歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」【長編SS】【スクスタ】

AqoursーSS


762: 2018/12/31(月) 18:01:56 ID:VfeQwAbI

     Chapter4

魚と珠、追跡劇 (非)日常編

763: 2018/12/31(月) 18:02:45 ID:VfeQwAbI
────学園生活16日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

モノっちー『そうそう。裁判でも言ったけど、連続〇人に関する校則を追加しました』

モノっちー『よーく読んで、楽しいコロシアイライフを送るように!』

プツン


~校則~

13.学級裁判で1つの事件が処理される前に別の事件が発生した場合、投票対象となるのは最初に起きた事件のクロです。
また、卒業出来るクロも最初に起きた事件のクロのみとなります。

764: 2018/12/31(月) 18:03:21 ID:VfeQwAbI
────食堂

歩夢「……」モッシャモッシャ

歩夢(身体が重い)

歩夢(缶詰生活から解放されたとはいえ、見事に体調が狂った)

歩夢(一度ああいう生活を送った反動か、腹の虫だけは収まるところを知らず……)

歩夢「……」

せつ菜「どうしました、歩夢?」

歩夢「なんだか、物足りないなあって」

せつ菜「……私もです」

梨子「大丈夫よ。こうなるだろうって、おかわりは多めに用意したから」

歩夢(お茶碗出して、と梨子ちゃんに促される)

歩夢(まだ朝食なのに、これでご飯3杯目だ)

765: 2018/12/31(月) 18:04:39 ID:VfeQwAbI
歩夢「ごちそう様でした」

梨子「お粗末様でした」

果南「そういや、千歌は? 見当たらないけど」

しずく「パンだけ持って行って、部屋に戻って行きましたよ」

果南「……またそのパターンか」

ダイヤ「困りましたわね。このあと、皆で校舎の探索を再開するつもりでしたが……」

かすみ「別にいいんじゃないですか? 協力する気がない人は放っておけばいいんですよ」

果南「どの口が言えたことだか」

鞠莉「2人とも、やめなさい」

歩夢(果林さんというまとめ役の片割れが居なくなった裁判から、一夜)

歩夢(拘束から開放されたかすみちゃんの存在も相まって……食堂には、良くない雰囲気が漂っていた)

766: 2018/12/31(月) 18:05:27 ID:VfeQwAbI
────校舎3階、4階への階段前

歩夢「……あれ?」

歩夢(ギスギスした空気のまま、私たちは校舎の探索を再開する)

歩夢(いつもなら、上の階に続く階段を塞いでいたシャッターが開いている筈なのに……)

花丸「開いてないずらね」

璃奈「モノっちーが開け忘れた(・v・)?」

鞠莉「その辺、どうなのかしら。どうせ居るんでしょう?」

モノっちー「うけけけけけ。ボクはちゃんと、新しいエリアを開放したよ」

せつ菜「……本当に居ましたね」

ダイヤ「ですが、現にシャッターは閉じています」

歩夢「待って! もしかしたら……」

767: 2018/12/31(月) 18:06:47 ID:VfeQwAbI
────校舎3階、渡り廊下

璃奈「長い廊下だね(・v・)」

歩夢(開いていたのはシャッターではなく、昨日までは閉ざされていた大きな扉)

歩夢(校門を封鎖している金属扉をそのまま小さくしたようなそれは重く、開けるのにもそれなりの力が必要だった)

歩夢(扉の先は、音楽室までの廊下か、それ以上に長い渡り廊下)

歩夢(その先には、さっきと打って変わって軽そうな木製の扉が見えて……)

しずく「外への出口だといいのですが……」

鞠莉「そう簡単にはいかないでしょうね、きっと」

歩夢(思い思いに会話をしながら、廊下を抜ける。そして……)

ギィ……

768: 2018/12/31(月) 18:07:45 ID:VfeQwAbI
────別館3階

果南「……魚だ」

歩夢(扉を開けると、目の前に現れたのは大きな水槽。そして、その中を泳ぐ魚たち……)

モノっちー「別館、略して別の館へようこそなのだ!」

せつ菜「略せていませんよ!?」

モノっちー「んもう、細かいツッコミが多いネ。肌荒れによろしくないぞよ?」

歩夢「ここは……何なの?」

モノっちー「折角だし、まずは軽く紹介をしましょう! その名の通り、虹ヶ咲学園別館。ちなみに3階建てだよ」

モノっちー「目の前にある水槽群は、まあちょっとした水族館みたいなものだネ」

果南「ちょっとしたってレベルじゃないよ。こっちは内浦で見られる魚だけど……あっちの水槽、この前ブラジルで見つかった新種のハナダイだよね」

モノっちー「大正解。流石、超高校級のダイバーってところかな」

769: 2018/12/31(月) 18:08:33 ID:VfeQwAbI
モノっちー「といっても、水槽があるのはこの3階だけで……」

モノっちー「2階と1階は、それぞれ別の部屋があるんだよ」

モノっちー「先に1階の方だけど……校舎にある倉庫や各種準備室とは別に、ここには巨大な冷蔵室が存在するんだ」

花丸「ナマモノ用の倉庫……ずら?」

モノっちー「まあ、そんなところだネ。2階も倉庫だよ」

しずく「倉庫だらけですね……」

かすみ「だから別館なんでしょうね~。で、2階の倉庫は何が入ってるんですか?」

モノっちー「オマエらが必要としているもの、かな」

歩夢「……必要としているもの?」

770: 2018/12/31(月) 18:09:25 ID:VfeQwAbI
モノっちー「とはいえ、タダで手に入るワケではございません! ちょっとしたゲームをやって頂く必要がありまして……」

鞠莉「ゲーム、ね。それをクリアすることで、何が手に入るのかしら」

モノっちー「凶器とか、ね」

歩夢「……えっ?」

モノっちー「それもただの凶器じゃあないよ。銃火器だとか金属ワイヤーだとか……要は武器庫みたいなものだネ」

モノっちー「オマエらのようなJKには扱いにくい代物かも知れないけど、そこはほら、ちょっとした刺激ってことでさ」

「「……」」

モノっちー「あらら、皆さん不服なようで。でも、銃を持った女の子ってのはそれはそれでいい絵ヅラになるもんだよ?」

しずく「そういう問題ではありません!」

果南「手に入るのがそんなものなら、別にゲームをやる必要はないね」

かすみ「そうですね~。ゲームに負けたらどうなるかも分かりませんし」

歩夢(当然、みんなの反応は否定的な物ばかり。今さら凶器を手に入れて、どうしろと言うんだ)

771: 2018/12/31(月) 18:10:21 ID:VfeQwAbI
モノっちー「やれやれ、これだから冗談が通じない(J)子(K)、略してJKは。セイウチの話はちゃんと最後まで聞きなさいって」

花丸「凶器“とか”って言ってたよね」

梨子「じゃあ、凶器以外にもあるの?」

モノっちー「ほら、釣れた釣れた。実はね、凶器はあくまで参加賞でしかないんだ」

モノっちー「クリア特典は……“この学園の秘密に関する重大なヒント”や“オマエらの学生生活に関する重要な手掛かり”だよ!」

しずく「……それって!」

モノっちー「考察大好きなオマエらのことだから、手掛かりはあるに越したことないでしょう? しかも『重大』と『重要』だからネ!」

かすみ「そこまで言うからには、しっかりとしたヒントなんでしょうね?」

モノっちー「そうだよ。例えばオマエらの入学時のプロフィ……おっと、言ってしまった」

歩夢(入学時の……)

歩夢「……まさか」

772: 2018/12/31(月) 18:11:35 ID:VfeQwAbI
モノっちー「そう。オマエと、ここに居ない引き籠りさんは、自分の才能すら覚えていないでしょう?」

モノっちー「そのプロフィールには、ちゃ~んと載ってるんだよ。オマエらがどの分野における超高校級だったかが、ネ」

歩夢「……」

歩夢(ごくり、と自分の喉が鳴った)

歩夢(罠だ、きっと罠に決まっている……そう言い聞かせてはみるけれど)

歩夢(自分に大きく関わること。気にならないワケが……ない)

モノっちー「そうそう。あのプロフィールには、前回謎の死を遂げた誰かさんの情報も載ってるんだよネ」

鞠莉「……じゃあ、彼女は」

モノっちー「おっと! 言えるのはここまでだよ。それじゃあ、探索頑張ってネ~」

<うけけけけけ……

せつ菜「えっと……どうしましょう」

ダイヤ「とりあえず、調査に移りましょう。ただし、2階の倉庫には入らないこと、いいですね?」

773: 2018/12/31(月) 18:12:14 ID:VfeQwAbI
────別館3階・水槽広場



せつ菜「……本当に多いですね、水槽」

歩夢「うん。しかも、全部ちゃんと魚が泳いでるし……」

歩夢(水槽広場とマップに書かれているここは、幾つもの水槽と、正面にある巨大水槽で成り立っている)

歩夢(巨大水槽を泳ぐのは、クジラやエイといった大きな魚や、群れを成す小さな魚)

歩夢(他の水槽では、熱帯の海を泳いでいそうな魚や、深海魚っぽい生き物、果てはクラゲの水槽……)

歩夢(恐らく、コンセプト別に展示してあるのだろう)

果南「まあ、水族館としては全っっっっ然なってないけどね」

せつ菜「どうしてですか?」

774: 2018/12/31(月) 18:13:30 ID:VfeQwAbI
果南「まず、水槽が汚れてる。これ軽く2、3週間は掃除してないよ」

果南「それに、魚たちの様子を見た感じ……エサの量がかなり適当だね」

果南「せっかく珍しい魚も多いのに、もったいないことするよ」

ダイヤ「それに、魚のことは詳しく分かりませんが、魚を展示するなら説明書きのプレートもあって然るべきです」

ダイヤ「この学園を牛耳るモノっちーが、いかに雑な人物であるかが窺えますわね」

果南「あ、そうだ。もし魚のエサを見つけたら、持って来てくれないかな?」

果南「どうやら、今日はまだ食べさせて貰えてないみたいだし……」

歩夢「そんなことも分かるの?」

果南「ふふ。魚と触れ合ううちに、自然と分かるようになったんだ♪」

果南「折角なら、エサやり体験をさせてあげよっか。そこのキャスター付き脚立で水槽の上にのぼれるみたいだからさ」

歩夢(機会があればと約束をし、私たちは調査に戻った)

歩夢「それにしても……」

せつ菜「どうしたんです?」

歩夢(手入れが入ってないのは“ここ2、3週間”。つまり……どういうことだろう?)

775: 2018/12/31(月) 18:14:18 ID:VfeQwAbI
────別館2階



歩夢(3階と違って、2階は廊下が続くだけの〇風景な場所)

歩夢(……階段を降りるなり、視界に映ったその扉を除いては)

かすみ「ピエ の顔なんて、随分とイヤ~なデザインですよね~。璃奈さんのボードの方がよっぽどマシです」

璃奈「……多分、例の武器庫(・v・)」

せつ菜「ですね。地図には何も書いてませんが、ここ以外部屋もないですし……」

かすみ「それにしても、ドアノブがありませんね。自動ドアかなーって思ってたんですけど……」

璃奈「……多分、これじゃない(・v・)?」

歩夢(璃奈ちゃんが指をさしたのは、ドアの脇にある何かの装置)

モノっちー「説明しよう! 以上だ!」

かすみ「あ、そういうことだったんですね」

せつ菜「えっ? いま何か説明ありました……?」

776: 2018/12/31(月) 18:16:13 ID:VfeQwAbI
モノっちー「冗談はさておき。間違って入るのを防止するために、この扉はちょっとしたロックが掛かってるんだ」

モノっちー「その機械に電子生徒手帳をかざしてくれれば、すぐに入ることが出来るよ」

モノっちー「ただし、一度入ったらゲームが終わるまで出られないし、誰かが入っている間は他の人が入ることが出来ません」

モノっちー「気になるあのコに、先を越されないようにネ!」

歩夢「……」

璃奈「かすみちゃんは、特に入らせちゃいけないね(・v・)」

かすみ「璃奈さんにまで言われるのは、何だかショックですね……」

歩夢(私の才能が、この扉の向こうに……)

かすみ「もしかして、入ろうと思ってます?」ボソッ

歩夢「え、いや!? そ、そんなことは……」

せつ菜「歩夢……もしかして」

璃奈「……(>_<。)」

歩夢「違う、違うってば!」

歩夢(……3人の誤解を解くのには、少し時間が掛かってしまった)

777: 2018/12/31(月) 18:17:25 ID:VfeQwAbI
────別館1階・巨大低温倉庫前



せつ菜「なんだか少し肌寒いです」

歩夢「……これのせいなんだろうね、多分」

歩夢(1階もまた、コの字の廊下と部屋が1つだけの無機質な空間)

歩夢(ただ、その部屋というのが……)

梨子「モノっちーが言ってた通り、本当に“巨大な冷蔵室”って感じね。結構な広さがあったわ」

せつ菜「じゃあ、入ったんですか?」

花丸「いま、中で鞠莉さんとしずくちゃんが調査をしてるずら」

花丸「マルは寒いのが苦手だから、こうして外を調べてるけど……」

歩夢(花丸ちゃんが教えてくれたのは、以下の点だ)

・この冷蔵室には扉が2つあり、どちらにも脇に開・閉と冷蔵・冷凍、計4つのスイッチがある。

・ただし、中に人がいる場合はスイッチが反応することはなく、扉は開けっ放しになる。

・手動ではなく自動ドア。未来ずら~! ……ということらしい。

778: 2018/12/31(月) 18:18:00 ID:VfeQwAbI
しずく「中は生鮮食品ばかりでした。とりあえず、怪しい物はなさそうです」

鞠莉「恐らく、厨房の食材は全部ここから運ばれていたんでしょうね」

歩夢(調査を終えた2人が、倉庫から出て来た)

歩夢(冷蔵室の中はほぼ0℃で、一般的な冷蔵庫と同じ温度だと言う)

歩夢(中にスイッチの類はなかったようで、開けっ放しになるのは閉じ込め防止策だと考えられる……らしい)

せつ菜「やっぱり……脱出の手掛かりはありませんでしたね」

花丸「と、とりあえず戻るずら?」ブルブル

しずく「そうですね。このままだと、低体温症になりそうです……」

鞠莉「その前に……もう少しだけ、付き合って貰えないかしら。1つ、実験しておきたいことがあるのよ」

歩夢「実験……?」

779: 2018/12/31(月) 18:19:23 ID:VfeQwAbI
鞠莉「ちょっとした検証よ。すぐに分かるわ」

歩夢(ポチッ、と、鞠莉さんは『冷凍』と『開』のスイッチを押した)

歩夢(しかし、扉はすぐに開くワケではなく……)

ガタンッ

せつ菜「……いま、何か音がしませんでしたか?」

鞠莉「♪」

歩夢(物音が1つ。やがてドアが開き、強烈な冷気が流れ込んで来る)

花丸「ひぃぃぃぃ……」ガクガク

しずく「でも、今の“間”はなんだったんでしょう?」
 
鞠莉「……やっぱり、ないわね」

歩夢(何かを確信した鞠莉さんは、『閉』を押す)

歩夢(そして、締めに入ると言わんばかりに『冷蔵』と『開』のスイッチを入れた)

780: 2018/12/31(月) 18:20:02 ID:VfeQwAbI
ガタンッ

歩夢(また、少しの間を開けて物音。ドアが開くと……)

歩夢「あれって……」

梨子「電子生徒手帳、よね」

歩夢(低温倉庫の真ん中には、電子生徒手帳が置かれていた)

鞠莉「間違いないわ。この倉庫は“部屋が2つある”みたいよ」

花丸「……」ガタガタ

しずく「だ、大丈夫ですか花丸さん!」

鞠莉「……続きは食堂で話しましょうか。梨子、何かあったかい物をお願い」

梨子「え、あ、はい!」

781: 2018/12/31(月) 18:20:32 ID:VfeQwAbI
────食堂

花丸「ぷはー……あったまるずら……」

梨子「簡単なオニオンスープだけど、みんなもどうぞ」

「「いただきまーす」」

歩夢(梨子ちゃんの作ってくれたスープを飲みながら、鞠莉さんの話に耳を傾ける)

歩夢(最初に倉庫を出る時、鞠莉さんはわざと電子生徒手帳を置きっぱなしにした)

歩夢(問題なく扉が閉まったことから、倉庫の中には動く物を感知するセンサーがあると考えられる)

歩夢(次に、冷蔵・冷凍のスイッチについて)

歩夢(地図には部屋が1つしか書かれていないため勘違いを起こしそうだけど、中の部屋の温度が変わっているワケじゃない)

no title


歩夢(冷蔵室と冷凍室。2つの部屋が存在していたのだ)

歩夢(扉が開くまでの“間”は、部屋が切り替わるために発生するもの)

歩夢(ちなみに、冷凍室の中はマイナス18℃……一般的な冷凍庫と同じ温度らしい)

歩夢(あそこに行く必要性があるかはともかく、行くなら忘れ物には気をつけなさい、ということだった)

782: 2018/12/31(月) 18:21:59 ID:VfeQwAbI
────歩夢の個室

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間に──』

歩夢「……」

歩夢(結局、この日はこれ以上調査が進展することもなく、千歌ちゃんが私たちの前に姿を見せることもなかった)

歩夢(そういえば、かすみちゃんが食事としてパンを山盛り持って行ったらしいんだけど……)

歩夢(綺麗に、激辛パンだけが残されていたらしい)

歩夢「……まだやってたんだ、辛いの」

歩夢(前回の裁判で活躍したとはいえ、かすみちゃんは警戒すべき人なのは間違いない)

歩夢(武器庫という、新たな火種がモノっちーから提示された現状)

歩夢(気を付けないと、あっという間に取り返しのつかないことになるかも知れない……)

783: 2018/12/31(月) 18:22:53 ID:VfeQwAbI
~モノっちー劇場~

オマエら、よいお年を!

……って、この言葉、前にも言った気がするよネ。

いやあ、時が経つのって早いもんだよ。

特に、現実とフィクションの流れる時間の差なんて顕著だよ。

気がつけば、可愛いあのキャラクターの年齢を追い越したり。

頭の良いあのキャラクターは、いつまでも年齢が変わらなかったり。

追い付いたかと思えば、不意に大人になっていたりしてネ。

そんなワケで、ボクにとっては毎日が年末なのです。

今日も一日、オマエら、よいお年を!

788: 2019/03/24(日) 20:27:35 ID:.ppW2BkA
────学園生活17日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

歩夢「……」

歩夢(そういえば……今日は何曜日なんだろう)

歩夢(ここに来てからというもの、いつしか曜日の感覚は消え失せた)

歩夢(もしも日曜日なら、昼過ぎまで休んでいたいような……そんな、気だるい朝だった)

789: 2019/03/24(日) 20:28:16 ID:.ppW2BkA
────別館3階・水槽広場

バシャバシャバシャ!

