1: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:00:01.66 ID:J1zyUkGP
夕方 部室
しずく「ふう……」
あなた「今日はこのくらいで終わりにしよっか。はい、タオルとお水」
しずく「ありがとうございます、先輩」
あなた「毎日居残り練習なんて、しずくちゃん本当に頑張ってるよね」
しずく「いえ、私なんて全然……いつも付き合ってくれる先輩のほうがずっとすごいです」
あなた「そうかなぁ? 私はただただ楽しいだけなんだけど……」
しずく「ふふっ、先輩らしいです」
しずく(先輩はきっと、私の気持ちには気付いていない)
しずく(こうして居残りするのも、頑張っているんじゃなくて)
しずく(ただ先輩とふたりきりでいられる時間がほしいから)
しずく(先輩……あなたにとって私はどんな存在ですか?)
しずく「ふう……」
あなた「今日はこのくらいで終わりにしよっか。はい、タオルとお水」
しずく「ありがとうございます、先輩」
あなた「毎日居残り練習なんて、しずくちゃん本当に頑張ってるよね」
しずく「いえ、私なんて全然……いつも付き合ってくれる先輩のほうがずっとすごいです」
あなた「そうかなぁ? 私はただただ楽しいだけなんだけど……」
しずく「ふふっ、先輩らしいです」
しずく(先輩はきっと、私の気持ちには気付いていない)
しずく(こうして居残りするのも、頑張っているんじゃなくて)
しずく(ただ先輩とふたりきりでいられる時間がほしいから)
しずく(先輩……あなたにとって私はどんな存在ですか?)
4: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:04:01.11 ID:J1zyUkGP
翌日 学食
かすみ「しず子さぁ、昨日も先輩と居残り練習したの?」
しずく「それがどうかしたの?」
かすみ「先輩のこと、独り占めしようとか思ってないよね?」
しずく「……思ってないよ」
かすみ「嘘! 今変な間があった!」
璃奈「しずくちゃんは演劇部が忙しいだけ。ね?」
しずく「そうそう、璃奈さんの言う通り。みんなにおくれを取らないように居残りしてるの」
かすみ「怪しい……かすみんの先輩を取ったりしたら怒るからね!」
璃奈「そもそもあの子はかすみちゃんのものじゃない」
ランジュ「かすみ、先輩に甘えたいの? だったらランジュに好きなだけ甘えなさい!」
かすみ「うわっ、ランジュ先輩いつの間に……というかかすみんが甘えたいのはんぶっ!」
ランジュ「かすみは本当に可愛いわね! よしよし」ギュウゥ
かすみ「ぐ、ぐるじいでず……」
しずく「…………」
かすみ「しず子さぁ、昨日も先輩と居残り練習したの?」
しずく「それがどうかしたの?」
かすみ「先輩のこと、独り占めしようとか思ってないよね?」
しずく「……思ってないよ」
かすみ「嘘! 今変な間があった!」
璃奈「しずくちゃんは演劇部が忙しいだけ。ね?」
しずく「そうそう、璃奈さんの言う通り。みんなにおくれを取らないように居残りしてるの」
かすみ「怪しい……かすみんの先輩を取ったりしたら怒るからね!」
璃奈「そもそもあの子はかすみちゃんのものじゃない」
ランジュ「かすみ、先輩に甘えたいの? だったらランジュに好きなだけ甘えなさい!」
かすみ「うわっ、ランジュ先輩いつの間に……というかかすみんが甘えたいのはんぶっ!」
ランジュ「かすみは本当に可愛いわね! よしよし」ギュウゥ
かすみ「ぐ、ぐるじいでず……」
しずく「…………」
7: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:08:00.74 ID:J1zyUkGP
廊下
スタスタ……
しずく(先輩を独り占めだなんて、別にそんなことは……)
しずく(考えてない、はずだよね……かすみさんじゃあるまいし!)
しずく(私はただ純粋に、先輩のことが……)
あなた『――でね、主人公はその人の記憶だけなくしちゃって……』
しずく(この声……!)
しずく「せんぱ――」
あなた「あっ、しずくちゃん」
せつ菜「こ、こんにちは、しずくさん」サッ
しずく「……こんにちは。せつ――菜々さん、先輩」
あなた「しずくちゃんは今日も演劇部?」
しずく「はい。終わったら同好会にも行きますね」
あなた「うん、待ってるね」
スタスタ……
しずく(先輩を独り占めだなんて、別にそんなことは……)
しずく(考えてない、はずだよね……かすみさんじゃあるまいし!)
しずく(私はただ純粋に、先輩のことが……)
あなた『――でね、主人公はその人の記憶だけなくしちゃって……』
しずく(この声……!)
