【SS】善子「最後の日」

SS


1: 2016/12/12(月) 11:01:08.25 ID:W717q2rs.net
……あと数時間で死ぬ

正確には2時間20分後、午前11時24分頃

かつての教え子たちや共に過ごした家族や友がベッドの周りに集まっている

最も幸せな死にかたのひとつなのだろう

これまでを振り返る…私は何か遺せたのかしら……

2: 2016/12/12(月) 11:02:02.12 ID:W717q2rs.net
「あのぉ……」

善子「あっ、はい」

「お財布…落としましたよ?」

善子「すみません…ありがとうございます」

「いえいえ……あなたも映画館に?」

善子「!………はい」

この人は…きっとアンドロイドだわ……

3: 2016/12/12(月) 11:04:44.42 ID:W717q2rs.net
「なら…一緒にいきませんか?私も映画を見に行くんですよ」

善子「まあ……いいわよ…」

触れた時にわかる、ヒトとは違う種類の暖かさ

「よかったぁ…あ!私ことりって言います」

善子「よろしく、私は善子よ」

ことり「じゃあ行きましょうか」

4: 2016/12/12(月) 11:09:35.85 ID:W717q2rs.net
善子「………」

面白い…けど……これじゃ足りない…

ことり「うぅ…うっ…」ポロポロ

善子「!」

泣いてる………

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ことり「うっ……最後のぉ…ターミネーターが涙を流すところでぇ…」ポロポロ

善子「私もそこは好きだわ、とても良いシーンだったわね」

ことり「もう我慢できなくて泣いちゃいましたぁ」

6: 2016/12/12(月) 11:13:34.60 ID:W717q2rs.net
ことり「すごいですね、私すぐ泣いちゃうんですよ…恥ずかしいですけどね…えへへ」

善子「良いじゃない、羨ましいわ」

ことり「羨ましい?」

善子「私…泣かないのよ」

ことり「泣かない?」

善子「痛くっても…辛いことがあっても」

ことり「へぇ~」

善子「だからたくさん映画を見てるのよ」

ことり「私も映画大好きなんですよ」

善子「みてればわかるわ」

7: 2016/12/12(月) 11:17:20.08 ID:W717q2rs.net
善子「それより…ことりさん…あなた」

ことり「ことりで良いよ♪」

善子「ことり、あなたアンドロイドでしょ?」

ことり「…………バレちゃった?」

善子「なんとなくわかるのよね…さっき財布を拾ってもらった時に指が触れたでしょ?」

ことり「すごいですねぇ!私今までバレたこと無いんですよ」

善子「私の108つの特技のひとつね」

ことり「すごぉい!」

8: 2016/12/12(月) 11:20:22.24 ID:W717q2rs.net
ことり「ほかには何があるんですか?!」

善子「うーん…暗算が得意!!」

ことり「それなら私も!!」

善子「あんたアンドロイドでしょ…」

ことり「あっ!」

善子「出来て当たり前よ」

ことり「えへへ」

善子「……そろそろ帰るわ、楽しかったわ♪」

ことり「あっ!」

善子「?」

ことり「良かったら…また映画見に行きませんか?連絡先教えて下さい」

善子「………まあいいわよ」

9: 2016/12/12(月) 11:25:48.35 ID:W717q2rs.net
アンドロイドと連絡先を交換した…

まあ映画の感想とか語り合うのは有意義かも…

善子「ただいまー」

ルビィ「おっかえりーー」

善子「ふふ、ただいま」

ダイヤ「おかえりなさい」

善子「うん」

家に帰るとかわいらしい妹としっかりものの姉が迎えてくれる

父はいないけど母は私たちのために毎日働いてる

とても幸せな家族

10: 2016/12/12(月) 11:31:01.35 ID:W717q2rs.net
ルビィ「映画どうだったぁ?泣いた?」

善子「ダメだったわ…面白かったんだけどね」

ルビィ「そっかぁ…残念」

善子「そう、今日アンドロイドと友達になったのよ」

ダイヤ「…アンドロイドと?」

善子「うん、映画見る前に私が落とした財布拾ってくれて…そのまま流れで」

ルビィ「へぇ~」

善子「連絡先も交換しちゃったわ」

ダイヤ「まあ!!?」

ルビィ「それナンパだよ!」

女型なんだけど……

11: 2016/12/12(月) 11:35:14.09 ID:W717q2rs.net
ルビィ「善子ちゃんはかわいいからねぇ」

ダイヤ「ついていってはいけませんよ!?」

善子「あのね…女型だから…」

ルビィ「なぁんだ…」

ダイヤ「そうですか」

善子「………で…晩御飯は?」

ダイヤ「今日は鮭です!」

ルビィ「わぁい!はやくはやく!」

12: 2016/12/12(月) 11:38:53.32 ID:W717q2rs.net
善子「………」

メール……送ってみようかしら……

いやでもあっちから言った訳だし…待ってたら来るわよね?

善子「うーん…」

≪こんばんは、善子です。今日はありがとうございました≫

善子「違う?…うーん…」

わからない……こんなの初めてだし……


ヴーッヴーッ

善子「!?」

メール!?ことりから?!

13: 2016/12/12(月) 11:44:02.00 ID:W717q2rs.net
善子「………」

≪こんばんは、ことりです。今日はありがとうございました!とっても楽しかったです
次はいつ映画を見に行くんですか?
私も一緒に行きますね≫

善子「…………きた…」

映画…いつも上映前の予告をみたりリバイバル上映とかを気分で決めてるから…具体的な日はなぁ……

≪どうも善子です。私は大丈夫だから一緒に行きたいのならことりの予定に合わせますよ≫

善子「えいっ!送信!!」

14: 2016/12/12(月) 11:47:43.80 ID:W717q2rs.net
ガチャ

「「おかえりー!!」」

善子「!」

母が帰って来た?



善子「おかえり」

母「はぁ…ただいま」

ダイヤ「今日もだいぶ疲れているようですね早くご飯を食べて休んでください」

母「ごめんねダイヤ…」

15: 2016/12/12(月) 11:51:42.47 ID:W717q2rs.net
ルビィ「えへへへ、お母さん」

母「ふふ、ルビィ」ポンポン

ルビィ「えへへへぇ」スリスリ

母は日本最大の火葬場を経営してる

かなり収入もあって、おかげで私たちもお金に苦労はしない

ルビィ「えへへ、お母さん聞いてよ」

母「どうしたの?」

ルビィ「善子ちゃんがナンパされたんだよぉ?」

ダイヤ「しかもアンドロイドですわ」

16: 2016/12/12(月) 11:54:12.22 ID:W717q2rs.net
母「まあ、アンドロイドにナンパされるなんて」

善子「ナンパじゃないわよ!いっしょに映画見ただけ!」

ダイヤ「それをデートと呼ぶ人もいますわ」

善子「もぉぉぉぉ」

母「アンドロイドねぇ……気を付けなさいよ?」

善子「?」

母「最近ニュースになってるでしょ?」

ルビィ「ふぇ?」

17: 2016/12/12(月) 11:57:35.20 ID:W717q2rs.net
母「突然失踪したり…自〇するアンドロイドが増えてるって」

善子「アンドロイドが自〇…へんなの」

母「原因も良くわかってないらしいじゃない?」

善子「まあ…大丈夫よ!」

ダイヤ「他人事ではありませんよ」ポカッ

善子「うっ…わかったから…」

ルビィ「まあまあ!お母さんはやく晩ごはん食べてお風呂入って!」

母「ええ、そうするわ」

18: 2016/12/12(月) 12:00:19.52 ID:W717q2rs.net
……………………

善子「………メール来たかしら…」

新着一件

≪じゃあ明日!行きませんか?映画は何でもいいですよ!≫

善子「明日……まあ」

≪大丈夫です。今日と同じ映画館に夕方で良いですか?≫

送信

善子「グイグイ来るわね……」

19: 2016/12/12(月) 12:04:25.41 ID:W717q2rs.net
次の日……

善子「……………」

待ち合わせなんて久しぶりにだし…20分もはやく来ちゃった……

ことり「あっ!善子ちゃーん!」

善子「!」

ことり「おまたせぇ……って…まだ20分もあるね」

善子「早かったわね」

ことり「うん、楽しみだったから♪」

20: 2016/12/12(月) 12:07:04.07 ID:W717q2rs.net
善子「ねえ…」

ことり「?」

善子「いや…なんでもない…早く行きましょ」

ことり「?………うん、映画はなに見るか決めた?」

善子「決まってないわよ」

ことり「えー!?」

善子「まあ今日もリバイバルので良いわよね?」

ことり「うん、何でも良いよ♪」

21: 2016/12/12(月) 12:10:29.01 ID:W717q2rs.net
ことり「うぅ…うぇ…」ポロポロ

善子「……ほんとに涙もろいのね」

ことり「だってぇ……死んじゃったよぉ?…うえっ」

善子「ふふ、辛い話が苦手なら言いなさいよ」

ことり「でも…」

善子「まあいいわ、映画も面白いし、終わった後ないてることりも面白いわ」

ことり「笑わないでぇ」

善子「ふふふ」

22: 2016/12/12(月) 12:13:30.20 ID:W717q2rs.net
善子「ことりは大丈夫なの?」

ことり「大丈夫って?」

善子「最近ニュースになってるらしいじゃない?なんか失踪とか自〇とか」

ことり「あぁ…辛い話だねぇ」

善子「で?」

ことり「私は大丈夫!まだまだたくさん善子ちゃんと映画見るよ!!」

善子「ならいいけど……」

23: 2016/12/12(月) 12:30:00.41 ID:W717q2rs.net
そのあと明日も一緒に見に行く約束をして帰った

アンドロイドの失踪…自〇…

故障じゃなくて失踪と自〇ってなんなんだろう……死にたくなるような何か?