歩夢「うわわっ……」

果南「大丈夫。別にこっちを食べたりはしないから」

しずく「で、でも、この水槽にいるのってピラニアですよね……ちょっと怖いです」

果南「あはは、この子たちはマナガツオ。確かに『海のピラニア』って呼ばれるくらい見た目はソックリだけど、肉食じゃないよ」

花丸「マルは掃除の時に教えてもらったから、知ってたけどね」

歩夢「……じゃあ、本当に大丈夫なんだ」ホッ

璃奈「積極的なのは、お腹が空いてたからみたいだね(・v・)」

歩夢(こうなった発端は、今朝の出来事……)

790: 2019/03/24(日) 20:29:02 ID:.ppW2BkA
~今朝・食堂~

果南『……ごちそうさま』

鞠莉『あら、随分と早いのね』

ダイヤ『ちゃんと噛まないと、身体に良くありませんよ』

せつ菜『何か急ぎの用事でもあるのでしょうか?』

果南『掃除』

せつ菜『……掃除?』

果南『水槽の掃除だよ。いい加減やってあげないと、あの子たちが可哀相だし……』

梨子『確かに、ところどころ汚れてたものね』

かすみ『というか魚を“あの子たち”って……よく言えたものですよね』クスクス

果南『……』

791: 2019/03/24(日) 20:29:56 ID:.ppW2BkA
花丸『みんなおはよー。朝ご飯は……って、一体この空気は何ずら?』

果南『ちょうど良かった』ガシッ

花丸『え、えっ?』

果南『マル、ちょっと手伝ってもらうよ』

花丸『ず、ずら~!?』

<マダアサゴハンタベテナイズラ~

かすみ『花丸さん、完璧に巻き込まれましたね』

璃奈『どう考えてもかすみちゃんが悪いと思う(`∧´)』

かすみ『……まあいいです。とりあえず、千歌先輩のところに朝食を届けて来ますね』

ダイヤ『でしたらその前に、今ここでそのパンを口にして御覧なさい』

かすみ『今回は大丈夫です。唐辛子を仕込む暇がなかったことは、梨子先輩が証明してくれますよ』

しずく『学級裁判みたいなこと言わないでくださいよ。気が滅入るじゃないですか……』

歩夢『……ご、ごちそうさま! 私、果南さんたちのお手伝いして来るね』

792: 2019/03/24(日) 20:30:46 ID:.ppW2BkA
歩夢(──と、居心地の悪い空間から逃げ出し、水槽の掃除を手伝いを終えたあと)

歩夢(掃除は順調だったようで、私の手伝いはほとんど必要としなかった)

歩夢(……せいぜい別館1階の冷凍倉庫から、魚のエサを探し出したことくらい)

歩夢(そして一連の用事が済み、魚のエサやりをやりたい、見たいと言った人を集めて……今に至る)

果南「よし、この子たちはこのくらいでいいかな。あとは……」

タッタッタッ

せつ菜「……あれっ。エサやりはもう終わっちゃいました?」

璃奈「ほとんど終わったよ(・v・)」

せつ菜「あー……じゃあ、完全に遅刻ですね」

歩夢「せつ菜ちゃん、どこに行ってたの?」

せつ菜「音楽室でひと踊りしてました。呼んでくれれば行ったのに……」

歩夢「ごめんね。お部屋に居なかったから、何か用事があったのかなーって」

793: 2019/03/24(日) 20:31:42 ID:.ppW2BkA
果南「まあまあ。あとはクラゲ水槽だけだけど、せつ菜もやりたい?」

せつ菜「はい!」

歩夢(せつ菜ちゃんは目を輝かせながら答える。子供の頃、一緒に水族館に行ってはしゃいだりもしたっけ)

しずく「クラゲって、エサを食べるんですか?」

果南「そりゃあ食べるよ、生き物なんだし」

しずく「てっきり、水の中のプランクトンを食べると思ってました」

果南「ん、確かに自然のクラゲはプランクトンを食べたりしてるね。種類によっては、小魚を痺れさせて捕食したりもするんだ」

花丸「聞いたことあるずら! 丸呑みされた魚が中で暴れて、クラゲの進行方向を勝手に決めていたってお話」

果南「うん。けどまあ、倉庫にクラゲ用のエサがあったからね。ちゃんとあるんだよ、そういうのは」

しずく「なるほど……」

果南「じゃあこっちでエサを用意するから、また誰か脚立を移動させてね」

「「はーい」」

794: 2019/03/24(日) 20:32:33 ID:.ppW2BkA
果南「これでよし、と。それじゃせつ菜、やってみて」

せつ菜「スポイトを使うんですね」

果南「そ。エサを溶かしたこれを、優しくカサの内側、出来れば真ん中に吹き付けるように……」

花丸「刺されないように気を付けるずらよ」

せつ菜「分かってます。そーっと……ですね」

璃奈「これで、食べてるの(・v・)?」

果南「確かに分かりにくいかもね。クラゲは数時間かけてエサを食べて、そのあと食べ残しなんかを吐きだすんだ」

歩夢「なんだか、透明なクラゲに色塗りしてるみたいだね」

しずく「神秘的です……」

795: 2019/03/24(日) 20:33:29 ID:.ppW2BkA
せつ菜「みんなお腹いっぱいですね」

果南「うん。巨大水槽の子たちのもエサをあげたいけど……あそこだけ入り口が分からないし、時間が来ると自動で給餌される仕組みみたいなんだよね」

果南「本当はダイバースーツに着替えて、みんなに直接食べさせたかったんだけど……まあ、仕方ないか」

しずく「でも、楽しかったです!」

璃奈「お魚さんの話、いっぱい聞けた(>v<)」

せつ菜「また機会があれば、今度はきちんと参加したいです!」

花丸「魚の世界も奥が深いんだね」

歩夢(そう言ってくれると誇らしい、と、果南さんはにっこり微笑んだ)

歩夢(少なくとも今だけはコロシアイという状況を忘れて、心の底から楽しんでいた)

花丸「さてと、マルたちもそろそろ戻ろっか」

歩夢「そうだね。もうすぐお昼だし……」

果南「あそうそう。マル、夕方にまた掃除するから付いて来てね」

花丸「ずらぁ!?」

796: 2019/03/24(日) 20:34:28 ID:.ppW2BkA
歩夢(……けれども、この学園生活はまるで振り子のようで)

歩夢(私たちは、すっかり忘れてしまっていた)

歩夢(楽しさが大きくなればなるほど、その反動が大きいということ)

歩夢(そして、モノっちーという存在は、いつも私たちをせせら笑っていたことを)

797: 2019/03/24(日) 20:35:41 ID:.ppW2BkA
ピーンポーンパーンポーン

モノっちー『えー、校内放送校内放送』

モノっちー『オマエら、至急体育館にお集まりください』

モノっちー『全校集会だからネ……うけけ』

プツン


歩夢「……?」

歩夢(それは、もうすぐ夜時間になる、といったタイミング)

歩夢(チャイムではなかったせいで、一瞬また事件が起きたのかと身構えたが、そういうワケではないらしい)

歩夢(それでも、全校集会。気乗りはしないけど……行くしかない)

798: 2019/03/24(日) 20:36:20 ID:.ppW2BkA
────体育館

かすみ「まったく何なんですか、もう夜ですよ……」フワァ

ダイヤ「動機にしては、やけに急ですわね」

歩夢(アナウンスを聞いて、みんなが集まって来る)

千歌「……」

歩夢(当然その中には、しばらくぶりの彼女の姿もあった)

歩夢(そして、全員揃ったところで……)

モノっちー「じゃあ、始めよっか」

歩夢(いつものように、モノっちーは姿を現した)

799: 2019/03/24(日) 20:37:08 ID:.ppW2BkA
モノっちー「ボクがオマエらを集めたということは、薄々勘付いているとは思いますが……」

梨子「動機発表、よね」

モノっちー「んもう、先に言わないでよ! 正解だけどさ」

「「……」」

歩夢(少しの沈黙。これで動機発表は4度目だが、未だに慣れない。慣れたくは、ない)

モノっちー「オマエらの中には『何を言われても、ボクには屈しない』『みんなで力を合わせれば、大抵どうにかなる』って思ってる人がいるかもネ」

モノっちー「いい加減理解しなよ。結果的に、動機の有無に関わらず事件は起きてるし……」

モノっちー「そもそも協力するみんなの中にだって、裏切り者が混ざっているのにネ」

歩夢(……えっ?)

800: 2019/03/24(日) 20:37:46 ID:.ppW2BkA
ダイヤ「今……なんとおっしゃいました?」

モノっちー「ん? 言葉通り、裏切り者。羊の群れの中に潜んでいた狼のことですけど」

「「……」」

歩夢(裏切り者。仲間を、私たちを裏切った人が、この中にいる……?)

歩夢(突然すぎる話を強引に解決させるように、私たちの視線はある一方向へと向けられる)

かすみ「……あれ? なんで皆さん、かすみんのことをジロジロ見てるんですか?」

梨子「裏切り、って言ったら……ね」

せつ菜「みんなの和を乱す代表です」

モノっちー「ああ、違う違う。中須かすみさんじゃなくってさ」

モノっちー「確かに、彼女もコロシアイにおいて結構イイ働きはしてくれてるけどネ」

モノっちー「裏切り者というか“内通者”。ボクに協力している人がいるんだよ」

801: 2019/03/24(日) 20:38:27 ID:.ppW2BkA

モノっちー「そうでしょう? 松浦果南さん」

802: 2019/03/24(日) 20:39:18 ID:.ppW2BkA
果南「っ……!?」

歩夢(あまりにも、あっさりと。まるで、当たり前のことを再確認するかのように、モノっちーは言ってのけた)

歩夢「待ってよ! 果南さんが、内通者って……」

花丸「幾らなんでも……冗談がすぎるずらよ」

鞠莉「……そうね、ただのジョーク。私たちを疑心暗鬼にするための、ただの……」

ダイヤ「嘘なのですよね、果南さん」

果南「……」

ダイヤ「果南、さん?」

かすみ「内通者ってことは、今まで私たちを騙してたってことですよね~?」

モノっちー「だって松浦さん、いつまで経っても約束を果たしてくれないんだもの」

モノっちー「オマエだって、視聴覚室で見たでしょう? そろそろ、人質がどうなっても知らないよ~っと」

モノっちー「とどのつまり、今日の集会はそういうことなんだよネ。内通者の件については、オマエらの好きにしなよ。うけけけけけ……」

803: 2019/03/24(日) 20:40:34 ID:.ppW2BkA
果南「……」

歩夢(高笑いと共に、モノっちーは姿を消す)

歩夢(後に残されたのは、驚愕、疑念、それの枠に収まらない感情……)

璃奈「果南さん。違うなら違うって、ハッキリ言ってよ……(>_<。)」

果南「……」

果南「……黙っていて、ごめん」

しずく「そんな……」

歩夢(絞り出すように、果南さんは言った。自分がモノっちーの内通者であることを……)

果南「……ごめん」

ダッ!

ダイヤ「果南さん!」

ダッ!

歩夢(逃げるように果南さんは体育館を去り、ダイヤさんがその後を追った)

804: 2019/03/24(日) 20:41:39 ID:.ppW2BkA
鞠莉「……かすみ。あなた、知っていたの?」

かすみ「何をですか?」

鞠莉「とぼけないで! 最初の学級裁判の時、あなたは……」


善子『……見たのね』

かすみ『ええ。昨日、全員分の映像をこっそり見させて頂きました』


かすみ「ああ、確かに言いましたね。まさか、その時点で果南先輩が内通者だってことを知っていたと言いたいんですか?」

かすみ「馬鹿言わないでくださいよ。あの映像には、果南先輩がモノっちーさんの手先だなんて情報は一切ありませんでした」

かすみ「それよりどうします? 近いうちに、また学級裁判が起きますよ?」

せつ菜「……?」

805: 2019/03/24(日) 20:42:16 ID:.ppW2BkA
かすみ「分からないんですか? モノっちーさんは“約束を果たしてくれない”、“人質がどうなっても知らない”って言ってました」

かすみ「多分、果南先輩は──」

千歌「──私たちの誰かを〇すことを命じられていた」

歩夢「っ!?」

歩夢(空気が、一瞬で凍り付く。仄暗さを帯びた千歌ちゃんの声には……それだけの、重みがあった)

千歌「当然だよね。幾ら動機で煽ったところで、私たちが実際に誰かを〇すとは限らない」

千歌「だから、〇人が起きなかった場合の保険……果南ちゃんは、その役目を任されていた。そうでしょ?」

かすみ「……ええ、まあそういうことですね」

かすみ「わざわざ武器庫まで解放したんです。多分、果南先輩はなりふり構っていられませんよ」

かすみ「理由はどうあれ、あの人は誰かを〇し、学級裁判が起きます。次の事件のクロは──」

パァン!

806: 2019/03/24(日) 20:43:20 ID:.ppW2BkA
鞠莉「……」

かすみ「っ……」

歩夢(体育館に響く、乾いた音。頬を抑えるかすみちゃんと、手をあげた鞠莉さんの姿)

鞠莉「いい加減に……その口を閉じなさい」

かすみ「……どうなっても、知りませんから」

ダッ!

鞠莉「っ、待ちな──」

せつ菜「鞠莉さん、落ち着いてください!」ガシッ

鞠莉「……っ」

せつ菜「……どうして、こうなっちゃうんですか。こんなこと、果南先輩は望んでない筈です」

鞠莉「……」

807: 2019/03/24(日) 20:44:19 ID:.ppW2BkA
璃奈「お魚さんにエサをやってる時、果南さん、すっごく楽しそうだった。私たちとの交流を、楽しんでた筈(>_<。)」

しずく「演劇部としてこれだけは言わせて頂きます。あの時の果南さん、お芝居ではありません」

花丸「けど……やっぱり、本人の口から直接聞きたいずら。どうしてこうなってしまったのか、それに、モノっちーの正体について、何か知ってるかもだし」

千歌「……無駄だよ。そんなことをしても、意味はない」

梨子「無駄って、どういうこと?」

千歌「……」

梨子「ちょっと、まただんまり!? 千歌ちゃん、本当にどうしちゃったのよ……」

歩夢(確かに、千歌ちゃんの様子は変だ)

歩夢(仲の良かった曜ちゃんが死んで、しかも彼女は実は“渡辺曜”という人物ではなかった)

歩夢(そのことにショックを受けた……だけでは説明のつかないような、何か)

歩夢(一体、何があったのだろう)

808: 2019/03/24(日) 20:45:19 ID:.ppW2BkA
キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン


鞠莉「とにかく、一旦戻りましょう。少し、頭を冷やしてくるわ」

しずく「まさか、こんなことになるなんて……」

花丸「……おやすみなさいずら」

せつ菜「……」

歩夢(最悪のムードのまま、私たちも体育館を後にする)

歩夢(団結、などという言葉は……いつの間にか崩れ落ちていた)

809: 2019/03/24(日) 20:45:52 ID:.ppW2BkA
~モノっちー劇場~

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……以上、文字化けでお送りしたモノっちー劇場でした。

810: 2019/03/24(日) 20:46:27 ID:.ppW2BkA
────学園生活18日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

歩夢「……」

歩夢(結局、果南さんのことが気になって、あまり眠れなかった)

歩夢(睡眠不足は女の天敵……そう言ったのは、果林さんだったか)

歩夢(もう居ない彼女や、居なくなったみんなのことを思い浮かべたりしながら……食堂へ向かった)

811: 2019/03/24(日) 20:46:57 ID:.ppW2BkA
────食堂

歩夢「これは……」

歩夢(入るなり目に飛び込んで来たのは、私と千歌ちゃん以外の全員)

歩夢(その中央では……果南さんが、みんなに取り囲まれていた)

かすみ「遅かったですね歩夢先輩。〇されたんじゃないかとヒヤヒヤしましたよ」

鞠莉「……」

歩夢(かすみちゃんの後ろには、苛立ちを隠せない鞠莉さんと、彼女を抑えようとするダイヤさん)

歩夢「ねえ、これって何をしてるの?」

かすみ「見て分かりませんか? 尋問ですよ、果南先輩への♪」

歩夢(かすみちゃんは、随分と楽しそうに言ってのける)

812: 2019/03/24(日) 20:47:50 ID:.ppW2BkA
かすみ「バラされたとはいえ、果南先輩はモノっちーの手先です。当然、情報は聞き出した方がいいでしょう?」

花丸「かすみちゃんじゃないけど……やっぱり、気になるずら」

梨子「お願いします。モノっちーについて知ってることがあったら、何でも教えてください」

果南「……」

せつ菜「モノっちーを動かしているのが誰なのか、果南さんなら知っているんじゃないでしょうか?」

果南「……知らない」

璃奈「知らないって、どうして(・v・)?」

果南「連絡がある時は、一方的にモノっちーが部屋に来るんだよ。だから、操ってるのが誰かは私も知らないんだ」

かすみ「じゃあ次の質問です。約束っていうのは、誰かを〇すことですか?」

果南「……そうなるね」

歩夢「っ……」

歩夢(予想していたとはいえ……改めて言われると、心に錘を乗せられた気分だ)

813: 2019/03/24(日) 20:48:47 ID:.ppW2BkA
果南「誰も〇人を起こさなかった場合、5日以内に行動を起こす。それが私がモノっちーに命令されていたことだよ」

ダイヤ「5日……」

しずく「猶予、全然ないじゃないですか……」

歩夢「じゃあ、5日以内に起きなかった場合は……」

かすみ「やっぱり、動機ビデオに映っていた果南先輩の家族が?」

果南「父さんたちは……きっと無事じゃ済まないだろうね」

鞠莉「……だから、人質をとられたあなたは、協力せざるを得なくなった」

果南「けど、それだけじゃない。人質は、私の家族だけじゃないんだ」

梨子「家族だけじゃない……?」

果南「……」

歩夢(果南さんは、苦虫を噛み潰したような顔でしばらく黙り込み、やがて口を開いた)

果南「動機ビデオには出てないけど、人質には、今ここにいるみんなも入ってるんだよ」

果南「もし私が行動しなかったら……私たちは、全員死ぬ。モノっちーが皆〇しにするんだ」

814: 2019/03/24(日) 20:49:23 ID:.ppW2BkA
歩夢「私たちが……!?」

ダイヤ「では、あなたは……私たちを守るために、私たちを裏切っていたと……?」

果南「……」

歩夢(果南さんは、それっきり黙ってしまった)

歩夢(私たちが皆〇しにならないように、私たちの誰かを〇さなければいけない)

歩夢(この話が本当だとしたら、果南さんはどれほど苦悩したのだろう)

歩夢(そんな素振りを一切見せない顔の裏で、どれほど……)

千歌「まさか、みんなはそんな話を信じるなんて思わないよね?」

しずく「ち、千歌さん、いつから居たんですか!?」

千歌「さっき。朝食が届いてなかったから、食べに来ただけだよ」

璃奈「千歌さんは、信じてないの(・v・)?」

千歌「私たちも人質に入ってる、って部分がね」

815: 2019/03/24(日) 20:50:06 ID:.ppW2BkA
千歌「だって、モノっちーは言ってたでしょ? 私たちが虹ヶ咲で過ごした記憶は奪われてるって」

千歌「つまり、今の私たちは初対面とほとんど変わらない」

千歌「初対面の人を、果南ちゃんはよく守りたいなんて思ったよね」

千歌「それだけじゃない。彼方ちゃんが死んだ時、果南ちゃんは一緒に更衣室にいた」

千歌「曜ちゃん……じゃないけど。あの子が死んだ時だって、怪我をしたあの子を連れて来たのも、果南ちゃんだった」

千歌「本当は、〇すつもりだったんじゃないの? そうやって、今も誰かを〇そうとしてるんじゃないの?」

果南「……っ」

鞠莉「ねえ千歌。あなた本当にどういうつもり? しばらくぶりに顔を見せたと思ったら、みんなの和を乱すようなことを──」

かすみ「和を乱しているのは果南さんの方じゃないんですか~?」

ダイヤ「そんな言い方……!」

果南「ダイヤも鞠莉も、もういい。そこまでにして」

鞠莉「で、でも……」

果南「でもじゃない」

816: 2019/03/24(日) 20:51:03 ID:.ppW2BkA
果南「みんなを裏切っていたのは事実だし、彼方と曜の件は……違うとは言い切れないし」

果南「信じて貰えるとは、思ってないよ」

歩夢(そう言って果南さんは立ち上がり、食堂を去ろうとする)

ダイヤ「これから、どうなさるつもりなんですか?」

果南「さあね、しばらく部屋に居るよ。お望みなら、誰かさんみたいに縛られてあげる」

果南「でも……いや、何でもない」

歩夢(結局、果南さんは食堂を後にした。最後に何を言おうとしたのかは、結局分からなかった)

璃奈「あ……お魚さんのエサやり、どうしよう(>_<。)?」

せつ菜「私たちで、代わりにやっておきましょう」

歩夢「……そうだね」

歩夢(結局この日は、私たちで魚の世話をすることになった)

817: 2019/03/24(日) 20:51:41 ID:.ppW2BkA
────深夜、歩夢の部屋

歩夢「……」

歩夢(眠れない)

歩夢(モノっちーが就寝アナウンスを流してから、それなりの時間が経っているだろう)

歩夢「……お手洗い、行こ」

歩夢(こういう時は、いっそ顔を洗ってしまおう。そう考えて、私は部屋を出た)

818: 2019/03/24(日) 20:52:18 ID:.ppW2BkA
歩夢「……?」

歩夢(部屋を出てすぐ。誰かが、校舎の方に居たような気がした)

歩夢(静かな筈の廊下に、足音が聞こえたような気がしたのだ)

歩夢「……」

歩夢(何となく気になって、校舎の方へと足を運ぶ)

歩夢(そして────)

819: 2019/03/24(日) 20:52:55 ID:.ppW2BkA
~モノっちー劇場~

電子レンジにトレンチコート、パソコン。

現代の生活に根付いているアイテムだけど、この3つにははある共通点があるんだ。

なんとビックリ、発祥したのは戦争の最中。

戦争で生まれた技術を、民間に転用して浸透したモノなんだ。

このように、技術の大幅な革新には、争いや恐怖が付き物です。

病気が怖いから、その病気に対抗する薬を作る。

ガスマスクのフィルターが余ったから、それをティッシュペーパーとして売り出す。

恐怖によって、人間は進歩するのです。

……ボク? ボクはセイウチだから、既に完成しきってるけどネ!

