穂乃果(24)「ありがとうございました、またのお越しを~!」【長編SS】

AqoursーSS


137: 2020/06/30(火) 11:19:01.97 ID:jkhiq8KD
第2章「21世紀少女」

-1ヶ月後-

希「ただいまー、お昼の町内巡回終わったよ」

凛「おかえりー、早かったね!」

にこ「そりゃ早くもなるわよ。だっていつもと変わりゃしない平和な街並みよ?パパッと終わるに決まってるじゃない」

希「あれ?穂乃果ちゃんと絵里ちは?」

花陽「何か…調べる事があるって言って、二人揃って出て行っちゃった」

凛「真姫ちゃんはいつも通りお仕事にゃ」

希「真姫ちゃんは二足の草鞋で大変やね」

にこ「まぁ、真姫の財力は貴重な武器なんだし、頑張ってもらわないとね!」

花陽「えっ…」

凛「それは…」

希「にこっち…」

にこ「え…は、い、い、いや…じょ、冗談よっ!!」

3人「」ジトッ

にこ「あは、あははは!!」

穂乃果母「みんなー、お昼ご飯出来たんだけど、食べていくかしら?」

4人「わーい!いただきます!」

138: 2020/06/30(火) 11:23:42.50 ID:jkhiq8KD
~都内 某レズビアン風俗店~

穂乃果「……ここ?」

絵里「えぇ…みたいよ」

穂乃果「…初めて入るんだけど」

絵里「私はあるわよ」

穂乃果「う、うそ!?」

絵里「仕事でだけど」

穂乃果「え、どうだったの!?」

絵里「……いいから、早く行きなさい」

穂乃果「……はい」

ガチャ

黒服「いらっしゃいませ」

黒服「コースはどうなさいますか?」

穂乃果「う、うーん……これ、選ばないとダメ?」

黒服「はい」

穂乃果「じゃあ…このイチャイチャ、気になるあの子はおサセだったコースで」

黒服「こちらですね…ご指名はどうなさいますか」

穂乃果「えっと…17番で」

黒服「かしこまりました…では、こちらへどうぞ」

139: 2020/06/30(火) 11:27:23.86 ID:jkhiq8KD
ガチャリ

女「今日はよろしくお願いします♪あは♪ちゃんと待てが出来てお利口さん」

穂乃果「………」

女「緊張しなくていいのよー?とりあえずサングラスと帽子取ってもらえる?」

穂乃果「あの…私、世間では一応、指名手配犯になってるから……怖がらせちゃうかもしれないんだけど」

女「…え?」

スッ

穂乃果「やっと見つけたよ」

女「!!!」

女「だれk…むぐっっ!!!」

穂乃果「し、静かに!!」

女「うっうぅ……!!」

穂乃果「大きい声出さない!?出さないって約束してくれるなら手をどけるから!!」

女「……ん!ん!」 コクッ

穂乃果「ほんと?…じゃあ、ゆっくり外すからね」

140: 2020/06/30(火) 11:31:57.38 ID:jkhiq8KD
女「はぁ…はぁ…」

穂乃果「…1年ぶり…だよね」

女「今更…私に何のようですか」

穂乃果「聞かせて…雪穂は今どこ!?いや…じゃなくて…なにか“あいどる”について知ってる事は!?」

女「………」

穂乃果「あなたが秋穂を私の所に連れてきてから、“あいどる”は現れて…ヒデコは〇された…」

穂乃果「考えてみたら、あなたと出会ってから目まぐるしく状況が変わった」

穂乃果「その…だからつまり…あなたとあなたに秋穂を託した雪穂は“あいどる”が公に出る前から、“あいどる”の存在、そして脅威を知っていた…ってことだよね?」

女「はぁ…」

穂乃果「…?」

141: 2020/06/30(火) 11:37:34.67 ID:jkhiq8KD
女「“あいどる”は……秋穂ちゃんの片親です」

穂乃果「え……じゃ、じゃ、じゃあ……やっぱり“あいどる”は……雪………」

女「“あいどる”は雪穂じゃありません」

穂乃果「え?だって今…」

女「言ってるじゃないですか、片親だって」

穂乃果「だから雪穂なんじゃ……」

女「プッ…なんの根拠があって…」

穂乃果「こ、根拠なんてもんじゃないよ!も、もう証拠の域だよ!」

女「なぜ?」

穂乃果「だ、だって…“あいどる”は音ノ木坂の卒業生で、そんでもって音ノ木坂は女子高で…つまり秋穂の母親が雪穂な場合、必然的に父親の人ではないってことになって…」

穂乃果「その…片親と言っても、つまりそれは雪穂のこt…」

女「穂乃果さん、固定観念を捨ててください」

穂乃果「…え?」

女「男と女が子供を作る、そんな時代は終わったんですよ、とっくの昔に」

穂乃果「…え?」ドクンッ

女「話はそれだけですか?」

穂乃果「………」

女「では、私はこれで、穂乃果さんが来たことは黙っておきますから」

穂乃果「……待って」

女「なんですか?」

穂乃果「あなたは…こんなところで何してるの?」

女「………私は“あいどる”の虜になってしまったんです」ニコッ

バタンッ

穂乃果「…………」

142: 2020/06/30(火) 11:42:58.90 ID:jkhiq8KD
絵里「……遅いわね、穂乃果」

スタスタ

絵里「……ん」

絵里「どうだった?」

穂乃果「大変だよ…絵里ちゃん」フラフラ

絵里「大変って、なにが?」

穂乃果「人類の技術は私達が思ってる以上に進化してるよ……」

絵里「へ??」

絵里「話が見えないんだけど…私は収穫があったのかって言ってるの!」

穂乃果「ハッ…ご、ごめん…」

絵里「しっかりしてよね、んもぅ…」

143: 2020/06/30(火) 11:46:37.82 ID:jkhiq8KD




絵里「……つまり、秋穂ちゃんの母親は二人いる?」

穂乃果「たぶん…そういう事になる」

穂乃果「本当にそんなことが可能なのかはわからないけど…」

絵里「……で、穂乃果……雪穂ちゃんの居場所は聞けた?」

穂乃果「あっ…」

絵里「…はぁ」

絵里「戻る?」

穂乃果「……いや、いいよ……」

穂乃果「あの子の発言から考えて“あいどる”が雪穂の可能性はほぼ無くなったし」

穂乃果「だったら今、雪穂に会う必要はないもん」

穂乃果「今は“あいどる”を止める事が先だよ」

穂乃果「……お母さんに会わせられないって考えたら、秋穂には申し訳ないけど」

絵里「……ほんとにね」

144: 2020/06/30(火) 11:49:47.77 ID:jkhiq8KD
穂乃果「あっ、そうだ…あの子が出て行った後、こんなモノが落ちてて」ガサゴソ

絵里「なに?」

穂乃果「これ」スッ

絵里「……これは」

穂乃果「何か関係があるのかな?」

絵里「……まだ分からないわね、ただのファンなだけかもしれないわよ」

穂乃果「た、確かに…じゃあ返してきた方が」

絵里「例えば!の話だから…一応、私が持っておくわ」スッ

穂乃果「う、うん…」





コツコツコツ…

絵里「もうすぐアジトね」

穂乃果「アジトって…一応、私の家だよ?」

絵里「……もしかしたら尾行されてるかもしれないし、穂乃果あなた先に帰りなさい」

穂乃果「あっ、わかった…絵里ちゃんは?」

絵里「私はちょっと寄るところがあるから」

穂乃果「…そっか、じゃあ、気をつけてね!」タッタッタッ

絵里「えぇ、じゃあ…」

145: 2020/06/30(火) 11:55:32.24 ID:jkhiq8KD