逃げ出したくなるような何かが?

そんな恐ろしい何かをアンドロイドは目の当たりにした?

それともウィルス?誰かが自〇や失踪を仕向けるウィルスをアンドロイドに流しているの?

気にもしてなかったニュース…気にするようになったのは…

ことりと会ったから?

善子「はぁ……ま、いいか……」

25: 2016/12/12(月) 12:37:57.05 ID:W717q2rs.net
ルビィ「また映画?」

善子「そうよ」

ルビィ「すきだねぇ…」

善子「良いでしょ別に」

ルビィ「ガールフレンドさんは?」

善子「なな!?」

ルビィ「女の子のアンドロイドの友達でしょ?」

善子「まあそうだけど」

ルビィ「いっしょに見てるの?」

善子「そうよ」

ルビィ「にっしっし」

善子「もぉ!!」

ルビィ「お熱いですねぇ」

26: 2016/12/12(月) 12:41:48.47 ID:W717q2rs.net
次の日……

善子「ことり」

ことり「あっ!善子ちゃん」

善子「今日はどうするの?」

ことり「うぅーん…いつもと違うようなのに挑戦しようかな」

善子「ふふ、良いんじゃない?」

ことり「ドキュメンタリーとか?」

善子「なるほど…」

ことり「うん!」

27: 2016/12/12(月) 12:44:52.38 ID:W717q2rs.net
ことり「………」ポー

善子「………大丈夫?」

ことり「わあっ!?大丈夫!大丈夫だよ」

善子「すごかったわねぇ昔のカメラでも撮り方次第であんなに変わるとは」

ことり「うん」

善子「あの海なんてすごかったわ!もう実写よ実写!」

ことり「うみ……」ボー

善子「………おーい」

ことり「…………」

善子「ことりさーん」

ことり「わあっ!?」

善子「大丈夫なの?」

ことり「うん!大丈夫!」

30: 2016/12/12(月) 13:53:43.57 ID:W717q2rs.net
善子「ただいまー」

ルビィ「おかえり」

ダイヤ「おかえりなさい、晩ごはんができていますよ」

ルビィ「今日は?今日は?」

ダイヤ「カレーですわ!!」

ルビィ「やったぁ!!」

ダイヤ「それと善子、あとでお話があります」

善子「?今じゃダメ?」

ダイヤ「ルビィが寝たあとで」

善子「………」

31: 2016/12/12(月) 13:55:49.28 ID:W717q2rs.net
…………………

善子「おっ」

メールだ……

≪今日はごめんね。大丈夫だよ!また明日も大丈夫かな?≫

善子「……」

≪OKよ、また同じ時間に?≫

善子「送信……」

ダイヤ「良いですか?」

善子「どうしたの?」

ダイヤ「ルビィが寝たので…」

32: 2016/12/12(月) 14:01:04.12 ID:W717q2rs.net
ダイヤ「……アンドロイドのお友達とは?」

善子「まあ…また映画見に行ったり…」

ダイヤ「今日昼間……今度はアンドロイドによる〇人事件が起きました…」

善子「え!?」

ダイヤ「事実です…おそらく今週中にはリコールや回収の発表があると思います」

善子「でも…」

ダイヤ「ヒトとして暮らしているものもいますわ…全機の回収は困難でしょう」

善子「大丈夫よ!…ことりは…私より人間らしいのよ?映画みていっつも泣いてるの!もうおかしくって」

ダイヤ「そう…ですか…………気をつけてくださいね」

34: 2016/12/12(月) 14:03:55.99 ID:W717q2rs.net
次の日……

善子「………」

回収……されたら?……どうなるの?…スクラップ?

アンドロイド……人間と変わらないじゃない…ヒトと同じように感動して…悲しんで…笑う……それでもモノ扱いで…すぐに壊しちゃうの?

ことり「善子ちゃん!」

善子「ことり……」

ことり「元気?」

善子「え?」

35: 2016/12/12(月) 14:06:06.44 ID:W717q2rs.net
ことり「なーんか…いつもと違う顔だから…」

善子「……大丈夫よ!いくわよ」

ことり「今日は……お話しない?…映画は休憩で」

善子「まあ……いいけど……」

ことり「じゃああそこの喫茶店にいってみよっか?」

善子「うん」

どうしたのかしら……何か……

36: 2016/12/12(月) 14:09:17.80 ID:W717q2rs.net
喫茶店……

善子「えっと…ミルクティーお願いします」

ことり「私もミルクティーで」

「かしこまりました」

善子「………どうしたの?」

ことり「善子ちゃんは………夜寝てて……夢を見る?」

善子「そ…そりゃあ…」

ことり「あはは、当たり前だよね」

善子「それがどうしたの?」

ことり「昨日夢をみたの」

37: 2016/12/12(月) 14:12:38.03 ID:W717q2rs.net
善子「どんな夢なの?」

ことり「とっても不思議なの」

善子「不思議?」

ことり「そう…私が知らない女の子と遊んでるの…楽しそうに…いっしょに踊ってたり…ごはんを食べに行ったりしてた」

善子「そりゃあ…変ね…会ったことも無い人が?」

ことり「うん…」

善子「気味が悪いわね」

ことり「でもね…なんでかわからないんだけど……とっても懐かしい気がするの……」

善子「懐かしい…?…」

38: 2016/12/12(月) 14:15:55.85 ID:W717q2rs.net
ことり「うん…もうずっといっしょにいたような気がして……友達のような…家族みたいな…」

