【SS】希 「誰もがー♪ うぉうおうぉうお~♪」

のぞみ SS


3: 2021/03/09(火) 19:21:03.43 ID:a4R8LfTu
絵里 「! それって」

絵里 「ハマショー!!」

4: 2021/03/09(火) 19:22:06.83 ID:a4R8LfTu
にこ 「どうすんの、完全に出オチなんだけど」

希 「……」

絵里 「……」

希 「おい、勝俣」(渋い声)

絵里 「! それって」

絵里 「哀川翔ー!!」

にこ 「少し無理がない?」

希 「……」

絵里 「……」

5: 2021/03/09(火) 19:23:10.32 ID:a4R8LfTu
希 「あれ、えりち。今日も丼は大盛りじゃなくて良いん?」

絵里 「! それって」

絵里 「また小ー!!」

希 「さらに言えばお腹が小で、腹しょーやね」

絵里 「……うん」

6: 2021/03/09(火) 19:23:59.62 ID:a4R8LfTu
にこ 「で? 次はどうするの? 正直ハラショーって語感でこのまま続けていくのは無理があるわよ? 哀川翔の時点で結構無理矢理感あったし」

希 「……」

絵里 「……」

希 「そうやね、無理や」

絵里 「希……」

希 「やっぱり奇跡なんて簡単に起きん、あの雪が降った日のような奇跡は」

絵里 「! それって!」

希 「スノウ」

絵里 「ハレイショー!!」

8: 2021/03/09(火) 19:25:09.84 ID:a4R8LfTu
にこ 「……意外と頑張るのね。でもやっぱり無理矢理感が否めない。素人にしか見えないわ」

絵里 「それ私の……」

希 「何よ」

にこ 「!」

希 「何とかしなくちゃいけないんだから(はら)しょーがないじゃないっ!!」

絵里 「いやだからそれ私の……」

希 「……」

絵里 「……」

にこ 「……」

9: 2021/03/09(火) 19:26:21.67 ID:a4R8LfTu
希 「正直もう浮かばない」

絵里 「なんとなくそんな気はしてたわ」

にこ 「希……」

希 「そもそもハラショーって言葉自体、相当語感が限られてるんよ。ウチの決まりフレーズのスピリチュアルの方がまだ語感の幅効くんやない?」

にこ 「いや言うてスピリチュアルの方が無理あるでしょ」

希 「インディビジュアルとか?」

絵里 「語尾のアルの部分は結構英語ならあるでしょう……やっぱり前の部分も踏んでないと」

希 「そう考えるとウチの決まりフレーズもハラショーと同じで語感の幅が狭いんやな」

10: 2021/03/09(火) 19:27:08.36 ID:a4R8LfTu
絵里 「ってことはあと残るのは」 チラッ

希 「にこっちのやけど」 チラッ

にこ 「……なによ」

絵里 「にっこにっこにーは語感似てるのないでしょ、流石に」

希 「そうやなぁ」

にこ (別にどうでも良いことなのになんか悔しいわね……)

11: 2021/03/09(火) 19:28:10.41 ID:a4R8LfTu
絵里 「じゃあ、ぬぁんでよ! の方はどうかしら?」

にこ 「いや別にそれは決まりフレーズじゃ」

希 「ぬぁんでよ……なんでよ……ナンでよ……ナンで四!」

絵里 「え?」

にこ 「えっと希? なにそれ?」

希 「いやふと思っただけやけど。そういえばハラショーって……ハラショー……からしょー……辛そう」

絵里 「無理がない?」

希 「スピリチュアル……すピリチュアル……すピリじわる……ピリじわる」

12: 2021/03/09(火) 19:29:11.50 ID:a4R8LfTu
絵里 「ナンで」

にこ 「辛そうで?」

希 「ピリピリがじわるってことは……」

絵里 「カレー……?」

にこ 「……えっと、希? カレー食べたいの?」

希 「いや別にそんなつもりはないんやで? みんなで別荘で食べたカレーが忘れられないとかやなくてね?」 アセアセ

絵里 「……食べたいのね。ふふ、食べたいならそんな遠回しに言わなくてもいいのに」

にこ 「相変わらず希は不器用なんだから」

希 「えりち……にこっち……」

13: 2021/03/09(火) 19:30:14.59 ID:a4R8LfTu
絵里 「ちょうど今日は練習休みだし、放課後三人でカレー屋さんに行きましょうか?」