820: 2019/03/24(日) 20:54:07 ID:.ppW2BkA
────学園生活19日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

せつ菜「……」

せつ菜(昨晩は、あまり眠れませんでした)

せつ菜(果南さんのこと、かすみさんのこと、千歌さんのこと……)

せつ菜(これから、どうなってしまうのでしょう)

せつ菜(……ひとまず、食堂に向かいましょう)

821: 2019/03/24(日) 20:54:57 ID:.ppW2BkA
────食堂

せつ菜「……」

せつ菜(梨子さんの作ってくれた朝食を口にしながら、皆さんを待ちます)

せつ菜(……ですが)

せつ菜「そういえば……歩夢はまだ来ないのでしょうか?」

花丸「というか……いつにも増して集まりが悪いずら」

しずく「それに、なんだかいつもより静かです」

せつ菜「言われてみれば……」

せつ菜(いつもより静かなのは、かすみさんの姿もないせいでしょうか)

せつ菜(歩夢、千歌さん、かすみさん、果南さん。4人が、食堂に姿を見せません)

822: 2019/03/24(日) 20:55:44 ID:.ppW2BkA
梨子「歩夢ちゃんが居ないのは、珍しいわね」

せつ菜「寝坊……なのでしょうか。私、呼んで来ますね!」

ダイヤ「いいえ……そんな場合ではありません」

璃奈「……どうして(・v・)?」

鞠莉「……居ないのよ、部屋に」

せつ菜「居ないって……歩夢が、ですか?」

鞠莉「歩夢だけじゃないわ。果南とかすみも、部屋に居ないのよ!」

せつ菜「なっ……!?」

せつ菜(“何か”が起きている)

せつ菜(みんなの中に、共通の考えが生まれて)

せつ菜(そして、私たちは食堂を飛び出しました)

823: 2019/03/24(日) 20:56:42 ID:.ppW2BkA
「誰か、誰か来てください!」

せつ菜(捜索を続けていると、しずくさんらしき叫び声)

せつ菜(声は……校舎3階の方からです!)


せつ菜「しずくさん、どうしたん、です、っ!?」

しずく「こ、これ……」

花丸「血の……足跡」

せつ菜(それは、ずっと続いている血の足跡)

花丸「この向きだと……向こうから来て、2階に降りようとしていたみたい」

せつ菜「2階に足跡がなかったのは、徐々に足についていた血が薄くなったから……なのでしょうか」

824: 2019/03/24(日) 20:57:48 ID:.ppW2BkA
ダイヤ「では、足跡の主は2階に居ると……?」

鞠莉「とにかく……まずは足跡に沿って行きましょう。血で出来ているということは……」

せつ菜(促されるまま、私たちは足跡の大元……別館の方へと向かいます)


ガチャガチャガチャ!


璃奈「あ、開かない(?□!)!?」

せつ菜(渡り廊下と別館を繋ぐ、木製の扉)

せつ菜(何かがつっかえていて、開かないというのです)

梨子「こ、こういう時ってどうすれば……」

花丸「迂闊に扉をこじ開けたら、校則に引っかかっちゃうずら」

825: 2019/03/24(日) 20:58:28 ID:.ppW2BkA
モノっちー「こういう時は、ボクの出番だネ!」

せつ菜「今はあなたに構っている場合じゃ……」

モノっちー「構ってる場合だよ。オマエらじゃあ、この扉をどうにか出来ないじゃん」

しずく「では、開けて貰えるのですね?」

モノっちー「今回は特別だからネ」

せつ菜(……そう言って、しばらくした後)

モノっちー「お待たせしました。原因は”扉を内側から”カンヌキみたいにしちゃっていたこれだよ」

せつ菜「っ!?」

梨子「ナイフに、血が……」

せつ菜(扉を開けた私たちは、大慌てで中へと入り……)

せつ菜(そして……見てしまいました)

826: 2019/03/24(日) 20:59:55 ID:.ppW2BkA
ピーンポーンパーンポーン



モノっちー『死体が発見されました。一定の捜査時間の後、“学級裁判”を開きます』

モノっちー『オマエら、死体発見現場の別館・水槽広場にお集まりください!』

プツン



青い床の水槽広場に出来た真っ赤な血だまりと。

水槽にもたれ掛かるようにして倒れていた、歩夢の──

827: 2019/03/24(日) 21:00:26 ID:.ppW2BkA
鞠莉「待って!」

せつ菜「えっ……?」

鞠莉「まだ息があるわ。どうやら歩夢は気を失っているだけよ」

せつ菜「で、ですが……」

せつ菜(今の死体発見アナウンスは──と、言いかけて)

せつ菜(何人かの視線が“歩夢が倒れている水槽の中”に向かっていることに気が付きました)

828: 2019/03/24(日) 21:02:34 ID:.ppW2BkA

視線を移すと、その目に飛び込んで来たのは。

水槽の中で、その蒼い髪を海藻のように漂わせた。

《超高校級のダイバー》松浦果南さんの、物言わぬ骸……。

834: 2019/04/15(月) 23:30:27 ID:184n4tKw

     Chapter4

魚と珠、追跡劇  非日常編

835: 2019/04/15(月) 23:31:05 ID:184n4tKw
ダイヤ「果南……さん……?」

せつ菜(驚愕する人)

鞠莉「……っ」

せつ菜(血が出そうなほど、唇を噛み締める人)

しずく「一体、ここで何が……」

せつ菜(困惑する人)

千歌「……ふーん。果南ちゃんが死んだんだ」

せつ菜(そして、何やら意味ありげなことを口にする人)

せつ菜(水槽広場に集まった皆さんの反応は、多種多彩でした)

836: 2019/04/15(月) 23:31:48 ID:184n4tKw
モノっちー「あーあ、死んじまった死んじまった」

モノっちー「念のために言っとくけど、ボクが手を下したワケじゃないからネ? オマエらの中の誰かが〇したんだからネ?」

せつ菜「……」

せつ菜(犯人は私たちの中にいる)

せつ菜(分かってはいましたが、モノっちーの言葉が重くのし掛かります)

モノっちー「というワケで、オマエらへの配布物だよ! The・モノっちーファイル~」

梨子「これで、4度目……」

モノっちー「それじゃあ諸君、学級裁判でお会いしよう。頑張って捜査してくれたまえ!」

モノっちー「うけけ、うけけけけけ……」

鞠莉「やるしか……ないのね」

せつ菜「……っ」

837: 2019/04/15(月) 23:32:27 ID:184n4tKw
捜査開始!

せつ菜(まずは、モノっちーファイルで状況を確認しておきましょう)

『被害者は超高校級のダイバー、松浦果南。死体発見現場は別館3階・水槽広場』

『死亡推定時刻は昨夜0時頃、死体発見は翌7:30過ぎ』

『外傷として腹部を貫いたものと右の肺を貫いたもの、2か所の銃創(撃たれた傷)が存在』

『また、腹部を背中から刃物で刺された傷も存在している』

『死因は射〇であり、直接的な死因となっているのは肺を貫いた方の銃創。毒物・薬物を摂取した形跡はなし』

せつ菜「今回のモノっちーファイルは、やけに詳しいんですね」

花丸「この事件が、一筋縄にはいかないから……かも知れないずら」

せつ菜「ど、どうしてですか?」

花丸「今までは、伏せられていた情報がその事件の大きな鍵だった。けど、今回は何か伏せられているような感じがしない」

花丸「つまり、事件の鍵はもっと別のところにあるのかも知れない。歩夢ちゃんや血の足跡に死因、それ以外にも色々……」

せつ菜「……気張らないといけませんね」

《モノっちーファイル4》のコトダマを入手しました。

838: 2019/04/15(月) 23:33:42 ID:184n4tKw
せつ菜「そういえば、歩夢の様子はどうなのですか?」

梨子「駄目ね。軽く肩を叩いてみたけど、起きる気配はなさそう」

せつ菜「息は……あるんですよね?」

梨子「呼吸はしてるわ。起きない原因は多分……これ」

せつ菜(梨子さんが取り出したのは、手のひらサイズの白い布……)

せつ菜「ハンカチ、でしょうか?」

梨子「歩夢ちゃんのすぐ傍に落ちていたわ。ただこのハンカチ、何か粉みたいなものが付いてたのよ」

せつ菜「粉ですか」

梨子「もしかしたら歩夢ちゃんは、これで眠らされたのかも」

梨子「目立った傷は見当たらないし、それにほら、前回の事件で愛ちゃんもやられてたし……」

839: 2019/04/15(月) 23:34:33 ID:184n4tKw
千歌「彼女のモノっちーファイルでもあれば、それがハッキリしたかもね」

せつ菜「千歌さん、歩夢は死んでなんかいませんよ」

千歌「……」

梨子「ごめんね、せつ菜ちゃん。千歌ちゃん、少し前からずっとああで……」

せつ菜「いえ、いいんです。それよりも気になるのは……」

せつ菜「歩夢は何故ここ(別館)に来たのでしょう?」

梨子「呼び出されたとか、誰かの後をつけたとか……普通に思い浮かぶのはその辺りよね」

せつ菜「何か所持していれば手掛かりになるかと思いましたが……ありませんね、何も」

梨子「誰か目撃証言があればいいんだけど……」

せつ菜「……モノっちーファイルによれば、深夜のようですからね」

《白いハンカチ》《倒れていた歩夢》のコトダマを入手しました。

840: 2019/04/15(月) 23:35:05 ID:184n4tKw
せつ菜「次に調べるべきは……」

せつ菜(やはり、果南さんの死体ですね)

せつ菜(果南さんの死体は、水槽に沈んだままでした)

せつ菜(水槽の水は血で濁り、心なしか魚も苦しそうです)

鞠莉「……引き上げるしか、ないわね」

璃奈「バケツ、持ってきた。お魚さんたち、一旦こっちに(>_<。)」

せつ菜(数分後、果南さんの死体は引き上げられ)

せつ菜(水槽広場に点在する血だまりや足跡を乱さないように、床に横たえられました)

せつ菜(花丸さんが来て、死体の見分を進めて行きます)

せつ菜(……同時に、水槽の隅から、拳銃が見つかりました)

841: 2019/04/15(月) 23:35:57 ID:184n4tKw
せつ菜「拳銃……これって、本物ですよね」

璃奈「モノっちーファイルにも射〇って書いてあったし、これが凶器だと思う(>_<。)」

鞠莉「ベレッタ、拳銃の中では最もpopularな物ね」

鞠莉「どうやら装弾……中に入れられる弾の数が8発のタイプのようだけど」

璃奈「でも……こんなもの、今までどこにも無かったよ(>_<。)?」

鞠莉「犯人は間違いなく、武器庫からこれを調達したのよ」

せつ菜「じゃあ、誰かがあの場所に……」

鞠莉「……かすみを探して来るわ」

璃奈「かすみちゃんを(・v・)?」

鞠莉「彼女は今朝から今に至るまで、私たちの前に姿を見せていない。探し出す必要はあると思うわ」

せつ菜(……そう言って、鞠莉さんは水槽広場を出て行きました)

せつ菜(まるで、やり場のない感情をぶつけるかのように。これ以上、その死体を見たくないと言わんばかりに……)

842: 2019/04/15(月) 23:36:31 ID:184n4tKw
璃奈「……花丸ちゃんの方は、何か分かった(・v・)?」

花丸「うん。気になるところは山積みずら」

花丸「まず、2発の銃弾についてなんだけど……ファイルの通り、どちらも身体を貫通していた」

花丸「ただ、これらの弾は、それぞれ別々の方向から撃たれているずら」

せつ菜「別の、方向?」

花丸「正確に言うと、お腹の方が前から撃たれていて、右肺の方が後ろから撃たれたもの」

花丸「それと、銃を押し当てられた場合に出来る、焦げた跡は見つからなかったよ」

璃奈「焦げた跡がないのに、どうして方向が分かるの(・v・)?」

花丸「えっと……銃弾の種類によって色々変わるから、あまり詳しく話すと長くなっちゃうんだけど」

花丸「拳銃の場合。撃たれて身体の中に入った弾は、中の肉や骨に何度もぶつかる関係で、先端を変形させながら突き進むんだ」

花丸「だから、弾の入り口よりも出口の方がボロボロの傷になる、ということずら」

843: 2019/04/15(月) 23:37:29 ID:184n4tKw
せつ菜「なるほど……勉強になりました」

璃奈「あんまり勉強したい知識じゃないね……(・v・)」

花丸「とにかく、撃たれた方向についてはさっきので間違いないよ」

花丸「……そういえば、その拳銃って弾は何発残ってるずら?」

璃奈「どうやって確認すればいいの(・v・)?」

モノっちー「おおっと。武器の取り扱いは慎重に!」

せつ菜「……急になんですか」

モノっちー「捜査中に誤射でもされて、新たな事件勃発、とかになったら洒落にならないからネ。だから、ボクが中を見せてあげるのさ」

せつ菜(「ほれ」と、モノっちーさんが中のリボルバーを見せてくれました)

せつ菜(8発入れられるというその中に残されていた弾は、6発。つまり、既に撃たれた2発以外は使われていないということでした)

モノっちー「というワケで、危ないから一旦ボクが回収しておくネ。もう一度見たくなったら呼んでくれたまえよ」

《拳銃》《2つの銃創》のコトダマを入手しました。

844: 2019/04/15(月) 23:38:02 ID:184n4tKw
花丸「刃物の刺し傷はあとでもう少し調べるとして……不可解なのは、このピンク色の“何か”ずら」

せつ菜「ピンク色の……?」

せつ菜(果南さんの右のこめかみには、確かにピンク色の“何か”が付着していました)

せつ菜(固まっているのか、触っても取れる気配はありません)

璃奈「インクだね。璃奈ちゃんボードのとは、ちょっと色が違うけど(・v・)」

せつ菜「でも……どうしてインクが付いてるのでしょうか」

花丸「……」

花丸「本当に、複雑怪奇な事件になりそうずらね……」

璃奈「……(・v・)」

花丸「とりあえず、マルは引き続き死体を調べてみるずら。まだ何か分かるかも知れないし」

《こめかみのインク》のコトダマを入手しました。

845: 2019/04/15(月) 23:38:36 ID:184n4tKw
せつ菜「次に調べるべきは……」

璃奈「いっぱいある、足跡とか(・v・)?」

せつ菜「……ですね」

no title


せつ菜「おおよそ、この広場に残されていた足跡はこんな感じでしょうか」

璃奈「脚立に向かってるのと、ここ(水槽広場)から出て行こうとしている物だね(・v・)」

せつ菜「既に足跡は乾いてるとはいえ、誰かが故意に消そうとした形跡もなさそうでしたね」

璃奈「でも……不思議だよね(・v・)」

せつ菜「何がです?」

璃奈「脚立に向かってる方の足跡って、肝心の脚立にはその跡がついてないよ(・v・)?」

せつ菜「言われてみれば……そう、ですね」

璃奈「果南さんは靴を履いたままだし……(・v・)」

《水槽広場の足跡》のコトダマを入手しました。

846: 2019/04/15(月) 23:39:59 ID:184n4tKw
────木の扉付近

しずく「……」

せつ菜「しずくさん、その刃物は……」

しずく「はい。さっき、ここに来る前にモノっちーに渡された物です」


モノっちー『お待たせしました。原因は”扉を内側から”カンヌキみたいにしちゃっていたこれだよ』

せつ菜『っ!?』

梨子『ナイフに、血が……』


せつ菜「モノっちーは、閂にしていたと言っていましたね」

しずく「ここに来て初めて見るナイフですし、かんぬきと言われてもどのような状態だったのか……」

847: 2019/04/15(月) 23:40:39 ID:184n4tKw
モノっちー「呼ばれちゃいないけど、解説に参上!」

せつ菜「……またですか」

モノっちー「内側からカンヌキ、と言われただけじゃピンと来ないかも知れないからネ」

モノっちー「ほら、この扉には血の跡が付いてるでしょ?」

モノっちー「その上で、このサバイバルナイフが掛かっていたんだ」

no title


モノっちー「イメージとしては、ざっくりこんな感じだネ」

しずく「……ちょっと待ってください。この別館には、この扉からしか入ることが出来ないんですよね」

せつ菜「じゃあ、その扉が内側から閉ざされていたということは……」

しずく「密室〇人……!?」

モノっちー「うけけけけけ……学級裁判が待ち遠しくて仕方ないよ」

モノっちー「あそうそう。このナイフも一旦預かっておくからネ。拳銃と同じく、確認したくなったら呼んで頂戴な」

《木製の扉》《サバイバルナイフ》のコトダマを入手しました。

848: 2019/04/15(月) 23:41:11 ID:184n4tKw
────校舎3階

ダイヤ「……血の足跡は、ここで途切れていますわね」

no title


せつ菜「やっぱり、別館の方と比べると随分と掠れています」

ダイヤ「意図的に足跡を繋げる理由はありませんもの」

ダイヤ「とりあえず、私は校舎の方を調べて来ようと思います」

ダイヤ「……鞠莉さんのことも、心配ですから」

せつ菜「かすみさんの件ですか」

ダイヤ「その事もありますが……いえ。今は捜査に集中しましょう」

《校舎3階の足跡》のコトダマを入手しました。

849: 2019/04/15(月) 23:41:55 ID:184n4tKw
────校舎2階・武器庫前

梨子「はぁ……酷い目に遭った」

せつ菜「どうしたんですか、梨子さん」

梨子「見て、せつ菜ちゃん。これ……」

せつ菜(いつもは右側に髪留めを付けている梨子さんでしたが、この時はそれを外していて)

