助かります!!」ボソッ

彼方「あ、お忍びって奴?ごめんねしず──」

しずく「彼方さん!」キッ

彼方「あっ、ごめんね。つい」

449: 2020/03/15(日) 16:14:15.82 ID:ve9XuZpA
あなた「うわ~美味しそう!流石5000円のランチ……」

あなた「これ彼方さんが作ったの?」

彼方「まさか~。彼方ちゃんはまだまだ修行中なのです」

しずく「彼方さん程の腕ならすぐ任せられてもおかしくないと思いましたが、料理の世界も厳しいんですね」

あなた「いつか自分の店出せるといいね」

彼方「うん、彼方ちゃん頑張る~。もしお店を出したら皆を1番に招待するよ!」


彼方「それじゃあ、ごゆっくり~」

450: 2020/03/15(日) 16:22:16.54 ID:ve9XuZpA
パクッ

あなた「あっ……」

しずく「どうかしましたか?先輩」

あなた「いや、この前彼方さんに料理食べさせて貰ったんだけど、この料理は確かに彼方さんのよりも凄く美味しいなって。素人でも分かっちゃう」

あなた「実力主義の世界なんだね。料理も……音楽も……」

しずく「先輩……」

あなた「ごめん、折角のランチなのに!さ、しずくちゃんも食べて?これすっごく美味しいよ!」

しずく「先輩、認めたくないかもしれませんが、音楽は完全な実力主義では無いです」

あなた「え?」

しずく「コネです」

あなた「コネ……」

451: 2020/03/15(日) 16:34:23.45 ID:ve9XuZpA
しずく「実力はあるのに芽が出ないまま沈んでいくなんて、音楽の世界では珍しくないです。音大を主席で卒業しても音楽で食べていけるとは限りませんから」

しずく「実際先輩の音楽だって埋もれていました。でも業界と設定でもあれば多くの人に聴いてもらえます。先輩ならすぐにでもプロにだって!」

しずく「これも私と先輩の縁です!音楽業界には知り合いもいますし、先輩がよければすぐにでも──」

あなた「今の私の実力じゃ無理だよ。しずくちゃんの顔に泥を塗ることになる」

しずく「すみません、そうでしたね。先輩が乗り気じゃないなら無理になんて言えません」


しずく「それでも私は……いえ、やめましょう。食事中に気を悪くさせてすみませんでした」


あなた「…………」

452: 2020/03/15(日) 16:36:46.42 ID:ve9XuZpA
ーーーー

しずく「さて、気を取り直して!一緒に服見て回りましょう!」

あなた「え、服?」

しずく「先輩に似合う服色々探したいんです!勿論私がプレゼントします!」

あなた「え、そんな悪いよ」

しずく「私がしたくてしてるんだから先輩は遠慮しないでください!」

453: 2020/03/15(日) 16:40:04.92 ID:ve9XuZpA
しずく「ほら、これなんてどうですか?

あなた「うわぁ~。でもこれ可愛すぎないかな?私もうすぐ三十路なんだけど……」

しずく「先輩今でも高校生みたいに見えるから大丈夫ですよ!」

あなた「え、私そんなに子供っぽい!?」

454: 2020/03/15(日) 16:44:07.49 ID:ve9XuZpA
しずく「ほらっ、これもこれも!や~可愛い~!」

あなた(あれ?)


しずく「今度はこれ来てぶりっ子ポーズしてみてください!」

あなた「ぷりぷり」

あなた(これってまさか)


しずく「次はこれ来て壁ドンしてください!」

あなた「俺の物になれよ」

しずく「~~~ッッッッ!!低身長ツインテールなのに格好いいこのギャップ!!!最高です!!」

あなた(私着せ替え人形にされてる……?)