善子「………ますますわからないわね…」

ことり「善子ちゃんはそんな夢みたことある?」

善子「私は……たとえばその日見た映画とか…ごはんとか…」

ことり「えへへ」

善子「……」

ことり「楽しい夢だね」

39: 2016/12/12(月) 14:18:49.88 ID:W717q2rs.net
善子「うーん……」

ことり「……」

善子「不安なら…工場に診てもらいに行ってみたら?」

不安……最近アンドロイドは良くないみたいだし…

善子「というか行くわよ!みてもらいましょう!」

ことり「ええ!?」

善子「いくわよ!!工場!!」

ことり「ミルクティーは!」

善子「……飲んでからね」

41: 2016/12/12(月) 14:22:45.04 ID:W717q2rs.net
この町の真ん中にそびえ立つ大きなビル……

あれが現在のアンドロイドを完成させたKNO社のビル

あのビルの中に日本最大のアンドロイドの生産拠点があって…アンドロイド専門の医者が修理を請け負ってる

善子「ほらいくわよ!!」

ことり「ええ、大丈夫だよぉ」

善子「何があるかわからないでしょ!もしかしたら最近のアンドロイドの自〇とかと関係あるかもしれないし」

ことり「わかったよ」

45: 2016/12/12(月) 16:51:49.48 ID:/eC1THvC.net
ざわざわ

善子「はぁ」

見渡す限りヒトヒトヒト……と思ったけどアンドロイドの方が多いのかしら

ことり「すごいねぇ」

善子「ことりもここで産まれたんでしょ」

ことり「そうだね」

善子「あっ!!」

ことり「どうしたの?」

見間違い?……今人混みの中に……お母さんがいたような…

善子「いや……なんでもないわ」

そんなはず無いわよね…

火葬場で働いてるのになんでアンドロイド工場に……

46: 2016/12/12(月) 16:55:34.74 ID:/eC1THvC.net
……………………………………………………

ことり「よろしくお願いします」

「よろしくね、私は修理担当の西木野よ」

ことり「はい」

真姫「あなた運が良いわよ、この私に診てもらえるなんて…そこのあなたは?」

善子「あっ、私はついてきただけです」

真姫「そう…じゃあことりさん…どんなご用で?どこかの故障?」

47: 2016/12/12(月) 16:59:21.38 ID:/eC1THvC.net
ことり「実は…最近変な夢を見るんです」

真姫「夢?…」

ことり「はい…会ったことも無い人といっしょにいて…」

真姫「……それはおかしいわね、アンドロイドは寝てるとき記憶の整理をするから…それがアンドロイドの見る夢なんだけど…会ったことも無い人が出てくるなんて…」

ことり「なんなんでしょうか…」

真姫「本当に会ったことも無い人なの?…たとえばすれ違っただけでも…印象に残る人ならそんな人も夢に出てくる可能性もあるわ」

48: 2016/12/12(月) 17:03:56.82 ID:/eC1THvC.net
ことり「うぅーん…それは…考えてなかったです…」

真姫「……」

善子「そういえば……どんな人なの?」

ことり「……長いきれいな髪の女の子と……オレンジの元気な子」

善子「オレンジ?」

ことり「あんまり思い出せなくて」

真姫「まあ仕方ないわ、夢だもの」

ことり「何か異常なんでしょうか……」

真姫「まあ…特に問題は無いなら…たぶん大丈夫だと思うけど…」

ことり「………わかりました」

良かった…?……のかしら………

49: 2016/12/12(月) 17:08:22.07 ID:/eC1THvC.net
ことり「はぁ…すれ違った人なのかなぁ」

善子「まあ…そう考えるしか無いのかしら…」

ことり「でも…」

善子「でも?」

ことり「やっぱり…会ったことあるのかなぁ…」

善子「懐かしい感じ……ね」

ことり「うん…」

善子「うーん……前世の記憶?」

ことり「………私アンドロイドだよぉ…」

善子「そうよねぇ……」

結局良くわからなかった……すれ違ったり…見かけた人が印象に残って…その人が夢に出てきたと考えるしかなかった……

50: 2016/12/12(月) 17:18:11.50 ID:/eC1THvC.net
善子「はぁ……ただいま…」

ルビィ「おかえり……疲れてるの?」

善子「べつに……」

ルビィ「むぅ…疲れてるでしょ!!」

善子「べ……つ……に」

ルビィ「むむむ」

ダイヤ「まあまあ…晩ごはんが出来ています…ゆっくり食べて早く寝てください」

善子「…………」

そういえば……今日見かけたお母さんらしき人……

いちおう聞いてみようかしら……

51: 2016/12/12(月) 17:21:46.58 ID:/eC1THvC.net
善子「ダイヤ」

ダイヤ「なんですか?」

善子「今日お母さん何時頃帰ってくるの?」

ダイヤ「今日は帰ってきませんよ」

善子「え」

ダイヤ「どうかしましたか?」

善子「…い……いや…大丈夫…確認しただけよ…」

偶然…?…

火葬屋がアンドロイドの会社に出張?

それともただの見間違い?

52: 2016/12/12(月) 17:27:18.82 ID:/eC1THvC.net
ルビィ「うゆ…ニュースはつまんないよぉ…」ピッピ

ダイヤ「ルビィ!ニュース以外もどうせ見ないのですからやることがないなら早く寝なさい」

ルビィ「はぁ~い」トボトボ


ダイヤ「あの子は…またテレビをつけっぱなし……誰に似たのでしょう」

善子「待って…」

ダイヤ「ニュースですか?」

テレビ「アンドロイドによる立て籠り事件が……」

善子「立て籠り……?」

ダイヤ「また……アンドロイドの事件ですか……」

53: 2016/12/12(月) 17:32:30.07 ID:/eC1THvC.net
テレビ「……◯◯という人物を呼べという要求に……」

善子「…………」

立て籠り……自〇、失踪、〇人の次は立て籠り……

テレビ「………不可解なことにアンドロイドの要求する◯◯という人物は数年前に亡くなっており……」

ダイヤ「不思議ですね」

善子「………」

既に死んでる人を要求する立て籠り……アンドロイドが?

ヒトに作られたモノが?……

ダイヤ「はぁ……気をつけてくださいね!!」

善子「……」

54: 2016/12/12(月) 17:38:38.92 ID:/eC1THvC.net
知らないはずの人を要求……

善子「……」

ことり……関係…ないわよね……

意味がわからない…人が作った機会が…産まれる前に死んだ人を知ってる?

ヴーッヴーッ

善子「!……メールか……ことり」

≪また明日も同じで良い?≫

善子「……映画……」

≪良いわよ。また明日≫

送信

55: 2016/12/12(月) 17:58:39.11 ID:/eC1THvC.net
次の日……

善子「……はぁ…」

こうして早く来てことりを待つのも慣れた…いつも20分前に私が来てことりがそのあとすぐに来る……

昨日のニュースが気になって…胸騒ぎ?…ことりはどうなっちゃうのかしら…失踪?自〇?〇人?…そんなことしないわよね……

たった数日いっしょに映画を見たアンドロイド……

善子「……」

ことり「善子ちゃん?」

善子「ことり……」

56: 2016/12/12(月) 21:53:21.67 ID:/eC1THvC.net
ことり「ねえ……」

善子「………」

ことり「昨日のニュース……」

善子「見たわよ……知るはずの無い人を探してるアンドロイド……」

ことり「……………また……夢をみたの……」

善子「………こんどは?」

ことり「前の夢の人……名前がわかったよ……」

善子「!」

ことり「ほのかちゃんとうみちゃんって……私は呼んでた……」

57: 2016/12/12(月) 21:56:20.82 ID:/eC1THvC.net
善子「……その人たちは…実在するのかしら…」

ことり「……わからない……でも…」

善子「………調べに行くわよ……」

ことり「でも……」

善子「………」

言いたいことはなんとなくわかった……

その人たちが死んでたら……立て籠り犯の要求していた人も死んでたから…あり得ない話じゃない……

善子「知らないと……いけないはずよ…」

ことり「………うん」

58: 2016/12/12(月) 22:01:24.37 ID:/eC1THvC.net
私たちの暮らすところから電車に乗って二駅ほど…

そこには国内最大のデータベースがある

ネットで調べても出てこないような過去の事など……紙のものもある

善子「………」

ことり「……」

善子「ほのか……うみ……漢字がわからないのよね…」

ことり「大変そうだね」

善子「やるしか……ないわよ」

私は手伝うだけ……でもことりは知らずにはいられないんだろう…自身のことだから……

59: 2016/12/12(月) 22:07:59.75 ID:/eC1THvC.net
善子「何万人もうみ、ほのかはいるけど…とりあえずここ20-40年のものに絞るわよ」

ことり「うん…」

立て籠り犯の探してた人が死んだのは数年前……ならきっとほのか、うみも近い……かもしれない…最悪死んでる…

死んでて…そんな現実を見て…ことりはどう思う?全く関係の無い人?

わからないけど…本当に何も…

善子「……!」

60: 2016/12/12(月) 22:13:52.58 ID:/eC1THvC.net
ことり「……」

善子「ちょっと……気になるものが……」

ことり「………同じ年に産まれた女の子…園田海未、高坂穂乃果………南ことり」

善子「………顔写真……見るわよ…?…」

ことり「…うん」

善子「……」クリック

ことり「っ……!!……」

表示されたのは…長い髪の落ち着いた女の子と…オレンジの元気そうな女の子…もうひとりは…灰色の髪の…おっとりしてそうな女の子…

61: 2016/12/12(月) 22:16:01.18 ID:/eC1THvC.net
善子「ことり?」

ことり「かっ……あ"っ……う」

善子「ことり!!」

ことり「え」

善子「ことり!!!しっかり!!」

ことり「がぁ…」

善子「待って!すぐ工場に連れていくから!!」

62: 2016/12/12(月) 22:23:12.44 ID:/eC1THvC.net
さっぱりわからなかった…

アンドロイドのことりの見た夢…

それに出てきた二人は実在してて…おまけにアンドロイドのことりと同じ名前の人まで存在した…

その顔写真をみるとことりは突然頭を押さえて苦しみだして………



真姫「問題ないわよ」

善子「そう…ですか」

真姫「アンドロイドとしての機能は全くね…申し訳ないわね…私はAIはダメ……というか…触れるなって……あっ」

善子「?」

真姫「いや…なんでもないわ…私は……たとえばアンドロイドの腕がもげたときとかなら…直せるんだけど…AIはさっぱりで…」

63: 2016/12/12(月) 22:30:23.13 ID:/eC1THvC.net
善子「アンドロイドって…」

真姫「特殊合金の骨格に…培養された臓器に皮膚……臓器や皮膚は豚から作られてるから……ヒトじゃない部分は骨格とAI…あとは眼球…」

善子「……」

真姫「ほぼ人間ね……私が言ってもいいのはここまで……」

善子「AIって」

真姫「……それは…」

真姫「あっ!ことりが意識を取り戻したみたいよ!」

善子「ことりが!?」

64: 2016/12/12(月) 22:35:09.03 ID:/eC1THvC.net
善子「ことり!」

ことり「んん……」

真姫「良かったわね」

善子「大丈夫なの!?」

ことり「…うん…」

真姫「とりあえず…今日はここでゆっくりしてて良いわよ?…帰りたいなら帰ってもいいけど」

65: 2016/12/12(月) 22:39:41.00 ID:/eC1THvC.net
結局ここに泊まらせてもらうことにした…

善子「うん!きょうは帰らないから!うん!わかった!鍵?ああ、持ってるから大丈夫!じゃあねルビィ」

プツッ

善子「ふぅ…」

ことり「……………」

目覚めたことりは…どこか遠くを見てるような…そんな目をしてる…

善子「ねえ……」

ことり「………」

66: 2016/12/12(月) 22:45:21.62 ID:/eC1THvC.net
ことり「……私……人間だ……」

善子「え……」

ことり「バラバラだった……それがあの写真で…繋がったの…夢が…記憶のかけらが……パズル見たいに」

善子「それ…」

ことり「私は南ことり……20XXに産まれて…3年前…死んじゃった…」

善子「え?」

だってことりはアンドロイドで…

ことり「それで…どういうわけか…アンドロイドになって今ここにいる……」

67: 2016/12/12(月) 22:54:47.37 ID:/eC1THvC.net
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんは…幼なじみで…」

