【SS】かのん「実はね、私、すみれちゃんのこと好きなんだ」 千砂都「そうだったんだ」【ラブライブ!スーパースター!!】

SS


1: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 17:24:33.75 ID:kPBZSWRs
千砂都「すみれちゃん、これあげる!」スッ

すみれ「チケット? どうしたのよ」

千砂都「チケット2枚貰ったんだけど、私行かないから」

千砂都「かのんちゃんと2人で行ってきて!」ニコッ

すみれ「? なんでかのんとなのよ」

千砂都「行ってきて」
 
9: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 17:50:21.30 ID:kPBZSWRs
かのん「昨日、すみれちゃんに誘われて2人でお出かけしたんだー!」

千砂都「へー、良かったじゃん! 楽しかった?」

かのん「すっごく楽しかったよ!」

千砂都「2人、いい感じだね」ニコッ

かのん「え?」

かのん「えへへ、そうかな~!!」デレデレ

千砂都「……」
 
12: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 18:01:18.20 ID:kPBZSWRs
すみれ「千砂都、これ」スッ

千砂都「え?」

すみれ「この前のチケットのお礼。クッキー焼いたの」

千砂都「……」

すみれ「千砂都?」

千砂都「嬉しいけど、私いいや……クッキーあんまり食べないんだ」アハハ

千砂都「かのんちゃんクッキー好きだし、かのんちゃんにあげて!」

千砂都「それじゃ」タタッ

すみれ「待ちなさいよ!」ニギッ


すみれ「私はアンタのために作ったんだけど?」

千砂都「……」


千砂都「あはは……とにかくお礼とかいいから!」

千砂都「もう練習始まるよ!」タタッ

すみれ「ちょっと……!」


すみれ「…………」

すみれ「なんなのよ……」ボソッ

すみれ(クッキー、全部丸い形に作ったのに……)キュッ
 
20: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 18:25:52.84 ID:eOCvovKS
千砂都「……」

千砂都(さっきのクッキー、美味しそうだったな)

千砂都(どれも綺麗な丸だったし……)

千砂都(すみれちゃんに悪いことしちゃった……)


千砂都「でも……」ギュッ

千砂都(これで良かったんだ)
 
24: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 18:55:26.47 ID:2rvC1NgI
かのん「すみれちゃんにさ、今度は私からデート誘ってみようかなって……」

千砂都「!!」

千砂都「いいじゃん! 頑張って、かのんちゃん!」

かのん「うん。でも凄く緊張するよー!!」プシュー

千砂都「ふふっ、きっとうまくいくよ」

かのん「そうかなぁ?」


千砂都「デートしたら、その時すみれちゃんと手くらい握っちゃいなよ?」

かのん「え!? さすがにそれはまだ大胆過ぎないかな?」

千砂都「2人の感じなら、それくらい積極的にいってもいいと思うよ?」ニコッ

千砂都「すみれちゃんにも、かのんちゃんの気持ち伝わると思うし」

かのん「そっか……」


かのん「よし、頑張ってみるね! ちぃちゃん!」

千砂都「うん!」
 
30: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 19:58:38.36 ID:kJy/Kucu
すみれ「水族館?」

かのん「うん! テレビでペンギンの行進やってたんだけど、すっごく可愛くってさ!」

かのん「今度の休み一緒に行ってみない?」

すみれ「へー。今度の休みね、いいわよ」

かのん(やったー!)

すみれ「みんなにも声かけてみるわ」

かのん「……っ!」


かのん「あ、あのね、すみれちゃん……!」

すみれ「……?」

かのん「すみれちゃんと2人だけで行きたいな……なんて……」モジモジ

すみれ「……!」


(千砂都『かのんちゃんと2人で行ってきて!』)

(千砂都『かのんちゃんにあげて!』)


かのん「どうかな……?」

すみれ「…………」

すみれ(そういうこと……)
 
31: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 20:21:29.66 ID:wF9rkeXr
休日

かのん「見て見て、すみれちゃん! クラゲのライトアップ綺麗だよー!」

すみれ「あら、綺麗ね」


かのん「あ、あのフグ、怒った時のすみれちゃんみたい!」プスッ

すみれ「何よそれ!」

かのん「だって似てるんだもん!」プスス

すみれ(まったくこの子は……)
 
32: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 20:34:53.62 ID:wF9rkeXr
すみれ「ペンギン見られて良かったわね」

かのん「うん! 可愛いかったよー!」


すみれ「……」テクテク

かのん「……」テクテク


かのん(結構いい雰囲気だと思うけど、どうかな……?)


(千砂都『積極的にいっていいと思うよ!』)


かのん(ちぃちゃん、私、頑張るから!)

かのん(それとなく、手を差し出して……)


かのん「……」スッ

すみれ「……」プイッ

すみれ「あっちの方行ってみない?」

かのん「え、あ、うん……」


かのん(今のって……)
 
33: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 20:40:49.33 ID:wF9rkeXr
かのん「はぁ……」プシュー

千砂都「どうしたの? かのんちゃん」

千砂都「デート楽しかったんでしょ?」

かのん「楽しかったよ……楽しかったけど……」


かのん「手握ろうとしたら、振り払われちゃった」アハハ

千砂都「え……」

千砂都「本当なの? 気のせいじゃない?」

かのん「ううん。たぶんあれはそういうことなんだと思う」


かのん「なんか私ばかり楽しくて、もしかしてすみれちゃんあんまり楽しくなかったのかもって……」

千砂都「そんなこと……」

かのん「はぁ……やっぱり私じゃ……」ウルッ

千砂都「……!」


千砂都「大丈夫! 大丈夫だから!」

かのん「ちぃちゃん……?」

千砂都「かのんちゃんとすみれちゃんなら、きっと大丈夫!」

かのん「でも……」

千砂都「大丈夫! 自信持って!」ニコッ

かのん「……」


千砂都(かのんちゃん、あとは私に任せてね)
 
37: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 21:36:23.36 ID:kPBZSWRs
学校

可可「まったく、そういうところがグソクムシだと言うのでデス!!」

すみれ「グソクムシ言うな!」

ワー! ワー!


