穂乃果(24)「ありがとうございました、またのお越しを~!」【長編SS】

AqoursーSS


815: 2020/07/17(金) 10:35:25.61 ID:HbAlBYEF
第8章「希望の唄」

・・・2019年の大晦日…いや、違う…2020年の午前0時。

あの大爆発に巻き込まれて、操縦室ごとどこか遠くへ飛ばされた。

奇跡的に命は助かった。

けど、記憶はどうにもならなかった…。

記憶を無くして、自分の名前を…自分が高坂穂乃果だって事さえ忘れて…。

記憶が無くなってるっていう自覚はあったけど、取り戻そうとはしませんでした。

取り戻したくない。そう思っている自分がいたんです。

そのあとは…日本中を彷徨いました…。

一度は東京にも行きました…でも。

東京に行ったら怖くなって…震えと嗚咽が…。

その時、直感しました。自分は得体の知れない何かに怯えてるんだって。そう思って、すぐに東京を離れました。

816: 2020/07/17(金) 10:39:43.28 ID:HbAlBYEF
ある日のことです。私は…かろうじて映るボロボロのテレビを見てました。

その内容は“あいどる”のお葬式。

理由は分からない。けど、何故だかそれを見て…心のどこかでホッとしている自分がいて…つい笑みが溢れた。

でも…。

“あいどる”は生き返った。

私は心底怯えて、ただブルブル震えていることしか出来なかったんです。

数日後、世界中にウィルスがばら撒かれたというニュースを見た。

その時に、2019年の大晦日の映像も流れた。

・・・記憶が戻った。

817: 2020/07/17(金) 10:45:03.83 ID:HbAlBYEF
全部、鮮明に思い出した。

私は逃げた。とにかく東京から離れるように。

北へ…出来るだけ遠くへ。

でも、いつしか逃げきれなくなった。

自分の心の中で迷いがあったから。

本当に逃げてていいの?って誰かが私に囁くんです。

・・・もうあんな残酷で悲惨な光景を見たくない。

だから、私はもう戦えない。そう思いました。

いつしか、考えることさえ疲れた私は…自ら命を絶とうとしていました。

818: 2020/07/17(金) 10:52:18.74 ID:HbAlBYEF
・・・でも、死ねなかった。

お父さん、お母さん、雪穂、海未ちゃん、ことりちゃん、μ'sのみんな…。そして、秋穂…。

死ぬ間際、みんなの顔が頭の中に浮かんだんです。

その時に…また誰かが本当に逃げていいの?って私に聞いてきたんです。

・・・決めたよ、私はもう逃げないって言ったら

そっか…良かった!って屈託のない笑顔で言ってくるんです。

私が決心したら、その子の姿が見えるようになったんです。

その子は…。拳を握って、ファイトだよ!…って。私に言いました。

結局、人の本質って変わらないんだなって。

・・・私はもう真実から目を背けたりしない。自分でやると言った事はやり遂げてみせるって…決めたんです。

819: 2020/07/17(金) 10:54:18.54 ID:HbAlBYEF
ツバサ「………」

穂乃果「……だから、私のやる事は復讐じゃない」

穂乃果「みんなを守る事なんです」

穂乃果「……私、ツバサさんたちに憧れてスクールアイドルを始めたんです」

ツバサ「………」

穂乃果「だから、こんなのおかしいんです」

ツバサ「こんな…?どういうこと…?」

穂乃果「……私が救世主なんて褒めそやされて、ツバサさんたちがヒール呼ばわりされる」

ツバサ「わ…私は別にそれでも…」

穂乃果「」スタスタ

ツバサ「!」

ツバサ「こ、来ないで!」スチャッ

820: 2020/07/17(金) 10:56:56.38 ID:HbAlBYEF
穂乃果「……まだ、やり直せるんです」

ツバサ「……っ」

穂乃果「だから、またいつか…A-RISEのライブ…見せて欲しいです!」

ツバサ「……!」

ツバサ「……どうなっても、知らないわよ」

穂乃果「私、信じてます」

穂乃果「みんなで手を取り合えば、どこまでだって行ける…どんな夢だって叶えられるんです」

ツバサ「………」

穂乃果「……待ってます」クルッ

スタスタスタ…

ツバサ「………」

ツバサ「はぁ…」

ツバサ「…バカな子ね」

821: 2020/07/17(金) 11:01:08.98 ID:HbAlBYEF
千歌「はぁ~……」

千歌「……穂乃果さん、遅いなぁ」

ザッザッ…

千歌「!」

穂乃果「」スタスタ

千歌「穂乃果さんっ!ホッ…良かったぁ…生きてた…」

穂乃果「……ねぇ。秋穂はいい子に育った?」

千歌「え?」

千歌「あっ…は、はい!」

千歌「あははっ…!やっぱり穂乃果さんだっ!」

穂乃果「聞いていい?あなたはなんで東京に帰りたいの?」

千歌「千歌です。高海千歌!」

穂乃果「え?……あぁ、名前……。そっか、千歌ちゃん、千歌ちゃんだね」

千歌「~~~っっ!!」

千歌「やったぁー!穂乃果さんに名前で呼ばれたよ~!」

穂乃果「……たはは」

822: 2020/07/17(金) 11:06:17.33 ID:HbAlBYEF
千歌「……私、東京に仲間を待たせてるんです」

穂乃果「そっか…。私と似たような感じだね」

穂乃果「……じゃあ、そろそろ約束を果たしに行こっかな」

千歌「約束って…ゲートを通る前にも言ってましたよね?」

千歌「確か、絶対に帰るって…」

千歌「誰としたんですか?」

ブルルン!

穂乃果「……秋穂だよっ」

穂乃果「じゃ、私行くね」

ブルルルルンッッ!

