穂乃果(24)「ありがとうございました、またのお越しを~!」【長編SS】

AqoursーSS


380: 2020/08/28(金) 00:41:40.37 ID:0m73JMRC
after episode(後)「僕らのLIVE 君とのLIFE」

軍人1「お疲れ様です!」

軍人2「おう、交代の時間か」

軍人1「なにか異常は?」

軍人2「異常なんてありゃしねぇよ」

軍人2「ったく…このデカブツの警備に使うコストほど、もったいないものはねぇな」

軍人3「まったくだ。上はいつになったら、こいつを処理する気になるのかねぇ…」

軍人4「めちゃくちゃになった都民の生活をなんとかするのに手一杯なんだろう」

軍人3「だったら尚更だ。とっととこんなの廃棄処分して、そっちに人員を割けばいいじゃねえか」

軍人4「都民の生活の援助…と言えば聞こえはいいが、ほんとのところ、どう処理すればいいのかわからないんだろうな…」

軍人2「どういうことだ?」

軍人4「末端の俺たちには知らされていないが…」

軍人4「こいつには原子力エネルギーが使われてるって話だ」

軍人2「…!なるほどなぁ…そういうことかよ」

軍人3「迂闊に手は出せねぇってことか」

軍人2「それにしたって、デカブツがビルに突っ込んでる姿は異様だ」

ロボット「」

軍人3「不気味だねぇ…」

381: 2020/08/28(金) 00:50:20.53 ID:0m73JMRC
軍人1「あ、あの…」

軍人2「ん?どうしたぁ?」

軍人1「い、今…こいつ…動いたような」

軍人2「はっ!そんな馬鹿なことがあるか」

軍人2「こいつを動かしてたのは“あいどる”なんだ、その“あいどる”は死んだ。動くわけが…」

ウィーーン…

軍人2「え?」

ギギギギ…

ドスンッ…ドスンッ…

軍人1「う、うわあああ…!!!」バババババ!!!

軍人3「ば、馬鹿野郎!!」バッ

軍人1「ぐえっ…え、え!?」バタッ

軍人3「撃ってんじゃねぇよ!」

軍人1「な、なぜですか!?」

軍人3「こいつの話を聞いてなかったのか!?あのデカブツには原子力が使われてんだぞ!?」

軍人1「じゃ、じゃあどうすれば…」

軍人4「……どうもしなくていい」

軍人1「え?」

軍人4「見ろ、俺たちには一瞥もくれない…既にあんなところまで…」


ドスンッ………ドスンッ………


軍人4「俺たちを〇すことが目的じゃないらしい…」

軍人2「何か別に目的が?」

軍人4「らしいな…」

軍人4「俺たちは報告だけして、上の指示が出るまで待機だ…いいな?」

軍人1「は、はい…」

382: 2020/08/28(金) 01:02:23.79 ID:0m73JMRC
~音ノ木坂学院~

タッタッタッ…

絵里「はぁはぁ…どう?あった?」

真姫「全然見当たらないわ…リモコンなんて本当にあるの?」

にこ「あんた、秋穂を疑ってんの…!?」

真姫「そうじゃないけど…秋穂も根拠がないのに学校にあるって言ったんでしょ…?」

にこ「そ、それは…」

花陽「……秋穂ちゃん、大丈夫そう?」

ことり「うん…今は保健室で眠ってる…」

海未「無理が祟ったんでしょう…」

希「……秋穂ちゃんが軍の人に連れて行かれた後も、ウチら、ずっと探してるけど見つかってない」

真姫「一口に学校と言っても、これだけ広いんだし……闇雲に探すのは限度があるわね……」

凛「……学校にあるってこと以外で、秋穂ちゃんは何か言ってなかった?」

ことり「うーうん…音ノ木坂学院にリモコンがあるとしか言ってなかった…」

8人「………」

383: 2020/08/28(金) 01:12:59.75 ID:0m73JMRC
ことり「部室棟は…?」

凛「そこは凛が探したよ?でも、何もなかった…」

ことり「なら、講堂は…」

海未「講堂と弓道場付近は私が探しました……ですが、おかしなものは何も……」

絵里「………」

希「……?どうしたの、絵里ち?」

絵里「いえ……冷静に考えて、リモコンなんて存在するのかしら?」

真姫「どういうことよ?」

絵里「ロボットは既に動き始めている……でも、秋穂は音ノ木坂にリモコンがあると言った……」

絵里「……ロボットが動いている理由はなに?」

にこ「それは……ここに来るため?」

絵里「なぜ?」

にこ「え…し、知らないわよ…そんなの…」

絵里「……にこの言う通り、ロボットが音ノ木坂を目掛け、やって来ているのは間違いない……」

絵里「もしかして、秋穂が見たのはロボットのリモコンなんかじゃなく…もっと別の何かなのかもしれない…」

花陽「別の何か…?」

384: 2020/08/28(金) 01:25:43.00 ID:0m73JMRC
にこ「なんでそんなこと考える必要があるのよ?」

にこ「“あいどる”の信者がリモコンを持って学校にいる。ロボットを動かしてるその子のことを秋穂は言ったのかもしれないじゃない…!」

海未「いえ、それはありえません……。“あいどる”が死ぬ前に自ら全てを暴露した以上、彼女の残党がいるのは考えにくいです」

希「仮に、にこっちの言う通りだとして、なんでロボットが音ノ木坂に来ようとするのか説明できないよ」

にこ「……あいつら、私たちを目の敵にしてるのよ?」

にこ「学校を潰して…私たちの悲しんでる顔が見たいのよ!」

ことり「……本当にそれが目的なのかな」

にこ「だってそうとしか考えられないじゃない…!」

花陽「もし、本当にそうなったとして…“あいどる”は勝った気になるのかな…」

にこ「………」

海未「……いえ、にこの言う事もあながち間違いではないように思います」

凛「残党がロボットを操ってるって話?」

海未「ではなく…学校を破壊することがです」

海未「それが、目的の一つなのでは…?」

真姫「学校を破壊することは二の次で、真の目的があるってことね…?」

海未「はい。ですが、やはりその真の目的がわかりません…」

385: 2020/08/28(金) 01:41:53.69 ID:0m73JMRC
絵里「………」

絵里「……っ!……中性子爆弾?」

ことり「え?」

にこ「あっ……」

にこ「まさか、ここで爆発させるつもり…!?」

凛「中性子爆弾…?どういうこと?2人とも…」

絵里「秋穂が言っていたのはロボットのリモコンじゃなくて……中性子爆弾の起動リモコンのことかも……」

ことり「そういえば秋穂ちゃん、スイッチがあるって言ってたような…」

凛「今からそれを探すの?」


ズドーーンッ!!!


8人「…!!」


ズドーーンッ!!!


