歩夢「過ごした時間の長さは関係ない」【ラブライブ!SS】

あゆむ SS


1: 2020/12/12(土) 17:51:11.40 ID:+xrCreSy
侑「歩夢、あのさ…」

歩夢「なぁに?侑ちゃん」

侑「わ、私その、あの…」

歩夢「?」

侑「う、うー……あのさ!好きな人って、どんな感じ!?見てるとどんな気持ちになる…?」

歩夢「え……」

歩夢(なんでそんなこと聞くの?)

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1607763071/

3: 2020/12/12(土) 17:55:06.25 ID:+xrCreSy
歩夢「え、と…可愛いなって思ったり…」

侑「うんうん…」

歩夢「喜ぶことをしてあげたくなったり…い、一緒にいたいなって思ったり…」

歩夢(こ、これ恥ずかしい……)

歩夢「それとね、他の人と仲良くしてるのを見ると…ちょっとモヤモヤ、したり」

侑「!!」

歩夢「うーん、あとは……侑ちゃん?」

侑「そっか…やっぱり、私は…」ブツブツ

侑「歩夢、ありがと!…私ちょっと行ってくる!」ダッ

歩夢「ゆっ侑ちゃん!?どこ行くの?」

侑「ごめん!今日は先に帰っててー!」

歩夢(そのあと侑ちゃんは戻ってこなくて)

歩夢(探しに行った私が見たのは、仲良さそうに並んで歩く侑ちゃんと…せつ菜ちゃんだった)

歩夢(あの話をした後にせつ菜ちゃんのところに行く理由は、私にはどうしても一つしか思いつかない)

歩夢「侑ちゃん、せつ菜ちゃんのこと好きになっちゃったんだ……」

6: 2020/12/12(土) 18:01:38.63 ID:+xrCreSy
歩夢(あれから、私の日常は少し変わってしまった)

歩夢「あ、侑ちゃ……」

せつ菜「それでっ、次の展開がもう最高で!」

侑「うんうん!私はセリフにもドキドキしちゃったなぁ」

せつ菜「私もそこのセリフが一番好きなんです!!さすが侑さん!!」ギュッ!

侑「えへへ、せつ菜ちゃんに褒められると嬉しいなぁ」

歩夢「……今日は一人で帰ろうかな」

歩夢(あの日から、侑ちゃんを探すといつもせつ菜ちゃんが一緒にいる)

歩夢(気を遣ってか、少し前からせつ菜ちゃんのほうがよく遊びに誘ってくれるぐらいに……侑ちゃんは、すっかりせつ菜ちゃんに惹かれてる)

7: 2020/12/12(土) 18:07:19.28 ID:+xrCreSy
せつ菜「そういえば侑さん、今日歩夢さんは一緒じゃないんですか?」

侑「……んー、先に帰ったんじゃないかなぁ」

せつ菜「そうですか……いないなら仕方ないですね、今日は二人で帰りましょう!」

侑「うん!」

歩夢(侑ちゃん私なんてもうどうでもいいんだ…いないほうがいいんだ…)グス

歩夢(嫌だよ、諦められないよ……ずっと好きだったのに)

歩夢(ううん…せつ菜ちゃんのどこを好きになったのか知って、私も見習えば振り向いてもらえるかも…)

歩夢「がんばらなくちゃ…」グシグシ

9: 2020/12/12(土) 18:21:58.20 ID:+xrCreSy
翌日

歩夢「あ、あの!」

せつ菜「あ、歩夢さん!」ペカ-

侑「歩夢!ごめんごめん、ちょっと話が弾んじゃってさ。もう帰る?」

歩夢(今まで、私のことなんて忘れてたんだろうな)ズキ

歩夢「…ううん。今日はせつ菜ちゃんに用事があって待ってたの」

せつ菜「えっ!私ですか!なんでしょう!」

歩夢「えっ、あの、えーっと」

歩夢(どうしよう!なんて言うか考えてなかった!)

侑「せつ菜ちゃんとどこか行くの?」

歩夢「あ…う、うん!せつ菜ちゃんさえ良ければ…」

せつ菜「はい、大丈夫です!なんでも付き合いますよ!」

歩夢「ほんとう?よかったぁ…」

侑「えーなになに?歩夢私は?」

歩夢「その、ちょっと二人で話したくて…」

歩夢(侑ちゃん、いつもならこういうとき気を遣うのに…やっぱりせつ菜ちゃんだと気になるんだ)ズキ

侑「……ふーん?ならいいけどさ」

歩夢(うう、ちょっとだけ機嫌悪そう)

歩夢(好きな子を連れて行かれそうなんだから当然だよね…私ならこっそりついて行っちゃうもん…)

14: 2020/12/12(土) 18:44:43.66 ID:+xrCreSy
せつ菜「えっと、それでは侑さんまた…」

侑「ま、まって!えーと、せつ菜ちゃん、今日18時頃に電話してもいいかな?」

せつ菜「今日、ですか?」

侑「そ、その…ちょっと話しておきたいことがあって」

せつ菜「わかりました!…あ、歩夢さん、そのくらいには帰れますか?」

歩夢「…うん、多分大丈夫」

侑「多分?」

歩夢「…大丈夫」

歩夢(そこまでして長く一緒に居させたくないんだ)ズキズキ

歩夢(私なんて最後に侑ちゃんと電話したのはもう…!)

歩夢(……一昨日だった。私ともこれまで通り仲良くしてくれてはいるんだよね。せつ菜ちゃんが絡まなければ、だけど)

せつ菜「では、行きましょう歩夢さん!」ウキウキ

歩夢「う、うん。急にごめんね」

侑「…歩夢」

歩夢「なぁに?」

侑「あ、あの、歩夢のお母さん心配するし早く帰ってきてね」

歩夢「…うん」

歩夢(念押しされちゃった…それに、私には電話はしてくれないんだね)

歩夢(つらい、な)ズキズキ

16: 2020/12/12(土) 19:08:53.67 ID:+xrCreSy
せつ菜「さて、歩夢さん!どこに行くんですか!」ワクワク

歩夢「あのね、今日はその…せつ菜ちゃんのことをもっとよく知りたくて」

せつ菜「私のことを?」

歩夢「うん。好きなこととか、物とか…」

歩夢(侑ちゃんはどこを好きになったのか、とか)

せつ菜「わかりました!今日はたくさん私の大好きを伝えます!」

歩夢「迷惑じゃなかったかな?」

せつ菜「そんなことないです!私も都合良……」ハッ

せつ菜「わ、私のことを知ろうとしてくれるなんて嬉しいです!」

歩夢「う、うん…」

歩夢(うぅ…胸が痛いよ…)

せつ菜「そうするとどこに…あの店は前にも行ったし…」ブツブツ

歩夢「だからね、場所はどこでも「良いところがありました!」…わっ、せつ菜ちゃん?」

せつ菜「私を知ってもらうために一番最適な場所です!行きましょう!」ギュ

歩夢「わわ!?ひ、引っ張らないでえ…」

せつ菜「あまり時間がないですから、急ぎましょう!」グイグイ

18: 2020/12/12(土) 19:11:33.80 ID:+xrCreSy
歩夢(ぐいぐい引っ張られて、連れて行かれた場所は)

歩夢「…ここって」

せつ菜「はいっ、私の家です!今日はちょうど両親の帰りが遅くて」ニコニコ

歩夢「え、えっと…お邪魔します」

歩夢(家にお招きされちゃった…どうしよう、侑ちゃんにバレないようにしなくちゃ…)

せつ菜「どうぞ!狭い部屋ですが…」

歩夢「わ、すごい…参考書がたくさん」

せつ菜「この本棚には私の好きが詰まってるんです」

歩夢「勉強できるのは知ってたけど…好きなんだね」

せつ菜「良い成績を取らなくてはいけない義務感もありますが、楽しいですよ!」

歩夢「すごいなぁ…私も頑張らなくちゃ。おすすめの参考書ってある?」

歩夢(頭が良いってところにも惹かれたのかもしれないし…色々教えられたらかっこいいもん)

せつ菜「そうですね…うーん、歩夢さんはどの教科も平均以上にはできましたよね」

歩夢「あれ、話したことあったっけ?」

せつ菜「あっ、その…侑さんです!侑さんと話しているときにちょっとそんな話になりまして」

歩夢「…そっか」

歩夢(複雑だけど、私の話が出たのは嬉しいな)

せつ菜「な、なので!例えば日本史ならこのシリーズがいいと思います。細かい記載が豊富で、より全体の流れの理解が深まります」ドサドサ

せつ菜「数学は問題集なのですが、これとこれと…この辺はおすすめです!回答がどの問題も詳しく書いてあるので、先に読んでから解き始めてもいいと思います」ドサドサドサ

歩夢「本当だ、わかりやすいね」ペラ...ペラ...