455: 2020/03/15(日) 16:49:50.08 ID:ve9XuZpA
あなた(なんか疲れた……)

しずく「もう……私が買ってあげるのに、先輩ったら別にいいの一点張りなんて」

あなた「服には困ってないし、それに今の服気に入ってるし」

しずく「黒を基調に色んなインクが散らばってるデザイン……。あまり見ない服ですけど何処のブランドですか?」

あなた「島村」

しずく「え、島村さん?オーダーメイド品ですか?」

あなた「いや、だから島村。ファッションセンターの」

しずく「え……先輩島村の服着てるんですか……?」

461: 2020/03/15(日) 19:30:06.32 ID:ve9XuZpA
あなた「お金無いときに、いや今もお金無いんだけど、島村の服にお世話になってね」

あなた「今ではすっかり島村の服気に入っちゃって。寧ろ高い服に苦手意識持つようになっちゃったんだ」

しずく「し、島村ですか……」ジーッ

あなた「意外と悪くないよ」

しずく「確かにそのデザインは私もわりと好きですけど……」

あなた「じゃあお揃いにする?」

しずく「え?」

462: 2020/03/15(日) 19:32:41.11 ID:ve9XuZpA
ーファッションセンター島村ー

あなた「あったあった」

しずく「メンズコーナーにあるんですね」

あなた「しずくちゃんは白が似合うかな。色違いでおそろだね!」

しずく「…………私これ買ってきます!」

あなた「え、決断はやっ!」

463: 2020/03/15(日) 19:37:18.82 ID:ve9XuZpA
しずく「どうですか、先輩」

あなた「やっぱり、しずくちゃんは白が似合うね!」

しずく「そ、そうですか?先輩とお揃いなんて嬉しいです」

しずく「今日はそのままこれ着ますね?ふふ、おそろデートです///」


後日しずくちゃんがツイッターに載せたこの服が話題となり、全国の島村から消える事態に発展することになるのだけれど、それはまた別の話。

466: 2020/03/15(日) 22:07:37.41 ID:ve9XuZpA
しずく「歩いたからちょっと小腹空きましたね」

あなた「あ、それならパン屋よって行かない?」

しずく「パン屋ってかすみさんのですか?」

あなた「そうだけど……よく分かったね」

しずく「さっきも彼方さんのお店でしたし、今度もそうかなと」


あなた「この前また来てくださいって言われて行けてなかったからね。折角だからしずくちゃんと一緒に会いに行こうかなって」

しずく「…………かすみさんと会うのは別にいいですけど、私は先輩と2人きりがいいのにな」ボソッ

あなた「嫌かな……?」

しずく「い、いえ!そんなことありません!私も久しぶりですし、行きましょう!」

467: 2020/03/15(日) 22:15:35.49 ID:ve9XuZpA
ーかすみんベーカリーー

かすみ「いらっしゃいませー!」

しずく「かすみさん久しぶり」

かすみ「え?」

しずく「私ですよ私!」

かすみ「えっ……もしかしてしず子!?嘘、凄い久しぶり!!」

キャッキャッ

あなた(なんだ、やっぱりしずくちゃんもかすみちゃんに会えて嬉しいんだね)

469: 2020/03/15(日) 22:38:36.09 ID:ve9XuZpA
しずく「仕事忙しくなってから全然会えなくってごめんね。結婚式の招待も来てたのに行けなくて……」