しずく「せんぱ――」
あなた「あっ、しずくちゃん」
せつ菜「こ、こんにちは、しずくさん」サッ
しずく「……こんにちは。せつ――菜々さん、先輩」
あなた「しずくちゃんは今日も演劇部?」
しずく「はい。終わったら同好会にも行きますね」
あなた「うん、待ってるね」
8: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:12:00.73 ID:J1zyUkGP
夕方 部室
しずく(せつ菜さん、先輩との距離が近かったな……)
しずく(私に気付いたら慌てて離れてたけど、先輩とはいつもあんな感じなのかな)
しずく(先輩の方は変わった様子もなかったし、付き合ってるわけじゃない……よね)
あなた「しずくちゃん、大丈夫?」
しずく「はいっ?」
あなた「なんだかぼうっとしてたから……すこし休憩しよっか」
しずく「あ……そうですね」
――――――
――――
――
あなた「なにか悩み事でもある?」
しずく「えっ?」
あなた「私の気のせいかもしれないけど、そんな気がして」
しずく「すみません……心配させてしまいましたね」
あなた「力になれることがあったらいつでも言ってね」
しずく「いえっ、これ以上先輩の手を煩わせるわけには……」
あなた「そんなの気にしなくていいよ。私がそうしたいだけなんだから」
しずく「そう……ですか。では、相談するかもしれません……」
しずく(先輩が私にだけ優しいわけじゃないって、わかってはいるけれど)
しずく(それでもそんなふうにされたら、勘違いしちゃいますよ? 先輩……)
しずく(せつ菜さん、先輩との距離が近かったな……)
しずく(私に気付いたら慌てて離れてたけど、先輩とはいつもあんな感じなのかな)
しずく(先輩の方は変わった様子もなかったし、付き合ってるわけじゃない……よね)
あなた「しずくちゃん、大丈夫?」
しずく「はいっ?」
あなた「なんだかぼうっとしてたから……すこし休憩しよっか」
しずく「あ……そうですね」
――――――
――――
――
あなた「なにか悩み事でもある?」
しずく「えっ?」
あなた「私の気のせいかもしれないけど、そんな気がして」
しずく「すみません……心配させてしまいましたね」
あなた「力になれることがあったらいつでも言ってね」
しずく「いえっ、これ以上先輩の手を煩わせるわけには……」
あなた「そんなの気にしなくていいよ。私がそうしたいだけなんだから」
しずく「そう……ですか。では、相談するかもしれません……」
しずく(先輩が私にだけ優しいわけじゃないって、わかってはいるけれど)
しずく(それでもそんなふうにされたら、勘違いしちゃいますよ? 先輩……)
10: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:16:00.61 ID:J1zyUkGP
翌日 放課後
彼方「んん~……彼方ちゃん、今日も頑張ったぁ……」ゴロン
エマ「そうだねぇ、頑張ったねぇ」
果林「彼方、くつろいでないで早く着替えないとダメよ」
彼方「果林ちゃんも来なよ~。エマちゃんの膝枕、きもちいよ~?」
エマ「おいでおいで~」
果林「わ、私はいいわよ……」
歩夢「しずくちゃん、今日も居残りするの?」
しずく「はい、そのつもりです」
歩夢「そっか……」
しずく「すみません歩夢さん。先輩、お借りしますね」
歩夢「えっ!? 私は別に、あの子のことは……」
………………
…………
……
彼方「んん~……彼方ちゃん、今日も頑張ったぁ……」ゴロン
エマ「そうだねぇ、頑張ったねぇ」
果林「彼方、くつろいでないで早く着替えないとダメよ」
彼方「果林ちゃんも来なよ~。エマちゃんの膝枕、きもちいよ~?」
エマ「おいでおいで~」
果林「わ、私はいいわよ……」
歩夢「しずくちゃん、今日も居残りするの?」
しずく「はい、そのつもりです」
歩夢「そっか……」
しずく「すみません歩夢さん。先輩、お借りしますね」
歩夢「えっ!? 私は別に、あの子のことは……」
………………
…………
……
11: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:20:00.55 ID:J1zyUkGP
しずく「先輩は、恋ってしたことありますか?」
あなた「えっ?」
しずく「いえっ、その……今度演劇部で恋愛のお話をやることになりまして……」
しずく「昨日言ってくれましたよね? 相談に乗ってくれるって」
あなた「あ~、しずくちゃんが悩んでるのって演劇部のことだったんだ」
しずく「そうなんです。お話、聞かせてもらえますか?」
あなた「と言われても、正直あんまりわかんないかなぁ……」
しずく「わからない?」
あなた「私はいつも歩夢ちゃんと一緒にいたから」
しずく「えっと……それはどういうことですか?」
あなた「歩夢ちゃんって恋愛とは無縁って感じでしょ? だから私もそれにつられてね」
しずく「あぁ……そうですか」
しずく(歩夢さん、心中お察しします……)
しずく「では……もし身近な人に告白されたらどうしますか?」
あなた「身近な人?」
しずく「はい。例えばわたっ――歩夢さん、とか……」
あなた「歩夢ちゃんに? ちょっと想像つかないなぁ……」
しずく「もしものお話ですから、あまり難しく考えなくて大丈夫ですよ」
あなた「う~ん……まあでも歩夢ちゃんとなら付き合うかもしれないね」
あなた「えっ?」
しずく「いえっ、その……今度演劇部で恋愛のお話をやることになりまして……」
しずく「昨日言ってくれましたよね? 相談に乗ってくれるって」
あなた「あ~、しずくちゃんが悩んでるのって演劇部のことだったんだ」
しずく「そうなんです。お話、聞かせてもらえますか?」
あなた「と言われても、正直あんまりわかんないかなぁ……」
しずく「わからない?」
あなた「私はいつも歩夢ちゃんと一緒にいたから」
しずく「えっと……それはどういうことですか?」
あなた「歩夢ちゃんって恋愛とは無縁って感じでしょ? だから私もそれにつられてね」
しずく「あぁ……そうですか」
しずく(歩夢さん、心中お察しします……)
しずく「では……もし身近な人に告白されたらどうしますか?」
あなた「身近な人?」
しずく「はい。例えばわたっ――歩夢さん、とか……」
あなた「歩夢ちゃんに? ちょっと想像つかないなぁ……」
しずく「もしものお話ですから、あまり難しく考えなくて大丈夫ですよ」
あなた「う~ん……まあでも歩夢ちゃんとなら付き合うかもしれないね」
12: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:24:00.67 ID:J1zyUkGP
しずく「っ……そう、なんですね。なら……せつ菜さんはどうでしょう?」
あなた「せつ菜ちゃん!?」ガタッ
しずく「そ、そんなに驚かなくても……」
しずく(この反応……まさか先輩は本当にせつ菜さんと?)
あなた「あぁごめん……せつ菜ちゃんは歩夢ちゃん以上に恋愛のイメージがなくって」
しずく「あ、そっちでしたか」
あなた「そっちって?」
しずく「いえ、なんでも……それで、どうですか?」
あなた「そうだなぁ……私なら断れないかも。せつ菜ちゃんの『大好き』は否定できないよ」
しずく「……やっぱり先輩は優しいですね。では最後にもうひとつお聞きします」
あなた「うん」
しずく「告白をしてきたのが後輩だったら、先輩はお付き合いしますか?」
あなた「後輩って言うと……かすみちゃん、とか?」
しずく「あ……はい……」
あなた「ん~、かすみちゃんかぁ……やっぱり――」
しずく(どうして……? どうしてかすみさんなの?)
しずく(今、先輩の目の前にいるのは、私なのに……)
………………
…………
……
あなた「せつ菜ちゃん!?」ガタッ
しずく「そ、そんなに驚かなくても……」
しずく(この反応……まさか先輩は本当にせつ菜さんと?)
あなた「あぁごめん……せつ菜ちゃんは歩夢ちゃん以上に恋愛のイメージがなくって」
しずく「あ、そっちでしたか」
あなた「そっちって?」
しずく「いえ、なんでも……それで、どうですか?」
あなた「そうだなぁ……私なら断れないかも。せつ菜ちゃんの『大好き』は否定できないよ」
しずく「……やっぱり先輩は優しいですね。では最後にもうひとつお聞きします」
あなた「うん」
しずく「告白をしてきたのが後輩だったら、先輩はお付き合いしますか?」
あなた「後輩って言うと……かすみちゃん、とか?」
しずく「あ……はい……」
あなた「ん~、かすみちゃんかぁ……やっぱり――」
しずく(どうして……? どうしてかすみさんなの?)