歩夢(わ、線と…どのページも書き込まれた付箋が貼ってある…)

歩夢「せつ菜ちゃんはすごいね…」

せつ菜「先ほども言った通り、好きですから」

歩夢「ううん、それでもだよ。"好き"を一生懸命頑張れるの、とっても素敵だと思う」

せつ菜「あ…」

歩夢(私も自分の"好き"にまっすぐ立ち向かえたら、こんなことにはならなかったのかな…)

せつ菜「そ、その…あの…嬉しいです」テレ

歩夢「あれ?参考書の後ろに…漫画?」

せつ菜「はい!"好き"が詰まった本棚なので!特にお気に入りの漫画はここにしまっているんです」

歩夢「へえ~…参考書の方が大きいから全然気づかなかったよ」

21: 2020/12/12(土) 19:16:24.50 ID:+xrCreSy
せつ菜「その…両親も私の"好き"を認めてくれるようにはなったのですが、いきなりこういったものが増えるのはまだ良い顔をしないでしょうから」

歩夢「そっか…」シュン

せつ菜「今までは絶対に隠さなくてはいけなかったので、お気に入りこそ家から離していたんです。なので少しだけでも自室に置くことができて本当に嬉しいんです!」

歩夢「……」

せつ菜「だから、そんな悲しそうな顔しないでください」

歩夢「え…わ、私そんな顔してた?」

せつ菜「それはもう、まるでドルスタ23話のヒロインを彷彿とさせる切なげな表情でした!」

歩夢「そ、それはちょっとわからないけど…ごめんね。私は関係ないのに…」

せつ菜「いえ!人の心に寄り添うことができるのは歩夢さんの良い所だと思います!」ペカ-

歩夢「あ、あはは…」

歩夢(実際は二人が仲良くなるのが嫌で、侑ちゃんと引き離してスパイみたいなことをしてるのに)

歩夢(バレたらせつ菜ちゃんにも嫌われちゃうよね…)

せつ菜「あ!わ、私お茶も何も出さずにいきなり…!すみません!すぐ用意してきます!」

歩夢「そんな、気を遣わなくて大丈夫だよ?」

せつ菜「いえ!大事なお客様ですから!その本棚のどれでも読んでていいので待っててください!」ダッ バタン

歩夢「…行っちゃった。えーっと…」チラ

本棚「」ズラッ

歩夢(…『少しだけでも』…?ど、どうしよう)

22: 2020/12/12(土) 19:27:16.64 ID:+xrCreSy
歩夢(あ、端っこの方に雑誌もあった。せつ菜ちゃんもこういうの読むんだ)ペラ

歩夢「?ここ何か挟まって…、……!」

歩夢(挟まってたのはかわいい桜色の栞で、開いたページは……それが似合う恋愛特集)

歩夢(『好きな人の誘い方』『相手の気を引くには?』…)ドクン...ドクン...

歩夢(『告白って、どうすればいいの?』)ドクン

歩夢「告、白……」

23: 2020/12/12(土) 19:33:11.34 ID:+xrCreSy
歩夢(あ…線が引いてある)

歩夢(『相手の好きなタイプや物をよく観察すること』『自分を恋人にしたときのメリットをアピール!』『ちゃんと"付き合いたい"と伝える』……)

歩夢(『相手の友達とも仲良くなろう』…!)


歩夢(そして、……見てしまった)


歩夢「っ…!」パタン!

歩夢(ページの隅に『侑さん』って、書いて、あった…!)

歩夢(せつ菜ちゃん、今日ずっと笑顔だった。私に急に付き合わされたのに)

歩夢(ちょうど良かったんだ…私はせつ菜ちゃんにとって好きな人の友達だから…!)

27: 2020/12/12(土) 19:54:03.72 ID:+xrCreSy
パタン

せつ菜「お待たせしました!取っておきのお菓子を持ってきました……ってああああ!!??」

歩夢「きゃあぁっ!?あっ、わっ、わっ!」バサ

歩夢(び、び、びっくりした!落としちゃった!)バクバク

せつ菜「あああ拾わないでください!お願いですそのままにしてください!!」

歩夢「ひゃいっ!…わ、私お盆持つよ」

せつ菜「ありがとうございます!」サッ! ババッ

歩夢(凄い勢いで隠した…)

せつ菜「あの、よっ、読みましたか!?見ましたか!?」

歩夢「……」

歩夢「……ううん。ちょうど本棚から出したときにせつ菜ちゃんが来たから、読んでないよ」

せつ菜「そ、そうですか…!」ホッ

歩夢「ごめんね、漫画どれを読もうか迷っちゃって」

せつ菜「いえ、どれでも読んでいいと言ったのは私ですから」

歩夢「……それ、普通の雑誌に見えたけど読んだらダメだった?」

31: 2020/12/12(土) 20:09:49.56 ID:+xrCreSy
せつ菜「そっ…そんなことはないんですが……今はちょっとダメというか…」アワアワ

歩夢「…そっか」

歩夢(私に問い詰める資格なんてない…私だって侑ちゃんのためにせつ菜ちゃんのことを知ろうとしてるんだから)

歩夢「…あっ、取っておきのお菓子ってこれかな?すごく美味しそう!」

せつ菜「!そ、そうです!今小さいテーブル出しますから、食べましょう!」

歩夢「うん、ありがとう。そうだ、せつ菜ちゃんのおすすめのアニメ見ながら食べるのはどうかな?」

せつ菜「!!見てくれるんですか!?」

歩夢「……侑ちゃんとこの間話してたアニメ、私も見てみたいかも」

せつ菜「制服性恋愛症候群ですね!!これは新入部員の澤井かおるが先輩や後輩と交友を深めていくというのがメインのストーリーなのですが困難に直面して挫けそうになるときの描写にとても力を入れていてまた設定のリアルさと細かさの評価は非常に高くまたヒロインも皆魅力的なのですが良い面だけではなく少々暗い面も持ち合わせていてそこがさらにキャラクター性に深みを増していまして」

32: 2020/12/12(土) 20:12:39.62 ID:+xrCreSy
歩夢「……」サッサッ

せつ菜「そして何よりマルチエンディングを採用しているのですべてのヒロインのルートが見られる上にそのルートもなんとそれぞれ三種類……」ハッ

せつ菜「ご、ごめんなさい…!私また一人で盛り上がって…」

歩夢「え!?あっ、相槌打たなくてごめんね?私メモするのに必死で…」

せつ菜「め、メモ?」

歩夢「うん、スマホに書いてたの。ほら」

歩夢「ちゃんと全部聞いてるよ」ニコ

せつ菜「!!」

せつ菜「すっ…」

歩夢「?」

せつ菜「……すごく嬉しいです…!」ホワ...