コツコツコツ…

絵里「………」

希「絵里ち」

絵里「…の…希?」

絵里「どうしてここに…」

希「絵里ちがここに来るってカードがね」

絵里「…相変わらずね」

希「絵里ちこそ」

希「………」

希「ホントにごめん、こんな状況で絵里ちを呼んでしまって」

絵里「…なに言ってるの、別に希が呼んだわけじゃないでしょ」

希「でも、ウチがもう少し本腰を入れて止めてれば」

絵里「あの子達には……私が必要だから」

希「え?」

絵里「8年前も……そうやって頼られてμ'sに入った、今回も同じよ」

絵里「海未に…穂乃果に…みんなに頼られたから、戻ってきた、それだけのこと」

希「………絵里ち」

絵里「それに、あの子だって……それを願ってるはずだから……」


【絢瀬家之墓】


絵里「…そうでしょ、亜里沙」

希「……お水、汲んできたよ」

絵里「……ありがと、希」

146: 2020/06/30(火) 12:01:39.93 ID:jkhiq8KD
-同時刻- ~地下 穂乃果宅~

穂乃果「ん~、こんな事してていいのかな…」

凛「なにが?」

穂乃果「きっと“あいどる”は何か仕掛けてくる…それが分かってるのに、何もせずにゴロゴロしてるだけなんて…」

花陽「ご、ゴロゴロは緊張感なさすぎじゃ…」

凛「でも、何をしてくるか分からないなんて、対策のしようがないにゃ」

にこ「歌でも歌ったら?」

穂乃果「歌?なんで歌?」

にこ「あんた昔、歌でいろんな人の心は動かせるって言ってたじゃない」

にこ「なら、歌で“あいどる”の脅威を歌詞にして都民に呼びかければいいのよ」

花陽「それって啓蒙活動?」

穂乃果「うーん…でも今の私じゃ外で堂々と歌えないんだよね…」

にこ「ギターとかは?」

花陽「路上ライブ…だね」

穂乃果「えぇ、ギターなんてないよぉ~」

穂乃果母「え?ギター、あるわよ」

穂乃果「う、嘘!?えっ、ええ!?な、なんで?」

147: 2020/06/30(火) 12:05:19.03 ID:jkhiq8KD
穂乃果母「お父さんの!」

穂乃果「うそ~!お父さんギターなんて弾いてたの!?」

穂乃果「っていうか、なんでそのギターがここに!?燃えたんじゃ…」

穂乃果母「家が焼けてから何日か後に秋穂と二人で、残ってるもの片っ端から持ってきたのよ」

穂乃果母「奇跡的にこのギターは無事だったってわけ!」

穂乃果「へ、へぇ~…」

にこ「にこが教えた変装技術があれば、花陽の言ったみたいに、路上ライブぐらいなら出来るんじゃない?」

穂乃果「でも…私、ギター弾いた事ないんだけど…」

秋穂「え!穂乃果おばちゃん、ギター弾くの?」

穂乃果「え…ん、んぅ~…」

秋穂「秋穂聞きたい!」

穂乃果「……そうだよね、少しでも可能性があるんだ!やれる事はやろう!」

穂乃果「今からでも覚えよっか!よーし!頑張るぞー!オー!」

秋穂「オー!」


凛「仲睦まじいにゃ~!」

花陽「そうだねぇ…」

にこ「んじゃ、にこはこころ達の晩御飯を作りに一旦帰るから」

花陽「あっ…うん、気をつけてね♪」

148: 2020/06/30(火) 12:09:32.74 ID:jkhiq8KD
にこ「」スタスタ

にこ「んっ…?」

絵里「……おかえりなさい」

にこ「……なに、出待ち?」

絵里「それを言うなら待ち伏せ…でしょ?」

にこ「どっちでもいいわよ、なに?用があるなら入りなさいよ」

絵里「……にこ、あなたに折り入って話があるの」

にこ「…何よ、改まって」

絵里「今の彼女達に私が接触するのは不可能」

絵里「だから、にこのツテを利用させてもらいたいの」

にこ「……フッ、何を言い出すかと思えばこの銀河ナンバー1アイドルのにこにーを利用しようだなんて……」

絵里「お願い。誰にも出来ない、にこにしか出来ない事なの」

にこ「んっ……別に、やらないとは言ってないわよ、ちょっとからかっただけ……」

絵里「にこ…」

絵里「…クスッ、ありがと」

にこ「で、にこにしか出来ない事って?」

絵里「えぇ、これを見て」

149: 2020/06/30(火) 12:12:40.97 ID:jkhiq8KD




スタッフ「じゃあ矢澤さん、スタンバイお願いしやーす!」

スタッフ「雰囲気に合わせて、こうバキューン!!と相槌お願いします」

にこ「はーい♪(なにその雑なディレクション…にこをこんな邪険に…!!むぅ……)」

「こんにちわ、お久しぶりね矢澤にこさん」

にこ「えっ、あ、あぁA-RISE!!……さん」

にこ「今日はよろしくお願いします!」ペコリ

ツバサ「いいのよ呼び捨てで、同い年なんだし…昔の馴染みじゃない」

にこ「そ、そう?」

英玲奈「我々は昔、共に拳を交えた、言わば戦友であり宿敵」

ツバサ「そっ、だから壁なんてないのよ」

にこ「で、でも…にこ、まだ駆け出しだしー…」

あんじゅ「昔馴染みに上下関係なんて隔たりはいらないのよ♪」

にこ「そ、そうですよねぇ~♪」

スタッフ「A-RISEさん、出番っス、お願いしゃーす!」

A-RISE「では、また後で」

にこ「は、はい!また後で!」

にこ「(~~!!なんか、複雑…)」

150: 2020/06/30(火) 12:16:06.36 ID:jkhiq8KD
~~~

にこ「あんた達が調べてた人物からA-RISEの写真が出てきたぁ?」

絵里「えぇ、A-RISEは何か“あいどる”と関係があるのかもしれない」

にこ「その子がただA-RISEファンなだけなんじゃないの?」

絵里「それがわからないから、芸能界にコネがあるにこにお願いしてるのよ」

にこ「んぅ…」

絵里「私の情報ではA-RISEは今や芸能界の重鎮とも一定の関係を築いてるらしいの、調べる価値はあると思うわ…お願い、にこ」

にこ「別にいいけど…どんな感じで、何を聞き出せばいいのよ」

絵里「“あいどる”についてさりげなく聞いてくれればいいの」

絵里「変に深いところまで聞く必要はないわ、関連性があるかどうかだけわかれば…」

にこ「…わかった…」

~~~

にこ「はぁ…」

151: 2020/06/30(火) 12:18:38.57 ID:jkhiq8KD
プロデューサー「ごめ~ん!矢澤ちゃ~ん、放送終わっちゃった♪」

にこ「うぇ!?に、にこの出番は…」

プロデューサー「いや、尺なくなっちゃって☆」

にこ「そ、そんな…ちょっとぐらいは…」

プロデューサー「いや~!ちょっとぉ、放送中トラブっちゃって、みたいな?それで予想以上に時間押しちゃってー、プラス生放送だしアゲアゲで、的な!」

プロデューサー「だからA-RISEには当初の予定より長めに出てもらっちゃって!だから矢澤にこにーちゃんの、出番カット!!!ってスタッフ間で決まっちゃってさぁ~、マジサゲサゲディスカッション!!!」

にこ「…えぇ」

プロデューサー「ま、そもそもにこにーちゃんコネっしょ?しょーがないでしょ」

プロデューサー「ま、今度機会があればまた!」

プロデューサー「じゃね☆」

にこ「…………」ポカーン

にこ「……はぁ?」

152: 2020/06/30(火) 12:20:47.48 ID:jkhiq8KD
ドンッ!ドンッ!ドンッ!