せつ菜(代わりに、果南さんのそれと同じ……ピンク色のインクが付いていたのです)

梨子「実はね。武器庫に入ろうとしたのよ」

せつ菜「ぶ、武器庫に!?」

梨子「拳銃やナイフ、今まで見たことない物だったでしょう? だからきっと、犯人はここから持ち出したんじゃないかと思って」

せつ菜「確かに、誰かが武器庫に入ったってことになりますけど……じゃあ、そのインクは一体?」

850: 2019/04/15(月) 23:44:17 ID:184n4tKw
梨子「以前モノっちーが言ってたでしょう? “ゲーム”をやってもらう必要があるって」

梨子「さっきのことを調べるために入ったら、台座に拳銃が置かれていて……」


梨子『……』

モノっちー『やあ。ようこそ、武器庫へ』

モノっちー『この拳銃はサービスだから、まずゲームに興じて落ち着いて欲しい』

梨子『……落ち着けるワケないじゃない』

モノっちー『というワケで、ここは武器庫に入る前の小部屋みたいなモンだよ』

モノっちー『この先に進むために、ゲームをやってもらうんだけど……』

モノっちー『平たく言えば、ロシアンルーレットってやつだネ』

梨子『ロ、ロシアンルーレット!?』

モノっちー『この拳銃は6発タイプだからさ。横に銃弾置いてるし、頑張ってネ』

851: 2019/04/15(月) 23:45:19 ID:184n4tKw
せつ菜「ロシアンルーレットって……確か、銃に弾を1発入れて、生きるか死ぬかっていう……」

梨子「ええ……肝が冷えたわよ。小部屋から出るにしても、ゲームをやって貰う必要があるって話だったし」

梨子「そして、実弾じゃなかったとはいえ綺麗に6分の1のハズレを引いて……この有様よ」


梨子『何なのこれ、ベタベタする……ペンキ?』

モノっちー『残念、クリアならずでしたネ! 参加賞ということでオマエの電子生徒手帳をアップデートしておきました』

モノっちー『これでこの先の武器庫には入れるようになるよ、やったネ!』

モノっちー『あそうそう。そのインク、丸一日は取れないからネ。大浴場でしっかり洗っておくのをオススメするよ』

モノっちー『まあ、この学級裁判を生き延びたらの話だけど……うけけ』

852: 2019/04/15(月) 23:46:57 ID:184n4tKw
梨子「アップデートとは言われたけど、特に中身は変わってなかった。多分、他人の生徒手帳を調べても分からないようにってことなんだろうけど……」

せつ菜「ちなみに、武器庫の中はどうなっていたんですか?」

梨子「確かに、武器庫と呼ぶに相応しかったわ。拳銃やナイフだけじゃない、ライフルや大きな斧みたいなのもあったし……」

梨子「それから、まだ奥に続く扉もあった。けど、そこに入るにはゲームをクリアした人の電子生徒手帳をかざす必要があるみたい」

梨子「とにかく、武器庫にこれといった収穫はなかった」

梨子「誰かが入った形跡でも分かれば良かったんだけど、武器が山積みだったせいで、何が持って行かれたのかも判らなかったし」

せつ菜(……いえ。これは大きな収穫になる筈です)

せつ菜(その、梨子さんの髪についたインクは……)

《武器庫のゲーム》《梨子の証言》のコトダマを入手しました。

853: 2019/04/15(月) 23:47:33 ID:184n4tKw
────別館1階・低温倉庫前

せつ菜「スイッチが?」

しずく「……はい。両方のスイッチが」

せつ菜(しずくさん曰く。低温倉庫のスイッチが、意図的に破壊されていたようなのです)

せつ菜(ですが……)

せつ菜「でも……動きますよね?」

せつ菜(私が『冷蔵』のスイッチを押してみると、何事もなかったように扉は開きました)

しずく「確かに、階段側のスイッチはそうなんですけど……奥側のスイッチはそうでもなくって」

せつ菜「……動かないんですか?」

せつ菜(しずくさんに連れられて見に行くと、奥のスイッチは更に酷い壊され方をしていました)

せつ菜(何度ボタンを押しても、扉が開くことはなさそうです)

854: 2019/04/15(月) 23:48:23 ID:184n4tKw
せつ菜「確かに……こっちは中のケーブルまで丸見えですね」

しずく「倉庫の中に、何か見られたくない物でもあるのかと思って調べてみたんですけど……何もありませんでした」

しずく「だって、そうでもなければスイッチを壊す必要がないじゃないですか」

しずく「それに、片側だけより丁寧に壊してるような感じがして……」

せつ菜「……」

しずく「……せつ菜さん?」

せつ菜「いえ、しずくさんの話を聞きながら、自分なりに考えてみているのですが……」

せつ菜「……」

《巨大低温倉庫》のコトダマを入手しました。

855: 2019/04/15(月) 23:48:55 ID:184n4tKw
ピーンポーンパーンポーン

モノっちー『えー、えー、本日は絶望なり、本日は絶望なり』

モノっちー『いやあ、絶好の学級裁判日和だネ!』

モノっちー『というワケでオマエら! いつもの赤い門まで集合してください!』

モノっちー『ワックワック、ドッキドッキ……』

プツン


しずく「……始まるみたいですね」

せつ菜「行きましょう」

856: 2019/04/15(月) 23:49:52 ID:184n4tKw
────赤い門の前

せつ菜「……私たちで最後みたいですね」

璃奈「歩夢ちゃんとかすみちゃんは(・v・)?」

梨子「歩夢ちゃんは、さっきモノっちーが運んで行ったわ。多分、一足先に裁判場……」

鞠莉「……かすみは、見つからなかった」

せつ菜「見つからなかった……?」

ダイヤ「彼女の靴は理科室に落ちていたのですが……本人を見つけ出すことは叶いませんでした」

せつ菜(そう言って、ダイヤさんはかすみさんの履いていた靴を見せてくれました)

花丸「……裏に、血が付いてるずらね」

しずく「ですが、彼女はどこへ……」

《かすみの靴》《消えたかすみ》のコトダマを入手しました。

せつ菜(結局、かすみさんが姿を現すことはないまま、エレベーターは口を開け)

せつ菜(ここに居る全員が乗り込むと、その口が閉じて……)

857: 2019/04/15(月) 23:50:32 ID:184n4tKw
せつ菜(下降するエレベーター。さながら、食べたモノが食道を通って、胃袋へと向かうような……)

せつ菜(だとしたら、胃袋は裁判場といったところでしょうか)

せつ菜(そんなことを考えていると、不意に背後から声を掛けられました)

千歌「──超高校級の歌姫」

せつ菜「……えっ?」

せつ菜(千歌さんの声はかなり小さく、他の皆さんに聞こえている様子ではありませんでした)

千歌「それが、あなたのお友達の才能」

せつ菜「ど、どういうことで……」

千歌「……」

せつ菜(それ以上何も話すつもりはない、と言った感じで、千歌さんはそっぽを向いてしまいました)

せつ菜(そうこうしている内に、エレベータが停止して──)

858: 2019/04/15(月) 23:51:38 ID:184n4tKw
────地下???階・裁判場

モノっちー「一周まわって、模様替えをしないというのもオツなもんだよネ」

モノっちー「とはいえ、何も変化しないのは寂しいもんだし、照明の色を変えてみたんだ」

モノっちー「これだけで、あっという間に海原から深海へ早変わり……いやぁ、楽な仕事だ」

花丸「なんだか、広くなったように感じるずら……」

しずく「それだけ……私たちの人数が減ってしまったということですよね」

せつ菜(梨子さんが言っていた通り、歩夢の姿はありました)

せつ菜(保健室のそれとよく似たベッドに寝かされて、今も目を覚まさないようです)

せつ菜(そして、肝心のかすみさんの席には……)

859: 2019/04/15(月) 23:52:11 ID:184n4tKw
せつ菜「?マークの……遺影?」

モノっちー「だってぇ、行方不明だなんて面白いことになってるんだもん」

モノっちー「彼女の行方や生死は、オマエらがまだ知らない情報」

モノっちー「というワケで、あえて伏せてみることにしたんだ」

鞠莉「……っ」

モノっちー「じゃあ、心の準備は済ませた? トイレ行った? 泉でセーブした?」

モノっちー「オマエら、自分の席に着いてくださーい!」

860: 2019/04/15(月) 23:53:23 ID:184n4tKw
せつ菜(始まります。これが……4度目の学級裁判)

せつ菜(《超高校級のダイバー》松浦果南さん……)

せつ菜(彼女は、モノっちーと内通していた裏切り者でした)

せつ菜(けれども、裏切り者になった理由は、私たちを守るため)

せつ菜(彼女は彼女なりに、苦悩していたのです)

せつ菜(そんな果南さんを〇し、大好きだった魚の中に沈めた犯人が……私たちの中に居ます)

せつ菜(裏切り者だったから、などという言い訳は通じません)

せつ菜(何故、犯人は歩夢を襲ったのか。かすみさんは、何処へ消えたのか)

せつ菜(たとえこの先にある物が希望か絶望、或いはもっと恐ろしい何かだとしても)

せつ菜(歩夢に代わって、私が導くしかないのです)

せつ菜(各人各様の思惑が蠢く、この学級裁判を──!)

861: 2019/04/15(月) 23:54:44 ID:184n4tKw
~学級裁判準備~
意識不明の上原歩夢、行方不明の中須かすみ。そして、犯人不明の松浦果南〇し。
裏切り者と称された彼女を〇した犯人は誰なのか? 議論の向こうで待つ真実とは?
倒れた歩夢に代わって、優木せつ菜が出す結論とは──?

コトダマリスト
《モノっちーファイル4》
被害者は松浦果南。死亡推定時刻は昨夜0時頃で死体発見は翌7:30過ぎ。
腹部と右の肺、2か所の銃創が存在。また、腹部を背中から刃物で刺された傷もある。
死因は射〇であり、直接的な死因となっているのは肺を貫いた方の銃創。毒物・薬物を摂取した形跡はなし。

《白いハンカチ》
倒れていた歩夢の傍に落ちていた物。
白い粉が付着している。

《倒れていた歩夢》
外傷は見当たらないが、何らかの要因により気を失っている。
果南の死体が入っていた水槽にもたれ掛かっていた。

《拳銃》
水槽の隅に落ちていた、ベレッタと呼ばれる拳銃。
弾は8発装填が可能で、6発が残されていた。

862: 2019/04/15(月) 23:55:49 ID:184n4tKw
《2つの銃創》
腹部の銃創は前から、右肺の銃創は後ろから撃たれたもの。
また、焦げた跡は見つからなかった。

《こめかみのインク》
果南の右こめかみに付着していた、ピンク色のインク。

《水槽広場の足跡》
no title

脚立に向かっているものと、水槽広場から出て行くものの2種類がある。
また、脚立に足跡はなかった。

《木製の扉》
no title

事件当時、内側からサバイバルナイフで鍵が掛けられていた。
また、弧を描くように血の跡が付いていた。

《サバイバルナイフ》
刃の部分に血のついたサバイバルナイフ。
しずく曰く、この形状の刃物は初めて見るものらしい。

《校舎3階の足跡》
no title

徐々に足跡が掠れて薄くなり、校舎2階への階段付近で途切れている。

863: 2019/04/15(月) 23:56:21 ID:184n4tKw
《武器庫のゲーム》
武器庫に入るために、手前の小部屋でやる必要があるロシアンルーレット。
失敗しても、しばらく取れないインクが付着するだけ。
参加賞として、武器庫に入れるよう電子生徒手帳がアップデートされる。

《梨子の証言》
武器庫の中は大量の武器が保管されており、来訪者の形跡は見つけられなかった。
また、奥にも更に扉があったが、ゲームをクリアした人でないと入れなかったらしい。

《巨大低温倉庫》
入り口のスイッチが破壊されているが、階段側のスイッチは稼働していた。
そのため、冷蔵室・冷凍室共に入ることが可能。
中に事件と関連する物はなかった。

《かすみの靴》
かすみが日常的に履いていた靴。
裏には血が付いており、理科室で見つかった。

《消えたかすみ》
鞠莉とダイヤが探し回ったが、かすみは見つからなかった。

867: 2019/05/28(火) 01:15:34 ID:RJLLMdhM

 学 級 裁 判 
  開   廷!

868: 2019/05/28(火) 01:16:37 ID:RJLLMdhM
モノっちー「まずは学級裁判の簡単な説明を行いましょう」

モノっちー「学級裁判では“誰がクロか”を議論し、最終的に投票で全てを決定します」

モノっちー「正しいクロをオマエらの過半数が指摘出来れば、クロだけがオシオキ」

モノっちー「不正解だった場合は、クロは卒業、残ったシロは全員オシオキです!」

モノっちー「ちなみに、ちゃんと誰かに投票してネ。投票を放棄した人もオシオキだからネ?」

モノっちー「さてさて、裏切り者を〇した犯人は誰なんでしょうネ~。気になる~♪」

鞠莉「……果南は、確かに内通者だったのかも知れない。私たちを騙していたのかも知れない」

鞠莉「けれども、〇されていい理由はなかった。それだけは確かよ」

ダイヤ「ええ。果南さん、あなたの仇は必ず……」

869: 2019/05/28(火) 01:17:26 ID:RJLLMdhM
ダイヤ「とは言ったものの、まず何について話し合うべきか……」

花丸「今回の事件は、とにかくいろんな出来事が起き過ぎているずら」

花丸「被害者である果南さんのこと、襲われた歩夢ちゃんのこと、消えたかすみちゃんのこと」

花丸「それから足跡、現場の密室、凶器……大まかに分けても、これだけあるんだ」

璃奈「とっても、複雑(>_<。)」

しずく「あ、あの……低温倉庫は事件に関係ないのでしょうか?」

花丸「ずら?」

しずく「低温倉庫のスイッチが、壊されていたんです。壊されていたこと以外、手掛かりはありませんけど……」

花丸「じゃあ、そのことも視野に入れておくずら。だから……全部で7点」

梨子「順序良く整理していかないと、頭が混乱しちゃいそうね」

870: 2019/05/28(火) 01:18:16 ID:RJLLMdhM
せつ菜「じゃあ、いま挙がった7点のどれかから議論していくということになりますね」

千歌「……でもさぁ。その前にハッキリさせておくべきことがあると思うんだけど」

鞠莉「何かしら」

千歌「忘れてない? 果南ちゃんが自〇だっていう可能性」

璃奈「自〇……(・v・)?」

千歌「やれ密室だ、やれ足跡だ。そういった謎の前にさ、そもそも自〇の可能性を考えないの?」

鞠莉「あのねえ千歌っち。果南はそんなこと──」

千歌「ないって言い切れるの?」

鞠莉「っ……」

871: 2019/05/28(火) 01:18:49 ID:RJLLMdhM
【ノンストップ議論 開始!】
[|白いハンカチ>
[|拳銃>
[|水槽広場の足跡>
[|サバイバルナイフ>

千歌「果南ちゃんは《自〇だった》んだよ」

鞠莉「果南は自〇なんかしないわ!」

千歌「裏切り者だったから。5日以内に事件が起きないと、皆〇しになるから」

しずく「それが動機で、自ら……?」

梨子「だったら、歩夢ちゃんやかすみちゃんは一体……?」

千歌「それは今考えることじゃないよ」

千歌「果南ちゃんは自分で致命傷を受けたあと【脚立を上って】水槽の中に入った……」

千歌「何も反論がないなら、これが事件の答えだよ」

せつ菜(果南さんは自〇なのかどうか……まずは、それをハッキリさせないといけませんね)

872: 2019/05/28(火) 01:19:32 ID:RJLLMdhM
[|水槽広場の足跡>→【脚立を上って】

せつ菜「それは違います!」

Break!

せつ菜「千歌さん。少なくとも、果南さんが脚立を上ったということはあり得ないんです」

千歌「その理由は?」

せつ菜「あの広場には大きな血だまりがありました。果南さんが致命傷を負ったのも、そこなのでしょう」

せつ菜「現に、脚立まで向かう血の足跡がありましたし」

千歌「そうだろうね」

せつ菜「ですがその足跡は“脚立にはなかった”んです。拭き取った跡もありませんでした」

せつ菜「果南さんは靴を履いたまま死んでいました。そうなると、あの足跡は不自然です」

千歌「だったら、脚立を使わずに直接水槽に入ったんだよ。よじ登ってさ」

しずく「それは不可能です。あの水槽は脚立なしに上れる高さではありません」

璃奈「果南さんでも、脚立を使わずに上るのは無理なんじゃないかな(・v・)」

873: 2019/05/28(火) 01:20:14 ID:RJLLMdhM
千歌「なるほどね。足跡のお陰で説明がつけられない、か」

せつ菜「ええ。やはり、果南さんが自〇だとは──」

千歌「……それは違うよ」

反論!

千歌「残念だけど、その推理にはまだ穴があるんだ」

せつ菜「……?」

千歌「せつ菜ちゃんは、歩夢ちゃんの代わりに議論を動かそうとしてるみたいだけど……」

千歌「本当に歩夢ちゃんの代わりなんて務まるのか……勝負してもらうよ」

せつ菜「し、勝負って……」

千歌「このくらいの反論なら、打ち破ってくれないとね……!」

874: 2019/05/28(火) 01:20:55 ID:RJLLMdhM
【反論ショーダウン 開始!】
[|白いハンカチ>
[|拳銃>
[|木製の扉>
[|サバイバルナイフ>

千歌「事件当時、現場は密室だった……それくらい知ってるよね」

千歌「しかもその密室は、ドアの鍵じゃなくてナイフのせい……」

千歌「だったら、別館の中にいた人にしかこの密室は作れないよね?」

千歌「それとも、歩夢ちゃんが犯人なんて言うつもり?」

─発展─
まだ議論されていないだけで……
   外から鍵を掛ける方法はあるかも知れません!

千歌「確かに、面白い発想だけど……」

千歌「それをやったという証拠は【どこにもない】よね?」

千歌「結局、ただの想像でしかないんだよ」

せつ菜(いいえ、きちんとあった筈です。外から鍵を掛けた可能性を示す物が……!)

875: 2019/05/28(火) 01:21:37 ID:RJLLMdhM
[|木製の扉>→【どこにもない】

せつ菜「その言葉、斬ってみせます!」

Break!

