歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」【長編SS】【スクスタ】

AqoursーSS


277: 2017/12/31(日) 20:35:47 ID:OhN8Qxo.


      Chapter2

Spiteful Trapper (非)日常編

278: 2017/12/31(日) 20:36:17 ID:OhN8Qxo.
────食堂

歩夢「おはようございます」

せつ菜「……あんまり人がいませんね」

果林「そうね。あんなことがあったばかりだし……」

歩夢(起きてこない人、起きているけれど部屋から出たがらない人……。食堂は、普段と比べて静かだった)

梨子「あの……一応、来てないみんなに朝食を届けて来ようと思うんだけど」

しずく「あ、手伝います!」

果林「私も食べ終えたら手伝うわ。結構な数だし」

梨子「あ、いいんですいいんです。まだ食べてる人に急かすような真似は……」

果林「そう? じゃあお言葉に甘えて。歩夢ちゃんたちも早くいらっしゃい、みそ汁が冷めるわよ」

せつ菜「みそ汁? パンじゃないんですね」

梨子「ええ。一応パンもあるけど、和食にしたの」

歩夢(なんで……訊ねる前に、不服そうな顔を浮かべる“彼女”の姿が目に入った)

279: 2017/12/31(日) 20:36:58 ID:OhN8Qxo.
かすみ「まったく、パン屋業界の危機ですよ」プンスカ

曜「危機だかWikiだか知らないけど、よく顔を出せたよね」モグモグ

かすみ「だってかすみん食事係ですし~? 果林先輩たちに外されましたけど」

歩夢(その場にいたみんなが、曜ちゃんみたいに冷たい視線を“彼女”へ向ける)

歩夢(中須かすみちゃん。〇し合いをゲームのように楽しみ、事件をわざと起こさせた張本人)

曜「誰かさんが余計なことをしなけりゃ、ルビィちゃんも善子ちゃんも死ななかったのにね。ごちそうさまでした」

かすみ「別に私が行動しなくたって……おっと失礼。ところで曜先輩、ご飯3杯は食べすぎじゃないですか?」

曜「誰かさんのせいでね。やけ食いになっちゃった」

果南「……私はあまり食欲湧かないんだけど」オハヨー

曜「梨子ちゃんしずくちゃん、私も運ぶよ。誰かさんと同じ部屋にいたくないし」

梨子「え、あ、うん……」

かすみ「さっきから誰かさん誰かさんって、誰のことなんでしょうね?」

せつ菜「あなた以外に誰がいるのですか……」ハァ

280: 2017/12/31(日) 20:37:28 ID:OhN8Qxo.
歩夢(結局。正午を過ぎても、何人かは食堂に姿を見せなかった)

果林「……まあ、仕方ないわね」

鞠莉「あんなことの後じゃあ、ねえ……」

しずく「ダイヤさんはしばらく1人でいたいそうですし、花丸さんも見張りの件で責任感じちゃってるみたいです……」

璃奈「彼方ちゃんもずっと部屋に引き籠ってた(>_<。)」

梨子「3人とも朝食に手をつけてないから、ちょっと心配ね……」

せつ菜「死んでは……いないんですよね?」

果南「大丈夫、生きてるよ」

愛「かっすんもいないけど……まあいいよね?」

千歌「かすみちゃんは……いたら、なんだかフインキ悪くなりそうだし」

エマ「あれ、フンイキじゃなかったっけ?」

果林「フンイキで合ってるわよ。それでエマちゃん、昨日何か見つけたって言ってたけど……」

エマ「あ、はい。実は昨日……」

281: 2017/12/31(日) 20:38:00 ID:OhN8Qxo.
────校舎1階、2階への階段前

歩夢(エマちゃんの発見は、この学園生活に大きな変化をもたらすものだった)

歩夢「本当だ……シャッター、上がってる」

千歌「上、行ってもいいんだよね?」

エマ「だと思うよ。校則には『この学園について調べるのは自由』って書いてたし……」

鞠莉「じゃあ、何組かに分かれて探索といきましょうか」

梨子「あ、私はお昼ご飯作って来ます。ダイヤさんたちの分も用意しないといけないし」

果林「じゃあ私も、誰か来てるかも知れないから一旦食堂に戻るわね。昼食のあと情報交換にしましょう」

愛「うぃっす、任せたよー」

せつ菜「行きましょうか、歩夢」

歩夢「うん」

歩夢(脱出への手掛かりが見つかる。そのことを願って──)

歩夢(私たちは、2階へと足を踏み入れた)

282: 2017/12/31(日) 20:38:55 ID:OhN8Qxo.
────校舎2階

せつ菜「見てください歩夢。電子生徒手帳のマップが……」

歩夢「そう、みたいだね」

歩夢(2階が開放されたからなのだろう。マップに新しく、2階のページが表示された)

no title


歩夢「プールに図書室、理科室と教室か……」

せつ菜「男子用のもありますね……私たち、女子しかいませんが」

モノっちー「まあ、学校である以上は教職員用って必要だしネ」

歩夢「ひゃぁ!?」

モノっちー「そんなに驚かなくってもいいのに~。どう、2階は気に入ってくれたかな?」

せつ菜「気に入るも何も、まだ探索が済んでませんし……そもそも、私たちはここから出る手掛かりを探してるんです!」

モノっちー「うけけけけけ……まあ、精々頑張ることだネ」

歩夢「……行っちゃった」

283: 2017/12/31(日) 20:39:32 ID:OhN8Qxo.
────女子更衣室

鞠莉「Hi♪」

果南「やっほ、2人とも!」

歩夢「果南さん、その恰好は……」

せつ菜「ダイバースーツ……?」

果南「だってプールだよ!? 淡水だけど泳げるんだよ!? 潜れるんだよ!?」

鞠莉「奥にスクール水着とダイバースーツ一式があったわ。多分、みんなにあったサイズがあるんじゃないかしら」

果南「ここから出れば近くに海はあるっちゃあるけど……あそこは汚いしねえ」

モノっちー「まあ、お台場の海はとてもじゃないけど泳げたもんじゃないよネ。ボクも内浦にいた頃が懐かしいよ」

せつ菜「……また出た」

モノっちー「オマエらに一応、プールの説明をしておいた方がいいと思ってネ。とりあえず、電子生徒手帳の校則一覧を見て欲しいんだけどさ」

284: 2017/12/31(日) 20:40:14 ID:OhN8Qxo.
~校則~

10.夜時間のプールの遊泳は禁止とします。

モノっちー「水の管理とか色々あるからネ。更衣室やプールサイドに立ち入るのは自由だけど、水の中に入っちゃダメだよ?」

鞠莉「ナイトプールみたいなのはNGってことね。分かったわ」

モノっちー「あーそれと。更衣室は男女に分かれてるけど、ぶっちゃけこの学園に男子も女装男子も男の娘もいないから自由にしちゃって構わないよ」

せつ菜「男の娘……?」

モノっちー「それに、更衣室の出入りに電子生徒手帳が必要とかもないよ。とりあえず遊泳だけはダメ、覚えといてネ!」

果南「あー……なんかテンション削がれたけど。まあいいや、私はひと潜りしてくる!」

鞠莉「いってらっしゃい、私は他の探索を続けるわ。じゃあね~」

せつ菜「……歩夢、男の娘ってなんでしょう?」

歩夢「多分、せつ菜ちゃんは知らなくていいと思う……」

285: 2017/12/31(日) 20:41:19 ID:OhN8Qxo.
────理科室

かすみ「げっ」

せつ菜「……先に来てたんですね」

かすみ「ええ。2人も2階の探索ですか~?」

歩夢「……」

かすみ「しかしまあ、〇そうとした人と〇されかけた人。よく一緒にいれたものですね~」

かすみ「曜先輩はあんなこと言ってましたけど……私がいなくたって、〇し合いを起こそうとしてた人が目の前にいたんですよ?」クスクスクス

せつ菜「──ッ!」

歩夢「せつ菜ちゃん、落ち着いて!」

歩夢(思わずかすみちゃんに掴みかかろうとしたせつ菜ちゃんを、反射的に抑える)

歩夢(私を絞めたあの時とは違う……せつ菜ちゃんの行動に“迷い”が見えない。放っておいたら……悪い予感がした)

286: 2017/12/31(日) 20:41:56 ID:OhN8Qxo.
かすみ「じゃあ私はこれで失礼しますね。歩夢先輩、せつ菜セ・ン・パ・イ?」

タッタッタッ

せつ菜「……」

歩夢「人のことを悪くは言いたくないけど……かすみちゃんの話は真面目に聞いちゃダメ、だよ」

せつ菜「……」

せつ菜「そう、ですね……」

歩夢(昨日の学級裁判で、鞠莉さんが話した“生年月日”の話題……)

歩夢(あれ以来、かすみちゃんは年上の人に対して先輩呼びをするようになった)

歩夢(まだ生年が分からない人がいるけれど、きっとその人たちも年齢が判明すれば、かすみちゃんは先輩呼びするのだろう)

歩夢「……」ハァ

歩夢(特に手掛かりのなかった理科室を調べ終えて、私はため息をついた)

287: 2017/12/31(日) 20:42:31 ID:OhN8Qxo.
────図書室

愛「やっほー」

璃奈「……(・v・)」

せつ菜「本棚、多いですね……ぎっしり詰まってる」

愛「もしかしたらマルっちの書いた本が見つかるかもね。漫画はなさそうだけど……」

璃奈「図書室って、漫画はないと思うけど(・v・)」

愛「ほらこう……海賊王の冒険とか、願いを叶える七つのボールを集めるのとか、それ以外だとトラブルだらけの恋愛モノとか、真実はいつも一つな探偵とか……」

歩夢「こ、これ以上は危ない話になる気がするから一旦よそう!?」

せつ菜「見てください歩夢、こっちの棚にいっぱいライトノベルがあります! 可愛くないツンデレ妹モノやゼロから始める異世界転生モノ、ああ、魔法少女モノまで……」

歩夢「危ない話はよそうって言ったよね!?」

璃奈「……ところで。これ、何(・v・)?」

288: 2017/12/31(日) 20:43:10 ID:OhN8Qxo.
愛「ん、どしたのりなりー」

歩夢「ノートパソコン……?」

カチッ カチッ

せつ菜「……電源、つきませんね」

愛「あーこれ、バッテリーがついてないや」

璃奈「探さないといけないね(>_<。)」

歩夢「多分、この部屋にあると思うけ──」

バァン!

歩夢「──ど?」

せつ菜「……しずくさん?」

しずく「……っ」

ダッ!

愛「……隣の部屋から出て来たよね? というか、何か持ってなかった?」

289: 2017/12/31(日) 20:43:47 ID:OhN8Qxo.
────書庫

歩夢(図書室の奥にある小部屋は、図書室よりも本やファイルなんかの密度がびっしりで)

歩夢(その中央で、エマちゃんがあたふたしていた)

エマ「しずくちゃん、急に逃げるように……私、何か悪いことしちゃったのかな?」

エマ「うぅ……みんなと打ち解けようって、喋り方を変えたのがマズかったのでしょうか……」

愛「いや、言いながら戻さなくていいからね!?」

エマ「でも……」

せつ菜「この辺り、ファイルが落ちてますけど……しずくさんが持っていたのも、こんなものでしたよね?」

エマ「しずくちゃん、何か読んでたみたいで……」

璃奈「じゃあ、そのファイルの中に……何か、悪いものでも見ちゃったのかもね(>_<。)」

歩夢「悪いもの、って?」

璃奈「……人には人の秘密がある。多分、エマさんは悪くないよ(>_<。)」

エマ「だといいんだけど……仲直り、出来るかなあ」

愛「大丈夫大丈夫。今度、愛さんが仲直りのコツを教えて進ぜよう!」エヘン

290: 2017/12/31(日) 20:44:18 ID:OhN8Qxo.
エマ「あ……ありがとう、愛さん!」

愛「愛ちゃんでいいよ?」

エマ「でも、自分のことを愛さんって……」

璃奈「愛ちゃんは、呼ばれるなら愛ちゃんがいいらしい……私、何度も言われた(・v・)」

エマ「じゃあ、愛ちゃん」

愛「よろしい!」

せつ菜「……みんな、少しずつでも仲良くなる努力をしてるみたいですね」

歩夢「……うん」

歩夢(それにしても、一体なんのファイルだったんだろう)

歩夢(落ちてるファイルはどれも『未解決事件・ケース〇〇』と書かれたものばっかり……)

歩夢(……まさか、ね?)

291: 2017/12/31(日) 20:45:04 ID:OhN8Qxo.
────3階へ続く階段前

千歌「2階の窓も全部ダメ。こっちはシャッター閉まってるし、なんなの!」

歩夢「怒らなくても……」

千歌「たまにはお日様に当たりたいの! ずっとこの学園に閉じ込められたままだから、どうにかなっちゃいそうだよ!」

せつ菜「教室の窓も全部ダメだったのですか?」

千歌「そうだよ。手掛かりも全然見つからなかったし……」

千歌「あーもう、シャッター開けーーーー!!!!」

せつ菜「……開けゴマ、とはいきませんね」

千歌「ぐぬぬぬぬ……叫んだらお腹すいてきちゃった」

歩夢「とりあえず、一通り調べ終わったみたいだし……一旦戻ろっか」

せつ菜「それにしても、何階まであるのでしょうか……」

292: 2017/12/31(日) 20:45:49 ID:OhN8Qxo.
────夜、歩夢の部屋

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『また、本日校則を一つ追加致しました。夜時間でのプールの遊泳も禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン

293: 2017/12/31(日) 20:46:34 ID:OhN8Qxo.
歩夢(結局、今日は彼方ちゃんたちが姿を見せることはなくて)

歩夢(それどころか、梨子ちゃんが何かを見つけたみたいで部屋に籠ってしまった)

歩夢(お陰で、せつ菜ちゃんが張り切って料理を作ってくれたけど……)

歩夢「せつ菜ちゃん、料理苦手だったんだ……」

歩夢(見た目はともかく、味の感想は……。梨子ちゃんの復帰が待たれる、としか言いようがない)

歩夢「明日には仕上げるから、って言ってたけど……何のことなんだろう」

歩夢「……」ハァ

歩夢(ここに来てから、一生分のため息をついた気がする)

歩夢(不安や疑念から来るそれは、まだまだ増えるような気がして……)

歩夢(もう一度、ため息をついた)

294: 2017/12/31(日) 20:47:36 ID:OhN8Qxo.
~モノっちー劇場~

お花見、海水浴、焼き芋、雪だるま……。

漫画やアニメ、小説に映画……それらに限ったことじゃないけど、季節ネタってどこにでもあるよネ。

お盆の時期にクリスマスの作品はどうしても場違いになるし、雪の季節に梅雨のネタなんて……って、違和感を覚えちゃうよネ。

でもそれは、季節の変化を感じられる世界だから使えるんだ。

窓の外の景色や気温で「ああ、季節が変わったんだな」と感じられる世界だからこそなんだ。

……つまり何が言いたいかって?

オマエら、よいお年を!

296: 2018/02/12(月) 01:25:48 ID:5cc4H.Jw
────学園生活7日目

歩夢(モノっちーのアナウンスで目が覚めて、食堂に向かう支度をする)

歩夢(習慣化してしまった生活に、軽く嫌気がさしていた)

ピンポーン

歩夢「……?」

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

歩夢「はーい、誰でs……」

ガチャリ

彼方「ぐんもーにん歩夢~! 朝食が出来たから呼びに来たぞ~!」

歩夢「か、彼方ちゃん?」

彼方「彼方ちゃんですよ~? ほら、早く支度をしろ~!」

歩夢(なんだろう、機嫌がいいのかな?)

歩夢「……凄く、ハイテンション」

297: 2018/02/12(月) 01:26:46 ID:5cc4H.Jw
────食堂

歩夢「おぉー……」

せつ菜「凄い量……」

歩夢(テーブルに並べられた食事は、昨日までのものとは明らかに違った)

曜「いただきます」

彼方「どうぞどうぞ、召し上がれ~」

鞠莉「ん~~っ、It’s delicious! まさかウチ以外で朝からクラムチャウダーを食べられるなんて!」

果林「このオムレツも、トマトの酸味と卵のコクが混ざって……今まで食べたことない味だわ」

かすみ「……おにぎりは専門外ですけど、なんだか負けた気分」モグモグ

せつ菜「今度、彼方さんにお料理を教わらなきゃ……」

歩夢(次々とあがる称賛の声。昨日の夕食が“アレ”だったことを加味しなくても、この学園に来てから一番美味しい食事だ)

298: 2018/02/12(月) 01:27:20 ID:5cc4H.Jw
千歌「これ全部彼方ちゃんが作ったの?」

彼方「そうだよ~。私は残りのみんなを呼んで来るから、しっかり味わいたまえ~」

タッタッタッ

かすみ「それにしても……急に元気になりましたね、彼方先輩」モグモグ

エマ「元気なのはいい事、です」モグモグ

曜「しかもこんなに美味しいご飯作れるなんて……ゴクン あ、おかわり欲しいんだけど……」

果南「炊飯器なら厨房に……ってもう2杯目!?」

果林「曜ちゃん、まだ来てない子たちの分も残しておかないとダメよ?」

歩夢(数分後、彼方ちゃんに連れられて愛ちゃんが。その後ろから、元気の無さそうな花丸ちゃんとしずくちゃんが)

歩夢(程なくして、ボサボサ髪で、一睡もしていないであろうダイヤさんが食堂に現れた)

299: 2018/02/12(月) 01:28:03 ID:5cc4H.Jw
愛「りこっぴーとりなりーはもうすぐ来るってさ。それより、マルっちから何か話があるみたいだよ?」トンッ

花丸「え、あっ……」

愛「大丈夫だって。ほら」

花丸「……」

花丸「みんな、ごめんなさいずら」

一同「……」

花丸「ルビィちゃんの事件は、全部マルのせいずら。マルがしっかりしていれば、ルビィちゃんは……」

ダイヤ「花丸さん……。その、あなただけの責任じゃなくて……」

花丸「でも! 見張りを怠らなければ……っ!」

ダイヤ「……」

歩夢(苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるダイヤさん。事件に関与していたとはいえ、どうしても割り切れない部分があるのだろう)

歩夢(一方の花丸ちゃんは責任を強く感じすぎている。「でも」の一言で、全てを自分で背負い込もうとしている)

歩夢(なんとかしなきゃ、そう思った時)


「花丸ちゃんのせいじゃないよ」

300: 2018/02/12(月) 01:28:46 ID:5cc4H.Jw
花丸「えっ……?」

歩夢「嘘……」

ダイヤ「ル……ルビィ……?」

歩夢(みんなの表情が、幽霊を見たようなものに変わる)

歩夢(だって。“死んだ筈のルビィちゃんがそこに立っていた”んだから)

ルビィ?「花丸ちゃんも、お姉ちゃんも悪くない」

ルビィ?「だからね、二人が背負い込む必要はないんだよ」

ルビィ?「二人が悪いなら、包丁を持ち出した私はもっと悪いことになっちゃうワケだし……」

301: 2018/02/12(月) 01:29:28 ID:5cc4H.Jw
ルビィ?「……どう、上手く真似出来た?」

曜「あれ、この声って……」

愛「そ。りなりーだよ♪」

璃奈「……うん」

歩夢(いつの間にか、目の前にいる少女が璃奈ちゃんの姿に変わっていた)

ダイヤ「っ……」

璃奈「騙すような真似しちゃってごめん。でもきっと、ルビィちゃんだったらこう言う(・v・)」

璃奈「二人があまりにも思い詰めているみたいだったから、何とかしてあげたくて……。そうしたら、愛ちゃんが嗅ぎつけてきて……(>_<。)」

花丸「……愛さん」

愛「だってさぁ、いつまでも引きずってちゃ前に進めないじゃん」

愛「自分のせいで自分のせいでって、突き詰めて行ったらキリがないの。やれマルっちが悪い、やれダイヤっちが悪い、かっすんが悪いって」

かすみ「なんで私の名前が出てくるんですか」

鞠莉「今回、明確に悪意を持っていたのはかすみだけだったからね~」

愛「いやいやマリー違うっしょ!? 確かにかっすんは悪いかも知れないけどさぁ、モノっちーがいなけりゃあんなことしなかったよね?」

302: 2018/02/12(月) 01:30:13 ID:5cc4H.Jw
ダイヤ「あっ……」

愛「悪意とか責任の所在とか、愛さんはまどろっこしいの嫌いなの! そんなの、モノっちーを倒して全部押し付ければいいんだよ」

愛「だからさ、せめてそれまでは前を向いて欲しい。後ろを向くのは、目の前の壁をぶっ壊してからじゃん?」

ダイヤ「愛、さん……」

花丸「……」

梨子「私も愛ちゃんの意見に賛成よ」

千歌「あれ、梨子ちゃん?」

歩夢(振り向くと、いかにも徹夜明けといった雰囲気の梨子ちゃんの姿があった)