かすみ「でもしず子ビデオレター送ってくれたじゃん!すっごく盛り上がったんだから!」


かすみ「先輩も、また来てくれてありがとうございます!」

あなた「うん、パンが美味しかったらまた来るって言ったからね」

かすみ「ふふん、だから言ったでしょ?かすみんのパンは世界一美味しいって」

かすみ「しず子がお気に入りのパン屋さんって宣伝してくれてるおかげもあってもう毎日売れまくりですよ!」


「友達に見栄張るな!」バンッ


あなた「今なんか厨房から聞こえてきたけど……」

かすみ「うっ」

470: 2020/03/15(日) 22:49:31.72 ID:ve9XuZpA
かすみ「売り上げの方は個人経営にしてはって感じです……」

かすみ「でもでも、世界一美味しいのはホントだし、色んな新しいパン作り頑張ってるもん!」

しずく「かすみさん、誰も攻めてないから、落ち着いて?」

かすみ「はっ、すみません……つい理想とのギャップが」

かすみ「もー、あなたも余計なこと言わないでよ!」

471: 2020/03/15(日) 22:56:42.62 ID:ve9XuZpA
あなた「理想とのギャップか……なんか凄く分かるな」

かすみ「え?」

あなた「私も実力と世間の評価のギャップに悩んでたから」

あなた「かすみちゃんはなんでそのギャップに耐えられてるの?」


かすみ「……私はパンを作るのが好きだから、もっと皆に私のパンを食べて欲しいって思ってるから」

かすみ「その気持ちがあるから、たとえ理想より売れなくてもずっと続けていられるんです」

かすみ「それに、今はそれ程有名で無くても、いつかは皆分かってくれるって信じてますから!そのための努力だって欠かしてません!」

かすみ「夢はでっかくです!」

あなた「かすみちゃん……」

472: 2020/03/15(日) 23:02:11.00 ID:ve9XuZpA
あなた「ありがとうかすみちゃん」

しずく「先輩、おしゃべりもいいですけど、パン決まりましたか?」

あなた「あ!直ぐ選ぶね!」ピュー



しずく「ねぇ、かすみさん。お腹の子今何カ月なの?」

かすみ「6カ月です。触ってみる?」

しずく「いいの?それじゃあ……」ピトッ


ドクンッ

しずく「わっ、音聞こえた!凄い!」

しずく「へぇ……かすみさんももうお母さんかぁ」

かすみ「産まれてくるのが楽しみだよ~」

473: 2020/03/15(日) 23:11:00.70 ID:ve9XuZpA
しずく「子どもか……私は多分……」

かすみ「?」


かすみ「ね、しず子は付き合ってる人とかいないの?」

しずく「え、私?」

かすみ「あ、でも芸能人だとそういうの秘密にしないといけないのかな。ね、かすみんにだけ教えてよ!かすみん口堅いから!」

しずく「かすみさんの口が堅いかはともかく、付き合ってる人はいないよ?結婚の予定も無いし」

かすみ「えー芸能人ってやっぱりモテモテじゃないのー?」

しずく「まぁ、それなりに?」

かすみ「いいなー。俳優のあの人とかあの人とか~」

「お前そういう話夫の前でするんじゃねーよ」バンッ

474: 2020/03/15(日) 23:14:37.37 ID:ve9XuZpA
あなた「お待たせ!」

かすみ「ね、しず子!また来てよね!」

しずく「うーん、どうしょっかな~?」

かすみ「もう!意地悪言わないでよ!」

しずく「冗談だよ。前みたいに通うのは出来ないけど、絶対また来るね」

かすみ「絶対だからね!」

475: 2020/03/15(日) 23:16:13.07 ID:ve9XuZpA
あなた「さてと、何処で食べよっか」

しずく「いつものお気に入りの場所でいいですか?」

あなた「いいね、そうしようか!」

481: 2020/03/17(火) 01:05:26.48 ID:hcxG1gh+
キズナエピずっと待ってるわけにも行かないので、お気に入りの場所は想像で書きます


ーお台場海浜公園ー

あなた「懐かしいね、ここ。昔しずくちゃんに連れられたっけ」

しずく「覚えててくれたんですね!」

あなた「今でもよく来たりしてるの?」

しずく「えぇ、お芝居に行き詰まったりした時とかはたまに。結構目撃情報とかもあったりして」

あなた「じゃあここにいたら見つかっちゃうかもしれないね。場所変える?」

しずく「先輩が気にすることじゃありませんよ!別に男性といるわけじゃ無いんですからスキャンダルとかにはなりません」

あなた「それもそっか」

482: 2020/03/17(火) 01:12:18.81 ID:hcxG1gh+
あなた「そこのベンチでパン食べよっか」

しずく「そうですね」


パクパク


あなた「ん、やっぱり美味しい!」

しずく「腕をあげたね、かすみさん。皆にも教えてあげなきゃ!」パシャッ

あなた「宣伝?」

しずく「はい、また2人で遊びたいって言っておきながら全然会いに行けてないので、お詫びも込めて。ファンの方にも好評らしいですが、まだ一部にしか知られてないみたいで」

