せつ菜「ドッペルゲンガーを見たんです」【ラブライブ！SS】

せつ菜「ドッペルゲンガーを見たんです」

侑「ドッペルゲンガー…？」

せつ菜「はい」

かすみ「ドッペルゲンガーって、あの？自分そっくりな…」

せつ菜「はい、昨日の夜見たんです。自分そっくりの人を」

侑「自分そっくりの人…？見間違えなんじゃないの？」

せつ菜「そうなんですかね…」

エマ「うん、きっとそうだよ。それかただのそっくりさんだったとか」

せつ菜「そうですよね。そうだったらいいんですけど」

せつ菜「すみません変な話を突然……」

侑「ううん、大丈夫だよ。練習行こっか」

せつ菜「はい、ありがとうございます…」

侑「ねえ歩夢、歩夢ってドッペルゲンガーっていると思う？」

歩夢「え？ドッペルゲンガー？」

侑「うん」

歩夢「あの自分そっくりの人が現れるって都市伝説だよね？うーん子供の頃は信じて怖がってたけど…今は特に信じてないよ」

侑「うん、そうだよね」

歩夢「どうしたの？突然」

侑「いや、せつ菜ちゃんが今日昨日の夜ドッペルゲンガーを見たって言ってて」

歩夢「せつ菜ちゃんが？」

侑「うん、私はただの見間違えなんじゃないかって思うんだけど」

歩夢「もしかしてアニメとかに影響されちゃったとか？」

侑「そうなのかな」

歩夢「怖い話とか見すぎてお風呂入ってる時とか幽霊が居るんじゃないかって思う時とかあるじゃない？」

侑「ははっ、確かにあるある」

歩夢「きっとそれだよ。」

侑「そっか」

歩夢「あっ…ごめんお母さん呼んでるから電話切るね」

侑「あっ、うんまた明日」歩夢「また明日」

ﾌﾞﾂｯ

侑「……………」

侑「気になってドッペルゲンガーについて調べてみたけど自分そっくりな人で見たら近々死ぬって書いてあるけど…」

侑「ただの都市伝説だよね」

侑「今日はもう寝よう」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

侑「おはよう歩夢」 歩夢「おはよう」

侑「昨日は変なこと聞いてごめん」

歩夢「なにが？」

侑「ドッペルゲンガーのこと」

歩夢「別にいいよ。と言うか侑ちゃんも意外とそう言うこと信じるんだね」

侑「でもせつ菜ちゃん冗談で言ってるようには見えなかったんだよなぁ…」

歩夢「そんなこと言ってるけど今日小テストだよ？勉強してきた？」

侑「そうだっけ。あちゃあ…忘れてた…」

歩夢「もう…教えてあげないからね」

侑「歩夢ー?」



放課後

侑「楽しい同好会の時間だー！」

歩夢「そんなこと言ってるけど、小テストできたの？」

侑「あぁ、うんまあね。見たことある問題ばかりだったからなんとか解けたよ」

かすみ「先輩ーこんにちはー！」

侑「こんにちはかすみちゃん」

かすみ「突然なんですけどー見てください、先輩！これ可愛くないですか？かすみんに似合うと思いません？」

侑「おお、確かにこの衣装かすみちゃんに似合いそうだね」

かすみ「そうでしょー先輩なら分かってくれると思ってました！」

せつ菜「こんにちは」ｶﾞﾗｯ

侑「あっせつ菜ちゃん」

せつ菜「………」

侑「…？せつ菜ちゃん？」

せつ菜「あっ、いえ侑さん今日も練習よろしくお願いしますね」

侑「うん」

かすみ「先輩ーこれもこれもかすみんに似合いそうじゃないですかー」

侑「あははっ確かに可愛いから似合いそう」

かすみ「ですよねーですよねー！」

侑「はぁ…みんな練習お疲れ様。水ここにあるから取ってね」

果林「ありがとう、あらスポーツドリンクもあるじゃない」

侑「うん安かったから買ってきたんだ」

歩夢「侑ちゃんも一緒に飲も」

侑「ありがとう歩夢」ｺﾞｸｺﾞｸ

侑「はーっ……」ﾁﾗｯ

せつ菜「…………」

侑「……………」

侑「ねぇせつ菜ちゃん元気無いように見えるけど大丈夫？」

せつ菜「あっ侑さん！ﾋﾞｸｯ いえ、いや私は大丈夫です」

侑「そっか。なにかあったら言ってね」

せつ菜「すみません」


侑「せつ菜ちゃんどうしたのかなー」

侑「まぁ人間1つや2つ悩み事くらいあるか。あんまりでしゃばるのもよくないかな…」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