海未「もう、すぐそこまで…」

絵里「すぐに探さないと…」

凛「でも、いったいどこに…」

花陽「放置してた場所から考えて……ロボットが正門側から来るのは間違いない」

花陽「……校舎裏?」

希「どうしてそう思うの?」

花陽「校舎を破壊すること以外に目的があるなら、それをやることが先決なはずだから…」

絵里「……探してない校舎裏の箇所は?」

真姫「体育館、特別棟、屋内プール、テニスコート、アルパカ小屋、それと……中庭」

絵里「そう……よし、手分けして探すわよ!!」

386: 2020/08/28(金) 01:54:51.71 ID:0m73JMRC




秋穂「ホギャアアア~!!」

穂乃果「っとと!泣かないで秋穂~!」

穂乃果「ほら、おばちゃんだよ~!!」

~~~~~~~~~~~……………ズゥン

秋穂「いぇ~い♪」

秋穂「なんで聞いてくれないんだろうね、いい曲なのに」

穂乃果「ね、いい曲なのにね」

秋穂「秋穂、全部歌えるよ!」

~~~~~~~~~~~…………ズゥーン

穂乃果「人は人生に一度、ゼッタイにやらなきゃいけない事がある」

穂乃果「おばちゃんね、絶対に帰ってくる、約束する」

穂乃果「泣かないで待っててられる?」

秋穂「……グスンッ、うん」

~~~~~~~~~~~………ズゥーーンッ

雪穂「秋穂……絶対……幸せになってね」

~~~~~~~~~~~……ズゥーーンッッ

穂乃果「帰ってくるって言ったでしょ?」

~~~~~~~~~~~…ズゥーーーンッッッ

「中庭……」ボソッ





ズドォォォーーンッッッッ!!!!!

秋穂「……ッ!!」

387: 2020/08/28(金) 02:02:47.27 ID:0m73JMRC
秋穂「はっ…!!」ガバッ

秋穂「……っつ」ビリッ

秋穂「ここは……?」キョロキョロ

ツバサ「あら、起きたの?」

秋穂「ツバサ…?」

秋穂「ここ、学校…?」

秋穂「あれ、夢…?」

秋穂「今の地響きは…?」

秋穂「あの時と一緒だった…」

秋穂「また、あの地鳴りのような音が聞こえた気がして…」

ズドォォォン!!!

秋穂「!!」

ツバサ「また、動き出したみたいね…」

秋穂「ちがう……やっぱり、気のせいなんかじゃない……」

秋穂「カーテンを…!」ダダダッ

秋穂「はぁ…はぁ…まさか…」

シャアァァ…!

秋穂「まさか…!!」


ドスンッ…ドスンッ…ドスンッ…!!!


秋穂「……あ、あぁ」

秋穂「……っ!」ダッ

タッタッタッ…

ツバサ「……落ち着きがないところ、そっくりね」

388: 2020/08/28(金) 02:09:13.48 ID:0m73JMRC
凛「……っ、どこにもない」

タッタッタッ…

凛「……にゃ?」

秋穂「はぁ……はぁ……!」

凛「秋穂ちゃん!?」

海未「あ、秋穂…!あなた、何やって…」

ことり「秋穂ちゃん、身体はもう大丈夫なの…?」

秋穂「また…」

真姫「……?」

秋穂「またアレが……またあの時みたいに穂乃果おばちゃんを連れ去っていく……」

秋穂「やだ………やだ………」ブルブル…

秋穂「っ、やめてーーー!!!」ダッ

ガシッ!!

秋穂「……っ!!」

海未「ま、待ちなさい!!」

海未「どこに行くつもりですか!?そんな身体で…!!」

凛「あ、秋穂ちゃん落ち着いて~!!」

秋穂「……っ」グググッ

秋穂「決まってる…!あのロボットを止めに行くの…!」

にこ「無理に決まってるでしょ…!そんな病み上がりの状態で…!」

389: 2020/08/28(金) 02:14:31.43 ID:0m73JMRC
秋穂「離してッッ!!」

真姫「ぐぅ~…!!」

ことり「ダメ~…!!」

グググッ…!

秋穂「~~ッ!!」

秋穂「……あっ」フッ

凛「…!!おっとっと…」パシッ

秋穂「………」

海未「秋穂…?秋穂…!」

秋穂「……わかったの」

希「何がわかったの?」

秋穂「リモコンの場所……」

秋穂「……中庭」

秋穂「中庭にある……」

絵里「中庭ね…?」

絵里「みんな…中庭を集中的に探しましょう」

絵里「……秋穂」

秋穂「絵里おばさん……なに?」

絵里「それは誰に教えてもらったの?」

秋穂「……夢」

秋穂「夢の中で……」

絵里「………」

390: 2020/08/28(金) 02:21:34.77 ID:0m73JMRC
にこ「ないわよ~!リモコンなんて…!」

希「にこっち!そんなこと言わずにとにかく探して…!」

秋穂「絶対、中庭にあるはず…」

秋穂「……ん?」

秋穂「……」サッサッ

秋穂「これ……」コンコンッ

秋穂「この地面、なにかおかしい…!」

ダダダッ!

絵里「どういうこと?何が変なの?」

秋穂「叩いたら変な音がするの…」コンコンッ

真姫「……秋穂」

秋穂「どうしたの真姫おばさん?」

真姫「それ…シートがかかってるだけだわ」

真姫「めくってみなさい」

秋穂「えっ……あっ、本当だ」

秋穂「……!!」

グイッ…!

391: 2020/08/28(金) 02:26:01.26 ID:0m73JMRC
海未「……なんですかこれは?」

秋穂「スイッチ……」

秋穂「……人が乗ったくらいじゃビクともしない……もっと大きい物が乗らないとダメ……」

花陽「……ロボット?」

秋穂「え?」

絵里「これがロボットの胴体にある中性子爆弾の……」

にこ「……起爆スイッチってことね」

秋穂「……!!」


ズドォォォオォン…!!!


グラッ…!!

秋穂「うわっ…!!」バタッ


ズドォォォオォン…!!!

392: 2020/08/28(金) 03:05:07.11 ID:0m73JMRC
ことり「もう、間に合わない…」

海未「秋穂、ここから離れますよ…!」

秋穂「……れろ!壊れろ!!」ガンッ

海未「秋穂…?」

秋穂「壊れろ!壊れろ!」ガンッ!ガンッ!

海未「秋穂…!」

秋穂「ダメだ……壊そうとしてるのに!!このスイッチ壊そうとしてるのに……!!」

秋穂「私……なんにも出来ない……」

秋穂「おばちゃん達を助けることも……みんなを守ることも……なんにも……」ジワッ…

秋穂「私なんか……なんの役にも立たない……」

秋穂「……っ」ポタッ…ポタッ…

にこ「秋穂……」