にこ 「たまには三人でどっか行くのもいいわね」

希 「そうだ! そういえば昨日駅の近くに新しいカレー屋さんができたんだって!」

絵里 「じゃあそこにしましょう」

希 「ふふ、楽しみや♪」 ワクワク

にこ 「明らかに上機嫌になってるわね……」

絵里 「まぁなんやかんや忙しくて、みんなでどっか食べに行く機会も少なかったし良いんじゃない?」

にこ 「まぁね」






14: 2021/03/09(火) 19:31:11.28 ID:a4R8LfTu
絵里 「で、ここが新しいお店なわけだけど……」

希 「名前は……」

にこ 「『ニッコ・インド煮』」

絵里 「あったのね、語感近いやつ……」

希 「せやね……」

にこ 「……」

Part1.おわり

15: 2021/03/09(火) 19:32:06.60 ID:a4R8LfTu
希 「よいっと!」

絵里 「えっと、何してるの希?」

希 「えっ、ドミノ並べてるだけやけど……」

絵里 「いやそれは見て分かるわよ、なんで生徒会室でやってるの」

希 「えりちが今日は来るの遅いって言ってたから、えりちが来るまでにどれくらい並べられるかなって」

絵里 「素直に待てないわけ?」

16: 2021/03/09(火) 19:33:04.06 ID:a4R8LfTu
にこ 「あぁ、ダメね希。ギネスは超えられそうにないわ」

希 「やっぱりダメだったかぁ」

絵里 「えっ、なに、ギネス狙ってたの? えっ、どんな?」

希 「『生徒会長が来るまでにどれくらいドミノを生徒会室に並べられるか』っていうギネスなんやけど……」

絵里 「超えられなかったってことは、先駆者がいるの? そんなくだらないので?」

にこ 「現在の最高記録は2000個ね」

絵里 「それもう生徒会室ドミノで埋まってない?」

18: 2021/03/09(火) 19:34:34.44 ID:a4R8LfTu
希 「悔しいなぁ。人生のあらゆる失敗より悔しい」

絵里 「その人生浅すぎない?」

希 「でもいずれこの音ノ木でこの記録を超えてくれる猛者が現れるだろう……」

にこ 「後輩育成が大事ね」

絵里 「後輩の人生巻き込まないであげてよ」

希 「でもウチも頑張ったんやけどなぁ。机いっぱいドミノ並べてるし」

にこ 「そうね、100個くらいね」

絵里 「とりあえず書類作業したいからこのドミノどかしていい?」

希 「ええっ!? このドミノはウチの汗と涙のダイヤモンドダストなんよ!?」

絵里 「なに、氷点下の朝にでも活動してたの?」

20: 2021/03/09(火) 19:35:50.63 ID:a4R8LfTu
にこ 「やれやれ、希はわがまますぎるわよ」

絵里 「いやあなたもよ、にこ! なんで希の悪ふざけに一緒に参加してるのよ!」

にこ 「だって希が今度のテスト赤点取っても誤魔化してくれるって言ったから……」

絵里 「希ィ!?」

希 「いや冗談やで? 生徒会いえどもテストの点数は変えられんし」 アセアセ

にこ 「なっ!? 私を騙したわけ!?」

希 「騙したなんてそんなつもりは」

にこ 「ちょっと絵里!! これは明らかに騙してるわよね!?」

22: 2021/03/09(火) 19:36:57.84 ID:a4R8LfTu
絵里 「いや赤点のテスト隠蔽なんて、騙す方も騙される方もおかしいわよ。普通騙されないでしょ」