せつ菜「昨日は何をしていたのですか?」

梨子「ダイヤさんと花丸ちゃんに、渡したいものがあったの」スッ

303: 2018/02/12(月) 01:30:50 ID:5cc4H.Jw
ダイヤ「絵……ですか?」

梨子「校舎1階の倉庫に使い慣れたものと同じ画材が揃ってたから、落ち込んでる二人のために、ってね」

歩夢(片や、花丸ちゃんとルビィちゃんが、食堂で仲良くお喋りしていた風景を切り取って)

歩夢(片や、ダイヤさんとルビィちゃん、そして善子ちゃんの、あったかも知れない三姉妹の日常)

歩夢(それは、見事なまでの水彩画だった)

梨子「お陰で、寝不足になっちゃった。背景の描きこみが甘いから、必要なら足してもいいけど……」

花丸「いらない。これで、いいずら。これで……」

ダイヤ「ありがとうございます、梨子さん……」

グゥゥゥゥ~~~ッ

花丸「あっ……」

ダイヤ「……一昨日から、あまり物を食べていませんでしたわね」

304: 2018/02/12(月) 01:31:21 ID:5cc4H.Jw
千歌「ほらほら、一旦絵は横のテーブルに置いておくから二人とも座りたまえ~♪ 梨子ちゃんも!」

梨子「ちょっと、押さないでよ千歌ちゃん」

曜「彼方ちゃんの作ってくれたご飯、とっても美味しいよ!」

エマ「こういうのを、花より団子と言うのでしょうか?」

せつ菜「多分、違うと思います」

歩夢(感動ムードは、二人の空腹を訴える音でかき消された。けれども、このくらいが私たちにはちょうどいいのかも知れない)

歩夢(ぶつかったりもするけれど、笑い合って、たまにふざけて。きっとみんなも、ルビィちゃんと善子ちゃんも、そんな生活を望んでいた筈だから)

歩夢(愛ちゃんたちの言うとおりだ。モノっちーをどうにかして、この学園から脱出するまでは前を向く)

歩夢(決意を新たに、私たちは彼方ちゃんの朝食に舌鼓を打った)

305: 2018/02/12(月) 01:32:02 ID:5cc4H.Jw


しずく「……」

かすみ「……♪」

306: 2018/02/12(月) 01:32:58 ID:5cc4H.Jw
────20時頃、大浴場

かすみ「……で、何人か来てませんけど~? しずくさんとか」

千歌「ええっと……参ったね」

ダイヤ「彼方さんもダメでした。鞠莉さんに至っては……どこにいるのでしょう」

愛「りなりーもだよ。やっぱり、どうしても抵抗があるってさ」

せつ菜「仕方ありませんね……とりあえず、私たちは先に入りましょうか。あまり待ちすぎると夜時間になっちゃいますし」

歩夢「そうだね……」

歩夢(今ここにいるのは、鞠莉さん、しずくちゃん、璃奈ちゃん、そして彼方ちゃんを除く全員)

歩夢(どういう経緯でこうなったのか……それは、夕食中の話にさかのぼる)

307: 2018/02/12(月) 01:33:31 ID:5cc4H.Jw
───
──


千歌『温泉だよ!』ガタッ

歩夢『えっ?』

果南『ちょっと千歌、急に立ち上がってどうしたの』

千歌『だから温泉だって!』

果林『ここには温泉なんてないわよ? 大浴場のことを言ってるのかしら』

千歌『あーもう。だったら大浴場!』

愛『だから、それがなんなのさ?』

千歌『分からないかな~。みんなのシンボクを深めるために、一緒にお風呂に入ろうって話なの!』

しずく『一緒に……ですか』

308: 2018/02/12(月) 01:34:26 ID:5cc4H.Jw
ダイヤ『確かに、アイデアとしては悪くありませんわね。私たちはまだお互いの素性を分かり合えたワケではありませんから、腹を割って話しやすい場を設けるのは──』

かすみ『現に、しっかり話をしなかったお陰で黒澤さんたちは……』クスクス

ダイヤ『ッ……』

鞠莉『ダイヤ、落ち着きなさい』

ダイヤ『……オホン、失礼。つまり、今後団結してモノっちーに立ち向かうためにも、一度裸の付き合いを挟もうというワケですね』

せつ菜『裸の……って、なんだかいやらしい言い方ですが』

千歌『別にそこまでは言ってないけど……でも、どうかな? 歩夢ちゃんとか』

歩夢『えっ、何で私!?』

千歌『向かいの席にいたからだよ♪ で、どう?』

歩夢『んー……私は賛成だよ。別に否定する理由もないし』

千歌『よし、じゃあ今夜8時に大浴場前に集合ってことで!』

309: 2018/02/12(月) 01:35:17 ID:5cc4H.Jw
彼方『んあー。ごめん、パスでいいかな?』

千歌『……へっ?』

彼方『りこっぴーが倉庫で見つけてくれた枕がじゃすとふぃっとしてさ~。彼方ちゃんはそろそろおやすみしたい気分なのだ』

千歌『そんなぁ……。じゃ、じゃあ明日はどうなの!? 明日もやる予定だけど!』

しずく『え、明日もやるんですか……?』

彼方『ごめんねぇ。彼方ちゃん、湯舟に浸かるとすぐに寝ちゃいそうだし……シャワーは浴びるから……じゃあねぇ』ウツラウツラ

しずく『ごめんなさい、私もちょっと……あ、ごちそうさまでした!』タッタッタッ

エマ『しずく、さ……行っちゃった』

璃奈『……ごめん。素顔、見せるの恥ずかしいから(>_<。)』トテトテトテ

愛『え、ちょっとりなりー!?』ダッ

310: 2018/02/12(月) 01:35:51 ID:5cc4H.Jw
千歌『……』

花丸『とりあえず、残った人たちだけでも集まるずら?』

千歌『そう、だね』アハハ……


歩夢(そんなこんなで、大浴場に足を踏み入れる)

歩夢「そういえば、まだ入ったことなかったっけ……って、えっ?」

果南「鞠莉!?」

鞠莉「Hi♪」カタカタ

エマ「鞠莉さん、それは一体……?」

鞠莉「見て分からないの? ノートパソコンだけど」カチッ カチッ

歩夢(部屋にいなかった鞠莉さんは、脱衣所の隅にあるマッサージチェアに座り、真剣な顔でノートパソコンをいじっていた)

311: 2018/02/12(月) 01:36:24 ID:5cc4H.Jw
せつ菜「確か、図書室にあったものですよね?」

愛「ああ、バッテリー見つかったんだ」

鞠莉「倉庫を漁ったらね。画材や枕があるくらいだし、あってもおかしくないでしょう?」カタカタ 

かすみ「ネットには繋がってるんですか~?」

鞠莉「答えはNo……っと。一旦休憩にしましょうか」フゥ

曜「何か見つかったの? というか、なんでこんなところで……?」

鞠莉「その辺もお風呂に入りながら説明しましょう」

312: 2018/02/12(月) 01:36:56 ID:5cc4H.Jw
チャポーン

果林「ん~~~~っ」ノビー

花丸「いい湯ずら~」ポケー

エマ「日本のお風呂……いいものです……」ノホホーン

鞠莉「んー……上物揃いだけど、特に果林たちはいいモノ持ってるわね」

果南「セクハラ禁止!」パシン

鞠莉「ouch!」

歩夢「それで、話をするって言ってましたけど……」

千歌「そうそう、ずっとそれ気になってるんだけど!」

313: 2018/02/12(月) 01:37:33 ID:5cc4H.Jw
鞠莉「みんなは気づいたかしら? 他の部屋とここには、決定的な違いがあるのよ」

曜「決定的な違い……?」

果林「監視カメラがないこと、かしら」

歩夢「言われてみれば……!」

鞠莉「Yes! 脱衣所、バスルーム、サウナ。放送を伝えるモニターはあるけど、監視カメラはここにはないのよ」

愛「んー……監視カメラがないと何なの?」

梨子「言い換えれば、モノっちーの監視が届かない場所。モノっちーに聞かれるとマズいことを話すには、うってつけね」

鞠莉「そういうこと~」グッ

かすみ「ってことはモノっちーにすら犯人の分からない〇人も……」ブツブツ

314: 2018/02/12(月) 01:38:40 ID:5cc4H.Jw
果林「何をボソボソ呟いてるのかしら~?」ニッコリ

かすみ「か、果林先輩……?」

果林「あなたには一度お灸を据えた方がいいと思うのよね~」ワシワシ

かすみ「ギャァァァァァッ!? どこ触って、というかどこ揉んでるんですか!?」

かすみ「は、破廉恥案件ですよ! ダイヤ先輩あたりがこんなの見たら……」

ダイヤ「続けなさい、果林さん」

かすみ「にぎゃああああああああああ!?」

エマ「かすみちゃん、お風呂で暴れるのはマナー違反だよ?」

花丸「諸行無常……いや、自業自得ずら」
───
──

315: 2018/02/12(月) 01:39:18 ID:5cc4H.Jw
────夜、歩夢の部屋

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『また、本日校則を一つ追加致しました。夜時間でのプールの遊泳も禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン


鞠莉『パソコンのデータはまだまだ解析中よ。モノっちーにバレないためにここで作業してるけど……ロックが多すぎて疲れるわ』

歩夢「あんなこと言ってたけど……鞠莉さん、大丈夫かなあ」

歩夢(それに、姿を見せなかった残りの3人も心配だ)

歩夢(彼方ちゃんと璃奈ちゃんは、一応理由としては通っているけど……)

歩夢(しずくちゃんに至っては、図書室の一件から様子がおかしい)

歩夢「こんな状態で団結……出来るのかなあ」

歩夢(ちょっとだけ、不安になった)

316: 2018/02/12(月) 01:39:48 ID:5cc4H.Jw
~モノっちー劇場~

バケモノから逃げながらクリアを目指す脱出ゲームって、よくあるよネ。

青い鬼の住む館だったり、魔女の住む家だったりさ。

ボクはいつも思うんだよ。なんでこういうゲームの主人公たちは机の上や机の下を通らないんだろうって。

大抵のバケモノって机を迂回しないといけないくらいに大きかったり飛べなかったりするから、机を上手く活用すれば簡単に逃げ切れるんじゃないかなって。

だからね、ボクはお友達を集めて脱出ゲームごっこをやったんだよ。

大きな机の上を土足で歩いて、勝った気でいたんだよ。

巨人もびっくりのちゃぶ台返しを食らってようやく気付いたんだ。

結局、死ぬ時は死ぬんだなあって。

317: 2018/02/12(月) 01:40:18 ID:5cc4H.Jw
────学園生活8日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

モノっちー『それから、今日は全校集会があります。オマエら、午前10時に体育館に集まってください』

プツン


歩夢(全校集会……前回のことを考えると、イヤな予感しかしない。でも……)

歩夢「行かなきゃいけないんだろうな……」ハァ

318: 2018/02/12(月) 01:40:50 ID:5cc4H.Jw
────体育館

モノっちー「うけけけけけ……ちゃーんとみんな揃ってるネ」

かすみ「何を始めるつもりなんですか~?」

モノっちー「いやいや、大したことじゃないよ。オマエらが団結なんて醜いことをしようとしているから、“アレ”をやろうと思ってね」

曜「アレ、ってまさか……」

モノっちー「お待ちかね、動機発表ターイム! どんどんぱふぱふ~」

鞠莉「わー……」ボウヨミー

モノっちー「ちょっとオマエら、ノリが悪いよ! セイウチハートが傷ついたよ!」

319: 2018/02/12(月) 01:41:47 ID:5cc4H.Jw
ダイヤ「ですが、私たちはもうあなたには屈しません」

モノっちー「おろろ? どうしたの黒澤さん。妹さんの死体はとっくに片づけたけど……お別れは済ませた?」

ダイヤ「っ……あなたが何を言おうと、もう〇し合いなんて起こさない……そう言っているのです」

モノっちー「ふーん……正義感気取りだネ。昨日までのワタクシとは違いますって感じ!」

モノっちー「でもホントにいいのかな~?」



モノっちー「卒業した人には“一つだけ願いを叶える権利をあげる”のにさ」

320: 2018/02/12(月) 01:42:26 ID:5cc4H.Jw
歩夢「……」

モノっちー「そう、前回はオマエらの不安を煽る動機だったからネ。今回はご褒美をあげることにしたのです!」

モノっちー「〇害を実行した人は、ボクに願いを言ってください! 学級裁判で投票を乗り切ることが出来れば、卒業する時にそれを叶えてあげましょう」

果林「随分と安いエサで釣って来たのね」

モノっちー「うけけけけけ……安いエサだとしても、広範囲にばら撒けばサビキ釣りのごとく掛かる人が増えるんだよ」

モノっちー「死んだ人を蘇らせたい、あの人と仲直りをしたい、どうしようもないコンプレックスを治したい……」

モノっちー「コロシアイを終わらせたい、でもいいんだよ?」

せつ菜「なっ……!?」

321: 2018/02/12(月) 01:43:01 ID:5cc4H.Jw
モノっちー「本当だよ? コロシアイを終わらせたいって願いでも問題ありません」

モノっちー「その場合、クロが卒業したあと、残ったシロたちもオシオキすることなくこの学園から出してあげるよ」

エマ「でも……それは学級裁判が起きないといけないんですよね」

彼方「ってことは~……〇し合いを終わらせるためにも……」

モノっちー「誰か1人は必ず〇されなきゃいけないのですよ」

千歌「そんな……!」

モノっちー「じゃあ、そういうワケだから……せいぜい頑張ることだネ! うけけけけけ……」

「「……」」

歩夢(コロシアイを終わらせるためには、誰かが犠牲にならなきゃいけない)

歩夢(そうじゃなくても、強い願いを持った人が行動に出るかも知れない)

歩夢(何とも言えない空気の中、私たちはひとまず解散することになった)

322: 2018/02/12(月) 01:43:46 ID:5cc4H.Jw
────食堂

千歌「はい、これでアガリ!」

せつ菜「ぬおおおおおお……もう1回、もう1回です!」

曜「あはは……ん?」

花丸「どうかしたずら?」

曜「いや、何だろう……何か忘れていたような気がするんだけど……やっぱりいいや」

歩夢「あ、せつ菜ちゃんここにいた」

エマ「お邪魔しま~す」

323: 2018/02/12(月) 01:44:18 ID:5cc4H.Jw
せつ菜「あゆむぅ……」ダキッ

歩夢「わわっ、どうしたのせつ菜ちゃん」

せつ菜「千歌さんたちにUNOで全然勝てないんです……どうすればいいんでしょう」

千歌「せつ菜ちゃん、最初は調子良かったんだけどねー」

歩夢「ああー……アドバイスが欲しいなら、あげるけど……」

せつ菜「うぐぅ……言った手前なのですが、アドバイスまで行くと負けた気分です……」

エマ「ふふっ、大丈夫だよせつ菜ちゃん。私がなんとかしてあげる」

せつ菜「エマさんが?」

エマ「とりあえず飲み物入れてくるから、みんなはカードを配ってて」

花丸「分かったずら」

324: 2018/02/12(月) 01:45:06 ID:5cc4H.Jw
~数分後~

せつ菜「アガリです! やった、勝てました!」

歩夢「早っ!?」

曜「せつ菜ちゃん、同じ数字のカード多すぎじゃない!?」

エマ「ふふっ。あ、アガリ♪」

花丸「ずらっ!?」


~数十分後~

せつ菜「連戦連勝です!」

千歌「悔しい……こうなったら、ゲームを変えよう! 渡辺軍曹!」

曜「はっ! 私の部屋から持ってきたすごろくであります!」

花丸「今度は負けないずら!」

325: 2018/02/12(月) 01:45:54 ID:5cc4H.Jw
~1時間後~

せつ菜「ゴールです!」

千歌「何故だ、何故勝てない……」

曜「ズルとかしてないよね……?」

せつ菜「してませんよ!?」

花丸「でもこれは、イカサマを疑うレベルずら。それこそ、幸運でもなけりゃ……あっ」

エマ「ふふっ」

歩夢「もしかして、エマちゃんが……?」

326: 2018/02/12(月) 01:46:56 ID:5cc4H.Jw
エマ「うん。ちょっとだけ私の運を分けてあげたんだ」

花丸「そういえば、エマさんは超高校級の幸運だったずら……」

エマ「私ね、故郷のスイスでは8人兄妹だったんだ」

千歌「8人!?」

エマ「弟や妹たちとよく遊んだりするんだけど、昔からこういうゲームは必ず勝つから、つまんないって言われちゃってね」

エマ「でも、ある日気付いたの。私の運は、誰かに分けることが出来るんだって」

エマ「だから、みんなの運を均等にして、正々堂々勝負したり」

エマ「兄妹の誰かに大事なイベントがあったら、上手く行きますようにって大きく運を分けたり」

エマ「誰かが病気になっちゃったら、早く治りますようにって……」

327: 2018/02/12(月) 01:48:03 ID:5cc4H.Jw
歩夢「いいお姉さんなんだね」

エマ「そんな、いいお姉さんだなんて。私はただ、平和に暮らせればよかったんだ」

エマ「私が虹ヶ咲学園に選ばれた時は、家族みんながお祝いしてくれて……それなのに、こんなことに巻き込まれて、弟や妹は……」

歩夢(そっか。以前モノっちーが出した映像、エマちゃんのそれには……)

果林「あ、いたいた。歩夢ちゃんたち、ちょっと話があるんだけど」

エマ「っ……と、ごめんね、こんな話しちゃって。私、そろそろお部屋に戻るね」

曜「あっ、エマ、ちゃん……」

果林「……何かあったの?」

せつ菜「いや、そういうワケではないんですけど……」

果林「……そう。単刀直入に聞きたいんだけど、今後、見張りって必要かしら?」

328: 2018/02/12(月) 01:48:34 ID:5cc4H.Jw
歩夢「見張り……ですか」

果林「見張りってね、言い換えれば誰かを疑うってことなの。信じることが出来ないから、見張りをつける……そう思わないかしら」

千歌「確かに……それじゃあ団結とは言えないかも」

果林「それに……」チラッ

せつ菜「……分かっています」

果林「ならいいの。だから、ここ数日うやむやになっていた見張りを改めて廃止するかどうか、みんなの意見を聞きたいの」

曜「こういう言い方をされちゃ、ね……」

歩夢「うーん……」
───
──

329: 2018/02/12(月) 01:49:07 ID:5cc4H.Jw
キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン

歩夢(散々悩んだ末、私たちが出した結論は廃止だった。ある意味では、安全を放棄する愚策かもしれないけれど……)

歩夢「安全と信用って、両立出来ないのかな……」

330: 2018/02/12(月) 01:49:38 ID:5cc4H.Jw
~モノっちー劇場~

ある青年が、本屋で万引きをしたんだ。

でも、万引きを終えた後で、防犯カメラに映っているかも知れない……そう思ったんだよ。

実はそのお店には防犯カメラなんて設置されていなかったんだけどネ。

けれども、怖くなった青年は、店に放火をしたんだ。

結果、近隣住民から通報されて放火の罪で逮捕されるワケなんだけど、青年は心の底から思ったんだ。

良かった、万引きはバレていないからセーフだ、って。

めでたしめでたし。

331: 2018/02/12(月) 01:50:13 ID:5cc4H.Jw
────学園生活9日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

歩夢(いつの間にか、もうすぐここに来てから10日経つ)

歩夢(よく考えてみたら、警察はどうしているのだろう?)