海未「………」

393: 2020/08/28(金) 03:15:30.44 ID:0m73JMRC
ギュッ…

海未「バカですね…」

秋穂「ヒッグ…グスッ…」

海未「あなたには…ずっと助けられっぱなしです…穂乃果がいなくなってから、ずっと…」

海未「あなたがいたから…私は…」

海未「……あなたはみんなの宝物です。でも、それはあなたに何か特別な力があるからじゃありません」

海未「ただ、あなたが大事なだけ…」

秋穂「だけど……だけど……」

ギューー…

海未「……今、ここに残ることは勇気なんかじゃありません」

海未「ただの無茶です……」

海未「無茶は許しません……」

秋穂「でも、私が戦わないと……」

海未「……勇気と無茶は別物です」

海未「……私は、守らないとダメなんです」

海未「あなたは雪穂の子…」

海未「でも、今は…私の娘なんです」

海未「穂乃果から預かった、大事な娘なんです…」

秋穂「………」

海未「穂乃果もあの時に言っていたでしょう?お願いだから、誰も死なないで……と」

秋穂「……グスッ」

海未「さぁ、行きましょう…ここにいたら踏み潰されてしまいます」

秋穂「……っ」ポタッ…ポタッ…

394: 2020/08/28(金) 03:24:42.86 ID:0m73JMRC
ズゥゥゥン…!ズゥゥゥン…!


凛「これをロボットに踏まれたら…世界は…」

ことり「だけど…もう、どうしようも…」

ザッ…

ことり「!!」

穂乃果「はぁはぁ…間に合った」

秋穂「穂乃果おばちゃん…」

海未「穂乃果…」

穂乃果「さて……なんとか学校を守らないと」

にこ「学校って……あんた、そんなこと言ってる場合!?」

にこ「学校は疎か……世界が滅ぶのよ!?」

穂乃果「この中庭の起爆スイッチ……位置は校舎裏」

穂乃果「このままアレが直進したら、正門から入ってきて、これを踏む前に校舎が踏み潰されちゃう」

絵里「………」

穂乃果「……そんなことさせない」

希「先にロボットを操縦してる人間をなんとかしないとダメなんじゃ…」

穂乃果「そんな人いないよ」

希「え?」

穂乃果「いや……あそこにいるけど、いないんだ……」

花陽「あそこって……屋上?」

真姫「……どういうことよ、穂乃果」

395: 2020/08/28(金) 03:33:08.90 ID:0m73JMRC
にこ「……止める手立てはあるの?」

穂乃果「え……?」

穂乃果「……さぁ?」

花陽「さぁ?って……それじゃ絶対敵わないよ!!」

穂乃果「そう?」

穂乃果「A-RISEにだって……私たち、敵わないと思った」

穂乃果「今、ロボットにも敵わないと思ってる。だけど、やってみないとわからないよ…!」

真姫「……歌って踊るのとは訳が違うのよ?」

穂乃果「同じだよ」

穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん」

海未「え?は、はい?」

穂乃果「No brand girlsってどういう意味なの?」

海未「なんですかいきなり…」

海未「……無名だった私たちへ期待を込めて、その勢いのままいけるように……と」

穂乃果「そっか……」

穂乃果「私たちは有名に慣れたよね」

穂乃果「……私たちは」

穂乃果「……ね?真姫ちゃん」

真姫「なにが言いたいの?」

穂乃果「壁は壊せるし…倒せるんだって」

穂乃果「……予言には予言だよね」

穂乃果「向こうがそう来るんなら、こっちだって負けてられないよ…!」

穂乃果「未来を見るんだ」

穂乃果「私たちは……」

穂乃果「勇気で……!」

396: 2020/08/28(金) 03:37:09.73 ID:0m73JMRC
穂乃果「さて…!じゃあ止めてくるよ…」ザッ

秋穂「ま、待って!穂乃果おばちゃん…!」

穂乃果「秋穂はそこにいて…!」

秋穂「…ッ!」

穂乃果「……これは私たち音ノ木坂学院の生徒の問題」

絵里「穂乃果」

穂乃果「……?」

絵里「私も行くわ」

穂乃果「いや…絵里ちゃんもここにいて」

絵里「なに言って……あなたを1人で行かすなんて」

穂乃果「私がダメなら絵里ちゃんが」

絵里「……!」

穂乃果「絵里ちゃんもダメならことりちゃんが」

穂乃果「それでもダメなら海未ちゃんが」

穂乃果「次は凛ちゃんが、真姫ちゃんが、希ちゃんが、花陽ちゃんが、にこちゃんが」

穂乃果「……とにかく踏み潰させちゃダメ」

穂乃果「ここは……私たちの母校なんだもん」

397: 2020/08/28(金) 03:40:58.87 ID:0m73JMRC
穂乃果「」ダッ

秋穂「あっ…!穂乃果おばちゃん…!」

ことり「穂乃果ちゃんっ…!」

ダダダダッ…

秋穂「……行っちゃった」ガクッ

海未「秋穂……」

海未「……っ」ギュッ

にこ「……あんたの方が賢いわ、秋穂」

秋穂「え…?」

にこ「穂乃果と違って、聞き分けよかったでしょ?さっき…」

にこ「……帰ってきたら、言ってやんなさい」

にこ「勇気と無茶は別物だって」

海未「にこ……」

秋穂「にこおばちゃん……うん」

398: 2020/08/28(金) 03:45:43.48 ID:0m73JMRC
真姫「それにしてもあの子、どう止めるつもりなの?」


ズドンッ!ズドンッ!


ことり「中から何かするつもりなのかな…?」

海未「何かを持っているようには見えませんでしたが…」


ズドンッ!ズドンッ!


凛「まだ、ロボットには何も起きてない……穂乃果ちゃんは……」

希「血の大晦日の時みたいに……あのぶら下がってる紐をロープ代わりにして、操縦席まで行ってるはず……」


ズドンッ!ズドンッ!


ことり「まだ、何も起きない…」

凛「穂乃果ちゃんに……何かあった?」

絵里「……穂乃果」

399: 2020/08/28(金) 03:50:05.46 ID:0m73JMRC
ズドォォォン…ズドォォォン…!

ズドォォォン…グググ…!


秋穂「……あっ」

にこ「ロボットの片足が上がった…!」

希「まさか穂乃果ちゃん、こけさすつもりなん!?」

凛「でも、自分が中にいる状態でそんなことしたら!!」

秋穂「……おばちゃん」

秋穂「穂乃果おばちゃんッッ……!!」


グググ…!!

