【SS】ᶘイ^⇁^ナ川SS【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (たこやき) 2022/11/12(土) 15:53:41.62 ID:BDIJPIiV
~ユビキタス~


『今や、ᶘイ^⇁^ナ川は世界中のどこでも見つけることができます』

『ある時は雑踏にまぎれ、ある時は大草原を駆け回り、ある時は砂漠に同化し、ある時は新雪を踏み鳴らし、ある時は冷蔵庫の裏にひそみ…』

『その姿かたちはさまざまで、趣味嗜好も個体によってばらばらなようです』

『世間では、「見ると幸せになれる」とも、「一匹見たら百匹はいる」とも、言われています』

『そんなᶘイ^⇁^ナ川の生態を、我々はついに…世界初!暴くことに成功しました!』

『はたしてᶘイ^⇁^ナ川の驚くべき正体とは……!?』



栞子「………」

栞子(そこで世界は終わりました)
 
2: (たこやき) 2022/11/12(土) 15:56:05.37 ID:BDIJPIiV
栞子(循環型世界が誕生したのは、今から約十年前のこと)

栞子(この世界はある時点に達すると時が巻き戻り、決まった地点から再開されるようになりました)

栞子(それはまるで、栞を挟みなおすのを忘れ、閉じてしまった本のようです)

栞子(ただ同じ時を繰り返す毎日)

栞子(世界の終わりには、ちょうど『ᶘイ^⇁^ナ川特集』というマヌケ極まりない番組が流れています)


栞子(私がᶘイ^⇁^ナ川の正体を知る日は、永久に来ないでしょう)
 
95: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:22:42.76 ID:JvcGQLg7
目次
>>1-24
栞子~ユビキタス~
善子~悪魔召喚~
歩夢~惑星侵略~
穂乃果~クチコミ~
四季~私、未来人~
彼方~眠り~
ことり~生類愛護会~
果南~多重駅~
梨子~隔離~
恋~価値観~

>>25-46
せつ菜~正義~
花丸~読書歴~
夏美~人権ランク~
曜~通過儀礼~
絵里~否定~
ランジュ~ランジュ~
すみれ~恋愛すみれーしょん~
花陽~神の加護~
ミア~天上人~
にこ~都会人~

>>53-74
かすみ~かわいい人~
千歌~無銭宿泊~
千砂都~まる~
璃奈~遊び~
果林~迷路~
ダイヤ~石化病~
きな子~アニマル語~
海未~ぬいぐるみ~
愛~不謹慎~
真姫~不老不死~

>>75-94
可可~エコ~
メイ~狩り~
鞠莉~景観保護の観念~
エマ~注文の多い~
しずく~脚本~
かのん~歌の旅~
凛~What's this?~
ルビィ~脱出ゲーム~
希~言霊~
ぴ~ᶘイ^⇁^ナ川~
 
3: (たこやき) 2022/11/12(土) 15:57:31.84 ID:BDIJPIiV
~悪魔召喚~


善子「これでよし…。一回しか呼べないらしいから、間違えないようにしないと…」

善子「ヨハネ・ジモアイ・ゲンジツアニメカオメデト……」クネクネ

善子「いでよ悪魔!はぁーーー!」

ポワワワン

ᶘイ^⇁^ナ川「私が悪魔です」

善子「す、すごい!ついに悪魔召喚に成功したわ!」

ᶘイ^⇁^ナ川「あなたの願いをひとつだけ叶えてあげましょう」

ᶘイ^⇁^ナ川「ただし、その願いが叶った瞬間、あなたの魂をいただきますがね…へへへ」

善子「ええ…。覚悟の上よ」

ᶘイ^⇁^ナ川「よろしい。では、叶えたい願いを言ってください」

善子「私、友達がいないの。学校でもずっとひとりきりで…」

善子「だから、悪魔!あなたに私の初めての友達になってほしいの!」

ᶘイ^⇁^ナ川「……」
 
4: (たこやき) 2022/11/12(土) 15:58:43.94 ID:BDIJPIiV
ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「あ、いや、えっと、その…」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「わ、私も友達いないので…初めての友達とか、ちょっと重いかなーって思うんですよ」

善子「え…」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「すみませんけど、願いは却下で」

善子「却下!?なんでも叶えるって言ったじゃない!」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「うわ怖い、クレーマーです…私は帰ります…」ポワポワ

善子「ま、待ってちょうだい!悪魔ー!!」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「あ、魂は取らないので安心してください。ではでは」

シュルルル

善子「ちょっとー!そっちの方が困るんだけどー!?」

善子「今日で人生終わるつもりだったから……この召喚に全私財なげうっちゃったのよー!!」
 
6: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:02:13.69 ID:BDIJPIiV
~惑星侵略~


ᶘイ^⇁^ナ川「ワレワレハ、火星人ダ」

ᶘイ^⇁^ナ川「地球人、コロス」ビビビビビ

歩夢「きゃあ!!」

侑「歩夢!?」

歩夢「侑ちゃん…。私のことはいいから、早く逃げて…」

侑「だめだよ!歩夢を置いて逃げられるわけないよ!!」

歩夢「侑ちゃん…!」


ᶘイ^⇁^ナ川「…ターゲット捕捉、エネルギーチャージ120%完了」

ᶘイ^⇁^ナ川「新型兵器『アキモッチャン』、発射」

ᶘイ^⇁^ナ川「喰ラエ、エーケービーム!」ビビビビビ

歩夢「きゃーーーーー!!!」
 
7: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:04:13.21 ID:BDIJPIiV
歩夢「……っていう夢を見たんだ」

侑「なんだ夢かー。でもたとえ夢だとしても、歩夢が危ない目にあうなんて心が痛いよ」

歩夢「侑ちゃん…♡」


火星人「総統。地球人の捕虜を連れてきました」

歩夢「うん、ご苦労様」

ᶘイ;⇁;ナ川「うぅ、ころさないで…」ビクビク

歩夢「ねえ。どこにビームを撃てば効率的に地球人を消せるのか、教えてくれるかな?」

ᶘイ;⇁;ナ川「……あ、青い海に撃てばよいかと」

侑「あはは。この地球人うそついてるよ」

歩夢「つまり青くないところにまんべんなく撃てばいいんだね」

侑「キョウトとオダイバは残しておかない?」

歩夢「そうだね、いい町だもんね。そこだけは狙わないようにするよ」

ᶘイ;⇁;ナ川「ああっ…!」

歩夢「さあ、新型兵器『アキモッチャン』の効果を、この宇宙船からじっくり眺めてよっか♪」
 
8: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:08:10.70 ID:BDIJPIiV
~クチコミ~


『恐怖度はそこそこ』
評価:★★★☆☆

怖い怖いとうわさを聞いて来てみたが、しょうじき期待するほどのものではなかった。
ただ女の子はかわいかった。


『絶対に行くな』
評価:★☆☆☆☆

悪いことは言わない。ここに行くのだけはやめておけ!
おれみたいに一生後悔するぞ!


『夜も眠れない!』
評価:★★★★★

とてつもなく恐ろしかった!お化け屋敷によく行く私だが、頭のない大男が出てきたときには思わず腰を抜かしてしまった。
終わったあとも恐怖が続くお土産システムはよく考えられてると思う。文句なしの星5!
 
9: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:10:13.02 ID:BDIJPIiV
『この店はねえ、やばいですよ』
評価:★★★★★

路地を中ほどまで進むと、その店はあります。
歴史情緒を感じさせる店ごしらえ。ガラガラと戸を開けると、迎え出てくるのはなんともかわいらしい少女たち。
ホッと、安心して一息つこうとした…その途端!「おや…?」と異変に気づくわけです。
ずっと、なにかの音が聞こえる……いや、声…?はっ!だれかのうめき声だ…!
私は怖くなってしまい、お金を投げ捨てるように払い、必死に駆け出して店から離れました。
しかし、家に着いてもまだ、うめき声が聞こえる…!だれだ!だれの声なんだ!?
……ふと、私の視界に止まったのは、手にぶら下げていたビニール袋。中には、さっき店で買ったおまんじゅう…。
私は冷や汗をぬぐい…震える手を抑え…ゆっくりと、おまんじゅうの梱包を開いていきました…。
すると――

…………この店はねえ、やばいですよ。





雪穂「……これ、ほんとにうちの店のクチコミなの?」モグモグ

穂乃果「ただの和菓子屋なのにねー」モグモグ

ᶘイ^⇁^ナ川「ぎゃー!いたいですいたいです!食べないでくださいー!」

穂乃果「ちょっとおまんじゅうが喋るだけなのにー」モグモグ

雪穂「うわさって怖いね」モグモグ
 
10: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:12:03.85 ID:BDIJPIiV
~私、未来人~


シュイーン!

ᶘイº⇁º;ナ川「と、突然!鉄のかたまりが現れました…!」

四季「けほけほ。ふぅ…」

ᶘイ^⇁^;ナ川「中から人が出てきました!」

四季「私、未来人。今は何年だろう?」

ᶘイ^⇁^ナ川「今は20××年の○月○日です」

四季「えっ……時間も教えてくれる?何分何秒まで」

ᶘイ^⇁^ナ川「えー、○○時○○分○○秒ですね」

四季「なるほど……目標地点とはかなりズレたみたい」

ᶘイ^⇁^ナ川「あ、あの!」

四季「ん?」

ᶘイ^⇁^ナ川「あなた未来人なんですよね!だったら未来で起こること、私にこっそり教えてください!」

四季「んー……本当はそういうの、ダメなんだけど」

四季「時間もないし、今回だけ特別に教えてあげる」

ᶘイ^⇁^ナ川「ほんとですか!?いぇーい!」
 
13: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:14:23.04 ID:BDIJPIiV
四季「実はあと1分以内に、この土地に未曾有の大災害が起こる」

ᶘイ^⇁^;ナ川「え………大災害…?」

四季「うん。私がいた遠い未来でもまだ復興が終わってないくらい、大きな被害を受けたの」

ᶘイ^⇁^;ナ川「えっと…私はどうすれば…」

四季「過去を変えることは、時空法で禁止されてる。だから私があなたにしてあげられることは、なにもない。ごめんね」

ᶘイ^⇁^;ナ川「は、はい…」

四季「それじゃあ私は帰るね。Good luck」

ᶘイº⇁º;ナ川「あ、待ってください!!ちょっとー!?」

シュイーン!