にこ「信じらんない!信じらんない!信じらんなーい!!!」

にこ「にこの出番ナシ!?わざわざ呼んでおいて!?」

にこ「このにこにーに対してこんなぞんざいな扱い、ホントありえな~い!!!んもぅ~!!!」

ツバサ「矢澤さん」

にこ「何!?」

にこ「あっ…お、お疲れ様です」

ツバサ「」ニコッ

ツバサ「良かったら楽屋に来ない?お茶でも…」

にこ「い、いえ、私は……(はっ!)」

にこ「(楽屋に行けば話が切り出しやすくなるか…)」

にこ「お、お邪魔します!」

ツバサ「フフッ…そうこなくっちゃ」

ツバサ「こっちよ」

スタスタスタスタ

にこ「(……怒りで任務、忘れるところだった……///)」テユーカワスレテタ…

153: 2020/06/30(火) 12:23:08.18 ID:jkhiq8KD
バタンッ

にこ「す、すごっ…」

あんじゅ「毎週使うから、内装は私たち好みにしてるのよっ♪」

にこ「へ、へ~…(しかも、めちゃくちゃ広い…)」

ツバサ「どうぞ腰掛けて、今お茶を出すから」

にこ「あ、ありがとう…」

コポコポ……コトッ

ツバサ「……ごめんなさいね、今日」

にこ「い、いや、そんな!A-RISEはなにも悪くないし…」

英玲奈「それでも申し訳ないことをしたな」

にこ「ま、まぁ…」

154: 2020/06/30(火) 12:28:39.23 ID:pGFQRF+G
ツバサ「・・・」

あんじゅ「・・・」

英玲奈「・・・」

にこ「・・・」

ズズズッ…

にこ「(切り出すなら今しかない!!)」

にこ「そ、そういえば最近“あいどる”って人がゆ、有名ですよね~……いろんな事に手出してるし、もしかしてアイドル業界にも来たりしてぇ~……」

にこ「………(ど、どう?)」

ツバサ「どう、かしらね……私たちはそういうことに詳しくないから……」

にこ「で、ですよねぇ~!(これは、白…よね?)」

あんじゅ「うふっ…その事がどうかしたのかしら?」

にこ「い、いえ…!ちょっと気になって!」

にこ「あっ…これ以上お暇してもアレなので、にこ、そろそろ出ますね!」ペコリッ

ツバサ「もう?あと少しくらい…」

にこ「い、いえ!お茶ご馳走さまでした~!!」ビューン

・・・シーン

ツバサ「………」

ツバサ「ふぅ……」ズズ ッ

あんじゅ「あれは感づいてるわね」

英玲奈「探りを入れておいて、正解だったな」

ツバサ「一応、μ'sの件は山田先生に連絡しときましょう」

あんじゅ「そうね」

155: 2020/06/30(火) 12:34:51.55 ID:jkhiq8KD
絵里「そう…特に不審な様子はなしだったのね…」

にこ「えぇ、別に昔と変わってなかったわよ」

絵里「………わかった、ありがとう、にこ」

絵里「ご苦労だったわね」

にこ「別に~!いいわよ!にこにしか出来ない仕事だったわけだし!」

絵里「…………」

にこ「絵里…?」

絵里「にこ、今日こんな事をさせておいて……言うのもおかしいかもしれないんだけど……あなたは……もう“あいどる” に関わらない方がいいと思う」

にこ「……は?な、なんでよ……」

にこ「なんで急に、そんな事……」

絵里「あなたはまだ夢を叶えられる」

にこ「……………っ、バカにしないで!!!私だって覚悟を決めてやってんのよ!」

絵里「……にこ自身はそうかもしれない……けど、こころちゃんたちは……」

にこ「………っ」

絵里「穂乃果も…みんなも分かってくれると思う」

にこ「………」

絵里「これから戦いは本格化していくでしょうし…」

絵里「みんなには私から話しとくから」

にこ「………」

にこ「ちょっと……時間を……ちょうだい……」

絵里「……えぇ」

156: 2020/06/30(火) 12:39:49.63 ID:jkhiq8KD
-3ヶ月後- -2019年8月-

凛「ねぇねぇ、海未ちゃん」

海未「どうかしましたか?」

凛「凛も穂乃果ちゃんの助けになりたいから協力するって言ったけど…」

海未「けど?」

凛「肝心の“あいどる” が何にも仕掛けてこないじゃん」

凛「これじゃ助けようがないにゃー…」

花陽「凛ちゃん、何もないなら、それに越した事はないんだよ?」

凛「そうだけど~…」

海未「いえ、凛の言う通りです…何か不気味なほど動きがありません」

海未「私たちと接触もせずに…いったい何を企んでいるのか…」


希「ふむふむ…愛民党、和解成立、山田博子党首の手腕発揮…」バサッバサッ

海未「…山田博子?…希!ちょっとその新聞貸してください!」

希「え、いいけど…どうかしたん?」

海未「ッ……これは……」

157: 2020/06/30(火) 12:44:57.03 ID:jkhiq8KD
-深夜-AM2:00 ~商店街~

穂乃果「スゥー…ハァ…」

穂乃果「…よし!」

~~~~~♪

穂乃果「日が暮れてどこからか…」





穂乃果「ララララ~ララララ~ララララ~」

トゥドドトトドド…ッタン!

穂乃果「ありがとうございます」

・・・シーン

穂乃果「…なんて」

秋穂「おぉ~!!」パチパチパチパチ

穂乃果「どうだった?」

秋穂「すっっっっっごく!!!よかった!!!」

穂乃果「そっか!なら、よかった…」

穂乃果「さてと…んじゃ、帰ろっか」スッ

秋穂「うん!」ニギッ

158: 2020/06/30(火) 12:48:15.38 ID:jkhiq8KD
真姫「穂乃果」

穂乃果「んっ…あっ、真姫ちゃん!」

秋穂「……」スササッ

真姫「」スタスタ

穂乃果「今帰り?遅いね」

真姫「残業…それよりさっきの歌…」

穂乃果「あっ、聞いてた…?へへっ…頑張って作ってみたんだけど」

穂乃果「でも、ダメだね…。改めて真姫ちゃんや海未ちゃんの偉大さがわかるよ」

真姫「当然でしょ、簡単に超えられたら堪ったもんじゃないわ」

真姫「……でも」

穂乃果「……?でも?」

真姫「わ、私は好きだったけど…」

穂乃果「真姫ちゃんっ…!うんっ!ありがとー!」ダキッ

真姫「く、くっつかないの!もうっ///」

159: 2020/06/30(火) 12:52:16.18 ID:jkhiq8KD
穂乃果「にこちゃんに言われてギター始めたんだ……“あいどる” の脅威を少しでも多くの人に伝えようって……」

穂乃果「いやー!コード覚えるの大変だったよ!むしろ覚えられたのが奇跡っていうか」

穂乃果「あんまりストレートな歌詞だと“あいどる” に感づかれるから、歌詞書くのも苦労して…」

真姫「そう…大変だったのね」

穂乃果「うん…まぁね」





トボトボ

真姫「……にこちゃん……何してるのかしらね」

穂乃果「えっ、気になるなら会いに行きなよ」

真姫「そういう問題じゃなくて!……その、もう私たちのところには戻って……」

穂乃果「にこちゃんにも事情があるんだよ、真姫ちゃんだって…辛いなら抜けていいんだよ?」

真姫「冗談……おバカなリーダーを一人にして逃げるなんて、出来るわけないし」

穂乃果「た、たはははー…」

真姫「みんなそう思ってる」

真姫「だから…」

穂乃果「…だから?」

真姫「にこちゃんも戻ってくるわよ、絶対」

穂乃果「…!」

穂乃果「……そう、だね……」

真姫「…えぇ」

160: 2020/06/30(火) 13:03:00.44 ID:jkhiq8KD
真姫「…ところで穂乃果」

穂乃果「ん、なーに?」

真姫「帽子にサングラスって…怪しくない?」

穂乃果「ふふふ、にこちゃん直伝の変装術だよ!」

真姫「……深夜なんだし、別に変装なんて……」

穂乃果「でも、一応ね!」

真姫「そんな格好でこんな時間に女の子連れ回してたら警察に声かけられるわよ」ジッ

秋穂「…!!」ビクッ

秋穂「」サッ

真姫「えっ」

真姫「な、なに?」

穂乃果「あ…そっか」

穂乃果「真姫ちゃんと秋穂は喋ったことないんだっけ」

穂乃果「真姫ちゃんが来る頃には、もう秋穂は寝て…すれ違い状態だったしね」

穂乃果「よし!折角の機会だし自己紹介だ!」

穂乃果「この子が雪穂の子供で私の姪っ子の秋穂!」

穂乃果「ほら秋穂、真姫ちゃんに挨拶」

秋穂「……むぅ」ジー

真姫「…っ、なにジッと見てるの?」

秋穂「…つり目のおばさん、穂乃果おばちゃん取る…敵…」

真姫「ゔ、ゔぇぇ…だ、誰がつり目のおばさんよ!真姫よ!西木野真姫!!」

真姫「もう…失礼なところは伯母そっくりね」

穂乃果「えぇ!?私、失礼じゃないよ!」

秋穂「真姫おばさん…こんばんわ」

真姫「今?…こんばんわ…」

穂乃果「ふふふ♪」

161: 2020/06/30(火) 13:07:24.04 ID:jkhiq8KD
チュンチュン…

ノカ…ノカ…

穂乃果「んんぅ~…」

ホノカッッッ!!!

穂乃果「う、うわぁぁぁぁ!!!な、なに!!!?」

海未「むっ…///お、驚きすぎですよ…」

穂乃果「海未ちゃん…?ふわぁ…朝からどうしたの?」

海未「まったく…本当は昨日伝えておきたかったのに…どこへ行っていたんですか…」

穂乃果「ちょっと歌いに…」

海未「まぁいいです、これを見てください」バサァ