歩夢(…かわいい)

歩夢(いつものお日様みたいな笑顔も素敵なのに、こんな笑い方もできるんだ)

歩夢(ずるいよ…)

歩夢(侑ちゃんはせつ菜ちゃんのことが好きで、せつ菜ちゃんも侑ちゃんのことが好きなら、私は……私が今やってることは……)

せつ菜「では、早速再生しますね!」ウキウキ

34: 2020/12/12(土) 20:22:06.77 ID:+xrCreSy
ーーーーーーーーーー

川ノ内『ほれほれ澤井!置いてくよ~』

澤井『待ってくださいよ~!』

牛沢『…かおるは、私が先に好きになったんだから…』

ーーー

歩夢(……)

歩夢(この牛沢さんって言う人、あまりにも今の私なんじゃ…)

歩夢(侑ちゃんもこれ見たんだよね…?うう、私っぽいとか思われてたらどうしよう)

ーーーーーーーーーー

澤井『なんだろうこの着信…非通知?』

ED『~♪』

ーーー

歩夢「ええ!?ここでこの話終わりなの?」

せつ菜「ふふ、この後はですね…」

歩夢「言わないでえ!」

せつ菜「さ、早く次の回を…っと、ちょうど電話で思い出しました!ちょっと失礼しますね」

歩夢「?うん、待ってるね」

歩夢(……お菓子おいしい)モグモグ

歩夢(少しお腹空いたからか余計に…そういえば今何時だろ?)

歩夢「わ、もう18時?早いなぁ」

歩夢「……18時?」


 せつ菜『ちょうど電話で思い出しました!』

 侑『18時頃に電話してもいいかな?』


歩夢「!!!」サ-...

歩夢「せっ、せつ菜ちゃん待っ…!」ガチャ


せつ菜「…あ、今聞こえましたか?はい、今日はずっと歩夢さんと家にいるんです」ニコニコ

歩夢「あ…あぁ……」

35: 2020/12/12(土) 20:34:39.58 ID:+xrCreSy
11話までにまったく終わらなかった…
アニメがどんな展開でも続きは書きます

39: 2020/12/12(土) 21:29:32.11 ID:+xrCreSy
せつ菜「え?歩夢さんが私のことを知りたいと…はい、今あのアニメ見てるんですよ!」

歩夢「せっ、せつ菜ちゃんっ!ちょっと電話代わるね!」

せつ菜「わっ、は、はいっ」

歩夢「もしもし侑ちゃん!?あの、これは違くて…!』

侑『あ、歩夢?私歩夢にも連絡したんだよー?いつもすぐ返してくれるから心配しちゃったよ』

歩夢「え!…あ、ほんとだ、全然気づかなかった…」

侑『……』

侑『……せつ菜ちゃんと遊ぶの、そんなに楽しかったんだね』

歩夢「あ…や…その」

侑『せつ菜ちゃんの部屋で、二人で、何してたの?』

歩夢「あ、あのね?アニメ見てたの、侑ちゃんが見たって言ってたの、私も気になって…」

侑『あー、面白いよね。今いい所なの?』

歩夢「う、うん…そうだけど、でももう帰るから!」

せつ菜「えっ…」シュン

歩夢(な、なんでそんな顔するのぉ…)

40: 2020/12/12(土) 21:36:47.28 ID:+xrCreSy
せつ菜「あの、電話代わります!」

歩夢「あっ」

せつ菜「もしもし侑さん?今日の話ってなんでしたか?また今度ゆっくりお話ししませんか?」

歩夢(うう…気になる…)ソワソワ

せつ菜「!…」ピッ

侑『え、えーっと、用事ってほどの用事じゃないんだけど、そのー…』

歩夢(あ、スピーカーにしてくれた)

侑『ごめん、実は単純にせつ菜ちゃんとお話したいなって思っただけなんだ!あはは…』

歩夢「あ…」

歩夢(もしかしたら、本当に何か急ぎの理由があるのかもって思ってたのに)ズキズキ

せつ菜「嬉しいです!今度たくさん話しましょう!」

侑『…歩夢、まだいるんだよね?その、そろそろご両親にも迷惑じゃないかなー、なんて…』

歩夢「あっ、せつ菜ちゃ」

せつ菜「今日はどちらも帰りが遅いんですよ!なので大丈夫です!」

歩夢(ああぁ…間に合わなかった…)

侑『……歩夢と家に二人きりってこと?』

43: 2020/12/12(土) 21:45:06.38 ID:+xrCreSy
せつ菜「あっ!?そ、そういえばそういうことになりますね!?」

歩夢(い、今頃?)

侑『せつ菜ちゃん、もう一回歩夢に代わってくれる?』

歩夢「も、もしもし侑ちゃん!」

侑『あ、聞こえてた?』

歩夢「う、うん…何かな?」

侑『…歩夢の家、今日ハンバーグだって』

歩夢「…え?」

侑『さっき歩夢のお母さんに会ってさ、食べに来ていいっていうからご馳走になるよ』

侑『だから、その、早く帰ってこないと私が歩夢の分も食べちゃうからね』

歩夢「……か」

歩夢(かわいい…!!それどころじゃないけど侑ちゃんかわいすぎるよ!)

歩夢(幼稚園の頃にいつも成功してたからか、今でも侑ちゃんは食べ物で気を引こうとしてくることがあって…うう、かわいい…)キュンキュン

侑『か…?おーい、歩夢聞いてる?だから続きは今度にしなよ。ね?』

歩夢「……」

歩夢(…せつ菜ちゃんのため、だけど)

45: 2020/12/12(土) 21:57:05.02 ID:+xrCreSy
侑『せつ菜ちゃんも、いいよねー?』

せつ菜「はっ、はい、大丈夫です!ゆ、侑さんがそう言うならっ!……はい、はい…それでは、また」ピッ

歩夢(せつ菜ちゃんもさっきまで寂しそうだったのに、侑ちゃんに…好きな人にお願いされたら…)

せつ菜「じゃあ、そのっ、えっと…」アタフタ

歩夢「…うん、帰るね」

せつ菜「あ、あ、あのですねっ、歩夢さん!私は全然そんなつもりじゃなくてっ」

歩夢「え?」

せつ菜「い、家に親がいない隙に呼んだわけでは…いやそうなんですけど!そうじゃなくて!」

歩夢「あぁ」クス

歩夢「大丈夫、そんな風に思ってないから安心して?せつ菜ちゃんは…」

歩夢(せつ菜ちゃんは侑ちゃんのことが好きなんだから、勘違いされたくないよね)

せつ菜「わ、私は…?」

歩夢「……」


ガチャンッ

「ただいま……菜々?誰かいらしてるの?」

歩夢「!」

せつ菜「お、お母さん!?もっと遅くなるはずじゃ…」

48: 2020/12/12(土) 22:29:25.99 ID:+xrCreSy
歩夢「…!」ダッ 

せつ菜「あ、歩夢さん!」

歩夢「せつ菜ちゃんPC消して、あと机の本少し借りるね」テキパキ

せつ菜「は、はい!」

「菜々?返事ぐらいしなさい。あなた、私がいないときは遊んでばっかりいるんじゃないでしょうね」

せつ菜「す、すみません、お帰りなさい。……ど、どうしようこっちに来てます!歩夢さんどこかに隠れ、ああでも靴がっ」

歩夢「せつ菜ちゃん、これ持って座って。眼鏡かけて」

せつ菜「わ、わかりました!……シャーペン?」

パタン

「私は遊び呆けていいと言ったわけでは……あら」

歩夢「留守中にお邪魔してすみません。せ…菜々さんの友人の上原歩夢と言います」ペコ

歩夢「ごめんなさい、もう少し早く帰るつもりだったんですけど…菜々さんと勉強すると捗ってしまって」チラ

せつ菜(! さっきの問題集がテーブルに広げられてる…いつの間に)

「そうだったの、こちらこそお邪魔してごめんなさいね」

49: 2020/12/12(土) 22:33:05.35 ID:+xrCreSy
歩夢「留守中にお邪魔してすみません。せ…菜々さんの友人の上原歩夢と言います」ペコ

歩夢「ごめんなさい、もう少し早く帰るつもりだったんですけど…菜々さんと勉強すると捗ってしまって」チラ

せつ菜(! さっきの問題集がテーブルに広げられてる…いつの間に)