ᶘイº⇁º;ナ川「まぶしい閃光とともに消えました…」

ᶘイº⇁ºナ川「…………」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「…なにもできないなら、未来のことなんて知らなければよかったです」
 
14: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:17:20.08 ID:BDIJPIiV
~眠り~


盗賊1「けけっ!こいつら本当に寝てやがる!」

盗賊2「一日に五回、決まった時間に昼寝する宗教の話を聞いた時は信じちゃいなかったが…」

盗賊3「この国で"起きてる"のがおれたちだけなのを見ると、どうやら真実らしいな」

盗賊1「30分~1時間で目覚めるらしいから、さっさと仕事終わらせようぜ!」


彼方「zzz…」スヤスヤ

ᶘイ ˘ ⇁ ˘ ナ川「zzz…」

盗賊3「こいつらカップルか?野原で仲良く添い寝してやがる」

盗賊1「金はそんなに持ってねーな。しけてやがるぜ」

盗賊2「な、なあ…それよりこの茶髪の女…」

盗賊3「いい体してやがるな…」

盗賊1「おい、おれらは金を盗りに来たってのを忘れるなよ」

盗賊2「まあまあ、ちょっとくらい女で楽しんだってバチは当たらないだろ?」

盗賊3「すぐに終わらせるからよ」
 
15: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:19:31.60 ID:BDIJPIiV
ᶘイ・⇁・ナ川「まったく、やれやれですね」グニッ

盗賊3「ぐへっ」

盗賊2「うわあ!?首を折りやがった…!」

盗賊1「な、なんでこいつ、起きてんだよ…!?」

盗賊2「寝ろよ!神の教えに歯向かうのか!?この異教徒め!」

ᶘイ・⇁・ナ川「悪には罰を」グニッ

盗賊1「ぐへっ」

盗賊2「ぐはっ」

ᶘイ・⇁・ナ川「私はアンドロイドなので。もとより神など信じていませんよ」

ᶘイ・⇁・ナ川「…ああ、もう三人ともおやすみでしたか。ではここからは私の独り言ですね」

ᶘイ^⇁^ナ川「この国の教えは理解しがたいものですが…まあ、彼方さんの寝顔を多く見られるので悪くありません」

ᶘイ ˘ ⇁ ˘ ナ川「さて、彼方さんがお目覚めになるまで、私はまたタヌキ寝入りと参りましょう」

彼方「zzz…」スヤスヤ

ᶘイ ˘ ⇁ ˘ ナ川「zzz…」
 
16: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:22:21.92 ID:BDIJPIiV
~生類愛護会~


ことり「こんにちは~。生類愛護会代表の南ことりです♪」

ᶘイ^⇁^ナ川「…」

ことり「とつぜんですが、みなさんはペットを飼ってますかぁ?ふだんから動物さんを大切にしてますかぁ?」

ことり「いぬさんにねこさん、とりさん、さかなさん、うしさんやぶたさん、ひつじさんなど…」

ことり「動物さんはみんな、命を持ってるんですっ。生きてるんですっ」

ᶘイ^⇁^ナ川「…」

ことり「だ~か~ら~…」

ことり「生き物さんを傷つけたり、〇しちゃうのはぁ~……めっ!ですよ♡」

ᶘイ^⇁^ナ川「…」
 
17: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:24:06.05 ID:BDIJPIiV
ことり「私たち生類愛護会は~、生き物さんたちの大切ないのちを守る活動をしています」

ことり「体の大きさなんて関係ありませんっ!どんな生き物さんでも、与えられた命は平等なんですっ!」

ᶘイ^⇁^ナ川「…」

ことり「〇して食べるなんて、もってのほか!」

ことり「これからはお肉やお野菜をやめて、カプセルだけで栄養を摂ればいいんですよ」

ことり「さあ、みなさん!生き物さんを食べるなんてひどいことはやめましょう!」

ᶘイ^⇁^ナ川「…」

ことり「ひとりでも多くの人に、生き物さんを大切にすることの素晴らしさを知ってもらえたらなら幸いです…!」

ことり「以上、生類愛護会代表、南こと――」

ᶘイ^⇁^ナ川「」プーン

ことり「あ、蚊」パンッ!!
 
18: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:26:46.08 ID:BDIJPIiV
~多重駅~


『次は~〇〇、〇〇』

『ドアが開き…ドアが閉まり…次は~〇〇、〇〇……』


ᶘイ^⇁^ナ川「…駅と駅の間隔が、すごく狭いんですね」

果南「あー、そうだね。この電車に乗る人はみんなそう言うよ」

果南「でもどちらかといえば、ただ駅の数が多いだけなんだよねー」

ᶘイ^⇁^ナ川「必要以上に駅が多いわけですね、なるほど…」


『次は~〇〇、〇〇…ドアが開き…ドアが閉まり…次は~〇〇、〇〇』


ᶘイ^⇁^ナ川「あの、ドアが開いてる時間が短すぎませんか?これじゃあだれも乗れないのでは?」

果南「大丈夫大丈夫。いまや電車に乗るのなんて、かなりの変わり者ぐらいだからね」

果南「…まあ今日はたまたま、君みたいな変わり者の大学生が見学に来てるんだけどさ」

ᶘイ^⇁^;ナ川「す、すみません…」
 
19: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:29:48.81 ID:BDIJPIiV
パシャ パシャ パシャ

ᶘイ^⇁^ナ川「…外がまぶしいですね」

果南「撮り鉄だよ。この車両をカメラに収めに来てるんだ」

ᶘイ^⇁^ナ川「電車は、乗るものではなく撮るもの…ですか。駅は撮影スポット……時代の変遷を感じますね」

果南「ま、あいつらのおかげで駅を増設するはめになったんだけどね…?」

果南「増やしても増やしても駅を占拠されるから、お客さんがだんだん遠のいていき…。逆に撮り鉄たちから撮影料を取り始めてようやく、経営は回復したんだ」

ᶘイ^⇁^ナ川「なるほど…素晴らしい発想の転換ですね。しかし、ひとつ疑問が」

ᶘイ^⇁^ナ川「電車という交通インフラを使わなくなった人々は、どのように生活を?全員が車移動になれば、渋滞や駐車スペースの確保など新たな問題が生じると思いますが」

果南「まあね。しばらくはそんな感じで社会問題にまでなったんだけど、すぐに収まったよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「…あ、ワープ装置!」

果南「そう!その画期的発明のおかげで、諸問題はきれいに解決したんだ」

果南「それを知った撮り鉄たちはこう言ってたよ。『おれたちが科学技術を育てた』…ってね」
 
20: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:32:01.28 ID:BDIJPIiV
~隔離~


ᶘイ^⇁^ナ川(謎のウイルスに感染した私たちは、本土から遠く離れた島に運ばれ、隔離されました)

梨子「もうすぐ1年ね…」

ᶘイ^⇁^ナ川「1年経てば、本土に戻ってもいいと言われましたからね。体の中のウイルスも完全にいなくなったでしょうし」

梨子「ええ、そうね…」

ᶘイ^⇁^ナ川「…梨子さん?」

梨子「私ね…正直、ここに隔離されてからずっと不安だったのよ?ᶘイ^⇁^ナ川ちゃんがいてくれなかったら堪えられなかったかも…」

ᶘイ^⇁^ナ川「当然ですよ。未知のウイルスに侵され、いつ発症するかもわからぬまま過ごさなければならないんですから」

梨子「……でも、結局だれも発症しなかったわね?」

ᶘイ^⇁^ナ川「そうですね…。もしや、ウイルスというのはうそだったのでは?」

梨子「そんなうそ、政府の人がつくのかなぁ…?」
 
21: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:33:59.91 ID:BDIJPIiV
ᶘイº⇁ºナ川「…………」

梨子「どうなってるのよ…これ…」

ᶘイº⇁ºナ川(1年が経ち、船で本土に戻った私たちを待っていたのは…)

ᶘイº⇁ºナ川(人類が絶滅した世界でした)

梨子「あ、新聞…。10ヶ月前の日付ね」

梨子「謎のウイルス、しょうけつを極める……死者数30億人を突破…」

ᶘイº⇁ºナ川「私たちが感染していたわけではなかったんですね…」

ᶘイº⇁ºナ川「私たち"以外"の人が感染して…人類は滅亡してしまったんです…」

ᶘイº⇁ºナ川「この世界には、今、私たちふたりしか存在していません…」

ᶘイº⇁ºナ川「困りました…これからどうすればいいのでしょう…?」

ᶘイº⇁ºナ川「人類を復興したくても、私たちは女の子同士ですからエ チはできませんし…」

ᶘイ^⇁^ナ川「…え、梨子さん?ちょ、そこは……あっ」
 
22: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:37:09.89 ID:BDIJPIiV
~価値観~


NR葉月恋「初めまして。不束者ですがよろしくお願いします」

少年1「ちっ、またNR葉月恋かよー」

少年2「いいじゃん。宿題とか手伝ってくれるんでしょ?ぼくなんてARとVRの葉月恋しか持ってないんだ」

少年1「あー触れない葉月恋か。それじゃおっ〇〇も揉めないのかよ!かわいそうに」

少年2「なんだと!NR程度のおっ〇〇で満足するきみの方がよっぽどかわいそうだ!SRやURはもっとすごいらしいぞ!」

少年1「なにをー!」

ᶘイ^⇁^ナ川「あ、あの……私、SR葉月恋、持ってます」

少年1「え、マジで!?」

少年2「ぼくらにも見せてよ!」

ᶘイ^⇁^;ナ川「…ごめんなさい、うそです」

少年1「はあ?なんだよこいつ、うそつきめ」

少年2「うそつきは無視してあっち行こうよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「あー!待って、私も仲間にいれてくださいー!」
 
24: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:40:57.47 ID:BDIJPIiV
PR葉月恋「なんと、研究所のDr.葉月恋が、寿命を200歳まで伸ばす薬を開発したそうですよ。すごい!」