しずく「勿論本当に美味しいから美味しいって言ってるんですよ?」

あなた「それは今このパンを食べてる私達がよく分かってるって!」

483: 2020/03/17(火) 01:19:00.61 ID:hcxG1gh+
あなた「それにしてもしずくちゃんの宣伝か……」

しずく「先輩も宣伝して欲しくなっちゃいました?」

しずく「って上からですね。すみません」

あなた「いや、かすみちゃんのはしずくちゃんも言ったとおり本当に美味しいから単なる身内贔屓になってないだけで」

あなた「私の曲はなぁ……」


しずく「…………」


しずく「私も無理にとはもう言いません」

あなた「え?」

あなた「昨日はあんなに必死だったのに……」ボソッ

しずく「もっと迫って欲しかったですか?」

あなた「あっ、違っ……!」

484: 2020/03/17(火) 01:23:12.63 ID:hcxG1gh+
しずく「北風と太陽ですよ。私もあの後少し冷静になって、先輩に強要しても逆効果なんじゃ無いかって思ったんです」

しずく「だから今は無理にとは言いません。先輩が書きたくなったら書いてください。私はいつでも大歓迎ですから!」

あなた「しずくちゃん……」

485: 2020/03/17(火) 01:25:45.16 ID:hcxG1gh+
しずく「でも先輩が早くしないと、私もしびれを切らして他の人の曲でアーティストデビューしちゃうかもしれませんよ?」


あなた「…………」


あなた「あの、1つ聞いていい?」

しずく「なんですか?」

あなた「昨日言ってた私に拘る理由っていうのは……」


しずく「…………」

486: 2020/03/17(火) 01:31:07.64 ID:hcxG1gh+
しずく「教えません」プイッ

あなた「え!?」

しずく「そうですね……曲をくれたら教えてあげます。知りたかったら曲を下さい❤」ニッコリ

あなた「くっ……知的好奇心を利用するとはしずくちゃん策士……!」

しずく「作詞だけに?」

あなた「あ、しずくちゃんってば愛ちゃんみたい!」

しずく「自分でも思いました!」


アハハハハ



ーーーー

487: 2020/03/17(火) 01:34:55.48 ID:hcxG1gh+
しずく「先輩とまたここで一緒に散歩できるなんて嬉しいです」

あなた「そう?私も嬉しいな」

しずく「えっ……」

しずく「…………」

しずく「あっあの!手繋いで歩いてもいいですか!?」

あなた「大丈夫?声裏返ってるよ?」

しずく「もう、からかわないで下さい!」

あなた「ごめんごめん。はい」スッ

しずく「……はい」

ギュッ

しずく(先輩の手、あったかい……)

あなた(うわっ、やっぱり近くにいるとしずくちゃん凄くいい匂いする///)

488: 2020/03/17(火) 01:41:35.71 ID:hcxG1gh+
あなた「でもこうしてしずくちゃんといるだけでホントに楽しいや。皆とも一緒にいるだけで楽しかったし」

しずく「皆とも……ですか」

あなた「何で今まで皆のこと避けてたんだろう。あ、今の自分を見られたくないからか」

しずく「先輩のことを非難する方なんて誰もいないと思いますけど」

あなた「そうかもしれないけど、私自身が恥ずかしいというか」

あなた(相変わらず步夢ちゃんに会う踏ん切りは付かないし)