侑「歩夢ーおはよう」 歩夢「おはよう侑ちゃん」

侑「今日の練習はダンスだよね」

歩夢「うん、そうだよ」

侑「歩夢達のダンスみるみる上手くなってるからさーライブが楽しみだよ」

歩夢「もうーでも侑ちゃんが見てくれてるおかげだからね」

侑「そうかな」

歩夢「そうだ今日小テストだけど勉強してきた？」

侑「ん？小テストは昨日あったじゃん笑」

歩夢「何言ってるの侑ちゃんテストやりたくないからって…」

侑「うん？そうだっけ。そっか今日テストか」

歩夢「そうだよー」


放課後

侑「同好会だー！今日は皆のダンスも見れるし」ｳｷｳｷ

歩夢「そんなこと言ってテストは大丈夫だったの？」

侑「うん、大丈夫だよ」

エマ「みんなーこんにちは」

侑「エマさん！」

エマ「今日はみんなの為にパン買ってきたんだ。食べて食べてー」

侑「やったぁ！貰っちゃお」

歩夢「そんなに食べると太るよ？」

侑「私はマネージャーだから大丈夫だよ。最近太んないし」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

歩夢「もう…」

侑「はぁー！久しぶりにみんなのダンスが見れて良かったよ。」

侑「みんなとっても可愛かったよ！」

しずく「ありがとうございます」

エマ「やったあ♪果林ちゃんもセクシーだったよ」

果林「そうかしら」

せつ菜「…………」

侑「(………せつ菜ちゃんやっぱり元気が無さそうに見えるなあ)」

璃奈「今日はダンス上手く出来た」

かすみ「かすみんも今日はとびっきり可愛く出来た気がするんだー」

侑「今日はもう遅いしみんな帰ろっか」

みんな「はーい」


侑「ねぇ歩夢最近せつ菜ちゃん元気無いと思わない？」

歩夢「え？そうかな」

歩夢「……確かにいつもより元気無かったかも」

侑「やっぱり…」

歩夢「なにか悩みでもあるのかな」

侑「そうなのかな……」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

侑「歩夢おはよう」 歩夢「おはよう」

侑「今日は小テスト無いよね？」

歩夢「何言ってるの、昨日やったじゃん」

侑「あははっごめんそうだよね」

放課後

侑「みんなーこんにちは」

侑「おっ今日はみんな揃ってるんだね」

愛「うん、そうだよー今日はみんな早かったみたい」

かすみ「それでさーあれがさー」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

かすみ「あっ侑先輩！これ見てくださいよ！これかすみんに似合うと思いません？」

侑「うん、確かに似合いそう…ってこれこの前も見せてくれた衣装じゃん笑。そんなに見せたいの？」

かすみ「え？何言ってるんですか？この雑誌今日発売ですよー」

侑「えっ？そうだっけ」

かすみ「ちょっとーボケないでくださいよー」

侑「ごめんごめん」

しずく「かすみさん、もう練習の時間だよ」

かすみ「はいはーい」

せつ菜「………」ｳﾂﾑｷ

侑「せつ菜ちゃん、大丈夫？」

せつ菜「ゆ、侑さん！？」ｶﾞﾀｯ

侑「え？どうしたの…」

せつ菜「い、いやビックリしただけです」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

侑「あの、せつ菜ちゃ……」

せつ菜「こ、来ないで…！」ｶﾞﾀｯ

侑「え……？」

せつ菜「えっ…いや……すいません、ほんとすいません今日は早退します」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

