【SS】歩夢・せつ菜「”ふたりなら”」【ラブライブ！虹ヶ咲】

せつ菜「”終生のライバル”って、よく言うじゃないですか」

歩夢「え？」

せつ菜「ほら、スポーツ選手とか漫画とかが」

歩夢「せつ菜ちゃんの好きなアニメにもよく出てくるね」

せつ菜「それです、それ」

歩夢「それがどうしたの？」

せつ菜「……あー、えと、ですね」

歩夢「？」

せつ菜「……笑いません？」

歩夢「内容によるかな」

せつ菜「ちょっと！」

歩夢「冗談だよ。笑わない」

せつ菜「本当ですかね、この人は……」

歩夢「それで、ライバルが何？」

せつ菜「……漫画なんかではよく出てきますけど、そういうことを言える人って、実際はあまりいないじゃないですか」

歩夢「うーん、スポーツやってたりするとよくあるのかな。わからないけど、終生って言うと、確かに」

せつ菜「私は、歩夢さんがそれだと思うんです」

歩夢「えー、そう、そっかぁ。せつ菜ちゃんが……」

せつ菜「生々しいリアクションやめてくれます？」

歩夢「大丈夫。笑わないからね」

せつ菜「なんですかその同性愛をカミングアウトされた人みたいな反応！」

歩夢「いや、だって……前フリが完璧すぎたから」

せつ菜「もういいです。今のなしです」

歩夢「どの辺？どの辺でそう思ったの？」

せつ菜「うわ興味津々！めんどくさ！」

歩夢「今この場で爆笑してもいいんだよ」

せつ菜「誰も幸せにならない選択肢をちらつかせないでくださいよ」

歩夢「でも、本当にどうして？私、せつ菜ちゃんと釣り合えるほどじゃないと思うよ？謙遜なしに」

せつ菜「正直、私にもわからないんです。ただなんとなくで」

歩夢「他にもすごい子いっぱいいるのに」

せつ菜「確かに、歩夢さんはよく言えば伸びしろがある、厳しいことを言えば……まだ未熟なのかもしれませんが」

歩夢「うん」

せつ菜「いやに素直ですね」

歩夢「歴が違うもん。その分がんばらなきゃなんだし。負けてられないから」

せつ菜「……」

せつ菜「……それなのかも」

歩夢「？」

せつ菜「歩夢さんの口癖みたくなってますよね、それ」

歩夢「そう？私は元が普通なんだから、がんばらなきゃ。それくらいしかできないし」

せつ菜「……”がんばる”って、きっと簡単なことじゃないです」

歩夢「え？」

せつ菜「好きなことに全力になれるって、すごいことですよ。だから、みんなスクールアイドルが好きになるんです」

歩夢「……ライバルの話は？」

せつ菜「同じですよ。得意なことが”がんばること”だなんて人、私は会ったことがありません」

せつ菜「そうやって、気付かないうちにどんどん大きくなって……ふとした時には、背中を見ていそうで」

せつ菜「そういう底知れなさが怖ろしいから、あなたのことをライバルだと思ったのかも」

歩夢「せつ菜ちゃん、私のこと怖がってたの？」

せつ菜「話聞いてました？」

歩夢「……聞いてたよ」

せつ菜「え」

歩夢「……目の前でそんなに褒められて、真面目に答えられる訳ないじゃない」

せつ菜「えと、それは……どういたしまして？」

歩夢「どうもありがとう！もうっ」

せつ菜「……ふふ」

歩夢「……でも、ちょっと寂しいかも」

せつ菜「え？」

歩夢「ライバルだと思ってくれるのは嬉しいし、私もそれに応えたい。でも」

歩夢「私はせつ菜ちゃんのこと、最高の仲間だって思ってるよ」

せつ菜「……！」

歩夢「こんな子と肩を並べて2人でステージに立てるなんて、こんなに頼もしいことないよ」

せつ菜「……歩夢さん」

歩夢「なに？」

せつ菜「大好きです」

歩夢「ぶッ、げっほ」

せつ菜「はッ！？すみませ……つい！」

歩夢「”つい”でそんなこと言う！？何も飲んでないのにむせちゃったよ！」

せつ菜「いや、何というか……気持ちが抑えられなくなったと言いますか！」

歩夢「なんか犯罪者さんみたい」

せつ菜「人聞きの悪いことを！」

歩夢「ほんと……顔色一つ変えず言うんだから」

せつ菜「本当の気持ちですから！」

歩夢「そういうことじゃない！……もう。衣装、汚れてないよね」

せつ菜「大丈夫だと思います。すみません、今後は言葉には気を付けますね」

歩夢「うん。……ううん」

せつ菜「？」

歩夢「あんまり、気を付けなくていいよ。今みたいなのは」

せつ菜「それは、どういう……？」

歩夢「……言わない」

せつ菜「なんですそれ！？」

歩夢「鈍感」

せつ菜「理不尽です！」

歩夢「気付かないせつ菜ちゃんが悪いんだもん」

せつ菜「そんなぁ」

＜上原さん、優木さん。そろそろなのでスタンバイお願いしまーす

歩夢「あ、はい」

せつ菜「はい！よろしくお願いします！」

歩夢「……」

せつ菜「……」

歩夢「……私は」

歩夢「……まっすぐなせつ菜ちゃんが好きだから」

せつ菜「……」

歩夢「ぽかんとしないでよ」

せつ菜「……やっぱり、大好きです」

歩夢「っ……うん」

＜出番でーす！どうぞ！

せつ菜「行きましょう、歩夢さん！ふたりなら、無敵です！」

歩夢「……っうん！ふたりなら、できないことなんてないよ」

──ﾜｧｧｧｧｧｯ!!!


おしまい

乙ですよ！！！！
ぽむせつはいいぞ

@cﾒ*˶ˆ ᴗ ˆ˵ﾘ 乙だね