489: 2020/03/17(火) 01:43:49.48 ID:hcxG1gh+
あなた「夕暮れ綺麗だね」

しずく「そうですね。今日はとっても楽しかったです!」

しずく「あ、そうだ先輩。私実は行ってみたいところがあって……」

あなた「お昼は私の我が儘聞いて貰っちゃったしいいよ。何でも言って?」

しずく「はい!案内します!」

490: 2020/03/17(火) 01:49:36.01 ID:hcxG1gh+
カランカラン

「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

しずく「はっはい!」

あなた「……?」キョロキョロ

「本日はどういった娘をお好みでしょうか」

しずく「あ、そういうの選べるんですね。えーと、格好いい雰囲気だけど、ボーイッシュ程ではないくらいの娘を……」

「かしこまりました。お部屋までご案内しますね」

491: 2020/03/17(火) 01:50:39.83 ID:hcxG1gh+
「それではお呼びして参りますので、こちらでお待ちください」

しずく「ひゃっ……ひゃい!///」

あなた「あのーここって……」

しずく「キャバクラです」

あなた「あ、やっぱり?」

496: 2020/03/17(火) 18:06:18.51 ID:hcxG1gh+
しずく「あ、勘違いしないでくださいね。これはあくまで演技のための勉強ですから」っっ

しずく「いずれこういう店に関する役をすることもあるでしょうし、1度来てみたかったんです」っっ


しずく「それに1人じゃ男性向けの場所は入りにくいじゃないですか。先輩と2人なら勇気が出るかなって」っっ

しずく「だからっ、単純に興味があったからとかそういうのでは無いんですよ!?」っっ
 

あなた(すっごい早口で言ってる)

497: 2020/03/17(火) 18:09:07.24 ID:hcxG1gh+
コンコン

「お待たせ~」

しずく「き、来ました!!」

あなた(しずくちゃん普通に楽しんでない……?)




ガチャッ

果林(29)「失礼しま~す」

しずく「え?」

あなた「あれ?」

果林「えっ」

508: 2020/03/18(水) 17:32:00.61 ID:J/IvaJMD
果林「…………」

キィィィ

あなた「ちょっと待って!帰ろうとしないで!」

果林「…………はぁ。どうしてキミ達がいるの?なんでここが分かったの?」

果林「まぁ一部で元スクールアイドルがいるって噂にもなってるし、そりゃあキミ達にもバレるわよね」

しずく「い、いえ……たまたま評判が良さそうな店を選んで店員さんに女の子をオススメしたらたまたま果林さんが出てきたというか……」

果林「え、知ってたからウチの店に来たんじゃ無いの?」

しずく「たまたまです」

果林「だったらなんでキャバクラなんかに!?」

しずく「それは……興味本位といいますか……」


果林「はぁ…………私運は良い方だと思ってたのに」

509: 2020/03/18(水) 17:42:22.45 ID:J/IvaJMD
あなた(果林さん、会ったのは同好会の頃以来だけど、ショートの髪と厚すぎない化粧、それに高そうな服がより妖艶さを際立ててられてる……!)

あなた(なんていうかエ ギリギリを攻めたセクシーさで、女子の私でもドキドキしてきちゃう……!!)

果林「それにしてもキミ達のその服何?特にしずくちゃんなんてテレビで見るのはもっとオシャレな格好なのに」

しずく「こ、これはその……///」

果林「よく見たらお揃いじゃない!ラブラブね❤」

しずく「お似合いだなんてそんな……///」

510: 2020/03/18(水) 17:51:34.06 ID:J/IvaJMD
果林「まぁ折角来たんだし、楽しんでいって!お酒つぐわね」ジョボボボボボ

しずく「あ……お願いします……」

果林「ほら、キミも!」ジョボジョボ

あなた「あっ……///」(近っ)

果林「なぁに?顔赤くしちゃって、可愛い❤」

あなた「…………!!」ドキドキ

果林「ほぉら、もっと近くに来て?」ギュッ

しずく「ちょっ……ちょっと果林さん!」ガタッ

果林「どうしたのしずくちゃん、ここはそういう店よ?」

511: 2020/03/18(水) 17:57:53.64 ID:J/IvaJMD
果林「しずくちゃんもあの頃より大分綺麗になって可愛いわ。お姉さん食べちゃいたいくらい」