侑「なんで、せつ菜ちゃん…？」

侑「行っちゃった…」

侑「やっぱりせつ菜ちゃん元気無いって言うよりいつもと様子が違う」

侑「ドッペルゲンガーの事を言われてから…」

侑「あの時も元気が無かったけど、それからもっと元気が無くなってる気がする」

侑「もう明日思い切って聞いてみよう」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

侑「歩夢ーおはよう」歩夢「おはよう」

侑「今日さ、帰りにコッペパン買って帰ろうよ」

歩夢「いいけど、なんで？」

侑「急に食べたくなっただけだよ」

歩夢「そう言えば、今日小テストだよ」

侑「は？小テストは一昨日あったじゃん」

歩夢「一昨日は無いよ。また勉強して来なかった？」

侑「そうだっけ、今日テストだっけ…」

歩夢「そうだよ」


放課後

侑「同好会だー！」

歩夢「侑ちゃん、はしゃいでるけど小テスト大丈夫だったの？」

侑「……………」

侑「ねぇ、歩夢、このやり取り前もしたよね」

歩夢「え？何言ってるの？」

侑「今日のテストも前にやったばかりだったし…」

歩夢「今日のテストは今日初めてだったじゃん」

侑「……そうだっけ」

侑「(なんか昨日も…一昨日も…その前も……)」

侑「うっ！？頭が頭が………ああああ」ｽﾞｷｽﾞｷ

歩夢「ゆ、侑ちゃん！？大丈夫！？」

侑「…はぁ、っはぁ……」ｽﾞｷｽﾞｷ

歩夢「侑ちゃん！？どうしたの」

侑「い、いやごめん…急に頭が痛くなっただけだから……大丈夫だよ」

歩夢「そ、そう…？気をつけてね」

侑「うん……」ｶﾞﾗｯ

かすみ「あっ先輩！」 侑「かすみちゃん」

かすみ「今日先輩の為にコッペパン作ってきたんですよ！食べますか？」

侑「ああ！今日丁度食べたかったんだ！いただきまーす」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

侑「美味しい！…っあれ…」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

かすみ「ぎょっ、侑先輩泣いてるんですか！？」

侑「いや…ごめんなんか急に……」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

歩夢「侑ちゃん……？」ｻｽｻｽ

かすみ「かすみんのコッペパンがそんなに美味しかったんですかね？」

侑「あははっそうかも」ｸﾞｽｯ

侑「練習終わりーはぁ……」

歩夢「侑ちゃんスポドリあげるよ」

侑「うん、歩夢ありがとう」ｺﾞｸｺﾞｸ

歩夢「今日は水じゃなくてスポドリなんだね」

侑「今日も安かったからね」ｺﾞｸｺﾞｸ

歩夢「…侑ちゃん、なんか最近侑ちゃんも大丈夫？」

侑「え？」

歩夢「せつ菜ちゃんの心配してるけど、私も侑ちゃんのこと心配だよ」

侑「(………私は歩夢が最近分からないよ。でもそんな事言えない)」

歩夢「なにかあったら言ってね？」

侑「うん、ありがとう」

侑の家

侑「せつ菜ちゃん今日練習来なかったし、LINEで聞いてみよう」

LINE

侑『せつ菜ちゃん、今日練習来なかったけど大丈夫？』

侑「既読つかないかな………」

侑「あっ付いた」


せつ菜『心配かけてすみません、体調等は大丈夫です』

侑『そっか、いつでも同好会来てね』

せつ菜『はい』

侑「…………」

侑『ねえ、せつ菜ちゃんなんか最近悩み事ある？』

せつ菜『悩み事…ですか』

侑『元気なさそうに見えるから』

せつ菜『そうですね、あると言えばあります』

侑『そっか…あんまり模索しないけど、せつ菜ちゃんさえ良ければ私に相談してね。いつでも乗るから』

せつ菜『ありがとうございます。…じゃあ1つ聞いてもいいですか』

侑『うん、なに？』

せつ菜『このやり取り昨日もしましたよね』




侑「……は？え………あ…」

侑「あ………」

ﾋﾟｺﾝ


せつ菜『すみません、分からないならいいです。変なことを言ってごめんなさい』

侑「は………どう言う……」

侑「うっ……！？」ｽﾞｷ

侑「また…頭が………ああああああああぁぁぁ」

侑「はぁ……っはぁ……分かんない…分かんない……」

歩夢『侑ちゃん………』

侑「なんで歩夢の声が聞こえるの……分かんない分かんない分かんない……分かんない…」

ﾋﾟｺﾝ

侑「」ﾊﾞｯ

LINE

せつ菜『明日放課後の後、公園で話しましょう』

侑「明日……？はぁ…はぁ……」



ﾁｭﾝﾁｭﾝ

侑「おはよう」 歩夢「侑ちゃんおはよう」

侑「………」ｽﾀｽﾀ

歩夢「……侑ちゃん元気無いね…」

侑「うん」

歩夢「そうだ、そう言えば今日小テスト……」

侑「もういいよ…それ」

歩夢「え？いいよってどう言う…」

侑「」ｽﾀｽﾀ

歩夢「侑ちゃん待ってよ…」