千歌「あっ!ちょっと穂乃果さん!!」

千歌「ま、待ってください!私もついて行きますよ~!」

千歌「待ってくださいってば!穂乃果さ~ん…!」

823: 2020/07/17(金) 11:09:58.15 ID:HbAlBYEF




秋穂「みんな集まって!!」

男達「ん?」

絵里「………」

ゾロゾロ…

男A「どうしたんですか?秋穂さん」

秋穂「……みんなに、聞いて欲しいことがあるの」

男B「もしかして、8月3日の新しい作戦指令ですか!?」

男C「秋穂さんの命令なら俺たち、たとえ火の中水の中!」

男D「そうっす!どこにでも突っ込みます!」

秋穂「……ちがうの」

男達「え?」

秋穂「ごめんね……みんな、本当にごめん……」

824: 2020/07/17(金) 11:15:32.19 ID:HbAlBYEF
秋穂「みんなには色々やってもらった…」

秋穂「危険な目に遭いながら武器を集めたり…」

秋穂「膨大な時間をかけて作戦を練ったり…」

秋穂「……みんなが8月3日を生き甲斐にしてきたのは私が1番分かってる」

秋穂「家族や恋人や親友を〇されて……復讐をしたい気持ちもよくわかる……でも」

秋穂「……っ。でも」

絵里「……秋穂」

秋穂「うん…」

秋穂「…8月3日の武装蜂起は…中止します」

秋穂「……ごめんなさい」ペコッ

男達「………」

秋穂「ホントにごめん……」

825: 2020/07/17(金) 11:17:44.62 ID:HbAlBYEF
男D「水臭いですよ秋穂さん」

秋穂「えっ…?」

男B「そうですよ、謝ることなんてない」

男E「秋穂さん、俺たちのリーダーじゃないっすか」

男F「そうだよ。そもそも俺たち、秋穂さんがいなかったらここまでやってこれなかったんだしな」

男A「……そうだな。それにリーダーの命令は絶対だ」

男O「みんな!文句ないよな!」

男達「おう!!!!!!」

秋穂「みんな……」

秋穂「……ありがとう」

絵里「……ウフッ」

826: 2020/07/17(金) 11:25:04.43 ID:HbAlBYEF
ジリリリリリリリンッ!

秋穂「!?」

絵里「なに?」

男Z「侵入者ですっ!」

男A「何奴だ!?」

男Z「親衛隊です!」

秋穂「……っ」

男A「親衛隊のクソどもが!秋穂さん、俺たちは行きますよ!」

男A「行くぞ!お前ら!」

オーーーウ!!!!!

絵里「あなた達まちな…!」

秋穂「待って!!!」

絵里「…ッ!」

827: 2020/07/17(金) 11:28:19.52 ID:HbAlBYEF
男A「秋穂さん…?」

秋穂「私が……出る」

男B「なに言ってんすか秋穂さん!」

秋穂「あなた達が出れば…奴らの思う壺。私なら…」

男C「ダメっすよ秋穂さん!」

『氷の女王一派に告ぐ!無駄な抵抗はやめろ!氷の女王が投降すれば攻撃は加えない!』

『氷の女王が投降すれば他のメンバーは見逃してやる!』

秋穂「……らしいわ」

男D「行かないでください秋穂さん!あなたが行ったら、それこそ奴らの思う壺だ!」

男E「そうだ!秋穂さんを渡すわけにはいかない!」

絵里「……あなた達さっき言ってたじゃない。リーダーの命令は絶対って」

絵里「少しは秋穂の気持ちを汲んであげたらどうなの?」

男達「…っ。それは…」

828: 2020/07/17(金) 11:31:06.14 ID:HbAlBYEF
秋穂「……みんなは脱出口から逃げて」

秋穂「私が時間を稼ぐから」

男P「秋穂さん…」

秋穂「命が危ないと思ったら一目散に逃げないとダメなの…」

秋穂「そうだよね?絵里おばさん」

絵里「……えぇ」

男A「秋穂さん…」

秋穂「……みんな、あとで合流しよう」

秋穂「」ダダッ!

男B「秋穂さんっ!!」

絵里「あなた達は行きなさい、秋穂は私に任せて」ダッ

男C「…くっ」

男A「ちっ…!行くぞ、お前ら…!」

男B「そうだ…!秋穂さんの行動を無駄にするな…!」

829: 2020/07/17(金) 11:45:43.76 ID:HbAlBYEF
親衛隊隊長「突撃ーッッ!」

ガシャアアン!

ダダダダダッ!

秋穂「………」

絵里「………」

親衛隊A「氷の女王、発見!」

親衛隊B「……むっ!こいつは!」

親衛隊隊長「どうした?」

絵里「………」

親衛隊隊長「テ口りストの絢瀬絵里…!」

親衛隊隊長「これはこれは…思いがけない収穫」

830: 2020/07/17(金) 11:49:52.51 ID:HbAlBYEF
親衛隊隊長「ターゲット2名を確保し…逃走した反逆者を殲滅せよ!」

秋穂「……やっぱり、嘘だったんだ」

親衛隊隊長「当たり前だ。貴様さえこちらに渡れば残りの奴らなどどうでもいい」

秋穂「私、嘘つきが大嫌いなの」

秋穂「嘘つきには…それ相応の罰がないとダメだよね」

親衛隊隊長「どういうことだ…?」

秋穂「このアジトのあちこちに爆弾が設置されてるわ」

親衛隊隊長「なに!?」

秋穂「それを爆発させるスイッチを持ってるのはあたし…」スッ

秋穂「あんた達が彼らを追うなら…私は躊躇わずこのスイッチを押すわ」

親衛隊隊長「……くっ!」

831: 2020/07/17(金) 21:41:01.36 ID:qVaFjK9r
~愛民党総本部~

秋穂「絵里おばさん…大丈夫?」

絵里「ふふ…どうしたの急に?」

秋穂「絵里おばさんも彼らと一緒に逃げてれば…」

絵里「別に…私はただの引率よ」

秋穂「また、そんなこと言って…」

親衛隊A「さっさと歩け!」

ドスッ!