歩夢(私たちが10日近く行方不明になっていることが知られれば、警察が動き始めてもおかしくはない筈だ)

歩夢(助けが来ると信じて、私は食堂に向かった)

332: 2018/02/12(月) 01:50:47 ID:5cc4H.Jw
────食堂

千歌「ごちそうさま! 今日も美味しかったよ彼方ちゃん!」

彼方「ふふん。そう言ってくれると、起きて頑張った甲斐がある」フンス

梨子「でも、本当にいいの? 食事係、全部代わってくれるなんて……」

彼方「彼方ちゃんの半分はお料理、もう半分は遥ちゃん、そして残りは睡眠で出来ているのです!」

璃奈「ハルカちゃん(・v・)?」

歩夢(そういえば、動機ビデオの時にも『ハルカちゃん』という名前が出ていたっけ)

彼方「近江遥、私の大切な妹だよ~」

ダイヤ「あなたにも、妹がいたのですね」

彼方「そうだよ~。寝ぼすけな私のお世話をしてくれたり、私の作ったご飯を美味しく食べてくれたり、可愛いんだよね~」

彼方「この料理も、遥ちゃんに喜んでもらうために腕を磨いたんだよ~」

歩夢「妹想いなんですね」

彼方「それほどでも~」

333: 2018/02/12(月) 01:51:33 ID:5cc4H.Jw
せつ菜「……今度、卵焼きの作り方を教えて貰ってもいいでしょうか」

果林「私もお願いしていいかしら」

彼方「んー……じゃあ、明日の朝食はみんなで作ろっか」

千歌「いいね! これこそ団結って感じだよ!」

鞠莉「かすみ? ヘンな調味料入れたりしたらダメよ?」

かすみ「……先に言わないでもらえますか」

愛「じゃあさ、団結ついでなんだけど……今日のお昼、みんなで泳がない?」

花丸「お風呂で泳ぐのはマナー違反ずら」

愛「お風呂じゃないよプールだよ! 競泳会を今日、ええかいってね!」

一同「「……」」

愛「……あれ?」

334: 2018/02/12(月) 01:52:10 ID:5cc4H.Jw
────プール

千歌「泳ぐぞーっ!」ドボーン

愛「うおおおおおおおおおっ!」ドボーン

果南「こら千歌と愛! ちゃんと準備運動しなきゃダメでしょ!」

果林「元気すぎるのも考え物ね」

歩夢(愛ちゃんの駄洒落に空気が凍ったりしたけれど、なんやかんやでみんなプールに来ていた)

歩夢(……やっぱり、欠席者はいるけれど)

せつ菜「しずくさんと彼方さん、今回も来ませんでしたね」

歩夢「うん。今回は鞠莉さんはいるし……」

璃奈「……何(・v・)?」

歩夢「璃奈ちゃんもいるけど」

335: 2018/02/12(月) 01:52:50 ID:5cc4H.Jw
せつ菜「でも、なんで男子更衣室を使ったんですか?」

璃奈「顔見られるの恥ずかしいし……でも、私だってみんなと仲良くしたいから(>_<。)」

璃奈「それに、男子更衣室を使っても問題ないんでs──」

愛「遅いぞりなりー、泳ぐよ!」グイッ

璃奈「え、あ、うわあああっ(?□!)」

タースーケーテー

せつ菜「……璃奈ちゃんボード、大丈夫なのでしょうか」

歩夢「防水加工らしいし……大丈夫なんじゃないかな?」

336: 2018/02/12(月) 01:53:23 ID:5cc4H.Jw
~2時間後~

曜「負けたーっ!」

愛「愛さんの勝ち~!」

曜「うーん……水泳は得意だった筈なんだけどなあ。しばらく泳いでなかったから体が鈍ったのかも」

鞠莉「鈍ったってレベルじゃないと思うけど?」

璃奈「明らかに水泳が苦手な人の動き……だった(・v・)」

かすみ「そういえば璃奈さんって、水泳が得意な人に変装すれば泳ぎが早くなったりするんですか~?」

璃奈「……しないよ。私が真似られるのは声と顔だけだって(`∧´)」

ダイヤ「皆さん、そろそろ上がりましょうか」

エマ「彼方ちゃんが夕食を作って待っているみたいだよ」

花丸「今日も楽しみずら」

337: 2018/02/12(月) 01:54:30 ID:5cc4H.Jw
────夜、図書室

歩夢「彼方さんも、行きたかったって言うくらいなら来ればよかったのに」

花丸「でも、男子更衣室に入ろうとした彼方ちゃんを璃奈ちゃんが見てたずらよ?」

果林「もしかしたら……ね。それより、鞠莉ちゃんとエマちゃんはまだなのかしら」

花丸「エマさんはともかくマルたちを集めた本人が遅刻とは……」

鞠莉「最初からいるわよ?」

歩夢「うわっ!? か、隠れてたんですか!?」

鞠莉「ちょっとしたsurpriseよ♪ それにしても、この部屋暑くないかしら」

花丸「オラはこのくらいでもいいけど……確かにちょっと暑いずら」

鞠莉「んー……まあいっか」

ガラッ

エマ「ごめんなさい、遅れました!」

果林「全員ね。それじゃ、始めましょうか……と言いたいところだけど」

338: 2018/02/12(月) 01:55:09 ID:5cc4H.Jw
鞠莉「何かしら?」

果林「あの件でしょう? なんであの場所で話をしなかったのかしら」

鞠莉「だって、モノっちーは最初から気づいていたもの」

エマ「えっ……?」

鞠莉「昨日作業している時にね、彼がやって来たのよ」

鞠莉「そのPCは、最初からオマエらに渡すつもりのヒントだったって。嘘は書いてないから安心しろ……ってことらしいわ」

歩夢「じゃあ、この中には……」

鞠莉「ええ、そうね」ピッ

歩夢(鞠莉さんは、PCの電源を入れる)

花丸「おお……これがぱそこん……」

歩夢(デスクトップにはアイコンが1つしかなく、中にあったのは3つのファイルだった)

339: 2018/02/12(月) 01:55:45 ID:5cc4H.Jw
鞠莉「これだけやって片方が多少見れるようになったくらい。いくら何でもパスワードロック掛けすぎで骨が折れるわ」プンスカ

歩夢「虹ヶ咲学園・極秘プロジェクト……?」

『虹ヶ咲学園は、更なる才能の獲得・育成に努めるべく、新たなプロジェクトに着手した』

歩夢(この一文から始まるレポートは、過去、虹ヶ咲学園が超高校級の才能を研究し続けて来たもののようだ)

歩夢(超高校級の医者や超高校級の弓道部など、本人の知識と技術を極めるもの)

歩夢(或いは、超高校級の占い師や、エマちゃんと同じく超高校級の幸運のように半ばオカルトじみたもの)

『そして、そ●らの才能を△繧ソべく、今回の喧望鐔�計画は� 鐚醐執鐚�……』

歩夢(そこで、読める文章はストップしていた)

340: 2018/02/12(月) 01:56:22 ID:5cc4H.Jw
鞠莉「もう少し頑張れば、修復出来そうな気がするんだけど……」

果林「ヒント、という割には随分と意地悪なことをするのね」

エマ「それより、残りの2つのファイルが気になるんだけど」

花丸「【持ち出し厳禁】と……」

歩夢「【虹ヶ咲学園生徒プロフィール】!? それって……」

歩夢(もしかしたら、忘れてしまった私と千歌ちゃんの才能もそこに……?)

歩夢「鞠莉さん。プロフィールのファイルって、開くのにどのくらい掛かりそうですか?」

鞠莉「分からないわ。少し触った感触だと、【虹ヶ咲学園・新プロジェクト】よりは時間が掛かりそうだけど」

鞠莉「でも、歩夢と千歌っちにとっては死活問題よね。分かった、頑張ってみるわ」

341: 2018/02/12(月) 01:57:00 ID:5cc4H.Jw
果林「それにしても鞠莉ちゃん、あなたプログラムも出来たのね」

エマ「私には何が起きているのかさっぱりです……」

花丸「オラも……」

鞠莉「まあ、将来は小原グループを担うことになるワケだからね。このくらいは出来なきゃ、小原家の恥よ」

果林「流石、超高校級の令嬢は言うことがちが──」

ガラッ

しずく「あっ……」

歩夢「しずくちゃん?」

歩夢(不意に開かれた、図書室の扉)

歩夢(そこに現れたしずくちゃんは、何かのファイルを持っていた)

342: 2018/02/12(月) 01:57:35 ID:5cc4H.Jw
しずく「あ、えっと……」

しずく「し、失礼しました!」ダッ

エマ「待って、しずくちゃん!」ダッ

果林「ちょっと、走ると危ないわよ!」

歩夢(何が起きたのか分からないけれど、ひとまずしずくちゃんとエマちゃんを追おうとして──)


バツン!


歩夢「えっ……!?」

歩夢(もっと、意味の分からないことが起きた)

343: 2018/02/12(月) 01:58:11 ID:5cc4H.Jw
鞠莉「停電!?」

果林「慌てないで、みんな今いる場所から動かない方が……」

花丸「うわあああっ!?」ドテーン

歩夢「花丸ちゃん、大丈夫!?」

花丸「大丈ぶっ!?」ゴチーン

鞠莉「大丈夫じゃなさそうね……」

歩夢(突然の出来事に慌てる私たち)

パッ

歩夢(けれども、ものの1分足らずで停電は収まった)

344: 2018/02/12(月) 01:58:57 ID:5cc4H.Jw
歩夢「ふーっ……」

花丸「痛いずら……」

果林「転んでテーブルに頭を打ったのね……よしよし」

タッタッタッ

エマ「みんな、大丈夫!?」

鞠莉「マルが頭を打ったけど、それだけよ。それより、そっちは?」

エマ「……」フルフル

モノっちー「まったく、停電とはねえ」

歩夢「……何。こんな時にまで構ってられないんだけど」

モノっちー「別に~? それよりオマエら、もう10時だよ、夜時間だよ! とっとと寝ろ!」

果林「……そうしましょうか」

345: 2018/02/12(月) 01:59:30 ID:5cc4H.Jw
────歩夢の部屋

歩夢「酷い目に遭った……」

歩夢(まさか学校で停電なんて。滅多に経験できるものじゃないけれど、二度と経験したくない)

歩夢(それにしても、虹ヶ咲学園生徒プロフィール、か……)

歩夢(私は一体、どんな人だったんだろう……)

346: 2018/02/12(月) 02:00:05 ID:5cc4H.Jw
────学園生活10日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

モノっちー『そうそう。何とは言わないけれど、ボクは悲しいです。何とは言わないけどネ!』

プツン

歩夢「……?」

347: 2018/02/12(月) 02:00:44 ID:5cc4H.Jw
────食堂

歩夢「おはよー……あれ、朝食は?」

かすみ「確か、彼方先輩と一緒に作るって話でしたけど」

歩夢「あ、そうだった……」

歩夢(けれども、その彼方ちゃんがいないから朝食会が始まらない……ってことみたいだ)

梨子「あの……今、彼方ちゃんの部屋に行ってきたんだけど……」

千歌「いないんだよ、彼方ちゃんが!」

歩夢「……!?」

歩夢(私の中で、最悪の答えが導かれていく)

歩夢(今この場に1人だけいない彼方ちゃん。さっきのモノっちーのアナウンス……)

ダッ!

歩夢(同じ最悪の答えを出したみんなが、一斉に食堂を後にする)

348: 2018/02/12(月) 02:01:24 ID:5cc4H.Jw
歩夢「どこ……?」

歩夢(個室にはいない。トイレにも、いつの間にか開いていたトラッシュルームにも、大浴場にも……ということは、校舎!)

歩夢(1階の教室、購買、保健室……)

「きゃああああああああああああああっ!?」



ピンポンパンポーン

349: 2018/02/12(月) 02:02:08 ID:5cc4H.Jw


モノっちー『死体が発見されました。一定の捜査時間の後、“学級裁判”を開きます』

モノっちー『オマエら、死体発見現場の2-B教室にお集まりください!』

プツン

350: 2018/02/12(月) 02:02:45 ID:5cc4H.Jw
────校舎2階、2-B

悲鳴をあげるせつ菜ちゃん、茫然と立ち尽くす千歌ちゃん。

次々と集まって来るみんなの視線は、一点に注がれている。

351: 2018/02/12(月) 02:03:39 ID:5cc4H.Jw


窓際の席で眠る彼女は、首にロープを巻かれ、何故かスクール水着姿で。

それは、二度と目を覚ますことのない《超高校級の眠り姫》近江彼方の死体だった。

355: 2018/02/22(木) 20:41:05 ID:FS2FtxC.

      Chapter2

Spiteful Trapper  非日常編

356: 2018/02/22(木) 20:42:02 ID:FS2FtxC.
歩夢「なに、これ……」

歩夢(もし、これが夢だとしたら……睡眠第一の彼方ちゃんに笑われそうな悪夢だ)

歩夢(もし、現実なのだとしたら……)

歩夢(どうして……彼方ちゃんは息をしてないの?)

モノっちー「うけけけけけ……酷い顔だよネ、全く」

歩夢「!」

モノっちー「他人のエゴで己の人生を突然終わらされたことを心底憎んでいるような……そんな顔だよネ!」

花丸「さっきの放送……学級裁判がまた行われる、ってことは」

モノっちー「ええ勿論! 前回同様、近江彼方さんはオマエらの中の誰かに〇されました!」

357: 2018/02/22(木) 20:42:39 ID:FS2FtxC.
しずく「そんな……っ!」

歩夢(彼方ちゃんは、ただ眠っているだけのように見えた)

歩夢(少しすれば、うーんと伸びをして起き上がりそうに……そう、見えた)

歩夢(けれども。首に掛かっていたロープと、何かに襲われたように見開かれた両目)

歩夢(そして『〇された』とモノっちーに告げられて……嫌でも、彼女が死んでしまったことを受け入れてしまった)

ダイヤ「また……あれをやらなくてはいけないのですか」

モノっちー「そゆこと~! というわけでちゃっちゃと始めちゃいましょう、ザ・モノっちーファイル2~!」

モノっちー「これを配るから、捜査頑張ってネ! 後ほど学級裁判でお会いしましょう!」

エマ「イヤです……あんな酷いこと……」

花丸「でも、やらなきゃみんな死んじゃうずら……」

鞠莉「それに……なんで彼方が〇されたのか……それをハッキリしないワケにもいかないでしょう」

せつ菜「それは、そうですけど……」

歩夢「とにかく、みんなで生き残るためにも……始めなきゃ!」

358: 2018/02/22(木) 20:43:44 ID:FS2FtxC.
捜査開始!

歩夢(……まずは、モノっちーファイルを確認しておこう)

『被害者は超高校級の眠り姫、近江彼方。死体発見現場は校舎2階、2-B教室』

『死亡推定時刻は昨夜22:00前後、発見時刻は翌7:30頃』

『被害者は首をロープで絞められており、体内からは毒物が検出されている』

歩夢(ロープはともかく、毒……?)

せつ菜「酷い……これじゃあまるで、2回〇したも同然じゃないですか」

かすみ「てっきりクロは『〇し合いを終わらせたい』から彼方先輩を〇したのかと思いましたけど~……」

果南「この分だと、そうじゃないのかもね……」

歩夢「……」

《モノっちーファイル2》のコトダマを入手しました。

359: 2018/02/22(木) 20:44:20 ID:FS2FtxC.
花丸「……ずら?」

歩夢「どうしたの、花丸ちゃん」

花丸「前回、検死をしてくれた彼方ちゃんが死んじゃったから、マルがやろうとしたんだ。現物を見た経験はないけど、一応推理作家だから……」

花丸「そうしたら、机の中にこんなものが……」

歩夢「未解決事件・ケース“タカマガハラ”……?」

かすみ「あーっ! それ、一時期ニュースを騒がせていた通り魔じゃないですか!」

歩夢「かすみちゃん、知ってるの?」

かすみ「知ってるも何も……そのファイルを見た方が早いと思いますよ? あ、かすみんは捜査に戻るので、失礼しま~す♪」タッタッタッ

せつ菜「まさか……彼方さんは、その通り魔に〇されたんじゃ……」

歩夢「それはまだ……分からないけど……」ペラリ

360: 2018/02/22(木) 20:44:56 ID:FS2FtxC.
歩夢「……」

歩夢(私の手が止まったのは、〇害現場の写真ばかりが集められたページ)

歩夢(タカマガハラという名の通り魔に〇された被害者たちの名前も一緒に載っていた)

歩夢(佐藤美香(23)、松本純子(17)、西本唯(30)、桜坂小百合(28)……)

せつ菜「桜坂……って!」

歩夢「うん。しずくちゃんと同じ苗字……だね」

歩夢(被害者はいずれも、2種類以上の外傷を受けている。撲〇されてから首を絞められたり、絞〇されてからナイフを刺されたり、ロープを巻かれてから池に沈められたり)

歩夢(共通しているのは、どの事件にもロープによる絞〇が出てくること。そして、現場には『タカマガハラ』と何かしらの方法で文字が残されていること)

歩夢(それによって、その通り魔が『タカマガハラ』という名前で呼ばれていること……)

せつ菜「……なんだか気分が悪くなってきました。ごめんなさい、お手洗いに行ってきます」

歩夢「うん、いってらっしゃい」

歩夢「……」ペラリ

361: 2018/02/22(木) 20:45:47 ID:FS2FtxC.
歩夢(次のページに載っていた内容は、タカマガハラに関する週刊誌のコピーだった)

『一連の犯行は、いずれも平日夜、または休日に行われている』

『平日昼間には決して事件が起きないことから、犯人は学生なのでは? との推測がなされている』

『タカマガハラに刃物で襲われた人物曰く、抵抗した際相手の顔に大きな傷を負わせたという』

『暗がりでよく分からなかったが、タカマガハラの目は真っ赤に染まっていた』

歩夢(……よくある『ゴシップ記事』と言われるものだ。イマイチ信憑性に欠ける)

歩夢(仮にこれが真実だとしても……だから、何なんだろう)

歩夢(まさか、その通り魔が私たちの中にいる?)

歩夢(ありえないよ。確かに今回の事件、タカマガハラの手口に似ている気はするけれど、みんな顔に傷なんて──)

璃奈「……私の顔になにかついてる(・v・)?」

歩夢「い、いやそんなつもりは……」

歩夢(……ない、よね?)

362: 2018/02/22(木) 20:46:48 ID:FS2FtxC.
歩夢(最後のページには、小さな新聞記事の切り抜きが載っていた)

【劇団さかみち団員、襲われる 通り魔の犯行か】

『8月21日午後20時頃、全国を駆け回る人気劇団・さかみちの団員たちが、静岡公演のために宿泊していたホテル近辺の路地で何者かに襲われた』

『劇団の若手スターとして活躍している桜坂しずくさん(16)などが重症を負ったが、全員命に別状はない』

『また、犯人と思しき人物は同日16時頃にも近辺に出没しており、その際近江遥さん(16)ほかが頭を打つなどの軽症を負った』

『いずれも現場にはロープが落ちていたことから、警察は通り魔・タカマガハラが事件に関与している可能性を視野に入れて捜査を進めている』

歩夢「……」

歩夢(この新聞に載ってる名前って……)


彼方『近江遥、私の大切な妹だよ~』


歩夢(それに、しずくちゃんの名前も……?)

歩夢「このファイルは……このくらいかな」

《タカマガハラ事件ファイル》《新聞記事》のコトダマを入手しました。

363: 2018/02/22(木) 20:48:07 ID:FS2FtxC.
花丸「何か分かったずら?」

歩夢「……うん、後で読んでおくといいかも。花丸ちゃんの方はどう?」

花丸「専門的なことはまだ分からないけど……明らかに気になることはあったよ」

花丸「彼方ちゃん、火傷の跡がいっぱいあったんだ。背中と、右足首と、両足の裏……」

歩夢「火傷……?」

花丸「いつ付いたものなのかは分からないけど、もしかしたら、彼方ちゃんがお風呂やプールに来なかった理由ってこれなのかも……」

歩夢「確かに……そういうの、あんまり見られたくないってのは分かるかも……」

花丸「グロテスクだからあんまり見ない方がいいずら」

歩夢「うん、そうするね」

《火傷の跡》のコトダマを入手しました。

364: 2018/02/22(木) 20:48:45 ID:FS2FtxC.
千歌「ねえ歩夢ちゃん。これって何だろ?」

歩夢「台車……みたいだね」

千歌「そうなんだけど……この前教室を調べた時はこんなのなかったんだよね」

歩夢「台車があるってことは……何かをここまで運んだのかな?」

千歌「どうなんだろ。運ぶ物があるとしたら……彼方ちゃんくらいだよね」

歩夢「うん……」

歩夢(彼方ちゃんの死体は……何処かからここまで運ばれた?)