穂乃果「えぇ~、なになに?愛民党……和解成立……?そっか、やっぱり……“あいどる” は政治にまで手を……」

海未「それはそうとして、その下の写真を見てください」

穂乃果「なになに?握手を交わす山田博子党首…って、え!?」

穂乃果「山田先生って私たちの代の体育の先生じゃん!!な、なんで…」

海未「ここまで手を回しているなんて…もしかしたらA-RISEも、もう…」

絵里「だとすれば、A-RISEに接触したのは愚策だったかもしれないわね…」

海未「絵里…」

絵里「A-RISEがシロなら、あわよくば“あいどる” の正体を暴いてもらおうと思ってたのに…」

穂乃果「でも、にこちゃんはシロって言ってたんでしょ?」

絵里「あくまで、にこの目にはそう映った、それだけよ……」

穂乃果「そんな…ツバサさん…先生…」

穂乃果&海未&絵里「………」

ガチャリ

穂乃果「!」

花陽「はっ……はっ……」

穂乃果「凛ちゃん、花陽ちゃん、どうしたの?」

花陽「た、大変です……お台場が……」

凛「て、テレビをつけてみるにゃ!」

絵里「……?」

ピッ

162: 2020/06/30(火) 13:10:12.61 ID:jkhiq8KD
リポーター『お台場上空からの光景をご覧ください!』

リポーター『広範囲に渡る火の海は未だ衰えを見せず、お台場全域を包み込むかと錯覚するほど、ありえない勢いで広がり続けています!』

ドンッッッッ

リポーター『また爆音が聞こえました!!ここまで……熱風が!』

リポーター『この上空にまで爆風が伝わってきました!!』

リポーター『とんでもない威力です!人命を最優先に避難活動は続いています!』

リポーター『こちらからは以上です!!』

プツンッ

穂乃果「これは…」

絵里「こんな事するのは一人しかいないわ…」

海未「“あいどる” …」

凛「こんな事を平気でやるなんて…」

花陽「し、信じられないです…」

163: 2020/06/30(火) 13:14:50.18 ID:jkhiq8KD
プルルルルル

穂乃果「電話…真姫ちゃんからだ」

ピッ

真姫『穂乃果、ニュース見た?ウチの病院にもこれから大勢搬送されてくると思う、今夜は多分行けないから……ごめんなさい』

穂乃果「うん、うん……わかった、大丈夫、気にしないで真姫ちゃんも頑張ってね」

ピッ

花陽「でも、お台場全域を炎上させるほどの爆弾なんてあるのかな…?」

絵里「あるにはあるけど、一般人が手に入れるのはまず無理でしょうね」

海未「やはり“あいどる” の線が…いや間違いなく“あいどる” の仕業でしょうね」

海未「しかしなぜ今……そこがわからないですね……」

絵里「……私の推測でよければ話していい?」

絵里「この推理が正しければ、“あいどる” がこれから何をしでかすのかも、多分わかると思う」

海未「……話してみてください」

164: 2020/06/30(火) 13:17:45.13 ID:jkhiq8KD
絵里「私が初めて“あいどる”と会った時、アイツはこう言った」

「なんで下ばかり見てるの?こっちを向いてよ、寂しいじゃないか」
「絵里ちゃんを待ち伏せてたんだよ」
「実は今日会ったのは偶然じゃないんだ、必然さ」

絵里「ってね」

絵里「言われたとき、変な感じがしたの…というより、どこかで聞いた事のあるフレーズ、既視感を覚えたわ」

海未「なんで下ばかり……待ち伏せ……はっ!」

絵里「そっ……これは……」

海未&絵里「ラブノベルスの歌詞」

絵里「と言っても多少言い回しは変えてるけど、まずこの歌を参考にしていると思うわ」

凛「でも、それがなんでこれからの“あいどる”の動きがわかることに繋がるの?」

絵里「凛、今の季節は?」

凛「8月…夏だよね」

絵里「そう8月、そして今回爆発の被害を受けたのは…」

穂乃果「お台場…」

絵里「そしてこれから導き出される答えは」

花陽「あっ…!もしかして、夏色えがお…?」

絵里「ご名答。つまり“あいどる”はμ'sの歌の歌詞ないし馴染みのある場所に攻撃を仕掛けるはず」

絵里「それが戦いの予兆であるかのように…」

165: 2020/06/30(火) 13:33:20.35 ID:jkhiq8KD
絵里「今回、夏場のお台場に攻撃を仕掛けたのを見ると、私たちに気付かせようとしているのは間違いないわね」

凛「絵里ちゃんの考えはわかったけど…どうやってこれからの“あいどる”の動向を探るの?」

絵里「それは……過去の歌詞ノートを引っ張り出して、あいつが実行しそうなものを探し当てるしかないわね」

凛「ざっくりしすぎだにゃ~…」

花陽「凛ちゃん!事件を未然に防げるかもしれないんだよ!」

凛「そうだけど…なんだか漠然としてて…」

穂乃果「やろう!みんなを守るために!」


ことり「こんにちわ~♪ごめんね中々来れなくて~」

希「いやー、さっきのニュース凄かったねぇ…」

凛「ことりちゃん!希ちゃん!ちょうど良いところに!」

ことり&希「へ?」

166: 2020/06/30(火) 13:36:08.44 ID:jkhiq8KD
-翌日-

ドサッ!!!!!

凛「」

希「す、すごぉ…」

海未「持ってきましたよ」

ことり「う、海未ちゃんこんなに書いてたの…?」

海未「えぇ、バリエーションや曲調などを意識し、試行錯誤した結果こんなに増えてしまったんです」

海未「だから…中には多数、没になった物もあります」

凛「へぇ~、没のはどんな感じかな?どれどれ」

凛「ズドン!ズドン!ロボット惨状~!」

パシッ!!

海未「み、見ないでください凛!!」

凛「えぇ…!?で、でも見ないと対策できないよ!?」

希「惨状と参上を掛けるセンス…嫌いじゃないけど没にして正解かもね」

海未「…~///」

海未「もうっ…!没ばかり見ないでくださいー!」

167: 2020/06/30(火) 13:37:35.85 ID:jkhiq8KD
海未「もう没ノートは持って帰ります!」

凛「ハナから持ってこなければ良かったのに~」

絵里「……フフッ……なんだか、懐かしい感じね……」

フッ…ハッ…ハァハァ…

絵里「ん?」

絵里「隣の部屋から…?」

絵里「穂乃果、大丈夫?」


穂乃果「う、うえぇ…?」

バタッ…

絵里「え!?ほ、穂乃果!?」

穂乃果「うぅ…み、みずぅ~…」

絵里「何やってるのよもうっ!」

168: 2020/06/30(火) 13:42:24.09 ID:jkhiq8KD
ゴクッ…ゴクッ…

穂乃果「プハァ~!生き返るぅ~!」

絵里「それは良かった…なんで腕立て伏せなんか?」

穂乃果「ん?あぁ…いや昔ね、海未ちゃんにアイドルになるにはまず体力!笑顔で腕立て伏せ出来ないとダメ!って言われて」

穂乃果「だからまぁ…初心に帰るって意味と…」

絵里「…意味と?」

穂乃果「来たるべき時のため…決戦に備えて…かな」

絵里「そう…良い心がけね」

穂乃果「うん…本当は私一人でやらなきゃいけないのに……みんなに手伝ってもらってるんだ……。せめて、私がみんなを守るぐらいの気持ちでやらないと」

絵里「もうっ…まだそんなこと言ってるの?」

穂乃果「えへへ、そういう気持ちってこと!大丈夫、ダメな時はみんなに頼らせてもらうから!」

絵里「……えぇ」

プルルルルル

絵里「……んっ、ちょっとごめんね」

穂乃果「うん!よし!じゃあ次は腹筋50回だ!」

絵里「……ふふ」ピッ

169: 2020/06/30(火) 14:42:57.91 ID:jkhiq8KD
絵里「もしもし?」

オペレーター『はーい♪エリーチカ、頼まれてた案件の詳細、分かったわよ♪』

オペレーター『今回私、かーなり頑張っちゃったんだから~!だからそーねぇ、報酬は~』

絵里「溜まりに溜まってるお給料から引いといてちょうだい」

オペレーター『う、うぐっ……巧い手口……』

絵里「実際溜まってるんでしょ、別にいいじゃない」

絵里「そんな事より、早く話して」

オペレーター『はいはーい…えーとね…まず先日のЯпония(ヤポーニャ)のOdaibaに使用された爆弾、あれはTOKYOで製造されているわ』

絵里「東京で?」

オペレーター『えぇ、それとその工場の責任者の名前・出身校も割れた』

絵里「教えて」

オペレーター『ファーストネームはMIKA、出身校は音ノ木坂学院というTOKYOの千代田区…?かな?にある高校ね』

絵里「……ミカ?」

オペレーター『そう、MIKAだけど?』

絵里「……ありがと、また何かあったら連絡するわ」

オペレーター『もう連絡しないd』

プツ…プー…プー

絵里「……また音ノ木坂出身者……やっぱり“あいどる”が一枚噛んでるわね……」

170: 2020/06/30(火) 14:45:31.81 ID:jkhiq8KD




ザッ

穂乃果「ここが、ミカが工場長の?」

絵里「えぇ、正確には責任者だけど」

穂乃果「……よし、行こう」

穂乃果「ん?」

ミカ「あ」

ミカ「うっ…!」ダッ

穂乃果「えっ!?ミカ!!ちょっと待って!」 ダッ

穂乃果「ミカってば!」

パシッ

ミカ「はぁはぁ…」

穂乃果「はぁはぁ…久しぶり…だね、ミカ…」