「そうだったの、こちらこそお邪魔してごめんなさいね」

歩夢「教えるのが一番勉強になるからと…つい甘えてしまいました。…ありがとね、菜々ちゃん?」

せつ菜「!!」

せつ菜「ええ、こちらこそとても良い復習になりました。もう遅いですし、そろそろ帰りますか?」

59: 2020/12/13(日) 16:37:55.58 ID:vvpJlqdJ
侑:だいぶイケメンだった、歩夢が嫌がることを正確に把握してそう、どんな理由があっても歩夢が傷つくことは言わなそう 
 →恋愛はすべてを狂わす
歩夢:もっと対等だし積極的に踏み込めそう、自分より大事な人がいるかもとは疑っても嫌われることはないという自信が(奥底に)ある
 →「他の人に恋してる」と確信してたらあそこまでは押せないはず

11話見て悩みまくったけどここではこれで押し切ることにします

60: 2020/12/13(日) 16:39:50.87 ID:vvpJlqdJ
歩夢「うん、そうしようかな。そうだ、お菓子とジュースをいただきました。おいしかったです」

歩夢「ついたくさん食べてしまいました…(ほんとに…明日運動しなきゃ…)」テレ

「……」キュン

「あ、ああ…これ、美味しいわよね。私も好きよ」

歩夢「そうなんですね!菜々さんも取っておきって言ってました」ニコニコ

「そうね、娘と私は結構好みが似ているから」

せつ菜「あ、あの…お母さん?」

「!ごほん……気をつけてお帰りなさいね」

歩夢「はい、お邪魔しました」ペコ

パタン トン トン トン...

歩夢「……」

せつ菜「……」

歩夢「ふぁぁ……」ヘニャ

せつ菜「あ、歩夢さんっ!?」

歩夢「ご、ごめんね…安心したら力が…」

せつ菜「あの、助かりました歩夢さん!かっこよかったです!」

歩夢「うぅ…ちゃんとできてたかな…私あんな風に喋ったりするの得意じゃなくて…」キリキリ

せつ菜「完璧でしたよ!母のあんなに柔らかい笑顔久々に見ました、歩夢さんのこと気に入ったみたいです」ニコニコ

歩夢(あれで…?)

せつ菜「あっ、机の本を使って漫画も隠してくれていたんですね…!」

歩夢「色々出しちゃってごめんね。せつ菜ちゃんの好きを守らなくちゃって、焦っちゃった」

61: 2020/12/13(日) 16:41:14.60 ID:vvpJlqdJ
せつ菜「…!苦手なのに、そのために母にもああやって…?」

歩夢「うん…うう、私何喋ってた…?緊張して全然覚えてないよぉ…」

せつ菜「歩夢さん…!」ジ-ン

せつ菜「やっぱり、歩夢さんだって凄いです」

歩夢「そんなことないよ…」

せつ菜「あります!侑さんは歩夢さんのこと少し頼りないなんて言ってましたけど…」

歩夢「え…」

歩夢(そんな、侑ちゃん…私のことそんな風に思ってたの?)

せつ菜「いざという時には……侑さんにも知らない……」

歩夢(せつ菜ちゃんの言葉が頭に入ってこない)

歩夢(なんとか笑顔を作って玄関に向かって、お母さんに挨拶して、何かを渡されて…)

歩夢(気がついたら、自分の家の前にいた)

歩夢「ただいま…」

侑「あ、歩夢おかえり!」

歩夢「侑ちゃ、ん…」

歩夢(家に侑ちゃんがいる…いつもならすっごく幸せなのに)

 せつ菜『侑さんは歩夢さんのことを少し頼りないと…』

歩夢「うぅ…」ズキズキ

62: 2020/12/13(日) 16:47:53.87 ID:vvpJlqdJ
侑「遅いよ、私お腹すいちゃった…あれ?何持ってるの?」

歩夢「え?…あ」

歩夢(そういえばせつ菜ちゃんのお母さんが何か…あ、さっきのお菓子だ。わ、私ちゃんとお礼言えたよね?)

歩夢「せつ菜ちゃんのお母さんが帰ってきてね、お菓子いただいたの」

侑「え!せつ菜ちゃんのお母さんって、なんというかその…お菓子とかくれるタイプだったんだ」

歩夢「ど、どうなのかな…私は少し緊張しちゃった。せつ菜ちゃんが言うには、私のこと気に入ってくれたみたい…」アハハ

侑「……」

歩夢「あっ…」

歩夢(余計なこと言っちゃった…!侑ちゃんが難しい顔を…)

歩夢「お、お菓子あとで一緒に食べよう?」

侑「…うん」

「歩夢ー?もうご飯並べるから早く手洗ってきてー」

歩夢「あ、はーい!」

侑「……」



食卓

歩夢「あれ?今日ハンバーグなんじゃ…」

「?そんなこと言ったかしら?」

侑「いただきまーす!」モグモグ

歩夢「……」チラ

侑「!……」アセアセ

歩夢「……いただきます」

歩夢(うぅ…侑ちゃんの嘘つき…でもかわいい…そんなにせつ菜ちゃんのこと…やることがかわいい……)モンモン

「二人とも今日静かねえ…」

歩夢「……」モグモグ

65: 2020/12/13(日) 17:07:18.74 ID:vvpJlqdJ
侑「ふー、ごちそうさまでした!美味しかったあ」

「デザートにりんご切るけど食べてく?」

侑「いただきます!」

歩夢(侑ちゃん、今はいつも通りかも?)

歩夢(いつも通りというか…少し前の侑ちゃん、かな)

歩夢(せつ菜ちゃんのこと、聞きたい…でも…)

 侑『好きな人ってどんな感じ!?』

 侑『せつ菜ちゃんとお話ししたいなって思っただけなんだ!』

歩夢(……聞きたくない)

歩夢(聞いたってもう、私が欲しい言葉は……)

侑「……歩夢?」

歩夢「…なにかな?侑ちゃん」ニコ

侑「いや、ぼーっとしてたからさ。どうかした?」

歩夢(こういうことは気付いてくれるのにな)

歩夢「…なんでもないよ?」

侑「……せ、せつ菜ちゃんと何かあった?」ソワソワ

歩夢「……っ」

歩夢「侑ちゃん、あの『♪~♪♪~♪』…あ、電話…?」

侑「誰から?」

歩夢「……、ちょっと出てくるね」タタ...

侑「あっ、歩夢!」

侑「……」ギュ

66: 2020/12/13(日) 17:44:00.74 ID:vvpJlqdJ
歩夢「……なんで」

歩夢「……」ピッ

歩夢「…もしもし」

せつ菜『あっ、歩夢さん!こんばんは!』

歩夢「こんばんは、どうしたの?」

せつ菜『あのっ、今日はその、帰り際ばたばたさせてしまって…!すみませんでした!』

歩夢「そんな…元々私が誘ったのに慌ただしくなっちゃって、こちらこそごめんね?」

せつ菜『あ、歩夢さんは何も悪くありません!』

せつ菜『その……最後の方、浮かない顔をしていたのが気になって…わ、私なにか失礼なことをしてしまったのではないかと』

歩夢「……ううん、そんなことないよ?」

せつ菜『そ、そうですか…?ごめんなさい、私こういうのに疎くて…それなら良かったです…』

歩夢「うん…それだけのためにわざわざかけてきてくれたの?」

せつ菜『ま、まあ、はい…、…いえ!ま…また今度遊びに来てください!』

歩夢「ふふ、ありが──『あっ!ゆ、侑さんも一緒に!』──」

歩夢「……」

せつ菜『母も…、…?歩夢さん?』

歩夢「……今ね、侑ちゃん私の家に来てるの」

67: 2020/12/13(日) 19:06:57.97 ID:1J1apIae
せつ菜『ぁ……はい、夕飯を食べに来てるんですよね』

歩夢「うん。昔からご馳走したりされたり、よくするんだ。侑ちゃん、私のお母さんとすっごく仲良いの」

せつ菜『……そう、なんですね』

歩夢「それで今ちょっと待たせちゃってるから、そろそろ…ごめんね?」

せつ菜『…はい』

せつ菜『……お二人は、やっぱり仲が良いですね』

歩夢「うん。だってずっと一緒にいるんだよ?」

歩夢(せつ菜ちゃんより、ずっとずっと)