夏美「あの2人は本当に仲が良いんですの」

千砂都「喧嘩ばかりしてるけどね」アハハ


恋「可可さん、少し宜しいですか?」

可可「レンレン! いいデスよ~!」

可可「ではすみれ、今のことちゃんと反省しておくのデスよ」

すみれ「何で私が反省するのよ!」

可可「レンレン、行きまショウ!」タタッ

すみれ「まったく……」


千砂都「すみれちゃん、私もちょっといいかな?」

すみれ「千砂都……」

千砂都「話があるんだけど……」
 
40: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 21:45:47.38 ID:kPBZSWRs


千砂都「この前のクッキーのこと、ごめんね」

千砂都「せっかく作ってくれたのに……」

すみれ「別に気にしてないわよ」

すみれ「嫌いなんでしょ、クッキー」

千砂都「うん……」


すみれ「話はそれだけ?」

千砂都「うん、まあ、そうなんだけど……」

すみれ「……?」

千砂都「そういえば、聞いたよ! すみれちゃん!」

千砂都「この前、かのんちゃんと水族館行ったんでしょ?」

すみれ「ええ。かのんがペンギン見たいって言うから」

千砂都「水族館デートなんていいねー」ニコッ

すみれ「デートって……」


千砂都「私、2人のことお似合いだなって思ってたんだよね」

すみれ「……」

千砂都「すみれちゃんなら、幼馴染としても、かのんちゃんのこと安心して任せられるし!」

すみれ「え、ちょっと……」

千砂都「かのんちゃんのことよろしくね、すみれちゃん!」ニコッ

すみれ「いや、だから……」


千砂都「話はそれだけ! それじゃ戻ろっか!」

すみれ「ま、待ちなさいよ……!」バッ


すみれ「なんか勝手なこと言ってるけど、私たち、そんなんじゃないわよ?」
 
41: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 21:52:25.88 ID:kPBZSWRs
千砂都「……」

千砂都「なんで?」

すみれ「なんでって……」

千砂都「2人でデートして楽しかったんでしょ?」

千砂都「このまま付き合っちゃえばいいじゃん!」

千砂都「みんな応援してくれるよ」

すみれ「……」


すみれ「千砂都、アンタ……」

すみれ「私とかのんのこと、くっつけようとしてるわよね?」

千砂都「……」

すみれ「そうなんでしょ?」


千砂都「そうだよ」

千砂都「2人に付き合って欲しいと思ってる」

すみれ「どうして?」

千砂都「かのんちゃんがすみれちゃんのこと好きだから」
 
42: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 22:00:10.15 ID:kPBZSWRs
すみれ「そう……」

千砂都「……」


すみれ「それでかのんに協力してるってわけ」

千砂都「うん」

千砂都「かのんちゃんに頼まれたわけじゃないよ」

千砂都「だからこのことは、かのんちゃんには内緒にして欲しいんだけど」

すみれ「それでチケットくれたり、2人きりにさせようとしてたのね」

千砂都「うん……」

すみれ「なんとなくそうじゃないかと思ってたけど」

すみれ「それでも、クッキーくらい受け取ってくれても良かったんじゃない?」

千砂都「それは、ごめん……」
 
43: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 22:09:36.96 ID:kPBZSWRs
千砂都「だから、すみれちゃん……」

すみれ「私、かのんと付き合う気はないわよ」

千砂都「え……?」


すみれ「かのんのことは好きだけど、そういう対象として見たことはないわ」

すみれ「友達でいたいのよ」

千砂都「でも、それじゃかのんちゃんの気持ちが……」

すみれ「うん。かのんには悪いけどね」

千砂都「……」


千砂都「すみれちゃん……」

すみれ「……?」


千砂都「お願いします! かのんちゃんと付き合ってあげてください!」バッ

すみれ「!?」


千砂都「この通りです! 一生のお願いです!」

すみれ「ちょ、アンタ何やってるのよ……!!」

千砂都「すみれちゃん、お願いします! かのんちゃんの恋人になってあげてください!!」

すみれ「やめて! 頭あげなさいよ!」

千砂都「お願いします! お願いします……!」

すみれ「頭あげなさいったら、あげなさい!」
 
45: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 22:18:00.19 ID:kPBZSWRs
千砂都「付き合って、くれますか……?」

すみれ「……」

すみれ「そんなの、頼まれて決めることじゃないわ」

すみれ「どうしてかのんのためにそこまでするの?」

千砂都「かのんちゃんの役に立ちたいから……」

すみれ「……」


すみれ「そんなにかのんのことが大切なら、自分が付き合えばいいじゃない……」

千砂都「それじゃ、ダメだよ」

千砂都「かのんちゃんには、本気で好きになった人と幸せになって欲しいんだ」

千砂都「それがすみれちゃんなんだよ」

すみれ「私の気持ちは……どうなるのよ」

千砂都「すみれちゃんだって、今は意識してないかもしれないけど、付き合ったらきっとかのんちゃんのこと好きになるって!」

すみれ「……」
 
52: (もんじゃ) 2023/04/09(日) 22:29:33.87 ID:kPBZSWRs
千砂都「かのんちゃん、すみれちゃんのこと話す時、本当に嬉しそうなんだ」