にこ 「……」

希 「……」

絵里 「希は生徒会の仕事今日は休んでいいから、にこに勉強教えてあげて? せめてもの謝罪としてね」

希 「……分かった」

絵里 「にこも希のことはもう怒らないで、教えてもらうんだからしっかり敬意を払ってそして頑張りなさい?」

にこ 「……分かったわよ」

絵里 「じゃあドミノどかすわね」 ガラッ

希 「あぁぁ!? ウチの汗と涙のダイヤモンドダストがぁぁ!?」

Part2.おわり

23: 2021/03/09(火) 19:38:18.59 ID:a4R8LfTu
絵里 「……」 ボッー

希 「えりち、何をぼっーとしとるん?」

絵里 「あっ、希」

希 「最近のえりち、元気がなさそうで心配なんよ……」

絵里 「いや、たいしたことじゃないのよ」

にこ 「いや、たいしたことでしょ。最近の絵里、少し変よ?」 ヒョコ

絵里 「にこまで……」

24: 2021/03/09(火) 19:39:29.30 ID:a4R8LfTu
希 「ウチはえりちにたくさん助けられてきた。だからえりちが困ってたら少しでも力になりたいんよ。ウチじゃ頼りないんかな」

絵里 「そんな……! 頼りないなんて!」

にこ 「じゃあ頼りなさいよ。あんたいつも一人で抱えすぎなのよ」

絵里 「……二人とも」

希 「……」

にこ 「……」

絵里 「分かったわ、話すわね」

希 「うん」

25: 2021/03/09(火) 19:40:28.71 ID:a4R8LfTu
絵里 「最近、生徒会を穂乃果たちに受け継いだでしょ?」

にこ 「そうね。穂乃果に役目が務まるのか少し不安だけど……」

絵里 「いやちゃんと頑張ってくれてるのよ。できると思って推薦してるわけだし。でもね……私もあまり手伝えることもなく、急にずっとやってた仕事が無くなったからか」

希 「生徒会を引退した実感の話?」

絵里 「そう。引退したんだなって、思って。でもなんだか虚無感というか、まだ本当は認められてないのよね、引退したこと」

にこ 「うーん、難しい問題ねぇ」

26: 2021/03/09(火) 19:41:32.41 ID:a4R8LfTu
絵里 「そうなの、どうしようもないのよ。だから二人が気を病む必要はないわ……これは時間が経って私の心の中で納得ができるようになるまで、ただ待つしかないんだから」

希 「……」

にこ 「……」

希 「おままごとしてみる?」

にこ 「そうね」

絵里 「はい?」

27: 2021/03/09(火) 19:42:54.15 ID:a4R8LfTu
希 「生徒会ごっこ! やってみようよ、にこっちが書記、ウチが副会長、えりちが生徒会長役で!!」

絵里 「ちょ、ちょっと!? おままごとって……私たち高校三年生なのよ!? それに、生徒会から引退したことを認めなくちゃいけないのに、それは逆効果なんじゃ」

希 「別に良いんよ、認めなくても」

絵里 「え?」

希 「えりちは廃校を止めようとしたり、誰よりもこの学校に向き合ってきた。だからその生徒会長を引退したことを認められなくても全然悪くない」

絵里 「の、希……」

希 「だから認めるとかじゃなくて、もっとポジティブに、生徒会で頑張った自分を自慢げに話すくらいに、捉えれば良いんやない?」

絵里 「ポジティブに捉える?」

28: 2021/03/09(火) 19:44:05.98 ID:a4R8LfTu
希 「そう! えりちは生徒会でやり残したことがあるんじゃないかとか、生徒会を心の底から誇りを持ってできていたのかとか、そんな疑問を無意識に持ってるんやない?」

絵里 「言われてみたらそうかも……」

希 「そんな未練たらたらやったらそりゃあ生徒会を引退しても気持ちを簡単に切り替えられんよ。まずは見方を変えることから始めなくちゃ!」

にこ 「そうよ、絵里のおかげでこの音ノ木はしっかりした学校になってるし、μ'sの効果と言われがちだけど廃校を阻止できたのだって生徒会の力はかなり大きい。もっと満足していいのよ?」