侑「………」ｽﾀｽﾀ

歩夢「あっ…」

放課後

侑「放課後か……」

歩夢「侑ちゃん小テスト大丈夫だった？」

侑「……もういいってそれ」

ｶﾞﾗｯ

かすみ「それで…元気が無さそうに見えて…」

しずく「確かに……最近…」

エマ「私も……思ってた……」

侑「なんの話してるの？」

かすみ「あっ侑先輩。せつ菜先輩の話してたんですよ」

侑「せつ菜ちゃん？」

エマ「最近、せつ菜ちゃん元気無いなって思って……昨日も休んじゃってたし」

かすみ「あの時から様子がおかしかったですよね…」

璃奈「あの時って？」

かすみ「りな子は居なかったから分からないど…せつ菜先輩がドッペルゲンガーを見たって話してたんだよ」

エマ「うん…その時からあんまり元気無かったかも。なにか関係あるのかな…」

しずく「LINEしても既読が付かないんですよ」

侑「…確かに、せつ菜ちゃん最近元気が無かったよね。でも今日せつ菜ちゃんと話す約束してるから大丈夫だよ」

侑「今日聞いてくるから、みんなは練習に集中してて」

かすみ 「あー侑先輩が話すんなら安心ですね」

侑「うん、だからみんなは気にしないで」

歩夢「…………」

侑「はぁーっ疲れた……」

歩夢「はい、侑ちゃんも疲れたでしょ。私のスポドリもあげる」

侑「ありがとう」ｺﾞｸｺﾞｸ

歩夢「…今日、せつ菜ちゃんと話すんだって？」

侑「うん、そうだよ」

歩夢「そっか…せつ菜ちゃん同好会に来るといいね」

侑「うん」

歩夢「ねぇ侑ちゃん。侑ちゃんも悩み事があるんじゃないの？あるんなら私聞……」

侑「無いよ。」

歩夢「無いの？……隠さないでよ。私ずっと待ってるんだよ侑ちゃんのこと…」

侑「待ってるってなに？」

歩夢「え…？」

侑「なに？」

歩夢「いや…………」ｳﾂﾑｷ

侑「はぁ…もういいよ。て言うか次のライブっていつだっけ」

歩夢「次は…来月の30日だよ」

侑「今日って何日だっけ」

歩夢「今日は…今日は……何日だっけ。ごめん忘れちゃった」

侑「そう」

かすみ「侑先輩ーかすみんのダンス見てくれました？」

侑「うん、見たよ」

璃奈「今日、ダンス上手く出来た」

かすみ「超絶可愛く踊れたんですよー」

侑「うん」

愛「ゆうゆなんか元気無いー？」

侑「そんな事ないよ」

果林「風邪とか流行ってるから気をつけてね」

侑「うん」


侑「…………」ｸﾞﾆｬｱ

侑「(なんか…皆が曲がって見える。頭も痛いし)」ｽﾞｷｽﾞｷ

侑「(どうしちゃったんだろう、風邪かな。思い出せない)」

侑「(私おかしくなっちゃったのかな)」ｽﾞｷｽﾞｷ

侑「ここが待ち合わせの公園か」

侑「せつ菜ちゃんは何処なの…」ｷｮﾛｷｮﾛ

せつ菜「侑さん」

侑「あっせつ菜ちゃん」ｷｰﾝ

侑「(なんか耳鳴りもするよ)」

せつ菜「すみません、こんな夜遅くに」

侑「ううん、大丈夫」

侑「それで、話があるんだよね。せつ菜ちゃんが同好会に来ないし元気が無さそうに見えたから…」

せつ菜「はい。何度も休んですみません、」

侑「いいんだけど、、みんな心配してるし訳を聞きたいんだ」

せつ菜「」ﾋﾞｸｯ

侑「せつ菜ちゃん…？」

せつ菜「いえ、何でもありません」

侑「…せつ菜ちゃんの様子がおかしいから……聞かせてよ。」

せつ菜「…………」

せつ菜「あの日から…ドッペルゲンガーを見た日からおかしいんです」

侑「ドッペルゲンガー…」

せつ菜「そうです。何もかもおかしいんです」

せつ菜「世界が…世界が変わっていくような感じがして…」

侑「世界が…？」

せつ菜「目が、目が覚める度に変わってるんです。日常が」

せつ菜「同じ日を何回もループして同じ時を繰り返して……はぁ…はぁ…」

せつ菜「侑さん貴方は昨日…メールを送りましたよね」

侑「うん…」

せつ菜「あのメールが何回も、何日も、何度も来るんですよ…同じ日を繰り返して…！！」

せつ菜「はぁ…はぁ」

侑「せ、せつ菜ちゃん落ち着いて」ｶﾞｼｯ

せつ菜「離してくださいっ！」ﾊﾞｯ

せつ菜「何もかも、何もかもおかしいんです！！皆さんの性格も…言動もおかしい…気持ち悪いんです……！！」

せつ菜「はぁ…はぁーっ、まず侑さんもおかしいんです。侑さんはそんな人じゃなかった！！貴方誰ですか！！！」

侑「せつ菜ちゃん…？」

せつ菜「うわぁあああああぁぁぁ」

せつ菜「目が覚める度に世界が変わるんです！誰かの曖昧な記憶のように！！！あれを見た日から！！」

せつ菜「生徒の顔も…名前も思い出せないんです…思い出せないんです。徐々に記憶が減ってくんです」

せつ菜「私はせつ菜ですよね？優木せつ菜ですよね？」

侑「そ、そうだよ…」

せつ菜「私は……わたしは…優木せつ菜です…優木せつ菜です」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