グググググググ…!!!

グラッ…


秋穂「あ……」


ッッッドシャアアァァーーーーン!!!!!!!

400: 2020/08/28(金) 03:54:33.60 ID:0m73JMRC
ビュウゥゥゥ…!!!

秋穂「ぐっ……!」

絵里「うっ……!」

希「……どうなった?」

タッタッタッ…

モク…モク…モク…モク…

真姫「……学校に上がる階段の手前で倒したのね」

花陽「ギリギリだったんだね……」

にこ「……倒せるってそういうこと?」

にこ「バカ穂乃果……」

にこ「物理的に倒すんなら……別に、にこでもよかったじゃないッ……!」

401: 2020/08/28(金) 04:01:13.79 ID:0m73JMRC
ことり「穂乃果ちゃんは…?」

秋穂「…!!」ダッ

海未「あっ…秋穂…!」

秋穂「そんな…!そんな…!」ダダダッ

モク…モク…モク…モク…

秋穂「……おばちゃん!私、ここにいるよ……!」

海未「秋穂……ここから先は、土埃が酷くて……」

秋穂「……そんな……穂乃果おばちゃん……なんで……」

海未「………」

真姫「秋穂……」

モク…モク…モク…モク…

秋穂「グスッ…もうやだよ…離れ離れなんて…もう…」

秋穂「なんで…こんな…」

モク…モク…モク…

モク…モク…

花陽「……あっ」

凛「……?どうしたの?」

花陽「あれ……」

希「え?…っ!!」

402: 2020/08/28(金) 04:07:34.67 ID:0m73JMRC
ポンッ

秋穂「……?」

絵里「秋穂、あれ」

にこ「目、凝らしてみなさい?」

秋穂「……え?」

秋穂「……」ジー

モク…モク…モク…ボヤァッ…


穂乃果「ゲホッ…ゲホッ…」


秋穂「……!!」

秋穂「おばちゃん……」


穂乃果「……えへへ」ニッ…


秋穂「穂乃果おばちゃん……!」ダダダッ…!

秋穂「……!!」バッ

ダキッ…!

穂乃果「~~ッッ!」ギュゥ…

410: 2020/08/30(日) 15:26:15.64 ID:0A94rcKJ
ホノカ~!!

ホノカチャン~!!





ツバサ「………」

ツバサ「……また、あなたが学校を守ったわね」

ツバサ「……やるべき事は復讐なんかじゃなく、みんなを守る事だって……言ってたわよね」

ツバサ「本当、変わらないのね」

ツバサ「信じてる……待ってるって言われたんだもの……」

ツバサ「私も……腹を括るしかなさそうね」クルッ

ツバサ「」スタスタスタ…

411: 2020/08/30(日) 15:32:41.12 ID:0A94rcKJ
タッタッタッ

軍人達「こっちだ!!急げ!!」

軍人達「……!?」

軍人達「こ、これは……いったい……?」


モク…モク…モク…モク…


穂乃果「さて……」スッ

秋穂「……?」

穂乃果「………」スタスタ

秋穂「ほ、穂乃果おばちゃん、どこ行くの…!?」

穂乃果「……私、まだ、やらないといけないことがあるんだ」

秋穂「やること…?」

穂乃果「うん、だから…」

花陽「穂乃果ちゃん」

穂乃果「花陽ちゃん…?どうしたの?」

花陽「覚えてるかな?あの年の大晦日に私が言ったこと」

花陽「……勝てたらみんなで……μ'sとしてまた、歌って踊りたいな……って」

花陽「……どうかな?」

穂乃果「……うん」

穂乃果「そうだね…私もやりたい」

412: 2020/08/30(日) 15:41:28.28 ID:0A94rcKJ




-数日後-

ワーワー!!キャッキャッ♪

穂乃果「ここの公園……昔、みんなでよく遊んだよね」

ことり「そうだねっ♪」

穂乃果「私たちが何も考えずに遊んでる時、大人の人がベンチに座って見守ってくれてたけど…」

穂乃果「……今は私たちがこっち側だね」

海未「………」

穂乃果「……?海未ちゃん?どうしたの?」

海未「……せっかく、今日、μ'sとして久しぶりにライブをするというのに……なぜ、またあんなところに……」

穂乃果「そう言わないでよ……ライブには絶対間に合わせるからさ」

海未「……信用なりませんね」

穂乃果「えぇ…!そ、そんなぁ~…!」

ポーン…ポーン…

穂乃果「ん?」

子供「おーい!おばちゃん、ボール取ってー!」

穂乃果「いいよ~!」

穂乃果「はいっ…!」ビシュッ

子供「ありがとう~!」

413: 2020/08/30(日) 15:52:39.58 ID:0A94rcKJ
穂乃果「……ま、安心してよ、遅刻はしないから」

海未「……だいたい……また、あそこに行って……あなた、何をしてくるつもりなんですか?」

穂乃果「……μ'sを結成して、μ'sのメンバーであれたことが……本当に良かったか……確認するため」

ことり「………」

穂乃果「それと、私……謝らないといけないんだ」

ことり「謝るっ…?」

穂乃果「うん…今さら謝ったってどうにもならないけどね…」

穂乃果「もしも……もしも、私が約束を覚えていたら」

穂乃果「もしも……もしも、私がμ'sを作らなかったら」

海未「……もしももしもと言っても仕方がないでしょう」

穂乃果「………」

ことり「……穂乃果ちゃんの言う約束がなんのことかはわからないけど……ハッキリしてることが一つだけあるの」

ことり「μ'sがいなかったら……学校は……廃校になってた……って」

穂乃果「………」

414: 2020/08/30(日) 15:57:47.25 ID:0A94rcKJ
海未「……ことりの言う通りです。私たちは、ただただひたむきに頑張っただけです」

海未「後悔することなんて……」

ことり「……穂乃果ちゃん、わかったの?誰が“あいどる”か……」

穂乃果「………」

ことり「……?穂乃果ちゃん?」

海未「穂乃果……もしかして、あなた、誰が“あいどる”か知っていたんじゃないですか?」

穂乃果「………」

穂乃果「……ことりちゃん」

ことり「ど、どうしたの?」

穂乃果「ツバサさんの行方は?」

ことり「うん……まだ、見つかってないって……」

ことり「穂乃果ちゃんがロボットを倒す前までは保健室にいたんだけど……」

穂乃果「……そっか」

415: 2020/08/30(日) 16:09:02.70 ID:0A94rcKJ
ドサッ!

ことり「ん?」