絵里 「満足、か……」

希 「でもまぁえりちは真面目やから生徒会の仕事に満足できなかったんやろ? だったら擬似的でも、もう少し生徒会を続ければいいやん!」

29: 2021/03/09(火) 19:45:27.99 ID:a4R8LfTu
絵里 「ふふ、それでおままごとなのね」 クスッ

希 「そういうこと! じゃあ早速! 生徒会長……この書類なんですが」

絵里 「あら、予算の計算が合ってないわね。書記さん、計算してくれないかしら?」

にこ 「ええっ!? そういうのって二人の方が得意なんじゃ」

絵里 「やってくれるわよね?」 ギロッ

にこ 「ひぃぃ! やります! やらせてください!」

希 「あはは、にこっち演技派やね」

にこ 「絵里が役に没頭しちゃってマジで表情が怖いのよ」 ヒソヒソ

希 「えりちは真面目やからね」 ヒソヒソ

30: 2021/03/09(火) 19:46:41.06 ID:a4R8LfTu
絵里 「二人とも何サボってるの?」 ギロッ

希 「ひっ!」

絵里 「ほら、副会長さんはこっちの書類を整理してちょうだい」

希 「分かりましたっ!」 ササッ

にこ 「ね? 怖いでしょ?」 ヒソヒソ

希 「思ったよりも本気やったね」 ヒソヒソ

絵里 「もぅ、二人ったら……」

にこ 「デスクワーク、デスクワーク」 テキパキ

希 「これよし、それよし、あれよし、ひでよし」 テキパキ

絵里 「……ありがとう」 ボソッ

Part3.おわり

31: 2021/03/09(火) 19:47:45.03 ID:a4R8LfTu
絵里 「じゃんけんに負けた人、ジュース奢りね!!」

希 「よし来た!!」

にこ 「負けないわよ!!」

32: 2021/03/09(火) 19:48:57.01 ID:a4R8LfTu
絵里 (ふふ、いつも負けてるけど今回こそは勝つわよ!! 私もそろそろ人の金でジュースが飲みたいのよ!!)

希 (えりちって毎度最初グー出すからじゃんけん簡単なんやけど、今回は少し雰囲気が違うような……気をつけた方がいいかな)

にこ (正直予算がない。もうここで勝たないとアイドルグッズのために貯めてた貯金を切り崩さないといけない……何としても勝たねば)

にこ・希・絵里 「「「じゃんけーん!!」」」

にこ・希・絵里 「「「ぽいっ!!」」」

33: 2021/03/09(火) 19:49:55.08 ID:a4R8LfTu
にこ 「よしチョキ!!」

希 「……」

絵里 「今回はグー出さなかったのにぃぃ!!」

希 (パー出してみたけど……えりちがグー以外を出した。やっぱり今日のえりちはなんか違う。このままじゃ普通には勝てない!)

絵里 「ふふ、希、あなたとの真剣勝負なんていつ以来かしら」

希 「昨日以来やな」

絵里 「……そうだったかしらね」

希 「昨日ジュース美味しかったよ」

絵里 「……」

にこ 「にこは何買ってもらおうかな~」

34: 2021/03/09(火) 19:51:09.75 ID:a4R8LfTu
絵里 (負け続けて365日。なぜこんなに負け続けるのか昨日の夜必死に考えた。そして気付いた……私毎日グーしか出してないと)

希 (まずい。毎日最初で勝ってたから次のパターンが分からん。えりちは次、一体どの手を出してくるんや!?)

絵里 (だから今回はパーを出した。でも一回で勝てなかった。次はどうするべきかしら……)

希 (こうなったら)

希 「……」 チラッ チラッ

絵里 「ん?」

絵里 (なんか希がチラチラさせてるわね……何をチラチラさせてるのかしら? ってあれは!?)

36: 2021/03/09(火) 19:53:20.50 ID:a4R8LfTu
希 「ふふ」 ニヤリ

絵里 (チョキの手をめっちゃチラチラ見せてくる!?)

希 (こうなったら心理戦や!! どうや、どうや、えりち? 急に気持ちが焦ってきたんやない?)

絵里 (ま、まずい!! 希の気持ちが全く読めない!! あ、あれは次チョキを出すという合図なの!? それとも別の意図が……)

希 「……」 チラッ チラッ

絵里 「……」

にこ 「……」

にこ (こいつらさっさとじゃんけんしてくれないかしら)

にこ 「出さなきゃ負けよ」

希・絵里 「「!?」」

37: 2021/03/09(火) 19:54:31.19 ID:a4R8LfTu
希・絵里 「「じゃんけーん!!」」

希・絵里 「「ぽいっ!!」」

希 (えりちはチラチラチョキを見て焦ったはずや……人は見たものを咄嗟に真似する生き物。ならえりちが次に出すのは)