しずく(今、先輩の目の前にいるのは、私なのに……)
………………
…………
……
13: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:28:00.77 ID:J1zyUkGP
翌日
あなた「えっ、しずくちゃん今日居残りしないの?」
しずく「はい。その、今日は用事があるので……」
あなた「そっか……それじゃあしょうがないよね……」
しずく「先輩、なんだか残念そうですね」
あなた「うん……しずくちゃんとの居残り、毎日楽しみにしてたから」
しずく「えっ?」
しずく(それって……)
あなた「……明日は用事、ないんだよね?」
しずく「あ、ありません……なのでよろしくお願いしますね、先輩」
あなた「うんっ!」
しずく(そう言って笑う先輩を見ただけでなんだか嬉しくなって)
しずく(やっぱり私は、先輩のことが……)
あなた「えっ、しずくちゃん今日居残りしないの?」
しずく「はい。その、今日は用事があるので……」
あなた「そっか……それじゃあしょうがないよね……」
しずく「先輩、なんだか残念そうですね」
あなた「うん……しずくちゃんとの居残り、毎日楽しみにしてたから」
しずく「えっ?」
しずく(それって……)
あなた「……明日は用事、ないんだよね?」
しずく「あ、ありません……なのでよろしくお願いしますね、先輩」
あなた「うんっ!」
しずく(そう言って笑う先輩を見ただけでなんだか嬉しくなって)
しずく(やっぱり私は、先輩のことが……)
15: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:32:00.88 ID:J1zyUkGP
数日後・放課後 部室
しずく「今日は少しだけお芝居の練習に付き合っていただいてもいいですか?」
あなた「いいけど……私演技のことはあんまりわかんないよ?」
しずく「大丈夫です。先輩は私のセリフを聞いてくれるだけでいいですから」
あなた「聞くだけでいいの?」
しずく「はい。相手役がいたほうがやりやすいので」
あなた「わかった。じゃあ、どうぞ!」
しずく「……先輩」
あなた「!」
しずく「私、先輩に伝えたいことがあるんです……」
しずく「とても大切なことなので、ちゃんと聞いていてくださいね?」
あなた「…………」
しずく「先輩。私は、あなたのことが……好きです」
しずく「他の誰にも負けないくらい……とは言い切れません」
しずく「ですがこの想いは間違いなく私の心からの気持ちなんです」
しずく「どうか私を、先輩の彼女にしてくれませんか……?」
あなた「しずくちゃん……」
しずく「…………」
あなた「あ、あはは……演技だってわかっててもドキッとしちゃった。さすがだね!」
しずく「……演技じゃないんです」
あなた「えっ?」
しずく「今お話ししたのは、全部私の本心です……」
あなた「え、あ……え?」
しずく「今日は少しだけお芝居の練習に付き合っていただいてもいいですか?」
あなた「いいけど……私演技のことはあんまりわかんないよ?」
しずく「大丈夫です。先輩は私のセリフを聞いてくれるだけでいいですから」
あなた「聞くだけでいいの?」
しずく「はい。相手役がいたほうがやりやすいので」
あなた「わかった。じゃあ、どうぞ!」
しずく「……先輩」
あなた「!」
しずく「私、先輩に伝えたいことがあるんです……」
しずく「とても大切なことなので、ちゃんと聞いていてくださいね?」
あなた「…………」
しずく「先輩。私は、あなたのことが……好きです」
しずく「他の誰にも負けないくらい……とは言い切れません」
しずく「ですがこの想いは間違いなく私の心からの気持ちなんです」
しずく「どうか私を、先輩の彼女にしてくれませんか……?」
あなた「しずくちゃん……」
しずく「…………」
あなた「あ、あはは……演技だってわかっててもドキッとしちゃった。さすがだね!」
しずく「……演技じゃないんです」
あなた「えっ?」
しずく「今お話ししたのは、全部私の本心です……」
あなた「え、あ……え?」
16: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:36:00.64 ID:J1zyUkGP
しずく「お返事……聞かせてもらえませんか?」
あなた「ちょ、ちょっと待って。いきなりだから、びっくりして……」
しずく「待ちます。落ち着くまで、待ちますから」
あなた「うん……ありがとう……」
しずく「すみません……急にこんなことを言ってしまって」
あなた「いや……」
しずく「…………」
あなた「えっと……いつからなの? その、私のこと……一緒に居残りするようになってから?」
しずく「いえ……もっと前からです」
あなた「そうなんだ……全然気づかなかったよ」
しずく「でも告白するつもりはなかったんですよ? 私はただ好きでいられればいいと思っていました」
しずく「ですがこうして先輩とふたりで過ごしているうちに、だんだんと気持ちが変わっていって……」
しずく「それにもうすぐこうしていられる時間もなくなってしまいますから」
あなた「どういうこと? まさかしずくちゃん、スクールアイドルやめちゃうの!?」
しずく「ち、違います! 演劇部のほうが落ち着いてきたので、居残りの必要がなくなるってだけです」
あなた「ああそっか。そうだよね、ごめん……」
しずく「それで……その、そろそろ落ち着きましたか?」
あなた「へっ? あー……どうかな?」
しずく「……私、すごく勇気を出して告白したんですよ?」
あなた「う、うん……でもやっぱりこういうことはもっとよく考えてから――」
しずく「先輩」
あなた「……はい」
しずく「いい返事を期待していないと言えば嘘になります」
しずく「だけど私はただ先輩の気持ちを知れたらそれでいいんです」
しずく「そのほうが、諦めもつきますから……」
あなた「ちょ、ちょっと待って。いきなりだから、びっくりして……」
しずく「待ちます。落ち着くまで、待ちますから」
あなた「うん……ありがとう……」
しずく「すみません……急にこんなことを言ってしまって」
あなた「いや……」
しずく「…………」