しずく「わっ……///」

チュッ❤

しずく「っっっ!!!?///」

あなた「…………!!?」ドキドキドキ


果林「今度はお口にキスしちゃおうかしら」

しずく「…………///」カァァァ

あなた「うっ、うわぁぁ……」バクバクバク

512: 2020/03/18(水) 18:20:24.02 ID:J/IvaJMD
果林「ねぇしずくちゃん、私もお酒飲みたいんだけど、頼んでもいいかしら」

しずく「は……はいっ///」

果林「ありがとう、しずくちゃん」ニコッ


果林「すみませーん!これとこれと、あとこれもお願いします」

しずく「ふーっ……ふーっ……」

あなた(色んな演技をしてきたしずくちゃんがここまで流されるなんて……)

あなた(キャバクラ……なんて恐ろしい場所なんだ!)

530: 2020/03/23(月) 19:11:46.72 ID:8qLLxb4Z
しずく「はぁ……はぁ……///」

あなた「ちょっとしずくちゃん大丈夫!?恋愛系はお芝居で慣れてるんじゃないの!?」ボソッ

しずく「お、お芝居はあくまでお芝居ですから……。でもこれはちょっと、私には刺激が強すぎるかも……!」ボソッ

果林「ちょっと、私を無視しないで?」ヒョイ

あなた「わっ……///」(すっごいいい匂い!)

あなた「かっ、果林さんノリノリだね」

果林「そりゃあ仕事だもの。でもしずくちゃんの演技力には負けるかしら?」

しずく「い、いえ。お世辞抜きで果林さんの演技力は素晴らしいです!こんなドキッとさせられる演技、私にはとても……」

果林「演技じゃないって言ったらどうする?」

しずく「え!?」ドキッ

531: 2020/03/23(月) 19:12:57.71 ID:8qLLxb4Z
果林「実はしずくちゃんの事ずっといいなって思ってたの。この後ウチで飲み直さない?」ギュッ

しずく「えっ……えぇぇぇ///」カァァ

果林「って、これ以上はしずくちゃんが沸騰しそうね。ほら、2人とも今日は折角久しぶりに会ったんだから楽しみましょう?ほら飲んで飲んで!」

あなた「う、うん……」ゴクッゴクッ

しずく「…………///」プシュー

あなた(お酒じゃ無くて雰囲気に酔いそうだよ)

533: 2020/03/23(月) 19:40:57.28 ID:8qLLxb4Z
それから私達3人は色んな話をした。


果林さんはここに来る前はモデルの仕事をしていたけどあまり売れず、辞めた後ずっとここに勤めているということ。 
指名はリピーターも多くなかなか好調で、売り上げトップを取ったこともあるということ。
ここには私達みたいに女性のお客さんも意外と来るということ。


しずくちゃんは私達が目にしている以上にメディアに引っ張りだこで忙しく、毎日お酒を飲んでリラックスしているということ。(女優桜坂しずくのイメージがあるため、インタビューでは言ってないらしい)
家に帰ってもやることはシャワー、食事、仕事の確認、睡眠以外に暇が無い程忙しいということ。


そして私は今、バイトを辞めて働いていないということ。
アーティストを目指していたが結局なれなかったという話は2人の後にするには、恥ずかしくて言い出せなかった。

534: 2020/03/23(月) 19:48:52.85 ID:8qLLxb4Z
それから果林さんから尋ねられたこともあって、しずくちゃんがアーティストデビューを断っているという事についても触れた。

この件に関しては、しずくちゃんはとあるアーティストに交渉中ということでボカして話した。



しずく「私にはこの方しかいないと思っています」



しずくちゃんの期待が嬉しいと同時に、受けられないかもしれない罪悪感でいっぱいになった。

551: 2020/03/29(日) 01:31:45.94 ID:KIXl/DXg
果林「あら、もう時間みたい」


あなた「え、もう?」


果林「延長する?特別に安くしておくわよ!」


あなた「どうする?しずくちゃん」
 

しずく「果林さんから学ぶことは多いですし、久々に話せて楽しかったです」

しずく「次いつ会えるかどうか分かりませんし、延長したいのは山々なんですけど……明日もお仕事早いんですよね」

しずく「うぅ……今日休んじゃったのもあるし、これ以上皆さんに迷惑を掛けるわけには……」


あなた(ずる休みしてたけど、やっぱり根はマジメなんだね)