せつ菜「扉の内側に付いていた血の跡……千歌さんは見ましたか?」

千歌「見てるよ。弧を描いてたね」

せつ菜「だったら気づいてるんじゃないですか? あれは、ナイフを動かした時に付いたもの血なのではないか、と」

千歌「……」

鞠莉「普通にナイフを掛けるだけなら、扉の側面に血が付くことはないわ」

鞠莉「恐らく取っ手の部分にナイフを立てておいて……何らかの方法で、それを倒した」

しずく「その時にナイフが扉を擦ったせいで、血の跡が残ったんですね」

せつ菜「当然、それをやった方法についてはこれから議論する必要はありますが……」

876: 2019/05/28(火) 01:22:35 ID:RJLLMdhM
鞠莉「どう千歌っち。これでもまだ、果南が自〇だと言うつもり?」

千歌「まだ反論は出来るけど……いいよ。自〇じゃないって前提で話を進めようか」

千歌「ついでに、手掛かりになるかも知れないから教えてあげるよ。なんで自〇かも知れないって思ったか」

千歌「ね、梨子ちゃん」

梨子「私!?」

千歌「だってそうでしょ? そのインク、武器庫を調べた時についたんじゃないの?」

ダイヤ「そういえば、果南さんのこめかみにも同じような物が付いていましたわね。一体何ですの?」

梨子「えっと……捜査の時に、武器庫に行ったんだけど……」

璃奈「あ、あの部屋に入っちゃったの……(>_<。)?」

梨子「捜査のためだもの。今まで見た事もない凶器が出て来ちゃったし、手掛かりがないかなーって」

花丸「それで、調べるために入ったずらね」

877: 2019/05/28(火) 01:23:30 ID:RJLLMdhM
梨子「中は小部屋で、いきなりゲームが始まるんだもの。しかも、ロシアンルーレットだって言われて」

鞠莉「随分と物騒なことをさせるのね」

梨子「拒否権もなかったから、仕方なく。といっても、実はその弾はペイント弾のようなものだったのよね」

ダイヤ「ということは、そのインクは……」

梨子「ええ、ハズレを引いちゃってベトベトなのよ。丸一日取れないらしいし……」

せつ菜「それで、参加賞として梨子さんの電子生徒手帳がアップデートされたんでしたね」

梨子「そうね。小部屋の奥……武器庫に入れるようになっていたわ」

梨子「けど武器庫には手掛かりになりそうな物はなかったし、その奥にも扉があったのよね……」

鞠莉「ゲームをクリアした人は、更に奥の部屋にも行けるようになる……そんなところかしらね」

千歌「そうだよ。でも、これで分かったでしょ? なんで自〇だって思ったのか」

せつ菜(千歌さんが自〇を疑った理由、それは……)

【果南が武器庫に入ることが可能だったから】
【梨子が武器庫に入ることが可能だったから】
【歩夢が武器庫に入ることが可能だったから】

正しい選択肢を選べ!

878: 2019/05/28(火) 01:24:09 ID:RJLLMdhM
→【果南が武器庫に入ることが可能だったから】

せつ菜「果南さんが、ロシアンルーレットに参加していたから……」

せつ菜「何より、果南さんが武器庫に入る権利を手にしていたから、ってことですよね……」

千歌「うん。果南ちゃんは、武器庫からナイフや拳銃を持ち出すことが出来る状態だった」

ダイヤ「だから、それを使って自〇した可能性を疑え、ということだったのですね」

千歌「そういうことだよ」

千歌「武器を取り出せたのが1人しかいない、しかもその人は死んでいる。だったら果南ちゃん本人を疑うのは悪くないでしょ?」

千歌「でも驚きだよね。鞠莉ちゃんなんて、特に果南ちゃんのことを信じているようだったけど……」

千歌「その果南ちゃん自身が、武器庫に行ってたなんてさ」

鞠莉「……」

879: 2019/05/28(火) 01:25:07 ID:RJLLMdhM
せつ菜「いえ、待ってください」

千歌「ん?」

せつ菜「少なくとも、武器庫に入ることが出来た人はもう1人いた筈です」

花丸「だ、誰のことずら?」

しずく「もしかして、かすみさんでしょうか」

しずく「果南さんを〇して、今も姿を隠しているのでは……」

鞠莉「そう思いたいところだけど、まだ何とも言えないわ」

梨子「かすみちゃんの額にインクが付いているかどうかは、本人が出てこない限り分からないものね」

千歌「けど、せつ菜ちゃんがそこまで言うからには、きちんと根拠はあるんだよね」

千歌「教えてよ。武器庫に行ったのが、誰なのか……」

せつ菜「……」

せつ菜(その人物は、あのゲームに参加していないと得られない“ある情報”を知っていました)

せつ菜(つまり、武器庫に行ったもう1人の人物は──)

【怪しい人物を指名しろ!】

880: 2019/05/28(火) 01:26:35 ID:RJLLMdhM
→【高海千歌】

せつ菜「千歌さん……ですよね。あなたは、武器庫のゲームをやっている筈です」

千歌「……」

ダイヤ「ですが、千歌さんの身体にはインクなど付いていませんよ? 丸一日取れないと、先程梨子さんが証言したじゃないですか」

せつ菜「ダイヤさん、それはロシアンルーレットに失敗した場合です」

花丸「じゃあ千歌ちゃんは……ゲームをクリアしたずら!?」

せつ菜「ええ。でなければ千歌さんは、あんなことを知っている筈がありませんから」

璃奈「あんなこと、って……(・v・)?」

せつ菜「ゲームのクリア特典を思い出して貰えれば分かることなんですが……」

せつ菜(そうです、千歌さんが知っていた情報とは……)

【閃きアナグラム 開始!】

さ む い あ の う ゆ の (ダミー無)

881: 2019/05/28(火) 01:27:10 ID:RJLLMdhM
→【あゆむのさいのう(歩夢の才能)】

せつ菜「千歌さん、エレベーターで言ってましたよね」


千歌『──超高校級の歌姫』

せつ菜『……えっ?』

千歌『それが、あなたのお友達の才能』

せつ菜『ど、どういうことで……』

千歌『……』


梨子「超高校級の、歌姫……」

せつ菜「幼馴染の私が、何より本人が忘れていた歩夢の才能」

せつ菜「どうして千歌さんが知っていたんですか?」

梨子「そっか。ゲームのクリア特典は確か……」

882: 2019/05/28(火) 01:28:29 ID:RJLLMdhM
モノっちー『そう。オマエと、ここに居ない引き籠りさんは、自分の才能すら覚えていないでしょう?』

モノっちー『そのプロフィールには、ちゃ~んと載ってるんだよ。オマエらがどの分野における超高校級だったかが、ネ』


梨子「私たちの、本来あるべきプロフィール!」

せつ菜「そうです。私たちはともかく、千歌さんと歩夢はそのプロフィールを見ないと才能が分からない筈なんです」

せつ菜「だとしたら、それを知っているのは……」

ダイヤ「どうなんですか、千歌さん」

千歌「うん、私は武器庫に入れるよ。あのロシアンルーレットをクリアしたからね」

しずく「あっさり認めるんですね」

千歌「隠すつもりはなかったよ。ただ、聞かれると面倒だなーって」

花丸「それは隠してるって言うんじゃ……」

千歌「あれ、もしかして私疑われてる?」

梨子「どう見てもそうでしょ」

883: 2019/05/28(火) 01:30:08 ID:RJLLMdhM
千歌「あはは……やだなあ。武器庫に入れたからって、武器庫から何かを持って行ったってことにはならないでしょ?」

千歌「それに、私が犯人だとしたら……次に私はこう言うよ?」

千歌「現場に残された謎の説明が付いてない、ってね」

せつ菜「そ、それは……」

千歌「今までがそうだったでしょ? 犯人だって言われても、謎が解かれてなければ幾らでも言い逃れ出来ちゃう」

千歌「ここはそういう場なんだ。それが学級裁判なんだよ」

鞠莉「モノっちーみたいなことばかり言うのね。どういう魂胆なのかは知らないけど」

ダイヤ「鞠莉さん、いちいち構っていても仕方ありませんわ」

鞠莉「……そうね。話を戻しましょう」

せつ菜「現時点でハッキリしているのは……果南さんと千歌さんが武器庫に入った、ということだけですね」

884: 2019/05/28(火) 01:31:15 ID:RJLLMdhM
璃奈「手掛かりはいっぱいあるけれど、全然繋がらないね(>_<。)」

花丸「歩夢ちゃんに話を聞ければいいんだけど、まだ起きないし……」

しずく「こういう時、かすみさんが居れば……と、ちょっとだけ考えちゃいますね」

せつ菜「かすみさんが……?」

しずく「確かに、場を引っ掻き回すことは多かったですし、良くないことや取り返しのつかないこともされましたけど……」

しずく「かすみさんのお陰で、議論が止まらず進んでいたような気がするんです」

せつ菜「……」

せつ菜「ですが、ここにはかすみさんは居ません」

璃奈「どこに行っちゃったんだろうね……(・v・)」

せつ菜(かすみさんの行方……)

せつ菜(果たして、手掛かりはあるのでしょうか?)

885: 2019/05/28(火) 01:32:25 ID:RJLLMdhM
【ノンストップ議論 開始!】
[|水槽広場の足跡>
[|校舎3階の足跡>
[|武器庫のゲーム>
[|かすみの靴>

梨子「かすみちゃんはどこに行っちゃったのかしら……」

璃奈「水槽広場から出て行く足跡があったよね(・v・)」

しずく「足跡は校舎3階まで続いていました」

ダイヤ「彼女の靴は【理科室に落ちて】いましたが……そこには居ませんでした」

花丸「校舎にも学生寮にも居なかったんだよね?」

鞠莉「そうね。別館も確認したけど、見つかりっこなかった」

鞠莉「ただ、武器庫の奥の部屋は探せていないわ」

鞠莉「だから【あの部屋に隠れている】可能性はある」

梨子「じゃあ、広場の足跡は……」

花丸「全部【偽装】……ってことになるずらね」

せつ菜(武器庫の奥にかすみさんが隠れている……。本当に、正しいのでしょうか?)

886: 2019/05/28(火) 01:33:31 ID:RJLLMdhM
[|武器庫のゲーム>→【あの部屋に隠れている】

せつ菜「それは違います!」

Break!

せつ菜「やっぱり、武器庫の奥の部屋に隠れている可能性はないんじゃないでしょうか」

鞠莉「でも、その部屋以外に探せていない場所はないわよ?」

せつ菜「それでも、あり得ないんです。武器庫のある“ルール”のせいで……」

鞠莉「ルール?」

せつ菜「以前、モノっちーはこう言っていたんです」


モノっちー『冗談はさておき。間違って入るのを防止するために、この扉はちょっとしたロックが掛かってるんだ』

モノっちー『その機械に電子生徒手帳をかざしてくれれば、すぐに入ることが出来るよ』

モノっちー『ただし、一度入ったらゲームが終わるまで出られないし、誰かが入っている間は他の人が入ることが出来ません』

モノっちー『気になるあのコに、先を越されないようにネ!』

887: 2019/05/28(火) 01:34:27 ID:RJLLMdhM
せつ菜「“誰かが入っている間は他の人が入ることは出来ない”。そう言っていたんです」

しずく「けど、梨子さんは捜査中に入ってましたよね?」

せつ菜「そうなんですよ。つまり、武器庫には誰も隠れていなかった……ということになります」

鞠莉「……じゃあ、私の間違いだったってワケね」

千歌「本当にそうかなあ?」

せつ菜(……えっ?)

千歌「良い線は行ってると思うよ。ただ、情報が足りていなかっただけでさ」

鞠莉「何が言いたいのかしら」

千歌「私は武器庫から更に奥の部屋に行く権利を持ってるんだよ? だったら、私に訊いてくれたっていいじゃない」

ダイヤ「では、あなたはかすみさんの行方に心当たりがあるんですね」

千歌「ある、って言ったら?」

888: 2019/05/28(火) 01:35:04 ID:RJLLMdhM
せつ菜「なっ……!?」

梨子「それは本当なの!?」

千歌「うん。けど、みんなに話す前に……しずくちゃんに訊いておきたいんだ」

しずく「な、何でしょう」

千歌「裁判が始まった時、低温倉庫のスイッチが壊されてたって言ってたよね」

しずく「そうですけど……」

千歌「それって、倉庫の中にも入れないの?」

しずく「いえ、入ることは可能でした。何も……ありませんでしたけど」

璃奈「壊されてたのに入れたの(・v・)?」

しずく「それが……少し、不思議なことに……」

889: 2019/05/28(火) 01:35:53 ID:RJLLMdhM
no title


しずく「どちらのスイッチも壊されていたのですが、このように、階段側のスイッチは動いたんです」

千歌「それって冷蔵・冷凍・開・閉の4つ全て?」

しずく「そうですね。多分、犯人も焦っていたんじゃないでしょうか」

璃奈「どうしてそう思うの(・v・)?」

しずく「奥側のスイッチは、中のケーブルが見えるくらい丁寧に壊されていたんです。けれども、階段側はそうでもありませんし」

しずく「きっと犯人は、やらなければいけないことが多くて、慌ててスイッチを壊したのだと思うんです」

せつ菜「確かに……今回の犯人は、かなりの偽装工作を行なっているみたいですからね」

梨子「どれかが適当になっても、仕方ないわね」

鞠莉「本当に、そうなのかしら」

せつ菜「どういうことですか、鞠莉さん?」

890: 2019/05/28(火) 01:37:01 ID:RJLLMdhM
鞠莉「倉庫には何もなかったんでしょう? だったら、犯人にとってもスイッチを壊すメリットが見当たらないじゃない」

鞠莉「これじゃあまるで、低温倉庫を調べてくれと言っているようなものよ」

花丸「怪しそうな場所を調べた上で、何もないと思わせる。それこそが犯人の狙いなんじゃないか……ってことずらね?」

鞠莉「そういうこと。何より、かすみの行方を知ってる千歌っちがわざわざ倉庫に言及したのよ?」

ダイヤ「本当に何もない……というワケではなさそうですわね」

千歌「目ざといね。でも、大体そうだよ」

千歌「ゲームのクリア特典として、私は低温倉庫に隠された“ある秘密”を知ったんだ」

璃奈「秘密……(・v・)?」

千歌「武器庫の奥にまだ部屋があるって話はさっきしたよね。捜査の時、梨子ちゃんが来る前に立ち寄ったんだけど……」

千歌「そこで、奇妙な物を見たんだ」

せつ菜「奇妙な物って……何なんです?」

891: 2019/05/28(火) 01:37:54 ID:RJLLMdhM
千歌「低温倉庫について、少しまとめておこうよ」

千歌「その方が、奇妙だってことがよく分かるだろうしね」

しずく「確か……部屋が2つあったんですよね?」

せつ菜「最初は、冷蔵と冷凍、それぞれのボタンで中の温度が変わっているのかと思いましたが……」

鞠莉「冷蔵倉庫と冷凍倉庫。実際は、2つの部屋がスイッチで入れ替わっていた」

鞠莉「そのことは既に、電子生徒手帳を使って実験したわ。当然2つの倉庫も調べたけど……やっぱり、かすみは居なかった」

ダイヤ「これ以上、何かあると言うのですか?」

千歌「大ありだよ。武器庫の奥の部屋で私が見た物とは、大きく矛盾しているからね」

梨子「もう、勿体ぶらないで早く話して!」

千歌「はいはい、分かったよ」

892: 2019/05/28(火) 01:38:35 ID:RJLLMdhM
千歌「その部屋には、モニターが幾つかあったんだ。捜査を続けるみんなの様子が、リアルタイムで映し出されていたんだよ」

せつ菜「それって……監視カメラということですか?」

千歌「うん。といっても映像は別館の中だけで、校舎や学生寮は映ってなかったよ」

モノっちー「まあ、別館の映像は一旦全てその部屋に集められるからネ」

千歌「それで、私はモニターを何となく見てたんだけど……。実際、みんなにも見て貰った方が早いかもね」

千歌「おあつらえ向きに、その部屋にはデジカメが置いてあったからさ」

花丸「撮影したの?」

千歌「まあね。ほら、これだよ」

せつ菜(薄気味悪い笑みを浮かべながら……千歌さんは私たちにある画像を見せつけました)

893: 2019/05/28(火) 01:39:12 ID:RJLLMdhM
梨子「っ……」

しずく「そんな……」

鞠莉「……」

せつ菜(見せられたのは、低温倉庫の中を映している写真でした)

せつ菜(ただ……倉庫のど真ん中で倒れている“何か”が、私たちの目を引きます)

せつ菜(それは、私たちが先程まで議論の槍玉に上げていた、行方不明だと騒いでいた──)

せつ菜「かすみ、さん……」

千歌「ね、不思議でしょ?」

璃奈「合成……じゃないんだよね(?□!)」

千歌「当たり前でしょ? このデジカメには、編集機能なんてないよ」

千歌「つまり、私が言いたいことはさ」

千歌「低温倉庫の構造が、さっきまでみんなが考えていたような物だとすると……辻褄が合わないんだよ」

千歌「この写真と『2つの倉庫にも、かすみちゃんの姿はなかった』って証言がさ」

894: 2019/05/28(火) 01:39:59 ID:RJLLMdhM
璃奈「ここに来て、また謎が増えた(?□!)」

梨子「というか、写真のかすみちゃんは生きてるの? それとも……」

花丸「確か鞠莉ちゃんはマイナス18℃って言ってたずら。そんな寒いところで寝たら、本当に死ぬずらよ……」

しずく「いえ、写真が冷蔵倉庫なら室温は0℃前後だった筈です。何か防寒対策をすれば……かすみさん、身体に何かを巻いているようですし」

せつ菜「……」

せつ菜「やはり、かすみさんはもう死んでいると思います」

ダイヤ「それは、根拠があってのことですね?」

せつ菜「……ええ。さっきは触れられなかった、倉庫に関するもう1つの特徴を思い出して欲しいんです」

せつ菜(かすみさんが死んでいると分かる根拠、それは……)

【生鮮食品が収納されている】
【人がいるとスイッチが反応しない】
【自動ドアである】

正しい選択肢を選べ!

895: 2019/05/28(火) 01:40:44 ID:RJLLMdhM
→【人がいるとスイッチが反応しない】

せつ菜「あの倉庫は、中に人がいると扉が閉まらない……でしたよね?」

しずく「あ……そういえば!」

花丸「閉じ込められることを防ぐためじゃないか、って言ってたずらね」

鞠莉「そもそも、倉庫の中にはスイッチなんてなかった。中に隠れるのは不可能よ」

せつ菜「となると……見えてくる答えは、ただ一つなんです」

せつ菜「かすみさんは既に死んでいて……それを倉庫まで運んだ人がいる」

「「……」」

せつ菜(痛いほどの沈黙。この事件が自〇などでは終わらないのだと、改めて実感してしまいます)

せつ菜(それでも、私は……)

896: 2019/05/28(火) 01:41:20 ID:RJLLMdhM
しずく「あの……結局、かすみさんが身体に巻いてるものは何なんでしょう?」

千歌「私もモニター越しだったからハッキリとは言えないけど、多分ガムテープだと思うよ」

しずく「確かに、それっぽい色には見えますけど……どうしてガムテープが?」

せつ菜「もしかしたら……血を垂れ流さないため、だったのかも知れません」

璃奈「血を(・v・)?」

せつ菜「恐らく、血の足跡の方に目を向けさせるためです」

せつ菜「血の足跡で現場を偽装したからといって、かすみさんの死体を運ぶ時に血が点々と垂れてしまっては、意味がありませんからね」

ダイヤ「水槽広場から倉庫まで、結構な距離がありますからね……」

せつ菜「ええ。きっと犯人も、かすみさんの刺し傷から血が垂れないように工夫する必要が──」

梨子「そのノイズを消してあげる!」

反論!