歩夢(水着だったし……後でプールとか調べた方がいいかも)

《台車》のコトダマを入手しました。

365: 2018/02/22(木) 20:49:33 ID:FS2FtxC.
せつ菜「戻りました、歩むっ!?」コケッ

歩夢「大丈夫、せつ菜ちゃん!?」

せつ菜「何かに躓いたみたいですが……アイロン?」

歩夢「なんで教室に……しかも、電源入ってる!?」

せつ菜「や、火傷しなくて助かりました……」

エマ「ここにもあったんだ、アイロン」

歩夢「エマちゃん、何か知ってるの?」

エマ「いや……教室の前にもあったし、電源がついてたから、誰かが触れちゃったら危ないなって」

歩夢「エマちゃん、他のアイロンはどこにあったの?」

エマ「えっと……そこと、あそこです」

no title


せつ菜「全く……誰かのイタズラだとしても、度が過ぎますよ」

エマ「でも、怪我がなくて良かったよ」

《アイロン》のコトダマを入手しました。

366: 2018/02/22(木) 20:50:19 ID:FS2FtxC.
せつ菜「気を取り直して……次はどこに行きましょうか?」

歩夢「えっと……とりあえず、調べたいところがあるんだけど」


────プール

果南「プールの中は何もないよー」ザパァッ

せつ菜「なんで泳いでるんですか……」

曜「そういえば、更衣室には彼方ちゃんの着替えなかったね」

果南「部屋に置いてるんじゃないかな?」

歩夢「まさか……水着のまま校舎に来るってことはないと思うけど」

せつ菜「あ、昨日彼方さんを見かけた時はいつもの私服でしたよ?」

歩夢「せつ菜ちゃん、彼方ちゃんを見たの?」

せつ菜「ええ。昨日の夜、食堂で千歌さんたちとゲームをしてたんですけど……」

367: 2018/02/22(木) 20:51:30 ID:FS2FtxC.
~昨晩、20時半頃~

せつ菜『ぐぬぬぬぬ……この前は勝てたんですけど』

千歌『へっへーん。私だってまだまだ負けないよ!』

せつ菜『……あ、エマさん!』

エマ『?』

千歌『あ、ずるい! またおまじないしようとしてる!』

璃奈『……おまじない(・v・)?』

かすみ『エマ先輩、誰かを幸運にするおまじないが出来るらしいんですよ~』

愛『へぇー。そのおまじないがあれば、全然窓のないこの学校でも外が見れるのかな』

千歌『なんでそうなるの?』

愛『雲海を見れる私は、幸運かい? ってことだよ!』アッハッハ

『『……』』

368: 2018/02/22(木) 20:52:01 ID:FS2FtxC.
エマ『大丈夫だよ。全員の運を同じくらいにすることも出来るから』

かすみ『つまり、戦略とイカサマをすればかすみんでも1位に……』

愛『エマっち、かっすんだけそのおまじない掛けなくていいよ』

璃奈『むしろ、物凄く不運にするのも……(・v・)』

エマ『まあまあ。同じくらいと言ってもムラがあるから……』

エマ『ヴェルデパワー、注入! は~い、ぷしゅっ!』

せつ菜『ちゃんと掛け声があるんですね』

エマ『うん。以前、誰かに教わった筈なんだけど……よく覚えてなくて』

愛『おおー、なんかスピリチュアルなパワーが貰えた気がする!』

千歌『じゃあ、改めて人生ゲームで勝負! 誰が本当の幸運かを今度こそ決めるよ!』

璃奈『エマちゃんも一緒にどう(・v・)?』

エマ『あ、ごめん。私、ちょっと用事があるから……また今度ね!』タッタッタッ

369: 2018/02/22(木) 20:52:41 ID:FS2FtxC.
~数分後~

彼方『おおー、やってるねぇ』

千歌『やってるよー。彼方ちゃんもやる?』

彼方『んー……やりたいのは山々だけど、彼方ちゃんは泳ぎたい気分なのだ』

せつ菜『い、今からですか!?』

彼方『ぷか~って浮かんでるの、気持ちいいんだよね~。あ、大丈夫だよ? ちゃんと夜時間までには上がるからさ』

モノっちー『ちゃんとプールの中にも時計があるからネ! しっかり見ないと校則違反でオシオキだよ!』

璃奈『……出た(`∧´)』

モノっちー『ま、プールサイドは10時を過ぎてもセーフだけどネ。寝るのはダメだけど』タッタッタッ

愛『ほんっと、モノっちーって神出鬼没だよね』

彼方『とりあえずー、ここの厨房ってスポーツドリンク置いてたっけ?』

かすみ『でしたら、かすみんが取って来てあげますよ~』タッタッタッ

せつ菜『……』ハッ

せつ菜『まさか、かすみさん何かヘンな物を入れる気じゃ……私も取って来ます!』

370: 2018/02/22(木) 20:53:39 ID:FS2FtxC.
せつ菜「とまあ、こんな感じで……彼方さんに飲み物を渡して、私たちは夜時間になるまでゲームに白熱してました」

歩夢「じゃあやっぱり、彼方ちゃんはプールに来てたんだね」

《せつ菜の証言》のコトダマを入手しました。

果南「じゃあ、結局着替えはどこにあったの?」

果林「男子更衣室よ。今見て来たわ」

曜「えっ」


────男子更衣室

歩夢「ホントだ……ロッカーに服が入ってる」

果林「足元、気を付けた方がいいわよ。飲み物がこぼれて水たまりになっちゃってるから」

せつ菜「ホントですね……」

no title


曜「ってことは、彼方ちゃんはここに間違いなく来てたんだね。でも、なんで男子更衣室に……?」

果南「男女分けられてるけど、別にどっちを使ってもいいってモノっちーは言ってたよ」

371: 2018/02/22(木) 20:54:10 ID:FS2FtxC.
果林「水たまり以外、気になるところはあまりないかしらね。物置の水着は全部女モノだったけど……」

果林「あ、強いて言えば。ランニングマシーンが1個動きっぱなしだったのよね。もう切っちゃったけど」

歩夢「ランニングマシーンが?」

果林「ええ。そっちの……ベンチに近い方のだけど。スイッチを押すとそれっきり動き続けるタイプだったみたいね」

せつ菜「ということは、彼方さんは運動もしていたのでしょうか……?」

歩夢「あんまり……想像つかないね」

《更衣室の水たまり》《ランニングマシーン》のコトダマを入手しました。

歩夢「他は……どこ調べればいいかな?」

せつ菜「今朝、トラッシュルームのシャッターが開いていましたから……そこに行ってみるとか?」

372: 2018/02/22(木) 20:54:44 ID:FS2FtxC.
────トラッシュルーム

ダイヤ「……」

歩夢「ダイヤさんも来ていたんですね」

ダイヤ「ええ。何かないかと思いましたが……これは手掛かりなのでしょうか?」スッ

果南「ダイヤ、これ何?」

歩夢「何かの……ケーブル?」

せつ菜「ほとんど焼けちゃって、ところどころ中が見えちゃってますね……」

ダイヤ「焼却炉の前に落ちていたものですから、犯人が何かを処分し損ねたものかも知れませんね」

《焼け落ちたケーブル》のコトダマを入手しました。

373: 2018/02/22(木) 20:55:47 ID:FS2FtxC.
ダイヤ「それと……歩夢さん。少しこっちに来て頂けますか」ヒソヒソ

歩夢「え、何ですか?」ヒソヒソ

ダイヤ「昨日の夜、ここ数日の間に溜まってしまった洗濯物をランドリーで洗っていたのですが……」ヒソヒソ

ダイヤ「その時、果南さんの姿を見たのです」

ダイヤ「夜時間のアナウンスが流れ、1、2分程でした。何かに怯えたような顔で……校舎の方から走って来ました」ヒソヒソ

果南「……?」

ダイヤ「一応、本人がすぐ近くにいるのでこうして話すことになったのですが……手掛かりになるでしょうか?」ヒソヒソ

歩夢「ど、どうでしょう……」

《ダイヤの証言》のコトダマを入手しました。

歩夢「ここにはもう何もなさそうだけど……あと調べなきゃいけないところって……?」

ダイヤ「でしたら、理科室に行ってみるのは如何でしょう。今回の事件には毒薬が使われているようですから……」

374: 2018/02/22(木) 20:56:29 ID:FS2FtxC.
────理科室

愛「ここはなーんもナシ。毒の瓶とかそういうの、一個も見つからなかったよ!」

璃奈「……準備室にも、なかった(・v・)」

歩夢「でも、モノっちーファイルには毒物が出てきてるんだよね……」

せつ菜「保健室にもそのような物はなかったみたいですし……犯人はどこで毒を入手したのでしょう?」

愛「一応、薬品の棚を見たな、しとく?」

璃奈「まさか、食材を組み合わせて化学反応で毒を作ったとか……(・v・)」

せつ菜「とりあえず、棚を見ておきましょうか」

愛「おーい! 愛さんのギャグを無視しないでくれよーぅ」

歩夢(……結局、薬品棚は以前私たちが調べた時から、何も変化がなかった)

《理科準備室の薬品棚》のコトダマを入手しました。

375: 2018/02/22(木) 20:57:48 ID:FS2FtxC.
────校舎2階廊下

鞠莉「……なるほど、そういうことね」

モノっちー「全く、ボクはボクで色々忙しいんだから無暗に呼び出さないでよ」トテトテトテ

歩夢「鞠莉さん、モノっちーと何を話してたんですか?」

鞠莉「ああ、歩夢にせつ菜。校則違反者が出た時のお話についてよ」

せつ菜「なんで校則違反が?」

鞠莉「既に聞いてるかも知れないけど、校則違反があった時は、学園中にサイレンが鳴り響くらしいのよ」

鞠莉「その上で、モノっちーによる処刑が行われるみたいね。一応、校則を読み返しているんだけど……」

《校則》《校則違反者への処遇》のコトダマを入手しました。

せつ菜「でも、昨日はそんなサイレン聞こえませんでしたね」

鞠莉「んー……それについてなのよね、問題は。ちょっと来てもらえるかし──」

376: 2018/02/22(木) 20:58:20 ID:FS2FtxC.
ピンポンパンポーン

モノっちー『あー、色々面倒なこともあって疲れちゃった』

モノっちー『というわけで、捜査終了でーす。オマエら、校舎1階にある赤い門の前にお集まりくださーい』

モノっちー『締め切りだよー。学級裁判だよー』

プツン

377: 2018/02/22(木) 20:59:01 ID:FS2FtxC.
鞠莉「終わっちゃったわね。別に行けない距離じゃないけど、モノっちーに何言われるか分からないし……要点だけ話しておくわ」

歩夢「それで、問題ってなんですか?」

鞠莉「校舎の1階にね、隠し部屋みたいなのがあったのよ」

せつ菜「か、隠し部屋!?」

鞠莉「場所はMAPを見れば検討がつくと思うわ。その部屋がとんでもない場所に繋がっていたし、部屋にはとんでもない物があったんだけど……」

鞠莉「なんだか、しっくり来ないのよね。昨日の停電と関係あるかなって思ってたんだけど……」

せつ菜「停電? そんなものがあったんですか?」

歩夢「うん、10時頃にあったよ。その後、モノっちーに『もう寝ろ!』って怒られたけど」

せつ菜「私は食堂にいましたけど……全然知りませんでした」

鞠莉「……とにかく、急ぎましょうか」

《校舎1階の隠し部屋》《停電騒動》のコトダマを入手しました。

378: 2018/02/22(木) 20:59:54 ID:FS2FtxC.
────赤い門の前

梨子「えーっと……これで15人」

歩夢「まだ来てないのは……千歌ちゃんだけ?」

梨子「みたいね。あ、そうそう、2人にも渡しておかないと。一応、昨日10時頃のみんなのアリバイをまとめておいたの」スッ

no title


梨子「一緒にいた人たちはひと纏めだけど、なるべく全員に聞いて回っていたから……間違いない?」

せつ菜「間違いありません」

歩夢「……」

梨子「歩夢ちゃん?」

歩夢「う、うん。大丈夫」

歩夢「……」

《昨晩のアリバイ》のコトダマを入手しました。

379: 2018/02/22(木) 21:00:29 ID:FS2FtxC.
タッタッタッ

千歌「ごめんごめん、遅くなった!」

ダイヤ「全く、遅刻ですわよ!」

千歌「だって、教室でずっと考え事してたらいきなりエアコンが点いたんだもん! ビックリしちゃってさ」

歩夢「エアコンが?」

千歌「それで、壁についてる操作パネルみたいな物を調べたら……8時半に電源が入るようになってたんだ」

かすみ「今って何時でしたっけ、しずくさん♪」

しずく「な、なんで私に……えっと、8時、35分ですけど……」

果南「それから5分も何してたの?」

千歌「隣の教室のエアコンも気になっちゃって。そしたら、こっちも8時半に電源が入ってたよ」

鞠莉「タイマーは8時半……? じゃあ推測は外れてる……」ブツブツ

《教室のエアコン》のコトダマを入手しました。

380: 2018/02/22(木) 21:01:15 ID:FS2FtxC.
モノっちー『全く、校長のアナウンスが入ったら集まるのは常識でしょ!』

モノっちー『次からは罰則与えるかもよ? というわけでオマエら、正面のエレベーターに乗ってちょうだいな!』

プツン

千歌「じゃ、行こっか!」

果林「遅刻した人が言うセリフじゃないわね、全く……」

曜「でも今回、犯人を見つけてもいいのかなあ……」

璃奈「犯人の願いがコロシアイを終わらせることだったら、それを止めることになっちゃうかも……(>_<。)」

愛「大丈夫大丈夫♪ 投票するしないの自由くらいはあるっしょ」

しずく「……」

エマ「とにかく、行くしかない、よね……」

かすみ「~♪」

381: 2018/02/22(木) 21:01:50 ID:FS2FtxC.
歩夢(そして、私たち全員を乗せたエレベーターは地下へと降りて行く)

歩夢(みんな、無言。息苦しくて、呼吸が本当に止まりそうで……)

歩夢(……やがて、エレベーターは停まるべき場所に停止した)

382: 2018/02/22(木) 21:02:57 ID:FS2FtxC.
────地下???階、裁判場

モノっちー「いらっしゃーい! どう? 裁判場を模様替えしてみたんだ!」

せつ菜「星空模様の壁紙……ですか」

モノっちー「近江さんはどこか不思議な雰囲気があったからね~」ゲラゲラゲラ

ダイヤ「そんなところにこだわらなくたっていいです。サ……善子さんや彼方さんの遺影といい、相変わらず酷い趣味をしていますわね」

モノっちー「ツレないなあ。誉め言葉以外の感想は認めないんだけど?」

モノっちー「まあいいでしょう。オマエら、自分の席に移動しちゃってください!」

383: 2018/02/22(木) 21:03:31 ID:FS2FtxC.
歩夢(始まる。2回目の学級裁判が、始まる……)

歩夢(《超高校級の眠り姫》近江彼方ちゃん……)

歩夢(普段から寝ていて、協調性も欠けているように見えたけど……。それでも彼女は、起きている時はなるべく一緒にいようとした)

歩夢(妹想いで、料理も出来て……最初の学級裁判では、ルビィちゃんの検死にも一役買ってくれた)

歩夢(そんな彼方ちゃんを〇した人が……私たちの中にいる?)

歩夢(モノっちーは『コロシアイを終わらせるためには誰かを〇さないといけない』なんて言っていた)

歩夢(仮にその言葉に乗せられたのだとしても……やっぱり、〇人なんて間違ってる!)

歩夢(私たちが生き残るために……真相を見つけるしかないんだ)

歩夢(嘘と真実が交錯する、この“学級裁判”で──!)

384: 2018/02/22(木) 21:04:42 ID:FS2FtxC.
~学級裁判準備~
超高校級の眠り姫、近江彼方が〇された。
背後にチラつくモノっちーの動機と、通り魔『タカマガハラ』の影。
果たして、この謎を解き明かした先に見えてくる真実とは──?

コトダマリスト
《モノっちーファイル2》被害者は近江彼方。死亡推定時刻は昨夜22時前後、発見は翌朝7時半頃。
首をロープで絞められており、体内からは毒物が検出されている。

《タカマガハラ事件ファイル》
通り魔“タカマガハラ”に関する資料。被害者はいずれも2度に渡って〇されており、そのうちの片方は必ず絞〇。
現場には何かしらの形でタカマガハラの文字が残されているという。

《新聞記事》
劇団さかみちが通り魔によって襲撃された事件。
この事件で、桜坂しずくが重症を、近江遥が軽症を負っている。

《火傷の跡》
彼方の身体には、背中、右足首、両足の裏に火傷の跡があった。いつついたものかは不明。

《台車》
2-B教室の隅に置かれていたもの。以前はこの部屋になかったらしい。

《アイロン》
2-B教室の3か所に電源が入った状態で放置されていた。
no title
を参照。

385: 2018/02/22(木) 21:05:24 ID:FS2FtxC.
《せつ菜の証言》
昨日、彼方はプールに行く前に食堂を訪れていた。
その際、スポーツドリンクを受け取っている。

《更衣室の水たまり》
no title
を参照。
すぐ横に口の開いたペットボトルが落ちている。

《ランニングマシーン》
上記画像、上側のランニングマシーンの電源が入りっぱなしだった。

《焼け落ちたケーブル》
トラッシュルームに落ちていたもの。何のケーブルかは不明。

《ダイヤの証言》
夜時間のアナウンスが流れた1、2分後、ダイヤは校舎の方から走って戻って来た果南を目撃している。

《理科準備室の薬品棚》
毒薬は見つかっておらず、そもそも最初に歩夢たちが見た時から変化はない。

《校則》
電子生徒手帳で確認出来るもの。まとめは後述。

《校則違反者への処遇》
校則違反を犯した者が出た際、学園中にサイレンが鳴り響く。
その後モノっちーによる処刑が行われる。

386: 2018/02/22(木) 21:05:58 ID:FS2FtxC.
《校舎1階の隠し部屋》
鞠莉が見つけたもの。とんでもない場所に繋がっており、とんでもない物があったらしいが……?

《停電騒動》
昨晩、歩夢たちが経験したもの。
食堂にいたせつ菜は経験していなかった。

《昨晩のアリバイ》
no title
を参照。
梨子がみんなに聞いて回ったもの。

《教室のエアコン》
2-A、2-B教室のエアコンは、8時半に電源が入るようにタイマーが設定されていた。

387: 2018/02/22(木) 21:06:55 ID:FS2FtxC.
~校則~
1.生徒たちはこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを”夜時間”とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

3.就寝は学生寮に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4.虹ヶ咲学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノっちーへの暴力を禁じます。また、監視カメラの破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを〇したクロは”卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

7.生徒内で〇人が起きた場合は、その一定時間後に生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

8.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

9.学級裁判で正しいクロを指摘出来なかった場合はクロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑です。

10.夜時間のプールの遊泳は禁止とします。

※なお、校則は順次増えて行く場合があります。

388: 2018/02/22(木) 21:09:40 ID:FS2FtxC.
今回はここまで。次回、学級裁判です。

虹ヶ咲のボイスドラマが公開されましたね
幾つか当SSと違う呼称が出て来ました(かすみ→しずくの「しずく」やせつ菜→歩夢の「歩夢さん」等)が、
当SSでは現行のままで行こうと思います

390: 2018/04/13(金) 01:04:00 ID:HsnCpEbo

 学 級 裁 判 
  開   廷!

391: 2018/04/13(金) 01:05:18 ID:HsnCpEbo
モノっちー「まずは学級裁判の簡単な説明を行いましょう」

モノっちー「学級裁判では“誰がクロか”を議論し、最終的に投票で全てを決定します」

モノっちー「正しいクロをオマエらの過半数が指摘出来れば、クロだけがオシオキ」

モノっちー「不正解だった場合は、クロは卒業、残ったシロは全員オシオキです!」

モノっちー「ちなみに、ちゃんと誰かに投票してネ。投票を放棄した人もオシオキだからネ?」

モノっちー「それじゃあ朝から謎解きタイム、行ってみよーう!」

千歌「私は今回の犯人、誰なのか分かってるよ!」

曜「本当なの!?」

果林「じゃあ、まずはその話から聞かせてもらおうかしら」

千歌「へっへーん。名探偵チカッチの名推理なのだ!」

392: 2018/04/13(金) 01:06:06 ID:HsnCpEbo
【ノンストップ議論 開始!】
[|タカマガハラ事件ファイル>
[|新聞記事>
[|停電騒動>

千歌「今回の犯人は、〇人鬼タカマガハラだよ!」

千歌「彼方ちゃんの首は【ロープで絞められていた】んだ!」

エマ「……本当に通り魔の仕業なの?」

千歌「勿論! 【タカマガハラの手口と同じ】だし、間違いないよ!」

鞠莉「じゃあ千歌っちには、そのタカマガハラが誰なのかも分かってるの?」

千歌「えっと、それは……」

花丸「資料によると【赤い目をしていた】らしいずら」

千歌「そうそう赤い目だよ赤い目……かすみちゃんだね!」

かすみ「なんでそうなるんですか!」

犯人は本当に通り魔……? 気になることは山積みだけど……順番に整理していこっか。

393: 2018/04/13(金) 01:06:46 ID:HsnCpEbo
[|タカマガハラ事件ファイル>→【タカマガハラの手口と同じ】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「確かに、彼方ちゃんの〇され方はタカマガハラの手口と似てるかも知れない」

歩夢「でも、犯人は必ず“タカマガハラ”と現場に文字を残していたんだ」

千歌「あれ、そうなの?」

せつ菜「事件ファイルに書いてありました。その文字がキッカケで、タカマガハラって名前が定着したそうです」

ダイヤ「では、歩夢さんは通り魔が犯人ではないと思っているのですね?」

歩夢「うん。根拠は他にもあるけど──」

果南「その考えは浅いよ!」

反論!

果南「いいや、通り魔は学園の中にいたんだ。私たち以外に、誰かが潜んでいたんだよ」

歩夢「誰かって?」

果南「勿論、タカマガハラに決まってる!」

394: 2018/04/13(金) 01:07:30 ID:HsnCpEbo
【反論ショーダウン 開始!】
[|モノっちーファイル2>
[|火傷の跡>
[|理科準備室の薬品棚>

果南「私たち以外に人がいる可能性。歩夢はそれを見逃してる」

果南「そもそも彼方は私たちの中の誰かじゃなくて、学園に潜んでたタカマガハラに襲われたんだよ」

果南「だから犯人はタカマガハラで決まり。これ以上議論することなんてどこにもないよ!」


─発展─
でも、文字は現場に残されてなかった
   通り魔の手口に似せた、別の誰かの犯行かも知れない!