552: 2020/03/29(日) 01:33:20.62 ID:KIXl/DXg
果林「流石大女優さん、毎日忙しいのね。それならあんまり強く引き止めるのも悪いかしら」

しずく「すみません……。ですが、果林さんの同性までも魅了するその演技、いつかぜひ学ばせていただきたいです……!」

果林「あら、同性を魅了する機会でもあるのかしら?」

しずく「そ、それは!ほ……ほら!そういう役を演じることもあるでしょうし、性別関係なく人を魅了する演技はまだまだ私には足りてないかなと──」
 
果林「ちょっと、 しずくちゃん。からかっただけなのに何をそんなに焦ってるの?」

しずく「からか──!?もう、果林さんっ!!」

553: 2020/03/29(日) 01:34:55.18 ID:KIXl/DXg
果林「ふふ、なんだかこういう反応は逆に新鮮だわ。あの頃は皆すぐに慣れちゃってからかいがいが無かったもの」

あなた「それだけ果林さんがあの頃よりもっと魅力的になったって事なんじゃない?」

果林「もう、キミってば嬉しいこと言ってくれるじゃない!」


果林「そうだ!はい、次の来店の時2000円安くなるクーポンをあげるわ!」

あなた「えっ、次……?」

あなた(次はしずくちゃんも忙しいだろうから来るとしても1人だろうし、自腹でキャバクラはお財布的に……)

あなた(というか果林さんに会うだけならプライベートでいいのでは?)


果林「だ・か・ら、また来てね♡」ギュッ

あなた「あう……///」スポッ

あなた(身長差で丁度果林さんの胸の所に私の頭がすっぽりと……///)

554: 2020/03/29(日) 01:35:41.34 ID:KIXl/DXg
しずく「……」ジーッ

果林「ほら、しずくちゃんも」ヒョイヒョイ

しずく「え!?はい!」

ギュゥゥ

しずく「…………///」カァァ

555: 2020/03/29(日) 01:37:36.10 ID:KIXl/DXg
果林「ありがとう、今日は楽しかったわ」

果林「そうだ、私がここで働いてるっていうのは皆に内緒にしておいてもらえるかしら」


あなた「え?うん」


しずく「それは構いませんが……」


果林「特にエマには……」


あなた「エマさん?」


果林「ううん、とにかくそういう事だから。よろしくね♡」チュッ


あなた(不意打ちの投げキッスやばっ///)

556: 2020/03/29(日) 01:41:05.74 ID:KIXl/DXg
ーーーー

あなた「果林さん、凄かったね……」

しずく「私、まだ少し顔が赤いです……」

あなた「しずくちゃんがそんなになるなんて、果林さんのセクシーさは流石だね」

しずく「大人の魅力が増して、あの頃よりも更にレベルがあがっていました。今になっても、やっぱりあのクラクラする色気には敵う気がしません……」

あなた「まぁ果林さんはセクター担当みたいな所あったからね。そのセクシーさを武器にしてる職業なんだから、いくら女優だからって勝てなくてもおかしくないと思うよ」

しずく「それはそうかもしれませんけど、私もいつかあのくらいの色気を出せるようになりたいです!」

557: 2020/03/29(日) 01:43:32.42 ID:KIXl/DXg
あなた「それにあの頃は体を使って誘惑することはあんまり無かったけど、今日は全然躊躇いがなかったよね」