千砂都「すみれちゃんのことが大好きだし、すみれちゃんも絶対幸せになれるよ!」

千砂都「私も2人のこと全力でサポートする!」

千砂都「だがら、すみれちゃ……」

すみれ「千砂都」


すみれ「さっき、かのんに内緒にして欲しいって言われたけど」

すみれ「あの子、アンタがここまでのことしてるって知ったら、どう思うでしょうね」

千砂都「え……」

すみれ「千砂都のしてることは、かのんのためにはならないわよ」

千砂都「そんなこと……」


すみれ「とにかく、かのんと付き合うつもりはないから」

すみれ「話はここまでね。それじゃ」タタッ

千砂都「ま、待って、すみれちゃん! この通りだから!」バッ

すみれ「それやめなさいよ!!!!」

千砂都「……っ!!」



すみれ「こんな……」フルフル

千砂都「……」

すみれ「こんな千砂都、見たくなかったわよ……」ポロッ

千砂都「……!」



すみれ「じゃあね……」タタッ

千砂都「ぁ……」



千砂都「…………」


千砂都(すみれちゃん……)
 
70: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 22:32:31.31 ID:QvfDanrs
千砂都「うーん……」ムムム


(すみれ『かのんのことは好きだけど、そういう対象として見たことはないわ』)

(すみれ『私の気持ちは……どうなるのよ』)


千砂都(すみれちゃんがかのんちゃんと付き合えないのって、つまりは、すみれちゃんには他に好きな人がいるってことだよね)

千砂都(すみれちゃんの好きな人……誰なんだろ)

千砂都(やっぱり部内にいるのかな?)


千砂都「うーん……」

メイ「千砂都先輩、どうしたんだよ。難しい顔して」

メイ「新曲の振り付けで悩んでるのか?」

千砂都「メイちゃんは……」ジッ

メイ「……!」

千砂都「ないか。四季ちゃんがいるし」

メイ「は? なんだよ、いきなり!」


千砂都「いやー、すみれちゃんの好きな人って誰なんだろうなって」

メイ「……すみれ先輩?」

千砂都「うん。やっぱり仲良しの可可ちゃん? それとも夏美ちゃん?」

千砂都「でも可可ちゃんは親友って感じもあるし、夏美ちゃんも姉妹みたいな感じだし……」


千砂都「メイちゃん、知らない?」

メイ「え!?」
 
71: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 22:36:45.30 ID:QvfDanrs
メイ「知らないよ……」

メイ「て言うか、千砂都先輩、すみれ先輩のこと好きなのか?」

千砂都「私じゃなくて、クラスにすみれちゃんのこと好きな子がいてね」

メイ「へー……」


千砂都「まったく心当たりない?」

メイ「だ、だからないって……!」

千砂都「そっかー」


メイ「はぁ……」

メイ「千砂都先輩も結構……」ボソッ

千砂都「?」
 
74: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 22:41:19.43 ID:QvfDanrs
部室

すみれ「あれ、何よこのトランプ」カシッ

かのん「誰か遊んでたのかな?」

すみれ「可可のかしら?」


かのん「ふふっ」

すみれ「どうしたのよ?」


かのん「ううん、トランプ見たら、前に可可ちゃんの家の下で、すみれちゃんと2人でトランプしたの思い出しちゃって」

すみれ「あれはひどかったわね……」

かのん「罰ゲームみたいなものだったからね」アハハ

かのん「でも、すみれちゃんと2人だったから楽しかったよ」ニコッ

すみれ「……」

すみれ「ふふっ、そうね」
 
77: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 22:48:54.67 ID:QvfDanrs
かのん「あ、そうだ! すみれちゃん、この映画知ってる?」スッ

すみれ「ああ、今話題のやつよね」

かのん「面白そうだよー! 観たいんだよね!」

かのん「今度の休み、一緒に観に行かない?」

すみれ「ごめん。今度の休みは予定あるのよ」

かのん「そっか! それじゃ来週は……」

すみれ「私より千砂都誘ってあげたら? あの子、きっと喜ぶわよ」

かのん「ぁ……」

かのん「うん、そうだね……」


すみれ「そろそろ行かないと! 授業遅れるわよ」

かのん「うん……」


すみれ「……」テクテク

かのん「……」シュン


すみれ(ごめんね、かのん)

すみれ(アンタの気持ちを知ってしまった以上、余計な期待させたくないの)

すみれ(今なら、友達のままでいられるから)
 
79: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:01:30.56 ID:QvfDanrs


メイ「今日の練習はハードだったなー!」テクテク

四季「メイ、新しいステップ上手くなってた」テクテク

メイ「本当に!?」


夏美「すみれ先輩、この後暇ですの?」

すみれ「別に何もないけど?」

夏美「それなら、すみれ先輩が気になってたフラペチーノを飲みに行くのはどうですの?」

夏美「優しい夏美が付き合ってあげますの♪」

すみれ「それアンタが飲みたいだけじゃない!」

キャッキャ、キャッキャ



かのん「……」ジッ


かのん「……」シュン



千砂都「……っ!!」ドクン



きな子「千砂都先輩、帰らないんすか?」

千砂都「ねぇきな子ちゃん、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」

きな子「きな子にっすか?」キョトン
 
80: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:11:35.84 ID:QvfDanrs
数週間後

たこ焼き屋

千砂都「ありがとうございましたー!」

千砂都「いらっしゃいま……って、あれ」

すみれ「……」

千砂都「すみれちゃん!?」

すみれ「こんばんは。たこ焼き食べに来たわよ」



千砂都「できたよ!」スッ

すみれ「ありがと」


すみれ「うん、やっぱり美味しい」モグモグ

千砂都「すみれちゃんのために気合い入れて作ったからね!」

千砂都「いつも以上に綺麗な丸になったよ!」

すみれ「丸って味に関係あるの?」

千砂都「もちろん! 丸は最高だよ!」

すみれ「そう」フフッ
 
81: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:19:01.79 ID:QvfDanrs
千砂都「でも珍しいね。すみれちゃんが1人で来てくれるなんて」

