【SS】海未「あなたへ贈る私の初恋」

海未「あれは…絵里？誰かといるみたいですが…一年生でしょうか？」

海未「何やら、一年生の方は緊張しているみたいですが…」

海未「何か隠し持っているみたいですね…手紙でしょうか？」

海未「もしかして…ラ…ラブレターを渡そうとしているのでは…」

海未「以前、私がラブレターを貰った時も…相手は、あのような表情をしていましたし…」

海未「絵里がラブレターを貰った事があると以前聞きましたが、実際に現場を見てしまうと…この気持ちはなんでしょう…」

海未「そ…そんな事より、あまりのぞき見するのも良くありませんし、練習に行かないと…」
　

絵里「う～み♪」

海未「！？？」

絵里「びっくりした？でも、そんなに驚かなくていいのに」ｸｽｯ

絵里「何か考え事かしら？」

海未「い…いえ…そういう訳では…」

絵里「もしかして悩み事？生徒会長の絵里ちゃんがお答えしちゃうわよ♪」

海未「え…絵里ちゃん…ですか…やけに機嫌がいいのですね…」

絵里「さっき、ちょーっと嬉しい事があったの、だからかもしれないわね」
　

海未（嬉しい事…という事は…ラブレターの事でしょうか…）

海未（もしかして…絵里も…相手の事が…）

海未（わ…私は何を考えているのですか！？？）

海未（絵里が、相手が女性とはいえ…お付き合いするのでしたら祝福してあげるのが友人としての務めであると思うのですが…）

海未（その事を考えるだけで胸がとても痛くて…辛いです…）

海未（この気持ちは…一体…）
　

絵里「海未？」

海未「は…はい！」

絵里「もしかして、体調悪いの？風邪も流行ってるみたいだし無理しちゃダメよ」

海未「そういうわけではないのですが…」

絵里「本当？ちょっと動かないでね」ﾋﾟﾄ

海未「え…絵里！？いきなり何を！？」
　

絵里「だって、おでこで計った方が熱あるのか分かりやすいでしょ？」

絵里「う～ん、ちょっと熱い気がするわね。今日の練習は休んだ方がいいんじゃない？」

海未「た…体調は特に悪くないので…」

絵里「本当？嘘ついてない？海未ってそういう時無理しそうだし」

海未「ほ…本当に大丈夫ですので…」

絵里「少しでも体調がおかしいと思ったらすぐに休むのよ。いいわね？」

海未「は…はい…」
　

海未（絵里の顔…本当に近いです…この距離だと、少し唇を動かせば…キ…キス…）

絵里「海未にしては珍しく破廉恥です！って言わないのね」

海未「な…何を…」

絵里「だって、普段の海未なら言いそうじゃない…もしかして…」

海未「そ…そんな訳ないじゃないですか！！」

絵里「いや、本当に体調が悪いのかなって思ったんだけど…」

海未「あ…その…///」

絵里「でも、それだけ大きい声出せれば大丈夫ね。練習行きましょう？」

海未「はい…」
　

絵里「ふふっ、海未ってほーんと可愛いわね」

海未「か…かわいい…ですか…///」

絵里「ちょっとからかっただけなのに、顔真っ赤になって怒っちゃうんだもの」

絵里「真面目でかっこいい海未ちゃんもいいけど、照れ屋さんなところは女の子みたいでかわいいと思うわ」

海未「な…何を言い出すのですか…///」

絵里「あら、私は思ったことを言っただけよ？変な事なんて言ってないわ」

海未「そ…そうですか…」

海未（私が女の子らしくて、かわいい…ですか）ﾌﾌｯ

絵里「ほら、早く行くわよ。きっと、穂乃果が待ちくたびれてるわ」

海未「はい！」
　

穂乃果「海未ちゃーん！絵里ちゃーん！遅いよー」

絵里「ごめんね、それじゃあ練習始めましょう？」

海未（しかし…絵里はお手紙を貰った相手と…）

海未（絵里はああいう性格ですから、きっと誰にでもあのような事を言うのでしょうけど）

海未（その言葉が、私以外の人にも向けられる事を考えると…また胸が苦しくなって…）

海未（そ…それに…絵里があの子とお付き合いする事になったら…私は…）

穂乃果「海未ちゃん？練習始めるよ？」

海未「す…すみません…」

海未（確かに…体調…良くないのかもしれません…）

海未（絵里の事を考えると、胸がこんなにも苦しくなって……）
　

ことり「海未ちゃん、大丈夫？」

海未「は…はい…」

ことり「何か悩んでるの？ことりで良かったら聞いてあげるけど…」

海未「だ…大丈夫です」

ことり「そう？悩み事は抱え過ぎないでね？心配になっちゃうから」

海未「そうですね…抱え込んでいるばかりじゃいけませんよね…」ﾎﾞｿｯ

ことり「…？」

海未「何でもありませんよ。練習に行きましょうか」

ことり「うん♪」
　

絵里「それじゃあ、少し休憩にしましょうか」

海未（練習に全く集中できていませんし、少し、頭を冷やさなければいけません…）

海未（頭の中では分かっているのですが、つい、目線が絵里の方に奪われてしまうといいますか…）

絵里「？」

海未（…っ）

海未（目が合っただけで…なぜ胸がこんなにも高鳴るのでしょうか）

海未（この感情は…なんでしょう…）
　

凛「海未ちゃん大丈夫？ちょっと体調悪そうだったし」

海未「ええ、大丈夫ですよ」

真姫「あまり無理しちゃダメよ、軽い風邪だからって甘く見てたら実はひどい病気だったって事もあるんだから」

花陽「花陽に出来ることがあったら教えてね？」