わけがわからない……もう…

でも…なんとなく気づいてたのかも……そう思ってたから…データベースに向かったんだろうな…

善子「……………」

このことは…ここ最近のアンドロイドの事件と関係してる…?…と考えて良いのかしら……

善子「そ…それが…どうしたのよ…」

ことり「え?」

善子「今…生きてるなら良いでしょ?人間じゃなくても…それに…」

3年とかなら…もしかしたら…ことりの幼なじみも…生きてるかもしれない…

69: 2016/12/12(月) 23:07:09.19 ID:/eC1THvC.net
そのまま…言葉を交わさず…ゆっくり時間は過ぎて……気づいたら私も…寝てた……

善子「……………」zzz

ことり「善子ちゃん」

善子「ん……ぁ」

ことり「善子ちゃん!!」

善子「わあっ!?」

ことり「おはよう」

善子「………もう朝!?」

ことり「うん!」

善子「はぁ~………」

ことり「わっ!息臭いね♪」

善子「寝起きなのよ!!歯磨いてくる!!!」プン

70: 2016/12/12(月) 23:13:03.08 ID:/eC1THvC.net
善子「歯ブラシ……」

歯ブラシの自販機…歯ブラシとタオルや化粧品が入ってる…

善子「…………」ジャコジャコジャコ

ことり……元気になったのかしら……

たとえば…海未さん、穂乃果さんが生きてて…今のことりと会ったら……死んだはずのことりが…姿を変えて…アンドロイドになって…現れたら?……

いや……というか…アンドロイドにどうして死んだ人の記憶が……AIのことも詳しく聞けなかったし…

いったいなんなの?…

善子「はぁ…」ジャコジャコジャコ

お母さん(仮)がKNOにいたことも…

善子「わかんないことだらけね…」

71: 2016/12/12(月) 23:20:16.65 ID:/eC1THvC.net
善子「はぁ~」ハァーー

ことり「クリアクリーンの香り!」

善子「どうよ?」

ことり「大丈夫!」

善子「ことりは大丈夫?」

ことり「うん!」

善子「またデータベースにいくけどいい?」

ことり「うん」

善子「と……その前に一回うちに帰ってもいい?」

ことり「善子ちゃんが?」

善子「そうよ」

ことり「私もついていっていい?」

72: 2016/12/12(月) 23:26:25.37 ID:/eC1THvC.net
善子「ただいまー」

ルビィ「おっかえええええり!!!」

ことり「おじゃまします」

ルビィ「ふわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああおねえちゃん!!おねえちゃん!!」

ダイヤ「なんですかルビィ?朝から奇声をあげては迷惑ですよ」

ルビィ「善子ちゃんのガールフレンドが!!」

ダイヤ「まあ……さああがってください」

善子「静かにしなさいよ」

ポコッ

ルビィ「いたっ…」

ことり「……」

73: 2016/12/12(月) 23:30:03.65 ID:/eC1THvC.net
善子「お母さんは?」

ダイヤ「もう行きましたよ」

善子「そう…」

ダイヤ「………KNOのアンドロイド…全て回収が決まったようです…」

善子「えっ!?」

ダイヤ「おそらくあなたの連れてきた方も…」

善子「ど…どうすれば」

ダイヤ「あなたが決めることではありません」

善子「っ……」

ダイヤ「回収率100%を目指しています…それだけ危険だと判断されたのでしょう」

74: 2016/12/12(月) 23:31:45.55 ID:/eC1THvC.net
ルビィ「あのぉ…」

ことり「はい?」

ルビィ「善子ちゃんとは……その…どういう?」

ことり「お友達だよ?」

ルビィ「おっ!?お友達!?……それはつまりガールフレンドという…」

ことり「そう……なのかな?」

ルビィ「あわわわ………ルマンド食べますか?」

ことり「じゃあ、いただきます」

ルビィ「たくさんあるので…いくらでもどうぞ」

82: 2016/12/13(火) 10:56:11.49 ID:0nZHQog4.net
善子「じゃあいくわね」

お金も持った…少しお菓子と…一応歯ブラシ…

ルビィ「いってらっしゃーい」

ことり「じゃあねルビィちゃん」

ルビィ「ルマンドもっと持っていって良いですよぉ」

ダイヤ「くれぐれも……気を付けるのですよ」

善子「大袈裟よ、ちょっと調べにいくだけよ」

ダイヤ「……」

83: 2016/12/13(火) 11:05:38.15 ID:0nZHQog4.net
データベース……

善子「これが昨日見つけたものね」

南ことり、高坂穂乃果、園田海未

ことりの幼なじみだったという…

ことり「………」

善子「…………」

三人とも死んでた…ことりの目にうっすら涙が浮かんでる…

ことり「海未ちゃん…穂乃果ちゃん……」

善子「……」

ことり「これ……」

善子「?」

ことり「三人とも…同じ年に死んでるの…」

善子「同じ年…?…」

85: 2016/12/13(火) 11:12:32.27 ID:0nZHQog4.net
ことり「同じ年に産まれて…同じ年に死ぬ……」

善子「まって…死因は…?…」

ことり「事故死……」

善子「何か…思い出してないの?」

ことり「死ぬ前のことは思い出せないの……」

善子「三人とも同じ年に事故死……もう少し詳しく見れないのかしら」

ことり「………ダメみたい…日にちも見れない…」

善子「………何か…あるのかしら…」

そりゃ…偶然…だってありえるけど…

明らかにおかしい……死んだ日にちまで閲覧できないなんて…

86: 2016/12/13(火) 11:20:40.76 ID:0nZHQog4.net
善子「他に…何か手がかりは…そう…家族とか…」

ことり「うーん……」

善子「あっ!!ことり!!」

ことり「?」

善子「生きてるわよ!!」

ことり「誰が?」

善子「あんたのお母さんよ!!62歳、秋葉原で学校の理事長やってるって!!」

ことり「嘘……」

善子「いくわよ!!」

88: 2016/12/13(火) 11:29:03.77 ID:0nZHQog4.net
20分くらい電車に乗って、秋葉原で降りる

道はことりが知っているっていうから…そのままついていって…

善子「……すみませーん…」

事務員「何かご用ですか?」

ことり「おか……南理事長に会いたいんですけど…」

事務員「申し訳ございません、理事長は病院に」

善子「病院!?どこよ!!」

事務員「それはプライバシーに…」

善子「いいから教えなさい!!」

ことり「善子ちゃん……」

善子「……ごめん…」

ことり「お母さんが行きそうな病院…心当たりがあるの…」

90: 2016/12/13(火) 11:35:27.48 ID:0nZHQog4.net
……………………

善子「ここは……」

ことり「西木野総合病院…お母さんの知り合いがやってて…私も小さい頃によくいったの……もしかしたら」

善子「うーん……西木野って…」

ことり「あのアンドロイドのお医者さんもそうだったね…家族なのかな?」

善子「まあ…いいわ」

ことり「うん…探してみよっか」

93: 2016/12/13(火) 12:34:31.20 ID:0nZHQog4.net
善子「はぁ…いないわね」

ことり「あとは…」

善子「最上階の特別個室……」

ことり「だね…」

善子「……病院って…何かの病気なのよね……」

ことり「うん……」

善子「…」

ことり「良かった……生きてて……」

善子「……そうね」

95: 2016/12/13(火) 12:39:30.30 ID:0nZHQog4.net
ことり「………」

善子「……あった……南…」

ことり「ふぅ~………」

コンコン

ことり「失礼します」


理事長「………あら?新しい看護婦さん?………ふたり?……」

善子「あのぉ……」

ことり「お母さん……」

理事長「え?」

ことり「お母さん…お母さん」

理事長「………ことり?……そんなはず……」

善子「…………」

96: 2016/12/13(火) 12:44:00.31 ID:0nZHQog4.net
理事長「声も…触った感じも…私の全く知らないものなのに……どうして?……あなたは…ことりなの?」

ことり「うぇ…おかぁさぁん…」ポロポロ

善子「ことり…しばらくここに居てもらって良い?私ちょっと用事があるから…夕方までには戻ってくる」

ことり「うん」

親子の再開を邪魔するわけにはいかないわ……

それに…調べなきゃいけないこともあるし…

97: 2016/12/13(火) 12:49:44.61 ID:0nZHQog4.net
ことりたちの三人が同じ年に死んだ……

このことをもう少し詳しく知るなら…お母さんの会社に……何かあるかもしれない…

秋葉原なら…ほとんどお母さんの会社がやってるはず……

詳しい日にち…事故そのもののこと……どうしてこのことがデータベースに出てこないのか…

火葬場なら…どこの病院からきたかとか…死体の状況とかのデータが残ってる……わよね…

善子「……ルマンド…飽きた…」ポリポリ

98: 2016/12/13(火) 13:00:53.46 ID:0nZHQog4.net
くろさわ(株)……日本最大の葬儀屋を経営してる…私の母が社長……たぶんそこにある…

善子「すみませーん」

受付「はい、本日はどのようなご用で?」

善子「お母さんが忘れ物しちゃったみたいなので…ちょっと」

受付「ああ、善子ちゃんですね、どうぞ」

善子「ありがとうございまーす」

普通に通らせてもらえるのね……ダメじゃない……それにあの人なんで私のこと知ってるのよ…お母さん会社で私の話してるの…?