子供「いって~!!膝擦りむいた~!!」

ことり「わわっ!大丈夫~?」タタッ…

穂乃果「………」

穂乃果「……海未ちゃん、色々迷惑かけてごめんね」

海未「な、なんですか、いきなり…」

穂乃果「いや、いつも待たせちゃってるし…」

海未「………」

海未「昔、お婆上様が言っていました、いつも私は待たされてばかりで……」

海未「……海未も待たされて散々だったねぇって」

海未「本当に……いつも遅刻ギリギリなんですから」

穂乃果「えへへ……」

海未「あなたと、この空は……いつでも同じままですね」

穂乃果「……うん、そうだね」

416: 2020/08/30(日) 16:18:59.39 ID:0A94rcKJ




~“あいどるランド”~

プロファイラー「……くれぐれも今度は途中で抜け出さないようにお願いしますよ」

穂乃果「わかったってば~…」

プロファイラー「……アトラクションへ入る前に聞いてもいいですか?」

穂乃果「なにを?」

プロファイラー「なぜ、もう一度ここへ入ろうと?」

プロファイラー「最後のページの意味は解明出来ました……軍としては入る理由が見当たりません」

プロファイラー「ロボットを倒した功労者、穂乃果さん達ての希望なので……上はなんとか説き伏せましたが……」

穂乃果「……ちゃんと話してないんです。あの時以来」

穂乃果「最後にちゃんと話したのは2018年……30年前」

プロファイラー「……何か私たちでは介入出来ない事情がおあありのようですね……これ以上は聞きません」

軍人「準備、出来ました!いつでもいけます!」

プロファイラー「わかった」

プロファイラー「では、穂乃果さん…いきますよ」

穂乃果「うん、お願い…」

ビリッ……ビリビリ……!

穂乃果「…っ」

プロファイラー「」ポチッ

穂乃果「うっ…!!」

グルッ!!ギリリリリリ!!ギュルルルル!!ギュルン!!

417: 2020/08/30(日) 16:25:16.08 ID:0A94rcKJ




(穂乃果)「……っ」パチッ

ジ…ジジジ…

(穂乃果)「……暗い」

タッタッタッタッ!!

(穂乃果)「ん…?」

穂乃果「ひぃ~!!やっぱり、この時間はもう寒いや~!」

穂乃果「……って、あれ?お姉さん?」

(穂乃果)「んっ…元気?」

穂乃果「はいっ!それはもうすっご~~く!!元気です!!」

穂乃果「1年ぶりですね!何やってるんですか?こんなところで…!」

(穂乃果)「うん…ちょっとね。あなたは?」

穂乃果「私は屋上に忘れ物しちゃって、取りに戻って来たんです!」

(穂乃果)「そっか…」

(穂乃果)「…屋上、誰かいなかった?」

穂乃果「え?いや…見てないなぁ~…」

穂乃果「誰かと待ち合わせしてるんですか?」

(穂乃果)「…ま、そんな感じなのかな…」

418: 2020/08/30(日) 16:30:14.20 ID:0A94rcKJ
穂乃果「ということはやっぱり…!」

(穂乃果)「…やっぱり?」

穂乃果「お姉さんって、ここの卒業生ですか…!?」

(穂乃果)「……うん、そうだよ、よくわかったね」

穂乃果「えへへ!そりゃあ、こんなに頻繁に出入りしてたらわかりますよ~!」

穂乃果「そうだ!私たち、もう少しで大会なんです!ラブライブがあるんです!」

穂乃果「お姉さん、ファンだって言ってくれてたから…」

穂乃果「私とことりちゃんと海未ちゃんにとっては最後の大会…もうμ'sではないけど…」

穂乃果「お姉さん、応援してくれますか…!」

(穂乃果)「……うん、もちろんだよ」

穂乃果「…っ!!わーい!やったー!」

419: 2020/08/30(日) 16:33:20.45 ID:0A94rcKJ
穂乃果「あっ…そうだ!話は変わっちゃうけど…」

穂乃果「私!大学、決まったんです!推薦だけど…」

穂乃果「勉強、すっごく頑張ったんです…!!」

(穂乃果)「そうなの?おめでとう」

(穂乃果)「これで思う存分、ラブライブに集中できるね」

穂乃果「はい!!」

(穂乃果)「………」

(穂乃果)「……あのさ」

穂乃果「はい??」

(穂乃果)「あなた、約束覚えて……」

穂乃果「約束…?」

(穂乃果)「……いや、なんでもないや」

穂乃果「……?」

420: 2020/08/30(日) 16:37:20.61 ID:0A94rcKJ
(穂乃果)「ごめんね、寒いのに、こんな踊り場で立ち止まらせちゃって…」

穂乃果「い、いえいえ!むしろ私が勝手に喋ってただけだし…!」

穂乃果「それより、絶対ラブライブ見てくださいね!私たち、頑張るから…!」

(穂乃果)「……うん、もちろん」

穂乃果「それじゃあ!またね、お姉さん…!」ダッ

(穂乃果)「……穂乃果ちゃん!」

穂乃果「……!」ピタッ

穂乃果「なんですか?」

(穂乃果)「……ここから、色々あって大変だけど……頑張ってね」

穂乃果「……えへへ」

穂乃果「はい!もちろん!」

(穂乃果)「………」

421: 2020/08/30(日) 16:39:14.92 ID:0A94rcKJ
マタネ~!!

穂乃果「………」フリフリ

穂乃果「……さてと」

コツ…コツ…コツ…

穂乃果「……行くよ」

穂乃果「」スッ

ガチャリ…

422: 2020/08/30(日) 16:48:18.72 ID:0A94rcKJ
ビュゥゥー…

穂乃果「………」

バタンッ…

「……秋風って感じだねぇ」

穂乃果「……そうだね」

「懐かしいねぇ……昔はあんたがこうやって大の字になって寝てたっけ」

「それで、私がそこから入ってきてさ……」

穂乃果「………」

「……そっかぁ、あんたが来たって事は……」

「死んだんだ……私」

穂乃果「……うん」

「……そっか」

穂乃果「……っ」

穂乃果「話をしたいって思ってた。ちゃんと話をして……どうしてこうなったのか……一緒に……話を……」

穂乃果「でも、まずは……謝りたいの」

「……今さら謝っても何にも起きないよ。変わらないよ」

穂乃果「それでも……」

穂乃果「……ごめん」

穂乃果「本当に……ごめんね……」

穂乃果「ごめんなさい……」

穂乃果「……ッッ」

穂乃果「ヒデコ……」

「……まったく」

ヒデコ「……変わんないって、言ってんのにさ……」