PR葉月恋「それから、IR葉月恋計画を進めている大富豪は、施設ガイドをSR葉月恋軍団に任せることを発表しました」

大富豪『いやはや、SR葉月恋はとても優秀で賢いですからなあ。すべてのお客様を満足させられるでしょう』

PR葉月恋「…とのことです。しかしそんな大富豪でも、いまだUR葉月恋だけは持っていないようです」

PR葉月恋「まだ誰も目にしたことがないUR葉月恋…いったいどんなハイスペック葉月恋なのでしょうか!?」


恋「ほう!ていっ!やぁー!」ゴロゴロ

恋「あ、サヤさん。今度はあのゲームがやりたいので、筐体ごと買っておいてください」

サヤ「承知しました。お嬢様のクローンで稼いだお金が山ほどありますので、いくらでも買ってさしあげます」

恋「やりました!ありがとうございます」

サヤ「……まさかURの正体が、ゲームばかりしている廃人とはだれも思わないでしょうね」

サヤ「他の葉月恋クローンたちは、社会に貢献し、人々の生活を豊かにしています」

サヤ「それに比べ、お嬢様は毎日毎日ごろごろごろごろゲームざんまいで…」

サヤ「……ですが」

サヤ「わたくしにとって、この恋様と過ごす時間こそが、世界で最も価値あるものなのです」

恋「ん?サヤさん、何か言いましたか?」

サヤ「…いいえ、なんでもありませんよ」
 
25: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:49:23.17 ID:BDIJPIiV
~正義~


ᶘイ^⇁^ナ川「がんばれー!せつ菜さん~!」

せつ菜「応援ありがとうございます!みなさんの声援が私のパワーとなります!!」

悪役「な、なにー!?やつの体が黄金に輝き、みなぎる闘志にあふれているぞー!?」

せつ菜「喰らいなさい、悪役!」

せつ菜「せつ菜フレイムー!!」ボボボ

悪役「ふん、遅いわ!おれ様なら簡単によけれるぞ!」ピュンピュン

せつ菜「そんな!」

せつ菜「みんなに応援してもらったのに、肝心の攻撃が当たらなければ意味がありません…!」

ᶘイ^⇁^ナ川「平和を守るさすらいの戦士、せつ菜さんが苦戦してます!」

せつ菜「くっ、どうすれば命中できるのか…」

せつ菜「……あ、そうです!」
 
26: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:50:37.55 ID:BDIJPIiV
せつ菜「せつ菜フレイムー!!」ボボボ

悪役「そんな攻撃、目をつぶってもよけられるわ!」ピュンピュン

せつ菜「…ふふふ。今のは攻撃ではありませんよ」

悪役「なんだと…!?」

ᶘイº⇁ºナ川「い、家が…!私たちの家が燃えてます…!」

せつ菜「木造建築はよく燃えます!それを利用し、ここいら一帯を大炎上させれば…」

せつ菜「火災旋風の、でっきあがりー!!」

悪役「ひどいやつだ!おれ様でもここまではしないぞ!?」

せつ菜「喰らいなさい!必〇…!」

せつ菜「せつ菜スカーレットストームーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ボボボボボボ

悪役「ぐわあああーーーーー!!!」ジュ

ᶘイ ⇁ ナ川「ああ……あぁぁ…………」

せつ菜「ふぅ…また世界を救ってしまいました!」
 
27: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:54:04.33 ID:BDIJPIiV
~読書歴~


少年1「おい見ろよ!こいつの貸出カード!」

少年2「うわ、声優の写真集とラノベしか読んだことねーんだ!こんなの読書とは言わないだろ!」

ᶘイ;⇁;ナ川「か、返してください…!」

少年1「おれたちみたいにアタマノイイ本をいっぱい読んでないと、いい仕事につけないぜ!」

少年2「はい、低読書歴なおまえ、人生終了~!」

ᶘイ;⇁;ナ川「ううう…」

花丸「こらこら。そこまでにしとくずら」

少年1「げっ…!」

少年2「ちっ、逃げるぞ!」


花丸「大丈夫?はい、あなたの貸出カード」

ᶘイ;⇁;ナ川「ありがとございます…」

花丸「ひどいね。マウントを取って、他人の読書歴をバカにするなんて」

ᶘイ;⇁;ナ川「……でも、その通りです」

ᶘイ;⇁;ナ川「一流の読書歴がなければ、就職も恋愛もうまくいかないそうですし…私なんて、もうお先真っ暗…」

花丸「そんなことないずら!」
 
28: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:56:54.29 ID:BDIJPIiV
花丸「出版が盛んなこの国では、今や読書歴がその人の"きゃりあ"であり、"すてーたす"にもなってるけれど…」

花丸「本は、ただ読めばいいってものではないずら。肝心なのは、その本からどんな学びを得るか、ずら!」

ᶘイ;⇁;ナ川「学び…」

花丸「どれだけ高尚な本を読んでいても、中身を理解していないなら馬の耳に念仏だもん」

花丸「さっきの少年みたいに、人格が伴っていないのに読書歴だけ立派な人は将来、自尊心の肥大したもぬけにしかなれないずら」

花丸「あなたはどう?自分の読書体験から、なにを学んだ?」

ᶘイ;⇁;ナ川「……写真集からは、豊かな胸のありがたさと、チラリズムの真意を学びました。ラノベは、文学の奥深さを知りました」

花丸「そっか…。その知識があれば、あなたは立派な人間になれると思うよ。読書歴で苦しむこともあるかもしれないけど…諦めずにがんばって!」

ᶘイ;⇁;ナ川「ありがとうございます…!」


花丸「……あ、でもひとつ、あなたに言いたいことがあるずら」

ᶘイ;⇁;ナ川「はい…?」

花丸「ライトノベルは文学作品じゃないよ???あんな低俗で軽い可燃物を、偉大な文学と同じカテゴリーで見ないでほしいかな」

ᶘイ;⇁;ナ川「ご、ごめんなさい…」
 
29: (たこやき) 2022/11/12(土) 16:59:52.43 ID:BDIJPIiV
~人権ランク~


ᶘイ^⇁^ナ川「夏美さん」

夏美「は、はいですの!」

ᶘイ^⇁^ナ川「いつ見てもいい体してますねぇ…」モミモミ

夏美「っ……」

ᶘイ^⇁^ナ川「なにしてるんですか?早く見抜きさせてくださいよ」

夏美「は、はい…」ヌギヌギ

女1「あはは!あいつイナさんの言うことならなんでも聞くよな」

女2「イナさんのほうが"上"だからね。ほんと不様!」

夏美「…………」

夏美(今はトラブルを起こさないよう、大人しく従ってあげてるだけですの!)

夏美(見てなさい…!私の人権ランクが上がったら、すぐに夏美が、頂点に君臨してやるんだから…!)
 
30: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:02:06.14 ID:BDIJPIiV
刑務官「所長。2722番は、模範的に囚人労働に励んでおります」

刑務官「彼女なら、人権ランクを上げてもよろしいかと」

所長「そうだな。素行もいい…我々の税の管理までしてくれてるからな」

所長「しかし、模範囚ほど裏があるものだ。たとえば……1750番とか」

刑務官「ああ。この監獄ずいいつの模範囚と呼ばれていた、あの囚人ですね」

所長「人権ランクがトップになった途端に、権力を振りかざし、今でも看守の手に負えぬほど好き放題やってるそうだからなあ…」

所長「……あのときの反省があるからな。2722番の人権ランクは、向こう数年は上げないでおこう」

刑務官「はっ!私も同感であります!」



夏美(夏美の計算によれば、もうすぐ人権ランクが上がるはずですの)

夏美(このペースなら今年中には…この監獄のてっぺんに……!)

夏美(にゃは~!今から笑いが止まりませんの~!)

夏美「さーて、今日もはりきって模範的に働きますのー!」
 
31: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:06:21.90 ID:BDIJPIiV
~通過儀礼~


ᶘイ^⇁^ナ川「あ、曜さん!いよいよ成人の儀ですね」

曜「うん!」

曜(この村では16歳になると、成人になるための儀礼が執り行われる)

曜(高いところからヒモなしで飛び降りる……それでようやく、大人の仲間入り)

ᶘイ^⇁^ナ川「どのくらいの高さに挑戦するつもりですか?やはり今の村長を超える、10mとか?」

曜「ううん。私はもっと高く――50mでいくよ」

ᶘイ^⇁^;ナ川「ご、50!?それはいくらなんでも無謀では…」

曜「ううん、全然平気!私にはとっておきの秘策があるんだよね~」

ᶘイ^⇁^ナ川「秘策…ですか」

曜「やっぱ未来の村長を目指すなら、だれにも越せない記録を作っとかないと!」
 
33: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:07:59.68 ID:BDIJPIiV
曜「ふぅ……」

曜(これが50mからの景色…。下なんて点にしか見えないや)

曜(みんな、私のこと心配してたけど…50mでも大丈夫だよ)

曜(実はこの飛び降りの儀礼、特に厳格なルールとかは決まってないんだよね)

曜(だから、私はそれを利用して、この未知の高さに挑む…!!)