梨子「ちょっと待ってせつ菜ちゃん。かすみちゃんのモノっちーファイルはまだ配られてないわよ」

梨子「だったら、まだ刺し傷とは断定出来ないんじゃない?」

897: 2019/05/28(火) 01:42:11 ID:RJLLMdhM
【反論ショーダウン 開始!】
[|拳銃>
[|こめかみのインク>
[|サバイバルナイフ>
[|武器庫のゲーム>

梨子「かすみちゃんの死体は、今となっては確認しようがない」

梨子「つまり、致命傷がなんなのかは分からない筈よ」

梨子「死因が刺し傷以外の可能性もあるんじゃないかしら?」

─発展─
現場にはナイフが落ちていました
  あれを使った可能性は非常に高いです
    そもそも、血が垂れないよう工夫している時点で
      彼女の死因は限られる筈ですよ

梨子「でも、現場には拳銃も落ちていたでしょ?」

梨子「銃〇だって【十分に出血する】わ」

梨子「【それが死因の可能性】もある以上……」

梨子「ナイフだと言い切れるせつ菜ちゃんが怪しくなっちゃうのよ」

せつ菜(どうやら、説明の前に言い切ってしまったことが梨子さんに引っ掛かってしまったようです)

せつ菜(だったら、しっかりとした根拠を提示するしかありませんね)

898: 2019/05/28(火) 01:42:50 ID:RJLLMdhM
[|拳銃>→【それが死因の可能性】

せつ菜「その言葉、斬ってみせます!」

Break!

せつ菜「梨子さん。少なくとも、かすみさんがあの拳銃で撃たれたということはあり得ないんです」

梨子「……どうして?」

せつ菜「果南さんの身体は、2発の銃弾に貫かれていました。捜査の時に凶器の拳銃を確認したんですが……」

せつ菜「装填出来る弾は8発、残っていた弾は6発。つまり、使われた弾は2発だけなんです!」

モノっちー「ちなみに、銃弾というモノは一般的に使い回しが出来ません」

モノっちー「発射すると必ず変形してしまう銃弾は、もうその銃に再装填することは不可能なのです」

せつ菜「と、いうことだそうです」

梨子「……分かったわ。疑ってごめんなさいね」

せつ菜「い、いえ! 大丈夫ですよ」

899: 2019/05/28(火) 01:43:34 ID:RJLLMdhM
千歌「2人とも、もういい? いい加減話を戻したいんだけど」

ダイヤ「倉庫そのものについての話がまだでしたわね」

しずく「ですが……私には幻を見ているとしか思えません」

しずく「だって、確かに倉庫の中は探したんですよ? それなのに、あんなに分かりやすいところに……」

千歌「これ以上は自分たちで考えようよ。みんなには十分ヒントを出したと思うんだけどなー」

璃奈「ヒントじゃなくて、答えを出して(`∧´)」

千歌「さっきも言ったでしょ、これは学級裁判なんだから。いきなり答えじゃつまらないじゃん」

花丸「何となく分かるような……分からないような……。機械について勉強しておくべきだったずら……」ブツブツ

千歌「ちなみに……倉庫を映していたモニターは、1部屋につき1個だったよ」

ダイヤ「それは当然でしょう。監視カメラの映像を映しているのですから……」

せつ菜(今のも、低温倉庫の構造に関するヒントなのでしょうね)

せつ菜(写真、モニター、スイッチ……全てが繋がる推理をすれば、きっと答えを出せる筈です!)

900: 2019/05/28(火) 01:44:15 ID:RJLLMdhM
【ロジカルダイブ 開始!】
Q1.みんなが勘違いしていたのは……
a.低温倉庫の温度
b.低温倉庫の部屋の数
c.低温倉庫の広さ

Q2.1つの冷蔵・冷凍スイッチに対して対応している部屋の数は……
a.1つ
b.2つ
c.3つ

Q3.階段側と奥側の入り口で、対応している部屋は……
a.同じ
b.違う

Q4.低温倉庫の本当の部屋の数は……
a.2つ
b.3つ
c.4つ

901: 2019/05/28(火) 01:46:41 ID:RJLLMdhM
【b.低温倉庫の部屋の数→a.1つ→b.違う→c.4つ】

せつ菜「繋がりました!」

Complete!

せつ菜「冷蔵、冷凍のスイッチで部屋が入れ替わる……そうでしたよね」

鞠莉「ええ。その実験の場には、あなたもいたでしょう?」

せつ菜「では、階段側と奥側のスイッチが、それぞれ“別の部屋に対応していた”としたら……?」

鞠莉「っ……それぞれ別の部屋ですって!?」

せつ菜「そう考えると、部屋が2つだと思っていた低温倉庫は……」



せつ菜「本当は、4つの部屋があったということになるんです!」

しずく「じゃあかすみさんは、残り2つの部屋のどちらかに……?」

せつ菜「ええ。スイッチが壊されてしまったせいで、その部屋に入れなかっただけなんです」

902: 2019/05/28(火) 01:47:47 ID:RJLLMdhM
璃奈「でも、どうして犯人は両方のスイッチを壊さなかったの(・v・)?」

千歌「さっき花丸ちゃんが言ってたでしょ。怪しそうな場所を調べた上で、何もないと思わせる、ってさ」

花丸「両方のスイッチが壊されていて、実は片方が壊れていないって分かれば、結局みんな倉庫の中に入るでしょ?」

花丸「けど、何も怪しいところはなかった。何か意味がありそうで、何も意味がない……そう思わせたかったんだと思うずら」

せつ菜「恐らく、階段側のスイッチは、わざと甘く壊したんでしょうね」

鞠莉「……今回の犯人はなんて狡猾なのかしら、まったく」ハァ

鞠莉「幾つも偽装を施し、居なくなったかすみに視点を向けさせ、挙句そのかすみの行方すらも騙そうとする」

しずく「千歌さんが武器庫の奥に行ってなければ、迷宮入りでしたね……」

千歌「本当だよ。歩夢ちゃんもやってくれるよね」

903: 2019/05/28(火) 01:48:25 ID:RJLLMdhM
せつ菜「……な、何を言ってるんですか?」

千歌「何って、この計画を仕組んだのが歩夢ちゃんじゃないかってことだけど」

せつ菜「待ってください、何でそうなるんですか!」

千歌「忘れたの? さっきは果南ちゃんが自〇かどうかって話に引っ張られたせいであまり話せなかったけど……」

千歌「結局、現場の密室は解けてないんだよ?」

花丸「その問題は未解決だったずらね……」

千歌「それに、歩夢ちゃんは“自分の才能を知りたい”っていう、武器庫に行くための分かりやすい動機がある」

千歌「才能のついでに低温倉庫の秘密も知って、それを今回の犯行に利用したんだ。どう、十分考えられると思わない?」

904: 2019/05/28(火) 01:49:37 ID:RJLLMdhM
梨子「どう、って言われても……」

千歌「鞠莉ちゃんは今回の犯人を狡猾って言ってたけどさ……」

千歌「狡猾な犯人なら、被害者のフリをすることだって考え付くよね?」

千歌「どうかな、せつ菜ちゃん?」

せつ菜「……っ」

せつ菜(歩夢が……この事件の犯人?)

せつ菜(そのような結末があって、いいんでしょうか?)

せつ菜(そのような、残酷な結末が……)

905: 2019/05/28(火) 01:50:15 ID:RJLLMdhM

 学 級 裁 判 
   中  断

906: 2019/05/28(火) 01:51:06 ID:RJLLMdhM
~モノっちー劇場 番外編~

彼方「いやぁ、ここもだいぶ人が増えて来たねえ」

かすみ「増えちゃダメだと思うんですけど」

善子「ねえ、かすみは出てきて良かったの?」

かすみ「えっ?」

曜「かすみちゃんが死んだことはまだハッキリとしてないんじゃないかってことだよ」

かすみ「してます! 死んだ姿を思いっきり千歌先輩に撮られました!」

かすみ「大体、曜先輩の方こそいいんですか? 皆さん何か言ってモゴゴゴ!?」

ルビィ「かすみちゃん。それ以上はメッ、だよ」

果林「もし千歌ちゃんがこっちに来たら、その写真を貰わないとね」

かすみ「モゴゴゴゴ、モゴ!(なんでそうなるんですか!)」

愛「こりゃ当分騒がしくなりそうだね~」

果南「私としては、これ以上みんなに来て欲しくはないんだけどね……」

エマ「みんな、紅茶が出来たよ~」

911: 2019/07/06(土) 23:15:42 ID:SKSpUjA2

 学 級 裁 判
   再  開

912: 2019/07/06(土) 23:16:43 ID:SKSpUjA2
千歌「歩夢ちゃんも黙ってないで何とか……ああ、まだ寝てるんだったね」

鞠莉「困ったわね。今の千歌っちの話を肯定したくないけど、否定出来る材料も見当たらないし」

ダイヤ「歩夢さんも、密室の中に居た1人です。密室の謎が解けない限り、疑わざるを得ないのは……事実でしょうね」

せつ菜「そんな……」

璃奈「せつ菜さんの気持ちも分かるけど……やっぱり、証拠が必要だよ(>_<。)」

せつ菜「それは、そうですけど……」

しずく「証拠と言えば、モノっちーさんに尋ねたいのですが」

モノっちー「ん、どしたの?」

しずく「かすみさんのモノっちーファイルは、存在しないのでしょうか?」

モノっちー「……」

913: 2019/07/06(土) 23:17:53 ID:SKSpUjA2
せつ菜「そ、そうです! もしかしたら、かすみさんの死体に何か手掛かりがあるかも知れません!」

モノっちー「うーん……。確かに中須さんは死んでいるし、オマエら全員、高海さんを通じてそれを確認したとはいえ……」

モノっちー「みーんな揃って、別にナマで死体を確認したワケじゃないんだよネ。だからこの場合はどうしたものかなーって」

モノっちー「デジカメが出て来た時だって、死体発見アナウンスを流すべきか悩んだんだよ?」

しずく「そこを何とか……!」

モノっちー「まあ、いいでしょう! 急ごしらえだけど、一応彼女の分も作っちゃったしネ」

ピローン

モノっちー「じゃあ、あとはお好きに議論しちゃってネ」

914: 2019/07/06(土) 23:18:37 ID:SKSpUjA2
せつ菜(電子音と共に、モノっちーファイルに追加されたページ)

せつ菜(そこには、次のようなことが載っていました)

『もう1人の被害者は超高校級のパン屋、中須かすみ。死亡推定時刻は昨夜0時頃』

『特殊なケースのため、死体発見現場・発見時刻については省略』

『死因は刺〇であり、外傷として腹部と背中、計2か所の刺し傷が存在する』

『毒物・薬物を摂取した形跡はなし』

《モノッチーファイル4-2》のコトダマを入手しました。

せつ菜「……」

千歌「どうやら、これといった手掛かりはなさそうだね」

璃奈「待って、あるかも(・v・)」

千歌「……?」

璃奈「あるかも知れない。歩夢ちゃんが犯人じゃないって手掛かり(・v・)」

915: 2019/07/06(土) 23:19:45 ID:SKSpUjA2
【ノンストップ議論 開始!】
[|モノっちーファイル4>
[|2つの銃創>
[|サバイバルナイフ>
[|モノっちーファイル4-2>

梨子「手掛かりって、何なの?」

璃奈「あの別館で、誰がどの凶器を使ったのか……だよ(・v・)」

花丸「……ナイフも拳銃も【武器庫から持ち出された物】ずら」

千歌「果南ちゃんは武器庫に入ってる。誰かを〇そうとしたのは確かだろうね」

ダイヤ「ですが、その果南さんも〇されています」

璃奈「多分、〇そうとした相手に【反撃された】んじゃないかな(>_<。)」

しずく「或いは【反撃した】可能性も考えられますね」

鞠莉「問題はナイフと拳銃、どちらを使ったかだけど……」

千歌「どうせ《拳銃》でしょ?」

鞠莉「いいえ《ナイフ》の筈よ」

せつ菜(今の話のどこかに、歩夢が犯人でない手掛かりが……?)

916: 2019/07/06(土) 23:20:27 ID:SKSpUjA2
[|2つの銃創>→《ナイフ》

せつ菜「それに賛同します!」

Break!

せつ菜「確かに、果南さんが持ち出したのはナイフでしょうね」

せつ菜「というより、果南さん以外の人物が拳銃を持っていた……と考えるのが正しいでしょうか」

千歌「一応、理由を聞かせて」

せつ菜「さっきも話題に上がったように、2発の銃弾は果南さんの身体を貫いていました」

せつ菜「そして、かすみさんの身体に刺し傷しかない以上……ナイフを持った人物はかすみさんを狙い、銃を持った人物は果南さんを狙った」

せつ菜「そう考えるのが、自然でしょう」

璃奈「うん。だから、果南さんがナイフを持っていた可能性が高いし、拳銃を持ってたのはかすみちゃんなんじゃないかなって思ったの(・v・)」

917: 2019/07/06(土) 23:21:07 ID:SKSpUjA2
千歌「ふーん……そうなると、かすみちゃんも武器庫に行ってたんだね」

せつ菜「千歌さんと同じです。ロシアンルーレットをクリアしてしまえば、手掛かりのインクは残りませんから」

千歌「分かってるよ。でもそれだけじゃ、歩夢ちゃんが犯人って話は変わらないんじゃないかな」

璃奈「……どうして(・v・)?」

千歌「璃奈ちゃんの推理だと、かすみちゃんは果南ちゃんを撃って、果南ちゃんはかすみちゃんを刺した……相打ちみたいになったってことだけど」

千歌「だったら、2人の死体を動かしたのは?」

璃奈「……そ、そうだった(・v・)」

鞠莉「かすみの死体を低温倉庫に、果南を水槽の中に放り込んだのが誰なのか。それが歩夢なんじゃないか、って話ね」

千歌「うん、大体そういうこと」

せつ菜「ちょ、ちょっと、落ち着いてくださいってば!」

鞠莉「落ち着くのはあなたの方なんじゃない、せつ菜」

せつ菜「なっ……」

918: 2019/07/06(土) 23:21:56 ID:SKSpUjA2
鞠莉「あなた、よっぽど歩夢を犯人にしたくないようね。それ自体には私も同感だけど……」

鞠莉「さっきも言ったでしょう。千歌っちの話を肯定したくはないけど、否定出来ないのも事実だって」

せつ菜「でも! 今までの裁判で犯人を見つけて来た歩夢が、どうして犯人になる必要があるんですか!」

ダイヤ「残念ですが、今の歩夢さんは最有力容疑者です。相応の根拠がない限り、これは覆らないでしょう」

花丸「……不味いずら。みんなの意見が二分しちゃってるずら」

璃奈「じゃあ、もしかして……(・v・)」


モノっちー「真相は、大体1つ!」

\待った!/

919: 2019/07/06(土) 23:22:57 ID:SKSpUjA2
モノっちー「さてさて、議論が大荒れ模様のところ悪いんだけど……」

モノっちー「ここは1つ、アレで決着をつけてもらいましょうかネ!」

せつ菜(モノっちーがスイッチを押すと……あの、2列並んだ議席)

千歌「……」

せつ菜(とにかく今は、なんとかしてこの状況を打破するしかありません)

せつ菜(2番目の裁判で、歩夢がそうしてくれたように)

せつ菜(歩夢の疑いを晴らす役目は、私がやるしかないんです)

せつ菜(今だけはステージに立つ主役ではなく、舞台を整える演出家のつもりで──!)

920: 2019/07/06(土) 23:24:03 ID:SKSpUjA2
        意
        見
        対
        立

       
【上原歩夢が犯人の可能性は……】
  

  [|高い!> V S <低い!|]
  高海千歌    優木せつ菜
 黒澤ダイヤ    桜坂しずく
  小原鞠莉    天王寺璃奈
  桜内梨子    国木田花丸
   
  【議論スクラム 開始!】

921: 2019/07/06(土) 23:25:04 ID:SKSpUjA2
千歌「別館の密室を作れたのは歩夢ちゃんだけだよ」

梨子「けど死体が自分から歩く筈ないし……」

ダイヤ「歩夢さんにはアリバイがありません」

鞠莉「歩夢には武器庫に行く動機があるのでしょう?」

鞠莉「それでも、歩夢が別館に行く理由がないわ」

ダイヤ「そのような銃声が聞こえていたなら、私たちも気付いている筈です」

千歌「大体歩夢ちゃんだけが〇されていないなんて不自然だよ」

VS

せつ菜「【歩夢】を犯人に仕立てるのが、真犯人の目的かも知れません」

璃奈「部屋には防音加工がある。部屋を出ない限り【銃声】は聞こえないよ(・v・)」

せつ菜「事件が起きた時、銃声がした筈です。偶然それを聞いたら、様子を見に行く【理由】にはなりますよ」

花丸「千歌ちゃんだって【武器庫】には足を運んでる筈だよ」

璃奈「あの【密室】にはトリックがあるかも知れないって話だったよね(・v・)?」

しずく「夜中の【アリバイ】は、ほとんどの人が持っていませんよね?」

花丸「【死体】を動かした人が犯人とは限らないずら」

922: 2019/07/06(土) 23:25:45 ID:SKSpUjA2
千歌「別館の【密室】を作れたのは歩夢ちゃんだけだよ」 璃奈さん!
璃奈「あの【密室】にはトリックがあるかも知れないって話だったよね(・v・)?」
Break!

梨子「けど【死体】が自分から歩く筈ないし……」 花丸さん!
花丸「【死体】を動かした人が犯人とは限らないずら」
Break!

ダイヤ「歩夢さんには【アリバイ】がありません」 しずくさん!
しずく「夜中の【アリバイ】は、ほとんどの人が持っていませんよね?」
Break!

鞠莉「歩夢には【武器庫】に行く動機があるのでしょう?」 花丸さん!
花丸「千歌ちゃんだって【武器庫】には足を運んでる筈だよ」
Break!

鞠莉「それでも、歩夢が別館に行く【理由】がないわ」 私が!
せつ菜「事件が起きた時、銃声がした筈です。偶然それを聞いたら様子を見に行く【理由】にはなりますよ」
Break!

ダイヤ「そのような【銃声】が聞こえていたなら、私たちも気付いている筈です」 璃奈さん!
璃奈「部屋には防音加工がある。部屋を出ない限り【銃声】は聞こえないよ(・v・)」
Break!

千歌「大体【歩夢】ちゃんだけが〇されていないなんて不自然だよ」 私が!
せつ菜「【歩夢】を犯人に仕立てるのが、真犯人の目的かも知れません」
Break!

923: 2019/07/06(土) 23:26:28 ID:SKSpUjA2

「「「「これが私たちの答えです!」」」」

    全   論   破
      All Break!