あなた「えっと……いつからなの? その、私のこと……一緒に居残りするようになってから?」
しずく「いえ……もっと前からです」
あなた「そうなんだ……全然気づかなかったよ」
しずく「でも告白するつもりはなかったんですよ? 私はただ好きでいられればいいと思っていました」
しずく「ですがこうして先輩とふたりで過ごしているうちに、だんだんと気持ちが変わっていって……」
しずく「それにもうすぐこうしていられる時間もなくなってしまいますから」
あなた「どういうこと? まさかしずくちゃん、スクールアイドルやめちゃうの!?」
しずく「ち、違います! 演劇部のほうが落ち着いてきたので、居残りの必要がなくなるってだけです」
あなた「ああそっか。そうだよね、ごめん……」
しずく「それで……その、そろそろ落ち着きましたか?」
あなた「へっ? あー……どうかな?」
しずく「……私、すごく勇気を出して告白したんですよ?」
あなた「う、うん……でもやっぱりこういうことはもっとよく考えてから――」
しずく「先輩」
あなた「……はい」
しずく「いい返事を期待していないと言えば嘘になります」
しずく「だけど私はただ先輩の気持ちを知れたらそれでいいんです」
しずく「そのほうが、諦めもつきますから……」
17: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:40:00.68 ID:J1zyUkGP
あなた「しずくちゃん……じゃあ、私の正直な気持ちを話すね」
あなた「その……さっきの告白はお芝居だと思って聞いてたからさ」
あなた「正確には私の気持ちじゃないのかもしれないけど……嬉しいって思ったの」
しずく「先輩……」
あなた「だから確かめさせて。私の気持ちを、もう一度」
しずく「……わかりました」
あなた「…………」
しずく「私、桜坂しずくは……先輩のことが好きです」
しずく「先輩は私のこと、好きって言ってくれますか?」
あなた「……好き」
しずく「!」
あなた「私も、しずくちゃんのこと――」
しずく「先輩っ!!」ギュッ
あなた「わっ、しずくちゃん!?」
しずく「ずっと聞きたかった言葉を、やっと聞くことができました」
あなた「……うん」
しずく「ねえ先輩。私、もう一つお聞きしたことがありますよね?」
あなた「あっ……そうだね」
しずく「答えてくれますか?」
あなた「もちろん。これからよろしくね、しずくちゃん」
しずく「……はいっ!」
………………
…………
……
あなた「その……さっきの告白はお芝居だと思って聞いてたからさ」
あなた「正確には私の気持ちじゃないのかもしれないけど……嬉しいって思ったの」
しずく「先輩……」
あなた「だから確かめさせて。私の気持ちを、もう一度」
しずく「……わかりました」
あなた「…………」
しずく「私、桜坂しずくは……先輩のことが好きです」
しずく「先輩は私のこと、好きって言ってくれますか?」
あなた「……好き」
しずく「!」
あなた「私も、しずくちゃんのこと――」
しずく「先輩っ!!」ギュッ
あなた「わっ、しずくちゃん!?」
しずく「ずっと聞きたかった言葉を、やっと聞くことができました」
あなた「……うん」
しずく「ねえ先輩。私、もう一つお聞きしたことがありますよね?」
あなた「あっ……そうだね」
しずく「答えてくれますか?」
あなた「もちろん。これからよろしくね、しずくちゃん」
しずく「……はいっ!」
………………
…………
……
18: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:44:00.63 ID:J1zyUkGP
翌日
しずく「~♪」
愛「ん? しずく、なんか今日はご機嫌だね」
しずく「そうですか? いつも通りだと思いますけど……」
愛「えー? しおってぃーはどう思う?」
栞子「言われてみるとそんな気もしますが……なにかいいことでもあったのですか?」
しずく「ないよ、なんにも」
栞子「だそうです」
愛「怪しいなぁ……隠し事はよくないぞ~?」
しずく「本当になにもありませんからっ」
栞子「愛さん、あまり詮索するのはよくありませんよ」
しずく「……たぶん私はこうして皆さんと一緒に練習できるのが嬉しいんだと思います」
愛「あー! そういうことか! それなら納得だね!」
しずく(実は先輩とお付き合いすることになりました、なんて絶対言えないよ……)
しずく「~♪」
愛「ん? しずく、なんか今日はご機嫌だね」
しずく「そうですか? いつも通りだと思いますけど……」
愛「えー? しおってぃーはどう思う?」
栞子「言われてみるとそんな気もしますが……なにかいいことでもあったのですか?」
しずく「ないよ、なんにも」
栞子「だそうです」
愛「怪しいなぁ……隠し事はよくないぞ~?」
しずく「本当になにもありませんからっ」
栞子「愛さん、あまり詮索するのはよくありませんよ」
しずく「……たぶん私はこうして皆さんと一緒に練習できるのが嬉しいんだと思います」
愛「あー! そういうことか! それなら納得だね!」
しずく(実は先輩とお付き合いすることになりました、なんて絶対言えないよ……)
19: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:48:00.60 ID:J1zyUkGP
夜 しずくの部屋
しずく「――それで愛さんに疑われてしまって」
あなた〈あはは、しずくちゃんもかぁ。私も歩夢ちゃんに様子が変だって言われちゃった〉
しずく「もっと気をつけないといけませんね……」
あなた〈だけどいつまでも黙ってるのもおかしいよね。悪いことしてるわけじゃないんだし〉
しずく「そう、ですよね……」
あなた〈それにしても不思議だなぁ、この感じ〉
しずく「はい?」
あなた〈だってこんな時間にしずくちゃんと電話してるんだもん〉
しずく「確かになんだか新鮮ですね……できることなら直接お会いしたいですけど」
あなた〈じゃあ今度しずくちゃんちに泊まりに行っちゃおうかなー〉
しずく「ふふっ、私はいつでも大歓迎ですよ?」
………………
…………
……