果南「だったら、タカマガハラ事件ファイルそのものが現場に残された文字だよ」

果南「あれって【机の中に入ってた】んでしょ!?」

果南「首を絞められて、毒を口の中に入れられて」

果南「タカマガハラと同じ、【2度にわたって〇された】んだ!」

通り魔にこだわる人がいてもおかしくはない……けど、議論を進めるためにも、前提を変えなきゃ!

395: 2018/04/13(金) 01:08:06 ID:HsnCpEbo
[|火傷の跡>→【2度にわたって〇された】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

Break!

歩夢「2度じゃないよ。彼方ちゃんの外傷は、3つあったんだ!」

果南「3つ……?」

エマ「モノっちーファイルには、ロープと毒しか出てこなかったよ?」

歩夢「彼方ちゃんの身体には、何か所か火傷の跡があったんだ」

花丸「背中、右足首、両足裏……確かに、火傷だったずら」

愛「けどさー。かなちゃんってしずくと同じで、プールとか大浴場とかに参加しなかったっしょ? それって火傷を見られたくなかったからじゃないの?」

歩夢「……火傷がどこか1か所だけだったなら、そう考えるのが自然かもね」

梨子「もしその中に、今回の事件で負った火傷が混ざっていたとしたら……」

396: 2018/04/13(金) 01:09:02 ID:HsnCpEbo
璃奈「ロープ、毒、火傷。1つ多くなるね(・v・)」

歩夢「タカマガハラの被害者の外傷はどれも2種類。けど彼方ちゃんの外傷は3つ……」

曜「じゃあ、犯人はタカマガハラの手口を真似た別人の可能性があるってこと!?」

歩夢「うん。だから“犯人がタカマガハラ”って考えは、一旦置いた方がいいと思うんだ」

果南「っ……」

果南「……分かったよ、そうする」

かすみ「それじゃあ……次は何から話しましょっか」

かすみ「ねぇ、天王寺璃奈さん?」

璃奈「……え(・v・)?」

愛「ちょっと、なんでりなりーがそこで出てくるの?」

かすみ「蒸し返すようで悪いですけど、さっきの千歌さんの話で思ったんですよね~」

かすみ「タカマガハラは赤い目だった……だとしたら、素顔を晒していない璃奈さんがそうである可能性はありませんか?」

397: 2018/04/13(金) 01:09:41 ID:HsnCpEbo
璃奈「……ないよ。私の目は赤じゃないし(`∧´)」

かすみ「だったらそのボードを取ってくださいよ。それまでは信用出来ません」

璃奈「……それは、出来ない(>_<。)」

かすみ「無理じゃないです。かすみんだって、みんなを疑いたくないんですよ~」

かすみ「だからこうやって、1人1人可能性を潰しているんじゃないですか。ほら、さっさとボードを取ってください」

愛「やめなよ。りなりーが顔を見せられないのと今回の事件は全く関係ないよ」

かすみ「……はぁ? じゃあ愛先輩は、璃奈さんが〇人鬼の可能性は絶対にないと言い切れるんですか?」

愛「言い切るよ」

かすみ「……」ハァ

かすみ「信じるって……これは学級裁判なんですよ? 疑ってナンボじゃないですか、愛先輩」

歩夢「待ってかすみちゃん。私も、璃奈ちゃんは犯人じゃないと思う」

かすみ「何か根拠はあるんですか、歩夢先輩。それとも、正義感に目覚めたりでもしたんですか~?」

歩夢「だって、モノっちーファイルによれば、彼方ちゃんが死んだのは昨日の午後10時頃なんだよ?」

歩夢(そうだ。その時間は……)

【コトダマ一覧より選択しろ!】

398: 2018/04/13(金) 01:10:56 ID:HsnCpEbo
→【昨晩のアリバイ】

歩夢「梨子ちゃん。みんなに昨日の10時頃、どこにいたかを聞いて回ってたよね?」

梨子「う、うん」

歩夢「だったらかすみちゃんも知ってる筈だよ。昨日は10時まで、食堂でゲームをしてたんでしょ?」

愛「……言われてみれば! 確かに、10時の放送が鳴って、みんなで食堂を出た!」

歩夢「その時のメンバー、覚えてる?」

愛「えーっと……」

かすみ「愛先輩、千歌先輩、かすみん、せつ菜先輩、それから璃奈さんです」

かすみ「つまり、食堂にいた人たちには彼方先輩を〇せないと。はいはい、璃奈さんには彼方先輩を〇せないってことですよね」

ダイヤ「では、彼女の容疑は晴れますね」

愛「良かったじゃんりなりー! 歩夢と愛さんのお陰だね!」

璃奈「……愛ちゃんは何もしてない(`∧´)」

かすみ「まあいいです。かすみんも璃奈さんがクロだとは最初から思っていませんし」

かすみ「単に璃奈さんのボードを剥いでやりたかっただけです。それに本命は……おっと、今のは独り言なので気にしないでください」

399: 2018/04/13(金) 01:11:42 ID:HsnCpEbo
千歌「ということはさ。食堂にいなかった人たちの中に犯人がいるってこと?」

花丸「その可能性は高いずら。けど図書室組も外していいと思うよ。ね、鞠莉ちゃん?」

鞠莉「……そうね。みんな一緒に、私の調べ物に付き合ってもらっていたから」

エマ「あ、途中でしずくちゃんが顔を見せたよ。10時になる少し前……だったよね?」

しずく「……」コクリ

千歌「じゃあ、食堂にも図書室にも居なかったのは……曜ちゃんと梨子ちゃん、果南ちゃん、それにダイヤさんだね」

せつ菜「4人の中に、犯人が……?」

曜「ちょ、ちょっと待ってよ! 私は犯人じゃないよ!?」

果南「私だって、彼方を〇してなんかいない!」

ダイヤ「生憎、私も犯人ではありません」

梨子「わ、私も!」

愛「あーもう、順番に喋って!」

400: 2018/04/13(金) 01:12:26 ID:HsnCpEbo
【ノンストップ議論 開始!】
[|せつ菜の証言>
[|ダイヤの証言>
[|停電騒動>

千歌「ダイヤさんから右回りに!」

ダイヤ「私は【ランドリーにいました】。洗濯が全て終わった時には10時を少し回っていましたが、すぐに部屋に戻りました」

ダイヤ「ですので、私は彼方さんを〇してなどいません」

曜「私は【自分の個室にいたよ】。食堂組に混ざろうかとも思ったけど、何だか気が進まなくて……」

曜「アリバイは……ないけどさ」

梨子「私は【部屋で絵を描いてて】、そのまま寝ちゃったわ。アリバイがあるとは言えないけどね」

果南「わ、【私だってずっと部屋にいた】よ!」

せつ菜「見事に全員、犯人ではない宣言ですね」

花丸「しかも揃ってアリバイがないずら」

昨晩の4人の行動……1人だけ、あの手掛かりと矛盾するよね。

401: 2018/04/13(金) 01:13:11 ID:HsnCpEbo
[|ダイヤの証言>→【私だってずっと部屋にいた】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「どれもアリバイ証明にはならない。けど、1人だけ明らかに嘘をついた人がいる……」

歩夢「そうだよね、果南さん」

果南「……なんで、そうなるのかな」

歩夢「昨日の10時過ぎ、校舎の方から走って来た果南さんを見た人がいるんだよ。ですよね、ダイヤさん?」

ダイヤ「ええ。夜時間のアナウンスが鳴って少しした後でしたから、10時過ぎなのは間違いありません」

果南「っ、ダイヤが嘘を吐いてる可能性だってあるでしょ?」

ダイヤ「嘘ではありません。この目で確かに、何かに怯えているような果南さんをしっかり見ました」

402: 2018/04/13(金) 01:13:58 ID:HsnCpEbo
エマ「怯えている……?」

梨子「もしかして、事件に関する何かを見てしまったとか?」

かすみ「もっと言えば、自分が彼方先輩を〇してしまったから……だったり」クスクス

果南「ち、違う! 私は彼方を〇してなんかいないってば!」

せつ菜「でも、話してくれないと議論が進みません。このままだと果南さんを疑うことになってしまいます」

千歌「果南ちゃん……」

果南「……怖かった」

歩夢「え……?」

果南「昨日、私は夜時間になるまで男子更衣室にいたんだけど……」

璃奈「なんで、男子更衣室(・v・)?」

果南「トレーニングだよ。器具は男子更衣室にしかなかったからね」

403: 2018/04/13(金) 01:14:48 ID:HsnCpEbo
彼方『ふいー。あれ、いたんだ』

果南『うん。ここに来てから本格的なトレーニングが出来てなかったからね』

彼方『頑張るね~。超高校級のダイバーさんは、やっぱり体力とか要るのかな?』

果南『まあね。どう、彼方も一緒に走る?』ピッ

彼方『いやー、遠慮しておくよ。私はインドア派だし、スポドリ飲んで体育会系の気分を味わうくらいが丁度いいのさ』

果南『あ……そういえば、飲み物持ってくるの忘れちゃったな』

彼方『ん、まだ口つけてないけど……飲む?』

果南『いや、部屋に置いてあるから大丈夫だよ』

彼方『そう? じゃあ飲んじゃうけど──』


バツン!


果南『ひぃぃぃぃぃっ!?』

404: 2018/04/13(金) 01:16:29 ID:HsnCpEbo
果南「急な停電でビックリしちゃってさ……けど、それだけじゃなかったんだよ。だって、停電が直ったと思ったら……」


果南『うぅぅぅ……』ブルブル

果南『……あれ? 電気、ついた』ホッ

果南『ごめんね彼方、見苦しいところ、見せ、ちゃ……』

ドサッ

果南『────!?』


鞠莉「彼方が、倒れた……!?」

果南「死んでいたかは分からないけど……。今から思えば、あの時に〇されたんだと思う」

花丸「それで、ビックリして逃げた……ということずらか」

せつ菜「犯人の姿……見てないんですか?」

果南「見てない。停電が明けてもしばらく目も耳も塞いでたし……それに、しょうがないじゃん。お化けに〇されたんでしょ!?」

かすみ「……は?」

果南「通り魔じゃなけりゃ、そうとしか考えられないじゃん!」

405: 2018/04/13(金) 01:17:43 ID:HsnCpEbo
【ノンストップ議論、開始!】
[|台車>
[|アイロン>
[|焼け落ちたケーブル>

果南「通り魔が犯人じゃないなら、彼方を〇したのはお化け……じゃないの?」

かすみ「幽霊なんているワケないじゃないですか~」

果南「暗くて周りが見えない中で彼方を〇したんだよ!? それに、彼方の死体だって何故か教室で見つかったし……」

しずく「やっぱり、その時点では彼方さんはまだ生きていて……《教室でトドメを刺された》……のではないでしょうか」

果林「だとしたらどうして教室に? 学生寮まで来ればみんな居るじゃない」

曜「単純に彼方ちゃんを〇した《犯人が死体を運んだ》んじゃないの?」

せつ菜「ですが、本当にお化けがいるなら……」

花丸「幽霊に憑かれた彼方ちゃんが、《ひとりでに教室まで歩き出した》ずら……」

果南「ひゃぁぁぁぁぁぁ!?」

エマ「怖いの、ダメなんだね……」

歩夢(〇害現場と死体発見現場の違い……その答えは、あの手掛かりが握っている筈だよね)

406: 2018/04/13(金) 01:18:40 ID:HsnCpEbo
[|台車>→《犯人が死体を運んだ》

歩夢「それに賛成だよ!」

Break!

歩夢「彼方ちゃんの死体は移動させられていたんだよ。多分、教室の隅にあった台車を使ったんだと思う」

果南「台車……そんなもの、あったんだ」

千歌「そうそう。2階が開放された時、私は教室の探索をしてたんだけど……その時は置いてなかったんだよね」

果林「じゃあ犯人は、停電が起きた間に彼方ちゃんを〇して、果南ちゃんが更衣室を去った後で、死体を運んだってことなのね」

鞠莉「死体を運ぶだけなら、夜時間中にでも出来たと思うわよ」

エマ「それじゃあ犯人は、どこかにずっと隠れてたってこと?」

歩夢「多分……ね。停電が起きていた間に彼方ちゃんを〇して、そのあと果南ちゃんに見つからないようにする必要があったから……」

407: 2018/04/13(金) 01:19:56 ID:HsnCpEbo
花丸「あの時犯人も更衣室に居たってことなのかな……?」

愛「プールか更衣室か、その辺りだろうね。んで、その後は一旦プールに隠れればいいワケだ」

璃奈「……夜時間はプールに入れないって話じゃなかったっけ(・v・)?」

愛「プールに入れなくても、プールサイドに立ち入りは……どうなの、モノっちー?」

モノっちー「うん、敷地に入る分にはOKだネ」

愛「ほらね」

せつ菜「そうなると、怪しくなるのは……」

千歌「図書室に居た人たち、食堂に居た私たち、ダイヤさんと果南ちゃんが外れるから……」

歩夢「やっぱり、曜ちゃんと梨子ちゃんの2人が怪しいってことに──」

かすみ「練り込みが足りていませんよ~?」

反論!

かすみ「ま~だ気づかないんですか? 停電が起きたっていっても、精々1分程度なんですよね?」

歩夢「それが……どうかしたの?」

かすみ「おバカな先輩たちに教えてあげますよ。残酷な真実ってヤツです……」ニィ

408: 2018/04/13(金) 01:21:30 ID:HsnCpEbo
【反論ショーダウン 開始!】
[|アイロン>
[|理科準備室の薬品棚>
[|教室のエアコン>

かすみ「停電は1分程度。その間に彼方先輩をどうやって〇すんでしょう?」

かすみ「ロープで絞め〇すにしたって、幾ら何でも無理があると思いませんか?」

かすみ「そもそも、クロは本当にそこに居たんでしょうかね?」


─発展─
居たから彼方ちゃんは〇されたんだよ?
    かすみちゃん、何が言いたいの?
        もしかして、何か知ってるの?


かすみ「毒〇……」

かすみ「刃物を使わずに1分足らずで人を〇すなら、それしかありません」

かすみ「【停電中に誰かが毒薬を飲ませた】んですよ」

かすみ「モノっちーファイルにも書いてましたよね?」

毒薬……本当に、そんなものはあったのかな?

409: 2018/04/13(金) 01:22:17 ID:HsnCpEbo
[|理科準備室の薬品棚>→【停電中に誰かが毒薬を飲ませた】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

Break!

歩夢「確かに、彼方ちゃんの体内からは毒物が検出されている……」

歩夢「でもそれって、毒薬なのかな? だって、保健室にも理科準備室にも、そんなものはなかったんだよ?」

かすみ「……」

果林「そういえば、歩夢ちゃんは理科準備室も調べていたのよね」

せつ菜「私も一緒でした。毒薬やその類が一切なかったのは、しっかり確認しています!」

千歌「あれ? じゃあモノっちーファイルが嘘ってこと?」

モノっちー「失敬な! ボクは嘘なんて書かないよ!」

ダイヤ「毒薬ではなく、何か毒になる物を作ったということでしょうか……?」

かすみ「……」クックックッ

かすみ「あっははははははははははははは!」

歩夢「か……かすみ、ちゃん?」

410: 2018/04/13(金) 01:23:42 ID:HsnCpEbo

かすみ「先輩たち、この前の事件から何も学んでいないんですね」

411: 2018/04/13(金) 01:24:47 ID:HsnCpEbo
しずく「やっぱり……何か知ってるんですね」

かすみ「ええ、知ってます知ってます。歩夢先輩の考えが間違いだってこともです♪」

歩夢「私の考えが……間違い?」

かすみ「よーく思い出してください。理科準備室に毒薬は本当になかったんですか?」

せつ菜「それはなかったとさっき……」

かすみ「あったんですよ。それを持ち出せた人が1人だけいたことも……知ってる筈ですよ?」

歩夢「……っ」ゾクッ

歩夢(ダメ……凄く、嫌な予感がする)

かすみ「答えてくださいよ~。歩夢先輩たちよりも先に、理科準備室に足を運んでいた人って……誰なんでしょうね?」

歩夢(答えは分かっているのに……どうして?)

【怪しい人物を指名しろ!】

412: 2018/04/13(金) 01:26:19 ID:HsnCpEbo
→中須かすみ

歩夢「かすみちゃん、だよね」


かすみ『げっ』

せつ菜『……先に来てたんですね』

かすみ『ええ。2人も2階の探索ですか~?』


歩夢「私とせつ菜ちゃんが理科室に入ろうとした時、扉から出て来た……」

歩夢「それって、奥の理科準備室に行っていたんじゃないかな……?」

かすみ「わー、大正解です♪」パチパチパチ

かすみ「皆さんが校舎探索を始めるより早く、かすみんは理科準備室に向かっていたのです。そこで見つけた毒薬を、持ち帰ったというワケですよ♪」

曜「じゃあ、犯人はかすみちゃんで決まりじゃん。用意した毒薬を飲ませたんでしょ?」

かすみ「早とちりしないでくださいよ~。私が現場に行けなかったことは、歩夢先輩が証明してくれたじゃないですか」

曜「っ……」

果林「あくまであなたは、犯人じゃないって言い張るワケね? だったら、どうして毒薬の話題を持ち出したのかしら」

413: 2018/04/13(金) 01:27:09 ID:HsnCpEbo
かすみ「全くもう、先輩たちは急ぎすぎです。順を追って説明させてください」

かすみ「かすみん、実はある物に毒薬を仕掛けていたんですよ~♪ 何か分かりますか?」

かすみ「ヒントは~……彼方先輩が口にした物、です」

歩夢「っ……」

歩夢(何となく、分かっちゃった……)

歩夢(かすみちゃんの目的、それって……)

かすみ「……」ニッコリ

【閃きアナグラム、開始!】

ポ ン コ ツ ー ム ド ク ス リ ガ (ダミー有)

414: 2018/04/13(金) 01:28:08 ID:HsnCpEbo
→スポーツドリンク

歩夢「スポーツ、ドリンク……」

歩夢「スポーツドリンクを飲んだ彼方ちゃんが、中に入っていた毒で死んだ……」

かすみ「正解です♪ いやー、危なかったですね果南先輩。危うく先輩も死ぬところでしたよ?」

果南「それが……どうかしたっていうのさ」

ダイヤ「今のままだと、犯人はかすみさんであることは変わりませんわよ?」

かすみ「それが変わるんですよ~。歩夢先輩に次の質問です」

歩夢(分かる……どんな質問が来るのか……)

かすみ「彼方先輩が食堂に来た時、スポーツドリンクを渡したのはかすみんじゃないんですよ~」

かすみ「というか、渡そうとしたところである人に遮られちゃったんですけど……」

歩夢(嫌だ……答えたくない……)

かすみ「それって、誰なんでしょうね?」

歩夢「……」

【怪しい人物を指名しろ!】

415: 2018/04/13(金) 01:29:04 ID:HsnCpEbo
→優木せつ菜

せつ菜「私です。かすみさんが何かイタズラをするんじゃないかと思ったので……」

せつ菜「確かに、彼方さんにスポーツドリンクを渡しました。でも、それがどうかしたんですか?」

歩夢(違う……違うんだよ……)

千歌「結局、毒を仕掛けたかすみちゃんが犯人だって話だよね? せつ菜ちゃんを経由したところで……」

かすみ「変わるんですよ」

千歌「ほえ?」

かすみ「だってこれは、“犯人”を当てるゲームじゃありません」

かすみ「“クロ”を当てるゲームなんですから」

せつ菜「……?」

416: 2018/04/13(金) 01:30:04 ID:HsnCpEbo
かすみ「前回の学級裁判で、モノっちーはこう言いました」


モノっちー『ちなみに学級裁判において、議論する内容の終着点は“最後にトドメを刺した人物が誰か”になります』

モノっちー『たとえ〇意がなくとも、引き金を引いた人間がクロになってしまうのですよ』


かすみ「つまり、この事件のクロは……」

かすみ「毒入りスポーツドリンクを渡した優木せつ菜先輩で決まりなんです」

せつ菜「……」

せつ菜「……え!?」

417: 2018/04/13(金) 01:30:58 ID:HsnCpEbo
せつ菜「ちょ、ちょっと待ってください! どうして私が彼方さんを〇さなきゃならないんですか!?」

かすみ「だから、〇す理由がなくても〇したんですって」

かすみ「というワケで、今回の事件のクロはせつ菜先輩です。モノっちー、投票タイムに移って──」

鞠莉「Wait! かすみ、あなたがこんなことをする理由は何かしら?」

かすみ「?」

鞠莉「こんなことをしても、あなたがこの学校から出られるワケじゃない……あなたにメリットがあるとは思えないわ」

かすみ「だって、メリットなんて要りませんし」

鞠莉「……っ」

しずく「で、でも、犯人にしたいなら……もっといい人……いましたよね?」

かすみ「おっと、しずくさん自らそれを言いますか」

梨子「えっと……どういうこと?」

歩夢(しずくちゃんがあんなことを言う理由……それって……)