924: 2019/07/06(土) 23:27:06 ID:SKSpUjA2
せつ菜「……お願いです。歩夢が犯人だという前提を、一度捨ててください」

千歌「うーん……それ自体はいいんだけどね? だったら、そろそろ答えを出して欲しいな」

千歌「歩夢ちゃんじゃないとしたら、あの密室をどうやって作ったのか」

せつ菜「……っ」

千歌「答えられなければ、犯人はやっぱり──」

花丸「答えられるかも」

せつ菜「本当ですか、花丸さん」

花丸「根拠としては薄いけど……まず注目して欲しいのは、密室が作られた時、扉に対してナイフがどういう状態だったか」

梨子「状態?」

せつ菜「もしかして、ナイフが扉を擦っていたことでしょうか」

花丸「うん。血の跡が付いていたってことは“扉にピッタリくっ付いた状態で鍵が掛けられた”ってことなんだ」

925: 2019/07/06(土) 23:28:00 ID:SKSpUjA2
ダイヤ「ですが、それのどこが重要なのでしょう?」

花丸「もう1つ注目するポイントと組み合わせれば分かるずら。それは、偽装工作のために犯人が立ち寄った場所」

鞠莉「……もしかして、理科室のことかしら」

しずく「どうして理科室が?」

せつ菜「かすみさんの靴……ですね」

花丸「うん。靴がそこに落ちていたってことは、犯人は間違いなくそこに行ったってことだから」

花丸「そう考えると……何となく、密室の答えが見えてくるんだ」

千歌「……」

せつ菜(犯人は理科室なら必ずと言っていいほど置いている、ある“道具”を用いて密室を作ったんです)

せつ菜(その道具は──)

【閃きアナグラム 開始!】

び ゃ ん し ん て く じ (ダミー有)

926: 2019/07/06(土) 23:28:55 ID:SKSpUjA2
→【じしゃく(磁石)】

せつ菜「磁石を使ったとしたら……どうでしょう」

梨子「確かに、理科室なら磁石は置いてそうだけど……それをどうやって使うの?」

せつ菜「ナイフの刃の部分は磁石にくっ付こうとしますし、扉は木製。犯人はこれを利用したんです」

せつ菜「扉の取っ手部分にナイフを掛けておき、刃がある部分を、外側から磁石で止めておく」

せつ菜「そのまま扉を閉めて、あとは磁石を動かせば……」



せつ菜「……そうやって、犯人は密室を作り上げたんです」

しずく「じゃあ、血の跡は犯人が磁石を動かした痕跡だったんですね!」

鞠莉「分かってしまえば単純なトリックだけど……綺麗に振り回された気がするわ」ハァ

花丸「実際、靴が理科室に落ちてなかったら決め手に欠けていたし……仕方ないずら」

927: 2019/07/06(土) 23:29:49 ID:SKSpUjA2
千歌「……分かった。密室トリックがハッキリしちゃったし、歩夢ちゃんを疑うのは一旦やめる」

千歌「でも、せつ菜ちゃんは分かってるの? 誰かが犯人じゃなくなるってことは、別の誰かが犯人ってこと」

せつ菜「……っ」

千歌「それに、歩夢ちゃんが犯人じゃなくなったら……もう、この事件は誰にも犯人が分からないモノになってしまうんだよ」

梨子「ちょっと、まだそう決まったワケじゃ……」

千歌「事件が起きたのは夜中。だから、今ここにいる私たち全員にアリバイはない」

千歌「果南ちゃんとかすみちゃんは、結局どんな行動を取っていたのかも分からない」

千歌「もうこの事件は“確かめようの無いこと”ばっかりなんだ」

ダイヤ「確かめようの無いこと、ばかり……!?」

928: 2019/07/06(土) 23:30:42 ID:SKSpUjA2
花丸「あながち、千歌ちゃんの言っていることも間違いじゃないずら……」

花丸「たくさん手掛かりを残してこそいるけど、どれも犯人への決め手にはならない」

花丸「最後に残されるのは“犯人は誰なのか”っていう、宙吊りになった最大の疑問……」

花丸「……無理ずら。この状況から、犯人を当てるなんて」

しずく「無理、って……そんな!」

千歌「皮肉だよね~。歩夢ちゃんの無実を証明しようとして、逆に私たち全員が追い詰められるなんて」

千歌「もう誰にも、犯人は分からない。勿論私にも、せつ菜ちゃんにも──」

せつ菜「──まだ、あります」

千歌「……ん?」

せつ菜「真犯人に繋がる手掛かりなら、まだ……」

璃奈「それって、何なの(・v・)?」

せつ菜(そうです。現場に残されていた、説明のつかない手掛かり……)

せつ菜(……)

【コトダマ一覧より選択】

929: 2019/07/06(土) 23:31:31 ID:SKSpUjA2
→【倒れていた歩夢】

せつ菜「……あの現場に、歩夢が倒れていたこと。それ自体が、真犯人の決め手になるんです」

鞠莉「さっきまで歩夢は犯人じゃないって言っていたのに……話が見えないわね」

せつ菜「重要なのは、倒れていたこと。“死んでいた”ワケじゃないんです」

ダイヤ「ですが、自分から襲われたフリをしていたという推理もされていましたよ?」

せつ菜「確かに、その発想が浮かぶのも仕方ないんですが……もしそうじゃないとしたら、不自然だと思いませんか?」

せつ菜「あの場所に、歩夢を気絶させた状態で放置する。それは、かなりのリスクを伴う筈です」

花丸「歩夢ちゃんが目を覚まして、知っていることを話されたらおしまいずらね」

せつ菜「“3人以上〇してはいけない”などといった校則は存在しません。そうですよね、モノっちー?」

モノっちー「うーん、まあそうだネ。あんまり好ましいことではないけど、ルールには明文化してなかったからネ」

930: 2019/07/06(土) 23:32:13 ID:SKSpUjA2
せつ菜「つまり犯人は、リスクを冒してでも歩夢を〇さなかったことになるんです。当然、前回の事件で使われた毒薬も使用していない」

梨子「そうよね。あのあと、毒薬はみんなで処分したのを見てるし……」

しずく「ですが、どうして犯人は歩夢さんを〇さなかったのでしょう」

せつ菜「歩夢自身が犯人ではないとなると、考えられる理由は一つしかありません」

せつ菜「犯人にとって、歩夢は大切な人だったから。〇さなかったというよりは“〇せなかった”んです」

せつ菜「例えば……幼馴染、とか」

璃奈「……えっ(・v・)?」

せつ菜「そう考えれば、歩夢が死んでいなかった理由も説明が付く筈です」

ダイヤ「あなた……自分が何を言っているのか、分かっているのですか……?」

せつ菜「……ええ、分かっています」

せつ菜(そうです。犯人が誰かなどという問題は、とっくの昔に分かり切っていたことなんです)

せつ菜「……」ゴクリ

931: 2019/07/06(土) 23:33:22 ID:SKSpUjA2

せつ菜「だから、この事件の犯人は────」

【怪しい人物を指名しろ!】

932: 2019/07/06(土) 23:34:28 ID:SKSpUjA2
────
───
──

また、あの夢を見た。

「いっしょだから大丈夫だよ。ふたりで思いっきり楽しんじゃおうよ」

また掛けられる、あの言葉。

そして、彼女は私の手を取る。

ねえ。

あなたは誰?

黒い髪じゃない。

オレンジ色の髪をしたあなたは──

誰なの?

933: 2019/07/06(土) 23:35:16 ID:SKSpUjA2
歩夢「犯人は……せつ菜ちゃんだね」

璃奈「あ、歩夢ちゃん(?□!)!?」

梨子「犯人、って……その前に、起きてたの!?」

歩夢「ごめんね。本当は、ずっと前……裁判が始まる頃から起きてたんだ」

歩夢(けれど、今の今まで私は逃げていた)

歩夢(せつ菜ちゃんが犯人だなんて、信じたくなかった。だから寝たフリをして──)

鞠莉「シンプルに問うわ。せつ菜が犯人っていうのは、本当なのかしら?」

しずく「そ、そんなワケないじゃないですか! だって、せつ菜さんは……」

せつ菜「……」

しずく「せつ菜……さん?」

934: 2019/07/06(土) 23:36:24 ID:SKSpUjA2
せつ菜「……ふふっ。冗談に決まってるじゃないですか」

ダイヤ「冗談にしては、度が過ぎていますわね」

せつ菜「それは悪かったと思っていますが……こうでもしないと、議論が停滞するだろうと思っただけです」

せつ菜「まさか今まで狸寝入りしていたあなたまで、冗談を信じたワケじゃないですよね。歩夢?」

歩夢「……昨日の夜。寝付けなかった私は、顔を洗いに部屋を出た」

歩夢「そこで校舎の方から聞こえた足跡を追って……保健室を過ぎたあたりで、後ろからハンカチか何かを……」

梨子「それが、せつ菜ちゃんだっていうの?」

花丸「毒薬だけじゃなくて、眠らせる薬も処分しておくべきだったずらね……」

歩夢「……」

せつ菜「ですが歩夢。後ろから襲われた、と言いましたね」

せつ菜「だとしたら、あなたの視界に映っていたのはハンカチとそれをあてる手ぐらいです」

せつ菜「それが私だとは断定出来ない筈ですよ」

935: 2019/07/06(土) 23:37:09 ID:SKSpUjA2
歩夢「……ううん。分かるんだ」

歩夢「だって、私を襲ったその手は……見慣れた手袋をしていたから」

歩夢「せつ菜ちゃんが普段から着ているステージ衣装の、白い手袋を……」

せつ菜「っ……」

璃奈「じゃあ、本当に……(>_<。)」

せつ菜「あなたに質問です、歩夢。あなたの発言には、証言と認められるだけの力があるでしょうか?」

歩夢「えっ……」

せつ菜「あなたが嘘をついている可能性だってありますよね?」

歩夢「そ、それは……」

せつ菜「……歩夢。私を犯人だと言いたいのであれば、納得出来る材料を出してください」

せつ菜「裁判を聞いていたとはいえ、現場を調べていないあなたがそれを出来るとは思えませんがね──!」

936: 2019/07/06(土) 23:38:03 ID:SKSpUjA2
【ノンストップ議論 開始!】
※【ウィークポイント】を記憶(キャプチャー)して、新しいコトダマにしろ!

花丸「ひとまず、今までの推理を整理してみるずら」

ダイヤ「かすみさんは拳銃、果南さんはナイフ。それぞれ【武器庫で得た】凶器を手に、別館へと向かったのですよね」

せつ菜「二人は【相打ち】のような形になったという推理だった筈です」

しずく「けれど、2人の死体を移動させた誰かが居るんですよね」

せつ菜「かすみさんは【低温倉庫】に移動させられていましたが、倉庫の仕掛けを知っていれば簡単な話です」

せつ菜「果南さんに至っては【ピラニアの水槽】。腕の上がらないしずくさん以外、全員が可能です」

鞠莉「足跡の偽装や密室はどうなるのかしら」

せつ菜「かすみさんの靴を使えば足跡の偽装は【誰にでも出来ます】し、密室も磁石を使えば【誰にでも作れます】よね?」

せつ菜「歩夢を眠らせた薬だって【保健室で手に入ります】し……」

せつ菜「どこにも、私が犯人である【根拠はない】ですよね?」

歩夢(私は事件現場を調べてないけど……大きな矛盾が1つだけある)

歩夢(せつ菜ちゃんが知らなかった事実。そしてそれは、議論されていなかった謎の答え……)

937: 2019/07/06(土) 23:39:27 ID:SKSpUjA2
[|ピラニアの水槽>→【根拠はない】

歩夢「そうじゃないんだよ……!」

Break!

歩夢「……この裁判を聞いてて、気になってたことがあるんだ」

歩夢「かすみちゃんの死体は、低温倉庫に隠す必要があったのかも知れない。けど果南さんの死体を水槽に放り込んだのは何でだろう、って」

歩夢「その理由が、やっと分かったよ」

ダイヤ「そこに、何か秘密でも?」

歩夢「……犯人は“死体をピラニアに食べさせる”ことで、死因を分からなくさせる狙いがあったんじゃないかな」

梨子「し、死体を……!?」

鞠莉「確かにあの水槽にはピラニアが居たけど、結局果南は食べられたりなんか……まさか!」

歩夢(そう、せつ菜ちゃんも同じ勘違いをしてたんだ。その水槽を泳いでいたのは……)

【閃きアナグラム 開始!】

ウ ナ ス ツ ヌ ォ ガ オ マ(ダミー有)

938: 2019/07/06(土) 23:40:11 ID:SKSpUjA2
→【マナガツオ】

果南『あはは、この子たちはマナガツオ。確かに「海のピラニア」って呼ばれるくらい見た目はソックリだけど、肉食じゃないよ』


歩夢「以前、果南さんが言ってたんだ。その水槽を泳いでたのはピラニアじゃなくて、よく似た魚……マナガツオだってね!」

せつ菜「っ……!?」


せつ菜『……あれっ。エサやりはもう終わっちゃいました?』

璃奈『ほとんど終わったよ(・v・)』

せつ菜『あー……じゃあ、完全に遅刻ですね』


璃奈「そっか。エサやりの時、せつ菜さんは遅れて来てたから……(・v・)!」

歩夢「うん。その後も、せつ菜ちゃんがしていた勘違いを直す機会がないまま……事件が起きた」

939: 2019/07/06(土) 23:41:02 ID:SKSpUjA2
歩夢「そもそも、あの広場で泳いでた魚を思い出して欲しいんだけど……」


(水槽広場とマップに書かれているここは、幾つもの水槽と、正面にある巨大水槽で成り立っている)

(巨大水槽を泳ぐのは、クジラやエイといった大きな魚や、群れを成す小さな魚)

(他の水槽では、熱帯の海を泳いでいそうな魚や、深海魚っぽい生き物、果てはクラゲの水槽……)


ダイヤ「全て海水魚……ということは」

梨子「淡水魚のピラニアは、最初から展示されてなかったのね」

せつ菜「……そ、それでも! 果南さんの説明を聞いていなければ、私以外でも同じ勘違いを起こす筈です!」

千歌「──だから自分以外にも犯人の可能性があるって?」

千歌「その言い分は分かるけどさ……実はせつ菜ちゃんって、もう1つとんでもないミスをしてるんだよね」

せつ菜「ミス、って……何のことでしょう?」

940: 2019/07/06(土) 23:42:17 ID:SKSpUjA2
千歌「歩夢ちゃんは知らないだろうけど、捜査が終わってエレベーター前に集まった時……こんなことを言ってたんだ」


せつ菜『……私たちで最後みたいですね』


千歌「あの時、歩夢ちゃんはともかく、かすみちゃんの行方についてはまだ何も言われてなかった」

千歌「かすみちゃんの靴が見つかった話は、“この発言の後”だったんだよ」

せつ菜「……」

歩夢「ちょっと待って千歌ちゃん。どういうつもりなの?」

千歌「ん?」

歩夢「その言い方だと、まるで最初から犯人に気付いてたようだけど……」

千歌「今はそんな話どうでもいいんじゃない? せっかく犯人を追い詰める手伝いをしてあげてるんだから」

歩夢「手伝いって──」

941: 2019/07/06(土) 23:43:10 ID:SKSpUjA2
せつ菜「厄介コールは御法度です!」

反論!

せつ菜「どうやら、無意識のうちにかなり失言をしてしまっていたようですね」

歩夢「それって、犯行を認め──」

せつ菜「ですが。私はまだ諦めません」

歩夢「まだ……反論する余地があるって言うの……?」

せつ菜「生憎と私は、往生際が悪いですからね」

せつ菜「さあ歩夢。これが最後の勝負です!」

942: 2019/07/06(土) 23:43:46 ID:SKSpUjA2
【反論ショーダウン 開始!】
[|モノっちーファイル4-2>

せつ菜「確かに昨夜、私は別館に行きました」

せつ菜「そこで見つけた死体を移動させた帰りに、あなたがこっちに向かって来るのが見えた」

せつ菜「だから、慌てて保健室に隠れ……背後から気絶させた」

せつ菜「そこまでは認めましょう」

せつ菜「ですが私は……【死体を移動させただけ】なんです!」

せつ菜「2人を〇したワケじゃありません!」

歩夢(せつ菜ちゃん……かなり動揺してる。だって、いきなり反論の隙が……)

943: 2019/07/06(土) 23:44:39 ID:SKSpUjA2
[|モノっちーファイル4-2>→【死体を移動させただけ】

歩夢「っ……!」

Break!

歩夢「果南ちゃんもかすみちゃんも。2人揃って、背中に刺された跡があったんだよね」

歩夢「どちらかだけなら、相打ちの過程で起きたのかも知れない」

歩夢「けど“自分で自分の背中を刺せない”以上、別の誰かがトドメを刺したとしか思えないんだよ……!」

歩夢「それが出来たのは……現場に居たせつ菜ちゃんだけ、なんでしょ?」

せつ菜「ん……ぐっ……」

花丸「これ以上は……反論もなさそうずら、ね」

鞠莉「これが、この事件の真相……」

944: 2019/07/06(土) 23:45:27 ID:SKSpUjA2
千歌「だったら、さっさと投票に移らない?」

千歌「2人を〇した犯罪者の話なんて、聞く価値もないよ。果林さんの時みたいにさっさとオシオキしてもらって、それでこの裁判は終わるべきなんだ」

せつ菜「……」

しずく「千歌さん、幾らなんでも言い過ぎです!」

千歌「言い過ぎ? せつ菜ちゃんは、死にかけの人たちにトドメを刺して、それを隠そうとしたんだよ?」

千歌「そんなことをしたのに、歩夢ちゃんが起きるまで議論を回そうとした」

千歌「私たちを皆〇しにするつもり満々で、この学級裁判に臨んでたんだ」

せつ菜「それ、は……」

千歌「違わないでしょ? せつ菜ちゃんはかすみちゃんに色々されてたし、恨んでたっておかしくは──」


歩夢「違うよ!」

945: 2019/07/06(土) 23:46:16 ID:SKSpUjA2
せつ菜「あゆ、む……?」

歩夢「せつ菜ちゃんは、そんなことをするような人じゃない」

梨子「でも……せつ菜ちゃんが犯人だって言ったのは、歩夢ちゃんよね?」

歩夢「そうだけど……それでも、せつ菜ちゃんが犯人になった理由は、別の所にある筈なんだ」

歩夢「せつ菜ちゃんを信じてるから、分かるんだ。まだ、隠してることがある……そうなんでしょ?」

せつ菜「……そんなもの、ないに決まってるじゃないですか」

せつ菜「私は、最低な人〇しなんです! 全てを暴かれた、ただの犯罪者なんです!」

せつ菜「これ以上、私を苦しめないでください!」

歩夢(違う……違うよ)

歩夢(あなたがやろうとしていた“本当のこと”……それを暴くしか、ない!)

946: 2019/07/06(土) 23:47:27 ID:SKSpUjA2
【理論武装 開始!】

せつ菜「どうして私を信じるんですか……!」

せつ菜「私は〇人犯なんですよ!?」

せつ菜「私はみんなを裏切った最低な人なんです……」

せつ菜「お願いだから、もうやめてください……」

せつ菜「これ以上は、あなたも苦しいだけです……」

せつ菜「早く終わりにしましょう……」

せつ菜「どうして、まだ諦めないんですか……?」


せつ菜「【私が2人を〇した理由が……分かるのですか?】

      △:クロを
□:させる       〇:ため
      ×:ハッキリ

947: 2019/07/06(土) 23:48:09 ID:SKSpUjA2
→△×□〇 [|クロをハッキリさせるため>

歩夢「これで……終わりだよ」

Break!!!