あなた「すっごくいい匂いしたし、その……胸とかすっごく柔らかくて女の私でもドキッとしちゃった」


しずく「いつものお芝居は演技って分かっますし、私も役になりきっているから大丈夫なんです」

しずく「だけど、あれは演技だろうって分かってるのに、それでもドキドキしてしまいました///」

558: 2020/03/29(日) 01:46:30.36 ID:KIXl/DXg
しずく「そうだ!先輩、ちょっと私の演技力も見て貰っていいですか?」

あなた「え、ここで?いいけど……」

しずく「ありがとうございます!先輩はそこでじっとしててください」

あなた「これでいい?」


しずく「ありがとうございます。…………よしっ、いきます」

ギュッ

あなた「し、しずくちゃん?」

しずく「…………」ギュゥゥ


あなた(うわぁ///果林さんも凄かったけど、しずくちゃんも凄くいい匂いするし、それに柔らかい///)

あなた(というか今の有名になったしずくちゃんとこうしてるのって凄い事なんじゃ)

559: 2020/03/29(日) 01:48:59.82 ID:KIXl/DXg
しずく「どうでしたか?」

あなた「え!?どうって……」

しずく「その、ドキドキさせられましたか……?」

あなた「うん!そりゃあもちろん!何だかホントの恋人になったみたいだったよ!」

あなた「相手の男役の人が羨ましいよ!」


しずく「そう、ですか」


しずく「ならよかったです!」ニコッ

560: 2020/03/29(日) 01:50:47.14 ID:KIXl/DXg
しずく「そろそろお別れですね。先輩、今日はデートに付き合ってくれてありがとうございました」


あなた「いやぁこちらこそ。しずくちゃんとのデートなら大歓迎だよ!」


しずく「…………」

しずく「あーっ!!!!」


あなた「どうしたのしずくちゃん!?」


しずく「どうしましょう……デートに夢中で、曲のこと話すのすっかり忘れてました!私のバカバカバカ!!」

561: 2020/03/29(日) 01:52:15.34 ID:KIXl/DXg
しずく「今からでもお話を、でももう時間も遅いしどうすれば……」


あなた「あの……ラインで良かったらいつでも話聞くけど」


しずく「うぅ……できれば直接お話ししたかったですが、仕方ありませんね。また時間を見つけて連絡します。でも、必ず直接会って説得する機会も作りますから!」

しずく「それでは先輩、お休みなさい!」ダッ


あなた「あ!送っていかなくて大丈夫ー?」


しずく「大丈夫でーす!」


タッタッタッ


あなた「説得か……。やっぱりしずくちゃんは私に曲を作って欲しいんだね」

562: 2020/03/29(日) 02:00:54.91 ID:KIXl/DXg
あなた(私は、どうすればいいんだろう)




あなた(今まで会った他の同好会の皆は、私がいなくても別の誰かと一緒に人生を歩み出していた。私はもう必要無くなっていた)


あなた(でもしずくちゃんは、大女優になって引っ張りだこのはずのしずくちゃんは何故か私を頼ってくれている)


あなた(それが凄く嬉しかったし、できればその期待には応えたいけど……)



あなた「もし曲を書くとして、今の私に本当に書けるのかな」


何十回としてきた自問自答。
今日一日しずくちゃんと過ごしても、答えは出ない。

563: 2020/03/29(日) 02:02:09.51 ID:KIXl/DXg
あなた(それにしてもさっきから何か忘れてるような気がするんだけど何だろう)


あなた「うぷっ……ちょっとお酒飲み過ぎたかも」


あなた「ん?お酒?…………あー!!」


あなた「しまった!昨日のバーのお代、明日返すって言ってたのに忘れてた!!」

566: 2020/03/30(月) 15:16:00.45 ID:QdxTh/Ng
あなた「と、とりあえずメッセージ送ろう!」

あなた「昨日のバーのお代払うの忘れてた、と……」

あなた「あ、もう既読付いた」



☔<(その事ならもう貰いましたよ)

     (え?)>

☔<(今日私とデートしてくれたのがお代代わりです)

     (いやいや、ちゃんと代金払うから!)>

☔<(なら他にもお代考えておきますね?)



あなた「…………」

581: 2020/04/03(金) 00:08:50.13 ID:cFWpLomt
しずくちゃん誕生日おめでとう


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