絵里「グッ…カハッ…!」

秋穂「!!」

秋穂「ちょっと!!なにすんのよ!!」

絵里「大丈夫…!」

絵里「秋穂…大丈夫だから…ゲホッ」

秋穂「…っ」

832: 2020/07/17(金) 21:44:25.35 ID:qVaFjK9r
親衛隊隊長「」ピタッ

親衛隊隊長「ここから先は高坂秋穂1人で来るようにとのお達しだ」

親衛隊隊長「貴様はその女を地下へ」

親衛隊A「はっ!」

秋穂「絵里おばさん…」

絵里「私のことは気にしなくていいわ、大丈夫だから…」

親衛隊B「さぁ来い」

絵里「……」スタスタ

秋穂「……」

親衛隊隊長「手錠を外してやれ」

親衛隊C「はっ!」

ガチャリ…

秋穂「…つっ」

833: 2020/07/17(金) 21:47:49.62 ID:qVaFjK9r
親衛隊隊長「ついて来い」

秋穂「……」

スタスタ…

あんじゅ「あら?あらあら!この子があの高坂穂乃果さんの姪っ子?」

英玲奈「“あいどる”のご息女だな」

親衛隊隊長「あんじゅ様、英玲奈様、左様でございます」

秋穂「………」

あんじゅ「へぇ~…中々可愛らしい子…」ジッ

秋穂「(近い……)」

あんじゅ「……ふぅん♪」

あんじゅ「」ベロンッ

秋穂「いっ……!?」

秋穂「な、何してるのよッ!」

あんじゅ「あはっ♪可愛いリアクション♡」

秋穂「くっ…汚らしい…!」フキフキッ

834: 2020/07/17(金) 21:52:37.94 ID:qVaFjK9r
英玲奈「あんじゅ、遊びが過ぎるぞ」

英玲奈「いくら“あいどる”に贔屓されていると言えど、頬を舐めるなど…」

英玲奈「知れたらただではすまないぞ」

あんじゅ「…ねぇ、英玲奈…この子にアレを持たせたら面白いんじゃない?」

英玲奈「話を聞いていたのか?」

あんじゅ「出して」

英玲奈「……はぁ」スッ

あんじゅ「」パシッ

あんじゅ「それじゃ!姪っ子ちゃん、頑張ってね♡」

ポンポンッ

秋穂「~~っ!(鬱陶しい…!)」

スッ

秋穂「!!」

あんじゅ「うふっ…♪」

あんじゅ「じゃあ、みんなご苦労様~♡」

英玲奈「私たちはこれで」

親衛隊隊長「はっ!」

秋穂「(今、何か…ポケットに入れられた…?)」

秋穂「(この感触…拳銃?)」

秋穂「なんで……あいつらが……?」

835: 2020/07/17(金) 21:57:11.21 ID:qVaFjK9r




親衛隊A「ここだ。大人しくしてろよ」

囚人達「ザワザワッ… 」

絵里「……私も牢獄に入れられるのは初めてじゃないけど、こんな大人数と一緒なのは初めてだわ」

親衛隊A「ごちゃごちゃ言うなっ!」

おばあさん「ゴホッゴホッ…」

絵里「そこのおばあさん…体調が悪そうだけど大丈夫なの?」

親衛隊A「黙って入れ!」

ドンッ

絵里「…ッ!」ドサッ

親衛隊A「ふんっ…」

ガチャリ…

836: 2020/07/17(金) 21:59:21.55 ID:qVaFjK9r
絵里「んもぅ…いったいわね…」

おばあさん「お姉ちゃん…大丈夫かい?」

絵里「ありがとうございます…平気です」

青年「お姉さんはなんでここに?」

絵里「あなた達と変わらないと思うわ。逆恨みみたいなものね」

青年「あははは…」

「絵里お姉ちゃん?」

絵里「え?」

「やっぱり絵里お姉ちゃんだ。僕だよ」

虎太郎「虎太郎だよ」

絵里「え…?こ、虎太郎くん…!?」

837: 2020/07/17(金) 22:01:34.05 ID:qVaFjK9r




ブォンブォンブォン…

秋穂「246、247、248、249、250、251…」

秋穂「…何階あるのよ」

秋穂「どこまで行くの、これ?」

親衛隊隊長「…」

秋穂「……260、261……」

……チーン

親衛隊隊長「」サッ

秋穂「……?」

ガァァ…

秋穂「……ッ!!」

“あいどる”「…やぁ」

“あいどる”「会いたかったよ、秋穂」

秋穂「……ゴクッ」

838: 2020/07/17(金) 22:08:39.23 ID:qVaFjK9r
コツ…コツ…

“あいどる”「ほら」

“あいどる”「ここ、座って」

秋穂「………」スッ

“あいどる”「さぁ、食べて」

秋穂「……なにこれ」

“あいどる”「わかるでしょ?おまんじゅう。君の好物だよ」

秋穂「…ッ!」

ガンッ!

秋穂「私を知る人間何人を拷問にかけてソレを聞き出したの!?」

“あいどる”「……そんな事をしなくたってわかるよ。私は神である前にあなたの親なんだから」

秋穂「……うるさい」

秋穂「私の親はお母さんだけ……」

秋穂「あなたを親と思ったことなんて一度だってないッ!」

839: 2020/07/17(金) 22:10:35.44 ID:qVaFjK9r
“あいどる”「……8月3日の武装蜂起、中止するそうだね」

“あいどる”「良かったよ。親子ゲンカなんて思われちゃみっともないもんね」

秋穂「………」

“あいどる”「……近々人類は滅亡するだろう」

“あいどる”「君にもわかるよね?なんたって神の子なんだから」

秋穂「……滅亡なんてするわけない」

“あいどる”「本当にそう言い切れるの?」

秋穂「……滅亡なんてしない……絶対させないッ!」

“あいどる”「今にわかるよ…」

840: 2020/07/17(金) 22:15:01.37 ID:qVaFjK9r
秋穂「なにが神の子よ…」

秋穂「ふざけないで……ふざけないでっ!」

秋穂「穂乃果おばちゃんも海未おばちゃんも絵里おばさんも花陽おばさんも…みんな私を本当の娘みたいに可愛がってくれた…」

秋穂「あの人たちの娘だったらどんなに良かったか…」

秋穂「……あなたの子供に産まれて良かったと思ったことなんて一度もない」

秋穂「私は神の子なんかじゃない……」

秋穂「人類史上最悪の人間の娘よッッ…!!」

ドンッッ!