439: 2020/09/03(木) 10:57:57.36 ID:PKm9IjS3
穂乃果「………」

ヒデコ「……なにしてんの?」

ヒデコ「こっち来て座んなよ。話したかったんでしょ?」

穂乃果「……うん」スタスタ

穂乃果「」スッ…

穂乃果「………」

ヒデコ「あんた、よく分かったね……私の残留思念がここにあるって」

穂乃果「……きっと、ここにいるだろうなって思って」

ヒデコ「そっか……」

ヒデコ「私、8月3日途中までの記憶しかないよ?」

穂乃果「……昔に見たヒデコの亡骸、あれは……」

ヒデコ「あぁ……あれ、ダミーだよ。私じゃない」

穂乃果「……そうなんだ」

440: 2020/09/03(木) 11:10:40.37 ID:PKm9IjS3
ヒデコ「いやぁ…しかし、私が死ぬとは思わなかったなぁ」

ヒデコ「なんでこうなっちゃったんだろうねぇ…」

穂乃果「……全部、約束を覚えてなかった私のせい」

穂乃果「私のせい……だけど……だからって、都民を……世界中の人たちを……あんなに大勢の人を〇す必要があったの……?」

穂乃果「……フミコとミカだって」

ヒデコ「!……ふぅん」

ヒデコ「わかってんだ、それも」

穂乃果「“るどいあ”の時は……フミコとミカもそうだったんでしょ……?」

ヒデコ「……あの2人だって、最初は私の意見に賛同してたんだよ」

ヒデコ「ただ、私との温度差があってさ……それには気付けなかったよ」

ヒデコ「ここまでやる必要は……って」

ヒデコ「……フミコは死んじゃったけど、ミカは何やってんだかね」

穂乃果「……ミカも死んだよ」

ヒデコ「えっ、うそ」

穂乃果「ミカが……ヒデコを〇したの」

ヒデコ「!!」

ヒデコ「へぇ……そっか」

441: 2020/09/03(木) 11:17:46.54 ID:PKm9IjS3
ヒデコ「……8月3日、花陽ちゃんが止めに来てくれたよ」

穂乃果「花陽ちゃんが?」

ヒデコ「私の正体に薄々気付いてたのかな」

ヒデコ「……一瞬、花陽ちゃんなら分かってくれるんじゃないかとも思った」

ヒデコ「自分なんかじゃアイドルになれないと思ってた花陽ちゃんなら……私のことが」

穂乃果「………」

ヒデコ「だけど、冷静に考えてみたら……わかるわけない」

ヒデコ「結局、アイドルになれた花陽ちゃんに……私のことなんて」

ヒデコ「……全部ハリボテだった」

ヒデコ「“あいどる”としてもハリボテ、やってきたことも全部」

ヒデコ「……全部、嘘っぱち」

442: 2020/09/03(木) 11:30:07.61 ID:PKm9IjS3
穂乃果「……ヒデコ」

ヒデコ「なに?」

穂乃果「μ'sを…恨んでる…?」

ヒデコ「当たり前。じゃなきゃ、あんな悪事働かないっての」

穂乃果「……なら」

穂乃果「なら、どうして、μ'sを〇さなかったの?」

ヒデコ「……は?」

穂乃果「μ'sを〇すチャンスはいくらでもあったはずだよね」

穂乃果「やり方だって…ヒデコ達の力があればどうとでも出来たはず」

ヒデコ「………」

穂乃果「結局、〇したのは私だけ……しかも、その私さえ生きてる……」

穂乃果「どうして?それをしなかった理由は…?」

ヒデコ「……昔、真姫ちゃんが言ったんだっけ」

穂乃果「……真姫ちゃんがなに?」

ヒデコ「穂乃果がいなければ、μ'sは終わりだって」

ヒデコ「私もそう思う…。そう思ってた…」

443: 2020/09/03(木) 11:41:18.17 ID:PKm9IjS3
ヒデコ「あんたさえ死ねば、μ'sなんて終わったも同然」

ヒデコ「だから真っ先にあんたを〇ったの」

ヒデコ「だけど、流石は伝説のスクールアイドルμ's、メンバーは粒揃いだねぇ…」

ヒデコ「中々しぶとくてね」

穂乃果「本当に〇す気があったの?」

ヒデコ「………」

穂乃果「……私は」

ヒデコ「勘違いするなッ…!!」

穂乃果「……!!」

ヒデコ「……穂乃果……私、本当にあんたを〇すつもりだったよ」

ヒデコ「でも、他の8人を意図的に生かしておいてあげたのは事実」

ヒデコ「その理由はさっき言った通り」

ヒデコ「あんたがいないμ'sなんて、μ'sとして終わりと思ったから」

ヒデコ「自分たちがどれだけ無力か知らしめてやるため……」

穂乃果「………」

ヒデコ「……ま、上手くはいかなかったけどね」

444: 2020/09/03(木) 11:54:58.85 ID:PKm9IjS3
穂乃果「……アキバドームにウィルスを撒こうとしたんだよね」

ヒデコ「そうだよ」

穂乃果「秋穂を〇そうとしたの?」

ヒデコ「うん、したよ」

穂乃果「ッッ!」

穂乃果「どうして…!?子供なんだよ、自分の…!!」

ヒデコ「産んだのは私じゃなくて、雪穂ちゃんだし」

穂乃果「……ッッ」

穂乃果「……そんな気持ちで……なんで、雪穂と子供を」

穂乃果「秋穂は……」

ヒデコ「遊びたかったの」

穂乃果「え?」

ヒデコ「私、μ'sと……穂乃果と遊びたかったの」

ヒデコ「だから、ウィルスも…雪穂ちゃんも…秋穂も…遊ぶための道具でしかない」

穂乃果「遊ぶ…そんなことのために…?」

ヒデコ「ふふふ……ねぇ、穂乃果……なんで私があの時、穂むらに行ったかわかる?」

ヒデコ「私が行かなかったら、あんた全く“あいどる”のことに関心示さなかったでしょ」

ヒデコ「私の話を聞いて、秋穂と出会って、私が死んで、“あいどる”のことに首を突っ込んだ」

ヒデコ「自分から巻き込まれに行ったんだよ、穂乃果は」

ヒデコ「まんまと私に乗せられたね」ニッ

穂乃果「………」

445: 2020/09/03(木) 12:08:29.34 ID:PKm9IjS3
穂乃果「……理解出来ない」

ヒデコ「あれ?自分のやったことを棚に上げて、私を責めるの?」

穂乃果「」ピクッ

ヒデコ「あんたが約束を忘れてなきゃ……」

穂乃果「………」

ヒデコ「……訳がわかんなかった」

ヒデコ「μ'sが無くなって、なんなのか……どうすればいいのかわかんなくなっちゃった……」

ヒデコ「だけど、穂乃果と……2人で曲を作って一緒に歌おうって約束して……救われた」

ヒデコ「でも、あんたはその約束以降、受験にかまけて……それを忘れた」

穂乃果「………」