すみれ「……」

すみれ「あれ以来、あんまり2人で話せてなかったじゃない」

すみれ「なんか気まずい感じのままって、嫌なのよ」

千砂都「すみれちゃんがかのんちゃんと付き合ってくれれば解決なんだけどな~」

すみれ「アンタもしつこいわね」

千砂都「あはは」


千砂都「うん、しつこいよ……」ボソッ
 
82: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:25:53.98 ID:QvfDanrs


すみれ「それで可可ったらその時……」

千砂都「ふふっ、そうなんだ」クスッ

すみれ「そしたら『グソクムシー!』って叫びながら飛び出して行ったのよ!」

千砂都「あはははは!! なにそれ、おかしい!!」ケラケラ


すみれ「……」チラッ

すみれ(千砂都のこんな笑顔、久々に見たかも)




千砂都「すみれちゃん、来てくれてありがとね」

千砂都「また来てくれたら、美味しいたこ焼きいくらでも作るから!」

千砂都「そうだ、今度は新メニュー試してみてよ!」ニコッ

すみれ「ふふっ、楽しみにしてるわ」



すみれ(あんなことがあったけど)

すみれ(やっぱり千砂都は千砂都のまま)

すみれ(何も変わってないじゃない)


すみれ「……」


すみれ(それなら……)


すみれ(それなら、私も勇気を出して……)グッ



かのん「ちぃちゃん、やっほー!」
 
84: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:30:34.45 ID:QvfDanrs
かのん「……と、すみれちゃん!?」

千砂都「かのんちゃん、ういっすー!」ニコッ

すみれ「かのん……」


かのん「すみれちゃん、珍しいね」

すみれ「ちょっとたこ焼き食べたくなってね」

すみれ「それじゃ、私は行くわね」サッ

かのん「え、もう行っちゃうの……?」

すみれ「妹がたこ焼き待ってるのよ。それじゃまた明日ね」タタッ



かのん「あ……」
 
85: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:33:20.23 ID:QvfDanrs
かのん「……」

千砂都「かのんちゃん?」

かのん「やっぱり私、避けられてるのかな……」

千砂都「え……?」


かのん「すみれちゃんにさ、私なりにいろいろアプローチしてきたんだよ」

かのん「でも、ここのところすみれちゃんに避けられてる気がするんだよね」

千砂都「そんなことないと思うけど」

かのん「必要以上に私と話したがらない感じがして」

かのん「今だって、そう……」キュッ


かのん「この前遊んだ時、私何かしちゃったのかな……」

かのん「それか、やっぱり手繋ごうとしたの嫌だったとか?」


かのん「うぅ、どうしよおおおおおおお」ウワーン

千砂都「そんなに不安にならなくても、大丈夫だって!」

かのん「ちぃちゃんいつもそう言うけど……」

かのん「たぶん全然大丈夫じゃないよ……」

千砂都「……」


千砂都「あのね、かのんちゃん」

千砂都「実はね、すみれちゃんもかのんちゃんのこと、本当は好きなんだよ?」


かのん「……」

かのん「え……?」
 
89: (もんじゃ) 2023/04/10(月) 23:37:05.84 ID:QvfDanrs
千砂都「すみれちゃんにかのんちゃんのこと相談されてたんだ」

千砂都「水族館行ったのも楽しかったって言ってたし」

千砂都「でもそれから、かのんちゃんのこと変に意識するようになっちゃったんだって」

千砂都「かのんちゃんの顔見ると照れちゃって、かのんちゃんからつい逃げちゃうって言ってたよ」

千砂都「本当はたくさん話したいのにね」

かのん「ちぃちゃん、それ、本当……?」

千砂都「うん。今だってかのんちゃんとのことで来てたんだよ」


千砂都「本当はかのんちゃんに話すつもりなかったんだけど、かのんちゃんがあまりに悲観的だったからつい……」エヘヘ

千砂都「すみれちゃんには内緒だよ!」

かのん「そっか……そうだったんだ……!」


かのん「もうっ! すみれちゃんったら照れ屋さんだなぁ!」デレデレ

千砂都「ふふっ、すみれちゃん、意外と奥手みたいだから」

千砂都「ここは実力行使!」

千砂都「かのんちゃん、告白しちゃいなよ!」ニコッ
 
114: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 20:39:05.46 ID:bE2X3+O4
かのん「ただいま~!」タタッ

ありあ「あ、お帰り」


かのん「ふんふんふ~ん♪」

ありあ「どうしたの? 随分ご機嫌じゃん」

かのん「まあね~!」ニヘッ

かのん「はい、ちぃちゃんのたこ焼き!」サッ

ありあ「ありがと……」


かのん「じゃ、ありあも頑張ってね♪」タタッ

ありあ「何を……?」



かのんの部屋

かのん「それにしても……」

かのん「嬉しいなぁ……!」ギュウウウウ


かのん(すみれちゃんと両想いだったんだ!)

かのん(しかも2人ともちぃちゃんに相談してたなんてね)フフッ

かのん(ちぃちゃん、困ってたかもね)クスッ


かのん(でも、すみれちゃんに避けられてるんじゃないなら……)

かのん(ちぃちゃんの言うように告白しちゃってもいいかもね)


(すみれ『かのん、愛してる』ダキッ)


かのん「なんて……」エヘヘ

かのん「もう、すみれちゃんったら~!」ギュウウ
 
117: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 20:45:32.65 ID:bE2X3+O4
数日後

スクールアイドル部

夏美「昨日上げた動画、かなり伸びてますの!」

四季「コメントもたくさん来てる」

メイ「おお、すげーじゃん!」


すみれ「……」ボーッ


恋「千砂都さん、少し宜しいですか?」

千砂都「うん、いいよ!」

きな子「千砂都先輩、きな子も後で話があるっす」

千砂都「うん。じゃあ後でね!」


すみれ「……」ボーッ


すみれ(なんだかんだ千砂都って、部長としてみんなに頼りにされてるのよね)

すみれ(頑張り屋さんで、行動力もあって)

すみれ(それでいて可愛いし……)

すみれ(なんて、褒め過ぎかしら……?)