“あいどる”「………」

秋穂「ハァ…ハァ…」

841: 2020/07/17(金) 22:20:09.44 ID:qVaFjK9r
秋穂「8月3日…」

秋穂「どこにウィルスを撒くの…?」

“あいどる”「……さぁね」

秋穂「みんなどこに逃げれば助かるの…?」

“あいどる”「……さぁね」

“あいどる”「正直…私自身、今度のウィルスにどれほどの〇傷力があるのかわかってない」

“あいどる”「それに…いつの時代も出来事というのは神の気まぐれから起きるものだよ」

“あいどる”「だから…私の気まぐれで無事な場所もあるかもしれないね」

秋穂「…ッ!もうやめて!!」ガタッ

秋穂「」スチャッ

“あいどる”「………」

842: 2020/07/17(金) 22:26:56.75 ID:qVaFjK9r




スタスタ

海未「秋穂と絵里が捕まったみたいです…。助けないと」

花陽「あの2人が…本当なのかな」

海未「逃げてきた男性が言っていました。金髪の絵里という人物と自分たちのリーダーが拐われた…と」

海未「絵里は秋穂に会いに行ったと…曜という絵里の連れ人が言っていましたし、間違いありません」

花陽「……そっか」

ピタッ

花陽「……ここから上に行けば“あいどるタワー”の駐車場に出られるよ」

花陽「そこで凛ちゃんが待ってる」

海未「花陽はどうするんですか?」

花陽「私は…やる事があるから、気にしないで」タッタッタッ

海未「………」

843: 2020/07/17(金) 22:32:05.14 ID:qVaFjK9r
海未「はぁ…はぁ…」

凛「おーい!海未ちゃん!」

海未「凛!久しぶりですね…無事でなによりです…」

凛「海未ちゃんもね!」

ブチッ…プツンッ…

海未「!」

海未「停電…?」

凛「きっとかよちんがやったんだにゃ!」

凛「急ごう海未ちゃん!凛たちは早く秋穂ちゃんを!」

海未「花陽が…?おかしいです…いくらなんでも早すぎます」

凛「海未ちゃん早くっ!」

海未「凛、秋穂をお願いします!」ダダッ

凛「え!?」

凛「海未ちゃんッ!どこ行くの!?」

海未「私は花陽のところに!そちらはお願いしますね!」ダダダッ

凛「………」ポカーン

凛「…んにゃぁ…」

844: 2020/07/17(金) 22:36:16.87 ID:qVaFjK9r




ブォンブォンブォン…

秋穂「絵里おばさんのところまで案内して」

“あいどる”「……秋穂、アキバドームに行った事はある?」

秋穂「……なに?」

“あいどる”「素敵なところなんだ」

“あいどる”「μ'sの努力の結晶だよ」

“あいどる”「彼女たちがいたから、今のスクールアイドルはあそこで踊って歌う事が出来るんだよ」

“あいどる”「私はあそこが好き」

秋穂「…あなたはなにを考えているの?」

秋穂「μ'sが好きなの?嫌いなの?」

秋穂「本当に人を〇してなにも感じないの?」

“あいどる”「…質問はひとつにしてくれないかな」

“あいどる”「いくら最愛の娘とはいえ、一気に回答は出来ないからね」

秋穂「……いや、回答なんかいらない。そんなの無くたってわかる……」

秋穂「異常よ。あなたは」

“あいどる”「………」

845: 2020/07/17(金) 22:41:44.79 ID:qVaFjK9r
“あいどる”「どんな時代も天才と謳われる人物は奇人や変人と言われるのが相場なのさ」

“あいどる”「天才でさえその言われよう」

“あいどる”「神ともなれば…その存在を異常と思うのも不思議ではない」

“あいどる”「今はまだ秋穂にはわからないかも知れない」

“あいどる”「でも…君もいつかその境地に辿り着く。神の子なんだから」

秋穂「違う…あなたはただの〇戮者…」

秋穂「……本当の天才って言うのは」

秋穂「不可能と言われる事を成し遂げたり……歌で人を魅了したり……行けないと思ってた場所へ手を引っ張って連れて行ってくれる人のこと」

“あいどる”「それは他人の協力があってこそだよね」

秋穂「……μ'sはあなたとは違う」

“あいどる”「……本当に穂乃果ちゃんが好きだね」

“あいどる”「……昔の人たちもみんなそうだった」

“あいどる”「事あるごとに穂乃果…穂乃果…穂乃果って」

“あいどる”「……いいなぁ」

秋穂「………」

846: 2020/07/17(金) 22:44:56.97 ID:qVaFjK9r
スタスタ…

秋穂「……」

スチャッ スチャッ スチャッ スチャッ スチャッ

秋穂「!」

親衛隊「」スチャ

あんじゅ&英玲奈「……」

秋穂「……どいて!」

あんじゅ「いくら“あいどる”の子供だからって…やっていい事と悪い事の違いもわからないのかしらぁ?」

あんじゅ「親に銃を向けるなんて…」

秋穂「こんなやつ…親でもなんでもない!」

秋穂「〇したってバチなんか当たらない!むしろ…〇した方がきっと…!」

あんじゅ「そう…」

847: 2020/07/17(金) 22:48:39.22 ID:qVaFjK9r
あんじゅ「なら撃ってみなさい」

秋穂「!?」

“あいどる”「……」

秋穂「……?」

秋穂「……!」ハッ

あんじゅ「うふっ♡正解!その銃に弾は入ってないの♪」

秋穂「ぐっ……」

“あいどる”「……彼女は私に銃を向けた」

“あいどる”「だから“退部”だ」

秋穂「…ッ!」

英玲奈「……“あいどる”、お言葉ですが高坂秋穂は“あいどる”のご息女……いくらなんでも」

“あいどる”「娘?関係ない」

英玲奈「しかし…」

“あいどる”「関 係 な い」

英玲奈「……申し訳ありません。失言でした」

848: 2020/07/17(金) 22:53:43.94 ID:qVaFjK9r
あんじゅ「発砲準備」

親衛隊「発砲準備!」

スチャッ スチャッ スチャッ スチャッ スチャッ

“あいどる”「いや、待って」

“あいどる”「彼女を8月3日の主役にしよう」

秋穂「は…?」

“あいどる”「穂乃果の姪。人類を滅亡に追いやる史上最悪の女テ口りスト」

あんじゅ「なぁるほどぉ~…♪」

あんじゅ「なら、行ってもいいわ。姪っ子ちゃん♡」

秋穂「……っ」

秋穂「……ッッ!」ダッ!