しずく「――それで愛さんに疑われてしまって」
あなた〈あはは、しずくちゃんもかぁ。私も歩夢ちゃんに様子が変だって言われちゃった〉
しずく「もっと気をつけないといけませんね……」
あなた〈だけどいつまでも黙ってるのもおかしいよね。悪いことしてるわけじゃないんだし〉
しずく「そう、ですよね……」
あなた〈それにしても不思議だなぁ、この感じ〉
しずく「はい?」
あなた〈だってこんな時間にしずくちゃんと電話してるんだもん〉
しずく「確かになんだか新鮮ですね……できることなら直接お会いしたいですけど」
あなた〈じゃあ今度しずくちゃんちに泊まりに行っちゃおうかなー〉
しずく「ふふっ、私はいつでも大歓迎ですよ?」
………………
…………
……
22: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:52:00.55 ID:J1zyUkGP
しずく『実は私……先輩とお付き合いすることになりました!』
彼方『おお~春が来たんだねぇ、しずくちゃん』
ミア『ベイビーちゃんか。まあいいんじゃない?』
果林『あの子を落とすなんてやるわね!』
栞子『すごくお似合いだと思います!』
璃奈『おめでとう、しずくちゃん。璃奈ちゃんボード「ハッピー」』
エマ『わたしもなんだか心がポカポカだよ~』
愛『じゃあ今日はみんなでわいわいお祝いしちゃう?』
ランジュ『きゃあっ! お祝いならお肉を食べましょ!』
しずく『皆さん……! ありがとうござ――』
歩夢『私は認めない』
しずく『えっ?』
彼方『おお~春が来たんだねぇ、しずくちゃん』
ミア『ベイビーちゃんか。まあいいんじゃない?』
果林『あの子を落とすなんてやるわね!』
栞子『すごくお似合いだと思います!』
璃奈『おめでとう、しずくちゃん。璃奈ちゃんボード「ハッピー」』
エマ『わたしもなんだか心がポカポカだよ~』
愛『じゃあ今日はみんなでわいわいお祝いしちゃう?』
ランジュ『きゃあっ! お祝いならお肉を食べましょ!』
しずく『皆さん……! ありがとうござ――』
歩夢『私は認めない』
しずく『えっ?』
23: (もなむす) 2022/03/20(日) 20:56:00.81 ID:J1zyUkGP
歩夢『あの子にふさわしいのは私だもん! しずくちゃんじゃない!』
しずく『あ、歩夢さん……?』
せつ菜『私も納得できません! 抜け駆けなんてずるいじゃないですか!』
しずく『せつ菜さんまで……』
せつ菜『私の大好きを、奪わないでくださいっ!!』
しずく『ぁ……』
かすみ『しず子はかすみんの気持ち、知ってたはずだよね?』
しずく『それは……』
かすみ『なのに、どうして……もうしず子のことなんか大っ嫌い!』
しずく『待ってかすみさん! 私、私は――』
しずく「っ!」バッ
しずく「あ、れ……夢……?」
しずく「…………」
しずく『あ、歩夢さん……?』
せつ菜『私も納得できません! 抜け駆けなんてずるいじゃないですか!』
しずく『せつ菜さんまで……』
せつ菜『私の大好きを、奪わないでくださいっ!!』
しずく『ぁ……』
かすみ『しず子はかすみんの気持ち、知ってたはずだよね?』
しずく『それは……』
かすみ『なのに、どうして……もうしず子のことなんか大っ嫌い!』
しずく『待ってかすみさん! 私、私は――』
しずく「っ!」バッ
しずく「あ、れ……夢……?」
しずく「…………」
24: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:00:00.59 ID:J1zyUkGP
部室
しずく「はぁ……」
しずく(なんだか嫌な夢見ちゃったな……)
かすみ「ねえしず子ー」
しずく「あっ、かすみさ――」
かすみ『しず子のことなんか大っ嫌い!』
しずく「っ……」
かすみ「ん……? 大丈夫? 具合悪いの?」
しずく「う、ううん。平気……なにか用事?」
かすみ「えっとぉ……あれ、なんだったっけ」
しずく「忘れちゃったの?」
かすみ「ちょっと待ってて! 今思い出すから!」
ガチャッ
かすみ「あっ! せんぱ~い!!」タッタッタッ
あなた「かすみちゃん、今日も元気だね!」
しずく「……行っちゃった」
ミア「かすみは相変わらずだね。まさに子犬って感じ」
しずく「ミアさん……でもそれもかすみさんのいいところだから」
ミア「いいところ? あれが? ベイビーちゃんからしたら迷惑なだけでしょ?」
しずく「……先輩はきっと迷惑だなんて思ってないよ」
ミア「ふーん、変なの。ボクには理解できないね」
しずく「はぁ……」
しずく(なんだか嫌な夢見ちゃったな……)
かすみ「ねえしず子ー」
しずく「あっ、かすみさ――」
かすみ『しず子のことなんか大っ嫌い!』
しずく「っ……」
かすみ「ん……? 大丈夫? 具合悪いの?」
しずく「う、ううん。平気……なにか用事?」
かすみ「えっとぉ……あれ、なんだったっけ」
しずく「忘れちゃったの?」
かすみ「ちょっと待ってて! 今思い出すから!」
ガチャッ
かすみ「あっ! せんぱ~い!!」タッタッタッ
あなた「かすみちゃん、今日も元気だね!」
しずく「……行っちゃった」
ミア「かすみは相変わらずだね。まさに子犬って感じ」
しずく「ミアさん……でもそれもかすみさんのいいところだから」
ミア「いいところ? あれが? ベイビーちゃんからしたら迷惑なだけでしょ?」
しずく「……先輩はきっと迷惑だなんて思ってないよ」
ミア「ふーん、変なの。ボクには理解できないね」
25: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:04:00.54 ID:J1zyUkGP
夜 あなたの部屋
ピリリリリ!
あなた「あ、電話だ」スッ
スマホ画面〈着信:しずくちゃん〉
歩夢「こんな時間に誰から?」
あなた「えっと……ごめん歩夢ちゃん、ちょっと待ってて!」スタスタ
ガチャッバタン
しずくの部屋
あなた〈もしもし……〉
しずく「先輩! こんばんは」
あなた〈こ、こんばんは……〉
しずく「その……今日もゆっくりお話がしたくて、電話を――」
あなた〈しずくちゃんごめん! 今歩夢ちゃんが部屋に来てて……〉
ピリリリリ!