ヒデコ「私が穂むらに行った時も……あんた、約束のことなんて微塵も覚えてなかった……全く思い出しすらしなかった」

ヒデコ「……悔しかった。私が存在する意味は?」

ヒデコ「……私たちがやってきたことはその程度?」

ヒデコ「私たちは……必要?不必要?」

穂乃果「……ヒデコ」

ヒデコ「いいよ、どうせ私たちは脇役だよ……一生、日の目を見ることのない……一生、スポットが当たることのない場所にいる……」

ヒデコ「……だから、私はなる必要があったの」

ヒデコ「真のアイドルに……」

ヒデコ「みんな平等に……誰も損をしない……そんなアイドル」

446: 2020/09/03(木) 12:17:50.60 ID:PKm9IjS3
ヒデコ「……なんて言っても、本当はわかってたんだ」

ヒデコ「μ'sに私たちが介入する余地なんかないって……」

ヒデコ「μ'sは、この9人だから……あの9人だから最高だったんだって」

ヒデコ「大勢の人間を〇した理由も……自分の力を誇示する……それだけのため」

ヒデコ「でもさ、穂乃果」

ヒデコ「私たちみたいな影にいる人間が不満を募らせると何が起きるか……いい勉強になったでしょ?」

穂乃果「………」

ヒデコ「……穂乃果?」

穂乃果「……約束を忘れてた私が言っても説得力がないかもしれないし……嘘に聞こえるかもしれないけど……」

穂乃果「どんなときもずっと……μ'sは……ヒデコ達のことを忘れたことなんて……無かったよ」

ヒデコ「……!」

447: 2020/09/03(木) 12:32:01.12 ID:PKm9IjS3
穂乃果「……ヒデコ」

穂乃果「昔の街並みを復元させたのはなんのため?」

穂乃果「……自分の思い出のため?」

穂乃果「それとも、私たちに何かを思い出させるため?」

ヒデコ「……わかりきったこと聞かないでよ」

ヒデコ「簡単な話。私はあの時の今が好きなの」

穂乃果「……じゃあ、やっぱり」

穂乃果「……山田先生が言ってた、ヒデコは一つ、大嘘をついてる……って」

ヒデコ「……秋穂は私にとって泥棒猫」

穂乃果「え?」

ヒデコ「私から穂乃果とμ'sを取っちゃういけない子だから」

穂乃果「………」

ヒデコ「……うふふ」

ヒデコ「秋穂がね、私にこんなこと聞いてきたの」

ヒデコ「μ'sが嫌いなの?って」

穂乃果「………」

ヒデコ「そっ……私が唯一バレたくなかった嘘」

ヒデコ「私が……」

ヒデコ「私が……誰よりも……!」

ヒデコ「μ'sを好きになってしまったんだよ…!」

448: 2020/09/03(木) 12:58:23.40 ID:PKm9IjS3
穂乃果「…うん」

穂乃果「ありがとう…」

ヒデコ「ねぇ…穂乃果、聞いていい?」

穂乃果「…なに?」

ヒデコ「あんたはなんで…アイドルになったの?」

穂乃果「私…?」

穂乃果「私は…学校のために歌を始めて…アイドルを始めた」

穂乃果「そして、みんなと出会って…一緒にラブライブを目指して…全力で走り続けて、絶対に手が届かないと思っていたものに手が届いた」

穂乃果「だけど、それは偶然そうなったんじゃなくて…思い切り夢中になれたから…そして」

穂乃果「…最高に楽しかったから」

ヒデコ「…そっか」

449: 2020/09/03(木) 13:54:41.42 ID:PKm9IjS3
穂乃果「」スッ

ヒデコ「…行くの?」

穂乃果「うん…みんなを待たせてるから」

ヒデコ「ねぇ、穂乃果…約束を忘れてたこと、悔やんでる?」

穂乃果「…うん…」

ヒデコ「…ならさ、私のお願い聞いてよ」

穂乃果「お願い…?」

ヒデコ「私が復元させた街並みにさ…あんたの実家もあるんだ」

ヒデコ「……またやってよ、穂むら」

穂乃果「………」

ヒデコ「それとさ……あの曲、歌ってほしい」

穂乃果「………」

ヒデコ「って、こんな〇戮者の曲、みんなの前で歌いたくないか」

穂乃果「……ヒデコの歌詞がみんなの希望の唄になってたんだよ」

ヒデコ「……!」

バタンッ

ヒデコ「……皮肉なもんだね」

450: 2020/09/03(木) 14:03:42.96 ID:PKm9IjS3




~音ノ木坂学院 講堂~

ザワッザワッ…

花陽「き、緊張してきちゃった…」

凛「もう~、かよちんが言ったんだよ?ライブやりたいって!」

絵里「……来ないわね」

にこ「穂乃果は間に合うの?」

希「そろそろ、μ'sの出番やけど…」

ことり「たぶん、あとちょっとで…って、あ!」

真姫「…やっと来たわね」

ことり「穂乃果ちゃ~ん!」

穂乃果「」スタスタ

海未「穂乃果」

穂乃果「……?」

海未「……ちゃんと謝れましたか?」

穂乃果「……うん」

海未「なら、よかったです…」

451: 2020/09/03(木) 14:19:46.94 ID:PKm9IjS3
穂乃果「………」

ボフッ

穂乃果「……!」

にこ「久しぶりにμ'sが9人揃って、この舞台でパフォーマンスするのに、そんな辛気臭い顔するんじゃないの!」

穂乃果「にこちゃん…」

にこ「ほら!」

穂乃果「うん…そうだね」

穂乃果「よし…!行こう…!」

サッ

穂乃果「1!」

ことり「2!」

海未「3!」

真姫「4!」

凛「5!」

花陽「6!」

にこ「7!」

希「8!」

絵里「9!」

9人「μ's!」

9人「ミュージックスタート!!!!!!!!!」

452: 2020/09/03(木) 14:26:53.41 ID:PKm9IjS3
『続きまして、本日のスペシャルゲスト、μ'sに登場していただきます』

ワー!!キャー!!

ザッザッザッ…

穂乃果「どうも皆さん!こんにちは!」

穂乃果「こうして9人で歌うのは本当に久しぶりで、少し緊張もするんですが…」

穂乃果「このような場を設けてくれたAqoursのみんなに…そして、今までμ'sを支えてくれた人たちに…感謝して歌わせてもらいます!」

穂乃果「今日披露するのは2曲だけですが、楽しんで行ってください!」

穂乃果「では、1曲目」

穂乃果「聞いてください!」

9人「僕らのLIVE 君とのLIFE」

453: 2020/09/03(木) 14:46:38.24 ID:PKm9IjS3
~~~~~~~~~~~