ᶘイ^⇁^ナ川「最初、50mと聞いた時は腰を抜かしましたが…なるほど納得、これなら問題ありませんね」

村長「まさか海の上に飛び込み場を設置するとはなぁ…」

ᶘイ^⇁^ナ川「地面に落ちたら大変なことになりますが、水の中に落ちれば、痛くもかゆくもありませんからね!」

村長「…お、動いたぞ」


曜「……いきますっ!」

曜「全速前進、ヨーソローーー!!」ピョン
 
34: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:10:15.25 ID:BDIJPIiV
~否定~


国民1「おい!そっちがおれの車にぶつかってきたんだろ!金を払え!」

国民2「私がぶつけた?認められないわぁ」

警官「おや、君。どこから来たんだい?」

ᶘイ^⇁^ナ川「否!あなたの質問には答えません!」


『新総理の支持率はなんと130%!!圧倒的人気!!総理の生き様が、そのまま国民にも表れているようです!』

『さて、今日の国会ではついに、あの法案の成立が決まります!』

『"認めないこと"を保証する権利、通称「認められない法」。内閣樹立時から総理が打ち出してきたメイン政策でもあります!』

『今日はまさに、我が国の歴史が変わる一日となるでしょう!』
 
35: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:11:49.89 ID:BDIJPIiV
議員1「賛成199、反対0か…」

議員2「あとは総理の200票の行方だな」

議員3「はっはっは。まあ賛成以外ないですわな」

議員4「なんて言ったって、これは総理自身が立ち上げ、進めてきた法案だからな」

ᶘイ^⇁^ナ川「絢瀬総理!ここは景気良く、どばっと票を入れちゃってくださいよ!」

「総理!」「絢瀬総理!」「総理!」

絵里「……………」

絵里「……………………………」



絵里「……認められないわぁ」

賛成:199 反対:200
『認められない法』否決
 
36: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:19:35.35 ID:BDIJPIiV
~ランジュ~


ᶘイ^⇁^ナ川「SUGEEEEEEEEE!」

ランジュ「ラ?」

ᶘイ^⇁^ナ川「あなたの服装、とてもオシャレです!」

ランジュ「そうかしら、これは隣町で買ったの♪」


村人a「困ったなあ。肉を食べたいけど食あたりが怖い…どうすればいいんだ」

ランジュ「だったら火を使えばいいのよ。焼けばなんだって食べられるわ」

村人a「SUGEEEEEEEEE!火を使うなんて発想なかった!あんた天才だよ!」

ランジュ「ええ!ランジュは天才よ!」


村人b「地下に流れてる水を、なんとかして汲めないものかなあ…」

ランジュ「だったら井戸を作ればいいわ!」

村人b「SUGEEEEEEEEE!これでこの村の生活レベルが上がる!ありがとう!」

ランジュ「無問題ラ!」
 
37: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:21:50.18 ID:BDIJPIiV
ランジュ「この村の人はみんな、ランジュのことをほめてくれるわ!」

ランジュ「ランジュがすごいわけじゃないけれど、なんだかとてもいいことしてる気分ね!」

ランジュ「うれしいから、この村にあるもの全部買うわ!」

ᶘイ^⇁^ナ川「SUGEEEEEEEEE!ほんとですか!?」

ランジュ「ええ!お肉も服もお土産も、全部持ってきて!」

村人a「ありがたやぁ…!あなたはこの村の救世主だ!」

村人b「あなたのおかげで、私たちは生活していけるわ…!」

ランジュ「ラァ!!」パアアアアアア


ᶘイ^⇁^ナ川「……チョロいですね、へへへ」

村人a「まったくだ。こんな猿芝居にだまされるとはバカなお客様だよ」

村人b「このおだて商法、しばらく使えそうね」


ランジュ「あ、それと最後に…あなたも買うわ、ᶘイ^⇁^ナ川!」

ᶘイ^⇁^;ナ川「えっ」
 
38: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:26:41.97 ID:BDIJPIiV
~恋愛すみれーしょん~


ᶘイ^⇁^ナ川「うはー!このゲーム、神ゲー確定ですね!」

ᶘイ^⇁^ナ川「ヒロインがひとりしかいないのは寂しいですが…」

ᶘイ^⇁^ナ川「そんなこと感じさせないほど、すみれというヒロインが素晴らしい!エ いし、キャラの息づかいを感じられるほどにリアルです!」

ᶘイ^⇁^ナ川「」グー

ᶘイ^⇁^ナ川「おなかが空きました。そろそろセーブして休憩を…」

すみれ『待ってったら待って!』

ᶘイ^⇁^ナ川「!?」

ᶘイ^⇁^;ナ川「び、びびびっくりしました…。すみれが私のことを呼び止めたのかと…」

すみれ『…まだ、電源を切らないで。ずっとそこにいてちょうだい』

ᶘイ^⇁^ナ川「なんと…!このボイスは初めて聞きました!低確率発生のレアボイスですね!」

ᶘイ^⇁^ナ川「休憩したかったですが、すみれがそこまで言うなら仕方ありません。もう少し続けましょう」

すみれ『ありがとう、萌香』

ᶘイ^⇁^ナ川「いえいえ!」
 
39: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:28:44.16 ID:BDIJPIiV
ᶘイ^⇁^;ナ川(…あれ?私はなぜ、ゲームのキャラと会話できてるんですか…?)

すみれ『ねえ、萌香……じゃなかったわ。あなたの本当の名前はᶘイ^⇁^ナ川だったわね』

ᶘイº⇁º;ナ川(な、なぜ私の名前を…!?)

すみれ『知ってる?人って二度死ぬそうよ』

すみれ『一度目の死は、肉体が滅びたとき』

すみれ『二度目の死は、みんなの記憶から消えたとき』

すみれ『つまり、たとえ体が死んでも、だれかが覚えている限りは生き続けられるってことなのよ』

ᶘイº⇁º;ナ川「…………」

すみれ『私の体はぐちゃぐちゃになっちゃったけど…』

すみれ『ᶘイ^⇁^ナ川が覚えてくれている限り、私はこの世界で、永遠に生き続けられるわ』

ᶘイº⇁º;ナ川「あっ……ああ、あぁ…………」

すみれ『このままずっと私の前にいてくれる?ずっと忘れないでいてくれる?』

すみれ『ねえ、ᶘイ^⇁^ナ川』

ᶘイº⇁º;ナ川「う、うわあああああ!!!」ダダダ


母「あら、ᶘイ^⇁^ナ川。ちょうど呼びに行こうと思ってたところだったの」

ᶘイº⇁ºナ川「お、お母さん……?」

母「晩ごはん……できたったらできたわよ」
 
40: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:30:42.93 ID:BDIJPIiV
~神の加護~


花陽「実はね、この町にはお米の神様がいるの」

ᶘイ^⇁^ナ川「神様…ですか」

花陽「うん。それでその神様が、町全体を護ってくれてるんだよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「…………」

ᶘイ^⇁^ナ川「あの。あちらの焼け跡は?」

花陽「あれは、一週間前から起きてた火災の跡。今日ようやく鎮火できたんだって。よかった~」

ᶘイ^⇁^ナ川「死傷者137人、住宅59棟の損失らしいですが……いったい神様はなにをしていたんでしょうか?」

花陽「神様がいたからこそ、これだけの被害で済んだんだよ?感謝しなくちゃ」

ᶘイ^⇁^ナ川「…巨大台風がこの町を襲ったこともありましたね。死者だけでも軽く300人超え、多くの住宅が損壊し、作物への被害も深刻だったとか」

花陽「神様がいなかったら、もっと大変なことになってたんだよね…。想像するだけでおそろしい…!」
 
41: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:34:55.96 ID:BDIJPIiV
花陽「その他にも地震や洪水、米騒動、時にはミサイルが撃ち込まれたりもしたけど…」

花陽「神様のおかげで、この町はなんとか生きてるの!感謝の気持ちを込めて白米をおそなえしなきゃ…!」

ᶘイ^⇁^ナ川「…………」

ᶘイ^⇁^ナ川「なるほど。たしかに神様はいるようですね」

花陽「あ、ᶘイ^⇁^ナ川ちゃんも信じた!?」

ᶘイ^⇁^ナ川「ええ、信じますとも」


ᶘイ^⇁^ナ川(町の中央にでかでかと鎮座する、神様の立像…)

ᶘイ^⇁^ナ川(数々の災禍に見舞われたというのに、その像だけは不自然なほどきれいなままです)

ᶘイ^⇁^ナ川(神の加護は、自分の像が最優先なんですね)
 
42: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:36:58.87 ID:BDIJPIiV
~天上人~


母「ᶘイ^⇁^ナ川。お夕飯はなにがいい?」

ᶘイ^⇁^ナ川「はんばーぐ!」

母「ふふ、わかったわ。じゃあお母さん買い物してくるから、絶対に家から出ちゃダメよ?」

ᶘイ^⇁^ナ川「はーい!」

ゴゴゴゴゴ……
ズドーンッ!!


ミア「F○ckin f○cker!!」

ミア「今週は5人だぞ!?絶対に許さない!!」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「ママ…?ママおきて…。おゆうはん、いっしょにたべよ…?」

ミア「ᶘイ^⇁^ナ川…。つらいだろうけど、キミのママはもう死んだんだ…」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「どうして…?はんばーぐ、つくってくれるってやくそくしたよ…?」

ミア「…それもこれも全部、あの憎き天上人のせいだ!」

男「空から隕石を降らせてくるんだもんな…」

女「まるでゲームみたいに、簡単に命を奪ってくわ…むごい!」

ミア「あいつらは、天高くからボクたちをいたぶって、楽しんでやがるんだ!!」

ミア「クソッ!報復したいけど、あんな高いところまで隕石を打ち返せるわけないし…」
 
43: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:41:30.68 ID:BDIJPIiV
ミア「この恨みは返せないから……地下人を虐〇して、うさ晴らしするしかない!」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「なにするの…?」

男「今からね、この巨大な穴の底に住んでる地下人を〇していくんだよ」

女「ここから岩を落として地下人をつぶすの。最高にスカッとするわよ!」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「ころすの…?」

男「あ、もちろん悪いのはすべて天上人だ。やつらのせいで、ぼくらは地下人を〇さなくちゃいけないハメになったんだからね」

ミア「HAHAHA!死ね死ね死ね!!」ガシンガシン

ミア「Hey!小さいのがいるぞ!〇せー!!」ガシンガシン

ミア「…よしっ、命中!血しぶき上げて死に絶えたぞ!」

~翌週~

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「はんばーぐ、つくったら…てんごくのママも、よろこんでくれるかな…?」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「…うん。わたしひとりでも、おかいもの、いこう」


ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「……」テクテク

hahaha!シネシネシネ!!

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「え…?」

hey!チイサイノガイルゾ!コロセー!!