171: 2020/06/30(火) 14:53:08.85 ID:jkhiq8KD
~応接室~

ミカ「………」ソワソワ

穂乃果「ミカ…別にそんなにソワソワしなくても」

ミカ「あっ、そ、そうだよね…ごめん」

穂乃果「まぁ、昔話でも交えながら…」

絵里「……いいえ、それより“あいどる”の事よ」

ミカ「」ピクッ

穂乃果「ちょ、絵里ちゃん!」

絵里「穂乃果…私たちは何も懐かしさに浸る為に尋ねてきたんじゃない…少しでも私たちに有利になる情報を得る為に来たの」

絵里「そんな悠長なこと話してる場合じゃない」

穂乃果「……わかったよ」

絵里「時間がない…さぁ、知ってる事を全て話すのよ」

ミカ「……はい」

ミカ「……絵里先輩達は先日のお台場の爆破事件の根源について調べてるんですよね」

絵里「そんなところよ」

172: 2020/06/30(火) 15:10:57.64 ID:jkhiq8KD
ミカ「爆破事件が起こる2週間前、アイツはやってきました…」





「久しぶりだねミカちゃん」

ミカ「……誰?」

突然工場に尋ねて来て、素性も明かさないので…最初は相手にしてなかったんですが…
私がシカトを続けてると…

「穂乃果ちゃんの家、火をつけたのは私」

ミカ「…!?」

ミカ「う、嘘でしょ…」

「私の指示に従わなければアナタの大切な場所、友達は次々消えていく、そう…例えばヒデコみたいに」

ミカ「……帰って」

「……精巧な爆弾を作って欲しい、強力で過去に見た事もないような威力を保持する爆弾を」

「君の技術力なら作れる、頼んだよ…」

「作らなければ…」

ミカ「…………」

アイツはそう言って帰って行った……私はその時、返事をしませんでした……それが癪だったのか……その2日後……可愛がっていた部下が亡くなりました……




173: 2020/06/30(火) 15:15:16.42 ID:jkhiq8KD
ミカ「私が話せるのはこれだけです」

絵里「……部下が〇されたから、そのあと馬鹿正直に作って、それを見す見す渡したっていうの?」

ミカ「………」

穂乃果「絵里ちゃん、そんな言い方…」

絵里「お台場ではたくさんの人が死んだ……それこそ何百人と、いやそれ以上かもしれないわ」

ミカ「じゃあどうすれば良かったって言うんですか!!!」

ミカ「絵里先輩には分からない……きっと分からないですよ……」

絵里「………」

絵里「分かるわよ……私は……亜里沙を失ったんだから……」

ミカ「え…」

穂乃果「………」

絵里「あなたの場合は…最初の選択肢を間違えなければ…部下は助かった…違わない?」

ミカ「………」

絵里「私には選択なんてなかった…」

ミカ「………すみません、何も知らないで」

絵里「……別に、あなたが謝ることじゃないわよ」

174: 2020/06/30(火) 15:23:53.95 ID:jkhiq8KD
絵里「知っている情報はこれだけ?」

絵里「有益な情報は全て話してほしいんだけれど」

ミカ「他に…他…」

穂乃果「ミカ、“あいどる”の顔は見なかった?」

ミカ「見てない……マスクしてて……」

絵里「マスク?お面じゃなくて?」

ミカ「はい……白い生地に「μ's」ってあしらったマスクです、覆面?みたいな……」

絵里「……?」

穂乃果「初めてだね…」

ミカ「だから最初はおかしなμ'sファンかと……今でもμ'sの熱狂的なファンはいるしね」

穂乃果「うん…ありがたい事にね」

175: 2020/06/30(火) 15:26:35.03 ID:jkhiq8KD
ミカ「あ…あと、ロボットの設計を頼まれた」

穂乃果「ロボット?ガンプラ、みたいな?」

絵里「お台場を爆破しておいて、そんなスケールになるわけないでしょ」

穂乃果「だ、だよね…」

絵里「で、その依頼、受けたの?」

ミカ「いえ、それは断りました」

ミカ「何せ、巨大ロボットを希望していたので……全然畑違いですから」

ミカ「あとは…特にないですね…」

絵里「そっ…。時間を取らせたわね、ごめんなさい、ありがとう」

穂乃果「ごめんね、ミカ…また今度ゆっくりお茶でも…。じゃあね」

ミカ「…うん」

ミカ「…………」

ミカ「穂乃果っ!」

穂乃果「ん?」

ミカ「何か…私に手伝える事があれば言ってね!」

穂乃果「ミカ…うん、ありがと!」

176: 2020/06/30(火) 15:31:36.08 ID:jkhiq8KD
~地下 穂乃果宅~

コツコツ…コツ

穂乃果「ただいま~」

絵里「帰ったわよ、って…」

希「うーん…パーティー終わらないとか…何かに引用されそうやない?」

絵里「まだやってるの…」

凛「むっ…じゃあ絵里ちゃんやってみなよー!答えがないから物凄く考えるんだよ~!?」

穂乃果「ロボット……ロボット……」

絵里「?…何か引っかかることがあるの穂乃果?」

穂乃果「ん…いやぁ…」

穂乃果「ミカが言ってたロボット……うーん、なんだろうこのモヤモヤ」

絵里「………」

177: 2020/06/30(火) 15:36:14.78 ID:jkhiq8KD
-2019年9月28日-

穂乃果「ふっ…はぁ…ふっ…!はぁ…」

穂乃果「はぁ…はぁ…流石に…腕立て150回は効くなぁ…」

クイクイッ

穂乃果「ん?」

秋穂「おなかへった~…」

穂乃果「えへへ…そうだね、私もお腹減った!オヤツの時間だしどこか食べに行こっか?」

秋穂「うん!」

穂乃果「その前にシャワー浴びてもいい?」

秋穂「いいよっ!」

穂乃果「ありがと秋穂」


ジャーーーー

穂乃果「ふぅ……」

サラッ

穂乃果「(あれから…ずっとロボットの意味を考えてるけど一向に何のことか分からない…)」

穂乃果「……思い過ごし、なのかな」

キュッ

ガラッ

穂乃果「お待たせ、秋穂!じゃ行こっかぁ~」フキフキ

秋穂「しゅっぱーつ!」

178: 2020/06/30(火) 15:38:31.31 ID:jkhiq8KD
秋穂「」キョロキョロ

秋穂「穂乃果おばちゃん!警察の人いないよ!行こ!」

穂乃果「よーし、じゃあ行こう。はぐれないように手繋いでね」

秋穂「うん!」ギュッ

ウィーン

店主「いらっしゃい、お、嬢ちゃん来たね!」

秋穂「こんにちわ!えーと!いちご大福、生地固め、アンコ少なめ、片栗粉少なく、あとイチゴおまけして♪」

店主「おうよ!いつものだね!」

179: 2020/06/30(火) 15:42:26.18 ID:jkhiq8KD
穂乃果「7×4」

秋穂「…26?」

穂乃果「惜しい!ん?なんか既視感のある答え…」

コトッ

店主「はいよ、お待たせ!」

秋穂「」モニュッ

秋穂「おいしいっ!」

店主「そいつぁ嬉しい!まぁ自分でも丈ムラの和菓子は東京、イヤ日本一と思ってるけどね」

穂乃果「」モニュモニュ

店主「でも、ここと並ぶぐらい美味い和菓子の老舗が有ってよ…穂むらって言って…」

穂乃果「………」

店主「俺ァ、昔、そこの饅頭を食って感銘受けたね…こんなにうめぇもんがあるのか…と」

店主「以前そこのオヤジが亡くなった事を知ってよ……その後は娘が切り盛りしてたらしいが…店は依然人気だったらしい」

店主「もう俺がその店に行ったのは数十年前だし…その店は燃えちまって…娘さんの面は拝んでねぇが…唯一と言えるライバル店だったよ…」

穂乃果「」ゴクンッ

穂乃果「ごちそうさまです」

秋穂「ごちそーさまです!」

店主「おう、また来てくれな!」

ウィーン

180: 2020/06/30(火) 15:59:21.24 ID:jkhiq8KD
スタスタスタ…

秋穂「さっきのおじちゃんの話、昔の秋穂のお家のこと?」

穂乃果「うん、秋穂は覚えてないだろうけどね」

秋穂「ふぇ~…」

穂乃果「………」

秋穂「今日も歌っていくの?」

穂乃果「うん、そのつもりだよ」

穂乃果「今日は誰か聞いてくれるかなぁ」

秋穂「なんで聞いてくれないんだろうね、いい曲なのに」

穂乃果「ね、いい曲なのにね」

秋穂「秋穂、全部歌えるよ!」

秋穂「~~~♪」

秋穂「アレ?」

穂乃果「ん、その曲は?」

秋穂「えっと……希お姉ちゃん達が、海未お姉ちゃんの昔作った歌詞?に試しに曲付けたらって言って作った曲」

穂乃果「へぇ~…そうなんだ」

181: 2020/06/30(火) 19:13:21.49 ID:jkhiq8KD




穂乃果「ラララ~♪ラララ~♪」

タンッ!!

穂乃果「ありがとう」

・・・シーン

穂乃果「はぁ…」

秋穂「」パチパチパチパチ

秋穂「人こないね」

穂乃果「こないねぇ…」

ザッ

穂乃果「ん?」

「ダメダメよ…ほんとダメダメ…」

穂乃果「この声は…」クルッ

にこ「何から何までダメダメなのよ!」

穂乃果「にこちゃん…」

穂乃果「え、き、聞いてたの?」

にこ「た、たまたま通りかかっただけよ!たまたま!」プイッ

182: 2020/06/30(火) 19:16:56.44 ID:jkhiq8KD
にこ「………」

穂乃果「……ひ、久しぶりだね、にこちゃん……元気にしてた……?

にこ「………」

穂乃果「え、え~っとぉ…」