絵里 「あっ……」

希 「えりちがチョキで、ウチがグー。ウチの勝ちやね」

絵里 「……」

希 「……」

絵里 「っ!! こうなったらチョキで目潰しよーーー!!」 サッ

希 「グーでパンチや」 ガッ

絵里 「ぐえっ」

Part4.おわり

38: 2021/03/09(火) 20:13:24.06 ID:a4R8LfTu
希 「……あなたの部屋にはベットがある?」

絵里 「……!」

希 「……あなたには大好きな妹がいる?」

絵里 「……!!」

希 「……今言いたい言葉は」

希・絵里 「「ハラショー!!!」」

40: 2021/03/09(火) 20:14:33.91 ID:a4R8LfTu
絵里 「す、すごい……すごいわよ、希!!」

にこ 「なにしてんのよ」 ヒョコ

絵里 「占いよ、占い!! 今の見た!? 希の占いは百発百中なのよ!?」

にこ 「……もしかして今の確認作業がまさかの占い?」

希 「そうやで」

にこ 「あれが占いなわけないでしょ!? そもそもベットがあるとかどうとか、絵里の家に遊びに行ったことがあるんだから希は知ってるでしょ!?」

絵里 「あっ、そっか」

希 「あちゃー、バレちゃったかぁ」

41: 2021/03/09(火) 20:15:57.40 ID:a4R8LfTu
にこ 「あんた仮にもスピリチュアルを名乗ってるんだから、占いもちゃんとタロットカードとか使ってやりなさいよ!」