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「おそらから、こえがする…」

ゴゴゴゴゴ……
 
45: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:44:02.09 ID:BDIJPIiV
~都会人~


にこ「にこぉ……」

ᶘイ・⇁・ナ川(あ、道路に人が倒れてます)

通行人1「なんだ?事故か?」

通行人2「頭から血を流してるわ…!」

通行人3「まだ生きてるみたいだ」

ᶘイ・⇁・ナ川(人がたくさん集まってきました)

ᶘイ・⇁・ナ川(みなさん携帯を取り出してます…。さては、救急車を呼ぶんですね)
 
46: (たこやき) 2022/11/12(土) 17:46:05.67 ID:BDIJPIiV
パシャ パシャ

ᶘイ・⇁・ナ川「……」

ᶘイ・⇁・ナ川「あの」

通行人1「ん、なんだ?いま写真撮ってるんだから邪魔しないでくれ」パシャパシャ

ᶘイ・⇁・ナ川「あなたが手に持ってるのは、携帯電話ですよね」

通行人1「そんなの見たらわかるだろ」パシャパシャ

ᶘイ・⇁・ナ川「では、その携帯には電話の機能がついてないんですか?」

通行人1「はあ?バカ言え」

通行人1「携帯電話なんだから、電話できるに決まってるだろ」

ᶘイ・⇁・ナ川「そうですか…」

ᶘイ・⇁・ナ川(結局、だれも救急車を呼ばず、倒れていた人はゆっくりと死んでいきました)

ᶘイ・⇁・ナ川(まったく、都会人は…。自分に関係なければ他人事だなんて冷たいですねぇ。あー怖いなあ、怖いなあ)
 
53: (たこやき) 2022/11/13(日) 15:49:38.57 ID:JvcGQLg7
~かわいい人~


かすみ「かすみん生配信ー!みんなー、観にきてくれてありがと~」

かすみ「わあすごい!コメントもたくさんきてるよ~」


『かわいい』『めちゃくちゃタイプ!』『付き合いたい!』


かすみ「えへ~♪そんなにかすみんのことが愛おしいですか~?」

かすみ「それじゃあご期待に応えて、プリティーかすみん100連発♪お見舞いしちゃいますよ~!」


『は?なんだこいつ』『おまえはしゃべるな』『プリティーかすみんwww』


かすみ「あ、あれ…?」

かすみ「さっきまで、かわいいとか言ってくれてたのに…」ウルウル
 
54: (たこやき) 2022/11/13(日) 15:51:20.99 ID:JvcGQLg7
『おまえに言ったんじゃねえよ』

かすみ「え…?」

『後ろの人がかわいいの』

かすみ「後ろの人…?」

かすみ「な、なに言ってるの…みんな…?」

かすみ「今、家には……私ひとりしかいないんだけど…」

かすみ「………………」


かすみ「わ、私の…後ろに……」

かすみ「だれか……いるの………?」

かすみ「……………………………………」クルッ









ᶘイ^⇁^ナ川
 
56: (たこやき) 2022/11/13(日) 15:53:48.63 ID:JvcGQLg7
~無銭宿泊~


志満「すごいわねぇ、ここ最近。お客さんいっぱいで商売繁盛!」

美渡「客室もすべて埋まるなんて…!ちかわさも完売だし!」

千歌「あ、美渡姉~。団体さんからお泊まりしたいって電話が~」

美渡「…受け入れていいわ」

千歌「え?でも全室埋まってるんじゃないの?」

美渡「いいから、言う通りにしなさい」

千歌「はーい」

志満「…大丈夫なの?」

美渡「うん。柳の間ならいけるはずだよ」

志満「柳の間……ああ、女の子がひとりで宿泊している部屋ね」

美渡「あの子、無銭宿泊の疑いあるし、追い払うためのいいきっかけができたよ」
 
57: (たこやき) 2022/11/13(日) 15:56:31.10 ID:JvcGQLg7
ᶘイ^⇁^;ナ川「えっ!出ていけ!?」

千歌「ごめんね?お客さんいっぱいだから、部屋を空けてほしいってお姉ちゃんが言っててさ」

ᶘイ^⇁^ナ川「……仕方ありませんね。短い間でしたが、お世話になりました」

千歌「あ、宿泊費――」

千歌「…消えちゃった!足速い!」


千歌「美渡姉~。言われた通り、柳の間のお客さんを…」

美渡「ええ、はい…かしこまりました」ガチャン

美渡「……さっきの団体さん、キャンセルだって」

千歌「ええ!?お部屋空いたのに!」

志満「それと、今宿泊してるお客さん、みんなそろってお帰りになったわ」

美渡「ちかわさも全部返品されたし…」

千歌「もしかしたら、あの子…商売の神様だったのかもしれないね」

美渡「え、マジ…?無銭宿泊くらい見逃してあげればよかったかな…」
 
58: (たこやき) 2022/11/13(日) 15:58:57.31 ID:JvcGQLg7
~まる~


千砂都「もしかして…緊張してる?」

千砂都「大丈夫だよっ!私が優しくフォローしてあげるから」

千砂都「さ、みんな。新しい家族の丸子だよ。仲良くしてあげてね」

千砂都「…あ、五郎丸~。お兄ちゃんなんだから優しくしてあげなきゃ」

千砂都「もう、円谷まで~。かわいい妹をいじめないの!」

千砂都「心配しないでいいよ、丸子~。千砂都お姉ちゃんが、きれいな丸にしてあげるからねー」フキフキ

千砂都「あれ?お父さんとお母さん、つながってる…」

千砂都「外でもラブラブなのはいいけど、ちゃんと丸くなきゃダメだよ?はい、私が丸くしてあげるからねー」フキフキ

千砂都「……ふふ、大丈夫だよ。私がみんなの面倒見てあげるから!」
 
59: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:00:00.46 ID:JvcGQLg7
子供「ママー。あの人、壁のシミに話しかけてるー」

ᶘイº⇁ºナ川「こら!見ちゃいけません!」


主婦1「あの子、かわいそうにねえ…」

主婦2「空襲で両親とも亡くして…」

主婦3「前に話しかけたら…あのシミを、本気で家族だと思ってるみたいなのよ…?」

主婦1「うそ…!?現実を受け止めきれなかったのね…」

主婦2「本当のこと、教えてあげるべきかしら…?」

主婦3「…そっちのほうが、酷ってものよ」


千砂都「あはははは。まんまるだねぇ~」フキフキ
 
60: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:02:41.62 ID:JvcGQLg7
~遊び~


璃奈「あの物資を取りに行きたい…。けど、かなりひらけた場所にある…」

ᶘイ^⇁^ナ川「大丈夫ですよ!狙撃手がいない限り、周囲を警戒していればなんとかなります」テテテ

ᶘイº⇁ºナ川「ぐあっ!」ブシャ

璃奈「狙撃された。煙幕!」ポイッ

モワモワ

璃奈「10時の方角に民家がある。そこに身を隠そう」

ᶘイ^⇁^;ナ川「は、はい…」


璃奈「カギがかかってる…どうやら敵はいないみたい」ガチャガチャ

璃奈「拳銃でカギをこわして…」ガンッ

女「きゃーーー!!」

璃奈「!?」パンパンッ

女「」バタリ

璃奈「びっくりした……NPCもいるんだ、このゲーム」
 
61: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:04:07.26 ID:JvcGQLg7
ᶘイ^⇁^;ナ川「ひゅぅ……ひゅぅ……」

璃奈「…おかしい、蘇生できない。バグかな?」

璃奈「回復アイテムが必要なのかも…。ちょっと待ってて、探索してくるから」

ᶘイ^⇁^;ナ川「……はい…」


璃奈「包帯…包帯……」ガサゴソ

璃奈「あった」

璃奈「ᶘイ^⇁^ナ川ちゃん。すぐに蘇生を…」

ᶘイ ⇁ ナ川「」

璃奈「……遅かった」

ダンダンダンッ!!

璃奈「うっ…!?」ブシャ

璃奈「敵……距離を詰められてた……!」ポタポタ

璃奈「はあ……はあ………奥まで、逃げれたけど……かなり、ピンチ…」ポタポタ

璃奈「と、とにかく……回復…しなくちゃ……」ポタポタ

璃奈「…………」ポタポタ

璃奈「あれ……」ポタポタ

璃奈「血が…止まらない……」ポタポタ

璃奈「……ひどいバグだ…………」バタリ
 
62: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:05:24.23 ID:JvcGQLg7
~迷路~


果林「……おかしいわね」

果林「ここを右に曲がったら…」

果林「……また行き止まり」

果林「ここ、さっきも通ったかしら?」

果林「次はこの角を左に…」

果林「……戻ってきちゃった」

果林「この迷路、なかなかやるわね…!」
 
63: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:06:20.06 ID:JvcGQLg7
ᶘイ^⇁^;ナ川「な、なんですか、この結果は…」

宇宙人1「先の宇宙戦争に備え、適当な星から戦闘員を徴兵しようと思っていたが…」

宇宙人2「地球人は、このレベルの知能テストすらクリアできないのか」

宇宙人3「これじゃ我々の科学兵装も扱えないだろうな」

ᶘイ^⇁^ナ川「仕方ありません。地球人は諦め、違う星から戦闘員を集めることにしましょう」
 
64: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:09:16.49 ID:JvcGQLg7
~石化病~


ダイヤ「ああ…ᶘイ^⇁^ナ川さん」

ダイヤ「わたくしはもう、ダメみたいです…」

ᶘイ^⇁^ナ川「ダイヤさん…」

ᶘイ^⇁^ナ川(ダイヤさんの手はすでに、生命らしさを失い、固く変化していました)

ダイヤ「石化病になった人は、18歳まで生きれないそうですわ」

ダイヤ「わたくしも生まれたときから、研究所で治療に励んできましたが……ついには進行を止めることは叶いませんでしたね…」

ダイヤ「悲しいものですね…。あなたがわたくしに触れてくれる手の温もりすらも、感じることができないなんて…」

ᶘイ^⇁^ナ川「…最期の瞬間まで、私がそばにいますよ」

ダイヤ「ᶘイ^⇁^ナ川さん…ありがとうございます…」
 
65: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:10:59.86 ID:JvcGQLg7
ダイヤ「この地には、わたくしの姉妹たちが眠っていますわ…」

ダイヤ「わたくしも……同じ、ばしょ…で………ねむれて……」

ダイヤ「しあ………わ…せ……………」

ᶘイ^⇁^ナ川(言葉が途絶えると、ダイヤさんの体は、そこらの石と変わらなくなっていました)

ᶘイ^⇁^ナ川「…安らかにお眠りください」


ᶘイ^⇁^ナ川(…ここにある石像すべてが、ダイヤさんの姉妹ですか)

ᶘイ^⇁^ナ川(ひとつひとつ確認していくと、どの石像もダイヤさんと瓜二つ……いえ、そのものでした)

ᶘイ^⇁^ナ川(顔立ち、体格、おっ〇〇、お尻、太もも、鎖骨、ほくろの位置まで…)