海未「3人とも、ありがとうございます。本当に大丈夫ですので」

海未（穂乃果やことりや後輩達に心配されるのは嬉しいのですが…絵里との違いは…）
　

希「にこっち、占いしてみる？新しい占い覚えてきたんだけど」

にこ「何の占い？」

希「恋愛運の占いなんよ。良かったらやってみる？」

海未（恋愛…ですか…）

にこ「アンタねえ…アイドルに恋愛なんてご法度に決まってるじゃない」
　

希「にこっちは恋してないん？」

にこ「にこの恋人は、にこの事応援してくれるファンのみんなだから裏切るなんてできないにこ♪」

希「…」

にこ「…なによ」

希「ウチらはスクールアイドルやし、恋愛ぐらいしてもいいと思うんよ」

希「ねー、海未ちゃん？」
　

海未「な…なんですか！いきなり！」

にこ「なんで海未が出てくるのよ…」

希「んー？なんとなくかな？海未ちゃんから…」

にこ「恥ずかしがりやな海未に限って恋愛なんてありえないでしょ」

希「そんな事無いよ。海未ちゃんってかわいらしい女の子っぽい所ちゃんとあるし」

海未「そ…そうですか…」

海未（絵里と希にかわいいと言われる事の違いは…一体…）
　

海未（結局、練習に集中できないまま終わってしまいましたね…）

海未（こういう時は、気分転換に穂乃果の家に寄っておまんじゅうでも買いましょうか）

海未「穂乃果、そろそろ帰りましょう」

穂乃果「ごめんね、海未ちゃん。今日はことりちゃんと花陽ちゃんとお出かけなんだ」

海未「そうでしたか…」

穂乃果「じゃあ、また明日ね」

海未「はい、気を付けて帰ってくださいね」
　

海未（一人で帰るのも久しぶりですね）

海未（…）

海未（絵里は今どうしているのでしょうか…？）

海未（いつものように、隣にいるのが穂乃果やことりではなく、絵里だったら…）

海未（本当に、私はどうしてしまったのでしょうか…）

海未（事あるごとに頭の中が絵里でいっぱいになって、胸が苦しくなって…）
　

絵里「やっぱり何か悩んでたのね」

海未「え…絵里…」

絵里「今日は珍しく一人なのね。一緒に帰りましょう？」

海未「は…はい…」

絵里「うつむいて歩いていたら危ないわよ？何か落ち込む事でもあったの？」

海未「いえ…」

海未（隣にいるあなたが原因です…なんて言えるわけありませんし）
　

絵里「海未はね、きっと一人でなんでもできちゃう子だから難しいかもしれないけど」

絵里「たまには、人を頼ってもいいのよ？例えば、目の前にいる優しい先輩とか♪」

海未「…」

絵里「何でも一人でやろうとすると…結果は昔の私を知っている海未ならわかるでしょ？」

絵里「別にね、無理に話してって言っているわけじゃないけど、海未の背負っている物を少しは持ってあげられるから」

絵里「海未はμ’ｓの事だけじゃなくてお家の事とかも色々あると思うし、大変なのは分かってるわ」

絵里「だから何も言わないで、私に背中を預けるぐらいしてくれてもいいの」

絵里「今なら穂乃果もことりも誰もいないわ。こっそり弱い所を見せてくれても大丈夫よ」
　

海未（ああ…ようやく分かりました…）

海未（私は優しいこの先輩の事が…）

海未（ことりが言っていたように、悩み事は抱えていてはいけない…です）

海未（このままだと私も踏み出せないですから…）

海未「あ…あの！」
　

絵里「どうしたの？」

海未「今日の練習前、一年生から…その…」

絵里「もしかして、見てたの？」

海未「はい…たまたまですが…」

絵里「私ね、あの子から」

海未「…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
　

絵里「ファンレター貰ったの！」

海未「ファンレター…」

絵里「私って、μ’sに入ったの最後でしょ？だからファンレターを直接貰うのが初めてで、とても嬉しかったのよ」

海未「そ…そういう事でしたか…」

絵里「ええ、とても嬉しいの！」
　

絵里「だって手紙って素敵じゃない？」

絵里「書いている時は、送る相手の事だけを考えて、思いが伝わりますようにって」

絵里「本人が目の前にいると伝えにくいことも、手紙なら伝えられるわ」

絵里「海未は恥ずかしがり屋なところもあるから、対人関係で悩んでいるのなら手紙で思いを伝えるのもいいかもね」
　

絵里「…少しは先輩らしい事を言えたかしら？」

海未「はい…絵里は私の尊敬する先輩ですから」

絵里「ふふっ、ありがとう。それじゃあまた明日」

海未「はい…お疲れさまでした」

海未「手紙…ですか…」
　

――翌日――

絵里「どうしたの？こんなところに呼び出して」

海未「あの…昨日はありがとうございました」

絵里「あら、私は何もしてないわよ。悩みを解決できたのなら、海未が頑張っただけ」

海未「いえ…私の悩みは解決していません…」

絵里「そうなの？」

海未「昨日一晩…いやずっと前から考えていました…絵里の事を…」

海未「胸が苦しくなるぐらいずっと…」

海未「ですが…絵里のおっしゃる通り、私は思いを直接伝えるのが苦手なので……」


海未「あなたの事を想って書いたこの手紙…読んでいただけますか？」


おわり
　

えりうみやったぜ
　

乙
告白寸前で終わるこの感じ嫌いじゃない
えりうみは少女マンガっぽさが良いよなぁ
　

えりうみいいぞ～