“あいどる”「秋穂」

秋穂「」ピタッ

秋穂「……」クルッ

“あいどる”「わかる?私こそ…」

“あいどる”「私こそが真のアイドルなんだよ」

秋穂「……」クルッ

ダダダッ…

849: 2020/07/17(金) 23:00:45.84 ID:qVaFjK9r
秋穂「」タッタッタッ

秋穂「……」ピタッ

秋穂「」ガクッ

秋穂「ッッ…」ジワッ…

秋穂「うぅっ…うわぁぁぁん…!!!」

…タッタッタッ

凛「秋穂ちゃんッ!!」

秋穂「エッ…エッ…凛…おばちゃん…?グスッ…」

凛「どうしたの!?何かされた?いや…怪我はない!?」

秋穂「グスッ…凛おばちゃん…!」ダキッ

凛「んにゃ…!」

秋穂「撃てなかった……!私……撃てなかったよおぉ……!」

凛「……うん、うん……」ギュッ…

秋穂「なんで…グスッ…なんでぇ…」

凛「とにかく……ここは危険だにゃ」

凛「行こう」

秋穂「グスッ…エグッ…うん…」

856: 2020/07/19(日) 14:38:23.75 ID:Pw3UHU6k




千歌「釣れないですね~…」

穂乃果「そうだねぇ…」

千歌「……ってちっがーう!」

穂乃果「へ?どうしたの急に…」

千歌「なんで私たち釣りなんてやってるんですか!」

穂乃果「だってお腹減って…」

千歌「早く東京に行かないとっ!」

穂乃果「まぁまぁ。お腹が減ってはって言うでしょ?」

穂乃果「……ずっと気を張ってると疲れちゃうこともあるからね」

千歌「そ、そうですかねぇ…」

857: 2020/07/19(日) 14:41:32.68 ID:Pw3UHU6k
千歌「」チョキンチョキン

穂乃果「え…?ハサミ?」

穂乃果「何するつもりなの?」

千歌「ふふふ…。髪、切りましょう!」

穂乃果「ふぇ?な、なんで…?」

千歌「穂乃果さんと言えばセミロングですよっ!」

千歌「それに、そんなに長いと秋穂ちゃんが気づいてくれないかも…!」

穂乃果「えぇ…気づくと思うけどなぁ…」

千歌「いいからいいから!切りましょう!」

千歌「さっ!帽子取ってください!」

穂乃果「たはは…(グイグイ来る子だなぁ~…)」

858: 2020/07/19(日) 14:44:07.73 ID:Pw3UHU6k
チョキン…チョキン…

千歌「きっと…穂乃果さんに会えたら秋穂ちゃん喜びますよ…」

穂乃果「…秋穂の面倒は今…誰が見てるんだろう…」

千歌「海未さんだと思いますよ。いつだか秋穂ちゃんが言ってました…。海未おばちゃんには迷惑かけたくないって…」

穂乃果「そっか…海未ちゃんが」

穂乃果「ぷっ…。それにしても海未おばちゃんかぁ。海未ちゃんもそんな歳になったんだねぇ」

千歌「穂乃果さんも海未さんと同い年じゃないですか」チョキンチョキン

穂乃果「あっ…そっか」

千歌「……秋穂ちゃん、ずっと穂乃果さんに会いたがってましたよ」

穂乃果「……私は」

穂乃果「あの子が思ってるような人間じゃないんだけどなぁ……」

千歌「え?」

穂乃果「………」

859: 2020/07/19(日) 14:54:04.09 ID:Pw3UHU6k
穂乃果「あっ…ねぇねぇ、アレ知ってる?」

千歌「アレ?って…あそこに生えてるアレの事ですか?」

穂乃果「そう。それ」

千歌「うーん?なんだろう…アスパラガスかな?」

穂乃果「うーうん。シオデって言うんだよ」

千歌「へぇ~…」

穂乃果「あのね、シオデにも花言葉があるんだよ」

千歌「そうなんですか?」

穂乃果「うん。味わい深い…ってね」

千歌「味わい深い?美味しいって事ですか?」

穂乃果「じゃなくて、花の色は地味でも面白いって事だよ」

千歌「穂乃果さん…詳しいですねー!」

穂乃果「……うん。昔、教えてもらったんだ」

穂乃果「あっ…もう一つ花言葉があるんだった」

千歌「2つもあるんですか?」

千歌「じゃあ…そのもう一つは?」

穂乃果「もう一つは…」

穂乃果「………」

穂乃果「あなたを離したくない」

860: 2020/07/19(日) 15:00:26.72 ID:Pw3UHU6k
~~~~~~~~~~~

チョキン!

千歌「ふぅ…!終わりましたよ!」

千歌「うーん。我ながら上手く切れてます」

穂乃果「この歳でこの髪型って…大丈夫かな?」

千歌「大丈夫ですよ!海未さんにしたって穂乃果さんにしたって、昔と全然変わってないですから!」

穂乃果「えへへ…ありがと」

穂乃果「…さてと」

穂乃果「よしっ…じゃあ行こうか」

千歌「え…もう行くんですか?」

穂乃果「…何か他にやる事が?」

千歌「釣りは…?」

穂乃果「……うん。確かに、よく考えたら、私たちの獲物は魚じゃなかったよね」

穂乃果「乗って」

ブルンッ!

千歌「は、はいっ!」 ギュッ

ブルルルーンッ!!

861: 2020/07/19(日) 15:05:30.71 ID:Pw3UHU6k




ブルルンッ…

ことり「ずいぶん山奥まで来ましたね…」

ことり「神様…いったいどこに向かってるんですか?」

公野「行けばわかるよ」

ことり「私、ちょっと車酔いがぁ…」

公野「えぇ…」

公野「頑張りなよ。もうちょっとで着くから」

862: 2020/07/19(日) 15:12:26.99 ID:Pw3UHU6k
キッ…

公野「…ほら、着いたよ」

ことり「ここは…」

ことり「…小屋?」

ガチャ…スタッ…

ことり「ここに何が…?」

ブウウゥン…

ことり「え?」

キッ…

ことり「こんなところへ私たち以外に車で…?」

ガチャ…

真姫「ふぅ……。えっ……ことり!?」

ことり「ま、真姫ちゃんっ!何でこんな所に?」

真姫「それはこっちのセリフよ…って、あなた…」

公野「連れて来ちゃった」

真姫「連れて来ちゃった…じゃないのよ」

863: 2020/07/19(日) 15:19:25.56 ID:Pw3UHU6k
ルビィ「あ、あの!」

ことり「…?どうしたのっ?」

ルビィ「あ、あの……///」カァァ…

ことり「えっとぉ…真姫ちゃん、この子は…?」

真姫「私の助手よ。ほら、ルビィ…自己紹介なさい」

ルビィ「は、初めましてっ!黒澤ルビィです!よろしくお願いしますっ!」

ことり「そっか、真姫ちゃんの助手さんなんだ♪」

ことり「私は南ことりだよ。よろしくね♪」

公野「……さてと。自己紹介はその辺にしてさ」

公野「さっそく中に入ろうか」

ことり「神様…それで、ここには何があるんですか?」

真姫「え?ことり…あなた、知らないでここへ来たの?」

ことり「う、うん…神様に言われるがままついて来ちゃって…」

真姫「あなた…」キッ

公野「……遅かれ早かれ知ることになるんだし」

真姫「……まったく」

ルビィ「こ、ここは穂乃果さんの妹さんの研究所なんですっ!」

ことり「!…雪穂ちゃんの…?」

ことり「真姫ちゃん…ほんと?」

真姫「…えぇ。小さいけどね」

864: 2020/07/19(日) 15:27:59.32 ID:Pw3UHU6k
~~~~~~~~~~~