せつ菜『あ、歩夢さんは…!』

せつ菜『……いえ、急に電話してすみませんでした』

歩夢「……」

歩夢「…私こそ、ごめんね」

せつ菜『いえ!では、また学校で!おやすみなさい!』

歩夢「……おやすみなさい』ピッ

歩夢(……嫌だ)

歩夢(せつ菜ちゃんのことを好きな侑ちゃんが、侑ちゃんを連れて行っちゃうせつ菜ちゃんが、嫌)

歩夢(なにより、こんな醜い私が…嫌…)

歩夢(せつ菜ちゃんの気持ちを知ってて、あんなこと言って)

歩夢(ぁ……せつ菜ちゃんは、私に自慢したり絶対しなかった……それどころか、私のことを気にして誘ってくれた……)

歩夢「こんなの…誰だってせつ菜ちゃんを好きになるよ…」ジワ

71: 2020/12/14(月) 17:11:37.23 ID:LinQdj/C
>>67

歩夢「…ただいま」

侑「!」

「歩夢~?もうりんご黄色くなっちゃったわよ」

歩夢「あはは…ごめんなさい」

侑「そうだよ、せっかく可愛いうさぎだったのに」

歩夢「……」

歩夢(好きになってもらえないなら…侑ちゃんが諦めてくれれば…)

侑「…電話、長かったね」

歩夢「せつ菜ちゃんから、だったよ」

侑「…ふーん、私とはまた今度って言ってたのにひどいなー」

歩夢「……何か失礼なことしてないですか、だって。律儀だよね」

侑「……そう、なんだ」

侑「あはは、せつ菜ちゃん、歩夢のこと気に入ってるのかなぁ」

歩夢「……そう、かも?なんて…」ニコ...

侑「……はは。ねえ、もうせつ菜ちゃんの話は」

歩夢「あとね、今度また遊びに来てって「…もういいって!」…!?ゆ、侑ちゃ」ビク

侑「あっ、ご、ごめん……今日はもう、帰るね」

歩夢「ぁ…」

歩夢(うそ、今、侑ちゃんに怒鳴られた…?)

歩夢(昔からずっと優しくて、喧嘩はしてもこんな風に怒られたことなかったのに…!)

歩夢(やだ、やだ…侑ちゃんに嫌われるのだけは…!)

72: 2020/12/14(月) 17:12:46.87 ID:LinQdj/C
歩夢「ま、待って!せつ菜ちゃん、今度は侑ちゃんも一緒にって」

侑「え、私も?」

歩夢「…うん」

侑「…そっ、か。歩夢だけじゃなくて…」

侑「…楽しみだね」ニコ

歩夢「…そうだね」

侑「それじゃ、ご馳走さまでした!歩夢、また明日ね」

歩夢「うん、また明日。…おやすみ」

「また来てねー。…ほら歩夢、食器洗うからりんご食べちゃって」

歩夢「はーい」

歩夢「……」シャクシャク

歩夢(私、このまま侑ちゃんにもせつ菜ちゃんにも嫌われちゃうのかな)

歩夢(…かわいくない、な。黄色くなっちゃったうさぎさん…)シャク...

73: 2020/12/14(月) 17:15:24.26 ID:LinQdj/C
歩夢(せつ菜ちゃんの家で雑誌を見てしまってから、もう何日経っただろう)

歩夢(……結局私は、せつ菜ちゃんと侑ちゃんの間に入ることをやめられなかった)

歩夢("好きな人の友達"と仲良くなりたいせつ菜ちゃんが誘ってくれるのをいいことに、何度も三人で…時には二人で遊んだ)

せつ菜「歩夢さんっ、歩夢さんはハンバーグが好きなんですよね!」

歩夢「う、うん」

せつ菜「あの、よかったらこの店一緒に行きませんか?」

歩夢「…わ、美味しそう。調べてきてくれたの?」

歩夢(せつ菜ちゃんは私に優しくて、私の好みに合わせてくれる。本当に"友達"として仲良くなりたいのかなって勘違いしちゃうぐらい)

歩夢(話すたびにせつ菜ちゃんのことが好きになって、同じ分だけ嫌いになる。私にないものをたくさん持っていて辛くなる…)

せつ菜「はい!すっごく美味しかったので歩夢さんとも行けたらと…」

歩夢「あ、行ったことあるんだね」

せつ菜「はいっ、先週侑さんと!」

歩夢「そう、なんだ」

歩夢(私…知らない……)

歩夢(せつ菜ちゃんは侑ちゃんの話をよくして、そのたびに胸が痛くなるけど…二人きりにさせるよりはまだ…)

侑「あ、せつ菜ちゃん…歩夢!」

せつ菜「侑さん!」ニコ

歩夢「侑ちゃん!なぁに?」

侑「あ、んー、その…」

75: 2020/12/14(月) 17:18:43.94 ID:LinQdj/C
歩夢(…せつ菜ちゃんと私を見比べて、る?)

侑「あー、ごめん……今日は二人でご飯食べに行きたくて……」チラ

歩夢(っ…!)

歩夢(わかってた、でしょ…泣いちゃだめ、泣いちゃだめ…)

歩夢(でも、でもっ…)

せつ菜・歩夢「「三人じゃだめなの(ですか)?」」

歩夢「…えっ」

侑「……ごめん、そうだよね!ちょっと三人だと中々入れない店でさ。今度にするよ」

歩夢(今、せつ菜ちゃんも言ってくれたよね?)

歩夢(優しいな…本当に…)

せつ菜「…すみません、ありがとうございます。他に候補はありますか?」

侑「うーん…どうしようかな」

ガララ...

副会長「…あっ、会長!すみません、ちょっと急ぎで確認いただきたい書類があって」

せつ菜「はい、わかりました。すぐ向かいます」キリッ

歩夢(あ、菜々ちゃんだ…かっこいい)

侑「……」

歩夢(……侑ちゃんも、見てる)ズキズキ

77: 2020/12/14(月) 17:21:13.68 ID:LinQdj/C
せつ菜「すみません、多分すぐ終わると思うのですが、その…待っててくれますか…?」

歩夢(…そんなに不安そうにしなくてもいいのに。侑ちゃんの目当てはせつ菜ちゃんなんだから…)

歩夢「もちろん待ってるよ。いってらっしゃい」

せつ菜「!…はい!行ってきます!」ペカ-

侑「…歩夢、店探して待ってよ?」

歩夢「うん、そうだね」

侑「…ここ、先週せつ菜ちゃんとご飯食べに行ってさ。美味しかったから歩夢もどうかな」

歩夢「あ…ここ」

侑「あれ、知ってた?」

歩夢「ついさっきせつ菜ちゃんに誘われたの……あっ」

歩夢(どうしようっ…また侑ちゃんが怒っちゃう…)

侑「あ…そ、そっかぁ…先越されちゃったな~…」

歩夢(うぅ…怒ってないけど、悲しそうな顔……)

侑「せつ菜ちゃん、やっぱり歩夢のこと……気に入ってるよね」

歩夢「……そう、かな」

歩夢(侑ちゃんはせつ菜ちゃんの雑誌に自分の名前が書かれていたことを知らない)

歩夢(私が伝えれば侑ちゃんは笑顔になってくれるって分かってるのに、教えてあげられない)

歩夢(侑ちゃんの幸せより、自分の幸せを優先しているから…)ギュ

78: 2020/12/14(月) 17:24:02.77 ID:LinQdj/C
侑「…最近さ!私たちあんまり一緒に帰れてないよね?寂しいぞ歩夢~!」

歩夢「!」

歩夢(侑ちゃんからそんなこと言ってくれるなんて…)