穂乃果「ありがとうございました!μ'sでした!」

パチパチパチパチ

『μ'sから…僕らのLIVE 君とのLIFE、START:DASH!!…でした』

凛「大成功にゃー!」

海未「みんな、ブランクがあるとは思えませんでしたね」

穂乃果「うん!やっぱり、μ'sって…いいな」

にこ「はぁ?当たり前でしょ!なに言ってんのよ急に」

穂乃果「たはは…いや、ふと思って!」

アンコール!アンコール!

穂乃果「あっ…Aqoursちゃん、行って来なよ」

千歌「えっ、えっ!?」

千歌「いやぁ…μ'sの後にやるのは…なんか荷が重いっていうか…」

穂乃果「だけど、企画したのは千歌ちゃん達なんだし」

千歌「う、うーん…」

454: 2020/09/03(木) 15:02:54.72 ID:PKm9IjS3
ツバサ「なら、私たちにやらせてもらっていいかしら?」

穂乃果「つ、ツバサさん…!?」

あんじゅ「私たちもいるわよぉ♪」

英玲奈「急ですまない」

千歌「A-RISE…」

海未「あなた…今までどこで何を…」

ツバサ「A-RISEとして最高のパフォーマンスを見せるために……ちょっとね」

穂乃果「………」

ツバサ「なにを呆気にとられてるの高坂さん?」

ツバサ「あなたが言ったんでしょう?また、A-RISEのライブを見せて欲しいって」

穂乃果「ツバサさん…」

ツバサ「いいかしら?1曲だけ」

千歌「は、はい…!」

ツバサ「ありがとう♪……行くわよ」

あんじゅ「はーい♪」

英玲奈「あぁ…!」

455: 2020/09/03(木) 15:11:11.52 ID:PKm9IjS3
~~~~♪

キャーー!!

ツバサー!!コッチムイテー!!

アンジュー!!カワイイー!!

ヤッパリ、エレナカッコイイー!!

千歌「す、すごいパフォーマンス…」

千歌「聖良さんと理亞ちゃんが憧れる理由もわかるや…」

穂乃果「……私も」

千歌「え?」

穂乃果「ずっと…憧れだよ」

千歌「穂乃果さんが…μ'sが憧れる存在…A-RISE」

千歌「そりゃ、すごいはずだ…」

456: 2020/09/03(木) 15:22:54.31 ID:PKm9IjS3
スタスタ…

ツバサ「ごめんなさい、ステージを借りちゃって」

千歌「い、いえ…!」

穂乃果「……A-RISEはこれからどうするんですか?」

ツバサ「……私たちがしたことは許されることじゃない」

ツバサ「3人で出頭するわ。また、一から出直しね」

穂乃果「………」

ツバサ「……じゃあね」

スタスタ…

穂乃果「……っ」

穂乃果「……待ってますから!」

ツバサ「……!」

穂乃果「みんな…待ってますから」

ツバサ「……全く、本当に甘いのね」

穂乃果「………」

ツバサ「……またね」

穂乃果「はい…!」

457: 2020/09/03(木) 15:26:44.52 ID:PKm9IjS3
穂乃果「……千歌ちゃん」

千歌「はい?」

穂乃果「もう1曲だけやってもいいかな?」

千歌「は、はい!どうぞ…!」

穂乃果「みんな、行こう…!」

真姫「行くって言っても…」

希「なにやるの?」

穂乃果「アンコールだよ!あれしかないよ!」

穂乃果「……僕らは今のなかで!!」

458: 2020/09/03(木) 15:47:59.64 ID:PKm9IjS3
~~~~~~~~~~~

穂乃果「僕らは今のなかででした!」

穂乃果「ありがとうございました!μ'sでした!」ダッ

ガシッ

穂乃果「え?」

にこ「あんたは捌けなくていいから」

穂乃果「にこちゃん…?」

絵里「穂乃果、これ」

穂乃果「ギター…?」

凛「弾き語りだよ!」

ことり「お客さん、聞きたいと思うから…♪」

花陽「お客さんだけじゃない、私も…聞きたい…♪」

希「うん!ウチらもしっかり聞いてるから」

真姫「バッチリ締めなさいよ」

穂乃果「……みんな」

海未「秋穂も客席にいます、歌ってあげてください」

穂乃果「……うん」

459: 2020/09/03(木) 15:59:23.84 ID:PKm9IjS3
ザワッザワッ…

穂乃果「えっと…弾き語りで1曲やらせてもらいます」

穂乃果「聞いてください…」

穂乃果「作詞作曲がホノカと…」

穂乃果「…ヒデコです」

ジャンジャンジャジャジャン…

穂乃果「日が暮れてどこからか…」

~~~~~~~~~~~

穂乃果「地球の上に夜が来る 僕はいま 家路を急ぐ」

穂乃果「世界中に夜が来る 世界中が家路を急ぐ」

ジャンジャンジャガジャガ…

穂乃果「そんな毎日が君のまわりで」

穂乃果「ずっとずっと続きますように…」

穂乃果「グータラースーダララ…」

穂乃果「グータラースーダララ…」

穂乃果「グータラ~…」







ヒデコ「…スーダララ~」

ビュゥゥー…

ヒデコ「……クスッ」ニコッ…

460: 2020/09/03(木) 20:18:09.94 ID:PKm9IjS3




-数週間後-

ブゥゥゥゥン…

果南「本当にこの先にいるのかな?」

千歌「ムロタさんが調べたんだし…間違いないよ!」

果南「……辺境の地で医療活動」

果南「高坂雪穂……秋穂のお母さん……か」

秋穂「………」ボー

千歌「……?秋穂ちゃん?」

秋穂「……え?あっ……な、なに?」

千歌「ボーッとしちゃって…どうしたの?」

千歌「もしかして、この前のAqoursのライブに感動しちゃった!?」

千歌「えへへ、なんて…」

秋穂「……うん、すっごくカッコよかったよ」

千歌「え?ほんと?」

千歌「そう言われると、なんか照れるなぁ~…!」

461: 2020/09/03(木) 20:25:55.81 ID:PKm9IjS3
秋穂「………」

果南「……なにか心配事でもあるの?」

千歌「え…?」

秋穂「……うん」

秋穂「お母さんとずっと会ってない…20年間、ずっと…」

秋穂「私を見たってわからないかも…」

秋穂「いや…それどころか、私のことなんて…覚えてすらないかも」

果南「………」

穂乃果母「なに言ってるのっ!覚えてるに決まってるでしょ」

秋穂「おばあちゃん…」

穂乃果母「母親が娘のこと、忘れたりなんてするわけないでしょ」

秋穂「そうかな…」

穂乃果母「そうなの!」

千歌「……ねぇ、果南ちゃん、まだ着かないの?」

キッ!!

千歌「うわわ!」

果南「たった今、着きましたよお客さん」

千歌「もうっ!」

462: 2020/09/03(木) 20:43:06.81 ID:PKm9IjS3
ガラッ…バムッ

秋穂「………」キョロキョロ


「そっちは早く点滴を!子供たちをちゃんと並ばせてあげて!」

「順番は守って!ワクチンは十分あるんだから」


秋穂「……!」


雪穂「ほら、気をつけて…」


秋穂「……っ!」

秋穂「」ザッザッ…

千歌「あ、秋穂ちゃん…!」

秋穂「……お母さん……?」

雪穂「……!」クルッ

秋穂「……っ」ジワッ


果南「おばあちゃん、ほら、見つかりましたよ……雪穂さん」

穂乃果母「……雪穂」


雪穂「………」ペコリッ

463: 2020/09/03(木) 20:47:34.34 ID:PKm9IjS3
秋穂「………」

雪穂「……おめでとう」

秋穂「え……?」

雪穂「……知るわけないよね、自分が生まれた日」

雪穂「私のせいだけど……」

雪穂「……9月3日」

雪穂「秋穂……今日、あなたの誕生日なの」

雪穂「21歳の誕生日、おめでとう…」

秋穂「お母さん……」ジワッ

秋穂「……ッッ」

ダキッ…

雪穂「……!」

雪穂「………」ギュッ

after episode(後)「僕らのLIVE 君とのLIFE」

464: 2020/09/03(木) 20:50:01.62 ID:PKm9IjS3
アフターエピソードもこれにて終了になります。
後日、少しだけ投下するエピローグを書いて物語はおしまいです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。


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