穂乃果「か、風邪引かないようにね?そ、それじゃ!」

にこ「あっ……(う、嘘でしょ?昔のあの気遣いはなんだったのよ!バカ穂乃果!)」

穂乃果「(……これでいいんだよね……ってアレ?)」

穂乃果「秋穂は…?」

にこ「………」

クイクイッ

にこ「え?」

秋穂「お家…また来る?」

にこ「……えっ」

にこ「……!」キッ

にこ「穂乃果!!!!!」

穂乃果「え…な、なに!?」

にこ「やっぱり戻るわ、私!!というか、私だけ仲間ハズレにしようとするなんて……本当に絵里はいけ好かないわね!!!」

穂乃果「え、えぇ…!?」

183: 2020/06/30(火) 19:25:09.99 ID:jkhiq8KD
穂乃果「に、にこちゃん…絵里ちゃんは何もにこちゃんが嫌いだから仲間ハズレにした訳じゃ……」

穂乃果「むしろ、にこちゃんの事を…」

にこ「…っ、あんたがわかった風な口聞かないで!」

穂乃果「うっ…」

にこ「あんた達が一致団結して頑張ってるのに……私だけ何もしてない……」

にこ「こころ達も私達が何をやってるのか、だんだん分かってきたみたい…あの子達、それを知るや否や…」

にこ「μ'sは9人でμ'sです!みんなのところに行ってあげて…だって」

にこ「…私が見てないところで成長してるものね」

にこ「あの子達は弱くない…きっと3人でも強く生きていける…」

穂乃果「…………」

にこ「私、改めて決心がついたわ!あんた達と一緒に戦う!いい!?あんた達に拒否権はないんだからっ!!」

穂乃果「に、にこちゃん……!」

穂乃果「……真姫ちゃんの言う通りだ」

にこ「むっ…何がよ…」

穂乃果「…クスッ、何でもない、じゃ帰ろう秋穂!」

秋穂「うん!」

穂乃果「……にこちゃんも!」

にこ「……えぇ!」

穂乃果「…私もこころちゃん達に教えてもらったな、やっぱりμ'sはこの九人じゃなきゃだよね!!」

にこ「…当然!」

184: 2020/06/30(火) 19:29:22.88 ID:jkhiq8KD
穂乃果「というわけで、にこちゃんが帰ってきました~!」

にこ「帰ってきてあげたわよ!なんか文句ある!?」

真姫「なんだか前より高飛車になってない?」

凛「磨きがかかってるにゃ」

花陽「とにかく、おかえりにこちゃん!」

にこ「なんか花陽以外辛辣!!」

希「これがμ'sのおもてなしやからね」

絵里「…にこ」

にこ「何…」

絵里「………後悔しない?」

にこ「………しない」

絵里「………そう、お節介だったみたいね」

にこ「まぁ……いや……でも、その……心配してくれた点はありがとう」ボソッ

希「おやおやぁ…今なんと?」ニヤッ

にこ「別に…!ありがた迷惑って言ったの!」

凛「素直じゃないにゃ~」

凛「でもでも!やっぱりμ'sはこの九人揃ってこそだよね~!」

穂乃果「だよねだよね!えへへ~!」

185: 2020/06/30(火) 22:02:12.03 ID:jkhiq8KD
にこ「あっ…あと一つ渡すものが」

穂乃果「ん、なに?」

にこ「この雰囲気に水を差すようで悪いんだけど…にこの家のポストに……入ってた、“あいどる”からの手紙」

8人「!?」

穂乃果「中身は!?」

にこ「まだ開けてないわ」

絵里「中に剃刀入ってても不思議じゃないけど…」

にこ「触った感じ、そんなもの入ってなさそうだけど…」

にこ「…開けるわね」

にこ「……」

ことり「な、なんて書いてあるの…?」

にこ「……12月25日のクリスマス、狼煙を上げます」

海未「……それだけですか?」

にこ「これだけ……」

絵里「……狼煙」

186: 2020/06/30(火) 22:05:18.03 ID:jkhiq8KD
絵里「……今日はもう遅いし、解散しましょう」

絵里「いいわよね、穂乃果?」

穂乃果「あっ、うん…!みんな今日もお疲れ様!ちゃんと寝て、疲れとってね!おやすみ!」

凛「ふわぁ…じゃあ、凛は久しぶりに家に帰ろうかなぁ~」

花陽「最近、みんな一緒だったから一人は怖いなぁ…凛ちゃん、今日泊まりに行ってもいいかな…?」

希「んー!最近お店開けてなかったから明日は久しぶりに開けようかなっ」

ことり「私もデザイナーの仕事が残ってて、ごめんね!」

にこ「私も今日はとりあえず帰るわね」

真姫「私も…そうするわ、明日は久しぶりよ休みだし…」

穂乃果「うん、気をつけてね…」

海未「では私も……」

穂乃果「海未ちゃん!」

海未「はい?」

穂乃果「ちょっと…聞きたい事が」

海未「………?」

絵里「…………」

187: 2020/06/30(火) 22:08:53.97 ID:jkhiq8KD
海未「どうしたんですか、穂乃果?」

穂乃果「こんな感じの歌、知らないかな?」

穂乃果「~~~♪」

穂乃果「どう?」

海未「あ……ん、な、…なっ…///」

グイッ!

穂乃果「ふぇ?」

海未「穂乃果ぁ~!あなたって人はっ!!」

ブンブンッ!

穂乃果「え!?ちょ、海未ちゃん…!ストッ…ストップ!!酔う、酔うから!酔うからぁぁ~~!!!」

穂乃果「胸倉掴んで振り回すのはダメぇ~…!!」


絵里「……なんの話をするかと思えば、大した話じゃなさそうね」

絵里「私も寝ましょ…ふわぁ…」

188: 2020/06/30(火) 22:12:34.09 ID:jkhiq8KD
海未「はぁ…はぁ…」

穂乃果「う、うぷっ……」

海未「……昔、私が作った詞に希達が面白半分で曲を作ったんです」

海未「そしたら中々いいものが出来上がってしまったので……みんな妙に耳に残ってしまっていて……うぅ……恥ずかしい……」

穂乃果「な、なるほど…だから秋穂も覚えてたんだ…」

穂乃果「そ、そうだ…その詞…歌詞教えて!」

海未「う、えぇ!?」

海未「そ、そんな無理ですぅ…!」

穂乃果「え…な、なんで!?どんな歌詞なの?」

海未「……ろ、ロボットをコンセプトにした……」ゴニョゴニョ

穂乃果「ロボット…?あれ…?そんな歌、μ'sにあるっけ?」

海未「本来は没にしていたものだから、あまり突かれたくないんですよ、もうっ…!!!」

穂乃果「あっ、そ、そうだよね……たはは……ごめんごめん」

海未「もう私も帰ります!!!」プンスカッ

穂乃果「お、おやすみ~…ご、ごめんね海未ちゃん~…」

189: 2020/06/30(火) 22:16:59.33 ID:jkhiq8KD
-2019年9月30日-

凛「でも、狼煙ってなんの事なんだろうね~」

にこ「宣誓とかの比喩じゃないの?」

希「そんな懇切丁寧に挨拶してくれる人は、こんな回りくどい事しないよー、にこっち」

にこ「冗談よー、冗談」

絵里「大方、またどこか派手に爆破させて…それを狼煙と言い張るつもりでしょ….」

希「『始まり』の狼煙、そして12月…それを考えると…」

花陽「Snow halation…とかかな…」

ことり「なら、第二回ラブライブ最終予選会場…?」

絵里「……どう、かしらね……こんな事言うのもなんだけど“あいどる”からしたらイマイチ、インパクトに欠けるんじゃないかしら……」

絵里「………(ミカは渡した爆弾はお台場の分だけと言っていたけど、あの爆弾はもう複製されてるでしょうし、言っていた数はあてにならないわね………)」

ことり「あれぇ?そういえば穂乃果ちゃんは?」

凛「穂乃果ちゃん…最近、空けること多いね、なにかやる事あるのかなぁ」

希「絵里ち、何か知ってる?」

絵里「わからない…でも穂乃果は穂乃果の調べたい事があるんでしょ」

絵里「私たちも自分たちの出来ることをやりましょ」

190: 2020/06/30(火) 22:20:39.70 ID:jkhiq8KD
コトッ

ミカ「はい、お茶」

穂乃果「ごめんねミカ、この間来たばっかりなのにまた…」

ミカ「うーうん、気にしないでよ、私も手伝える事ないかって言ったしね!」

穂乃果「…ありがとう」

ミカ「で、今日はどうしたの?」

穂乃果「あ、いやね…ちょっとミカに聞きたい事があってさ」

ミカ「私に聞きたい事?」

穂乃果「うん、その…私たちが2年生だった頃の音ノ木坂在校生で今、工科大学か何かに通ってる子っているかな?」

ミカ「工科大学ぅ…?」

穂乃果「うん、そういうのに関係のある大学とか専門学校とか」

ミカ「うーん、いないかなぁ…」

穂乃果「あれぇ…?そっか…いないかぁ…はぁ…」

ミカ「いやー…だってさ穂乃果、その代だともうみんな大学卒業してる事になるからね」

穂乃果「あっ…そ、そっか…!」

ミカ「~~…穂乃果らしいね」

191: 2020/06/30(火) 22:22:39.54 ID:jkhiq8KD
ミカ「」ズズッ

ミカ「そういえばフミコ、工科大学の大学院行ってるよ」

穂乃果「え、大学院!?」

穂乃果「だ、大学院って…なんかこう…とにかくすごい人しか行けないとこだよね!」

ミカ「うーん…まぁ平たく言えばそうなのかな」

穂乃果「ふ、フミコの大学院の名前教えて、あと場所!!」

ミカ「良いよ!キャンパスまでの地図、書いとくね」

穂乃果「お、お願い!」

穂乃果「は~…やっぱ持つべきは友だよ~!」ズズッ