すみれ(まあ好きなんだし、仕方ないわよね)フフッ



かのん「……」チラッ

かのん(すみれちゃん……)
 
120: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 20:51:47.48 ID:bE2X3+O4
かのん「すみれちゃん、新曲の歌詞のことでちょっと相談があるんだけど」

すみれ「歌詞? どうしたの?」

かのん「この部分なんだけどさ……」ズイッ

すみれ「ふーん……」

かのん「最初に考えたのはね……」ズイッ

すみれ「へー……」

すみれ(なんか今日のかのん、近いわね……)


かのん「こうしようと思うんだけど、どう思う?」

すみれ「なるほどね」


かのん「……」チラッ

すみれ「そうねぇ……」ウーン


すみれ「私はこれで良いと思うわよ」

すみれ「Liella!らしいしね」

かのん「そっか! ありがとう!」ニコッ


すみれ「いい曲になりそうね」

すみれ「完成楽しみにしてるわ」

かのん「うん……!」トクン
 
121: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 20:58:47.05 ID:bE2X3+O4
かのん「あ、あと、すみれちゃん……」


かのん「この後なんだけどさ……」モジモジ


すみれ「……!!」ピクッ


すみれ「ごめん、かのん。そろそら行かないと!」ガタッ

かのん「あ……」


すみれ「それじゃあね」タタッ

かのん「待って!!」ニギッ

すみれ「……っ!」


かのん「すみれちゃん、お願い」

かのん「逃げないで」ギュッ

すみれ「……」


かのん「すみれちゃんに大切な話があるんだ」

かのん「どうしても聞いて欲しい話なの」

かのん「練習終わったら、屋上に来て」

かのん「私、来てくれるまで待ってるから」


かのん「お願い」ギュッ

すみれ「……」


すみれ「わかったわ」

かのん「……!」

かのん「ありがとう……」


かのん「それじゃ、また後でね」

すみれ「うん」



すみれ「……」

すみれ(今まではのらりくらりかわしてきた)

すみれ(かのんが諦めてくれれば……告白なんて聞かなければ、それが一番良いって)


すみれ(でも、かのんは覚悟を決めたんだ)

すみれ(それをはぐらかすなんて、できるわけないじゃない……)キュッ
 
124: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:08:14.95 ID:bE2X3+O4


千砂都「いよいよだね、かのんちゃん」

かのん「う、うん……!」ドキドキ


かのん「はぁぁ、すっごく緊張するうう!!」プシュー

千砂都「ふふっ、ファイトだよ!」ニコッ


かのん「ちぃちゃん、ずっと相談乗ってくれてありがとね」

かのん「ちぃちゃんに話して本当に良かったよ」

千砂都「うん。付き合ってからも、いつでも相談乗るよ」

かのん「気が早いよー!」アハハ



かのん「ねぇ、ちぃちゃん……」

千砂都「うん?」


かのん「もしも……」


かのん「もしも……ダメだったら……」


かのん「その時は慰めてね」エヘヘ

千砂都「…………うん」
 
126: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:14:21.27 ID:bE2X3+O4


すみれ「はぁ……」


(かのん『あ、あのフグ、怒った時のすみれちゃんみたい!』)

(かのん『でも、すみれちゃんと2人だったから楽しかったよ」ニコッ )


すみれ(かのんがいい子だなんで、そんなことはわかってる)

すみれ(でもどこまで行っても、私にとって、かのんは大切な親友なのよ)

すみれ(これから先も、恋愛感情になることは絶対にない)


すみれ(だから、私も覚悟を決めないと)

すみれ(悲しませようが、関係が変わってしまおうが、ちゃんと断るの)



すみれ(それに……)


すみれ「……」ギュッ


すみれ(私だって、諦めたくない)
 
127: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:21:07.67 ID:bE2X3+O4
すみれ(さて……)

すみれ(正直足は重いけど……)

すみれ(そろそろかのんのところに行かないとね)ガタッ


すみれ(明日からも、変わらず友達でいられたらいいのだけど……)


千砂都「すみれちゃん!」タタッ

すみれ「千砂都……!」ドキッ


千砂都「まだ帰らないの?」

すみれ「ええ」

千砂都「この後、かのんちゃんに呼び出されてるもんね」

すみれ「まあ、知ってるわよね」

千砂都「何言われるかわかってるでしょ?」

すみれ「大体ね」


すみれ「千砂都がそう促したの?」

千砂都「そうだよ」

すみれ「……余計なことばっかりして」
 
129: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:27:23.35 ID:bE2X3+O4
すみれ「何度も言うけど、かのんと付き合うつもりはないから」

すみれ「友達でいたいの」

千砂都「それは困るよ」

すみれ「知らないわよ」


千砂都「ねぇ、すみれちゃん」

千砂都「すみれちゃんがかのんちゃんと付き合わないのって、他に好きな人がいるからだよね?」

すみれ「……」


千砂都「誰なの? 可可ちゃん? 夏美ちゃん?」

すみれ「そんなの今関係ないでしょ」

千砂都「関係あるよ」

すみれ「どこがよ」

千砂都「関係……あるんだよ……」ボソッ

すみれ「……?」
 
130: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:32:23.24 ID:bE2X3+O4
千砂都「私ずっと考えてたんだ。すみれちゃんは誰のこと見てるんだろうって」