ゴソゴソ…

真姫「この防護服は必ず着て。じゃないと…」

ことり「ねぇ、真姫ちゃん」

真姫「なに?」

ことり「雪穂ちゃんはここで何をしてるの?」

真姫「…新型ワクチンの開発よ」

ことり「ワクチン…」

真姫「2035年、“あいどる”が世界中にウィルスをばらまいた時、既に私たちの手でワクチンを完成させていたの」

真姫「……でも、完璧じゃなかった」

真姫「100人に1人効果が出ればいいところの不良品だったわ……。その後、雪穂ちゃんはこの山奥に1人でこもってワクチンを……」

ことり「……そうなんだ」

865: 2020/07/19(日) 15:35:31.11 ID:Pw3UHU6k
スタスタ…

真姫「雪穂ちゃん!真姫よ!」

・・・シーン

真姫「……妙ね、返事がないわ」

ことり「どこかに出かけちゃったのかな?」

真姫「雪穂ちゃんの方から来てほしいって連絡があったのよ?そんなはずは…」

ことり「なら、どこに…」

公野「……こっちだね」スタスタ

ことり「あっ!神様!」

真姫「……そっちは確か実験室……ハッ……まさかっ!!」

866: 2020/07/19(日) 15:45:10.88 ID:Pw3UHU6k
ダダダッ

真姫「雪穂ちゃんっ!」

雪穂「……真姫さん、来てくれたんですね」

真姫「何…してるの…雪穂ちゃん…?」

ことり「真姫ちゃん!雪穂ちゃん…防護服着てないよ!いいの!?」

真姫「ダメに決まってるでしょ…何してるのよ…雪穂ちゃん!」

雪穂「ことりさんも…来てくれたんですか…久しぶりですね…」

ことり「雪穂ちゃん…」

真姫「雪穂ちゃん!そこから出なさいっ!」

ルビィ「真姫さん、ダメです…!向こうからじゃないと開きません…」

真姫「…ッッ!」

867: 2020/07/19(日) 15:52:01.13 ID:Pw3UHU6k
雪穂「真姫さん…“あいどる”が8月3日に使うであろうウィルスを入手しました」

雪穂「そして…そのワクチンも完成しました」

真姫「!」

雪穂「ただ…このワクチンを試したいというクライアントはもういません…見つける時間もないので…。だから」

雪穂「私が…試します」

ルビィ「そ…それって…人体実験!?」

ことり「雪穂ちゃんダメだよっ!危険すぎる!」

雪穂「“あいどる”は今度のウィルスのワクチンは私には開発出来ないと高を括っています……」

雪穂「もう、ワクチンは投与しました」

雪穂「そして、ウィルスを…」

プシャッ!