善子「やめてよ……」

99: 2016/12/13(火) 13:09:56.43 ID:0nZHQog4.net
善子「あった…記録……」

年はわかってる……名前の漢字も……そんなに時間はかからないはず

善子「えっと……南……」ペラペラ

善子「あった…」

南ことり…特殊事故…7/9……K送付済

善子「7月9日………特殊事故………K送付済?…」

高坂穂乃果…特殊事故…7/9…K送付済

園田海未…特殊事故…7/9…K送付済

善子「……同じ日……」

同じ日に死んでた…特殊事故?何の事故なの…

K送付済?……これは何?…他の人は……

善子「K送付済……ついてる人とついてない人がいる……」

100: 2016/12/13(火) 13:17:04.05 ID:0nZHQog4.net
ざわざわ

善子「!…人が来た…」

帰ろう…とりあえず日にちがわかった…

それだけでも価値はある

━━━━━━━━━━━━━━━━━

善子「ありがとうございました」ペコリ

受付「善子ちゃんまたね~」

善子「………」

ブロロロロロロロ

善子「?……あれは…」

KNOのマークがついたトラック…?…

なんでこんなところに……

善子「!…………」

そうだ……KNOに行った時…お母さんをみた……

今日ここにきてKNOのトラック………

善子「あの時のお母さんは…見間違いじゃなかったの?…」

101: 2016/12/13(火) 13:23:09.31 ID:0nZHQog4.net
偶然だなんて思えない

くろさわとKNOには何か関係がある…

そんな気がする…いや…関係があるのは間違いない……いったい何が?火葬場…葬儀屋と……国内最先端のアンドロイド……?…

善子「……K送付済……」

このKは……KNOのものだとしたら…何を?…何を何のために送ったの?…あのトラックも何かを送ってた?…

善子「はぁ……」

話が大きくなってく…

102: 2016/12/13(火) 13:29:35.38 ID:0nZHQog4.net
善子「失礼します」

ことり「善子ちゃん!!」


理事長は緑内障で…もうほとんど見えてないらしい…

あとお腹に何か病気で…そっちは命に関わるほどじゃないらしいけど…緑内障のほうはもう治せないから…足音で判断してるとか…

アンドロイド用の眼球を移植すれば目は見えるようになるけど…どうしてかそれは拒んでるみたい


理事長「ありがとうございます」

善子「いえいえ」


死んだはずのことりが…アンドロイドになって帰って来たなんて…信じられないこと…それでもことりをことりだと疑わないのは…母にしかわからない何か……なのかしら……

私が出掛けてる間にどんな会話があったのかは知らない…積もる話もあったんだろうな……それは私が聞くようなことじゃない…親子の話……

103: 2016/12/13(火) 13:45:37.08 ID:0nZHQog4.net
それからしばらくゆっくりして病院を後にした…

ことり「ふふふ」

善子「良かったわね」

ことり「うん…私……わかるかもしれない…」

善子「?」

ことり「アンドロイドの事件……たとえば事件を起こしたアンドロイドがみんな私みたいに…人間の記憶があったなら……今の私みたいに…むかしの知り合いを探して……」

善子「失踪……」

ことり「そう………もしみんな死んでることがわかったら…自〇だって…仕方ないかもしれない……」

善子「……」

104: 2016/12/13(火) 13:49:21.40 ID:0nZHQog4.net
ことり「でも私は……」

善子「私に出逢った………でしょ?」

ことり「……正解」

善子「ふふふ、10ポイントね」

ことり「もぉ…クイズじゃないよ?」

善子「わかってるわよ♪」

ことり「……………」


これでも大分無理してるんだろうな……

自分が死んでて……幼なじみも死んでる……そんな現実の前でも……ことりは生きてる……アンドロイドだけど生きてる……

私も…こんなふうに強い人になりたい…


善子「そうだ……」

ことり「?」

善子「すこしわかったことがあるの…ことりたちのこと…」

105: 2016/12/13(火) 14:00:28.99 ID:0nZHQog4.net
…………………………………

ことり「同じ日に?!」

善子「そう…南ことり…高坂穂乃果、園田海未の三人は…同じ日に…謎の事故……正確には特殊事故で死んだ…」

ことり「…………」

善子「これをただの偶然だとして見過ごすのはさすがに無理がある…」

善子「それで…ことりたち三人に‘’K送付済”って書いてあった……おそらくこのKはアンドロイドの会社KNOのこと……」

ことり「?」

善子「KNOに送った何かが…ことりの記憶に関係があるのかも…もしそうだとしたら…同じように送付済の海未さん穂乃果さんもアンドロイドになってる……と思う」

ことり「………会いたいよ……穂乃果ちゃん…海未ちゃん…」

善子「会える!………可能性がある…」

ことり「?」

106: 2016/12/13(火) 14:06:05.24 ID:0nZHQog4.net
善子「流通したアンドロイドは三千万万台……その中で自〇や失踪などの事故は増えてるたしか……1200件だっけ…」

ことり「…無理だよ……」

善子「その三千万台が…一ヶ所に集まるとしたら……見つけられる可能性は…かなり上がるはずよ」

ことり「?」

善子「回収よ……事故で全機回収……それもあの工場一ヶ所に……」

ことり「!」

善子「試してみる価値はあるはずよ」

110: 2016/12/13(火) 20:34:24.53 ID:pnDMpX+t.net
ことり「その回収って…」

善子「それが今日から始まってるのよ…」

ことり「じゃあ今すぐ行かないと!」

善子「…もう工場は閉まってる時間よ」

ことり「……」

善子「明日以降……KNOは三日で三千万台回収するつもりだわ、おそらく明日が一番多い」

ことり「その中から…海未ちゃんと穂乃果ちゃんを…」

善子「そういうこと」

111: 2016/12/13(火) 20:44:16.11 ID:pnDMpX+t.net
善子「普通のアンドロイドは自ら進んで回収のトラックに乗るわ…でもことりは違う…記憶を取り戻した…」

ことり「………」

善子「もはや人間と変わらないわ」

善子「とにかく…作戦会議よ」

ことり「うん……」

ことりは聞いてこなかった…“もし今日の回収で工場にいってしまっていたら?”

その答えはわからない…どうするか…ことりも決めてないんだと思う…その場合は諦めるのがベストな選択なんだろうけど…そんなことできるの?

とにかく今は…可能性にすがるしかない…明日明後日で…見つけられる可能性に…

112: 2016/12/13(火) 20:51:37.24 ID:pnDMpX+t.net
善子「回収が始まるのは…朝の9時、工場が開くのは8時半…明日の回収は夜の20時まで続くわ」

ことり「11時間…長いね」

善子「まあ三千万台いるからね、たぶん明日は千五百万台くらい来ると思う…」

ことり「どうするの?」

善子「入口にいって……入口にいって…」

ことり「………」

善子「名前を……呼ぶ?」

ことり「大変そうだね…」

善子「なんかないの?」

ことり「うぅーん……」

113: 2016/12/13(火) 20:59:34.73 ID:pnDMpX+t.net
ことり「海未ちゃんと穂乃果ちゃんは…生きてたころの記憶はあるのかな?」

善子「……わからない」

ことり「だよね……」

善子「でも…ことりみたいに夢で記憶の断片は見てると思うわ…それが今回の回収の理由だろうし」

ことり「じゃあ」

善子「ことりみたいに…過去の自分の写真を見たら…それがきっかけで思い出すだろうけど…」

ことり「そっか…」

善子「でもきっかけはそれだけじゃない…何かの拍子に思い出してる可能性もある」

ことり「あんまり期待はしない方が良さそうだね…」

善子「うん…」

114: 2016/12/13(火) 21:07:08.07 ID:pnDMpX+t.net
…………………………

ルビィ「えへへ」ニコニコ

ことり「…………」

ダイヤ「さあ晩御飯ですよ、今日は鍋です!白菜も豚もたっぷりありますからね」

ルビィ「やったぁ!」

皆「いただきまーす」


とりあえず…家に帰った……お母さんは今日帰ってくるのかしら…帰ってくるのなら…聞かなきゃいけないことがある…

特殊事故って?K送付済って?
今日来てたKNOのトラックは?……この前どうしてKNOにいたの?