あなた「あ、電話だ」スッ
スマホ画面〈着信:しずくちゃん〉
歩夢「こんな時間に誰から?」
あなた「えっと……ごめん歩夢ちゃん、ちょっと待ってて!」スタスタ
ガチャッバタン
しずくの部屋
あなた〈もしもし……〉
しずく「先輩! こんばんは」
あなた〈こ、こんばんは……〉
しずく「その……今日もゆっくりお話がしたくて、電話を――」
あなた〈しずくちゃんごめん! 今歩夢ちゃんが部屋に来てて……〉
26: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:08:00.85 ID:J1zyUkGP
しずく「歩夢さん……ですか」
あなた〈うん。だから今はちょっと……〉
しずく「あ……わかりました。ではまた明日、学校で」
あなた〈ほんとにごめんね。おやすみ、しずくちゃん〉
しずく「はい、おやすみなさい」
ピッ
しずく「……歩夢さん、か」
しずく(まあ先輩とは幼馴染なんだし、お互いの部屋を行き来するくらいならよくあることなのかな……)
しずく(歩夢さんとふたりきりで、先輩は今なにをしてるんだろう……)
しずく(浮気なんてする人じゃないってわかってはいるけど、でも……)
しずく「少しだけ、不安になってしまいます。先輩……」
あなた〈うん。だから今はちょっと……〉
しずく「あ……わかりました。ではまた明日、学校で」
あなた〈ほんとにごめんね。おやすみ、しずくちゃん〉
しずく「はい、おやすみなさい」
ピッ
しずく「……歩夢さん、か」
しずく(まあ先輩とは幼馴染なんだし、お互いの部屋を行き来するくらいならよくあることなのかな……)
しずく(歩夢さんとふたりきりで、先輩は今なにをしてるんだろう……)
しずく(浮気なんてする人じゃないってわかってはいるけど、でも……)
しずく「少しだけ、不安になってしまいます。先輩……」
27: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:12:00.57 ID:J1zyUkGP
翌日 虹ヶ咲学園・学食
しずく「いただきます」
せつ菜「しずくさん、ここ空いてますか?」
しずく「あっ、菜々さん。どうぞ」
せつ菜「今日はおひとりですか?」
しずく「ええ、まあ……菜々さんも?」
せつ菜「はい。でももうひとりじゃありませんね」
しずく「ふふ、そうですね」
せつ菜「では私もいただきます」
しずく「…………」
しずく(せつ菜さんが私と先輩の関係を知ったら、どう思うんだろう)
しずく(あの夢みたいなことにはならないと思うけど、心の内はわからない)
しずく(……そもそもせつ菜さんは、先輩のことが好きなのかな?)
しずく(なんとなくそんな気はする。だけど確かめたわけじゃない)
しずく(もし、そうだったら――)
せつ菜「あの……しずくさん? 大丈夫ですか?」
しずく「えっ?」
せつ菜「食事に手を付けていないようですが……」
しずく「あ……すみません、すこし考え事をしていました」
せつ菜「ならよかったです。早く食べないと冷めてしまいますよ」
しずく「いただきます」
せつ菜「しずくさん、ここ空いてますか?」
しずく「あっ、菜々さん。どうぞ」
せつ菜「今日はおひとりですか?」
しずく「ええ、まあ……菜々さんも?」
せつ菜「はい。でももうひとりじゃありませんね」
しずく「ふふ、そうですね」
せつ菜「では私もいただきます」
しずく「…………」
しずく(せつ菜さんが私と先輩の関係を知ったら、どう思うんだろう)
しずく(あの夢みたいなことにはならないと思うけど、心の内はわからない)
しずく(……そもそもせつ菜さんは、先輩のことが好きなのかな?)
しずく(なんとなくそんな気はする。だけど確かめたわけじゃない)
しずく(もし、そうだったら――)
せつ菜「あの……しずくさん? 大丈夫ですか?」
しずく「えっ?」
せつ菜「食事に手を付けていないようですが……」
しずく「あ……すみません、すこし考え事をしていました」
せつ菜「ならよかったです。早く食べないと冷めてしまいますよ」
28: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:16:00.53 ID:J1zyUkGP
しずく「……菜々さんって、今好きな人はいますか?」
せつ菜「好きな人ですか? やっぱり同好会の皆さんや、応援してくれるファンの方ですね」
しずく「そうではなくて、恋愛対象として好きな人ですよ」
せつ菜「え……ええっ!?」
しずく「どうなんですか?」
せつ菜「ええと……そういう話は恥ずかしいので、ちょっと……」
しずく「いるんですね……誰なんですか? もしかして、先輩?」
せつ菜「っ!? ち、ちちち、ちがっ、違いますっ!!」
しずく「……そうなんですね」
せつ菜「あぅ……このことは部長には言わないでくださいね……?」
しずく「言いませんよ。他の誰かに話したりもしません」
せつ菜「そうしてもらえると助かります……」
しずく「ご飯、食べましょうか。冷めてしまいますから」
廊下
しずく(思ったとおり、せつ菜さんは先輩のことが好きだった)
しずく(歩夢さんとかすみさんにとっても、先輩は特別な存在に違いない)
しずく(もしかしたら他にも先輩に想いを寄せている子がいるのかも……)
しずく(その中で私は、誰よりも先輩にふさわしい相手なのかな?)
しずく(先輩は、本当に私でよかったのかな……)
せつ菜「好きな人ですか? やっぱり同好会の皆さんや、応援してくれるファンの方ですね」
しずく「そうではなくて、恋愛対象として好きな人ですよ」
せつ菜「え……ええっ!?」
しずく「どうなんですか?」
せつ菜「ええと……そういう話は恥ずかしいので、ちょっと……」
しずく「いるんですね……誰なんですか? もしかして、先輩?」
せつ菜「っ!? ち、ちちち、ちがっ、違いますっ!!」
しずく「……そうなんですね」
せつ菜「あぅ……このことは部長には言わないでくださいね……?」
しずく「言いませんよ。他の誰かに話したりもしません」
せつ菜「そうしてもらえると助かります……」
しずく「ご飯、食べましょうか。冷めてしまいますから」
廊下
しずく(思ったとおり、せつ菜さんは先輩のことが好きだった)
しずく(歩夢さんとかすみさんにとっても、先輩は特別な存在に違いない)
しずく(もしかしたら他にも先輩に想いを寄せている子がいるのかも……)
しずく(その中で私は、誰よりも先輩にふさわしい相手なのかな?)