侑「…………っ」

侑「私も…同じだよ…何回もループしてるみたいに！みんなの言動がおかしくて…」

侑「どうしたらいいのか…分かんなくて……」

せつ菜「貴方もそうだったんですか！」ｶﾞｼｯ

侑「そうだよ！私だけがおかしいんじゃないかって……私だけが…」

侑「せつ菜ちゃんと同じだよ！思い出そうとすると頭が痛くなるし徐々に記憶が減っていって！わかんないんだよ！！」

侑「私だってどうなってるか知りたいよ…！」

せつ菜「そうです…この公園でアイツを見てからおかしくなり始めたんです」

侑「(！？あそこに…せつ菜ちゃんそっくりの人が……)」

せつ菜「あ、あいつです……うわぁあああああああああぁぁぁ」

？？？「侑さん…」

侑「だ、誰だ！近寄るなこっちくるな！」

せつ菜「ああああああああぁぁぁ」

？？？「侑さん…せつ菜ですよ」

侑「……っせつ菜ちゃん…？」

侑「でもせつ菜ちゃんはここに……」

？？？「私ですよ、せつ菜ですよ」

侑「違う！お前は偽物だ！！！」

せつ菜「あぁああ」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

？？？「目を覚ましてください…！侑さん…」

侑「違う…違う違う違う！！！！目を覚ますのはお前の方だ！！！」

侑「お前が現れてから世界が……歩夢やみんながおかしくなったんだ！！！」

侑「うっ…(頭が痛い…)」ｸﾞﾆｬｱ

侑「みんなを返せ！！」

？？？「こっちへ来てください」

侑「(アイツが喋る度にどんどんあいつの方に吸い寄せられて行く…。まさか私とせつ菜ちゃんを〇そうと！？)」

侑「お前の方になんか行かない……！！！私は死んだりなんかしない！！ずっとここにいるんだ！！！」

？？？「侑さん……」

侑「偽物のお前に何が出来る！！！みんなを返せ…！！！みんなとここにいるんだ！ずっとみんなと……」ｷｰｰｰｰｰﾝ


侑「いっ、痛い！！」ｷｰｰｰｰｰｰﾝ

侑「耳鳴りが…」ｷｰｰｰｰｰｰﾝ ｼﾞﾘｼﾞﾘｼﾞﾘｼﾞﾘ

侑「いたい…痛いぃ……」ｼﾞﾘｼﾞﾘｼﾞﾘｼﾞﾘ ﾐﾝﾐﾝ

侑「セミの声……？」

？？？「そうですよ、侑さん今は夏です」

侑「違う！違う違う！今は冬だ！！」ｼﾞﾘｼﾞﾘｼﾞ

？？？「ほら、セミが…」

侑「セミなんか居ない…うるさいうるさいうるさい！」

歩夢『侑ちゃん…私ずっと待ってるんだよ』

侑「なんで歩夢の声が聞こえてくるの…」

侑「違う…私の場所はここだ…偽物のお前らとは違う世界にいるんだ…」

侑「日常を返せ……みんなを返せ！！！！！！！！！！！！！！」

ｶｯ

侑「ま、眩しい……」

侑「うわ…………──────────」

有「あれ………」

目が覚めたらベッドに居た。いつも通りの場所で、いつも通りの風景だった
もう平穏な日々が戻って何も変わらずこのまま平和な日常を過ごしていくんだと思った

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

有「歩夢おはよう」 歩夢「有ちゃんおはよう」

有「今日は寒いね」

歩夢「うん、寒いね」

有「寒いのにセミの声が聞こえるなんて変だよね」

歩夢「そうだね。だけどここならいいんだよ」

有「そっか、ねえ私の名前って有だっけ」

歩夢「何言ってるの有ちゃん。有ちゃんはずっと前から有ちゃんでしょ」

有「そっか…歩夢が言うんならそうだよね」

歩夢「今日は小テストだよ」

有「うん、知ってる」


放課後

有「かすみちゃん」

かすみ「あーっ有先輩またコッペパン作ってきたんですよー食べます？」