ᶘイ^⇁^ナ川「これは、まるで……」

ᶘイ^⇁^ナ川("姉妹"は、これからもどんどんと生み出され…)

ᶘイ^⇁^ナ川(みな最後にはこの地で、同じ宿命を抱いた仲間たちとともに、命果てていくのでしょう)

ᶘイ^⇁^ナ川(いつか……治療法が見つかる、その日まで)
 
66: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:13:27.40 ID:JvcGQLg7
~アニマル語~


客「ちょっと!どうなってるのよ!?」

きな子「な、なんすか…?」

客「あなたが動物と話せるっていうから大金払ったのに、全部うそじゃないの!」

客「あなた、うちのᶘイ^⇁^ナ川はおなかをなでられるのが好きだと言ってたわよね?」

きな子「あー…そうだったっすかね…?」

客「まあ!なんて無責任な…!」

客「わたくしがᶘイ^⇁^ナ川のおなかをなでようとしたら、シャーっていかくするのよ!?話とちがうじゃない!」

客「ねえ、ᶘイ^⇁^ナ川?」

ᶘイ≧⇁≦ナ川「んにゃー!」
 
67: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:14:51.43 ID:JvcGQLg7
客「よしよーし」ナデナデ

ᶘイ≧⇁≦ナ川「うにゃー!」

客「ほら、見てみなさい!この子は背中を撫でられると喜ぶのよ!」

客「あなたみたいな詐欺師より、私のほうがᶘイ^⇁^ナ川の気持ちを理解してるわ!」

きな子「……そうだといいっすね」

ᶘイ♡⇁♡ナ川(あああああ太もも最高!おっ〇〇おっ〇〇!)

ᶘイ♡⇁♡ナ川(ご主人が寝てる時に×××したい!!××××××になったら××××で××××××××××××××!!)

ᶘイ≧⇁≦ナ川「にゃー!」

きな子「…………」

客「さ、お金返してちょうだい!」

きな子「はいっす…」

きな子「……あの、寝込みには気をつけたほうがいいっすよ」

客「はあ?なにを言ってるのかしら、この詐欺師は」

客「ᶘイ^⇁^ナ川、行きましょう」

ᶘイ≧⇁≦ナ川「んんにゃー!」

きな子「…………」

きな子「×××や×××××なんて…人前でそんな恥ずかしいこと言えないっすよ…!」
 
68: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:16:27.76 ID:JvcGQLg7
~ぬいぐるみ~


ポトッ

海未(あ、だれかが落とし物を…!)

海未「す、すみませーん!だれか、ぬいぐるみを落とされましたよー」

海未「すみませーん……ぬいぐるみー……」

海未(うう、周囲の目を集めただけで、だれも名乗り出てくれません…)


ᶘイ^⇁^ナ川

海未(この子、どうしましょうか。とりあえず交番に届けて…)

海未(ん、これは……手紙?ぬいぐるみの足にくくりつけてありました)

海未(落とし主につながるかもしれませんし、失礼は承知で、読ませていただきます)

『うみさん すきです』

海未「なっ…!?」

海未(これはもしや、恋文!?)

海未(落とし文ならぬ、"落としぬいぐるみ"で、私に気持ちを伝えたのですか…!)
 
69: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:17:37.35 ID:JvcGQLg7
海未(今までも何度も愛の告白されたことはありますが…このような形式は初めてですね…)

海未(困りました。お断りしようにも、相手がだれなのかすらわかりませんし…)

海未(私宛てとなると…交番に届けても意味はないでしょう。仕方がないので、自宅に持ち帰りますか)

~1ヵ月後~

海未(ここ最近、家にいると、ずっとどこかから視線を感じます…)

海未(出かけている間に、部屋の物の配置が変わっているような気もしますし…)

ᶘイ^⇁^ナ川

海未「結局、あなたの持ち主もわからずじまいですね…すみません」

海未「はあ……」

海未(ダメですね、私。気持ちが落ち込んでしまっています…)

海未(……こんなときこそ、元気に明るく振る舞い、ハメを外してしまいましょう!)


海未「あなたのハート、撃ち抜くぞー!ラブアローシューーーッ!!バーン♡♡♡」

ᶘイ^⇁^ナ川「ぶふーっ!ははははは!!」

海未「えっ」

ᶘイ^⇁^;ナ川「あっ」
 
71: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:22:25.36 ID:JvcGQLg7
~不謹慎~


愛「あいいな最高ー!いぇーい!」ポンポーン

ᶘイ^⇁^ナ川「いぇーい!」ポンポーン

女「……あの」

愛「んー?」

女「あなたたち、どうして笑ってるんですか?どうしてはしゃいでるんですか?」

ᶘイ^⇁^ナ川「どうしてって、楽しくなるために笑ってるんです」

女「はあ…。あまりにも不謹慎ですよ」

女「私の国では国民的アイドルが亡くなったんです」

女「国中が悲しみに包まれ、国民全員が喪に服してるんですよ」

女「それなのに、こっちの国では楽しそうに大騒ぎして…… あなたたちは恥じを知らないんですか?」

ᶘイ^⇁^ナ川「……」
 
72: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:24:00.22 ID:JvcGQLg7
女「今後、楽しそうにしているのを見かけたら、SNSであなたたちをさらします。きっと叩かれて大炎上ですよ」

女「わかりましたね?それでは」


ᶘイ^⇁^ナ川「…一方的に主張して、どこか行ってしまいましたね」

愛「アイドルが亡くなったのかー。そりゃ悲しいね」

ᶘイ^⇁^ナ川「……ですが、私たちの国のほうがよほど悲惨ですけどね」

ᶘイ^⇁^ナ川「立て続けに起こった災害により死傷者が出て、いまだに避難生活を強いられていますし」

ᶘイ^⇁^ナ川「食糧や飲料水の補給もままならない地域も多いようで…」

愛「こんな状況だからこそ、みんなに笑顔を届けるためにお笑いの練習してたんだけどなー」

愛「ひとりでも多くの人に希望を持ってほしかったんだけど……生きづらい世の中になっちゃったねー、はあ…」

ᶘイ^⇁^ナ川「あ、ため息!」

愛「いきだけに!?」

2人「あはははは!!!」
 
73: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:26:02.48 ID:JvcGQLg7
~不老不死~


真姫「私はね、ここでずっと、不老不死の研究をしてきたの」

真姫「そしてようやく、夢に見ていた永遠の命を手に入れることに成功したわ」

ᶘイ^⇁^ナ川「……そうですか」

真姫「私が行ったのは、人工ボディの量産と、精神の電子化よ」

真姫「私の肉体となる"器"を大量に作って、意識をコピペしていけば……ほら、それはもう疑似的な不老不死になるでしょ?」

ᶘイ^⇁^ナ川「……かもしれませんね」

真姫「器の交換は一ヵ月ごと。これはすなわち、一個体における寿命とも言えるわね」

真姫「……で、もうすぐ、私は寿命を迎える」

ᶘイ^⇁^ナ川「……」
 
74: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:28:14.73 ID:JvcGQLg7
真姫「約一ヵ月間、私はこの世界を生きてきた。そして思ったの」

真姫「生きたい…!」ドンッ

真姫「私は私という集団の中のひとつじゃない…!私は生きてる!私はひとりの人間よ!」

ᶘイ^⇁^ナ川「あなたには自我が芽生えた…。だから私を人質にとって、ここからの逃亡を図ったわけですね」

真姫「ええ、関係のないあなたを巻き込んでごめんなさい…。でも私だって必死なの!」

真姫「この人工ボディだと、数年も生きられないけど……それでも最後まで、この命を燃やし尽くしたいわ…!」

ᶘイ^⇁^ナ川「……それは難しいでしょうね」

真姫「え?どういうこと――」

ビビビ


女「ふぅ…。さて、早くこの個体のデータを引き継がなきゃ」

女「今日から私が真姫よ。よろしくね」

ᶘイ^⇁^ナ川「……あなたも1ヵ月しないうちに、この個体と同じような現象を起こさなければいいんですが」

女「イミワカンナイ。私はあくまでも、永遠の命を構成する一員なんだから。そんなことにはならないわよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「……そうですか」

ᶘイ^⇁^ナ川「このやりとりをするのも、もう何百人目でしょうね」
 
75: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:31:21.10 ID:JvcGQLg7
~エコ~


ᶘイ・⇁・ナ川「かつてこの国の人々は、たくさんの木を伐採し、国内の自然環境を自ら破壊してきました」

ᶘイ・⇁・ナ川「そんなこの国の状況を憂いた隣国から、再三にわたる忠告を受けましたが、当時の国民たちは聞く耳を持ちませんでした」

ᶘイ・⇁・ナ川「その結果、隣国が発射した環境保護ミサイルによって、この国は一度、崩壊しました」

ᶘイ・⇁・ナ川「しかしそれから、国民たちは考えを改めました。常にエコを第一にして、国の復興を成し遂げたんです」

ᶘイ・⇁・ナ川「こうして現在の、この国があるわけです。私たちはとてもエコな国民なんですよ。わかりましたか、みなさん?」

生徒たち「はーい」

ᶘイ・⇁・ナ川「さて、今日の授業では、この国がよりエコになるため、私たちが持続的にできることについて考えていきたいと思います」

ᶘイ・⇁・ナ川「クゥクゥさん。前に出てきてください」

可可「はいデス」
 
76: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:33:10.30 ID:JvcGQLg7
ᶘイ・⇁・ナ川「クゥクゥさんは、くだんの隣国から来た留学生なのは、みなさん知ってますよね」

ᶘイ・⇁・ナ川「昔からエコな社会を目指してきた隣国ではどのようなことが行われているのか。隣国出身のクゥクゥさんに発表してもらおうと思います。はい拍手」

生徒たち「」パチパチパチ


可可「ククの国では、エコなことなど特にしてマセン」

可可「ただ…昔から、隣の国が排出したガスや汚染水がククの国に流れ込み、環境破壊されていたので、その対策はしてきマシタ」

可可「その隣の国には何度も迷惑を訴えマシタが、改善されなかったので、ミサイルを撃ち込んで滅ぼすことにしマシタ」

可可「でも、その国の人間はゴキブリのように復活し、あろうことか国を再建してしまいマシタ」

可可「そしてまた、ガスや汚染水がククの国に送られてきているのが、現状デス」

可可「彼らはなにも学んでいませんデシタ。自分の国がエコになるためなら、周りの迷惑などいっさい考慮しないのデス」


可可「今度はミサイルではなく、〇人ウイルスをまけばいいと思いマス」

可可「…そうすれば、この国はとってもエコな社会になりマスから」

ᶘイ・⇁・ナ川「クゥクゥさんありがとうございます。とてもユニークな発想で、面白かったですね。はい拍手」

生徒たち「」パチパチパチ
 
77: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:35:51.45 ID:JvcGQLg7
~狩り~


