【SS】「ねえ、こんな噂話知ってる?」

SS


1: 2019/07/29(月) 16:28:10.32 ID:RYcBsJ6m
海未「コレは私の学校で流行っていた噂話です」

この学校には昔、寮があったんだって。
その寮は戦時中に作られたもので疎開してきた児童を受け入れていたらしいの。
それで戦後は女子寮として使われていたけど、ある夜に火災事故が起きて沢山の子が亡くなったんだって。

それで校舎裏に慰霊碑が建てられて、お墓もあるんだけど……命日になると人魂が飛び回るって噂だよ。

海未「そう、この事故は実際に起きたそうで戦後間もない1953年の夏に起きたんだそうです」

………
……

2: 2019/07/29(月) 16:28:53.18 ID:RYcBsJ6m
希「ねえ、この噂知ってる?」

海未「またあの噂話ですか?」

希「うち、未だ何も言っとらんよ?」

海未「学校中で流れてる話と言ったら、校舎裏にある慰霊碑から人魂が飛び回る事じゃないですか!」

希「まあ、そうやけど……他にもあるんよ」

海未「他にもとは?」

希「その火災事故が起きる前に、その寮に住み込んでいた姉妹の妹がイジメでトイレで首を吊ったそうなんよ」

海未「首を吊ったんですか……」

希「それで、その後からトイレで色々と不可解な事が起きる様になったらしいんよ」

海未「それで……どんな事が起きる様になったんですか?」

希「先ずは何者かにトイレに顔を押し込まれて溺れかけたらしい。それに続いて、いきなり後ろから首元を引っ張られて窒息しかけたり」

海未「それが自〇した妹さんの仕業という事でしょうか?」

希「その見方が強いね。だけど、旧校舎が閉鎖されてから暫く経つやん?」

海未「そうですね……確か、あの旧校舎は30年以上前に閉鎖されたらしいですね」

希「そこでなんやけど……」

海未「旧校舎に行くのはお断りです。ただでさえ、不気味だというのにこの前の様に危険な目に遭うのは嫌ですよ!」

希「そう言わないで、ね?」

海未「ね?じゃないですよ!この前だってバイトで先に帰って……もう、霊に追われて生物室で酷い目に遭ったんですから」

希「まあまあ、今回はうちも同行するから」

いつもの様に先輩は私の制止を振り切って、心霊現象の真相を調べるのでした。

3: 2019/07/29(月) 16:29:34.53 ID:RYcBsJ6m
希「海未ちゃん、ここから入れるで」

海未「入れるって、何で開いてるんですか!」

希「何か知らんけど、開いてた」

旧校舎は施錠されている筈なのに、何故か窓の鍵は開けられていたのです。
木造の三階建ての校舎で年季が入って木のシミなどが至る所にあり、不気味さが助長されていた。

海未「何だか薄暗いですね……」

希「懐中電灯で照らすね」

もう既に夕刻で校舎を照らす光が徐々に弱まっていく。
すると暗闇が広がってゆき、足を踏む毎になる床の軋みが恐怖を煽る。

海未「霊は信じませんが、誰かが出てきそうな気がしてならないです……」



「誰か助けて!」



誰かの叫び声が微かに聞こえてきたのです。


希「二階から声……誰かが霊に会ったんやな」

そういうと先輩は階段を駆け上がり、目的のトイレに向かった。

4: 2019/07/29(月) 16:30:26.74 ID:RYcBsJ6m
希「誰かいる!?」

先輩の呼び掛けに応じる者は誰も居なかった。

希「海未ちゃん、トイレの扉を一つずつ開けてくで」

そう言って、建て付けの悪い扉を開けてゆく。

一つ目には……誰もいない。

二つ目には……誰もいない。

三つ目には……誰もいない。

だが、足元には水だまりが出来ており誰かが水を使った……いや、使ったんじゃない。

海未「コレはもしかして……」

希「霊に引き込まれた……かもしれんな」

5: 2019/07/29(月) 16:30:48.69 ID:RYcBsJ6m
するとトイレの扉が突然閉められ、閉じ込められてしまったのです。

6: 2019/07/29(月) 16:31:24.12 ID:RYcBsJ6m
海未「しまった!トイレに閉じ込められてしまいました」

希「落ち着いて、パニックに陥れば霊の思う壺や」



「あの子が憎い……あの子を〇す!」



声がトイレから木霊してきたのです、低く恨みが篭った声が。

海未「何故、関係の無い人を巻き込むのです!」

「私は平然と生きる奴が憎い……苦しみなんて分からない奴らが!」

希「あんた!怨みだけで関係のない子を巻き込むのはやめるんや!