有「うん、貰おうかな」

有「美味しいよ」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

かすみ「また泣いてるんですかー？」

有「なんか涙が出てきちゃうんだよね、かすみちゃんのコッペパン食べると。なんでだろうね」

かすみ「かすみんのコッペパンが美味しすぎるからですよー」

有「そうだよね。かすみちゃんの髪飾りって流れ星だったっけ」

かすみ「かすみんの髪飾りはずっとそうですよー」

有「そっか。しずくちゃんのリボンも…茶色だったっけ」

かすみ「もうなんなんですかーボケちゃったんですかー？」

有「あははっそうかも。ボケかも」

エマ「おばあちゃんになっちゃったのー？」

果林「愛の方がおばあちゃんっぽいけどね」

愛「そうかなー？」

有「あははっ確かにね」

しずく「そうだ、今日有さんに見せたい物があるんですよ」

りな「うん」

有「えーなんだろう楽しみだなー」

せす菜「みなさん！こんにちは！」

有「あっせす菜ちゃん。今日も元気だね」

せす菜「はい！ライブに向けて今日も頑張りますよおお！うおおぉおお！」

かすみ「せす菜先輩絶好調ですねー」

有「せす菜ちゃんも元の元気なせす菜ちゃんに戻ってよかった。」

有「彼方さん、起きてくださいもう練習やりますよ」

彼方「もうそんな時間かー」

歩夢「有ちゃん、練習やろう」

有「うん！」



歩夢「有ちゃん疲れたでしょ、水あげる」

有「ありがとう歩夢。ねぇ私今幸せだよ」

歩夢「なに？突然」

有「いや……突然思っただけ」

有「でもねたまに思うんだ。ここは私の記憶だけの世界なんじゃないかって」

有「なんてね…笑漫画の読みすぎかな」

歩夢「ねぇ有ちゃん、ドッペルゲンガーっていると思う？」

有「ドッペルゲンガー…？いないんじゃないかな。ただの幻覚か脳の錯覚だよ」

歩夢「そうだよね」

侑「…私、やっぱりここにいて良かったよ。みんなと一緒で誰にも邪魔されないでさ。幸せだな、ずっとここに居たいよ」

歩夢「……うん。そうだね」ｷﾞｭｯ

有「うん……………………………………」

ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯﾋﾟｯ ﾋﾟｯ

歩夢「……………」

歩夢「侑ちゃん……もう何年経つと思う？」

侑「……………」

歩夢「もう2年だよ」

歩夢「早いよね。時間が経つのって」

歩夢「侑ちゃんが目を覚まさなくなってから2年経つんだよ」

侑「……………」

歩夢「…私事故にあったって聞いた時も侑ちゃんなら大丈夫って思ってたんだよ」

侑「……………」

歩夢「去年はみんなお見舞いに来てくれたけど…」

歩夢「だけど……もう殆ど私しか来なくなっちゃったね。」
……………………

エマ「今日は皆でパン買ってきたよ」

侑「……………」

しずく「そうです、美味しい奴を選んで来たんですよ」

彼方「みんなと選んだんだ」

侑「……………」

エマ「侑ちゃん食べってってよ」

璃奈「侑さん、食べて」

侑「……………」ﾓｸﾞ…

歩夢「きっと侑ちゃんも美味しいって思ってるよ」
…………………

かすみ「侑先輩！かすみんコッペパン作ってきたんですよ。食べてってくださいよ！」

侑「……………」

かすみ「かすみんの傑作ですからねー侑先輩食べるの久しぶりだから頑張っちゃいましたよ！」

侑「……………」ﾓｸﾞ…

かすみ「どうですか？美味しいですか？」

侑「……………」

かすみ「………先輩…」ｸﾞｽｯ