歩夢「そ、そうかな?なら今度一緒に帰ろう?……ふ、二人で」

侑「うん」

侑「……歩夢、ほんとせつ菜ちゃんと仲良くなったよね」

歩夢「……」

侑「ねえ、今度遊ぶときは私も誘ってよ」

歩夢(……私、ばかだなぁ。何を期待してるんだろう)

歩夢「そんなに、仲良く見えるかな?」

侑「見えるよ~!…私がいないときは毎回二人で遊んでるの?」

歩夢「う、うん」

歩夢(他の人との仲を取り持ったりはしてないから、安心してほしいな)

79: 2020/12/14(月) 17:26:00.57 ID:LinQdj/C
侑「……」

侑「ずるいなぁ」ボソ

歩夢「えっ」ビク

歩夢(そっ、か。私も侑ちゃんにとって邪魔者なんだった…)ズキ

歩夢(侑ちゃんが嫉妬してる…ずっと一緒にいたのに、こんな顔初めて見た)ズキズキ

侑「二人でなんの話してるの?」

歩夢「え、えっと、アニメとか…学校のこととか、色々かな」

侑「それ、私がいたっていいよね?」

歩夢「う、うん、そうだね」

歩夢(本当はそれだと意味ないけど…侑ちゃん少し怒ってる…)

侑「…あっ、ご、ごめん歩夢、嫌な言い方になっちゃった…!」

歩夢「ううん!気にしないで、私こそ嫌な気分にさせてごめんね」

80: 2020/12/14(月) 17:27:26.04 ID:LinQdj/C
侑「…ほんと、歩夢は優しいなあ」

歩夢「そんなことないよ…」

歩夢(久々に二人きりで帰れると思ったけど、侑ちゃんのためなら…)

歩夢(せつ菜ちゃんみたいにはなれなくても、せめて侑ちゃんが褒めてくれる優しい私でいたい…)

歩夢「あの、今度から侑ちゃんも誘うから……三人で遊ぼう?」

歩夢(二人にしてあげるって言えなくて、ごめんなさい)

侑「…三人」

歩夢「だめ、かな」

歩夢(私がいたら、だめ?)

侑「…そんなことないよ!せつ菜ちゃんと話したいし!」

侑「…二人より、いいよ」

歩夢(侑ちゃんの気持ちが痛いほどわかる)

歩夢「ごめん、ね…」ニコ


ガララッ

せつ菜「すみません、お待たせしました!」

侑「…じゃあ、行こっか!」

歩夢「うん…」

81: 2020/12/14(月) 17:29:23.58 ID:LinQdj/C
歩夢(……三人で過ごすのは、苦手)

侑「それでさ、私もそのとき~~」

歩夢(侑ちゃんは絶対に…少し強引なぐらいに、せつ菜ちゃんの隣を確保する。私との壁になるかのように)

歩夢(そのままずっとせつ菜ちゃんと話してるから、私は会話に混ざれない…)

歩夢(辛い、けど、二人きりにするのはもっと辛い…)

せつ菜「ええ、はい…」チラ

歩夢(…気にしてくれてるみたい。せつ菜ちゃんも侑ちゃんが好きなのに、優しいな)ニコ...

侑「…っ」

せつ菜「あ、着きましたね!すぐに入れそうでよかったです」

歩夢「お腹空いたね」

店員「3名様ですね、奥のテーブルへどうぞ」

侑「はい」

歩夢(…苦手な理由の一つが、座る場所)

歩夢(侑ちゃんは、絶対せつ菜ちゃんの隣に座ろうとして…それを見るのが、辛い)

82: 2020/12/14(月) 17:34:55.82 ID:LinQdj/C
せつ菜「お二人とも、奥の席へどうぞ」

歩夢「…えっ」

侑「あ、なんかそれかっこいい!」

せつ菜「!そ、そうですか?」パァ

歩夢(…侑ちゃんに喜んでもらうために勉強したんだろうな)

せつ菜「あとはお水を…」

歩夢「あ、今持ってきたよ。はいどうぞ」コトン

侑「ありがと、歩夢」

せつ菜「あ、ありがとうございます。先を越されてしまいました…」シュン

歩夢(そんなに良いところを……見せたい、よね)

歩夢(せつ菜ちゃんは本当に全力で…憧れる…)

83: 2020/12/14(月) 17:40:12.35 ID:LinQdj/C
ーーーー

侑「ご馳走様でした!」

歩夢「美味しかったね」

せつ菜「はい!また来たいです!」

侑「私お手洗い行ってくるね」

歩夢「はーい」

せつ菜「……!」

歩夢「せつ菜ちゃんが食べてたのも美味しそうだったね。私、次は……せつ菜ちゃん?」

せつ菜「ひゃっ、はい!」

歩夢「ど、どうしたの?」

せつ菜「え、と……その…」

せつ菜「あ、歩夢さんに…っ、伝えなくてはいけないことがあります。近々空いている日はありますか?」

歩夢「え?……っ」

歩夢(いつもまっすぐ目を見て話すせつ菜ちゃんの視線が逸れて…)

歩夢(見ているのは、侑ちゃんのバッグ…)

歩夢(嫌…これを聞いたら、私っ…!)

歩夢「…あ、あの、私今週はちょっと、その」

85: 2020/12/14(月) 17:41:15.97 ID:LinQdj/C
せつ菜「…っ、なら、今日です!今日このあと…時間をください」

歩夢「今日、は……」

せつ菜「……お願いします」ジッ

歩夢(あ…だめだ…)

歩夢(この目のせつ菜ちゃんはもう、止められない…)

歩夢「……」コクッ

せつ菜「あ…ありがとうございます!…それでは、後で連絡します」

歩夢「……ぅ、ん」

侑「ただいま~……あれ、どうしたの?」

歩夢「…なんでもないよ?食べたら少し眠くなっちゃったみたい」

侑「歩夢も結構赤ちゃんみたいなところあるよね~」

歩夢「もう、侑ちゃんだって昔はすぐ寝ちゃってたのに」

せつ菜「……」ギュ...

88: 2020/12/14(月) 17:44:07.08 ID:LinQdj/C
歩夢(それから店を出て、いつも通りのところでせつ菜ちゃんと別れて、いつも通り侑ちゃんにまた明日って言って)

歩夢(全部、いつも通り…なのに……)チラ

 『公園で待ってます!』

歩夢(……行きたくない)

歩夢(行って、聞いたら…何もかも……)

歩夢「やっぱり…断ろう」

歩夢「……」ピッピッ

歩夢「……」

歩夢(あ、れ?繋がらない……充電切れ?)

歩夢「……帰る、よね?」

 せつ菜『なら、今日です!今日このあと…時間をください』

歩夢(せつ菜ちゃん、なら……)

歩夢「……っ」

歩夢「お母さん、ちょっと出かけてくる!」バタン! タタタ...