希 「うーん、タロットカード難しいんよ」

にこ 「以前、『カードがウチにそう告げるんや!』とか言ってたじゃない……」

希 「あれは雰囲気」

にこ 「雰囲気なの!?」

希 「そういえばスピリチュアルといえば、ウチなんかよりよっぽどすごい事件があるんよ」

絵里 「すごい事件?」

42: 2021/03/09(火) 20:16:56.07 ID:a4R8LfTu
希 「この写真見て欲しいんやけど」

にこ 「あれ? これって私と希で二人でカレー屋さん行ったときの写真じゃない」

絵里 「ええっ!? 二人であそこのカレー屋さん行ったの!? 私を置いて!?」

にこ 「絵里は忙しそうだったから」

絵里 「酷い……酷いチカ……!」 ポロポロ

にこ 「わ、悪かったわよ」

43: 2021/03/09(火) 20:17:59.02 ID:a4R8LfTu
希 「で、このときたしかお客はウチら以外いなかったはずやろ?」

にこ 「そうね。昼の時間でもなかったし」

希 「なのにここ見て」 ユビサシ

にこ 「!?」

希 「ウチらの隙間から女の人の顔が……」 ビクビク

にこ 「これ絵里じゃない!!」

絵里 「てへ♪」

44: 2021/03/09(火) 20:18:55.49 ID:a4R8LfTu
にこ 「てへ、じゃなくて!! あんた結局着いてきてるじゃない!?」

絵里 「寂しくてつい」

希 「それとこの写真なんやけど……二人で川釣りに行ったときに撮った」

絵里 「ええっ!? 二人で釣りに行ったの!? 私を置いて!?」

にこ 「絵里は忙しそうだったから」

絵里 「酷い……酷いチカ……!」 ポロポロ

45: 2021/03/09(火) 20:19:46.34 ID:a4R8LfTu
にこ 「で? この写真がどうしたの?」

希 「ほらここ見て」 ユビサシ

にこ 「!?」

希 「巨大な魚なんていないはずなのに、川の奥の方で波が立っててよく見ると女の人の顔が……」 ビクビク

にこ 「これ絵里じゃない!!」

絵里 「てへ♪」

にこ 「てへ、じゃなくて!! なんで川で泳いでるのよ!?」

絵里 「寂しくてつい」

にこ 「いやいや」

46: 2021/03/09(火) 20:20:45.64 ID:a4R8LfTu
希 「こんな感じに、他の写真も!」 サッ

にこ 「……この写真は鏡に顔が映ってるわね」

にこ 「……こっちは階段の下の方から睨んでるわね」

にこ 「……これなんて肩に手をかけてるじゃない!! バレないスキルもはや忍者級よ!?」

希 「なっ? スピリチュアルやろ?」

47: 2021/03/09(火) 20:21:39.11 ID:a4R8LfTu
絵里 「……」

にこ 「……」

にこ 「あんたさ」

絵里 「はい」

にこ 「誘って欲しいんなら素直に言いなさいよ」

絵里 「……すいませんでした」

Part5.おわり

48: 2021/03/09(火) 20:22:30.81 ID:a4R8LfTu
絵里 「それにしても」

にこ 「まさか希がね」

絵里 「こんな夜中に丘の上に来て、なんてね」

にこ 「しかもμ'sじゃなくて、三年生だけにね」

希 「あっ! えりち! にこっち!」

絵里 「どうしたのよ、希? こんな真夜中にこんなところに呼び出すなんて」

希 「いやぁ……なんというか、急に三人で集まりたくなったというか」

にこ 「はぁ?」

51: 2021/03/09(火) 21:19:31.58 ID:a4R8LfTu
希 「まぁまぁ。そんな怒らんといてよ、ほら、丘の上にいろいろ用意してあるから一緒に行こ?」 ギュッ

絵里 「ちょ」

にこ 「引っ張らないでよ!」

希 「早く行きたいんやもん、ほら!」 タタタタ

絵里 「ってもう……仕方ないわね、希は」 ボソッ

にこ 「どうかしたのかしら?」 ヒソヒソ

絵里 「まぁなんだか機嫌良さそうだし、別に良いんじゃない? 私たちは手も握られちゃってるし、もう逃げられないんだから流されるまま流されて、って感じで」 ヒソヒソ

希 「二人でこそこそ話してないで、もう少し早く走ってよ」

52: 2021/03/09(火) 21:20:28.81 ID:a4R8LfTu
にこ 「こっちはもう寝るつもりだったのよ! 早く走れるわけないでしょ!」

絵里 「私も亜里沙を起こさないように出てくるの大変だったわ……」

希 「そ、それは悪かったけど……来て良かったって絶対思わせるから安心して!!」

絵里 「はぁ……まあ希の言うことだから信じるけど」

にこ 「でもこの丘って何かあったかしら?」

希 「この丘には何もないんよ、でも……ほら、見て!!」

絵里 「あっ……!」

にこ 「なるほどね……」

53: 2021/03/09(火) 21:21:29.15 ID:a4R8LfTu
絵里 「ハラショー!! すごく綺麗だわ!!」

にこ 「普段は街の中にいるから気付かないけど、遠くから見るとこんなにビルの灯りって綺麗なのね」

希 「どう? 夜に、街を高いところから見渡して見える絶景!!」

絵里 「……とっても綺麗だわ。たしかにこれは来て良かったって思うわね」

にこ 「……異論なしよ」

希 「これが社畜の光やねぇ」

絵里 「急にロマンチックじゃなくなったっ!!」

希 「まあ事実やし」

にこ 「たしかに夜中まで灯りがあるってことは残業よね」

54: 2021/03/09(火) 21:23:01.84 ID:a4R8LfTu
希 「でも、今度は反対側を見てみて?」

絵里 「反対側?」

にこ 「つまり今来た道の方ってこと?」

希 「そう」

絵里 「……えっと、暗い森林しかないけど」 チラッ

希 「ふふ、暗いやろ。ビルの灯りと違って。ならちょっと上の方を見てみれば?」

絵里 「あっ!」

にこ 「星が綺麗ね……」

希 「まあ都会だからそこまで見えないんやけどね」

絵里 「でもすっごく綺麗よ……心が癒されるわ」

にこ 「こんな近くにも、こんな良いスポットがあるなんて知らなかったわ」

56: 2021/03/09(火) 21:25:06.75 ID:a4R8LfTu
絵里 「あっ、そういえば希さっき丘の上にいろいろ用意してるって言ってたけど、何を用意したの?」