「うるさい!お前らに私の何が分かる……お前らを〇してやる!」


万事休すかと思ったその時……。

7: 2019/07/29(月) 16:31:48.98 ID:RYcBsJ6m
「悪さをする霊はここずらね」

8: 2019/07/29(月) 16:32:51.55 ID:RYcBsJ6m
突然、扉が蹴飛ばされ一人がトイレに足を踏み込んで来たのです。

海未「何をしているのですか!危ないから逃げて下さい!」

「大丈夫ずら、まるが除霊するずらよ」

そう言い、数珠を手に合わせて経を唱え始めたのです。
すると霊は唸りながら、苦しみ始めたのです……身体がみるみるうちに光に飲み込まれて行き、消え去ったのでした。

「ふう……コレで上手く除霊出来た」

海未「あっ、あなたは!?」

「まるは国木田花丸、最近引っ越してきたずらよ……園田さん」

海未「何故、私の名前を……」

花丸「学校じゃあ、知らない人はいないずらよ。それと東條さん」

希「なに?」

花丸「あまり学校に住み着く悪霊には触れない方が良いずら……いずれは身を滅ぼす」

希「よ、余計なお世話やね!」

花丸「それじゃあ、また何処かで会いましょ……オカルト研究部の園田さん」


そう言って、彼女はそのまま立ち去ってしまったのでした。

9: 2019/07/29(月) 16:33:25.00 ID:RYcBsJ6m
悪霊は実在する……とは言え、何故霊は彼岸と此岸と隔てられたのにも関わらず……。

海未「本当に霊なんて……でも、あり得なくはないかも知れませんね」

希「早く行くで!」

そう、学校の噂話は絶えることを知らない……。



「ねえ、知ってる?」




【終】

10: 2019/07/29(月) 16:34:31.29 ID:RYcBsJ6m
【エピローグ】

希「なあ、例の慰霊碑から人魂は出るのかな……って、時間がない!」

海未「時間がないとは?」

希「バイトの時間や!」

海未「またバイトに遅れそうなんですか!全く、前回と同じじゃないですか!」

希「海未ちゃん、悪いけど……コレで慰霊碑の写真撮ってきてくれない?」

海未「全く……分かりました」

そう言って、先輩はいつもの様にその場を退散していったのでした。

11: 2019/07/29(月) 16:34:54.36 ID:RYcBsJ6m
海未「ったく……校舎裏の慰霊碑を……なんなんですか、この光の数は……」

目の前には青白く光る光の玉が多く飛び交っていたのです。
コレが所謂、人魂というものでしょうか?

海未「写真を撮って……南無……」

数十年前の惨事を思い出すかの様に飛び交う人魂……私たちに忘れて欲しくないと訴えかけてる様でした。

【終】

14: 2019/07/29(月) 16:43:54.16 ID:RYcBsJ6m
【おまけ?】

海未「そういえば、あの時トイレから聞こえた悲鳴は……誰のだったのでしょうか?」

そんな事を考えながら、屋上から旧校舎を眺めていたのです。

海未「この学校……何かと過去にあったようですけど」


「やっぱり、ここにいたんですね……園田さん」


この声はあの時、私たちを助けてくれた国木田さんだった。


花丸「屋上から何を見てるずら?」

海未「ずら?」

花丸「ご、ごめんずら!癖で出ちゃうんです」

海未「はぁ……気にしなくて良いですよ。そういえば、あのトイレから聞こえた悲鳴なんですが」

花丸「あの悲鳴は多分、霊に引き摺り込まれそうになった子が出したと思うずら」

海未「という事は……もうその子は……」

花丸「残念だけど、もうあっちの世界に……」

海未「そうですか」

花丸「最近、怪談ものが流行っててそれで霊に襲われる子が多いんです」

海未「確かに、行方不明になった子や亡くなった子がいますね」

花丸「変に介入したりするからそうなるずら」

15: 2019/07/29(月) 16:46:06.42 ID:RYcBsJ6m
夕刻の屋上から眺める風景は美しくも切なく、ヒグラシの鳴き声が風に乗って聞こえてくるあの夏の事でした。

16: 2019/07/29(月) 16:48:18.72 ID:RYcBsJ6m
皆さん、霊にあの世に引きずり込まれないように気をつけて下さい。

【前作】
「ねえ知ってる?こんな噂を……」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1564269521/

18: 2019/07/29(月) 17:08:07.03 ID:ncPFzqoC
寺生まれのHさん万能だった

19: 2019/07/29(月) 17:32:07.83 ID:OxWn3jf6
音ノ木坂とかいう旧校舎まである異空間よ

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1564385290/

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