89: 2020/12/14(月) 17:46:47.20 ID:LinQdj/C
歩夢「はっ、はっ……」タッタッ

歩夢(息が白い…)

歩夢「…!せつ菜ちゃんっ!」

せつ菜「あ…歩夢さん…!」ニコ

歩夢「遅くなってごめんね!せつ菜ちゃん、電話…」

せつ菜「あ…はい、充電が切れてしまって…」

歩夢「一旦帰ったら良かったのに…」

せつ菜「私も考えたのですが、その間に歩夢さんが来たらと思うと動けなくなってしまって…」

歩夢(……良い子だなぁ。本当に)

せつ菜「来てくれて嬉しいです、歩夢さん」

歩夢「……うん」

90: 2020/12/14(月) 17:48:32.40 ID:LinQdj/C
せつ菜「……」

歩夢「……」

せつ菜「……あの、もしかしたらもうバレているかもしれない、ですけど」

歩夢「……っ」ギュッ

せつ菜「……私っ、す、好きな人がいるんです」

歩夢「……そうなんだ?知らなかったよ」

歩夢(知ってるよ)

せつ菜「あ…き、気づいてませんでしたか…」

せつ菜「そうなんです。可愛くて、優しくて、いざという時には頼りになって…」

歩夢「…素敵な人なんだね」

歩夢(知ってるよ。あの子の良いところは)

歩夢(私のほうがずっとたくさん…ずっと前から…)

91: 2020/12/14(月) 17:50:54.16 ID:LinQdj/C
せつ菜「はい!ただ知り合ってから日が短くて…。あ、あの、参考としてお聞きしたいんですけどっ」

歩夢「……なぁに?」

せつ菜「その、仲良くなったばかりの人は…そういう対象になるでしょうか…」

歩夢「……」

歩夢(せつ菜ちゃんは、ひどい、な……)

92: 2020/12/14(月) 17:52:40.75 ID:LinQdj/C
せつ菜「……っ」ドキドキ

歩夢「……関係、ない、よ」

せつ菜「!」

歩夢「一緒に過ごした時間の長さは…関係ないと、思うよ」

せつ菜「!ほ、本当ですか!」パァァ

歩夢「うん、本当」

歩夢「……笑っちゃうぐらい」ボソ

せつ菜「よ、よし…それなら…私にも…」ブツブツ

歩夢(せつ菜ちゃん、侑ちゃんに告白するんだ)

歩夢(侑ちゃんもせつ菜ちゃんが好きで、だから二人は恋人になって…)

歩夢(…いや、だなぁ。辛いなぁ)

歩夢「……」

93: 2020/12/14(月) 17:54:48.47 ID:LinQdj/C
歩夢「……でも、勘違いだったり、しないかな」

せつ菜「え?」

歩夢「友達としての大好きと、混ざっちゃってるだけなんじゃない、かな?」

せつ菜「そんなことないです!!」

歩夢「っ…」

せつ菜「確かに友達と呼べるようになったのも最近かもしれませんが…私は本気です!!」

歩夢(……勝てないや)

歩夢(まっすぐで綺麗な目。卑怯な自分が嫌になる)

歩夢「そう、だよね。ごめんね、変なこと言って」

せつ菜「あっ…!お、大声を出してすみません!でも、どうしても気持ちは信じてもらいたくて…!」

歩夢「うん、大丈夫。信じるよ」

せつ菜「あ、ありがとうございます!」   

歩夢「ふふ、すっごく嬉しそう」

せつ菜「だ、だって…その…うぅ」

歩夢(かわいいなぁ、せつ菜ちゃん。それでいてかっこよくて…優しくて…)

歩夢「……せつ菜ちゃんのことは、誰だって好きになるよ」

94: 2020/12/14(月) 17:56:47.28 ID:LinQdj/C
歩夢「侑ちゃん、だって……」

せつ菜「…!」

歩夢「だから…だから…、…ね?」

歩夢(もう、これ以上は言えないや)

せつ菜「あ……歩夢さん!」

歩夢「…なぁに?」ニコ

せつ菜「最後に一つだけ、聞かせてください」


せつ菜「……歩夢さんは、侑さんのことが好きですか?」

95: 2020/12/14(月) 18:01:24.38 ID:LinQdj/C
歩夢「……」

歩夢(せつ菜ちゃんは、何か悪意があって言ってるわけじゃない。でも、でも……)

歩夢(それは…あんまりだよ……)

せつ菜「……」

歩夢「……大好き、だよ」

せつ菜「…っ」

歩夢「だって、ずっと一番の友達の幼馴染だもん」

せつ菜「!と、友達…!」

歩夢「…うん」

せつ菜「よ、よかったです…!」フニャ

歩夢「……」

歩夢「せつ菜ちゃんは、」

歩夢(…やめて)

せつ菜「?」

歩夢「もし、私がそういう意味で侑ちゃんを好きって言ったら」

歩夢(やめて)


歩夢「告白…やめる?」

97: 2020/12/14(月) 18:15:31.92 ID:LinQdj/C
せつ菜「…え」

歩夢(……止められない。私はまだ…変われない)

歩夢(希望にすがってしまう。最後まで二人の邪魔をしてしまう)

歩夢(でも、お願い、どうか)

せつ菜「……」

歩夢「……」

せつ菜「……やめ、ません」

歩夢「……あ、ぁ」

せつ菜「歩夢さんが侑さんを好きでも、私は…」

せつ菜「私の気持ちを…大好きを、伝えます!」

101: 2020/12/14(月) 18:27:09.86 ID:LinQdj/C
歩夢「……」クラ

歩夢(視界が、揺れる)

歩夢(この期に及んで、まだ心のどこかでいつか自分が侑ちゃんと結ばれると思っていた)

歩夢(もう、本当にだめなんだ。侑ちゃんの恋人はせつ菜ちゃんになるんだ)

歩夢(ずっと、ずっと好きだったのに!ずっと一緒にいたのに、ほんの一瞬で…!)

せつ菜「あの、聞いておいてすみません…えと…」

歩夢「……そっか」ニコ

歩夢(……もう、だめなら)

歩夢(最後ぐらいは…褒められた、憧れた、私になりたい…)

歩夢「じゃあ…頑張って、ね」

せつ菜「…え?」

歩夢「わたしは、っ、今日は帰るね」クルッ

せつ菜「あ、歩夢さん!?」

102: 2020/12/14(月) 18:30:30.61 ID:LinQdj/C
歩夢「…っ」タタッ

歩夢(もうこれ以上は、だめ、嫌な私が暴れてる)ズキ!ズキ!

歩夢(せつ菜ちゃんの優しさを…最後の最後だけ、真似できたよね?)グス

せつ菜「ちょ、ちょっと待ってください!」ガシ

歩夢「……っ」

せつ菜「あ、あの!話はまだ終わってないというか、ここからというかっ」

歩夢(もう、やめてよ。もう限界なの)

歩夢「…これ以上っ…これ以上、何を話すの…?」

せつ菜「え、えっ?その、あの、さすがに今ので……あれ?」

歩夢「いま、の…?」

せつ菜「す、す…するんですよ、告白!」ギュ

歩夢「私、頑張って、って、言ったよ」

歩夢(ちゃんと言えたでしょ?もう、許してよ)

せつ菜「だから、が、頑張るんですよ!今から!」

104: 2020/12/14(月) 18:32:30.55 ID:LinQdj/C
歩夢「……ついて来てなんて言わないよね」

せつ菜「ここで大丈夫ですから!」

歩夢「…!」

歩夢(うそ、まさか侑ちゃんも呼んでるの?)

歩夢「わ、私、帰……」

せつ菜「お願いです、歩夢さん。こっち向いてください…!」

歩夢「……」ゴシゴシ

歩夢(…涙でせつ菜ちゃんの姿がぼやける)


歩夢「なに、かな」ウル...

せつ菜「!!!」

105: 2020/12/14(月) 18:33:17.72 ID:LinQdj/C
せつ菜「だっ、…大好きです!!」

107: 2020/12/14(月) 18:34:49.85 ID:LinQdj/C
歩夢「……」

歩夢「……え?」

せつ菜「……あっ!?ま、間違えました!忘れてください!」

歩夢「あ、う、うん、そうだよね、びっくりしたよ」ドキドキ

せつ菜「……」ス-...ハ-...

せつ菜「私は歩夢さんのことが好きです!こ、恋人になりたいと思ってます!なってください!」バッ

歩夢(せつ菜ちゃんが勢いよく頭を下げて、私に手を伸ばして…)

歩夢「え……え??」

せつ菜「うう…ちゃんと勉強していたのについ気持ちが先に…決まらない…」

歩夢「えっ、と……予行練習?」

せつ菜「本番ですよ!!オンステージです!!」

109: 2020/12/14(月) 18:37:51.32 ID:LinQdj/C
歩夢「そ、そんな、なんの冗……」

せつ菜「……っ」ガクガク

歩夢「あ…」

歩夢(よく見たら伸ばした手が震えてる)

歩夢(本気、なんだ。本気で私のこと、そんな、なんで、侑ちゃんは?)