希 「じゃーーん! 望遠鏡!」

にこ 「本物じゃない、すごいわね」

希 「で、これが星座早見表」

絵里 「早速使ってみましょうよ!」

希 「もちろん! ……えっと、まずあそこにあるのが彫刻具座になりますー!」

にこ 「彫刻?」

57: 2021/03/09(火) 21:26:03.84 ID:a4R8LfTu
希 「で、あれが、三角座になりますー!」

絵里 「三角座? ハラショー! そんな星座もあるのね!」

希 「さらにあれが顕微鏡座で、向こうにあるのはエリダヌス座になりますー!」

にこ 「って全部知らないやつっ!!」

希 「てへ♪」

にこ 「てへ、じゃなくて!! マニアックなやつばっかじゃなくて、みんなが知ってるやつを言いなさいよ!!」

58: 2021/03/09(火) 21:27:17.44 ID:a4R8LfTu
希 「ごめんごめん、にこっちのツッコミが面白くてつい」

にこ 「私は芸人じゃないのよ!?」

絵里 「分かってるわ、芸人アイドルよね?」

にこ 「違うわよ!!」

絵里 「ふふ、ごめんごめん、私もからかいたくなっちゃって……」

希 「やっぱり三人でいると楽しいなぁ」

59: 2021/03/09(火) 21:28:30.26 ID:a4R8LfTu
絵里 「……」

にこ 「……」

希 「……」

絵里 「……ねぇ希。なんで今日私たちを呼び出したの? たしかにすごく綺麗な景色だったけど、なんで今日を選んだの? 流星群の日とかでもなさそうだし、晴れの天気もしばらく続いてるし、今日じゃなくてもいいはずだけど」

にこ 「あっ、それ私も気になってた」

希 「それは……」

絵里 「……」

にこ 「……」

60: 2021/03/09(火) 21:29:27.37 ID:a4R8LfTu
希 「ウチらあと少しで卒業やん? そう考えると急に寂しくなっちゃって、三人でこうして一緒に出かけられる日も僅かなんだと思うと……」

希 「……スマホに手を伸ばしちゃったんよ」

絵里 「希……」

にこ 「……」

希 「ねぇ、あの景色どうやった? 楽しかったかな」

61: 2021/03/09(火) 21:30:53.27 ID:a4R8LfTu
にこ 「楽しいどころじゃないわよ」

希 「!」

にこ 「急に夜中に起こされるわ走らされるわで気分は最悪よ……せっかく景色は綺麗だっていうのに帳消し」

絵里 「に、にこ……!」

にこ 「だから三人で遊んだ分でようやくマシなくらい……。はぁ、こんなの、最後の思い出なんて言わせないわ」

希 「にこっち……?」

にこ 「卒業したってまた三人で集まればいいじゃない。思い出はこれからよ!!」

62: 2021/03/09(火) 21:32:24.77 ID:a4R8LfTu
希 「……!」

にこ 「絵里はどう思う?」

絵里 「……異論なしよ」 ニコッ

希 「二人とも……」 ポロポロ

にこ 「じゃあせっかく望遠鏡あるし今日は一日中三人で星座見ながらおしゃべりしましょう? あれは何? 希?」

希 「あれは馭者座やね」

にこ 「また全然知らない星座っ!!」

Part6.おわり

63: 2021/03/09(火) 21:33:44.54 ID:a4R8LfTu
絵里 「『3月9日』……卒業かぁ」

希 「えりち、こんなところで何しとるん?」

絵里 「あっ、希」

にこ 「辛気臭いの一番嫌がってたじゃない、なに寂しそうな顔してるのよ」

絵里 「にこまで……」

希 「穂乃果ちゃんたちにも門出を祝ってもらえて、こんな素敵な日はないやん……そんな表情するもんやないよ」

絵里 「わ、分かってるんだけど……なんだかね」

64: 2021/03/09(火) 21:35:04.71 ID:a4R8LfTu
にこ 「前言ったでしょ? 卒業したってこの三人は離れないって! それに穂乃果たちだって、定期的に会うって言ってくれてるし、寂しくなる必要なんかないのよ」

絵里 「それに関しては悩んでないわ……ただ、私はこの学校自体も大好きだったから」

希 「えりち……」

絵里 「でもこの学校はこれからも、残り続けるのよね。そして、穂乃果たち、花陽たち、みんなの卒業を見送って……歴史を重ねていく」

にこ 「……」

絵里 「そう考えると、別に寂しいことじゃない気がしてきたわ」

65: 2021/03/09(火) 21:36:25.62 ID:a4R8LfTu
希 「相変わらずえりちは真面目なんやから……そうだ、三人で今からカレー屋さん行く?」