192: 2020/06/30(火) 22:25:19.32 ID:jkhiq8KD
穂乃果「ここがフミコが通う…御茶ノ水工科大学」

穂乃果「わ、私…入ってもいいのかな…部外者だけど…」 キョロキョロ

フミコ「あれ?穂乃果!」

穂乃果「は、はいぃっ!!」

フミコ「な、何…どうしたの」

穂乃果「ふ、フミコ…」

フミコ「ひさs」

穂乃果「ふ、フミコ!怪我ない!?変な事されてない!?大丈夫!?」

フミコ「え、えぇ!?な、なにさ急に!」

フミコ「べ、別になんともないよ?」

穂乃果「なら、よかった…」ホッ

193: 2020/06/30(火) 22:29:12.93 ID:jkhiq8KD
フミコ「え?変わった事?」

穂乃果「うん、なんかおかしいなぁ…とかそういう感じのやつ」

フミコ「うーん……いや、別にないよ!」

穂乃果「だ、誰かが失踪したとか!行方不明になったとか!」

フミコ「………え」

穂乃果「………あ」

フミコ「はは、どうしたの穂乃果…なんか必死だね」

穂乃果「ご、ごめん…」

フミコ「いやぁ…別にいいんだけどさ」

フミコ「んー…行方不明かどうかは分からないけど、それっぽい人はいるかも」

穂乃果「だ、誰!?」

194: 2020/06/30(火) 22:32:46.90 ID:jkhiq8KD
フミコ「私の専攻分野の教授だよ、木皿っていう」

穂乃果「木皿……あ、知ってる!よくテレビにも出てる、あの人だよね!」

フミコ「そっ…その人が最近全然顔出さないの、仕事すっぽかして何やってんだか」

穂乃果「捜索願いとかは…」

フミコ「いや、出てないよ…だってあの人、自分が気になったモノがあれば無断で休むって人だし」

フミコ「どうせ今頃、自宅で研究に没頭してんじゃないかなぁ」

穂乃果「……もし良ければさ」

フミコ「ん?」

穂乃果「その木皿教授の家まで案内してくれない…?」

フミコ「あー…私、あとちょっとで授業再開するんだ」

フミコ「んー…そうだなぁ…あっ!」

フミコ「おーい!酒井くーん!」

酒井「……?」

酒井「なんですか」

フミコ「君、木皿教授の自宅知ってたよね?悪いんだけどこの子案内してくれない?もう今日は帰るでしょ?」

酒井「………」 ジトッ

穂乃果「あっ……え、えっと」

195: 2020/06/30(火) 22:36:06.53 ID:jkhiq8KD
スタスタ

酒井「………」

穂乃果「………(き、気まずいよ~)」

穂乃果「あー、ご、ごめんね…?今から帰るのに付き合わせちゃって」

酒井「………」

穂乃果「(む、無視!!?)」ガーン

ザッ

穂乃果「うわっ!」ドスッ

穂乃果「いてて……」

クルッ

酒井「ここです」

穂乃果「あっ、ありがと…」

酒井「あの」

穂乃果「ん…?」

酒井「教授になんのご用が?」

穂乃果「あ、えっと……うーん……ろ、ロボット作ってるかなぁ……と思って……な、なんて!」

酒井「そうか」

穂乃果「え?」

酒井「そこまでくればあと少しだ」

穂乃果「……え?」

酒井「じゃあ」スタスタ

穂乃果「ど、どういうこと…な、なにが…?」

196: 2020/06/30(火) 22:38:47.54 ID:jkhiq8KD
ピンポーン

穂乃果「あのー、木皿さん!いらっしゃいますか?」

穂乃果「すみませーん…」

ピンポーン

・・・シーン

穂乃果「いない…のかな…」

隣人「どうかしました?」

穂乃果「あっ、あのここの方って」

隣人「あー木皿さんね、そういや最近全然見てないわね」

穂乃果「あの、いつ頃から見なくなりました?」

隣人「さー、2週間前ぐらいじゃない?」

穂乃果「(“あいどる”がミカに接触したのと同時期だ!)」

隣人「…ん?あんた、どっかで見たことあるわね…」

穂乃果「あっ…!い、いえ…ありがとうございましたー!」ダダダダー!

197: 2020/06/30(火) 22:42:32.29 ID:jkhiq8KD
絵里「そう…木皿教授が留守…ね」

穂乃果「うん……まさかロボット…本当に作ってるのかな…」

絵里「さぁね…本当にそんなもの作ってるとすれば対抗する手立てはもう…」

絵里「………」

絵里「穂乃果、私に策があるの、聞いてくれる?」

穂乃果「う、うん!もちろんだよ!」

絵里「…にこ!」

にこ「えっ…なによ…まーた、にこの力が必要なの?」

絵里「えぇ、あいにく……大必要よ……」

198: 2020/07/01(水) 00:13:35.99 ID:gk68WJcz

201: 2020/07/01(水) 10:47:24.32 ID:8UWfS3nR
~A-RISE所属事務所 社長室~

ツバサ「どうしたのかしら?改まって話なんて」

にこ「あ…あの…」

あんじゅ「安心して、社長には退室してもらったから、今は私たちだけよ♪」

にこ「その、実は…」

あんじゅ「なーに?」

にこ「私も“あいどる”の傘下に入りたいんです!」

A-RISE「」ピクッ

ツバサ「…どういう事?」

にこ「A-RISEが“あいどる”側なのはもう知っています……にこはA-RISEが大好きで……A-RISEが“あいどる”に付くっていうならにこも……!!」

ツバサ「………証明出来る?」

にこ「……え?」

ツバサ「今この場でμ'sを裏切り、私たちに、“あいどる”に忠誠を誓える?」

にこ「……はい」

英玲奈「ならば、μ'sを裏切るという確たる証拠を差し出すんだ」

にこ「確たる証拠…?た、例えば…?」

ツバサ「彼女達の……潜伏先よ」

202: 2020/07/01(水) 10:51:31.63 ID:8UWfS3nR
にこ「……言います」

にこ「でも、交換条件です」

あんじゅ「」ピクッ

あんじゅ「交換条件…?」

にこ「………」

にこ「私にも“あいどる”の計画の一端を教えて欲しい」

英玲奈「なっ…矢澤にこ、貴様…図々しいぞ!」

スッ

英玲奈「!!」

ツバサ「いいわ、教えてあげる」

英玲奈「ツバサ!!」

ツバサ「ただ順番はあなたが先よ」

ツバサ「さぁ、μ'sの居場所を…」

にこ「……地下に全員います」

ツバサ「あんじゅ、山田先生に連絡なさい」

あんじゅ「りょーかい♪」

ツバサ「矢澤さん、裏切ったら…あなたの妹弟の命は無いと思って」

にこ「……分かってます」

にこ「……次はこっちの番」

にこ「“あいどる”の計画は……3ヶ月後の12月31日に“あいどる”がやろうとしている事はなんですかっ!!」

ツバサ「…………」

ツバサ「ふふっ…」

にこ「……なに笑って」

203: 2020/07/01(水) 10:54:13.52 ID:8UWfS3nR
ツバサ「実は私も知らない」

にこ「なっ……だ、騙したんですか……!?」

ツバサ「騙してなんかいないわ」

ツバサ「私たちも計画の全容を知っていると、あなたが勝手に勘違いしただけよ」

ツバサ「私たちは別に“あいどる”の下に付いてるわけじゃない、山田先生の派閥に属しているの」

にこ「そ、そんな…」

ツバサ「でもまぁ……せっかく情報提供しに来てくれた密告者さんにお礼……噂程度でいいならお話しするわ」

ツバサ「“あいどる”の12月31日の真の目的は東京中の人間を恐怖のどん底に落とすこと……巨大ウィルスロボットによってね」

にこ「……!」

ツバサ「ま、あくまでウワサだけど…」

ツバサ「これ以上は何も知らない、私からは何も引き出せないわよ」

にこ「…………」

トボトボ…

204: 2020/07/01(水) 10:56:46.85 ID:8UWfS3nR
ツバサ「またね、矢澤さん」

あんじゅ「ツバサ~、先生からμ'sを制圧しろとのご命令が」

ツバサ「では親衛隊に地下制圧の命令を」

あんじゅ「フフッ、もう出したわ♪」

ツバサ「流石、私の右腕」

英玲奈「今頃、μ'sは鎮圧……阿鼻叫喚」

A-RISE「ふふ……はっはっはっ!!」

親衛隊「報告!」

ツバサ「あら、報告なんていらないわ…帰っていいわよ」

親衛隊「いえ、地下は既にもぬけの殻でした…!」

ツバサ「……へ?」

ツバサ「……ま、まさか」





にこ「にこっ☆」

にこ「にしし…上手くいったにこ♪」

絵里「ご苦労様、名女優さん、新アジトはこちらよ」

にこ「A-RISE、仕返しにこ☆」テヘッ





ツバサ「や、やられた…」

205: 2020/07/01(水) 11:02:08.83 ID:8UWfS3nR
にこ「こころ達は……ママは?」

絵里「安心して、みんなのご両親と一緒に避難してる…」

にこ「そう…」

絵里「…勝てば…また一緒に暮らせるわ…」

にこ「……えぇ」







穂乃果「秋穂、分かるよね…?東京にいたら危ないの」

秋穂「でも…秋穂、おばちゃんとが…穂乃果おばちゃんと一緒にいたい」

穂乃果「秋穂…」ポンッ

穂乃果「…おばあちゃんの事、頼んだよ」

秋穂「…………」シュン

穂乃果「お母さん、よろしくね」

穂乃果母「私にはもう、この子しか残ってない…」

穂乃果母「……穂乃果、あなたの帰り待ってるから」

穂乃果「うん…まだ親孝行もしてない…必ず、帰るから」

海未「…………」