千砂都「可可ちゃんか、夏美ちゃんだよね」

千砂都「そんなに好きなんだ」

千砂都「かのんちゃんの告白断っちゃうくらい」

すみれ「……」


千砂都「可可ちゃんのことが好きなんでしょ?」

すみれ「違うわよ」

千砂都「じゃあ夏美ちゃんだ!」

すみれ「違うったら」

千砂都「あれ、そんなわけないんだけど」

千砂都「すみれちゃんが好きなのは、可可ちゃんか夏美ちゃんのはずだもん」

すみれ「アンタねぇ……」イラッ

千砂都「たぶん可可ちゃんだよね。2人は特別って感じするし」

すみれ「さっきからまた勝手なことばっかり言って……!」イライラ


千砂都「すみれちゃんが正直に教えてくれないからだよ?」

千砂都「あ、やっぱり、夏美ちゃんだ! 可愛いもんね」

すみれ「……」イライラ

千砂都「2人まで絞られちゃってるんだから、もう教えてよ」

すみれ「……」イライラ

千砂都「可可ちゃん? 夏美ちゃん?」

千砂都「どっちが好きなの?」


すみれ「どっちでもないわよ!!」バッ

千砂都「……!」ビクッ
 
131: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:38:34.91 ID:bE2X3+O4
すみれ「あー、もう……!!」

すみれ「千砂都、やっぱりアンタ何もわかってない……!」


すみれ「わかってないったら、わかってない……」ジュン

千砂都「……?」


すみれ「私がどういう気持ちでアンタの話聞いてるかわかる……?」ウルッ

千砂都「え、えっと……」

千砂都「すみれ……ちゃん……?」


すみれ「私、辛いの……」ポロッ

すみれ「アンタにそういう質問されるのが、辛いのよ……!」ポロポロ

千砂都「……!?」

千砂都「すみれちゃん……どうしたの……?」

千砂都「なんで泣いて……」


すみれ「いいわ。そんなに知りたいなら教えてあげる」



すみれ「私が好きなのは……」


すみれ「本当に好きなのは……」



すみれ「千砂都……」

すみれ「アンタよ……」



千砂都「……………………」



千砂都「……ぇ…………?」
 
135: (もんじゃ) 2023/04/13(木) 21:48:10.21 ID:bE2X3+O4
屋上

かのん「……」チョコン


深呼吸して呼吸を整えても、やっぱりドキドキは収まりそうにない。

そんな中、ただその時が来るのを待つ。

みんなこんな風に告白を経験するのかな。


私の初めての告白。

ちぃちゃんは両想いだって教えてくれたけど、それでもやっぱり期待と不安が入り混じってて。

頭の中で伝えるべき言葉を復唱する。

すっと目を閉じる。


すみれちゃんがここに来てくれれば、あとは最後の勇気を振り絞るだけだ。

覚悟はできてる。


かのん(すみれちゃんに伝えるんだ)

かのん(大好きだって)
 
149: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:16:35.54 ID:wxPSBpaY
かのん「ふぅ……」

もう一度、また深呼吸。

何度目かな。


練習の時は賑やかな屋上に1人。

遅い時間というのもあって、より非日常を感じさせる。


緊張しながら、好きな人が来るのを待ち続ける。

時が経つほどに心細くなる。


早くすみちゃんに会いたい。

すみれちゃんの声が聞きたい。


かのん「すみれちゃん、まだかな」
 
150: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:20:27.93 ID:wxPSBpaY


千砂都「すみれちゃんが……」

千砂都「私のこと……?」

すみれ「…………」


千砂都「嘘だよ……」

千砂都「嘘だよ、そんなの……!」

すみれ「ここで嘘つく理由ある……?」


すみれ「こんなかたちで伝えることになるとは思わなかったけど」

すみれ「信じられないなら、何度でも言ってあげる」


すみれ「私は千砂都が好き」

すみれ「千砂都のことが、大好き……!」グッ

千砂都「……!!」


すみれ「千砂都のこと……」

すみれ「可愛いって……思ってる……」


千砂都「…………っ!!」カアアアアア
 
153: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:28:50.62 ID:wxPSBpaY
千砂都「そう……だったんだ……」

千砂都「まさか、私のことそんな風に思ってくれてたなんて考えもしなかったから……」


千砂都「その……」

千砂都「いろいろ……ごめん……」

すみれ「はぁ……」

すみれ「……本当よ」


すみれ「好きな人に、他の人と付き合ってくれって懇願されたり」

すみれ「好きな人に、勝手に好きな人を決めつけられたり」

すみれ「こっちの気持ちも考えて欲しいわ」

千砂都「うぅ……」


すみれ「クッキーの件も、結構傷ついたんだけど?」

千砂都「ごめん……」
 
154: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:35:02.65 ID:wxPSBpaY
すみれ「千砂都も案外鈍感ね」

千砂都「そんなことないよ……!」

すみれ「実際そうじゃない」

千砂都「そんなの、気づけないよ……」

すみれ「好きじゃなきゃ、あんな難しいステップの練習、あそこまで付き合わないわ」

千砂都「え、あれってそういう……」


すみれ「……」フフッ
 
155: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:39:58.99 ID:wxPSBpaY
すみれ「ふぅ……なんか言ったらスッキリしたわ」

すみれ「私は千砂都のことが好き」

すみれ「だからかのんとは付き合わない」

すみれ「もうこれでいいでしょ?」

千砂都「……」


千砂都「本当に、ビックリしちゃった……」

千砂都「すみれちゃんが私のこと……」

千砂都「その……なんていうか……」モジモジ


千砂都「嬉しい……な……」エヘヘ

すみれ「千砂都……?」トクン


千砂都「すみれちゃん、ありがとう……」

千砂都「気持ち、とっても嬉しいよ!」ニコッ


すみれ「……!!」ドキッ


すみれ「そ、それじゃあ……」ドキドキ

千砂都「うん!」




千砂都「これで、かのんちゃんとすみれちゃん、付き合えるね!」




すみれ「え……?」
 
157: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:47:59.64 ID:wxPSBpaY
千砂都「だって、可可ちゃんか夏美ちゃんかとばかり思ってたからさ!」