真姫「……!」

雪穂「真姫さん…もし、このワクチンがダメなら…もう8月3日には間に合いません」

雪穂「これが、最後の試作品…」

ことり「…雪穂ちゃん」

雪穂「私が死んだら“あいどる”の勝ち」

雪穂「生きれば…人類の勝ち」

868: 2020/07/19(日) 15:57:23.07 ID:Pw3UHU6k
雪穂「……ハァ……ハァ」

真姫「…何時間持てば有効なの?」

雪穂「ゼェ…潜伏期間は…12時間…それまでに私に何も…ハァ…なければ…いけます…使えます…ハァハァ…」

公野「もう、だいぶ苦しそうだね」

雪穂「…ハァハァ、はは…もしかしたらダメかも…しれないので、その時は…ゼェ…ごめんなさい…」

ことり「ダメだよっ…雪穂ちゃん!死んじゃダメ!」

ことり「死んじゃったら…また誰かが…悲しむ…きっと」

雪穂「私も……血を噴き出して死ぬのは、ハァハァ……嫌なので……あはは……頑張ります……ゼェ」

雪穂「……もし私になにかあったら……デスクの上に“あいどる”についての資料をまとめてあるので……使ってください……」

869: 2020/07/19(日) 16:00:29.03 ID:Pw3UHU6k
雪穂「ハァハァ…もしかしたら…今すぐにでも…死ぬかもしれません…」

雪穂「何か聞きたいことがあれば……ゼェ……今のうちに答えます……よ、ハァハァ……なんでも答えます」

ことり「……あのね、さっきの雪穂ちゃんが死んじゃったら悲しむって話……誰のこと言ってるかわかるよねっ……?」

雪穂「……秋穂……ハァ……秋穂……ですよね……」

ことり「うん、そうだよ。だから、絶対に死んじゃダメ……」

雪穂「……ハァハァ、はい……」

雪穂「……あの……秋穂は……元気に……ハァ……してますか……?」

ことり「……私もしばらく会えてないけど、元気な子だよ?」

ことり「元気すぎるっていうか……」

雪穂「ハァハァ……あはは……まるで……お姉ちゃん……みたい……ですね……ゼェ……」

870: 2020/07/19(日) 16:03:30.58 ID:Pw3UHU6k
公野「……デリカシーのない質問で悪いんだけど」

雪穂「神様にも……わからないこと……あるんですね」

公野「まぁね……」

雪穂「大丈夫ですよ……?なんでも答えるって言ったので……」

公野「……それじゃあ。秋穂の片親は本当に“あいどる”なの?」

雪穂「………」コクッ

雪穂「そうです……」

ことり「雪穂ちゃん…“あいどる”は誰なの…?」

雪穂「………いろいろと、薬の副作用で記憶が曖昧なんですが………ハァハァ………ゲホッ」

雪穂「“あいどる”は……」

真姫「………」

871: 2020/07/19(日) 16:06:22.95 ID:Pw3UHU6k
雪穂「……A-RISEのツバサだと思います」

真姫「……!!」

ことり「うそ……」

公野「……最近聞いた話だと、A-RISEのメンバー3人のうち……ツバサだけ、地方へ飛ばされたらしいわ」

公野「あんじゅと英玲奈は今も“あいどる”の右腕として働いてるって」

公野「冷静に考えてみると、同じ山田派閥だったA-RISEで……ツバサだけ異動はおかしい気がするわね」

真姫「……本当にツバサなの?」

雪穂「はい……今まで黙ってて……ごめんなさい真姫さん……ハァハァ」

雪穂「……私の記憶では微かに……ツバサの……顔が……」

雪穂「もしかしたら……違うかもですけど……ハァハァ」

872: 2020/07/19(日) 16:18:58.29 ID:Pw3UHU6k
~~~~~~~~~~~

雪穂「………ハァハァ」

ルビィ「あと30分!雪穂さん、頑張ってくださいっ!」

雪穂「はは……ありが……とう……」

雪穂「あの……誰か……」

真姫「なに…?どうしたの…?」

雪穂「……秋穂に……ハァハァ……なんでも諦めないで……最後まで頑張るんだよって……伝えといて……ゼェ……ください」

ことり「雪穂ちゃん……」

ことり「……それは雪穂ちゃんが直接伝えてあげてほしいな」

雪穂「でも…。ッッ」

雪穂「オエッ…ゲホッゲホッゲホッ!!!ガバッッ!!」

ことり「雪穂ちゃんっ!」

ルビィ「ッッ…。ルビィ!もう見てられない!中に行ってきます!」

雪穂「ダメッ!!」

ルビィ「!」

雪穂「絶対入っちゃ……ゼェゼェ……ダメ」

真姫「……ルビィ、向こうからじゃないと開かないって言ったのはあなたでしょ?」

真姫「もう見てることしかないのよ…私たちは」

ルビィ「……はい」

雪穂「大丈夫だよ……ルビィちゃん……ちょっと咳き込んだだけ……ワクチンの副作用だから……たぶん」

ことり「たぶんって…雪穂ちゃん…」

873: 2020/07/19(日) 16:33:47.03 ID:Pw3UHU6k
ことり「まだ、雪穂ちゃんと一回もお酒飲んだことないよね」

雪穂「え……?あは……そ、そうですね……」

ことり「私、雪穂ちゃんとお酒……飲みたいなっ」

雪穂「……はい、私も……一緒に、飲みたいです」

真姫「……実は私もないわよね」

雪穂「確かに……真姫さんとも……ないですね」

真姫「なら、今度みんなで酌み交わしましょう」

雪穂「はは……はい」

874: 2020/07/19(日) 16:39:13.65 ID:Pw3UHU6k
雪穂「ゲホッゲホッ、ゲッホ…!」

雪穂「……!」ツー

ルビィ「あっ…鼻血が!」

雪穂「……だいじょ……ふ……」

雪穂「あっ…」フッ

雪穂「」バタッ…

ことり「……ッッ!雪穂ちゃぁん!」

真姫「雪穂ちゃんッ!」

雪穂「………」

ことり「そんな……」ガクッ

真姫「うそ……でしょ……」

公野「……あんたたち、慌てすぎだよ」

ことり「え…?」

公野「……疲れて眠っただけ」

公野「……もう、12時間経ってる」

875: 2020/07/19(日) 16:44:45.17 ID:Pw3UHU6k




ブゥゥゥン…

穂乃果「……んぅ?」

千歌「どうかしたんですか?」

穂乃果「いや、さっきから…何か注目を浴びてるような」

千歌「……はっ!まさか、穂乃果さんの髪切っちゃったからみんなにバレちゃったのかな……」

穂乃果「いや…私なら別にいいんだけどね…むしろ注目されてるのは…」

穂乃果「あなたかも…」

千歌「え?」

中年「おい、そこの姉ちゃん」

穂乃果「」キョロキョロ

穂乃果「私ですか?」

中年「そうだ。なぁ…あんたの後ろに乗ってるそいつの顔、ちょいと拝ましてくれねぇか?」

穂乃果「…なんで?」

中年「これだよ」ピラッ

穂乃果「」スッ

千歌「……?」

穂乃果「指名手配……逃亡警察官、高海千歌……この顔にピンと来たら親衛隊まで……」

千歌「……えっ!??」

876: 2020/07/19(日) 16:47:03.25 ID:Pw3UHU6k
穂乃果「……いつからこれが?」

中年「つい先日だ」

穂乃果「手配書ってこの写真の子だけ?」

中年「あぁ、そいつだけだ」

穂乃果「そっか……」

千歌「穂乃果さん…まずいですよぉ~…!もう行っちゃいましょう…」コソコソ…

穂乃果「なら、この子が高海千歌だよ」

千歌「!?」

中年「あ?」

穂乃果「だから、この子がその指名手配の子」

千歌「ほっ…穂乃果さんッッ!?」

877: 2020/07/19(日) 16:56:28.08 ID:Pw3UHU6k
千歌「うぅ……酷い……酷いですよ、穂乃果さぁん」

穂乃果「………」

中年「おら!もうすぐ親衛隊が来るからなッ!この犯罪者め!」

千歌「やだよぉ…!」

タッタッタッ…

「お待たせしました!高海千歌はどこず…ですか!?」

千歌「おぉ、来た来た…」

千歌「うぅぅ……グスッ」

中年「いつまで泣いてんだ!こいつです!親衛隊さん!」

「ご協力感謝しますわ!」ビシッ

千歌「うわぁぁん!」

穂乃果「……じゃ、私は行くね」ブルルルンッ

千歌「~~~ッッ!」

878: 2020/07/19(日) 17:13:01.45 ID:Pw3UHU6k
千歌「エグッ…グスッ…私、どこに連れて行かれるんですか…?」

「ふふふ…連れていくも何もないずら~」

千歌「え!?…ってことはすぐに〇されて…!…ん?ずら?」

「鈍感すぎではなくて?千歌さん?」

千歌「この声…この口調…まさか!」バッ

花丸「へへ~」

ダイヤ「うふふ…」

千歌「ダイヤさん!花丸ちゃん!」

花丸「ここまで来ればもう安心だね」

千歌「2人とも久しぶり……いや、その前に……無事で良かった……!」

879: 2020/07/19(日) 17:16:54.29 ID:Pw3UHU6k
千歌「というか2人ともなんで親衛隊の格好してるの?コスプレ?」