侑「……………」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

かすみ「先輩！？」

…………………………

歩夢「かすみちゃんのコッペパン食べる時はいつも泣いてたよね。思い出してるのかな」

侑「……………」

歩夢「せつ菜ちゃんが来てくれた時……」

……………………

せつ菜「おはようございます、侑さん。せつ菜ですよ」

侑「…………」

せつ菜「もう夏ですよ。見えますか……って見えませんよね」

侑「…………」

せつ菜「セミの音だけでも聞こえますか」ﾐｰﾝﾐｰﾝｼﾞﾘﾘﾘﾘﾘ

侑「…………」ﾋﾟｸｯ

せつ菜「！？…侑さん…！」

せつ菜「私ですよ、せつ菜ですよ…分かりますか」

侑「…………」

せつ菜「目を覚ましてください…！侑さん…」

………

歩夢「侑ちゃんが動いたって！？」

せつ菜「はい、さっき…少しでしたが」

歩夢「侑ちゃん……」ｷﾞｭ

侑「………な…つ………？」

せつ菜「そうですよ！侑さん今は夏です！」

侑「…………」

せつ菜「侑さん…」

歩夢「侑ちゃん…私ずっと待ってるんだよ…」

歩夢「侑ちゃん……うっ…ぐすっ……」

……………………

歩夢「侑ちゃんあの時だけ反応してくれたんだよね」

侑「…………」

歩夢「覚えてる？」

侑「…………」

歩夢「もうそれも去年のことなんだなあって」

侑「…………」

歩夢「ねぇ、侑ちゃんは今なに考えてるの？」

侑「…………」

歩夢「私たちのこと、考えてる？」

侑「…………」

歩夢「私たちのこと覚えてる？」

侑「…………」

歩夢「記憶に障害があるって、目が覚めても記憶の障害が残るかもしれないって聞いた時は驚いたけど」

歩夢「ちょっとくらいは覚えてるよね」

侑「…………」

歩夢「もしかして記憶の中では私まだスクールアイドルやってたりして笑」

侑「…………」

歩夢「侑ちゃんが植物状態…植物人間になったとしても私にとって侑ちゃんはずっと侑ちゃんだから」

侑「…………」


歩夢「ずっと待ってるから…いつでも目開けていいんだよ……」

歩夢「私ずっと待ってるから……ずっと待ってるからね……侑ちゃん……侑ちゃん…ぐすっ………」

歩夢「侑ちゃん……」



ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ………………

歩夢「侑ちゃんのこと、ずっと待ってるから」

有「ん？なんか言った？」

歩夢「ううん、なんでもないよ」

有「そっか。」







おわり

ここまで読んでくれた方が居たらありがとうございます
書いてる側も途中で訳が分からなくなったのでSSの意味が分からなかったらすみません。簡単に解説すると全部侑ちゃんの見てる夢、記憶だったってことです
ホラー(？)SSは初めてだったんですが書ききれたのでよかったです。双

せつ菜の時に一瞬だけ反応したのは歩夢にとっては希望でもあり辛いことでもありそう
それでも健気に待ち続けるのは歩夢らしい

完全に解説すると
なんでループしてたか→本当の世界で無く侑の今までの記憶だから
ドッペルゲンガーは誰か→現実世界のせつ菜
何故現実世界を突き放したのか→侑が記憶の中の世界を本当の世界だと思い込んでいたから
何故途中で自分の名前や記憶を忘れたのか→記憶に障害を持ったから
です終わり

物語としてマジで面白かった
ちくしょー！侑ちゃんは起きてくれないのかー！？

世にも奇妙な物語的な

乙
私ずっと待ってるんだよの意味ひとつじゃなさそう

虹学ホラー見たかった

オチの意味わかったよ
ゾクゾクしたし面白かった
乙やで！