千砂都「私だったら、話は早いよね!」

すみれ「千砂都……何言って……」


千砂都「まあ、本当に可可ちゃんか夏美ちゃんだったとしても、もう大丈夫なんだけどね」

千砂都「すみれちゃんの恋が実ることはなかったし!」

すみれ「どういう意味よ……」


千砂都「可可ちゃんは恋ちゃんと、夏美ちゃんはきな子ちゃんと付き合うことになったんだよ」

千砂都「だから、やっぱりすみれちゃんにはかのんちゃんしかいなくなるよね!」

すみれ「……」



すみれ「まさか……」

すみれ「みんな、アンタがくっつけたの……?」
 
162: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:53:48.52 ID:wxPSBpaY
千砂都「私はただ少し手助けしただけだよ」ニコッ

すみれ「手助けって……」

すみれ「どうせ都合の良いことばかり吹き込んで、誘導したんでしょ!?」

すみれ「私とかのんにしたみたいに!」


千砂都「みんな結ばれて幸せになったんだからいいじゃん」

すみれ「やり方が気に入らないのよ!」

すみれ「自分の目的のために、誰かの気持ちを弄んで……!」

すみれ「人の恋を何だと思ってるのよ!」


すみれ「それに、本当に私が2人のこと好きだったら、こんなこと……!」

千砂都「でも、好きなのは私なんだよね?」

すみれ「……!」
 
163: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 21:59:34.18 ID:wxPSBpaY
千砂都「すみれちゃんも、もっと早く言ってくれれば良かったのに」

千砂都「それなら話はずっと早いよ!」

すみれ「は……?」

すみれ「意味がわからないんだけど……」


千砂都「すみれちゃんさ」

千砂都「私のこと好きってことは、私と付き合いたいってことでしょ?」

すみれ「……」


千砂都「私と付き合って、どうしたいの?」

千砂都「何がしたいの?」

すみれ「え……?」


千砂都「私としたいこと、あるでしょ」

千砂都「デートしたい? 手繋ぎたい?」


すみれ「ぇ……」


千砂都「ちゅーしたい?」


千砂都「エ チしたい?」


すみれ「…………っ」



千砂都「全部、叶えてあげるよ!」

千砂都「私、すみれちゃんの言うこと何でも聞く!」

千砂都「私のこと好きにしていいから!」

千砂都「その代わり」

千砂都「かのんちゃんと付き合って!」
 
165: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:05:34.49 ID:wxPSBpaY
すみれ「意味……わかんない……」クラッ


すみれ(ダメだ……頭がクラクラする……)

すみれ(この子が何を言ってるのかわからない……)

すみれ(これが、本当にあの千砂都なの……?)


すみれ(もう……)

すみれ(もう……ついてけない……)
 
167: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:10:06.55 ID:wxPSBpaY
千砂都「どうかな?」

すみれ「……」


すみれ「千砂都、アンタどうしちゃったのよ……」


すみれ「前から、かのんのことになると凄いことしちゃう子だなとは思ってた」

すみれ「でもそれほど幼馴染のこと大切にしてるんだなって思ってたのよ」

すみれ「だけど」

すみれ「これは度が過ぎる」

すみれ「かのんの幸せに拘り過ぎて、おかしくなっちゃったの?」


千砂都「別に何もおかしくないよ?」

千砂都「かのんちゃんがすみれちゃんと付き合えて」

千砂都「すみれちゃんも私としたいことができて」

千砂都「私もかのんちゃんの役に立てて」

千砂都「みんな幸せになれる良い提案だよ?」

すみれ「そんなの、誰も幸せじゃない……!」
 
168: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:14:52.90 ID:wxPSBpaY
千砂都「すみれちゃん」ズイッ

すみれ「!?」ビクッ


千砂都「遠慮しなくていいんだよ?」ニギッ

千砂都「自分に正直になろ?」ピトッ

すみれ「っ!!」ビクッ


千砂都「すみれちゃんのしたいこと、何でもさせてあげるから」サワッ

千砂都「そうだ」スッ

千砂都「今ここでエ チしようよ」ダキッ

すみれ「!?」ビクン


千砂都「私の処〇あげる」
 
169: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:17:20.90 ID:wxPSBpaY
すみれ「え、ちょ……」

千砂都「ほら、私の身体触って?」ガシッ

すみれ「やめて……」

千砂都「もっと力抜いて。脱がすよ?」スッ

すみれ「やめて……!」


千砂都「こういうことしたかったんでしょ?」

千砂都「これで交換条件だからね?」

千砂都「かのんちゃんと付き合ってね」
 
170: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:21:26.45 ID:wxPSBpaY
すみれ「ま、まって、やめ……」

千砂都「かのんちゃんとする前の練習にもなるから、ちょうどいいよね」

千砂都「どの道、すみれちゃんには私で練習してもらうつもりだったんだ」

千砂都「かのんちゃんの『初めて』で失敗は許されないからね!」

すみれ「…………っ!!」



すみれ「いい加減にしてよ!!!!」バッ



千砂都「……!!」


すみれ「はぁ……はぁ……はぁ……」



すみれ「馬鹿にしないでよ!!」

すみれ「私がそんな誘いに乗るって本気で思ってるの!?」

すみれ「人の気持ち弄ぶのも大概にしなさいよ!!」


千砂都「……」
 
172: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:26:15.90 ID:wxPSBpaY
すみれ「アンタ、狂ってるわよ……!」

すみれ「かのんのため、かのんのためって」

すみれ「何一つかのんのためになんて、なってない!」


すみれ「こんなの……」

すみれ「かのんが可哀想よ……」ギュッ


千砂都「すみれちゃん、お願いだから言うこと聞いてよ」

千砂都「私のこと、好きなんでしょ?」


すみれ「好き“だった”」

すみれ「でもアンタは変わっちゃった」

すみれ「私の好きだった千砂都はもういない」

すみれ「よくわかったわ」


すみれ「……」タタッ

千砂都「どこ行くの?」

すみれ「かのんのところ」

千砂都「わかってるよね? かのんちゃんと……」

すみれ「もうアンタと話すことはない!」キッ


すみれ「いいわ。かのんと付き合ってあげる」

すみれ「でも、アンタに頼まれたからじゃない」

すみれ「アンタなんかに、かのんを任せられないからよ」

すみれ「アンタなんか、かのんのそばにいちゃいけない」

千砂都「……」


すみれ「私が恋人になったら、二度とかのんに幼馴染面しないで!」タタッ


千砂都「…………」
 
175: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:29:26.93 ID:wxPSBpaY
千砂都「すみれちゃん」