115: 2016/12/13(火) 21:11:47.18 ID:pnDMpX+t.net
ルビィ「……むぅーん」ギギギ

ことり「大丈夫?」

ルビィ「大丈夫ですよ!ルビィはプリンの蓋くらい開けられます!……むぅーん」ギギギ

ルビィ「おっかしいなぁ…いつもより固いなぁ」

ことり「はい」ペリペリ

ルビィ「あっ………ありがとうございます…」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ダイヤ「………ことりさんは……回収に行かないのですか?」

善子「それより……聞いてほしいことがあるの……」

ダイヤ「なんですか?」

116: 2016/12/13(火) 21:18:09.99 ID:pnDMpX+t.net
………………………………………

ダイヤ「アンドロイドに……人間の記憶が?…そんなこと……」

善子「間違いないわ……そして……その事に…お母さんの会社が関わってる…」

ダイヤ「……それでお母様を探していたのですね…」

善子「うん……私は……知りたい…何をしてるのか……本当のことを……」

ダイヤ「……残念ですが…今日もお母様は帰ってきません……」

善子「……なんで……」

ダイヤ「わかりません……もし本当にアンドロイドに関わっているのなら…回収騒ぎで忙しいのかもしれません…」

善子「なるほど…」

117: 2016/12/13(火) 21:25:25.19 ID:pnDMpX+t.net
ダイヤ「どうするのですか?」

善子「え?」

ダイヤ「ことりさんのお友達を見つけて…どうするのですか?」

善子「………」

そんなこと言われても……

ダイヤ「既に死んでしまった人なのでしょう?」

善子「…………」

ダイヤ「あなたが危険をおかしてまでやる必要はあるのですか?」

善子「でも…ことりは友達だから…」

ダイヤ「ふふふ……」

善子「…?…」

ダイヤ「とても良いことです…友のためなんて…」

118: 2016/12/13(火) 21:39:26.90 ID:pnDMpX+t.net
……………………………………………………

ことり「ねぇ…善子ちゃん…」

善子「?」

ことり「アルバム見せて?善子ちゃんの小さかったころとか見てみたいな」

善子「うーん……まあいいけど…別に面白いものじゃないわよ?」

ことり「いいの」

ペラペラ

善子「これが産まれてすぐの時」

ことり「かわいいね」

善子「で…この後なんかの病気になって一年入院してたらしくて…その時の写真は無いみたい」

ことり「へぇ~………あっ!これも?」

善子「そうね…それは初めて動物園に行った時のよ…たぶん3才だったはず 」

ことり「かわいいね♪お姉さんもまだちっちゃい」

善子「それから………」

ゆっくり…私を辿る……この頃はまだことりも生きていたのよね…

119: 2016/12/13(火) 21:47:14.43 ID:pnDMpX+t.net
善子「おやすみ……」

しばらくアルバムを見て…他愛のない話をして眠りにつく……

明日……もしも海未さんと穂乃果さんに会えたら…

そのあとは…アンドロイドのAIについてちゃんと調べよう…

死んだ人の記憶が入ってるなんて…

ダメに決まってるでしょ…倫理的……に?…

120: 2016/12/13(火) 21:57:34.14 ID:pnDMpX+t.net
善子「………」

もう朝……

ことり「おはよう」

善子「あぁ…起きてたのね」

ことり「……朝ごはん食べたら…」

善子「ええ、出発よ」

ことり「ちゃんと歯磨くんだよ?」

善子「当たり前よ!」

121: 2016/12/13(火) 22:04:15.48 ID:pnDMpX+t.net
朝の8時半ごろに家を出て…

9時からずーっと入口……結局名前を呼ぶ以外に良い案は思い浮かばなくて…大変だけど見つかるまで呼ぶことにした……

善子「えーっと…水ね!喉が乾く!あとは…おにぎり!」

ダイヤ「ポカリです、持っていってください」

善子「………ありがとう」

ダイヤ「…………いってらっしゃい」

善子「……うん…いってきます」

ことり「お邪魔しました」

ダイヤ「またいつでもきてくださいね」

ことり「はい!」

122: 2016/12/13(火) 22:11:02.20 ID:pnDMpX+t.net
…………………………………………………

善子「……なるほど…トラックがここに6台……」

善子「アンドロイドをおろすところにいくわよ…」

ことり「うん…」

善子「たぶんトラック6台で300人くらい出てくると思う…二手に別れるわよ」

ことり「わかった…」

アンドロイドはトラックから降りて…そのあと自分達の足で工場の中へ……おそらくそのあとは……

123: 2016/12/13(火) 22:17:40.21 ID:pnDMpX+t.net
…………………………………………………………………

ざわざわ

善子「海未さーーーん!!穂乃果さーーーーん!!」


数百人のアンドロイドたちが工場目指して歩いてる…暑いし…喉も痛い…


善子「海未さーーん!!穂乃果さーーーーん!!」


呼んでも呼んでも返事は帰ってこない…


善子「はぁ……はぁ……」


疲れだけがたまっていく

そのまま…ずっと……日がくれても……続けた……工場が閉まるまで…ずっと……

124: 2016/12/13(火) 22:21:07.50 ID:pnDMpX+t.net
善子「……そっちは?」

ことり「…………」


ことりはなにも言わず首を振る……見つからなかった……


ことり「……大丈夫?」

善子「大丈夫よ」

ことり「ごめんね……私のために……こんなこと……疲れたよね……」

善子「気にしないで…疲れたけど……」

ことり「明日も……手伝ってくれる?」

善子「なにいってんのよ…当たり前でしょ」

125: 2016/12/13(火) 22:27:06.38 ID:pnDMpX+t.net
次の日も……ずっと……同じように……名前を呼び続けたけど…誰も返事をしなかった………