歩夢(私、せつ菜ちゃんは侑ちゃんを好きだと思って今まで…)

歩夢「せつ菜ちゃん、あの、私はっ…その…」

歩夢(私は侑ちゃんのことが…)

せつ菜「は、い…」ジワ

歩夢(!せつ菜ちゃん、泣いて……)

歩夢「っ…!」ギュ

歩夢(どうしてこんなに優しい人が、私にできないことをできる人が、こんな顔をしなくちゃいけないんだろう)

歩夢(そう思って…気が付いたら手を握ってた)

歩夢(……冷たい。私のことをずっと待ってたから…)

110: 2020/12/14(月) 18:39:47.13 ID:LinQdj/C
せつ菜「!あ、あゆ…」

歩夢「……ごめんね、せつ菜ちゃん」

せつ菜「…!」ブワ

歩夢「あっ、あっ、今のごめんねは違くてっ!あの、今までのことというか…じゃなくて…その、少し考えさせてほしくて…!」

せつ菜「!は、はいっ…」グシグシ

歩夢「……でもね、せつ菜ちゃん。私は…」

せつ菜「……さっき言いましたよ」

歩夢「え?」

せつ菜「歩夢さんが他の人を好きでも、私は告白するって。それでも…付き合ってほしいから、です」

せつ菜「なんとなくとか、とりあえずだっていいんです。いつか、好きになってもらえれば……いや」

せつ菜「好きにさせて見せますから」

歩夢「…っ」ドキ

112: 2020/12/14(月) 18:42:15.96 ID:LinQdj/C
歩夢(こんなに私のことを好きになってくれる人、他にいるのかな)

歩夢(16年間ずっと一緒にいても選ばれなかった私を…)ギュ...

せつ菜「……」

せつ菜「……手、離してもらってもいいですか?」

歩夢「あっ、ご、ごめんね」パッ

せつ菜「いえ…私からは、離しがたくて…」ニコ...

歩夢「う、ぅ…」

せつ菜「それにしても、そんなに驚かれるとは思っていませんでした!私、てっきりばれているものだと…」

歩夢「だ、だって雑誌に『侑さん』って!…あっ」

せつ菜「雑誌?……あ!?や、やっぱり見てたんじゃないですか!?」

113: 2020/12/14(月) 18:48:09.16 ID:LinQdj/C
>>22 雑誌のくだり
歩夢「ご、ごめんなさい!でも…私それで…」

せつ菜「うぅ…"相手の友達とも仲良くする"、"好きなタイプや物をよく観察する"って書いてあったので…」

せつ菜「歩夢さんなら、侑さんじゃないですか…」

歩夢「あ…」

歩夢(私と侑ちゃんが反対だったんだ…)

せつ菜「それに、私結構歩夢さんのこと誘ったりしたつもりだったんですけど…」

歩夢「せつ菜ちゃんが優しいだけだと思ってて…」

せつ菜「うう……やっぱり暴走が怖くて"好き"を抑えてしまったのが…?いや元々私では…」ブツブツ

歩夢「せ、せつ菜ちゃ…」

せつ菜「……今更反省しても、もう言ってしまいましたからね!仕方ないです!歩夢さんの良いお返事を待ちます!」

歩夢「う…ん、」

115: 2020/12/14(月) 18:53:04.56 ID:LinQdj/C
せつ菜「……悩ませてごめんなさい。私は歩夢さんがどんな答えを出しても構いませんから、返事が欲しいです」

せつ菜「……」

せつ菜「いえ、正直に言います!付き合ってくれたら凄く嬉しいですし、断られたらきっと…物凄く落ち込みます」

歩夢「ぅ……」

せつ菜「……汚い、ですよね。私がこんな言い方をするとは自分でも思いませんでした」

歩夢「汚くなんかないよ!」

せつ菜「!」

歩夢「私…せつ菜ちゃんのこと尊敬してるよ…憧れてる」

歩夢「せつ菜ちゃんは、…せつ菜ちゃんは、綺麗だよ」

せつ菜「……ありがとうございます」

せつ菜「好き、です……歩夢さん」ホワ...

歩夢「…っ」ドキ...

116: 2020/12/14(月) 19:03:52.60 ID:LinQdj/C
歩夢(そのあと、公園で少しだけ話して…途中まで一緒に歩いた)

歩夢(せつ菜ちゃんは何度振り返ってもこっちを見ていて、目が合うたびに嬉しそうに手を振ってくれた)

歩夢「今までも、そうだったのかな…」

歩夢(私が、侑ちゃんと…自分のことしか見てなかっただけで…)ズキ

歩夢「うぅ…」

歩夢(…まだ混乱してるけど、せつ菜ちゃんは私のことが好きだった)

 せつ菜『好きにさせて見せますから』

歩夢「っ……」ドキ 

歩夢「…かっこよかった、な…」

歩夢(でも…やっぱり、私は今も侑ちゃんが好き…)

歩夢(せつ菜ちゃんはそれでもいいって言ってたけど、他に好きな人がいるのに付き合うなんて不誠実だよね…?)

歩夢(けど、私も侑ちゃんに振られるぐらいだったら…そっちのほうが良いと思ってしまう)

120: 2020/12/14(月) 19:15:30.55 ID:LinQdj/C
歩夢(…私が付き合えば、侑ちゃんをせつ菜ちゃんに取られない。でも、せつ菜ちゃんを侑ちゃんから取っちゃったことになる)

歩夢「嫌われる……よね……」

歩夢(だけど私が断ったら?……侑ちゃんはせつ菜ちゃんを慰めて、告白して、そうしたらせつ菜ちゃんだって…)

歩夢(きっと二人は恋人になる…)ズキズキ

歩夢「……せつ菜ちゃん…」

歩夢(優しかったのは私のことが好きだったからだけど、侑ちゃんを邪険にしたりしなかった。せつ菜ちゃんはずっとずっとまっすぐだった)

歩夢(私に大好きを、伝えてくれた人……)

歩夢(…せつ菜ちゃんにちゃんと向き合いたい…侑ちゃんを取られたくない…"好き"にまっすぐでいたい…)

歩夢「私は……」

1.侑ちゃんを取られたくない
2.二人と好きに誠実でいたい
3.せつ菜ちゃんを好きになりたい

127: 2020/12/14(月) 19:18:50.40 ID:LinQdj/C
ちょっと休憩するので再開するときにレスついてたらそれでいきます、複数あったら多数決で

122: 2020/12/14(月) 19:17:31.99 ID:61EbAWi1
2で

124: 2020/12/14(月) 19:18:05.43 ID:FnjuLqo+
2だな

125: 2020/12/14(月) 19:18:07.08 ID:zS4GBju4
2

126: 2020/12/14(月) 19:18:10.73 ID:xMVFbcDT
2であれ

128: 2020/12/14(月) 19:18:56.63 ID:/+be8aPP
ここまで描いてくれたら2

129: 2020/12/14(月) 19:18:58.91 ID:uxixAz2i

131: 2020/12/14(月) 19:21:34.50 ID:PI6q3tdc
おつおつ
2が見たい

132: 2020/12/14(月) 19:21:40.71 ID:LinQdj/C
書き忘れた、他ルートは後で投稿します

133: 2020/12/14(月) 19:29:16.28 ID:W3s34rl7
なんと太っ腹な

135: 2020/12/14(月) 19:46:13.11 ID:wIITXjxt
うひょー太っ腹
2で!

136: 2020/12/14(月) 19:51:59.68 ID:Hc479lgP
ここまできたら2以外あり得ない

139: 2020/12/14(月) 20:19:49.31 ID:0M8+gT38
今追いついた
三角関係をここまで細かく書き分けられるの本当に尊敬する
最後まで楽しませていただきます

2で

141: 2020/12/14(月) 20:43:01.70 ID:6Q6vu0es
楽しませていただいております
2で!


おすすめ記事(外部)

ラブライブ! おすすめ記事(外部)    
タイトルとURLをコピーしました