歩夢「もしせつ菜ちゃんが、この事件に介入しなかったら……どうなっていたのかな」

璃奈「どう、って……(・v・)」

しずく「相打ちになった果南さんとかすみさんの死体が水槽広場で発見される……だけ、ですよね」

歩夢「前回の裁判の後に追加された、新しい校則に当てはめて欲しいんだけど……」

せつ菜「……」


13.学級裁判で1つの事件が処理される前に別の事件が発生した場合、投票対象となるクロは最初に起きた事件のクロです。
また、卒業出来るクロも最初に起きた事件のクロのみとなります”。


歩夢「この場合、最初に起きた事件はどっちになるのかな」

948: 2019/07/06(土) 23:48:43 ID:SKSpUjA2
ダイヤ「そんなことになってしまえば、判断が付くかどうか……!?」

花丸「果南ちゃんとかすみちゃん。どちらかが犯人だけど、正確な“クロが分からなくなってしまう”ずら」

鞠莉「勿論、その場合は捜査で明らかになるかも知れないけど……」

歩夢「じゃあ、真犯人の立場になって考えてみて」

歩夢「目の前に、死にかけの果南ちゃんとかすみちゃんが居て。落ちている武器から、相打ちになった可能性だけが理解できて」

歩夢「けど、このままだと2人は死ぬ。“どちらが最初の事件なのか分からない”まま学級裁判に臨むことになるかも知れない」

歩夢「そうなったら……半分の確率で、私たち全員が死ぬんだ」

梨子「じゃあ、まさかせつ菜ちゃんは……」

しずく「自分が犯人になって、私たちを生かすために……?」

949: 2019/07/06(土) 23:49:22 ID:SKSpUjA2
千歌「だったらさあ。学級裁判が始まった時にでも、自首すればいいじゃない」

花丸「確かに……歩夢ちゃんが倒れていた理由を言ってくれなかったら、それこそ投票先を間違えたかも……」

歩夢「2人はせつ菜ちゃんに『黙って死ね』って言うつもりなの!?」

花丸「っ……!?」

歩夢「……ごめん、言い過ぎた。でも……せつ菜ちゃんだって人間なんだよ?」

歩夢「死にたくないって感情は、誰にだってある筈。投票そのものを捻じ曲げようとたエマちゃんがそうだったように……」

歩夢「だから“自分だけが生き残るか、自分以外のみんなが生き残るか”。せつ菜ちゃんはきっと、その賭けに出たんだ」

歩夢「褒められた話じゃないってことは、せつ菜ちゃん自身だって分かってる筈。私だって、許せないけど……」

歩夢「だからこそ、この結末を受け入れて欲しいんだ。みんなにも、せつ菜ちゃんにも」

鞠莉「受け入れる……」

ダイヤ「……そう、ですわね。せつ菜さんのお陰で、私たちはまだ生きていられる」

ダイヤ「ただその結果を、受け入れるべきなのでしょう」

950: 2019/07/06(土) 23:50:27 ID:SKSpUjA2
せつ菜「……っ」

歩夢「千歌ちゃんにも、モノっちーにも。この結末だけは、絶対に渡さない」

歩夢「だから……せつ菜ちゃん。もう、終わりにしよう……?」

せつ菜「……ぁ」

せつ菜「あり、がとう、ございます……」

歩夢(涙でくしゃくしゃに歪んだ顔で。搾りカスのような声で)

歩夢(せつ菜ちゃんは、ただ一言そういった)

歩夢「私が……この裁判に、決着をつける!」

951: 2019/07/06(土) 23:51:28 ID:SKSpUjA2
【クライマックス推理】
ACT.1
果南さんが内通者……モノっちーが発表した事実が、今回の事件のキッカケだった。
彼女を〇そうと、ある人物……かすみちゃんが動き出していた。
かすみちゃんは武器庫のゲームに参加して、凶器になる拳銃を持ち出したんだ。
その一方で、彼女のターゲットになっていた果南さんも行動を開始していた。
彼女は彼女で武器庫に向かい、ゲームに参加する。
そのゲームには失敗して、こめかみにインクが残ったけど……ナイフを手にしたんだ!

ACT.2
果南さんとかすみちゃん、2人がどんなやり取りをしたのか、今となっては分からない。
ただハッキリしているのは、2人は昨晩、別館の水槽広場に行ったこと。
そして、互いに持ち出した凶器を使って……。
結果、2人はそれぞれ致命傷になる痛手を負った。
ここまでだったら、2人の相打ちで終わる筈だったけど……。
そこに銃声を聞きつけたのか、第三者が訪れてしまったんだ。

ACT.3
その第三者は、2人を目にしてかなり焦った筈だよ。
いま彼女たちが死んでしまえば、最初に起きた事件がどっちか分からなくなってしまうのではないか。
そうなれば、学級裁判で正しいクロを当てられるのかどうか……。
何とかしようにも、目の前の2人の命は尽きかけている。
だから……その2人にトドメを刺したんだ。
背中からナイフ刺された跡は、その時についたもの。
そう……この第三者こそが、今回の事件の真犯人なんだ。

952: 2019/07/06(土) 23:52:16 ID:SKSpUjA2
ACT.4
クロを乗っ取った犯人は、幾つもの偽装工作に乗り出した。
その1つが、傷口にガムテープを巻いたかすみちゃんの死体を低温倉庫に放り込み、入り口のスイッチを破壊すること。
ただ、階段側のスイッチは甘く壊しておくことで、倉庫の中に入る余地を残しておいたんだ。
この時、犯人はかすみちゃんの靴を回収した。
現場に怪しい血の足跡を残すためにね。
死体にガムテープを巻いたのも、倉庫までに血を垂らさないためだったんだ。

ACT.5
そして犯人は、果南さんの死体を水槽に沈めた。
犯人は中で泳いでる魚をピラニアだと勘違いしていて、死体を食べさせる目的があったけど……。
実際に泳いでたは、見た目こそ似ているけど肉食じゃない魚、マナガツオだった。
そうとも知らない犯人は、足跡を校舎3階まで伸ばして、そこで偽装を終えた……筈だった。
けれども、そうは行かなかった。
偶然私が……校舎から戻ってこようとする犯人に気付いてしまったんだ。

ACT.6
慌てて私を薬で眠らせた犯人だったけど、既に打開策は思いついていた。
私を現場に運んだあと、理科室から磁石を持ち出した。
鉄で出来たナイフは、磁石にくっ付こうとする。
そのことを利用して、犯人は現場を密室にしたんだ。
ただ、その跡は扉に残ってしまったけど……。
こうして、犯人は全ての細工を終えたんだ。

953: 2019/07/06(土) 23:53:02 ID:SKSpUjA2

歩夢「一連の犯行は、結果的に私たちを救うことになった……そうなんだよね?」

歩夢「超高校級のスクールアイドル……優木せつ菜ちゃん……」

   COMPLETE!!!

954: 2019/07/06(土) 23:54:01 ID:SKSpUjA2
歩夢「これが……この事件の全てだよ」

しずく「こんな、こんな結末って……」

ダイヤ「ですが……真実が明らかになったお陰で……せつ菜さんを信じたまま、終わることが出来そうです」

梨子「そうね……。決して悪い人なんかじゃなかった、そう思えるだけでも……」

せつ菜「優しいんですね、皆さん……」

せつ菜「……投票に、移りましょうか」

モノっちー「えー、どうやら議論の結論が出たみたいなので……」

モノっちー「それじゃあ皆さん、お手元のスイッチで投票しちゃってください!」

モノっちー「ああそうそう。ちゃんと誰かに投票してネ? 投票を放棄した人も……オシオキだからさ」

955: 2019/07/06(土) 23:55:23 ID:SKSpUjA2

   VOTE

優木 優木 優木
   GUILTY


 学 級 裁 判 
   閉  廷

956: 2019/07/06(土) 23:56:22 ID:SKSpUjA2
モノっちー「今更言うことでもないだろうけど大正解! これで4連続だネ!」

モノっちー「《超高校級のダイバー》松浦果南さんと《超高校級のパン屋》中須かすみさんにトドメを刺し、クロを乗っ取ったのは……」

モノっちー「《超高校級のスクールアイドル》優木せつ菜さんなのでしたー!」

せつ菜「おめでとう……ございます、皆さん」

歩夢「めでたくなんか、ないよ……っ!」

歩夢「死んじゃうんだよ、せつ菜ちゃんが……」

せつ菜「それでも……全員が死ぬよりはよっぽど良かったと思っています」

鞠莉「十分最悪よ……こんなの、誰も救われないじゃない……」

せつ菜「……ごめんなさい、ですね」

957: 2019/07/06(土) 23:57:17 ID:SKSpUjA2
せつ菜「ですが……この事件に関しては、もう何も言うことはありません」

せつ菜「超高校級の歌姫さんが、全て明らかにしてくれましたから」

歩夢「それ……それだよ、せつ菜ちゃん。私が超高校級の歌姫って、本当なの?」

せつ菜「ええ。千歌さんの話を聞いて、うっすらと思い出したんです」

せつ菜「幼稚園の頃、お遊戯会で歌った歌が、多くの保護者や先生たちを魅了したらしいこと」

せつ菜「その才能が大きく飛躍したのは、動画サイトにアップロードされた、いわゆる“歌ってみた動画”」

せつ菜「それが人気を博し、時々イベントに呼ばれるようになったと……」

歩夢「……」

歩夢(にわかに信じがたい話、という言葉は、こういう時に使うのだろう)

歩夢(勿論、私自身その記憶を忘れているだけで、本当に歌姫と呼ばれるだけの才能があったのかも知れない)

歩夢(動画投稿サイト……。善子ちゃんだったら、何か知っていただろうか)

歩夢(……けれど。1つだけ、どうしても引っ掛かる言葉があった)

958: 2019/07/06(土) 23:58:15 ID:SKSpUjA2
歩夢「ねえせつ菜ちゃん。幼稚園のお遊戯会って……年中の?」

せつ菜「ええ。確かそうですけど……」

歩夢「観に来た人たちを魅了した『らしい』って言ったのが、ちょっと引っ掛かってさ……」

歩夢(同じ幼稚園に通っていた筈なのだから……ごく自然に『らしい』なんて伝聞表現が出て来たことが、妙に感じられたのだ)

せつ菜「……お恥ずかしながら、あの日私は風邪をひいてしまいまして」

せつ菜「主役としてステージに立つ筈だったのですが、代理として、仲が良かった歩夢に負担を掛けることになってしまいました」

歩夢「……なっ!?」

歩夢(じゃあ、あの日……せつ菜ちゃんはそもそも来ていなかったってこと……?)

歩夢(だったら、度々夢に見る“アレ”は……)

959: 2019/07/06(土) 23:59:16 ID:SKSpUjA2
モノっちー「何だか話が脱線してるようだけどさ……」

歩夢「っ!?」

モノっちー「オマエら、被害者2人については触れないんだネ」

しずく「被害者……?」

モノっちー「まあボクから触れたところで、単なる捕捉でしかないんだけどさ……」

モノっちー「このままクロとそのお友達に気を取られて、影が薄くなるのも考え物でしょ?」

モノっちー「だから、音声は入ってないけど……こんな映像を用意しましたー!」

歩夢(そう言ってモノっちーがスイッチを押すと……大きなモニターに“それ”は映し出された)

960: 2019/07/06(土) 23:59:57 ID:SKSpUjA2
鞠莉「果南と、かすみ……!?」

梨子「しかも、水槽広場ってことは……」

花丸「事件が起きた時の映像ずらね」

歩夢(何かを話しているようだが、内容までは分からない。ただ、揉めているような空気がひしひしと伝わって来る)

モノっちー「この2人、前回の裁判のあとからずっとこんな感じだったんだよ」

モノっちー「内通者であることを隠さないといけない人と、内通者よりよっぽど裏切り者っぽいことしてる人だもん、ソリが合うワケないよネ」

モノっちー「そんな2人だから……ほら、ネ」

歩夢「ッ──」

歩夢(思わず、目を背けたくなるような光景)

歩夢(果南さんが、かすみちゃんに向かってナイフを──)

961: 2019/07/07(日) 00:00:56 ID:pmx5RS/M
千歌「先に攻撃したのは果南ちゃんだったんだね」

モノっちー「でも、松浦さんはこのあと、自首するつもりだった筈だよ」

モノっちー「彼女はロシアンルーレットのことを知っていながら、ペイント弾を6発中6発入れたんだよネ」

しずく「そんなことしたら、必ずインクが残ってしまうじゃないですか……」

璃奈「始めから、かすみちゃんを〇すつもりで……(>_<。)」

ダイヤ「わざと証拠を残すことで、自分の犯行だと説得力を持たせるつもりだったのでしょうね」

モノっちー「自分が事件を起こす代わりに、オマエらにとっての障害となる中須さんも排除する。その考え自体は悪くなかったんだけど……」

歩夢(何人かが、息を呑む音が聞こえた。果南さんの口から、抑えたお腹から、赤い液体が垂れて行く……)

モノっちー「残念でした! 中須さんが隠し持ってた拳銃に、反撃を許しちゃったんだよネ!」

歩夢(やがて……銃声を聞きつけたせつ菜ちゃんがモニターに映り。そこで、映像は終了した)

962: 2019/07/07(日) 00:02:03 ID:pmx5RS/M
モノっちー「実際、優木さんの介入がなかったら、この事件は更にややこしいことになってただろうネ」

モノっちー「内通者と反乱分子。どちらが正道でどちらが邪道なのか……それを問う議論で、泥沼に入ってたと思うよ」

モノっちー「そういう意味では、エンターテインメントに仕上げてくれた優木さんには、非常に感謝してるんだ」

せつ菜「……もう、いいでしょう」

モノっちー「おろ?」

せつ菜「これ以上、あの2人の意思を踏みにじらないでください」

せつ菜「踏みにじられるのは……私だけで十分です」

モノっちー「じゃあ、いつものやつ行っちゃっていいんすネ?」

963: 2019/07/07(日) 00:02:42 ID:pmx5RS/M
歩夢「待ってよせつ菜ちゃん! 私は、まだ──」

せつ菜「大丈夫ですよ、歩夢」

歩夢「えっ……」

せつ菜「私は居なくなりますけど……私の想いは、あなたに託します」

せつ菜「そして、いつかこのコロシアイが終わったら……」

せつ菜「私のお墓にでも、歌姫として活躍する日々を、聞かせてください」

歩夢「せつ菜、ちゃん……」

964: 2019/07/07(日) 00:03:36 ID:pmx5RS/M
モノっちー「さて。《超高校級のスクールアイドル》優木せつ菜さんのために、スペシャルなオシオキを用意しました!」

せつ菜「だから、歩夢。あなたは決して、諦めないでください」

モノっちー「それでは、張り切って行きましょう!」

せつ菜「皆さんにも……本当に、ご迷惑をお掛けしました」

モノっちー「オシオキターイム!」

せつ菜「……さようなら、歩夢」

965: 2019/07/07(日) 00:04:42 ID:pmx5RS/M

     GAME OVER
ユウキさんがクロにきまりました。
   おしおきをかいしします。

966: 2019/07/07(日) 00:05:51 ID:pmx5RS/M
いつものように、執行の対象となる人は首輪で舞台へと連れて来られます。

優木せつ菜が連れて来られた空間は……文字通り、舞台。

虹の装飾や赤いライトなどで照らされたステージの中央に立つ彼女。

そんな彼女を囲うように、巨大なトラバサミが1つ……。


    〈優木せつ菜 inファイナルステージ〉
《超高校級のスクールアイドル 優木せつ菜処刑執行》

967: 2019/07/07(日) 00:06:43 ID:pmx5RS/M
やがて鳴り始めるのは、せつ菜の大好きな曲でした。

それは、いつかの夕食会でも披露したあの曲。

観客席には審査員風にふんぞり返ったモノっちーと、1から20までのランプ。

「パフォーマンスを決めてみろ」ということです。

即座に理解したせつ菜は、踊り、歌い。

空っぽの曲に、魂を吹き込んでいきます。

一切のミスもなく順調に進んで行く、慣れ親しんだ曲。

5、6、7……徐々に点灯していくランプも、それを物語っています。

20を出せば合格のようですが……そうは問屋が、もといモノっちーが卸しません。

968: 2019/07/07(日) 00:07:37 ID:pmx5RS/M
突然、上から水が降ってきたり。

ステージに向かって、サイリウムが投げ込まれたり。

パフォーマンスを失敗させようと画策しますが……それでもせつ菜は動じません。

水を受けても意にも介さず、投げ込まれるものは踊りながら次々跳ね返します。

17、18、19……サビに来て、ランプが一気に点灯します。

そして、いよいよ歌い終わるといったところで。

ガン!

せつ菜が跳ね返したサイリウムの1つが、ランプに当たってしまいました。

途端に、彼女を囲っていたトラバサミが閉じて行き──

真っ赤に染まったステージ、ぐったりと動かなくなったアイドル。

20と書かれたランプはひび割れ、0の文字だけになっていました。

969: 2019/07/07(日) 00:08:29 ID:pmx5RS/M
歩夢「……」

歩夢(全てが終わったと分かった時には、私は膝から崩れ落ちていた)

歩夢(全身が、無力感で包まれるような……)

歩夢(まだ、話したいことだっていっぱいあったのに)

歩夢(逆に、訊きたいことだって沢山残っていたのに)

歩夢(せつ菜ちゃんは……居なくなってしまった)

しずく「いつまで……こんな残酷なこと、続けるんですか……」

モノっちー「さあネ? いつかは終わらせなきゃいけない時が来るけど……」

モノっちー「そのいつかは、少なくとも今すぐなんてものじゃあないだろうネ」

モノっちー「うけけけけけ……」

970: 2019/07/07(日) 00:09:13 ID:pmx5RS/M
歩夢(モノっちーの高笑いは、しばらく続いた)

歩夢(疑問、怒り、哀しみ……私たちが抱いていたありとあらゆる感情を無視して)

歩夢(私たちが裁判場を去るまで……ずっと続いた)

971: 2019/07/07(日) 00:10:15 ID:pmx5RS/M
────夜時間前、食堂

ダイヤ「『コウサカホノカと、その仲間に気を付けて』」ボソッ

歩夢「えっ……?」

ダイヤ「果南さんの部屋を調べていた時に……見つかったメモです」

ダイヤ「鞠莉さんもこのことは知っていますが……あなたには知らせておくべきだろうと」

歩夢「……」

歩夢(私たちの感情を置き去りにしていくのは、モノっちーだけじゃない)

972: 2019/07/07(日) 00:11:02 ID:pmx5RS/M
────夜時間、学生寮・鞠莉の部屋

ピンポーン

ガチャリ

千歌「……」

鞠莉「こんな時間に何の用かし──」

バチバチィッ

鞠莉「づぁっ……!?」

鞠莉(スタン……ガン……!?)

バタン

千歌「……」

973: 2019/07/07(日) 00:12:03 ID:pmx5RS/M
歩夢(コロシアイ学園生活という物語そのものも、終わりに向けて動き始めていた)

歩夢(そして私たちは、経験することになるんだ)

歩夢(絶望に満ち溢れた、最後の事件を──)

974: 2019/07/07(日) 00:12:46 ID:pmx5RS/M
Chapter4 END



To be continued……


プレゼント“薔薇と羽根の髪飾り”を獲得しました。

978: 2019/08/23(金) 19:18:37 ID:.D1apNcw
「……」

(■■ちゃんも、■■■ちゃんも……それに、■■ちゃんも)

(みーんな、死んじゃった)

「……」

(もう、いいよね)

(コロシアイを終わらせちゃっても)

(だって、このコロシアイを始めたのは……)

「……私なんだから」


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