【コトダマ一覧より選択しろ!】

418: 2018/04/13(金) 01:31:38 ID:HsnCpEbo
→【新聞記事】

歩夢「タカマガハラ事件ファイルに付いてた……新聞記事のことだよね」

しずく「……」

花丸「そういえばそうだったずら。タカマガハラの被害を受けた人の中には、しずくちゃんと彼方ちゃんの妹、遥ちゃん……」

花丸「それから、しずくちゃんのお母さんらしい名前もあったずら」

果林「確かに、前回のように何か動機があるとしたら、しずくちゃんを事件に関わらせるのが手っ取り早いわね」

かすみ「あー……そのことですか。ぶっちゃけ、オマケです」

しずく「オマケ、って……!」

かすみ「連続で似たような動機だと、モノっちーもつまらないでしょう? 現に私がつまらないと感じたワケですし」

かすみ「だから、タカマガハラの存在をにおわせておきながら少しも関わっていない! そんな事件を起こしたかったんですよ」

かすみ「そのために、わざわざ死体を教室まで運んで、ロープを首に巻いてあげたんです。少し疲れましたよ~」

梨子「酷い……人の命を何だと思って……」

419: 2018/04/13(金) 01:32:28 ID:HsnCpEbo
かすみ「それより。もう投票に進んじゃってもいいんじゃないですか?」

千歌「まだあるよ!」

かすみ「どうしたんですか? 聞いてあげますよ、千歌先輩」

千歌「ちょっと気になったんだ。どうして、果南ちゃんが死体を見つけた段階でアナウンスが鳴らなかったのかなって」

果南「そういえば……!」

千歌「死体が発見されました~って放送、あれが流れたのって、私とせつ菜ちゃんが教室に入った時だったんだ」

璃奈「ルビィちゃんが〇された時は、何人かでルビィちゃんのお部屋を見に行ってた……(>_<。)」

愛「もしかして、アナウンスが鳴るためには何か条件があるってこと?」

ダイヤ「どうなのですか、モノっちー」

420: 2018/04/13(金) 01:33:15 ID:HsnCpEbo
モノっちー「あー……そこに気付いちゃった? んもう、デリケートな話だから触れないようにしてたんだけど……」

モノっちー「死体発見アナウンスってのはネ、推理の材料に使っていいものじゃないのさ」

モノっちー「あくまで、校正に学級裁判を起こすために流すものであって……」

愛「そんなことはいいからさ。条件はなんなの、条件は」

モノっちー「“3人以上の人間が死体を発見すること”だよ。オッケー?」

愛「さーんきゅ!」

エマ「確か、アナウンスが流れるまでに死体を発見したのって……」

璃奈「最初に果南ちゃん。次が……かすみちゃん(>_<。)?」

かすみ「確かに、死体を移動させた私は、ある意味第2発見者でしょうね」

曜「次が、千歌ちゃんとせつ菜ちゃん……」

花丸「4人……」

かすみ「これじゃあ、手掛かりにはなりませんね~」プククク

421: 2018/04/13(金) 01:33:51 ID:HsnCpEbo
歩夢「ね、ねえ! どっちが先に発見したのか……覚えてないの!?」

せつ菜「そ、そんなこと急に言われても……」

ダイヤ「“3人”に犯人を含む場合と含まない場合……どちらにしても、発見者が4人である以上、判断材料にはなりませんわ……」

歩夢「そんな……このままじゃ、せつ菜ちゃんが……」

せつ菜「……」

かすみ「……♪」

歩夢(嫌だ……このまま、せつ菜ちゃんが犯人だなんて)

歩夢(何か……何かないの!?)

歩夢(この状況を打ち破る、手掛かり……)

422: 2018/04/13(金) 01:34:46 ID:HsnCpEbo

 学 級 裁 判 
   中  断

423: 2018/04/13(金) 01:35:36 ID:HsnCpEbo
~モノっちー劇場 番外編~

彼方「といっても……モノっちーはここにいないけどね~」

善子「じゃあこの場は何なのよ」

ルビィ「犠牲者の集い……なのかな?」

彼方「多分そうだと思うよ~。それにしても、ドッキドキの展開になって来たね」

善子「アイツ……拘束でもしておかないと大変なことになるんじゃないかしら」

彼方「既に大変なことになってるからね~……」zzz

善子「寝てる!?」

ルビィ「『犯人がハッキリしたら起こして』って書いてるよ」

善子「今までのは全部寝言だったの!?」

425: 2018/05/06(日) 22:23:03 ID:7xP8eyyw

 学 級 裁 判
   再  開

426: 2018/05/06(日) 22:23:46 ID:7xP8eyyw
エマ「えっと……とりあえず、今まで出た情報をまとめてみると……」

曜「通り魔“タカマガハラ”の仕業のように見えた彼方ちゃん〇しは、実は通り魔なんて関係ないもので」

果林「実際は、かすみちゃんが“誰かを〇人犯に仕立て上げる”ために起こされた悪意まみれの〇人」

鞠莉「かすみは犯人にならず、毒入りスポーツドリンクを彼方に渡した人物が犯人になってしまう……」

かすみ「その罠に引っかかったのが、せつ菜先輩だったってワケです♪」

せつ菜「……」

ダイヤ「一応、筋は通っていますわね」

かすみ「さっさと投票に移っちゃいませんか? かすみん、朝ご飯をまだ食べてなくてお腹ペコペコなんですよ~」

花丸「まだずら! まだ話し合いの余地はある……筈」

璃奈「まだって言っても、これ以上話しても結論は……(>_<。)」

花丸「いや……可能性は、ゼロじゃないずら」

427: 2018/05/06(日) 22:24:44 ID:7xP8eyyw
【ノンストップ議論 開始!】
[|モノっちーファイル2>
[|理科準備室の薬品棚>
[|昨晩の停電騒動>

花丸「《せつ菜さんが犯人》と決まったワケじゃないずら!」

せつ菜「……それは、本当ですか?」

かすみ「この期に及んでまだ何かあるんですか」

しずく「悔しいですが、かすみちゃんの言う通り……」

かすみ「彼方先輩はせつ菜先輩に【毒〇】された……」

かすみ「これは揺るぎない事実なんですよ~?」

せつ菜「私は……」

愛「ねえマルっち、もうやめにしようよ。これ以上はせっつんが……」

花丸「大丈夫……ずら」

歩夢(私はせつ菜ちゃんを信じてる……そのための突破口は……)

428: 2018/05/06(日) 22:26:06 ID:7xP8eyyw
[|モノっちーファイル2>→【毒〇】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「やっと見つけた……ありがとう、花丸ちゃん」

花丸「どういたしましてずら。歩夢さんも、分かったみたいずらね」

千歌「???」

果南「さっぱり分からないんだけど……」

歩夢「モノっちーファイルに書かれていなくて、この議論の中でまだハッキリしてない事……それを思い出して欲しいんだ」

ダイヤ「ハッキリしてない……?」

歩夢(それは……)

【死亡推定時刻】
【死因】
【死体発見現場】
【〇害現場】

正しい選択肢を選べ!

429: 2018/05/06(日) 22:27:03 ID:7xP8eyyw
→【死因】

歩夢「死因だよ……モノっちーファイルには、彼方ちゃんの“死因が書いてなかった”んだ!」


『被害者は超高校級の眠り姫、近江彼方。死体発見現場は校舎2階、2-B教室』

『死亡推定時刻は昨夜22:00前後、発見時刻は翌7:30頃』

『被害者は首をロープで絞められており、体内からは毒物が検出されている』


果林「あら、言われてみれば確かに書いてないわね」

歩夢「幾つも外傷があって、それら全部が通り魔の仕業じゃないって分かる」

歩夢「その上でかすみちゃんの話が出て来れば、誰もが毒〇だって思い込むよね?」

歩夢「でも実際は書かれてない。モノっちーはこういうことに関して嘘を吐かない……」

歩夢「だったらまだ、せつ菜ちゃんが犯人じゃない可能性も残されている筈だよ!」

せつ菜「……!」

果南「うーん……確かに、そうなんだけどさ……」

430: 2018/05/06(日) 22:27:40 ID:7xP8eyyw
果南「実際、彼方が停電中に〇されたのは変わらないしねえ……」

ダイヤ「その問題が解決していませんでしたわね……」

千歌「せつ菜ちゃん以外に怪しい人……思い浮かばないや」

かすみ「結局、歩夢先輩の独りよがりですよ」

果林「そうかしら? 私は歩夢ちゃんの意見に賛同するけど」

璃奈「……私は、信じられない(>_<。)」

曜「このままかすみちゃんのペースも悔しいし、私は話し合いを続けたい!」

エマ「うーん……みんなの意見が真っ二つになっちゃったね」

鞠莉「綺麗に割れたわね。どうやって決めたもかしら……」


モノっちー「謎は、全て解ける!」

\待った!/

431: 2018/05/06(日) 22:28:43 ID:7xP8eyyw
モノっちー「意見が真っ二つ……綺麗に割れた?」

モノっちー「確かに聞きました……これはアレの出番ですネ!」ポチッ

歩夢(モノっちーがスイッチを押すと、裁判場の両サイドにあるカーテンが開く……)

歩夢(そこには、向かい合うような形で、2列の議席……)

かすみ「随分としょっぱいんですね~。もっとこう、変形する裁判場! みたいなのをかすみんは期待していたんですけど」

モノっちー「あったら面白かったんだけど、生憎そこまでは用意出来なかったからネ」

モノっちー「というワケで、それぞれ席に着いてちょうだいな。両者揃ったら、議論開始っ!」

歩夢(せつ菜ちゃんは犯人じゃない。それを証明するために……)

歩夢(ここで、負けるワケにはいかない!)

432: 2018/05/06(日) 22:30:02 ID:7xP8eyyw

        意
        見
        対
        立

       
【優木せつ菜に投票するか?】
  【議論スクラム 開始!】


[|投票する!> V S <投票しない!|]
  松浦果南    上原歩夢
 黒澤ダイヤ    エマ・ヴェルデ
  高海千歌    小原鞠莉
  桜内梨子    渡辺曜
 天王寺璃奈    国木田花丸
   宮下愛    桜坂しずく
 中須かすみ    朝香果林
          優木せつ菜

相手の主張を対応するこちらの【主張】で撃ち返せ!

433: 2018/05/06(日) 22:33:27 ID:7xP8eyyw
果南「私は彼方が死ぬ現場を見てるんだよ?」

ダイヤ「せつ菜さん以外に怪しい人物は、もう居ませんわ」

千歌「けど、もう事件の謎はハッキリしちゃったし……」

梨子「かすみちゃんの話は、かなり筋が通っていると思うけど……」

璃奈「毒薬が使われたのはハッキリしてる……(`∧´)」

愛「かすみの罠に掛かった……悔しいけど、それが真実じゃないの?」

かすみ「だからそれは歩夢先輩たちの独りよがりなんですってば~」

VS

歩夢「【独りよがり】なんかじゃない! 私は真実を見つけるんだ!」

エマ「【彼方】ちゃんがスポーツドリンクを飲む瞬間は見てないんだよね?」

鞠莉「まだ停電に関する【謎】が残っているわよ」

曜「【筋】が通っているだけで、証拠はないよね?」

花丸「彼方ちゃんが死んだ後に【毒薬】を飲ませた可能性だってあるずら!」

しずく「かすみさんがまだ何かを隠している【怪しい人物】……そう思えてならないんです」

果林「もっと話し合えば、違った【真実】が見えて来るかもしれないわ」

434: 2018/05/06(日) 22:34:35 ID:7xP8eyyw
果南「私は【彼方】が死ぬ現場を見てるんだよ?」 エマちゃん!
エマ「【彼方】ちゃんがスポーツドリンクを飲む瞬間は見てないんだよね?」
Break!
 
ダイヤ「せつ菜さん以外に【怪しい人物】は、もう居ませんわ」 しずくちゃん!
しずく「かすみさんがまだ何かを隠している【怪しい人物】……そう思えてならないんです」
Break!

千歌「けど、もう事件の【謎】はハッキリしちゃったし……」 鞠莉さん!
鞠莉「まだ停電に関する【謎】が残っているわよ」
Break!

梨子「かすみちゃんの話は、かなり【筋】が通っていると思うけど……」 曜ちゃん!
曜「【筋】が通っているだけで、証拠はないよね?」
Break!

璃奈「【毒薬】が使われたのはハッキリしてる……(`∧´)」 花丸ちゃん!
花丸「彼方ちゃんが死んだ後に【毒薬】を飲ませた可能性だってあるずら!」
Break!

愛「かすみの罠に掛かった……悔しいけど、それが【真実】じゃないの?」 果林さん!
果林「もっと話し合えば、違った【真実】が見えて来るかもしれないわ」
Break!

かすみ「だからそれは歩夢先輩たちの【独りよがり】なんですってば~」 私が!
歩夢「【独りよがり】なんかじゃない! 私は真実を見つけるんだ!」
Break!

435: 2018/05/06(日) 22:35:29 ID:7xP8eyyw

「「「「「「「これが私たちの答えだ!」」」」」」」

        全   論   破
          All Break!

436: 2018/05/06(日) 22:36:11 ID:7xP8eyyw
歩夢「やっぱり、全ての謎が明らかになってない以上、せつ菜ちゃんが犯人だって決めつけるのは早いと思う」

千歌「うーん……分かった。もう一度考えてみよう!」

愛「仕方ないかぁ。命、かかっちゃってるし」

せつ菜「……ありがとう、ございます」

ダイヤ「ですが、そうなると彼方さんの本当の死因は何なのでしょう?」

エマ「今のままじゃ、手掛かりがないよね……」

鞠莉「だったら、別の観点から攻めてみればいいんじゃないかしら」

しずく「別の観点?」

鞠莉「停電について話し合うの。今回の事件とはとても無関係とは思えないからね」

かすみ「みんなで力を合わせて、ってやつですね」

果林「かすみちゃんはその“みんな”に入って欲しくないけどね」

437: 2018/05/06(日) 22:36:54 ID:7xP8eyyw
【ノンストップ議論 開始!】
[|アイロン>
[|停電騒動>
[|教室のエアコン>

鞠莉「まずはあの停電が起きたキッカケだけど……」

曜「電気の使い過ぎで、ブレーカーが落ちたんじゃないかな?」

果林「或いは、ブレーカーに細工か……」

かすみ「そもそも、ブレーカーがどこにあるかなんて【知りません】よ」

しずく「前回の事件のように電化製品……例えば【エアコンでタイマー仕掛け】にすれば、狙った時間にブレーカーを落とせますね」

ダイヤ「そもそも……本当に停電は事件と【関係がある】のでしょうか」

花丸「電化製品周りはよく分からないずら……」

かすみ「せつ菜先輩も考えてくださいよ~」

せつ菜「あなたにだけは言われたくありません!」

歩夢(停電の原因……それを、突き止めないとね)

438: 2018/05/06(日) 22:38:13 ID:7xP8eyyw
[|教室のエアコン>→【エアコンでタイマー仕掛け】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「停電が計画的なら、タイマー仕掛けを考えるのは自然……。でも、少なくともエアコンが引き金になったとは考えにくいんだよ」

しずく「ですが、千歌さんは捜査中勝手にエアコンが点いたと言っていたような……あれ、8時半?」

歩夢「そうなんだよ。8時半じゃ、電力消費にはなっても、10時に電気を落とすことは出来ないんだ」

せつ菜「だとしたら、犯人が教室に居て、アイロンの電源を入れたのではありませんか!?」

果林「それだと、停電が起きてる間に更衣室には向かって、彼方ちゃんを〇すのは難しいわね」

せつ菜「そこは……ほら、懐中電灯を使うとか」

エマ「それはないよ! 停電が起きた時、私としずくちゃんは図書室の外に出たけど、明かりなんて見なかったよ?」

しずく「間違い、ありません。私はまっすぐ部屋に帰りましたし、誰にも会っていませんが……」

エマ「私も、そのあとすぐ図書室に戻っちゃったからね。停電が明けた時にはしずくちゃんの姿はなかったけど……」

439: 2018/05/06(日) 22:39:03 ID:7xP8eyyw
かすみ「全く……困った先輩たちですねえ。このままだと私まで死にかねないので、もう一つ白状しちゃいましょうか」

曜「やっぱり、まだ何か隠していたんだね」

かすみ「停電の原因を作ったのもかすみんです。アイロンのスイッチを入れて、エアコンのタイマーもセットしました」

かすみ「それが、昨日の夕方くらいのことです。元々、停電に関してはただのイタズラ目的でした」

果南「イタズラ目的……?」

かすみ「ええ。歩夢先輩たちが夜に図書室で集まるって話を耳にしたので……ちょっと驚かせようかなと」

果林「そのイタズラが、どうして彼方ちゃん〇しに発展したのかしらね」

かすみ「そこはあとのお楽しみってことでお願いしますよ、果林先輩」

梨子「ちょっと待って。アイロンもエアコンも夕方に準備していたなら、どうして夜10時に停電が起きたの!?」

歩夢(かすみちゃんが10時に停電を起こした方法……)

歩夢(10時……夜の、10時……)

歩夢(もしかして……?)

【閃きアナグラム 開始!】
ナ ウ ち の モ ア っ ー ノ ン ス (ダミー無)

440: 2018/05/06(日) 22:40:30 ID:7xP8eyyw
→モノっちーのアナウンス

歩夢「そうだ、モノっちーのアナウンス!」

千歌「えっ?」

歩夢「毎朝7時と毎晩10時に鳴る定時アナウンスだよ! 確か、ほとんどの部屋と廊下にモニターとスピーカーがあった筈!」

梨子「そっか……アナウンスが鳴って、一斉にそれらの電源が入ったら……」

ダイヤ「アイロンやエアコンで電力消費量が大きくなっていたところにトドメが刺され、ブレーカーが落ちて停電、という寸法ですか……」

歩夢「よく考えたら……図書室にいた私たちは、夜10時のアナウンスを聞いていなかったんだよ!」

鞠莉「もしかしたら、モノっちーに電力の限界は聞いていたかも知れないわね」

モノっちー「どきぃっ!?」

かすみ「どきぃっ!?」

果林「……これは、図星ってことでいいのかしらね」

441: 2018/05/06(日) 22:41:13 ID:7xP8eyyw
璃奈「そもそも、学校がそれだけで停電しちゃっていいの(・v・)?」

モノっちー「あのネ。補足するような形になっちゃうけど、2階にはプールがあるんだよ」

モノっちー「水の管理だとか、そういったことに手を回してるもんだから、2階はかなりの電力を消費するんだ」

モノっちー「そんなワケで、電力負担を調整するために、各フロアそれぞれが別々の電源を使っているんだよ」

鞠莉「なるほどね……。そういうことだったの」

エマ「何か分かったの?」

鞠莉「ちょっとね。私が捜査中に見つけた“アレ”の謎が、何となく解けたのよ」

かすみ「アレって何ですか~?」

千歌「鞠莉ちゃん、前回もそんなこと言ってたよね。隠してないで私たちにも教えてよー!」

歩夢(鞠莉さんが見つけたもの……? それってもしかして……)

【コトダマ一覧より選択】

442: 2018/05/06(日) 22:41:50 ID:7xP8eyyw
→【校舎1階の隠し部屋】

歩夢「校舎1階にあったっていう、隠し部屋のこと……だよね」

鞠莉「Yes!」

愛「か、隠し部屋!?」

せつ菜「そう言えば、捜査中にそんな話をしていましたね。何やら、とんでもない発見だったそうですが……」

千歌「ねえねえ、どんな発見だったの!」

鞠莉「歩夢が言ったように、隠し部屋があったのは校舎の1階。廊下の壁が、一箇所だけどんでん返しになっていてね」

鞠莉「大体こんな感じよ。広さは教室とほぼ同じってところかしら」



せつ菜「ちょっと待ってください! これ、ここ(裁判場)のエレベーターホールに繋がってないですか!?」

鞠莉「ええ、けど一旦置いておきましょう。今回の事件と大きく関わっている可能性があるのはそこじゃないわ」

ダイヤ「どういうことなのです?」

鞠莉「あの部屋ね、ブレーカーがあったのよ」

443: 2018/05/06(日) 22:42:57 ID:7xP8eyyw
曜「ブレーカー!?」

果林「つまりあの停電は、モノっちー以外の誰かがブレーカーを上げたことで直った……って言いたいのね?」

かすみ「でも、それが今回の事件とどう関係あるんですか~?」

鞠莉「突拍子もない可能性だけどね……彼方の死因に関係しているとしたら、どうかしら」

しずく「死因に……!?」

エマ「あ、あり得ないよ! どうやってブレーカーで彼方ちゃんを〇すの!?」

歩夢(ブレーカーが、彼方ちゃんの死因に関係している……?)

歩夢(だとしたら、彼方ちゃんの本当の死因って……)

【毒〇】
【感電死】
【絞〇】
【溺死】

正しい選択肢を選べ!

444: 2018/05/06(日) 22:43:28 ID:7xP8eyyw
→【感電死】

歩夢「感電死……」

せつ菜「え……?」

歩夢(でも、そんなことが狙って出来るの……?)