にこ 「そのあと今日の夜にあの丘に行ってもいいわね。今度はμ's全員で」

絵里 「ふふ……これからも楽しみはいっぱいね」

希 「まあとりあえず今はジュース奢るじゃんけんでもする?」

絵里 「どうせ私が負けるから嫌よ!」 プンプン

希 「じゃあ三人で生徒会おままごとは?」

絵里 「……それも楽しそうだけど、もう大丈夫。おままごとからは卒業したから」

66: 2021/03/09(火) 21:37:43.16 ID:a4R8LfTu
希 「そっか……。じゃあドミノは」

絵里・にこ 「「それはない」」

希 「なっ!? えりちはともかくにこっちまで反対するん!?」

にこ 「あのときは赤点を誤魔化してくれるって言ってくれたから乗っただけだし」

希 「薄情や……!」

絵里 「あっ、そうだ! 言い忘れてたことがあったんだ! 今度は私も川釣り連れて行ってよ!」

にこ 「分かったわ、って言っても連れて行かなくても泳いで着いてくるんでしょ?」

絵里 「それはもう言わない約束でしょ///」

67: 2021/03/09(火) 21:38:30.92 ID:a4R8LfTu
希 「ふふ、えりちは面白いなぁ」

絵里 「バカにしてる?」

希 「してないよ……ただ」

絵里 「ただ?」

希 「この学校で過ごした日々、幸せだったなぁって」

にこ 「……私も楽しかったわ」

絵里 「ふふ……私もすごく楽しかった。ありがとね、二人とも」

希・にこ 「「こちらこそ。どういたしまして」」 ニコッ






68: 2021/03/09(火) 21:39:39.77 ID:a4R8LfTu
え……り……
え……りち……


希 「えりちっ!」

絵里 「へっ!?」

希 「珍しいね、えりちが寝てるなんて」

絵里 「え、えっと、卒業式は?」

希 「卒業? まだ一応ウチら高校生なんやけど」

絵里 「えっ……あっ、夢……」

希 「ふふ、えりちも寝ぼけることがあるんやね」

絵里 「そうみたい……」

69: 2021/03/09(火) 21:40:56.89 ID:a4R8LfTu
ダダダダ

ダダダダ

ダダダダ

ドンッ!

にこ 「大変よ!! 二人とも!!」

絵里 「どうしたのよ、にこ……そんな慌てて……」

にこ 「記録が出たのよ!!」

絵里 「記録?」

希 「記録ってまさか!?」

にこ 「そう!! 穂乃果がギネス記録を取ったのよ!! 以前私たちが取ろうとしたのとは微妙に違うけど……『副生徒会長が来るまでにどれくらいドミノを生徒会室に並べられるか』っていうギネスを!!」

希 「ついにこの音ノ木で記録を超えてくれる猛者が現れたんやね……!」

にこ 「後輩育成のたまものね!」

70: 2021/03/09(火) 21:41:57.36 ID:a4R8LfTu
絵里 「で海未は?」

にこ 「すごいキレてる」

絵里 「……やれやれ、穂乃果ったら。希、にこ、一緒に穂乃果のところに行くわよ?」

希 「説教しに行くん?」

絵里 「まあ説教と、海未を宥めにね」

にこ 「絵里って本当におせっかい焼きよね」

絵里 「ふふ、元生徒会長の性かしらね」

希 「よし!! レッツゴーーやっ!!」

にこ 「ちょ、置いてかないでよ!」

絵里 「……まあなんというか」

絵里 「……毎日楽しいわね」 ニコッ

Part7.おわり
ラッキーセブンでおわり!

73: 2021/03/09(火) 22:18:58.80 ID:a4R8LfTu

71: 2021/03/09(火) 21:42:39.35 ID:6PTuRR2k
おつ、やっぱりどのグループも三年生好きだわ

72: 2021/03/09(火) 22:11:48.78 ID:Kg3UDSSR
面白かった

74: 2021/03/09(火) 22:41:26.22 ID:82s5CDqT
最高だった……ありがとう…!

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1615285187/

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