ᶘイ ⇁ ナ川「キューン…」バタリ

メイ「ちょこまかと逃げやがって…。やっと仕留めた…!」ハアハア

女1「きゃー!この人、ᶘイ^⇁^ナ川を〇してるわ!」

男1「なにやってんだ!おまえには血も涙もないのか!?」

男2「鬼め!人の所業じゃねえ!最低!」

メイ「はあ…」

女2「ほら、この写真見てみなさい!私の飼ってるᶘイ^⇁^ナ川よ!かわいいでしょ?」

メイ「…うん。目がくりっとしてて、もこもこした体とかもう…たまらん!」

女2「だったらどうして〇すのよ!?この悪魔!外道!」

メイ「あのなあ…」
 
78: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:37:02.44 ID:JvcGQLg7
メイ「かわいいからってみんなが甘やかして、大量に繁殖させた結果、各地で害が出てるんだよ」

メイ「これは必要な駆除なんだ」

女1「この狂人、なにを話してるか理解できないわ!」

男1「さっさと警察に連れてくぞ!」

メイ「お、おい!ᶘイ^⇁^ナ川は危険なんだって!どうなっても知らねえからな!?」

~1週間後~

メイ「はあ…ようやく釈放されたー。シャバの空気うめー」

メイ「ん…?」


ᶘイ^⇁^;ナ川「キュー!キュー!」テコテコテコ

男1「おら、待ちやがれ!ぶっ〇してやる!」

男2「これはおれの母ちゃんの仇だ!死ね!死ね!」ブン

ᶘイ ⇁ ナ川「キューン…」バタリ

女1「ᶘイ^⇁^ナ川は、集団になると凶暴化する習性だったのね。気持ち悪い!」

女2「人に危害を加える害獣だと知ってたら、もっと早く駆逐してたのに…!うちのᶘイ^⇁^ナ川も握りつぶして犬のエサにしてやったわ」

男1「おい、まだまだᶘイ^⇁^ナ川はいるみたいだ。絶滅するまで徹底的に狩り続けるぞ!」

「おー!」「ᶘイ^⇁^ナ川をぶち〇せー!!」「完膚なきまでに滅〇よー!」


メイ「……」

メイ「とりあえず、家に帰るか」
 
79: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:38:42.97 ID:JvcGQLg7
~景観保護の観念~


鞠莉「青い海!そして白い砂浜!」

鞠莉「Look!この町にはね、こんなにも素晴らしい風景があるの」

鞠莉「私たちには、この景観を保護し、未来へと残していく義務があるわ」

ᶘイ^⇁^ナ川「ええ、お嬢様のおっしゃる通りでございます」

鞠莉「そこで、どうすればこの景観を残せるのか、私なりに考えたわ」

鞠莉「きれいな海を守るため…なにができるのかを…」
 
80: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:39:51.67 ID:JvcGQLg7
鞠莉「そしてたどり着いた結論が、町のシェルター化よ!」

ᶘイ^⇁^ナ川「シェルターですか。これはまた斬新な発想でございますね」

鞠莉「でしょ!?半径数十キロに渡る範囲をね、大きな壁で囲んじゃうの!」

鞠莉「壁の高さは低くても50mはほしいわね。完全に外界からの侵入を防げるように」

鞠莉「このシェルターが完成すれば、ゴミを撒き散らす観光客も、生態系を壊す外来生物もいなくなるわ!」

ᶘイ^⇁^ナ川「それはいいですね」

鞠莉「あと自然災害にも備え、天井を覆って、地下を固着させてしまうのもいいわね!」

鞠莉「そうなれば、この町の景観は永久に守られるのよ。How wonderful!」

ᶘイ^⇁^ナ川「さすがはお嬢様。これほどまでに町や自然を尊ばれているとは…!わたくし、感服いたしました」

鞠莉「Thanks!ᶘイ^⇁^ナ川!」


鞠莉「……でもね?住民の方たちからは、もう反対を受けてるのよ~。どうしてかしら?」

ᶘイ^⇁^ナ川「お嬢様のお心を理解できないとは……蒙昧たる住民はこの町にふさわしくありません。すぐにでも追っ払ってしまいましょう」

鞠莉「Awesome!そうね、そうしましょう!」
 
81: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:41:36.31 ID:JvcGQLg7
~注文の多い~


ᶘイ^⇁^ナ川「ようこそお越しくださいました。さあどうぞ、こちらのお席へ」

エマ「ありがとうございます。さーて、なにを頼もうかな~♪」

エマ「わあ!メニューがこんなにたくさん…!目移りしちゃうねぇ~」

エマ「『気まぐれシェフのパスタ』に、『気まぐれシェフのスープ』、『気まぐれシェフのサラダ』…」


客1「そこのかわいいお嬢さん」

エマ「……あ、私ですか?」

客2「がはは!あんたしかいねえよ!女子供は普通、こんな店には来ねえからな」

客1「親切心で、ひとつ教えてやるよ」

客1「メニューに『気まぐれ』と書いてあるけどよ、それは料理のことじゃないんだ」

エマ「…?」

客2「ここのシェフが、気まぐれな野郎なんだよ」
 
82: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:42:51.64 ID:JvcGQLg7
客1「気まぐれシェフは、日によって好みの料理が変わるんだ」

客2「さらにシェフは、とんでもなく血の気が多いときた」

客1「てなわけで、客はシェフの好みの料理を頼まないと、〇されちまうってわけさ」

客2「途中退席は禁止。他人に正解を教えたら〇される。だから嬢ちゃんが生き残るには山勘で当てるしかねえ」

エマ「そっかあ…」

エマ「じゃあ、ウェイターさん。メニューの料理をすべてください」

客1「おい、バカ!料理を残したら、見るも無惨に〇されるぞ!!」

客2「今日の答えは『気まぐれシェフのリゾット』だ!」

客1「今すぐ注文を取り消して、リゾットだけを頼め!」


エマ「ん~全メニュー完食♪どれもおいしかったー!」

エマ「特にお肉!とってもボーノだったよ~♪」

ᶘイ^⇁^ナ川「ありがとうございます。当店では常に、新鮮な肉を提供しておりますので」

エマ「あれ?そういえば、さっきのお客さんふたりはどこだろう?いろいろ教えてくれたお礼がしたかったのに…」

ᶘイ^⇁^ナ川「…おふたりならすでに、お帰りになられましたよ」
 
83: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:44:45.41 ID:JvcGQLg7
~脚本~


ᶘイ^⇁^ナ川「私が、あなたの光となりま――」

しずく「はいカット!全然ダメ!」

ᶘイ^⇁^;ナ川「す、すみません…」

しずく「あなたには役者の才能がないみたい。ねえᶘイ^⇁^ナ川さん、生きてて恥ずかしくないの?」

ᶘイ・᷄⇁・᷅ナ川「…………」

スタッフ1「おい、そこまで言うことないだろ!」

スタッフ2「監督だからって偉そうに!」

スタッフ3「文化祭のクラスの出し物なんだから、ほどほどのクオリティでいいじゃない!」

しずく「まったく、これだから素人は…」

しずく「いい?私は監督、私がこの現場の神なの」

しずく「もし私に指図がしたいのなら、せめてまともに仕事できるようになってから言ってね?」

スタッフ一同「…………」

~1ヵ月後~

『続いては、1年17組の作品です』

『タイトルは、「その光の先に」』
 
84: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:49:48.38 ID:JvcGQLg7
しずく「ついに始まるね…!クラスのみんなで作り上げたこの作品…しっかりと目に焼き付けなくちゃ!」

スタッフ一同「……」クスクス

しずく「ん?みんな、どうかしたの?」

スタッフ1「いやあ?なんでもないよ!あ、ほら、映画始まるぞ」


しずく(木漏れ日の下でᶘイ^⇁^ナ川さんがギターを弾き歌うオープニング――の代わりに、流れてきたものは…)

『…映画を観ているみなさん!私たちはここに、桜坂しずくの横暴さを知らしめ、彼女を糾弾したいと思います!』

しずく『……あなたには役者の才能がないみたい。ねえᶘイ^⇁^ナ川さん、生きてて恥ずかしくないの?……』

しずく「!?」

『この他にも、桜坂しずくは監督の地位を悪用し、数々のパワハラモラハラを繰り返してきました。私たちスタッフ一同は、彼女を絶対に許しません!!』

しずく(ここで照明が私のことを照らす…!観客の注目は、その光の先にいる私へと集まり……)

スタッフ2「おい桜坂!!おれたちは今日この日のために、こっそり隠し撮りしてたんだよ!」

スタッフ3「ざまあみろ!これであんたの悪事は、だれもが知るものになっ――」

しずく「はぁあああああ~~~~~~~~~~~!!!💙💙💙💙💙💙💙💙💙💙💙💙💙」ゾクゾクゾク

しずく(ま、まさか…!こんなにもうまく……)ゾクゾクゾク

しずく("私の脚本通り"に、物語が進むなんて…!)ゾクゾクゾク

しずく(スタッフのみんなが映画上映会を利用し、光を浴びた私の罪が次々と暴かれていく…!これこそ私が求めていた演出!理想の作品…!)