しずく(先輩は、本当に私でよかったのかな……)
29: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:20:00.57 ID:J1zyUkGP
一週間後 しずくの部屋
あなた「わー、ほんとに来ちゃった。しずくちゃんの部屋!」
しずく「ふふっ、お泊りではありませんけどね」
あなた「それはまあそのうちにね。にしてもしずくちゃんとふたりきりって久しぶりな気がする」
しずく「居残りしていた時以来ですから、たしかに久しぶりかもしれませんね」
あなた「ん~……なんか落ち着くなぁ、この部屋」
しずく「そうですか?」
あなた「うん、ほっとする感じ。あっ、私お菓子持ってきたから食べながらおしゃべりしようよ!」
しずく「いいですね。では私はなにか飲み物を持ってきます」
………………
…………
……
あなた「――それで私がね……って、しずくちゃん?」
しずく「あ、はいっ、なんでしょう?」
あなた「……なにかあったの?」
しずく「いえっ、その……」
あなた「こういうしずくちゃん、前にも見たよ」
しずく「…………」
あなた「話してくれないかな? これでも私、しずくちゃんの彼女なんだからさ」
しずく「そのことなんですが……先輩は本当に私のことが好きなんですか?」
あなた「えっ……それって、どういう意味?」
あなた「わー、ほんとに来ちゃった。しずくちゃんの部屋!」
しずく「ふふっ、お泊りではありませんけどね」
あなた「それはまあそのうちにね。にしてもしずくちゃんとふたりきりって久しぶりな気がする」
しずく「居残りしていた時以来ですから、たしかに久しぶりかもしれませんね」
あなた「ん~……なんか落ち着くなぁ、この部屋」
しずく「そうですか?」
あなた「うん、ほっとする感じ。あっ、私お菓子持ってきたから食べながらおしゃべりしようよ!」
しずく「いいですね。では私はなにか飲み物を持ってきます」
………………
…………
……
あなた「――それで私がね……って、しずくちゃん?」
しずく「あ、はいっ、なんでしょう?」
あなた「……なにかあったの?」
しずく「いえっ、その……」
あなた「こういうしずくちゃん、前にも見たよ」
しずく「…………」
あなた「話してくれないかな? これでも私、しずくちゃんの彼女なんだからさ」
しずく「そのことなんですが……先輩は本当に私のことが好きなんですか?」
あなた「えっ……それって、どういう意味?」
30: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:24:00.61 ID:J1zyUkGP
しずく「ずっと考えていたんです……私は先輩の彼女でいていいのかなって」
しずく「先輩の恋人になるべき人は、私以外の誰かなんじゃないかって……」
あなた「…………」
しずく「あの時たしかに先輩は私のことを好きだと言ってくれました」
しずく「だけどそれは私が『好き』って言ってほしそうだったからそうしてくれただけで――」
しずく「私はその優しさに甘えているだけなのかもって……違いますか?」
あなた「……それって私がしずくちゃんを騙してるってこと?」
しずく「そうではなくてっ、先輩は優しいから私を傷つけないように――」
あなた「じゃあしずくちゃんは今どんな気持ちなの?」
あなた「私が嘘をついてたかもしれないと思って、どう感じたの?」
しずく「それは……」
あなた「……ごめんね。きっと私のせいでしずくちゃんを不安にさせちゃったんだよね」
しずく「そんなっ、これは私が勝手に……」
あなた「私ね、ちゃんとしずくちゃんのことが好きだよ。だけど……ちょっとだけ嘘はついたかも」
しずく「嘘、ですか?」
あなた「うん。たぶん私も前からしずくちゃんのことが気になってたから」
あなた「しずくちゃんに告白されたとき、『これが演技じゃなければいいのに』って思ったの」
しずく「……つまり最初の告白で、先輩はご自身の気持ちを理解していたと?」
あなた「ん~……そういうことになるね」
しずく「ならどうして私に2度も告白させたんですか?」
あなた「しずくちゃんがあんまり可愛いもんだから、おかわりしたくなっちゃって……」
しずく「むぅ……ずるいです! 私も先輩にもっと好きって言ってもらいたいです!」
しずく「先輩の恋人になるべき人は、私以外の誰かなんじゃないかって……」
あなた「…………」
しずく「あの時たしかに先輩は私のことを好きだと言ってくれました」
しずく「だけどそれは私が『好き』って言ってほしそうだったからそうしてくれただけで――」
しずく「私はその優しさに甘えているだけなのかもって……違いますか?」
あなた「……それって私がしずくちゃんを騙してるってこと?」
しずく「そうではなくてっ、先輩は優しいから私を傷つけないように――」
あなた「じゃあしずくちゃんは今どんな気持ちなの?」
あなた「私が嘘をついてたかもしれないと思って、どう感じたの?」
しずく「それは……」
あなた「……ごめんね。きっと私のせいでしずくちゃんを不安にさせちゃったんだよね」
しずく「そんなっ、これは私が勝手に……」
あなた「私ね、ちゃんとしずくちゃんのことが好きだよ。だけど……ちょっとだけ嘘はついたかも」
しずく「嘘、ですか?」
あなた「うん。たぶん私も前からしずくちゃんのことが気になってたから」
あなた「しずくちゃんに告白されたとき、『これが演技じゃなければいいのに』って思ったの」
しずく「……つまり最初の告白で、先輩はご自身の気持ちを理解していたと?」
あなた「ん~……そういうことになるね」
しずく「ならどうして私に2度も告白させたんですか?」
あなた「しずくちゃんがあんまり可愛いもんだから、おかわりしたくなっちゃって……」
しずく「むぅ……ずるいです! 私も先輩にもっと好きって言ってもらいたいです!」
31: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:28:00.77 ID:J1zyUkGP
あなた「……好きだよ、しずくちゃん」
しずく「まだ、足りません……」
あなた「好き。大好き」
しずく「もっと、もっとです」
あなた「……私は他の誰にも負けないくらい、しずくちゃんが大好きだよ」
しずく「先輩……」
あなた「もうしずくちゃんを不安にさせたりしないからね」
しずく「……それは本当に先輩のせいじゃないですよ」
あなた「そうなの?」
しずく「はい。ですから先輩も安心してくださいね」
あなた「わかった。これからもよろしくね、しずくちゃん」
しずく「こちらこそよろしくお願いしますね、先輩っ」チュッ
あなた「えっ……? い、今の――」
しずく「ふふっ、ずっと一緒にいられるおまじないです」
あなた「そっか、おまじないか。へー……」
しずく「先輩のほっぺた、柔らかいんですね」
あなた「ま、まあねっ! あはは……」
しずく「いつか先輩からもおまじない、かけてくださいね。でもその時はほっぺたじゃダメですよ?」
あなた「……頑張ります」
しずく「まだ、足りません……」
あなた「好き。大好き」
しずく「もっと、もっとです」
あなた「……私は他の誰にも負けないくらい、しずくちゃんが大好きだよ」
しずく「先輩……」
あなた「もうしずくちゃんを不安にさせたりしないからね」
しずく「……それは本当に先輩のせいじゃないですよ」