千砂都「ありがとう……」
 
177: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:32:10.39 ID:wxPSBpaY
すみれちゃんが去ってから、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。


千砂都「あーあ…………」


完全に嫌われちゃった。

見たことのない、すみれちゃんの厳しい目つき。

永遠に私を軽蔑し続ける、そういう目だった。

もうまともに口きいてくれないよね。


でも。


千砂都「良かったね。かのんちゃん」


これですみれちゃんと結ばれたよ。

大好きな人と幸せになってね。

良かったんだ。これで。


千砂都「はぁ……」


身体に疲労感がどっと押し寄せる。

硬直した私の表情が解けていく。

うまくやれたよね、私。


ねぇ、かのんちゃん。

なんですみれちゃんを好きになっちゃったの?


仕方ないか。

すみれちゃんだもんね。
 
178: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:35:55.55 ID:wxPSBpaY
千砂都「ぅ……」ジュン


千砂都「う、あ……く……」ポロッ


千砂都「う……うぐ……ひっぐ……」ポロポロ


涙が止めどなく溢れる。

全身の力が抜けて、その場にへたり込む。


千砂都「ごめんね、すみれちゃん……」ポロポロ

千砂都「ひどいことして……ひぐ、本当にごめんね……」ポロポロ

千砂都「うぐ……うわああああ……ずびれちゃん………」ポロポロ

千砂都「ふぇぇん……ぐすっ……ごめんなざいいいいいい」ポロポロ


感情が破裂する。

私の心はとっくに限界を迎えていたんだ。


千砂都「本当は……食べたかった……!」ポロポロ

千砂都「本当は、クッキー……食べたかったよおおおおおお……」ポロポロ


後悔なんてできないはずなのに。

それでも記憶に縋り付くしかなくて。


この夜は、声が枯れるまで、子どもみたいに泣き続けた。
 
180: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:41:18.49 ID:wxPSBpaY
屋上

すみれ「かのん……」

かのん「すみれちゃん……!!」


俯きながら私を待ってくれていたかのん。

振り返り、こちらへ駆け寄ってくる。

そんな安心したような顔しちゃって。


すみれ「待たせちゃったわね」

かのん「ううん、来てくれてありがとう」


かのん「あれ……」

かのん「すみれちゃん、もしかして泣いてた……?」

すみれ「泣いてないわよ」

かのん「そっか」


そういうところは妙に鋭いんだから。

本当は今だって、この場で泣き出したいくらいよ。


すみれ「先に謝っておくわ」

すみれ「最近、アンタのこと避けてて悪かったわね」

かのん「え、どこが?」

かのん「そうなの、全然思わなかったよ!」

すみれ「なんていうか、アンタと2人きりだと照れちゃって……」

すみれ「悪気はなかったのよ、ごめんね」

かのん「そ、そっか……」

かのん「そうだったんだね!」エヘヘ


すみれ「それで、話って?」

かのん「あ、うん……」

かのん「実はね、私……すみれちゃんのこと……」


かのんの告白が始まる。

かのんは飾らない言葉で、私への気持ちを必死に伝えようとしてくれていた。

そうして紡がれる言葉の数々は、とても甘いもののはずなのに。

今の私にはたった一つも刺さらず、空虚な心をただすり抜けていくだけだった。



おわり
 
184: (もんじゃ) 2023/04/14(金) 22:45:30.52 ID:wxPSBpaY
かのちさすみ大好きなので、また何か書いた時はよろしくお願いします。

過去作紹介
・歩夢「せつ菜ちゃんとエ チしちゃった」
・愛「恋バナしようよ!」 せつ菜・かすみ・しずく「!?」
・果林「セ   しないと出られない部屋?」 かすみ「ぇ……」

お読みいただきありがとうございました。
 
182: (たこやき) 2023/04/14(金) 22:43:56.39 ID:g0Dtvv8P
ここで終わるのかよおおおお🤯
乙でした😭😭😭😭
 
181: (とばーがー) 2023/04/14(金) 22:43:23.55 ID:rdjC1kwI
どえらい名作や
 
185: (やわらか銀行) 2023/04/14(金) 22:45:48.10 ID:BODncv8p
形だけはハッピーエンドな形なのが切ない
 
186: (SB-iPhone) 2023/04/14(金) 22:48:40.87 ID:gZfHNP7n
面白かった
 
187: (ささかまぼこ) 2023/04/14(金) 22:50:01.25 ID:S3KC7cnu
ちぃもすみれ好きだったんか、、
 
188: (しうまい) 2023/04/14(金) 22:50:36.52 ID:xI2Ot5lp
悲しい😢
 
201: (たまごやき) 2023/04/15(土) 00:51:21.46 ID:7LUeKLrq
乙デス
かのんもそのうち気付いちゃうんだろうな
 
202: (もも) 2023/04/15(土) 01:05:34.77 ID:aq2DWuOh
これはいいss
 
204: (もんじゃ) 2023/04/15(土) 02:10:34.92 ID:kRYgBtY4
良かった
 
212: (SB-Android) 2023/04/16(日) 04:10:48.54 ID:4ziMhGnS
クゥレンが気になる
 
209: (もんじゃ) 2023/04/15(土) 23:08:06.79 ID:pkxsLo2l
とんでもねぇ名作に出会っちまったぜ
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1681028673/

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