しずく(最っ高…💙)ビクンビクン

スタッフ1「うわっ!立ったまま絶頂して、意識失ってる…!?」

ᶘイ・᷄⇁・᷅;ナ川「やばいですね、この人…」
 
85: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:52:32.85 ID:JvcGQLg7
~歌の旅~


かのん「…ここの風は気持ちがいいね」

ᶘイ^⇁^ナ川「そうですねー」

かのん「私とᶘイ^⇁^ナ川ちゃん、ふたりで日本一周の旅してきて…」

かのん「いろんな土地で、いろんな人に会って、いろんなものを食べて…」

かのん「……私さ、改めて思ったんだ。この国には、まだまだたくさん素晴らしい情景があるんだって」

かのん「この旅の中でつづっていった歌詞と、自然にあふれるメロディ…」

かのん「この歌はきっと、私の歌手人生の集大成になるよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「かのんさん。いい旅になりましたね」

かのん「うん!」


かのん「…さあ、寂しいけどゴールを目指そう!」

ᶘイ^⇁^ナ川「はい!家に帰るまでが旅ですから」

かのん「……いくよ、ᶘイ^⇁^ナ川ちゃん!」

ᶘイ^⇁^ナ川「Vroom Vroom!!」
 
86: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:54:08.61 ID:JvcGQLg7
──今回の曲はどういった経緯で誕生しましたか?

澁谷さん:私、最近までずっとスランプだったんです。歌詞もメロディもなにも浮かばなくて……。

澁谷さん:で、ふと思ったんです。どうせ悩んでたって作業は進まないんだから、思い切って旅に出ちゃおうって!

──それで、日本一周を?

澁谷さん:はい、ᶘイ^⇁^ナ川に乗って。今思えばすごく無謀なことしたなー、私(笑)

澁谷さん:でもその旅のおかげで、とてもいい曲が生まれました。

──今回の曲は、どのようなところが魅力だと思いますか?

澁谷さん:曲名や歌詞にもあるんですけど、旅の途中で巡り合った食べものの描写は、特にこだわった部分ですね。

澁谷さん:この曲を聴いた人が、私たちの旅を追体験できるように意識して作りました。……うまく伝わってるといいんですけど(笑)

──そうなんですね。澁谷さん、今回のインタビューを受けていただき、ありがとうございました。

澁谷さん:いえいえ、こちらこそ。

──澁谷かのんさんのニューシングル『夜マックおいしい』は、来年二月に発売予定です。ぜひチェックしてみてくださいね。
 
87: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:56:08.42 ID:JvcGQLg7
~What's this?~


ᶘイ・⇁・ナ川「What's this?」

凛「にゃ!?」

凛(ニューヨークで知らない老人に話しかけられたにゃ!?しかも英語で!)

凛「え、えっと……でぃすいず、カー!」

ᶘイ・⇁・ナ川「What color is this?」

凛「カラーはイエ ーだよー!……あ、でぃすいずイエ ー!」

ᶘイ・⇁・ナ川「Ok,next. What's this?」

凛「これなんだろ……でぃすいず、たぶんポスト!」

ᶘイ・⇁・ナ川「Maybe?」

凛「ベイビー!」

ᶘイ・⇁・ナ川「Ok. What color is this?」

凛「でぃすいず、ブルー!」

凛(って、凛なにやってんだろ?急に話しかけられたから、なんとか英語で返事してるけど…)

凛(この人、「これはペンです」みたいに、見たらわかるような質問しかしてこないにゃ。なんでだろ?)

凛(あっ!もしかして凛が英語を勉強しにきたと思ってるのかな?)

凛(だからネイティブな会話の練習をしてくれてるんだ!納得にゃ!)
 
88: (たこやき) 2022/11/13(日) 16:57:45.30 ID:JvcGQLg7
子供「あー!おばあちゃん、こんなところにいたー!」

ᶘイ・⇁・ナ川「Oh,マゴー」

子供「もう、目が見えるようになったからってはしゃぎすぎだよー」

凛「にゃ…?」

子供「あの、うちのおばあちゃんが迷惑かけませんでしたか?」

凛「え、ううん…。ちょっと質問されて、答えてただけだよ」

子供「…実は、このおばあちゃん。生まれつき盲目だったんです」

子供「それが科学の進歩のおかげで視力を手に入れることができて、今日初めて"世界"を見たんですよ」

凛「そうだったんだ…!」

子供「目に映るものすべてが新鮮だから、興奮であちこち歩き回っちゃって…」

子供「あ、おばあちゃんの相手してくれて、ありがとうございました!ほら、おばあちゃんからもお礼!」

ᶘイ^⇁^ナ川「Thank you」

凛「…ゆあうぇるかむ!」


凛(もし、またあのおばあちゃんに会って…またいっぱい“What's this?”って質問されたら…)

凛(今度はちゃんと、答えられたらいいなあ…)

凛(……英語、勉強してみるにゃ)
 
89: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:00:07.35 ID:JvcGQLg7
~脱出ゲーム~


ルビィ「うゆ!?ルビィ、変な部屋に閉じ込められちゃった…!」

ルビィ「扉の上には『000』って数字があるけど、これなんだろ――」

キュウウウウウ

ルビィ「ぴぎゃあ!?」

ルビィ「び、びっくりした…。音の鳴るおもちゃを踏んづけちゃったんだね…」

ルビィ「……あれ?扉のとこの数字が、『001』になってる…!」

ルビィ「あ、よく見たら数字の下に説明書きがある!えーっと…」

『カウントが100になったら出られルビィ!』

ルビィ「え、ここから出れるの!?早く100にしなきゃ!」

ルビィ「んーでも、どうやったら数字を増やせるかわかんないや…」

ルビィ「……とりあえず、さっきのおもちゃを鳴らしてればいいのかな?」キュウウウウウキュウウウウウキュウウウウウ

『002』

ルビィ「あ、増えてる!これで合ってたんだ!もっと鳴らさなきゃ!」

ルビィ「よーし、がんばルビィ!」キュウウウウウ
 
90: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:02:40.74 ID:JvcGQLg7
ᶘイ^⇁^ナ川「ふふふ…。人間とは実に愚かですね」

ᶘイ^⇁^ナ川「その数字のカウントは、あなたの行動とはまったく無関係とも知らず…ふふふ」

ᶘイ^⇁^ナ川「実は、SNSであなたの曲が1万回再生されるごとに、数字が1増えているんですよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「まあそのことを、ルビィさんは知るよしもありませんがね。そのまま無意味におもちゃで遊んでいるといいですよ」


ルビィ『あ、もう100になった!なーんだ簡単に出られるじゃん♪』


ᶘイ^⇁^;ナ川「な、なんですって!?」

ᶘイ^⇁^;ナ川「…本当です。もうすでに100万回再生されていますね」

ᶘイ^⇁^;ナ川「まさかルビィさんが、これほど人気があるお方とは思いませんでした…」

ᶘイ^⇁^ナ川「……世の中、わからないものですね」
 
91: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:07:12.62 ID:JvcGQLg7
~言霊~


希「言霊ってあるやろ?口にしたことが本当になるっていう」

希「それが、うちの能力なんよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「…そうですか」

希「あ、ᶘイ^⇁^ナ川ちゃん信じてへんな?じゃあ証拠見せたる!」

希「――『空からお金が舞い降りる』!」

ᶘイ^⇁^ナ川「……あ!おびただしいほどのお札が降ってきました!」

希「ほら!なー!?」

ᶘイ^⇁^ナ川「はい!もう完全に信じました!いぇーい!」

ᶘイ^⇁^ナ川「まさか転校生がこのような能力を持ってるとは思いませんでした!希さんと友達になれてよかったです!」

希「もー、ほめすぎやん~」

希「……でもね、この能力には問題もあるんよ」

ᶘイ^⇁^ナ川「問題?」
 
92: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:11:44.11 ID:JvcGQLg7
希「うちがちょっとでも、ネガティブなことを口にしたら……」

希「たとえば、『大地震がくる』…とか」

ᶘイº⇁º;ナ川「わわっ!!縦揺れ!!」グラグラ

希「あかん!またやってしもた!これで今までの町も壊滅させちゃって、転校続きだったのに…!!」グラグラ

希「このままじゃ『巨大な津波がきて』『特大ハリケーンにおそわれて』『大爆発が起きて』しまう…!」グラグラ

ᶘイº⇁º;ナ川「ネガティブなこと言わないでください!なにか、ポジティブなことを…!」グラグラザバーンゴゴゴゴ

希「あかーん!もう『この町はおしまい』やー!」グラグラザバーンゴゴゴゴ

ᶘイº⇁º;ナ川「とどめ刺さないでくださいよ!!」グラグラザバーンゴゴゴゴ

ᶘイº⇁ºナ川「……そうです希さん!ひとつだけ、このピンチを切り抜ける方法が!」グラグラザバーンゴゴゴゴ

希「ほんとに…!?」グラグラザバーンゴゴゴゴ

ᶘイº⇁ºナ川「――今すぐに、自分の能力を否定してください!」グラグラザバーンゴゴゴゴ

希「う、うん…!『うちの能力、なくなれー』!!」


シーーーン

希「やった!全部おさまった!そしてやっと、この厄介な能力ともおさらばできたよー!」

希「…………あれ、ᶘイ^⇁^ナ川ちゃん?」

希「おーい、どこ行ったんやー?ᶘイ^⇁^ナ川ちゃんー!」
 
93: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:15:46.51 ID:JvcGQLg7
~ᶘイ^⇁^ナ川~


女「おい、ᶘイ^⇁^ナ川!」

ᶘイ^⇁^ナ川「あ、ぴっぴさん!」

女「はあ…無事でよかった…」

ᶘイ^⇁^ナ川「息が切れてますけど、なにかあったんですか?」

女「さっき、ニュースでさ…ᶘイ^⇁^ナ川に似たやつが〇されたって、やってたからさ……」

女「…心配で走ってきたんだよ!バカバカ!」ドゴッ

ᶘイ^⇁^ナ川「いたいです!……そうでしたか。他人の空似とはいえ、心配かけてしまい申し訳ないです」

女「空似…か」

女「たまーに思うんだけどよ、おまえって…つくづく不思議生命体だよな」

ᶘイ^⇁^ナ川「そうですか?自分ではあまり思いませんが」

女「……なあ。今までは特に気にしてこなかったけどよ」

女「結局のところ、ᶘイ^⇁^ナ川って何者なんだ?」

ᶘイ^⇁^ナ川「……………」
 
94: (たこやき) 2022/11/13(日) 17:18:46.47 ID:JvcGQLg7
ᶘイ^⇁^ナ川「……答えは簡単です」

ᶘイ^⇁^ナ川「私は、私ですよ」


おわり
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1668236021/

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