ダイヤ「千歌さんを探すためですわ」

ダイヤ「少々荒っぽい探し方になってしまいましたけど……」

花丸「ま、無事に見つかってよかったずら~」

千歌「なんで私を探しに?」

ダイヤ「決まっているでしょう?リーダーがいないとなにも始まらない」

花丸「千歌ちゃんを迎えに来たの!」

花丸「みんな待ってる…行こう!」

千歌「みんなが……うん!行こう!」

千歌「あっ……でも、ちょっと待って!」ダッ

ダイヤ「えっ…ち、千歌さん!?」

花丸「どこ行くの!?」

880: 2020/07/19(日) 17:24:18.59 ID:Pw3UHU6k
ダダダッ…

千歌「はっはっ…」

千歌「…!いた…」

千歌「穂乃果さん!!」

穂乃果「……!」

千歌「……知ってて、私を差し出したんですね」

穂乃果「……うん。だって、あなたの同僚は他にもいたのに、あなただけ指名手配なんておかしいからね」

千歌「……穂乃果さん」

穂乃果「……みんなの夢が希望が……唄になったら、また会える」

穂乃果「あなたはもう叶ったね」

穂乃果「…向こうで会おう」

穂乃果「またね……千歌ちゃん」キュッ

ブゥゥゥン!

千歌「ほ、穂乃果さん…!」

881: 2020/07/19(日) 17:30:55.91 ID:Pw3UHU6k
タッタッタッ…

花丸「は、はぁ…もう…千歌ちゃん…急に走って…どうしたの…はぁはぁ…」

千歌「…お礼、言っとかなきゃと思って」

ダイヤ「お礼?」

千歌「うん、穂乃果さんに…」

ダイヤ「穂乃果…穂乃果さん…穂乃果さん…??」

ダイヤ「穂乃果さんッッ!?」

千歌「……また、向こうで会いましょうね」

882: 2020/07/19(日) 17:53:25.44 ID:Pw3UHU6k




ハターキ「お呼びで?」

“あいどる”「……先生、私ね……次の曲はSF風がいいと思ってるんだ」

ハターキ「SF風ね…」

“あいどる”「強大な力で世界を震撼させる、みたいな……」

ハターキ「…考えとくよ」

梨子「……」

ハターキ「用件はそれだけかい?なら行くよ」

“あいどる”「ちょっと待って」

ハターキ「え?」

梨子「……?」

“あいどる”「君は残って」

梨子「え…」

883: 2020/07/19(日) 17:54:31.37 ID:Pw3UHU6k
梨子「……(どうしましょう?)」ジッ

ハターキ「……(ここは言うことを聞いときなさい)」コクッ

梨子「……(わかりました)」

ハターキ「……では、私は失礼」

バタンッ…

梨子「………」

“あいどる”「………」

“あいどる”「君は……先生のマネージャーだったよね」

梨子「は、はい…」

“あいどる”「……いいね、役割があって」

梨子「はい…?」

884: 2020/07/19(日) 17:56:18.09 ID:Pw3UHU6k
“あいどる”「私にも昔は役割があった。他の誰よりも認められていいはずの……役割が」

梨子「……どんな役割だったんですか?」

“あいどる”「………」

梨子「………」

“あいどる”「……ずっと、応援してたんだ」

“あいどる”「ずっと……」

梨子「応援…ですか」

“あいどる”「ずっと……」

梨子「……?」

“あいどる”「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと」

梨子「…っ」ゾッ

“あいどる”「……しかし、虚無感っていうのはダメだね。本当に虚しくなっちゃう」

885: 2020/07/19(日) 17:59:47.97 ID:Pw3UHU6k
梨子「……次の曲、SFみたいにって言ってましたけど……何をする気なんですか?」

“あいどる”「……世界大統領とかさ……なってみて、やってみて初めて気づいたけど……」

“あいどる”「……向いてないね」

梨子「なら…」

“あいどる”「そうだね、飽きたし…」

“あいどる”「そろそろ終わらせよっか」

梨子「え…?」

“あいどる”「自分が信じているものが虚像だと知ったら、みんなどう思うんだろうね……」

“あいどる”「……私、知ってるよ?本当は君が先生の代わりに作曲してるんでしょ?」

梨子「」ドキッ

梨子「い、いえ…」

“あいどる”「いいんだ、別にそんなこと隠さなくたって」

886: 2020/07/19(日) 18:05:07.98 ID:Pw3UHU6k
“あいどる”「人には得意不得意、適材適所というものがあるんだから」

“あいどる”「……過去、君は行き詰まった時に次の選択肢があったでしょ?」

梨子「………」

“あいどる”「……私には……もう、なにも……」

“あいどる”「……だから終わり」

“あいどる”「……あの子たちのあの時の判断が正解だって、賢明だったって思い始めてる自分が嫌だよ、もう」

梨子「……いったい、何をする気なの……?」

“あいどる”「……ふふ」

“あいどる”「終わらないパーティーを終わらせるんだよ」

887: 2020/07/19(日) 18:07:42.63 ID:Pw3UHU6k
スタスタ…

梨子「……」

ハターキ「おかえり。早かったね」

梨子「先生……はい、まぁ……」

ハターキ「なに言われたの?」

梨子「……よくはわからなかったんですけど……とにかく、終わらせるらしいです」

ハターキ「終わらせる……ねぇ」

梨子「それと…今日の12時30分から特別放送をやるみたいです」

梨子「世界中のテレビや映画館、街頭ビジョンに映し出すそうです」

ハターキ「中途半端な時間だなぁ……それなら正午でいいのに……ちなみに今、何時だっけ?」

梨子「今は……」チラッ

梨子「……12時29分です」

ハターキ「なら、ちょうど街頭ビジョンもあることだし…見ようか」

梨子「……私、何か……嫌なの感じがします」

ハターキ「……私もだよ」

梨子「………」

ハターキ「……さて、なにを語るか」

888: 2020/07/19(日) 18:12:56.39 ID:Pw3UHU6k
ジジッ…ジッ…

ブオンッ…

“あいどる”『やぁ、世界中の皆さん、こんにちは』

“あいどる”『みんな覚えてるかな、2019年12月31日の血の大晦日……』

“あいどる”『そして2035年、ウィルスによって世界中でたくさんの人が死んだよね』

“あいどる”『全部、私の予想通りだったよ』

“あいどる”『なぜ予想できたかって?私が神だから?うーうん…違うよ』

“あいどる”『だって全部、私がやったことだもん』

“あいどる”『君たちに愛想を振りまいて、かまけてるのはもう飽きました』

“あいどる”『そもそも私は…彼女と一緒に何かをやりたかっただけなので』

889: 2020/07/19(日) 18:15:32.42 ID:Pw3UHU6k
“あいどる”『でも、どうやったって君たちは私に何かを頼む、協力を仰ぐ、助けを求めるでしょう』

“あいどる”『ウンザリです。なので私は結論付けました』

“あいどる”『この世に私は必要だけど君たちは必要ないって』

“あいどる”『神様は1週間でこの世界を作られたみたいです』

“あいどる”『なので私は…1週間でこの世界を終わりにします』

“あいどる”『〇人ウィルスを世界中に撒きます』

“あいどる”『・・・あはは』

“あいどる”『うふふ・・・』

“あいどる”『じゃあ』

“あいどる”『みんな』

“あいどる”『お疲れ様』

第8章「希望の唄」-完-

890: 2020/07/19(日) 18:30:18.43 ID:Pw3UHU6k
ここら辺でキリがいいのとボチボチ改行出来なくなる頃合いなので次スレ立てます
諸事情により少し期間が空きますが遅くても今日から1週間以内には立てるつもりなのでよろしくお願いします
再投下が長くなって申し訳ないです
このスレが残ってればURLを貼って誘導させてもらいますので、しばしお待ちを…

910: 2020/07/26(日) 12:43:19.86 ID:Xga/NTNL
穂乃果(24)「ありがとうございました、またのお越しを~!」【Part2】
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1595734963/

お待たせしました

1: 2020/07/26(日) 12:42:43.81 ID:Xga/NTNL
前スレ
穂乃果(24)「ありがとうございました、またのお越しを~!」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1593260620/


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