ことり「…………」

善子「……………」

ことり「………ごめんね……ごめんね……善子ちゃん…………ごめんね……穂乃果ちゃん海未ちゃん……見つけられなくて……」

善子「………ごめん」


ことりの涙を…映画の時から毎日見てるような気がする……これは映画で流す涙とは違う…悲しい涙……
ことりのこんな顔…見たくない……でも……

善子「………入って……みる?」

ことり「……?…」

善子「工場に……」

127: 2016/12/13(火) 22:33:37.89 ID:pnDMpX+t.net
ことり「工場…に…」

善子「……まだ壊されてないかもしれないし……」

ことり「……」

善子「海未さんと穂乃果さんが本当に気づかなかったのかもしれないし」


とても危険なこと…犯罪になるし……だけど…すこしでも可能性があるなら…


ことり「……いってみよっか…」

善子「うん」


それに…何かあるかもしれない…AI…過去の記憶…アンドロイド……いろんなことの手がかりが……

130: 2016/12/14(水) 09:17:20.09 ID:ORZ4dEMT.net
とても危険な賭け…もう壊されてる可能性もある


善子「………」

ことり「!!」

善子「人間は立ち入り禁止……」

ことり「……」

善子「なら…私が入れば警報がなって止まるかも…」


アンドロイドたちが通っていったゲートをくぐると長い銀色の廊下……

そこにさっき来た最後のトラックに乗ってきたアンドロイドたちが列を作ってゆっくり進んでる


善子「………鳴らない……警報が…エラー?…」

131: 2016/12/14(水) 09:21:44.02 ID:ORZ4dEMT.net
善子「もう!!なんでよ!!止まりなさいよ!!」

ことり「……いいよ……進もう…」


ことりは落ち着いてる……私もしっかりしないと…


善子「うん」


ことり「穂乃果ちゃーーん!海未ちゃーーん!!」


二人の名前を呼びながら走って進むけど…いくら呼んでも帰ってこない


善子「!……」

132: 2016/12/14(水) 09:44:07.99 ID:ORZ4dEMT.net
やっと廊下が終わった…ここは…

善子「っ………始まってる…」

ことり「…………」


無数のアンドロイドたちは肉を削がれて特殊合金の素体となって次の部屋に向かって歩いてる…

気持ち悪い……


ことり「…はぁ……はぁ…」

善子「……無理しないで………海未さーん!!穂乃果さーーん!!」

133: 2016/12/14(水) 09:57:37.24 ID:ORZ4dEMT.net
善子「……海未さーーーん!!穂乃果さーーん!」


やっぱり返事は来ない…この広い空間に数万のアンドロイドがいる…その中からいるかもわからない二人を見つけるなんて…


アンドロイド「何してるんだあんたは!」

善子「えっ?」

アンドロイド「ちゃんと並べよ!」グイッ

善子「ちょっ…離して!!友達が!!」

アンドロイド「うるさい!ちゃんとルールを守れ!!」

134: 2016/12/14(水) 10:03:37.80 ID:ORZ4dEMT.net
………………………

はぐれた……最悪だ……もしもことりがこの列に巻き込まれたら……


善子「どいて!!どいて!!」

善子「……そんな……こんなはずじゃ……」


どこ?…私みたいに列に入れられちゃったの?…早く見つけないと…


「…すみません…あなた…海未という名前を呼んでましたよね?」

善子「え…」

135: 2016/12/14(水) 10:07:41.89 ID:ORZ4dEMT.net
海未「私のことですか?…一応海未という名前ですが…」

善子「……」

この人が…?…ことりの幼なじみのひとり…?…

善子「えっ……と……あなたは……ことりの……」

海未「!!……ことり?ことりを知っているのですか!?」

やっぱり!この人が……

善子「うん…さっきまで一緒にいたの」

海未「ことりは…ことりはどこに!?」

145: 2016/12/15(木) 09:48:12.48 ID:FqLQtwgm.net
善子「はぐれちゃって…今探してるの…」

海未「わかりました…探しましょう!!」

善子「うん!」

海未「それと…穂乃果も呼んでいましたね」

善子「……あなたと穂乃果さんを探してここに来たのよ…穂乃果さんはまだ見つかってないけど」

海未「……急ぎましょう!」

146: 2016/12/15(木) 09:58:46.38 ID:FqLQtwgm.net
海未「どこではぐれましたか?!」

善子「えっと…素体にされるところの手前よ!」

海未「!!……わかりました!…あなたは?」

善子「善子よ!よろしく!」

海未「善子ですね……よろしくお願いします」

147: 2016/12/15(木) 10:17:50.55 ID:FqLQtwgm.net
海未「こっちです!」


慣れた足取りですいすいアンドロイドたちの隙間を抜けていく海未…追いかけるだけで精いっぱいよ…


善子「知ってるの…?…道…」

海未「一日目からいましたから」

善子「!!……ずっと探してたのね…」

海未「ええ、記憶が戻ってから……ずっと」

148: 2016/12/15(木) 10:23:18.71 ID:FqLQtwgm.net
…………………………………

善子「ぐっ……何度見ても気持ち悪いわね…」

海未「ここですね…」

善子「うん…このへんではぐれたわ」

海未「ことり!!ことり!!」

善子「ことりーーー!」

海未「ことり!!!」

善子「ことりーーー!!」


どこいっちゃったのよ…ことりも巻き込まれたの…?…

149: 2016/12/15(木) 10:52:10.57 ID:FqLQtwgm.net
呼んでも呼んでもことりの声は聞こえない……

海未「…………先へ行ってしまったのかもしれません…」

善子「え…じゃあ…」

海未「……いってみましょう…次の工程に…」

善子「……」

海未「次の工程は脳の取り外しです…ここにいってしまったら……」

善子「脳…?…」

海未「ええ、私は一度見てきましたから」

善子「いや、脳って…AIじゃないの?」

150: 2016/12/15(木) 11:01:26.66 ID:FqLQtwgm.net
海未「気づいていなかったのですか?…私たちアンドロイドのAIは死んだ人間の脳を使っているのですよ」

善子「えっ!?」

海未「私は過去の記憶を取り戻してから私なりに調べました……そしてある火葬場からKNO社に死んだ人間の脳が送られていることがわかりました…」


脳が…火葬場から?……

お母さんの会社が送ってたのは脳だった…それを使ってアンドロイドを……


善子「そんなの…」

海未「ええ…私たちアンドロイドは人間ですよ…」

善子「………」

151: 2016/12/15(木) 11:12:27.16 ID:FqLQtwgm.net
納得はできた……本当はそんな気もしてた…でもそんな事実を受け入れられない……
肉を削がれたアンドロイドたちの向かう部屋に向かう…直接見たら…受け入れられるかもしれない…


海未「はぁ…はぁ…ことり!!!ことり!!」

善子「っ……」


アンドロイドたちは台座に乗ると動きが止まり頭をレーザーで開かれる
切り開かれた頭の中から出てくるのは…教科書で見たような………


善子「うっ…おええええ」

海未「ことり!!いたら返事を!!海未です!園田海未です!」

152: 2016/12/15(木) 11:15:08.10 ID:FqLQtwgm.net
善子「はぁ…はぁ……」

海未「大丈夫ですか?」

善子「……気持ち悪い……」

海未「…………」

善子「死んだ人の…脳…?…」


言葉にはできないけど…嫌な気持ち…とにかく……これを止めることはできないの…?…

善子「やめさせないと……こんなこと…」

154: 2016/12/15(木) 11:35:20.17 ID:FqLQtwgm.net
海未「今は…ことりを」

善子「……私のお母さんが…ここに脳を送ってた火葬場の社長なの…」

海未「えっ!?」

善子「しばらく帰ってきてないの…きっとここにいる……」

海未「………」

善子「いってみる…もしかしたら………いや、絶対止める!」

海未「………わかりました…私はことりを探してます」

善子「うん!お願い!!」

海未「健闘を祈ります!」

155: 2016/12/15(木) 11:44:15.36 ID:FqLQtwgm.net
善子「はぁっ…はぁっ」


地下へ…ここからだと直通エレベーターが使えない…階段を探すしかない


善子「…あった!」


避難用に作られた階段かしら…暗い……

青くて弱い光が足元だけを照らす…

ただ階段を降りている感覚…どれだけ深くに来たのかもわからなくなってくる……怖い…

159: 2016/12/15(木) 23:20:31.11 ID:FqLQtwgm.net
どこまで降りたの?……

わからない……ことりは大丈夫かしら……

大丈夫…私が止めれば良い…だからそれまで…どうか…


善子「!……」


階段はここで終わった……

目の前にあるのは扉…深呼吸をして…

160: 2016/12/15(木) 23:28:07.77 ID:FqLQtwgm.net
善子「わっ……」


暗い階段からうってかわって真っ白な明るい空間に出る……


善子「っ……」

母「善子……」

善子「お母さん………」

やっぱり……あのとき見たのはお母さんだったんだ………

善子「……今すぐ

母「探してるのはこれ?」

ことり「……善子ちゃん…」

善子「ことり!!」

161: 2016/12/15(木) 23:33:53.34 ID:FqLQtwgm.net
善子「大丈夫?!」

ことり「うん…善子ちゃんは…?…」

善子「大丈夫よ!さっき海未に出会ったわ!」

ことり「海未ちゃんに!?」

善子「うん…別れちゃったけど…きっと無事よ…ことりを探してる!」

母「ふふ…うれしいわ……“友情”?……ここに来たのは“正義”?…たくさんのアンドロイドたちの解体を止めるため?」

善子「…………そうよ……お願い…今すぐこんなことやめて!!」

162: 2016/12/15(木) 23:46:38.82 ID:FqLQtwgm.net
母「そうねぇ…ダメよ…わかるでしょ?不良品が出たら不良品以外も全ぶ回収しないと…もう信頼を失っちゃったのよ」

善子「不良品じゃないでしょ!!人間よ!!」

母「…………それは……映画の真似事?…それとも本当に“正義”感で?」

善子「話を変えないで!!私は止めてって言ってるの!!」

母「はぁ………善子…あなたのために言ってるのよ?」

善子「はあ?」

168: 2016/12/16(金) 22:56:03.08 ID:eZDDdslH.net
母「本当に…嬉しいのよ?こうやって我が子の心が成長していくのを見るのが……」

ことり「…………」

善子「?」

母「これ(ことり)は気づいてたみたいだねぇ…」

善子「な……何がよ」

母「あなたが人間じゃないってことよ…もちろん、それでも私の娘であることは変わらないわ」

169: 2016/12/16(金) 23:11:30.09 ID:eZDDdslH.net
善子「……………」

母「ごめんね…健康な身体で産んであげられなくて」


お母さんが泣いてる……何で?…私なら今ここにいるわよ…

え?健康な身体?…大丈夫よ!あれ以来大きな病気は無いんだから


母「あなたは産まれて数週間しか生きられなかったのよ」

善子「え?」


あなたって…私?

170: 2016/12/16(金) 23:17:05.96 ID:eZDDdslH.net
ことり「やめて…ください」

母「あなたは関係ないでしょ!?これは親子の話よ?それに大丈夫よ、これが終わったらここ数日分は全部消すから」

善子「消す……?…何を」

母「記憶よ記憶」

善子「え?…」


消す?どうやって…?…というか数週間って?人間じゃないって?……………私って?

174: 2016/12/17(土) 11:47:27.32 ID:SEplHpPT.net
産まれてすぐ病気になって…
治ってからはたくさん思い出を作ったわね

ダイヤはしっかり者で…とっても尊敬してる

ルビィは自慢の妹…これからもかわいがってやるんだから

お母さんは私たちを育ててくれた…毎日仕事で疲れて帰ってくるから心配だわ

お父さんは…ルビィが産まれたあと離婚しちゃったみたい…会ってみたいけど…いつかは会わせてもらえるわよね?