歩夢(いや……まさか……)

歩夢「感電死だよ! 電気に関連するとしたら、それしかない!」

愛「いやいや、ブレーカーを上げただけで感電は無理があるっしょ!」

璃奈「幾らなんでも厳しくない(・v・)?」

鞠莉「間違っていたら謝るわ。けど、可能性がある以上、是非を明らかにするためにも……」

花丸「話し合ってみる必要が……あるずら」

445: 2018/05/06(日) 22:44:11 ID:7xP8eyyw
【ノンストップ議論 開始!】
[|アイロン>
[|更衣室の水たまり>
[|教室のエアコン>

エマ「感電死なんてあり得ないよ!」

曜「仮にそうだとして……感電するような仕掛けがあったの?」

果南「更衣室には何もなかったよ。彼方が死ぬような【仕掛けなんてどこにも】……」

千歌「タンス……じゃない。ええっと……スイッチを入れると電気が流れる機械!」

かすみ「もしかして《スタンガン》のことですか~?」

千歌「そうそれ! スタンガンを使って感電死させたとかは?」

ダイヤ「いえ……スタンガンの電流で人間は死なないと聞いたことがありますが」

せつ菜「初耳ですよそんな話!?」

歩夢(感電死は不可能じゃない……けど、本当にこんなことって……?)

446: 2018/05/06(日) 22:45:47 ID:7xP8eyyw
[|更衣室の水たまり>→【仕掛けなんてどこにも】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「更衣室に残っていた水たまり……あそこに電気が流れたら、感電死は起こり得るかも知れない!」

花丸「もしかして……!」

梨子「何か分かったの?」

花丸「マル、ずっと考えてたの。彼方ちゃんの身体にあった3つの火傷、背中と右足首の裏はともかく……両足の裏を火傷するって、何があったんだろうって」

ダイヤ「では、まさか!」

花丸「水たまりに流れた電気が、それを踏んでいた両足を通して、感電した……」

曜「じゃあ、あの火傷は……」

歩夢「その時に出来たもの、ってことになる──」

エマ「È diverso!」

反論!

447: 2018/05/06(日) 22:47:06 ID:7xP8eyyw
歩夢「……え?」

エマ「ごめん。『それは違うよ』って意味だよ」

エマ「違うよ……歩夢ちゃんたちの推理は、間違ってる!」

【反論ショーダウン 開始!】
[|更衣室の水たまり>
[|校則>
[|校則違反者への処遇>

エマ「そもそも、彼方ちゃんが感電死って前提自体が違うんだよ!」

エマ「前提が違う以上、この話を続ける意味なんてない!」

エマ「さっきから言ってるのに、なんで分からないの!」

─発展─
前提が違うってどういうこと?
    他に死因があったりするの?

エマ「校則違反だよ!」

エマ「【個室以外で居眠りしてはいけない】って校則があったよね!?」

エマ「彼方ちゃんはプールで寝てしまって、それで【モノっちーに〇された】んだよ!」

歩夢(校則違反で死んだ……? そんなこと、本当にあるのかな?)

448: 2018/05/06(日) 22:47:57 ID:7xP8eyyw
[|校則違反者への処遇>→【モノっちーに〇された】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

Break!

歩夢「ううん……彼方ちゃんが校則違反で死んだとは考えられない」

エマ「どうして……?」

歩夢「校則違反者への処刑を実行する時は、まず、学園中にサイレンが鳴り響くらしいんだよ」

エマ「そんなの……昨日、2階は停電してたんだから、そこにサイレンが鳴らなかったのかも──」

歩夢「でも、学生寮にいたみんなもそんなサイレンは聞いてないんだよね!?」

エマ「っ……!?」

449: 2018/05/06(日) 22:48:38 ID:7xP8eyyw
ダイヤ「ええ……確かに、サイレンは聞いていません」

かすみ「というか、停電していた2階でもうっすら聞こえるんじゃないですか?」

歩夢「……だから、モノっちーに〇されたとは考えられないんだ」

エマ「……」

鞠莉「じゃあ改めて、水たまりの話に関する議論を再開させましょうか」

果南「そもそも、水たまりに電気を通すって話がよく分からないんだけど」

鞠莉「あら。果南の話の中に、その手掛かりが十分あったと思うけど?」

果南「え?」


彼方『頑張るね~。超高校級のダイバーさんは、やっぱり体力とか要るのかな?』

果南『まあね。どう、彼方も一緒に走る?』ピッ


せつ菜「この話に手掛かりが……?」

450: 2018/05/06(日) 22:50:04 ID:7xP8eyyw
鞠莉「果南。あなた、あの時ランニングマシーンの電源を入れたのよね?」

果南「う、うん……」

歩夢「だとしたらおかしいよ。私たちが更衣室を調べた時って、ランニングマシーンの電源が入ってたんだよ!?」

曜「おかしいところなんてないんじゃない? スイッチを入れておけば、ずっと動き続けるタイプなんでしょ?」

曜「じゃあ停電が直った時に、もう一度電源が入ったんじゃ……。現に、エアコンがそうみたいだし」

果林「いえ、それだと妙ね。捜査の時に電源が入ってたランニングマシーンは“一つだけ”だもの」

ダイヤ「果南さんが使っていた方と彼方さんに走らせる方。スイッチを入れっぱなしなら、どちらも点いていないとおかしい、ということですわね?」

せつ菜「ですが、どうしてそんなことが起きたのでしょう?」

歩夢「考えられるとしたら……」

【コトダマ一覧より選択】

451: 2018/05/06(日) 22:51:07 ID:7xP8eyyw
→【焼け落ちたケーブル】

歩夢「トラッシュルームで見つけた、焼けたケーブル……」

歩夢「あれって、そのランニングマシーンの電源ケーブルなんじゃないかな?」

璃奈「処分されていたってことは……重要な証拠(>_<。)?」

かすみ「恐らく、アレは不良品だったんだと思います」

かすみ「本来電源ケーブルって、電気を通さないためにビニールか何かに包まれているじゃないですか」

かすみ「でも、もしそのケーブルが不良品だとしたら。しかも、そこに水たまりがあって、その上に人がいたら……」



花丸「停電が直ったら、そこにいた人は感電する……」

かすみ「これについては、処分含めてかすみんがやったワケじゃありませんよ? 流石に、感電死なんて考えもしませんでしたから」

ダイヤ「ほとんど、かすみさんの手のひらの上で転がされている気がしますわね」

千歌「な、なんて恐ろしいトリック……」ゴクリ

452: 2018/05/06(日) 22:52:26 ID:7xP8eyyw
鞠莉「いえ。トリックというよりは……事故と言った方がいいかもね」

鞠莉「恐らく彼方は、停電に驚いてスポーツドリンクを落としたのでしょう」

鞠莉「飲む直前だったってことは、口は開いてる。つまり、床にこぼれた……」

梨子「そんな……それじゃあ、ブレーカーを上げた人が感電死させたことになって……!」

モノっちー「そうですネ! 近江さんを〇した、犯人ということになりますネ!」

愛「ね、ねぇ……愛さん、それだったら議論したくないよ。そいつは善意で行動したのに、どうして人〇しにならなきゃいけないのさ!」

ダイヤ「ですが……やらなくてはいけません」

果林「鞠莉ちゃん。ブレーカーを上げた人が誰なのか……手掛かりはなかったの?」

鞠莉「ないわよ」

せつ菜「じゃあ、当てずっぽうで犯人を当てるしかないのですか!?」

鞠莉「早とちりしないで頂戴。そもそも私が見つけたブレーカーは、“校舎1階の電源だけ”なんだから」

453: 2018/05/06(日) 22:53:01 ID:7xP8eyyw
しずく「……え?」

鞠莉「ほら、モノっちーも言ってたでしょ?」


モノっちー『水の管理だとか、そういったことに手を回してるもんだから、2階はかなりの電力を消費するんだ』

モノっちー『そんなワケで、電力負担を調整するために、各フロアそれぞれが別々の電源を使っているんだよ』


鞠莉「さて、ここで考えて欲しいんだけど……」

鞠莉「校舎1階の隠し部屋に、校舎1階のブレーカーがあった」

鞠莉「彼方が死んだ男子更衣室は、校舎2階……」

梨子「2階のブレーカーは、2階の隠し部屋にある……ってこと?」

鞠莉「Yes!」

454: 2018/05/06(日) 22:53:51 ID:7xP8eyyw
愛「そ、そんなの分かりっこないじゃん! 1階に隠し部屋があることすら知らなかった私たちが、2階の隠し部屋なんて……」

歩夢「いや……分かるかも知れない」

愛「……マジで?」

歩夢「鞠莉さん、言ってたよね。隠し部屋は教室くらいの広さだったって」

鞠莉「ええ、そうね」

歩夢「だとしたら……何となく、分かる気がするんだ」

歩夢「1階の隠し部屋が、ああいう隠され方をしていたのなら……」

【スポットセレクト 開始!】

no title


隠し部屋はどこにあった?

455: 2018/05/06(日) 22:54:28 ID:7xP8eyyw
no title


歩夢「ここだよ。今考えられる可能性は、それしかない」

千歌「図書室の……すぐ近く?」

鞠莉「可能性としては十分高いでしょうね。2階が開放された時、私たちは色んな部屋をくまなく調べた」

鞠莉「そこで隠し部屋が見つからなかったということは、廊下に隠されている可能性が高い……」

果林「なるほど? だから、この地図にある空白のスペースが、その部屋だってワケね」

歩夢「そうなんだよ。だとしたら……停電を復旧させたのが誰なのか、検討がついちゃうんだ」

せつ菜「えっ……!?」

曜「分かった、ってこと?」

歩夢(校舎2階の隠し部屋は、図書室のすぐ前にあった)

歩夢(停電が起きた時、善意でブレーカーを上げることが出来た人……)

歩夢(それは……)

【怪しい人物を指名しろ!】

456: 2018/05/06(日) 22:56:10 ID:7xP8eyyw
→エマ・ヴェルデ

歩夢「エマちゃん……あなたなんじゃないかな?」

エマ「……」

かすみ「へぇ。エマ先輩が犯人だったんですね」

歩夢「昨日の夜、私は鞠莉さん、果林さん、花丸ちゃん、エマちゃんと5人で図書室にいた」

歩夢「色々とお話をしている途中で、しずくちゃんが来た。今思えば、あれが10時ちょっと前」

歩夢「私たちがいることに驚いたしずくちゃんが、慌てて図書室を出て行って、それを追いかけたのがエマちゃんだった」

歩夢「停電が起きたのがその直後。だとしたら、ブレーカーを上げることが出来た人は……」

果林「慌てていたしずくちゃんにその発想があるとは考えられない。だから、エマちゃんしかいないってワケね……」

457: 2018/05/06(日) 22:57:07 ID:7xP8eyyw
エマ「……」

かすみ「どうなんですか~? 何か反論は──」

しずく「ま、待ってください! それだけで、エマちゃんを疑う理由にはなりません!」

しずく「隠し部屋だって、本当はそこになかったのかも知れないじゃないですか!」

しずく「彼方さんが感電死だって、証拠がないじゃないですか!」

エマ「しずくちゃん……」

歩夢「違うよ……。感電死だってことは証明されたし、隠し部屋だって……」

しずく「さっきのせつ菜さんの話と同じです! 手掛かりを都合よく並べて、筋が通っているだけの間違った推理をでっち上げただけじゃないですか!」

しずく「ランニングマシーンの電源を入れた果南さんだって……いえ、私だって疑われるべきなんです!」

しずく「果林さんはさっき慌てていたと言ってましたけど、本当にそうだったんでしょうか!?」

しずく「私が犯人なんです! 私がブレーカーを上げたんです!」

しずく「それでもエマちゃんが犯人だって言うなら、根拠を出してください!」

458: 2018/05/06(日) 22:57:40 ID:7xP8eyyw
エマ「……っ」

歩夢(エマちゃんが犯人になる根拠……)


モノっちー『〇害を実行した人は、ボクに願いを言ってください! 学級裁判で投票を乗り切ることが出来れば、卒業する時にそれを叶えてあげましょう』


歩夢(今だったら、分かる……)


モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

モノっちー『そうそう。何とは言わないけれど、ボクは悲しいです。何とは言わないけどネ!』


歩夢(それをぶつけるしか、ない……!)

しずく「このままじゃ、私は納得出来ません!」

459: 2018/05/06(日) 22:58:48 ID:7xP8eyyw
【理論武装 開始!】

しずく「エマちゃんは犯人じゃない!」

しずく「こんな推理、納得出来ません!」

しずく「カーテンコールにはまだ早いです!」

しずく「証拠を出してください!」

しずく「果南さんや私だって疑われるべきじゃないんですか!?」

しずく「そもそも、私が犯人なんです!」

しずく「こんな幕切れ、認められるワケないじゃないですか!」


しずく「【エマちゃんが犯人だっていう根拠を出してください!】」

      △:訪れた
□:図書室に      〇:昨晩
      ×:モノっちー

460: 2018/05/06(日) 22:59:31 ID:7xP8eyyw
→〇□△×  [|昨晩図書室に訪れたモノっちー>

歩夢「これで……終わりだよ!」

Break!!!

歩夢「停電騒動のあと……図書室にモノっちーが来たんだ」

歩夢「あの時は単に、停電でアナウンス出来なかった10時の時報を伝えに来たのかって思ってたけど……」


モノっちー『〇害を実行した人は、ボクに願いを言ってください! 学級裁判で投票を乗り切ることが出来れば、卒業する時にそれを叶えてあげましょう』


歩夢「本当は、彼方ちゃんを〇してしまったエマちゃんに、動機となる願いを聞きに来たんじゃないかな……?」

しずく「そんな、荒唐無稽すぎます……!」

歩夢「そもそも今回の事件は、事件というより事故のようなものだった。つまり“自分が犯人になっていたことに気付いていない”んだよ」

しずく「でも事故だっていう証拠は……」

461: 2018/05/06(日) 23:00:21 ID:7xP8eyyw
歩夢「今朝のモノっちーのアナウンスだよ」

しずく「え……?」


モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

モノっちー『そうそう。何とは言わないけれど、ボクは悲しいです。何とは言わないけどネ!』


歩夢「自分が犯人になったことにも気付かないまま、折角モノっちーが用意した動機を無駄にした」

歩夢「それを踏まえての、あのアナウンスってことじゃないかな?」

しずく「っ……それでも!」

果林「そもそも、しずくちゃんは犯人じゃないって、既に言ってるしねえ」

しずく「……!?」

462: 2018/05/06(日) 23:01:01 ID:7xP8eyyw
エマ『それはないよ! 停電が起きた時、私としずくちゃんは図書室の外に出たけど、明かりなんて見なかったよ?』

しずく『間違い、ありません。私はまっすぐ部屋に帰りましたし、誰にも会ってませんけど……』

エマ『私も、そのあとすぐ図書室に戻っちゃったからね。停電が明けた時にはしずくちゃんの姿はなかったけど……』


果林「まっすぐ部屋に帰った、のよね?」

しずく「あ、あれは私の嘘で……えっと……」

歩夢「私だって、エマちゃんを疑いたくない。けど、ここからは信じるしかないんだ」

歩夢「エマちゃん、本当のことを教えてくれないかな……?」

エマ「……」

しずく「エマちゃん……」




エマ「もう、いいよ」

463: 2018/05/06(日) 23:01:41 ID:7xP8eyyw
しずく「……」

しずく「……エマ、ちゃん?」

エマ「しずくちゃん……もう、いいんだよ……」

エマ「もう、やめて……」

果林「じゃあ、ブレーカーを上げた張本人だって、認めるのね」

エマ「……うん。隠し部屋のことをずっと黙っていたこともね」

しずく「そんな……」

エマ「歩夢ちゃん……最後に、この事件を最初から振り返って欲しいんだ」

エマ「しずくちゃんも、きっと納得してくれるから……」

歩夢「わ……分かった。やってみるよ」

464: 2018/05/06(日) 23:02:36 ID:7xP8eyyw
【クライマックス推理】
ACT.1
今回の事件……いや、事故の発端は昨日の夕方。
図書室に集まる予定だった私たちへのイタズラ目的で、かすみちゃんは校舎2階を停電させる計画を立てたんだ。
エアコンが8時半に点くようタイマーをセット、2階の教室に電源の入ったアイロンを設置。
あとは、夜10時のアナウンスで停電が起こる……そんな計画だった。
けど……かすみちゃんの計画は、これだけじゃ終わらなかったんだ。

ACT.2
夜、食堂でせつ菜ちゃんたちがゲームをしていたところに、彼方ちゃんが訪れる。
プールで泳いだあとに飲みたいからと、スポーツドリンクを取りに来たんだ。
そこでかすみちゃんは……どういう心変わりがあったのか分からないけど、洒落にならないイタズラを実行に移した。
彼方ちゃんを〇し、せつ菜ちゃんをクロにさせる、恐ろしい計画……。
毒入りスポーツドリンクをせつ菜ちゃんに渡させて、それを彼方ちゃんに飲ませるという、悪意に満ちた罠だったんだ!

ACT.3
そうとも知らない彼方ちゃんはプールでひとしきり泳いだあと、更衣室に戻る。
背中と右足首、火傷の跡を気にする彼女は男子更衣室を使っていたけど、そこにはトレーニングに励む果南ちゃんの姿があった。
この時、果南ちゃんが入れたランニングマシーンのスイッチが彼方ちゃんの命を奪うことになるなんて……誰も、恐らくかすみちゃんでさえ予想していなかっただろうね。

465: 2018/05/06(日) 23:04:53 ID:7xP8eyyw
ACT.4
午後10時、モノっちーの時報アナウンスが鳴ると同時に、学園中全てのモニターとスピーカーに電源が入る。
そして、使用電力の限界を迎えた校舎2階はブレーカーが落ちて停電した。
更衣室組と図書室組、2階にいた人たちはパニック状態になった……。
その中で、ある行動を取った人がいた。
それが、今回の事故で“最後の引き金”を引いてしまった人物……。

ACT.5
その人は、図書室を出てすぐにある隠し部屋へと向かった。
そこに2階のブレーカーがあることを知っていたからだよ。
善意から彼女の上げたブレーカーは……思いもよらぬ仕掛けを発動させてしまうんだ。
更衣室にいた彼方ちゃんは、停電の拍子に持っていたスポーツドリンクを落として、床に水たまりが出来てしまう。
すぐ近くにあったランニングマシーンの電源ケーブルが不良品だったことなんて、夢にも思わなかっただろうね。
停電が明け、スイッチを押したままだったランニングマシーンに電源が入り……彼女は感電死した。
スポーツドリンクはよく電気を通すし、ましてプールあがり……感電しやすい条件が揃っていたんだよ。

ACT.6
停電の最中に〇されたと思い込んだ果南ちゃんは、現場から逃走。
その後……更衣室を訪れたかすみちゃんが、ある偽装工作を行った。
前もって理科準備室から持ち出していた毒薬を死体の口に入れ、〇人鬼タカマガハラの手口に状況を似せた。
最初から、かすみちゃんによって仕組まれていた、今回の事件……。
けど彼女は……今回の犯人にならないんだ。

466: 2018/05/06(日) 23:05:34 ID:7xP8eyyw
歩夢「犯人になってしまうのは……その才能を持ちながら、皮肉にも不運な事故を引き起こしてしまった人物」

歩夢「それが……あなたなんだね」

歩夢「超高校級の幸運……エマ・ヴェルデちゃん……」

    COMPLETE!!!

467: 2018/05/06(日) 23:07:13 ID:7xP8eyyw
歩夢「これが……彼方ちゃんの死の真相……」

しずく「……」

エマ「ごめんね、しずくちゃん。折角かばってくれたのに……」

モノっちー「どうやら、議論の結論が出たみたいですネ? それでは皆さん、お待ちかねの投票タ──」

愛「ちょっと待って」

モノっちー「──んぐっ!?」

歩夢「愛ちゃん……どうしたの?」

愛「モノっちーの動機は、まだ有効なのかな」

千歌「……どういうこと?」

468: 2018/05/06(日) 23:08:41 ID:7xP8eyyw
愛「確かに、エマちーは取り返しのつかないことをしたのかも知れない」

愛「けどさ、違う人に投票するっていう手もあるっしょ?」

璃奈「エマさんは……願い事をモノっちーに伝えてない筈だよ(・v・)?」

愛「だったら今すぐにでも“コロシアイを終わらせたい”って願って、エマちー以外に投票する」

愛「そうすれば、クロだけじゃなくて、私たちもこんな学園から出られる……筈じゃないかな?」

ダイヤ「どうなのですか、モノっちー」

モノっちー「うけけけけけ……確かに、面白い提案だと思うよ」

モノっちー「でも残念、願い事はもう失効してます! だって既に……叶っちゃってるみたいだしネ」

千歌「そんな……」

愛「畜生……じゃあ、マジでエマちーに投票するしかないのかよ……」

歩夢(……?)

歩夢(願い事が既に、叶っている……?)