~~~♪♪♪

穂乃果母「じゃあ秋穂、行くよ…」

ギュッ

秋穂「おばちゃん…」

穂乃果「………」クルッ

プシューガタンッ……ガタンッ……

穂乃果「……っ」

206: 2020/07/01(水) 11:04:32.44 ID:8UWfS3nR
海未「いいんですか…?本当に…こんなお別れで…」

穂乃果「…………」

穂乃果「最初…」

海未「え?」

穂乃果「最初、海未ちゃんに声掛けなかったのは…私にもしもの事があったら…海未ちゃんに秋穂を預けたいと思ってたからなんだ…」

海未「…………」

穂乃果「……行こっか」

海未「……私が、私が穂乃果を守ります」

穂乃果「……えっ」

海未「絶対にあなたを死なせません…。必ず、もう一度秋穂と会わせますから」

穂乃果「海未ちゃん……うん、ありがと……」

207: 2020/07/01(水) 11:09:23.40 ID:8UWfS3nR
-2019年11月2日- ~μ'sアジト~

穂乃果「ふっ…ふっ…はっ…はっ…」

『昨月のお台場爆破事件の犯人グループである元スクールアイドルグループのμ's』

『現在の情報をまとめてみますと、μ'sは小型銃器30丁 散弾銃を50丁 手榴弾を多量所持 更にはダイナマイトなど…』プツンッ

穂乃果「んっ…?」

花陽「…このラジオ、無茶苦茶だね」

真姫「また筋トレ…?飽きないわね」

穂乃果「備えあれば憂いなし!」

穂乃果「…それよりみんな、仕事辞めちゃって本当に良かったの…?」

真姫「良いわけないでしょ!!どうやって生活していくのよ!」

穂乃果「あぅぅ…!」

真姫「でも、手配書回されてるんだからどうしようもないじゃない!!もう!!」

凛「あのまま普通に生活してても捕まるだけだにゃ」

希「凛ちゃんの言う通り。潔白を証明しないと、元の…いや平和な世界には戻れないんよ?」

ことり「私はおかげで、穂乃果ちゃんに献身出来る決心がついたよ♪」

穂乃果「みんな…ありがとう、本当に…」

キィィ…

絵里「みんな揃ってる?ちょうど良いわ、こっちに来て」

208: 2020/07/01(水) 11:12:52.02 ID:8UWfS3nR
絵里「コルトパイソン、オートマグ、コリブリ、ベレッタ、ワルサー、グロック、SIG、リボルバー…etc」

花陽「す、すごい…これ全部…本物…?」

真姫「エリー…どこでこんなもの?」

絵里「裏市場。かなり足元を見られたけどね」

にこ「っていうか…こんなにいるの…?」

絵里「PVを取るなら水鉄砲で十分だけど、今回はそういう訳にはいかないでしょ?」

凛「で、でも凛たち…こんなの使えないよぉ…」

絵里「私が教えるから覚えるの。いや、覚えなさい」

穂乃果「こっちは……」ガチャッ

絵里「そっちはダイナマイト」

絵里「にこの潜入捜査で相手は超巨大ロボットで攻めてくる事が分かったし、これぐらいは当然でしょ」

ことり「こ、こんなの扱えるかなぁ…」

海未「正直…こういった物騒なものを使うのは気が引けるのですが…」

絵里「そうも言ってられないでしょ?だいたい…私だってあまり好きじゃないんだから、こういうの」

209: 2020/07/01(水) 11:20:25.19 ID:8UWfS3nR
-2019年12月9日- ~商店街

ジャガジャガジャガジャガジャン!

穂乃果「……今日もお客さん来なかった」

にこ「……衣装と歌のギャップがありすぎなのよ、そのせいで誰も寄ってこないんじゃないの」

穂乃果「え?」

にこ「フォークソングなのに服が変に小洒落てるから、どうも歌に入れ込めないのよ」

穂乃果「じゃ、じゃあどうすれば…」

にこ「そうね……まず、ニット帽は止めてこの地味なキャップにする!コートは止めて、この青いアウター羽織っときなさい!」 サササッ

にこ「これで多少は歌とのギャップが無くなったわね!!」

穂乃果「……本当にこんなのでいいのかな」

にこ「なにっ!?にこのプロデュース力が信じられないの?」

穂乃果「にこちゃんだからなぁ~」

にこ「どういう意味よぉ!」

穂乃果「冗談っ!!冗談だよ…ははは…」

210: 2020/07/01(水) 11:32:53.93 ID:8UWfS3nR
-2019年12月25日-

凛「今日だね…」

穂乃果「うん、ついに今日…狼煙が…」





絵里「えぇ…そう…」

オペレーター『まぁ、私も今旅行中だからさ~♪』

絵里「へぇ、どこに行ってるの?」

オペレーター『ニューヨークッ!いい街並みだよぉ~、綺麗だし♪』

絵里「ふーん…(今日が狼煙の日…最終的に狼煙が上がるのは音ノ木坂学院という結論に至り、私一人で数日見張ってるけど…特に異常は見られないわね…)」

オペレーター『でね!ご飯も美味しいの♪』

絵里「(そもそも、音ノ木坂爆破を皮切りに…なんて事を“あいどる”がするのかしら…)」

オペレーター『んでねぇ~!』

絵里「(あそこまで音ノ木坂に拘ってる“あいどる”が……いや、でも……だからこそ音ノ木坂を爆破する事に意味が……?)」

オペレーター『ちょっとぉ!エリーチカ、聞いてる!?』

絵里「(μ'sに関係し、最も簡単に……私たちが悪というイメージを世間に持たせる事が出来るのは………あっ!)」

絵里「今すぐニューヨークから出なさい!」

オペレーター『え?な…』

ドンッッッッッ!!!!!

プツンッ…

絵里「………!!」

絵里「なんで気付けなかったの……一番手っ取り早く、世間にそう知らしめる事が出来る場所は……あそこじゃない」





『速報です、ニューヨークで大規模な爆破事件が……』

穂乃果「ニューヨーク…だったんだ…っ、ごめんなさい…」

希「……これが狼煙なんやね」

海未&ことり&真姫&凛&花陽&にこ 「…………」


ついに狼煙が上がった東京、決戦まであと1週間。

第2章「21世紀少女」-完-


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