あなた「そうなの?」
しずく「はい。ですから先輩も安心してくださいね」
あなた「わかった。これからもよろしくね、しずくちゃん」
しずく「こちらこそよろしくお願いしますね、先輩っ」チュッ
あなた「えっ……? い、今の――」
しずく「ふふっ、ずっと一緒にいられるおまじないです」
あなた「そっか、おまじないか。へー……」
しずく「先輩のほっぺた、柔らかいんですね」
あなた「ま、まあねっ! あはは……」
しずく「いつか先輩からもおまじない、かけてくださいね。でもその時はほっぺたじゃダメですよ?」
あなた「……頑張ります」
32: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:32:00.78 ID:J1zyUkGP
商店街
しずく「えへへ……先輩とデート、楽しいです!」
あなた「私も! しずくちゃんと一緒にいるだけで幸せだよ!」
しずく「それにこのあたりなら、学校の誰かと鉢合わせることもないでしょうし……」
あなた「しずくちゃんは私たちのこと、みんなに知られたくない?」
しずく「そうですね……今は、まだ。話さなくちゃいけないのはわかっているんですけど……」
あなた「急ぐ必要はないよ。だって私たちはまだ始まったばかりだもん」
あなた「そしてこれから先、いつまでも続いていくんだからさ」
あなた「しずくちゃんもずっと一緒にいるって言ってくれたでしょ?」
しずく「はい。私は絶対に先輩から離れたりしません」
あなた「だから私たちのことはしばらく内緒にしておいてもいいんじゃないかな」
しずく「ふたりだけの秘密、ですね」
あなた「うん、私としずくちゃんだけのね」
しずく「そうだ、先輩にさっきのお礼をさせてください」
あなた「お礼って?」
しずく「……私も先輩のことが、だーい好きですっ!」ギュッ
パタン
――――――
――――
――
しずく「えへへ……先輩とデート、楽しいです!」
あなた「私も! しずくちゃんと一緒にいるだけで幸せだよ!」
しずく「それにこのあたりなら、学校の誰かと鉢合わせることもないでしょうし……」
あなた「しずくちゃんは私たちのこと、みんなに知られたくない?」
しずく「そうですね……今は、まだ。話さなくちゃいけないのはわかっているんですけど……」
あなた「急ぐ必要はないよ。だって私たちはまだ始まったばかりだもん」
あなた「そしてこれから先、いつまでも続いていくんだからさ」
あなた「しずくちゃんもずっと一緒にいるって言ってくれたでしょ?」
しずく「はい。私は絶対に先輩から離れたりしません」
あなた「だから私たちのことはしばらく内緒にしておいてもいいんじゃないかな」
しずく「ふたりだけの秘密、ですね」
あなた「うん、私としずくちゃんだけのね」
しずく「そうだ、先輩にさっきのお礼をさせてください」
あなた「お礼って?」
しずく「……私も先輩のことが、だーい好きですっ!」ギュッ
パタン
――――――
――――
――
33: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:36:00.64 ID:J1zyUkGP
虹ヶ咲学園・階段
パタン
しずく「先輩……ふふっ」
あなた「しずくちゃん、なに見てたの?」
しずく「これですか? 演劇部で使う台本ですよ」
あなた「台本かぁ。ちょっと見せてもらえたりは……」
しずく「ダメです。先輩には見せられません」
あなた「だよねー。今から部室に行くけど一緒に行かない?」
しずく「はい、ぜひ」
あなた「ねね、どんな話かだけでも教えてくれないかな?」
しずく「どうしてそんなに台本を気にするんですか?」
あなた「だってしずくちゃんすっごく楽しそうに読んでたから」
しずく「まあ私の好きなお話ですから……」
あなた「そうなんだ。どんなお話なんだろう……」
しずく(そう、これは私と大好きな先輩の物語。次はどんなお話を書こうかな?)
しずく(……いつかあなたと演じられる日を楽しみにしていますね、先輩)
この物語はフィクションです♡
来週のこの時間は前田佳織里主演「子供飲兵衛・かおりんの診療簿」をお送りします。
パタン
しずく「先輩……ふふっ」
あなた「しずくちゃん、なに見てたの?」
しずく「これですか? 演劇部で使う台本ですよ」
あなた「台本かぁ。ちょっと見せてもらえたりは……」
しずく「ダメです。先輩には見せられません」
あなた「だよねー。今から部室に行くけど一緒に行かない?」
しずく「はい、ぜひ」
あなた「ねね、どんな話かだけでも教えてくれないかな?」
しずく「どうしてそんなに台本を気にするんですか?」
あなた「だってしずくちゃんすっごく楽しそうに読んでたから」
しずく「まあ私の好きなお話ですから……」
あなた「そうなんだ。どんなお話なんだろう……」
しずく(そう、これは私と大好きな先輩の物語。次はどんなお話を書こうかな?)
しずく(……いつかあなたと演じられる日を楽しみにしていますね、先輩)
この物語はフィクションです♡
来週のこの時間は前田佳織里主演「子供飲兵衛・かおりんの診療簿」をお送りします。
34: (もなむす) 2022/03/20(日) 21:39:00.57 ID:J1zyUkGP
お粗末さまでした。
35: (SIM) 2022/03/20(日) 21:46:26.29 ID:ORnLgE1g
おつです
しずくちゃんが可愛かった
あと来週の番組が気になりすぎる…
しずくちゃんが可愛かった
あと来週の番組が気になりすぎる…
36: (もこりん) 2022/03/20(日) 21:59:19.88 ID:0xajjW/M
おつ
あなしずはなんぼあってもいいですからね
あなしずはなんぼあってもいいですからね
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1647774001/
【SS】日曜桜坂劇場「刑事オードリー」[字][解][デ]死を呼ぶ嘘スキャンダル記事!人気アイドルに秘密あり…疑惑の八重歯と魅惑のセクシー姉さん【ラブライブ!虹ヶ咲】
■約16000文字■歩道橋下
しずく「身元不明かぁ……」
璃奈「うん、所持品は特になし。歩道橋から転落死したのは間違いないけど……」
しずく「物取りかな?」
璃奈「かもしれない」
あなた「しずくちゃーん! 連れてきたよ、こちら第一発見者の近江彼方さん」
彼方「いや~、彼方ちゃん朝からえらいもん見つけちゃったぜ~」
しずく「ありがとうございます、先輩。では早速発見時の詳しいお話を――」
あなた「あれっ? この死んでる子って……」
しずく「お知り合いなんですか?」
あなた「知り合いじゃないけど、知らない? 綾小路姫乃ちゃん」
しずく「……?」
璃奈「あれから40年」
あなた「それきみまろじゃん」
彼方「あー、きみまろならこないだ徹子の部屋で見たよ~」
しずく「私も見ました」
あなた「だからきみまろじゃなくて姫乃ちゃんだってば、アイドルの」
3人「……?」
あなた「えっ、私しか知らないの?」
しずく「すみません……」
彼方「ん~……その子って徹子の部屋に出たことある?」
あなた「それはないかもしれないけど……」
彼方「じゃあ知らなくてもしょうがないね~」
璃奈「うん、しょうがない」
あなた「そうなの? そういうものなの?」
しずく「とりあえず遺体が姫乃さんかどうかを確認しましょう」