まだまだ人生は長いけどこれからきっと楽しくなるわ♪ことりと映画を見に行くのも楽しいし…
将来は…お母さんのようにカッコいい働く女に憧れるなぁ
結婚もしたいし子供も欲しいわ♪かわいい女の子も良いけど男の子も良いわね………

175: 2016/12/17(土) 11:57:06.74 ID:SEplHpPT.net
………自分が人間じゃない…なんて
疑うことなんて普通に生きてればない
哲学とか倫理で考えるかも知れないけど…それでも鏡をみればそこに自分がいるし…そんなこと考えてるのも当たり前のこと…人間だから


善子「………………」

母「善子が死んじゃってから…ずっと考えてたのよ…また会いたいって……」

ことり「善子ちゃん!……善子ちゃんだって人間だよ…私たちと同じでしょ?」

母「違うわ」

ことり「え?」

母「産まれて数週間じゃ脳が小さいのよ……あなたたち第二世代に使えるのは15歳~40歳の脳だけよ」

ことり「第二世代…?…」

176: 2016/12/17(土) 12:07:58.09 ID:SEplHpPT.net
母「そう、第一世代は簡単な会話ができるだけ、第二世代はもう終わりね…脳を入れたから人と同じように考えて…それぞれに人格がある……第三世代は脳を入れてない…完璧な人工知能」

善子「……………」

母「最初の第三世代……その人生が終わるまでは第三世代は売れないわ…だから未だに第二世代を売ってるんだけど」

ことり「じゃあ…」

母「そうねぇ…人間の脳を入れてるから人間だっていうのなら…善子は人間じゃないわ…」

ことり「そんな…」

善子「………」

私は誰?……本当の私は産まれて数週間で死んだ……
今こうして考えてるのも…私じゃなくて人工知能……

177: 2016/12/17(土) 14:02:38.86 ID:SEplHpPT.net
母「たとえ善子が試作品でも…私の娘よ」

善子「…………」

母「あなたはちゃんと人間の様に物事を考えているし…こうやってここに来たのも善子自身が決めたことでしょう?自信を持ちなさい…たった数日の記憶を失ったって変わらないわ」

ことり「ダメ!」

母「関係ないっていってるでしょ!!」

ことり「あります!」

母「はぁ……今すぐ壊してあげても良いのよ?」

178: 2016/12/17(土) 14:25:04.30 ID:SEplHpPT.net
もし私が死んだらどうなるんだろう…
魂とか…そういうものってあるのかしら?

ことりが倒れてる…電池が切れたみたいに…動かない…

お母さんが近づいてくる……身体が動かない…声も出ない…

記憶を消されたら…?……すっかり忘れて今までのように暮らすのかしら…?…

そしたら私は?……今日の私は消えて…ちょっと前の私に?……嫌だなぁ…

182: 2016/12/17(土) 23:27:03.20 ID:SEplHpPT.net
   


!!………大きな音が聞こえた……
聞き慣れた音のような……だけど聞いたことないような……
…これは……銃声…?…


母「はぁ…はぁ……実の親に……なんてことするのよ……ダイヤ……」


ダイヤ…?…お母さんが足を押さえて倒れてる…血が出てるのかしら…


ダイヤ「私の妹に…何をしようとしたのですか」

善子「…ダイヤ……」

ダイヤ「お母様…もうこんなこと…やめてもらいます」

母「ダメよ…もう」

ダイヤ「警察を呼びました」

母「………………好きにしなさい…もう…誰に似たのかしら…」

183: 2016/12/17(土) 23:31:48.67 ID:SEplHpPT.net
ダイヤ「立てますか?」

善子「……ことり!!」

ことり「善子ちゃん…?」

善子「良かった、大丈夫?何されたのよ?」

ことり「そこにいるの?」

善子「えっ?」

ことり「良かった……なんとかなったんだね…」

184: 2016/12/17(土) 23:40:48.54 ID:SEplHpPT.net
ことり「ありがとう…本当に…善子ちゃんのお陰で本当の私を取り戻せた…」

善子「な…なにを…」

ことり「もし善子ちゃんに会わなかったら…きっと今ごろ解体されてたのかな?……本当の私を知らないまま解体されたらどうなってたのかな?」

善子「…」

ことり「そうなってたら本当の私は居なくなっちゃってたのかな……そんなの嫌だよね……だから本当に感謝してるんだよ…」

善子「はやく!修理よ!あの医者のところに」

ことり「善子ちゃんは…身体はアンドロイドだけど…ちゃんと人間だよ?…」

185: 2016/12/17(土) 23:52:44.05 ID:SEplHpPT.net
ことり「えっと…困ったなぁ…最後に善子ちゃんに言いたいこと…」

善子「何言ってるのよ!最後って!」


お母さん……何をしたの?…ことりはどうなるの


ことり「私は…何も残せなかったから…善子ちゃんは…何か残して欲しいな…」

善子「何よ!!まだ…」

ことり「人間だったら…自分が生きたっていう証明を…自分の子供でするんだよ…その子供がまた孫を作ればずーっと証明できるの……でも善子ちゃんはできないから…
どんなことでもいいから…何か残してね…善子ちゃんの生きた証明を」

善子「なんでそんな話するのよ!」

186: 2016/12/18(日) 00:01:07.96 ID:myc5WPil.net
善子「えっ」


冷たい手が頬に触れた…なんとなくわかった、ことりはもう…


ことり「善子ちゃん……やったね、今泣いてるよね?ほっぺたが濡れてるよ」

善子「私が…?…」

ことり「血じゃない…よね?……良かったぁ…泣いたのは初めてだよね?」


気づかなかった…知らなかった…涙はこんな時に出てくるのね…


ことり「うん、これで人間と変わらないね…」

善子「ねえ…」

ことり「もう……終わりかな…?…楽しかったよ…本当に……」

善子「待ちなさいよ!」

ことり「アンドロイドになった私は天国に行けるのかなぁ?……行けたら良いなぁ…」

187: 2016/12/18(日) 00:14:55.50 ID:myc5WPil.net
ことり「最後にもう一回…本当にありがとう……お母さんによろしく言っておいてほしいな…」

善子「待ってよ…ねえ…ことり!!」



冷たく固くなった…呼んでも返事は帰ってこない…


善子「うっ…ぐぅ…」

ダイヤ「すみません…私がもう少し早く来ていれば…」

善子「うっ…」

ダイヤ「良いのですよ…」


そのまま泣き続けた…15年溜め続けた涙…ダイヤの身体は暖かかった…

188: 2016/12/18(日) 00:28:21.03 ID:myc5WPil.net
KNO社内データベースで調べた…第二世代アンドロイドのために16歳~30歳の若い人を誘拐してたらしいわ…

ことりは本当はひとりで誘拐される予定だったんだけど海未と穂乃果さんが離れないから三人一気に誘拐したとか…


海未「……そう…ですか」

善子「うん…ことりは…何か残せって…生きた証明をしろって…アンドロイドには難しいわね」

海未「私は…穂乃果を探しに行きます…工場では見つけられませんでしたが…もしかしたら海外に輸出された150体のうちのひとりかもしれません…」

善子「…そっか…見つけられると良いわね…」

海未「見つけたら…そのあと…私なりに何か生きた証明をしてみようと思います…今はまだ…何も考えていませんが…」

善子「うん…それが良いわ」

189: 2016/12/18(日) 00:38:49.04 ID:myc5WPil.net
お母さんは…もう死ぬまで刑務所から出られないみたい…

それでも私とダイヤとルビィは毎月面会に行ってる……大事な家族だから…

それからお父さんにも会ってみた…もう再婚してたけど…なんとなくダイヤににてるような感じで普通に喋れたわ

ルビィが20歳になってから私のことを話した…私がアンドロイドだったと知って…最初はすごく驚いてたけど…すぐにいつも通りに戻った…


解体を免れたアンドロイドたちはそれぞれ帰っていった…記憶を取り戻せた人は元いたところに…まだ戻ってない人はオーナーのところに…

190: 2016/12/18(日) 00:52:36.31 ID:myc5WPil.net
私は…あれからずっとことりの言葉を考えて…

自分なりに答えをだした…単純に私が生きた証明をできること…私が何か遺せること…

そう考えて先生になろうと思った…

私はことりに人間にしてもらった…私はことりのお陰で人間になれた…嬉しい時に笑って…辛いとき泣く…そんな当たり前のこと…

それから70数年…

191: 2016/12/18(日) 01:07:38.25 ID:myc5WPil.net
私の身体は87年で止まる…私が作られた時の平均寿命から取ったとか…

ことりと過ごした数日のことは今でも鮮明に思い出せる…
それは私がアンドロイドだからじゃなくて…きっと私の人生で一番濃かったときだから…

長いこと昔のことを考えてたらいつの間にかずいぶん時間がたった…

死ぬ時間がわかってるとみんなを呼べるから良いわね…おばあちゃんになったルビィもダイヤもその家族も…私の元教え子たちも…とってもにぎやかだわ…

ことり……私は何か遺せたかしら…遺せたかどうかは…わからないけど…私のこと覚えてくれる人がたくさんいたら良いなぁ

死ぬのが怖いか………不思議と怖くないわね…どうしてかわからないけど…なんとなく…私も天国に行ける気がするの…
きっとことりは待ってるわよね…私も行けるわ…きっと


~fin~



192: 2016/12/18(日) 01:12:58.61 ID:MhwRk04B.net

すごく引き込まれた

194: 2016/12/18(日) 01:29:49.63 ID:cmCMP45i.net
ずっと張り付いて見てた
おつ

197: 2016/12/18(日) 01:59:20.69 ID:WPHX08tn.net
本当にすごく良かったです 乙。

199: 2016/12/18(日) 03:12:37.24 ID:UZ7BqJ1/.net

海未は穂乃果に会えただろうか…
てかみんな長生きだな
87歳まで普通にのこってるとか

200: 2016/12/18(日) 06:16:14.74 ID:Nes8J+ll.net
乙!良かった

201: 2016/12/18(日) 07:14:56.15 ID:DZI1iu0T.net
書き手のSFマインドが伝わるいいSSだった!
この世界観で全キャラクロスオーバーさせてほしいくらい

次作待ってます!

204: 2016/12/18(日) 15:27:19.75 ID:2usNELv3.net
良作でした!乙!

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1481508068/

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