469: 2018/05/06(日) 23:09:17 ID:7xP8eyyw
モノっちー「もういいよネ? じゃあ、お待ちかねの投票タイムに移ります!」

モノっちー「皆さん、お手元のスイッチで投票しちゃってください!」

モノっちー「ああそうそう。ちゃんと誰かに投票してネ? 投票を放棄した人も……オシオキだからさ」

しずく「……」

エマ「ごめんね、しずくちゃん……」

歩夢(エマ・ヴェルデの名前が貼ってあるシール。その上にあるスイッチを押す……)

歩夢「……あれ?」

せつ菜「どうかしたんですか、歩夢」

歩夢「いや……何でもない」

歩夢(シールに、うっすらだけど剥がしたような跡が……)

歩夢(気のせい……?)

470: 2018/05/06(日) 23:10:31 ID:7xP8eyyw
モノっちー「投票が終わったみたいですネ。さあ、クロとなるのは誰なのか、その答えは正解なのか不正解なのか!」

曜「ちょっと待って、モノっちー!」

モノっちー「んもう。さっきからこのパターンばっかりだなあ。待ったが多すぎるゲームを作ったら、〇されるんだよ?」

モノっちー「大体、投票は終わってるの! あとは開票速報を待つだけなの! 今さら変更なんて出来ないよ!」

曜「さっき、鞠莉ちゃんの話を聞いて……疑問に思ったの」

曜「隠し部屋が、ここ(裁判場)のエレベーターホールに繋がってるって話……」

曜「結局、関係ないからってことでスルーしたけど……誰かが、その通路を通ってここまで来たとしたら……」

曜「実際……エマちゃんとかすみちゃんの名前シールに、剥がしたような跡があるんだよ」

璃奈「……えっ(?□!)」

花丸「ど、どういうことずらぁ!?」

471: 2018/05/06(日) 23:11:14 ID:7xP8eyyw
鞠莉「誰かが投票スイッチに細工をした。しかも、入れ替わっていた名前はエマとかすみ……」

鞠莉「迂闊だったわ……。エマ、あなた最初から知ってたんじゃないの?」

エマ「……」

果南「えっと……どういうこと?」

歩夢「かすみちゃんは、ケーブルの処分はしてないって言ってた……。もしかしたら、それをやったのが……」

せつ菜「エマさん、ということですか……!?」

しずく「嘘……」

鞠莉「ついでに、死体発見アナウンスについてもよ。モノっちーは“3人以上の人間が死体を発見すること”を条件にあげていたけど……」

鞠莉「今回の事件の犯人はその『3人』の中に“含まれていなかった”んじゃないかしら」

モノっちー「ぎくっ」

鞠莉「だろうと思ったわ。確かに、彼女が自分のやったことに気付いて、証拠を処分しようと動くなら……あのアナウンスは邪魔になりかねない」

梨子「果南ちゃんとかすみちゃんで、既に2人が死体を見ていたから……」

472: 2018/05/06(日) 23:17:46 ID:7xP8eyyw
かすみ「どうなんですか、エマ先輩。このままだと、先輩を除いて全滅ですよ?」

千歌「えっ!? なんでそうなるの!?」

ダイヤ「私たちが押したのはエマさんのスイッチではなく、かすみさんのスイッチだからです」

エマ「……」

せつ菜「モノっちー、今すぐ投票のやり直しを……」

モノっちー「あーあー聞こえなーい聞こえなーい。というわけで、投票結果の発表と参りましょーう!」

エマ「違う……私は……」

しずく「エマ……ちゃん?」

モノっちー「投票の結果、クロとなるのは誰なのか? その答えは正解なのか、不正解なのか~!?」

エマ「私、は……」

歩夢(焦る私たちを他所に、モノっちーは投票結果を画面に映し出す……)

473: 2018/05/06(日) 23:19:11 ID:7xP8eyyw


   VOTE

エマ エマ エマ
   GUILTY



エマ「……」

エマ「……え?」



 学 級 裁 判 
   閉  廷

474: 2018/05/06(日) 23:20:40 ID:7xP8eyyw
モノっちー「ひゃっほーう! 2連続正解だぁ!」

モノっちー「《超高校級の眠り姫》近江彼方さんを〇し、裁判場に細工をした不届き者は……」

モノっちー「《超高校級の幸運》エマ・ヴェルデさんなのでしたー!」

エマ「…………」

歩夢「どういう……こと?」

璃奈「かすみちゃんじゃ……ない(?□!)」

梨子「モノっちーも、最初から細工のことには気づいていた……ってことかしら」

モノっちー「まあネ。ここにも監視カメラは仕掛けてあるし……青ざめた顔した彼女が夜中に侵入して来たことも、全部お見通しだったよ」

花丸「じゃあ……自分が〇してしまった、ってことも知ってたずら……?」

エマ「……全部」

しずく「え……?」

エマ「全部……かすみちゃんが、悪いのに……!」

475: 2018/05/06(日) 23:21:27 ID:7xP8eyyw
────昨晩0時頃、学生寮廊下

エマ『んー……なんだか眠れないや』

トテトテトテ

エマ『……?』

かすみ『……あれ、エマ先輩じゃないですか』

エマ『かすみちゃんも、眠れないの?』

かすみ『んー……ある意味、そうですね。予想を大きく裏切ってくれる超高校級の皆さんには、尊敬の念を抱かずには居られません♪』

エマ『……どういうこと?』

かすみ『まさか感で……おっと、今のは独り言です。じきに分かりますよ、先輩』

エマ『……よく分からないけど、おやすみ』

かすみ『はーい。おやすみなさ~い』ガチャリ

エマ『……』

476: 2018/05/06(日) 23:22:02 ID:7xP8eyyw
果南「夜時間に、かすみと会ってた……?」

かすみ「あー、そういえばそんなこともありましたっけ」

エマ「何だか嫌な予感がして……校舎を見て回ったの。そうしたら……」

果林「彼方ちゃんの死体を見つけた、ってワケね」

エマ「すぐにみんなを呼ぼうって思った。けど、少し考えて……気付いちゃった」

エマ「元々悪いのはかすみちゃん。でも、最後に引き金を引いたのは私……」

歩夢「だから、電源コードを処分したんだね……」

エマ「……うん。燃え残っちゃったのは、慌ててたから、だと思う」

かすみ「だからって、裁判場に細工までしなくったっていいじゃないですか~。そこまでして死にたくないんですか?」

エマ「死にたくないに決まってるよ!」

477: 2018/05/06(日) 23:23:08 ID:7xP8eyyw
エマ「停電が起きた時、図書室から悲鳴が聞こえてきて、何とかしなきゃって思った!」

エマ「廊下を走ってたしずくちゃんが、転んだら危ないって思った!」

エマ「ブレーカーがどこにあるかを知ってるのは私だけ! 私にしか出来ないって思った!」

エマ「私は、みんなを助けたくて行動したのに……」

エマ「なんで彼方ちゃんが死んでるの!? なんで私が〇されなきゃいけないの!?」

エマ「なんで、こんな、理不尽なこと……」

モノっちー「まあ、理不尽なゲームだからね。多少のことは受け入れて貰わないと」

ダイヤ「今は黙っててくださる?」

モノっちー「いやいや、そうも行かないよ。ボクだって、そろそろアレをやりたくて仕方がないんだ」

愛「……まさか!」

モノっちー「うん、そのまさか。オシオキだよ」

モノっちー「オマエらだって、投票そのものを誤認させて全滅を狙った人の話なんてもう聞きたくないでしょ?」

478: 2018/05/06(日) 23:23:41 ID:7xP8eyyw
バッ

しずく「やらせない……!」

エマ「しずく、ちゃん……?」

しずく「エマちゃんが彼方ちゃんを〇したとか、全滅させようとしたとか、そんなことはもういいんです……!」

しずく「エマちゃんは怯えていた私のことを、ずっと想っていてくれた。みんなの為を思っていた」

しずく「そんな優しい人が、〇されていい筈ありません……!」

かすみ「だったら、優しかった津島先輩たちも〇されるべきではありませんでしたよね~」

モノっちー「オシオキの邪魔をするなら、オマエも校則違反扱いにしてオシオキだよ?」

しずく「っ、それでも……!」

エマ「ダメだよ、しずくちゃん」

479: 2018/05/06(日) 23:24:23 ID:7xP8eyyw
しずく「……」

エマ「いいんだよ、もう……」

しずく「諦めるん……ですか……?」

しずく「あんなに、死にたくなかったのに……どうして諦めるんですか……っ」

しずく「エマちゃんは、何も悪くないのに……!」

エマ「いいんだよ……。モノっちーの言う通り、願い事は叶ったから……」

しずく「え……?」

モノっちー「さて、茶番もいいところで……」

モノっちー「今回は《超高校級の幸運》エマ・ヴェルデさんのために、スペシャルなオシオキを用意しました!」

エマ「しずくちゃん、みんな……本当にごめんね」

モノっちー「それでは張り切って行きましょう! オシオキターイム!」

エマ「ようやく、仲直り出来たのになぁ……」

480: 2018/05/06(日) 23:25:41 ID:7xP8eyyw

     GAME OVER
ヴェルデさんがクロにきまりました。
   おしおきをかいしします。

481: 2018/05/06(日) 23:27:23 ID:7xP8eyyw
前回のクロ同様、首輪で薄暗い部屋に連れ去られたエマ・ヴェルデ。

これまた前回同様、磔にされた彼女。前回と違うことがあるとすれば。

背後に大きな壁があることと、その壁に十字架のポーズで磔にされていること。



〈Crisi dei capelli rossi(赤髪危機一髪)〉
《超高校級の幸運 エマ・ヴェルデ処刑執行》

482: 2018/05/06(日) 23:28:27 ID:7xP8eyyw
磔にされたエマの前に、帽子を被り、クロスボウを持ったモノっちーが立っています。

彼(?)が放った赤い色の矢は、まっすぐエマの身体に……当たることはありません。

軌道が逸れて、右腕の下に当たったようです。これには思わず彼女も冷や汗。

モノっちーは、再び矢を放ちます。

2本、3本、4本……。

しかし、どれもエマには当たりません。

ギリギリ当たらないものもあれば、大きく軌道が逸れたものも。

幸運なことに、彼女にはかすり傷ひとつつきません。

幸運な彼女の奥歯は、ガチガチと歪な音を鳴らします。

業を煮やしたモノっちーは、機関銃のようなものに大量の矢をセットしました。

赤い軌跡を描いて放たれる幾多もの矢。

それらはすべて真正面にいるエマに向けられている筈なのに、1本たりと命中しません。

483: 2018/05/06(日) 23:29:20 ID:7xP8eyyw
ぜぇ、ぜぇと息を切らせるモノっちー。

赤い矢が大量に刺さった壁は、当然ながら真っ赤に染まります。

しかし、その中央、磔にされたエマだけは赤く染まらず。

さながら、彼女の故郷であるスイスの国旗のようでした。

当の本人は、目玉があちらこちらに泳いでいるようです。

そんな彼女が最後に捉えたのは、ゼロ距離でクロスボウを構えたモノっちー。

トスン。

確実に脳天に当てると、彼女を磔にしていた壁が突然動き出します。

ぴょーん! と、大きな図体に見合わぬ跳ね方をした壁は数秒で落下し、バラバラに砕け散りました。

仕事を終えたモノっちーは一息。

手元に置いてあったリンゴをかじろうとして……ふと、思い出しました。

これは元々彼女の頭上に置くものだったのではないか、と。

……まあ、いっか。

そんな表情を浮かべながら、結局ティータイムに入るのでした。

484: 2018/05/06(日) 23:30:07 ID:7xP8eyyw
しずく「エマ、ちゃん……」

千歌「……っ」

果南「……」

モノっちー「うけけけけけ……精々、安らかに眠ることだネ……」

歩夢「……」

歩夢(終わった……)

歩夢(2度目の事件、2度目の処刑)

歩夢(改めて……この学園では、人の命がどれだけ軽く扱われるのかと実感する)

かすみ「あーあ、これじゃまるで葬式パーティーじゃないですか。皆さん、超高校級のお顔が台無しですよ~?」

ダイヤ「相変わらず、人を苛立たせることには長けていますわね」

かすみ「ふふん♪ それじゃ、かすみんは一足先に帰らせてもらいますよ~。いい加減朝ご飯を食べないといけませんから」タッタッタッ

歩夢(言うだけ言って……かすみちゃんは足早に裁判場から姿を消した)

歩夢(後に残された私たちは……文字通り、お葬式のようだった)

485: 2018/05/06(日) 23:31:08 ID:7xP8eyyw
しずく「……私。左腕が、肩から上にあがらないんです」

花丸「……ずら?」

しずく「最初に気付いたのは、この学園に来てすぐでした。その時はまだ、原因が何なのかよく分かっていなかったんです」

しずく「けど、あの日……図書室で例のファイルを見かけた時……」


しずく『未解決事件・ケース“タカマガハラ”……?』

しずく『……』

エマ『しずくちゃん、どうかしたの?』

しずく『い、いえ、何でも……』


しずく「読んではいけない。頭のどこかで、分かっていました。けど、私はその指を止められなくて……」

486: 2018/05/06(日) 23:31:45 ID:7xP8eyyw
【劇団さかみち団員、襲われる 通り魔の犯行か】

『8月21日午後20時頃、全国を駆け回る人気劇団・さかみちの団員たちが、静岡公演のために宿泊していたホテル近辺の路地で何者かに襲われた』

『劇団の若手スターとして活躍している桜坂しずくさん(16)などが重症を負ったが、全員命に別状はない』

『また、犯人と思しき人物は同日16時頃にも近辺に出没しており、その際近江遥さん(16)ほかが頭を打つなどの軽症を負った』

『いずれも現場にはロープが落ちていたことから、警察は通り魔・タカマガハラが事件に関与している可能性を視野に入れて捜査を進めている』

しずく(何、これ……)

しずく『……っ!』ダッ!

エマ『え、しずくちゃん!?』

しずく(通り魔……重症……!?)

しずく(分からない……何も、分からないよ……)

487: 2018/05/06(日) 23:32:36 ID:7xP8eyyw
しずく「お部屋に戻ってすぐ、シャワールームに入りました」

しずく「その時、ようやく気付いたんです……」

歩夢(そう言うと、しずくちゃんは突然上着を脱いで行く……)

モノっちー「なになに、そういうショーでも始まるのかな!?」

果林「あなたは黙ってて」

歩夢(彼女が私たちに見せた、その背中は……)

しずく「……ひどい、傷ですよね」

曜「背中を……ナナメに……」

歩夢(服を着直し、彼女は再び説明を始めた)

しずく「原因は、すぐに分かりました。腕が上がらないのはこれなんだって」

しずく「笑っちゃいますよね。お陰で、この学園を出ても大好きな演劇に支障が出ちゃいます」

しずく「でも私は、何も覚えていないんです」

梨子「覚えていない?」

488: 2018/05/06(日) 23:33:12 ID:7xP8eyyw
しずく「そもそも私は、劇団さかみちの一員として静岡に行ったことはまだないんです」

しずく「それなのに……私は、静岡に行ったことになっていて」

しずく「いつの間にか通り魔に襲われていて、いつの間にか左腕が上がらなくなっていて」

しずく「どうして……こんなことになっているんですか」

しずく「どうして、私はっ! 自分の身に降りかかった不幸を何も覚えていないんですかっ!!!」

しずく「こんなっ……大好きなことが出来なくなるような、大きな傷なのにっ……!」

せつ菜「しずく、さん……」

千歌「だから……しずくちゃんは部屋に閉じこもってたんだね」

千歌「怖くて、怖くて……何もかも、信じられなくなってたんだね」

しずく「……」コクリ

489: 2018/05/06(日) 23:34:17 ID:7xP8eyyw
しずく「でも……エマちゃんには、悪いことをしちゃいました」

しずく「図書室で調べ物をしている私に、届かない位置にある本を取ってくれたりと、親切にしてくれたんです」

しずく「それなのに、私は……」

しずく「だからせめて、庇ってあげたかったんです」

歩夢「それで、あの反論……」

しずく「エマちゃん、言ってくれたんです。慣れないことが多くて、失敗も多いかも知れないけど……これからもよろしくね、って」

しずく「でも、私はっ……!」

愛「……願い事は叶ってた、って、そういうことだったんだね」

しずく「えっ……?」

490: 2018/05/06(日) 23:34:49 ID:7xP8eyyw
愛「エマちーは、しずくと仲直りしたいってずっと悩んでた」

愛「でも、二人がそうやってお互いを想うことが出来たってことはさ」

愛「きっと、出来てたんだよ。仲直り(>v<)」

璃奈「ちょっと、璃奈ちゃんボード勝手に取らないで(>_<。)!」

愛「ごめんごめん。とにかく……今は前を向いて行けばいいんだよ」

愛「折角仲直り出来たのに……お友達に示しがつかないっしょ?」

しずく「……」

しずく「……そう、ですね」

しずく「ありがとうございます……」

491: 2018/05/06(日) 23:35:22 ID:7xP8eyyw
グ~~~

曜「……」

曜「ごめん……私のお腹の虫、みたいだね」

しずく「……」プッ

しずく「……ふふっ」

曜「ちょっと、笑わないでよー!」

歩夢(こうして……2回目の学級裁判は幕を閉じた)

歩夢(失った物は大きい。この学園生活の終わりも、まだまだ姿を見せない)

歩夢(けれど……一歩ずつ、先に進んでいる)

歩夢(みんなで力を合わせれば……きっと、大丈夫)

鞠莉「歩夢……時間のある時に、私の個室に来てくれるかしら」

歩夢(……幾つかの、不安を除いて)

492: 2018/05/06(日) 23:35:55 ID:7xP8eyyw
かすみ「あーやだやだ。協力って、かすみんが一番嫌いな言葉なんですよ」

かすみ「力を合わせたところで、どうにもならないものはどうにもならないんです」

かすみ「だったら、私は……」

かすみ「……」

かすみ「ま、ゆっくり考えますか。今日は甘い物が食べたい気分です♪」

493: 2018/05/06(日) 23:36:26 ID:7xP8eyyw
Chapter2 END

no title


To be continued……


プレゼント“切れたミサンガ”を獲得しました。

496: 2018/06/26(火) 21:59:47 ID:v5I.QDzw
────歩夢の個室

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン

歩夢「……」

歩夢「なんで……私と千歌ちゃん、だけ……」

歩夢(2度目の学級裁判を終えて、その日の夜)


鞠莉『歩夢……時間のある時に、私の個室に来てくれるかしら』


歩夢(私の脳裏には、鞠莉さんの話がこびりついていた)

497: 2018/06/26(火) 22:00:43 ID:v5I.QDzw
────夕方、鞠莉の部屋

鞠莉『まずはお疲れさま、歩夢。あなた、超高校級の探偵を名乗ってもいいんじゃないかしら?』

歩夢『そんな、私なんて……』

鞠莉『ケンソンしなくたっていいのよ。さて、本題だけど……単刀直入に言うわ』

鞠莉『あなたと千歌っち、プロフィールがない』

歩夢『えっ……?』

鞠莉『昨日話したでしょう? 例の【虹ヶ咲学園生徒プロフィール】の話よ』

歩夢『あの、そうじゃなくて……』

鞠莉『苦労したのよ? 先に解析出来そうなロックを後回しにして、難しい方から手をつけたんだから』

歩夢『いや、だから……』

鞠莉『分かってるわ。どうして2人の分がないのか、でしょ?』

498: 2018/06/26(火) 22:02:03 ID:v5I.QDzw
鞠莉『プロフィールがないというよりは、削除された、と言った方が正しいわね』

歩夢『削除……消されたってことですか?』

鞠莉『ええ。あなたたちのページは、入力データが消去された痕跡があるのよ』

歩夢『なんで、そんなこと……』

鞠莉『2人が才能を思い出せないこと、もしくは……他に消されたページと関係があるかも知れないわね』

歩夢『?』

鞠莉『意図的に消されたと思われるプロフィールは、あなたたちを含めて10人近く』

鞠莉『それら全てに共通しているのは、私たちと同じ“虹ヶ咲学園14期生から16期生までのデータ”だってことよ』

歩夢『……』

499: 2018/06/26(火) 22:03:38 ID:v5I.QDzw
鞠莉『わざわざ削除したってことは、モノっちーにとって知られたくない秘密があるってことなんじゃないかしら』

歩夢『なんで……私の才能が……知られたくない秘密なんですか……』

鞠莉『【持ち出し厳禁】のファイルを確認しないことには、何とも言えないわ』

鞠莉『幸い、【虹ヶ咲学園生徒プロフィール】よりは組まれてるプロテクトが楽だからね。頑張るわ』

歩夢『……』

鞠莉『それと、今回の彼方の事件に関してなんだけど──』


歩夢(……そこから先、鞠莉さんが何を言っていたのかは、ほとんど覚えていない)

歩夢(“分からない点が残っている”……覚えているのは、そのフレーズだけ)

歩夢(何が、分からないんだろう。あんな悲しい事件のことは、あまり思い出したくないのに)

歩夢(ただでさえ、分からないことがいっぱいなのに)

歩夢(これ以上、“分からない”を増やされても……)

歩夢「……」

歩夢「……おやすみなさい」


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